地域とともにある学校の在り方に関する作業部会(第5回) 議事録

1.日時

平成27年8月10日(月曜日)9時30分~12時00分

2.場所

文部科学省 3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. これまでの議論の整理
  2. コミュニティ・スクールの総合的な推進方策
  3. その他

4.出席者

委員

天笠委員、生重委員、貝ノ瀬委員、加治佐委員、黒瀬委員、貞広委員、佐藤委員、竹原委員、早川委員、藤田大輔委員、藤田裕之委員、松浦委員、宗岡委員

文部科学省

矢野財務課長、谷合社会教育課長、塩崎参事官、藤原学校運営支援企画官、他

5.議事録

中央教育審議会初等中等教育分科会
地域とともにある学校の在り方に関する作業部会(第5回)

平成27年8月10日

【加治佐主査】 
 皆さん、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから、中央教育審議会初等中等教育分科会地域とともにある学校の在り方に関する作業部会の第5回を開催します。
 本日は、大変お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。
 前回、第4回の生涯学習分科会学校地域協働部会との合同会議においては、コミュニティ・スクールと学校支援地域本部等との一体的な推進について様々な御意見があったところです。これまで、これからのコミュニティ・スクールの在り方がどうあるべきかという点について議論してまいりましたが、本日一つ目は、これまでの意見を整理し検討の方向性を議論したいと思います。二つ目は、これからのコミュニティ・スクールの姿を踏まえた上で、今後の推進方策について御議論いただければと思います。
 それでは、議事に入る前に、配付資料の確認及び簡単な説明を事務局よりお願いします。

【廣田参事官補佐】 
 失礼いたします。本日も、どうぞよろしくお願いいたします。
 お手元の議事次第を基に資料の確認をしてまいりたいと思います。資料1から5、参考資料1、参考資料2というのがクリップ留めで束になっているかと思いますので、そちらを御確認ください。
 また、その束とは別に、熊本県教育長の田崎委員から、本日御欠席でございますけれども、1枚資料が出ております。本日の論点整理への意見ということで、後ほど御紹介させていただきたいと思います。
 また、机上に「コミュニティ・スクールって何!?」という学校運営協議会設置の手引と青いコミュニティ・スクールのパンフレットをお手元にお配りしております。また、こちらについても後ほど御紹介させていただきます。
 お手元の参考資料2を見ていただければと思います。毎回確認させていただいておりますが、本作業部会における検討事項の例が参考資料2に示されています。時代の変化に伴う学校と地域の在り方、これからのコミュニティ・スクールの在り方、こちらについて第1回から第4回まで御議論いただいてきたところです。
 本日は、これまでの意見の整理と、赤く四角で囲っておりますコミュニティ・スクールの総合的な推進方策、こちらについて御意見を頂きたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【加治佐主査】 
 ありがとうございました。資料、不備はございませんでしょうか。ありましたら事務局までお申し付けください。
 なお、本日も報道関係者から傍聴の希望があります。これを許可しておりますので、御承知おきください。
 それでは、本日の議事に入ります。一つ目は、これも議論の整理の基本的な資料になると思いますが、コミュニティ・スクールの実態についてということであります。今年度、文科省から日本大学へ委託しております実態調査の速報につきまして、佐藤委員に御報告いただきます。また、本日は佐藤委員と共同で調査に関わっておられる常葉大学の仲田講師にも御同席いただいております。
 それでは、よろしくお願いいたします。20分程度でお願いいたします。

【佐藤委員】  
  それでは資料1を御覧いただきたいと思います。コミュニティ・スクールの実態と校長の意識に関する調査で、これは大きく分けまして学校に対する調査と教育委員会に対する調査、2本立てで行ったものです。
 下の方に調査の実施概要がございます。目的は読んでいただければと思いますが、調査対象校としては、コミュニティ・スクール指定校。これは昨年の4月現在で確定しておりまして、1,919校。そのうち1,512校から回答があり、回収率78.8%。コミュニティ・スクール未指定校に関しては、コミュニティ・スクール指定校と同数の1,919校を抽出いたしました。これはランダムに抽出しております。回答いただいたのが1,662校で、回収率は84.0%。ただ、このほかに未入力の分もございます。学校調査が126校、以下に述べる教育委員会調査が57か所ありまして、今回の御報告するデータには含まれておりません。
 (2)は教育委員会調査。これは全国の1,788か所の教育委員会を悉皆(しっかい)調査という形で全数調査を行いました。回答があったのが1,467教育委員会、回収率82%。先ほど申し上げましたように、これに57教育委員会が後に加わるということになります。
 調査方法はeメールによって教育委員会に発送し、回収に関しては封筒に入れ、郵送回収という形でアンケート調査方式で行いました。
 調査実施期間は2015年の5月から6月でした。
 1枚めくっていただきまして裏側です。まず図のF5というのは調査表の項目番号です。指定のきっかけですが、これは指定の予定校も含めております。
 1番数字として目立つのが、教育委員会からの働きかけによって指定された、これが60%。2番目が学校の希望と教育委員会の働きかけが一致した、これが24.6%で4校に1校。これは学校の意向も含まれているということです。そのほか少数ですが、学校が希望して指定されたが8.8%もあるということで、10%弱が学校の希望だということです。
 下の方を御覧いただきますと、図のQ30と書いてございます。現在コミュニティ・スクールの指定校に対して、それぞれ以下の項目に関しての満足度を4点法、4点満点で回答していただいた平均点を、おおよその位置で示しております。数字として高いのが基本方針の承認行為による学校理解、あるいは学校に対する賛同が得られたかどうか。これに関しては3点以上の得点になります。
 ちょうど真ん中ぐらいになりますが、学校運営協議会委員の協力姿勢、これに対する満足度も高いです。
 あと下に3項目ございますが、これはこれらの活動を実施している学校のみ回答をいただいています。
 下から3番目、学校運営協議会による学校評価の成果、これに関しても3点以上。その下の学校運営協議会による学校支援活動の活発さ、これも3ポイント以上ということです。一番下の保護者・地域の苦情対応が、少し点が低めにはなっていますけど。
 おおむね、真ん中に黒い線引いておりますが、これは中央線ですが、これより右側に寄っているので、全体的には満足度が高いことが言えるかと思います。
 ただ、上から4番目の教職員の任用意見申出に関しては、やや数字が低くなっているということで、予想された結果ではあります。
 次のページを御覧ください。未指定校に対して、コミュニティ・スクールをめぐる状況に関して質問しました。Q32ですが、これはある意味、コミュニティ・スクールを未指定のままにしている理由と考えることもできます。
 1番上の学校運営は順調であるが91.6%。これは見方変えると、学校運営は今順調にいっているから、かえって新しいことをする必要がないというのが含まれていると思います。
 あと2番目が教職員はコミュニティ・スクールに消極的である、69.6%、約7割と。
 3番目、校長・園長である自分に指定の意思がない、これが64.2%、6割を超えているわけです。
 そのほか人材確保が難しいとか。この辺は大体5割前後ということで、1番下の地域との連携が難しいからというのは16%ですが、結構数字が高いと思います。もっと低くてもいいかと思っていました。
 あとQ38ですが、これはコミュニティ・スクールの設置形態で、複数校をまとめた方がいいかどうかを問うということです。左の方に指定校と指定予定校と未指定校、青い部分が複数校まとめた学校運営協議会を設置できるようにする。例えば、中学校区に小学校が2校、3校あって中学校1校ですと、中学校に1校に置いて全部まとめてしまうとか。
 これに関しては青い帯で、指定校は33.2%。指定の予定校、これは数が少ないですが、実数は56%。未指定校は32%。おおむね3校に1校はまとめてもいいよと。ただ、指定予定校は実数が少ないので、数字に偏りがあります。
 真ん中のオレンジっぽいの。これは校長一人配置の小中一貫教育校などの場合、複数校まとめて学校運営協議会を設置できるようにする。これは小中一貫校で校長一人という限定付きです。これに関しては指定校27.8%、予定校18%、未指定校34.3%、全体で31%。これも大体3分の1です。
 現行どおりに単位学校に設置する。これグレーの部分ですが、指定校31.5%、予定校24%、未指定校30.8%、全体で31.0%。おおむね3分割されたという形で、何らかの形でまとめて設置した方がいいという、青とオレンジ色です。これを足した数字が3分の2ぐらいになるということで御理解いただければと思います。
 あと無回答もございますが、これは省略します。
 もう1枚後ろめくっていただきますと、最後の図になります。図のQ40です。今後コミュニティ・スクールを拡充していくために重要なこと。これは教育委員会調査でも聞いております。後でまた報告がございます。
 これは上位三つを回答していただいています。この中から選んでいただいているのですが、青が指定校、オレンジ色が未指定校。予定はこちらに含めています。グレーが全体ということで、一番上を見ていただきますと、教育委員会が方針を明確にする。これは、指定校36.9%に対して未指定校は50.8%です。未指定校の方が数字が高くなって全体で44.2%。
 あと2番目の教育委員会が予算措置を図る。これは、むしろ指定校の方が数字高くなっていまして43.7%。未指定校の方が31.9%と10ポイント以上、数値が下がっております。
 3番目、教育委員会が教職員を加配する。これ、おおむね30%台で一致しております。未指定校、指定校、全体。全体が35.7%になります。
 あと4番目、学校支援の機能の役割を明確にする。指定校が36.8%、未指定校28.2%、全体32.3%となります。
 なお、数字が余り高くないんですが、上から6番目です。基本方針の承認について柔軟な運用を可能にする、要するに規定の見直しを含むと。これに関しましては指定校11.2%、低い数字になっているんです。未指定校でも20.6%、5分の1という数字で、意外にも低いわけです。
 そのすぐ下、教職員の任用に関する意見申出について柔軟な運用を可能にする。これに関しても数字が低いと。指定校では9.1%、未指定校17.7%、2割にも満ちていないという結果が得られました。
 あとは下から4番目、教育委員会に対する意見申出について柔軟な運用。これに関しても数字が低くて、指定校は6.9%、未指定校8%ということで、かなり低い数字になっています。後ほど報告があるように、教育委員会の方針あるいは予算措置、この辺が鍵になっていると読むことはできます。
 教育委員会関係の調査は、仲田先生からお願いしたいと思いますので、私からはこれで終わらせていただきます。

【仲田講師】 
 常葉大学の仲田康一と申します。よろしくお願いいたします。日本大学に委託をされたこの調査の分析に佐藤委員と共同で関わらせていただいている関係で、御報告を申し上げます。
 コミュニティ・スクールの教育委員会に対する調査に関しましては、先ほど悉皆で行われたと申し上げてありますが、今回分析の対象としておりますのは基本的に市町村及び東京都の特別区ということで、公立小中学校の設置の主体であるところの教育委員会を対象にしているということを、あらかじめお断り申し上げたいと思います。
 まずQ1で、コミュニティ・スクールとその他の教育政策の導入状況の関係というところを御覧ください。
 一番上の学校評議員に関しては、指定あり、コミュニティ・スクール指定なし、全体というふうに3本あるわけですが、一番上の指定ありのところの場合、指定なしよりも現在実施しているという割合が低くなっております。
 それに対して、過去に実施していたという一番右側のオレンジっぽいところが少し伸びているというところで、学校運営協議会になる段階で学校評議員から切り替えていったというところが、このところから明らかになるかと思います。
 2番目、学校支援地域本部に関しては、コミュニティ・スクール指定ありの教育委員会の方が明らかに伸びているというところで、現在実施しているところが10ポイント以上の差がついているところになります。
 3段目、小中一貫教育、連携教育に関しましても同じような傾向がございまして、現在コミュニティ・スクールの指定をしている教育委員会の方がやはり高くなっているというところで、学校支援地域本部あるいは小中一貫教育とコミュニティ・スクールの連動性というところが、この辺から見てとれるかなと考えられます。
 最後の学校関係者評価につきましても同様に、コミュニティ・スクールの指定をしているというところで少し割合が高くなっているところが見てとれるかと思います。
 次に下のスライドに行っていただきましてQ4B、コミュニティ・スクールを拡充していくために重要なことということで、これは校長先生に対する調査と同じような設問になっております。
 まず、この下に載せてあるオレンジ色のグラフは、指定をしている教育委員会における回答であるということです。この上位を見てまいりますと、国が予算措置を図るというのが突出しておりまして、次いで教育委員会が個々に方針を明確にする。そして学校支援の機能の役割を明確にする。ここら辺りが上位3校の回答になってまいりました。
 また、学校評議員や類似制度から学校運営協議会への移行を支援する、あるいは教育委員会による研修や啓発を充実させるといったところも次いでおります。
 めくっていただきまして、やはり同じようなコミュニティ・スクールを拡充していくために重要なこと、こちらに示してあるのは指定をしていない自治体における回答傾向でございます。これもほぼ指定している教育委員会と同様で、国の予算措置がトップにありましたが、次にある学校評議員や類似制度からの移行というのが2番目になっておりまして、現在存在している類似制度からの移行という形での拡充が現実的だというのが、未指定の自治提出における回答であったということでございます。
 あと指定をしているところとの違いに関して申し上げますと、上から5番目、6番目です。基本方針の承認についての柔軟な運用、あるいは教員の任用に関する意見申出についての柔軟な運用というところが、指定ありと比べると順位がやや上になっております。これは校長の回答ともやや近いところにあろうかと思いますので、これが指摘できる点でございます。
 次に、ブルーのコミュニティ・スクールの指定した理由というところにつきましては、上位から順に、学校を中心としたコミュニティづくりに有効である、学校支援の活性化に有効である、学校改善に有効であるというところが突出をしておりまして、あと順に続いているという結果でございます。
 次にQ10、先ほど小中一貫教育との連動性というところも少し議論になりましたが、コミュニティ・スクールと小中一貫教育を教育委員会の方針として関連付けているかいないかという設問でございます。
 帯グラフの最も多いのは、40%近くが関連付けはしていないという回答でございましたが、ほぼ同じパーセンテージで何らかの関連付けをしているというところがありました。まずオレンジ色のところですが、中学校区単位で学校運営協議会の上部委員会を設置している。あるいは緑色、小中全校で合同会議を実施することにしている。紫色、それぞれの学校の学校運営協議会の委員を兼務させるといった形で、何らかの小中一貫教育とコミュニティ・スクールとの連動が図られているというところが見てとれたわけでございます。
 Q13、コミュニティ・スクールに対して教育委員会が行っている現在のサポートということで、上位二つがほぼ並んでおりまして、コミュニティ・スクール設置のための予算措置。これに関しては、教育委員会としてというだけでなく、国の補助事業を活用するということも含まれています。また、教育委員会事務局職員による定期的なアドバイスということも行われておりました。
 裏のコミュニティ・スクールを今度は指定をしていない理由について。やはり、これは学校とほぼ同じ形で設問を設けていますが、学校評議員制度や類似制度があるから。つまり、これが現在のところ機能しているということで、あえてコミュニティ・スクールにいっていないという御回答が多かったということです。同時に、地域連携が既にうまく行われているからということもありました。第3位が、既に保護者や地域の意見が反映されているからということです。つまり、現行で何とかなっているというところで、あえて移行しないというような御回答が多かったです。
 それに対して、コミュニティ・スクールの成果が明確でないからというようなところも、やや続いていました。
 続きまして1番下のスライドは、今後コミュニティ・スクールの指定の予定があるかどうかということです。現段階ではないといったものが7割程度。紫色の部分ですが、逆にある、あるいは検討委員会などを設置し具体的な検討段階にある、あるいは具体化はしていないが今後前向きに検討する状況にあるといったところを合わせますと約3割というような回答になっております。
 具体的に導入の予定年度がある場合はお答えくださいということで書いたものが下にございますが、こちらは御覧いただければと思います。
 以上です。

