教育課程部会 教育課程企画特別部会(第15回) 議事録

1.日時

平成28年4月15日(金曜日) 10時30分~12時30分

2.場所

文部科学省 東館3階 講堂
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 論点整理を踏まえた教育課程の改善・充実について
  2. その他

4.議事録

【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。先生方、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会教育課程企画特別部会の第15回を開催させていただきます。
  議事に先立ちまして、本特別部会の主査の交代についてでございます。このたび羽入佐和子主査、4月1日付で国立国会図書館の館長に御就任をされました。これに伴いまして中央教育審議会の委員を辞任ということになってございます。それを受けまして、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則に基づき御相談させていただき、無藤教育課程部会長に主査をお願いさせていただくことになりましたので、御報告を申し上げます。羽入先生からは教育課程の改善に向けた議論の途中で大変残念ではありますけれども、皆様にくれぐれもよろしくお伝えくださいということでことづかっております。
  次に、事務局の人事異動について御報告をさせていただきます。伯井大臣官房審議官の人事異動に伴いまして浅田大臣官房審議官が着任しております。
【浅田大臣官房審議官】    浅田です。よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    それでは、これより進行は無藤主査にお願いいたします。
【無藤主査】    ということで、主査を交代させていただきました。無藤でございます。
  早速議事に入りますけれども、その前に本部会の審議等につきまして、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づきまして、原則公開により議事を進めさせていただきます。
  また、第6条に基づき議事録を作成し、原則公開とするものとして取り扱うこととさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
  なお、本日、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出がございましたので、これを許可しております。御承知おきください。
  それでは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    配付資料の確認をさせていただきます。本日、議事次第記載のとおり、資料1から資料3、その他机上に参考資料を配付させていただいております。不足等ございましたら、お申し付けくださいませ。
  なお、本日、資料1-1の後、1-2ですけれども、各ワーキンググループ等の名簿をお配りさせていただいております。資料1-2をごらんいただきますと延べで500人ぐらいの先生方に御協力をいただいておりますけれども、本教育課程企画特別部会以外のその他のワーキンググループの名簿については4月1日現在の御異動を踏まえた所属を修正中ということで役職等は昨年度の状態のままであることを御留意いただければと思います。また随時更新したものをお配りさせていただきます。
  また、本日机上に学習指導要領の見直しに関しまして各団体から届けられました要望の一覧を机上の紙ファイルに配付してございます。昨年6月に教育課程企画特別部会にお示ししたものとそれ以降届けられたものを一体にして、一つのファイルにさせていただいておりますので、適宜御参照いただければというふうに存じます。
  加えまして、机上にタブレット端末、その中に審議に当たり参考となる関係する答申等を入れております。詳細はタブレット端末下の目次をごらんいただければと思います。
  以上です。
【無藤主査】    よろしくお願いいたします。
  本日でございますけれども、本特別部会、前回は昨年8月でございました。その折に取りまとめた論点整理がございます。それを受けまして、きょうは大きく三つに分けて議論したいと存じます。1番目が各学校種別部会における議論の進捗状況。2番目が各教科等別ワーキンググループ等の議論の進捗状況。3番目に今のマル2のうち、特に高等学校新科目に関する議論の進捗状況についての質疑、議論でございます。
  それに先立ち、まず事務局より配付資料に基づき各校種別部会等、各教科等別ワーキンググループ等における議論の状況についての御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。それでは、本日、主査から御紹介いただいた三つの論点でございますけれども、資料の方は一括して御説明をさせていただきたいと思います。
  現在、資料1-1のとおり、各ワーキンググループ等が設置されております。諮問及び8月の論点整理の方向性を踏まえ、学習指導要領全体が目指す姿を念頭に置きつつ、各教科、科目の在り方について御議論をということで、おめくりいただきますと、検討体制とございますとおり、22のワーキングが動いているところでございます。
  資料3というのが後ろの方にございますけれども、資料3がこれまでのワーキンググループ等の開催実績でございます。一番後ろに合計というのがございますけれども、延べ111回、240時間の審議がこれまで実施されているところでございまして、8月の論点整理に基づいて着々と議論をお進めいただいているということでございます。
  資料2-1が少し全体を俯瞰したような形でございますけれども、資料2-1、横紙の1枚でございます。本特別部会でおまとめいただいた論点整理、社会に開かれた教育課程の実現、育成すべき資質・能力の明確化とそれを踏まえた構造化、アクティブ・ラーニングの視点からの学習指導方法の不断の改善、カリキュラム・マネジメントの実現等々につきまして、右側にございますような項目についてそれぞれ各ワーキングで、まさに今取りまとめに入りつつある段階でございます。これまでの成果と課題、それを踏まえた構造の在り方、カリキュラム・マネジメント、そして、教科等目標と評価の在り方、その中で特に後ほど御紹介します教科等の特質に応じ育まれる見方や考え方の整理、そして、それを通じて育まれる資質・能力の整理と教科等目標の在り方、学習過程の在り方、それと一体的に評価の観点の在り方、また、科目構成の見直し、資質・能力等、教育課程を踏まえた教育内容の構造化、様々な現代的な諸課題を踏まえた教育内容の見直し、そして、それらを実現するために必要な学習指導の改善実例や教材の充実、特別支援教育の観点も踏まえながら御議論をいただいているところでございます。
  資料2-2、2-3、2-4が三つございますけれども、それぞれ先ほど主査から御紹介いただきました論点の三つに対応するものでございます。私の方から一括して御説明をさせていただきますが、時間が25分程度ということで、少しポイントを押さえた御紹介になることを御了承いただければというふうに存じます。
  まずは学校段階等別部会でございます。資料2-2でございます。おめくりいただきますと、総則・評価部会の検討事項が1ページ目にございます。学習指導要領全体及び総則の構造に関する考え方ということで御議論をいただいておりまして、総則評価部会では各ワーキングの主査等からのヒアリングも実施していただき、しっかりと各教科の議論等、横串を通したような教科横断的な議論ということを見通した議論の整理をしていただいているところでございます。
  3ページ目でございますけれども、総則の構造でございます。総則につきましては、社会に開かれた教育課程の理念の実現に向けて、学習指導要領、教育課程を通じて育成する資質・能力の全体像ということを総則の中でしっかりと明確にしていくべきではないか。また、そうしたことと教育課程の相対的構造、あるいはカリキュラム・マネジメント、アクティブ・ラーニングの視点、教科横断的に重視すべき学習活動や特別支援教育の観点、個に応じた指導の観点ということをより分かりやすく構造化していくという方向性で現在御議論をいただいているところでございます。
  それから、随時教科横断的に留意すべき点についてはおまとめをいただいて、各教科ワーキングにつないでいただいているところでございます。例えば6ページ目にございますようなアクティブ・ラーニングの視点について、論点整理におきまして深い学び、対話的な学び、主体的な学び、この三つの視点に沿ってということでございますけれども、特に対話的な学びと主体的な学びについては理解しやすいという一方で、深い学びということの具体的なイメージがつかみにくいというような声もあることから、7ページ目にございますように、深い学びとは何かということを改めて御整理いただいて、教科別ワーキングで御議論いただくような方向性を出していただいております。深い学び、各教科の特質に応じて示される必要がありますので、まさにこれからということでございますけれども、深い学びの視点の三つ目にございますように、議論の中では複数の教科等別ワーキングにおきまして、資質・能力の育成や学習の深まりのかぎとなるものとして各教科の特質に応じ育まれる見方や考え方が重要ではないかというような検討がなされているところでございます。
  こうしたことを踏まえまして、見方や考え方ということを習得・活用・探求を見通した学習過程の中で働かせながら、思考・判断・表現し、それ自体を成長させながら資質・能力を獲得していくということを深い学びの意義として改めて位置付けていただいているところでございます。
  この見方や考え方についてでございますけれども、7ページ目、一番下にございますように、それ自体は新しいものではございません。現行指導要領においても社会的な見方や考え方、科学的な見方や考え方という言葉が使われているところでございますけれども、その内容については必ずしも具体的に説明されていないというのが現状でございます。
  8ページ目上にございますように、「見方や考え方」とは、様々な事象を捉える教科ならではの視点や、教科等ならではの思考の枠組みではないかということでございます。論点整理をおまとめいただいた各教科を学ぶ本質的な意義というものが、この見方や考え方を育むというところにあるのではないかという御議論をいただいております。そして、この見方や考え方が黒丸三つございますように、知識、技能を構造化して身に付けていくために不可欠であり、また思考・判断・表現を豊かにし、学びに向かう力や人間性ということを獲得していくためにも大きく作用していくということでございます。そうした深い学びということを重視していくということ、また、子供たち一人一人の見方や考え方の困難さを捉えた支援ということも必要ではないかということでございます。
  3.にございますように、こうした教科の特質に応じ育まれる見方や考え方は相互に影響し合いながら成長していくものであるということ、そして、特に総合的な学習の時間や特別活動といった領域の中では各教科の見方や考え方を総合、統合させながら、より広い事象を捉えたり、多面的、多角的に考えたり、様々な文脈の中で捉えたりということを可能にしていく。まさにこのためにカリキュラム・マネジメントが必要であるというような御整理をいただいているところでございまして、現在、この考え方に基づいた各ワーキングの整理を進めている最中でございます。
  それから、評価につきましては14ページ目でございます。目標に準拠した評価の実質化ということで、論点整理に基づき、各教科の目標が三つの柱に基づき構造化されますと、それに応じた目標の評価の改善ということも進んでいくということを考えているところでございます。特に観点別評価につきましては、現在、観点別評価の実施率自体は高い状況でございますけれども、質的な改善の余地があるのではないか。特に教科、校種を超えた共通理解に基づく組織的な取組を促す観点からは、論点整理でもおまとめいただきましたように、17ページ目にございますように、知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度ということで、全ての教科で観点を考えていくということではないかということでございます。
  また、15ページ目には資質・能力の三つの柱とこの観点別評価の観点の関係性を整理していただいております。知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度、特に四つ目の丸にございますように、現行の関心、意欲、態度を改め、主体的に学習に取り組む態度としていることの意義であります。挙手の回数やノートのとり方など、形式的な活動で評価したりするのではなく、子供たちが学習に対する自己調整を行いながら、粘り強く学習していくという意思的な側面を捉えるということを改めてしっかりと整理していくために主体的に学習に取り組む態度というふうに改めるということでございます。
