教育課程部会 幼児教育部会(第7回) 議事録

1.日時

平成28年4月25日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

中央合同庁舎第7号館東館 文部科学省3階3F2特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 幼児教育の改善充実について
  2. その他

4.議事録

【無藤主査】  それでは、定刻になりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会幼児教育部会第7回を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございました。
まず、会議に先立ちまして、7月14日より、御存じのように熊本県を中心とした九州地方で一連の地震が続いてございます。そこで尊い命を落とされた方々に深くお悔やみ申し上げ、また被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げたいと存じます。
現在、我が国では、被災地において昼夜を分かたず救命・救助活動を行っておられる関係機関の方々をはじめとして、国を挙げて多くの人々がそれぞれの持ち場で支援に当たっておられます。被災者の方々の一刻も早い救援を心からお祈り申し上げます。
それでは、議事に入るわけでございますが、その前に、報道等、既にございましたけれども、先週の金曜日に発出されました、幼稚園における待機児童の受入れについての御説明を、課長よりお願いいたします。
【淵上幼児教育課長】  失礼いたします。お手元に資料番号なしで、一番下の方に28年4月21日付けの事務連絡で、幼稚園における待機児童の受入れについてというものがあるかと存じます。これについて、簡単に御報告を申し上げます。
この事務連絡は、この頭書きにございますように、厚生労働省から、まず4月7日付けで待機児童解消に向けての緊急対策が発表されました。これを受けまして、その一環として公立、私立、いずれもの幼稚園におきまして、教育活動に支障が生じないよう配慮しながら、地域の実情に応じて積極的に待機児童の受入れに努めていただきたいということで発出をしたものでございます。
まず、1番目の対象自治体につきましては、これは厚生労働省の通知が後ろの方に付けてございますけれども、一番後ろの方に具体の市町村名が出ているかと存じます。227自治体ございますけれども、この227自治体、プラス、それ以外の積極的に対応したいという自治体プラスアルファで、対応をする予定のものでございます。
2番以降が、幼稚園における具体的な待機児童の受入れの方策につきまして、今回内閣府、厚生労働省などとの調整の上、お示しをしているものでございます。2番が主として0から2歳児の受入れについてということで、幾つかの方策があるわけですが、まずは緊急的な一時預かり事業などの活用をお願いできないだろうかということでございます。この一時預かり事業、一般型と言われております一時預かり事業は、これはもともと単発の利用ということを予定しているものでございますけれども、これを定期利用を可能とするということ、また、定期利用しますと利用料が高くなりますので、5万円程度にまで軽減した上で活用いただくという仕組みに、緊急的に改めようということでございますので、こういったものを幼稚園でも積極的に活用いただけないかというのが、1点目でございます。
めくっていただきまして、(2)番が、幼稚園における長時間預かり保育運営支援事業の実施促進ということでございます。これは、内閣府の予算でございますけれども、幼稚園が認定こども園になることを予定しながら長時間の預かり保育を行うという場合に、事業費の支援を行うというものでございます。これは幾つか要件の緩和などを行いまして、多くの幼稚園で受入れていただくような工夫をしたいということでございます。
一つ目の要件は、今現在は5年以内に認定こども園になるということをきちんと名言した上でやっていただくことになっておりますけれども、これは5年に限らず、一定期間のうちに認定こども園に移行する、あるいは認定こども園ではないけれども、別の形で子供たちを定期的に受入れられるような仕組みを考えるということで、実施が可能とできるようにしたいということでございます。
また、現在は全てのこの長時間預かりの対象者は保育士の資格を持っているということを前提としているわけですけれども、これは2分の1年の範囲で研修修了者などの配置も可能とするということ。あるいは、地域のニーズを踏まえながらでありますけれども、土曜日の共同保育というものを別の保育所で行えるようなことが、そういう工夫ができる場合には、必ずしもその幼稚園で土曜日の開所をしなくてもよいといったような弾力化も、併せて検討したところでございます。
また、(3)番は、次の形態としては、小規模保育事業の実施促進ということでございます。これも、これまでもいろいろお願いをしているところでございますが、第2段落の「その際」というところで、ここも地域のニーズを踏まえながら、土曜日の共同保育の活用ということで、土曜日開所の弾力化、あるいは受入れ対象年齢の限定ということで、地域のニーズも踏まえながらですけれども、0歳自のお子さんはほかのところで受入れられるといったような工夫をしながら、0歳児までは幼稚園では受入れなくても大丈夫なようなこととするとか、こういう柔軟な取扱いを行う中で、幼稚園での積極的な活用というものをお願いしたいということでございます。
また、(4)ですが、幼稚園設置基準の取扱いということで、こうした形で幼稚園の余裕スペースを活用しながら、様々な事業を展開するという場合には、幼稚園設置基準の園舎の面積の算定から除外まではする必要がないということ。これは、適切な教育環境が確保されることを前提とした上でありますけれども、こういう柔軟な取扱いにも配慮したいということでございます。
大きな3番は、3歳児等の受入れについてでございます。(1)番は、受入れ促進ということで、まずは認可定員に空きがある場合に、その空きの部分を十分活用していただくということ。あるいは、先ほど申し上げました、一時預かり事業(一般型)の定期利用ということが考えられますということでございます。
続きまして、3ページの(2)番は、一時預かり事業の幼稚園型というものがございます。これは在園児を対象とした、午後2時から5時ぐらいまでの受入れのものでございますけれども、この一時預かり事業を長時間利用するという場合には、今は長時間利用については一律100円というふうになってございますけれども、これは一定の場合には超過時間を超える部分について、最大で2時間の場合には、もう100円、更に超える場合には200円、あるいは300円ということで、最大でこれだけの支援ができるような、さらなる工夫をお願いしたいということでございます。
(3)番は、認可定員を超過した場合の取扱いということでございます。認可定員を超えて子供たちを受入れるということが生じた場合には、当然設置基準などの最低の基準は満たしていただく必要がございますけれども、こういう取扱いをした場合に、新制度移行への減算措置、あるいは私学助成の減額といったようなことを都道府県の判断で行うことができるようになっておりますけれども、この待機児童の解消ということとの兼合いで、この点についても柔軟な取扱いをお願いしたいということでございます。
以上の内容でございます。もとより、こうした取組をいかに取り入れるか、進めていくかは、各地域、あるいは各園の御判断ということによるわけでございますけれども、私どもとしては、待機児童の問題が現在待ったなしという状況にありますので、各園の御理解を頂きながら、こうした取組を進めてまいりたいと考えているところでございます。以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございました。それでは、本日の議事に入りたいと存じます。本部会の審議等について、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づき、原則公開により議事を進めさせていただくとともに、第6条に基づき議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うこととさせていただきます。よろしくお願いいたします。
なお、本日、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出がございます。これを許可してございますので、御承知おきください。
それでは、事務局より配付資料の確認及び説明をお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  それでは、配付資料の確認をさせていただきます。本日、議事次第に記載しておりますとおり、資料1から資料7、その他、机上に教育課程企画特別部会の論点整理をはじめといたしました参考資料の方をいつもどおり置かせていただいております。不足等がございましたら、事務局の方にお申出いただきたいと思います。
また、机上にタブレット端末を置いておりますが、その中には本部会の審議に当たりまして参考となる幼児教育関係の資料や、小学校の学習指導要領解説、そのほか審議会の答申、本部会の過去の配付資料等をデータで入れてございます。御参照いただく際には、お手数ですが、机上に配付しております使用方法等の説明ペーパーを御覧いただきたいと思います。
なお、本日はほかの部会と重なってございまして、タブレット端末が不足しておりまして、お二人で1台ということになっております。大変御不便をお掛けいたしますけれども、御了承いただきたいと思います。
それでは、続きまして、配付資料の説明をさせていただきたいと思います。まず資料1でございます。こちらは、本日の検討事項のペーパーでございます。大きく2点ございます。1点目が、新しい幼稚園教育要領等の理念を実現するために必要な方策についてということで、前回、第6回の幼児教育部会で積み残した検討課題を再度、掲げさせていただいております。
(1)といたしまして、教育課程編成の在り方(カリキュラム・マネジメント)の確立についてということ。それから、(2)といたしまして、2ページ目でございますけれども、幼稚園教育要領等の理念の実現に向けて必要な支援方策についてということで、幼小接続でございますとか、教員の資質向上に必要な施策等々を例示として掲げさせていただいているところでございます。
それから、本日の検討課題の大きな2点目でございますけれども、幼児教育部会の取りまとめ(たたき台案)についてでございます。これにつきましては、資料の2と資料の3の方を御用意いただきたいと思います。
まず資料3でございますけれども、こちらの方は、これまで幼児教育部会で頂きました御意見でありますとか、各種幼児教育に関するデータ等を基に作成しているものを取りまとめたものでございます。まだまだ十分に委員の先生方の御意見を反映されていない部分もございますけれども、一応そんなような形でまとめさせていただいております。
この構成につきましては、資料2、A4の横長のものでございますけれども、こちらのとおり、各学校段階等別部会、それから各教科等のワーキングの共通フォーマットが示されておりますので、先ほどの資料3の取りまとめ案につきましては、基本的にはこちらのフォーマットに従って作成しているものでございます。