【加治佐主査】 
 ありがとうございました。これから検討する課題に直結するような実態のデータが出されていると思います。
 それでは、御質問等を承りたいと思いますが、いかがでしょうか。それでは、どうぞ。

【貝ノ瀬委員】 
 大変貴重な調査、ありがとうございました。ほかにもいろいろ設問を設けて調査をしていらっしゃると思いますが、それぞれ佐藤委員、仲田先生の方で全体的にどのようなことをお感じになったか、それを聞かせていただけませんか。

【佐藤委員】 
 全体的に、先ほどちょっと触れた中にも一つありましたけど、それぞれの活動に対する満足度は予想以上にいいということで、後は実際に導入されている教育委員会ないしは校長は、むしろ積極的に受け止めているというようなことは分かったことと、全体的に未指定、あるいは指定なしのところ、未指定校や指定なしの教育委員会のところでも徐々に理解が広がっているような数字はあります。
 今後の予定に関して、まだ現段階では考えていないの数字は高いですが、何らかの形で検討しているは2割以上あるわけで、当初の公立小中学校の1割というのを考えたときに、多分、現段階で検討している、それが2割以上あるので、十分クリアされるだろうということと、あるいは当初の予定以上に広がる可能性を数字から読み取ることができたと考えております。

【仲田講師】 
 実は、このコミュニティ・スクールに関します研究については、佐藤委員が中心となり、2011年度と2013年度にも行っております。2011年度のときに、コミュニティ・スクールとほかの教育政策の導入状況の関係を調べた結果、学校支援地域本部とコミュニティ・スクールを両方やっているというところが49%でした。それが今回見てみると60%に伸びています。また小中一貫に関しても、2011年度、両方やっているところが50%だったんですが、今回のデータ、私の2枚目のスライドを御覧いただくと、大体60%弱というところになっており、要するにコミュニティ・スクールを導入するということがほかの教育政策との連動の中で意味を持って、それらを組み合わせて活用するような動きが非常に広がっているなという印象。この傾向は、この間続いてきたものだろうと考えながらデータを分析していたところでございました。

【貝ノ瀬委員】 
 ありがとうございます。

【天笠副主査】 
 よろしいですか。

【加治佐主査】 
 どうぞ。

【天笠副主査】 
 一つ一つのデータは大変貴重でありますし、これまで議論してきたことが、こういう数字で裏付けられたという部分が多々あったと、そのように聞かせてもらいました。質問は、いろんなデータの中で、こういうデータはなかったのかどうなのか。もしあれば御説明をお願いできると有り難いのですが。
 それは、学校と教育委員会の関係についての分析。例えば図のF5ですか。指定のきっかけということで、教育委員会からの働きかけと、学校が希望してという、それぞれがそれぞれ独立したような形になっているのですが。実際は、この両者が、ある意味絡みながらコミュニティ・スクールに至っている、そういうのが現実の姿ではかなと思うのですが。その辺り、学校が希望したが教育委員会はうまくそれを受皿としてなれないとか、逆に教育委員会の方がかなり強く指定をして、学校が、ある意味不承不承(ふしょうぶしょう)引き受けたとか、その両者のダイナミックみたいなところが、この調査で掘り出してみたらどのような姿になっているのか。とりにくいのかもしれません。学校は希望すれど、教育委員会が一つの障壁になっているような、その辺りのデータというか。今回の場合、ここで幾つか相互の関係とってみると出てきそうなのか。それら含めまして。
 また、その辺りのデータ分析してみて、どのような感触がおありなのか、聞かせていただければと思います。
 以上です。

【佐藤委員】 
 ここの調査ではQ32というところで補うような感じです。上から6番目に、教育委員会に制度導入の意向がないというのがございます。これと、先ほどのところの校長の方で意思があるかどうか。校長の方は希望しているけど教育委員会に指定の意向がない、制度導入の意向がないと。多分クロス集計で明らかになると思いますので、その辺、今頂いた意見を参考にして分析進めるということもできるかと思います。何かあれば、またそのとき発表させていただきたい。
 ちなみに2011年の調査では、自由記述に、やはり今、天笠委員がおっしゃっていたようなことが書かれていました。何か2階にはしごで上げられたけど、はしごを教育委員会に外されたとか、そんなようなのが幾つか書いてありましたので、御参考までに。
 以上です。

【加治佐主査】  
  いかがでしょうか。それでは、貞広委員どうぞ。

【貞広委員】  大変貴重なデータの御報告を頂き、ありがとうございます。
 1点だけお伺いしたいのですが、Q38のコミュニティ・スクールの設置形態の在り方についてです。このデータを大変注目させていただいているところですが、複数まとめた学校運営協議会を設置できるようにするとか、また小中一貫の場合は一つにするとかいう御意見があることに関わって、学校規模別とか自治体規模別に回答傾向に違いがあったのかどうか。
 例えば、学校の規模が小さかったり自治体の規模が小さいところが、とりわけ複数校まとめた学校運営協議会の設置を希望されているなど、そのような実態が見られたのかどうかを教えていただければと思います。

【佐藤委員】  
  ありがとうございます。調査では、その辺を分析できるんですが、今回はまだ分析しておりません。ただ、貞弘委員のおっしゃるとおり、例えば小さい自治体ですと、1小学校、1中学校が同じエリア、あるいは同じ建物にあるなどの場合あります。だから、私も推測するところでは、そのようなところでは複数まとめた方がという回答が多そうな気がします。また分析してみたいと思います。ありがとうございます。

【加治佐主査】  
  いかがでしょうか。最後の質問で、先ほど非常にプラスの評価をされたと思います。つまり、振興計画で目標としている数には達するだろうということです。ただ、それ以上にもっと増やしたい、増やさなければならないというか、そのようなこともあると思うんです。だから、雰囲気的には盛り上がっていないかという気もします。
 導入したところは、先ほどからおっしゃっているように満足度も高いと。承認とか、承認規定とか、あるいは人事についての意見とか、そういうことについて特に不満があるというか、特に問題視されているわけでもないということですが、全体としてそんなに前向きで、すぐにでもやろうかという雰囲気はない。恐らく予算措置がないとか、いろいろあると思うんですが。
 だから、必置(ひっち)ということもこれから議論しなければいけないわけですけれども、必置という点からすると、現実は少し違うのかなという気はします。その辺りはどのようにお考えになりますか。

【佐藤委員】 
 訪問調査にも行ったり、あるいはコミュニティ・スクールを導入している教育委員会の方にもいろいろお話伺ったりしていますが、この数字から出てこないのが、教育委員会に踏ん切りがつかないというか、周りの様子を見ているようなところがあり、ある自治体では一気に増えるような感じのところもあります。
 ですから、山口県の場合は県の方針がはっきりしているので、多分、教育委員会も判断しやすいというのがあって、未導入あるいは未指定のところでは、少し様子を見ているような感じがあると思います。

【加治佐主査】 
 早川委員、どうぞ。

【早川委員】 
 ありがとうございます。予算措置の件ですが、どの程度の予算措置が市町村の教育委員会しているかということが、もし分かれば教えていただきたい。例えば、教育委員会がコミュニティ・スクールの方針として出そうと思っても、実際その予算を獲得するということになると、首長部局とかなりのやり取りをしなければなりません。そのことが、そんなに面倒くさいことならやらなくてもというふうに動くところがあるかもしれないということと、それからもう一つ、ほかに類似する、例えば特色ある学校づくりに予算を付けているとか、校長が自分の考え方によってやれるような予算を付けているというのがあって、それらをコミュニティ・スクールに移行させることによって、その予算を充足させるという教育委員会もあると思うのです。実際には新たな予算がないとどうしてもできないということはあると思いますので、その辺りの予算規模、具体的な平均値とかあれば教えていただきたいと思います。

【仲田講師】 
 まず結論から申しますと、今回の調査の中で具体的な予算の額といったところについては、質問項目が設けられていなかったのでお答えができませんが、2011年に佐藤委員が代表で行われた調査の中では、同様の回答があったかと思います。すぐに手元に資料がございませんのでお答えができませんが。そのようなところから全国的な傾向など、必要があれば情報も、そこから引き出せるかなと思います。よろしくお願いいたします。

【加治佐主査】  
  いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、速報値ということで、まだ全て出されていないし、あるいはクロス集計もこれからされるということですが、今後、あるいは、これから検討していくいろいろな課題に直結するデータだと思いますので、また活用させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして二つ目の議題に移りたいと思います。二つ目は、これまでの議論の整理です。事務局から第4回部会までの意見を踏まえ、これからの検討の方向性(案)について資料の御説明をお願いいたします。

