地域とともにある学校の在り方に関する作業部会(第1回) 議事録

1.日時

平成27年5月19日(火曜日)

2.場所

文部科学省(東館)5F3会議室

3.議題

  1. 主査の選任等
  2. 有識者からの意見発表
  3. 自由討議
  4. その他

4.出席者

委員

浅原委員、天笠委員、生重委員、加治佐委員、黒瀬委員、佐藤委員、竹原委員、田崎委員、松浦委員、早川委員、藤田大輔委員、藤田裕之委員、宗岡委員、山野委員

文部科学省

小松初等中等教育局長、德久大臣官房総括審議官、中岡大臣官房審議官、德田大臣官房審議官、板倉大臣官房政策課長、池田財務課長、塩崎参事官、谷合社会教育課長、鍋島地域・学校支援推進室長、枝男女共同参画学習課室長、他

オブザーバー

金子郁容慶応大学教授

5.議事録

中央教育審議会初等中等教育分科会
地域とともにある学校の在り方に関する作業部会(第1回)

平成27年5月19日


【廣田参事官補佐】  
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、中教審初中分科会の地域とともにある学校の在り方に関する作業部会を開会します。
 大変恐縮ではありますが、国会審議の関係もございまして、幹部の方が全く不在な状況でございますが、始めさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。初等中等教育局参事官付参事官補佐の廣田と申します。後ほど本作業部会の主査をお決めいただきますが、それまでの間、便宜的に私が議事進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
 本日の配付資料につきましては、お手元の議事次第のとおりでございますが、確認の上、不足等ございましたら事務局までお申し付けいただければと思います。
 それでは、本日の議事につきましては、第1回ですので、まず主査及び副主査の選任、会議の公開手続の決定等を行っていただき、事務局より配付資料内容の御説明をさせていただきたいと存じます。その後、慶應義塾大学の金子教授より意見発表を頂いた上で、皆様に意見交換をお願いしたいと考えております。
 それでは、本部会の趣旨などについては後ほど御説明いたしますが、委員の皆様を御紹介させていただきます。お手元の参考資料の2を御用意ください。地域とともにある学校の在り方に関する作業部会委員の名簿でございます。本日付けで辞令を出させていただいておりますが、こちらから御紹介をさせていただきたいと思います。
 また、この作業部会と併せて、生涯学習分科会の下にも学校地域協働部会という部会が設置されております。適宜そちらと連携を図りながら議論を進めていきたいと考えておりまして、中には、そちらの部会に分属しておられる委員がいらっしゃいますので、後ほど御紹介したいと思います。
 参考資料の2でございます。それでは、上からでございますが、山口県教育長の浅原委員でございます。

【浅原委員】  
 浅原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【廣田参事官補佐】  
 千葉大学教授の天笠委員でございます。

【天笠委員】  
 天笠です。よろしくお願いします。

【廣田参事官補佐】  
 特定非営利活動法人スクール・アドバイス・ネットワーク理事長の生重委員でございます。

【生重委員】  
 生重でございます。よろしくお願いいたします。

【廣田参事官補佐】  
 兵庫教育大学学長の加治佐委員でございます。

【加治佐委員】  
 加治佐です。どうぞよろしくお願いします。

【廣田参事官補佐】  
 いの町立神谷小学校校長の黒瀬委員でございます。

【黒瀬委員】  
 よろしくお願いします。

【廣田参事官補佐】  
 日本大学教授の佐藤委員でございます。

【佐藤委員】  
 佐藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【廣田参事官補佐】  
 横浜市立東山田中コミュニティハウス館長の竹原委員でございます。

【竹原委員】  
 竹原でございます。よろしくお願いします。

【廣田参事官補佐】  
 熊本県教育長の田崎委員でございます。

【田崎委員】  
 田崎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【廣田参事官補佐】  
 岐阜市教育長の早川委員でございます。

【早川委員】  
 早川でございます。よろしくお願いいたします。

【廣田参事官補佐】  
 大阪教育大学教授の藤田委員でございます。

【藤田(大)委員】  
 藤田です。どうぞよろしくお願いします。

【廣田参事官補佐】  
 京都市副市長の藤田委員でございます。

【藤田(裕)委員】  
 藤田でございます。よろしくお願いいたします。

【廣田参事官補佐】  
 公益社団法人日本PTA全国協議会監事の松浦委員でございます。

【松浦委員】  
 失礼いたします。松浦でございます。よろしくお願いいたします。

【廣田参事官補佐】  
 玖珠町立玖珠中学校校長の宗岡委員でございます。

【宗岡委員】  
 宗岡でございます。よろしくお願いいたします。

【廣田参事官補佐】  
 大阪府立大学教授の山野委員でございます。

【山野委員】  
 山野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【廣田参事官補佐】  
 本日欠席されておりますけれども、三鷹市教育委員会教育委員の貝ノ瀬委員、そして千葉大学教授の貞広委員も本作業部会の委員でございます。
 また、先ほど申しましたけれども、生涯学習分科会にあります学校地域協働部会に分属されていらっしゃる委員につきましては、浅原委員、生重委員、竹原委員、松浦委員、山野委員、この5名の委員につきまして、そちらの部会にも入っていただいております。
 なお、本日は有識者といたしまして、金子慶應大学教授に御出席いただいております。

【金子教授】  
 よろしくお願いします。

【廣田参事官補佐】  
 どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、文部科学省からの出席者でございますけれども、大変恐縮でございます。国会審議のため、欠席、あるいは遅れておりますので、御容赦いただければと思います。参事官の塩崎でございます。

【塩崎参事官】  
 塩崎でございます。よろしくお願いいたします。

【廣田参事官補佐】  
 地域・学校支援推進室長の鍋島でございます。

【鍋島地域・学校支援推進室長】  
 鍋島です。どうぞよろしくお願いいたします。

【廣田参事官補佐】  
 どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、主査の選任に移らせていただきたいと存じます。お手元参考資料の1を御用意いただければと思います。こちらに作業部会の設置につきまして要綱が示されておりますが、2番、委員等というところを御覧いただければと思います。(2)でございますが、作業部会に主査を置き、作業部会の互選により選任するということ。そして、(3)主査に事故があるときは、主査が作業部会に属する委員のうちからあらかじめ指名する者がその職務を代理するということが規定されてございます。
 主査につきましては、作業部会の互選により選任するということでございますけれども、どなたか委員の中から御推薦いただける方はいらっしゃいますでしょうか。

【佐藤委員】  
 それじゃ。

【廣田参事官補佐】  
 佐藤委員、よろしくお願いいたします。

【佐藤委員】  
 ほかにいらっしゃらないようなので推薦させていただきたいと思います。
 兵庫教育大学学長の加治佐哲也先生にお願いしたらいいかと。加治佐先生は、昔から学校経営や教育行政の研究をなさっていて、現在学長で、かなり教育問題に関しての研究、リーダーシップを発揮されているというふうにお聞きしておりますので、是非ここで主査をお願いできるといいかと思い、推薦させていただきたいと思います。

【廣田参事官補佐】  
 ありがとうございます。ただいま佐藤委員から、加治佐委員が主査に適任であるという御意見を頂戴いたしましたけれども、御異議ございませんでしょうか。
  (「異義なし」の声あり)

【廣田参事官補佐】  
 それでは、皆様に御了承いただきましたので、加治佐委員に主査をお願いさせていただければと思います。
 それでは、加治佐委員、主査席にお移りいただければと思います。
(加治佐委員、主査席に移動)

【廣田参事官補佐】  
 よろしくお願いいたします。今後の議事につきましては、加治佐主査にお願いさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【加治佐主査】  
 それでは、皆さんおはようございます。御指名にあずかりましたので、進行役を務めさせていただきたいと思います。
 議題に入る前に、地域とともにある学校の在り方に関する作業部会の主査の職務を代理する者として副主査を選任したいと思います。本作業部会では、コミュニティ・スクールの在り方等を中心的に審議することになりますので、コミュニティ・スクールの推進等に関する調査研究協力者会議というのが設けられておりまして、3月に報告書を出されたと思いますが、その会議の座長をされておられました天笠委員に副主査をお受けいただきたいと思っております。天笠先生、よろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。
 それでは。
  (天笠委員、副主査席に移動)

【加治佐主査】  
 それでは、続きまして、本作業部会の公開について決定したいと思います。この点については、事務局から提案をお願いいたします。

【廣田参事官補佐】  
 失礼いたします。お手元に参考資料の7を御用意ください。作業部会の公開について(案)と示された資料でございますけれども、本作業部会の会議の公開について定めた資料でございます。「第一条、会議は、次に掲げる場合を除き、公開して行う」ということで、主査の選任その他、人事に関する事項を議決する場合、主査が公開することにより公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認める場合その他正当な理由があると認める場合につきましては、これを除き公開して行うという規定でございます。
 第二条、会議の傍聴でございますが、会議を傍聴しようとする者は、あらかじめ登録を受けなければならないということ。
 そして、飛びまして第六条、会議資料の公開でございますが、会議において配付した資料を公開しなければならないということで、一部公開することにより公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認める場合、そのようなときには非公開とすることができるという規定でございます。
 議事録の公開、第七条でございますが、会議の議事録を作成し、これを公開しなければならないと。先ほどと同様、公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがあると認めるときについては非公開とすることができる、このような規定でございます。
 公開についての点につきましては以上でございます。よろしくお願いいたします。

【加治佐主査】  
 今、公開の規則の御説明がありましたが、何か御意見ございますか。
 それでは、規則どおり原則公開ですので、公開するということでよろしいでしょうか。
  (「異義なし」の声あり)

【加治佐主査】  
 それでは、傍聴者の方に入っていただきたいと思います。しばらくお待ちください。
  (傍聴者入室)

【加治佐主査】  
 本日は、報道関係者より会議の撮影及び録音を行いたい旨の申出がありましたので、これを許可しておりますので、御承知おきください。
 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
 まず、事務局の方から、作業部会の設置に至る経緯、これまでの答申等の整理、作業部会における今後の論点について御説明いただきます。委員の皆さんからの御質問等につきましては、金子先生の意見発表も終わりましてからまとめて時間をとりますので、その際にお願いしたいと思います。
 それでは、事務局より説明をお願いいたします。