それでは、資料3の幼児教育部会の取りまとめ(たたき台案)の概要について説明をさせていただきたいと思います。資料3の1枚目をおめくりいただきたいと思います。まず初めに、1といたしまして、現行幼稚園教育要領等の成果と課題ということになってございます。こちらの方では、現行の幼稚園教育要領が教育課程研究指定校の研究成果等から、おおむねその趣旨が理解されているということ。
それから、一方、幼小接続で教育課程の接続が十分であるとは言えないような状況などの課題があるということ。それから、様々な研究成果等から、幼児教育の重要性が高まっているということ。それから、昨年度からの子ども・子育て支援新制度が実施されたことにより、質の高い幼児教育を提供することが一層求められているといったことが記述されてございます。
それから、2といたしまして、幼児教育において育みたい資質・能力と幼児期にふさわしい評価の在り方について。(1)といたしまして、幼児期の特性に応じて育まれる見方や考え方ということでございます。今回、各教科等で共通に示すこととしております、この見方や考え方でございますけれども、この見方、考え方は、様々な事象等を捉える各教科ならではの視点や、各教科等ならではの枠組みのことでございます。この見方、考え方を成長させ、資質・能力が獲得していけるような学びが、深い学びであるとされてございます。
前回、この部会でお示しいたしました見方、考え方につきましては、ちょっと分かりにくいでありますとか、整理が必要という御指摘があったことから、ここでは、この1ページ目の一番下の丸のところでございますけれども、幼児期における「見方や考え方」は、幼児が身の回りの環境に主体的に関わり、心動かされる中で、環境とのふさわしい関わり方に気づき、それらを身に付けたり、獲得しようとしたりして、試行錯誤や思いをめぐらすことということにしてございます。
それから、(2)でございます。幼児期において育みたい資質・能力の整理と、小学校の各教科等との接続の在り方でございます。ここでは、幼児期において育みたい資質・能力につきまして、幼児期の特性から、これまでのこの部会でも御検討いただきましたとおり、ここに示しております丸1から丸3に整理されること。また、5領域は引き続き維持し、資質・能力を一体的に育んでいくことが重要であるということを記述させていただいているところでございます。
また、3ページの一番上の丸のところでございますけれども、5領域の狙い及び内容を通じて、5歳児の修了までに育ってほしい具体的な姿を、前回のこの部会でも御説明いたしましたが、12項目あった幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を10項目に再整理いたしまして、この3ページから4ページにかけまして、丸1から丸10のような形で示させていただいているところでございます。
さらに、この4ページの一番上の丸のところでございますけれども、このような幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化は、5歳児後半の幼児の日常的な活動を指導する際の手掛かりや、評価の手だてとなるものであること。それから、幼稚園等と小学校の教師が持つ5歳児修了時の姿が共有化されることにより、幼児教育と小学校教育との接続の一層の強化が図られることや、小学校の各教科においてスタートカリキュラム等を通じて育んでいくことが必要であるということについて、こちらの方に記述させていただいているところでございます。
それから、その下のところでございます。(3)資質・能力を育む学習過程の在り方でございます。ここでは、幼児教育においても資質・能力を育む上で、学習の過程を意識した指導が重要であるということ、それから、この資料3の24ページ、一番最後から2番目のところでございますけれども、こちらの方にアクティブ・ラーニングの視点を踏まえた幼児教育における学びの過程のイメージ、こちらの方を示しております。こちらの方を文章化して、この部分に記載をさせていただいているところでございます。
それから、5ページ目のところでございます。(4)幼児期にふさわしい評価の在り方のところでございます。ここでは、幼稚園教育要領等において、先ほど御説明いたしましたとおり幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化の方向性が示されたことで、幼児一人一人のよさや可能性を評価する幼児教育の評価の在り方、こちらの方の考え方は維持しつつ、評価の視点といたしまして、特に5歳児につきまして、幼児期の終わりまで育ってほしい姿を踏まえた視点を新たに加えるということ。それから、その際には、他の幼児との比較や、一定の基準に対する達成度についての評定によって捉えるものではないということに留意するということを、記述させていただいているところでございます。
また、その下のところでございますが、小学校の教員の指導上の参考となる指導要録の示し方の見直しでありますとか、日々の記録やポートフォリオなどを通じた幼児の発達の状況を保護者と共有できる取組を進めていくことなどにつきまして、記述をさせていただいているところでございます。
その下のところでございますが、3といたしまして、資質・能力の育成に向けた教育内容の改善・充実というところでございます。ここでは、教育過程や預かり保育を含めまして、幼児の生活全体を捉えた全体的な計画の作成や、先ほど御説明いたしました幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を新たに要領上位置づけるということについて、記述をいたしております。
それから、6ページ目のところでございます。(2)資質・能力の整理を踏まえました教育内容の見直しということでございます。ここでは、先ほど2の(2)の記述と若干重複いたしますけれども、現在の領域構成を引き続き維持しつつ、資質・能力の三つの柱に沿って内容の見直しを図るということを記述しているところでございます。
それから、その下のところ、(3)現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直しのところでございます。こちらの方は、論点整理や、近年の子供たちをめぐる環境の変化等を踏まえた内容の見直しについて記述をしているところでございます。具体的には、その下のところでございますけれども、状況に応じて機敏に体を動かすことができるようにするとともに、安全についての理解が深丸ようにすることでございますとか、様々な体験の重視や、食の大切さや、食に対する態度を身に付けるということ。
それから、様々な人と接したり、自分の気持ちを調整したり、くじけずに自分でやり抜くようにしたり、自分のよさや特徴に気づき、自信を持って行動したりするようにすること。それから、比べる、関連づける、統合するといった思考の過程を示すといったこと。地域の様々な生活や文化に触れる機会を設けたり、異なった文化を持つ人たちに親しみを持ったりするなど、幼児に地域の社会生活のつながりを育むこと。幼児が言葉のリズムや響きを楽しんだり、未知の言葉と出会ったりする中で、言葉の獲得の楽しさを感じたり、友達や教師と言葉でやりとりしながら自分の考えをまとめたりするようにすること。最後でございますが、自然や生活の中にある音や、素材に触れる機会を充実することといったことを記述しているところでございます。
それから、(4)の幼稚園における預かり保育と子育ての支援の充実というところでございます。こちらの方は、預かり保育の教育活動を計画する際には、教育課程に係る教育時間を含めた幼稚園の生活全体で計画するようにすること。
それから、子育て支援に関して心理士、小児保健の専門家、幼児教育アドバイザーなどの活用や地域の保護者との連携など、チームとして子育ての支援に取り組むことについて記述させていただいているところでございます。
その下の4番のところでございます。学習・指導の充実や教材の充実でございます。これの最初のところは、(1)といたしまして、特別支援教育の充実、それから、幼児一人一人の特性に応じた指導の充実でございます。特別支援教育の充実のところにつきましては、前回もこの部会で議論をいたしましたけれども、内容といたしましては、障害別の配慮のみならず、日々の幼稚園等の活動で考えられる困難さに対する配慮の例を示すこと。それから、個別の教育支援計画や、個別の指導計画の作成・活用の留意点を示すこと。それから、特別支援教育コーディネーターを中心とする体制等の在り方を示すとともに、共生社会形成に向けた障害者理解の促進等の観点から、交流等の一層の充実を図ることについて記述をしているところでございます。
それから、幼児一人一人の特性に応じた指導の充実でございます。こちらの方では、海外から帰国した幼児や外国人の幼児への日本語の指導・適応指導等について配慮事項を示すことについて記述をしているところでございます。
その下のところでございます。(2)「深い学び」、「対話的な学び」、「主体的な学び」の充実のところでございます。ここでは、論点整理の方で示されましたアクティブ・ラーニングの三つの視点を幼児教育の特質から見直しを図ったものを記述しているところでございます。これにつきましても、先ほど御覧いただきました24ページの幼児教育における学びの過程のイメージのたたき台、ここでお示しさせていただいているものと同じものを、こちらの方に記述しているということでございます。
8ページの方に移っております。それから、8ページ、(3)の教材の在り方でございます。こちらの方は、幼児の主体的な活動を保障する観点から、教師による日々の継続的な教材研究の必要性について明確化を図ることを記述しているところでございます。
それから、最後でございますが、5番といたしまして、必要な条件整備等についてということで、これにつきましては、本日、この後の議論を踏まえまして記述をする予定になってございます。
また、この取りまとめのたたき台の案に関する図等につきましては、この9ページ以降に付けてございます。こちらの方は前回の部会で御意見を頂きまして、文言等の統一を図ったりするような修正を掛けているところでございますけれども、時間の都合上、修正部分の説明につきましては割愛させていただきたいと思います。
なお、ただいま説明いたしました幼児教育部会の取りまとめのたたき台の案の御議論をいただく際には、この資料3の文言に対する御意見だけではなくて、資料4、資料5を参考でお配りしておりますけれども、幼児教育における情報、健康、安全等に関する御意見や、それから、これまで検討事項の中で言い尽くせなかったこと、言い足りなかったことなどについても、併せて御意見等を頂きたいと考えておりますので、その点につきましてもよろしくお願いしたいと思います。
それから、資料6でございます。こちらの方は、これまで頂きました第1回から第6回の意見を事項別にまとめた資料でございます。
資料7、最後でございますけれども、本日、御欠席でございますけれども、斎藤委員が、この線を引いてあるところでございますが、福井県の教育庁の義務教育課から、福井市の麻生津幼稚園の副園長・麻生津小学校の教頭の方に異動されておりますので、御報告をさせていただきます。私の方からの説明は以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございました。今御説明があったとおりですけれども、本日、二つの議題です。一つが、新しい幼稚園教育要領等の理念を実現するために必要な方策について。これは、前回説明があって、時間の関係で議論に入れなかったものですね。二つ目は、今御説明いただきましたけれども、幼児教育部会取りまとめ(たたき台案)についてということで、議論を進めたいと思います。
