教育課程部会 幼児教育部会(第1回) 議事録

1.日時

平成27年10月23日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

中央合同庁舎第7号館東館 文部科学省15階15F特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 幼児教育の改善充実について
  2. その他

4.議事録

【沓澤子育て支援指導官】  おはようございます。定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会幼児教育部会を開会いたします。
開会に当たりまして、文部科学省初等中等教育局幼児教育課長の淵上孝より御挨拶を申し上げます。
【淵上幼児教育課長】  おはようございます。幼児教育課長の淵上でございます。中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会にこのたび新たに設置されました幼児教育部会の第1回会議の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
このたびは、委員の皆様方におかれましては、御多用のところ、本部会の委員に御就任いただきまして、誠にありがとうございます。
文部科学省では、御案内のとおり、昨年11月の中央教育審議会の総会におきまして、「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」諮問をさせていただきました。その後、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会の下に教育課程企画特別部会を立ち上げまして、14回の審議を経て、本年8月に「論点整理」をおまとめいただいたところでございます。
この「論点整理」では、幼児教育を含めます各学校段階、各教科等における改訂の基本的な方向を示しております。これを受けまして、各部会やワーキングチームで具体的な議論を進めていくことになっているわけでございます。本部会では、幼児教育の充実改善の観点から、新しい幼稚園教育要領などの目指す姿として、幼児期において育成すべき資質・能力とその構造化の方向性のための議論をお願いするとともに、あわせて、幼稚園教育要領等の理念を実現するために必要な支援方策などの御議論を幅広くお願いさせていただきたいと考えております。
本部会の議論は、平成27年度末頃までを目途に8回程度開催させていただきまして、一定の方向性をお示しいただきたいと考えているところでございます。その結果につきましては、教育課程部会等での議論を踏まえまして、最終的には、中央教育審議会として平成28年度中に取りまとめていただく予定の答申に反映させていただくことを考えているところでございます。
幼児教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものでございます。諸外国でも幼児教育が注目されてきているところであります。特に、今年度は、幼児教育をめぐりまして、子ども・子育て支援新制度が開始されたという年でございます。
委員の皆様方におかれましては、このような幼児教育にとってエポックメーキングな年に御審議をお願いするに当たり、幼児期の教育は、幼稚園のみならず、保育所、認定こども園でも担われているということを踏まえまして、質の高い幼児教育を全ての子供に保障する観点から、是非、それぞれの御知見、御経験を踏まえまして、様々な観点から忌たんなき御意見を頂ければと考えているところでございます。
いよいよ新しい幼児教育の今後の在り方、教育要領などの在り方についての議論のキックオフでございます。どうぞ十分な御審議を賜りますようよろしくお願いを申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  それでは、議事に先立ちまして、本部会の主査及び主査代理について御報告いたします。お配りしております資料2の初等中等教育分科会教育課程部会運営規則に基づき、本部会は教育課程部会の決定により設置されておりまして、主査及び主査代理は教育課程部会長が指名することとされてございます。教育課程部会長と御相談いたしまして、無藤隆委員を主査に、それから神長美津子委員を主査代理にお願いしておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは次に、委員の皆様の御紹介をいたします。資料1として本部会の名簿を配付させていただいておりますので、名簿順に御紹介させていただきます。
初めに、無藤隆主査でございます。
【無藤主査】  よろしくお願いします。
【沓澤子育て支援指導官】  神長美津子主査代理でございます。
【神長主査代理】  よろしくお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  阿部宏行委員でございます。
【阿部委員】  阿部です。よろしくお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  大方美香委員でございます。
【大方委員】  大方でございます。よろしくお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  斎藤弘子委員でございます。
【斎藤委員】  よろしくお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  嶋田弘之委員でございます。
【嶋田委員】  よろしくお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  白旗和也委員でございます。
【白旗委員】  白旗です。よろしくお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  鈴木みゆき委員でございます。
【鈴木委員】  よろしくお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  寺岡聡志委員でございます。
【寺岡委員】  よろしくお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  宮原淳二委員でございます。
【宮原委員】  宮原です。よろしくお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  山下文一委員でございます。
【山下委員】  山下です。よろしくお願いします。
【沓澤子育て支援指導官】  横山真貴子委員でございます。
【横山委員】  横山です。よろしくお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  渡邉英則委員でございます。
【渡邉(英)委員】  渡邉です。どうぞよろしくお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  なお、本日は御欠席でございますけれども、桶田ゆかり委員、北村友人委員、小枝達也委員、志民一成委員、砂上史子委員、田中孝尚委員、田中雅道委員、奈須正裕委員、渡邊郁美委員が本部会の委員に御就任されてございます。
委員の御紹介は以上でございます。
続きまして、文部科学省の関係官を御紹介させていただきます。
文部科学省初等中等教育局幼児教育課長の淵上でございます。
【淵上幼児教育課長】  よろしくお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  幼児教育課幼児教育企画官の成松でございます。
【成松幼児教育企画官】  よろしくお願いします。
【沓澤子育て支援指導官】  初等中等教育局視学官の津金でございます。
【津金視学官】  よろしくお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  幼児教育課幼児教育調査官の湯川でございます。
【湯川幼児教育調査官】  よろしくお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  教育課程課教育課程企画室長の大杉でございます。
【大杉教育課程企画室長】  よろしくお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  最後に、私は幼児教育課子育て支援指導官の沓澤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ります前に、無藤主査、神長主査代理から一言ずつ御挨拶を頂ければと存じます。よろしくお願いいたします。
【無藤主査】  無藤でございます。主査ということで、重大な役目を務めさせていただきます。
この部会は、後で詳しく説明があろうと思いますけれども、教育課程企画特別部会で大きな枠組みを議論しながら学校教育全体の改革を進めようとしているところですけれども、それを具体的に幼児教育、幼稚園教育の中ではどういう形にするかということの任務かと思います。重大な責任を感じておりますので、よろしくお願いいたします。
【神長主査代理】  失礼いたします。神長です。どうぞよろしくお願いいたします。主査代理を務めさせていただきたいと思います。
私は教育課程企画特別部会の議論に参加させていただいて、幼児期の教育、就学前の教育に対する熱い期待というものをひしひしと感じてまいりました。そういったこともこの部会に報告しながら、また主査代理として無藤主査のお隣で、皆さんの意見が一つの方向に向かうようなお手伝いができればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  ありがとうございました。
それでは、本部会の進行は、これより無藤主査にお願いしたいと思います。
【無藤主査】  それでは早速、議事に入りたいと思います。
初めに、本部会の審議等につきまして、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づき、原則公開により議事を進めさせていただきます。また、第6条に基づき、議事録を作成し、これも原則公開するものとして取り扱うこととさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
なお、本日、報道関係者より、会議の撮影及び録音の申出がございます。これを許可してございますので、御承知おきください。
それでは、事務局より、配付資料の確認をお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  それでは、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1から資料9、そのほか机上に参考資料を配付させていただいてございます。不足等がございましたら、事務局の方にお申しつけいただければと存じます。
なお、机上にタブレット端末を置いてございますけれども、その中には、本部会の審議に当たり参考となる幼児教育関係の資料、小学校学習指導要領解説、関係する審議会の答申等のデータを中に入れてございます。御参照いただく場合には、お手数でございますけれども、机上に配付しております使用方法を説明したペーパーを御覧いただきたいと存じます。
以上でございます。
【無藤主査】  よろしいでしょうか。