【塩崎参事官】  
 初中局参事官の塩崎でございます。それでは、資料1から資料5につきまして御説明させていただきたいと思います。
 まず、資料1-1は、これまでの背景、経緯を書かせていただいたポンチ絵でございます。左上に教育再生実行会議第6次提言と書いてございますが、今年の3月4日に、コミュニティ・スクールに関連する、こうした内容の提言が出されたということが一つございます。
 それから、後ほど御説明をさせていただきますが、昨年6月からコミュニティ・スクールを推進するための方策について有識者の方々に御検討いただき、先ほど御紹介ありましたように、天笠先生が座長となっておまとめいただいたものでございます。
 こうした背景を踏まえまして、今年4月14日に、文部科学大臣から中教審の方に諮問をさせていただいているというものでございます。
 中身は、下半分の四角に囲まれたところに書いてございます。検討事項としては大きく二つございます。一つは、新しい時代の教育や地方再生を実現するために求められる今後のコミュニティ・スクールの在り方、それを踏まえた総合的な推進方策について検討していただきたいということで、更に少し具体的にという形で、二つのぽつに書いてございますけれども、今後のコミュニティ・スクールの在り方、それから全ての学校のコミュニティ・スクール化に係る総合的な方策に当たって審議いただきたい観点を書かせていただいてございます。
 もう一つの柱が、学校と地域がパートナーとなり、連携・協働体制を築くための地域人材の養成と環境整備ということで、学校を核として地域創生といったような形で地域を活性化する施策についても御検討いただきたいということでございます。
 これらの事項については、ちょうど四角の印で書いてある二つ目ですが、初等中等教育分科会に置く作業部会と生涯学習分科会に置く部会において審議をするということでございまして、資料3を御覧いただければと思いますが、今回の諮問を受けまして、二つの部会を設置させていただいています。初中局の方にはこの分科会ということで、先ほど審議事項の中の前段、今後のコミュニティ・スクールの在り方等についての御審議を頂きたいと。それから、地域との関連ということでは、生涯学習分科会の下に学校地域協働部会というものが設置されまして、そちらの方で検討をしていただきたいということですが、非常に審議事項が重なるものですので、必要に応じて合同審議という形で進めさせていただければと考えています。
 それで、資料1-2は諮問の本文です。
 資料4を御覧いただきたいと思います。実際、この作業部会におきまして検討していただく検討事例案ということでお示しをさせていただきたいと思いますが、先ほどの諮問事項の柱に沿いまして三つほど事項を立てさせていただいています。
 一つ目は、時代の変化に伴う学校と地域の在り方ということで、今、教育改革、いろいろと進められております。それからまた、地方創生ということもかなり今議論がされつつあると。そういったものを実現するために、学校と地域の連携・協働はどうあったらいいのかと。地域とともにある学校の在り方についてどのように考えるかといったような視点について御審議をいただければということでございます。
 それから二つ目は、これからのコミュニティ・スクールの在り方ということで、その前段で、今お話させていただきました地域とともにある学校の在り方を踏まえたときに、コミュニティ・スクールに求められる役割・機能はどうあるべきかということで、下の方の丸のところに四つほどぽつで書かれておりますが、こうした観点も含めて御審議をいただければということで考えています。
 それから三つ目のテーマ、コミュニティ・スクールの総合的な推進方策ということで、コミュニティ・スクールの在り方の中で求められる像が見つかりましたら、それらをどのような形で全ての学校の方に展開をしていくかといった総合方策について御審議をいただければということで、特に二つ目の白丸で囲まれたところ、コミュニティ・スクールの仕組みの必置(ひっち)についても検討の対象ということで、いろいろな観点から御審議をいただければと考えています。
 それで、資料5に、今後の審議のスケジュールを書かせていただきました。本日、第1回ということで、金子先生の方からこれまでの経緯等についてプレゼンをしていただくとともに自由討議をしていただき、その後、7月ぐらいをめどに、今後のコミュニティ・スクールの在り方に関するヒアリングを中心とした観点で展開をして、論点整理をさせていただければということでございます。それから8月、9月にかけまして、コミュニティ・スクールの総合的な推進方策に関する御審議。10月ぐらいに中間取りまとめ、そして年末をめどに答申という形で進めさせていただければ大変有り難いということでございます。
 それで、参考までに資料2でございますが、これまで諮問をしてから総会、それから初等中等教育分科会、生涯学習分科会等が開催されましたが、そこで今回の諮問に関していろいろと御意見いただいておりますので、それらについてもまとめて紹介をさせていただければと思います。
 簡単でございますけれども、私からは以上でございます。

【廣田参事官補佐】  
 失礼いたします。事務局から追加で御説明をさせていただきたいと思います。
 お手元に資料の6と資料の9を御用意ください。資料6につきましては、先ほど参事官の方から御説明いたしましたが、教育再生実行会議と並行いたしまして、「コミュニティ・スクールの推進に関する協力者会議」というものが立ち上がっており、そちらの報告の内容でございます。後ほどピンク色の冊子も開いていただきますので、御用意いただければと思います。
 先ほどありましたように、天笠委員に座長になっていただき、協力者会議を進めてまいりました。ほかにも、この協力者会議で委員となっていただいた方々で、この作業部会に入っていただいている方がいらっしゃいますので、この議論を土台にしながら、基礎としながら、この作業部会を進めていくことができればと考えております。
 この資料6の説明をするに当たって、前提となるコミュニティ・スクールについて、今一度確認をさせていただければと思います。ピンク色の冊子は、前半が本文、後半が参考資料ですが、後半の参考資料の11ページを御覧いただければと思います。既にコミュニティ・スクールについては御承知という方々ばかりではありますけれども、今一度確認をさせていただきます。
 11ページにコミュニティ・スクールの概要がございまして、保護者、地域住民が学校運営に参画する「学校運営協議会」を持つ学校、これをコミュニティ・スクールという形で呼んでおります。学校運営協議会というのは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、いわゆる地教行法の47条の5、こちらに学校運営協議会の規定が、平成16年9月施行で設けられております。後ほど社会教育課の鍋島室長から、学校支援地域本部ですとか、土曜日の、あるいは放課後の学習ということについてお話ししますけれども、学校運営協議会については、学校を支援する機能というよりは、学校運営に参画をするということが、この制度の中心になる部分でございます。保護者、地域住民がこれに参画することによって、地域と一緒に学校の力を高めていく、学校運営を改善していくという仕組みでございます。どのような形で学校運営に参画させるのかという仕組みでございますが、11ページ中ほど、学校運営協議会の機能といたしまして、校長の作成する学校運営の基本方針の承認とあります。法律上は、承認を得なければならないという形で必須の事項となっております。また、学校運営について、学校運営協議会は、教育委員会又は校長に意見を述べることができるということで、学校運営に対する意見の規定、そして、教職員の任用に関して、教育委員会に対して意見を述べることができる。こちらも任意の規定でございますけれども、このような役割が学校運営協議会の役割として規定されているものでございます。
 また、教職員の任用に関しては、教育委員会はその意見を尊重するということで、尊重規定も設けられているというところが、この法律上の盾になっております。
 12ページを見ていただければと思いますが、現在、全国でコミュニティ・スクールは1,919校ということでございまして、指定状況としましては、かなり都道府県によって、あるいは市町村によってばらつきがあるというのが現状でございます。地図を見ていただきますと、西高東低というような傾向が見えるかと思いますが、西日本に非常に多く設置されているという傾向がございます。この1,919という設置数ですけれど、およそ全国の公立小中学校の5%程度というような状況になります。
 そして、このコミュニティ・スクールですけれども、学校運営に参画するということを通して、どういう改善を図っていくかという一例ですが、15ページの東京都三鷹市の取組事例を御覧いただければと思います。小中一貫教育と併せた形で学校運営協議会、コミュニティ・スクールを運営しているところでございますが、コミュニティ・スクールの委員会の下に学園評価部、学園支援部、地域コーディネート部というような形で評価の機能、あるいは支援の機能を持たせているという組織体系を持っております。そして、その下にパワーアップアクションプランとありますが、三鷹中央学園が掲げる教育目標、進んで学ぶ人、あるいは感謝と思いやりの心を持つ人等々、この目標というのを、まず学校運営協議会の委員で共有します。校長の作成する基本方針を承認するということが運営協議会の必須事項となっておりますので、それぞれがばらばらに動いていくんではなくて、校長はどういうビジョンを持っていくのか、どういう子供像を、あるいはどういう学校像を目指していくのかということを、学校運営協議会の方々と共有し、その共有された目標に向かって学校は何をするべきか、地域は何をするべきか、あるいは家庭は何をするべきかということを検討していくと。その結果、このアクションプランという形でまとまり、実際それぞれが同じベクトルを持ちながら行動していくというようなことが三鷹市では行われております。このような形で基本方針を承認するということなどを通して、コミュニティ・スクール、一つの目標を掲げながら進んでいくというのが大きな特徴でございます。
 データ的なところを御紹介させていただきますが、参考資料の18ページ、委託調査の結果がございます。この委員であります日本大学の佐藤委員が、委託調査という形で調査分析をしていただいた結果です。学校運営協議会の法律上の権限というのは、先ほど申し上げた三つでございますが、法定外の活動としてどのような活動を行っているか。小学校、中学校とありますが、例えば小学校の部分で、学校評価を実施しているという割合がおよそ8割、学校支援活動を実施しているという割合がおよそ7割というような状況で、法定に定められたもの以外にも、それぞれ各市町村独自の考えを持って、こういった活動を展開することができるという状況でございます。
 また、18ページの下でございますけれども、学校支援活動と成果認識は有意な関係があると書かれておりますが、権限外の活動として学校支援活動を実施しているところにおいては学校運営の改善に当たって、あるいは児童生徒の変容等に当たって、非常に有意な関係を持っているということが、この調査結果からも示されている内容です。
 19ページですが、コミュニティ・スクールの成果認識ということで、学校と地域が情報を共有することになった、あるいは学校が活性化した、様々な成果認識が示されております。
 一方で、課題認識ですが、22ページに、指定前後の課題に対する認識の変化とございます。管理職や教職員の勤務負担が増えるという状況、これは指定前後、同一の校長にその課題認識について聞いておりますが、この点については、まだ課題があるということが見てとれるかと思います。
 一方で、類似制度との違いが理解できない、あるいは制度が形骸化するのではないか。あるいは、学校支援地域本部事業でも十分だろう、特定委員の発言で学校運営が混乱するんじゃないか、様々な課題認識が示されていたところにつきましては、指定によって一定程度解消されているというのが、この資料からも見てとれるかと思います。様々な課題をどうクリアして進んでいくかということも、このコミュニティ・スクールの調査研究協力者会議で御議論いただいた内容でございます。
 お手元資料の6-1、概要を御覧いただければと思います。この協力者会議でまとめていただいた内容といたしまして、今申し上げたコミュニティ・スクールの成果、あるいは課題に着目をしながら、今後どうやって地域ともにある学校づくりを進めていくかということを御議論いただきました。その基本的方向性というのが中ほどに示されておりますが、まずは社会総掛かりでの教育の実現が必要なのではないかと。現在の子供や学校の抱える課題の解決のためにも、あるいは子供たちが豊かに成長するためにも、社会総掛かりで教育を実現していこうと。その際には、コミュニティ・スクールを中核に据えながら、地域とともにある学校づくりを進めていこうと。地域の人々と目標を共有して一体となって子供たちを育んでいこうというような方向性、そして三つ目ですが、学校を核とした協働の取組を通じて人々のつながりを深めていこう。学校を核とした地域づくり、あるいはまちづくり、そのような観点を持ちながら進めていこうということが議論をされております。
 この方向性を持ちながら、拡大・充実のための推進方策ということをまとめていただきましたけれども、この作業部会の論点の一つにもなっておりますが、学校支援地域本部などの取組との一体的な推進をどう図っていくか、そのことに多くの時間が割かれております。この右側に学校運営協議会・学校支援地域本部のPDCAのイメージがございますが、学校運営協議会がこのような基本方針を承認したり意見を言ったりという、ある意味審議する機関、機能というものを持っているわけですけれども、一方で学校支援地域本部、地域住民が地域ボランティアという形で学校を支援する取組、このような取組というのは行動する組織であるという位置付けができるかと思います。このような、審議する組織と行動する組織というものを連携させることによって、地域とともに学校のPDCAサイクルを回していくと。その場合に、チェックの部分につきましては、既に学校関係者評価というのが学校教育法上定められていまして、19年以降努力義務化されております。9割以上、ほぼ100%の形で公立学校については学校関係者評価委員会等が設けられております。このような既存の仕組みも活用しながら、学校運営協議会と支援本部、関係者評価を一体的に回していこうと。既にこれらの組織がある場合だけを想定しているわけではなくて、学校運営協議会がない場合には、例えば学校支援地域本部の組織から学校運営協議会に発展していくとか、関係者評価委員会を土台にしながら学校運営協議会の機能を持たせていく。そのような形で、既存の仕組みも生かしながら一体的にこのPDCAを確立させていこうということが、この協力者会議で議論されてきた提言の一つでございます。
 この資料の裏面を見ていただきまして、2番、学校の組織としての総合的なマネジメント力の強化ということがございます。昨日の学校地域協働部会におきましても、あるいは中教審の総会等におきましても、この地域とともに学校づくりを進めていくに当たっての教職員の体制ということについて御意見がございました。教職員の研修機会、内容の充実を図った方がいいというようなこと、あるいは教員養成段階から地域との連携協働に関する意識付けを促進していくというようなこと、地域連携の中核となる教職員を明確化していくというようなこと、事務職員をもっと学校運営に参画させていくということで事務機能の強化、そのようなことも提言の中に示されていることでございます。
 3番、地域の人々や保護者等、多様な主体の参画の促進ということで、保護者、地域関係者を広く集めたフォーラム等の開催によって、その意識を高めていこうというようなこと、協働による学校を核とした地域づくりということで、地方創生の観点から首長部局とも協働しながら一体となってまちづくり、地域づくりを進めていくというような観点も必要なのではないかというようなこと、以降、5番、6番に、コミュニティ・スクールの多様性とその拡大、コミュニティ・スクール、学校運営協議会というものを持たない仕組みでも、学校運営に対して地域住民の声を届けるようなものを持っているような自治体もございます。そのような類似の仕組みを段階的な姿として捉え、促進していくべきではないかというような御提言ですとか、幅広い普及啓発の必要性、教職員に対する整備充実など、負担軽減に向けた魅力の提供など、御提言を頂いたところでございます。
 都道府県・市町村の役割と推進方策ということについても御議論いただきまして、課題の認識を乗り越えて一歩踏み出していただきたいということで、そのリーダーシップに期待したいという提言をまとめていただいております。
 今後の学校運営協議会制度の在り方の提言につきましては、まさにこの作業部会で引き続き御議論いただきたい内容でございまして、報告書を御紹介させていただきたいと思います。先ほどのピンク色の冊子、本文の32ページから、今後の学校運営協議会制度の在り方の提言でございますが、大きく五つの観点について提言を示しております。
 32ページから35ページにかけて、現行の学校運営協議会の機能、承認、あるいは運営に対する意見、任用に対する意見、それぞれにつきまして意義、成果、課題について整理をしていただきました。
 それを踏まえて、34ページから検討の方向性ということで、現行の制度が持っている機能というのは引き続き備えていくことが重要だということをお示ししていただいている中で、特に35ページで、教職員の任用に関する意見の取扱いにつきましては、課題意識がありますけれども、指定によって一定程度解消されていると。また、この教職員の任用についての意見は、任命権者の任命権を拘束するものでもなく、あるいは市町村教育委員会の内申権、校長の意見具申権に変更を生じさせるものではないと。そういったことで、その周知徹底を図っていくことが大事だと書かれている一方で、教職員の任用に関する意見に対する抵抗感が非常に強いと。その結果、学校運営協議会の設置に踏み切れない場合がある。35ページ、上から四つ目の丸ですが、このため、まずは学校・家庭・地域の信頼関係・協働体制の構築を目指して、任用に関する意見を主活動に位置付けない運用から始めるなど、段階的に発展していく姿を示していくということで、教職員の任用に関する意見の扱いについて柔軟な仕組みの在り方について引き続き検討すると示されております。まさに本部会におきまして引き続きの検討をお願いしたいと考えております。
 2番目、学校評議員から学校運営協議会への移行の促進。こちらについては、検討の方向性ということで、国、公立学校、そして国立、私立におきまして、学校運営協議会、学校評議員というものを活性化、機能化させていくという方向性、そして公立学校については、学校評議員を学校運営協議会に発展させていくというようなことの方向性を示していただいているところでございます。
 38ページから、学校支援に係る機能の明確化ということでございますが、こちらについても、引き続きの検討をお願いしたいと思っておりますが、検討の方向性というところに書いてありますように、39ページ、一つ目の丸ですが、国は、地域の人々の理解や協力、参画等が促進されるよう、学校運営協議会の機能の一つとして、支援活動の総合的な企画・調整の機能の明確化を検討するとございます。また、この委員会につきましては、検討ということをお示しをしたということにすぎませんので、その必要性等について御議論いただきたいと考えております。
 学校関係者評価に係る機能の明確化ということで、こちらも、先ほど申し上げたように、約8割が学校運営協議会の機能として学校関係者評価を実施しております。その意義、成果、課題等を挙げておりますけれども、40ページに検討の方向性を示させていただいております。学校関係者評価については、既に学校教育法上の明確な位置付けがあるということで、そちらと学校運営協議会の制度を一体的に組み合わせながら運用していくということを進めていく方向性をお示しいただいております。
 41ページ、これからのコミュニティ・スクールの制度的位置付けでございますが、教育再生実行会議の第6次提言も踏まえまして、全ての学校においてコミュニティ・スクール化を目指すということ、そしてコミュニティ・スクールの仕組みの必置(ひっち)について検討を進めるということが示されていることを受けた検討の方向性でございます。国は、全ての学校がコミュニティ・スクール化に取り組み、連携・協働した活動を展開するための方策を講じると、仕組みの必置(ひっち)について検討を進めるとありますが、その際、市町村や学校の規模との関係、小規模自治体における教育委員会との関係、学校を取り巻く地域の状況、高校、特別支援学校、幼稚園の扱い、様々な観点から検討を行うということが示されております。まさに、この作業部会におきまして、様々な多面的な検討を行った上でそのことについての報告を頂きたいと考えております。
 なお、コミュニティ・スクールが適切に機能し成果を発揮していく上で、教育委員会を始め、学校、保護者、地域の人々の理解が深まっていくよう環境を醸成していくことが重要であるということで、その環境を醸成しながら進めていくことの重要性のことも記載させていただいております。実効性ある運営がなされるような手立て、あるいはその仕組みということについて御議論いただきたいと考えております。
 かいつまんで御説明しましたが、この作業部会における審議においての重要な提言と考えておりますので、また御一読いただければと考えております。
 以上でございます。