【廣田参事官補佐】  
  失礼いたします。お手元の資料2-1、そして2-2を御用意いただければと思います。これまで4回にわたり、本作業部会において御意見を頂いてきたところです。うち第2回及び第4回につきましては、生涯学習分科会の学校地域協働部会と合同で開催してきました。本日、これまでの主な意見、検討の方向性ということについて整理をし、今後の議論につなげていきたいと考えております。
 全体の構成ですが、まず時代の変化に伴う学校と地域の在り方についてというところが1です。そして7ページ、コミュニティ・スクールと学校支援の取組との一体的推進というところが2です。
 この1、2につきましては、生涯学習政策局の方とも調整をしまして、本作業部会そして学校地域協働部会、両方の部会において出た意見を総合化した形で整理をさせていただいております。すなわち、もう一方の学校地域協働部会におきましても、この部分については共同で整理していくということになりますので、また御意見を頂きたいと思っております。
 そして10ページの3が、これからのコミュニティ・スクールの在り方です。こちらについては、本作業部会を中心に御意見を頂いております。
 そして16ページの4、コミュニティ・スクールの総合的な推進方策ということで、この部分は後ほど切り出して御意見を頂戴する時間を設けておりますので、その際に、この16ページ以降について御紹介させていただきたいと思います。
 これまでの4回の議論にわたっても推進方策について御意見を頂きましたので、現時点で、このように整理をしているところです。
 それでは、1ページ目に戻っていただければと思います。時代の変化に伴う学校と地域の在り方についてですが、点線で囲っているところが作業部会等におけるこれまでの御意見です。1ページ目から2ページにわたり、教育改革、地方創生との観点で、学校からの視点、そして地域からの視点、社会情勢の変化との関係で、学校から、地域から、様々な御意見を頂いたところです。
 それを踏まえて検討の方向性ですが、まず一つ目、現在、自立した人間として他者と協働しながら新たな価値を生み出していくために必要な資質能力を育成する観点から教育課程の見直しが議論されている。新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体改革が進められている状況です。このほか小中一貫等々、様々な改革が進展しております。
 また地方創生の観点から、これからの子供たちには地域への愛着、誇り、地域課題を解決していく力が求められている状況であると。
 一方で地域社会のつながりや支え合いの希薄化、あるいは家庭の孤立化、貧困など、様々な課題に直面している状況の中で、地域の教育力が弱体化しているということについても御意見を頂いております。
 このような中で、学校が抱えている課題というのは非常に複雑化・困難化している状況にあるということの中で、子供たちが身に付けるべき生きる力は学校だけで育めるものではない。多様な人々と関わり、経験を重ねていく中で育まれるものであるということの御意見を頂いております。
 学校を地域のコミュニティの拠点として、地域の将来の担い手となる人材育成、そういう役割を果たす。一方で地域は実生活、実社会について体験的、探求的に学習できる場として、子供たちの学びを豊かにしていく役割を果たす必要があり、地域の教育力を再生していくという観点。地域住民の学びを起点とした地域振興、再生など、社会的な教育基盤を構築していくという必要性を整理しております。
 このために、学校と地域どちらか一方が一方向的にということではなく、相互に補完的に連携・協働していくことが必要であるということの御意見を頂いているところです。
 3ページから6ページにかけて、非常に多岐にわたる御意見を頂いています。
 これからの学校と地域の連携・協働の在り方ということですが、前回の意見の中で、なぜ協働していかなければならないのか、どんな力を身に付けるために協働していく必要があるのかというところを整理していく必要があるという御意見を頂いておりますが、検討の方向性といたしまして、これからの子供たちが厳しい挑戦の時代を乗り越え、他者と協働しながら未来を創り出していくためには、学校と地域はお互いの役割を認識しつつ、対等な協働関係を築くことが重要である。パートナーというメッセージがあるかと思いますが、パートナーとして相互に連携・協働していくことが必要であると。
 そして、学校運営に地域住民が参画することの意味は何かということの御意見もありましたが、子供の教育に対する責任を社会的に分担をする。社会総掛かりでの教育の実現を図っていくことが必要であるという御指摘を頂いております。
 そして、これからの方向性という観点ですが、まず「地域とともにある学校」という観点がございます。全ての学校は地域の人々と目標を共有し、地域と一体となって子供たちを育む「地域とともにある学校」となることを目指す必要があるということ。
 そして二つ目に「学校を核とした地域づくり」という観点でございますが、学校を核とした協働の取組を通じて、地域への愛着や誇りを育み、地域の将来を担う人材の育成を図るということと併せて、地域の人々のつながりを深め、コミュニティの形成・活性化を図ることを推進していくことが必要であるということ。
 三つ目の観点でございますが、「子供も大人も育ち合う教育支援体制の構築」ということです。教育の担い手となることが社会的な文化となっていくためにも、地域の一部の人だけが参画、協力するのではなくて、地域全体で子供の学びを展開していく環境を整えていく必要があるということの御意見を頂いております。
 そのためのツールということで、コミュニティ・スクールですが、育てたい子供像、目指すべき教育のビジョン、保護者や地域と共有するための有効なツールであるということです。一方で学校支援地域本部が、地域の教育資源を組織化、ネットワーク化する仕組みとして有効である。地域の課題に向き合い、解決していく住民を育てていく授業であるということで、学校と地域やパートナーとして連携・協働するためには、ビジョンを共有し、地域と協働で子供が見える学びを展開していくことが重要であるということを整理しております。
 そして、首長部局との協働ということについても多くの意見を頂いております。これからの教育改革の大きな柱となるものであるということで、総合教育会議を活用しつつ、教育委員会と首長部局との協働体制を構築していくことが重要であるという観点も整理をさせていただきたいと思っています。
 このような学校と地域の協働の在り方ということを踏まえながら、7ページ。このような形で外出しをするかどうかというその構成については、後ほどまた調整を図りたいと思っていますが、コミュニティ・スクールと学校支援の取組との一体的な推進ということにつきまして、前回第4回の合同会議で集中的に御議論いただきました。社会総掛かりでの教育の実現に向けて学校と地域が教育のビジョンを共有すること、そして協働で子供が見える学びを展開していくことが重要であるという整理をした上で、コミュニティ・スクールの審議の機能、学校支援地域本部の実働の機能、共に大切な機能であるということで、両輪となって相乗効果を発揮していくことが必要であるという整理をしています。
 コミュニティ・スクールや学校支援等の推進に当たって重要なことは、地域の特色を生かしていくこと、地域とともに考えること、そして地域全体が当事者として参画していくことであるということで、学校と地域が協働して行う企画運営や活動を大切にしていく必要があるということの御意見も頂いております。
 また、コミュニティ・スクールの在り方、学校支援地域本部の在り方、両者の一体的な推進の在り方は様々でございます。
 一体的な推進のパターンとして資料2-2、ここに、これまでの整理に関してのデータが整理されています。18ページから19ページ、学校運営協議会と学校支援地域本部の一体的推進に関する参考資料というのがございます。19、20、21ページにかけて、五つのパターンの整理がされております。
 学校運営協議会の中に学校支援の機能を内包したもの、学校支援機能包括型コミュニティ・スクールというのが一つ目のコミュニティ・スクールの姿です。こちらは、生重委員からプレゼンテーションしていただいた内容をそのまま転記をさせていただいております。
 2番目に学校支援を担う専門部会を設置していくということで、学校運営協議会の下部組織として専門部会を設置し、そこで教職員、そして地域が協働して活動を行っていくようなコミュニティ・スクールの形態でございます。
 20ページになりまして、学校支援地域本部を分離設置型コミュニティ・スクールということで、学校運営協議会は学校運営協議会として審議の機能を果たす。一方で学校支援地域本部は実働の機能を果たしていくと。それぞれが別々に設置をされていますが、お互いに連携を果たしていくというようなスタイルが3番目でございます。
 次に4番目が、公民館タイアップ型コミュニティ・スクールということで、学校運営協議会とは別に公民館が学校支援の機能を果たしていく。そして、それぞれがお互いに協力関係にあるというようなパターンが4番目です。
 そして五つ目のパターン。京都の実例を基に整理をしたものですが、NPOが関わっている事例です。学校運営協議会の委員としてもNPOの代表が入っていて、その運営の基本方針を踏まえながら実際に実働していくときに、このNPOがエンジンとなっていくというようなスタイルです。
 先ほどの資料に戻りまして、このような様々なパターンが挙げられるということを整理した上で、前回の会議におきましては審議の機能と実働機能の有機的な接続という観点、あるいは学校現場における負担の状況を勘案。つまり、様々なものが別々に設置されていくことは二重に負担が生じるという御意見もある中で、学校運営協議会と学校支援地域本部、二つの組織を一体化した方が良いという御意見も頂いております。多くの意見、そういった御意見がある一方で、両者をパートナーとして別々に捉えながら連携させていくことが大切だというような御意見も頂いております。
 どのような形で理想かということについては御意見も様々あろうかと思いますが、先ほど申し上げたように、地域の特色を生かしていくという観点で考えたときに、当該学校あるいは地域の置かれた実情を踏まえながら適切な体制を構築していくことが重要であろうと思っております。
 その場合に、どちらが上、下とか、どちらが一方ということではなくて、両方とも両輪となって効果を発揮していくことが必要であるということを、まず、この部分で押さえていきたいと感じているところです。
 続きまして、10ページ。ここからは学校運営協議会、コミュニティ・スクールの在り方に関連しての整理です。検討の方向性というところにありますが、学校運営協議会の性格です。校長の作成する基本方針の承認を通じて校長のビジョンを共有し賛同するとともに、地域が共に責任を負い行動する体制を構築するものであるということ。学校と地域がビジョン、課題、情報等を共有する場、熟議をする場、意思を形成する場であるということで、学校と地域が相互に協働していくための基盤としての位置付けを整理する必要があると考えております。
 そこで、学校の教育方針の決定、教育活動の実践に地域のニーズを的確、機動的に反映するというガバナンスの視点が学校運営協議会の視点としてあるわけですが、そこに学校運営の最終責任者である校長を支え応援していくという役割を明確化していく必要があるのではないかという御意見を頂いております。
 そのような視点も踏まえながら、現行制度の機能の意義、課題等を整理した上で、今後基本方針の承認という機能の整理、あるいは運営に対しての意見、教職員の任用に対する意見についての整理をしていく必要があると考えております。
 続きまして11ページ。その校長支援、応援していくという存在、機能の関連ですが、学校運営協議会における学校支援の総合的な企画・調整に関する機能の位置付けについて検討の方向性を示しております。
 既に御説明しておりますように、学校運営協議会の機能として支援の機能を位置付けている割合は約68%という状況で、実態からも支援の機能の必要性が整理をされています。
 また、先ほど佐藤委員から御紹介ありましたように、支援の機能を明確化していく必要性についても、校長あるいは教育委員会から御意見があったという状況です。
 承認した基本方針の達成に向かって地域全体で共に前進し、行動していくことが当事者意識の向上につながっていくということで、法律上有している役割の重要性を踏まえた上で、校長を支え応援するという役割を明確化していく必要があるのではないかと考えています。
 すなわち、学校運営協議会において学校を支える基盤であるという観点を明確化していくためにも、学校運営協議会の機能の一つとして学校支援等の総合的な企画・調整の機能を位置付けることを検討していくという方向性をお示ししているところです。
 この際とありますが、これも前回の合同部会において御意見があったところです。学校運営協議会の中にこの機能を設ける場合に、学校運営協議会トップ・ダウンで一方的にその方向性を示すということではなくて、学校と地域が協働的な活動を展開されるように配慮していく必要があると。協働的な活動を通じて地域づくりに発展していくという取組も推進していく必要があるのではないかというような御意見を頂いております。
 続きまして12ページ。学校評価の位置付けです。現在、学校評価の機能を位置付けている割合が78%に至っております。学校運営協議会と学校評価を連動させていくことの必要性というのが示されているわけなんですが、学校運営協議会と学校関係者評価を一体的に推進することで、学校運営の評価・改善のサイクルが充実していくということ。学校運営協議会の機能としての位置付けにつきましては、学校評価の制度体系との関係も踏まえ、引き続き検討していく必要があると思っております。
 また、学校運営協議会そのものが形骸化しないようにしていくために、実効性ある運営と併せて、学校運営協議会そのものの取組を適正に評価していく仕組みが必要であろうという御意見を頂いております。
 13ページの4ですが、校長のリーダーシップの発揮の観点です。現行の学校運営協議会の機能下においては、校長と学校運営協議会委員が対立しないかという不安を抱く自治体が存在しております。これは未設置、未指定の自治体におきまして、このような不安が感じられているという状況があります。
 大切なのは、校長が学校運営協議会の委員に対して、どのような生徒をどのような方針で育てていくのかということを共有することです。学校運営協議会は、基本方針を承認した限りにおいては、校長とともに責任を負い、共に行動する体制を構築していくことが重要であるということです。
 それに当たり、委員の任命ということについての観点ですが、現在多くの教育委員会において、委員の任命に際し校長の推薦あるいは意見を聴取するなどの工夫をしている状況です。これらの状況も踏まえながら、学校運営協議会の委員の任命における取扱いについて検討していくことが必要であると感じております。
 14ページ、小中一貫教育への対応です。これは、小中一貫教育の制度化に向けた中教審の答申にも示されております。15ページ、子供の発達、学習者の意欲・能力等に応じた柔軟かつ効果的な教育システムの構築、このような中教審の答申が昨年の12月に示されています。この中でも小中一貫教育に対応した学校運営協議会の設置の促進ということが示されています。
 改めまして14ページ、小中一貫教育を一層推進する観点から、中学校区内の複数の小中学校における一体的な学校運営協議会の設置を促進するため、中学校区で一つの学校運営協議会を設置できるように現行制度を見直すことが有効であるということを示しております。
 また、この小中一貫教育という観点とは別に、先ほど御議論の中にもありましたように、小規模自治体における配慮という観点からも、その学校運営協議会の取扱いについて検討していく必要があると感じております。
 続きまして16ページ以降は、コミュニティ・スクールの総合的な推進方策ということですが、こちらについては、後ほど時間を設けておりますので、そちらで御紹介させていただきたいと思います。
 事務局からの説明は以上です。

【加治佐主査】  
  ありがとうございました。これまでの主な意見と検討の方向性、この案は、今の御説明のように、ローマ数字で1から4まであるわけです。今、廣田補佐からお話があったように、4については後で独立して議論します。あと1から3までですが、これを1、2と3に分けて御意見を承りたいと思います。
 まず1と2です。つまり、1が時代の変化に伴う学校と地域の在り方、そして2がコミュニティ・スクールと学校支援の取組との一体的推進、この二つです。このようにまとめられておりますが、これらについての御意見を伺いたいと思います。

【廣田参事官補佐】  
 1点だけ事務局から修正点を御紹介させていただきたいと思います。この資料のタイトルですが、作業部会におけるこれまでの主な意見というところです。この「作業部会における」という文字が本来であれば削除されていなければならないんですが、本日配付させていただいている資料には、これが残った状況になっております。1番と2番については両部会の意見を頂いたものを踏まえた整理をしておりますので、この部分については削除していただければと思います。済みませんでした。