それでは、次に参りたいと思いますけれども、諮問、「教育課程企画特別部会 論点整理」、改訂の検討体制、今後のスケジュール等につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】  失礼いたします。教育課程企画室長の大杉でございます。どうぞよろしくお願いいたします。お手元に緑色の冊子と、それから資料5、資料6がございます。これに基づきまして説明させていただきたいと思います。
まず資料5ですけれども、お手元に資料5、各種ワーキンググループ等の設置についてという紙がございます。
1枚おめくりいただきますと、次期学習指導要領改訂に向けた検討体制ということで組織図が付けてございますけれども、次期改訂に向けた検討体制、中教審教育課程部会で全体的な議論をお取りまとめいただくことになりますが、その下に教育課程企画特別部会が、学校種・教科横断的な議論を進めていこうということで新たに設置されまして、この8月に、お手元、緑色の冊子の「論点整理」をおまとめいただいたところでございます。この下に、御覧のとおり、22の部会、ワーキンググループ等を設置いたしまして、それぞれこれから学校種別、教科別の議論を進めていただくという段取りでございます。幼児教育部会は御覧のように右側の一番上の位置付けでございますけれども、他の学校種別部会が教科別の議論を取りまとめていくというような位置付けにあるのと少し違いまして、幼児教育部会は中身の方も教科別ワーキンググループのような形で進めていただく。そういう意味では、開催頻度といたしましては、先ほど8回程度と御紹介がございましたけれども、教科別ワーキンググループと同じ程度の頻度で集中的に議論を進めていただくというような段取りになってこようかと考えております。
スケジュールの方に参りますけれども、資料6を御覧ください。資料6、平成27年10月からということで、今この時点でございますけれども、ここに至るまでに昨年11月の諮問、それから緑色の冊子の取りまとめが今年の8月に行われたという段取りがあったところでございます。これを受けまして、今後、学校段階別、教科別にワーキンググループで集中的に議論していただきまして、これを本年度末から年度明けをめどにそれぞれの議論をお取りまとめいただくということでございます。それを受けまして、平成28年に入りまして、教育課程部会又は教育課程企画特別部会において全体の議論をお取りまとめいただき、審議のまとめをお出しいただく。そして、28年度内に中教審としての答申ということを目指しているところでございます。途中、小学校の授業時数につきましては少し特別な議論が必要でございますので、これにつきましては年内から年明けに一度お取りまとめいただく。これは教育課程企画特別部会なり教育課程部会の役割ということになってこようかと思います。
このスケジュールで進んだ場合ですけれども、下の方にございますように、告示の後、幼稚園は周知を経て先駆けて平成30年からの実施、小・中・高はそれを追い掛けるような形でというような段取りが予定されているところでございます。
それでは、お手元の緑色の冊子に従いまして論点整理の概要を少し簡単にと思いますけれども、冊子をお開けいただきますと、目次がございます。目次をめくっていただきますと、本文が53ページまで続いてございます。それをお開きいただきますと、53ページの後に教育課程企画特別部会の委員名簿、それから緑の紙を1枚おめくりいただきますと、審議の状況ということで、企画特別部会におきましては、14回にわたり御議論いただいて、この「論点整理」の取りまとめに至ったということでございます。
その後、緑色の紙を1枚おめくりいただきますと、大臣からの諮問がございます。簡単に御紹介させていただきますけれども、1枚おめくりいただきますと、諮問理由がございます。今の子供たちが成人して社会で活躍する頃、どのような時代になっているかということ。将来の予測が難しい、変化を乗り越えていくということが求められる時代の中で、子供たちにどういった力が求められるのか。また、教育の在り方はどういった形が求められるのか。前回改訂、現行指導要領ですけれども、この中では様々な力、特に「確かな学力」のバランスのとれた育成でありますとか、言語活動というようなことも重視しながらの改訂が行われてきたところであり、その成果の一端ということが現場の先生方の真摯な取組に基づいて出てきているということ。その一方で、様々な根拠、理由を示しながら自分の考えを示すこと、社会参画の意欲というようなことについてはまだまだ課題があるのではないかということ。また、今後の社会の在り方を見据えれば、得意分野を伸ばしていくというようなこともますます求められるのではないかということ。そういったことで、次のページのように、一人一人の可能性をより一層伸ばして、未来に向けて学習指導要領、幼稚園教育要領の改善をいかに図っていくかということでございます。
ESDをはじめとする様々な教育関係の取組の成果も踏まえながら、子供たちに何を教えるかという知識の質や量の改善はもちろんのこと、どのように学ぶか、そしてどのような力を身に付けるかということを考えていく必要があるのではないか。具体的には、そのページの下の方にございますように、教育目標・内容と学習・指導方法、学習評価の在り方を一体として捉え、新しい時代にふさわしい学習指導要領、幼稚園教育要領の在り方を見据えていく必要があるということ。
次のページの中ほどになりますけれども、育成すべき資質・能力を踏まえた、新たな教科・科目の在り方や、既存の教科・科目の在り方、内容の見直し等についてどう考えるのかということ。
それから、最後になりますけれども、次のページの一番下の方、理念を実現するための様々な条件整備、カリキュラム・マネジメントなどの在り方。
これらが諮問されたところでございます。
これを受けまして、全体的な改訂の方向性についておまとめいただいたのが、冊子の冒頭に戻っていただきまして、この「論点整理」ということになってくるわけでございます。この「論点整理」、目次をおめくりいただきますと、「2030年の社会と子供たちの未来」ということでございます。先ほど御紹介いたしましたように、幼稚園教育要領におきましては2018年、その後、小学校では2020年からの実施が予定されるわけでございますけれども、幼稚園教育要領、学習指導要領、改訂のペースというのは大体10年に一度ということを考えますと、およそ2030年頃までその役割を担うことが考えられるという中で、その頃の社会の在り方と子供たちの在り方、これを御議論いただいたところでございます。
その中で、今回の改訂全体で目指していくべき大きな方向性として、3ページの下にございますような「社会に開かれた教育課程」ということを大きな理念としてお示しいただいたところでございます。社会に開かれた教育課程、社会や世界の状況を幅広く視野に入れ、よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を持って、教育課程を介してその目標を社会と共有していくということ。4ページに移りまして、これからの社会で求められる子供たちに必要な資質・能力をしっかりと育んでいく教育課程であるということ。それから、学校内に閉じずに、様々な地域、周辺と連携しながら、目指すところを社会と共有・連携しながら教育課程の目的を実現させていくということ。これらの理念を全体を通じて目指していこうということでございます。
それから、5ページでございますけれども、これまでの改訂の成果と次期改訂に向けた課題ということで、これまでも幼稚園教育要領は様々な社会の変化に応じて改訂を積み重ねていただいてきているところであります。前回改訂において、教育基本法の改正による基本的な考え方ということを踏まえながら、義務教育、その後の教育の基礎を培うものとして、子供の主体性を大事にしながら、一人一人に向き合い、総合的な指導を通じて、学校教育の一翼を担うという幼児教育の重要性が改めて明らかにされたところでございます。それに基づき様々な成果も確認されているところでございますけれども、更に次に向けてということでございますが、6ページ、特に子供たちが、先ほど申し上げたような主体的に判断し行動するということ、これからの時代に求められる力を身に付けていくという意味では、まさに「生きる力」ということ、全体像をしっかりと教育課程に落とし込んでいく、浸透や具体化ということを更に図っていく必要があるのではないかということであります。6ページの一番下にございますように、教育課程の全体像をしっかりと念頭に置いた上で、更なる改善、見直しを図っていくこと、これが今回の改訂に求められているということでございます。
そのために、7ページでございますけれども、7ページの下の方、新しい学習指導要領、幼稚園教育要領、ここの「論点整理」で「学習指導要領等」と言っていますのは全て幼稚園教育要領を含み込んだ形ですけれども、幼稚園教育要領が目指していくべきことといたしまして、何ができるようになるのかという観点、そして、そのために、8ページにございますような何をどのように学ぶのかという観点、そして、その中では、子供たちの真の理解、深い理解というようなことを目指して、学びや知識に関する様々な知見の蓄積を生かしていく必要があるのではないかということでございます。
これからの時代に求められる資質・能力とは具体的にどのようなものかということが12ページから13ページにかけて記してございます。社会の変化の中に生きる社会的存在としてどのような力が求められるのか。言語や文化も含めたグローバル化する社会の中でどのような力が求められていくのかということ。こうした様々な資質・能力が考えられるわけでありますけれども、特に14ページ、発達の段階や成長過程のつながり、幼児教育から高等学校までを見通した見通しを持ってということで、初等中等教育全体でどういうふうに育んでいくかということを、しっかりとつながりを持ちながら学びを積み重ねていくことが重要であるということでございます。
その中で、それをどのような構造でつないでいくかということでお示しいただいたのが、資質・能力の三つの柱ということでございます。この冊子の後半は補足資料ということで、カラーで様々な資料を付けさせていただいておりますけれども、補足資料のスライドの27番を御覧いただければと思います。ここに育成すべき資質・能力の三つの柱を踏まえたカリキュラム・デザインということを載せてございます。「何を知っているか、何ができるか」「知っていること・できることをどう使うか」、そして、「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」ということでございます。この三つの柱を念頭に置きながら、これから小学校以上の教科ということも全て整理していくというようなことになってまいりますけれども、これに基づく構造化ということでございます。
本文の方にお戻りいただきまして、15ページにその構造化の在り方を記させていただいておりますけれども、本文15ページ、「教科等の本質的意義」、なぜ国語を学ぶのか、なぜ理科を学ぶのかということを明らかにしていこうということ。
また、「教育課程の総体的構造の可視化」ということで、各教科の文脈で指導される内容と、それからそれを更に実社会の場面で生きるような力、汎用的な力に引き上げていくための教育課程全体の構造上の工夫ということをしていこうということ。
16ページになりますけれども、各教科等を学ぶ本質的な意義ということを明確にしつつ、また、各教科で育成される資質・能力の関連付けや内容の体系化を図り、資質・能力の全体像を整理していく。こういうことを小学校以上でやろうとしているところでございます。