【加治佐主査】  
 どうもありがとうございました。この資料6、9で、コミュニティ・スクールの推進等に関する調査研究協力者会議の報告書の詳細な説明があったと思います。そこでの検討をすべきだと示されていたもののより明確化といいますか、あるいは、よりはっきりさせるというのが、この作業部会の役割だろうと思いますが、その協力者会議の座長を務めておられました天笠委員、今回は副主査になりますけれども、是非御発言いただきたいというふうに思います。

【天笠副主査】  
 今、廣田補佐から御説明がありましたとおりです。また、今の委員の中にもこれに直接関わっていた方も多くいらっしゃいますので、私から言葉を重ねる必要もほとんどないのではないかと思っておりますけれども、御指名ですので、一言加えさせていただきたいと思います。
 御承知のとおり、教育改革国民会議において、このコミュニティ・スクールが提言されて以来、10年ぐらいの時間が経過していますが、急速に右肩上がりに普及するという、そういう普及のたどり方をしたのではなく、どちらかというと点として存在し、それがそれぞれ地方を固めながら次第に線になったわけです。その過程の中で、先ほど西高東低うんぬんとありましたけれども、地域的な偏りがあったり、それぞれの地域によって進んでいるところと、必ずしも取り組んでいないところがあったりして、私どもがこの報告書作成に関わった段階というのが、そういう段階がある程度進み、次の段階としていかに広げていくのかということでした。この資料の中にもありましたけれども、国の方で3,000校という一つの目標等々を掲げるというところにいきまして、そのためには何が阻んでいるのかとか、何がそこまで普及してきたのかというようなところを、委員の皆さんとそれぞれ整理して、そして更に広げていくという意味においては、今御説明いただいたような、もろもろの検討というようなことが行われたということであります。
 当時は、どちらかというと、地域とともにある学校づくりというんでしょうか、それが比較的大きな柱になっていたかと思うんですが、更に学校支援ですとか、より広く学校を核にした地域づくりですとか、そういうことが状況の変化とともに加わってきて、ある意味では、課題がより広がり、なおかつ交通整理を必要とするということで、今御説明いただいたような形で整理しました。そして、最後の方には、教育再生実行会議からの提案も聞こえてくる形になっていました。それは必置(ひっち)化という話等々ですが、この協力者会議の報告書を出すときには、まだそれを表に立って議論するところにはいっていなかったので、先ほど来申し上げたようなことが前提になって、およそ3,000校に達するにはどういう課題を超えなければいけないのかということであったわけです。そういう意味において、この作業部会等へのバトンタッチが、この報告書の一つの大きな役割となったかなという、そのような認識を持っております。更に今日的な、政策的な課題として、今それぞれ御説明いただいたようなところに現在来ているんではないかということで、今後、また様々な委員会等で議論が行われるときに、一つのたたき台になるのではないかと思いますので、それを踏まえてこの作業部会においても、委員の方々のそれぞれの御意見等々をお願いできればと思います。
 私からは以上です。
【加治佐主査】 
 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続き事務局からの説明をお願いいたします。今度は、鍋島室長からお願いいたします。

【鍋島地域・学校支援推進室長】 
 生涯学習政策局社会教育課の鍋島でございます。先ほど、塩崎参事官、廣田参事官補佐から本諮問に関する内容、教育再生実行会議第6次提言、これからの検討事項について説明がありました。コミュニティ・スクールと学校支援地域本部の役割の分担、一体的な推進について、天笠副主査からお話がありました協力者会議でも御議論いただき、本作業部会と学校地域協働部会も必要に応じて合同会議を開催しながら、両部会が連携し進めてまいりたいと思います。
 資料8を御覧ください。1ページ、学校支援地域本部についての資料がございます。現在、全公立小・中学校の約3割、3,746本部、9,058校がこの学校支援地域本部に取り組んでおります。学校の様々な取組を支援する取組や学校と地域が協働のパートナーとして進化したような本部もあり、地域や学校区によって様々な形態が見られます。具体的な活動としては、授業の補助、部活動の支援、学校行事の支援、図書館の整備、児童の登下校の安全確保等があります。これらの取組においては、地域コーディネーターの役割が非常に重要になってまいります。地域コーディネーターは学校の教育内容について理解し、地域の住民の立場でどのようなことが先生方、子供たちにとって必要なのかを考え、様々な企画を立て、活動をしております。地域コーディネーターになるために特に資格は必要ありません。本作業部会の竹原委員、生重委員は、学校支援地域本部とコミュニティ・スクールの両方に関わっていらっしゃるコーディネーターでありますので、詳しくお話を伺えればと思いますし、行政の立場の委員の方々もおられますので、また御発表をお願いしたいと思います。また、様々な方々が学校支援ボランティアという形で、有償・無償問わず子供たちのためにPTA、おやじの会、自治会等と連携しながら様々な取組に携わっておられます。
 一方、学校側には、校長先生、教頭先生、教務主任の先生等の窓口となる先生方がいますので、こちらの体制の強化と地域側の取組の強化を、今後どのように進めていけばよいのかということも学校地域協働部会の検討事項になります。
 2ページ、今年度は特に学習支援について取り組んでまいりたいと考えております。中学校でも、先生方が中核となり学習支援に取り組んでおられますが、学習支援講師や非常勤講師の方々もその役割を担っている中、地域の方々等もできる範囲で、放課後や土曜日、夏休み等に子供たちの学習支援をしていくという取組を進めてまいりたいと思います。
 3ページ、予算事業としまして、学校支援地域本部のほか、放課後子供教室や家庭教育支援等の事業があります。
 4ページ、平成26年度の学校支援地域本部の実施状況で、実施本部数は3,746本部で、1本部当たり平均2.4校です。一つの小、中学校で一つの本部があるところもありますし、例えば、奈良市は中学校区単位で、その中にある小学校、幼稚園も合わせて一つの本部としているところもあります。
 課題の一つとして、高等学校、特別支援学校、幼稚園は、通学範囲が広いこともあり、取組がまだまだこれからというところもありますので、このあたりをどのように進めていくかということがあります。コーディネーターを複数配置したり、学校や教育内容に詳しい方々とキャリア教育について企業・団体に詳しい方々をダブルコーディネーターとして配置する等、それぞれの学校区、自治体において進めているところです。
 5ページ、実施状況ですが、色が濃いほど実施しており文部科学省の補助金を使わず市町村独自のメニューでやっているところもありますので、この倍ぐらいは、今まで御説明いたしました取組に近いものがあるのではないかと思われます。
 6ページ、学習支援活動と学習支援活動以外の活動はこのような状況で、少しずつ取組が進んでいます。
 7ページ、学校と地域の連携の必要性とこれからの学校支援地域本部の機能ですが、これは学校地域協働部会で議論させていただきますが、基本的な機能、課題1にありますような1、基本的な機能から、2、教育内容の充実、3、補充学習等の充実、さらには4、地域創生まで取組が進んでいくと非常に良いと思っております。
 8ページ、校外から校内へ、校内から校舎内へ、そして教育課程内へ取組を進めていくためにどうしたらいいのか。そのためには、コーディネーターにどのような形で関わっていただくのがいいのかということについて議論を進めてまいりたいと思います。
 9ページ以降は事例です。 昨日の第1回の学校地域協働部会では様々御議論いただきました。学校支援地域本部に参加している大人の方々の学びにもなっており、大人と子供のそれぞれの育ち合い、学び合いということが非常に大事ではないかという話や、コミュニティ・スクールとの連携をどのように進めていったらよいのか、教員養成の段階から学校支援の考え方を進めていく必要があるのではないか、子供たちの自己肯定感を高めているような取組も多いのではないか等、様々な議論がありました。次回は合同会議という形になるかと思いますので、両部会連携しながら進めてまいりたいと思います。以上です。

