教育課程部会 言語能力の向上に関する特別チーム(第4回) 議事録

1.日時

平成28年3月3日(木曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

中央合同庁舎第7号館 文部科学省3階3F1特別会議室

3.議題

  1. 国語科及び外国語科・外国語活動を通じた言語能力の育成について
  2. その他

4.議事録

【亀山主査】
 定刻となりましたので、ただいまより、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会言語能力の向上に関する特別チームの第4回を開催いたします。本日はお忙しい中、御参集いただき、誠にありがとうございます。
 まず最初に、事務局から配付資料について説明をお願いいたします。

【平野教育改革調整官】
 失礼いたします。それでは、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第に記載しておりますとおり、資料1から9、その他机上に参考資料を配付させていただいております。不足等がございましたら、事務局にお申し付けください。
 なお、机上にタブレット端末を置いておりますが、その中には、本特別チームの審議に当たり参考となる関係する審議会の答申等や関連資料等をデータで入れております。詳細は次第の裏側の目次をごらんください。
 以上でございます。

【亀山主査】
 では、早速議事に入ります。
 初めに、本特別チームの審議会につきましては、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づき、原則公開により議事を進めさせていただくとともに、第6条に基づき、議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うこととさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 なお、本日は、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出がございまして、これを許可しておりますので、御承知おきください。
 それでは、本日は、特に「言語能力を向上させるための、国語科と外国語活動・外国語科の効果的な連携の在り方」についての意見交換を行いたいと思います。
 議事の流れといたしましては、前回の意見等を踏まえ修正した言語に関する資質・能力の関係の資料、国語ワーキンググループ、外国語ワーキンググループの検討状況、また前回の会議でお願いいたしました、委員からの意見の概要をまとめた資料、本日の検討事項等を事務局から説明いただき、その後、矢原委員から発表いただきます。そしてその後に、資料6に沿って意見交換を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、事務局より資料の説明をお願いいたします。本日の資料1から4について説明をお願いいたします。

【平野教育改革調整官】
 失礼いたします。それでは、まず資料1から4について御説明させていただければと思います。ちょっと順番が前後して恐縮でございますが、まず資料4をごらんいただけますでしょうか。
 資料4は国語ワーキンググループ及び外国語ワーキンググループにおける現在の検討状況でございます。国語ワーキンググループ及び外国語ワーキンググループにおきましては、本特別チームの議論も踏まえながら並行して御議論を行っていただいているという状況でございますので、その状況をごく簡単に御紹介だけさせていただければと思います。
 1ページおめくりいただきまして、まず国語でございますけれども、ページで言いますと3ページ目でございます。国語科で育成すべき資質・能力について、言語のこの特別チームで御議論いただきました内容も参考にしながら、同様の形で知識、技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力、人間性といった、この三つの柱に沿って分類して御議論を頂いているというところでございます。
 国語科の場合、少し国語科固有の取り扱う内容というのもございますので、例えば書写に関する内容が知識のところに入っていたり、読書に関する内容が情意・態度のところに入っていたりというところがありますが、基本的に言語特別チームの御議論を踏まえた整理が今はなされていると、そういう状況で検討が進んでいる状況でございます。
 もう1枚おめくりいただきまして4ページ目、5ページ目でございます。こちらも今見ていただいた3ページ目の資質・能力、特に知識、技能、思考力・判断力・表現力というものが、それぞれの学習活動の中でどう働いているかという整理をしたものでございます。
 国語科の場合、現在3領域ということに分けて指導をしておりまして、話すこと・聞くこと、書くこと、読むことと、この三つの領域で構成しております。それぞれの領域ごとに、どういったプロセスを経るのか、あるいは、そこでどういった能力が働くのかというのを御議論いただいているところでございまして、プロセスについては少し国語科で実際の授業展開をどうしていくかという場面も想像しながら御議論いただいておりますので、こちらで御議論いただいている内容よりは、かなり細かい過程を経るような整理になっております。これも引き続き御議論を頂いているという状況でございます。
 それから、もう1枚おめくりいただきまして6ページ目でございますけれども、国語教育のイメージということでございまして、国語教育について、特に小学校、中学校、高等学校と、それぞれの発達段階を考えた場合、それぞれの卒業時点で、どういった力を身に付けることを目指すべきかということで、イメージとして簡単にまとめさせていただいたものでございます。
 これについて、ほかの教科でも同様の議論がなされているところでございまして、これを踏まえながら、また更におめくりいただきまして、8ページ、9ページ目でございます。今の6ページ目の発達段階を基にそれぞれの、最初の3ページ目で見ていただいた3本柱に整理いたした能力を小・中・高と分けた場合どういった整理が考えられるかということで、これもかなり細かい、かなり指導内容に近い内容になってございますけれども、赤い色が小学校段階、緑の色が中学校段階、青い色が高等学校段階と、こういった点について重点的に指導することでどうだろうかという御議論を頂いている状況でございます。
 続きまして英語、外国語科のワーキンググループにおける検討状況ということでございまして、11ページ目をごらんいただけますでしょうか。外国語科ワーキンググループにおきまして、言語力の関係で申し上げますと、この特別チームでも御紹介させていただきました平成19年の文化庁の言語に関する答申、あるいはそれを受けた言語力育成協力者会議の報告などの整理も踏まえまして、このチームと同じように、言葉については知的活動、感性・情緒、コミュニケーションという三つの大きな側面があるだろうという前提で、特に外国語科においては、このうちコミュニケーションの部分を中心に御議論いただいて整理しているような状況でございまして、この11ページの下の枠囲み、少し緑色になってございますけれども、そこにございますとおり、学習指導要領において、3、言語の果たす役割として他者とのコミュニケーション(対話や議論等)の基盤を形成する観点を資質・能力全体を貫く軸として重視しつつ、上記1、2の観点から求められる資質・能力が明確となるよう整理することを通じて、外国語教育を改善・充実していくという方向で御議論が行われている状況でございます。
 1枚おめくりいただきまして12ページでございますが、そういった観点から、特にコミュニケーションという側面を重視した観点で、個別の知識、技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力、人間性と、三つの柱に整理した場合、どういった整理ができるのかというようなことが、この12ページの表でございます。
 また13ページの図につきましては、今回の改訂で外国語、英語教育がどう変わるのかという全体像を示したものでございます。ちょっと字が小さくて恐縮でございますけれども、一番右側のところが改訂後の小学校中学年、高学年、中学校、高等学校と、それぞれの発達段階、その時点でどういった能力が身に付いているかというものを整理したものでございます。
 それから14ページ目につきましては、こういったものを前ページの13ページの内容も踏まえながら、小学校中学年、高学年、中学校、高等学校それぞれの学校段階ごとの目標と、そのために必要な学習の過程をまとめたものでございまして、15ページにつきましては、CEFRという基準があるわけでございますけれども、そういったものに沿って、それぞれの聞くこと、読むこと、話すことといったような項目ごとに何ができるのか、どういったものが指標になるのかということについて御議論いただいている状況の資料でございます。
 それから最後、16ページでございます。外国語ワーキングにおける検討事項について、これまでの論点を整理されているところでございますけれども、特に小学校高学年の外国語教育について、現在の検討の方向性についてまとめたところの抜粋を、ここに用意させていただいております。
 以上、国語ワーキング及び外国語ワーキンググループにおける現在の検討状況というところでございます。
 引き続きまして、資料1から3について御説明させていただければと思います。資料1から3につきましては、前回の本特別チームにおける御意見、その後、特に国語のワーキングにおける御意見なども基に若干修正をさせていただいておりますので、修正点を中心に御説明させていただきます。
 まず資料1でございます。個別の知識、技能のところでございます。前回は「言葉の特徴やきまりに関する理解と使い分け」という、この二つ目の白丸のところに、かなり多くのものを盛り込んでいたわけでございますけれども、前回、言葉の働きですとか役割についての御議論も頂いたり、その中で言語文化については、溶け込ませるんじゃなくて、もう少し大きく出した方がいいんじゃないかという御意見も頂いたことを踏まえまして、少し、この「言葉の特徴やきまりに関する理解と使い分け」の中に含んでいた分を外に出させていただいて、一番上に「言葉の働き、役割に関する理解」というものを一つ立てさせていただきました。
 それから、「言葉の使い方」というものについても一つ立てさせていただいて、言語文化についても改めて立たせていただいた。内容的には、これまで含んでいたとは思っておりますけれども、少し明確になるように柱を立てさせていただきました。
 それから真ん中、思考力・判断力・表現力のところについては、前回、多角的に吟味し構造する力というところの、その吟味という表現を少し工夫してはどうかという御意見を頂きまして、何名かの委員にも御相談させていただきながら、精査し構造する力とさせていただいております。
 それから、他者とのコミュニケーションの側面のところでございますけれども、「相手との関係や」の後に、目的、場面、文脈、状況等の理解というものを入れさせていただいておりまして、いわゆるTPOの理解が必要ではないかという前回頂いた御意見を基に入れさせていただいたものでございます。
 それから、他者とのコミュニケーションのところの三つ目の黒ポツでございますけど、自分の考えや思いの伝達というものを入れさせていただきました。前回、たしか他人の状況を読み取るというパッシブなことばかりじゃなくて、自分の考えとか思いをちゃんと伝えるという両方の側面が必要じゃないかというような御意見がありましたので、それを踏まえて入れさせていただいております。
 それから考えを形成、深化する力のところで情報を編集・操作する力というものを新たに加えさせていただいて、ここにありました情報を取捨選択する力は、上の創造的思考の方に、むしろ移させていただいたという状況でございます。
 それから学びに向かう力、人間性、一番右側の欄におきましては、前回、言葉の持つ負の側面を意識した上でというようなことで書かせていただいていたんですけれども、ちょっとそこが意味が読み取りにくいという御指摘も頂きましたので、「言葉のもつ曖昧性や、表現による受け取り方の違いを認識した上で」というような形で修正させていただいております。
 それから資料2でございます。資料2につきましては、前回頂いた御意見を踏まえ、今見ていただいた資料1の表現に合わせるような形で、少し真ん中の黄色い枠組みのところを直させていただいております。
 それ以外の修正点で申し上げますと、下の思考から表現へのところ、文章や発話による表現のところの流れでございます。考えを形成したり、それを深めていくという部分が、上にはあるんですけれども下にはないということございましたので、少し入れにくかったのですが、例えば書きながら考えを形成していくような場面があるだろうということで、この横に点線で切って下に入れさせていただきましたけれども、考えの形成、深化というものをここに入れさせていただきました。
 それから前回、推敲のところで、文章の推敲に対応するものとして発話についての調整というものを入れさせていただいていたんですけれども。少し前回の表現が余りにも一般的過ぎるということで、ちょっと検討させていただいたんですが、なかなかいい表現が浮かびませんで、ある種、推敲という全体の枠の中に入れて、そこの中に文章の推敲と発話の調整という形で整理できるのではないかと。
 例えば発話する際に、どういうふうに説明したら分かりやすく伝わるだろうかという、多分頭の中で考える過程がございまして、そういった面に着目すれば、それもある種推敲という概念でくくれなくもないのかなと思いまして、ちょっとこういう整理にさせていただいております。
 それから資料3につきましては、ほとんど同じなんでございますけれども、特に2ページの例示の部分について、キャンベル主査代理から不適切な例示ではないかという御指摘を頂いた部分について修正、あるいは削除させていただいているという、その程度の修正でございます。
 この資料、特に1と2につきましては、今後のまた、この特別チームにおける議論の進展の状況、あるいは他のワーキングでの検討状況も踏まえながら、今後も適宜修正はしていきたいと思っておりますが、現在のところは、こういった形でまとめさせていただいております。
 私からの説明は以上でございます。