  それから、18ページ目以降でございますけれども、総則評価部会では随時教科横断的に整理すべき事項についておまとめいただき、各教科につないでいただいております。例えば情報活用能力につきましては、19ページ目のようなICTの特性を踏まえながら、21ページ目のように、各学習プロセスにおいてICTの効果的活用を教科の特質に応じて御議論くださいというようなこともお伝えしているところでございます。
  また、22ページ目にございますように、情報活用能力というものを改めて論点整理の資質・能力の三つの柱に基づき再整理いただき、これを25ページ目にございますように、各教科ごとの情報活用能力の在り方ということを整理して、各教科で御検討をいただいているところでございます。
  また、29ページ目、健康、安全等ございますけれども、例えば30ページ目は安全に関する資質・能力、上のように、論点整理の三つの柱に基づき、資質・能力を整理し、そして、30ページ目下のように教科の関連性、安全教育に関するカリキュラム・マネジメントが実現するように各教科の関係性を整理いただいております。
  31ページ目は同様に食育に関して、32ページ目は同様に保健教育に関して整理をいただいております。
  33ページ目、幼児教育でございますけれども、幼児教育におきましても34ページ目にございますように、資質・能力の三つの柱ということを幼児教育に照らして整理し直しながら、知識や技能ということは遊びや生活の中で、豊かな体験を通じて何かを感じたり、気付いたり、分かったりできるようになるということ。また、思考・表現・判断というものも遊びや生活の中で気付いたことなどを使いながら考えたり、試したり、工夫したり、表現したりすること。また、学びに向かう力、人間性は、心情、意欲、態度が育つ中でいかによりよい生活を育むかということ。ということで、幼児教育に照らした再整理をいただいております。
  また、35ページ目にございますように、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿ということを明確化することによって幼小接続をより円滑にしていくということ。そして、37ページ目にございますように、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿ということを健康な心と体、自立心、次のページ、協同性、道徳規範意識の芽生えといった10項目にわたって整理していただき、これを小学校と共有していくことで、42ページ目にございますような幼小接続期におけるスタート・カリキュラムということのより質の高いものにしていくということを生活科の議論と併せながら御議論をいただいております。
  また、44ページ目にございますように、幼児期の遊びを通じた学びの中でどのような子供たちに力が育まれているのかということを小学校以上の先生方にもしっかりと把握していただけるように、幼児の遊びのプロセスの中でどのような深い学び、対話的な学び、主体的な学びが実現されているのかというような御整理もいただいております。
  46ページ目、小学校部会でございます。小学校部会は、外国語教育の充実、言語能力の充実ということも含めまして、少し先んじて御議論をいただきまして、一定の取りまとめをいただいております。論点整理の宿題でもあったところでございます。
  49ページ目にございますように、社会に開かれた教育課程の実現に向けて小学校教育が何を目指していくべきか。50ページ目にございますように、小学校の6年間という機会を、子供たちにとって幅のある期間でございますので、低学年、中学年、高学年それぞれの発達の段階に応じた課題に応じた対応が必要ではないか。また、カリキュラム・マネジメントの重要性。そして、52ページ目にございますように、特に語彙力ということも含めた言語能力の育成ということの重要性、そして、その中で創造的思考とそれを支える論理的思考の側面、感性、情緒の側面、他者とのコミュニケーションの側面という言語に関わる三つの側面を意識しながら育んでいくことの重要性。また、その基盤となる国語教育ということを54ページ目のように小中高を通じて充実させていくことの重要性。また、56ページ目のように、多様なコミュニケーションという観点から外国語教育を充実させていくことの重要性ということでございます。
  その中で、既に論点整理でおまとめいただいておりますように、58ページ目にありますように、小学校高学年の子供たちの高い学習意欲や、また高校卒業段階で育むべき英語の力ということも踏まえた小学校高学年段階での教科化、また、中学年での外国語活動の導入、それに伴う、59ページ目にございますような時間増ということをどのように捉えていくかということ。その中で、柔軟なカリキュラム設定ということを御議論いただいております。60ページ目、下にございますように、現在でも小学校では様々な弾力的な時間割編成の工夫をしていただいているところでございますけれども、そうしたことも生かしながら、61ページ目にございますような、柔軟なカリキュラム・マネジメントという中で、この時数増ということを考えていけないかということ。いずれにしても、62ページ目にございますように、時数増ということは教育現場にとっては大きな負担となりますので、カリキュラム・マネジメントに関する調査研究、あるいは効果的な教材開発、指導体制の確立ということを通じて、しっかりと現場をサポートしていくようなことを考えていくべきということをいただいているところでございます。
  64ページ目以降は特に外国語教育を中心とした補足資料ということでございます。
  そして、中学校部会はまだこれからということでございますけれども、78ページ目、高校部会における検討事項ということでございます。新科目の構成や評価の在り方も含めて、御議論をいただいているところでございます。
  続きまして、資料2-3でございます。教科等別ワーキンググループの議論の進捗状況でございます。順次御説明をさせていただきたいというふうに存じます。
  まずは1ページ目でございます。言語能力の向上に関する特別チームにおける検討事項。今回、先ほど小学校部会のまとめにもございましたとおり、子供たちの言語能力の向上ということを議論しながら国語教育の充実、外国語教育の充実、それぞれを図っていくという観点から御議論を賜っているところでございます。
  2ページ目にございますように、言語に関する資質・能力の三つの柱ということで、整理をいただいております。真ん中を見ていただきますと、先ほどの言語の三つの側面ということを踏まえながら御議論をいただいているところでございます。
  また、3ページ目にございますように、言語に関する資質・能力、様々な情報を理解して文章や発話で表現していくという私たちの言語に関する活動を考えたときに、その中でどのような資質・能力の要素が働いているかということを御整理いただいております。これを国語教育の充実、外国語教育の充実、それぞれの基盤とさせていただいているところでございます。
  また、4ページ目は、先ほどの言語の三つの役割ということを整理するに当たって検討いただいた言葉の働きと仕組みについて、また、言葉の仕組みということでございます。5ページ目下にございますように、国語の学習を通じて言葉の働きに気付くこと。また、国語、外国語の学習を通じて、言葉に共通の働きや仕組みの違いがあるということを子供たちに認識させていくことの重要性というようなことを議論いただいているところでございます。
  6ページ目、国語ワーキングでございます。これから教科等別のワーキングの御紹介になりますけれども、まだまだ横並びはこれからとっていく段階でございますので、そういうものとして少しごらんいただければというふうに存じます。国語教育のイメージというものが7ページ目にございますけれども、幼小中高を見通して、資質・能力の三つの柱という観点から国語教育のイメージを整理していただいております。これがこれから各教科ごとの教科目標のイメージということにつながってくるものでございます。
  また、8ページ目にございますように、資質・能力の三つの柱、知識、技能、思考・判断・表現、学びに向かう力、人間性ということ。幼小中高、共通してどのように考えていくかということと、9ページ目は、小中高それぞれで色分けをさせていただいております。このように発達の段階を見通しながら国語科で育成すべき資質・能力の整理をいただいているところでございます。
  それから、11ページ目は国語科における学習活動の要素ということで、この整理が国語科における指導内容の整理につながってまいりますけれども、先ほど言語能力の特別チームの3ページ目のところで整理いただいた言語に関する資質・能力の要素を踏まえながら、国語科における話すこと、聞くこと、そして次のページが書くこと、そして読むことのそれぞれの領域における指導内容をこのように整理していこうということでございます。言語能力の中で働く要素ということを踏まえながら、国語教育の指導内容の改善を図っていくというような方向性でございます。
  13ページ目、外国語ワーキングにおける検討事項でございます。外国語ワーキング、先ほどの小学校部会で御紹介させていただいたとおり、少し先んじた整理をいただいているところでございます。小中高を通じて、一貫して育成すべき外国語教育における資質・能力の明確化。その中で国が指標形式の目標をしっかりと示し、各学校はCAN-DO形式の到達目標をしっかりと設定していくことで必要な英語の力ということをしっかりと育んでいくというようなことをしっかりと整理をいただいております。
  また、23ページ目、言語能力向上の観点からの国語教育と外国語教育の関連付け、25ページ目にございますように、小学校の活動型、教科型、先ほど小学校部会のところで御紹介させていただきましたとおりでございますけれども、今後の充実の方向性、また柔軟なカリキュラム設定。そして、31ページ目にございますように、小中連携ということ。こうしたことについて御議論いただいております。また、34ページ目、指導体制の確立ということもかなり重要なポイントでございますので、英語教育推進リーダーなどを含めて重要なポイント。また、36ページ目、短時間学習等にも対応した指導体制の確立ということも御議論いただいております。
  また、他教科と同様に、37ページ目のように、資質・能力の三つの柱に沿った整理。それから、39ページ目にございますように、外国語教育におけるコミュニケーションのプロセスということの明確化。これを基に指導内容の改善ということを図っていくということでございます。
  41ページ目のように、小中高を見通した外国語教育のイメージ。また、外国語教育の目標と学習過程の全体増ということで、42ページ目のような目標をしっかり構造化しながら、その中で43ページ目のように、目標の設定、理解、言語活動の見通し、言語活動まとめと振り返りというプロセスをしっかりと充実させていくということでございます。
  また、45ページ目にはこれから中学年で実施していく3、4年生の外国語活動、具体的な35時間の内容、そして、46ページ目には、5、6年生の外国語科としての70時間の具体的な内容ということも整理をいただいております。また、国が示す指標形式の目標ということも48ページ目以降のように整理をいただいているところでございます。
  また、三つの柱に沿った観点別評価の整理ということも53ページ目のようにいただいております。54ページ目はICT活用の方向性ということでございます。
  それから、55ページ目は、地歴、公民科の在り方に関する特別チームと、それから、社会科全体、社会科系科目全体の検討事項ということでございます。
  57ページ目にございますように、社会科、地理歴史科、公民科を通じてマル1、マル2、マル3、マル4にございますような思考力・判断力・表現力を共通して小中高の見通しの中で図っていこうという整理をいただいているところでございます。また、それを育む58ページ目のような課題解決的な学習過程ということの整理、また、59ページ目にございますような社会科における技能とは何か。情報収集、読み取り、まとめるということの中身の整理もいただいているところでございます。
  また、50ページ目は三つの柱の力というのが相互に関連し合いながら育まれていくということの関係性を示していこうというもの。また、61ページ目はそれらと対応した評価の観点ということの整理をいただいているところでございます。