【加治佐主査】  
 どうもありがとうございました。
 続きまして、コミュニティ・スクールの制度の企画立案当初からずっと携わってこられました金子教授から意見発表を頂きたいと思います。資料の10になります。
 それでは、金子先生、よろしくお願いいたします。

【金子教授】  
 時間はどの程度考えればよろしいでしょうか。

【加治佐主査】  
 全部含めて25分で。

【金子教授】  
 はい、分かりました。
 慶應大学の金子でございます。お題を幾つか事務局から頂きまして、それに沿って進めたいと思います。資料が3枚紙になっています。1枚目、2枚目で5分ぐらい、3枚目の上の方で10分かそのぐらい、最後に制度的なことで5分ぐらいと思って始めさせていただきます。
 まず、コミュニティ・スクールができた背景や意義辺りからお話ししたいと思います。
 先ほど来、座長からお話がありましたけれども、2000年に教育改革国民会議、これは小渕首相が始めて、亡くなってしまって森さんになったんですけれども、三つの分科会がありまして、その第二分科会が初等中等教育、私が座長をしていましたけれども、その中でコミュニティ・スクールという提案を私がいたしまして、それで始まったものでございます。
 最初は、ネット会議室なんかでもって全国の人といろいろと、その当時、SNSはまだなかったんですけれども、かなり多くの支援があったんですけれども、しかし、現行制度で十分可能だという意見があったり、必要ないという方もいらっしゃったりしました。また、時期尚早だというような消極的な意見とか反対意見もいろいろございました。
 第2分科会では、いろいろな意見がございましたが、ちょっと記憶が定かではないんですけれども、当時、自民党じゃないかと思うんですけど、チャータースクールの議員連盟があって、チャータースクールと同じじゃないかみたいな話もありました。チャータースクールは、私の知っている限りは、州によってもばらばらでございます。あと、意外と保護者とか設立者の負荷が非常に大きいということで、全然違うんじゃないかなと当時思っていましたが、チャータースクール、アメリカで3%ぐらいですか、コミュニティ・スクールは5%いっているのでコミュニティ・スクールの方が増えているんですけれども、私としてはチャータースクールとコミュニティ・スクールは全然違うかなと思っていました。
 それで、2000年の12月22日に国民会議の中間報告で17の提案というのがありまして、そのうちの一つが「新しいタイプの学校(「コミュニティ・スクール」等)の設置を促進する」ということでございます。
 市町村が学校長を募集するとか、有志による提案を市町村が審査して学校を設置するとか、かなり踏み込んだ形になっております。実は、この提案は、今日持ってきたんですけれども、私、鈴木寛さん、今の補佐官ですね、澁谷恭子さんと3人でコミュニティ・スクールの本を出しまして、そこの提案がかなり反映されたということで、最初のうちだったので、かなり踏み込んだ提案をしようということで出てまいりました。
 この制度はイギリスの制度を主に、もっと地域主導にしたものでございますが、私の正直なところ、このままいくことはないなというふうに思っていました。一つのたたき台として出したんですけれども、そのスピリットが生かされた形でもって今のコミュニティ・スクール、地域学校協議会制度というのができたんではないかなと思っています。
 ちょっと2ページを開けていただくと、ポンチ絵ですけれども、国民会議でコミュニティ・スクールの提案があってからは、比較的早い段階で、4年間でコミュニティ・スクールができたんですけれども、私の意見ですけども、文部科学省は、やはり従来の政策を展開するという立場だったと思います。何かすごい新しいものをやろうということではなくて、批判ということじゃないんですけれども。一方で、小泉内閣になって、規制改革ということを非常に強く言い出して、規制を緩和しようということで、その二つが少し対立したり意見交換しながらやっていったりしたために、コミュニティ・スクールは、今ある形で2004年9月にスタートしたんではないかなというふうに、これは私の想像でございます。
 この中で、当時の内閣、官邸の方からは、特区でやるのはどうかみたいな話がありましたけれども、私は、コミュニティ・スクールというのは特区のようなものじゃなくて定着するものなんで、それはやりませんよと言ったことを覚えております。ということで、2004年9月からスタートして今に至るわけでございます。そういった経緯でもってできたものでございます。
 3ページにいきまして、最初に、コミュニティ・スクールという学校があるわけではなく、いろいろなコミュニティ・スクールがあるんだと私は思っております。その核になる、今の法律で規定されたものでございますけども、ありとあらゆる学校がコミュニティ・スクールになっているんだということをちょっと御説明したいがために、私は基本的には直接関わったことのある幾つかの地域と学校のケースを、少しずつですけれども、六つお話ししたいと思います。その後に、制度的なことについての意見を出したいと思います。
 まず、ケースが三つあります。一つ目は、コミュニティ・スクールって結局いい地域にしかできないんじゃないかと。地域が非常に活性化して人々がよく知っていて、世話焼きもいるしボランティア精神も高いと。確かにそういうところにコミュニティ・スクールができやすいんですけれども、そうではないぞという例を二つ申し上げます。
 一つは、これは文科省のコミュニティ・スクールのページにも例が出ているんですけども、岡山県の岡輝中学校というところでございます。最初に私が訪れたときに、タクシーに乗って岡輝中学校をお願いしますと言ったら、タクシーの運転手はびっくりして、「え、お客さん、何であんなところに行くんですか」と言うんですよね。「いや、これから視察に行くんですよ」と言ったんですけれども、この岡輝中学校はコミュニティ・スクール指定されたんですけれども、その前に地域の警察の指定学校でした。それで先生から聞いたんですけど、中学校なのにオートバイでもって校庭乗り回すような生徒がいたり、教員が教員室に入れないと。生徒に占領されたんでしょうか。それで、次の授業の準備を廊下に座ってやったこともあるんですよみたいな、そのときはすごくいい学校になっていたんで笑い話だったんですけれども、こういう全然いい地域というような状況じゃないところでございます。結局、いろいろな問題というのは中学校から始まるわけじゃないよって。小学校と話してみたら、小学校からでもなくて、もっと幼児教育から始まるんだということで、結局、地域の保育園と、それから幼稚園と一緒になって、17年ぐらいですか、一貫教育をして、結局非常に難しい地域です。一人親がいたり生活保護が多かったりというところなので、なかなか難しいんですが、非常にいい取組をして、数年後には落ち着いたいい学校になったという話でございます。
 次は、八王子の松木中学校というんですけども、これは昔、ポンポコタヌキというのがありましたよね、スタジオジブリの。その舞台になったところらしくて、何もないところから大きなマンションができて、急に人が増えたというところで、1996年に開校をして2010年にコミュニティ・スクール指定を受けたんですけども、当時は、要するに地域の自治会なし、それからお祭りは全くなし、神社もなしという、地域の人がよって立つところが全然ないところからいきなりできて600人のたくさんの子供が入って、保護者は比較的若い方で、共働きで働いているので、学校にほとんど来ないというところから始まったわけですけども、2代目の滝澤先生という校長先生が、この方は実は20代でロックバンドをしていたプロのミュージシャンで、生徒なんかと一緒にロックバンドなんか作ったりしたんですけども、この方は杉並か世田谷か、ちょっと記憶は定かじゃないんですけども、もともと一度コミュニティ・スクールの校長になった人です。これは地域を作らなければいけないということで、コミュニティ・スクールをツールにして、PTAを作ったり、それから教員と保護者たちの集まりをたくさん設けたりして、お互いを知るようにしてというようなことをやりまして、それですごくいい学校になりました。
 例えば、お祭りができました。浄瑠璃というんですけども、当時、2,000人の地域の人が集まったというようなところでございます。今日は時間がございませんのでこのくらいにしますが、これはいい地域、よくない地域というと、地域に全くつながりがなかったところにコミュニティ・スクールを一つのツールにして、いい学校というか、よいつながりを作ったと。こういうこともあるんじゃないかなと思っています。
 次はこれ、先ほど来、廣田さんの方からも少しありましたけども、任用人事について学校運営協議会が意見を言えるという仕組みが機能していないのではないのかという意見もたくさんございます。これについて、機能もしていることもあるなというお話を、二つお話しします。
 一つは、これはちょっと名前を伏せますけれども、都市部のある中学校です。コミュニティ・スクールを2年間やって、校長と協議会の委員が一緒に、仲良くというか活発にやって、非常によくなったんですけども、定年を迎えて校長が代わると。それで、皆さん御存じだと思いますけども、校長の人事は大体3月の終わりごろやって、4月になると、「こんにちは、私、校長です。」って来るわけですね。ちょっと、大げさに話していますけども。それで、運営協議会のみんなは、これじゃ嫌だと。やっぱり自分たちも少しは意見を言いたいということで、その市町村の教育委員会と調査をしまして、その地域にゆかりがあって校長になる資格のある人をリストアップして何人かインタビューしたらしいんですね。そこである程度推薦をして、任命権者にそれを伝えたところ、たまたまかどうか、そのうちの一人が校長に来たと。校長も大喜びですね。地元の人に受け入れられてきたわけですから。そういった極端なケースですけれども、こういうこともありました。
 あとは、これは過疎地の徳島県の伊座利というところですけれども、ここはなかなか来手(きて)がなくて、子供も9人とか10人しかいなくて、要するに過疎地体験で先生がやっと来るというところで、それじゃまずいなと。海の幸があって、子供も元気で、すごくいい学校なので、来たいという先生はいるということで、校長先生が勉強して、コミュニティ・スクール制度があると。これだと合法的に、自分たちが、この先生、来たいと言っているから任用してくれということを言ったらできるんじゃないかということで、私、呼ばれまして、これもその後、きちんとその制度がうまくいったということでございます。
 ということで、任用に関しても、うまく使っているところもあるというお話です。
 あと二つは、関係者ですが、一つは京都市の西総合支援学校って、これは桂離宮(かつらりきゅう)か何かでしたっけ。