ということで、まず最初でございますけれども、新しい幼稚園教育要領等の理念を実現するために必要な方策についてということで、御意見を頂戴したいと存じますので、いつものように名札をお立ていただければと存じます。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
この必要方策というのは、幼稚園教育要領そのものに書くかどうかは別として、それを実現していくために必要なこと、様々ということですので、非常に広い立場でお出しいただいてよろしいかと思います。いかがでしょう。
じゃ、神長委員、どうぞ。
【神長主査代理】  失礼いたします。まず最初に、教育課程部会や企画特別部会などに参加しながら感じていることということで話をさせてください。ここに一番最初にありますカリキュラム・マネジメントという、全く新しいことではないんですけれども、これまでもPDCAのサイクルであったり、教育課程をいかに評価改善していくかということは常に課題であったわけですけれども、今後のいわゆる幼稚園の運営等に、教育課程の実施に関わっては、一層充実させていくことが大事だなと思っております。
ここに、既にこの三つの視点と出ておりますけれども、この視点というのは、幼小中高を見て書かれております。やはり幼児教育におけるカリキュラム・マネジメントということを、この枠組みの中から、また幼児教育というところに視点を置きながら焦点化して考えていくことが大事かなと思っています。教育要領にどう書き込むかというよりは、この視点がすごく必要だなと思っているんです。
今日、いろいろ預かり保育の問題等についても御説明がありましたけれども、教育の年限の問題であったり、教育時間の問題であったり、預かり保育の課題であったり、それぞれの園が置かれている課題とか、教育課程を実施していく上で解決していかなくてはいけない課題というのは、それぞれの園の地域の中でどういう役割を果たしているのかとか、園のいわゆる教育年限であったり、時間がどうであるのかとか、預かり保育にフルタイムの方が入るような形で園児が多いとすると、やはり教育課程の中での配慮も必要ですし、0、1、2歳の子供たちから2歳から3歳というところで、集団の生活の経験のある子供が3歳児入学のときに何割かを占めているとか、全く家庭から直接であるとか、やはりそれぞれの園がどういう状況に置かれているかということを踏まえた上で教育課程を編成しているわけですから、教育目標にたどる道筋というものを常に検証していくということが大事かなと思います。
そのときに、やはり評価改善の評価をしていく視点というのは、幼児教育の場合に非常に難しいなと、この辺については議論が必要だなと思っております。ですので、そういった幼児教育におけるカリキュラム・マネジメントということを、一層充実させていきたいなということを思っております。
【無藤主査】  ありがとうございます。カリキュラム・マネジメント、まだ小学校以上でも十分煮詰まっていないようでありますけれども、もちろん幼児教育としても固有な部分がたくさんありますから、また考えなければいけないと思います。
ほかにはいかがでしょうか。
じゃ、渡邉英則委員、お願いします。
【渡邉(英)委員】  まだ考えがまとまっているわけではないんですけれども。ただ、僕はやっぱり幼児教育がこのアクティブ・ラーニングとか、いろいろなところの基礎になるということをどうしても考えていくと、カリキュラム・マネジメントの中で、子供たちに必要な資質・能力を育成するというようなカリキュラムをどう作っていくかというときに、今の幼児教育の中に効率よくいろいろなことを教え込むみたいな幼児教育が結構ある中で、もともとは知識というのは自分で獲得していくとか、友達と話し合いながらとか、新しいことを発見していくという――後で出てくるんでしょうけれども、自由に幼児期に育てられているところの思考力の芽生えの中に、例えば友達と考え、思いを合わせる、新しい考えを生み出すというような、与えられて、言われたことをやれるようなものではなくて、子供たちが遊びの中で、言葉でも何でもそうなんですけれども、自分たちで知識をきちんと体を使って獲得していくと。
そのような保育というのは、ある意味遊びを通しての保育なんですけれども、でも、それをきちんとカリキュラムの中に実現していくためには、どうしたらよいかというような議論がやっぱり必要で。ただ遊んでいればよいというのも違うし、かといって、何かを効率よく教え込めばよいという危険性もあるしという中で、子供たちがそこできちんと自分なりに知識とか、言葉とかを丁寧に、いろいろなところの中で自分なりの知識を広げていったり、獲得していくということが、それが本当は学びなんだということが幼児教育の中でどう言えるか。そういうようなマネジメントをすることが、幼児期の教育の中では大事なんだというような、そういう書きぶりというのができないかなというのを感じてはいます。
【無藤主査】  ありがとうございます。今の点は、多分、2番目のというか、今日の中心ですけれども、取りまとめの文章の中にもどうしっかり書いていくかもお考えいただければと思っています。
ほかにいかがでしょうか。では、田中孝尚委員、お願いします。
【田中(孝)委員】  失礼いたします。教育課程までのカリキュラム・マネジメントについては、担任、ふだんの実践が教育課程の改善につながっているという感覚というのはなかなか持ちにくいところがあるのが一般的なのかなと思います。短期的なものであるとか、せめて長期の計画ぐらいのものは日々の実践から改善しているという感覚というのは持っていると思うんですが、それが教育課程の改善にきちんとつながっていくような仕組みが実際に機能しているかどうかという辺りでは、なかなか難しいところもあるのかなと思っています。
そこら辺りは、きちんと各園で仕組み作りを行っているところもあれば、実践のざっくりと子供たちの実態を捉えた上で、今年改善していこうというような、十分システムになっていないようなところもあるのかなということを思いますので。あと、いろいろな園でされているカリキュラムの改善の仕組みのよいものを例として示していくとか、何かいろいろな園できちんとマネジメントされていくような例示というか、そんなものも更新していくようなことというのは、効果があるのかなということを思います。
【無藤主査】  ありがとうございます。幼稚園の場合、小学校以上に比べて、幼稚園教育の理念というのがしっかりできていると自負してもよいと思うんですけれども、やはりお3人の委員の御発言にあるように、幼稚園などによっての違いというか、それが非常に大きいわけです。その中には、幼稚園教育要領の趣旨を十分踏まえていないかもしれない部分もあるわけです。あるいは、踏まえてはいるんだけれども、それをより豊かにすると言いますか、そういうところで余り考えていない場合もあるかもしれません。
ですので、そこをどうするかというときに、事例を示すとか、まさに様々な方策が必要で。既に前回までで折々に出てきたとは思いますけれども、更にいろいろ御指摘いただきたいわけですね。例えば事例を示すという場合には、幼稚園教育要領は本体で書くのは難しいでしょうけれども、解説に書くとか、別に指導用資料で何か用意するとか。あるいは、全く違うものとしては、文科省などが行う説明会のようなところで何かするとか、各教育委員会その他の団体などを介してお願いするとか、いろいろな手だてがあると思うわけですけれども、そういうことも是非御提言など頂ければと思います。
それでは、志民委員、お願いします。
【志民委員】  よろしくお願いします。カリキュラム・マネジメントを幼稚園の方で行っていくということを考えると、小学校、中学校以上ですと規模も大きいですので、そういうことを組織的にやっていくというのは、ある程度進んでいくのかなという気がするんですが、小規模の幼稚園でそれをどれだけできるのかなというところに、私も不安をちょっと思っております。
そういう意味では、例えば丸3のところに書いてあるような地域の外部資源も含めて活用するということですと、ああ、このようにに書かれているので、じゃ、やらなければということで丸投げしたりということも起きかねないかなと思っています。そういった負担を軽くしていくためにも、例えば教育委員会であるとか、地域の大学を活用してコーディネートしたり、支援をしていくような、そういった政策というか、そういったプログラムも今後整備していく必要があるのではないのかなと考えています。以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。
では、阿部委員、お願いします。
【阿部委員】  阿部でございます。いろいろ悩みながらいるところですが、小泉さんの米百俵のときから、文科省がある程度目標や内容を示す。国研がそれを評価する、そして真ん中の実行部分については各園の自主性とか自立性を大事にするということの中に、カリキュラム・マネジメントやアクティブ・ラーニングという、直接的に関わっていくということになると思っているんです。そうすると、今のような園にとっての負担感だとか、そういったことも鑑みなければなりませんし、ある程度事例として助けるというか、支援するための改善策として、こういう方法もありますよということが出されていくということが一番ベストなのかなと。
そう思いつつも、やはり何らかの形で、今の実情的には、国内でいろいろな幼稚園があって、この我々のここで言っている教育要領等が浸透していないという部分もあるので、そういったことも含めますと、研修の場とか、今言った事例のものとか、園が自分たちがどのようなものなのかを評価するための視点として、この三つのカリキュラム・マネジメントの一つずつの視点を当てて、もう一度園の改善を図っていくということが行われるように、やはりしていかなければならないのかなというのは思っています。
【無藤主査】  ありがとうございました。
では、大方委員、お願いします。
【大方委員】  やっぱりカリキュラムを立てていくときに、書類作成に追われてしまわないように、特にカリキュラム・マネジメントの言葉の中で、せっかく幼児教育としてやってきた、地域の実態に合わせたそれぞれの園の独自性がなくならないようなことが、画一的にやらないことがとても大事かなと思っています。
ただ、大事なことは言語化していくという保育者の役割が大事で、例えば地域で仮に散歩に行ったとしても、散歩に行ったということに意味があるのではなくて、行く前の保育者側の狙いになるわけですけれども、今日の散歩では青い空を体験するということが意味があるのか、カエルをとることを子供たちがやるのか、又は一人一人の子供たちは一体何を楽しんでいたのかということを、もう一度振り返って、きちんと言語化して伝えてくれる大人がそこにいる。そういった往還した関係というものが、やっぱりこのカリキュラム・マネジメントでは非常に大事であると。
月案を立てるような段階で、そこをきちんと、今月はこういう体験がいろいろあるよねと。そのことの中に、基本的な5領域も踏まえた偏りがないかということを、やっぱりプランの段階で検証し、そのことを踏まえた活動の選択であったりとか、子供たちへの言葉がけであったりとか、決してそれをやらせるという意味ではなくて、一点割にならないことが非常に大事ではないかと思っています。