【亀山主査】
 ありがとうございました。今の説明について何か御意見等ございましたら、この後の意見交換もありますが、簡単にお伺いしたいと思っております。いかがでしょうか。
 私からの簡単な指摘ですが。資料1の学びに向かう力、人間性等というところで、ちょっと気付いたことですが、「言葉のもつ曖昧性や」とありますね。2行目が「言葉が持つ力」とあるんですが。ちょっと表現が「が」なのか、「の」なのか、分からないんですが、漢字、「持つ」の方を訂正お願いいたします。
 後ほどにも、いろいろ議論がありますので、次へ移ってもよろしいでしょうか。何かございますか。どうぞ。

【キャンベル主査代理】
 済みません。資料2です。真ん中の精査と解釈、この中に自分の考えや思いの伝達が多分加わったと思うんですけれども。こういう相手との関係性を考慮しながら、自らの主張を具体的に伝えるように、どういうふうに調整をするのか、考えるかということは、前回も申し上げたと思うんですけど、少し前面に、全体的に出していただいた方がいいかなと思っていて。これが入っていいと思うんですけど。
 その下の推敲のところで、発話の調整。この言い方は悪くないと思うんですけれども、その下のポチのところに、この二つが重複しているように感じます。例えば最初、相手に配慮した表現を取って、相手の立場や視点を考慮した展開とかとすると、まとまるんじゃないかなと思い、その代わりにですけれども、自分の思いを伝えるための具体化であるとか、具体的にどういうふうに伝えるかというような意味。今、ちょっといい言葉が思い浮かびませんけれども、そこを、自らの主張を伝えるためのこの具体性という意味のことを加えてはいかがかと思いました。
 以上です。

【亀山主査】
 貴重な御意見ありがとうございます。このあたり、事務局の方で、ちょっと調整して、文言、考えていただければ幸いです。
 ほかに何かございますか。どうぞ。

【福田委員】
 資料1のところなんですけれども、学びに向かう力、人間性等のところで、三つ目の黒ポチなんですが。括弧して自分の感情をコントロールしようとする態度というのが入っているんですけど、これを括弧を取って、一つ立てられないかなと思います。
 学びに向かうときに、不安な状態ですと、なかなか動機付けが高まらないということで、感情が平穏な状態でないと、うまく学びに向かえないとか、あるいは言葉を幾ら知っていても、コミュニケーションを考えたときに、自分が非常に怒っているような状態、あるいは不安な状態でコミュニケーションしても、うまくはいかない。そういう意味で、この感情がコントロールされている状態というのは非常に重要だと思うんですね。
 その感情をコントロールするためには、言葉というものが非常に役に立つことが知られておりますので、この括弧書きを取って一つ立てると、この態度ということに非常に関わる内容になるかなと思いました。
 以上です。

【亀山主査】
 非常に大事な指摘で、このあたり、立てるか立てないかということについて何か。特にとりわけ反対がないということであれば、事務局の方に、ここで丸ポツで付けてもらおうかと思いますが、よろしいでしょうか。よろしいですか。何か。はい。では、そのようにさせていただきます。
 先生、ちょっとこの文言上のアドバイスを後ほど事務局にお願いいたします。
 では、事務局からの本日の意見交換を行う資料5から8までの説明をお願いいたします。

【平野教育改革調整官】
 失礼いたします。それでは、まず私の方から資料5、6、7について説明させていただければと思います。
 まず資料5をごらんいただけますでしょうか。前回、主査から、日本語と外国語の双方を学習することによって言語能力の向上に効果があると考えられる点について委員の皆様方からの御意見を頂きたいという御依頼がございまして、多くの委員の方々から御意見をお寄せいただきました。内容については、かなり重なる部分もございましたので、少し事務局の方で、この資料5の形で委員の皆様の御意見をまとめさせていただいております。
 まず言語能力の向上についての課題を御指摘いただいた御意見がございまして、一つ目については、母語である日本語が、我々日本人にとっては無意識に習得できてしまっていることから、日本語による世界の切り分けが当たり前であると、つい思い込んでしまうということがありまして、それが外国語の学習の際に、外国語も同じだという思い込みで見てしまう側面が課題としてあると。
 今度は一方で逆の見方になるのかと思うんですけれども、日本語と外国語の構造、語彙というのは表面的には非常に違っているような部分もございますので、だから理解できないんだと逆に思い込んでしまうような課題も一方ではあるのではないかという御指摘も頂いております。
 それから、二つ目の白丸でございます。日本語と外国語の違いの理解について、メリットがあるだろうという御意見を幾つか頂いておりますけれども、言葉の比較を通しまして、言葉としての共通性ということと、一方で違いがあるということが理解できるのではないかと。また、その同じ日本語の中であっても、地域や世代、個人によって異なりがあることに思いをはせるようなことができるのではないかということでございます。
 それから、日本語と外国語を相対的に捉えることによって、その構造や語彙などの仕組み、それらが統合されて働くシステムとしての理解、その背景となる文化というものに、それぞれ気付くことができて、それぞれの理解を深めることができるのではないか。
 あるいは、三つ目の黒ポツでございますが、日本語と外国語では表現の仕方の種類が異なるので、表現の仕方の種類、バリエーションを広げることができることにつながるのではないかという御意見を頂いております。
 それから四つ目の黒ポツでございますけれども、言葉を学ぶことは、いわゆる文化やものの見方・考え方を学ぶことでもあるということでございますので、そういったものの学習を通じて、相互理解のための準備的なものができるのではないかというような御意見を頂いております。
 2ページ目でございます。日本語や外国語の運用に共通して必要な資質・能力の育成という観点でございますが、日本語や外国語を実際に運用すると。典型的には、その例にございますように、スピーチですとか、プレゼンテーション、ディベート、ディスカッションというようなことであろうかと思いますが、こういった資質・能力を、あらかじめ日本語の学習を通じて学習、育成しておくということで、この外国語において、そういったものを学習する際に活用することができると、そういった連携が考えられるだろうということでございます。
 それから、二つ目の黒ポツでございます。日本語で生活している中では、なかなか言いたいことがそのまま言えない状況に直面するということは余りないわけでございますが、外国の場合には、それが往々にしてあると。そうすると、伝えたいことをどう表現したらいいかという試行錯誤するような経験がございますので、そういったことを通じて、外国語の学習の中で、そういった思考、あるいは学習することを通じて、日本語の表現の多様性というものにも、いずれ貢献していくのではないかという御意見でございます。
 2ページの一番下の黒ポツでございますけれども、無意識に運用できる日本語とは違って、意識して運用しなければならない外国語の学習をやることを通じて、言葉の学習に対する意欲が育まれるのではないかという御意見を頂いております。
 それから3ページ目でございますけれども、それぞれの日本語ですとか外国語の個別言語というものによらない推論能力ですとか、談話的能力ですとか、一般的な世界に関する認識、メタ認知能力、そういったものについては、母語の能力と外国語の能力の間で相関が見られるという報告があるというような御指摘でございます。
 続きまして、言葉そのものへの意識、言葉による思考や学習のメタ認知ということでございますが、その双方の言葉の特徴などを相対的に捉えることによって、言葉そのものへの意識、メタ言語意識というようなものが呼び起こされる機会が増えるのではないかということ。それから、そのメタ言語意識の高まりは、今無意識に使っている日本語への意識を高めることにもつながるのではないかということでございます。
 4ページ目でございます。上の黒ポツでございますけれども、言葉によって、どのように知識を獲得し、自分なりの整合性のある知識のシステムを自分の中に作り上げるのかを自覚することができるという御意見でございます。
 それから、最後の白丸でございます。言葉の働き、人間の心や思考が同じであることの理解ということでございまして、日本語と外国語を相対的に捉えることによって、表面的には違うんですけれども、深いところでの共通性、普遍性、あるいは言葉の働き、人間の心や思考の基本は同じだということが理解できるのではないか。
 また二つ目でございますけれども、言葉は社会共通のものであるとともに、個人のものであるということを理解して、その両方を、両面を尊重しようとする態度を育むことができるのではないか。こういったような委員からの御意見を頂いているところでございます。
 これも踏まえまして、本日御議論を頂きたいポイントを資料6にまとめさせていただいております。資料6、1、2、3とございます。
 まず1点目でございますが、この国語科と外国語活動・外国語科の学習を通じまして、どういう連携をしていくべきなのかということでございます。
 その際、例えばディベートならディベートというような同じ活動をするのは非常に見やすいわけでございますが、そういう活動自体が目的になってしまってはまずいだろうということでございまして、その中でどういった資質・能力を育成していくのかという意識をしていく必要があるだろうと。
 その観点で、1、2、3とございますけど、国語科で育成した資質・能力を外国語科・外国語活動の学習に生かす場合。逆に、その外国語活動・外国語科で育成した資質・能力を国語科の学習に生かす場合と。3点目としては、その国語科の学習の中に外国語を取り入れたり、外国語の学習の中に日本語を取り入れたりということをやって資質・能力を育成する場合と、3通りの方法が主として考えられるのではないかというわけでございますが、そういった実際の指導の中で、どういったやり方が具体的に考えられるのかという御提案を、あるいは御示唆を頂ければと思っております。
 また2点目でございます。さらには効果的な指導をしていくに当たって、具体的な手法が幾つか、この後紹介させていただきます実践事例の中でもあるわけでございますけれども、例えば同じ教材を使っているような事例ですとか、短時間学習を活用するような事例、あるいはICTを活用する事例というものがあるわけでございます。こういったものを活用する場合に、もちろんいい面と気を付けなければいけない面と両方あろうかと思いますので、そういった点についての御指摘を頂ければと思っております。
 それから3点目でございます。その外国語科、それから国語科を効果的に実施していく上で、教科を担当する教員の連携が当然不可欠なんでございますけれども、それを実際にどういうふうに連携を進めていくかと。その際に、どういう点がポイントになって、どういった点が課題として気を付けなければいけない点なのか。
 特に小学校の場合ですと、基本的には一人の教員が教えるわけでございますけれども、中・高になってまいりますと、教科担任がそれぞれ異なるということでございますので、この点については後ほど矢原先生からも御紹介があると思いますが、こういった点について連携をするためのポイントや課題について御意見を頂ければと思っております。
 今の御議論いただきたいポイントで言いますと、特に1点目に関わるものとして資料7を用意させていただいております。これにつきましては、左側が国語科での、特に言葉の働きや仕組みに関する指導内容の主なもの、右側は外国語活動・外国語科で小学校中学年、高学年で、これから恐らく盛り込まれるであろうというものを並べさせていただいたものでございます。
 国語科の方は、基本的には現行の学習指導要領をベースに書かせていただいておりますが、一つ、緑色の吹き出しで、ローマ字の学習を通じてというところが中学年であろうかと思います。この点について、小学校3年生でローマ字学習するということなんでございますけれども。特にローマ字の学習、母音と子音の組み合わせによって音声が作られているようなところを意識した指導は今できていないので、そういったところは少し付け加えていく必要があるだろうと思いまして、ちょっと強調させていただいておりますが、それ以外は基本的に現行の指導要領をベースに整理させていただいております。
 これ見ていただきますと分かりますように、言葉の仕組みについての指導内容というのは、それぞれ関連付けをすることは可能なんでございますけれども。ただ、これ、こう関連しているというだけでは多分何の意味もなくて、これを児童にきちんと意識させたり、指導の効果を上げるためには、実際どういった指導の場面で、どういった指導の在り方があるかをちゃんと考えていかないといけないというところが言えるかと思います。
 そういった点で、こういったことを児童に意識する、あるいは教員が意識して指導できるようにするためには、どういった点に留意すべきなのかという点について、是非御意見を頂ければと思っております。
 続きまして、圓入室長からの説明に移らせていただきます。