【加治佐主査】  
  それでは、1と2について御意見をお願いします。これまで4回のこの会議を通じて、この部分についてはかなり意見が出されていると思います。主な御意見のにもたくさんありますので、それが、それなりにきちんとまとめられているから、意見が出ないのかなと思います。何かそれに加えてというようなことはございませんか。では、藤田委員、どうぞ。

【藤田(裕)委員】  
  京都市の藤田でございます。しっかりまとめていただいていますし、今、加治佐主査からありましたように付け加えるということではないんですが。
 1の時代の変化に伴う学校と地域の在り方、この辺りで、特に学校の在り方ということに関したときに、趣旨としてはこの中に入っていると思うのですが、言葉として、生涯学習社会とか、学校の役割が学校教育機関、学校教育を受けている機関だけの子供の育みではなく、一生にわたっての子供の育みの中で学校がどういう役割を果たすのかという辺りが、この時代の変化に伴う学校という辺りに強く含まれるのではないかなという気がしておりまして、その辺のニュアンスが入ればいいのかなという気がします。
 特に、この部会では、そこまで入らないかもしれませんが、やはり今のこの少子化の問題や、子供が家庭を持ち、子供を授かって育てていこうという、社会の担い手になっていくような役割を、学校だけでは到底できないことを地域なり社会総掛かりというところで進めていくと。それが、いわゆる時代の変化に伴う学校の在り方の中の一つの要素として、科学技術的な内容、あるいは知識の内容以外にも含まれているのではないかなという気がしておりまして、そういうニュアンスが、社会総掛かりとか、言い方として入っています。地域の連携ということに非常に重点を置かれているので、もう少し時代的なといいますか、生涯学習的な一生の関わりの中での連携というものが、視野が入った方がいいのではないかなと思いました。

【加治佐主査】  
  分かりました。

【天笠副主査】  
  全体を通しての印象ですが、私どもの発言を大変丁寧に、また大変簡潔に整理してまとめていただいたというのが、まず全体的な印象です。ですから、そういう意味でいうと、異論があるということではなく、あるいはここどうなんだろうと、そういう感想は持たないです。そのことが逆に、全体としてインパクトを非常に弱くしているのかもしれないと、そういう印象も少しあります。
 そもそもこれは誰に対してのメッセージなのかどうなのかというと、もちろん多くの方々に対してというのが大前提になるわけですが、例えば、コミュニティ・スクールに消極的な関係者、あるいは教育委員会等々に対して、これをとりわけ読んでもらおう、聞いてもらおう、受け止めてもらおうと、そのようなスタンスを、もう少し出してもおかしくはないのではないかなと思います。そのような観点からすると、なぜコミュニティ・スクールを求めているのか、なぜコミュニティ・スクールにならなければいけないのかということが、もう少しメッセージ性が出てくるのかもしれません。
 ですから、全体として我々の意見をうまくパッチワークのような形で、それぞれのところに、こういう柱立てで収めているという、ここまではそうなんですが、後は全体の筋書きですとか、ストーリーですとかという辺りが課題になってきます。そういう意味でいうと、これをより多くの関係者に届けることについて、必要な配慮になってくるのかなと思います。
 そうすると、例えば1ページのところについても、時代の変化がなぜコミュニティ・スクールなのかと。いろいろ立場が違って異論があるかもしれませんが、ただ我々としてはこうなんだということで、1ページに書かれていることをどういう形で、それへ努めていくのかというのが問われているのではないかと思うし、その辺のところを、恐らくこれから委員の皆さん、それぞれのお立場から意見が出るかと思います。それをうまく吸収して、この中に取り入れていくというか、組み立てていただくとよろしいのかと思います。
 その上で、ここのところは柱を立てて書き加えてもいいと思う点が一つあります。それは、今の話ともつながってくるのですが、学校に対して、あるいは学校というものについての私どもの捉え方、位置付け方というのでしょうか。
 それはどういうことかというと、学校が自らコミュニティ・スクールになろうという、その意思、意欲が、やはりコミュニティ・スクールを発展させていくときの一番重要な部分ではないかと私は思っています。コミュニティ・スクールの必要性というか、方向性を自ら受け止め、そしてそちらの方向に自らなっていこうと、そういう意思が学校にあるかないかというと、現実にはいろいろな状況があります。
 先ほど佐藤委員の御発表に質問したのも、実はその辺のところがあり、教育委員会がやると、学校は不承不承(ふしょうぶしょう)それを受け入れるという、そういう構図がなきにしもあらずです。中には、少ないかもしれませんが、学校と地域が自らがコミュニティ・スクールになっていこうというのも現実に存在しており、その学校の意思と方向性こそ、実はコミュニティ・スクールを進めていこう、広げていこうという一番の大きなエネルギーになっていく原動力になるというところを、この中にもしっかりと書き込むのでしょうか。そのようにしないと、外側の環境整備をすれば、おのずからコミュニティ・スクールは広がるだろうという、何かそのような姿になって。もちろん環境整備が必要なことは言うまでもないのですが。
 1998年の中教審の行政の見直しのところには、今申し上げた点がきちんと書いてあります。それはどういうことかと申し上げると、学校の自主性、自律性と併せて、その文脈の中に、これからの方向の一つとして、このコミュニティ・スクールが出てくるわけですが。その中で、とかく学校の自主性、自律性ということが何となく希薄になってくるというか、あるいは対地域の関係や、対行政との関係の中で、という形に溶け込む部分があります。改めて、コミュニティ・スクールを目指そうとするときに、その学校自らがというところの位置付けと、その大切さと、また必要性をしっかりと確認し、押さえていく必要があるのかなと思います。
 以上です。

【加治佐主査】  
  分かりました。またそこを検討していただければと思います。
 どうぞ、貝ノ瀬委員。

【貝ノ瀬委員】 
 今、天笠委員から出たことで意見を申し上げたいと思います。
 時代の変化ということです。最近の時代の変化と思うのですが、やはりコミュニティ・スクールを本質的というか、もともとの成り立ちのところから考える。つまり、私自身とか、早川委員もそうですが、自分自身でコミュニティ・スクールを立ち上げた、そういう立場でもあるわけで、そのような観点からいくと、このもう少し前の段階の、つまり開かれた学校づくりということが、やはり地域でも、社会でも、自分自身でも求められて、求めての結果としてやってきました。つまり、学力低下もそうですし、不登校やいじめ、校内暴力、様々な子供に関わる問題や課題があり、それを学校は、ある意味ブラックボックスにしてきました。しかし、自分たちで解決もできないのに右往左往していたというところがあり、そういう意味では、もっと開かれて、オープンにして、地域の人と関係機関に情報を公開して、情報を共有することが一体感や信頼感につながるということです。アカウンタビリティーとか、説明責任だとか、自主性とかが問われてきましたが、その辺のところの経過を踏まえ、その中で、やはり地域とともに、まさに一緒に課題を解決していくのだと。学校だけで問題を解決しても限界があるしということで、そこは、やはり素直に学校は認めて、そして助けてもらうところは助けてもらうし、地域に貢献できることは地域に貢献していくと。そういう関係の中で学校の質を上げていくことになってきました。当初はいろいろ、例えば学社融合だとか、教育ボランティア制度だとか、いろいろな取組があって、それが徐々に集約される中で。
 前にどなたか意見を言われたのを記録で読みました。私は、3回まで出席できなくて記録だけ読みましたが、その中で教育ボランティアが学校に関わることによって、地域の教育力だとか、学校運営協議会の委員としての力量が耕されてきたという意見があり、そのとおりだと思います。
 ですから、そういう前段階のいろいろな体験的な市民の皆さんの活動の積み重ね。学校への評価にも関わるとか、それから学校支援はもちろんですが、例えば安全・安心の取組になったりと。つまり、学校側と相談しながら、連携しながら、結局、パートナーとして、いろんな活動をさせてください、しましょうよ、もっと使ってくださいと、そういうことになって、ちょうど平成16年に仕組みとして学校運営協議会を置くことができるようになりました。さあ、それに乗っていきましょうというところは、割と主体的なコミュニティ・スクールだったと思います。
 そういうことではなく、政策的に、教育委員会がいいことだからやりなさいよということで、何となく、直感的にいいようだからやってみましょうかとやってみたら、「いいよ。」と広がっているところもありますし。それはそれでいいと思いますが、そうではなく実践の積み重ねで来たところもあります。そこは、問題意識としては、天笠委員がおっしゃったようなことも含めて、まさに開かれた学校づくりということの背景があり、学校はシークレットガーデンにしないんだと、そのような実感がありました。
 この提言は、どちらかというと、地域社会の問題が、課題が割と色濃く出て表現されています。これは今、地方創生のことが課題になっていますから当然だと思うんですけど。それプラス、やっぱり学校の課題、学校教育が持っている課題、先生方のいろんなオープンマインドではない課題、校長のガバナンスの課題とかが合わさって前提にあり、コミュニティ・スクールが必然的なものとして登場してきたということではないかと思います。
 そういうことも、きっと触れられるといいのかなと、今、天笠委員の話を聞いて思いました。

【加治佐主査】 
 是非そこを検討してください。おっしゃるように、長い積み重ねがあり、ここに至っていますので。確かに言われると、地方創生とか、地域とともにある学校ということで、地域の方が主というか、地域社会全体を何とかする、あるいは地方を何とかするということが出てしまっています。もともとは学校から発したはずなのに、そこの部分が弱くなっているという視点だと思います。学校自体が意識を高めて開かれるというか、あるいは地域づくりも参画する。そのような意識がないと、結局これは訴えられません。学校関係者には、そんなに訴えが強くないのではないかという意見だと思いますので、是非そこを考慮いただければと思います。
 それでは、とりあえずは1と2はここまでにしまして、また後で振り返ります。もう一つの3です。今度はこちらに入っていきたいと思います。これは学校運営協議会の役割ということで、結構具体的なことになります。学校支援の総合的な企画・調整に関する機能の位置付けに関する論点、学校評価の機能の位置付けに関する論点、校長のリーダーシップの発揮に関する論点、学校間連携の推進に関する論点となり、より具体的になります。御意見をお願いしたいと思います。生重委員、どうぞ。

【生重委員】  
  3の現行制度上の機能の意義や課題を整理した上で、今後の学校運営協議会の役割と機能の在り方について整理するという点で、校長の作成する学校運営の基本方針の承認については、これ無くしてコミュニティ・スクールとは言えないと私は思っています。学校長が経営方針を作成し、それを承認することで、我々学校運営協議会委員も一緒になって責任をとっていくのだという意識が高まり、そして、きちんとコミュニケーションをとって理解し合って、校長先生とともに推進していくのだということが明確にならないといけません。
 また、三つの承認だけでなく、会計面でもそうですし、教職員の任用に関してもそうですが、校長先生の経営方針がしっかりしていれば、それについて我々も一緒に承認して、賛同した以上、その方向性を一つにして一緒にやっていきましょうということですから、ここは絶対に、分かりやすい状況を作っていかなければなりません。
 コミュニティ・スクールに類似している活動を行っている、そういう組織を持っている地方のいろいろな事例も知っていますが、コミュニティ・スクールになっていただくからには、この三つの承認は外せません。そこを、より多くの学校に理解していただく必要があります。
 先ほどの佐藤委員のデータを拝見しながらずっと考え込んでいましたが、教育委員会や学校長がどこの部分で恐れるのかがよく分かりません。きちんと理解して、学校経営者たるものは、自分の経営方針を打ち出し、地域それから委員に理解を求めるのは当然ですし、保護者にも求めるのは当然なのだから、それは普通にやっていることだと思います。そして、その学校経営方針に基づき、校長先生が教職員の人事をされます。何年かで異動になる前に、入ってくる新人の割合と、それから自分の経営方針にのっとった中堅どころが何人欲しいとか、そういう人事構想についても、学校経営の下である一定のところまでは校長先生がお考えになるわけです。その辺りの説明を受けて、別にそれが間違っているということは言わないですし、きちんとそういう方針で教職員人事がなされたことについて御承認申し上げて、一緒になってやっていきましょうということだと思います。
 ここの部分を次回以降協議するときに、いかにそれが大事なのかということが、より分かりやすく理解できるような方向性を見いだしていかなければならないと思っておりまして、ここを何となく承認ではなく協議するという言葉に代替したときに形骸化している。前回、貝ノ瀬委員がおっしゃっていたようなコミュニティ・スクールの形骸化というものが、最初に起こってくることになるのではないかと思います。
 とにかくコミュニティ・スクールの運営委員になるということは、我々委員側もきちんと勉強していかなければならないわけです。いろいろなことをやっていくうちに力量が増してきた。前回の委員会で四柳委員がおっしゃった発言だと思いますが。そうして研修を受け、体験を積み、運営側も、それから学校支援側も力量を付けていくことが大事です。その辺り、学校の先生や学校長もきちんと力量を付けていただく。研修機能をいかに充実させるかということも重要になるのではないかなと思いますし、常に自主性、自律性を持った特色ある学校を運営していく、これからの地域の学校として、ここの部分は外せません。そして、研修機能のより一層の充実をどう示していくかということが重要なのではないかと、これを見て感じております。