  62ページ目は全体像を少し図示しているものでありますけれども、63ページ目は今後教科目標になっていく三つの柱に基づいた教科目標の構造化のイメージでございます。まだまだ少し精選していく必要がありますけれども、現在検討いただいており、また、こうした力を育むためには64ページ目以降は少し細かいですので、ざっと眺めていただければと思いますけれども、社会科で育む見方や考え方というものを使いながら、問いを追求していくことにより、社会で活用できるような知識、概念的知識を獲得していくということを小中高を通じてしっかりと示していきたいということでございます。
  また、資質・能力の三つの柱をより細かく考えてみると、67ページ目以降のような整理が考えられるというところでございます。
  71ページ目はいわゆる数理探求についてでございます。これは後ほど次の資料で御説明させていただきます。
  77ページ目は算数・数学ワーキングでございます。これにつきましても他教科と同様に、78ページ目のように幼小中高を見通した教育目標の構造化ということ。そして、79ページ目、三つの柱に基づく資質・能力の整理、そして、80ページ目、81ページ目が算数・数学の問題発見・解決のプロセスでございますけれども、真ん中に数学的に表現した問題、それを結果として解決していくという真ん中のプロセスがありますけれども、そこに向かう矢印が二つございまして、現実の日常の事象を数学化して解決するということと、数や式に表されたものを数学の世界の中で解決していくということ、この双方をしっかりとできるようにしていくということが算数・数学の教育の目標であり、それの中で働く思考力・判断力・表現力、81ページ目にございますような、これらをしっかりと育んでいくことが重要であるという整理をいただいているところでございます。
  83ページは理科ワーキング、84ページ目、これも他教科と同様に、幼小中高を見通した教育目標の構造化。85ページ目、資質・能力の三つの柱の整理、そして、見方や考え方ということの整理をいただいております。86ページ目、理科はエネルギー、粒子、生命、地球、4領域ございますけれども、それぞれで例えば自然の事物、事象を量的、関係的な視点で捉えて問題解決をしていくというようなこと。領域ならではの見方や考え方ということを育み、様々な場面で活用していけるようにすることが重要であるということでございます。また、そのためには88ページ目にございますような問題解決のプロセスということを重視していくということ。また、評価の観点についても89ページ目のように御整理をいただいております。
  90ページ目、芸術ワーキングにつきましても、91ページ目、音楽でございますけれども、三つの柱の整理、小中高、そして、94ページ目のような幼小中高を見通した目標の構造化の方向性、そして、95ページ目、これは音楽のプロセスの中で、音や音楽と出会い、そして、それが豊かな情操に結び付いていくということの中でどのような要素が働き、どのような活動が子供たちに求められるのか、表現領域、鑑賞領域、それぞれについて整理をいただき、相互の関係性も整理をいただいているところでございます。
  また、96ページ目以降が図工、美術でございます。三つの柱の整理、目標の構造化が100ページ目、101ページ目は図工、美術における発想や構想の能力、鑑賞の能力、そして、創造的な技能ということが形やイメージなどの共通事項ということを中核にしながら、どのように相互に関連し合っているかということでございます。これを組み立てながら授業を展開していくということでございます。
  また、103ページ目は書道の三つの柱、目標。そして、書道科において諸表現の出会いが様々な生活の場面で書と豊かに関わる資質・能力ということにどのようにつながっていくか。その中で働く資質・能力の要素とは何かということの整理をいただいております。
  106ページ目、家庭、技術・家庭、107ページ目が家庭分野の目標の構造化、三つの柱の整理、そして109ページ目が家庭分野の中で育むべき思考・判断・表現力の整理でございます。また、110ページ目、家庭分野において育む見方や考え方、様々な生活事象について協力・協働等の観点から捉えてよりよい生活の実現に向けて考察するということが家庭分野の見方や考え方。そして、それを育むために必要な学習プロセスの在り方。それを踏まえた目標内容の構造化ということが112ページ目でございます。資質・能力を踏まえた内容の改善ということ。小中高ということでございます。
  115ページ目は技術分野、これも目標の構造化、そして、116ページ目が資質・能力の整理、117ページ目が技術分野の見方や考え方、社会の中で利用されている技術について様々な特性に着目して、それが最適なものとなるよう考察していくことということでございます。118ページ目はそれを育むための課題解決的なプロセス。119ページ目は技術分野の内容の見直しの在り方でございます。
  また、120ページ目、家庭、技術・家庭科の評価の観点についても整理をいただいております。
  121ページ目、情報ワーキング。情報ワーキングにおきましては小中高を通じた情報活用能力の整理を123ページ目のようにしていただきながら、高等学校情報科において育む資質・能力の整理を124ページ目のようにしていただいております。また、情報科におけるアクティブ・ラーニングの視点に基づいた授業改善のイメージが127ページ目。そして、具体的な学習プロセスのイメージが128ページ目ということでございます。
  体育・保健体育でございますけれども、130ページ目が幼小中高を見通した目標のイメージ、131ページ目が資質・能力の三つの柱のイメージ。そして、134ページ目が保健体育科における課題発見・解決のプロセスのイメージ、そして135ページ目が保健でございます。
  136ページ目は深い学び、対話的な学び、主体的な学びについての整理。そして、138ページ目が体育、保健体育の特質に根差した見方・考え方でございますけれども、特に「する・見る・支える」に加えて「知る」ということも加えながら、その見方・考え方の整理をいただいているところでございます。
  生活・総合でございます。生活科、先ほど幼児教育のところでも御紹介いたしましたけれども、スタート・カリキュラムの在り方、140ページ目、幼小連携の在り方、そして、生活科で育む資質・能力の整理、142ページ目、生活科の学びのプロセス、143ページ目、その中でどのようなことが行われているか。
  総合的な学習の時間、145ページ目の三つの柱。そして、総合の探求のプロセスと学習方法、自分自身の成長、他者や社会との関係性ということを少し整理いただいているものが146ページ目以降でございます。
  また、カリキュラム・マネジメントの中で資質・能力を各学校が設定していくに当たっては総合的な学習の時間が中核的な役割を果たすのではないかということが149ページ目でございます。
  150ページ目、特別活動につきましても幼小中高を通じた見通し、特に人間関係形成、社会参画、自己実現ということを核にしながら152ページ目のような資質・能力の視点ということを整理いただいております。三つの柱が153ページ目。そして、特別活動における各活動の意義ということを再整理いただいております。学級活動ということを基盤としながら、様々な活動を展開していくということ。そして、それが156ページ目にございますように、下から小中高社会となっておりますけれども、特活の様々な活動が社会人として生きていく様々な場面の活動の豊かな活動につながっていくということでございます。それらを踏まえた三つの柱の整理が157ページ目以降ということでございます。また、学習プロセスの在り方についても160ページ目以降のように整理をいただいております。
  また、特活と各教科の関係性の整理、また165ページ目のようにキャリア教育の視点から資質・能力の整理も行っておりまして、これは今後、他教科にもつながせていただいて、教科横断的なキャリア教育の充実につなげていきたいということでございます。
  産業教育につきましても166ページ目、167ページ目は共通事項として三つの柱の整理をいただいております。そして、分野ごとに168ページ目、そして産業教育における課題解決的な学習プロセス、既にかなり実施していただいておりますけれども、169ページ目のようなイメージでございます。
  170ページ目以降は各分野ごとに今後の在り方、育成する人材像、科目構成の方向性、学びの例ということで、各分野別に整理をいただいております。
  かなり時間がオーバーしており、恐縮でございますけれども、最後に教科別ワーキングの中の新科目関係を抜粋した2-4をごらんいただければというふうに存じます。総論として、科目構成でございますけれども、1ページ目が高校の現在の科目構成でございますけれども、既に論点整理でお示しいただいた方向性を踏まえて、2ページ目のような整理を検討させていただいているところでございます。国語、数理にわたる探求科目、外国語科、地歴、公民、そして、情報、そして数理探求ということも踏まえますと、総合的な学習の時間につきましてもその活性化に向けた改善方策ということが必要になってこようかと考えられます。
  また、ここにはございませんけれども、家庭科におきましても、現在、生活デザインの履修率がかなり低いということを踏まえて科目構成の在り方ということを御議論いただいている最中でございます。
  3ページ目は国語科でございますけれども、実社会・実生活に生きて働く国語の能力の育成や、現代につながるような古典の学習ということの充実ということを踏まえながら、既に論点整理でいただいた科目構成に従って、ごらんのような科目構成で検討しております。新たに名称をごらんのように検討させていただいているところでございます。
  4ページ目も論点整理の方向性に従いまして4技能総合型の科目と発信能力の育成を更に強化する科目という観点から外国語科目の検討を行っているところでございます。
  また、6ページ目は地理総合でございますけれども、地理的な見方や考え方など、地理の観点からの必要な資質・能力、持続可能な社会作りということにつながる資質・能力を育むという観点から地理総合の構造をごらんのとおり検討させていただいているところでございます。その中では7ページ目にございますように、問いということを重視した授業展開ということをしっかりと行っていく。その中で事実的な知識のみならずしっかりと概念的な知識、社会で活用できる知識の獲得ということにつなげていくということでございます。
  また、次のページ、8ページ目が選択科目でございますけれども、地理総合の学びを更に活用しながら、探求を深めるということで事象からのアプローチ、地域からのアプローチ、総合的なアプローチということを考えながら、選択科目の構造も考えていくということでございます。
  9ページ目は歴史総合でございます。現代的な諸課題につながる歴史的な状況ということで学習内容を焦点化しながら、近代化、大衆化、グローバル化という歴史の転換点、その中で右側にございますような題材を取り上げながら歴史的な見方や考え方を用いて学ぶということで構成を検討させていただいております。また、それらと10ページ目にございますような歴史総合で学んだことを生かしながら、更に世界史を探求していく、日本史を探求していくという選択科目の在り方も具体的には11ページ目、12ページ目のような形で御検討をいただいているところでございます。
  13ページ目、公共でございます。公共の扉ということの中でしっかりと社会と自分たちとの関係性、あるいは次のページの各分野別の様々な学習の中で使うような概念的な枠組み、考え方ということをしっかりと育んでいく。これは選択科目、倫理にもつながってまいりますので、倫理的主体となる私たちということを意識しながら、学習を進めていくということでございます。
  また、次のページにございますような政治的主体となる私たち、経済的主体となる私たち、法的主体となる私たち、様々な情報発信・受信の知的主体となる私たちということを念頭に置きながら学習を展開していくということ。そして、最後の持続可能な社会作りの主体となるためにということで、より探求的な学習を展開していくということでございます。いずれにしても様々な専門家や機関と連携しながら実践的な学習活動を展開していくということも念頭に検討をいただいております。
  また、16ページ目にございますような公共ということが選択科目、倫理と政経につながっていくということでございます。それぞれの選択科目の具体的内容については17ページ目、18ページ目でございます。
  それから19ページ目にございますような数理にわたる探求的科目ということ。科目の基本原理でございますけれども、20ページ目にございますように、教科・科目の枠にとらわれない多角的、複合的な視点で事象を捉え、科学的な見方・考え方と数学的な見方や考え方を活用して組み合わせながら探求し、新たな価値の創造に向けて挑戦していくということでございます。