【藤田(裕)委員】  
 桂坂です。

【金子教授】  
 桂坂、非常にいいところですが、御存じのとおり、特別支援学校というのは、要するにハンデキャップの方が多くて、高校生までいますから、あとは、地域は広いですから、正直、地域に根差したってなかなか難しいところです。正直言って、バスなんかで結構大きな子供で支援学校の子供がいるとすると、小学校ぐらいの小さな子供がいるお母さんたちは、やっぱりちょっと心配だというようなことも、正直あるんじゃないかと思います。
 京都市の支援もありまして、様々な取組をして非常にすばらしい学校になりました。今でも地域の小中学校と定期的に連携をして、もちろん近くに立命館があってボランティアたくさん来ているということがありましたけれども、ということです。
 一つの鍵は、特別支援学校には、やはりそういう子供たちの教育に慣れている先生たちがたくさんおられます。地域には重度の方じゃなくても不登校の人がたくさんいるわけですから、そういう人たちのある種の核になって、いろいろコンサルテーションしたり、話合いをしたりということで、地域としっかりと結びついた、こういう話でございます。
 非常に多様な学校があるわけですけども、最後は、私のお隣にいます山口県の話ですが、教育長を、隣にいて褒めるのも何ですが、先週行ってきたんです。そうしたら、県教委の人と指導主事と、全て市町村の教育長が熟議をするというんです。私、どんなことになるのかなと思ったんです。大体市教委と県教委というのは、私の経験だと仲が悪いというか、ぎくしゃくですね。県教委は人事権を持っているし、指導主事が来て偉そうなことを言うみたいなこともあったりするわけですよね。しかも、教育長が来たりして、話せるのかなと、正直、3分の1ぐらい思ったんですが、それが、すごいことになって、グループに分けていたんですけども、本当に喧々囂々(けんけんごうごう)いろいろな意見が出て、私も混ぜていただいて、非常に楽しい思いをしました。こんなことができるのかというふうに思いましたが、もちろん、県教委と教育長を前にしてあれですが、山口県は今90%で、非常に県がいい形で支援をしながら、押し付けないけれどもちゃんとやっているという、すごくいいモデルケースになっているんじゃないかというふうに思います。
 何を言いたかったかというと、先ほど申し上げましたコミュニティ・スクールというのが一つではないということです。いろいろな学校ができるというのがコミュニティ・スクールの仕組みで、どういう学校になるかということを自分たちで選べるということです。それは、たまたま来た校長がなる場合もあるし教職員が盛り上がる。教職員とか校長というのは3年、4年でいなくなるわけですね。ですから、学校というのは、基本的に地域のものであるということで、学校と、そのツールですね。これがあるとそういうことがやりやすくなると。山口県もそうです。私もいろいろ行きました。長門市は全部コミュニティ・スクールになっている。あそこは金子みすゞの生まれたところなんで、全部みすゞ学園という名前がついているんですよね。みすゞ学園何とか小学校みたいな、そういういろいろな工夫で、それはちょっとしたしゃれだと思うんですけれども、いろんなことが可能になる枠組みを提供しているのがコミュニティ・スクールだというふうに思いますので、これをやらなきゃいけないとか、あそこはこうしているけどうちもやるということじゃなくて、それぞれの得意を発揮しながら、それから岡輝中学校がすごくいい、極端な例ですけれども、大きな課題があるときには、それをみんなでもってアタックすると。そういう枠組みじゃないかと思います。
 最後に、時間がちょっとあるんですけれども、五、六分でおしまいにします。今、お話をしたのはたまたまピンポイントで六つでございますけれども、最後に、コミュニティ・スクールは全てうまくいっているかって、そのようなことはないと思います。しかし、今言ったように、可能性を秘めているわけです。やはり学校というのは地域に根ざすものですから、学校というのは、ある意味で仮の宿みたいなものですから、地域と一緒にやる、そのツールを提供している、枠組みを提供しているということで、私はたまたま提案者でございます。提案したときは、さっき言ったように、かなり大げさな形から始まったんですけれども、これは、教育再生会議が言ったように、必置(ひっち)にするのは私は賛成の立場でございます。
 ただし、先ほど事務局からも説明があったように、必置(ひっち)に対して慎重になる意見もたくさんございますが、その最たるものは、私が天笠さんたちと一緒にやっていた協力者会議なんかでもそういう意見が出ましたが、やはり人事に関してのコミュニティ・スクールの法律が、少し課題になっているのではないかということでございます。
 地教行法47条の5の5と6というところがございますけど、先ほど廣田補佐の方から読み上げられましたけれども、簡単に言うと、5は、学校運営協議会は教職員の採用その他の任用に関する事項について、当該職員の任命権者、つまり多くの場合には県教委ですね、に対して意見を述べることができるということでございます。6は、指定学校の職員の任命権者、これもほとんどの場合は私のお隣にいる方ですよね、任命権者は。当該職員の任用に当たっては前項の規定で述べた意見を尊重するものとするとありますが、尊重するものですから、別にやれとは言っていませんが、しかし、学校の地域の人が盛り上がって、この先生、いいよみたいなことを言ったときに、それを理由なく断ることはなかなか難しいということで、先ほど来申し上げていたとおり、ある都会の中学校、それから伊座利の場合は非常に特殊な例ですけども、うまく働いている例もあります。しかし、これは、実際のところはなかなか難しいんじゃないかなと思います。
 私事でございますけれども、コミュニティ・スクールを教育改革国民会議で提案したところ、私は非常にこだわったんです。人事に関して一定の、ある種のパワーを住民が持っているということはすごく大事じゃないかと思いましたので、結構この5と6というのを非常にプッシュして、文科省と喧々囂々(けんけんごうごう)やりながら、鈴木寛さんなんかも加わって今の形になったのですが、もし必置(ひっち)になると、これ、少しきついんじゃないかなというふうに思いますので、今日、せっかく呼んでいただいたので、私の方から提案をしたいと思います。もちろん私だけの提案でございます。これから皆様方に御審議いただければいいと思います。
 一つは、ここに書いてあるように、まずコミュニティ・スクールを必置(ひっち)とするというのがありまして、次は、さっきの5ですね。意見を述べることができるというのは、任命権者に意見を述べるんではなくて、市区町村の自分の身近なところでお話をしてくれというところにとどめるといいんじゃないかなと思っております。
 それで、47条の5の6、任命権者はそれを尊重するものとするでしたっけ。削除するのでよいのではないかなと思っています。
 きょう、京都市の副市長もいらっしゃっていますけども、京都は、もちろん門川大作、今の市長で、その前の方から教育にはとても関心があり、とてもアグレッシブにやっておられましたが、実際京都市は人事に関してはほとんど例がないですね。私が知っているのは、御所南なんかで、非常勤を雇うときには協議会のメンバーが面接をするんです。私も立ち会いましたが、結構厳しいことを言うんです。つまり、中小企業のおっちゃんとか不動産の人がメンバーなわけですから、人一人を雇うということがどれだけ大変か知っているんで、あんたは学校のこと知ってるのみたいなことを言って、不登校が起こったらどうするのみたいなことを直接聞くんですね。悪いけど、教員ってなかなかそういうことを思いつかないので、それで採用されると、非常勤の人も、ああ、学校に受け入れられたんだなというふうに思って、非常にいい形だというふうに思っていました。
 もちろん、京都市は、手挙げ制度とかいろいろやりましたが、しかし、任命権者に意見を言うということは、私は聞いていないです。それでも、非常にいい形で回っています。
 あと、本日欠席ですけども、貝ノ瀬さんの三鷹も、実はこの項に関しては比較的消極的でございます。全然やっていないわけじゃないと思いますけども、要するに、これは伝家の宝刀ですけども、これを抜くような場面ではない方がいいわけですね。ですから、そういう意味では、私の提案というのは、6は削除してしまって、5は、自分のすぐ身近な教育委員会と協議をするということでいいんじゃないかなというふうに思っている次第でございます。これは、先ほど申したように私の単なる提案でございますので、これからこういうことも議題にしていただければいいんではないかなと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。

【加治佐主査】  
 どうもありがとうございました。
 事務局から多岐にわたる説明がありました。そして、金子先生から、設置の経緯、そして事例、さらには一つの御提案ですね、改革提案、そういうのがございました。本日は第1回ということであります。だから、広く意見を頂戴したいと思います。全員の方に御発言いただきたいと思いますので、これから12時前ぐらいまで40分ぐらいいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 お1人3分以内ぐらいでお願いします。特にどこから、あるいは誰からということはいたしませんので、随時御自由に御発言いただければと思います。
 はい、どうぞ。

【田崎委員】  
 すみません。熊本県の教育長の田崎でございます。本日は作業部会の方に呼んでいただきまして本当にありがとうございました。
 今、金子先生の方からのお話にも少し関わる部分があるかと思って最初に手を挙げさせていただきました。
 熊本県でも、いわゆる開かれた学校、地域とともにある学校づくりということで、これまでずっと進めてきておりましたけれども、コミュニティ・スクールというのがなかなか進まない状況がずっと、平成16年からございまして、何とかそれを、もう少し進めていく方法はないだろうかということで、いろいろ考えまして、熊本版のコミュニティ・スクールというのを、実を言いますと平成25年度ぐらいから、その前からいろいろ計画はあったんですけれども、実際には25年度から始めております。これは、将来的なコミュニティ・スクールへの移行を視野に入れまして、市町村教育委員会が運営協議会を設置して委員を選ぶということではなくて、各学校が主体的に協議会を設置するというようなものを進めているところであります。
 学校長が協議会に直接依頼することができますし、また、先ほど金子先生もちょっとおっしゃいました教職員の任用に関する意見については、これは位置付けをしないというようなことで進めておりまして、そういうこともありまして、現在、かなり熊本版のコミュニティ・スクールには手を挙げるところが多くなっております。今、熊本県全体で391校、小中学校がありますけれども、政令市の熊本市は除きますが、そのうち熊本版コミュニティ・スクールとして実際に手を挙げているのが現在74校、また、今後手を挙げるというふうに言っておりますのが123校ですので、合わせて190校ぐらいありまして、約半分の小中学校が、この熊本版コミュニティ・スクールに手を挙げている、あるいは近々手を挙げるというふうな状況になっております。法によりますコミュニティ・スクールもありますけれども、これが59校ということでございますので、その進み方というのは、かなりこちらの方が進んでいるのかなと思っております。
 我々としては、こういう熊本版コミュニティ・スクールを通じまして、将来的には、そういう実績を積んだ上で国のコミュニティ・スクールに取り組んでいくということを目指して25年度から取り組んできたところでありますけれども、先ほどのような形で、必置(ひっち)という形になると、金子先生がおっしゃったように、今、熊本で進めております熊本版コミュニティ・スクールというのも一つの方法ではないかなというふうに私も考えたところでございます。
 まずは、私の方から以上でございます。

