資料9 全国連合小学校長会 発表資料

中央教育審議会初等中等教育分科会
「地域とともにある学校の在り方に関する作業部会」
主査  加治佐 哲也 様

全国連合小学校長会長 大橋  明

「地域とともにある学校の在り方に関する作業部会」に対する意見

○学校と地域の連携・協働の推進に当たって必要な方策について
○全ての学校のコミュニティ・スクール化を目指すにあたって考慮すべき点について

【意見:「時代の変化に伴う地域の在り方」について】
○時代が変化する中、学校の力だけでは子供たちの学びを支えていくことは困難であり、地域住民等が学校へ参画することは子供の教育責任を社会的に分担することにつながるという意見には賛成である。
○地域住民等の学校への参画という言葉が教職員を刺激し、介入されるのではないかという抵抗感を抱かせる恐れがあるのも事実である。特に、経験豊かな教員ほど「学級王国」的な考えをもっている。
○「地域は教室、地域は先生、地域は家族、地域は世界の入り口」という考え方を学校内外に根付かせることが大切である。

【意見:「これからのコミュニティ・スクールに求められる役割・機能」について】
○学校運営協議会の校長のマネジメントを支える役割については、コミュニティ・スクールの本質である、地域の代表が校長の学校経営方針を承認し、学校とともに行動・責任を負うことにある。学校運営協議会が、最高意思決定機関になるかも知れないという懸念は教職員に対する抵抗につながる恐れがある。
○学校運営協議会の地域支援の役割については、改めて学校の役割を明確にする必要がある。学校の役割とは「育成」と「貢献」である。特に、地域貢献については指摘されているように、「児童生徒と触れ合うことで地域の大人が元気になる」「学校を地域の大人や子供が集まる場・学ぶ場として役立てる」「地域の福祉や防災の拠点」ということを学校が自覚する必要がある。
○学校運営協議会が有する機能の意義・活用については、意見にもあるように、学習指導要領の改定や周年行事・校舎改築等のような、学校にとって大きな方向転換や大行事のある際に、保護者や地域の方々と一緒に考え、納得できる結論を導くことが出せるのであればプラスの効果が大きい。
○教職員の任用については、校長が一番気にかける部分である。若手教員の増加に加えて、課題のある教員についても、育成という観点から一定の配慮が必要な場合もある。このことについては、校長の考えを十分に聞く必要がある。また、学校運営協議会が校長自身の人事について大きな影響力をもつようになることも心配される。

【意見:「これからのコミュニティ・スクールの在り方」について】
○学校運営協議会と学校支援地域本部の一体的推進については、それぞれの強みを出して学校を支えていく双方向の互恵性のある関係をもつことが求められる。しかし、同じような機能をもつ組織が二つあるのは、指摘されているように学校にとって負担となる可能性がある。また、コミュニティ・スクールの導入で「地域や家庭との折衝等が今まで以上に多くなるため教職員の負担が増える」として、導入に慎重な意見も多い。
○学校運営協議会と学校評価の関係については、学校運営協議会(委員)を学校評価委員会(委員)と兼務するようなシステムにすることが肝要であると考える。さらに、指摘にもあるように最終的には、学校運営協議会が適切に運用されているかどうかを評価するシステムを構築する必要がある。
○校長のリーダーシップの発揮については、コミュニティ・スクールの意義を理解し、学校運営協議会に対して明確な経営方針を示すことのできる資質・能力を有していることが前提である。しかし、経営能力の低い課題のある校長も存在する。校長の任用条件や任用前後の研修の在り方を示し、資質・能力を高めていくことが重要である。
○校長と学校運営協議会(委員)の対立や校長の孤立等の心配も多いが、指摘にもあるように、教育委員会だけでなく行政全体で支える体制づくりが必要である。さらに、特定委員の発言で学校運営が混乱してしまうのではないかという声も聞かれる。
○類似の仕組みとの整理については、指摘にもあるように、「○○版コミュニティ・スクール」のようなゆるやかな連携・取組等を推進していくことが、全ての学校のコミュニティ・スクール化への道筋を付けるものと考える。

【意見:「コミュニティ・スクールの推進方策」について】
○教職員・地域の人材の資質向上については、指摘にもあるように、地域との連携・協働の在り方やコミュニティ・スクールについて理解している教職員を育成することが重要であり、大学等の教員養成段階での必修科目等への位置付けが必要であると考える。また、学校運営協議会委員についても自らの役割を自覚するための研修制度の確立が求められる。
○新たに取り組むに当たっては、先行研究や指定校等の状況を把握・理解するところから始める場合が多い。コミュニティ・スクールとなり学校運営協議会と連携することで子供がよりよく育ったという前例を示すことが極めて大切である。

【意見:「コミュニティ・スクールの仕組みの必置」について】
○全校のコミュニティ・スクール化については、指摘にもあるように、学校運営協議会の人材が確保でき、理解の進んでいる自治体を中心に徐々に広げていくことが望ましいと考える。また、予算や人材の確保、学校と地域が協働できる活動を無理なく継続させていく必要がある。
○自治体により財政基盤の整備や人材の確保等に違いが出て、教育格差が生じてしまう恐れがある。

 

お問合せ先

初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付

(初等中等教育局参事官(学校運指支援担当)付)