教育課程部会 教育課程企画特別部会(第16回) 議事録

1.日時

平成28年5月10日(火曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 講堂
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 論点整理を踏まえた教育課程の改善・充実について
  2. その他

4.議事録

【無藤主査】    それでは、定刻になりましたので、ただいまより、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会教育課程企画特別部会の第16回を開催いたします。
  本日は、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
  まず、会議に先立ちまして、4月14日より続く熊本県を中心とした九州地方での一連の地震により、尊い命を落とされた多くの方々の御冥福をお祈り申し上げます。また、それとともに、なお被災地において避難されている方々、多くの方々の皆様に心からお見舞い申し上げたいと存じます。現在、我が国では被災地において、昼夜を分かたず救援活動を行っておられる関係機関の方々をはじめとして、国を挙げて多くの人々がそれぞれの持ち場で支援に当たっておられます。被災地の方々の一刻も早い復興を心からお祈り申し上げております。
  それでは、事務局から配付資料についての御確認をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    配付資料の確認をさせていただきます。本日、議事次第記載のとおり、資料1から資料5、その他机上に参考資料を配付させていただいております。不足等ございましたら、事務局にお申し付けください。
  また、本日、学習指導要領の見直しに関しまして、各団体から届けられました要望の一覧を机上の紙ファイルの方で配付させていただいております。昨年6月に企画特別部会でお示しさせていただいたもの、それ以降のものを一体にして、一つのファイルにさせていただいております。また、いつものようにタブレット端末も置かせていただいておりますので、適宜ごらんいただければと思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  それでは、議事に入りたいと存じます。その前に、初めに、本部会の審議等について、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づき、原則公開により議事を進めさせていただくとともに、第6条に基づき、議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うこととさせていただいてございます。よろしくお願いいたします。
  また、本日は、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出がありました。これを許可しておりますので御承知おきください。
  本日でありますけれども、議題三つでございます。1が「論点整理」以降に議論が深められた事項について、2番が学習指導要領・総則の改善イメージについて、3番が小中高等学校を通じて育成すべき資質・能力とその接続についてということでございます。それぞれの審議事項について、まず、事務局より関係資料の説明をしていただき、そして、それについての御意見を頂戴するということで、3回にわたって進めたいというふうに思います。いつものように、御発言のおありの方は名札を立てていただいて、指名させていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
  それでは、早速、議題に入りますけれども、まず一つ目の議題でありますが、「論点整理」以降に議論が深められた事項についての御議論を頂戴したいと存じます。事務局より、関係の資料についての説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。それでは、資料の順に説明をさせていただきたいと思いますけれども、恐らく一番後ろに参考資料の2というものが付けさせていただいているかと思います。各学校段階等別・教科等別ワーキングの開催実績でございます。現在のところ、126回、261時間にわたって各ワーキング等で御審議を頂いているところでございます。これらの審議状況を少しまとめさせていただいたものが資料2-1から資料2-4になります。かなり分厚い資料でございますので、本日、御紹介をさせていただく時間はございませんけれども、資料2-1をごらんいただきますとおり、昨年8月に企画特別部会でおまとめいただいた論点整理、この指摘事項を踏まえながら、社会に開かれた教育課程、あるいはカリキュラム・マネジメントの実現、育成すべき資質・能力の明確化、アクティブ・ラーニングの視点からの学習改善、指導改善ということについて、各教科の特質を踏まえた御議論を頂いており、2-1の右側のような項目に沿って全てのワーキングがまとめに入っているところでございます。
  資料2-2をごらんいただきますと、かなり文章化されているものもございますし、まだまだイメージ図の段階のものもございます。これが順次、ワーキングごとの報告書になって、企画特別部会、あるいは課程部会の方にお諮りさせていただくというような段階でございます。
  そして、各教科別のみならず、学校段階別、あるいは総則・評価部会における議論も活発に進めていただいております。本日は、主に資料の1、それから、後ろの方に資料5というものが1枚ございまして、この資料1と資料5に基づきまして、論点整理以降に議論が深められた、主に総論的な事項について、ごらんいただきながら御議論を頂ければというふうに存じます。
  趣旨でございますけれども、今後、審議まとめ、あるいは答申の取りまとめというところに向かっていくに当たって、8月の論点整理というものがたたき台になりながらということですけれども、この後に審議が深められた事項を少し内容的に追加をしながら、審議まとめ、答申に向かっていくという段階でございますので、その内容を少し御紹介をさせていただきながら、更に御意見を賜れればというふうに思っております。
  資料1をごらんいただきますと、左側に論点整理における記述がございます。項目別にございます。右側に赤い枠で示しておりますのが主に総則・評価特別部会における議論等でございますけれども、8月以降に少し、議論がさらに深まったものでございます。順次、御紹介をさせていただきたいと思います。
  まずは、学習指導要領の背景ですとか、あるいは情報活用能力の育成に関しましては、最近、様々な動きがあったところでございます。資料1を一つおめくりいただきますと、学習指導要領改訂の背景ということでございまして、既に論点整理におきましては、情報化、グローバル化という変化の中でも未来を作り出していける、そのために必要な資質・能力ということで御議論を頂いているところでございますけれども、最近、とみに人工知能の進化ということの影響が様々なところで指摘されているところでございます。この人工知能の進化ということ自体、ディープ・ラーニングということでございますけれども、人間の学習課程、概念的なものを獲得していくという人間の学習課程を模しているという意味では、そうした学習課程の強みを実証しているものではないかということ。そうしたことも踏まえながら、新しい教育課程で学校教育の良さを更に進化させていくということ、質の高い学習課程でありますとか、あるいは情報活用能力の育成ということ、こういったことにしっかりと取り組んでいくということが様々な政府の会議でも議論させていただいているところです。
  その一つが2ページ目の産業競争力会議の資料でございます。主に情報化ということの中で新たな価値の創造ということに必要な力を育んでいくということ、3ページ目の下には、三つの論点整理で整理いただいた柱に沿って、様々な課題を主体的に解決していける能力、あるいはその中でICTを手段として使いこなす力ということを整理させていただいているところでございます。こうしたことを文科省のみならず、政府としても共有しながらということで、8ページ目の下でございますけれども、「社会に開かれた教育課程」の実現に向け、官民が連携ということで、文科省として情報活用能力の育成、あるいはICTを活用した次世代の学校の創生ということを図っていくということとともに、経産省、総務省等とも連携しながら、官民コンソーシアムの中で教育環境のICT化、あるいは情報活用能力のしっかりとした育成を図っていくということも議論がされているところでございます。
  そして、併せまして、12ページ目が小学校段階におけるプログラミング教育に関しまして、これは今月13日に第1回を開催させていただく予定でございますけれども、中学校、高等学校、技術、あるいは情報課でプログラミング教育を実施することになっておりますけれども、小学校段階における在り方はどのようにあるべきか、13ページ目、下にございますように、様々な資質・能力の育成に資するという反面で、学校、小学校段階で果たしてどこまでを目指せばいいのか。日本のカリキュラムに合った教材の開発、あるいはその時代とともに技術が変化しても生かせる能力につながるかどうか、こうしたことをしっかりと検証していく必要があるということで、15ページ目のように、この場にいらっしゃる先生方の御協力も得ながら、今後、有識者会議を進行させていただき、一定の取りまとめをした上で、この部会にもつながせていただければということでございます。
  それから、16ページ目、これは既に御紹介させていただいておりますけれども、アクティブ・ラーニングの中で、深い学びの視点、特に各教科の見方や考え方ということでございます。
  先日、高等学校部会で御議論いただいたペーパーが20ページ目、少しページ数が見にくいですけれども、20ページ目でございます。論点整理におきましては、深い学び、対話的な学び、主体的な学び、20ページ目の上にございますような三つの柱で整理を頂いております。これを更に少し深めたような形で整理を頂いているのが下のピンクの枠囲みの中でございます。特に深い学びにつきましては、教科等の特質に応じた見方や考え方を働かせて学びを深めていくということの重要性、あるいは対話的な学びということに関しましては、他者との協働や外界との相互作用ということを少し分かりやすくかみ砕いております。また、主体的な学びの中に、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながらということを新たに位置付けさせていただいているということで、少しアクティブ・ラーニングの深い学び、対話的な学び、主体的な学びについても議論を深めていただいているところです。
  そして、それと資質・能力の関係性を整理させていただいているものが21ページ目になります。21ページ目、真ん中辺の右側に、生きて働く知識・技能の習得、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力の育成、学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性の涵養ということで、資質・能力の三つの柱をこのような形で獲得していくために、深い学び、対話的な学び、主体的な学びという学習課程の質の改善ということが極めて重要であるということでございます。
  そして、具体的に、22ページ目には、少し小さな字で恐縮ですけれども、各教科における見方や考え方、各教科の学びの中で働かせながら、それ自体も成長していくという見方や考え方というものが一体どのようなものかということを整理をしているところでございます。まだまだ少し横並びがとれておりませんので、この横並びを今後とっていくということが重要でございます。
  そして、教科ごとに見方や考え方について御議論を頂いている資料がその後、ポンチ絵で続いているところでございます。40ページ目までが各教科ごとの見方や考え方についてのポンチ絵のイメージでございます。
  そして、41ページ目が「知識」についての考え方ということでございまして、特に芸術分野におきまして、これまで知識とは何かということが必ずしも明確にされてこなかった部分を明確にしていくということで議論を頂いているところでございます。真ん中辺りに「次期改訂における『知識』とは何か」ということでございますけれども、知識については、学習課程において試行錯誤することなどを通じて、様々な知識をネットワーク化させたり、構造化させたりしながら、あるいは身体化させたりしながら、様々な場面で活用できる、生きて働く知識として獲得されていくということが重要であるということ。また、技能についても、その様々な場面で活用できる習熟・熟達に向かうということが重要であるということでございます。
  こうしたことも踏まえながら、42ページ目、43ページ目にございますように、芸術分野においても知識ということを明確にしていく。これはスポーツの分野においても、真ん中にございますように、体育・保健体育ワーキングで知識の明確化をしていただいておりますけれども、こうしたことを通じて三つの柱の明確化ということを図っていただいているところでございます。
  また、44ページ目以降は、いわゆる丸々教育、教科横断的に取り組むべき資質・能力についてでございますけれども、その前に少し資料5をごらんいただきたいというふうに存じます。資料5、カラーの1枚のペーパーでございますけれども、各ワーキングの議論も踏まえてカリキュラム・マネジメントの全体像を少しイメージ化したものがこの紙でございます。これも本日、御意見を頂ければというふうに存じますけれども、カリキュラム・マネジメントについては、既に論点整理で三つの柱といいますか、カリキュラム・マネジメントの考え方について、3点にわたって整理を頂いております。それを踏まえながら、少し図示をしたものでございます。表現ぶり、少し再構成を図っているところもございますけれども、学校現場にカリキュラム・マネジメントの全体像を分かりやすく伝えていくために、少し様々工夫をさせていただければということで、たたき台としてお作りさせていただいたものでございます。
  各学校において教育目標を設定し、それに基づき育成すべき資質・能力を設定していくということ、そして、それに基づいて教科横断的な視点で教育課程を編成していくということ、そして、教科を越えた学校内の連携や地域との連携を図りながら、人的・物的資源を効果的に組み合わせて教育課程を実施していくということ、そして、実施状況に関するデータ等を踏まえつつ、教育課程を評価し、改善していくということ、こうしたことがカリキュラム・マネジメントとして重要であるということでございます。
  そして、各教科や総合的な学習の時間、特別活動、特別な教科、道徳、あるいは教育課程外の教育活動、それぞれの位置付けについても、これまでの議論を踏まえながら記入をさせていただいております。各教科において資質・能力ということの育成を目指していくわけですけれども、それらが相互の関連性を視野に入れながらということが重要であるということ。また、総合的な学習の時間につきましては、学校が育成すべき資質・能力を設定するということになっておりますので、学校教育目標、あるいはその育成すべき資質・能力、上の部分と直接的につながるものであるということ。各教科の見方や考え方を総合的に活用しながら探求するということ。
  そして、特別活動の位置付けでございますけれども、学習の基盤となる学校生活全体の基盤作り、あるいは自分の生活やキャリアに学びをどう生かすかという振り返りを行うということ、そして、各教科の見方や考え方を総合的に活用して集団活動を通じて資質・能力を育成するということでございます。
  そして、下の特別の教科、道徳でございますけれども、ごらんのような学習を通じて道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度を育てるということでございますけれども、各教科で育成する人間性の基盤となるということで、その矢印とその三つの青、緑、オレンジが三つの資質・能力とアクティブ・ラーニングのプロセス、先ほど見ていただいたものを指しておりますけれども、このオレンジの部分の人間性というものが特別の教科、道徳の学習と極めて密接に絡み合ってくるということでございます。
  また、教育課程外の教育活動につきましても、関連する教科の見方や考え方を働かせた学びを促進するなど、教育課程との関連を図るということ。そして、地域・家庭とも、右側にございますように、目標を共有したり、実施に当たり連携・協働したりということでございます。
  そして、一番下に米印がございますけれども、現代的な課題やテーマに焦点化した教育、先ほどの丸々教育でございますけれども、それらを通じて育成する資質・能力と各教科等との関連性について、総則解説等で整理をしていくことを検討していくということではないかということでございます。
  これを踏まえて先ほどの資料1の44ページ目以降でございます。いわゆる情報活用能力が44ページ目でございますけれども、育成すべき資質・能力の整理が48ページ目にございます。また、それと各教科との関係性が51ページ目以降でございます。同様に、例えば健康・安全に関しましては、58ページ目の上の部分に、安全に関する資質・能力、そして、59ページ目の下に、各教科の関連性、そして、60ページ目以降、食育に関しましては、62ページ目、上のような資質・能力を63ページ目、上のような各教科の関連性ということで、こうしたことを分かりやすく示していってはどうかということでございます。
  68ページ目以降は、いわゆる知的財産教育、知的財産の意義の理解に向けてということでございますけれども、こうしたものにつきましても、71ページ目、下にございますような資質・能力の整理をした上で、関係教科との関連性をしっかりと明記していくと。少し72ページ目のところに教科の関連性が書いてございますけれども、これを更に分かりやすくしながら、整理をしていくというようなことではないかということでございます。
  それから、評価につきましても、既に御紹介させていただいておりますが、79ページ目以降にございますように、82ページ目のように、三つの観点から観点別評価の観点を整理していくということ。また、中教審におきましては、83ページ目以降にございますように、教員の資質・能力の向上、それから、チームとしての学校の在り方、それから、地域と連携・協働、学校との連携・協働ということについて、3答申をおまとめいただいておりますので、こうした内容についても、今後、適宜盛り込みながら、審議のまとめに向かっていくということかと思いますので、御意見を頂ければというふうに存じます。
  事務局からは以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。ということで、論点整理以降の議論、半年以上たっていますので、いろいろなことが入っておりますけれども、よろしくお願いいたします。
  それでは、どなたからでも結構ですけれども、名札をお立ていただければと思いますが、いかがでしょうか。
  では、池野委員、お願いします。
【池野委員】    どなたもないようなので、私が質問も兼ねてちょっとお願いをしたいなと思います。それは、論点整理後のまとめは何となく分かったんですけど、多分ここで我々が議論しないといけなのは、資料5の一番上に書いてあります、学校教育目標と、それに基づき育成すべき資質・能力の設定というものが具体的にどこまで深まっていて、明示化されていて、それが各教科や領域でどういうことになっているかの一種の進捗状況みたいなものが理解されていかないといけないのではないかなと思います。学校教育目標自体は、学校教育法だとか、教育基本法とかに書いてあるとおりだと思うんですけど、それに基づいた場合に、資質・能力として設定されるものは、各教科の総合として出てくるのか、いや、もう少しアクティブ・ラーニングだとか、いろいろな側面を含めて少し資質・能力的に新たに提示するという形になっているのか、ちょっとその具合を多分、もしかしたら総則部会か何かで出てくるのかもしれないんですけど、そのことを教えていただければ有り難いなとおもいます。多分、それに基づいて各教科が動いていく形になっているだろうと思われるので、その点について教えていただければ有り難いと思います。