一方で、幼稚園の方につきましては、下から二つ目にございますように、幼稚園教育における内容等を領域別に示しつつ、これは幼稚園の生活の中で総合的に育まれるということが大変重要でありますので、この幼児教育の特性を大事にしつつ、幼児期において育みたい資質・能力を明確にし、それを更に小学校の各教科への接続をどう考えていくかということを整理していく必要があるということでございます。
その後、学習評価の在り方、それから、こういった理念を実現するためにどういった条件整理が必要であるか、カリキュラム・マネジメントなども含めて記しているところでございます。
ここまでが総論的なところでございまして、26ページから各学校段階別あるいは教科別の方向性ということが記されてございます。
幼児教育につきましては、27ページにございますように、先ほど申し上げたような幼児に育成すべき資質・能力を育む観点からの検討ということ、また、幼児期に育まれること、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化、評価の在り方、幼児教育の特性に配慮しながら充実を図っていくということ。それから、小学校以上の生活や学習の基盤につながるということを踏まえながら具体的な検討が求められるということ。それから、小学校との接続ということをどう考えていくかということ。それから、家庭や地域との連携強化ということ。それから、次のページに参りまして、これらを幼稚園のみならず、保育所、認定こども園ということも見据えながら、全ての施設における幼児教育の質の確保ということも念頭に置きながら御検討いただくということが求められているところでございます。
幼児教育につきましては、この点を中心に御議論いただくことになろうかと思いますけれども、御参考までに小学校以上のことに少し触れさせていただきますと、例えば小学校、2でございますけれども、幼児教育までの学びを生かしながら、小学校段階において育むべき資質・能力を整理していくということ。それから、次のページでございます。30ページでございますけれども、幼児期と小学校の接続に関しまして、スタートカリキュラムということをカリキュラム・マネジメントの中核に位置付けながら、どのようにしっかりと接続を図っていくかということ、これを小学校の方でもしっかり考えていくということでございます。
また、各教科の方も、これは例えば国語を御覧いただきますと、34ページ、35ページでございますけれども、国語の課題が書いてございますけれども、それを次期改訂に向けては、幼児期に育まれた言葉による伝え合い等の基礎の上にということで、これは全ての教科におきましてこうした幼児期とのつながりが書いてあるということでございます。幼児期で総合的に育まれた力ということと小学校以上の学びということをどうつないでいくか。これを単に幼稚園段階、小学校段階ということだけではなくて、各教科においてもしっかりと受け止めて検討していくということを今後ワーキンググループでさせていただく予定でございます。
48ページ目、今後のスケジュールということでございますけれども、こういった議論を、教科や学校段階に閉じた議論ではなく、つながりをしっかりと意識して、カリキュラム全体として、また幼・小・中・高のつながりの中でどういった資質・能力を育んでいくかということで、各ワーキンググループとの連携が必要になってまいるわけでございます。総則・評価特別部会というのが別途ございまして、ここで様々な議論をつないでまいりたいと思いますけれども、私の方でもしっかりと幼児教育部会の議論を各教科のワーキンググループにつなぐ役割を果たさせていただきたいと思っております。
長くなりましたが、私の方からは以上です。
【沓澤子育て支援指導官】  それでは、私の方から、資料7、資料8、資料9について御説明させていただきたいと存じます。
初めに資料7でございます。「教育課程企画特別部会における幼児教育に焦点化した主な意見」でございます。この資料は、中教審の諮問を受けまして、改訂の基本的な考え方や方向性を議論してきた教育課程企画特別部会の委員の先生の発言の中から幼児教育に焦点化したものをまとめた資料でございます。幾つかかいつまんで説明させていただきたいと存じます。
初めに、1ページ目ですけれども、幼児教育の教育内容や方法等についてのところでございますが、非認知的能力の議論は、意欲の問題とともに、感情のコントロールや意思力なども含めて考えるべきといった意見。それから、幼児教育における評価については、記述し、共有し、改善するという新たな評価の考え方を検討していただきたいという意見。それから、就学前の段階から学習レディネスを身に付けさせることが重要であるという意見。それから、体力作りや運動能力の獲得ということは、幼・小・中・高と連携して行っていくことが重要であるといった意見。
それから、幼児教育と小学校教育との接続に関しての意見でございますけれども、幼児教育の質を高めることと、幼小のカリキュラムのつながり方が重要であるという意見。それから、幼・小・中・高の教員が、18歳で育っているべき資質・能力観や学力観を共有していく必要があるといった意見。それから、スタートカリキュラムという考え方を1年生の教育、あるいは低学年の教育全体に広げていくということが大事であるという意見。それから、スタートカリキュラムについては大いに賛成であるとの意見。規範意識を育てることも幼児教育の段階から取り入れていくことも重要であるといった意見。それから、幼小の円滑な接続には、行政的な支援も欠かせないという意見。
それから、6ページに移りまして、そのほかということで、教育内容、幼小接続以外の意見でございますけれども、カリキュラム・マネジメントは幼児教育についても是非強調していただきたいという意見。それから、幼児教育全体の質の向上という観点から、認定こども園や保育所における幼児期の教育も充実する方向で、改善の視点を盛り込んでいただきたいという意見。それから、子育ての支援の充実は非常に大事であるといった意見。
このような意見が教育課程企画特別部会の方で出ておりました。
続きまして、資料8でございます。幼児教育部会における検討事項の案についてでございます。こちらの資料は、先ほど教育課程課より説明のございました教育課程企画特別部会の「論点整理」を踏まえまして、本部会における主な検討事項の案を取りまとめたものでございます。検討事項といたしまして大きく次の二つがございます。
まず一つ目は、新しい幼稚園教育要領が目指す姿についてといたしまして、幼児教育から高等学校までの全体に関する検討事項でございます。具体的には、「論点整理」に示された育成すべき資質・能力の基本的な考え方を踏まえ、幼児教育の特性に配慮した幼児期において育みたい資質・能力をどう明確化するかといったこと。それから、アクティブ・ラーニングの視点に立って、幼児教育における指導方法をどのように充実するかでございます。
大きな二つ目でございますけれども、幼稚園教育における改訂の具体的な方向性に関してでございまして、具体的には、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿をどのように明確化するか。幼児期にふさわしい評価の在り方についてどのように考えるか。幼児教育の特性等に配慮した内容をどのように改善・充実していくか。幼児教育と小学校教育との接続を一層強化していくための支援方策をどのように進めるべきか。幼稚園における子育て支援の在り方をどのように捉え、進めるべきか。最後でございますけれども、幼稚園教育の目的や目標を達成するために、幼稚園におけるカリキュラム・マネジメントをどのように確立すべきか。
なお、幼児教育部会の第2回以降につきましては、委員の皆様の御意見等を踏まえながら、大きくはこれらの検討事項を中心に議論していく予定としてございます。
続きまして、資料9でございます。こちらは幼児教育に関する資料でございまして、今回の議論の参考のために配付させていただいているものでございます。
初めに、こちらは乳幼児期における教育・保育の制度の概要を示したものでございます。現在、就学前の教育・保育の施設といたしましては、幼稚園、それから真ん中の認定こども園、保育所の三つに大きく大別されます。このうち真ん中の幼保連携型認定こども園につきましては、本年4月の子ども・子育て支援新制度によりまして認可・指導監督が一本化された単一の施設として創設されたものでございます。
続きまして、幼稚園数及び幼稚園児数の推移等を示したものでございます。平成26年5月現在、幼稚園数は全体で約1万3,000園、園児数は155万7,000人となっております。少子化等の影響によりまして、昭和50年代をピークに減少傾向となってございます。それから、平成25年度のデータでございますけれども、4歳以上児のほとんどが幼稚園又は保育所の方に在園しているという状況でございます。
続きまして、幼稚園関係の法律の規定でございます。
それから、現行幼稚園教育要領の構成、現行幼稚園教育要領の改訂のポイント、幼稚園における評価の現状を示したものでございます。
それから、幼稚園教育要領等の変遷を示したものでございます。昭和23年のときには幼稚園、保育所、家庭における幼児教育の手引として保育要領が作成されておりましたけれども、昭和31年以降は幼稚園の教育課程の基準として幼稚園教育要領が作成されているということが示されてございます。
保育所の保育内容等を定めた保育所保育指針の概要、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の内容の構成を示したものでございます。こちらの教育・保育要領でございますけれども、内閣府、文部科学省、厚生労働省の3府省の共同の告示になってございます。ここにございます保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領でございますけれども、この両方の内容は幼稚園教育要領同様に、構成といたしましては、「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」という五つの領域から構成されてございます。
続きまして、幼児教育への投資の効果でございます。こちらはペリー就学前計画というアメリカにおける約40年にわたる追跡調査の結果でございまして、質の高い幼児教育を受けることにより、その後の学力の向上や、将来の所得の向上、逮捕歴の低下につながるということがこのデータで示されているところでございます。
続きまして、平成28年度幼児教育関係概算要求の概要を示しているものでございます。
それから、OECDを中心とした幼児教育をめぐる国際的な動向についてお示ししております。
それから、子供の発達の状況を示しているデータでございます。
男女児童の身長・体重の平均の推移でございまして、昭和23年と平成25年との比較で、身体的成長は幼児期から約2歳早くなっているということが示されてございます。
それから、その下のデータでございますけれども、こちらは、文字・数・思考の育ちでは、年少から年長にかけて、学年が上がるにつれて、自分の名前が読めるといったことや、1、2、3、4と20までの数を正しく数えられるなどの割合が増えているといったことが示されているデータでございます。
それから、24ページ以降は、今回の中教審の諮問で具体的な検討事項として明示されてございます幼小接続の関係の資料でございます。
25ページのところは、幼稚園と小学校の比較をしている表でございます。
26ページは幼小接続の課題で、21年に実施いたしましたアンケートの結果から、「幼稚園教育が小学校教育とどのようにつながっていくのか具体化することが難しい」、それから「教育の相違点について、幼稚園、小学校が十分に理解・意識していない」、それから「幼稚園又は小学校が、接続した教育課程の編成に積極的ではない」といった答えがアンケート結果から示されてございます。また、その下のところでございますけれども、平成24年度幼児教育実態調査から、「年数回の授業、行事、研究会などの交流はあるが、接続を見通した教育課程の編成・実施は行われていない。」といったことが課題として示されているところでございます。