【圓入外国語教育推進室長】
 それでは、資料8をごらんいただければと思います。
 学校における取組事例ということで、こちらにつきましては、これまで外国語教育におきまして、昨年度、この中教審の議論が始まる前の英語教育の在り方に関する有識者会議での御議論、それから中教審での御議論が始まって、方向性を御意見頂きながら取り組んでまいりました取組事例ということで、本日御参考になればということで御紹介させていただきたいと思います。
 1ページでございますが、まず昨年度の有識者会議の報告を少し抜粋をさせていただきました。現状と課題ということでございます。当時、この議論の中では教科化ということも打ち出しが政府として出ておりましたので、それに沿って何が現状の課題としてなっているかということから議論がスタートしておるわけでございますけれども、現状の課題、赤字のところをごらんいただきますと、外国語活動、今現在行われておりますが、音声中心に学んだことが、例えば中学校での段階で音声から文字への学習に円滑に接続されていないこと、それから発音とつづりの関係の学習や文構造の学習に課題があるという御指摘ございました。
 このような状況を踏まえて、高学年段階において、文字の扱いや文構造の気付きなど、それから中学校との接続を意識した指導に有効な教科書や教材が必要であるという御指摘を頂きまして、今後の方向性のところをごらんいただければと思いますが、それに対応した教材を、まずは作らせていただいて、今、26年度から先取りした取組として、国の方で地域を指定させていただいて、次期指導要領の改訂の方向性を踏まえた取組をしていただいている「英語教育強化地域拠点事業」がございますが、そこの学校で実践していただくということを進めていただいております。
 その御説明が、1ページお開きいただきますと、英語教育強化地域拠点事業ということでございまして、今29カ所指定させていただいておりまして、お取組としては、今議論されております小・中・高一貫した目標設定をして、実際に授業でも今年度から本格的に展開をしていただくような取組をしております。
 2ページの後段は、その矢印の工程表がございますけれども、26年度からスタートし、有識者会議の報告を踏まえて、26年度には小学校高学年向けの新たな補助教材を開発して、この4月から取り組んでいただいているという状況でございます。
 次のページに移らせていただきたいと思います。具体的にどのような教材にさせていただいたかという簡単な御紹介でございます。先ほどの有識者会議の御指摘を踏まえますと、上段の方にポイントというのを2番目に書いておりますところをごらんいただければと思います。これまで「聞く」「話す」ことが中心な活動ではございましたけれども、「読む」「書く」の態度の育成を含めたコミュニケーション能力の基礎を養うということで、デジタル教材を作るということ、映像や音声を効果的に活用しながらということで、それを使いながら、マル1からマル3のようなことに取り組んでいただいております。時間が短いので、恐縮でございます、ここはごらんいただければと思いますが、先ほど来御説明を頂いているような、そういった関係の取組かと思います。
 ちなみに、これについては、今年度、来年度で検証いただいて、29年度には、その結果を踏まえ、それから中教審の答申を踏まえ教材を開発し、30年度以降、これは先行実施が予定をされているという状況でございますが、国としても教材を作らせていただいて、配付させていただく予定でございます。
 3ページの後段は、今一番小学校で活用、96%の学校に配付させていただいている教材の『Hi,friends!』というものでございますが、それに加えて『Hi,friends!Plus』ということで、一体的に新しい教材を使っていただいている状況でございます。
 次の4ページでございます。これを、例えばワークシートなどをホームページに公開をして使っていただいているわけでございます。例えば4ページの後段をごらんいただきますと、どのように使っていただくかということなんですが、左側に、今現在の『Hi,friends!2』の、これは主に6年生が多分取り組んでいただいていると思いますけれども、単元ごとで、大まかに言いますとLesson1からLesson8ございます。
 そういったものをベースにしながら、『Hi,friends!Plus』ということで、右側の真ん中、二重丸三つございますが、そういった取組を併せて実施いただいている状況でございます。
 5ページがその一部でございまして、上段が日本語と英語の音声の違いや特徴への気付きということで、先ほどの論点でも御説明ございましたように、デジタル教材の中で、上段の方は、映像が、熊が出ておりますけれども、動画でございまして、子供たちの関心を引きながら、ネイティブの音声で、その違いに気付くような、そういったワークシートとともにデジタル教材を活用するような活動をしていただいております。
 後段の方は語順の違いなどの文構造の気付きということで、絵本を二つ作らせていただいて、二つのテーマで実施されている状況でございます。
 これを、次の6ページに進めさせていただきますけれども、今年度の中教審の外国語ワーキンググループで報告をさせていただいたものが、こちらになっております。10月現在ということでございますので、4月から半年、きょうのお取組でございますけれども、どのような効果、課題が出てきたかということの御報告をさせていただいております。
 主な取組状況の中に、意識的に、3番の(2)でございますけれども、言語能力を効果的に高めるための国語教育との連携ということで、半数近くの小学校で、例えば音の違い、文字表記の仕方、文構造の違いの気付きに関する取組を今していただいていることが分かりました。
 また、先ほど短時間の学習のことについて触れられましたけれども、そちらについても、この新しい補助教材を活用しながら取り組んでいただいているという内容になっております。
 ページが飛びますが、8ページが、そのお取組の状況でございます。
 9ページ以降が、更に少し深堀りしまして、先ほど来三つの柱で取り組んでいるということをお伝えさせていただきましたけれども、これを主な柱として、さらに、どのような教材を使って、どのような効果や課題が表れてきているかというのが9ページ以降でございます。
 時間がございませんので、3番の(3)をごらんいただければと思いますが、例えば国語と英語の音声の違いやそれぞれの特徴への気付きを促す指導についてということで見ていきますと、児童が国語と英語の音声の違いについて気付き、それから英語としての発音をしようとしていると。それから、表記の仕方等の特徴への気付きを促す段階、まだまだ課題としてはない学校もあったというような、少し課題なども併せて出てきているということで、次のページ以降に、その効果と課題を挙げております。
 10ページの前段のマル2におきましては、例えば単語の認識を深めることについてということについて、取り組んだ学校におきましては、『Hi,friends!Plus』を活用しまして、児童が単語を読もうとする意欲や態度、姿が見られてきたということで、使っていらっしゃる学校と使っていない学校の比較を正確にしたわけではございませんが、かなり意欲が高まっているというようなお声をお伺いしております。
 11ページ以降は、後ほど是非ごらんいただければと思います。
 少し飛びますけれども、事例の方も御紹介したいと思います。20ページ、21ページからお開きいただければと思います。
 20ページは、先ほど申し上げましたように、成果、効果ということで少し書かせていただいておりますので、是非ごらんいただければと思います。
 21ページが事例でございまして、例えば「聞く」「話す」から「読む」「書く」に重点を置いた事例ですとか、後段は短時間の学習の取組事例。
 次のページをお開きいただきますと、もう一つ、短時間に関する取組の事例がございますが、かなり、もともとの45分の授業と関連付けをして、教育課程の中に位置付けをして実施している短時間の学習につきましては、『Hi,friends!Plus』で基本的なことを学んでいただき、定着が図られていっているのではないかというものがある一方で、少し形式的になると児童の意欲の減退が見られるような課題も出てきているところでございます。
 さらに22ページの後段につきましては、これは宇治の黄檗学園宇治市立宇治小学校でございますが、ここは宇治市が教育長のリーダーシップを発揮いただいて、こういった連携の取組をしていただいているというものでございまして、成果・効果をごらんいただきますと、例えば国語・英語におけるCan-Doリスト、それから国語・英語を併記した一貫カリキュラムというものを、国語と外国語を担当されている先生方がカリキュラムを共有して、一緒に作成をすることの上で、小さい字で恐縮ですが、ポツのところをごらんいただきますように、先ほど来お話しいただいている言葉の働きや声に関する理解に関連したお取組、ローマ字のお話がございましたけれども、そういった子供たちのつまずきが起きないように意識しながら、先生方が効果的な指導法はどういったものかを模索されているというお取組でございます。
 次の23ページごらんいただければと思いますが、中学校の例も一つ御紹介をさせていただきたいと思います。言語能力を高めるための連携に関する取組事例と。京都光華中学校、私立でございます。こちらについては、実施内容をごらんいただければと思いますが、国語の授業で指導している「文章の書き方・話し方」などの単元を踏まえ、英語の授業におけるスピーチやプレゼンテーションの原稿作成や発表に役立てるということも取り組んでおられて、その中で、まだまだ本格的ではないということをお伺いしております。例えば、字が小さくなって見えなくなっておりますけれども、国語との関連を記した指導計画表というものを、それぞれの教科担当の先生が一緒になって作られているそうですが、環境という題材をテーマに一緒にお作りをされていると。
 成果・効果という意味では、まだまだ始まったばかりでございますけれども、生徒の意欲・関心、表現力の向上などが見られると。「伝え合うことの大切さ」などや文構造の違いを超えた言語そのものの価値について感じ取れる生徒も見られるようになったという変容が感じられるというようなお話がございました。
 それから、ちょっと飛びますが25ページをごらんいただきますと、外国語のワーキンググループにおきましては、次期学習指導要領の方向性を御議論いただきながらイメージを、これは年間指導計画のイメージでございますが。この共通教材につきましては、今『Hi,friends!』を使っておりますけれども、その『Hi,friends!Plus』と併せて様々な工夫がなされているということでございまして、それをベースに、「聞く」「話す」だけではなくて、「読む」「書く」を少し加えていった形であることと、それから先ほど来、国語との連携ということで御紹介したような内容も、この中に、あえて意識的に入れさせていただいております。
 また短時間学習の例も、きちんと効果的な指導が図られるようにということで、45分と15分と60分とすると。意味のある場面設定の中で深まりのあるコミュニケーション活動を行うことなども考えられるというような御意見を頂いたものを例示として御検討いただいている状況でございます。
 最後のページが26ページでございまして、ごらんいただければと思いますが、これまでのお取組の中で、委員の先生方や、それから教育委員会、学校の方々の声をお聞かせいただいた上で少しまとめさせていただいた、今後の方向性に関する示唆等ということで、例として挙げさせていただいておりますので、御参考までに付けさせていただきました。
 主な効果は先ほど御紹介したとおりでございまして、課題でございますけれども、具体的な連携をするということでは、どの段階で、例えば語順の違いなど文構造への気付きを促すのか、どの程度まで促すのか、やはり迷いながら先生方が取り組んでいらっしゃるということでございました。
 それから具体的な、そのためには指導例や対応した教材、それらを活用するための研修などが必要と。この中には、効果的にという意味では、デジタル教材がかなり効果的であるということが指摘されていますので、そういったものも想定されるかと思います。
 また小学校につきましては、学級担任が全教科を指導することが通常でございますので、担任の先生方が国語教育の学習内容、活動について熟知していただいていると思いますが、それらを外国語教育で、例えば生かす指導力、それから他教科との関連という意味では、今現在議論いただいている「カリキュラム・マネジメント」力が求められるのではないかということでございました。
 さらに、中学校では教科担任制でございますので、それぞれの教科担当の先生方が、やはりお互いのよく理解をすると。それらを各教科内で生かすことができる、教科を超えた「カリキュラム・マネジメント」の力が一層求められるのではないかという御意見でございます。
 そういった意味で今後の方向性ということで、以下三つほど書かせていただいておりますが、こちらの会議でも御指摘いただいているように、「言語の働きや仕組みの理解」、「育成すべき資質・能力を踏まえた言語活動」という観点から、より具体的、効果的な指導の在り方などについて御議論いただいたらどうかということでございます。
 それから、最後の丸でございますけれども、やはり、それぞれの教科のカリキュラム・マネジメントを具体的に示していただいてはどうかと。学校現場の先生方に、やはり分かりやすく示していただいてはどうかということで、少し最後の丸に例示なども書かせていただいております。
 御説明としては以上でございます。