【無藤主査】    その辺はもう少し、じゃ、説明を加えていただいて。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。資料の4と資料5を少し出していただければと存じますけれども、資料4の方は、実はこの後、議題の三つ目、一番最後に御議論を頂こうと思っておりますので、詳細な御議論はその際にと思いますけれども、全体に関わってくるところでもございますので、少し先んじて御紹介をさせていただきます。
  まず、資料5の方でございますけれども、ここで一番上に掲げております、学校教育目標と、それに基づき育成すべき資質・能力ということ自体は、カリキュラム・マネジメントの中で申しますと、各学校自身がそれぞれ設定し、考えていく必要があるものであろうというふうに思います。高等学校部会におきましても御議論いただきましたけれども、各学校が学習指導要領を踏まえながら、そういったものをしっかり考えていく必要があるということで、逆に申しますと、学校がそういったものを考えやすいような指導要領ということも考えていかなければいけないというふうに考えております。
  そして、その前提となる指導要領でどのような目標を立て、どのような資質・能力の設定を考えていくかということでございますけれども、資料4でございます各学校段階を通した教育のイメージということでございますけれども、資料4をおめくりいただきまして、例えば19ページ目でございますけれども、国語教育のイメージということでございます。これが教育目標になってくるわけでございますけれども、国語教育のイメージということで、二重丸の部分は全体的な事業でございまして、1が知識・技能、2が思考力・判断力・表現力、3が学びに向かう力、人間性という構造になってまいります。全ての教科がこういう構造に目標がなってまいりますので、資質・能力ベースの目標の構造化というのが図られてくるということでございます。
  そして、もう一つ、議題の3番目で御議論いただきたいのは、教科を越えて、小学校教育、中学校教育、あるいは高等学校教育として育成する資質・能力、あるいは教育目標の全体像ということでございまして、そこには、まだたたき台は付けさせていただいておりませんけれども、小学校段階で育成すべき資質・能力の三つの柱の在り方、中学校段階、高等学校段階というものをそれぞれ明確にした上で総則に位置付けていく、そして、相互の関連性を図っていくということが重要になってくるということではないかということで、この点については、本日、3番目の議題の中で是非御議論いただければということでございます。
  一応説明としては以上になります。
【無藤主査】    ありがとうございました。要するに資料5の部分、これは本当にきょう、初めて出てきた解説というか、ポンチ絵だと思いますけれど、カリキュラム・マネジメントはこれまでも議論してまいりましたけれど、特に資質・能力という側面でカリキュラム・マネジメントの中核をはっきりさせていって、かつ資質・能力というのは学校教育目標のやはり中心として位置付けるということで、学習指導要領との関係を明確にすると、そういうふうに私は理解してきました。
  この辺り非常に重要なポイントですので、いろいろ御意見。じゃ、天笠委員、お願いします。
【天笠主査代理】    それでは、この資料5について、少しコメントをさせていただきたいと思うんですけれども、この部会というのが昨年の8月の論点整理をまとめて、そして、その後の御報告いただいたようなそれぞれの部会での検討があって、そして、きょう、ここにあるわけですけれども、そのプロセスと、今、この資料5に明示されている図という、その辺りのところがうまくつながり切れてないというんでしょうか。ということで、どうしてこの図になるのかどうなのか。それぞれの各ワーキンググループ等々のそれがというふうな辺りのところがもう一つ、うまくつながり切れないというのが率直なまず一つの感想であります。
  それから、もう一つは、これは全体像という、こういう言い方なんですけれども、マネジメントということをもう少し加えていくと、もう少し書き表し方というのもあるように思うんですが、要するにそれはどういうことかというと、ここの学校教育目標と黄色のところで示された、言うならば教科構成との間に、論点整理の三つの側面というのが簡略に挿入されるような形になっているわけなんですけれども、例えばその中の一つ、地域との連携ですとか、人的・物的資源等を効果的に組み合わせて実施するという、この部分なんかにつきましては、この全体の図の一番核に置かれてもよろしいのかなというふうに思うわけなんです。というのは、要するにまさにこの部分というのは、俗に言う条件整備というのがかなり大きなウエートを占める部分であるわけですので、この点については、むしろこの教育課程の各教科等の構成の全体を支えるという意味合いにおいては、一番下の部分に置かれてもいいんではないかと思いますし、それから、学校教育目標と強化横断的な視点というのが、これがまさにそういう点からすると過去教育目標の一番上の欄と、それから、各教科等の構成のところに、間に入る。
  そして、もう一つの俗に言うこの部分がPDS、教育課程を評価するということなんですけれども、ここの部分については、ある意味で言うと矢印というんでしょうか、曲線というんでしょうか、そういうことでこれは表現されるというふうなこと等で、この三つの星印で書かれているようなものをもう少し配列ですとか、図の表し方とか、そういうことによって、まさに全体像というふうな形と、それから、論点整理で示した三つの側面というのがうまく符合するんじゃないかというふうに思うんですけれども、きょうの段階ですとまだちょっとそこ辺のところがまだ練り切れてないと言うべきなのか、あるいは全体というのがうまくまだ収め切れていない、描き切れてないという、そんな感想を持ちましたんで、ですから、こういうことで意見を申し上げさせていただいて、よりこれをそういう意味で言うとまさに全体像を描いて、多くの人に、関係の方にとって、ある種の理解が深まるような形にこれを整理していくということをもう一段、これは進める必要があるのかなというふうに思いました。
  とりあえず、以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。その辺り、事務局として十分、私も含めて考えたいと思います。
  ほかにございますか。
  とりあえず、次の議題に進みながら、もし思い付いたら、またいつでもお戻りいただいて構いませんので、よろしくお願いいたします。
  それでは、2番目に用意しました議題でございますけれども、学習指導要領・総則の改善イメージという部分でございます。事務局から、関係の資料についての御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。資料3-1、それから、資料3-2をごらんいただければというふうに存じます。小学校部会、高等学校部会それぞれにおいて、総則の改善イメージについて御議論を頂いております。論点整理におきまして、社会に開かれた教育課程ということで御提言を頂き、そして、総則自体が改訂の理念でありますとか、アクティブ・ラーニングの視点、あるいはカリキュラム・マネジメントの側面ということをしっかりと分かりやすく伝えるものになるべきであるというようなことの御指摘も頂いたことを含め、踏まえまして各学校諸部会、あるいは総則・評価部会におきまして、総則の構成の見直しについて御議論を頂いているところでございます。
  まず、資料3-1でございます。小学校学習指導要領・総則の構成ということで、現在の構成が左側の第1、第2、第3、第4ということでございます。そして、論点整理を踏まえて追加、整備すべき視点というのがその真ん中部分にあるところでございます。これを踏まえまして構造の見直しを図ってはどうかという、たたき台のイメージが右側でございます。
  まずは前文として、社会に開かれた教育課程の考え方、教育課程の意義などについて示したらどうかということ。そして、第1、小学校教育の基本の中では、学校教育法、教育基本法、関連法令の目的、目標や、生きる力の理念なども踏まえつつ、小学校教育を通じて育成すべき資質・能力の在り方について整理をしてみてはどうかということ。
  そして、第2の部分が各学校における教育課程の編成ということで、カリキュラム・マネジメントの実現や学校種の接続、教科横断的な視点、様々な共通事項について整理してはどうかということ。
  そして、第3として、その実施と評価ということの中で、各教科、見方や考え方を働かせた学習指導要領の充実や、評価を通じた教育課程、学習指導の改善ということ。
  そして、第4の視点として、特別な配慮を必要とする児童への指導ということで、障害のある児童への指導や、海外から帰国した児童等への適切な指導ということ。
  そして、第5として、学習活動の充実のための基盤として、キャリア教育なども含めた学習指導活動の基盤、あるいは家庭・地域との連携ということでございます。そして、別表として、各教科等の見方や考え方、先ほどごらんいただいたものを添付してはどうかということでございます。
  さらに、詳しい中身が次の2枚目のページでございます。前文、そして、総則の第1、ここで法令上の目標と生きる力、そして、小学校教育を通じて育成すべき資質・能力の関係性を分かりやすく整理するということ。そして、第2のところでは、カリキュラム・マネジメントの実現、幼少接続、スタート・カリキュラム、そして、小学校、中学校の接続と義務教育学校におけるカリキュラムの在り方、そして、丸々教育も含め、横断的に育成すべき資質・能力と教科との関係。それから、編成における様々な、授業日数等々の共通事項。そして、6番目に、具体的な指導計画の在り方ということでございます。
  そして、第3番目の部分が深い学び、対話的な学び、主体的な学び、言語活動等々の整理ということ。そして、第3の2番目が学習評価についての考え方ということでございます。観点をここに置くということではなくて、評価の考え方を示していくということでございます。
  そして、第4が特別な配慮を必要とする児童への指導、そして、第5の部分が学習活動の基盤ということで、学級経営、キャリア教育、生徒指導、学校間交流、家庭・地域との連携ということでございます。
  中学校についてもおおむね同じ方向で御議論を頂く予定でございます。
  そして、高等学校でございますけれども、高等学校につきましては、資料3-2の2枚目にございますけれども、基本的な考え方は同様でございますけれども、高等学校におきましては、単位数等の整理が必要でございますので、第2款の部分にそうした共通事項や特例についてを少し整理をさせていただいているところでございます。その他の部分につきましては、基本的に同様の考え方、少し高等学校の特色に応じた内容を追記しておりますけれども、そうした共通的な考え方で総則部分を整理していってはどうかというふうに考えておりますので、本日、御議論を頂ければというふうに存じます。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。ということで、今度、2番目の議題ですけれども、総則の具体的な構造というんでしょうか、目次立てでありますけれども、言い換えれば、これが指導要領全体の改訂の骨格が見えるような部分ということでございますので、並び順というだけではなくて、抜けている点、足りない点、分かりにくい点も含めて御指摘をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
  山口委員、お願いします。
【山口委員】    ちょっと分からないので教えていただきたいんですけれども、大学の入試改革がかなり話題にもなっておりますし、議論されてます。アクティブ・ラーニングの導入などもありますし、入試との教育課程との兼ね合いというのはどこで議論して、どのような形でここに反映されていくべきなのか、どこがそれを取りまとめてやっていくのか。つまりタイムのこともありますけれども、学校の現場の先生たち、あるいは生徒、親御さんも、やはり入試との兼ね合いというのは一番切実な問題だと思うんですけれども、そこがどこが統率というか、ちょっと分からないので、今の現状、もしどのような形なのか教えていただければと思います。
【無藤主査】    入試改革、別な部門でやっておりますので、それとの整合性のようなことについて、少し説明を事務局からお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    高大接続改革につきましては、中教審におきましても既に答申をおまとめいただいておりまして、それを受けた形で、高大接続システム改革会議というところがせんだって最終報告という形でまとめているところです。その中身というのは、かなり教育課程部会における議論を反映しているものになっておりまして、例えば科目構成でありますとか、あるいはどういう力を問うていくのかということは、高大接続改革と学習指導要領改訂を両輪として、何人かの先生には少し重なっても頂いておりますけれども、考え方はかなりすり合わせながら進んでいるところでございます。
  実際、せんだってまとめられたシステム会議の最終報告におきましても、途中段階でございますけれども、高校教育の見直しに関する科目構成、あるいはその中での教育内容の在り方というものをしっかりと反映させていただいているところでございます。
  ですので、そういった状況も踏まえながら、高校の指導要領の中身、各教科の資質・能力の整理でありますとか、あるいはこの総則におきましても進路指導等ございますので、こういった部分がしっかりと、それとその流れに沿った形の記載となっていく必要があるというふうに考えているところでございます。
【無藤主査】    ありがとうございます。山口委員、いかがでしょうか。
【山口委員】    私はこういったいろいろな会議に出させていただいているんですけれども、それでも高大連携のところとか、あと、入試改革というところはやはりニュースとか、そういったものを通して見聞きする程度で、なかなか見えるような、見えないような部分があるので、その辺りも、ここのところが高大連携でこういうふうになっているというのが見えると多分、現場の先生方も結構安心するのかなというふうに思いますし、それが何らかの形でここに反映されてくるといいのかなと思ったりしております。
【無藤主査】    ありがとうございました。入試改革といいますか、入試を含めた大学教育と高等学校以下の小中教育のつながりの部分ということになると思いますけれど、当然、一つは、高等学校の学習指導要領等の改革の中に、その問題は反映されなければいけないというか、高大の接続や入試改革の報告の議論の中に、高等学校における学習指導要領改革を踏まえて、それが議論されているという方が正確だと思うんですけれど、それが一つです。
  それから、もう一つは、私どもがここでしている作業も含めて、最終的には指導要領の改訂ですけれど、その前の段階では、その大きな方針とかポイントを示す中教審の報告が出ると思いますけれど、その中では当然、今、山口委員が御指摘のような大きな視点で大学教育も見通しながら議論するということが必要だと思うので、また御意見いただける機会があると思います。ありがとうございました。
  ほかにいかがでしょうか。天笠委員、どうぞ。
【天笠主査代理】    済みません、私ばかり発言いただきまして。それで、先ほどの資料5のところとの関わりで申し上げたいと思うんですけれども、このお示しいただきました総則のこの柱立てというんでしょうか、あるいはこのまさに総則の全体の構造というんでしょうか、このことが先ほどの資料5とある意味、対になるような関係で、資料5が表示されるというか、描かれるというのが基本的な方向なんじゃないかなというふうに思っております。
  これまで少なくともカリキュラム・マネジメントという言葉は余り使われてこなかったわけですけど、基本的に私は、学習指導要領の総則、あるいはその総則を解説した解説書のそこのところに、今日、我々が言おうとしているカリキュラム・マネジメントの手順とか、手続とか、考え方というのが部分的であるにしても盛り込められているんじゃないかと、そういうふうに私は理解しております。
  このたび、こういう総則のこういう柱立てというのがある意味で言うと、よりカリキュラム・マネジメントという手順、手続、考え方というのをよりある意味で言うと柱を立てたりですとか、構造的にする。その姿の原案というか、原案が今、こういう形で私どもの前に目に入ってきていると、こういうことであって、ならば、先ほど示されたカリキュラム・マネジメント全体像というのは、この示された総則の柱とか、ここに盛り込まれた要素とか、構成要素がどう全体的にまさに配置されるのかどうなのか、それの相互の関係等々含めて明示するというのが先ほどの資料5なんじゃないかというふうに、私は思うわけなんですけれども、どうもその辺りのところがまだうまく脈絡が詰め切れてないという、先ほど申し上げたような、そういうことなんですが、よりこの総則のこういう柱が明示されると、よりそういうふうな先ほどの全体像というんでしょうか、これのある意味で言うと明示化ということは、基本的にはこの総則のこの柱に、項目に沿って描かれたらよろしいんじゃないかなというふうに思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。天笠委員の御指摘を言い換えると、総則というのが学習指導要領の教科ごとにより詳しいのが書いてありますけれども、その総則というのは、いわば学習指導要領全体の構造を明確にしていく部分で、それが今度は学校教育の在り方を規定しているわけです。それで、カリキュラム・マネジメントというのは、今回出されてきているのは、各学校における学校教育の運営、経営の方向を学習指導要領と重ねていくというようなことだろうと理解しておりますので、そういう意味で、御指摘のように、総則という文章が書いてある部分を具体的な学校教育の見直し、あるいはそれを進めていくときの流れのような形でカリキュラム・マネジメントは示すんだと。そういう意味で表裏一体ということでしょうか。ありがとうございます。
  ちょっとポンチ絵にどう描くか、いろいろ面倒くさいことがありそうですけど、でも、趣旨、方向、それは非常に明確にしていただいたと思います。ありがとうございました。
  では、吉田委員、お願いします。
【吉田委員】    先ほど山口委員がおっしゃった大学入試との関連で、私も高大接続システム改革会議に入っていますので、そちらの方はかなり、先ほど大杉室長がおっしゃったように、この学習指導要領の中心的な学習の3要素だとか、そういうものを全部含めた形で量るようにということで、相当入れていると思うんです。そういう意味では、ここに反映されてなくても、入試の方に反映される工夫はあるんですが、一つ、ちょっと心配なのは、高校入試はどうなるんだろうなということと、あと、小学校から中学にあがるときにどうなるんだろうなということの辺りについてはどこにも記述がないんじゃないかという気がするんです。
  ですから、そういう点というのは、どこかで何かする必要があるのかどうか。つまり、高校入試の場合ですと、それまで小学校、中学校で育まれてきた能力を本当に量れるように、評価できるような形のものが可能なのか。あるいは少なくとも、こういうことをやりましょうというような指針があるのかどうなのか。その辺がちょっと曖昧なので、大学の場合はある程度あるにしても、高校とか、中学に入るときはちょっと足らないのではないかという印象があります。
【無藤主査】    ありがとうございます。確かに御指摘のように、中学入試、高校入試の在り方について議論する場がないかもしれません。そもそも文科省がどの程度、国レベルで議論することになっているかどうか自体が非常に微妙なところはあるんだろうとは思いますけれど、その辺はちょっと引き取らせていただいて、可能なところを模索したいと思います。ありがとうございます。
  では、牧田委員、お願いします。