【無藤主査】  ありがとうございました。
では、渡邉委員、お願いします。
【渡邉(郁)委員】  資料1の(1)の三つの側面のところの丸2番のところなんですけれども、これに関することで、教育内容の質の向上に向けて、様々な調査であるとか、各種のデータに基づいて教育課程の編成を、私どもも現場で行っているんですが、その一つとしては、例えば区や都でやっている運動能力調査であるとか、あともう一つは、本園はこども園ですので、こども園評議委員会というような地域の方々をおいでいただいての、年3回ぐらいの評議委員会での御意見、そしてまた保護者による教育内容の評価というのを、本園では年2回ぐらいやっています。
そういうデータを使って、教育内容の改善を図っているわけなんです。保護者の方々の、本園では――ほかの園でもそうだというところはあると思うんですが、満足、ほぼ満足、やや不満とか、不満というような4段階評価をして、その中でこういうことをしてほしいというような要望も出てくるわけなんです。どんなに大上段に構えて、子供にとってすばらしいもの、よいものを出していても、保護者の方々がよいというような、これはこういう保育をしてほしいというような子供理解であるとか、幼児教育についての理解がないと、なかなかよい教育課程の方向にも向かっていかないし、非常にその辺のところを苦慮しているところです。
それで、今年度から、子ども・子育て支援法の規定の下だと思うんですけれども、重要事項説明というものが園内のどのような形で保育をされているか。大枠の園のフレームなんですけれども、それを説明をして署名を頂く、そういうような取組も法の下に始まっておりまして、非常にどきどきしながらこの4月やったんですが。
そのように、かなり保護者の方々の意見も取り入れて保育をしていくということになりますので、これまで以上に子供理解であるとか、幼児教育への理解ということを、このような会であるとか、それから国だとか、都であるとかのいろいろな様々な取組によって、少しずつ現場に援助をしていっていただくというような取組も大切ということを入れていただきたいなと思っております。以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。特に保護者の理解というのは、幼稚園教育要領の中にもちろん入っていて、日々の保育について理解してもらうというのはあるわけですけれども、恐らくこれからもっとそれが重みを持っていくのは、小学校以上ですとコミュニティ・スクールとか、あるいは新しい言い方で言うと学校地域協働本部とか出てきて、幼稚園ですと、むしろPTA活動、その他で保護者と連携するだけではなくて、保護者に様々な形で幼稚園教育を理解してもらうということは多いと思うんです。
そういう意味でも、それをより広げていきながら、幼稚園を含めた幼児教育の在り方をどう広報していくか、理解を深めるか、一層のいろいろ手だてが必要だということで、ありがとうございました。
それでは、鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】  お願いします。やっぱり幼稚園教育要領が新しくなるということで、養成校の教員の立場から言うと、養成校の教員自体がちゃんと内容とか、改善の方向性とかを理解していないと、実際に現場とか、幼稚園のところに送り出す幼稚園教諭そのものの質につながっていくと思うので、やはり大学であるとか、短大であるとかの養成校の課程の人間がこれをきちんと理解していくという認識していかないと、意味がないと考えています。
したがって、養成、採用、研修とよく言われますけれども、養成とか研修の中で、先ほど志民委員も地域の大学とおっしゃってくださいましたけれども、そういう中で、やっぱり要領の改訂を踏まえ、そういう内容になるような、そこが車の両輪だと認識していくことが必要なのではないかなと考えております。
【無藤主査】  ありがとうございます。養成校の在り方については、従来は特に幼稚園教育要領について、養成校教員に伝える直接ルートが実はないに等しいと言うべきですかね。文科省による説明会、あるいは教育委員会の説明会に養成校が参加するということはできていて、多分参加できますよという通知が行くと思いますけれども、参加の割合は非常に少ないという事実もあります。そういう意味では、必要になってきます。
それから、中教審で教員養成部会というのが別にありますけれども、そちらでは、多分主に小中高の方が念頭にあるんだと思いますけれども、教員の養成について養成校、養成課程を持っている学校と、都道府県教育委員会が話し合う場を作ろうということも出ております。ただ、幼稚園などの場合には片方に保育所があるということがありますけれども、それ以上に幼稚園は小さい。とりわけ民間の幼稚園が多いですから、なかなか養成校と話し合う場を作るのは難しいというところもあるので、何か工夫が要るというのは御指摘のとおりだと思います。
それでは、砂上委員、お願いします。
【砂上委員】  カリキュラム・マネジメントということで、まだちょっとこの言葉自体が保育関係者、幼児教育関係者の手の平の上に乗り切っていないというところも、少し現状としてはあるかと思うんですが、やはりカリキュラム・マネジメントがなぜ必要であるかということを、幼児教育の特性というところと関連付けて、その必然性というのを丁寧に説明する必要があって、それは今鈴木先生がおっしゃったように養成校段階から丁寧に行っていくべきかと思うんですが。
不断に実践を見直し改善していくということは、教育である以上、それは必要であるというか、最低限の基準ということはあるけれども、最高のところがどこかというのは決め得ないというか、もっとよいものは常にあるという認識で追い求めていくというのが、人を育てるという実践なんだというところに立たないと、なぜ評価をしていく必要があるのかということの必然性がうまく落ちていかないと。
さらに、幼児教育は子供の主体性と教師の意図性ということをしっかり両立させて行っていくということがある。子供の主体性を引き出すには、やはり幼児の発達の理解や興味関心、様々な家庭も含めた実態というところをしっかり踏まえないと、適切な保育というのができないということがあるので、そうすると、その評価、反省ということは必然的に必要になってくるというところをしっかり押さえていくということがあるかと思います。
現在の解説の第3章のところの指導計画の作成に当たっての留意事項というところで書かれた一般的な留意事項の(5)になるかと思うんですが、この緑の解説で言うと202ページのところに、保育における評価や反省は、このような指導の課程全体に対して行われるものである。この場合の反省や評価は幼児の理解の発達と教師の指導の改善という両面から行うことが大切であるということで、幼児理解に関して、指導に関してはどうであったかということで、あくまで教師の側の実践に対して、指導が具体的な狙いや内容が適切であったか、環境の構成が適切であったか、必要な援助が行われたか。
ということで、保育の評価というのは、子供を評価するのではなくて、教師の保育の中身ということが評価の対象になってきて、それは改善していく必要があるし、改善できるという、ここの原則というところを今一度しっかり押さえるということが、このカリキュラム・マネジメントの充実ということとつながっていくのではないかと思っています。
その評価の在り方ということで、幼稚園教諭は専門職であるので、基本的に専門職の要件として自己評価ができるということは前提条件にはなるかと思うんですが、でも、自己評価だけではなくて、やはり多様な評価の機会を持てるということが大事かと思います。保護者の方から、あるいは園内での研修もありますし、外部の方に評価、保育を見ていただくというような様々な機会を設けていくということも、一つ、多様な評価、反省の在り方ということを検討していく必要があるかと思います。
園の実態が様々であるので、例えば保育を公開するということを経験する機会がある幼稚園教諭がどのくらいの割合かというところも議論にはなるかと思うんですが、しかし、それが社会全体の子供を育てるという大きな使命を担っていて、専門的な実践であるということを考えれば、保育を公開していくということも、原則としては盛り込んでいくということも検討されるべきではないかと思います。
そのために、地域の様々な資源をどのように活用できるかということも考えていけるとよいのではないかと思っています。以上です。
【無藤主査】  評価の基本を明確にしていただいて、ありがとうございました。
では、北村委員、お願いします。
【北村委員】  この部会で発言すべき内容なのかどうか、ちょっと分からないんですが、新しい幼稚園教育要領の理念を実現していくに当たって、今幼児教育の無償化の議論とか、格差の問題とか、ひとり親の家庭の貧困の問題とか、そういった社会的な観点抜きに、単にこういうものを作ったからやりましょう、だけ言っていてもなかなか対応できない、いろいろな幼稚園があったり、地域があったりする中で、そういうところへの配慮みたいなものをどこかで一言触れておくことも大事かなと思いまして、発言いたしました。
【無藤主査】  今日的課題の部分だと思います。ありがとうございます。
それでは、山下委員、お願いします。
【山下委員】  山下です。私からは二つほど意見を述べさせていただきたいと思います。一つは、カリキュラム・マネジメントに関わってですけれども、地域の実情に応じて、あるいは地域に開かれたカリキュラム・マネジメントを行っていくということは、質の高い保育教育をやっていく上で非常に大事だと思っています。ただ、その際に、やはり地域や家庭にはたくさんの教育ニーズがあったり、それぞれの地域では教育課題も多くあろうかと思います。
このようなときに園がしっかりと目標というのを立てて、何をどのように、何のために、そして、その結果どのような子供たちが育ったのかということも含めて、そのプロセスを明かにしていかないと、このような多様なニーズや教育課題に翻弄されていく形になっていくと思うんです。ですから、やっぱりそういった意識をしっかりと持ってカリキュラムをマネジメントしていくということが大事だろうと思っています。
二つ目には、やはりこれらのことを実現していくためには、園だけの努力では非常に難しい面もあろうかと思います。そういう意味においては、都道府県だとか市町村、そういったところの体制というのも非常に大事ではないかと思っています。都道府県だとか、市町村においては、職員の定数だとか予算の状況もあったりして、なかなかしっかりとした幼児教育推進のための体制づくりというのはまだまだ十分できていないところもあるのではないかと思っております。
しかし、一方で、例えば栃木県だとか、福井県などでは、県に幼児教育のセンターがしっかりと位置づいて、そこで研修だとか、調査研究などが一体的に行われ、全体で幼児教育を支えるという体制づくりができているというふうに、まだまだ都道府県、市町村の状況というのは多様だと思っています。
また、幼稚園だとか認定こども園に対しても、教育内容等について指導助言を行う幼児教育アドバイザーというところもまだまだ十分ではなく、指導主事の配置体制が少ない中で、こういった幼児教育アドバイザーなどの活用も今後引き続き対応していくことが必要ではないかと思っています。その中で、本年度ですけれども、都道府県における幼児教育の体制構築についての調査研究が始まりました、文科省の事業ですけれども。このような事業を踏まえて、やはり各地で幼児教育センターの設置だとか、幼児教育アドバイザー、こういったことの配置について力を是非入れていただきたいと思っております。また、都道府県においても幼児教育担当の指導主事も、幼児教育の経験のある者を任用していただくなど、その体制の充実が望まれているところだと思っております。