【亀山主査】
 ありがとうございました。
 では続けて、矢原委員より資料9の発表をお願いします。15分程度ということで、若干押しているものですから、10分ちょっとでお願いできれば幸いです。程よく御協力のほど、お願い申し上げます。

【矢原委員】
 努力します。失礼いたします。それでは、資料9を基にお話しさせていただきたいと思います。
 まず本校、広島中学校は、併設型の中高一貫教育校で、現在スーパーグローバルハイスクールということで、中学校、高等学校あります。そして、その中で、この「ことば科」というのは、平成19年から3年間の研究開発学校のときに、現在のような形に整えております。そして今は、教育課程特例校として特設しているということをお知りおきください。
 まず1枚目なんですけれども、こちらの方に簡単に国語系の領域と英語系の領域がある、そして週に2時間、年間では各学年60時間を、まずあるということをお知りおきいただきたいと思います。
 私から、この後、どのような力を付けていこうとしているのか、目標に関係すること、そしてカリキュラム・マネジメントということで、国語系と英語系の領域の連携の在り方、また他の教科との連携の在り方の具体について、そして、この「ことば科」による効果というもの、そして教科同士の連携を図るためのポイントについてお話しできればと考えております。
 それでは、まず、どのような力を付けていきたいかということですが、1枚に示しております。こちらは国語系、英語系の両領域について共通して指導事項という形で内容を示しています。領域間で共通して、この目標を達成していこうというようにしています。
 簡単に言いますと、国語系領域で情報を関連付けて構成を考えて表現するということを指導し、併せて英語系でも同じような指導事項、言語活動を重ねて学習していく、そういった仕組みにしております。
 内容のところにAとBとあるんですが、この目標、指導事項を思考することと表現することという大きく二つの観点に分けて可視化しています。その中でカリキュラムを作っていくわけです。
 見ていただければと思うんですが、Aの思考することを簡単に、下線部が引いておるんですけれども、ア、イ、ウ、エという順番があります。情報整理・分析、総合・解釈、そして評価・認識という、思考の過程になるべく沿って並べています。
 表現することのBの方もア、イ、ウ、エ、オまで付けているんですけれども、情報収集・整理から構成・情報伝達、そして評価・認識という、これもそういう表現する過程を意識したものとなっています。本日出されているような思考と表現の関係にも関わることかなと思っております。
 この作成に当たっては、当時、各教科の学習指導要領の言語活動に関する記述やPISA調査等を参考にして一応作っているということをお伝えします。
 続いて、今度は2枚目を見ていただければと思います。2枚目にはカリキュラム構成。本校におけるカリキュラム・マネジメントというところであるかと思うんですが、ここについて紹介させていただこうと思っております。
 まず見ていただくと、中学校第1学年は、国語系の論理領域の方を中心にスタートしております。ここでやっていることをまずお伝えするんですが、ここでは言語運用能力の指導の充実を願っています。基本的な考え方としては、言語に関する様々な約束事、型ですね。そういうことに気付かせて、その約束事を使って物事を考える機会を持って、それが身に付いてくるにしたがって、その意味を理解して、自分のものとさせたいと考えています。
 具体的にしておりますのは、例えば受け答えであるとか、順序や構成を意識して伝えること、事実を正確に伝えること、またあえて目的、場面を考えて情報を理解したり伝えたりすることというようなことです。全体像や結論的な情報を先に述べた後に、理由や根拠を順序立てて整理して述べさせるような、そういったトレーニングを行っています。さらに、主述を整えた文や段落などを意識させた文章を、短いですけれども、書かせております。そして、そのトレーニングしたことを理科、また社会の合科的な課題解決学習に応用させることで、どんどん使わせていく、そういった仕組みをとっています。
 それから、1学年の後半になると、プレゼンテーションというところで英語系が入ってくるんですが、こちらについては同じような言語活動を、英語と国語が一緒になっていくことでスライドしていくというような形をとっております。
 それから、1学年の終わりのところにスキットというのがあるんですが、これはどのようなことかと申しますと、ここはロジカルと言うと、ちょっと関係ないかもしれませんけれども、具体的に日本の昔話を英語のスキット、寸劇で表現してみようというような活動を入れています。その際は、例えば『花さかじいさん』であるとか、『ももたろう』であるとか、こういったものをそのまま英語で表現しようと思ったら、非常に英語化するのに苦しむわけです。ですから、まず日本語で、どのような形にすれば英語にしやすいのかということに整理しながら、そしてみんなに伝えられるような英語を選択して調整していく、そういった活動を繰り返してやっております。しっかり考えさせて表現させていくというような活動です。
 2年生のところには、そのまま今度はバラグラフライティングということがあります。これも条件として、外国の子供たちに、例えば学校紹介文を伝えようというような課題を設定して、まず日本語で簡単に整えていきながら、じゃあ英語化していこうという形です。
 2年生の方から途中、国語と社会によるディベートというものをやっていき、中学校の3年生では英語でディベートを後半に持ってくるようにもしております。
 こういった活動と教科の連携というものを重ねながら、本校ではマネジメントしていっております。
 そういった中で、我々は、例えば外国の子供たちに伝えられるような言い方にしようというところの前に、まず日本語を勉強している外国の方にも分かるような日本語に整えてみようと呼び掛けてみて、そして主語や述語、目的語を明確にさせたり、順序を意識させたりして、書いたり述べさせているというような授業場面があります。
 続いて、効果についてお伝えしたいと思っております。ことば科を、こういう国語科、そして英語科の連携を重視してやっていくと、大きく四つの効果が見られます。
 まず日本語と英語の違いについて、生徒から、「英語では誰が何をというのが分かりやすいが、日本語では省略されているので、主語などを意識するようになった」というような、主語や述語、目的語の文構造や順序性に関わる気付きが多く見られています。これは日本語で理解したり表現したりするときも、誰がとか、何をというような省略しがちな日本語を意識して補っていく、運用していく、そういうことにつながっていると思います。
 2点目ですが、英語で文章作成する機会があります。その際に生徒たちは、このように言っています。「まず伝えたいことを分かりやすい日本語にしてから英語にしていく。その方がやりやすいんです」と言っています。こういう手順を踏んでいる場面が非常に多く見られると同時に、読み手にとって非常に読みやすい英文となっています。日本語の段階で短文にしたり、主語や目的語を明確にした上で英文に直していくということです。
 また、研究開発当時のデータを見ますと、つなぎ言葉の使用が英作文に多く見られているということがありました。特に階層化していく、又は結論付けていく、例示とか追加をしていく、そういったつなぎ言葉が多いと聞いています。
 3点目として、国語、外国語のそれぞれで表現する際に意識していることとして、誰に対して、どのような言葉を持ち、どのような順序や構成で書いたりすると効果的であるかという意識が非常に高くなっています。相手意識や目的意識だと思います。そういった中でパフォーマンス、例えば作品であるとか、発表とか、そういったところに表れている。これは全体的に表れています。
 4点目としては、これは学力調査等なんですけれども、例えば活用に関する問題、また今年度行われた英語力調査等でも非常にバランスがいい。バランスよく定着している生徒が非常に多いというようなことを聞いています。
 主に4点なんですけど、本校は中学校、高等学校ということなので、高等学校の方でも聞いていることとしては、本校の卒業研究という卒業論文を作成する際にも非常にそういったものが役立っているというようになります。ですから、書き方、述べ方というところの指導はなく、中身のところの議論を中心にしていけるということで、効果があると聞いています。
 さらに、これは教員側の成果かと思うんですけれども。ディベートの活動などは、このことば科の授業で国語の教員と社会の教員がやっているんですけど、授業を離れて外部のディベートの大会に出るときには、ディベートを社会科の教員が主に指導して連れていくような、そういった効果も見られます。
 それでは最後に、連携を進める際のポイントで、本校の場合を少しお伝えしたいと思っています。国語科と外国語、英語科の教員が非常によく連携しているという場面が見られます。教科書を見せ合ったり、そういう中で、あっ、こういう文法をこの時期に習うんだねというのを改めて感じたりということです。そういったことを、ことばの授業ではもちろんなんですけれど、それぞれ国語科の授業、英語科の授業でも触れているというところです。
 先ほど例を挙げたように、日本語をまず整えてから、そして分かりやすい英語に直して組み合わせていく、こういったところに表れているのではないかと思います。
 それから、国語科、外国語科が、そういった言語運用の面の指導を重点的に行うだけでなくて、本校は社会科であるとか、理科であるとか、そういった教科も入ってくるんですが、そういった際も、どういった単元を作っていくかというところで、社会科、理科では、どのようなことを学んでいるのか。そして一つの資料、データをどのような観点で見ていくのかというものを、言語教科の我々と議論しながら作っていっております。
 これも本校の高等学校の例ですけれども。高等学校にことば科はありませんけれども、高校2年生に一度、英語の中で社会科的な内容の資料を持って学習していくグローバル・エクスプレッションという授業を今年度特設しているんですが、そういったときには英語科の教員が、社会でどのようなことを学んでいるのかを、よく連携していました。そして授業には、社会科で使っている資料などを持ってこさせて活用させていたというようなことがあります。また、このグローバル・エクスプレッションの授業では、英語の教員が「こういうことをしていきたいんだが」というのに意見を社会科的な視点からもらっていると、そういう場面も聞いております。連携が欠かせないのは言うまでもないかなと思いますので、お伝えしたいと思います。