【牧田委員】    ありがとうございます。今の総則の改善のイメージという、この目次ですけれども、これを見ると大体、何を伝えたいか、何をどう学校を変えていきたいかというのが割と見えてきているなと思うんですけれども、前回もいろいろ話があったんですが、いろいろ盛り込み過ぎて、にっちもさっちも行かない、学校が非常に窮屈になる、何もかもやらないといけないというイメージがやっぱり拭い切れないので、第2か第3かになるかなと思うんですけれども、そのカリキュラムを作るということは、教科書をそのままやるということ、教科書の内容を一から、1ページから200ページまで丹念にやることではなくて、何が大事で、どこで重点的にアクティブ・ラーニングをやるとか、どこでこういう力を評価するんだとかということを学校独自に計画を立てていくと。それがカリキュラムを作っていくという、これのもうちょっと前提の話になると思うんですけれども、その力を入れるべきところというのをちゃんと学校の中で決めていくといいですよと。
  昔、カリキュラムを作るというときに金太郎あめ型と串団子型という話を聞いたことがあるんですが、どこを切っても、金太郎あめのように、いつどの授業を切っても同じような形でやられているというのではなくて、中学校なら3年間、小学校なら6年間、見通して、あるいは1年間の中で見通して、どこが重要かということをちゃんと学校なりに判断をしてカリキュラムを作っていくと、串団子型に。そういうことをどこかに入れ込んでいただくと、何もかもやらないといけないという、そういう自縛からは少し逃れてくるんじゃないかな、カリキュラムを作るという根本を少しどこかに入れてもらうと有り難いなと思いました。
  もう一つ、先ほどの資料5なんですが、なかなか言いにくいんですけれども、各教科と総合と特活と道徳という、こういう関係があるというのは今の現状でもそうでして、各それぞれの学校で作っている基本計画というのは、必ずこういうことが盛り込まれています。したがって、今、我々が欲しいのは、こういうものではなくて、何が大改善なんだというところの絵が欲しいと思うんです。そういう意味では、先ほどの天笠委員がおっしゃったような、この総則に盛り込まれていることを絵に表すということに私は賛成です。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。今、牧田委員御指摘の特に最初のポイントは、結局、カリキュラムといいますか、教育課程は各学校で編成するわけですし、指導要領などの枠組みはあるわけですけど、その中の重点化とか、構造化とか、言うならばめり張りを付けるという部分ですけれども、それは各学校でできる部分、まさにそこをするのがカリキュラム・マネジメントなんだろうと思います。そういう意味で、指導要領でいろいろ各教科で教えるべきことは当然教えていただくということですけれども、200ページの教科書を年間授業の時間で割り算すればいいという話ではないということ、これがまさにマネジメントであり、構造化だと思いますので、ありがとうございました。
  ほかにはいかがでしょうか。品川委員、失礼しました。
【品川委員】    ありがとうございます。すごく分かりやすくなっておりまして、もう少し、個々の見出しと中身を見ないと分からないところもあると思いながら、頂いた資料に対して現時点で少々分かりづらいかもしれないと思ったことについて、申し述べたいと思います。まず総則第1の、これは小学校も高校もそうなんですけれども、生きる力、確かな学力、豊かな心、健やかな体と、これは法にある従来の言葉が書かれてございまして、その次に育成すべき資質・能力とございます。これは昨晩頂いた資料4の最後のところ、参考で「コア」を構成する資質・能力(イメージ)というのがございまして、これは高校の話だと思うのですが、今後は多分こういうふうになっていくのかどうかわからないのですが、今の書かれ方ではこの関連が分かりづらいと考えます。例えば豊かな心のところに、道徳科を要した道徳教育とございます。豊かな心というのは道徳教育だけで育まれるものではないはずで、これまでも議論の中で随分、教科横断的に例えば問題解決スキルであったり、論理的思考だったりを付けていこうと出ておりましたが、それはこの豊かな心も全く同様だと思うんです。ここに教科がぽんと出てきますと、ぱっと見たときにそこだけでやると思えてしまい、他との関連性がわかりづらいと思いました。
  それから、育成すべき資質・能力については議論を重ねてまいりましたが、今の見出しをぱっと見るかぎり、やっぱり何のことだろうと思う気がします。この見出しのところにしっかりと三つの柱とそれが何か、知識だったり、人間性であったりということを入れておくこと、特に論点整理の細部に書かれてあることをしっかり書き込んでいくことがすごく大事だと思いました。
  もう1点は、4の特別な配慮というところです。最初の資料の、論点整理を踏まえて追加又は整理すべき視点のところには、すぐれた才能と入っておりますが、こちらにはそれが抜けております。それは何か理由があるのかということが質問です。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。最初の方のポイントは、まさにそこをしっかり書こうということで、まだ文書が書かれていないのでありますけれど、文章化の中で見出しも工夫したいと思います。
  2番目の方は何か。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。資料3-1の2枚目をごらんいただきますと、実は第3のところに、個に応じた指導の充実ですとか、発展的な内容ですとか、そういう事項も入っておりまして、それと第4のところの特別な配慮を必要とする児童への指導というところの関係性をしっかり付けながら書いていく必要があるかなと思っております。
  第4のところは、いろいろな制度的な配慮も含めて、トータルでしっかり記す必要があるということと、今度、第3のところの個に応じた指導のところで特別な才能とか、そういったこともしっかり位置付けていくということ、そして、その両者がばらばらではなくて、関連する部分もかなり視点としてはございますので、その辺の記載ぶりは極めて注意してやっていきたいというふうに思っております。
  あと、済みません。議論を頂いております資料5でございます。恐らくちょっとタイトルがまずかったかなというふうに思っておるんですけれども、先ほど牧田委員から、これは当然各学校が関連付けてやっているということで、そのとおりなのではございますけれども、総合的な学習の時間でありますとか、特別活動を学ぶ意義ということを議論する際に、それと各教科がどのように関連付いて、教育課程全体の中でどういう位置付けにあるのかということを改めて確認していこうということが議論されているという中で、こういった図が一つ、必要だったということが理由の一つと、もう一つは、そのカリキュラム・マネジメントという中で、指導要領の資質・能力をそのままというよりは、各学校が主体的に資質・能力の設定ということを考えていくということを何らかの形で示していくということが一つ、重要だったという少しボトムアップ的な議論の中で作らせていただいているものであります。
  そういう意味では、きょう、御指摘いただいたとおり、少しカリキュラム・マネジメントの全体像というよりは、各教科の関連性、あるいはそれと指導要領の資質・能力と各学校が設定する資質・能力の関係性を示した図というものに留まるものだというふうに思いますので、これとは別に、またカリキュラム・マネジメントの図ということはしっかり御相談をさせていただきたいと思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。ほかには。清水委員、お願いします。
【清水委員】    ありがとうございます。それでは、3-2の方を見させていただいたときに、3-1との比較で、3-1の方の第3のところでは、ポイントとして、「アクティブ・ラーニングの視点に基づく」という書きぶりで、これについては示すということが書かれているわけなんですが、高校の方の3-2の方では、第4款の下のところにこのようなポイント的なことを示していただいた方がよろしいのかなというふうに思いましたので、何らかの意味を持って抜けているのかもしれないんですけれども、小中と同じようなポイントとして、アクティブ・ラーニングの視点に基づいてこれらがあるんだということを示していただけると良いのかなというふうに思いました。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。その辺は多分入れ込めると思います。ありがとうございます。
  それでは、渡瀬委員、お願いします。
【渡瀬委員】    お願いします。今回のこの新しい学習指導要領の中で、今まで議論してきたような資質・能力を育てていこうとしたときに、評価の在り方が変わったり、いろいろなところで、教員が今まで以上の工夫をしなくてはならないことが起きてくると思います。今までも教員の忙しさということが随分話題として上がりましたけれども、これからますます教員は忙しくなることが予想されます。そのような中で、総則でクラブ活動の在り方ということについても触れなくてはいけないと思うんです。項目としては上がっていますけれども、このクラブ活動は今後どうあるべきなのかということについて、どこかで議論がなされてきたかどうかということをお伺いしたいと思いました。話題には出ていたのかもしれませんけれども、クラブ活動の在り方は抜本的に考えなくてはいけない問題なのではないかと思います。
【無藤主査】    クラブ活動というか、部活動。
【渡瀬委員】    部活動です。
【無藤主査】    それは何か。
【大杉教育課程企画室長】    実は先日、中学校部会がスタートをしまして、その第1回は課題の洗い出しということをしていただいて、そこで御議論をいただいた中に入っている手法でございます。もちろん中学校だけではないんですけれども、恐らく中学校で整理していただいた課題が、ここも含めて共通に整理できるかということで、第2回目以降、洗い出した課題を基に集中的に御議論いただく、学校の、どういった教育機会を多様に提供していくかということと、その体制作りを少し新しい視点で見直していくべきではないかという御議論をいただいておりますので、是非その議論の状況をまたフィードバックさせていただきたいと思います。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  では、神長委員、よろしいでしょうか。
【神長委員】    全体、大変整理されて、私は幼児教育部会の中に幼小中高という流れが、この会で確認をできて、これまでの幼児教育部会の中での議論といいますか、それが少し整理が付いてきたかなと思って伺っておりました。
  その中でなんですけれども、非常に総則の書き方、今、小学校と高校のものですけれども、これで幼小中高が一つ一貫した流れで書かれると、多分、学校段階を超えて、いわゆる、それぞれ教育の特色があるわけですけれども、それを理解するのに、全く別々な書き方で基本方針が書かれているよりも、同じ項目の下で、何が一貫していて、何が独自なものなのかというのが大変読みやすくなるのかなと思って整理されて、よかったなと思っております。
  ただ、私は、やはり幼児教育部会ですので、そこからすると、今まで幼稚園の場合には、幼稚園教育の基本というところから始まっておりましたので、それが小学校、高等学校というところで、恐らく中学校も同じような書きぶりになってくるのかと思うんですけれども、この中に共通して書かれるものと、やはりそれぞれの中、今、現行にある幼稚園教育の基本が非常に一人一人を大事にしようとか、遊びや学習であるということやら、いわゆる資質・能力という形では今の段階では書いていないのですけれども、そういった内容も触れていくことにはなるとは思うんですけれども、ある程度は、それぞれの学校段階の特色が出ると解釈してよいのかどうかだけ、ちょっとお伺いしたいなと思っております。これが、より一貫したものだけを出していくというよりは、そこの中に特色、それぞれの学校段階で言われるところの特色というものを踏まえることが一つあるのかどうかということです。
  あと、もう一つ、先ほど来から出ておりました資料5のことなんですけれども、私は、いわゆる幼稚園の場合には、園運営と教育課程の編成という、園運営という全体計画の中で教育課程をどう作っていくのかということを常に考えていかないと。つまり、ここで言います家庭や地域の協力の下で、それを時には資源としながら教育課程の充実を図っていくとか、教育課程で実施したことを家庭や地域に発信していくというような、行ったり来たりというのはすごく大事にしておりますから、きっと、この黄色の部分と緑の部分の比率から言うと、緑の部分が割合大きな比率になり、教育課程を支えているというような形になるのかなと思いますし、この「教育課程外の教育活動」ということと、この黄色の部分は教育課程全体を指しているんだと思うんですが、要するに、教育課程内の教育活動を指しているんだと思うんですけれども、やはりこういった教育課程外の活動と教育課程との活動との関連を示すという意味では、「カリキュラム・マネジメントの全体像」とはなっていますけれども、やっぱり学校運営の全体像というような解釈をすると非常に分かりやすいかなと思って。ただ、これをどういうふうに有効に活用していくのかとか、それぞれの資源として活用していくのかとか連携をしていくのかというところで、きっとマネジメントというものが、この矢印の中の中身が見えないというところでは工夫が必要なのかもしれませんけれども、教育課程と教育課程外とか家庭や地域と教育課程の問題というのは、解釈、非常によくできたというような感想を持ちました。
【無藤主査】    ありがとうございます。2番目の方は、幼稚園だけのことではないと思いますけれども、教育課程外、あるいは、もう少し広く、園の運営、あるいは保護者、地域との連携が教育課程を支えるということがもうちょっと見える形にやっていく方が、広い意味でのマネジメントが分かりやすいということだと思います。
  1番目の論点は、幼小中高それぞれの学校段階を今回、資質・能力を柱として、あるいは、それぞれに固有の見方、考え方を明確にしながら、いわば縦の柱というんですかね、それをはっきりさせているわけですけれど、当然、学校段階の横の特徴を組み合わせていくだろうと思います。特に総則を念頭に置いた場合には、どちらかというと共通性を中心に構成していると、そんな理解を私はしておりますけれど、事務局は何かございますか。
【大杉教育課程企画室長】    共通性として横並びを図っていく部分と特質を踏まえた部分と出てくると存じますし、特に幼児教育要領は総則的な部分でも、全体、ある意味、各教科に当たるようなところとの関係性も、総合的な指導という中で、かなり密接に書かれていると思いますので、そういった特性はしっかりと踏まえながら、横並びを図っていくということかと思います。
【無藤主査】    ありがとうございます。
  では、奈須委員、お願いします。
【奈須委員】    よろしくお願いします。全体としては、これまでの総則に比べてとても分厚くなっていて、今回の議論を踏まえているかなと思います。改めて確認と思うんですけれども、先ほど、牧田先生が言われたこととも関係するんですが、ここに示されたものがいろいろ出ているということではなくて、それは構造的な把握が出てきて、現場の先生方が自在に使えるようにするということの配慮が、今後いろいろ要ると思います。
  一つは、この先の解説書とか、いろんな指導資料等で示していく、あるいは初等教育資料等で具体に示していくことだと思いますけど、この構造自体も、やっぱり見えやすくするということ、理解しやすくすることが大事かと思うんです。現行の今の3-1の2枚目の私なりの理解でどうかと思うんですけど、例えば、第1のところ、「基本」となっていますけれど、これは学力論、目標論を示しているのかなと思いますし、2のところは「教育課程の編成」となっていますから、いわゆる内容編成論なのかなと思います。第3のところは「実施と評価」となっていますけれども、いわゆる教育方法論、評価論を示しているのかなと。4のところは特別配慮ということだと思いますけれども、5のところは経営ということかなと。つまり、ある種、学問的に共有されている構造と対応していると、学術的な理解もそうだし、現場にも伝えやすいし、現場でもずれないかなと思っているんですけれども。つまり、カリキュラム編成というのは、かつてラルフ・タイラーが示した、タイラーズ・プリンシプルというのがありますけれど、目標論、内容論、方法論、評価論の四つが要るんだというのは、もう半世紀以上前からの議論ですけれど、それと対応しているのかなと思って、今、見ていたんですけれども、そういった、ある種の論理構造として明晰になるといいなと。それを確認しながら、またさらにお進めいただければということが、まず1点目です。
  2点目として、1の3のところ、「小学校教育を通じて育成すべき資質・能力」のところ、三つポツがございますけれども、まず、育成すべき資質・能力とは何かという議論が、生きる力と法令上の規定との関連で出てきて、次に、「各教科等の目標との関係」、目標となっていますけれども、多分、各教科等との構造的な関係ということだろうと思います。
  ここの中で、今、資料5に出ているような、各教科、領域等の関係、教育課程全体が、ただ、いろんなものがバインドされているんではなくて、構造的に役割分担をしながら相互に支え合って、互恵的に形成されているという論理が書かれるんだろうなと期待をしております。
  その次のところなんですけれども、「各教科等の目標の実現のために見方・考え方を働かせた学習活動を実現すること」と、まあ、そうだろうと思います。ただ、これはどう解釈するかなんですけれども、資質・能力があって、資質・能力を実現するために各教科があり、その構造があり、目標があり。すると、次の教育方法、これ、学習活動を実現する。教育方法の話になるときには、もう既に各教科の目標の実現に向かっていけば、各教科の目標は資質・能力を反映しているから、結果的に教育活動全体の資質・能力も実現されるというロジックになるのかな、どうなのかなとか思って見ています。
  つまり、これでいいと私は思っているんですけれども、より上位に位置づく資質・能力というのが、いわずもがなだからということで、ここでは特には明示されず、いきなり次の「各教科の」と、いわば1段階スキップした記述になっているのだろうと読んだのですが、1段階落としてしまった途端に、結局、従来通りの意味合いで教科をやればいいのよねと、短絡的に解釈されないかと、ちょっと心配しています。もちろん教科の中に、この資質・能力の三つが反映されるのでいいんですけれども、各教科の目標というものが、今のようなコンテンツにぐっと寄ったようなことのために使われるということに、多分ならないと思うんですけど、ならないといいなという程度のことなんですけど、ここが今、間接的に2段構えになっている論理構造で本当にいいのかどうか、ちょっと気になったものですから、また内部で御議論いただいたりしてと思いますというのが、2点目です。
  次ですけど、2の一番下のところですけど、「合科的・関連的な指導」、現行でもあるもので、これが現状では横断的な学びを作ることの一つのとりでになっているわけですけれども、この「合科的・関連的な指導」というのが、以前から書かれているものの、現実的にはなかなか展開がなされていなくて残念だなと思っています。時数のこと等も含めて、うまくやっていく上で、これ、とても大事だと思っています。カリキュラム・マネジメントの中核だと思いますけれども、このことを少し、重点化して書いていくといいなと思っているのと、今、小学校を見ていますけれども、中学、高校、どうなっていたかなと。中学、高校でも、このことはかなり強く出していければなと今回は思っています。中学校の先生あたりは、多分、単元計画や指導案は各教科ごとに書かなければいけないんだと、時数もそうなんだと思っていて、小学校もそう思っている人いますけれども、この辺をどう突破していくかということが、横断的にやってねと、カリ・マネのトップで言ったものの、実現する際の具体的な方略はここになるので、これの出し方は今回、すごく大事かなと思っています。中高でも、何かの形で広げていきたいなと思っています。