それから、27ページから28ページのところでございますけれども、こちらは幼小接続に関する現在の取組を示したものでございます。1番目のところは、現行幼稚園教育要領、小学校学習指導要領では、このスライドの29ページ、30ページに示しているような幼小接続の規定の充実を図っているということを示しています。2番では、幼稚園における指導の経過等の要約を記録した幼稚園幼児指導要録を小学校へ送付していることを書いてございます。3番目が、幼稚園教員と小学校教員の免許の併有を促進していることを載せております。それから、28ページのところでございますけれども、4番目といたしまして、幼小接続の先進的な取組といたしまして、本日御出席いただいております嶋田委員の草加市や斎藤委員の福井県などにおいて幼小接続のためのカリキュラムの策定が進んでいること。それから、本日は御欠席でございますけれども、同じく委員をお願いしております田中委員の神戸大学附属幼稚園において、幼小接続をテーマとした研究開発を実施しているということを示してございます。
31ページでございます。こちらは小学校におけるスタートカリキュラムについて概要を示しているものでございます。
32ページ、33ページは平成22年の11月に取りまとめられました、幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方に関する調査研究協力者会議の報告の概要を示しているものでございます。こちらの方では、幼児期から児童期にかけては、互いの教育を見通し、連続性・一貫性のある教育を行う必要があること。それから、幼児期から児童期への発達や学びの連続性の姿を「学びの自立」「生活上の自立」「精神的な自立」の三つの視点から共通理解し、教育課程の接続を考える必要があるといったこと。それから、直接的・具体的な対象と関わることを通して、学びの芽生えから自覚的な学びへの円滑な移行が図られるようにすることが大切であること。こういった内容が示されているものでございます。
なお、この報告では、幼児期については育つべき具体的な姿が見えにくいといった指摘があることから、34ページ、35ページにございますとおり、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿として、(イ)から(ヲ)までの12の項目を明示しております。
36ページから38ページ、こちらの方は、幼小接続に関しまして、平成24年度に文部科学省が行った調査の結果を示しているものでございます。36ページの幼小接続の状況では、年数回の授業、行事、研究会などの交流があるが、接続を見通した教育課程の編成・実施が行われていないということが62.1%で一番多くなっているということでございます。それから、37ページの幼稚園における保育所及び小学校との交流の状況のところでは、保育所又は小学校の幼児や児童の交流は幼稚園全体の79%、それから教員同士、小学校の教員や保育所の保育士と交流を行った幼稚園は全体の75.9%で実施されている。39ページでは、教育課程の編成に当たり、小学校と情報交換をするなどの連携を行った幼稚園は、全体の49.3%で実施しているということがこのデータで示されているところでございます。
私の方からの説明は以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございました。
今、全体像、また特に幼児教育に関わる御説明を頂きました。ただいまの説明につきまして、直接的な御質問があればまず先にお受けしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。特に今すぐなければ、本日は12時までの時間ですけれども、初めての会合ですから、自由討議という形にしたいと存じます。その中で御質問もあれば出していただければと思います。
先ほど御説明いただいたわけですけれども、「教育課程企画特別部会 論点整理」のもの、また幼児教育部会における検討事項の案というものを事務局の方で整理していただいてございますので、それらを踏まえた上で御意見を頂戴したいと思います。といっても、検討事項というのは非常に広く書いてありますので、日頃から幼稚園教育、幼児教育について問題があるとか、更に良くしていくべき点があるとか、いろいろお考えだと思いますので、必ずしも検討事項にないと発言できないということではありませんので、よろしくお願いいたします。また、本日おいでいただいた先生方、それぞれ幼児教育という中でも御専門もあろうと思いますので、そういう点でも日頃のお考えを是非御発言いただきたいと思います。よろしゅうございましょうか。1時間ありますので、ざっと1人3分前後ぐらいになるかもしれませんけれども、よろしくお願いいたします。それでは、どなたからでも結構ですが、いかがですか。ともかく全員に御発言いただくということにしたいと思います。どなたからでも結構ですけれども。どうぞ御遠慮なく。どうでしょうか。
では、鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】  ありがとうございます。
御丁寧な説明、ありがとうございました。「論点整理」のところですけれども、やはり今回、一番ポイントというか、重要だなと思っているのが、小学校教育との接続の問題だと私は思っています。私、子供の生活習慣を研究してきた者としては、就学のときに身に付けてほしいものとして、やはり規則的な生活習慣というのが必ずと言っていいくらい小学校から渡されるプリントには書いてありますが、就学前に身に付けてほしいことというのは、逆に、ある意味育成すべき資質・能力という言葉だろうと思います。なので、この育成すべき資質・能力という基本的な考え方を踏まえた上で、その観点から接続を考えていくということが今回すごく重要なのではないかと考えております。今後、是非いろいろなところからその接続にアプローチしていけたらと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。
それでは、挙手とともに名札も立てておいてください。嶋田委員、どうぞ。順番に指名します。
【嶋田委員】  御丁寧な説明、ありがとうございました。
今、鈴木委員からもありましたけれども、私も同様で、「論点整理」に示された育成すべき資質・能力の基本的な考え方、三つの考え方ということについて、幼児期の教育と小学校教育への接続期に確実に引き継ぐということが非常に大事ではないかと思っています。そのことが、幼児期の教育における遊びを通した総合的な指導のよさ、これと小学校教育における各教科を中心とした学習のよさ、これを尊重するということも併せて大事になってくるかと思います。特に、私は小学校教育に携わっている経験が非常に長いので、小学校教育では三つ目の人間性ですとか学びに向かう力、つまり情意や態度に関わるものが非常にその後の小学校教育の6年間、また中学校教育にもとても大事なものだと思います。これも、これまでの「生きる力」の中の三つの要素のうちの二つにも係る大きなウエートを占めているのではないかと思います。小学1年生から6年生まで幅広い発達年齢があるのですけれども、やはり見ていると、自己を発揮しながら人や社会、自然と関わって学ぶことによって、非常に新たな価値を見いだしたりとか、もっと知りたいとか、できるようになりたいとか、そういった情意や態度に関わってくるものだと思います。そういった教育を取り入れている幼児期の教育のよさをきちんと明確に幼稚園教育要領の中で示していく必要があるのではないかと思います。あわせて、やはり小学校の各教科にもそのところをつなぐ、小学校学習指導要領の方にもつなぐということがとても大事な観点だと思っています。
【無藤主査】  ありがとうございます。
では、いかがですか。山下委員、お願いします。
【山下委員】  山下です。よろしくお願いいたします。
私は、先ほど鈴木先生や嶋田先生もおっしゃったように、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿をどのように明確化していくかということが一つのポイントだろうと思っています。先ほどの事務局の説明や幼児教育の現状という資料の中のスライド35の資料だと思うのですが、ここに示されているように、平成22年11月に幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方に関する調査研究協力者会議から報告が出されています。ここに、幼児期の終わりまでに育ってほしい幼児の具体的な姿(参考例)というのが示されています。今後の検討では、ゼロベースからではなくて、これを基本として検討していくということがより論議が深まっていくのではないかと思っています。
それにあわせて、やはりもう一つ大事なことは、教育課程、カリキュラム・マネジメントということになっていくのだろうと思います。園としてどういう教育をしていきたいのか、どういう力を育んでいきたいのかなどを明らかにしていくためにも、このマネジメントをしっかりやっていくことが大切だと思います。幼児期の教育は見えにくいと言われる中で、保護者や地域に説明責任をしっかりと果たし、相互理解を深めていくことによって、地域や保護者、家庭などの協力を得て、子供の健やかな育ちをこれまで以上に保障できていくのではないかと思っています。そのためにも、地域などの教育的素材を取り入れるなど、カリキュラムをマネジメントしていくという視点も大切ではないかと思います。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。
いかがですか。阿部委員、お願いします。
【阿部委員】  北海道教育大学の阿部です。
私、小学校の図画工作を中心にしながらやっておりまして、そこに原点としての幼稚園教育と考えておりまして、今いろいろな論議の中で具体化していく中で、もう少し幅広くというか、やはり豊かな感性、情緒、情操といったところをベースに接続というのを考えていかなければならないのではないか。道徳性やいろいろなところのつながりも考えられる。図画工作の場合については、その後、創り出す喜びとか、何かみんなで創りながらそれらが協調性や社会性も養っていくと考えると、極めてそういった意味では近い立場で接続というようなことができるのではないかということを思うので、カリキュラムの具体化とともに、そういった面も含めて論議ができるようになってくれればいいなということを思っているところでございます。
【無藤主査】  ありがとうございます。
いかがですか。宮原委員、お願いします。
【宮原委員】  宮原と申します。よろしくお願いいたします。