【加治佐主査】  
 ありがとうございました。では、早川さん。

【早川委員】  
 私どもは、今年度で小中学校は70校ございますが、特別支援学校も全てコミュニティ・スクールにしました。私は教育長になって4年目でございますが、3.11のときにきずなの問題が出て、ソーシャルキャピタル、みんなが目覚めたわけです。今、電流を流せば、きっと動くだろうと思ったわけです。校長先生方に、これから3年間のうちに全部コミュニティ・スクールにしてくださいと。あなたはどこでやりますかと聞きました。1年目でやるところ、2年目でやるところ、3年目でやるところ、ありました。もしあなたがやらなければ、次の校長先生にやっていただきますとお願いしました。全部3年間かかってやりましたが、最初、やっぱり大変反発がございました。
 どういう反発かというと、まず、唐突過ぎる。モデル校を作ってやってくれと言われました。校長先生、モデル校を作るのはいいけれど、それのまねをするというのはかえって苦しいですよと。コミュニティ・スクールは地域と学校との兼ね合いの中であるんだから、今、学校評議員会があるんだったら、評議員会を運営協議会に変えるだけでいいんですよと。私はこうやって学校経営やろうと思いますが、皆さん、どうですか、賛成してくれますかを付け加えれば、これはもういいんです、議案になるから。だから、それでいいんであって、新たなイベントをやることが目的ではなくて、地域が教育の場で地域の教育者として一人一人自覚を持ってもらって、その本質は何かといえば、目の前にいる子供たちに声をかけてもらうことですよ、あなたのことを見守っていますよということですよと。そういうことは、困難な家庭にも届くから是非やってくださいとお願いしました。そうしたら、校長が言うのは、じゃ、もううちはそのようなこと言わなくたってコミュニティ・スクールだと言いました。じゃ、やればいいじゃないですかと、そういう話です。
 ですから、言い切ることが大切であって、今も熊本県の教育長のお話があったんですけど、文科省がいろんな施策を出していくときに、それに合わせようとするのは学校現場大変です。地方教育行政でも。ですから、それをいかに自分のものにして、私どもだったら岐阜市型のコミュニティ・スクールといってその説明ができるということが重要なことだと思います。これから地方教育行政や学校現場では、そういうのを自分流にあつらえ直すという能力がないと大変やりにくいことになると思うんです。しかし、やってよかった意外な良さというのは何があるかというと、やっぱり防災教育に大変生きるということです。
 それから、土曜授業をうちはやっているんですけど、そこでも地域の教育力が活用できるということ。それから放課後児童クラブでもいいし、今年の夏は是非プールの開放を地域でやってもらおうかとか、それからラジオ体操、学校の校長先生なら分かるけれど、どんな指導しているんだって夏休みに怒られるんですけど、それも地域にやってもらおうかといろいろ思っています。
 それからもう一つ、やっぱり小中一貫教育が自動的に進んでいくということですね。同じメンバーが小学校の学校運営協議会、中学になると、じゃ、一緒にやるかという話になるので、地域からの危機感が働くということです。
 さらに、行政的にいって意外によかったのは、いろんな学校に対する批判を、いや、うちはコミュニティ・スクールでやっていますよといって議会答弁ができるということです。
 それからもう一つは、首長がやっぱりそれに対して興味を持つので予算が非常に付きやすくなったということです。
 そういう扱い的なことがあるんですけれど。ただ、これは中教審の中の論議も、北城先生が盛んにおっしゃっていましたけれど、いろんな地域と学校が関わる仕組みは、今、鍋島室長もおっしゃいましたけど、学校評議員とか地域本部とか、総合型スポーツクラブもそうかもしれませんけど、その中心となるのは、やっぱりコミュニティ・スクールじゃないかということを御発言なさっていて、私もいろんなメニューはあるけれど、コミュニティ・スクールに予算を集中的に使った方が、学校現場に地方教育行政が持ってきやすいんではないかということを思っています。
 以上です。
【加治佐主査】  
 はい、それでは藤田先生。

【藤田(裕)委員】  
 京都市でございます。京都市の副市長をしておりますが、私自身、実は教育委員会に30年ほど勤務しておりました経験を経て、今、副市長、教育を担当しておるんですけれども、京都市の取組、まず御紹介しますと、166の小学校、7校の総合支援学校は全てコミュニティ・スクールになっておりまして、市内全校でいいますと、9割弱の中学、高校を含めましてコミュニティ・スクールになっております。
 金子先生からも大変お褒めの言葉も頂きましたので、調子に乗って若干しゃべらせていただきますけれども、文科省からの今日のお話をお聞きしていまして、最初に大変印象的といいますか、是非お願いしたいなと思いましたのは、いわゆる学校支援本部との連携ということ、次回は合同でという話がありましたけれども、これは、やはりコミュニティ・スクールの在り方を高めていく意味でも、今までもされていたんだと思いますけれども、是非お願いしたいことだと感じました。
 これは、実は私自身が教育委員会に在職しておりますときに、PTAとかおやじの会とか地域家庭の教育を担当する生涯学習部のセクションにおりまして、教育委員会では、そちらのサイドから学校指導セクションが行っている地域コミュニティづくり、コミュニティ・スクールの取組を見ていたんですが、やはり率直なところ、同じ教育委員会の中でも、間接的に見ているというような実感がありました。
 その意味では、一つは、先ほど来のお話と重なりますが、学校を何か監視するとか、上から評価するというようなものを作ろうとしても、学校自身が非常に抵抗しますし、先ほどの人事の話も同じだと思うんですね。部外の方が口を挟んでくるということに対しては、学校というのは、やはりいい意味でも悪い意味でも閉鎖的であり抵抗感があると思います。そうではなくて、学校の応援団を作るんですよというムードを作っていくと、よりよい教育をやりたい、子供のためによりすばらしい取組をしたいというのは、全ての教育者が思っておられますので、是非お願いしますという形で受け入れていくという要素があるわけです。
 京都市におきましても、実は小学校ではいち早く100%できたんですが、中学、高校へいくほど難しい。これは、やはり専門性が高くなってきますと地域との結び付きも少ない部分があります。学校の先生が、地域から、部外からものを言われたくないという独特の文化があるように私自身は感じています。そのあたりをどうほぐしていくのかということをしていかないと、なかなか広がらないのかなと思います。
 その意味では、先ほど金子先生からおっしゃった人事権うんぬんについても、いわゆる教育委員会なら教育行政の中で決めていく人事権を、特に人事とか教育内容ということについて地域の方から第三者が発言するということについては、やはり慎重にすべきだという声は出てくると思いますので、私はむしろ、そういうことに主眼を置くよりも、どのようにして学校を応援していくのかというムード作り、もっと言えば、学校だけでは子供は今育てられない状況になっているんだから、その学校だけではできないことを、地域や保護者を巻き込んだシステムをどう作っていくのかというのがコミュニティ・スクールの本質になってくるんじゃないかなというような気がしています。
 したがって、あちこちいきますが、学校への教育支援というときに、教育内容の中身に口を出すとかいうようなことよりは、学校だけではできないような、例えばお茶、お花を子供たちに体験させたいけど学校の先生にはそういう経験者がなかなかいない。けれど、地域にはそのような人が幾らでもいる。では、そういう地域の力を借りて、子供たちによりすばらしい体験をさせたらやりやすくなるんじゃないかと。これはコミュニティ・スクール以前にいろんなところで開かれた学校づくりとしてやられていますけども、そうしたことをもっとシステマティックにできるような取組が必要なんじゃないかなと思っています。
 それからもう一つは、ちょっと先走った話になりますけれども、コミュニティ・スクールを中心にして地域を作っていくという方向が、今回の御意見でも出ていまして、これは大変すばらしいことだと思います。私自身、先ほど申し上げましたように、PTAとかおやじの会の窓口をずっとやっていまして、学校で、PTAで子供たちのために汗をかいて頑張っている人が、地域デビューをして、次に地域の担い手、地域コミュニティの担い手になっていくという循環ができているところは、地域コミュニティも活性化するんですね。ところが、現実には、地域の担い手になるというのは、大御所というんですか、もう20年間地域のドンで君臨しているというような方がおられて、なかなかPTAの若造、おやじの会の若造が何を言っとるんだということで排除されてしまい、そして、地域だけはどんどん高齢化していくと、こういう実態というのは現実に全部とは言いませんけど、傾向があるんじゃないかなと思います。
 そのときに、そういうPTAなどの子供、子育ての現役時代、現役世代が地域にデビューしていく意味でも、学校コミュニティが役割を果たしていく、地域のためにこんなに頑張っている人がいますよという人材を発掘して紹介していけるような機能を持っていくということになれば、学校コミュニティ・スクールを核にした地域の活性化ということにもつながっていくんじゃないかなと、そういう思いがしました。
 私自身、もう一つ付け加えますと、今の仕事の前に区長という仕事をしておりまして、京都市に11あります行政区、右京区という人口20万余りを所管している区の区長をしておったんですけど、区役所行政と学校教育の連携ということについても、今日は教育長さんがたくさんおられますけど、市長部局としては私だけですので、知事部局、市長部局の行政職員と学校職員現場の連携ということについても、何かつなげていく必要があるんじゃないかなと思いました。京都市においても、コミュニティ・スクールは非常に活性化しているんですが、私がおりました区も含めまして、区役所行政の中でコミュニティ・スクールがどれだけ認知されているかというと、現実にはほとんど認知されていなかったと。地域コミュニティの中では、コミュニティ・スクールを担っている方が、地域の役員さんがおられて、その地域の役員さんは区の行政とは非常に緊密に連携されているんですけども、学校と区の行政が連携していないのでトライアングルになっていないという部分がありましたので、そのあたりについても、コミュニティ・スクールを契機にして、地域への広がりということができていけばすばらしいなと思いました。
 長くなりましたけど、以上です。

【加治佐主査】  
 ありがとうございました。大変いいお話だと思います。ただ、時間がありますので、もう少し工夫し、短くしていただきたいと思います。

【藤田(裕)委員】  
 失礼しました。

【加治佐主査】  
 よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。はい、どうぞ。

【山野委員】  
 大阪府立大学の山野です。今の、京都市の藤田委員のお話をちょっと頂いて、短くお話ししたいと思いますが、私は福祉の立場の人間です。子供の貧困対策の構成員もさせていただいて、今のお話でいくと、子供の貧困関係でいうと、学校プラットフォームという案が出て、学校を拠点にしながら、市長部局であるとか、今私が文科省の方といろいろ相談しながら、そこに学校支援地域本部であるとか家庭教育であるとか、いろんなことを乗せながら、学校を核として、でも市長部局ともつながりながら、スクールソーシャルワーカーという人材も活用して、誰が上で誰が下でという、そういうピラミッド構造ではなく、どんなふうにコミュニティ・スクールというのを核にしながらできるのかなということを考えています。きれいな絵が今あるわけじゃないんですけれども、一つは、おっしゃった市長部局と課題のある子供たち、川崎事件のこともいろいろ、昨日も大阪府の教育委員会といろいろやっていましたけども、あそこでも地域の話が出てきました。地域の力がどうなのかということも出てきました。
 今の先生方、皆さんのお話を聞いていて、私が思っているのも、私は課題のある方から見る立場ですが、予防になる。確実にコミュニティ・スクールが機能していたら、一番始めに熊本の先生もおっしゃったように、予防になっていくというふうに思いますので、全体を見る、全ての子供たちを見る層から、市長部局、児童相談所とか福祉事務所というのも氷山の1%しか見ていませんので、全体の子供たちを見ている層とそうでない層とをつなげながら、コミュニティ・スクールの意味とか位置とかも考えていけたらいいなというふうに思いました。
 以上です。