  4点目ですけど、右の方に行って、第3の1、「見方・考え方を働かせた学習指導の充実」となっていて、これ、教育方法の改革、アクティブ・ラーニングに基づくものが、「見方・考え方を働かせた」という記述の中に込められているんだと思いますけど、その一番上の赤字があった後の「言語活動の充実」以下は、現行の総則にある学習指導の工夫、改善等の項目だと思うんですけど、これ、このままでいいのかなと。つまり、教育方法をどう示していくかって、今回、すごく大事だと思うんですけれども、資質・能力を実現できるような各教科の目標に変え、内容編成に変えていく。けれども、さらにそれを教育方法の水準で可能な範囲で記述をして、改革を進めていただくことで、資質・能力の実現に結び付けるというロジックだと思いますけれども、すると、ここの下の項目、これからまださらに検討だと思うんですけれども、これでいいのだろうかと。
  今載っている「言語活動」以下の「個に応じた指導」「コンピュータ等の活用」等は、今後ももちろん大事なことですけれども、ここに横並びで、このまま残存させて書いていくのか。何か、再構造化をする必要があるのか。あるいは、「見方・考え方を働かせた深い学び、対話的な学び、主体的な学び」という一つのくくりとは、また別のこととして出していくのか。幾つか選択肢があろうかと思います。「学校図書館の計画的な利用、読書活動の充実」ということあたりとかが、上とどう絡んでくるのかということが。横並びにしてしまうと、逆に、ただ工夫が一つ付け加わったという見方にされかねないということもあって、今回、教育方法について、資質・能力という学力論であるとか内容編成論とか教科の目標論まで含めて、一種の全体が絡みながら展開していることがとても大事で、すると、ここの部分も、在来のものも再構造化する、あるいは別建てで記述する、幾つかのやり方があるかと思いますけれども、そういう関係的に変化した結果がここにあるんだということを示す。それが、ある種の分かりにくさにつながるんじゃないかということが、先ほどの牧田先生の御疑念でもあると思うんですけれども、ここ、ちょっとポイントかなと思っていました。
  それから、細かいことなんですけど、第1の2の「『生きる力』の理念に基づく知・徳・体」、これはもうずっと、このところ、大事にしておられるもので、これでいいかと思うんですけど、この時点から振り返ってみると、「確かな学力」のところが、「学力の3要素」の横に「児童の学習習慣」とあって、大事だし、構わないんですけど、アクティブ・ラーニングとか主権者教育とか子供の自立的な学校生活の創造とかというのがぐんぐん見えてくる中で、学習習慣、まあ、学習規律じゃないからいいかなと思っているんですけど、「学習習慣」という表現で今回いいんだろうかと。これは政策の連続性とかいうこともあるので、下手にいじることは余りよくないとは思うんですけれども、何か、ここが時代的にちょっと古いというのかな、私の誤解かもしれませんが。
  つまり、今回、総則の中で、新しい動きというのは、単なる付け加えることではなくて、構造的に再編成をしているわけだから、現状の総則も非常にいいものなんですけれども、その項目をどう残存させたり組み入れたりするかということは、かなり慎重にというか、構造的に考える必要があるのではないかなということが、まずあるかなと思いました。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。三つ、四つ、非常に重要なポイントを押さえていただいたので、要するに、論理的な構造をより明確にしていくことと、資質・能力を中核とした在り方というものが、別な言い方をすれば、構造的に表すということで、それが、ただ大事な項目を羅列していると見られるのでは困るよということです。その辺、事務局と一緒にさらに検討したいと思います。ありがとうございます。
  齋藤委員、お願いします。
【齋藤委員】    全部、いろいろ提言とかそういうのがまとまって、見ていてわくわくするんですけど、ほかの委員もおっしゃっているように、一番の心配は、もう既に皆さんが忙しい中で追加するという中で大丈夫かなという視点がちょっとあるんですけど、その中で思ったのは、ここに書かれているように、ICTとかプログラミングと書かれているのはうれしいんですが、やっぱり私として気になるのが、今までの英語教育と同じやり方だとまずいなという気がして、何を言いたいかというと、英語とか、特にICTというのは、私としては、やっぱり手段であって、それを単体で割り出して教えるとかというよりは、ほかの授業の中で反映していくというような方が絶対大事だと思います。それを、試験に通るためとか、はい、できたとかと言って、そして、それを終わらせたから次に行くというようなことだと、これは全然知識にもつながらないというようなところもあって、それがもう日常的に、普通に違う授業の中で使っていくというような方で是非やって、あえて、さらに項目を設けてICTというものを教えるのは、私としては一つの注意点です。
  もう一つは、ただ、逆に、プログラミングというのがここに書いてあるので、すごいうれしいんですけど、プログラミングはプログラミングで、これはもう立派な、ただの言語として考えるということで、本当にそれは是非、ほかの部分の中でも、チームワークとか、そういうのもいろいろ書かれているので、そういうようなものは、プログラミングはプログラミングで教えないといけないんですけど、それは逆に、ほかのいろいろ課題を反映して、チームワークを生かすとか、そういうようなことを是非使うということで、さらに授業として、ICT授業を持つとかというようなことでやるのは、是非個人的には注意してほしいというだけです。
  以上です。
【無藤主査】    御指摘の点は、プログラム教育の協力者会議に是非、重要な論点として生かしていただきたいと思います。
  それでは、上田委員、お願いします。
【上田委員】    ありがとうございます。この総則の中で、幾つか配慮すべき点が列挙されていますけれども、その中で一つ、重要なことだと思うことは、いろいろ外的、あるいは経済的な理由で初等・中等教育を受けるのが突然著しく困難になるような、そういうお子様は結構たくさんいらっしゃると思います。こういう教育を受けるというのは、私たちは基本的人権の一部だと思います。いかなる家庭的事情とかに関わらず、国がきっちりと教育を受けることを担保することが必要だと思うんですけれども、そういうことはどこにも書かれてないんですけど、別なところに書かれているのでしょうか。例えば、経済的事情とか、そういうことによって著しく困難になっている生徒さんをどうサポートするかとかというのは、そういうのは配慮とかという事項にどこにも書かれてないんですけれども、そういうのはどういうふうに考えたらいいんでしょうか。
【無藤主査】    そのあたりはまだ項目、目次立てのトップに出てないんですけれど、家庭、地域との連携とか特別な配慮を要するとか、そのあたりで、家庭、地域での困難を抱えた児童・生徒への支援、特に義務教育レベルでの支援というものについてはもう少し踏み込みたいと思います。
【上田委員】    特に小学校段階の入り口の段階で十分な支援が受けられないと、やっぱりその後の一生に関わるようなことだと思うんです。それは明らかに、それぞれの生徒さんには何の責任もないことで、そういう基本的人権に属するような教育を十分なサポートで受けられるというのは、やっぱり国の教育の見識じゃないかと思います。そういう意味で、どこに書くかというのは私はよく分からないんですけれども、しっかりと担保しますということが明記されていることがやっぱり必要じゃないかなという気がしました。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。事務局はよろしいですか、とりあえずは。
  それでは、もう一つ、3番目の議題がございますので、そちらに進ませていただきたいと思います。
  ああ、ごめんなさい。見逃した。池野委員、どうぞ。
【池野委員】    時間がないのに、済みません。
【無藤主査】    大丈夫です。
【池野委員】    この総則の項目を見たときに、やっぱり大事なことは、学校の先生がこれを読んで、教育課程が見通せることだと思います。これまで、ここの企画特別部会でも問題になっていたのは、「横串」とか「縦串」とかいう言葉が使われていましたが、小学校、中学校、高等学校、幼稚園も含めると、幼稚園から大学まで含むのかもしれませんけど、各学校段階間の関連とか見通しが持てるかどうかというのが一つだと思うんです。私、三つ言いたいんです。各小学校、中学校、高等学校の学習指導要領の総則部分で書き足してほしいといいますか、どっかで書かれるといいかなと思うことなんです。一つは、学校間、小学校、中学校、高等学校間の資質・能力と目標だとかそういうものはどういう関連になっているかが見通せるようになっていること。どうしても小学校は小学校の指導要領あるいは総則しか、学校の先生というのはなかなか読まないんですよ。ですから、できれば、第1の項目の小学校教育の基本のところにある1、2、多分、1、2は、中学校、高等学校と同じような文章が出てくると思われるので、その次のところに幼稚園から高等学校までの全体的な資質・能力と学校教育目標なりそういうものの関連みたいなものが出てくるといいかな。どういうように関連しているかとか、資質・能力がどういうように構造化されているかというのが大事なことではないかなと思います。
  その資質・能力が、ここでも議論されていましたけれども、三つの知識、技能とか思考、判断、表現とか学びに向かう力とか人間性とかいう三つの項目で一応考えられているわけですけれども、そういう構造になっていますよということも知らせておかないと、なかなか理解できないんじゃないかなというのが1番目です。ですから、第1の項目の中に、基本的にどういうような小中高と資質・能力と学校教育目標の実現との関連があるかというのが見えることが一つです。
  二つ目は、第2のカリキュラム・マネジメントは、多分、現在出されている資料5の、ある面、概略的な説明がなされるのではないかなと期待しているんですけど、そのときに、概略を多分説明するときに、やっぱり教科と各領域、それから、教育課程外の活動という、今、資料5に書いてあるものが、どういう関連でどこまでできるのか。それから、学習指導要領そのものは、当然、マキシムじゃなくてミニマムだと思うんです。最低限のことはここまでやらないといけませんよということを実現して、学校がそれぞれの状況に応じて、どういうようにカリキュラムを作ったり、もっと発展的なものを作れるようにするかというのを保障しているわけですから、それが見えるようになっているといいかなというのが二つ目です。
  三つ目は、第3の1の「見方・考え方を働かせた学習指導の充実」というのを、先ほど奈須先生も御説明されたり、議論して、大事なことだと思うんですけど、一つは、見方・考え方の表現なんですが、言葉の表現、中黒を使われるのか、「見方や考え方」という、これまで使われてきたものを使われるのか、多分どっちかに統一されるんだろうと思われますけれども、ここで見方・考え方を働かせた学習指導の一つの構造みたいなものが出てきて、教科の間でどういう学習をしたらいいのか、あるいは領域ではどういう学習をしたらいいのかというのが多分出てきて、資料5の中の一つ一つの、「各教科」で言ったら、矢印から三つのものを実現するものの一つのコンパクトなものが出てくるんだと思うんですけど、それが実際にどういう形で実現可能なのか、あるいは、どういうことをすればいいのかの事例が要るんだと思うんです。多分、一番初めの「見方・考え方を働かせた深い学び、対話的な学び、主体的な学び」というのは、どんなことをどういうようにすれば可能なのかの事例がないと、なかなかやっぱり全体的に何をどうすればいいのかが分からないだろうと。事例を入れると固定化される可能性もあるんですけど、先生方が読もうと思うときに、一々、やっぱり深い学びはこうですよという定義とともに、実際にこういうことが必要ですよという事例が要るんじゃないかなと思われるので、その点は配慮していただければありがたいなと。そうしないと、教科間の関連、それぞれの教科の独自性は出てくるけれども、教科間の関連や領域間の関連が出てこないんじゃないかなと思われます。そういう点の結び付きだとか関連が配慮されたものにしてほしいというのが、その三つです。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。3点とも重要なポイントで、指導要領、総則の部分に入れる部分と、事例などは解説書などの工夫もあると思うので考えたいと思います。ありがとうございます。
  それでは、3番目の議題でございますけれども、「小中高等学校を通じて育成すべき資質・能力とその接続」というところでございます。事務局より関係の資料を御説明ください。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。資料4をごらんいただけますでしょうか。
  1枚目は、「各学校段階を通じた教育のイメージ(検討案)」ということで、まだ「案」が入っているものではございますけれども、方向性として、このような形で御検討をいただければということでございます。
  その前提としてでございますけれども、まず、5ページをごらんいただければと存じますけれども、5ページは幼児教育部会におきまして御議論をいただいております、幼児期の終わりまでに育ってほしい幼児の具体的な姿でございます。これまで、平成22年の報告に基づきまして、具体的な姿、12の姿で整理をされておりましたけれども、これを改めて再整理をいただきまして、よりシンプルに分かりやすく、10項目にわたって御整理をいただいたものでございます。こうした姿を幼児期の終わりまでに育むことを目指し、幼小連携の円滑化も考えていくということで御議論をいただいております。
  それから、6ページ目以降が小学校でございますけれども、7ページ目に、各教科において御検討いただいております資質・能力の三つの柱を少し整理させていただいているものでございます。小学校段階の教育目標となるたたき台のものから少し拾わせていただいておりまして、まだまだ検討中のものでございますけれども、教科を並べてみますと、このような三つの柱の整理という形になっているところでございます。
  同様に、11ページ目からが中学校でございます。同じように、三つの柱、各教科について整理をいただいております。
  それから、15ページ目が高等学校でございます。各教科につきまして、ごらんのような三つの柱に基づく整理をいただいております。先ほどごらんいただきました19ページ目以降が、各教科ごとに幼小中高を積み上げたものでございます。書かれている内容は、先ほど表でごらんいただいたものと同一のものでございます。
  こうしたことを踏まえながらでございますけれども、1枚目にお戻りいただきまして、先ほど、池野先生からも御指摘いただきましたけれども、幼小中高の資質・能力のつながりが見えやすいように、各教科と同じフォーマットでございますけれども、学校段階全体として育成すべき資質・能力のイメージを整理していってはどうかということでございます。
  これを整理した上で、また教科にフィードバックして見直しを図ることも考えられると思いますけれども、現在、各教科の資質・能力を整理した大体のイメージですと、例えば小学校段階では、「日常生活から身近な社会生活を送るに当たり必要となる資質・能力」、中学校段階では、義務教育段階修了時ということで、生涯にわたる社会生活の基盤として、そして、高等学校では、生涯にわたる社会生活やより主体的な社会参画、あるいは、その後の専門的学習や職業につながるような資質・能力の育成を目指していることが見えてくるわけでございます。
  青字の囲みの部分でございますけれども、義務教育を終える段階で身に付けておくべき力は何か、あるいは18歳の段階で身に付けておくべき力は何かという観点から、幼小中高を縦のつながりの見通しを持って、資質・能力の在り方を系統的に考えていくことが論点整理では御提言を頂いたところでございます。
  これを踏まえまして、小中高、育成すべき資質・能力の三つの柱に沿って、各学校段階で育成すべき資質・能力を整理することとしてはどうかということ。そして、総則において、各学校段階の教育を通じて育成すべき資質・能力、そして、それは幼小中高の見通しも併せて示す必要があると思いますけれども、例として示してはどうかということでございます。
  このうち、幼児教育につきましては三つの柱ではないんですけれども、これは幼児教育の特性ということで、遊びを通じて総合的な指導の中で一体的に育まれるということで10の姿、無理やり三つの柱ということではなくて、この10の姿を小学校教育につなげていくということで考えてはどうかということで、そのつなぎ方につきましても、生活科のワーキングで、スタート・カリキュラムの在り方で既に御議論をいただいているところでございます。
  そして、18歳までに育成すべき資質・能力ということでは、一番後ろ、36ページ目にございますようなコアということも少し視野に入れながら整理していきたいと考えておりますので、是非こうした方向性について御意見を頂ければと存じます。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。それでは、この育成すべき資質・能力、幼小中高という形で整理しましたけれども、いかがでしょうか。また、御議論、お願いしたいと思います。
【天笠主査代理】    先ほどの総則のところに少し話が戻ってしまうのかもしれませんけれども、近いうちに中学校も出ると思いますし、幼稚園から高等学校まで、総則の全体構造についての資料が出そろうと思うんですけれども、そのことと、今御説明いただいた資料4を照らし合わせて資料4についての説明を伺いますと、幼稚園から高等学校まで、全体像というんでしょうか、全体的な姿についての何がしかのものが必要になってきているように思うわけなんですけれども、例えば、資料4の最後の「コアを構成する資質・能力(イメージ)」というのは、高等学校教育を通じて身に付けるものと、ここにはなっているんですけれども、ある意味で言うと、幼稚園から高等学校まで、そういう段階を踏みながらも、全体を通して捉えていく必要があるんだという、そういうふうに当然捉えることができるかと思いますし、論点整理で、冒頭の1ページの最初の枠で囲まれたところについても、義務教育で終える段階で身に付けるとか18歳段階で云々という、そういうことがあるわけですので、ですから、このこと、当然、ただ高等学校の中だけの話じゃなくて、ある意味では幼稚園から高等学校まで全体を通してということで、先ほど来、何人かの委員の方も言っていて、私、非常に共感しているんですけれども、やっぱり学校間を超えて、全体を見るというんでしょうか、捉える、その全体を捉えた上で、小学校なら小学校、中学校なら中学校で何をすべきなのかという、そういうこととして考えていただく、取り組んでいただくことが、より一層大切になってきているんじゃないか。
  そうすると、やっぱり全体的な姿をどういう形で明示するのかどうなのか、明記するのかになるかと思うんですけれども、従来ですと、それをある意味で言うと、答申文の中で示して、あとはそれぞれという形になるかと思うんですけれども、どうもきょうの総則の全体を、幼稚園から高等学校までをくくるような、言うならば答申文と総則との間をつなぐというんでしょうか、結ぶような、そういう位置付けのものが大切になってきているように思うんですが、それが、ある意味で言うと、この各学校段階を通した教育のイメージということなんですが、これをどういう姿にして明示していくのかどうなのか。とすると、総則のそれぞれ冒頭のところに同じものが、同じ内容を記してそこに置いておくのも一つだと思うんですけれども、そのあたりのところの姿も、また知恵を出さなくちゃいけない一つなのかなと思いました。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。先ほど、池野委員もおっしゃったことと重なるわけですけれども、仮に小学校の指導要領の総則の部分にしても、幼小中高全体像が見える形はどうなのかということです。その辺は、ちょっと工夫が要る感じはありますけれども、大事なポイントだと思います。ありがとうございました。