【亀山主査】
 御説明ありがとうございました。
 今の矢原委員の発表につきまして、質問等ございましたら、5分ほどで質疑応答を行いたいと思いますが。松本委員、お願いいたします。

【松本委員】
 すばらしいお取組で勉強になりました。質問一つと感想一つなんですけど。
 このことば科というのを始めるに当たって、切り口を論理とロジックにしたのはなぜか。言葉にはいろいろな側面あると思うんですけど、国語では論理、英語ではロジカルコミュニケーションとしたのはなぜかというのを教えていただきたいのが私の質問です。
 もう一つは感想なんですけれども。二つ目の効果で英語文章作成能力が付いたという御発言の中で、分かりやすい日本語にしてから英語に直すというお話があったんですけど、広島中学校の生徒さんと先生のレベルであれば、英語でアウトラインを書いてから英文を書くという指導に新年度からは変えていただきたいなというのが感想です。
 質問だけお答えいただければ結構です。

【矢原委員】
 論理、ロジックを中心に、この教科を立ち上げた理由としては、本校、平成16年度に開校するに当たって、教育方針の一つにグローバル化、次代に活躍する人材育成。その中で授業を通して論理的な思考力、表現力がこの時代に必要であるということを明確に打ち出した、それに沿っております。

【松本委員】
 ありがとうございました。

【亀山主査】
 今井委員。

【今井委員】
 ありがとうございました。実は私フライングをしてしまいまして、矢原先生のところの授業を実際に見せていただいたんですね。ちょうど私、その広島中高のSGHの顧問というんですかね、アドバイザーをさせていただいている関係で、ちょうどその委員会があったときに研究授業を見せていただきまして、大変感銘を受けたところでございます。
 とにかくびっくりしたのは、中学校3年生が一生懸命英語を話そうとしていて、実際に使えているというところですね。それ、完璧を目指しているのではなくて、何か難しい言葉で、英語でできないと、そこ日本語入れちゃったりしているんですけれど。でも、そういうことをしながらでも、とにかく使おうとするというところはすごく大事で、やはり今、日本の英語教育で一番求められている、一番大事なことって、完璧な英語を話そうとするというよりは、とにかく英語を使って、少しでもたくさん話そうとするという。ただ、それが割と外国の人に挨拶をするとかと、そういうレベルの使おうとするというのではなくて、やっぱり実際の議論するに足るような、そういう内容に対して一生懸命使って、かなり難しい内容なんですけれど、それに対して分からないところは日本語の表現入れちゃいながらも、とにかく一生懸命やろうと。
 中学校3年生ということを考えると、物すごくレベルは高いなと思いましたし、その後でSGHの報告会がありまして、広島高校は卒業論文というのを全員がお書きになるんですけれど、その卒業論文を英語で書かれていた人たちも結構何人かいたんですね。そういう意欲が非常にすばらしいんじゃないかと思いました。
 1点だけ私は、ディベートというのは一つ有効な形でアーギュメンテーション、自分の論理をどうやって他者に説得させるかというところでは非常に大事なところであるかなと思うんですけれども。他方で、ディベートって結構勝負になってしまいまして、試合というような形で、どっちが勝つか負けるかというところで、そこに重きを置かれてしまうので、授業の中でディベート、一環として一部取り入れるのはいいかもしれないとは思うんですけれど、ディベートだけだと。一番大事なところは、やっぱり自分の意見をきちんと言いながらも相手の意見を取り入れて、そこからどうやってベストな、時には妥協策にもなるような、そういうベストな案を一緒に作っていくかというところではないのかなとは思うので。ディベートは一部ということで、それ以外のこともやっていただきたいかなとは思いましたけれども。でも、全体的には本当にレベルが高くて、あっ、ここまでできるんだと思って、とてもびっくりいたしました。

【亀山主査】
 ありがとうございました。1学年何名の。

【矢原委員】
 1学年160名、4クラスの学校です。

【亀山主査】
 キャンベル先生、どうぞ。

【キャンベル主査代理】
 ことば科の全体の構成、構想と、それから実質的に3年間にどういうふうに展開していくかということが具体的に分かって、大変興味深く拝聴いたしました。
 きょう、最初に資料5のところで各委員から寄せていただいた意見の中に、一番最初に日本語による世界の切り分けが当たり前であるとか、あるいは意外に似ているとかというような気付きが、こういう横断的なスクランブルといいますか、英語と国語のそれぞれの論理とロジックを、いろいろなところで一緒にしてやっていくことによって実現ができる一つの有効なやり方だと思いました。
 第1学年のところで矢原先生が紹介してくださった中でスキット、寸劇というのがあったんですね。これも論理とは余り関係がないと卑下なさったんですけれども、これ非常に論理的なプロセスを、脚本を作ったり何かを下に構成をするということが非常に論理的なスキルを要求すると思うんですね。日本語でこれを伝えるために再編成をする、要約をするということは、それが成果として英語でそれを実際に語るということは、とてもおもしろいものだと思いました。
 そのときに、恐らく最初のときに何が伝わらないのか、どこで失敗するかということは分からないので、繰り返すことが。復習をしたり、復習というよりも、何回かこれを回数を重ねることが、すごく大事かなと思います。
 そのことが、失敗したから次にどういうふうにするかという経験ができるように組んでいるかどうかということをお聞きしたいと思っていたことと、もう一つは、昔話も大変おもしろいと思うんですけれども、もう少し自由に生徒たちに、例えば四字熟語とか慣用句、一蓮託生とか、善は急げとかという日本語独特の言い回しがあって、それをヒントにしてコントを書きなさいとかというふうにして、自由に話を作らせる、構成させるということも方法としてありじゃないかなと感じました。
 最後に、それを英語の話者の先生だけではない人々の前で披露する、フィードバックを受ける、モチベーションを高めていくという場面の設定、お膳立てができるかどうかということも、ちょっとお聞きしたいと思いました。
 済みません、たくさんあったんですけれど。

【亀山主査】
 今日はメインイベントがこの後にございまして、本当に私自身も個人的にはお話を伺いたいんですが、1分半ぐらいでお答えください。

【矢原委員】
 英語でスキットを作っていく際に、何度も練り直すような場面があるかということですね。あります。
 まず、これは、スキットは4人ぐらいのグループで作らせているんですけれども、作ったものを推敲し直す機会が、単元の十数時間の中にも繰り返してありますので、何度も何度も繰り返して、推敲して。ただ最後はパフォーマンスを披露する場面というものを設定しておりますので、そのスキットのコンテストというものも実はやっているところなんです。
 ですから一応、子供たちはゴールを目指しながら、そこへ向けてやっていくという形をとっています。

【亀山主査】
 よろしいですか。

【キャンベル主査代理】
 はい。

【亀山主査】
 非常に貴重な御指摘ありがとうございます。
 では、これから意見交換の時間とさせていただきます。まず資料6の1、2、3と、資料をごらんください。資質・能力の育成を軸として相互に連携を図る必要性があるのではないかということですね。国語科で育成した資質・能力を外国語科の学習に生かす場合、それとは逆の場合、あるいは双方向的な場合と、この三つの場合が考えられるわけなんですが、具体的にどのような実践が考えられるかということについて御意見を頂きたいと思っております。御意見のある方は名札を立てていただければと思います。
 では早速、酒井委員からお願いいたします。

【酒井(邦)委員】
 今伺っていて、非常に具体的な事例が分かって良かったんですけれども、同時に、一体誰に伝えるのかという目標設定がすごく難しいのかなと思いました。つまり、同じクラスの中で互いに評価するだけでは、最初にどういうことをやろうかというのは分かっているわけだし、日本人であれば、その文化も共有しているので、伝わったかどうかという判断基準、より、どういう意味で分かりやすくなったかという判断、それから、それを英語にしたときに、本当に英語の母語話者に伝わるのかということですね。
 ですから、そのクラスの中で閉じてしまっているので、例えば別のクラスに伝わるのかとか、何らかのそういう。若しくはスカイプを利用して、海外の提携校に実際聞いてもらうとか、様々な取組が、もっと発展的なやり方が必要とされるかなというところで、具体的に、この国語科と外国語科を相互乗り入れをして教材を作っていくに当たって、どういう在り方がいいのかということを、その逆に、すごく悩み始めたんですけれども。
 ふっと浮かんだのは、例えば日本語の文学作品も含めて、優れたものはかなり英語化されて翻訳されていますので、そういうものを両方同時に味わうとかいう形も、なかなかおもしろいのかなと。
 要するにラフカディオ・ハーンから、そういう翻訳も結構あるので、例えば、そういう怪談のような話でも、こうやってハーンは日本人の心象風景を英語にしたんだというような、若しくは俳句を含めて、かなり豊富に明治時代から英語化されている。直近ではドナルド・キーンさんとか、そういうような試みはあるわけですから、日本の古典や現代文を含めた英語化されたものを逆に我々の視点から味わうということであれば、非常に明確な設定、それから相互乗り入れとか。それから逆に、僕らが余りにも日本語を身近であるがゆえに気付かなかったことに翻訳を通してはっとするとか、そういうこともあります。
 だから、そういう観点からすれば、海外の作品を日本語化されたもの、翻訳されたものを同時に読んでみるという。今、私がお話ししているのはリーディング中心の教材の話ですけれども、そういう、いわゆる通訳型の活用の仕方は、実はかなり、そういう問題を解決するのかなと思いました。

【亀山主査】
 ありがとうございました。
 ほかに何か具体的な実践方法のようなものをアドバイスいただければと思いますが、いかがでしょうか。田中委員、お願いします。

【田中委員】
 具体的な提案ではないんですけれども、今のやりとり聞いて、ちょっと質問というか、確認をしたいんですが。
 先ほど矢原先生の御提案が非常に興味深かったんですけれども、この2枚目の流れ図を見ると、国語から英語への方向に矢印が入っていて、英語から上へ行くのは、まだ、ここにある限りは、とりあえずないんですね。実際、恐らく、まずはこういう方向で、母語である日本語からということになると思うんですけれども。
 この矢原先生の御報告に対して、さっき松本先生が御質問なさっていて、感想をおっしゃっていて、日本語で分かりやすくしてから英語にするというのではなくて、初めから英語でとおっしゃって。確かに英語力ということを考えると、それはなるほどと思うんですけれども。ただ、やはり日本語ということを考えると、英語にすることを前提に分かりやすくすると、こういう発想は、日本語で国語だけでやっているとなかなかないので、非常に貴重な試みだと思うんですね。
 そうなると、英語のために日本語を考えて、そして英語にして、その英語をさらに、その英語になるような日本語というのは、国語の中でどういう日本語なんだろう。こういう発想をしていくことが非常に重要だと思うんですけれども。
 だから、まず、こういう日本語から発想して英語に直す。こういう活動をしながら日本語を振り返る、こういうことをどこかに入れることが必要なんじゃないかなと思います。こういうことが今、論点になっていなかったので、どこかできちんと議論したらいいんじゃないかと思います。
 それから、今の酒井先生のお話を聞いていて感じたんですけれども、相手というのは誰なのか。教室にいる仲間に伝わるということは、非常に狭い世界なので、あえて複数の言語をやる動機付けになかなかならないと思うんですね。今、日本の社会には様々な人が入ってきていて、日本語が必ずしも十分できない人が教室にいるという場も多くなっていると思うんですね。ですから、そういう他者。つまり、日本語が通じて当たり前でない人が身近にいる。こういうときに、じゃあ英語で話せばいいかというと、そうではないんですけれども、日本語をどうすべきか。こういうのも、やはり言語能力だと思うので、こういうものをどこかに入れるような視点が必要ではないか。
 そういうことを考えていくことで、相手へ伝わる言葉というものを、従来の国語教育の中だけでは、なかなかうまく整理できなかったことが見えてくるんじゃないか。その相手とはどういう人なのかと、こういう論点も加えることが必要なんじゃないかと感じました。
 ちょっと具体的な提案でないんですけれども、大事な問題だと思うので、早いうちに御指摘をいたしました。