唯一、参加委員の中で私は民間から来まして、教育に携わっていない者でございますので、いささか畑違いの話が出るかと思いますけれども、私は民間に携わっている人間の一人としまして、あるいは私の娘は今小学校6年生ですが、その前は幼稚園に3年間通っておりまして、いろいろな話も日頃するのですけれども、幼児期にふさわしい育ってほしい姿という意味では、やはり善悪の判断といいますか、こういうことをしたらまずいなということをしっかりと教育していただきたいなというところがありまして、これは何も教育機関だけじゃなくて、家庭においても重要なことでございまして、大人の世界でも、これは議事録に残りますけど、新聞報道されていますから。旭化成建材のくい打ちの、本来であればしっかりとくいを打つべきところが、本数を減らして、会社の利益といいますか、個人の利益につながるようなことがありまして、そういうことをしたらどういう結果になるのかとか、あるいは子供のうちに、例えばおやつが三つあって2人しかいない場合はちゃんと分け与えたりとか、このことをしてしまってどういう影響が出るのかとか、あるいは困る人がいるということをやはりこれから、そういう意味で倫理観といいますか、企業的にいえばコンプライアンスみたいなことになりますけど、こういった善悪の判断、あるいは困る人がいるということも幼児期の教育として非常に私は重要ではないかということで、今、残念ながら、父親がそういう役割を果たしていないようなところもなかなかちょっと、企業の現場なんかに入っていきますとございますので、そういった意味では、本当は地域というか、学校現場のみならず、そういったことを叱ってくれるような人たちが周りにいればいいんでしょうけど、今はそういった地域関係も希薄化していますので、そういった善悪の判断ですとか、人が困るようなことはしないで、あるいはうそをつかないとか、そんな基礎的な能力を付けつつ、あるいはグローバルな観点からも、もしかしたら今後は外国人の方も随分入ってこようかと思いますし、私の娘の通っていた幼稚園ではもう数名様々な国の方とかいましたので、人と違っていることを責めるというのではなくて、人と違ってもいいと、そんな教育ということがこれからはちょっと求められるのではないかということで、漠としていますけれども、私はそういう、少し倫理観ですとか、あるいは社会に出てからよりよい人生を送るかというところの一つに幼児期の形成が非常に重要になるのではないかと思いました。そんな観点から私は進めていければなと思います。
以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございます。
では、いかがですか。大方委員、お願いします。
【大方委員】  御報告たくさんありがとうございました。
幼児期の終わりまでに育ってほしい姿ということと、先ほどからの話の中の幼稚園、小学校の連携、円滑な接続という中で、幼稚園における遊びという体験の中身が、どういう体験をすることが小学校の学びにつながっているかという部分と、逆に言うと、そこにいる幼稚園の先生がやはり言語化してくれる人としての役割というものがなければ、体験すれば、遊べばいいというわけではないと思いますので、その辺のところを的確にどこかで明文化できればいいのかな。「生きる力」という言葉でずっと来ていますけれども、結果としてはやはり人間社会で生きていく上での適応していく、大学でもアクティブ・ラーニングと言われていますけれども、それは大学生だけではなく幼児期から、人と対話をしていったりできる力というのは、インクルーシブというような支援を要する子供さんも含めた中での、特に少子化ですから、多様な文化を持った子供同士が小学校に行ったときにも関係性を作っていけるような部分が、やはり適応できる人材としての「生きる力」が要るのかなと思っています。
それから、その基となる、幼稚園の場合は入園する前の生活があります。基本的には幼稚園に入園してからになりますけれども、実態として、特に入園当初の家庭教育の生活実態というものを踏まえた幼稚園教育と、その文化の接続と段差をどうするかというのは少なくとも教育課程の最初のスタートでは若干意識し、それが結果として子育ての、子育て支援ではなくて幼稚園教育、子育てのなのですけど、子育ての支援という部分に、家庭教育をどう充実し、幼稚園でやっている体験が一体どういう意味があるかということのフィードバックが、家庭教育で、少なくとも家で幼稚園に入るまで育てようと思う方々の意識を上げていく。意味が分かればもう少し子育ての部分も変わっていくのではないかと思いますので、その辺のところもまた考えていけたらいいのかなと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
【無藤主査】  ありがとうございます。
いかがですか。では、渡邉委員、お願いします。
【渡邉(英)委員】  御説明、ありがとうございました。
現場にいて、認定こども園というところに関わっている中で、幼稚園、保育園、認定こども園という中で、子供たちがまず置かれている状況が結構危機的だということです。子供を預かる施設なのか、子供を育てる施設なのかというところが曖昧になっています。その一方で、子供を育てるというと、何かさせればいいとか、先生とか保育者の言うことを聞ければいいとかという話になります。そもそも子供が大事にされ、自分が大事にされるということをきちんと乳幼児期に認められて、それがあるから自己肯定感が育ち、人を思いやったりということがきちんと育つのです。人と関わり合って何か問題解決をしていったり、人との関わりの中で人を思いやったり他者を受け入れたりとかいろんなことができてくるというような、幼稚園教育要領に示されているような子供の育ちが現実の社会の中では揺れ動いています。それは例えば私立幼稚園で小学校に入って困らないために何かさせた方がいい。教師が意図してさせようとしたことがうまくできるようになることが育つことだというような話ではなくて、子供自らがやろうとして、それが本当にできたことが楽しくなってくるという幼稚園教育要領が大事にしている育ちではあるのですが、そのことの分かりにくさというか、実際にやろうとするときの難しさというのが、本来的には、きちんと保護者にもまた小学校の先生たちも分かってもらう必要があると思います。そのようなことも含め、幼稚園教育要領が発信しようとすることの大事さというのがすごく問われているような気がしています。横浜では小学校の先生たちが幼児教育のことが分かってくると、子供たちが自分たちで自らやろうとするとか、自分の居場所があるとどんどん様々なことに挑戦しようとするということに対して面白がってくれています。そういう教育のあり方が幼児教育からずっと、小学校、中学校、高校、大学までつながっていけばそれは本当に社会に出ていってもすごく大事な力なのだということを特別部会の中で議論されている。そのことを僕はすごいことだなと思います。もう一方で、幼児教育の現場では、それをきちんと実践するということはどういうことなのか、またそれを実現できるようにするならばどうすればいいか、多分短い回数ではあると思うのですけれども、どうやったらそれが現場に伝えやすく、社会で一般化されていくのかということも視野に入れながら幼稚園教育要領の議論が進んでいけばいいかなと思っています。その意味では、幼小の接続で、小学校の方たちに分かっていただきながら、改めて乳幼児期は大事だとか、それから非認知の話でいけば、乳幼児期に起こったことがやっぱり幼稚園、小学校だけじゃなくて、中学校、高校にまで大きく影響してくるのだとかということが、そういうことが何らかの形で明らかにされ、議論される中で、もうちょっと分かりやすく社会に訴えていけるとかということも大事かなと思います。その一つの前提として、入園前の保護者に向けた子育ての支援の中でも、どういうふうに幼児期の大事さということを伝えていくかということも入ってくるかなと思っています。
【無藤主査】  ありがとうございます。
斎藤委員。
【斎藤委員】  お世話になります。福井県教育庁義務教育課幼児教育支援グループの斎藤です。よろしくお願いいたします。
一番初めの挨拶の中で淵上課長が、全ての子供に質の高い幼児教育をとおっしゃいました。その点について、私は福井県という行政の立場でここにお伺いしていますので、そこで、福井県がやっていることと絡めてお話を聞かせていただきました。幼稚園教育要領とか、それから、いろいろな自治体や園が工夫して、これが大事だよというものをたくさん作られていますが、それが現場で実践されるための、その間にあるつなぐ仕組みが重要ではないかと今考えております。福井県はカリキュラムを今年3月に策定させていただきました。無藤先生に助言いただいたことも、この学びに向かう力、保幼小接続カリキュラムに入っていますし、今、福井県が取組をさせていただいております自治体の推進体制の在り方に関する研究については、文科省の方からもいろいろサポートしていただいております。そんな中で、この課題に向き合っておりますと、やはり都道府県が広域調整として何をすべきかというようなことも同時に考えていかなければならないことと思っております。それから中身については、小学校の前倒しや準備ではなく、子供たちが主体的に生涯学んでいく根幹なのだということが、幼稚園だけではなくて、保育所、認定こども園にも理解されるための仕組みにしていく必要があると考えています。小学校の接続に関しては、福井県の場合は連携推進カリキュラムというような、まずは何ができるだろうか小学校とその校区にある園で考えようというカリキュラムを、公立・私立、保育所・幼稚園を問わず、福井県の全ての園と全ての小学校で1枚だけ作ったというのが今推進している状況です。そういった中で、アクティブ・ラーニングの話は、子供の指導のことだけではなく、学び続ける先生方の姿勢としてアクティブ・ラーニングで学んでいくということが必要なのだと、それを念頭に置いた仕組みが必要なのだというようなことを考えております。この幼稚園教育要領の中身が現場の実践につながっていくための多くのつなぎ手をどう養成するか、そして、つなぐ仕組みや仕掛けをどうするかということを念頭に置いて、幼児期において育みたい資質・能力を明確化する、分かりやすく、現場の方が本当に自分たちが今まで一生懸命やってきたことを力強く推進するというお気持ちになってくれる、そういうまとめ方をしていく必要があると考えております。
ありがとうございます。
【無藤主査】  ありがとうございます。
では、白旗委員、お願いします。
【白旗委員】  日本体育大学の白旗と申します。よろしくお願いいたします。
丁寧な説明を頂きまして、私も日頃から一番大切だなと思っているのは、本質的な理解というところだと思っています。先生方、どこに行っても、どの校種も非常に忙しくて、新しい方法とかキーワードが出てくると、やはりそれに引っ張られてしまう。アクティブ・ラーニングと言うと、アクティブ・ラーニングの方法をとれているかどうかということが目的になってしまっているところもあり、そうじゃないですよという話をいつもさせていただくのですけれども、本質的な理解、幼児教育もそうですよね。ここに迫れるといいなと思っております。
ただ、私自身は幼児教育は全然専門でもなく、私が多分この場に呼んでいただいたのは、平成24年、「幼児期運動指針」が文部科学省から出ているのですけど、そのまとめ役をさせていただいたということがあろうかと思います。そういうわけで、その話を中心にお話をさせていただきたいと思います。このときに、幼児の遊びとか生活習慣とか、幼児用の体力、運動能力という調査を5年間かけてやってきたのですけれども、結論から言うと、やっぱり遊びの力はすごいなと思いました。体を使った遊びですね。ですから、決して運動ではなくて、やっぱり遊びだからすごいなと思いました。そのときにいろいろな研究をされていたのですけれども、幼児期に体を動かす時間が減っているというのもあるのですが、それ以上に問題なのが、いろいろな遊びになっていないなということで、遊びが固定化されてしまったりすることで、いろいろな経験をしているはずのことが、していない。結果的に、えっ、こんなこともできないの、こんなことも身に付いていないのか。今後改善されるかというと、生活スタイルがどんどん簡便で動かなくてもいいような方向に行っていますので、やはりこれは教育の中で手を打つしかないだろうということがそのときに非常に明快になったと思っています。