  ほかにはいかがでしょうか。三浦委員、お願いします。
【三浦委員】    それぞれの校種段階での子供たちの発達の様子は、確かによくまとめられているなと思うんですけれども、確かに、子供たちの発達は時間的に連続しているのは誰でも分かることではあると思うんですけれども、特に校種ごとの子供たちのそのときの姿があって、それは、例えば小学校の学習というのは、必ずしも中学校に行くために持ってなくちゃいけない学力じゃなくて、あるいは、中学校のときの学びは高校に進学するための学びではなくて、やっぱりそのときそのときの子供たちの生活を充実させるために必要な学びなんだという位置付けが私は必要なんじゃないかなという気がするんです。
  つまり、いつも次の段階で恥ずかしくないように、今のうちにちゃんと学んでおきなさいという論理で続いちゃうような気がして、やっぱりもうちょっと各校種での子供たちの発達段階といいますか、校種での子供たちの姿をもう少し明確になるような書き表し方ってできないのかなという気がします。
  以上です。
【無藤主査】    先ほどの言い方で言えば、縦の柱、つながりとともに、校種ごとの横の特徴をどう表すかということでしょうか。それをより具体的な姿まで踏み込めないかということだと思います。検討したいと思います。
  じゃ、牧田委員、お願いします。
【牧田委員】    ありがとうございます。全体像をこうやって書き表していくのは非常に大事なことだと思いますし、これをそのまま進めていけばいいと思うんですが、ちょっと話がずれるかもしれないんですけれども、各教科、例えば、国語でも数学でも理科でも、左側に、ページで言うと算数、数学教育の21ページなんですが、ほかの教科も同じなんですけれども、左側に「改善のためのPDCAサイクル」ということで、一番左側に高等学校基礎学力テスト、小中のところには全国学力・学習状況調査、これでPDCAサイクルを回していって、算数、数学教育を積み重ねていきましょうというのは、少し誤解が生まれるんではないかなと。
  資料の一番最後の36ページの「コアを構成する資質・能力(イメージ)」のところにも、A、Bとあって、Aで、「筆記試験や実技試験等による客観的な評価の対象としやすいもの」ということでは、アとイの半分ぐらいのところに枠があるわけで、前回も議論ありましたけれども、何をもって到達したと見るかという、PDCAサイクルを回していくかというときに、ペーパーだけではちょっと誤解を受けるんじゃないかなと。だから、こういう部分はもちろん必要なんですけれども、それ以外のところを、我々、今、スポットを当てて、授業を変える、教員の意識を変えるというところにいっているんじゃないかと思いますので、その辺、工夫が必要かなと思いました。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。確かに、例えば、算数、数学あたりの基礎学力テスト、あるいは学力・学習状況調査、もちろんPDCAサイクルの中に組み入れる重要な資料ですけれども、それが唯一という印象を与えると、ちょっと誤解を招くかもしれませんので、その辺の書き方は配慮したいと思います。
  それでは、池野委員、ございますか。
【池野委員】    ありがとうございます。私は、最後に示された「参考」に書いてある「コアを構成する資質・能力」というのに、理解が十分できないところがあるので教えてほしいことと私の意見を述べたいと思います。今回、このコアの図が出てきて、左側に「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」という学力の3要素と、ア、イ、ウというのは、知識・技能、思考・判断・表現、学びに向かう力とか、そういうものを「確かな学力」のア、イ、ウというように対応しているのかどうかが、まず質問なんですけど、もしもそれが対応していたならば、少し広く取る必要があるのではないかなと思います。特にウに当たる部分、これが資質・能力に当たる部分なんですけど、それは「豊かな心」や「健やかな体」とかいう方向にも広がっているんではないかなという気がするんですが、そのあたりはどうでしょうかということが一つ。
  もう一つは、右側の方に丸が描いてあって、「社会・職業への円滑な移行に必要な力・市民性」と書いてあるんですけど、この市民性というのは、英語では「citizenship」と言われているものですけれども、確かに知識や技能の側面やらそういうものに資すると思うし、豊かな心も重要な、一種の道徳や倫理、公共性や社会奉仕とか言われるサービスラーニングの側面も含んでいると思うんですけれども、一番下の「健やかな体」は外れているように、この図だけ見ると見えるんですけど、やっぱり全体的に下の「健やかな体」まで含んでいると思います。やっぱり体の中を使って、いろんなことを、社会や職業の中の力を付けてきて、市民として必要なものを培ってくるように思うんですけど、この図自体が上二つだけ、「確かな学力」と「豊かな心」だけがそういう力、あるいは市民性に関わるように読める図なんですけど、そういう点もそういうのになっているんでしょうかというのが二つ目の質問です。
  できれば私としては、「確かな学力」については、あるいはア、イ、ウが「豊かな心」まで広がるんじゃないかなというのが一つと、緑っぽく円が描いてあるのが三つの学力まで含んでいるんじゃないかなと思われることが私の意見です。
  以上です。
【無藤主査】    今の点、池野委員の御指摘のような気がいたしますが、事務局から。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。このコアの整理でございますけれども、その前のページに、高等学校教育部会の審議まとめということで、26年6月に整理をいただいたものでございます。中教審の高等学校部会でございまして、したがいまして、資質・能力の三つの柱という整理がなされる前のものでありまして、現時点での解釈で申し上げれば、池野先生御指摘のとおり、もう少し「確かな学力」と「健やかな体」と「豊かな心」というのは一体的に捉えた上で、資質・能力の三つの柱で整理をしていくことが望ましいであろうと。「健やかな体」に関しましても、体育ワーキングで山口主査のところで御検討いただいているとおり、そのために必要な知識もございますし、その中で育まれる人間性というものが市民性と、公正というような視点も大事にしながらやっていただいているというようなことは密接に関わってくることでございましょうし、そういう意味では、資質・能力の三つの柱ということで、しっかりコアの要素を捉え直していくことが今回必要になっていることかと存じます。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  それでは、ほかの方、いかがでしょうか。上田委員、どうぞ。
【上田委員】    ありがとうございます。この一番最後の、36ページの僕のコメントの続きです。例えば、「確かな学力」、ア、イ、ウというものがありますけど、アとイというのは基礎的な知識・技能を、いわば授ける部分です。これは与えることができるものですけれども、ウというのは、「主体的に学習に取り組む意欲・態度」ですから、これは育み、しかも引き出さないといけないことです。「豊かな心」あるいは「健やかな体」も、多分同じカテゴリーに属するもので、そのために右に適切に二つに分類されていますけど、それをいかに的確に評価して改善していくかのプロセスとして、Aの部分は比較的確立しているわけですけれども、Bについては「それ以外」と現状では書かれていまして、むしろここのところを充実させることができるかどうかが今回の目的である、ウ以降のところをいかに効率的に改善し、その目的を達成するための重要な項目ではないかと思いました。
  以上です。
【無藤主査】    御指摘のとおりだと思います。今、Bってすごく大ざっぱにまとめてあるわけだけれども、その中でも何とか、ある程度客観性を持った評価とか、教師が主観性を持ちながらも幾つかの分類ができるものとか。いずれにしても、改善のための資料を取り出すようなものというのは、もう少し丁寧に書けるかと思いますので、この辺は高等学校部会とも連絡しながら検討を進めてもらいたいと思います。
  ほかにはいかがでしょうか。ございますか。よろしいですか、きょうのところはですけれども。
  じゃ、まだ終わりのように……、いろいろ資料をごらんになって消化し切れないかもしれませんけれども、済みません、時間の関係で、では、きょうのところはここまでとさせていただければと思います。
  最後なんですけれども、事務局から報告事項があると承っておりますので、資料の配付がございます。それに基づいての説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    それでは、お手元に、少し追加資料を配らせていただいております。既に少し報道がなされておりますので、内容については御承知の先生方もいらっしゃるかと思いますけれども、本日付けで大臣メッセージというものを公表させていただいております。既に馳大臣、いわゆる「馳プラン」ということで、中教審の3答申の後に、次世代の学校の地域創生の実現ということで出されていますけれども、学習指導要領改訂もかなり取りまとめの段階に入ってきたということ、その一方で、例えば、アクティブ・ラーニングというものに関して様々な理解があって、それに関して、文科省としての考え方をしっかり整理しておくべきではないかというような御意見も、少し別の部会でも頂いているというような状況もございましたので、改めて学習指導要領改訂の方向性を少し整理させていただいて、発表させていただいたところでございます。
  1枚目の1ポツの部分は、これまでの御議論の状況をまとめさせていただいたものでございます。そして、2枚目の部分でございますけれども、現在御議論いただいている内容というのが、現行指導要領の大きな方向性の延長線上にあるものであること、すなわち、ゆとりか詰め込みかという二項対立的な議論に戻ることではなくて、資質・能力、三つの柱で整理いただいておりますけれども、これをバランスよく育むことが大事であること。そして、アクティブ・ラーニングの視点は、知識の量を削減して新たなことをということが主眼ではなく、質の高い理解を図るために学習過程の改善を図っていくことが主眼であるということ。ですから、このために学習内容の削減を行うことが改訂の趣旨ではないこと。既に論点整理でも注意深く提言を頂いているところでございますけれども、この趣旨を、指導要領改訂の取りまとめ段階に入ってきたこの時期に改めて少し整理をして、公表させていただいたところでございます。
  例えば高等学校については、生物系科目、歴史系科目において様々、細かい知識まで問うというようなことが問題になっていて、そういったところは、当然のことながら、知識の構造化ということ、重要な知識を踏まえた構造化をしていく。それが高大接続改革の趣旨であることなどは少し注意書き的に付言をさせていただいておりますけれども、こうした大きな方向性をしっかりと社会と共有しながら、改訂の道のりを進めていくことで改めて出させていただいております。
  そして、こうした理念の下、社会に開かれた教育課程が、3枚目にございますような、教員の指導体制、チーム学校、あるいは地域との連携・協働という中で実現されていくことを目指していくことを、改めて大臣名で公表させていただいたところでございます。
  後ろの方の資料は参考でございまして、先ほど御紹介させていただいたような昨今の情報化ということ、それから、現在、You Tubeで解説動画を掲載させていただいており、論点整理の広報のようなことも少しさせていただいておりますので、その資料。それから、中教審3答申と社会に開かれた教育課程の関係性ということで、3枚、参考資料を付けさせていただいているということで、以上、御報告です。
【無藤主査】    ありがとうございました。この「学習指導要領改訂のポイント」と整理していただいたのが、まさに本部会が、この1年間掛けてやってきたことの要点だと理解しております。つまり、アクティブ・ラーニングなどというものが、従来教えている事柄に加えて、時間が別にあってアクティブ・ラーニングするとかという、そういう話をしているわけではなくて、従来の教科等の内容を教える際に、アクティブ・ラーニングにすべきところを、もっと質を上げてやっていくんだと。そういうことで、質の高い理解を図る学習過程の質的改善ということが、私どもが目指してきたことだろうと思っておりますので、言うまでもなく、学習内容を、アクティブ・ラーニングを入れた部分を減らすとか、そういう議論は一切していないことを改めて確認したと思います。
  一、二ぐらいなら質問をお受けできる時間がちょっとだけあるんですけれども、何かあれば、お受けしますが。よろしゅうございますか。ありがとうございました。
  それでは、本日、おおむね時間でございますので、ここまでにさせてください。また、いつものことで恐縮でございますけれども、限られた時間の中で、いろいろ御意見等ございますと思いますので、それについてはペーパーで後ほど、事務局にお送りいただければと思います。
  本日予定されていた議題はここまででございます。最後に、次回以降の日程について、事務局よりお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    次回でございます。6月28日、火曜日、10時から12時の開催を予定させていただいております。場所については、追って御連絡をさせていただきます。主査からお話ございましたように、ペーパーによる御意見、ファクス、メール、郵送による御意見等をお寄せいただければと思います。逆に、きょう、方向性を御了承いただきました検討事項、なかなか重たい宿題でもございますので、事務局から御相談をさせていただくこともあるかと思いますが、是非よろしくお願いいたします。
  本日の資料、郵送を希望される場合には、机上に残しておいていただけましたら、後日お送りさせていただきます。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。それでは、これで本日の教育課程企画特別部会を終了させていただきます。ありがとうございました。

――  了  ――

【無藤主査】    それでは、定刻になりましたので、ただいまより、中央教育審議会、初等中等教育分科会、教育課程部会、教育課程企画特別部会の第16回を開催いたします。
  本日は、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
  まず、会議に先立ちまして、4月14日より続く熊本県を中心とした九州地方での一連の地震により、尊い命を落とされた多くの方々の御冥福をお祈り申し上げます。また、それとともに、なお被災地において避難されている方々、多くの方々の皆様に心からお見舞い申し上げたいと存じます。現在、我が国では被災地において、昼夜を分かたず救援活動を行っておられる関係機関の方々をはじめとして、国を挙げて多くの人々がそれぞれの持ち場で支援に当たっておられます。被災地の方々の一刻も早い復興を心からお祈り申し上げております。
  それでは、事務局から配付資料についての御確認をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    配付資料の確認をさせていただきます。本日、議事次第記載のとおり、資料1から資料5、その他机上に参考資料を配付させていただいております。不足等ございましたら、事務局にお申し付けください。
  また、本日、学習指導要領の見直しに関しまして、各団体から届けられました要望の一覧を机上の紙ファイルの方で配付させていただいております。昨年6月に企画特別部会でお示しさせていただいたもの、それ以降のものを一体にして、一つのファイルにさせていただいております。また、いつものようにタブレット端末も置かせていただいておりますので、適宜ごらんいただければと思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  それでは、議事に入りたいと存じます。その前に、初めに、本部会の審議等について、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づき、原則公開により議事を進めさせていただくとともに、第6条に基づき、議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うこととさせていただいてございます。よろしくお願いいたします。
  また、本日は、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出がありました。これを許可しておりますので御承知おきください。
  本日でありますけれども、議題三つでございます。1が「論点整理」以降に議論が深められた事項について、2番が学習指導要領・総則の改善イメージについて、3番が小中高等学校を通じて育成すべき資質・能力とその接続についてということでございます。それぞれの審議事項について、まず、事務局より関係資料の説明をしていただき、そして、それについての御意見を頂戴するということで、3回にわたって進めたいというふうに思います。いつものように、御発言のおありの方は名札を立てていただいて、指名させていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
  それでは、早速、議題に入りますけれども、まず一つ目の議題でありますが、「論点整理」以降に議論が深められた事項についての御議論を頂戴したいと存じます。事務局より、関係の資料についての説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。それでは、資料の順に説明をさせていただきたいと思いますけれども、恐らく一番後ろに参考資料の2というものが付けさせていただいているかと思います。各学校段階等別・教科等別ワーキングの開催実績でございます。現在のところ、126回、261時間にわたって各ワーキング等で御審議を頂いているところでございます。これらの審議状況を少しまとめさせていただいたものが資料2-1から資料2-4になります。かなり分厚い資料でございますので、本日、御紹介をさせていただく時間はございませんけれども、資料2-1をごらんいただきますとおり、昨年8月に企画特別部会でおまとめいただいた論点整理、この指摘事項を踏まえながら、社会に開かれた教育課程、あるいはカリキュラム・マネジメントの実現、育成すべき資質・能力の明確化、アクティブ・ラーニングの視点からの学習改善、指導改善ということについて、各教科の特質を踏まえた御議論を頂いており、2-1の右側のような項目に沿って全てのワーキングがまとめに入っているところでございます。
  資料2-2をごらんいただきますと、かなり文章化されているものもございますし、まだまだイメージ図の段階のものもございます。これが順次、ワーキングごとの報告書になって、企画特別部会、あるいは課程部会の方にお諮りさせていただくというような段階でございます。
  そして、各教科別のみならず、学校段階別、あるいは総則・評価部会における議論も活発に進めていただいております。本日は、主に資料の1、それから、後ろの方に資料5というものが1枚ございまして、この資料1と資料5に基づきまして、論点整理以降に議論が深められた、主に総論的な事項について、ごらんいただきながら御議論を頂ければというふうに存じます。
  趣旨でございますけれども、今後、審議まとめ、あるいは答申の取りまとめというところに向かっていくに当たって、8月の論点整理というものがたたき台になりながらということですけれども、この後に審議が深められた事項を少し内容的に追加をしながら、審議まとめ、答申に向かっていくという段階でございますので、その内容を少し御紹介をさせていただきながら、更に御意見を賜れればというふうに思っております。
  資料1をごらんいただきますと、左側に論点整理における記述がございます。項目別にございます。右側に赤い枠で示しておりますのが主に総則・評価特別部会における議論等でございますけれども、8月以降に少し、議論がさらに深まったものでございます。順次、御紹介をさせていただきたいと思います。