【加治佐主査】 
 分かりました。それで、早川委員、少しお待ちください。
 これからまだ何回かありますので、そこで議論してもよろしいのですが、ただ、このように事務局で意見をまとめていただいています。これは、今後の在り方について整理と書いてありますが、大体このとおりにいくという方向を出しているということです。つまり、承認規定は残す。あるいは任用規定、任用に関する意見、あるいは学校又は学校運営に関する教育委員会や校長に対する意見。この法規定はこうなっているわけです。これは、とりあえずの案として、今、生重委員がおっしゃったような意義があるので、残していく方向で書かれているということですね。

【廣田参事官補佐】 
 失礼いたします。補足をいたします。10ページに書いてあります、この1行です。意義、課題等を整理した上で、在り方について整理は、この一文をもって全て何も変えないということを指しているものではありません。
 ただ、これまでの御意見を頂きまして、10ページから11ページに書かれておりますが、それぞれ三つの機能についてはとても意義があるという御意見を頂いている一方で、教職員の任用の部分については賛否といいますか、非常に抵抗感、警戒感があるという状況の中で、いかにそれを踏まえた検討をしていくかについて、御意見を頂いております。
 そういった意見も踏まえながら現時点では、この方向性でというところまでお示しすることができておりませんので、次回以降、頂いた御意見を踏まえて整理していきたいと思います。

【加治佐主査】 
 分かりました。では、早川委員。

【早川委員】 
 ピンポイントでお話しできなくて申し訳ありません。まだ導入していない学校や教育委員会の人と話していると、必ず言う言葉、返ってくる言葉、キーワードだと思うのですが、「ああ、それならもう、うちはコミュニティ・スクールだ。制度として入っていないけれど。」と。特に山間(さんかん)、へき地の小規模校は、まさにそうだと思います。わざわざコミュニティ・スクールだと言わなくても、もうコミュニティ・スクールなんだという、そこがキーだと思います。
 コミュニティ・スクールは、地域の教育力を地域の人に自覚していただくことによって、その生まれる効果は非常に大きいということです。困難な家庭にも地域の教育力というのは届くわけですし、そういう地域の人たちが、地域を教育の場として、地域の教育者として自覚していただくだけで、かなり効果が大きいということです。だから、そういう意味じゃ、私はコミュニティ・スクール導入については非常に楽観的なんです。
 佐藤委員の中でもありましたが、実際にやってみると、いいものだという評価をしていることが大きなことだと思います。そのことを、発信していく必要があるのだろうと思います。高齢化社会はコミュニティ・スクールを回転させるには非常に力になってくることですし、体験学習でも、防災教育でも、キャリア教育の可能性は非常に大きいと思います。3.11以降、まだ地域のきずなに対しての自覚は高いと思います。
 そういう意味で、新しい仕組みを導入して学校が大変になるということではなくて、既にある仕組みに電流を流すことによって、それが自覚的に動いていくという、そうした整理が、今まで導入できていない、今後の学校に対しては、そういうハードルの低さというか、楽観的というか、そうしたことをやってみたらうまくいくのだという導入の仕方がいいのではないかと私は思うわけです。
 そうした点においては、前回の話にもありました、今回の御指摘もありましたように、校長の資質の問題というのは、やはり関わってくるのだろうと思います。地域にマネジメント能力を発揮できなければ、これからの校長は厳しいと思うのですが、佐藤委員の調査の中で私が一番驚いたのは、学校運営が順調であるという校長が九十一点何%いた。本当にそれだけいるのだったら、もう少し教育委員会は楽だろうなと思ったのですが。コミュニティ・スクールを導入しろと言われるから、それに対して少し揺れたとは思いますが、実際に別の方向で質問すれば、順調だと思っていないと思うんですね。
 いろいろなすばらしい実践モデルは提示する必要があるし、実践的なことはあるけど、必要なことは実は自分の学校と地域との関係でしっかり見ていくということです。どこどこのやり方を導入したから自分の学校うまくいくというわけではないので、自校の中のコミュニティ・スクールをきちんと作り上げていくことが重要なことで、だったら、最初の言葉に戻りますけど、「もう言われなくてもコミュニティ・スクールだよね。」「じゃあ、それで作ってくださいよ。」という話だと思いますが。
 やはり校長先生というのは、いい先生が校長になっているわけです。そして、退職するときにはある程度自分もやれてきたから、新たなマネジメント能力なんて特に言われなくても、学級経営がうまくやれば学校経営がうまくいくというぐらいのことで、そういう時代も昔はあったと思うのですが、今の世の中、残念ながら、学級経営がうまいから、そのまま学校経営がうまいわけではないという大問題。いろんな教育の新たな要求はどんどん来るわけですから、それほど単純なものではないということを前提として、やはり必要なのは管理職になる、ある時点の、きちんとマネジメント能力、学校のガバナンスの力をきちんと付けていくための方策や研修が、コミュニティ・スクールのことも含めて、それはきちんと脳みそを入れ替える作業というか、付け足す作業は必要だろうと思います。
 その点において、コミュニティ・スクールというのは、実は土曜日の授業とか、それから小中一貫教育とか、いろいろな体験学習、もしかするとアクティブ・ラーニングやいろいろなものにつながっていく可能性が高いものだから、「新しい仕組みとしてやりましょうよ。」ではなくて、「もう、それならコミュニティ・スクールだよね。」というところからスタートした考え方による導入は、今後しやすいのではないかと思います。

【加治佐主査】  
  分かりました。はい、どうぞ。

【竹原委員】  
  今、早川委員のお話をされたこととほぼ同じことを考えていて、よくコミュニティ・スクールと片仮名で言うけれども、実は懐かしい学校を作るのではないかという話をよくします。それではなぜ、制度にした方がいいのか、看板を掛けた方がいいのか丁寧に伝える必要を感じています。今、既にコミュニティ・スクールのようなものですとか、していますという方たちに、どうしたら伝えられるかと、いつも考えています。
 そこで、継続性とか、ガバナンスの問題があります。そして学校の組織をマネジメントするのが今どんなに大変かということで、そのための後ろ盾にもなるというふうに伝えたいと思ってます。
 先ほどの議論に戻りますが、そのようなことを前段で伝えないと、その先の議論がスタートしてしまうので、全体像みたいなものを最初に書いたらどうでしょうか。

【加治佐主査】  
  では、貞広委員。

【貞広委員】  
  今のような制度の拡大の根幹に関わるような課題ではないのですね。むしろピンポイントで、14ページのところに小中一貫教育への対応など、学校間連携の推進の観点ということを挙げていただいていまして、二つ目の丸のところに、「小中一貫教育を一層推進する観点から、中学校内での複数の小中学校における一体的な学校運営協議会の設置を促進するため」とあります。
 前回のこの会でも申し上げたのですが、やはり小さな規模を抱えているような地域では、なかなか委員のなり手の確保も難しい。又は地域的な広がりの観点からも、中学校区の単位で考えるということは非常に大事だと思います。
 さらに、ここに付け加えることを少し御検討いただければと思うのですが、小中一貫教育だけではなくて学校間連携は、中学校、小学校、小学校、小学校というように、中学校と複数の小学校が一つのネットワークになるという学校間連携も今後あろうかと思います。特に、それぞれの学校が小規模化しているときに、一つの学校では十分にアクティブ・ラーニングができないとか、多様な教育環境に十分に触れることができないといったときに、学校間連携を模索をして、小規模の学校を統合しないで残すような形があると思うのですが、実際のところ、なかなかそうした連携がうまくいっているとは言えない実態があることを踏まえると、こうした複数の学校のネットワークをガバナンスの側面から支えるという視点からも、こうした中学校区単位での学校運営協議会の設置の有効性があるかと思いますので、小中一貫教育のみならず、複数の学校のネットワークということも少し考えていただければと思います。
 以上です。

【加治佐主査】  
  どうぞ、黒瀬委員。

【黒瀬委員】  
  以前、自分が発言したときにも言わせてもらいましたが、13ページの丸4の校長のリーダーシップの発揮の観点というところが大事だと思っていまして、それができるのがコミュニティ・スクールだと自分は考えています。
 自分も含めてですが、コミュニティ・スクールをやっている学校の校長は、コミュニティ・スクールになったことによって自分の学校経営の思いが発揮できるのが魅力だと思っているのですが、コミュニティ・スクールをやっていないところは、そこに気付いていないように感じます。その点を重視すると、もっとコミュニティ・スクールに関心を持ち、やってみようという校長が増えるのではないかと思いますので、是非その点も考えていただけたらと思います。

【加治佐主査】  
  どうぞ。

【宗岡委員】  
  大分の宗岡です。校長としての意見です。冒頭、佐藤委員と仲田先生のところで発表していただいた中で、一番最後のところに、なぜコミュニティ・スクールを行っていないのか。地域連携が既にうまく行われているから、あるいは既に保護者や地域の意見が反映されているからコミュニティ・スクールは入れていないという意見が非常に多いということですが。つまり、裏を返せば、コミュニティ・スクール、イコール学校支援、地域貢献。ここのところがやれていれば、既にコミュニティ・スクールをやっているのと同じなので、わざわざ導入しなくてもいいということだろうと思うのです。先ほど生重委員からお話もありましたように、学校長としての学校経営、学校運営というのを広く地域の方と共有して、どういった子供を育てていくのか、どういった学校運営をするのかという、そういったビジョンを広く共有することが、実はコミュニティ・スクールだろうと私は思っています。
 いろんなアンケートを見たときに、コミュニティ・スクールを導入する前の少し懸念事項としてあるのは、そこの学校運営の承認のところを、地域の人が反対をして学校運営がうまくいかなくなるのではないかというところが懸念されて導入進まないという部分があると思うのですが、実は、実際入れてみると、入れた後、学校長あるいは教職員は、そこのところはほとんど問題がなくて、広く逆にビジョンが共有されて、学校長の応援団となっていってくれているということにつながっていくので、ここの承認という部分は非常に大事な部分で、これなくしてコミュニティ・スクールはあり得ないと現場の校長先生も思っている次第です。
 以上です。

【加治佐主査】  
  皆さん積極的ですが、これで意見が切れますかね。アンケートでは問題はないということですが、聞くところによると承認規定が、皆さんのおっしゃるように、結構気になっていて、もう実際にはコミュニティ・スクールなんだけれども、その承認という壁が結構厚いと。要するに、ガバナンスという位置付けがどうなんでしょうか。貝ノ瀬委員、以前御説明なさいましたが、校長主体の経営ですよね。校長には校務掌理権があって、それを承認するということの意味合いでしょう。学校運営協議会は、ガバナンス機関として上ではありませんよね。

【天笠副主査】  
  そうです。

【加治佐主査】  
  上ですか。

【天笠副主査】  
  いや、上ではない。

【加治佐主査】  
  上ではないですよね。

【天笠副主査】  
  校長が上です。

【加治佐主査】  
  校長が上ですよね。というか、並行ですよね。だから、その応援団というか、支援者であることと矛盾はしない。そのような捉え方ですね。
 しかし、その理解が進んでいないということなのでしょうかね。

【天笠副主査】  
  そうです。

【加治佐主査】  
  だけど、承認という言葉は結構重いです。私も学長ですから、校長と同じですから、やっていますと、承認ではないです。学校経営協議会というのが設けられていますけど、審議をするだけです。だから、決定ではないです。承認といったら決定ですよね。そこの重みというのは結構、当事者にはあります。
 皆さんが恐れるのは、委員がちゃんとした人であればいいですが、必ずしもそうとは限らないということがありますので。すごくこだわりがある方もおられたら、いろいろ大変だということになるのでしょう。
 だから、調査結果や皆さんがおっしゃるように、導入してほとんど問題にならないということはよく分かります。ただ、これから導入しようというところについて、この承認規定を残したままで広がっていくのかというのがあります。
 もし残していくのであれば、今の案では、委員を選ぶときに校長の意見を入れるとか、いろいろな案が出ているわけですが、もう一歩アイデアを出して、大丈夫ですよというか、むしろその方がうまくいくんですよというふうに理解してもらえるような方策を、何か講じないと広がらないと思います。
 どうぞ、貝ノ瀬委員。