【加治佐主査】  
 どうぞ、生重さん。

【生重委員】  
 今、ちょうど山野委員のおっしゃったこととつながるんですが、私、去年、別府市のとある小学校のコミュニティ・スクールの立ち上げに1年間付き合ったんです。
 そのときに、アウトリーチとか不登校、それから学習困難な子供たちのための放課後とか夏休みとか冬休みの子供たちの学習の場にも、プログラムも考案して立ち会ってきたんですが、まさしくおっしゃった機能が非常に果たされて、コミュニティ・スクール化していくときに、九州のその学校は抵抗があったかと思うんですが、校長先生がお手を挙げられてモデルになられて、それぞれのところに先生と地域の方が両手を組んで話し合える環境を作られて、命の部会で養護教諭の先生から、虫歯の処置が未処置のままの子が8割、温泉街で母子家庭率が高く貧困層も多いエリアですが、先ほど、どなたかがおっしゃっていた、地域のどちらかというとふんぞりかえってというタイプの古いタイプの方たちが例外なく何名も入っていたんですが、アプローチ手法をいろいろ関わらせていただく中で、あっという間にアクションを起こせる、「いや、それはわしがやってやらにゃいかん、地域の歯医者はわしが全部知っとる、わしが子供たちが行けるような環境を作ってやる。」と言ってくれて、そうしたら周りにいたPTAや女性陣が、「いや、何々さんだけに1人でそのようなことをやらせるなんてとっても申し訳ない。」と。私たちも一緒にフィールドワークをやると。そういう積極的な姿勢に変わっていく。アウトリーチという大学生が入ることで、全員不登校が収まる。おまけに、学習困難な子たちも、宿題をやる喜びが分かったとか、問題を解いて分かることの楽しさに目覚めたという回答がしっかり残っているという。
 だから、まさしく氷山の一角が見える大きな機能と、コミュニティ・スクールをすることによって、それぞれの近いところに、一緒になってパートナーで動いてくださる大学生をアテンドできる、かつ、先生たちとの理解の下でバックヤードを支えるCSの委員がいるという、すごくいい実践事例になったなと。
 それと同時に、私は、東京の杉並区で学校支援館長を立ち上げてきた人間ですが、コミュニティ・スクールは学校支援地域本部の充実が果たされているところから順次コミュニティ・スクール化するという教育委員会の方向性で動いております。
 その中で、今、46校、23校ある小・中学校の中で、コミュニティ・スクール化しているのは両方でまだ30校までいっていないんです。でも、そこで我々が深く関与している学校だけではなく、昨年、杉並の10周年でファシリテーターをやらせていただいて、教育委員会はコミュニティ・スクールの効果の指標をきちんとデータ化して取ったんです。やっているところとやっていないところと。立ち上げの一、二年は現場の教員は大変だけれども、そこを乗り越えたときに、子供たちの学びに対する意欲とか、それから地域に対しての自分が何ができるかみたいなことをしっかり意識できるということが明確になり、先生たちも、そこを乗り越えられた後は、コミュニティ・スクールのある学校に転任したいと言ってくれるという結果が出ました。
 その中で、今、どっちかというとフェードアウトしがちな人事と教育内容の承認はもちろんするけれども、人事に関しては消極的になりがちですが、私どもは、別に、この先生を下ろしましょうとか、この先生を何とかということではない。ずっと年間を通して、議事が出てくる中で、私たちがするのは、経営方針の共有、共に責任をとっていく、賛成をしたからには、我々委員が共に一緒にやっていくんだという意思の表れ、そこら辺をぼやかしていくと、だから人事の構想も校長の口から語られ、この体制の中でこの思いを共有しながらやっていきたいですと言われて、そこを了承するというのは、私はすごく大事なことなんではないかと。そっちは口を出すな、でもこっちの責任はとれ、分かって一緒にやれよというのは、片手落ちな気がして、それはきちんと学校経営者がそこを話せることが大事なんです。こういう構想が出た。だから、「このチーム体制の下で学校経営をしていくんです」と言われたときに、我々CSの委員は学び続けないといけないし、学校も位置付けないといけないけど、それを覚悟してなる人間をCSの委員にしていくというのは、絶対必須条件だと思うんです。通り一遍、年に1回やってきて、ペーパーだけ見て、ああでもない、こうでもないと言って帰る方にはCSの委員になっていただかなくていいんじゃないかと。そういうことを、教育委員会、学校が明確に打ち出せることの方がよほど大事で、なる側(がわ)も、自分の地域が、もう学校すらもなくなってしまったら、地域再生どころから消滅の町になってしまうんです。そこを理解した上で、自分の町の学校をどう残すかという意識を持てたら、学び続ける、幾つになってもきちんと積極的に学校経営に賛同し、一緒に共にやっていこうという人材は、絶対自分の町のことならやるぞという人間が現れるというふうに私は思っています。

【加治佐主査】  
 ありがとうございました。

【浅原委員】  
 山口県でございます。先ほどからいろいろと御紹介いただいてありがとうございます。
 現在、本県ではコミュニティ・スクールの設置率は、小中学校で90.2%でございます。平成29年度末には100%にするという目標で、今、努力をしております。
 仮に100%になったとしても、現在の課題を考えると、学校運営協議会を設置しただけの学校もあれば、大変成熟度の高い学校もあり、取組に関して学校間の格差があるということが挙げられます。各学校の取組のレベルを引き上げていくこと、コミュニティ・スクールに関わっていく人材の育成も含めてレベルを引き上げていくことが、これからの大きな課題だと思っています。
 山口県では、学校支援と、学校運営と、地域貢献という三つの機能を学校運営協議会、コミュニティ・スクールに持たせようとしています。学校支援については御案内のとおりですけども、学校運営については、教職員が異動しても学校運営が揺るがない、そういうものであってほしいと考えております。ある中学校では、1週間に1回は必ず学校の授業評価に運営協議会の委員の方に入っていただいております。授業が終わった後の反省会に運営協議会の委員に参加をしていただき授業改善に役立てていくというような取組をしているところもあります。校長が代わったら学校が変わってしまったという話を聞きますが、そうならないように、地域が学校運営にしっかりと関わっていくということをやっていきたいと考えています。
 それから、私どもの県では、学校支援地域本部事業等と統合しまして、「地域協育ネット」というものを全ての中学校区で立ち上げております。それと連携をしながら、今年度から、コミュニティ・スクールが核となって各中学校で「地域協育ネット」等のネットワークを生かして、学校、家庭、地域が連携協働するということで、社会総掛かりで子供たちの育ちを、小中でいえば9年間ですけれども、育ちや学びを見守るということで、「やまぐち型地域連携教育」と銘打って、今年から取り組んでいます。
 総合教育会議等で知事と話す機会もあるのですが、若い知事ですが、大変前向きに取り組んでいただいており、コミュニティ・スクールの取組にも大いに期待をしていただいております。
 山口県も、御案内のように、人口減少がどんどん進んでいまして、これが大きな課題です。2015年現在で140万の県民がおりますけれども、2060年には77万人になるのではないかと。更に40年ぐらいたつと、40万人ちょっとになるのではないかというような恐ろしい推計もある中で、地域をどのように活性化させていくかということはこれからの大きな課題だと思います。そういう話を学校の先生方にすると、先生方は「それは、教育の力ではどうにもならないですね。やはり企業とかを誘致してこないと、教育が幾ら頑張っても駄目です。」というようなことをよく言うのですけれども、では、本当に教育は何もできないのか。やはりこういうコミュニティ・スクールなり、地域協育ネットなり、やまぐち型地域連携教育なり、そういったものを通して、地域とともに学校が活動し地域を活性化させる、あるいは自分たちのために地域の大人が汗をかいてくれている後ろ姿を見て育つことによって、あるいは地域の良さを知ることによって、将来、この地域のために何か貢献したい、何か働きたい、あるいは可能ならば住みたいと思うような子供が一人でも育ってくれる、そういう取組を期待しております。
 即効的な取組にはなりませんが、このような教育を進めていくことが将来的に人口減少に歯止めをかけ、活性化につながっていくのではないかと、大きな期待をしているところでございます。
 以上でございます。

【加治佐主査】  
 ありがとうございました。

【黒瀬委員】 
 失礼します。高知県から来ました、いの町の神谷小中学校の校長をしています黒瀬といいます。実は、コミュニティ・スクールは3校目でして、この4月に神谷というところに転勤になりまして、この4月にコミュニティ・スクールになったばかりですが、3校目の経験をしています。私は、かつて2校で立ち上げに関わったのですが、2校とも私が行った当初から比べたら格段に良くなって、コミュニティ・スクールになったら学校は良くなるという経験をしています。なので、今の学校でもそういったことを期待していまして、コミュニティ・スクールになったら必ず学校は良くなる、だから頑張ってやりましょうという話をしているのですが、うちの職員は疑問符だらけです。コミュニティ・スクールになると忙しくなるとか大変になるという感覚を持っているようで、私がいろいろ話しても、十分理解してもらえない面があります。
 私は、今の学校には、前の学校にいるときにコミュニティ・スクールの話をしたことがあるのですが、そのときに、こんなことをしたらいいとか、こういうふうになるんだとか、いろんな話をしたのですが、十分に伝わっていないという感じがして残念でなりません。
 背景として、全国には熱心に指導している県の教育委員会がある一方で、十分に指導ができていないというか、学校に対して十分な援助ができていないところもあるのではないかと感じています。
 私としては、コミュニティ・スクールの必置(ひっち)には大賛成ですが、そのためには、もっと学校を支援する体制を整える必要があるという考えを持っています。

【加治佐主査】  
 支援の話はまたこれからいろいろ出てくると思いますので。はい、どうぞ。

【佐藤委員】  
 日本大学の佐藤です。よろしくお願いいたします。簡単に2点ほど。
 1点、いわゆる任用意見に関してですが、金子先生に案を出していただいています。私が調べたところによると、任用に関して事前に校長の意見聴取をするというところが西日本に多いんですね。一番初め、京都市です。何で京都がそういう条件を入れたかというと、FA宣言の関係ですよね。だから、それ抜きで任命権者にということではない。ところが、これは西日本で波及していったんです。だから、そのような条件付けみたいなのもあるかなと。
 それと同時に、生重さんの御発言と重なるところがあるんですか、学校支援と任用の意見に関して、切り離さない方がいいのかなと。と言いますのは、三鷹の四小を最初見ていまして、学校支援活動がかなり盛んです。そうすると、保護者、地域の方と先生方のいわゆる協働感情ができているんです。その中で、じゃ、こんな先生に来てほしいねというような意見が出て、私の前任校のときの学生がそこにボランティアに行っていまして、女子学生だったんですが、あの子と言っていましたけど、あの子、じゃ、うちの学校に来てもらいましょうよという雰囲気になってきているんです。
 そのあたりで、学校支援と任用に関しても連動しているということも、少し視点に入れていろいろと議論いただくといいのかなと。
 非常に簡単ですが、以上です。