  まずは、学習指導要領の背景ですとか、あるいは情報活用能力の育成に関しましては、最近、様々な動きがあったところでございます。資料1を一つおめくりいただきますと、学習指導要領改訂の背景ということでございまして、既に論点整理におきましては、情報化、グローバル化という変化の中でも未来を作り出していける、そのために必要な資質・能力ということで御議論を頂いているところでございますけれども、最近、とみに人工知能の進化ということの影響が様々なところで指摘されているところでございます。この人工知能の進化ということ自体、ディープ・ラーニングということでございますけれども、人間の学習課程、概念的なものを獲得していくという人間の学習課程を模しているという意味では、そうした学習課程の強みを実証しているものではないかということ。そうしたことも踏まえながら、新しい教育課程で学校教育の良さを更に進化させていくということ、質の高い学習課程でありますとか、あるいは情報活用能力の育成ということ、こういったことにしっかりと取り組んでいくということが様々な政府の会議でも議論させていただいているところです。
  その一つが2ページ目の産業競争力会議の資料でございます。主に情報化ということの中で新たな価値の創造ということに必要な力を育んでいくということ、3ページ目の下には、三つの論点整理で整理いただいた柱に沿って、様々な課題を主体的に解決していける能力、あるいはその中でICTを手段として使いこなす力ということを整理させていただいているところでございます。こうしたことを文科省のみならず、政府としても共有しながらということで、8ページ目の下でございますけれども、「社会に開かれた教育課程」の実現に向け、官民が連携ということで、文科省として情報活用能力の育成、あるいはICTを活用した次世代の学校の創生ということを図っていくということとともに、経産省、総務省等とも連携しながら、官民コンソーシアムの中で教育環境のICT化、あるいは情報活用能力のしっかりとした育成を図っていくということも議論がされているところでございます。
  そして、併せまして、12ページ目が小学校段階におけるプログラミング教育に関しまして、これは今月13日に第1回を開催させていただく予定でございますけれども、中学校、高等学校、技術、あるいは情報課でプログラミング教育を実施することになっておりますけれども、小学校段階における在り方はどのようにあるべきか、13ページ目、下にございますように、様々な資質・能力の育成に資するという反面で、学校、小学校段階で果たしてどこまでを目指せばいいのか。日本のカリキュラムに合った教材の開発、あるいはその時代とともに技術が変化しても生かせる能力につながるかどうか、こうしたことをしっかりと検証していく必要があるということで、15ページ目のように、この場にいらっしゃる先生方の御協力も得ながら、今後、有識者会議を進行させていただき、一定の取りまとめをした上で、この部会にもつながせていただければということでございます。
  それから、16ページ目、これは既に御紹介させていただいておりますけれども、アクティブ・ラーニングの中で、深い学びの視点、特に各教科の見方や考え方ということでございます。
  先日、高等学校部会で御議論いただいたペーパーが20ページ目、少しページ数が見にくいですけれども、20ページ目でございます。論点整理におきましては、深い学び、対話的な学び、主体的な学び、20ページ目の上にございますような三つの柱で整理を頂いております。これを更に少し深めたような形で整理を頂いているのが下のピンクの枠囲みの中でございます。特に深い学びにつきましては、教科等の特質に応じた見方や考え方を働かせて学びを深めていくということの重要性、あるいは対話的な学びということに関しましては、他者との協働や外界との相互作用ということを少し分かりやすくかみ砕いております。また、主体的な学びの中に、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながらということを新たに位置付けさせていただいているということで、少しアクティブ・ラーニングの深い学び、対話的な学び、主体的な学びについても議論を深めていただいているところです。
  そして、それと資質・能力の関係性を整理させていただいているものが21ページ目になります。21ページ目、真ん中辺の右側に、生きて働く知識・技能の習得、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力の育成、学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性の涵養ということで、資質・能力の三つの柱をこのような形で獲得していくために、深い学び、対話的な学び、主体的な学びという学習課程の質の改善ということが極めて重要であるということでございます。
  そして、具体的に、22ページ目には、少し小さな字で恐縮ですけれども、各教科における見方や考え方、各教科の学びの中で働かせながら、それ自体も成長していくという見方や考え方というものが一体どのようなものかということを整理をしているところでございます。まだまだ少し横並びがとれておりませんので、この横並びを今後とっていくということが重要でございます。
  そして、教科ごとに見方や考え方について御議論を頂いている資料がその後、ポンチ絵で続いているところでございます。40ページ目までが各教科ごとの見方や考え方についてのポンチ絵のイメージでございます。
  そして、41ページ目が「知識」についての考え方ということでございまして、特に芸術分野におきまして、これまで知識とは何かということが必ずしも明確にされてこなかった部分を明確にしていくということで議論を頂いているところでございます。真ん中辺りに「次期改訂における『知識』とは何か」ということでございますけれども、知識については、学習課程において試行錯誤することなどを通じて、様々な知識をネットワーク化させたり、構造化させたりしながら、あるいは身体化させたりしながら、様々な場面で活用できる、生きて働く知識として獲得されていくということが重要であるということ。また、技能についても、その様々な場面で活用できる習熟・熟達に向かうということが重要であるということでございます。
  こうしたことも踏まえながら、42ページ目、43ページ目にございますように、芸術分野においても知識ということを明確にしていく。これはスポーツの分野においても、真ん中にございますように、体育・保健体育ワーキングで知識の明確化をしていただいておりますけれども、こうしたことを通じて三つの柱の明確化ということを図っていただいているところでございます。
  また、44ページ目以降は、いわゆる丸々教育、教科横断的に取り組むべき資質・能力についてでございますけれども、その前に少し資料5をごらんいただきたいというふうに存じます。資料5、カラーの1枚のペーパーでございますけれども、各ワーキングの議論も踏まえてカリキュラム・マネジメントの全体像を少しイメージ化したものがこの紙でございます。これも本日、御意見を頂ければというふうに存じますけれども、カリキュラム・マネジメントについては、既に論点整理で三つの柱といいますか、カリキュラム・マネジメントの考え方について、3点にわたって整理を頂いております。それを踏まえながら、少し図示をしたものでございます。表現ぶり、少し再構成を図っているところもございますけれども、学校現場にカリキュラム・マネジメントの全体像を分かりやすく伝えていくために、少し様々工夫をさせていただければということで、たたき台としてお作りさせていただいたものでございます。
  各学校において教育目標を設定し、それに基づき育成すべき資質・能力を設定していくということ、そして、それに基づいて教科横断的な視点で教育課程を編成していくということ、そして、教科を越えた学校内の連携や地域との連携を図りながら、人的・物的資源を効果的に組み合わせて教育課程を実施していくということ、そして、実施状況に関するデータ等を踏まえつつ、教育課程を評価し、改善していくということ、こうしたことがカリキュラム・マネジメントとして重要であるということでございます。
  そして、各教科や総合的な学習の時間、特別活動、特別な教科、道徳、あるいは教育課程外の教育活動、それぞれの位置付けについても、これまでの議論を踏まえながら記入をさせていただいております。各教科において資質・能力ということの育成を目指していくわけですけれども、それらが相互の関連性を視野に入れながらということが重要であるということ。また、総合的な学習の時間につきましては、学校が育成すべき資質・能力を設定するということになっておりますので、学校教育目標、あるいはその育成すべき資質・能力、上の部分と直接的につながるものであるということ。各教科の見方や考え方を総合的に活用しながら探求するということ。
  そして、特別活動の位置付けでございますけれども、学習の基盤となる学校生活全体の基盤作り、あるいは自分の生活やキャリアに学びをどう生かすかという振り返りを行うということ、そして、各教科の見方や考え方を総合的に活用して集団活動を通じて資質・能力を育成するということでございます。
  そして、下の特別の教科、道徳でございますけれども、ごらんのような学習を通じて道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度を育てるということでございますけれども、各教科で育成する人間性の基盤となるということで、その矢印とその三つの青、緑、オレンジが三つの資質・能力とアクティブ・ラーニングのプロセス、先ほど見ていただいたものを指しておりますけれども、このオレンジの部分の人間性というものが特別の教科、道徳の学習と極めて密接に絡み合ってくるということでございます。
  また、教育課程外の教育活動につきましても、関連する教科の見方や考え方を働かせた学びを促進するなど、教育課程との関連を図るということ。そして、地域・家庭とも、右側にございますように、目標を共有したり、実施に当たり連携・協働したりということでございます。
  そして、一番下に米印がございますけれども、現代的な課題やテーマに焦点化した教育、先ほどの丸々教育でございますけれども、それらを通じて育成する資質・能力と各教科等との関連性について、総則解説等で整理をしていくことを検討していくということではないかということでございます。
  これを踏まえて先ほどの資料1の44ページ目以降でございます。いわゆる情報活用能力が44ページ目でございますけれども、育成すべき資質・能力の整理が48ページ目にございます。また、それと各教科との関係性が51ページ目以降でございます。同様に、例えば健康・安全に関しましては、58ページ目の上の部分に、安全に関する資質・能力、そして、59ページ目の下に、各教科の関連性、そして、60ページ目以降、食育に関しましては、62ページ目、上のような資質・能力を63ページ目、上のような各教科の関連性ということで、こうしたことを分かりやすく示していってはどうかということでございます。
  68ページ目以降は、いわゆる知的財産教育、知的財産の意義の理解に向けてということでございますけれども、こうしたものにつきましても、71ページ目、下にございますような資質・能力の整理をした上で、関係教科との関連性をしっかりと明記していくと。少し72ページ目のところに教科の関連性が書いてございますけれども、これを更に分かりやすくしながら、整理をしていくというようなことではないかということでございます。
  それから、評価につきましても、既に御紹介させていただいておりますが、79ページ目以降にございますように、82ページ目のように、三つの観点から観点別評価の観点を整理していくということ。また、中教審におきましては、83ページ目以降にございますように、教員の資質・能力の向上、それから、チームとしての学校の在り方、それから、地域と連携・協働、学校との連携・協働ということについて、3答申をおまとめいただいておりますので、こうした内容についても、今後、適宜盛り込みながら、審議のまとめに向かっていくということかと思いますので、御意見を頂ければというふうに存じます。
  事務局からは以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。ということで、論点整理以降の議論、半年以上たっていますので、いろいろなことが入っておりますけれども、よろしくお願いいたします。
  それでは、どなたからでも結構ですけれども、名札をお立ていただければと思いますが、いかがでしょうか。
  では、池野委員、お願いします。
【池野委員】    どなたもないようなので、私が質問も兼ねてちょっとお願いをしたいなと思います。それは、論点整理後のまとめは何となく分かったんですけど、多分ここで我々が議論しないといけなのは、資料5の一番上に書いてあります、学校教育目標と、それに基づき育成すべき資質・能力の設定というものが具体的にどこまで深まっていて、明示化されていて、それが各教科や領域でどういうことになっているかの一種の進捗状況みたいなものが理解されていかないといけないのではないかなと思います。学校教育目標自体は、学校教育法だとか、教育基本法とかに書いてあるとおりだと思うんですけど、それに基づいた場合に、資質・能力として設定されるものは、各教科の総合として出てくるのか、いや、もう少しアクティブ・ラーニングだとか、いろいろな側面を含めて少し資質・能力的に新たに提示するという形になっているのか、ちょっとその具合を多分、もしかしたら総則部会か何かで出てくるのかもしれないんですけど、そのことを教えていただければ有り難いなとおもいます。多分、それに基づいて各教科が動いていく形になっているだろうと思われるので、その点について教えていただければ有り難いと思います。
【無藤主査】    その辺はもう少し、じゃ、説明を加えていただいて。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。資料の4と資料5を少し出していただければと存じますけれども、資料4の方は、実はこの後、議題の三つ目、一番最後に御議論を頂こうと思っておりますので、詳細な御議論はその際にと思いますけれども、全体に関わってくるところでもございますので、少し先んじて御紹介をさせていただきます。
  まず、資料5の方でございますけれども、ここで一番上に掲げております、学校教育目標と、それに基づき育成すべき資質・能力ということ自体は、カリキュラム・マネジメントの中で申しますと、各学校自身がそれぞれ設定し、考えていく必要があるものであろうというふうに思います。高等学校部会におきましても御議論いただきましたけれども、各学校が学習指導要領を踏まえながら、そういったものをしっかり考えていく必要があるということで、逆に申しますと、学校がそういったものを考えやすいような指導要領ということも考えていかなければいけないというふうに考えております。
  そして、その前提となる指導要領でどのような目標を立て、どのような資質・能力の設定を考えていくかということでございますけれども、資料4でございます各学校段階を通した教育のイメージということでございますけれども、資料4をおめくりいただきまして、例えば19ページ目でございますけれども、国語教育のイメージということでございます。これが教育目標になってくるわけでございますけれども、国語教育のイメージということで、二重丸の部分は全体的な事業でございまして、1が知識・技能、2が思考力・判断力・表現力、3が学びに向かう力、人間性という構造になってまいります。全ての教科がこういう構造に目標がなってまいりますので、資質・能力ベースの目標の構造化というのが図られてくるということでございます。
  そして、もう一つ、議題の3番目で御議論いただきたいのは、教科を越えて、小学校教育、中学校教育、あるいは高等学校教育として育成する資質・能力、あるいは教育目標の全体像ということでございまして、そこには、まだたたき台は付けさせていただいておりませんけれども、小学校段階で育成すべき資質・能力の三つの柱の在り方、中学校段階、高等学校段階というものをそれぞれ明確にした上で総則に位置付けていく、そして、相互の関連性を図っていくということが重要になってくるということではないかということで、この点については、本日、3番目の議題の中で是非御議論いただければということでございます。
  一応説明としては以上になります。
【無藤主査】    ありがとうございました。要するに資料5の部分、これは本当にきょう、初めて出てきた解説というか、ポンチ絵だと思いますけれど、カリキュラム・マネジメントはこれまでも議論してまいりましたけれど、特に資質・能力という側面でカリキュラム・マネジメントの中核をはっきりさせていって、かつ資質・能力というのは学校教育目標のやはり中心として位置付けるということで、学習指導要領との関係を明確にすると、そういうふうに私は理解してきました。
  この辺り非常に重要なポイントですので、いろいろ御意見。じゃ、天笠委員、お願いします。
【天笠主査代理】    それでは、この資料5について、少しコメントをさせていただきたいと思うんですけれども、この部会というのが昨年の8月の論点整理をまとめて、そして、その後の御報告いただいたようなそれぞれの部会での検討があって、そして、きょう、ここにあるわけですけれども、そのプロセスと、今、この資料5に明示されている図という、その辺りのところがうまくつながり切れてないというんでしょうか。ということで、どうしてこの図になるのかどうなのか。それぞれの各ワーキンググループ等々のそれがというふうな辺りのところがもう一つ、うまくつながり切れないというのが率直なまず一つの感想であります。
  それから、もう一つは、これは全体像という、こういう言い方なんですけれども、マネジメントということをもう少し加えていくと、もう少し書き表し方というのもあるように思うんですが、要するにそれはどういうことかというと、ここの学校教育目標と黄色のところで示された、言うならば教科構成との間に、論点整理の三つの側面というのが簡略に挿入されるような形になっているわけなんですけれども、例えばその中の一つ、地域との連携ですとか、人的・物的資源等を効果的に組み合わせて実施するという、この部分なんかにつきましては、この全体の図の一番核に置かれてもよろしいのかなというふうに思うわけなんです。というのは、要するにまさにこの部分というのは、俗に言う条件整備というのがかなり大きなウエートを占める部分であるわけですので、この点については、むしろこの教育課程の各教科等の構成の全体を支えるという意味合いにおいては、一番下の部分に置かれてもいいんではないかと思いますし、それから、学校教育目標と強化横断的な視点というのが、これがまさにそういう点からすると過去教育目標の一番上の欄と、それから、各教科等の構成のところに、間に入る。
  そして、もう一つの俗に言うこの部分がPDS、教育課程を評価するということなんですけれども、ここの部分については、ある意味で言うと矢印というんでしょうか、曲線というんでしょうか、そういうことでこれは表現されるというふうなこと等で、この三つの星印で書かれているようなものをもう少し配列ですとか、図の表し方とか、そういうことによって、まさに全体像というふうな形と、それから、論点整理で示した三つの側面というのがうまく符合するんじゃないかというふうに思うんですけれども、きょうの段階ですとまだちょっとそこ辺のところがまだ練り切れてないと言うべきなのか、あるいは全体というのがうまくまだ収め切れていない、描き切れてないという、そんな感想を持ちましたんで、ですから、こういうことで意見を申し上げさせていただいて、よりこれをそういう意味で言うとまさに全体像を描いて、多くの人に、関係の方にとって、ある種の理解が深まるような形にこれを整理していくということをもう一段、これは進める必要があるのかなというふうに思いました。
  とりあえず、以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。その辺り、事務局として十分、私も含めて考えたいと思います。