  具体的には21ページ目にございますような資質・能力を育んでいくということ。そして、23ページ目にございますように、基礎の習得段階というところの中で探求活動に必要な資質・能力をしっかりと身に付け、そして、実施段階というところでより主体的に発見した課題に対する探求活動を行っていくという、少し2層構造のようなことで御検討をいただいております。実施に当たって、探求テーマの設定や先行研究をどう扱うのか、評価をどのように行うのかというようなことも併せて御議論をいただいております。また、指導の視点ということも26ページ目以降のように御議論をいただいております。
  実施に当たっては30ページ目にございますように、指導体制の整備や外部との連携協力、また、大学との学びの連携ということも重要になってまいります。31ページ目にございますように、探求する時間としましては、高等学校におきましては総合的な学習の時間というものがございまして、これとの関係性でございますけれども、特に分野を限定することなく探求を行う総合的な学習の時間と、より科学的、数学的な見方や考え方を使いながら探求していく数理探求、特に卒業後主として数学や理科の分野における研究に向けた学習を継続するような生徒に対する学習をイメージしながら、あくまでイメージでございますので、幅広い科目設定ということももちろん制限するものではないということでございますけれども、こうしたことを念頭に置きながら科目の在り方を考えていくということでございます。
  具体的には34ページ目にございますように、現在、理数科がございますけれども、そこに各学科に共通する科目ということで置かせていただくということを検討させていただいているところでございます。
  こうした新科目の在り方でございますけれども、参考資料2というものをごらんいただければと思います。高大接続システム改革会議の最終報告でございますけれども、こちらでもこうしたワーキングの検討状況を踏まえた記載をしていただいているところでございます。例えば12ページ目に教育課程の見直しということがございますけれども、ここにおきましては論点整理を含め、中教審における検討状況を踏まえた検討をいただいております。また、特に大学入学希望者学力評価テストの在り方につきましても53ページ目に対象とする教科科目というところにございますように、先ほどの数理探求や地歴、公民の新科目の在り方を踏まえた御検討をいただいているところですので、併せて御紹介を申し上げます。
  大変長くなりまして申し訳ございません。以上でございます。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  それでは最初の方で申し上げましたけれども、三つの論点に分けて御議論いただきたいと思うんですが、三つというのは具体的に言いますと、お手元の資料の2-2、2-3、2-4というのにちょうど分かれておりますので、それに沿って、資料ごとで御議論いただきたいというふうに思います。
  まず一つ目ですけれども、各学校種別部会における議論の進捗状況ということですので、資料2-2です。についての質疑、御議論をよろしくお願いいたします。
  それでは、どなたからでも名札をお立ていただいて、いつものようによろしくお願いいたします。いかがでしょうか。目次だけを話された気分なので、どうでしょうか。では、天笠委員。
【天笠主査代理】    どなたかが御意見を頂くまでに時間つなぎも含めましてということなんですけれども、今の資料2-2のところについては、幼小の接続についてかなり踏み込んだ検討がなされていてということで、私はこの方向、非常に大切なのかなというふうに思っております。そういう点からしたときに、もう一つは基本的な発想としては学校種間の接続とか連携という、そういう視点、発想ということからするならば、それは別に幼小に限定する必要は基本的にないんじゃないか。そういう意味で言うと、例えば小中ですとか、あるいは中高ですとか、そういうことについても目配りは必要としないのかどうなのかということで、そういう点からすると、ここは幼小だけがこういう形になっていますけれども、御承知のとおり、小中一貫とか、義務教育学校という、そういうことも現実に動き始めているという、こういう状況からしたときに、今回の検討に当たって、学校種の段階の関係ということについて、後ほどの教科部会についても同様のことが言えるんじゃないかと思うんですけれども、それぞれ資質・能力で三つの柱にして、そして、それを小中高でやったわけですが、例えば小中一貫とか連携という場合にはここの整理していただいた表の小学校と中学校を併せてそれを見ればいいのか。あるいは改めて小中一貫という、そういう視点で見たときに、その辺りの資質・能力の設定の仕方とか内容の扱い方については、もう一段こういう視点というのが出てくる必要があるんじゃないかとか、あるいはこういう観点で、教科の相互の関係というのを見詰め直す必要があるんじゃないかとか、そういうことについての検討というのは、私はした方がよろしいんじゃないかと思うんですけれども、何となく今のところまだそれぞれ小中高で整理するという。これはこれで必要なことだと思うんですけれども、今申し上げているように、学校種間の連携、接続、一貫という、そういう視点も幼小中高の間で、もう一段ここまで来たわけですから、それぞれ学校種別、あるいは各教科等別でその辺りのところについての視点の検討ということも加えておくことの必要性というのがあるんじゃないかと思うんですけれども、私の個人的な関心からすると、とりわけ小中の間でそこら辺のところについては併せてこれに重ねて検討しておく必要ということもこの中に加える必要というのはあるんじゃないかということを申し上げさせていただきたいと思います。
  以上です。
【無藤主査】    今の点、何かコメントありますか、事務局。
【大杉教育課程企画室長】    ありがとうございます。恐らく事柄的には総則・評価部会、若しくは企画特別部会でおまとめいただきながらということになろうかと思いますけれども、是非その観点も加えながら、議論させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【天笠主査代理】    ありがとうございます。
【無藤主査】    それでは、ほかの方、どなたからでもよろしいのですが、いかがでしょうか。
  では、池野委員、お願いします。
【池野委員】    天笠先生に続いて少し私の意見といいますか、次の教科のものともよく似ていることだと思うんですけど、大杉さんが横串的にはまだだと言われたんですけど、縦串とか、横串とかよく分かりませんけれども、結局、幼児教育も含めて、学校教育全体がどういう方向で今回の改訂が行われるかの全体像を我々もここで前回まで作ろうとしていたわけですけど、それが各学校段階や各教科に落とした場合に全体と部分がどういう関係になるかというのがなかなか見えにくくなってしまって、各部分だけが特化して、それがどういうように改訂されるかは示されると思うんですけど、全体との関係がどういう関係になって示されるかが見えるような形でできる部分が必要ではないかなということと、天笠先生が幼児教育から高等学校、あるいは大学までの連携や関係がどういうように望ましい形としてはあるべきなのかを示せるようなもの。あるいはまた、横の教科間の関係だとか、総合的な学習を含めて、各学校種段階や小学校の場合だったら、低学年、中学年、高学年が一定程度展望できるような形で何らかの形の図的なもの、イメージ的なものがあれば先生方は理解しやすくて、こういう方向になりますよ。そして、社会との関係だとか、何をどこまで学ぶのか、どのようにして活用して使うのかという、三角形の図がそれぞれの中でどういうように生かされて大人になっていくためのものを準備していくのか。その中で、教科や各領域がどういう働きをするかというのが一定程度理解できるようにされるといいと思うんです。何かそういう図が必要なような気もするので、そういうものが分かるようなものができるといいかなと。それが総則・評価部会になるのか、この企画特別部会なのか分かりませんけれども、何かしておかないと、学校の先生方や教育現場のところになかなか理解が伝わらないんじゃないかなと心配します。それができるといいなというのが意見です。
  以上です。
【無藤主査】    おっしゃるとおりだと思います。具体的には総則・評価部会で総則に盛り込める部分について明確にしていくと思いますけれど、本特別部会が全体像を見ながら、是非御意見を出していただかないと議論できなくなりますので、よろしくお願いいたします。
  ほかにはございますでしょうか。何かジャングルの迷路に入った感じがあるかなとは思いますけれど。
  では、小川委員、お願いします。
【小川委員】    よろしくお願いします。天笠委員と同様のことになるんですけれども、私、今回小学校の立場で様々な会議などに出させていただいていて、幼小の接続ということは本当にすごく具体的にイメージが持ちやすくなり、きっと今後、幼小の接続についてはより充実するのではないかなというようなことの期待を小学校としても、それから幼児教育を直接一番受け取る生活科の立場としても歓迎しております。ただ、小中の接続、連携というふうなところがどうしてもまだ見えにくいのかなというようなことと同時に、もう一つ高等学校というのは小学校から遠いのですけれども、先日、埼玉の方の高校中退者の高一の中退者が大変多いというような、そういう実態の結果が出ておりました。そういう中で、理由の中で一番大きかったのは、先生がもっと生徒を理解してほしかったというようなものが含まれていたのですけれども、そういうやはりつなぎ目のところってすごく大事なのだな。それから、キャリア教育というようなことも先ほど出ておりましたけれども、小学校から、もしかしたら幼児から始まっているのかもしれませんが、そういったところをしっかりと確立していくような、そして、最終的に高校卒業のときに社会人として自立できるような、そういう支援というようなビジョンで何か打ち出していけるといいなというようなことを強く感じています。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。後ほど議論する、教科ごとには小中高のつながり、非常に綿密に議論していただいているようには思うんですけれど、考えてみたら学習指導要領になるときには小学校、中学校、高校、別々の冊子ですから、それぞれの校種の方は多分自分の校種しか見ない可能性がありますので、そういう意味でもつなぐところをしっかり議論しながら総則などに入れる等のことが必要だと思います。ありがとうございます。
  それでは、キャンベル委員、お願いします。
【キャンベル委員】    ありがとうございます。ちょっと観点を変えまして、資料2-2の最初のそもそものところですけれども、大杉さんが今各教科のそれぞれの取組を紹介してくださる中で、三つの柱に沿って、それぞれがどのように構造化していくかということが一貫して非常に分かりやすく整理されていたと思ったんですけれども、一番最初に個別の知識や技能、思考能力や判断力、それから人間性であるとかという、三つ目のところですけれども、その中で習得・活用・探究心の向上というふうに言い換えることができると思うんですけれども、委員の中から最初の個別の知識や技能の習得については、その中で深い学びということを言い換えるといいましょうか、概念化するために先生たちに示す一つのパラダイムとしてあると思うんですけれども、深い学びとは何かということが議論されて、その中で見方・考え方ということが一つの概念として紹介されているんです。私がそれを読んだときに違和感といいますか、多分議論された先生たち、皆さんが同じことを共有したと思うんですが、それぞれの三つの柱の中で、深い学びというものがあって、知識や技術の習得というところにだけ深い学びということが、なぜそこにだけあるのかということと、大杉さんが話をしておられる間にところどころ意識が遠のいてしまって、失礼な言い方をしてしまったんですけど、見直しに関する要望書などをお聞きしながらずっと見ていきますと、アクティブ・ラーニングということを様々な団体がそれぞれの立場で好意的にといいますか、ポジティブに受け取りながら、しかし、基礎的な知識ということはどうなるのか、習得のところはどうなのかということを、特に国語や外国語のところでこれは結構言われているので、その声に対してどういうふうに、深い学びというものを位置付けるのか。そして、知識の構造化ということが二つ目の表現力や思考力というところに委ねられるのか。習得する時点で深く構造化させながら習得していくということが重要だと思うんです。