【貝ノ瀬委員】 
 簡単に言えば、食わず嫌いです。実際にやっているところがこれで困っているとか、承認をするということによって困っているのでしょうか。両校長先生から今、お話ありましたが、そうではない、むしろ積極的にやるべきだとの発言です。だから、やれば分かるのです。
 だから、やらないところや机上で議論していると、やはり、いろいろな心配が出てきます。
 だから、そういう意味では必置ということも、ほかの分野とは違って、そんなに無理なことではありません。これは、そのまま、「どうぞお好きなように、勝手にやるところはやってください。」としたら、100年たっても無理です。
 大事なことは、例えば佐藤委員の調査で先ほど話題になりましたが、コミュニティ・スクールをめぐる条件、未指定のところのデータが面白いと思います。早川委員からもありましたが、学校運営は順調であるが91.6%となっています。しかし、教職員はコミュニティ・スクールに消極的である、それから指定の意思がない、人材確保が難しい。これはアンケートでやっているから、このように数字出てくるのですが、私がもし、これから、また教育長に戻り、そして市内の学校、何十校の校長にやってもらおうとなったときに、これを配って、これは本当にそうなのかと聞いてみたいです。おそらく、全部言わないと思います。「いや、そんなことありません。」、「いや、うちは課題が結構あります。」と必ず言い出すから。これはアンケートとしてとるから、このように言っているのです。
 こちらは、それぞれの学校がどのような課題を持っているかということが分かっているわけだから、「無いと言えるのですか。」という話です。では、「その具体的な問題をどうやって解決するんですか。」と聞いたら、多分すぐ答えられません。だから、そういう課題解決のときに、例えばこのような方法があるということです。
 だから、学校の実情とか、抱えている課題について、コミュニティ・スクールが非常に役に立つ意義あるということを具体的に指導したり、情報提供したりすることができるような教育長が欲しいわけです。
 だから、早川委員のところや、ある意味では京都の藤田委員もそうだと思うのですが、丁寧にきちんと説明できるから、結局どんどん広がるというわけです。その不安を持たせない。生重委員のところの杉並の井出教育長もその一人です。この間、安心したのですが、ゴールはコミュニティ・スクールだというふうにおっしゃったりしながら。それを念頭に置きながら、じわりじわりと、いろいろ外堀から指導しながら、あたかも校長が自分自身でコミュニティ・スクールにしたように持っていっている。それが、いわば教育長とかの手腕なのです。
 だから、まさに教育長のガバナンスですが、そのような力を付けてもらうような研修も必要だし、また文科省も、そのような機会を作る必要があります。
 本元を正せば、文科省参事官には悪いですが、これが平成16年、10年前に出てきたときに、きちんとした教育論として余り徹底されなかったという恨みはあります。だから、一方的に誤解があり、地域に乗っ取られるような、学校の校長をないがしろにするような仕組みではないかと。いまだにずっと尾を引いているわけです。
 学校の責任者は校長なんだ。人事権についてだって、別に地域の人が言ったから全部そのとおりになるわけでもないということが誤解され、やはりきちんとした理解がされていない。私も週に一、二回ぐらい回りますが、本当に理解されていません。
 だから、未導入のところは、一から話をしなければならないくらいの状況になっていますので、これからは徹底した理解を図っていくという作業が必要です。また、実際に踏み込んでみる、やってみることで理解していただくということも必要です。そのようなインセンティブ、人を少し配置するとか、予算も少しそれにつけてやれるようにしてあげるとか、誘導を図りながらやってみると、いいことだと分かります。
 逆のことは実際ないのだから。聞いていないでしょう。聞いていたら教えてもらいたいです。もうやめたとか、困ったとかということではなくて、やはり前へ前へ進んでいますから。だから、そのようなことも考える必要があります。

【加治佐主査】 
 では、藤田委員と天笠委員。

【藤田(裕)委員】 
 先ほどから出ている、90%の校長先生が、学校が順調だからという話です。これを裏返すと、コミュニティ・スクールを設定しない理由でそれを挙げておられることは、何か困っていることがあるからコミュニティ・スクールを作らなければならないというような誤解というのか、意識をお持ちの方が多いのではないかなという気がするのです。
 ですから、そのコミュニティ・スクールというのは、言葉尻になりますが、貝ノ瀬委員がゴールがと言われましたが、京都の場合はスタートだという感じだと思うのです。コミュニティ・スクールになることによって、そこから学校がどう、更にレベルアップして変わっていくのかというスタート地点でしかないんだというような発想で声掛けをしている部分が多いのではないかなという気がしています。
 ですから、そのような学校のこれから、今現在がこのままでいいのでということだけではない、スタートになるようなコミュニティ・スクールの在り方が求められるということで、そういうことでいいますと、これも少し言葉尻みたいになりますが、先ほど竹原委員がおっしゃった懐かしい学校というスタイル。これも本当にそのとおりで、コミュニティ・スクールが円滑にいっているところは懐かしい学校だと思うのです。
 ただ、今の地域コミュニティの崩壊など、いろいろ見ていますと、そこに安住しているのでは持続性が保てない。だから、そのような古き良き時代で安住するのではなくて、持続的に学校と地域が結び付いていけるようなシステムを作っていくのがコミュニティ・スクールであり、そのコミュニティ・スクールによって、地域が学校を支援するという仕組みと、逆に学校がその持続的な地域を、人材も発信していくような相関関係、相互関係が保てるようなものが、コミュニティ・スクールの一つの効果として非常に期待されるのではないかなと。そのような意識改革を、教育委員会も学校もしていく必要があるのではないかと思っています。
 その意味でいうと、先ほど来お話があるように、いろいろな大きな枠組みでハードルを低くして、「これもコミュニティ・スクールでいいんですよ。」というような形にしていく方が、私はいいのではないかなと思いますし、同時に、先ほど来、国なり予算の補助が有効だというお話がありますので、特に、やはりコミュニティ・スクールを進めていく上で、どうしても学校に過重な負担なりが掛かっていくときに、人的な配置をどのように保障していくのかというような、呼び水として何か持っておくのも、財政的な問題はありますが、必要ではないかなという気がしております。

【天笠副主査】 
 度々失礼します。まず、この作業部会の前提は、コミュニティ・スクールをいかに普及させるかということ。量的にも、質的にも。それが前提になって、そのための知恵を出し合うと、そういう部会ではないかと思っております。
 その上でですが、先ほども出ました14ページの小中一貫教育とコミュニティ・スクールということですが、小中一貫教育に少し関わりを持たせていただいた立場からすると、基本的にはここに書かれているように、一体的な推進が必要です。このことは、こういう文言でいいのかなと思うのですが。ただ、そのような立場からすると、コミュニティ・スクールと小中一貫教育をこのような形で、果たしてセットというのは、少し懸念するところも実はあります。それぞれのところは、コミュニティ・スクールからスタートしているところもあれば、小中一貫教育からスタートしているところもありますので、それぞれ出どころが違っているという辺りの丁寧さも見ていくというか、必要ではないかということです。
 それからもう一つ、やや観点変わるかもしれませんが、小中一貫教育については、今度の6月の法改正でようやく制度化というところにたどり着いたという認識です。それに対してコミュニティ・スクールというのは、そもそも制度からスタートしたという認識を持っています。改めて、小中一貫教育の場合は、なぜ制度化する必要があるのだということをプラスマイナス両面から議論を重ねながら、そこへ至っているというところなんですが。コミュニティ・スクールの場合は、制度がまずありきで、それに加えていかに理解してもらうかという形で、どうも発想の前提にしてありそうですが、少しその発想の転換をする必要があるのかなと思います。それならばコミュニティ・スクールだという、この辺りの位置付けや扱いをもう少し文脈の中で捉えていく、位置付けていくということも、一つの知恵の出しどころだと思っています。
 要するに、コミュニティ・スクールをスタートの時点から発想すると、それこそ制度化がまずありきというところになるのですが、10年前、あるいはその前からアカウンタビリティーですとか説明責任の文脈からいくと、コミュニティ・スクールは、実はそういう現場のエネルギーというか、地方のエネルギーということと、制度化するということを整合させていくのでしょうか。
 ですから、小中一貫教育にしてもいろいろな実践があり、このたびの、という運びになってきているわけですので、そのような歩み方とか位置付けだとかを大切にする必要があるのではないかなと思います。
 その上で14ページのところですが、ここには、市町村教育委員会の地域教育経営とか、経営戦略とか、そういうことの重要性があり、その文脈の中で、コミュニティ・スクールと小中一貫教育をどのように扱って、自分たちの地域を、この将来どういう姿にしたいのか。市町村自治体における戦略という文脈の中に、小中一貫教育とコミュニティ・スクールの一体的なという辺りがあるのだということ。今申し上げた前段が欠けていて、これだけがポンと出てくるとということなので、その辺りのところをもう少し今後書き加え、全体の関係の中で位置付けていく必要があると思います。
 以上です。

【加治佐主査】 
 ありがとうございました。
 いろいろ御意見を頂きました。本日は欠席ですが、田崎委員から参考資料が出ております。時間がありませんので、簡潔に説明していただき、次の議題に移りたいと思いますが、よろしいですか。

【廣田参事官補佐】 
 失礼いたします。お手元に、田崎委員から意見を頂いております。
 これまでの議論の整理に関して、学校運営協議会による学校関係者評価の質を高めるということで、学校関係者評価を実施する場合において、委員の人数が限られているということ、あるいは関心、理解が異なるという状況の中で、学校評価の妥当性、信頼性が十分に担保できない状況があるのではないか。それに対して、幅広く応募、推薦をするという委員の任命に関しての方策、あるいは大学生、青年等を臨時委員として参加させることの意義ということについて御意見を頂いております。
 小中一貫教育への対応です。中学校区で一つの学校運営協議会を設置できることが有効と示されていますが、学校ごとの運営協議会の設置、一体型の運営協議会の設置、選択できるようにしていくことが必要であるということです。2番目、これからの議論ですが、総合的な推進方策の中で、学校情報の共有、課題解決に向けた協議等を進めていく上で、コミュニティ・スクールは有効だということで、熊本版コミュニティ・スクールの導入を進めている状況の中で、各都道府県、市町村における独自の○○版コミュニティ・スクールの導入や、コミュニティ・スクールへの移行が円滑に進むような国の支援が求められるという御意見を頂いております。
 以上です。

【加治佐主査】 
 ありがとうございました。この部分については、特に制度上の位置付けについて継続ということになりますので、本日の意見も踏まえながら、最終的な結論を出していきたいと思います。
 それでは、3番目の議題になります。これまでの議論も踏まえて、今後のあるべき姿のコミュニティ・スクールをどのように推進していけば良いか、推進方策について検討していきたいと思います。
 それでは、先ほど説明していない部分です。事務局から説明をお願いします。

【廣田参事官補佐】 
 失礼いたします。お手元に資料2-1と3-1、3-2を御用意いただければと思います。
 まず資料3-1ですが、今後の学校と地域の連携・協働に関する論点としまして、総合的な推進方策をどのように考えるかという論点が設定されております。
 検討の視点ということで、地域とともにある学校のマネジメント力の向上、教職員の育成の在り方と推進方策についてです。教員養成段階において、「地域とともにある学校」の視点をどのようにして取り入れていくか。校長を含む教職員の研修において、「地域とともにある学校」の視点をどのようにして取り入れていくか。学校組織の中で学校と地域をつなぐ役割を担うコーディネート機能について、その在り方をどう考えていくか。その際、社会教育主事有資格者や事務職員の活用をどのように図るかという論点を設定しております。
 なお、一つ目と二つ目の部分については、これから御説明を頂きますが、教員養成部会においても別途、教員の支援の在り方について御議論がありますので、そちらとの審議の接続を図っていく必要があると考えております。
 三つ目の部分ですが、2にありますように、チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会で御審議いただいておりますので、そちらとの接続を図っていく必要があるとも考えております。
 これに関連して、資料3-2をお開きいただければと思います。今の論点に関連する資料でございます。3ページ、地域との連携を担う教職員についてです。
 例えば、栃木県の事例として、地域連携の教員を配置しているということで、校内における担当を明確化することにより、地域との協働を一層促進し、原動力になっていくという事例です。
 19ページに飛びます。地域とともにある学校を担う管理職等育成のための研修プログラムです。独立行政法人教員研修センターにおいて、学校組織マネジメントの研修があります。その中で、「地域とともにある学校を担う管理職の育成」を内容に関連付けるという状況はあります。
 初任者研修、10年経験者研修において、地域との連携を位置付けていますが、初任者研修、校内研修におきましては、小中学校ともに85%、校外研修におきましては54%という状況です。10年経験者研修を必修で設定しているのは小中学校ともに27%、選択では30%という状況です。また、この中でどのような位置付けにあるのか、どれぐらいのボリュームでなのかということなどは、具体的には把握しておりません。
 続きまして20ページ、21ページには山口県の事例ということで、コミュニティ・スクール運営に関する研修の事例です。その具体的な中身についてお示しをしております。
 このような形で校長のマネジメント、学校のマネジメント力の向上という観点で御議論いただくために参考資料を示させていただきました。
 資料3-1、未導入地域へのコミュニティ・スクール導入促進のための方策ということで、導入について自治体・学校の障害となっているものを把握し、解消していく方策についてどのように考えるか、先ほどの実態調査との関連があろうかと思います。
 学校支援地域本部、学校評議員、自治体独自の類似の仕組みからコミュニティ・スクールに発展させていくための方策をどのように考えるか。裏面、導入促進における都道府県・市区町村の役割と推進方策で、自治体としてどのような役割を果たしていくかということ、財政面・政策面における方策等々について御意見を頂ければと思っております。
 なお、先ほど御説明をしました資料2-1におきまして、16ページ以降、総合的な推進方策について既に御意見を賜っておりますので、それを踏まえた検討の方向性を示しております。コミュニティ・スクールを核として地域とともにある学校づくりを一層推進するためには、地域との関係を構築し、一体となって取組を進めることができるマネジメント力を備える必要があり、そのための方策について御意見を頂いております。
 学校運営協議会の委員の資質能力の向上、先ほど来御意見がありますが、学校運営協議会委員の当事者意識を高める、一定の質を確保するという観点から、委員に求められる資質能力の明確化、あるいは育成システムの整備が必要であるという御意見も頂いております。
 そのほか、地域全体で学びを展開していくために、地域の参画を促進するための方策等についても御意見を頂ければと思っております。
 18ページになりますが、都道府県・市町村の推進方策ということで、これも、これまで御意見頂いたものをまとめております。
 あと19ページ以降、(3)コミュニティ・スクールの仕組みの必置の検討と条件整備という部分につきましては、次回以降、御検討いただきたいと考えております。
 推進方策につきまして、御意見を賜れればと思っております。
 教員養成部会の検討状況につきまして、別途、事務局から御説明をさせていただきます。