  ほかにございますか。
  とりあえず、次の議題に進みながら、もし思い付いたら、またいつでもお戻りいただいて構いませんので、よろしくお願いいたします。
  それでは、2番目に用意しました議題でございますけれども、学習指導要領・総則の改善イメージという部分でございます。事務局から、関係の資料についての御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。資料3-1、それから、資料3-2をごらんいただければというふうに存じます。小学校部会、高等学校部会それぞれにおいて、総則の改善イメージについて御議論を頂いております。論点整理におきまして、社会に開かれた教育課程ということで御提言を頂き、そして、総則自体が改訂の理念でありますとか、アクティブ・ラーニングの視点、あるいはカリキュラム・マネジメントの側面ということをしっかりと分かりやすく伝えるものになるべきであるというようなことの御指摘も頂いたことを含め、踏まえまして各学校諸部会、あるいは総則・評価部会におきまして、総則の構成の見直しについて御議論を頂いているところでございます。
  まず、資料3-1でございます。小学校学習指導要領・総則の構成ということで、現在の構成が左側の第1、第2、第3、第4ということでございます。そして、論点整理を踏まえて追加、整備すべき視点というのがその真ん中部分にあるところでございます。これを踏まえまして構造の見直しを図ってはどうかという、たたき台のイメージが右側でございます。
  まずは前文として、社会に開かれた教育課程の考え方、教育課程の意義などについて示したらどうかということ。そして、第1、小学校教育の基本の中では、学校教育法、教育基本法、関連法令の目的、目標や、生きる力の理念なども踏まえつつ、小学校教育を通じて育成すべき資質・能力の在り方について整理をしてみてはどうかということ。
  そして、第2の部分が各学校における教育課程の編成ということで、カリキュラム・マネジメントの実現や学校種の接続、教科横断的な視点、様々な共通事項について整理してはどうかということ。
  そして、第3として、その実施と評価ということの中で、各教科、見方や考え方を働かせた学習指導要領の充実や、評価を通じた教育課程、学習指導の改善ということ。
  そして、第4の視点として、特別な配慮を必要とする児童への指導ということで、障害のある児童への指導や、海外から帰国した児童等への適切な指導ということ。
  そして、第5として、学習活動の充実のための基盤として、キャリア教育なども含めた学習指導活動の基盤、あるいは家庭・地域との連携ということでございます。そして、別表として、各教科等の見方や考え方、先ほどごらんいただいたものを添付してはどうかということでございます。
  さらに、詳しい中身が次の2枚目のページでございます。前文、そして、総則の第1、ここで法令上の目標と生きる力、そして、小学校教育を通じて育成すべき資質・能力の関係性を分かりやすく整理するということ。そして、第2のところでは、カリキュラム・マネジメントの実現、幼少接続、スタート・カリキュラム、そして、小学校、中学校の接続と義務教育学校におけるカリキュラムの在り方、そして、丸々教育も含め、横断的に育成すべき資質・能力と教科との関係。それから、編成における様々な、授業日数等々の共通事項。そして、6番目に、具体的な指導計画の在り方ということでございます。
  そして、第3番目の部分が深い学び、対話的な学び、主体的な学び、言語活動等々の整理ということ。そして、第3の2番目が学習評価についての考え方ということでございます。観点をここに置くということではなくて、評価の考え方を示していくということでございます。
  そして、第4が特別な配慮を必要とする児童への指導、そして、第5の部分が学習活動の基盤ということで、学級経営、キャリア教育、生徒指導、学校間交流、家庭・地域との連携ということでございます。
  中学校についてもおおむね同じ方向で御議論を頂く予定でございます。
  そして、高等学校でございますけれども、高等学校につきましては、資料3-2の2枚目にございますけれども、基本的な考え方は同様でございますけれども、高等学校におきましては、単位数等の整理が必要でございますので、第2款の部分にそうした共通事項や特例についてを少し整理をさせていただいているところでございます。その他の部分につきましては、基本的に同様の考え方、少し高等学校の特色に応じた内容を追記しておりますけれども、そうした共通的な考え方で総則部分を整理していってはどうかというふうに考えておりますので、本日、御議論を頂ければというふうに存じます。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。ということで、今度、2番目の議題ですけれども、総則の具体的な構造というんでしょうか、目次立てでありますけれども、言い換えれば、これが指導要領全体の改訂の骨格が見えるような部分ということでございますので、並び順というだけではなくて、抜けている点、足りない点、分かりにくい点も含めて御指摘をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
  山口委員、お願いします。
【山口委員】    ちょっと分からないので教えていただきたいんですけれども、大学の入試改革がかなり話題にもなっておりますし、議論されてます。アクティブ・ラーニングの導入などもありますし、入試との教育課程との兼ね合いというのはどこで議論して、どのような形でここに反映されていくべきなのか、どこがそれを取りまとめてやっていくのか。つまりタイムのこともありますけれども、学校の現場の先生たち、あるいは生徒、親御さんも、やはり入試との兼ね合いというのは一番切実な問題だと思うんですけれども、そこがどこが統率というか、ちょっと分からないので、今の現状、もしどのような形なのか教えていただければと思います。
【無藤主査】    入試改革、別な部門でやっておりますので、それとの整合性のようなことについて、少し説明を事務局からお願いします。
【大杉教育課程企画室長】    高大接続改革につきましては、中教審におきましても既に答申をおまとめいただいておりまして、それを受けた形で、高大接続システム改革会議というところがせんだって最終報告という形でまとめているところです。その中身というのは、かなり教育課程部会における議論を反映しているものになっておりまして、例えば科目構成でありますとか、あるいはどういう力を問うていくのかということは、高大接続改革と学習指導要領改訂を両輪として、何人かの先生には少し重なっても頂いておりますけれども、考え方はかなりすり合わせながら進んでいるところでございます。
  実際、せんだってまとめられたシステム会議の最終報告におきましても、途中段階でございますけれども、高校教育の見直しに関する科目構成、あるいはその中での教育内容の在り方というものをしっかりと反映させていただいているところでございます。
  ですので、そういった状況も踏まえながら、高校の指導要領の中身、各教科の資質・能力の整理でありますとか、あるいはこの総則におきましても進路指導等ございますので、こういった部分がしっかりと、それとその流れに沿った形の記載となっていく必要があるというふうに考えているところでございます。
【無藤主査】    ありがとうございます。山口委員、いかがでしょうか。
【山口委員】    私はこういったいろいろな会議に出させていただいているんですけれども、それでも高大連携のところとか、あと、入試改革というところはやはりニュースとか、そういったものを通して見聞きする程度で、なかなか見えるような、見えないような部分があるので、その辺りも、ここのところが高大連携でこういうふうになっているというのが見えると多分、現場の先生方も結構安心するのかなというふうに思いますし、それが何らかの形でここに反映されてくるといいのかなと思ったりしております。
【無藤主査】    ありがとうございました。入試改革といいますか、入試を含めた大学教育と高等学校以下の小中教育のつながりの部分ということになると思いますけれど、当然、一つは、高等学校の学習指導要領等の改革の中に、その問題は反映されなければいけないというか、高大の接続や入試改革の報告の議論の中に、高等学校における学習指導要領改革を踏まえて、それが議論されているという方が正確だと思うんですけれど、それが一つです。
  それから、もう一つは、私どもがここでしている作業も含めて、最終的には指導要領の改訂ですけれど、その前の段階では、その大きな方針とかポイントを示す中教審の報告が出ると思いますけれど、その中では当然、今、山口委員が御指摘のような大きな視点で大学教育も見通しながら議論するということが必要だと思うので、また御意見いただける機会があると思います。ありがとうございました。
  ほかにいかがでしょうか。天笠委員、どうぞ。
【天笠主査代理】    済みません、私ばかり発言いただきまして。それで、先ほどの資料5のところとの関わりで申し上げたいと思うんですけれども、このお示しいただきました総則のこの柱立てというんでしょうか、あるいはこのまさに総則の全体の構造というんでしょうか、このことが先ほどの資料5とある意味、対になるような関係で、資料5が表示されるというか、描かれるというのが基本的な方向なんじゃないかなというふうに思っております。
  これまで少なくともカリキュラム・マネジメントという言葉は余り使われてこなかったわけですけど、基本的に私は、学習指導要領の総則、あるいはその総則を解説した解説書のそこのところに、今日、我々が言おうとしているカリキュラム・マネジメントの手順とか、手続とか、考え方というのが部分的であるにしても盛り込められているんじゃないかと、そういうふうに私は理解しております。
  このたび、こういう総則のこういう柱立てというのがある意味で言うと、よりカリキュラム・マネジメントという手順、手続、考え方というのをよりある意味で言うと柱を立てたりですとか、構造的にする。その姿の原案というか、原案が今、こういう形で私どもの前に目に入ってきていると、こういうことであって、ならば、先ほど示されたカリキュラム・マネジメント全体像というのは、この示された総則の柱とか、ここに盛り込まれた要素とか、構成要素がどう全体的にまさに配置されるのかどうなのか、それの相互の関係等々含めて明示するというのが先ほどの資料5なんじゃないかというふうに、私は思うわけなんですけれども、どうもその辺りのところがまだうまく脈絡が詰め切れてないという、先ほど申し上げたような、そういうことなんですが、よりこの総則のこういう柱が明示されると、よりそういうふうな先ほどの全体像というんでしょうか、これのある意味で言うと明示化ということは、基本的にはこの総則のこの柱に、項目に沿って描かれたらよろしいんじゃないかなというふうに思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。天笠委員の御指摘を言い換えると、総則というのが学習指導要領の教科ごとにより詳しいのが書いてありますけれども、その総則というのは、いわば学習指導要領全体の構造を明確にしていく部分で、それが今度は学校教育の在り方を規定しているわけです。それで、カリキュラム・マネジメントというのは、今回出されてきているのは、各学校における学校教育の運営、経営の方向を学習指導要領と重ねていくというようなことだろうと理解しておりますので、そういう意味で、御指摘のように、総則という文章が書いてある部分を具体的な学校教育の見直し、あるいはそれを進めていくときの流れのような形でカリキュラム・マネジメントは示すんだと。そういう意味で表裏一体ということでしょうか。ありがとうございます。
  ちょっとポンチ絵にどう描くか、いろいろ面倒くさいことがありそうですけど、でも、趣旨、方向、それは非常に明確にしていただいたと思います。ありがとうございました。
  では、吉田委員、お願いします。
【吉田委員】    先ほど山口委員がおっしゃった大学入試との関連で、私も高大接続システム改革会議に入っていますので、そちらの方はかなり、先ほど大杉室長がおっしゃったように、この学習指導要領の中心的な学習の3要素だとか、そういうものを全部含めた形で量るようにということで、相当入れていると思うんです。そういう意味では、ここに反映されてなくても、入試の方に反映される工夫はあるんですが、一つ、ちょっと心配なのは、高校入試はどうなるんだろうなということと、あと、小学校から中学にあがるときにどうなるんだろうなということの辺りについてはどこにも記述がないんじゃないかという気がするんです。
  ですから、そういう点というのは、どこかで何かする必要があるのかどうか。つまり、高校入試の場合ですと、それまで小学校、中学校で育まれてきた能力を本当に量れるように、評価できるような形のものが可能なのか。あるいは少なくとも、こういうことをやりましょうというような指針があるのかどうなのか。その辺がちょっと曖昧なので、大学の場合はある程度あるにしても、高校とか、中学に入るときはちょっと足らないのではないかという印象があります。
【無藤主査】    ありがとうございます。確かに御指摘のように、中学入試、高校入試の在り方について議論する場がないかもしれません。そもそも文科省がどの程度、国レベルで議論することになっているかどうか自体が非常に微妙なところはあるんだろうとは思いますけれど、その辺はちょっと引き取らせていただいて、可能なところを模索したいと思います。ありがとうございます。
  では、牧田委員、お願いします。
【牧田委員】    ありがとうございます。今の総則の改善のイメージという、この目次ですけれども、これを見ると大体、何を伝えたいか、何をどう学校を変えていきたいかというのが割と見えてきているなと思うんですけれども、前回もいろいろ話があったんですが、いろいろ盛り込み過ぎて、にっちもさっちも行かない、学校が非常に窮屈になる、何もかもやらないといけないというイメージがやっぱり拭い切れないので、第2か第3かになるかなと思うんですけれども、そのカリキュラムを作るということは、教科書をそのままやるということ、教科書の内容を一から、1ページから200ページまで丹念にやることではなくて、何が大事で、どこで重点的にアクティブ・ラーニングをやるとか、どこでこういう力を評価するんだとかということを学校独自に計画を立てていくと。それがカリキュラムを作っていくという、これのもうちょっと前提の話になると思うんですけれども、その力を入れるべきところというのをちゃんと学校の中で決めていくといいですよと。
  昔、カリキュラムを作るというときに金太郎あめ型と串団子型という話を聞いたことがあるんですが、どこを切っても、金太郎あめのように、いつどの授業を切っても同じような形でやられているというのではなくて、中学校なら3年間、小学校なら6年間、見通して、あるいは1年間の中で見通して、どこが重要かということをちゃんと学校なりに判断をしてカリキュラムを作っていくと、串団子型に。そういうことをどこかに入れ込んでいただくと、何もかもやらないといけないという、そういう自縛からは少し逃れてくるんじゃないかな、カリキュラムを作るという根本を少しどこかに入れてもらうと有り難いなと思いました。
  もう一つ、先ほどの資料5なんですが、なかなか言いにくいんですけれども、各教科と総合と特活と道徳という、こういう関係があるというのは今の現状でもそうでして、各それぞれの学校で作っている基本計画というのは、必ずこういうことが盛り込まれています。したがって、今、我々が欲しいのは、こういうものではなくて、何が大改善なんだというところの絵が欲しいと思うんです。そういう意味では、先ほどの天笠委員がおっしゃったような、この総則に盛り込まれていることを絵に表すということに私は賛成です。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。今、牧田委員御指摘の特に最初のポイントは、結局、カリキュラムといいますか、教育課程は各学校で編成するわけですし、指導要領などの枠組みはあるわけですけど、その中の重点化とか、構造化とか、言うならばめり張りを付けるという部分ですけれども、それは各学校でできる部分、まさにそこをするのがカリキュラム・マネジメントなんだろうと思います。そういう意味で、指導要領でいろいろ各教科で教えるべきことは当然教えていただくということですけれども、200ページの教科書を年間授業の時間で割り算すればいいという話ではないということ、これがまさにマネジメントであり、構造化だと思いますので、ありがとうございました。
  ほかにはいかがでしょうか。品川委員、失礼しました。
【品川委員】    ありがとうございます。すごく分かりやすくなっておりまして、もう少し、個々の見出しと中身を見ないと分からないところもあると思いながら、頂いた資料に対して現時点で少々分かりづらいかもしれないと思ったことについて、申し述べたいと思います。まず総則第1の、これは小学校も高校もそうなんですけれども、生きる力、確かな学力、豊かな心、健やかな体と、これは法にある従来の言葉が書かれてございまして、その次に育成すべき資質・能力とございます。これは昨晩頂いた資料4の最後のところ、参考で「コア」を構成する資質・能力(イメージ)というのがございまして、これは高校の話だと思うのですが、今後は多分こういうふうになっていくのかどうかわからないのですが、今の書かれ方ではこの関連が分かりづらいと考えます。例えば豊かな心のところに、道徳科を要した道徳教育とございます。豊かな心というのは道徳教育だけで育まれるものではないはずで、これまでも議論の中で随分、教科横断的に例えば問題解決スキルであったり、論理的思考だったりを付けていこうと出ておりましたが、それはこの豊かな心も全く同様だと思うんです。ここに教科がぽんと出てきますと、ぱっと見たときにそこだけでやると思えてしまい、他との関連性がわかりづらいと思いました。
  それから、育成すべき資質・能力については議論を重ねてまいりましたが、今の見出しをぱっと見るかぎり、やっぱり何のことだろうと思う気がします。この見出しのところにしっかりと三つの柱とそれが何か、知識だったり、人間性であったりということを入れておくこと、特に論点整理の細部に書かれてあることをしっかり書き込んでいくことがすごく大事だと思いました。
  もう1点は、4の特別な配慮というところです。最初の資料の、論点整理を踏まえて追加又は整理すべき視点のところには、すぐれた才能と入っておりますが、こちらにはそれが抜けております。それは何か理由があるのかということが質問です。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。最初の方のポイントは、まさにそこをしっかり書こうということで、まだ文書が書かれていないのでありますけれど、文章化の中で見出しも工夫したいと思います。
  2番目の方は何か。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。資料3-1の2枚目をごらんいただきますと、実は第3のところに、個に応じた指導の充実ですとか、発展的な内容ですとか、そういう事項も入っておりまして、それと第4のところの特別な配慮を必要とする児童への指導というところの関係性をしっかり付けながら書いていく必要があるかなと思っております。
  第4のところは、いろいろな制度的な配慮も含めて、トータルでしっかり記す必要があるということと、今度、第3のところの個に応じた指導のところで特別な才能とか、そういったこともしっかり位置付けていくということ、そして、その両者がばらばらではなくて、関連する部分もかなり視点としてはございますので、その辺の記載ぶりは極めて注意してやっていきたいというふうに思っております。