最後に、幼小接続についても、今回非常に重視されているということもありますので、小学校教員との人事交流も含めて、幼稚園においても、小学校教育が分かる教員がいること、そして、小学校においても幼稚園教育の内容が分かる教員がいることというのが、今後理想的ではないかと思っておりますので、是非御検討いただければと思っております。以上です。
【無藤主査】  非常に基本的な施策、整理していただいてありがとうございました。
では、宮原委員、お願いします。
【宮原委員】  カリキュラム・マネジメントの側面ということで、少しお話しさせてください。私も、幼稚園というのは規模が小さいですし、昔からやっているようなところは、自分の園の特徴のことを自分たちで捉えていますので、なかなか押し付けみたいなところは難しいような気はします。
私の娘が通っていたところも、それなりに自分たちの方針というのをお持ちですし。ですから、やはり園の独自性ですとか、自発性みたいなところは担保しつつ、かといって、何でもやってよいというわけにはいかないと思いますので、それらを少し調整しながら、このカリキュラム・マネジメントをやっていく必要があろうかなと思います。
その中でも、丸3の幼稚園という、唯一送り迎えしている親御さんがいる機関ということもありますので、地域の方々の接点は欠かせない魅力かなとも思いますので、その親御さんの中には、そういった理科とか社会とか、そういったことにも非常に関心の高い方もいらっしゃるであろうし、送り迎えの中、あるいは保護者同士の交流の中でも、この園のために何か協力できるようなことはないかとか、そういったことも幼稚園の一番大事なところかなと思います。余り押し付けのようなカリキュラムにならないような方向も重要ではないかなと思っております。以上です。
【無藤主査】  幼稚園教育の多様性の中でという、非常に大事なことをありがとうございました。
では、田中雅道委員、お願いします。
【田中(雅)委員】  今の宮原委員の意見に賛同するんですが、私立幼稚園の実態からいきますと、一つの園で全ての役割を担うというよりは、幾つかの園が面として保護者の支援を行うと。その中に、親の選択を利かせていくという、私はそれが非常に私立の学校システムとしてのよさだと思うんです。義務教育の場合には、全ての学校がある意味では金太郎あめになったとしても、同一の役割を担わなければならないという性質を持っているわけですが、幼児教育とか、高等学校の教育というのはそういう方向に行かない。
ただ、不思議と、いろいろなところを見てまいりますと、幾つかの園をそれぞれ見てみると、全部の機能を持っているよねというよさがあると思います。そこを独自性とか、特性というものを消さないように。ただ、それが独善にならないようにという、そのさじ加減を是非していかなければならない。これは我々もしていかなければなと思いますけれども。是非一つの園で全ての役割を担うんですよということを余り強調しない。幾つかの園で面として押さえましょうと。その地域としてどういうものが必要なのかという発想で整理をしていただけたらよいと思います。
【無藤主査】  地域全体としての幼児教育の在り方をどう記載していくか。ありがとうございました。
では、田中孝尚委員、お願いします。
【田中(孝)委員】  先ほどのカリキュラム・マネジメントのことに大きく関わるんですけれども、一つは、子供の事実を基にして各園のカリキュラムを改善していくということのスタンスは外してはいけないのかなということを思っています。先ほど、園の独自性とかいうこともありますし、地域の実態に合わせてということもあるんですが、その辺りも大事にしたいなということで、これは絶対に見逃してはならないと思っているところが、自分のところの園の子供の事実に照らして、このカリキュラムはどうなのかということは、必ず大事にしたいと思っています。
ここら辺りが、大分幼稚園自体が小規模化している面もあって、園によって、園の中での研修自体がなかなか成り立たないということで、子供の事実をいかに見ているのかというような研修を提供すると、本当にかなりの、常に定員オーバーになるような実態としてあります。そこら辺りは、一つの園の中でそういったカリキュラムの改善につながるような研修を日々やりたいんだけれども、そこには人員として非常に少なくなっていて、多様な意見が出にくいということもあるので、研修の体制みたいなものが、地域の中でグループ的に、それは公立、私立で、保育所、幼稚園にかかわらずにできればよいなということを思います。
そこら辺り、子供の事実を基にするということを言いながら、事実を解釈するのに、いろいろな解釈の仕方があるところに、皆さん、ああ、そんなことがあるんだということで思われるんですけれども、実際解釈するのに、結局は多くの事実のどこを捉えているかというところが、どこを重要なポイントとして捉えているかということで解釈は異なっています。どういった事実を重要に捉えるのかという辺りの研修をできるだけ多くの方と、様々な立場の方と語り合うという機会を多く保障したいなということを思います。
【無藤主査】  やはり地域全体における研修の仕組みだと思います。ありがとうございます。
では、横山委員、お願いします。
【横山委員】  カリキュラム・マネジメントについて、日々の実践を中でどう根付かせていくことができるのかなというふうに考えたときに、片仮名語でちょっと難しい感じなんですけれども、よく考えると、今子供たちが遊んでいることをもっと楽しくするにはどうしたらよいのだろうか、子供たちの活力をどうつないで発展していったらよいのだろうかというのは、日々先生方は考えられていることだと思います。
環境をどう作ったかという、そういった実践の振り返りというのが、カリキュラム・マネジメントにつながっていくんだよという、最初の一歩のところを伝えていけるとよいのかなと思います。今日の遊びが明日にどうつながったか、1日の指導案が1週間どうなんだろう。そういう指導案というのは、年間の計画の中で見ると、どうつながっていくんだろう。1年たってみたときに、教育課程全体を見るとどうだったかなということに、大きなところなんですけれども、でも、実は毎日、毎日の子供と一緒に遊んでいる姿のところから、カリキュラムというのが作られていくんだと、そういったところから重ねていけるとよいのかなと思ったところです。
【無藤主査】  ありがとうございました。
それでは、そろそろ次の議題に行きたいと思います。
新しい幼稚園教育要領等の理念を実現するために必要な方策というのは今ということで、まだおありと思いますけれども、違う形でまたお出しいただければと思います。
幼児教育部会取りまとめ(たたき台案)でございますけれども、最初に事務局からの御説明がございました。その文案とともに、これまで様々な検討課題、議論してまいりましたし、今日は情報に関わる部分も資料としてあります。また、健康、安全等ですね。それらも併せながら御議論を頂戴したいと思いますので、また、どなたからでも結構ですが、名札をお立ていただければと思います。よろしくお願いします。
なお、この取りまとめ案は、こういう文章で最終的には上の会と言いますか、教育課程部会等に報告することになるんですけれども、5月末に多分もう一回、この会はありますので、更に練っていくわけですが、できる限り今日、大きなポイントは出していただいた方がよろしいかと思います。どんな部分でも結構ですけれども、お願いしたいと思います。
じゃ、田中雅道委員、お願いいたします。
【田中(雅)委員】  全体的にはよく取りまとめていただきました。ありがとうございます。7ページのところの、幼稚園における預かり保育と子育ての支援の充実というところの最後のところで、幼稚園が地域における幼児期の教育のセンターとしての役割を一層果たしていく観点からと、このことは非常に重要なことで、今の預かりの部分と、この二つだけ書きますと、今でも起こっていることは、担任を持っている職員がまたこの役割もしていかなければならないという現状に追い込まれていって、本来やらなければならないことがおろそかになるということになってはならいと。
そういうことで、こういうところを考えていきますと、例えば一番最後のところ、地域の保護者との連携を行う者を置くなどとか、そういうことを担任以外の人が行うんですよというようなニュアンスを入れて、その人を含めて担任団と、そういう人たちと、そして外部の人とが、それがチームを構成するんだというイメージをどこかで出していただきたい。そうしないと、それぞれの園の中に全部兼務、兼務になってしまって、実は現場が崩れていってしまう。本来、支えなければならないものは何なのかということが非常に重要な視点ですので、そういうことをする人員が必要なのだというところを表現してほしいということで、お願いします。
【無藤主査】  ありがとうございます。現実的にそのとおりだと思います。
ほかにはいかがでしょうか。砂上委員。
【砂上委員】  この取りまとめのたたき台案、これまでの議論を丁寧にまとめていただきまして、ありがとうございました。9ページの資質・能力の三つの柱に沿った幼児教育において育成すべき資質・能力の整理イメージ(たたき台)というのがあります。これが一つ、今度の改定の小学校以上とのつながりということもありますが、また幼児教育、幼稚園教育でどのようなことを育成していくかということの一つ、ビジョンとしてとても大事な図になるかと思うんですが。
小学校以上の資質・能力の三つの柱というところとの関連性は非常によく分かってまとめられているかと思うんですが、これが幼稚園教育要領の5領域の狙い、内容というところとどのように対応していくのかというような議論の整理が、今後また一つ必要なのかとも思っています。
一つ、この9ページの図で思うところとしては、真ん中に遊びを通しての総合的な指導ということで、幼稚園教育で重視している方法というところを中核に置いてあります。一つは、環境を通して行う教育というのがこの図の中にないので、恐らく原則としては、環境を通して行う教育ということの中の具体的な子供の活動として見たときに、遊びを通してのということがあるかと思うので、この遊びを通してのというところを更に一つ、包括するような形で環境を通して行う教育という言葉もあると、今の幼稚園教育の方向というところが、よりこの図の中に反映されてくるのではないかということ。
あと、学びに向かう力、人間性等の中で、心情、意欲、態度が育つ中でということが書かれています。5領域の各三つの狙いというのが、心情、意欲、態度に関する狙いで構成されていて、各内容はその狙いを達成するために指導する事柄というふうになっています。そうすると、その各領域の狙いと内容をまた改めて見てみれば、個別の知識や技能の基礎に関することもあれば、思考力、判断力、表現力等の基礎に関することも出てくるんですが、狙いだけに注目すると、幼稚園教育要領の狙いというのは、この学びに向かう力、人間性等のところに偏ってしまうのかというか、そういうような誤解が生じないか。あるいは、そういう見方でよいのかというようなところの整理がちょっと必要ではないかなと感じています。