小学校の体育でも、私は小学校体育の教科調査官をしていたものですから、実際体育の方をやっていましたけれども、「多様な動きをつくる運動(遊び)」というのが小学校の体育に新たに入りました。これはやはり当たり前のことができないというのか、転ぶと、手が出る前に顔を打ってしまって歯を折ってしまうというような子が大変多い。転んでいる経験自体が小さいときに少ないということがあろうかと思います。当たり前のことができるようにならないと、体力を高めましょうとか、さらには技能を身に付けましょうなんて言っても、その前の段階がないですので、九九が全然分からないまま、さあこの複雑な面積を求めてみましょうみたいな感じになってしまう。やはり幼児期から様々な遊びをしていくということがいかに重要かということを感じています。特にこの時期でないと、幼児期でないと身に付かない、若しくはこの時期だからこそ伸びる、いわゆる神経系のものもありましたし、先ほどの説明でも2年ぐらい成長が早くなっているというのがありまして、ここは看過できない部分ではないかと思っています。ゴールデンエージというのは4年生ぐらいと言われていたのですけれども、今は2年生ぐらいまで下がってきているということも言われています。
あと、幼児期で実験的に介入していくと、確実に小学校以降も体力が高い。追跡調査していて、体力が高いとか、地域の運動などに参加する割合が非常に高いとか、幼児期に耕しておくということがその後に非常に長く影響してくるということもありました。
最後なのですけれども、このときにいろいろなデータと比較若しくは関連しながらまとめていったのですが、体力、運動能力とか健康保持、こういう素地につながるということは分かりやすく、誰でも思い付くと思いますけれども、非常に注目される点として、意欲的な心が育まれる。すごく積極性が、やはり体を使ってたくさん遊んでいる子たちがそういうことが身に付いているとか、協調性ですね。コミュニケーション。たくさん遊んでいる子ほど多くの子と遊んでいますので、トラブルもいっぱい乗り越えているというのもありまして、協調性というところに非常に関わっているとか、あとは認知的能力ですね。ちょっと体を動かすだけでもいろいろな脳を使うということで、こういったことがかなり数値的にも出ていました。ですから、体を動かして遊んでいくということが、「健康」というところには見えますけれども、実際これは「人間関係」「環境」「言葉」「表現」、全部に関わっている、総合的に子供を育む上で非常に重要だなと考えています。
そういうわけで、体を動かすということに特化してお話をさせていただきました。
【無藤主査】  ありがとうございました。
では、寺岡委員、横山委員。
【寺岡委員】  よろしくお願いいたします。私は東京品川区の第一日野小学校というところから参りました。小学校の現場の代表だと思って今ここにおります。
第一日野小学校は、平成22年度に校舎が改築されたので、それを機に保幼小の一体化施設になりました。そこから本格的な保幼小連携教育に取り組んでおります。小学校教諭にとって保幼小連携のよさというのは、やはり小学校に入学する前、就学時前の子供たちがどんな遊びや経験を通して今目の前にいるのかということが分かることが何よりだと思います。例えば、それまでは小学校に入学した4月にトイレの使い方を指導したりとか、でも、そんなことはもう保育園や幼稚園で既に学習済みだったものをもう一度小学校でやり直していたりとか、年長さんで、例えばある園においては4歳児3歳児のお昼寝の布団を敷いてあげたり、各園でリーダーとして育ってきた子供たちを小学校で完全に今度はお客様として扱っていたりとか、何にもできない1年生ではなくて、プライドを持ってリーダーとして頑張ってきた経験を持っている新入生なのだと思いながら、どうやって1年生と接することがいいことなのかということを考えたりしております。
あとは、小学校側のよさとしては、今日的な教育課題の解決、例えば主体性や協働性を育むといったときに、やはりそれは保育者の支援や手立ての中にヒントがあるものだと思って、保育者の支援や手立てというものから学ばせていただいたりしております。小学校、保育園、幼稚園の連携を通して、発達の違いこそあれども、子供ということには変わりないので、共通している点は多いなと。例えば、園では遊びを通して学んでいるのだと思うのですけれども、小学校では遊びじゃなくて、それが学習活動になり、学習活動を通して子供たちは学んでおります。学習活動を通して学ばないと、これは多分知識の注入型の授業になってしまうのだろうなと思って、どうしたら子供たちがやってみたいなという気持ちを膨らませたり、近くの友達、クラスメートと協働しながら問題を解決していくかという、その手立てやヒントが保育者の支援や手立て、援助の中にあるものだと思って、今、小学校教員として保幼小連携の意義、接続する意義というものを感じながら日々学校教育に携わっております。
例えば、保育者の側にとって小学校と連携するよさは何なのかということを考えたときに、卒園して送り出した子供がどんな学校生活を送っているのかが見えたり、又は園での遊びや経験が小学校のどんな学びにつながっているのかというのが見えてくるということも恐らく保幼小が連携するよさなのかと思います。私の学校では研究授業で近隣の保育園の先生や幼稚園の先生方がいらっしゃいます。6年生で立体の特徴を押さえる授業をしたときに、ある保育者の方が、例えば円柱や角柱の特徴を小学校で学んだときに、保育園の積み木の後片付けがこういうところに生かされているのだなとか、錐は柱の3分の1の体積ですというところに、ひょっとしたら積み木の後片付けの中から小学校の学びにつながるような要素があるのだなということを発言してくださった保育者の方がいらっしゃいました。小学校の学びの現場を保育者の方が見ていただく、参観していただくということは、ひょっとしたら今園児がやっている遊びが小学校のこういうところに役に立つのだというある程度の見通しを持って、又は自信を持って遊びや経験、活動に携われるというよさ1もあるのではないかと思っております。
この部会を通して、保幼小連携で学んできたことが少しでもお役に立てたらなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。
横山委員、お願いします。
【横山委員】  横山です。私は保育者養成の大学で領域の「言葉」を担当させていただいていますので、言葉の辺りで感じたことをお話しさせていただこうと思います。
幼小の接続が今回とても大きくなってきているなというのを感じつつ、そこに言語活動ということもあって、言葉がつながりとして大きく出ているというのをとても感じています。そこで、5歳児の具体的な育てたい姿を出すというときに、今、小学校の先生が幼小の接続を見通しとして、小学校でこういうふうに育つよということも見えていくというお話をしてくださいましたけれども、先だけではなくて、この前にどういう育ちがあってここに至っているのかと、それまでの育ちの過程を丁寧に見ていく必要があるのではないかと思っています。今、週に1回、奈良市の公立の園の方に5歳児さんの観察に行かせていただいているのですけれども、よく4歳から5歳とか続けて2年間観察をさせていただくと、「4歳のときは、この子はこうだったけど、あっ、ここ育ったね。自分の思いを言えるようになったよね。」という姿を見せていただくことがあります。5歳の姿なのだけれども、でも、この子はそこに至るまでどういう育ちをしてきたのか、という流れとか過程を押さえて姿を出していければ良いなと思っています。
あともう一つは、言葉、伝え合いということで小学校につないでいきますけれども、コミュニケーション以外にも言葉の機能というのは、「私」、「自分を作る」、「自我を作る」であるだとか、「言葉自体が楽しい」であるとか、それから「自己コントロール」も言葉でやったりすると思います。昨日、観察の園でお芋掘りの絵を男の子が描いて、描き終わったんでしょうね。彼がぶつぶつ言っているのですね。「もう終わりにしていいよね」。見ると、ちょっと白いところがあって、彼は彼なりに、ここは「何か人とか描いた方がいいかもしれない」と思っているのだけど、自分としては何か「描けた」とも思っている。「もういいよね。いいよね」と言いつつ先生のところに持っていって、先生とやり取りしている。その中で、「ここ何か白いけど、ほかに何かしたことなかった? 何かなかったかな?」なんてやり取りをしていると、「うん、描いてくる」と言って戻ってきて、そこにまた人を1人描いたのでした。こんなふうに言葉で自分の行動もコントロールしたりだとか、そういったものも言葉の働きの中にはある。
もう一つエピソードをお話しさせていただくと、昨日給食も一緒に頂いていて、給食を食べながら、前の席に座っているゆきちゃんが「ききだ」と突然言ったのですね。「ききって?」と聞き返すと、「ゆきでしょう。まさあき君でしょう」。「き」と「き」で「ききだ」と言って、自分の名前の語尾に同じ文字がついているという話をしてくれる。「クラスの中に「き」が付いているお友達は何人いるかな」というのを給食を食べながら話をしている。ということで、私たちの方は、言葉はコミュニケーションであったり、伝え合いというところに観点を置いて教育要領も作っていくのですけれども、子供にとってはもっといろいろな豊かな意味があったり遊びの部分があったりするというところを大切にしながら、小学校につなげていけると良いかなと思っています。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございます。
神長委員。
【神長主査代理】  失礼いたします。私は企画特別部会に参加させていただいて、その中で感じていたことと、本日皆さんが御発言してくださったことが重なってくるなと、一つの方向が見えてきたかという思いで皆さんの御意見を聞かせていただいておりました。これから考える視点として二つお話ししたいと思っています。
一つは、幼小の接続のことです。やはり幼児期から小学校、中学校、高等学校を見通してこの接続の問題を考えるということはすごく大事なことだと思います。特に本日の議論の中では「接続」という言葉が大分クローズアップしてきたと思いますが、滑らかな接続を考えるのはなぜするのかと、そこをしっかり押さえておくことが大事かなと思っています。企画特別部会のときには、やはり18歳、幼・小・中・高、高等学校を修了するというところを見据えたときに学校間の滑らかな接続ということが大きくクローズアップしてきて、そういった流れの中で、幼小の接続は大事だよねということを確認してきました。確かに一人一人の子供にとってみると、小学校1年生の生活が楽しく充実して展開できるということは大事なことですし、自信を持って小学校教育がスタートできるということはとても大事だと思うのですけれども、そこでおしまいなわけではなくて、その先があるのだと。やはり学び続ける、主体的に学ぶということをどう支えていくかということが、この乳幼児期の子供たちの生活の体験であったり幼稚園の中での様々な体験であったりすると思うので、そういった長期的な視点の中で滑らかな接続を図るということを考えていくことが必要かなと思いました。これは22年だと思います。幼小の接続に関する報告書の中でも、学びの基礎力だったと思うのですけれども、学びの基礎力として、乳幼児期というよりは、接続の時期の大事さということを確認したかと思います。接続の問題を考えるときに、なぜこの幼小の接続が大事なのかと、そこを大事にしながら、幼児期の教育から小・中・高ということを見通していくことが必要かと思っています。