【大江教職員課課長補佐】 
 失礼いたします。教員養成部会の事務局の担当をしております教職員課課長補佐の大江と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 私の方から、7月16日に教員養成部会においておまとめをいただきました、これからの学校教育を担う教員の資質向上の中間まとめについて簡単に御説明を差し上げたいと思います。
 昨年の7月に文部科学大臣より諮問を受け、これからの教育を担う教員が必要な資質能力を身に付けることができるようにするため、教員養成・採用・研修の接続を重視して見直し、再構築するための方策について、計15回にわたる審議を重ねていただき、8月6日の中央教育審議会の総会に御報告させていただいたものでございます。
 資料は4-1の中間まとめの概要、それから4-2の本体を御用意させていただきました。時間の関係上、主にこの資料4-1の概要を使用させていただき、適宜4-2の本体を参照させていただくという形にさせていただきたいと思います。
 まず4-1の冒頭、背景でございます。教育基本法の9条、これは教員が研究と修養に常に努めなければならない、あるいは研修の充実が図られなければならないといった文言でございますが、こうした文言が入るとともに、平成24年の中教審答申におきまして、学び続ける教員像という理念を打ち出していただきました。こうした学び続ける教員というものをいかに担保していくか、具現化していくかが要請されています。
 また、学校を取り巻く環境変化についてですが、御案内のように大量退職・大量採用という課題があり、かつてのように年齢の均衡がとれて、新しい教員が入ってきたときに先輩教員から後輩教員に自然と学校活動の中でノウハウや知識の伝承が行われていたような状況がありましたが、そういったことが、年齢構成の不均衡から難しくなっている。こうした中で、意図的、継続的に少し研修なりを組んでいく発想が必要なのではないかという背景でございます。
 また、教員養成部会等とも同時並行で教育課程部会の方でも審議を頂いておりますが、いわゆる主体的・協働的な学習、アクティブ・ラーニングの充実、更に英語、道徳、ICT、特別支援教育など、いわゆる新たな教育課題、こうした新たな時代に必要になってくる教育課題に対応していかなければいけないということ。また「チーム学校」への転換ということで、チームの一員として組織的、協働的に諸課題の解決のために取り組む力を育成していかなければいけないという背景があります。
 こうした背景を踏まえ、部会の方で、これからの時代の教員に求められる資質能力についてとおりまとめさせていただいたところでございますが、資料4-2の5ページに掲げさせていただいております資質能力が必要だということで記述がされています。一番下の丸の2行目以降ですが、一方で学校は「チーム学校」の考えの下、学校現場以外での様々な専門性を持つ地域の人材と効果的に連携しつつ、教員とこれらの者がチームを組んで組織的に諸課題に対応するとともに、保護者や地域の力を学校運営に生かしていくことが必要であります。これからの時代の教員に求められる資質能力を考える際にも、こうした地域との関係が大変重要であるということが述べられています。
 4-1、主な課題でございます。全般、それから研修、採用、養成、免許という形で分けて記述をさせていただいております。全般の一番上の丸、これまで教員になる前の学生に対して教員養成を主に担ってきたのが大学、それから採用された以降の、いわゆる教員の研修という形で資質向上を担ってきたのが、主には教育委員会でした。この大学と教育委員会が常に連携をしなければいけないといったことは、これまでの提言でもさんざん述べられてきたところですが、やはり、この連携の必要性ばかりを叫んでいても、なかなか進まないということで、具体的な制度化が必要なのではないかといった課題意識が、この部会で議論されてきたところです。
 また、研修につきましては、非常に多忙な我が国の教員の現状を鑑み、教員の研修の機会を確保することが大変重要であるということです。
 8ページの4-2の丸の三つ目、教員研修に関する課題というところです。国、教育委員会、学校、その他の関係者が一体となって、校務支援システムの活用など、学校における業務の精選や効率化、教職員の役割分担の見直しや専門家の活用、組織体制の強化、地域との連携など、チームとしての学校の力を向上させるための措置を講じることによって、子供たちと向き合う時間の確保や、教員研修等のための機会を確保することが不可欠である。ここでも地域との関係性について述べられているところでございます。
 4-1の課題の養成のところですが、養成段階は「教員となる際に必要な最低限の基礎的・基盤的な学修を行う段階」との認識が必要ということでして、4年間ないし6年間での教員養成で全て完結、一人前の教員になるということではなく、長い教員ですと30年以上、40年近く教員をやるわけで、その中で、この養成段階というのは、いわゆる基礎的・基盤的な学修を行う段階であるといった認識が必要であるということが議論されているところです。
 この基礎的・基盤的な教員養成の中で、4-2の10ページです。

【加治佐主査】 
 時間が限られておりますので、もう少し。

【大江教職員課課長補佐】 
 失礼いたしました。では、簡潔に申し上げます。

【加治佐主査】 
 この部会のテーマに関わったところを集中的に。

【大江教職員課課長補佐】 
 失礼いたしました。では、簡潔に申し上げます。10ページ、地域との連携・協働を円滑に行うための資質も重要ということで、養成段階で、こうした教員養成段階でも、地域との関連性を踏まえた資質を備えるべきだということで議論されております。
 4-1にお戻りいただきまして、こうした課題を踏まえた具体的な方向性です。教員育成指標及び研修指針ということで、先ほどの課題のところに関連しますが、大学と教育委員会が連携をして、長い教員のキャリアステージに応じて身に付けるべき資質能力を明確化する、こうした指標が全国的に整備されることが必要であるといった提言が一つ。それから、こうした教育委員会と大学との連携において育成指標を作るといった際に、教育委員会と大学等が協議、連携をする体制、こうした体制の場も必要だ、協議の場も必要だということで、教員育成協議会の構築、それから、新たな教育課題に対応した研修の内容、教育課程の改善といったことが提言されています。
 さらに、この4-1の研修、採用、養成、免許の下に書かれております教員の資質能力の高度化についてです。この際に拡充期を迎えた教職大学院の在り方についても位置付けはしっかりするべきだということで、本文には、この教職大学院の在り方について記述されています。やはり地域との中にある学校といったことをしっかり意識した上で、それぞれ教育委員会と教職大学院が連携するべきだということが記載されているところです。
 以上、大変雑ぱくではございますが、説明を終了させていただきます。よろしくお願いいたします。

【加治佐主査】 
 ありがとうございました。今、事務局から御説明いただきました。特に教員養成部会の方で養成、採用、研修、免許。一体化した改革提言が、かなり具体的に出されております。ここでも話題になっていますように、管理職の力量向上とか、教職員の意識改革ということとも直接関わってくると思います。
 いかがでしょうか。ここは推進方策ということで具体論になってくるわけで、先ほどから意見も出ているわけです。そういうことも踏まえていただき、御意見頂ければと思います。どうぞ。

【竹原委員】 
 教員養成の部会で、このような地域との連携のために必要な学びということが明確に出されているという御説明いただきまして、ありがとうございました。コミュニティ・スクールを推進する場合に一番障害となっているのは、管理職の方だけじゃなく、先生方一人一人が地域とともにある学校、社会総掛かりで教育をするということを理解されていないのではないかということです。管理職になってから、そういうことを研修するのでは遅いと思っていました。国として位置付け、指針を出すということで、基盤ができます。さらに、どういう名称になるか分かりませんが、教員養成の段階で必修科目にしていただきたいと思います。2単位の選択科目で、というレベルではないだろうと思っていますので、それを明確に出されたらどうでしょう。更に、教育委員会が実施する初任研、10年次研修、管理職研修などに、必ず学ぶべきベースとして入れていく。それが、これからの教員の資質向上にとても大事なものであると打ち出していただければと思っています。
 具体的にはマネジメントとともに、パートナーとして協働していくということを学ぶ必要があり、単に概論的に学ぶのではなく、体験的にも学ばなければいけないでしょう。その中にはコミュニケーション力や情報活用力、合意形成の力とか、具体的なものが盛り込まれて、理科を教えるとき理科の教授法があるように、協働するときには、その方法があると思うので、そこまで伝えていただければなと思っております。

【加治佐主査】 
 ありがとうございました。では、藤田委員。

【藤田(大)委員】 
 大阪教育大学、藤田です。本学では、平成13年の池田小学校事件を契機として、校内に学校安全委員会という組織を設置し、地域連携で子供たちの安全を教員が中心となり守ってきました。そのために、いわゆるカリキュラム改正を行い、大学の教員養成課程の学生で、免許の必修科目として学校安全というのを設置、開設しております。
 学生たちに、そういった必修科目という形で教育課程を設定することによって、学生たち自身の当事者意識の改善というものにもつながってきますし、ただ、そういったものを作っていく際には、カリキュラムの構成というものが大変重要になってきます。先ほどもお話にあったと思いますが、やはり評価基準の作成というのが大変重要で、その中の評価の基準となる、いわゆる指標化、モデル化ということになるかと思います。それが結局、どこまでできたのか、どうできているのかということを客観的に評価していくことが能力として教員に求められます。
 今回のコミュニティ・スクールにおいても、学校長が主体的に活動を進めていくわけですが、そのサポーターとして、校内における教職員の位置付けというものが大変に重要になってくると思います。そのような中で、コミュニティ・スクールの活動について、いわゆる教員養成の段階からどういう活動が必要であるのか。それが単に主観的にできている、できていないではなく、具体的に客観的な評価、いわゆるエビデンスと呼ばれているような共通尺度をもって比較しながら、その成果を共有していくことが重要です。今回いろいろな地域で行われているたくさんの活動が出てきていますので、そのようなものを統合した評価指標の検討、更に研究会や研究大会での相互の交流につながり、それが刺激となって改善していく。そのような取組を基にした、いわゆる教員養成カリキュラムへの位置付けというものについて、今後検討する必要があるのではないか。
 また可能であれば、教員の卵たちに対して教育する中で、実際に子供たちに対して、どういうふうにそれを伝えていくのか。本学では、例えば安全ということについては、文科省の教育課程特例校制度を利用して、安全科という教科を作り、子供たち全員に毎週1回授業をしています。ただ3.11以降、防災科であったり、生き抜く科であったり、いわゆる研究開発学校等の制度が充実しておりますので、是非そういった中で、このコミュニティ・スクールについても、モデル校的な形での活動を通じた、他校が参加しやすい、目に見える形での評価によって参加しやすい形を作っていただきたい。それによって、子供たちを通じて家庭へ、家庭からまた地域へと戻っていくと思いますので、そういうPDCAサイクルが回るような形での教員養成の在り方について、是非御検討いただきたいと思います。
 以上でございます。

【加治佐主査】 
 どうぞ。

【黒瀬委員】 
 私は、コミュニティ・スクールをもっと推進するには、研修が必要だと思っています。一般教員ももちろん研修が必要ですが、特に喫緊の課題として、校長対象の研修をしないと先に進まないと思っています。先ほども言いましたように、校長が十分コミュニティ・スクールの良さが分かっていないという面があり、そのためには研修が必要だと思います。
 コミュニティ・スクールが普及しているところは、都道府県なり市区町村なりが積極的に研修もされていて、かなり理解が進んでいるようですが、まだ都道府県なり市区町村の教育委員会に、そういった研修をする力がないというか、教育委員会自体がコミュニティ・スクールをよく理解していないところも見受けられます。
 都道府県の指導主事にコミュニティ・スクールの研修ができるぐらいの力を付けるように、国として努力もしていただきたいと思います。
 少しずつコミュニティ・スクールが進んでいるところですが、都道府県なり市区町村なりで研修の情報提供ができないので、CSマイスターを頼っている面があります。現状を少しずつ進めていくには、それで十分かもしれませんが、更にこれを飛躍的に伸ばしていくには、それでは到底間に合わないので、都道府県なり市区町村なりで、それぞれで研修を行い、普及していく必要があると思っています。
 以上です。

【加治佐主査】 
 どうぞ。

【藤田(裕)委員】 
 1点だけ。せっかくこのような形で同じ中教審の部会でやっていただいているのであれば、例えば、地域とのつながりについていろいろ書いていただいているので、5ページのところに、「コミュニティ・スクールが全国的に展開が進む下で」とか、「学校運営協議会をはじめとする地域との連携」とか、固有名詞で、「ああ、これはコミュニティ・スクールのことを言っているんだな。」とか、そのようなことを視野に入れているということが分かるようにしていただく方が、何か一般的に地域との連携ということにとどまっていただくと、さらっと行ってしまうような気がしますので、要望として申し上げたいと思います。

【加治佐主査】 
 分かりました。では、早川委員からお願いします。

【早川委員】 
 教育委員会の施策として、思い付きでピンポイントで申し訳ないですけど。大抵の場合3年間程度で校長は代わると思うんですが、これからは地域とのつながりが深くなれば、もう少し有効な長期化も考えられるだろうと。人と地域の関係によりますけど。もう一つは、ほかの市町村はどうか分かりませんが、地元、居住地に教員を配置しないようにしているんです。絶対とは言いませんが。今後、居住地にも教員を配置して、地域とのつながりをうまく求めるようなことも考えられると思っています。