  これはそれぞれの教科の中で十分押さえられているんじゃないかなというふうにも思うんですが、我々の要領としての構造化するときに、ここのところ、もう一つ詰めていく必要がないんじゃないかなというふうに思います。つまり、深い学びが欠けてしまうんじゃないかという、最初のところに対する多くの方々、一般の国民の方々の不安ということも多分ある。特にアクティブ・ラーニングというふうに聞いたときに、身に付けるべきものが流されてしまうんじゃないかという声が予想されると思いますので、それについてはどのような、資料で言うと、2-2の2ページとか、3ページ辺りにありますけれども、そこはもう一つ、大杉さんかどなたかから教えていただけると。
【無藤主査】    ありがとうございます。後でいろいろな論点をまとめて最後に事務局からお願いしたいと思います。
  では、神長委員、お願いします。
【神長委員】    ありがとうございます。ちょっとさっきの議論にまた戻ってしまって、申し訳ございません。先ほど幼小の連携がというお話がありまして、それと関連して、私も幼児教育部会での議論に参加しながらですが、幼小中高の一貫した流れということを意識しながら、これまでの幼稚園教育要領を見直すことができ、また、今後の幼稚園教育の在り方を考えることにとてもいい議論ができているかなというふうに思っております。
  ただ、そういう議論をするときに、いつも部会の中で話し合うことは、学校間の接続を考えていく際にそれぞれの教育が充実して接続していくという。先ほど小川委員からつなぎ目というお話がありましたけれども、次の学校段階、幼稚園の場合ですと、小学校の先生方になるわけですけれども、幼稚園の先生方から見て、小学校の先生からも見て、子供の姿ないし教育の考え方が共通になっていくということがとても大事なことなんだと思います。ですから、一貫した流れというのは、一つの見方や考え方というところで、また、資質や能力というところで考えていくと、非常に整理されて理解できるわけですけれども、同時に実際の教育要領や学習指導要領ができ、さらにその先、全国の先生方に理解してもらうためには、つなぎ目の部分について充実発展しながら、それぞれの教育が充実しながら両方の教育を見据えながら、それをそれぞれの教育の中で実践していくという、そういった学習過程に対する考え方なり、教材についての考え方なりを豊かにしていくという視点も大事かなというふうに思っております。
  ありがとうございました。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  では、清水委員、お願いします。
【清水委員】    よろしくお願いします。先ほどの接続の関係になってしまうんですけれども、幼小、小中、中高、高大と接続はあるわけですけれども、だんだんと上に上がっていくに従って学力等の幅が広がってきているというのが大きな事実かなというふうに思います。特に、学力等の幅が広がってくるところに応じながら高校選択とかが入ってくるわけなんですが、専門高校の校長の立場でお話をさせていただきますと、専門高校に来る生徒の幅というのは広いんです。非常に高い能力を持っている生徒もいますし、様々な課題を抱える生徒もいるということで、中高の接続というものをしっかりやっていかないと重要な進学の上級学校に上がるところの選択を誤ってしまうおそれもあるのではないかなということ。特に専門高校の場合に大きく影響を受けるのが社会の経済状況を非常に大きく受けます。景気がよくなってくると大学進学の傾向が強くなり、専門高校に学ぼうという生徒が減ってくるという大きな課題があったり、また、景気が悪くなってくると、逆に比較的専門高校に学ぶ生徒が多くなってくる。そういったこともありますので、接続の観点について、学力云々もありますけれども、いろいろな観点で接続についてももう少し触れていただけるとありがたいかなというふうなことを思っております。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  では、品川委員、お願いします。
【品川委員】    ありがとうございます。2点申し上げたかったのですが、1点は深い学びのところで内容がキャンベル先生がおっしゃっておられたのと重なりますので割愛します。
  もう一点は、頂いた資料の2-2の3ページ目の表の右側に整理すべき視点の例のところについてです。下の方に”多様な個に応じた指導の在り方”とあり、インクルーシブ教育システムの理念と書かれてございます。昨晩頂いて、全部じっくり読めなかったため、私が読み漏れているのかもしれないのでそこはお許しいただきたいのですが、幼小の連携についてはかなり踏み込んで議論され書かれてあると思う一方、もうちょっと各学校種、あるいは各教科の中で今申し上げた多様な個に応じた指導とか、それから、インクルーシブ教育の理念実現に向けてのあり方を是非検討していただければと思いました。
  と申しますのも、これを読むだけではまだどういう形になるのかが全然見えてこないように思うからです。特に多様な個のところについてはすぐれた才能、これは先ほど高校では理数系の話がございましたけれども、小学校、中学校においては多様な才能、すぐれた才能はどう指導し評価し、将来につなげていくのかとか、それから、帰国子女や外国人児童生徒への指導などはちょっとまだ見えづらいので、そうした部分についてもう少し踏み込んでいただきたいと思っております。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。
  では、平川委員、お願いします。
【平川委員】    ありがとうございます。まずちょっと遅刻をしてしまいましたので、申し訳ありません。聞き漏らしているかもしれないんですが、教えていただきたいのは、中学校部会は未開催ということなのですが、どうしてなのかなと思って見ておりました。今回、高等学校ですとか、小学校の様々な改訂が行われているので、そうなのかなと思いつつも、やはり校種を超えた連携は大切かと思います。幼児教育では、慣らし保育というものがありますが、それを参考にさせていただき、この春休み、ならし保育ならぬならし入学を、不登校対象にやったところ、入学式は10名の不登校全員参加するというような効果も得ました。やはりつながりが大事かなと思いました。
つながりという形で言いますと、2点ございます。今スコットランドとか、オランダもしくはデンマークなんかですと、校種を超えて、社会丸抱えで、例えばゼロ歳児から、例えば24歳のお子さんの状況をウォッチしています。学力だけじゃなくて、ウエルビーイング、それは心の健康ですとか、体の健康、また幸福感も含めて、社会総抱えで見るというような仕組みがあり、すごくうまくいっていると聞いております。
  それから、幼児教育から始まりまして、小学校、中学校、高校とつながりがあり、今新しい学習指導要領に向けての理念に沿った編成という形で、各教科会で授業方法、指導方法を新たに考えてみたり、あるいは評価評定で更なる工夫をしたりしていますが、カリキュラムコーディネーターという役割が必要かと思います。いかんせん教務主任や校長がこれを行うというのもなかなか難しいなと思っておりまして、この辺りはインターナショナルバカロレアの渡瀬委員にも伺いたいんですが、どうしてもカリキュラムのコーディネーターという、そういう仕事をする人がいなくて、現場としては困っております。この辺り全体をつなぐ役割と社会の仕組みというのがもう少し整うと、つながってくるのかなというふうにも思っております。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  では、牧田委員、お願いします。
【牧田委員】    ありがとうございます。きのう資料を見る時間がなかったので、今聞かせていただいて、全く消化不良で申し訳ございません。ピント外れのことになるかもしれませんが、今校種接続のことについて言うならば、先ほど清水委員もおっしゃったんですけれども、校種それぞれの中で接続の仕方が違うわけで、その全体像を示すということはやっぱり必要かなと思うんですけど、結局、生活とか学習全般で接続できる部分からだんだん教科の専門性のところで接続していく部分と、このウエートの置き方が校種が上がってくるに従って変わってくると。そのウエートの掛け方という全体図を少し示していただけるとありがたいと思いますし、それと、縦串というならば、これは大分前に言った覚えがあるんですけれども、総合的な学習ですと、ずっと縦に見据えることが割と可能ですから、その総合的な学習などを例にとって校種全体の接続の全体図が示されるのではないかなという感じがします。
  福井県でも福井型18年教育というのをずっと何年か進めておりまして、その中でも幼小、小中、中高、それぞれのところの接続は少し様子が違う、内容が違うということもございます。それが実際的でもございますし、先生方も分かりやすいということです。という実感を得ていますので、そのウエートを付けた全体図というのがあるといいかなと思いました。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  それでは、事務局の方から御質問その他ありましたので、お願いします。
【大杉教育課程企画室長】    ありがとうございます。校種接続、特に小中、中高の部分、御意見を頂きましたので、是非今後の議論の中で、様々論点を加えたり、どんな工夫ができるかということを御議論いただける機会を設けていきたいと思います。
  中学校部会と高校部会が今月からの開催になっております。教科別のワーキングの議論を踏まえながらやっていただいた方が効果的な議論をいただけるのではないかということで、高校部会が4月13日、中学校部会が4月21日になりますので、これから回数を重ねて、しっかりさせていただければというふうに思います。
  それから、特別支援教育のところ、御指摘いただきまして、済みません、十分に御説明できませんで、資料2-2の83ページ目以降に特別支援教育部会における検討事項ということで、これも既に各教科につながさせていただいておりますけれども、例えば105ページのところでこれは総則で総論的に示すだけではなくて、各教科で具体的に学習のプロセスの中で、どのような困難さに対して、どういう配慮を持って、どんな手だてをしていったらいいのかということを具体化していこうということで御議論をいただいているところでございます。こうしたことも含めて、特別支援教育部会の議論と総則部会の議論をうまくつなぎながら、先ほど御指摘の点は更に深めていきたいと思いますので、是非引き続き御意見を頂ければと思います。
  それから、キャンベル先生から頂きました深い学びについては、本当に御指摘を踏まえて、まさに深い学びの記述の在り方を更に深めていきたいというふうに思っております。知識の在り方、幾つかの要素があったと思うんですけれども、知識の在り方ということについて申し上げれば、資料2-2の15ページのところに、知識・技能についてはという評価の文脈であるんですが、各教科の特質や発達の段階に応じてというところが一言ございます。ここがまさにかなり重要なところでございまして、教科によってはプロセスの中でいろいろな知識を概念化して、概念化を再構造化してというような教科もあれば、基礎的なことを押さえて次に向かうというような教科もあれば、それもずっと発達段階によっても違うというようなこともあれば、もっと言いますと、子供の学びの特性ということも考えていかなければいけないという、そういったことも、更に丁寧に記載していく必要があろうかと思いますし、それから、見方や考え方が知識の構造化ということだけではなくて、まさに思考・判断・表現のプロセスの中で使われて、思考力・判断力・表現力にも関わっていくということ。そして、世界に対する見方・考え方ということで、豊かな人間性、学びに向かう力にも関わっていくという、その三つの資質・能力との関係性ということも示していかなければいけないと思いますし、その中でアクティブ・ラーニングという名の下に基礎基本がないがしろにされるというようなこともあってはいけないというような、こういったことをきちんと整理して答申に向けていく必要があるかと思いますので、是非引続き御意見を頂ければと思います。
  ありがとうございます。
【無藤主査】    ありがとうございました。それで、一つ目の議論、まだあろうと思いますが、時間もありますので、二つ目の議題と併せながら各教科等別ワーキンググループの議論も含めていきたいと思います。
  それでは、上田委員、お願いします。
【上田委員】    ありがとうございます。私も深い学びということについて少し申し上げたいんですけれども、ここでは見方や考え方が重要ではないかという検討がなされているということで、それは全くそのとおりだと思いますが、余りそれが強調され過ぎると、見方や考え方を学ぶことが深い学びではないかというふうに勘違いされてしまうのじゃないかと思いますね。