それともう一つは、本日説明の中にあった内容なのですけれども、この緑の「論点整理」の中では10ページにあります、資質・能力の要素ということをやはり幼児期の段階でどう考えていくかということをしっかり議論していくことが必要かと思っています。つまり、「何を知っているか、何ができるか」という個別の知識・技能、さらに「知っていること・できることをどう使うか」という思考力・判断力・表現力等、さらに「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」という学びに向かう力、人間性等。やはり幼児期から積み重ねていくためには、こういった三つの柱を支点に、幼児期の教育の在り方ということを議論していくことが必要かなと思います。そのときにやはり議論になってきたことは、最初に10ページの「これら三要素」というところに書かれてありますように、「発達に応じて、これら三つをそれぞれバランス良く膨らませながら、子供たちが大きく成長していけるように」と、この発達に応じてということと、三つをそれぞれにバランス良く膨らませていくということを幼児期の段階でどう考えていくのか、幼児期の教育の中でどう考えていくのかということを議論することも大事かなと思っているのです。
先ほど横山委員の中から、育ちの過程もしっかり含めながら、見通しながらということで言葉の話がありましたけれども、私も実は昨日、これはもう実習見回りという限られた時間の中ですけれども、幼稚園を訪問した際に遭遇した実践がありました。園長先生とお話をしているときに、3歳の子供たち五、六人一緒にいわゆる職員室になだれ込んできたのです。なだれ込んできたというのは、訴えたいことがあって、1人のちょっと小柄な男の子がとても悔しくて、涙をこらえながら、こぼれてはおりましたけど、声は上げずに、その取り巻きが「誰ちゃんがいじめたんだよ」とかいうようなことを言いながら園長先生に訴えに、直訴に来たわけなのです。本当に見るからに息を切らせて肩を奮わせるようなところはもう悔しくて仕方がないということなのですが、言葉にならないというところなのです。けれども、周りの子が、誰ちゃんがたたいて、誰ちゃんがどうしてとかいろいろ説明をするのだけど、その子自身は悔しさがいっぱいというところだったのですけれども、それで、「どうしたのかな」と言いながら、泣いている子をちょっとこっちの方に、「こちらに来て」と園長先生が引き寄せられたのです。そのときに、「そういえば、持っていたミミズどうした?」と園長先生が切り返したわけですね。そのときに、その子供の悔しいという表情が、きっとにらんだ目が一瞬和んでくるんです。みるみるというところなのですけれども、そうしながら、「あのミミズは死んでたんだよ」というような言い方をしながら、気持ちを整えていく時間になるのです。ほんの二、三分の出来事なのですけれども、そうしたら、園長先生が言われた言葉が、「それで、どうしたの?」と、いわゆるけんかの原因をその子に聞くと、「誰ちゃんがこうしたのだけど、こうだったんだよ」ということを自分の言葉で話せたわけですね。つまり、感情をコントロールしながら、自分の気持ちを調整しながら、自分の言葉で言えたということはすごいことだねと。そんな難しく、コントロールとは言わないけど、「自分で言えたの、すごいことだね」ということを園長先生がおっしゃると、にこっと笑って、訴えた者もみんなそこを去っていきました。私、幼児期の教育というのは、そういったいろいろな日常の体験が一つ一つの育ちを作っていくのだと思うのです。先ほど渡邉委員も非常に分かりづらいと。私はそこはどうにか、先生方も意識化していないところもあるのかなと思うのです。そういった指導の仕組みは、実は子供の気持ちを整えながら、自分でやってみたいこと、やりたいこと、してみたいこと、教育要領の言葉に幾つかあるかと思うのですけれども、それを言葉にするということで、それは日常の保育にちりばめられていて、なおかつそういうことを重ねることによって育てるべき資質や能力というものがしっかり見えてくると、そのことが接続につながっていくので、そういった仕組みをもう一度、仕組みといいますか、教育要領に書かれていることとのつながり、指導方法とのつながり、発達の姿と小学校の接続と、そういう問題をこの三つの柱に沿って考えてみるということは大事なことかなと思っておりました。
【無藤主査】  ありがとうございます。
私もお話をさせていただきたいと思うのですけれども、先ほど事務局から検討事項案ということでいろいろ出ていますが、その第一が幼稚園教育要領が目指す姿ということなのですけれども、要するに、資質・能力という考え方とアクティブ・ラーニングという視点ということなのですね。これをどう考えるかということなのですけれども、幼稚園教育はある意味で、最初からと言うのもあれですが、以前から資質・能力を大事にし、アクティブな在り方を基本にしていたと思います。そういう意味では、今までそうだったのだからいいのだよというのはそのとおりなので、ある意味で幼稚園教育の基本といいますか、中心部分はまさにこの方向で現在、これまであったと、それを引き継いでいくということなのだと思うのですけれども、ただ何人かの委員の方がおっしゃっていただいたように、幼稚園教育要領という文章の中で十分それが分かりやすく明確になっているかとか、こういった資質・能力、またアクティブな学びというのを幼児期の在り方としてどう定義するかとか、そして、それがまた小学校教育という枠の中でのそういったものとどうつながるかとか、その辺について十分明瞭化というと、分かりにくいところがやはりあるのかなと思っております。その意味で、今、神長主査代理も「論点整理」の方の三つの柱で言及していただきましたけれども、それとともに私は、「論点整理」、この緑色の冊子の18ページ、19ページに、アクティブ・ラーニングの視点をより砕いて見ると、三つの学びということになってくるという説明があるわけです。18ページの真ん中辺ですね。深い学びというのがあって、少し置いて、対話的な学び、そして主体的な学びというのが解説されております。これはやはり書き方としては小中学校を念頭に置いて書いていると思うので、このまま幼児教育に適用されるわけではないような気はいたしますけれども、ただ、幼児期なりの近いものはいろいろあり得るかなと思うわけです。最初の深い学びというところで、例えばですけれども、領域「環境」では、子供たちの思考力を育てるためにも好奇心、探究心を大事にするというようなことが出ておりますが、例えば、そういうこととも関連しそうですし、対話的な学びというのは、もちろん「言葉」の領域や「表現」の領域などで自分たちの考えや思いを表すとか、それを介して子供同士が協働するといったことはもちろん幼稚園教育の中心ですし、そして主体的な学びということでいえば、そもそも幼稚園教育の基本というのが、心情、意欲、態度を大事にする、あるいは自発的な活動としての遊びを中心とするというものですから、まさにここが幼稚園教育の中心でもあると思うのです。それを、もう少し具体的に、これまで領域の記載その他に書かれていることと結び付けながらより明確にしていく必要が多分あると思います。その際に、私の問題意識の一つとしては、5領域という領域を大きく変える必要は全くないと思うのですけれども、領域という考え方と、それに対して資質・能力とかアクティブ・ラーニングというのは言うなれば領域横断的とでもいいますか、小中学校的にいえば教科横断的、教科共通的な部分ですけれども、つまり、子供たちのいかなる活動であっても、資質・能力を育てる部分、またアクティブに学ぶ部分が必要だということだと思うので、その辺を幼稚園教育要領の記述上どういうふうに表していくかも考える必要があるなというようなことが私の問題意識としてございます。というのを注記程度で加えさせていただきました。
時間があと20分あります。全員にもう一回というわけにはいかない気がしますが、どなたでも手を挙げていただければと思うのです。どなたでも。
渡邉委員。
【渡邉(英)委員】  神長先生と無藤先生のお話を聞きながら、僕も事例的な話をしようかなと思います。一つは、横浜で接続期研修会とかで、いろいろな人と話をしていたら、結構今年いろいろな幼稚園が運動会でリレーの順番を話し合って決めようとか、競技を子供たちと話し合って決めようとかという話が出てきました。リレーで負けたらどう強くするかという話し合いでは、対話的な学びとか、主体的な学びとか、それから深い学びが見えてきます。教師が決めたリレーでは、うまくリレーができたかできないかとか、速いか遅いかだけなのですけど、そこのところで一人一人の子供たちに、遅い子もいたり速い子もいたりとか、転んでしまう子もでてきたりバトンを落としちゃう子もいて、配慮が必要な子もいたりしながらその子を責めるのではなくて、みんなでどうしたらいいかを考えていくようになっていきます。その子をどう応援していくかとか、遅い子に対して自分は何ができるかというふうに変わっていくとかという話になってくる。そういう話は領域を超えた面白さがある。それから、これは昨日、接続期の研修会を横浜市こども青少年局と合同で開催した中で、山形の先生が話された話です。一斉保育でずっといろいろなワークブックとかをやっていた園なのですが、そこが遊びを大事にする保育に変えてきたときに、子供達がしっくりしてきて、以前よりもトラブルも減ってきたというのです。そこの園長先生が話していたことは、タケノコ掘りを、お寺の中に竹藪で子供たちに任せてやろうということになったら、子供たちは重たいタケノコも自分で持ってくるし、どうやって掘ればいいかとかをすごく考えてくるようになったというのです。以前、行事として教師がさせていたときと、子供たちが本当に面白がってタケノコを探すところからやり出すのでは、すごく動きが変わったらしいのです。小学校の先生が教科として体育では体育だけを考えるとかというより、子供たちがそれぞれ好きなことを選びながら、一人一人の子供たちがちゃんと居場所があって、そこで一人一人が自己発揮し、それがお互いに認められてくるような教育のありようというのはやはり幼児期に学ぶべきだと思います。そういう一つ一つのことを考えていけば、1対1対応で何か教えるという話だけでなくて、どちらかというと、神長先生が言われたみたいに、総合的に、本当に豊かな生活の中で子供たちが育ち合っていくことが大事なのだと思います。
そういうような幼児教育の在り方や評価の仕方は、決してマル・バツ的な教育とか個別的な話だけではなくて、もっと全体の生活や環境を豊かにしていくような方向をどういうふうに示せたらいいかというのが大事な視点かなと感じました。
【無藤主査】  ありがとうございます。
ほかにございませんか。どなたでも。どうぞ、阿部委員。
【阿部委員】  質問的かもしれませんけれども、評価の在り方というところがあるのですが、実際には小学校、中学校、高校もそうですが、指導と評価の一体ということですので、こういう指導のところにまで関わってくると、評価のことについてもここで、この会とかこういったところで具体的なものはどの程度までを想定して私たちは話をしていけばいいのかなということです。最後の、指導要録とかそういったものではなくて、実際の何か、学校、それこそ幼稚園の先生方がお使いになれるような評価も含めて考えていくと考えればよろしいのか。その1点だけ少しお話しいただければと思いました。
【無藤主査】  はい。今の点は事務局のどなたか。
【沓澤子育て支援指導官】  評価につきましては、要録の具体的な細かいところまでこの会議で決めるということには多分ならないと思いますけれども、幼稚園、幼児教育における評価の在り方、考え方みたいなところをこの会でお示しいただければいいのかなと考えております。