【加治佐主査】 
 分かりました。どうぞ、貝ノ瀬委員。

【貝ノ瀬委員】 
 コミュニティ・スクールの研修、また理解というのは、そのとおり賛成ですが。これは、生重委員が最初におっしゃっていた、コミュニティ・スクールの学校運営協議会の機能とも関わりますし、先ほど藤田委員が取り上げてくれた、杉並さんがコミュニティ・スクールがゴールだと。あれは、井出委員のために言っておきますが、ゴールというのはこういう意味です。いわゆる学校支援地域本部事業から入っていこうが、学校評議員制度から入っていこうが、結局、順序を踏んで、ゴールとしてはコミュニティ・スクールに到達すればいいと、こういう意味でした。ですから、スタートという意味で、同じことです。
 結局、このコミュニティ・スクールは、いわゆる地教行法の法規定に、既に制度化されているんです。だから、これを忘れてはいけないと思うのです。学校支援地域本部事業も大事なことは間違いないのですが、これは生涯学習の中の一つの事業ですから。したがって、年によってはやらなくなって予算が付かなくなってしまう。それで終わりという話のものです。簡単にはしないと思いますが。だから、同じように扱えないのです。
 法律ができているということは、国会で決めたことですから、大変重いものがあるので、なぜこのように機能としてこれが規定されできているのかということについての意味を、やはりきちんと理解する必要があります。例えば、大学でやろうがどこか研修会でやろうが、その意味をきちんと。なぜ承認しなければならないとか、任用についても意見を出すことができるのか。ただきついとか、甘いとか、緩いとか、そういう話ではなくて、明確な根拠をきちんと説明できるようなことにならないと、やはり本当の理解にならないと思います。ですから、それをまず前提にしながら、いろいろな移行的なことはあり得るだろうと思います。
 だから、校長が学校の最高責任者だということだとか、最終的には人事権は県教委、都道府県教委にあるんだとか、そういう大事なことは、法律として制度化されているんだということを押さえながら。しかし、その移行的な措置としてはどういうことがあり得るかということは、いろいろ議論してもいいと思います。けど、そういうふうに、考えていくべきだと思います。
 だから、もうこれはきついから、こう変えた方がいいとかという、そのような軽い話にはならないだろうなと僕は思っています。

【加治佐主査】 
 それでは生重委員、どうぞ。

【生重委員】 
 教育委員会側の消極的な姿勢というのが、やっぱり一番感じるところです。まず先生の研修や校長先生の研修、そこに行く以前に、教育委員会側が、県も市も比較的消極的なところは、全然前向きではありません。上から言われてやっているところでも、一般職員はかわいそうだから、私が出るとおっしゃる校長先生がいます。そこを含めて、かわいそうって何だろう。地域と学校運営協議会を開くのがかわいそうなのか。
 成功しているところは、かなりがっぷり四つに組んで、自分たちが解決しなければいけない課題、こういう子供を育てたいというビジョン、自分たちが担うミッションが自覚されているというのを、伺えば伺うほど実感します。それなのに、何もやっていないところは、形をなぞるように、コミュニティ・スクールをやれと上から言われたから、そして、「どうして先生たちを加えていかないんですか。」と伺うと、「いやあ、かわいそうだから、僕が全部引き受けます。」と校長先生がおっしゃる。「それ、全く根本から間違っていると思うんですけど。」とお伝えするんですけれど、とにかくそういうところは、総じて教育委員会側の体制が消極的です。
 そこの部分で、きちんと研修を組まない。たった1回や2回、大勢集めてしゃべって何が分かるんだ。自分たちで議論して、自分たちで考えて、自分たちでアクションを起こしていかない限り変わらないでしょうと。地域が入ってくるのが面倒だと。
 学校支援地域本部の側の部分とも同じ理屈になるんですが、地域が入らない学校は、もうこれからは考えられません。地域が入らない、複数の目があるから、子供たちの安全・安心、命の問題、心の問題。スクールソーシャルワーカーや専門家がいてくれて、そういうところときちんと綿密に連絡を取り合うことはとても重要ですが、複数の目があるから子供が命を絶たない現場が生まれると思うんです。そういうことを拒絶して、九十何%も自分たちはちゃんと学校運営ができているというのは、もう少し違う角度で、そこのところを、ここまで自覚が足りていないかぐらいのことを、佐藤委員からもコメントで入れていただきたいぐらいだと思います。

【加治佐主査】 
 ありがとうございます。

【天笠副主査】 
 教員養成に関わってですが、教員養成に充てられる時間、そこにひと・もの・かねの投入の現状を考えていくと、一人の学生を入学させて、そして卒業させるに当たって、黒板を背にして、紛いなりにも1時間の授業ができるという、ある意味ほとんどそこだけで精一杯のようなものが実態と考えてもらってもいいのではないかと思います。
 地域とともにある学校とか、その辺りのところになると、プラスアルファというのでしょうか、現在のカリキュラム上の実態と捉えていいのではないかと思います。
 それが時間的に言うと、例えば各教科に関わってのことを勉強し、教育法の勉強とかになっていて、恐らくこれは教職に関わる何らかの形で、私のところですと、私が担当するのは社会、制度、経営ですが、そこでコミュニティ・スクールの扱い等々もしています。コミュニティ・スクールに関わる科目という形ではなく、授業科目の中のどこかに位置付けているということで。ですから、多くはそういう形で1、2時間、あるいはもう少し先生の専門の領域によって時間の充て方は違いがあるかもしれませんが、現状はそのような扱い方が一般的だと思います。
 その上に、学校と地域の関係の専門をお持ちの方は、選択教科というか、そういう形で自分の専門を出していて、学生がそれを選択するということになっています。それを必修にするかしないかは、大学のポリシーというのが現状だと思います。
 そうしたときに前提として、教職科目及び研修等を含めて現場に出てからそれを勉強してもらう、このような構図になっているわけです。仮に教員養成の段階ですと、時間配分とか内容の再組織化とか、カリキュラムの再検討というところで話をしなければいけないわけです。
 一つ質問です。ほぼ異論ないんですが、御説明いただいた養成部会のこの部分の総論から、各論になかなか入らないというのが、養成部会の昨今の一つの傾向としてあり、今私が申し上げたようなところを具体的に検討していく道筋とか方向性は、どのように現在の中でお考えなっているのかどうか。
 あるいは仮に今、地域コミュニティ科とか、新しい教科を作ることに当たって、どこかの大学が、あるいはどこかの大学にお願いして、そういうパイロット的な取組というか。義務教育段階ですと研究開発学校とか、スーパーサイエンスハイスクールとか、そういう制度がありますが、養成段階になったときには、その種の制度というのが、どんな形で存在しているのか、していないのか含めて。今の申し上げているのは、このような分野、領域のカリキュラム開発を先導的に。一気に免許状、免許制度を変えるのはなかなか難しいと思うのですが、パイロット的に、そういう取組を先導して進めてもらうような、そういうカリキュラム開発の養成版におけるシステムというのはあるのか、ないのか。その2点について御質問させていただきたいと思います。いかがでしょうか。

【大江教職員課課長補佐】 
 失礼いたします。天笠委員の御指摘のとおりの部分もあります。この教員養成部会の中間まとめの段階ですが、このコミュニティ・スクールや地域との関係以外にも、やはりアクティブ・ラーニングであるとか、英語、道徳、特別支援等々、養成段階で一人前、紛いなりにも授業ができる前提となる中でも必要なものということが様々概念的に入り込んでいます。これは教員養成部会の中でも議論になりましたが、単位数を増やすのではなく、やはり、これがある意味で限界であります。時間配分は限界がある中で、やはり、これ以上、時間数を増やさないという前提に立ちながら何かを削るであるとか、増やしても、その分がプラスアルファで増えるのではないということをしっかり意識しなければいけないといった議論もございました。
 その上で今回、育成指標という中で一つ御提言を頂きましたのが、教員養成のコア・カリキュラムという概念です。これは、これから御議論を更に頂くことになると思います。大学の関係者であるとか、この教員養成部会の委員であるとかになると思いますが、教員養成段階で必要となるであろう資質能力を参考にして、その関係者が集まり、養成段階でのコア・カリキュラムを作っていくことが必要なのではないかというような提言がされているところです。
 こうした中で、更に具体的に、どのような要素を養成課程に入れていけばいいのかというのが、そちらの議論の中で更に詳しくなっていくのではないかと。スケジュール的には、教員養成部会において、この中間まとめに関する御議論を12月ぐらいまでに答申としてまとめていただくというような話になっておりますが、それ以降、教員育成指標であるとか教員育成協議会、こうしたものの必要であれば制度化といったもの、更にその上で、先ほど申し上げたコア・カリキュラムといったような形で、更に具体的に議論が進んでいくものではないかと考えているところです。

【加治佐主査】 
 この4番目につきましては、校長や管理職や教職員の育成と、コミュニティ・スクールに関わる、あるいは地域との連携に関わる力量や意識改革のための教員養成カリキュラムの改革が必要だとか、あるいは研修で必修化すべきだとか、そういう議論というか御意見はたくさん出たと思います。
 ただ、ほかにも結構、多岐にわたっております。そこにありますように、都道府県とか市区町村の推進方策でありますとか、多々あります。本日は余り議論はできませんでしたが。
 ただ、どうしても、事務局あるいは私の方としては、議論を分けて、テーマを分けて議論しているつもりではあるのですが、こういうコミュニティ・スクールの在り方そのものを、あるいは振興策を考えるということですので、どうしても、いろいろなものが混ざった形で出てくると。それはそれで致し方がないと思います。ただ、内容的には非常に豊かであろうと思います。
 ですから、その辺りは事務局の方でうまくやっていただくしかないのかなと思います。そちらの枠組みに従い、いろいろな意見をきれいに整理していただくということが、より求められるのかなと思っております。
 それでは、今後の議論に生かしていただきたいと思います。ただ、これからの予定の説明にもありますが、ヒアリングを行います。本日は、みんなとは言わないけど、積極派が非常に多いわけです。恐らくヒアリングをすると、必ずしもそうでない意見もこれから多分出ると思いますので、そのようなものを踏まえた上で新たに議論いただき、どうやったらこのコミュニティ・スクールが広がっていくかということの結論を出していこうと思っています。
 ただ、日程が詰まっておりますので、かなり密なる議論がこれから短期間の間に集中されることになると思います。御協力をお願いしたいと思います。
 それでは、次回以降の予定について、事務局から説明をお願いいたします。

【廣田参事官補佐】 
 多くの御意見ありがとうございました。お手元に資料5と参考資料2を御用意いただければと思います。
 まず参考資料2の四角で囲っている部分が、本日御意見を頂いたところでございます。次回以降、第6回から第8回におきましては、コミュニティ・スクールの仕組みの必置について、以下の観点も含め、どのように考えるかということで観点が並んでおります。学校や地域の状況、市町村や学校の規模との関係、あるいは学校種の特性を踏まえた在り方など、そのようなことも踏まえながら仕組みの必置についての御意見を頂くということで、次回以降のスケジュールが資料5に示されております。
 第6回は8月24日月曜日、第7回は8月31日。先ほど加治佐座長からありましたが、関係団体からのヒアリングを予定をしております。教育長関係団体が六つ、そして校長会関係団体が五つということで、全部で11の関係団体の方からヒアリングを行うことを想定をしております。それらの御意見等も踏まえながら、今後どう進めていくかということを御議論いただければと思います。
 最後にお手元に、机上で、このコミュニティ・スクールのパンフレットと、「コミュニティ・スクールって何!?」という冊子を御用意しております。先般の上越におけるコミュニティ・スクールの全国大会にもお配りをしておりますが、この中教審での会議の前身となりますコミュニティ・スクールの調査研究協力者会議の中で、しっかりとした普及・啓発を進めていくべきという御意見も頂きながら作らせていただいたものでございます。
 「コミュニティ・スクールって何!?」というものをお開きいただくと、コミュニティ・スクールってどんな魅力があるのかですとか、あるいは成果や課題はどうなのか。6ページの部分では、教職員の任用に関する意見ということで、都道府県の教育委員会の任命権、あるいは市区町村の内申権、校長の意見具申権、そことの関係性などでも御意見頂きましたので、そこの部分を丁寧に書き込んでおります。
 それ以外、学校運営協議会の設置に向けて、学校支援地域本部から発展していく、評議員から発展していく、関係者評価から発展していく道筋などについてもお示しさせていただいておりまして、様々な場面で、このような資料も活用しながら、コミュニティ・スクールの発展、充実に向けた取組を進めていきたいと思っております。
 なお、委員の皆様におかれましては、様々な場面でコミュニティ・スクールのことについて御講演される機会があろうかと思います。お声掛けいただきましたら、このような資料も事務局から郵送させていただきたいと思っておりますので、お申し付けいただきますようお願いいたします。
 以上です。

【加治佐主査】 
 どうもありがとうございました。
 それでは、第5回はこれで閉じたいと思います。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付

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