  私の意見では、本当の深い学びとは何かというと、今まで別々のものと考えていたものが、実はつながっているということを認識することではないかと思います。では、学校の現場ではどういうふうにそれを教えることができるかというと、教科間が実はつながっているということです。今まで別々のものとして学んだものが、実は関連があるということを、いろいろな具体例を通じて生徒さんが学ぶことによって、こういうふうに深くつながっているんだなということが理解できて、それこそが、そのときに学びの喜びというのを感じるんじゃないかと思うんです。そういうことをいろいろ経験することによって、実際にそれが豊かな人間性とか人生を深めていくということにつながるので、是非異なった物事の関連性を認識するという視点からも御議論していただければと思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。深い学び、まさに知識の構造化、平たく言えば知識と知識がつながる、知識と現実がつながるという方向だと思うので、是非それも取り入れていただきたいと思います。
  それでは、各教科等、資料2-3の辺りをめぐってどいかがでしょうか。どなたからでもお願いします。それぞれ教科ごとの議論に既にお入りの方が大部分なので十分御承知かもしれませんが。いかがでしょうか。
  それでは、三浦委員。
【三浦委員】    ちょっと観点が変わるかと思うんですけれども、私も某ワーキングの中で議論させていただいて、論点整理の視点というのは非常によく理解されて、非常にいい議論ができたというふうに考えております。そして、先ほど御紹介いただいた各ワーキングの議論されている内容というのも、かなりよく踏まえられているのではないかというふうに思うんですけれども、その一方で、各教科、各領域の充実というのは、当然のことながら学校のキャパにまた負荷を掛けることになってしまって、実はカリキュラムのオーバーロード問題というのが日本ばかりじゃなくて、国際的な問題でもあるかと思うんですけれども、ましてやこれからアクティブ・ラーニングとか、プロジェクト学習とか、かなり柔軟性を要する学習活動を学校の中に入れようとした場合、どうしても余裕がないとそもそもできないということが出てくるんじゃないかなというふうに思っていて、その意味での各教科領域の充実と同時に、精選とか、あるいは選択化というようなことも議論していく必要があるのではないかというふうに強く感じたところでございます。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。確かにどんどん膨大になってくるかもしれないので、その辺りの視点、忘れないようにしたいと思います。
  ほかにいかがでしょうか。渡瀬委員、お願いします。
【渡瀬委員】    それでは3点よろしくお願いいたします。
  一つ目は、先ほど天笠委員から学校種別でいろいろなことを検討しているだけでは不足ではないかという御意見がございました。以前どこかの委員会でも、私はこの発言をさせていただきましたけれども、例えば社会科の57ページにある表を見ますと、観点別に資質・能力を育てようとするときに、学校種を超えて育てようと考えている方向性が見えてきています。ですから、そういうことをどの教科でも今後考えていくことによって、学校種を超えて連携して育てていくということが進むのではないかと思います。
  例えばこの57ページの表はもっと細かく、学年ごとにこの学年からこの学年でこの力を育てるというふうにすることも考えられますし、ここは小中高しかありませんけれども、幼稚園、保育園も含めてこの年代からこういうふうな物の見方・考え方を育てていくというふうなことも考えられると思いますので、そのようなアプローチが教科ごとになされると望ましいのではないかと思います。
  2点目は、これも社会科ですけれども、64ページのところに問いの例というのがございました。今度の学習指導要領の中で個別的な知識はもちろんですけれども、それを超えた概念的な知識を身に付けさせることを目指しています。そう考えたときに、問いの例を示すというのは非常に有効ではないかなと考えます。ただ、この問いの出来、不出来によって本当に概念的な知識を身に付けられるところに行くかどうかが問われます。いい問いの例が挙がってくると、そこでどういう知識を身に付けさせ、どういう理解をさせ、どういう資質・能力を育てていくかということの方向性が明らかになりやすいと思います。
  3点目は、先ほど平川委員から国際バカロレアのコーディネーターの話もちょっとありましたけれども、御質問は、例えば学校の教育が社会とつながったり、学校間の連携をとったりすることが現状ではなかなか難しいけれども、IBではどうか、そういうふうなことだったんでしょうか。IBのコーディネーターは、IBOの示したガイドラインに沿って日頃の教科指導が実施されているかということを見ながら、各担当の教員と常にコミュニケーションをとりますし、例えばMYPの中学校段階のコーディネーターは必ずその次のDPのコーディネーターとその話をしながら、そこで身に付けようとしていることがDPにつながるかという、縦の連携をとっています。
  それから、先ほどお話に出ましたけれども、IBの場合には非常に教科横断的に概念的な知識を学ばせようとしますので、それぞれの教科を担当している教員同士の間で連携を図れているかということにもこのコーディネーターは目を光らせているんです。そういう意味では、日本の学校の教務主任とは、ちょっとやっている仕事の内容が違うかな。
  もう一つは、IBOに対してその学年ごとにやるべきことをやっていますということを報告しなくてはいけませんし、例えば5年か6年に一回、必ずアクレディテーションがあります。そのためにセルフスタディーのレポートを作って、訪問を受けて、こういうことをやっていますという説明をするのが大変な仕事なんですけれども、そこでは必ず社会とのつながりがどうなっていますかとか、ボランティアとは言わないんですけど、サービスのプロジェクトはどうなっていますかということが評価項目に出てきますので、そういうことをコーディネーターは意識しながら、常にプログラムをデザインしています。そういうふうな立場の教務を担当する人材というのがいると、いろいろな縦のつながり、それから、社会とのつながり、教科間のつながりということがよりよくできるんじゃないかと思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。最後の論点は狭い意味での指導要領とともに、カリキュラム・マネジメントの議論に取り入れる必要があろうと思いますので、貴重な情報、ありがとうございました。
  では、山脇委員、お願いします。
【山脇委員】    先ほど三浦委員、そして、平川委員がおっしゃったことと関連しておりますけれども、この中身は本当にすばらしいと思いますが、最も重要なことはこれをどうやって実現するかということだと思います。今でさえ先生方はいろいろな仕事で忙しく満杯になっている状態です。私たち私企業が例えばこういうことをやりたいというときに何を考えるかというと、お金と人がどのように確保するかということ。その後、目標についてどのように進んでいくか決めるわけです。今はこの中身だけを一生懸命充実させているという状態で、先生方がどのくらい生徒に対して必要なのかということを、それが足りなければ外の社会からどういうふうに協力を得るかなどを検討すべきだと思います。文科省の寂しい予算をどうやって上げるかとか、そういったことも含めてきちっと考えないと、ただただ、理想論だけが膨らんでいくのではないかというふうに危惧しております。
【無藤主査】    まさにそうだと思います。ありがとうございます。
  それでは、奈須委員、お願いします。
【奈須委員】    よろしくお願いします。まず、教科等別、それから学校段階別の報告をお伺いして、日本の教科教育の英知がよく現れているし、日本の教育実践の長年にわたる草の根の、そして公共的な積み上げというのがこれほど豊かだったんだということがここに集約されているのかなと、誇るべきようなものになっているんじゃないかなと思っています。その上で、教科については、教科の中で、これまでの過去の経緯や教科の方を一層見詰めていただいた論議になっているので、今度、教科を超えて再整理するということがあるんだろうと思います。
  一つは、三浦先生おっしゃったように、コンテンツがどんどん増える傾向にあるので、何らかの形で再整理や、ある種のスクラップ・アンド・ビルド、効率化を図る必要があるんだろうと思います。資質・能力を十全に育成しつつ、内容をどうやって縮減したり、再整理したり、構造化していくかということが一つの課題になってくるだろうと思うんですけど、各教科の御議論を拝見していると、現在、この教科が持っている内容が、資質・能力の観点からこういうふうに整理でき、このようなアプローチをすることで、これだけの豊かな資質・能力を育成することが可能だというまとめになっていると思います。それでいいんだと思いますけど。今度、逆に、資質・能力の育成という方から各内容に矢印を向けるといいますか、例えば複数の個別のコンテンツが似たような資質・能力を同程度に育てられる可能性というのが考えられると思うんですけど、その場合に複数のコンテンツをやる必要があるのか。いずれかだけをやることで代えられないのかというふうな、ちょっと厳しい見方ですけれども、何らかそういうことをやっていく必要があるのかなと思います。欧米でいう一種のレス・イズ・モアです。それによって三浦委員がおっしゃったように、現場がゆったりとした時間と精神的余裕を持って、すぐれた実践をむしろ展開できるんじゃないか。何らかのレス・イズ・モアが必要だろうと思うんです。ただ、そのときにコンテンツの内容ということで見た場合に内容の体系や構造が崩れてしまうとまずくて、ひょっとしたら元年度、10年度の指導要領には、あるいはそういうことが若干あったのではないかなと。つまり、減らすというときに、減らし方の原理というのが大事で、今回それが資質・能力の育成ということに出ているんだろうし、ただ、資質・能力ということだけを考えていくと、今度はコンテンツの構造化あるいは関係ということもあるので、資質・能力の育成ということから考えると、このコンテンツは数としては多いんだけれども、これだけのコンテンツは個別としても必要だということは一つ別途の論理としてあってもいいと思うんですけど、何かそういう各教科の中で内容を再整理したり、構造化したりするような作業が必要なのかなと。それは一つ資質・能力の側から概念的知識の形成、見方・考え方の育成ということに必要十分であると当時に、各コンテンツから見ても十分なものがどの程度に収まるのかということだろうと思っています。
  もう一つですけれども、複数の教科で概念的知識に関するものとか、見方・考え方に関するもの、資質・能力に関するものが出ていることがあると思います。例えば比較するとかということは、もちろん比較なんて全ての学問の方法ですから、あるいは関連付けるとかいうことは出ていると思うんですけれども、今度は逆に同じ比較するとか、関連付けるでも、社会科と理科では様相が違うでしょう。むしろ、その辺りの比較とか、関連付けとか、今ラベルに出ているものの内的な実情をもう少し教科を超えた対比をもって明らかにしていく。というのは、子供は、比較するという戦略をいろいろな教科で学ぶと同時に、その教科が対象としているものに適合しているような比較の仕方を各教科はしているんだということを知る。それによって今後初めて出会う問題解決場面でどの比較の仕方をどういうふうに繰り出したらいいかということを多分考えるんだと思います。そのためには今いろいろな教科、複数の教科で出ている見方・考え方とか、資質・能力とか、問題解決のアプローチが教科間で、それこそ教科の本質、教科の特質に照らした場合にどう様相が違うのかということの教科を超えた整理が一定程度必要なのかな。今度はそれを教科を超えた整理をしつつ、教科を超えた統合の仕方をしていったときに、子供が教科を超えた自在に働く、まさに資質・能力、問題解決、戦略やメタ認知になっていくのかなと思っています。また、それをやることによって全ての見方・考え方や問題解決の戦略というのは、その教科が主に対象としている対象に対して適合するように形成されているはずですから、そこに気付くことによって、教師も子供もその教科がどういう特質を持っているのかということがむしろ明晰に自覚化されて、教科の本質というのが一層明らかになるのかなということを期待したいなと思っています。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  では、吉田委員、お願いします。