【亀山主査】
 ありがとうございました。島田委員、お願いいたします。

【島田委員】
 矢原先生、御紹介くださったことば科のカリキュラムの例を見ても分かるんですけれども、どうしても国語系、国語の方から英語の方へと。資料6でいえば、国語科で育成した資質・能力を外国語科の学習に生かす場合が多くなるということは、これは分かるんですけれども、ことば科のカリキュラムを見ていて一つ、英語の方で学習したものを国語に生かせそうなものがというふうに見ると、パラグラフライティングというのがあると思います。ここはロジカルコミュニケーションとしてのパラグラフライティングということですので、もし本当にパラグラフライティングを中学生、ここで学んで身に付けたのだとすれば、それは是非国語の方に返していただきたいと思います。
 恐らく国語の先生方もパラグラフライティングというのはどういうものだか分からないし。したがって、生徒たちも、それをすることはできないままに高校へ進んでいく、大学へ進んでいくということになろうかと思います。
 それだけ、ちょっと申し上げます。

【亀山主査】
 ありがとうございました。国語から外国語へという流れは意外と我々も、いろいろアイデアを、思い浮かべやすいんですけれども。実際に英語力というのは、中1の段階ではまだまだ、2年でもまだまだ、3年ぐらいになれば、ある程度複雑な構文の文章も読むことになるだろうということで、それを日本語の方に返すという流れを作ることができるので、若干タイムラグが生じることになろうかと思いますね。
 そのあたり、英語の方から、どう貢献できるのかみたいなお話も頂ければと思いますが。松本先生、どうぞ。

【松本委員】
 広島中学校の場合には、ことば科という学校設定科目で取り扱っていることですので、ここで得られた知見を、国語科とか英語科とかいう既存の科目の中にどう落とし込んでいくのかというのは、かなり慎重に考える必要があるのかなと思います。
 ですから、ここの大きな2番の最初のところに、同じ題材を教材とすることにより、日本語と外国語の違いに気付かせることができるのではないかとあるんですが、この日本語と外国語の違いに気付かせるということが目的化されてしまうと、英語、外国語科及び国語科の教育が何かおかしな方向に行ってしまうんじゃないかという危惧があります。
 先ほど今井委員がおっしゃったように、それぞれの言語を使うという力を育成することは最終的な目的ですので、その過程において、二つの言語あるいは三つの言語の違いに気付く、言語感覚を身に付くというのはいいんですけれども、それが最終目標にするためにはどうしたらいいかという議論に何か動いているような気がして、ちょっとそれが心配です。
 ですから、目的としては、言語を使う力が深まり、高まり、深い思考もできて、より充実したコミュニケーション活動を授業の中でどう展開するか。その中で、やはり題材というものから、それからどういうコミュニケーション活動を各教科でやるのかということは、すごく重要なポイントではないかと思います。
 それには、やはり、もし本格的にやるのであれば、学習指導要領の中で、全ての教科で連動させた題材及び言語活動、コミュニケーション活動を書き込まないと、それが教科書に反映されませんので。今、専科になっていますので、英語科の先生に。私たちはアドバイスするときには、他教科の教科書で何やっているかを見てくださいねとは申し上げますけれども、実際、非常に難しいです。英語科は英語科で教科書は出来上がってしまっていますので、その段階で、ある教科書を使うに当たって、生物の時間では先週こうやっていましたからとか、国語の時間ではこういう活動していましたから、じゃあこうしましょうといっても、全然連動していない教科書を使っているわけです。
 となると、もし本格的にやるのであれば、学習指導要領に題材と言語活動、全ての教科で考える。外国語語の場合には、島田先生おっしゃったようなこともありますけれども、基本的には日本語でやったものを英語でやるような展開にしない限り、うまくいかないので。
 ですから、その辺を、これからどうやって議論していくのかが非常に重要なポイントではないかなと思います。
 以上です。

【亀山主査】
 ありがとうございました。今、松本委員から2の問題に触れていただいておりますので、時間の関係上、1から2へと移行していきたいと思うんですが、中村委員で1、2か。今井委員もいらっしゃいますね。では、短めの発言でお願いいたします。

【中村委員】
 済みません。1から2ということなんですけれども、1の連携の観点とまたちょっと別にですね。きょう資料7、資料8を見させていただいて、資料7にありますように、これまでも議論されてきた、例えば音声というようなものが、国語の場合は低、中、高、こうなっていて、そして英語の場合はこのようになっているというような、資質・能力のつながりで内容を再構成していく。
 そうしますと、例えば国語の低学年の音声、緑色のアのところは、現行では姿勢、口形、声の大きさ、速さというようなことなんですけれども、例えばそれが中、高学年で外国語学習の音声ということにつながっていくことを考えると、その低学年の音声は、今の内容をどういうふうにブラッシュアップしていく必要があるのかというような、資質・能力レベルでのつながりからの内容の再構成が一つ。
 それから、学習活動レベルでのつながりという点で、資料8の24ページ、25ページに、次期学習指導要領3・4年生、5・6年生の外国語学習の年間指導計画のイメージ(案)という具体的なものをきょう初めて見せていただいて、もしこれが標準シラバスのような形になって、多くの学校で行われていくような状況になるのであれば、例えば5年生のLesson4のところで、物語のあらすじを聞き取ったり、尋ねたり云々というような学習活動があったときに、国語科の場合で、あらすじは学習するけれども、4であらすじを捉えるんじゃなくて、聞いたあらすじを捉えるという学習活動の設定がないと、やっぱり、これ連携が難しいということを考えると、学習活動レベルでのつながりを意識した内容の再構成。
 そして3番目としては、今、松本先生がおっしゃったことと重なると思いますが、例えば英語の学習の中で、外国語の学習の中で挨拶とか、それから世界の虹の色とかって、そういうような概念といいますか、題材といいますか、そういうものがあるとすると、それに関わる国語では説明文を読むなり何なりと、そういう題材レベルでの、あるいは概念レベルでの関わりからの内容構成と、そういう連携の在り方があるのではないか。それが、また2の効果的な指導のつながりというところにつながっていくんじゃないかと思います。

【亀山主査】
 ありがとうございました。今井委員、短めにお願いいたします。

【今井委員】
 先ほどの松本先生がおっしゃっていた、その言葉の違いに気付くことが目的化してしまうとというような話があって、やっぱり一番の目的は使えることとおっしゃったんですけれど。でも、その使うためには、やっぱり、その違いに気が付いていないと使えないと思うんですね。そのそれぞれの形を丸暗記しても、自分で言いたいことをその場に合わせて自由に使うということには結びつかないと思うので、その形を、単なる英語の定型文を知るということを超えて使っていけるためには。やはり、こういう言い方するには、英語では、例えば日本語では使わないような、こういう言い方をするんだとか、そういう使い方を。違いと言うんですかね。それは結構、発想の違いにも反映されていますし、そういうところの気付きは、私は十分に一つの重要項目、学習内容の重要項目として入れた方がいいんじゃないかなと思うんですね。
 それは、そういうことに関して、先ほど酒井先生もおっしゃっていたんですけれど、やはり、そういう同じ文学作品なんかを日本語と英語で比べるというようなことは、かなり有効なのではないかなと思っていて。同じことを言いたいときにも、自分が辞書で調べて、こういう単語をここでは英語では言うんだろうなと思っていたら、翻訳文では全然違う発想で、そもそも日本の文に合ったような訳になっていなくて。
 例えば川端康成の有名な『雪国』なんかは、トンネルを抜けるとというふうに最初は全然主語がなくて始まっているところを、英語ではThe trainから始まっていて、必ず主語がなくてはいけないとか、そういうことも随所にあるわけで、やっぱり、そういうところを。小学校の時点でやるのがいいとは思わないですし、でも、どこかの時点では、やっぱり、そういうことは学んだ上でやっていかないと使えるようにはならないんじゃないかなと思っております。

【キャンベル主査代理】
 きょうの2に入っているんですけど、二つ目のところ、短時間に集中して学習することは非常に重要だということは、そのとおりだと思うんですね。かなり、楽器やスポーツと同じように言語、特に他言語のこの学習というのは、とにかく繰り返し繰り返し同じことをやっていく。それを少しずつ広げていって応用していくというような練習が非常に重要なんですね。
 なので、今、今井先生がおっしゃっていることの、この気付きということは私も非常に重要ですけれども、途中でそれが意識から多分抜けていくものだと思うんですね。手段であり、そこがずっと背負って、そこから広げていくということよりも、取っ掛かりのような、火種のようなことに、学習の場の中になればいいと思うんですね。
 ですから、そのことを注意を先生方、あるいは教材の中にそれを適宜適所に入れていくということはそのとおりだと思うんですけど、私は、どちらかというと言語、外国語学習に対しては、割と体育会系的な発想があって。とにかく、どうやってそれを学んでいくのか、自国語との違いということは当然、最も先生が意識しないといけないと思うんですけれども、実際に時間を有効に使って短期間に集中的にやっていくということが最も有効な方法だと思いますので、ここのところが非常に慎重に議論すべきだと思います。
 興味深いですけれども、我々が考えている、この気付かせるということが、具体的にそれが上達につながるかどうかということを少し数値化していくというか、実証していくということも重要だなと、聞きながら感じました。