【無藤主査】  ということなので、多分、本日の終わりに今後の段取り、簡単にはお話があるでしょうけれども、何回かあるうちのどこかでは評価を中心に議論するとか、そういうこともあると思います。
ほかに。大方委員。
【大方委員】  済みません、ありがとうございます。大方でございます。
先ほど無藤主査、神長主査代理がおっしゃったりしたこともそうなのですけれども、多分現場では5領域を領域別に保育しているわけではないので、基本的には総合的にということで、一つの遊びの中にもいろいろな多角的な視点があり、育ち合うということの意味が、現場では結局、保育の実践で何をすればいいんだろうというところにぽんと飛んでいってしまう。その間のプロセスというか、過程を、年齢によっても当然違ってくるということをどう示せるかということが結果として幼稚園教育要領が浸透し役立つということにつながるのかと思うのです。大きな意味では、この幼児期に長い見通しの中で、身体性という体をどう作っていくかとか、精神性をどう作っていくかとか、好きな遊びをするといっても、自分でちゃんと自己決定できるという自己形成ということであったりとか、体験の中できちんと、ごっこ遊びをしようと思ったら、いろいろな体験を記憶して認知していないとそれを多分表現できないと思うのです。体験をきちんと教育的配慮でもって言語化してくれる教師や大人がいたときに、その体験が記憶になり、思い出して、それをもう一度、遊び環境があればそれを再現できると、その辺の構造がどこかでうまく明文化できたり、示唆が入れば、もう少し幼児教育の中身そのものが小学校の先生や第三者の方々に意味を持っていくといいなという気持ちがしました。
それから、教師の役割というのがすごく大事になってくる。どういう働き掛けが、やらせ保育をするという意味ではなくて、先ほど神長先生がおっしゃった、何か設定しているときではなくて、一つ一つの生活の中でどういう働き掛けをする、そのことが結局観察するポイントに多分なってくると思いますので、その辺もうまく表していただけたらと思いました。
ありがとうございました。
【無藤主査】  ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょう。山下委員、お願いします。
【山下委員】  これまで委員の皆さんに述べられた、例えば規範意識や言葉であったり感性などは、冒頭私が言わせていただいた、円滑な接続の在り方についての報告の中の12項目に含まれていると思います。ということは、今後検討を進めて行く際、12項目をベースに検討をしていけばよいのではないかと思いました。
【無藤主査】  ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。宮原委員。
【宮原委員】  幼小連携のところも確かに大事なテーマではありますけれども、このグリーンの表紙の本の補足資料のところのスライドの22ページですか。恐らく新聞でも報道されていますが、生徒の自己肯定感とか社会参画に関する意識というのは私も非常に危惧していまして、高校生、自分は人並みの能力があるというのが諸外国に比べて低いのと、あと自分はだめな人間だと思うことがあるということが77.5%なんていうのも新聞に出ていましたが、アクティブ・ラーニングの基本という辺りは、先生が答えを一方的に教えて、このとおりになりなさいというものではなくて、違う答えもあるでしょう。算数は1足す1は2かもしれませんけれども、違う答えとか違う価値観みたいなところをもう少し自分で考えさせるような、そんなところの入り口がもしかしたら幼児教育ぐらいからだんだん上がってくるのかなと思うので、我々企業の採用現場でも、どういう答えをしたら内定をもらえるのですかとか、割と先に答えを教師とか上の人が教えてしまうみたいな傾向がございます。そういう人材が果たして社会で活躍できるかというと、私はそうはちょっと思えないところがありますので、アクティブ・ラーニングですとか、もう少し自分で物事を考えて、自分で責任をとって、自分で行動するような、そんな教育になっていったらいいなと思いまして、高校生のこのデータが少しショッキングだったものですから、そんなことを踏まえて、幼小の接続は当然大事ですけど、そこから先まで見据えた人材育成というところも少し議論に入ってくるといいなと思いました。
以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございます。
ほかには。嶋田委員、どうぞ。
【嶋田委員】  二つ目の柱のところの四つ目の丸のポイントで、接続の一層の強化をしてくための支援の方策ということで、先ほど寺岡委員ですとか、小学校と幼稚園の教育課程の違いから来る指導方法だとか学習方法の違いというのは出てくるのですけれども、今、交流・連携を通して、この成果を生かすために各幼稚園、それから小学校が自分の学校の教育課程に反映するというのが草加市では進んできているところなのですが、やはりその際の、小学校ではスタートカリキュラム、幼稚園では草加市ではアプローチカリキュラムと言っているのですけれども、この作成に係るアドバイザー的な人材の確保というのは非常に必要かなと思っています。簡単に言えば、予算的に付いたとしても、こういう人材を同時に育成していかないと、アプローチカリキュラム、スタートカリキュラム、それぞれ草加市では実施、スタートカリキュラムの方は今100%実施してきているのですけれども、100%といってもやはり内容的にはまだまだ大きな課題がある。それを支えていくようなアドバイザーの育成というのが非常に今、緊急課題かなというところがあります。そういった意味で、実務的な研修会の持ち方だとかそういったことにも、多分解説になってくるかと思うのですけれども、触れていく必要があるような気がしています。
【無藤主査】  ありがとうございます。
それで、主査として気付いたことといいますか、この会は主たる目的はもちろん幼稚園教育要領の改訂なのですけど、そこに、しかし、必ずしも盛り込まれないけれども、幼稚園教育、幼児教育について重要なことというのは、また多分別な会とか中教審の別の部会とか、あるいは別な形での施策とか十分あり得ると思うので、余り枠組みを固定化しないで自由に発言していただいて大丈夫だと思いますので、よろしくお願いします。
もう少し発言を。白旗委員、お願いします。
【白旗委員】  先ほども本質的な理解というのがということをお話させていただきました。幼稚園教育要領を読んで難しいというのは、教育そのものが結構難しいのだなという気がしています。小学校から教科になりまして、学年が上がるほど分かりやすい。体育を例にとって言うと、幼児期だと運動的な遊び、「的な」って何なのと。非常に重要ですけど、的な遊び。すごく重要ですよね、これ。小学校の低学年になると運動遊びとなって、中学年になると運動になって、高学年からスポーツにだんだんなっていくのですけれども、やはり低学年の体育が一番難しいのです。総合的なもので、子供がまずいて、子供に委ねられるところからスタートしていくと、非常に難しくて、ところが、これを理解されていないで、いきなり教科というか、このわざができなきゃだめだなというので、それまで大好きだった子たちが突然できないという現実に出合って、せっかくやりたいと言っていたのに、ちょっとたつと、そういう意欲がなくなってしまう。入学したときに、「何やりたい?」、「勉強したい」と言うのに、ちょっとたって聞くと誰も勉強したいと言わなくなってしまうと。この辺に非常に接続の重要性というのを感じています。ですから、この幼児期で接続を考えるのもそうなのですけれども、小学校もやはり接続ということでうまく合わせていかないと難しいなと思っています。
私もいろいろなところの研究会の講師とかやらせていただいて、幼・小・中・高・大までやっているのですけれども、一つ前の、例えば中学校の先生たちには小学校を見てもらうということをあえてスタートでやらせていただいたり、小学校の先生は1回中学校に行って中学校で何が変わるのかというのを見てもらってから研究に入るようにしているのですが、なかなか文章だけでは幾ら表しても理解しにくいところがあります。カリキュラムのマネジメントもあるのですけれども、そういうことがまたちょっと盛り込まれていかないと本質的にはなかなか変わっていかないのかなと、現実を見て思っているところです。
感想になりました。ありがとうございます。
【無藤主査】  ありがとうございます。
あとお一人、お二人ぐらいお願いします。寺岡委員、お願いします。
【寺岡委員】  本校の研究グループで大切にしていることが、保幼小連携を通して、子供が変わる、教師・保育者が変わる、保護者が変わるということと、また互恵性という言葉をとても大切にしております。なので、幼児教育と小学校教育の接続をすることによって、もちろん子供たちにとって大切なことが大切なことが何よりなのですけれども、子供たちにとってどのようなよさがあるのか、保育者・小学校教諭にとってどのようなよさがあるのか、又は保護者にとってどのようなよさがあるのか、あるいは園児と児童にとってどのような互恵性、どのようなお互いに恵みがあるのか、保育者・小学校教諭にとってどのような互恵性が生まれるのか、保護者にとってどのような互恵性が生まれるのかということをやはり大切にしていきたいなと。そこが恐らく明文化されたりよさがはっきりしてくると、今後推進するに当たって、接続する上ではやはり小学校教諭を変えることが大変だと思うので、なので、そういったことをこれからもちょっと一日野の研究グループとしても大切にしなくてはと思いました。
以上です。
【無藤主査】  ありがとうございました。
まだあろうと思いますけれども、時間がそろそろということですので、本日はここまでの議論とさせていただきたいと思います。
本日いろいろな御意見を頂戴いたしましたので、それにつきましては事務局の方で趣旨を整理していただくようにお願いしたいと思います。
また、今回、また今後もそうなのですけれども、時間としてかなり限られた中での討議になりますので、意を尽くされなかった部分、また後ほど思い付かれたところ、あるいは日頃からの実践や研究その他につきましては、是非事務局の方にペーパーでお寄せいただければ、この会に反映していただけるようにできるかと思います。
それでは、次回以降の日程につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【沓澤子育て支援指導官】  先生方、様々な意見、どうもありがとうございました。
次回の日程でございますけれども、机上の方にペーパーでも配らせていただいておりますが、11月20日金曜日に10時から開催を予定してございます。場所は文部科学省内の会議室を予定してございます。議題につきましては、本日の議論等を踏まえまして、追って御連絡させていただきたいと存じます。
また、先ほど主査の無藤先生の方からもお話がございましたとおり、ペーパーによる御意見等も頂戴したいと考えてございます。ファクス又はメール、郵送でも結構でございます。今後の論点の整理をしてまいります都合上、大変恐縮でございますけれども、11月4日水曜日までを目途に頂戴できればと考えてございます。
なお、本日の配付資料でございますけれども、机上の方に置いていただければ後ほど郵送させていただきますので、本日お持ち帰りいただかない方につきましては置いていただければと存じます。
以上でございます。
【無藤主査】  ありがとうございました。
それでは、本日の部会を終了させていただきます。御苦労さまでした。

── 了 ──


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