ですので、狙いに心情、意欲、態度が置かれている。さらに、それを指導する事柄として、様々な内容があるということとの、この図の整合性というところを少し丁寧に検討したり、整理する必要があるかと感じています。以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。御指摘の点は特に、この9ページ、資質・能力の整理イメージということなんですけれども、この中に5領域というものをどう位置づけるか。図が複雑過ぎて難しいんですけれども、一応三つの丸がある。中身を見ると、5領域の重要項目が割と入れてあるので、それを踏まえていることは見えるとは思うんですけれども。もう少し分かりやすくする必要がありますね。特に、今回、別に幼稚園教育要領の5領域をなくすという話は一切なくて、厳然とそれを生かしながらということです。
それと、心情、意欲、態度の部分は御指摘、改めてそうだなと思いました。現在の幼稚園教育要領第2章で、正確に言うと、心情、意欲、態度などと、などが入ってはいるんですけれども、学びに向かう力等のところで、などを省いたことは意味があるのか、ないのかとかを含めて、もうちょっと検討してもらおうと思います。というか、皆さん方の御意見を頂戴したいと思います。非常に重要なポイントになると思います。
それでは、嶋田委員、お願いします。
【嶋田委員】  幼児教育部会の取りまとめのたたき台案、非常に整理されているなというのと、特に小学校への接続の部分、4ページの幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化。これによって、恐らくどんなふうに学んでいるか、あるいはどんな経験をしているかというのが、恐らく出てくるのかなという気がします。
また、この幼児教育の終わりまでに育ってほしい姿が具体化されることによって、小学校がどのように学習をスタートすればよいのかということが、非常に分かりやすくなってくる。より今度の教育要領の改定で円滑な接続が図れるのではないかなというのが感想になります。
さらに、5ページのところで、幼児の発達の状況を小学校の教員が指導上参考にできるよう、指導要録の示し方の見直しを図るというところ。ここで、より具体的に子供たち一人一人の育ちが小学校につながっていくのではないかなと感じます。
【無藤主査】  重要なポイントです。ありがとうございました。
では、大方委員、お願いします。
【大方委員】  今の環境を通してということは、砂上委員が言ってくださったことと一緒で、是非お願いしたいと思った視点です。
そして、8ページのところになりますけれども、教材の在り方ということがあるかと思います。この教材の在り方、教材研究の必要性など、明確化を図るということなんですが、これは養成課程においても、この教材研究をどうしていくかという部分は養成の方でも考えなければいけない視点かなと思いました。
それから、教材研究をできるだけの、これはカリキュラム・マネジメントでも関連してしまいますけれども、時間的な確保ということもなければ、あとは環境を通してと言うけれども、どういう環境を通した体験が子供たちに必要なのかという視点も併せておかないと、教材研究をしましょうということだけで言ってしまうと、小学校の教材研究とはまた違う視点が幼児教育にはあって、その辺のところを明文化していただけたらありがたいなと思いました。
それから、6ページ、7ページのところの幼稚園における預かり保育と子育て支援の充実ということで、社会に開かれた教育課程としての役割ということの中で、小学校との今回の接続の大事さの中の就学前の体験として、これも先ほどのカリキュラム・マネジメントと関係があるんですが、教育内容として、全て担任の先生というだけではなく、特にこの教育課程外の時間を生かした必要な人的、物的な資源とか、また地域の方々との交流であるとか、その体験を生かした昼間の正規の教育課程に生かしていくような、子供たちの体験の質が単なる長時間ではなく、より深まっていくようなことにつながる。
そのことが、また小学校の学びの中につながっていくようなことを。だから、子育て支援というと、預かる時間の長さの保障だけにならないように書いていただけたら、わざわざ幼稚園は「子育ての」と言ってきた意味が、より明確になるのではないかなと思いました。よろしくお願いします。
【無藤主査】  ありがとうございました。特に、最初の方の教材という言い方はなかなか難しいんですけれども、そこの文にもあるように、より広い環境構成の中で考えるということが大事だとは思います。
それでは、渡邉英則委員、お願いします。
【渡邉(英)委員】  どこがという言い方をしてよいかどうか分からないんですけれども、多分、この9ページの図で考えた方がよいのか分かりませんけれども。一つは、僕は幼児期に自分をつくっていくといったときに、遊びの中で知っていくことが面白いというか、遊びを通して知るということがすごく面白かったりとか、できるようになることが面白いという、そこが多分学びなんだという、そこが根源だろうというのがあるので。
そこの遊びの中で主体的に知ったことは、自分で知識も変えたりとか、またいろいろやり変えたりとか、使いこなせていくみたいな話であると、余り教え過ぎないというか。言葉を使うということより、言葉を使って考えるとか、そういうような、子供たちが自分なりに知識を獲得していくということが幼児期の遊びの中できちんと行われていて、そのことが小学校にもきちんとつながっていくというところで、アクティブ・ラーニングがつながっていくというような、そこのところだけは必要で。
えてして、多分、幼稚園もそうかもしれないんですけれども、小学校もそうなんですけれども、教え過ぎちゃうと、教えてもらえばよいという話ではなくて、自分たちでそういう知識とか、自分が獲得した能力、資質みたいなものは獲得していくんだというような部分というのをどこかで明確にしておいた方が、幼児期はそこを育てるところなんだというのは、今回の多分、教育要領の改訂の核ではないかなという感じはしているんです。どう書いてよいかどうかは、私にもちょっとまだ分かりませんけれども、そんな思いをしています。
【無藤主査】  全くそのとおりなんだと思います。多分、この取りまとめの文案でいうと、最初の項で書くなり、見方、考え方の辺りで書くかして、はっきりさせるとよいかなと。
【大杉教育課程課教育課程企画室長】  失礼いたします。冒頭の先生の御発言も含めて感じましたことですけれども、知識というものに関して、小学校以上でも少しこれまでとは違う議論がされております。恐らく、とはいえ、やはり幼児教育の特性もあると思うんですけれども、そこともつながる御提案を少しいただいているなというふうに実感しております。
今少し追加でペーパーを配らせていただいております。これは机上のみで配付をさせていただきます。あすの芸術ワーキンググループで議論をさせていただく予定の知識についての考え方のイメージでございます。これまで、芸術分野におきましては、知識と思考・判断・表現を一体として取り扱ってきまして、知識ということは余り明確にしてこなかったんですけれども、今回、様々な知識観ということも含めて明確にしていった方がよいのではないかということで、御義論をいただいているところでございます。
まず、その1ページ目の二つ目、次期改訂における知識とは何かというところです。知識については、少し今後、表現を平たくしていく予定ですけれども、学習課程において試行錯誤することなどを通じて、自らつなげていったり、構築していったりということ、また、経験と結びつくことで身体化されたりしていくこと、こうしたことも重要ではないか。また、その1ページ目の下から二つ目の丸にございますように、ばらばらに育まれるものではなくて、思考・判断の活動と結びつきながら獲得されていくものであるということ。
また、その2ページ目の下から、特に芸術分野ですけれども、一人一人が感性を働かせて様々なことを感じながら考え、理解していくということが大事であること。体を動かす活動なども含むような学習過程を通じて、知識が一人一人の個別の感じ方や考え方に応じて構造化・身体化されていくこと。
あるいは、3ページ目の一番下にありますように、特に芸術分野では、知識を教え込むということではなくて、思考・判断・表現の中で理解していくということが大事であるということ。こんなことを、少し特に芸術分野を中心に小学校以上でも議論をしているというようなことと、あとは幼児教育の特性ということも踏まえながら御議論いただければありがたいかなと思っております。ありがとうございます。
【無藤主査】  この資料はまだちゃんと読めていませんけれども、でも、何か幼児教育とつながる部分、非常に大事なポイントが書かれてあるなという気がしました。ありがとうございました。
いずれにしても、知識観というか、ここで言えば、より構造化されていくというか、学習者自身が構造化していくとか、個別のばらばらの知識のみならず、それを概念的、概念的というのは、要するに全体をくくりにしてその本質をつかむみたいな意味だと思うんですけれども、という方向というのが幼児教育にその芽生えは確かにあるような気がして。ありがとうございました。
では、北村委員、お願いします。
【北村委員】  3点あるんですが、ちょっと僕、大学に一旦戻らなければいけないためにこれで失礼しますが、まだ余り考えが練れていないんですけれども、発言させていただきます。
まず、1点目なんですが、現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直しを考える中で触れるとよいのか、既に触れられているといえば触れられているのかなとも思うんですが。社会の多様性とか、他者の多様性みたいなことに関して、より繊細に子供たちがそこに気づきをしていくということが大事かと思うんです。既に自分のよさや特徴に気づいたり、異なった文化を持つ人たちに親しみを持ったりといったような言葉があるので、それぞれの子が持っている個性とか、それに対する思いやりとか、受容ということについて触れられてはいるんですけれども。
具体的に言えば、例えば外国にルーツを持つような子供たちが増えたりとか。環境がどんどん多様化していく中で、どれだけ他者に対する、多様性に対する観点をきちんと子供たちの中に育むかということがもう少し明示的に書かれてもよいのかなというのが、1点目です。
これと関連してなんですが、次のページ、これはあくまでもテクニカルなコメントですが、次の4番の学習指導の充実や教材の充実で、幼児一人一人の特性に応じた指導の充実のところで、海外から帰国した幼児や外国人の幼児へという言葉が使われています。外国人の幼児と書くよりも、最近よく使われる言葉としては、いわゆる外国にルーツを持つ幼児とか子供たちということの方が、より適切な言葉になるのかなと思いますので、それはあくまで技術的なコメントですが、言葉遣いとして。
三つ目ですけれども。その次の深い学び、対話的な学び、主体的な学びの充実というところで、そこでも小学校の各教科等における教育の単純な前倒しにならないよう、これらの学びが非常に重要であることを強調するということですが、むしろ小学校以降で、今まさにほかの部会でも、例えばESDなどを通して主体的な学びの重要性ということがうたわれたりしていくかと思うんです。