【亀山主査】
 今、体育会系的な発想。筋トレだと言う人もいますよね。

【キャンベル主査代理】
 そうですね。

【亀山主査】
 筋トレとクリティカル・シンキングは、どういうふうに結び付いているかということですよね。
 高木委員、お願いいたします。

【高木委員】
 委員の御自身のお立場から、いろいろ話がされているんですが、やっぱり考えていかなければいけないのは、これ、こと外国語と国語だけではなくて、各教科等で育成すべき資質・能力の中で、学校教育全体として、どのような能力が共通項として取り出していけるのか。そういうことをまず洗い出していく中で、総則のところで位置付けられるものも恐らく出てくるのだろうと思っています。
 それは先ほど中村委員が言われた、今の話の中でも伺っていると、活動レベルと資質・能力レベルが混在しながら話が進んでいるので。これは活動レベルで行っていくと、それは実践として行うわけだから、多様な活動レベルが幾らでも、これは上がってくるので、それは整理し切れないと思っています。
 ですから、今ここで話さなければいけないのは、国語科と外国語活動・外国語科との連携を考えていくには、両方の言語を用いながら育成すべき資質・能力というのはどこにあるのか。それをカリキュラム・マネジメントとして示していくということをしないと、これは両方をつなげることはできないだろうと。
 その中で考えられるのは、きょうの資料4が用意されているし、この中で国語と英語の両方のたたき台を見ると、共通するのはどこかなというところは、やっぱり、それをきちんと見ていかない限りは、この議論は深まっていかないと私は考えていますので、議論の方向性として、そのあたりを是非していった方がいいのかなと、話を伺いながら感じておりました。
 以上です。

【亀山主査】
 大事な御指摘ありがとうございました。今の高木委員の点に対して、何か具体的なコメントございますでしょうか。松本委員、お願いします。

【松本委員】
 資料4はとても大事なポイントだと思うんですけど、連携を考えていく上で、外国語教育の方はCan-Doをベースに今まで考えてきているものですから。これ、まとめるの物すごく大変だったと思いますし、資料5も非常に細かく言語的な要素を分けていただいているんですけれども、実際にどういうことができるようになるのかというイメージを、もう少し示していただけると、連携について。活動はいろいろあると高木先生おっしゃって、まとめ切れないとは思いますけれども、どういう力を育成するのかという点を議論してほしいと私個人は思います。
 ですから、先ほど来こだわっている点は、気付きというのは、何ができるようになるかのベースであって、それはゴールではないのではないかということですね。だから、その点についてはキャンベル主査代理と同じ考えで。
 英語の場合は、特に英語力の調査の結果によると、日本の高校生の多くはA1上位にいることを考えると、気付きに追い込むために文学作品を英語と日本語で読み比べるというのは、ちょっとあり得ないことですので。やはり、その辺の実態も踏まえて、どういう活動をさせていくのかというのを検討しないといけないのではないかと思います。

【亀山主査】
 どうぞ。

【今井委員】
 私も先ほど文学作品をと言ったのは、今の議論が、大体どのレベルの英語力、国語力をターゲットにしているのかというところが余り明確になっていない気がするんですね。例えば仕事に通用する、そういうきちんとした文を書くためには絶対に気付きは必要で、やっぱり、どういうふうにボキャブラリーを使っていくかとか、どういう構文を使えるのかと、そういうことの気付きって絶対に必要だと思うんですけれども。片や、目標が例えば東京オリンピックでおもてなしができるとか、そういうところだったら、十分に使えればいいという話になるわけですよね。
 高校まで入れたとしても、やっぱり高校生での英語能力が必要なニーズにしても、あるいはその能力にしても、非常に多岐に及ぶわけで、この委員会で出そうとしている落としどころというのが、一番総括的に、中間点を目指すのか。あるいは私は、もっと何段階かに分かれて、こういう目標の人にとってはとか、こういうレベルの高校生にとってはとか、そういう、ある程度目標とかレベル分けに考えていったときに、そこでどういう能力が必要なのかということを考えた方が。
 そうじゃないと、何かすごくすれ違ってしまっていて、多分、松本先生があり得ないとおっしゃったのは、高校生よりは、もう少し中学生とかで、しかも、多分、非常に平均的なレベルの方なのではないかなと思うんですけれど。
 やはり、どのレベルを目指して、この議論をしているのかというところを、もう一度明確化していただけると助かるなと思いました。

【亀山主査】
 スターティングポイントに戻ったなという感じは、ちょっといたしますね。なぜ外国語を学ぶのかというところまで実は行ってしまって、また、その外国語を学ぶことによって、どんな人材育成を行なっていくのかといった場合に、その人材も多岐にわたるわけですね。そういった個々別々の、ある種の人材育成像を念頭に置きながら議論していくと、当然、それぞれの人材育成に即した個別の議論が必要になってくるだろうと思うわけですね。
 例えば酒井委員が文学作品を日本語と照らし合わせて見ながらということで、日本語と外国語の気付きをしっかりと見させようとするときには、そこには一つのポジションといいましょうか、人材育成像のモデルというのは、そこに表れているわけですね。ところが、他方、松本先生が問題があるというときには、またそこには一つの具体的な人材像というものがあって、議論は全然かみ合わなくなっていくと思うわけですね。だから、恐らく問題の立て方が若干あやふやな側面があるのかなと思うところもあります。
 この言語能力向上に関する会議というのは、全体で何回ぐらい今後予定されているのか分からないので、もしも、この議論を今後具体的に、あるいは、みんなよく発展させていくとなると、あと一、二回ではとても足りないということにはなろうかと思います。
 今日、もう一つ、2の真ん中のところまで来ました。この2の2から3に向けて、先ほど体系的という発言もありましたけれども、ICTの活用という問題も非常に重要な意味を持っています。例えばCALLの問題ですね。これを本当にどういうふうに初等中等で活用していくかという問題もあろうかと思うんですが。このあたりについて、ちょっと御意見を頂いた後に3番目の方に向かいたいと思いますが、いかがでしょうか。

【大杉教育課程企画室長】
 その一つ前の議論で、レベル感の話が少しございましたけれども。平野教育改革調整官からも御説明をさせていただいた資料4なんですけれども、ここの資料4の6ページに国語教育のイメージがございまして、資料の13に英語教育のイメージがございます。
 資料の13で申し上げますと、ちょっと小さくて恐縮なんですけれども、高等学校の目標例というところで、高等学校が終わる段階で、ある程度の長さの新聞記事を速読して必要な情報を取り出したり云々ということで、このぐらいのレベルを目指しているということ。国語教育におきましては、6ページにございますような段階まで到達することを目指しているということ。
 恐らく今後、少しこれを横並びで考えていく、どのような関係性にあるのかということを考えていく必要があると思いますけれども、それをベースに、更に細分化して考えておりますのが8ページ、9ページ、それから松本先生からCan-Doというお話ございましたが、英語でございますと14ページ、15ページのような細分化をしているところですので、今後は少しこういった、どのぐらいの能力、どんな能力ということと、きょう頂いている様々な御議論を掛け合わせるようなことを、事務局としても整理していく必要があるかなと思っております。

【亀山主査】
 ありがとうございます。いかがでしょうか。
 もう一度繰り返しますと、ICT等を活用することにより、良い点や留意すべき点はないだろうかといったような、そういう問題設定でございます。はい、どうぞ。

【酒井(邦)委員】
 ICTには限らないんですが、2の後半から3に至るところで、教員の連携の必要性とか。特に2の後半に書いてある一人一人の学習の進度に合った学習というあたりが一番大事なポイントだと思うんですが。つまり、手段はむしろ自由であって、目的がすごく大切だと思うんですね。ですから、やっぱり、どうしても個人差が非常に言語学習、特に多言語学習の場合に出てまいりますので、その取り組めない生徒にとっては非常に苦痛で、全然しゃべれる人に任せて、理解の早い人に任せて、自分はちょっとバックアップもできないという非常に大変な状態になるわけですね。
 そこで、3にあるように、教員が連携することによって、じゃあ、その子の例えば国語や、ほかの論理的な思考や、そういうものがどうかということを多角的に把握することが、実は一人一人の学習や問題点を把握することに役立つのではないかと。
 つまり、もしここで我々議論している言語能力という普遍的な、若しくは上位的な、メタ的な何かそういう原因があるならば、比較的共通した原因が考えられるでしょうし、もしそうでなければ、何か特化した問題点が指摘できるかもしれません。
 ですから、やっぱり生徒一人一人の立場に立った教員の連携することが、実は問題の解決になるというようなことをちょっと織り込んでいただくと、かなり、こういう各教科の連携というのが意味を持ってくるような気がいたしました。

【亀山主査】
 松本委員、お願いします。

【松本委員】
 何度も済みません。ICTに関しては当然活用すべきですし、活用することによって、日本語と外国語の違いの気付きとか、あるいはそれぞれの言語の能力を向上させるのに活用できると思うんですけれども、あくまで通常の授業があってのICTですので、ICTを入れれば生身の先生を減らすことができるとか、そういう発想にならないことが重要であると思います。
 ですから、先生が核であって、あくまでICTは補助で、あるいは個別に生徒が学習する時間を作ってあげて、それで作ると。授業プラスアルファでという発想が必要で。そうなると、今、酒井先生がおっしゃったような教員間の連携も当然重要ですし、社会で何をやっているから英語では何をしようという連携も必要になりますし、それからICTをどう活用するのかという意味での教員研修も必要になるということであって、あくまで教員が中心であるということを忘れないようにしていただきたいと思います。

【亀山主査】
 この一人一人の学習の進度に合った学習という側面でのICTの有効性というんですか、これは本当に明瞭であろうと思います。他面、それをどう監督、チェックしていくかという問題があって、なかなか個別の進度を教員が把握できないという側面も、問題点としてはあるということは指摘しておきたいなと思います。
 残り時間が少なくなりまして申し訳ございません。次の6の3に向かいたいと思うんですね。ここで各教科を担当する教員の連携が必要不可欠だと考えられるけれども、円滑に連携するためのポイントや課題は何か。今、松本委員から既にこちらの方に踏み込んだ発言を頂きましたけれども、この点について御意見等頂ければ幸いです。いかがでしょうか。福田委員、お願いします。

【福田委員】
 3番のこの連携が必要であるというのは、本当にそうだと思うんですね。松本先生がおっしゃられたような、教科書自体が独立しているということなので、やはり、それは校内の教員の中で、かなり話し合いを行わなくてはいけない。
 1番とか2番にも関わるんですけれども。日本語の勉強の方が先で、外国語が3年生からということなので、やはり最初は日本語を基にということになると思うんですが、その外国語の授業の中で、これは日本語ではこういうふうに言うけれども英語ではこうだよねとか、非常に細かいことなんですが、そういったことを先生が意識して生徒に伝えるというようなことを教授活動の中でするだけで、この2の最初の黒ポツですか。違いに気が付けることもできるし、それが何か特別な教材を用意しなくても、毎日の授業の中で日本語と英語を対比させることができ、そして言語に関する資質・能力等を伸ばしていくということができるのではないのかなと考えました。
 そのためには、やはり、この3番の各教科の教員間の連携というのは、年に1回話し合うことだけではなくて、事に触れて、そういった時間をとっていただければと思いました。
 以上です。