【加治佐主査】  
 ありがとうございました。竹原さん。

【竹原委員】  
 隣なので、先に発言させていただきます。
 私、11年目になります。コミュニティ・スクールとして新設校が開設したときに、その中に小さな公民館のようなものが併設され、そこの施設の空間を学校と地域を結ぶものとして機能させてほしいということで、館長として、もう11年経ちました。そんなに長くいるつもりはなかったんですけれども、やはり毎年いろいろな学びがあり、出会いがあり、ここまで来ました。
 ようやく、コミュニティ・スクールとは何ぞやというのを地域の方とともに、学校の先生方とともに少しずつ分かってきたという。本当に時間のかかるものだなということを実感しています。
 今、最初に廣田さんが整理してくださいましたけど、審議機関とアクションをする学校支援地域本部とかと関わるのか絡むのか、そして学校評価というのがその中にあるのかということが、ようやく整理されてきたのが今の段階です。
 この10年が経過して、今、課題というか、今後のためにキーになるものはと思っていますのは、パートナーであるということをもう1回確認しなければいけないと思っています。ピラミッド構造を作っていけば、それはコミュニティ・スクールを崩壊させていくんじゃないかと思っています。今回、学校支援地域本部事業を中心とした生涯学習政策局の審議会が学校地域協働部会という名前になって、良かったなと私は思ったんです。協働という、パートナーであるということがないと、なかなかうまくいかない。そして、双方向性がないと、つまり学校が良くなるだけじゃなくて地域も良くなる、関わった大人が元気になるとか達成感ができる、子供が尊重するのに関わることで大人も成長するという、そういう循環ができることが、これからのコミュニティ・スクールの理想の形じゃないかなと思っています。
 その中で大事なのは、大人は子供の学びをもちろん支援していくんですけれども、その中で大人が学ばなければいけないというのを強く思っています。コミュニティ・スクールは大人の学びのコミュニティでもあると思いまして、まずは教職員の先生方の学びというところに視点を合わせますと、教員養成段階から、昔私も実は教職を取ったんですけれども、学校と地域の連携とか開かれた学校というのは学んできてないんです。今やっているかもしれないけど、それが薄いのかもしれない。もっとそれを本流にして、教員養成段階からずっと学びを重ねて、学校に入ったときには、それが当たり前になっている人を増やしていかなければ、なかなか管理職だけの研修ではそういう体制はできないんではないかと思っています。
 それから後は、保護者の方、私も3人の子供を育てましたので、保護者にとっても学校はサービス産業ではない、自分は担い手である、そして自分が何ができるかを常に問いながら学んでいかなければいけないと思っています。そういう担い手意識というのを醸成するのも学びだと思っています。
 それから、地域の人たちは、今、学校支援なり学校参画なりで相当動いていますけれども、善意だけで動いて、それが学校にとって本当にプラスかどうか、本当に有り難いと思っているかどうかというのは疑問なところもたまにありますので、やっぱり学校にとって、地域にとって、どういうことが求められて、自分はどう変容しなきゃいけないかということを地域も学ばなきゃいけないと思っていて、これ、結構大変なことですが、私たちのところでは、学校支援ボランティアに行く前にちゃんと研修を受けて、それはスキルではなくてマインドですね。ボランティアマインドであったり学校理解であったりという、そこをきちんと整理して、そしてコーディネートして学校に入っていただく。ただやりたい、パソコンが教えられるという人だけを紹介していけば、それは、学校の先生は貝になるかやった振りをするかしかないんです。ですから、それはやはり地域の学びを作っていくという場面もいっぱい作らなきゃいけないと思っています。
 最後に、私は、さっき早川教育長がおっしゃってくださったように、熱く語っていただくというか、リーダーの方は語っていただかなければいけない。こうだからこうだという、これが新しいからとか、これが決まったからやるというんではなくて、プロセスを語ったり、こういう思いを語って、ミッションを語ったりしていただかなければ、多分、誰も動かないだろうと思っています。そういう語る、教育長であったり、校長先生であったり、リーダーシップを持った職員であったりという、私たちも地域で語っていきたいと思いますけれども、それが自分の言葉で語れるようになりたいなと思っています。
 子供の成長の時間軸と空間軸をつなぐのは、もう地域しかないと思うんです。先生たちも様々なスポットでは関わりますけれども、専門職もスポットでは関わりますけれども、全体をトータルで見ていくのは地域である。それを、私たちは、見えにくいんですけれども、きちっと作っていかなければいけないと思っています。

【加治佐主査】 
 どうぞ。

【宗岡委員】 
 大分県玖珠町の玖珠中学校校長の宗岡といいます。先ほど生重委員から別府の話をしていただきました。私も委員の前で、うちの取組を発表させていただきましたので、先ほど、有り難いなと思ったところです。
 今日はこの委員会に参加をした意義として、学校現場の取組を、私はこの中で意見として発表させてもらうことが役割かなというふうに思っています。今日は、少し、時間も短いので、本校が取り組んでいることを紹介させていただいて、自己紹介に替えさせていただければなと思っています。
 本校は、平成23年10月にコミュニティ・スクールを導入しまして、それ以来、信頼される学校作りということで、学校開放を目指して、生徒の地域貢献、あるいは地域の方々からの学校支援というものを重点的に取り組んできました。それは、地域への行事参加であったり学校行事への支援であったりと、あるいは学習支援であったりということであります。
 ただ、私が2年前に赴任したときに、そういった形で生徒の意識も大きく変わって、本校も、先ほどの岡輝中学校に負けないぐらい荒れていた学校だったんですけれども、非常に社会性も向上して、それを機に生徒も落ち着いてきて、学力も同時に上がってきたということで、私が赴任してきたときは、非常に学校は落ち着いていたんです。ただ、状況を見たときに、地域支援をされるいわゆる広がりというのが非常になくて、あるいは保護者、PTAは地域に任せておけばいいわというような意識で、PTAの学校に対する意識、いわゆる当事者意識というのが非常に薄いなというふうに、印象として感じました。
 そこで、学校長が代わり、あるいは運営協議会の会長が代わっても、この学校運営というのは変わらないことが必要ですので、保護者を巻き込んだ組織作りというのを私の使命としてやっていこうというふうに考えまして、昨年、目標協働達成会議というものを、学校運営協議会の内部組織として立ち上げました。それは、地域、警察の方とか教職員とかも入れるんですけれども、主にはPTA、保護者の方を中心にして、運営協議会の委員は15名ですけれども、その内部として活動部隊、実践部隊として、15名の別動隊というか内部組織をそこに立ち上げをしまして、子供のより良い育成に向けて、学校教育力向上部会、家庭教育力向上部会、地域力向上部会という三つの部会を取り上げまして、それぞれに目標を定めて、そして実践をしていく、そういった目標協働達成会議の取組を始めました。
 これによって、学校と地域、家庭が一つの目標を共有する。学校教育目標も当然ですけども、それ以外に健全育成という目標を掲げて、それぞれ部会で目標を立てたものを実践していくと。具体的には、保護者の方がこの目標協働達成会議で話し合われたものをPTAに持ち帰って、PTAの理事会、あるいは総会、あるいは学級PTAで話合いをして実践をしていくと。そういった形のものを一つ作り上げて、去年から実践をしているところであります。
 今年は、その目標協働達成会議を利用して地域、それから保護者で本校の子供づくり、目指す生徒像というものを、まず学校がどういった子供像を作ろうというのを地域、家庭で共有しなければ、いろんな取組をしても根本的なものがないと駄目だろうということで、本校は、昨年、校訓を中心にした学校づくりということで、校訓「自主・友愛・創造」を唱(とな)えていても、子供にはなかなか分かりませんので、これをもとにして、子供に分かりやすく玖珠中魂というものを作りまして、「粘れ、和をもて挑め」と。この姿を目指す生徒が本校の目指す生徒像だと。それを、今年は家庭、地域に浸透させて、なおかつ目標協働達成会議でより良い子供を作っていくという、そういった三者共有した取組を進めているところであります。
 なかなか地域への広がり、あるいは家庭への広がりというものを目指すときに、どういった組織を作って、この学校の運営が将来的にも続いていくかということを目指すときに、組織をきちっとしていくということが大事かなということで、そういった工夫もしているところであります。

【加治佐主査】 
 ありがとうございました。手短に是非よろしく。どうぞ。

【藤田(大)委員】 
 大阪教育大学の藤田でございます。私は、このコミュニティ・スクールの方に関わった経験が少ないものですから、発言を控えさせていただいておりましたが、現在所属しておりますのは、大阪教育大学の学校危機メンタルサポートセンターといいまして、14年前の附属池田小学校事件を受けて作られたセンターのセンター長をやっております。このセンター長をやる前には、6年目から10年目まで附属池田小学校の校長を併任しまして、被害者支援等もやらせていただいてまいりました。
 そういった中で、本学では、犯罪とか災害から子供たちをどう守っていくのかという、そういうシステム作りが大切だろうということで、今回、新たにセーフティープロモーションスクールというふうな新しい概念を作りまして、それで地域との協働によって子供たちに安全作り、安全教育、安全管理、その連携の姿を見せていくことが大切だろうと。その中核となる学校安全委員会というものを作っていただいて、また中で担うのは、教員としては学校安全コーディネーターのような役職を作りまして、その方を中心に、先ほどPTAとか地域代表者、スクールガードリーダーとか、警察、消防、福祉事務所、関係者連携の上で、子供の安全の姿を見せていく。それが結局、10年、20年先の安心で安全なまちづくりの担い手作りになっていくんだという姿を、展開していかなきゃならないだろうというふうに考えてやっております。
 そういった中、このコミュニティ・スクールの中核となる学校運営協議会の中で、学校安全委員会等がどういうふうな位置付けとして活動を展開できたらいいのかなというのを考えさせていただきたいと思っております。そういったものを、要するに開かれた学校という概念と子供たちを犯罪から守るという概念と、どういう形でそれを進めていけばいいのかということを含めて、このコミュニティ・スクール、地域連携の姿として期待されているものと思いますので、その中で、安全という領域をどういうふうに位置付けていけばいいか、検討させていただきたいと思っております。
 以上でございます。

【加治佐主査】 
 ありがとうございました。よろしいですか。

【松浦委員】 
 保護者の立場から聞かせていただいておりましたら、先生方が先ほどからずっとおっしゃっていましたように、やはり校長先生が一生懸命進めてくださっているところに、教職員の先生方がついていっていないのを現場で、身近なところで感じておりました。校長先生の思いと先生方の思いの差を、困ったなと思いながら、昨年も一昨年も実際感じておりました。
 そして、保護者と地域が歩み寄って、何かやりたいと思っている方がたくさんおられるので、そこを生かせる場も必要かと思うんですが、先ほど竹原先生がおっしゃったように、ただやりたいだけで用意をしてしまうと、またそれも大きな問題かなと思っておりました。
 やはりお互いが活躍できる場というか、自己肯定感を感じられるような学びの場を作っていけるように、そこが校長先生の手腕、リーダーシップと言うんですか、保護者からするとそこにすがるしかないのかなと思って、そこを埋めていきたいなと感じて聞いておりました。

【加治佐主査】  
 全員の方に御発言いただきました。1回目ということで、それぞれのお立場を反映した非常にいい意見がたくさん出たと思います。これから、様々な事例等の報告もしていただきながら、各論に踏み込んでいくんだと思います。例えば、コミュニティ・スクールと学校支援地域本部との結合の在り方とか、あるいは先ほども出ました、コミュニティ・スクールを広げていくための支援の在り方とか、そして恐らく最終的には、コミュニティ・スクールの必置(ひっち)をどうするかということですね。何となく必置(ひっち)は、今日のお話だと、「いけいけどんどん」な気がしますけれども、必ずしもそうじゃないんじゃないかという気もしますので、できればバランスのとれた議論が今後できればと思います。
 金子先生には、最後に御発言いただきたいところですが、どうしましょうか。よろしいですか。

【金子教授】  
 はい。

【加治佐主査】 
 それでは、1回目はこれで終わりたいと思います。本当にありがとうございました。
 それでは、事務局から、次回以降についてよろしくお願いします。

【廣田参事官補佐】 
 失礼いたします。お手元の資料の5に今後のスケジュールを示しております。裏面に次回の日程が書かれておりまして、6月5日金曜日、こちらは、学校地域協働部会と合同開催という形をとらせていただきたいと思っております。
 なお、先ほど私の説明から資料9の説明が漏れてしまいましたけれども、教育課程の見直しですとか高大接続等々、様々な教育改革の動き、あるいは地方創生の動き、そういったことも踏まえながら、今後、本作業部会において御審議いただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

【加治佐主査】 
 それでは、どうもありがとうございました。これで終わりたいと思います。

―― 了 ――

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初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付

(初等中等教育局参事官(学校運営支援担当)付)