そういった、まさにESDなどで考えようとしているような学びの基礎になるのが幼児期のこういった三つの学びだと思いますので、これは皆さんの御議論だと思うんですけれども、小学校以降の方で、ESDであるとか、それに準じるような言葉が使われるのがあれば、まさにそれのためには、この幼児期が重要なんだということをここで明示化してもよいのかなという、個人的な意見になりますがコメントさせていただきます。以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。幼稚園などにおいて、家庭も子供自身も多様化しており様々だということは確かなので、それに見合うこともちょっと強調していきたいと思います。
それから、ESDについては、小学校以上でどう組み入れるかも検討していると思いますので、それを見ながら合わせたいと思っております。ありがとうございました。
それでは、横山委員、お願いします。
【横山委員】  全体的な構造のところで、ちょっと私、落ち切れないところがあります。三つの資質・能力、砂上委員も言われていたことなんですけれども、そこに5領域があって、最後10の幼児期、終わりまでに育ってほしい姿という、その相互の関連性というのが読み取れなくて、人にどう伝えていけばよいのだろうと、何か分からずにいます。それぞれが入れ子のように構造化されていくものなのか、光の当て方によって見え方が違っていくものなのか、その辺り、どういうふうに捉えていけばよいのかなというふうに思っています。
最後、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿なんですけれども、幼児教育は総合的なものというお話をずっとしてきていて、出口のところの子供の姿が10に分断されているイメージができてしまうので、小学校につなげていくに当たってそれぞれの特徴というのは出てくるんだろうけれども、渡邉委員がおっしゃっていたところにもつながると思うんですが、幼児期、どのように育てていって、どんな子供を育ててきているのかという、最後の姿というのが全体として何か見えるようなものがあるとよいのかなと、10に分かれた子供像ではなくてというところを思った次第です。
【無藤主査】  ありがとうございます。一層工夫したいと思うんですけれども。幼児期の終わりの10の姿を、非常に大ざっぱに言うと5領域に書いてあることの中で、年長の後半として特に伸びていく部分というものを注視したんだと思うので、そこは、そういう感じだと思うんです。
資質・能力と言いますか、三つに分けている部分については、5領域をより構造化して表現しているというふうに思いますので、先ほど言いましたように、それももうちょっと分かりやすくする必要があると思います。
いずれにしても、特に10の姿は、別に子供の育つ部分を10に分けて描こうということではなくて、具体的、多分、年長の後半の子供たちの活動を思い浮かべれば、例えば子供たちで話し合っている姿があるねとか、そういうことでポイントを見たということなので、それをより明確に分かるようにしたいと思います。ありがとうございます。
それでは、阿部委員、お願いします。
【阿部委員】  6ページの教育内容の見直しということで、二つほど。一つは、やはり我々が小さいころとは違って、外遊びとか、実際には一人遊びになってきているところですので、そういった幼稚園での外遊びのよさとか、それから、一人遊びではない、共同的な遊びとか、そういったものがやはりこれからの大切なところになってくるのかなということを思うので、どこかしら共同で遊ぶこと、学ぶこととイコールですけれども、そういった部分が明記されてもよいのかなというのが一つ。
先ほど、芸術部会の方で出されたように、私どもも、身体知つまり体で身体化していくということが、やはり単なる知識ではなくて、知識観の変換ということを、先ほど無藤先生もお話しされたように、私たちがものを何かしら暗記してできることが知識ではなくて、もっとアクティブなものも含めて知識として大切なんだということを、この幼児部会辺りぐらいからずっとつないでいくというのがとても大事じゃないかなと思っているので。色や形とか、最後の方にはありますけれども、実際に体を動かして感じたり、気付いたりというようなことも含めて、身体知的な、言葉で言うと知恵だというふうに思ってはいるんですが、体を動かして基本的に学んでいくということが明記されればよいかなというふうにも思っています。
それから、細かい話で申し訳ないです。5ページの評価のところで、具体的には幼児のよさや可能性ということで、とてもよいフレーズだと思っているんですが。前回の小学校の方の図工等も含めて、よさは漢字ではなくて、平仮名で表していたという、とても深い意味を持っていて、漢字で書くと、良い、悪いになってしまうので、よさということで一人一人が持つ個別の個性ということで平仮名を使っていたという経緯もあるので、何かしら変わる要素があるのであれば、説明が必要かなと思ったものですから、考えていただければと思っています。
【無藤主査】  ありがとうございました。
では、渡邉委員、お願いします。
【渡邉(郁)委員】  たたき台のところの、7ページのところなんですけれども、これは子育て支援の中での預かりと、例えば一つ目の丸が預かり保育、そして、二つ目の丸が子育て広場だとか、子育て相談に当たるようなところなのではないかと思って読んでいたんですけれども。預かり保育も一つの子育て支援の中には入ると思うんですが、この中の2行目で、幼稚園全体の中で計画するようにと、生活の中で計画するようにと書いてありまして。
預かり保育の場合は、幼稚園の正規の職員だけではなく、非常勤の先生方であるとか、地域の方々の支援もあって成り立つような場合も増えているので、この辺のところの丸の二つ目のところでは、地域の保護者との連携などもチームとして子育て支援に取り組むようにということが書いてあるんですけれども、その預かりのところでも、是非とも非常勤の方であるとか、地域の方々の研修などもこれは必要になってくるので、そのようなところも少し分かるように書いていただくか、解説のところで書けばよいのかもしれませんけれども、そのような点も大切だと思います。
それから、特別支援教育の充実のところでも、やはり私たちの園でも、介助してくれる方、正規の職員ではない方たちの研修というのが非常に大切です。区の方でも取り組んでくれてはいるんですけれども、やはりそういうところの大切さ、全部の方たちが子供たち一人一人に目を掛け、そして知識等も分かり合って、質の高い援助を行っていくということが大切だと思うので、その辺のところも、もしもできたら、ここに少し添えていただけたらと思います。以上です。
私も、今日、地域の方で行事がありますので、これで失礼させていただきます。
【無藤主査】  ありがとうございました。後の方の視点は、特にチーム学校の考え方ともつながる大事なポイントだと思いました。
志民委員、お願いします。
【志民委員】  お願いいたします。9ページの図のところなんですが、1点目は、ちょっと細かいことで申し訳ないんですけれども、左の個別の知識や技能の基礎のところの円の一番下のところに、身体的技能や芸術表現のために基礎的な技能の獲得というふうに書いていただいている。この辺、この部会での議論をいろいろと反映していただいたことにとても感謝しているんですが、ここの書き方、基礎的な技能というふうに書いているんですが、小学校の方でも基礎的な技能というふうになっているので、むしろ技能の基礎という方が上のところとも整合性がつくのかなというふうに思っております。それが1点目です。
それから、2点目なんですけれども、5ページの辺り、先ほど嶋田委員の方からも御指摘がありましたけれども、評価に関わって、示し方にも関わってくるとは思うんですが、22ページのスタートカリキュラムのところの2行目辺りに、幼児期の終わりまでに育った姿が発揮できるような工夫を行いながらというところ、ここは非常に重要なところかなと思います。ですので、それにつながっていくような連携の在り方というのも考えていく必要があって、そこを2ページ辺りなんかにも、もうちょっと具体的に書き込んでもよいのかなというふうに考えています。以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。
それでは、鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】  取りまとめのたたき台案、ありがとうございました。私、これを読ませていただくと、つくづくと、やっぱり教育ってエビデンスが必要だというふうに感じているので、この幼児教育に関わる研究のエビデンスというのが、これからますます求められていくんじゃないのかなと思いました。
これはエールですが、国研の中に我が国初の幼児教育センターができたということで、是非、今後、こういう施策もそうですけれども、それと連携しつつの、きちんとしたエビデンスを積み上げていただけたらよいなというふうに思っています。以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。今の点は、この取りまとめの文案そのものに、引用文献たくさんというわけにはいかないと思うんですけれども、準備は必要なので、いろいろ事務局側としてもなさっていると思いますし、国立教育政策研究所と協力したり、それから、特に委員の皆様方からのこういう研究があると、こういうのが出ているとか、お教えいただきながら、言うなればいろいろな幼稚園教育、幼児教育をめぐって提案するときに、こういうものを出すにしても、いつでもエビデンスベースが懐にあって出せるという状況にしていかないと、先行きいろいろありますので、よろしくお願いします。
それでは、田中孝尚委員、お願いします。
【田中(孝)委員】  失礼します。5ページのところに、幼児期にふさわしい評価の在り方の最後のところなんですが、そちらに写真や映像を活用した日々の記録やポートフォリオなどを通じて、幼児の発達の状況を保護者と共有できるような取組を進めていくということが挙げられています。一方、8ページのところなんですが、(3)で教材の在り方ということでお取りまとめいただいているところあります。ここに、ドキュメンテーションのことを記述していく方向で考えたらどうかなということを思っています。
いろいろな研究開発を進めていって、御指導も頂きながら、自分たちも試行錯誤のまだ過程かなと思ってはいるんですけれども、この深い学び、対話的な学び、主体的な学び、ここら辺りにつながるような、子供が主体的に取り組むとか、見通しを持って取り組むとか、みんなで分かり合うとか、自らの取組を振り返っていくとか、自分たちのしてきたことを自覚化するというか、子供、年長の後半になりますけれども、自覚化を促していくようなことにドキュメンテーションの取組が非常に有効だなということを感じています。
また、いろいろなところで広がりを見せていることもありますので、そこら辺り、一つの教材としてのドキュメンテーションということもあるのかなということを思いました。取りまとめ、ありがとうございました。
【無藤主査】  ありがとうございます。ドキュメンテーションと言いますか、保育の記録をとったり、子供たちの活動を記録をとって、それを教師と子供が共有していくとか、場合によっては、保護者とも共有するとかということだと思います。
今日の資料でいうと、前回で説明されたものですけれども、学びの過程みたいなことについてがあるんですけれども、そこでも写真の記録が載っていました。そういうことを含めながら、本文の方に何らかの形でそのことを入れたいと思います。ありがとうございました。
じゃ、砂上委員、お願いします。