【亀山主査】
 ありがとうございました。矢原委員の方から。

【矢原委員】
 失礼します。本校、きょうの実践で紹介したんですけれども、言語運用について、国語と英語科の方の連携は欠かせないのかなと思っております。本校は、1年生に入ったときに言語運用法のトレーニングをしながら、社会科とか理科の教員と一緒に課題解決的な学習につなげていくんですけど、その効果というのは、長期にそういうことをすると、話せる、書ける生徒が圧倒的に増えるわけです。ただし、中身については様々ですので、そこは各教科の内容面の指導というところで生かされてくるんですね。
 ですから、今、現行の学習指導要領にも言語活動の充実というのがあるんですけど、本校は、例えば「ことば科でやったように話し合ってごらん、書いてごらん」と言うことで、まず、みんな書ける、話せる。今度は中身の質が本当に正しいかどうか、質が高いかどうかと、そういうことを教科の専門家として指導しているというようなことをしております。
 ですから、ことば科の授業がある本校は特別なんですけれども、やはり、そういった言語運用をどのようにして早く定着させて、多くの者が書けたり話したりできるか。そういったものをカリキュラム・マネジメントの中にしっかりと意識して、各教科でそれを使って、今度は中身の質に関する指導につなげていく。そういったことがなくても、例えば本校の英語科は「家庭科の教材や資料集を持ってきて、きょうは考えてみるよ」というように。子供からしたら、いろいろな教科を受けているわけですから、そういったものを教科の壁をなくすような、そういったマネジメントができるかなと思っております。そういった点では効果があるということが本校では言えます。
 以上です。

【亀山主査】
 ありがとうございました。酒井委員、お願いいたします。

【酒井(英)委員】
 2点お願いします。2番に関わることと3番に関わることです。
 ICTのことについてです。よく一斉学習、個別学習、協働学習と整理されますが、その中で、ここで書かれている事柄に加えて、協働学習に関わること。つまり、ともに言葉を合わせながら、思考を重ねながら作文をしたり、あるいは議論をしたりというときにICTを活用することで、今、共通の言葉の力と言っているところが英語の授業の中でも実現するし、国語の授業の中でも実現するしと、そういう活動についての効果というのも考慮するべきかなと思っています。
 3番についてです。教員養成の点から1点お願いしたいんですが。小学校の教員養成の場合には、一人の教員になる学生が学ぶべき事柄として、それぞれの教科の指導法や内容について学ぶ機会がありますが、中等に関しては教科別になることが多いわけです。そうすると、英語の免許を取る場合には英語だけ、国語の免許を取る場合には国語だけということが多々あるわけです。
 そうすると、ここで言葉の力、言語能力ということで、共通あるいは連携ということが強調された場合には、教員養成を志向しながら、お互いの科目の中で、言語能力について扱うような工夫ということも必要になってくるかなと思っています。
 以上です。

【亀山主査】
 ありがとうございました。中村委員、お願いします。

【中村委員】
 日本語と外国語の違いに気付くことの意味が、国語科と外国語科では少し違うんじゃないかと、きょうの委員会の中で考えています。ですので、その辺を整理する時間はないんですけれども、そのあたりを委員会が整理する中で、それぞれのその先の連携ということになって、資質・能力レベルなのか、学習活動なのか、題材レベルなのかというあたりが、連携の形が具体的に教科書に反映されるなり、補助資料が作られるなどすることが、この3にある連携の促進につながるんじゃないかと思います。

【亀山主査】
 今井委員、どうぞ。

【今井委員】
 今、矢原委員からもお話あったように、例えば全ての教科で国語というのは非常に大事なので、その連携が必要だと思うんですけれど、ここにちょっと入ってこないのが、全ての教科と英語がどういうふうに関わっているかというところで、やっぱり、そこを今の日本の現場は非常に大きな課題なんじゃないかなと思うんですね。
 例えば私もヨーロッパとか、海外の小学校、中学校に何か出張があった折に、ちょっと現地の人にお願いしてクラスルームを見学させていただいたりとか、そういう機会もあるんですけれど。そうすると、やはり海外だと、英語がネイティブの国でなくても対応してくださる先生は、普通の小学校の先生とかが必ず英語で対応してくださって、そういう能力があるわけですけれど、片や、私が海外の方を日本の小学校、中学校、高校でもお連れしたときに、英語の先生以外の先生は、自分は英語で対応することを全く考えていないし、英語を話そうというつもりもなかなかなくて、自分は関係ないと思っている方が非常に多いというのが印象なんですね。
 なので、やはり、ちょっと矢原委員にもお聞きしたいんですけど、広島中高なんかでは、ほかの教科の方が英語教員と一緒に自分も英語を使おうとする。例えば社会の問題を、ディベートなんかで取り組んでいらっしゃると。もともとは英語の免許を持っておられないし、英語を教える機会もないような先生たちが、英語で自分のコンテンツをコミュニケートしようとするとか、そういう努力はされているんでしょうか。むしろ、そういう努力、非常にこれから大事なんじゃないかなと思うんですけれど。

【亀山主査】
 10秒ぐらいで。

【矢原委員】
 学校としてはしていないんですけれども、数学の教員が英語で数学の授業をしているということはありました。

【亀山主査】
 ありがとうございます。田中委員。

【田中委員】
 できれば事務局の方に作ってもらえればなと思うことがあるんですけれども。それは、とりあえず国語と外国語活動の2教科の中で、言語活動の対応表、それから言語に関して説明するための用語の対応表。そういったものが、やはり議論の基礎としてあった方がいいんじゃないかと思うんですね。
 例えば、きょうのこの資料7を見ると、国語の方には修飾語、被修飾語というのはあるんですけれども、英語の方で、これをどういうふうに言うんだろうか。多分、ちょっと違うと思うんですね。言い方は同じでも、文構造が、日本語と英語の違いのところで、この辺に違いが表れる。
 それから、国文法では文節というのが結構重要なんですけれども、そういう概念は英語にはないので。ただ、単語というものを認識しないと言語の構造の説明はできないと思うので、単語をどう切るかと、こういうことを考えるときに、英語と日本語の切り方が違う。英語は初めから切れているけど、日本語はどこかで切らなきゃいけないとかですね。
 そういうことが、実際現場で説明していくと、いろいろ混乱を来すと思うので、そういう、今どこまで対応していて、どこがずれているかと、こういうことを言語活動の面と言語構造の。言語構造のは言いましたけど。言語活動は、先ほど各学校の取組例の中で、国語でやったプレゼンテーションのことが英語でやるときに役立ったと、こういう報告があって、英語がいま一つ苦手だった子供も、国語でそういうことをやったことが英語に生きたことが自信になったという報告がありましたけれども、やはり活動例として対応しているところと対応していないところを並べた上で議論する、そういうことの準備のために、可能な範囲で、そういうものを作っていただけるといいんじゃないかなと思います。

【亀山主査】
 どうぞ。

【平野教育改革調整官】
 失礼いたします。今の御提案については少し事務局で検討させていただきたいと思いますが。ただ、実際の指導事項をどう作り上げていくかというのは、また別途、具体的に細かい指導内容について詰めていくという作業をしていくこととしておりまして、この特別チーム自体も、そんなに回数重ねられるわけではないので、そういった検討を今後、両教科で進めていくに当たって注意すべき視点ですとか、気を付けなければいけないところなどを御指摘いただければと思っているところでございます。具体の内容については、検討させてください。

【田中委員】
 この委員会で全てというわけじゃなくて、今後のために、この機会に作っていただけると。

【亀山主査】
 時間が来ております。それで、この後、本来なら5分ほど、全体的な見地からの意見を頂きたかったんですけれども、時間が限られております。1分ほどで全体に関する意見をお伺いしたいと思うんですが、恐らく言い切れることのできる意見は一つ、二つだと思います。松本委員、お願いいたします。

【松本委員】
 やはり日本語と英語の違いに気付かせるということにフォーカスしてしまうと、田中先生のような結論になっていくと思うんですね。だから、それを危惧して先ほど発言したわけで。やはり、指導はどうあるべきかというところをポイントにして、それも言語を使えるように。それには国語科とほかの教科、外国語、その他の教科とどう連携していくのかというところを中心にしないとですね。言葉の違いにフォーカスしちゃうと、どうしても、どんどん、どんどん突き進めていって、何が違うのかという検証をしなきゃいけないという結論になってしまうのかなと。
 それも大事でしょうけど、それに力を使うのであれば、もっとやるべきことがあって、例えば国語科の方ではどういう力を育成するのかということをもう少し明示していただくとか、そちらの方に労力を費やしていただけると、私はありがたいなと思います。

【亀山主査】
 ありがとうございました。
 最後に私からキャンベル先生に質問したいんですが、今、日本語と外国語の違いの気付きをどう捉えるかという、それが自己目的化してはいけないと。それは当然なことだと思うんですけれども、先生の御体験の中で、それはどうかということをお聞きしたいんですけれども。

【キャンベル主査代理】
 非常に主観的、個別的、俗人的な話になるので、余りここで詳しくは述べるべきではないと思うんですけれども。ただ、私は両方。きょうはおもしろいなと思ったのが、今井委員と松本委員の対極線上にあるかに見えて、実はどこかで、これはかなりコモングラウンドがあるようにも感じました。
 確かに教室の中で違いはどこかとなると、みんな、これ話がおもしろいんです。そこへどんどん、恐らく先生が幾つか事例を挙げて、その説明をして、なるほどね、そうだというふうに、よくテレビ番組であるような、ああ、なるほどで、それがすとんと落ちて終わるということは、私も危惧します。
 むしろ、それが国語も英語も充実した言語活動に導かれるために、どこがポイントかということを、まず洗い直して、それを確定した上で、それぞれの違い、あるいは共通項がどこにあるかということを、それに合わせるようにして、それぞれのゾーン。つまりカリキュラムの中、あるいはレベル、どのあたりに、この生徒を目指す、想定するかということを明確にした上で、適所でそれを張り付けていく。あるいは、そこから開発していく、広げていくことが多分、方法としては正しいではないかということが、私の実感と遠い記憶から言いますと、あると思います。短いですけれども。

【亀山主査】
 ありがとうございました。一応きょうのところは、今のキャンベル先生の御意見で締めくくりたいと思います。
 最後に、次回以降の日程等について事務局から説明をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

【平野教育改革調整官】
 失礼いたします。次回の4月以降の日程につきましては、後ほど委員の先生方の日程を調整させていただいた上で、改めて連絡させていただければと思います。次回の議題につきましては、きょう頂いた御意見を基に、主査とも御相談させていただいて、また改めて御連絡させていただきたいと思います。
 また、本日の議論に関連いたしまして、ペーパーによる御意見等ございましたら、メールでも結構でございますし、郵送でも結構でございますので、是非お寄せいただければと思います。
 また、本日の配付資料につきましては、机上に置いていただければ、後ほど郵送させていただきます。
 以上でございます。

【キャンベル主査代理】
 済みません。先ほど主査もおっしゃったんですけれども、めどとして何回ぐらい、我々のこの会合がこれから持たれるかということ。これからの残る質量を想像するといいますか、考えることも必要かと思うので、そのあたりの見通しをお教えいただけますか。

【平野教育改革調整官】
 この会議が始まりますときに、大体、事務局として4回か5回ぐらいという目安を示させていただいていますが、その辺について、また全体の議論の状況も踏まえながら御相談させていただければと思います。

【亀山主査】
 では、これをもちまして閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

―了―

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程第三係

電話番号:03-5253-4111(代表)(内線2076)

初等中等教育局国際教育課外国語教育推進室

電話番号:03-5253-4111(代表)(内線3787)

(初等中等教育局 教育課程課/国際教育課)