【吉田委員】    今奈須委員がおっしゃったことはまさに私が言いたかったことの一つで、このまま教科ごとに全てどんどん進んでいくと、過重負担になっていくんじゃないかというのを非常に強く感じていて、私なんかの場合、語学をやっている人間ですけど、語学というのは形は教えられますけど、内容はほかの教科の内容であったり、教科を超えた内容でなければ身に付きませんので。ですから、そういう意味で言うと合教科的、先ほど上田委員もおっしゃっていましたけれども、そういうような観点というのがもう少しどこかで反映されている必要があるのかなというふうに思います。
  先ほど渡瀬委員もおっしゃっていましたけれども、いわゆるIB的な考え方、いわゆる教科主任という立場の人たちが教科ごとにお互いもっと共通認識を持って進めていけるような何かそういう指導のようなものを、例えば教育委員会とかそういうところからもしていただく必要があるのかな。何らかの形でこの報告書の中にその重要性を入れていかないと本当にアップアップ状態になるんじゃないかなと、ちょっと私心配だったわけです。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。
  では、髙木委員、お願いします。
【髙木委員】    これまでの一番最初に天笠委員が言われたこと、それから、奈須委員、吉田委員が今おっしゃったことと、考えていたことがかなり共通になるんですが、カリキュラム・マネジメントという言葉が今回出てきていて、カリキュラム・マネジメントというのは一体何なのか、どういうことをしなきゃいけないか。例えば小学校の先生は一人で全ての教科を持っていますが、それが学年を超えて、さっきの大杉室長の話では、縦串に本当になれるかどうか。逆に言えば、中学や高校の先生方が、今吉田委員が言われたような教科の枠を超えてカリキュラム・マネジメントというのをどういうふうにやるか。実は、昨日あるところで話をしましたら、教育関係者だったんだけど、カリキュラム・マネジメントというのがよく分からないという話がありました。そこでは御説明して、少し納得していただいたんですが、これを例えば教員養成と兼ねて、きちんと教員養成の中でのカリキュラム・マネジメントということを押さえておく必要もあるだろうなというふうに思っています。
  2番目に、今教員養成の話をしましたが、今回の指導要領の中身は各教科の内容もかなりある意味で本質的なところで変わろうとしている。そうなったときにこれまでの教員養成の在り方でいいのかどうか。特に中学、高校で教科教育法等が余り意識されて行われにくいところ、ちょっと言いにくいんですが、あとは酌み取っていただきたい部分がありますが、なかなかきちんとした教科教育が行われない中で、本当にこれからのことができるかどうか。例えば私は国語の部会に出ていますが、文学部を出た教員が、本当に国語の指導ができるかどうかというところもこれから考えていかなきゃいけないだろうなというふうに思っています。
  それから三つ目に、きょう、ここで話が出てきてないんですが、12月にチームとしての学校の在り方と今後の改善方策についてというのが出ていまして、あれを読みますと、コミュニティスクールとか、今言った学校全体のカリキュラム・マネジメントとか、教員養成が関係してくるんですが、あそこに書かれている中身が、全て検討するという言葉が非常に多いです。それを具体化していくために予算措置とか、そういったことを含めて今後の学校教育が変わる内容についての重点化なり、今申し上げたカリキュラム・マネジメントや教員養成の充実を図るための背景的な措置というか、それがないと学校の先生が先ほど出ているように非常に忙しい中で、あれもこれもやっていかなきゃいけない状態。それから、専門性をどういうふうに追求していかなきゃいけないかといったことと、学校全体のことを見なければいけないという、そういった多忙の中での教育の質の深まりがなかなか行いにくいなというふうに考えていますので、それを考えるのはこの部会かなというふうに思いましたので、発言いたしました。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。
  では、天笠委員、お願いします。
【天笠主査代理】    今の髙木委員の発言と関わる部分がたくさんあるかと思うんですけれども、一つ目ですけれども、とりわけ中学校、高等学校の先生がよく言われる言葉というのは、自分の専門とする教科をまず出して、そして、その後にカリキュラムという言葉を付ける。数学のカリキュラムとか、理科のカリキュラムとか、理科カリキュラムとか、社会のカリキュラム、こういう言葉の使い方をする場合がよく耳にされる。もろん小学校の先生でもおっしゃるんですけれども。ということなんです。
  先ほどどなたか委員の方が御発言されたんですけど、全体と部分という、こういう視点からするならば、やっぱり全体が言うなら教育課程カリキュラムで、そして、それぞれに教科がある面のその部分を構成しているという、そういう考え方かというふうに思うんですけれども、そうすると、数学のカリキュラムと理科のカリキュラムというふうな言葉を掲げちゃうと、その数学とか理科のカリキュラムが全体の教育課程カリキュラムがあってのそれぞれの教科なんだという、そういう視点とか認識というのが、どちらかというと薄くなって、あるいは弱くなって、言うならば学校全体の教育課程の中にそれぞれの教科があるんだという視点というのがとりわけ学校段階が進行すれば進行するほど希薄になっていて、まさに自分の教科が全ての世界なんだというふうな、そういうことになるわけで、仮にそういう教師集団とするならば、改めてそこにその学校の全体的な教育課程カリキュラムの存在が必要になってくるということで、そういう視点でカリキュラムマネジメントということが定義されているわけなんですけれども、ところが、この言葉の使い方として自分の教科のまさに教育の中身、コンテンツをもって、それを教育課程という言い方をすると、全体との関わりの中で自らの部分をというふうな、その視点というのはどうしてもなかなか出づらいというところが一つの言葉としてあるんじゃないかということで。ですから、そういう意味で言うと、カリキュラムと教育課程というのは、学校の全体的な教育計画なんだというふうな、そちらのことを大切にすべき。あるいはそういうことを一つは強調していくということで、そういう意味で言うと、中高、小学校も含めてでも、先生方も含めて、教育課程とカリキュラムについての見方とか考え方とか、捉え方ということについてのある種の意識改革というんでしょうか。あるいは認識の再構築というんでしょうか。ということが問われている。そこの前提が欠けていて、それぞれの教科でそれぞれ掘り下げているということが先ほどの何人かの委員の方の御指摘につながっているところではないかなというふうに私も意見を聞かせていただいた次第です。
  そういうことからすると、それぞれの、これは小中高も含めてなんですが、多くの学校の場合に、いわゆる教育課程委員会とか教育課程部会というのが構成されているのがもっぱらなんだと思うんですけれども、そこのところにおけるそれぞれの教科部会とか、教科委員会の構成メンバーがそもそもどうなっているのかというようなことが一つ。それは教務主任が一人でもっぱらなさっている場合というのもあり得るかもしれませんし、それこそ各教科の代表というんでしょうか。いわゆる教科主任がそれを構成しているということですけど、事実上は機能せずにメンバーになっている場合もあるかもしれませんし、そこで教科間の打ち合わせとか、連携というのが実質的に担保されているという、こういうこともあるんじゃないかと思うんですけれども、改めて教科部会の構成と、実質的に教科部会を担っている方々の役割分担の仕方とか、相互の教科間の交流とか、そういう実際の姿をもう少し分析してみる必要があるんじゃないか。そこを機能化させていくということと、教科横断とか、連携ということの実質的な担保ということ。それを裏支えする教育課程、カリキュラムがその学校にあるのかどうなのか。現在のところは時数が置いてあるだけというのが、それが全体の共通するところの教育課程だという状態がもっぱらだとすると、実質的にそれが今のような教科部会を機能させる支えになっていかないというふうなことが言えるのかなというふうに思います。
  最後になりますけれども、そういう点でどこから手を着けていくかどうか、もちろん研修からとか学校改善の視点とかあるかと思うんですけれども、髙木委員がおっしゃったように、教員養成のカリキュラムの見直しというんでしょうか、というのも有力な手法になってくるんじゃないかというふうに思いますので、これらについて、また検討されていくといいのかなと思っております。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。
  上田委員、お願いします。
【上田委員】    ありがとうございます。今回の教育の改訂の一つの大きな目的、育成すべき資質の大きな目的は思考力・判断力・表現力で、結局それを具体的にどう育成するかということについて、非常に精密な議論がこの文献を拝見するとなされているんですけれども、実は余り精密にすると、現場にメッセージが伝わらないということもあって、どうしていいか結局分からなくて、これを一生懸命読んで、それをマニュアル的に実行するということになりかねないんです。
  大学とかで教育してて、これらの資質を養成するやり方ははっきりとしていまして、それはみんなで議論するということです。議論するというのはどういうことかというと、まず、自分の意見を言う。次に、他人の意見、批判を聞く。その上で、両者の相違点を事実と論理の力で克服する、こういうことなんです。これは別に数理だけではなくて、例えば歴史認識とか、公共とか、全てのことで、こういう訓練ができると思います。そのような訓練ができると、実は、今日科目で教える事実は後からついてくるような気がします。
  日本人はこういうことの訓練が弱いと思います。いろいろなレベルで、それぞれの科目の簡単なレベルからでいいので、初等、中等の早い段階からこういう訓練を是非やっていただきたいと思います。大学に入っていきなりやると、今まで経験がないからどう議論すればよいか全く分かりません。それを自分でやっている学生さんはこれができるんですけれども、今まで経験がなくて勉強だけやってきた人はどうすればよいかわからなくて、ウェブで検索して、コピペするんです。人生のあらゆるところで、人との違いを事実に基づいて合理的に克服していくというのは、私たちがふだんやっていることです。こういうことを教育の現場に早い段階から取り入れるということをメッセージとして、それぞれの科目で、歴史、公共、全てについて関係することですので、実践するということをやれば、多少その結果としていろいろな教えることが減ってしまうかもしれません。減ってしまうかもしれませんが、結果として本来伝えたいことが育成されるのではないかという気がします。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。
  奈須委員、どうぞ。
【奈須委員】    今、上田委員の関連なんですけど、結局、今回はこれまでとある種実施機関が圧倒的に変わるという話だと思うんです。知識というのがあらかじめ存在して、それを子供たちの中にうまく入れるという話ではある意味なくなりつつある。知識というのは構成されていくとか、更新されていくとか、それがかなり幼い子供でも、主体となり得る。協働的作業の中で形成されるんだというふうな知識観が大きく変わるという話があって、それをどうやって指導要領のコンテンツの示し方に出すかという話だと思うんです。
  一つアクティブ・ラーニングとか、カリキュラム・マネジメントという方法とか経営の問題で出していこうという話だけれども、実際の内容をどう示すかという話が残っていて、内容自体は、一つの要素として示していて、これは入れるんだという話になると、それは固定された営みの結果としての正解として入れていくんだという話になってしまうと、今上田先生が言ったようなことにならないんだけども、そこをどうするかという話がまだ厳然と残っていて、それは大きな課題だと思っているんです。
  一つは、今上田先生が言われたようなこととつながるし、あるいは幼児教育というのは既になされていると思うんですけど、幼児教育、幼児というのはどんな存在で、幼児が学ぶというのはどんな出来事で、それによって幼児はどんなふうに成長していくのかという話が、幼稚園の教育論の解説書の方にかなり丁寧に書かれていて、だから、幼児教育はこういうふうなコンテンツや5領域の構成をして、こんなふうな示し方をして、こんなふうな実践をしてくれというふうに書いてありますね。そこを小学校以降、どう踏み込んでいくのかという話かなと思っています。
  だから、それはある種の人間が学ぶとか、育つとか、あるいは人間はもともとどれだけの能力を持っているかとか、あるいは知識ってどういうものかということを余り抽象的に書いても仕方がないんですけれども、一定程度それを総則になるのか、どうなるか分からないんですが、教科を共有するベースのこの国の一つの教育課程の足場になる議論として据えるのか。据えるとしたらどこでどう書くのか。それを書くことの関係で各教科の目標や内容の記述は変わってくるのか、こないのかみたいな話が、もう少し先だろうけども、必要となってくるのかなとは思っています。