【砂上委員】  今回の取りまとめの中で、各所に5歳児の後半ですとか、5歳児についてはなど、小学校との円滑な接続ということで、5歳児の保育の在り方について少し具体的な記述が増えているかと思います。幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の再整理イメージで10項目出てきたことで、より観点が明確になったかと思います。一つ、これが実践の現場の中でしっかりと理解されていくときには、やはり3歳、4歳という一つ一つの発達の時期の積み重ねがあって、5歳児のこの姿につながっていくんだということを、しっかりどこかで書く必要があるかと思います。
伝え合ったり、言葉での伝え合いというような重要なこともあるかとは思うんですが、5歳児の後半になって、急に共同的にとか、車座で話し合うみたいなことを、5歳児でいきなりやるというよりは、そういうことができるためには、3歳児時点で1対1でやりとりするということも、まだおぼつかないというか。でも、自分の伝えたいことを相手に伝えるとかというような、非常にそれぞれの時期の伝え合う姿というか、伝え合う芽生えみたいなことを大切にしてきて、5歳児のみんなで話し合うというようなところにつながっていくんだというところを、しっかり書いていく必要があるかと思います。
その辺の理解がないと、5歳児の後半になると、このようなことが可能になるというような誤解をされても困って。やはり積み重ねの中で、そういうことがしっかり育っていくんだというふうなところを、少し5歳児というところをよりしっかりと明確にしたということと併せて書いていく必要はあるかと思いました。
【無藤主査】  ありがとうございました。是非、それは入れたいと思います。
ほかには、いかがでしょうか。
宮原委員。
【宮原委員】  ちょっと、山下さんが先に挙げていたので。5ページ目のところで、先ほどどなたかおっしゃっていましたけれども、日々の記録とかポートフォリオの話がありました。幼児の発達の状況というのは、保護者が一番知りたい事柄かなと思います。幼稚園で学んだことを、是非家庭でも繰り返しフォローし合うことが非常に重要かなと思いまして、家庭と幼稚園との切れ目のない学習の援助と言いますか、そんなことがこの5ページの丸の五つ目辺りに入ればよいかなと思いました。
それから、7ページ目のこちらの上から二つ目の丸ぽちですけれども、非常に幼児期の教育のセンターというのは非常によい言葉だなと思って認識しています。ここの中でも、例えば地域の力と先ほども申し上げましたけれども、中学校なんかでは、この間も日経新聞に載っていましたけれども、体育の部活の専門家というか、枕投げはよくないと思いますけれども、そういった子供に付随した部活の援助ということですとか。そういったことで、地域を巻き込むことで、どこかの市町村で保育園の建設が住民運動で反対になったなんていう記事が載りましたけれども。そんな悲しいことにならずに、地域を巻き込んでやることも重要ですし。
あるいは、何か、例えば落ち葉拾いでも何でもよいのですけれども、そういったことを学校の職員の方々とか、周りを少し、自分の園ばかりではなくて、近くのお年寄りの独り暮らしみたいなところにも掃除をしたり何かすることで、少し地域との連携というところを、この7ページの上から二つ目の白丸辺りに入れていきますと、お互いの理解が進んで、お互いコンフリクトを起こすことなく、社会全体で子育てが進んでいくんじゃないかなという気がいたしました。以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。
では、寺岡委員、お願いします。
【寺岡委員】  まだ伝えたいこと、言いたいことがまとまってはいないんですけれども、例えば小学校の教諭レベルが、もしも幼稚園教育要領を読んだときに、就学時前年長さんが、どんな姿で、どんな学びを経て小学校に入学してくるかという、その姿や、資質・能力のところは見えてくるんですけれども、できたら、どんな経験や、遊びや、生活を通してきたのかと。具体というのは難しいのかもしれないんですけれども、小学校の先生方が知りたいのは、経験や遊びのところもちょっと知りたいのかなというふうに思いました。
それが教育要領レベルなのか、それとも支援方策レベルで、例えば指導要録にカリキュラムを添付するとかの工夫や手だてになるのか、分からないんですけれども。ただ、育ってきた姿だけでなくて、どんな遊びや経験を経たのかというところが見えてくるとよいのかなというふうに思っております。
というのも、幼小の連携の意義は、子供たちのなめらかな接続だけでなく、小学校の教員からすると、やはり自らの教育観や指導観を変容したり、保育者の先生方の保育の様子や、実際の保育での支援や援助の様子を見て自らの教育観を変容したり、振り返ることが重要だと思うので、是非どんな経験、遊びを通して子供たちが育ってきたのかというところが見えてくるとよいのかなと思っております。
【無藤主査】  ありがとうございます。その辺りの経験、活動というのを、教育要領か、解説書か、指導資料か、とにかく必要だなということで、ありがとうございました。
では、山下委員、お願いします。
【山下委員】  9ページのこの表ですけれども、例えば個別の知識や技能の基礎と見たときに、下の同じ色の円の中を見たときに、どれが知識なんだろう、どれが技能なんだろうと見たときに、何かランダムに書かれているかなという感じを持っています。
例えば、5歳の終わりに育てたい力というのがあるんですけれども、ここでは日常生活に必要な言葉の理解と出ているんですが、じゃ、数や図形はと考えたときに、どこに入るんだろうとか、少し考えてしまったりしているんですけれども。そういったところの、5歳の終わりに育てたい力との関係性というのも、やはり今まで出ていたように、少しもう一度対比しながら見てみたらどうかなという気を持っています。以上です。
【無藤主査】  はい、具体的な提案、ありがとうございました。
大方委員、お願いします。
【大方委員】  先ほど、9ページの図のところで、基礎的な技能の獲得のお話があったと思うんですが、その上が日常生活に必要な言葉の理解ということですので、よければ、生活技能の獲得の方が幼児教育には向いているのかなというふうに思いました。
それから、22ページの図に入れたらよいのかどうかというのは分からないんですけれども、これだけ子育ての支援ということが言われるわけですし、接続は言われるわけですから、子供理解をしていくときに、この幼児教育の前の段階の未就園の家庭養育の接続というものを、点線でもよいのですけれども、いきなり幼稚園ではなく、その前の子供理解の続きとしての幼児教育ということで、どこかに記載していただいた方が、ボトムアップしていく意味では分かりやすいのではないかなと思いました。よろしくお願いします。本当に分かりやすく作っていただいて、感謝申し上げたいと思います。
【無藤主査】  未就園とか、満3歳とかの辺りからの、あるいは家庭での教育とのつながりがあった方が、確かに全体に見えやすくなってきますね。ありがとうございました。
あと、少しだけ時間があるんですけれども、ほかにございますか。
じゃ、阿部委員、お願いします。
【阿部委員】  どこに入れたらよいのかというのが分からなかった。幼稚園だけではなくて、先ほど出ている教育行政の幼児教育センターとか、そういった役割の充実というのは、基本的にこれはとても大事に橋渡しをするという意味では、私立の幼稚園との橋渡しもありますし、養成校との橋渡しもありますし、いろいろな意味で、そういう動いてくれる機能がないと、作ったものが周知されていかないとか、理解されていかないということにもなりますので、幼小のこれからの接続というのは、本当に大変大切な役割になりますので、そういったことが機能的に動けるようなセクションがもう少し充実するようなことも、どこかに明記できないのかなということは思っておりました。
【無藤主査】  そうですね。教育要領でないにしても、方策として何か出したいと思います。ほかに何か。
じゃ、砂上委員。
【砂上委員】  9ページの図で、ちょっと細かいことになるんですが、個別の知識や技能の基礎、思考力・判断力・表現力等の基礎の中の細かい各項目なんですが、例えば個別の知識や技能の基礎のところに、様々な気づき、発見の喜びとあって、思考力・判断力・表現力等の基礎に、他の幼児の考えなどに触れ、新しい考えを生み出す喜びや楽しさというようなことがあって、学びに向かう力、人間性等のところにも、表現する喜びというようなことが入っています。
多分、この各ところに喜びや楽しさというところがあるのは、個別の知識や技能の基礎に、余りそれだけに偏った見方をされないようにというようなこともあるかとは思うんです。この個別の知識や技能の基礎、思考力・判断力・表現力等の基礎、学びに向かう力、人間性というのは切り離されずに、一体として総合的に指導されるという前提が堅持されるのであるならば、喜びや楽しさというような表現は、この学びに向かう力とか人間性等のところに、情動的なことはこの赤いところにまとめてしまった方が混乱は少ないかなというふうにも思いました。
気持ちが動くという側面はこの赤いところで、活動のプロセスの中で試したり、考えたり、工夫したり、あと刺激を受けるというようなことは思考力・判断力のところに書いて、その結果、子供が発見したりとか、対象に対してふさわしい関わり方が定着していくということは緑のところというような形で、この緑と青と赤のところで、余り細かいところ、項目の表現が重複してしまうと、逆に混乱するかなというのもあるので、そこの整理も更に必要かなと思いました。
【無藤主査】  非常に分かりやすく整理していただいて、ありがとうございました。
おおむね今日の時間が尽きてきました。とりあえず、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、今日の議論はここまでとさせていただきます。いろいろ御意見を頂戴いたしましたので、事務局の方で更に論点ごとに整理をお願いしたいと存じます。
そして、途中でも申し上げましたけれども、この特に取りまとめの部分につきましては、本部会の総括みたいなことですので、是非御意見などをお出しいただければと思います。
ということで、事務局にペーパーの形でお送りいただくことをお願いしたいと思います。
では、次回以降の日程につきまして、事務局より御説明をお願いしたいと思います。
【沓澤子育て支援指導官】  ありがとうございました。次回は5月30日、14時から開催を予定しております。場所は文部科学省の会議室を予定しております。ただいま主査の方からお話がありましたとおり、ペーパーによる意見等も頂戴したいと思っております。今日は特に幼児教育における情報みたいな話は余り出ていなかったので、そういう辺りを踏まえて、追加で御意見等を頂ければと考えております。
今後の論点の整理の都合上、大変恐縮でございますけれども、5月11日、水曜日までを目途に御意見の方を頂戴いただければというふうに思っております。
なお、いつもどおり配付資料につきましては、机上に置いていただければ、後ほど郵送でお送りさせていただきたいと思います。以上でございます。
【無藤主査】  今日はここまでにさせていただきたいと思います。第7回の幼児教育部会を終了させていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

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