【無藤主査】    では、渡瀬委員までで一くくりします。
【渡瀬委員】    今のお話を伺って、一つ思い付きましたけど、先ほど本質的な問いということに意味があると申し上げました。IBですとPYPという幼稚園から小学校を対象にしたプログラムでは個別の内容を余り詳しくガイドラインでは示していませんが、ちゃんと覚えてないですけれども、私たちは誰なのかとか、私たちはどこから来たのかとか、そういう問いに向かって教師が指導内容を組んでいくという、そういう形をとっています。ですから、何かそういうところに今奈須委員がおっしゃられたような方向に向かっていくヒントがあるかなと思いました。
【無藤主査】    ありがとうございます。
  それでは時間も、今清水委員、行きますけれど、もう最後の論点、高校の新科目のことですけれども、それを含めてということでもってお願いします。まず清水委員、お願いします。
【清水委員】    ありがとうございます。本当にこの2-3を見させていただきますと各教科ともかなり細かく整理されてきているなというふうに思います。充実感もあるかなと思います。
  ただ、現実問題としてお話をすると、先ほどから何人かの委員の先生もお話しいただきましたけれども、学校の教員の多忙感、忙しさというものがどうしても否めない事実であるかなというふうに思います。2-4のところの32ページ以降に、諸条件の整備について触れていただいているところがあります。例えば40人の生徒に対して複数の教員で対応するであるとか、ICTの環境整備が必要であるとか、こういう内容についても、どちらかというと新科目についての中に書かれていることなので、ここに限定されないでほかの教科科目についてもどんな環境が必要で、どんな指導体制があるべきなのか。そもそも40人学級でいいのかというようなことも本来は考えていかなくちゃいけない部分なのかなということも感じるところであります。是非この辺の環境整備について、どう捉えて、この2-3に書かれているような科目の内容がちゃんと充実したものにできるかどうかということも含めて御検討いただけるとありがたいなというふうに考えます。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  では、品川委員、お願いします。
【品川委員】    ありがとうございます。2点申し上げたいと思います。高校のことではなくて先ほどの教科のところですが、三つの柱の二つめ、〝思考・判断力・表現力〟のところは非常に充実しております。これが実行されたらすばらしいなと思いつつ、三つ目のよりよい人生をいかに送るかという、〝人格〟ところがもう少し各教科で検討されてもいいのではないかと思いました。と申しますのも、学びに向かう力については各教科どこも充実して書かれているのですが、8月の論点整理をまとめるときに、これからの子供たちはいかに協働的に、いろいろな人と関わりながら、とか、ルールを守るなど規範意識を持って、などといった資質能力も大事だという議論があったと思います。今渡瀬委員はIBには「私たちとは何か」というようなことがあるとおっしゃいましたが、我々の議論においても三つ目の柱もすごく大事だということが強調されていたと思いますので、これも各教科の中でもう少し掘り下げられる必要があるのではないかということを思いました。
  2点目は、障害者差別解消法が施行され合理的配慮が教育でも求められるようになったことを受けて少し触れておきたいと思ったのですが、外国語教育のところです。14ページに「英語以外の外国語の扱い」と一行だけ少し書かれてありますが、それについてはほとんど議論なされていないように思われます。確かに国の方向性としてまずは英語をやるということがございますが、では、例えばLDやディスレクシアの児童生徒の英語学習についてはどういうふうにやっていくのか。彼らは通常学級にいるわけですが、母語の読み書きにも苦労している子どもたちにたいして、ICTを導入すればいいというような問題はなく、将来の可能性を視野に入れると通級指導等でより高度な専門指導が求められます。そういったことを語学のところでも検討していただければいいなと思っております。
  英語以外の外国語、というところと兼ねて申し上げましたのは、欧米では手話を第二言語として選べるということが既になされているわけです。インクルーシブ社会の実現という観点からも、他言語を学ぶことで他文化を知るということが将来の可能性を広げるという観点からもそういったことも視野に入れて検討していただければと思っております。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  では、池野委員、お願いします。
【池野委員】    ありがとうございます。私は大きくは二つ意見があるんですけど、学習指導要領自体の最終的に作られる形になるのは同じ形態だと思うんですけど、各校種別で最終的には各教科の学習指導要領を作るという形になると思うんですけど、どうしても教科になると、確かに教科は内容を中心にして構成されるんですけど、拘束されるのが、多分内容の部分だけが拘束されて、本来は目標が拘束的であるべきなんです。だけど、学校の先生方は、それはお飾りで、社会科だったら、今もそうだと思うんですけど、公民的資質、あるいは公民としての教養を育てると書いてあるんですけど、それは方向目標的というか、目指して、頑張ってやっていますよということは感じているかもしれないけど、どこまで小学校なり中学校なりで達成するか、到達させるかという意識はなくて、地理や歴史の内容をどこまで教えるかの方にどうしても行ってしまう。
  だから、目標と内容と方法のもともと三角形の図があったんですけど、内容のところにどうしても教科になるとしている。教科は内容がないといけないのでそうなるんですけど、目標と内容と方法という三つの関係がもう一度見直されるような形のものにならないといけない。そのためには、目標を達成するために内容や方法をどういうふうに関連付けて、どういうように各学校段階で達成されていくかの模式図が必要だろうと思います。そのために各段階でこういう三つの横にフラットになっている知識と技能、それから思考力、判断力、それから、学びのための力とか、そういうものが横に並んでいるんですけど、横並びになるだけじゃなくて、ある面三角形の形に結び付いてこないといけないわけです。それをどういうように、指導要領レベルでも意識して示せるかということが一つだと思います。
  二つ目は同じことを逆に言うと、評価をどこまでするかということだと思います。今までもそうだったんですけど、学習指導要領ができてから、評価のことをそれぞれ各教科ごとに全体でやるという形になっていますが、今回は同時並行的に進んでいるんですけど、全体で見ると遅れぎみといいますか、評価は後回しのように見えているし、どういう関連で評価するかというのも各教科別ですし、全体の方略がないようにも私には感じられたりもします。
  だから、そういう総則・評価部会のところで少しリードしていただいて、評価の在り方みたいなものの方向性が出てくると、各教科も目標を実現するための内容や方法がどういうふうにあるべきかというのも前に進むし、各教科の個別にやっておられることが全体との関連で説明できるようになるんじゃないかなと思っておりますので、是非そういう方向でお願いしたいというのが二つ目の意見です。
  以上です。
【無藤主査】    御指摘ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。特に高校の新教科の辺りに何かある方はございませんか。特に今出てないようならば、事務局から少しまとめてコメントその他お願いしたいんですが。
【大杉教育課程企画室長】    ありがとうございました。先ほどのカリキュラム・マネジメントの点でありますとか、評価の点、それから、内容、まさにこの内容を今御議論いただいていることを指導要領にどう落とし込んでいくかということの構造化の段階に入っておりますので、本日の御議論をしっかり各ワーキングに伝えていきたいというふうに思います。
  2点補足説明をさせていただければと思います。1点目は、参考資料2をもう一度ごらんいただければというふうに思いますけれども、コンテンツの構造化という御議論をいただきました。様々な場面で課題になりますけれども、特に大学入学者選抜の段階で余りに細かい知識が問われ過ぎるのではないかということも一つ関連して大きな課題となってございました。13ページを見ていただきますと、特にワーキングの中では社会科系科目、生物系科目の中で議論がございましたが、13ページ目の下から二つ目の丸でございます。ワーキングの中で、「歴史系科目や生物など、高等学校における教材で扱われる用語が膨大になっていることが学習上の課題となっている科目については、各教科の見方や考え方につながる重要な概念を中心に、用語の重点化や構造化を図ることが重要であると議論されている」というワーキングの議論をこのシステム会議の最終報告にも反映していただいております。
  それを受ける形で47ページ目には大学の入試の在り方についてでございますけれども、47ページ目、小さい字で恐縮ですけれども、72という番号の脚注がございます。「特に、歴史系科目や生物については」と同じところを引いてございまして、このことを踏まえて、「大学入学者選抜においても単なる知識の量や細かな知識の有無のみにより評価を行うことがないよう、作問の改善を図ることが重要である。」ということを書いていただいているところでございまして、こうした高大接続の文脈の中でも本日の御議論とも関連したことを生かしながら進んでまいりたいと思いますし、今後の各教科の構造化の中でも問いに迫る重要な概念ということを御議論いただきましたけれども、そうしたことも踏まえながら、一方でコンテンツの構造を壊してはいけないということもございましたので、しっかりとバランスをとりながら検討を進めていきたいというふうに思います。
  それからもう一つは、参考資料1の方でございます。これが先ほど髙木先生からも御指摘ございました12月の中教審3答申の実現に向けた工程表、いわゆる派生プランというものでございますけれども、一番後ろのポンチ絵を見ていただきますと、教員改革、組織運営改革、チーム学校、それから地域との連携協働という3答申でございますけれども、いずれも教育課程企画特別部会で御提言いただきました社会に開かれた教育課程の実現に向けてということで、これを中心に据えながら様々な整備ということを考えているというところでございます。その前の方に少し工程表がございまして、その前の二つのページでございますけれども、現在の指導要領改訂の議論と同時並行でこういった工程表についても検討が進んでいるということで御紹介をさせていただきました。
  事務局から以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。本日いろいろな御議論の中で非常に重要な御指摘をいただきました。ありがとうございました。本日のところはここまでにさせていただきたいと思います。
  なお、限られた時間でございましたので、いろいろな御意見、御要望につきましてはペーパーで事務局にお送りいただければと思います。
  私なりに一つだけ加えると、中学校部会、早期にというお話もありましたので、事務局で御検討いただきたいと思います。
  また、最後の方で評価についてより専門的な御議論というのもありましたので、その点もよろしくお願いいたします。
  それでは、本日予定されていた議題はここまででございます。最後に次回以降の日程につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    ありがとうございました。次回は5月10日火曜日10時からの開催を予定しております。場所は本日と同じ、この講堂を予定しております。主査からもいただきましたように、ペーパー、メール、ファクス等による御意見を是非頂ければと思います。
  また、本日の資料でございますけれども、郵送を御希望される場合には机上に資料を残しておいてくださいますように、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【無藤主査】    ありがとうございます。
  それでは、本日の教育課程企画特別部会を終了させていただきます。ありがとうございました。


――  了  ――

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電話番号:03-5253-4111(内線2369、4732)