  あと、済みません。議論を頂いております資料5でございます。恐らくちょっとタイトルがまずかったかなというふうに思っておるんですけれども、先ほど牧田委員から、これは当然各学校が関連付けてやっているということで、そのとおりなのではございますけれども、総合的な学習の時間でありますとか、特別活動を学ぶ意義ということを議論する際に、それと各教科がどのように関連付いて、教育課程全体の中でどういう位置付けにあるのかということを改めて確認していこうということが議論されているという中で、こういった図が一つ、必要だったということが理由の一つと、もう一つは、そのカリキュラム・マネジメントという中で、指導要領の資質・能力をそのままというよりは、各学校が主体的に資質・能力の設定ということを考えていくということを何らかの形で示していくということが一つ、重要だったという少しボトムアップ的な議論の中で作らせていただいているものであります。
  そういう意味では、きょう、御指摘いただいたとおり、少しカリキュラム・マネジメントの全体像というよりは、各教科の関連性、あるいはそれと指導要領の資質・能力と各学校が設定する資質・能力の関係性を示した図というものに留まるものだというふうに思いますので、これとは別に、またカリキュラム・マネジメントの図ということはしっかり御相談をさせていただきたいと思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。ほかには。清水委員、お願いします。
【清水委員】    ありがとうございます。それでは、3-2の方を見させていただいたときに、3-1との比較で、3-1の方の第3のところでは、ポイントとして、「アクティブ・ラーニングの視点に基づく」という書きぶりで、これについては示すということが書かれているわけなんですが、高校の方の3-2の方では、第4款の下のところにこのようなポイント的なことを示していただいた方がよろしいのかなというふうに思いましたので、何らかの意味を持って抜けているのかもしれないんですけれども、小中と同じようなポイントとして、アクティブ・ラーニングの視点に基づいてこれらがあるんだということを示していただけると良いのかなというふうに思いました。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。その辺は多分入れ込めると思います。ありがとうございます。
  それでは、渡瀬委員、お願いします。
【渡瀬委員】    お願いします。今回のこの新しい学習指導要領の中で、今まで議論してきたような資質・能力を育てていこうとしたときに、評価の在り方が変わったり、いろいろなところで、教員が今まで以上の工夫をしなくてはならないことが起きてくると思います。今までも教員の忙しさということが随分話題として上がりましたけれども、これからますます教員は忙しくなることが予想されます。そのような中で、総則でクラブ活動の在り方ということについても触れなくてはいけないと思うんです。項目としては上がっていますけれども、このクラブ活動は今後どうあるべきなのかということについて、どこかで議論がなされてきたかどうかということをお伺いしたいと思いました。話題には出ていたのかもしれませんけれども、クラブ活動の在り方は抜本的に考えなくてはいけない問題なのではないかと思います。
【無藤主査】    クラブ活動というか、部活動。
【渡瀬委員】    部活動です。
【無藤主査】    それは何か。
【大杉教育課程企画室長】    実は先日、中学校部会がスタートをしまして、その第1回は課題の洗い出しということをしていただいて、そこで御議論をいただいた中に入っている手法でございます。もちろん中学校だけではないんですけれども、恐らく中学校で整理していただいた課題が、ここも含めて共通に整理できるかということで、第2回目以降、洗い出した課題を基に集中的に御議論いただく、学校の、どういった教育機会を多様に提供していくかということと、その体制作りを少し新しい視点で見直していくべきではないかという御議論をいただいておりますので、是非その議論の状況をまたフィードバックさせていただきたいと思います。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  では、神長委員、よろしいでしょうか。
【神長委員】    全体、大変整理されて、私は幼児教育部会の中に幼小中高という流れが、この会で確認をできて、これまでの幼児教育部会の中での議論といいますか、それが少し整理が付いてきたかなと思って伺っておりました。
  その中でなんですけれども、非常に総則の書き方、今、小学校と高校のものですけれども、これで幼小中高が一つ一貫した流れで書かれると、多分、学校段階を超えて、いわゆる、それぞれ教育の特色があるわけですけれども、それを理解するのに、全く別々な書き方で基本方針が書かれているよりも、同じ項目の下で、何が一貫していて、何が独自なものなのかというのが大変読みやすくなるのかなと思って整理されて、よかったなと思っております。
  ただ、私は、やはり幼児教育部会ですので、そこからすると、今まで幼稚園の場合には、幼稚園教育の基本というところから始まっておりましたので、それが小学校、高等学校というところで、恐らく中学校も同じような書きぶりになってくるのかと思うんですけれども、この中に共通して書かれるものと、やはりそれぞれの中、今、現行にある幼稚園教育の基本が非常に一人一人を大事にしようとか、遊びや学習であるということやら、いわゆる資質・能力という形では今の段階では書いていないのですけれども、そういった内容も触れていくことにはなるとは思うんですけれども、ある程度は、それぞれの学校段階の特色が出ると解釈してよいのかどうかだけ、ちょっとお伺いしたいなと思っております。これが、より一貫したものだけを出していくというよりは、そこの中に特色、それぞれの学校段階で言われるところの特色というものを踏まえることが一つあるのかどうかということです。
  あと、もう一つ、先ほど来から出ておりました資料5のことなんですけれども、私は、いわゆる幼稚園の場合には、園運営と教育課程の編成という、園運営という全体計画の中で教育課程をどう作っていくのかということを常に考えていかないと。つまり、ここで言います家庭や地域の協力の下で、それを時には資源としながら教育課程の充実を図っていくとか、教育課程で実施したことを家庭や地域に発信していくというような、行ったり来たりというのはすごく大事にしておりますから、きっと、この黄色の部分と緑の部分の比率から言うと、緑の部分が割合大きな比率になり、教育課程を支えているというような形になるのかなと思いますし、この「教育課程外の教育活動」ということと、この黄色の部分は教育課程全体を指しているんだと思うんですが、要するに、教育課程内の教育活動を指しているんだと思うんですけれども、やはりこういった教育課程外の活動と教育課程との活動との関連を示すという意味では、「カリキュラム・マネジメントの全体像」とはなっていますけれども、やっぱり学校運営の全体像というような解釈をすると非常に分かりやすいかなと思って。ただ、これをどういうふうに有効に活用していくのかとか、それぞれの資源として活用していくのかとか連携をしていくのかというところで、きっとマネジメントというものが、この矢印の中の中身が見えないというところでは工夫が必要なのかもしれませんけれども、教育課程と教育課程外とか家庭や地域と教育課程の問題というのは、解釈、非常によくできたというような感想を持ちました。
【無藤主査】    ありがとうございます。2番目の方は、幼稚園だけのことではないと思いますけれども、教育課程外、あるいは、もう少し広く、園の運営、あるいは保護者、地域との連携が教育課程を支えるということがもうちょっと見える形にやっていく方が、広い意味でのマネジメントが分かりやすいということだと思います。
  1番目の論点は、幼小中高それぞれの学校段階を今回、資質・能力を柱として、あるいは、それぞれに固有の見方、考え方を明確にしながら、いわば縦の柱というんですかね、それをはっきりさせているわけですけれど、当然、学校段階の横の特徴を組み合わせていくだろうと思います。特に総則を念頭に置いた場合には、どちらかというと共通性を中心に構成していると、そんな理解を私はしておりますけれど、事務局は何かございますか。
【大杉教育課程企画室長】    共通性として横並びを図っていく部分と特質を踏まえた部分と出てくると存じますし、特に幼児教育要領は総則的な部分でも、全体、ある意味、各教科に当たるようなところとの関係性も、総合的な指導という中で、かなり密接に書かれていると思いますので、そういった特性はしっかりと踏まえながら、横並びを図っていくということかと思います。
【無藤主査】    ありがとうございます。
  では、奈須委員、お願いします。
【奈須委員】    よろしくお願いします。全体としては、これまでの総則に比べてとても分厚くなっていて、今回の議論を踏まえているかなと思います。改めて確認と思うんですけれども、先ほど、牧田先生が言われたこととも関係するんですが、ここに示されたものがいろいろ出ているということではなくて、それは構造的な把握が出てきて、現場の先生方が自在に使えるようにするということの配慮が、今後いろいろ要ると思います。
  一つは、この先の解説書とか、いろんな指導資料等で示していく、あるいは初等教育資料等で具体に示していくことだと思いますけど、この構造自体も、やっぱり見えやすくするということ、理解しやすくすることが大事かと思うんです。現行の今の3-1の2枚目の私なりの理解でどうかと思うんですけど、例えば、第1のところ、「基本」となっていますけれど、これは学力論、目標論を示しているのかなと思いますし、2のところは「教育課程の編成」となっていますから、いわゆる内容編成論なのかなと思います。第3のところは「実施と評価」となっていますけれども、いわゆる教育方法論、評価論を示しているのかなと。4のところは特別配慮ということだと思いますけれども、5のところは経営ということかなと。つまり、ある種、学問的に共有されている構造と対応していると、学術的な理解もそうだし、現場にも伝えやすいし、現場でもずれないかなと思っているんですけれども。つまり、カリキュラム編成というのは、かつてラルフ・タイラーが示した、タイラーズ・プリンシプルというのがありますけれど、目標論、内容論、方法論、評価論の四つが要るんだというのは、もう半世紀以上前からの議論ですけれど、それと対応しているのかなと思って、今、見ていたんですけれども、そういった、ある種の論理構造として明晰になるといいなと。それを確認しながら、またさらにお進めいただければということが、まず1点目です。
  2点目として、1の3のところ、「小学校教育を通じて育成すべき資質・能力」のところ、三つポツがございますけれども、まず、育成すべき資質・能力とは何かという議論が、生きる力と法令上の規定との関連で出てきて、次に、「各教科等の目標との関係」、目標となっていますけれども、多分、各教科等との構造的な関係ということだろうと思います。
  ここの中で、今、資料5に出ているような、各教科、領域等の関係、教育課程全体が、ただ、いろんなものがバインドされているんではなくて、構造的に役割分担をしながら相互に支え合って、互恵的に形成されているという論理が書かれるんだろうなと期待をしております。
  その次のところなんですけれども、「各教科等の目標の実現のために見方・考え方を働かせた学習活動を実現すること」と、まあ、そうだろうと思います。ただ、これはどう解釈するかなんですけれども、資質・能力があって、資質・能力を実現するために各教科があり、その構造があり、目標があり。すると、次の教育方法、これ、学習活動を実現する。教育方法の話になるときには、もう既に各教科の目標の実現に向かっていけば、各教科の目標は資質・能力を反映しているから、結果的に教育活動全体の資質・能力も実現されるというロジックになるのかな、どうなのかなとか思って見ています。
  つまり、これでいいと私は思っているんですけれども、より上位に位置づく資質・能力というのが、いわずもがなだからということで、ここでは特には明示されず、いきなり次の「各教科の」と、いわば1段階スキップした記述になっているのだろうと読んだのですが、1段階落としてしまった途端に、結局、従来通りの意味合いで教科をやればいいのよねと、短絡的に解釈されないかと、ちょっと心配しています。もちろん教科の中に、この資質・能力の三つが反映されるのでいいんですけれども、各教科の目標というものが、今のようなコンテンツにぐっと寄ったようなことのために使われるということに、多分ならないと思うんですけど、ならないといいなという程度のことなんですけど、ここが今、間接的に2段構えになっている論理構造で本当にいいのかどうか、ちょっと気になったものですから、また内部で御議論いただいたりしてと思いますというのが、2点目です。
  次ですけど、2の一番下のところですけど、「合科的・関連的な指導」、現行でもあるもので、これが現状では横断的な学びを作ることの一つのとりでになっているわけですけれども、この「合科的・関連的な指導」というのが、以前から書かれているものの、現実的にはなかなか展開がなされていなくて残念だなと思っています。時数のこと等も含めて、うまくやっていく上で、これ、とても大事だと思っています。カリキュラム・マネジメントの中核だと思いますけれども、このことを少し、重点化して書いていくといいなと思っているのと、今、小学校を見ていますけれども、中学、高校、どうなっていたかなと。中学、高校でも、このことはかなり強く出していければなと今回は思っています。中学校の先生あたりは、多分、単元計画や指導案は各教科ごとに書かなければいけないんだと、時数もそうなんだと思っていて、小学校もそう思っている人いますけれども、この辺をどう突破していくかということが、横断的にやってねと、カリ・マネのトップで言ったものの、実現する際の具体的な方略はここになるので、これの出し方は今回、すごく大事かなと思っています。中高でも、何かの形で広げていきたいなと思っています。
  4点目ですけど、右の方に行って、第3の1、「見方・考え方を働かせた学習指導の充実」となっていて、これ、教育方法の改革、アクティブ・ラーニングに基づくものが、「見方・考え方を働かせた」という記述の中に込められているんだと思いますけど、その一番上の赤字があった後の「言語活動の充実」以下は、現行の総則にある学習指導の工夫、改善等の項目だと思うんですけど、これ、このままでいいのかなと。つまり、教育方法をどう示していくかって、今回、すごく大事だと思うんですけれども、資質・能力を実現できるような各教科の目標に変え、内容編成に変えていく。けれども、さらにそれを教育方法の水準で可能な範囲で記述をして、改革を進めていただくことで、資質・能力の実現に結び付けるというロジックだと思いますけれども、すると、ここの下の項目、これからまださらに検討だと思うんですけれども、これでいいのだろうかと。
  今載っている「言語活動」以下の「個に応じた指導」「コンピュータ等の活用」等は、今後ももちろん大事なことですけれども、ここに横並びで、このまま残存させて書いていくのか。何か、再構造化をする必要があるのか。あるいは、「見方・考え方を働かせた深い学び、対話的な学び、主体的な学び」という一つのくくりとは、また別のこととして出していくのか。幾つか選択肢があろうかと思います。「学校図書館の計画的な利用、読書活動の充実」ということあたりとかが、上とどう絡んでくるのかということが。横並びにしてしまうと、逆に、ただ工夫が一つ付け加わったという見方にされかねないということもあって、今回、教育方法について、資質・能力という学力論であるとか内容編成論とか教科の目標論まで含めて、一種の全体が絡みながら展開していることがとても大事で、すると、ここの部分も、在来のものも再構造化する、あるいは別建てで記述する、幾つかのやり方があるかと思いますけれども、そういう関係的に変化した結果がここにあるんだということを示す。それが、ある種の分かりにくさにつながるんじゃないかということが、先ほどの牧田先生の御疑念でもあると思うんですけれども、ここ、ちょっとポイントかなと思っていました。
  それから、細かいことなんですけど、第1の2の「『生きる力』の理念に基づく知・徳・体」、これはもうずっと、このところ、大事にしておられるもので、これでいいかと思うんですけど、この時点から振り返ってみると、「確かな学力」のところが、「学力の3要素」の横に「児童の学習習慣」とあって、大事だし、構わないんですけど、アクティブ・ラーニングとか主権者教育とか子供の自立的な学校生活の創造とかというのがぐんぐん見えてくる中で、学習習慣、まあ、学習規律じゃないからいいかなと思っているんですけど、「学習習慣」という表現で今回いいんだろうかと。これは政策の連続性とかいうこともあるので、下手にいじることは余りよくないとは思うんですけれども、何か、ここが時代的にちょっと古いというのかな、私の誤解かもしれませんが。
  つまり、今回、総則の中で、新しい動きというのは、単なる付け加えることではなくて、構造的に再編成をしているわけだから、現状の総則も非常にいいものなんですけれども、その項目をどう残存させたり組み入れたりするかということは、かなり慎重にというか、構造的に考える必要があるのではないかなということが、まずあるかなと思いました。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。三つ、四つ、非常に重要なポイントを押さえていただいたので、要するに、論理的な構造をより明確にしていくことと、資質・能力を中核とした在り方というものが、別な言い方をすれば、構造的に表すということで、それが、ただ大事な項目を羅列していると見られるのでは困るよということです。その辺、事務局と一緒にさらに検討したいと思います。ありがとうございます。
  齋藤委員、お願いします。
【齋藤委員】    全部、いろいろ提言とかそういうのがまとまって、見ていてわくわくするんですけど、ほかの委員もおっしゃっているように、一番の心配は、もう既に皆さんが忙しい中で追加するという中で大丈夫かなという視点がちょっとあるんですけど、その中で思ったのは、ここに書かれているように、ICTとかプログラミングと書かれているのはうれしいんですが、やっぱり私として気になるのが、今までの英語教育と同じやり方だとまずいなという気がして、何を言いたいかというと、英語とか、特にICTというのは、私としては、やっぱり手段であって、それを単体で割り出して教えるとかというよりは、ほかの授業の中で反映していくというような方が絶対大事だと思います。それを、試験に通るためとか、はい、できたとかと言って、そして、それを終わらせたから次に行くというようなことだと、これは全然知識にもつながらないというようなところもあって、それがもう日常的に、普通に違う授業の中で使っていくというような方で是非やって、あえて、さらに項目を設けてICTというものを教えるのは、私としては一つの注意点です。
  もう一つは、ただ、逆に、プログラミングというのがここに書いてあるので、すごいうれしいんですけど、プログラミングはプログラミングで、これはもう立派な、ただの言語として考えるということで、本当にそれは是非、ほかの部分の中でも、チームワークとか、そういうのもいろいろ書かれているので、そういうようなものは、プログラミングはプログラミングで教えないといけないんですけど、それは逆に、ほかのいろいろ課題を反映して、チームワークを生かすとか、そういうようなことを是非使うということで、さらに授業として、ICT授業を持つとかというようなことでやるのは、是非個人的には注意してほしいというだけです。
  以上です。
【無藤主査】    御指摘の点は、プログラム教育の協力者会議に是非、重要な論点として生かしていただきたいと思います。
  それでは、上田委員、お願いします。
【上田委員】    ありがとうございます。この総則の中で、幾つか配慮すべき点が列挙されていますけれども、その中で一つ、重要なことだと思うことは、いろいろ外的、あるいは経済的な理由で初等・中等教育を受けるのが突然著しく困難になるような、そういうお子様は結構たくさんいらっしゃると思います。こういう教育を受けるというのは、私たちは基本的人権の一部だと思います。いかなる家庭的事情とかに関わらず、国がきっちりと教育を受けることを担保することが必要だと思うんですけれども、そういうことはどこにも書かれてないんですけど、別なところに書かれているのでしょうか。例えば、経済的事情とか、そういうことによって著しく困難になっている生徒さんをどうサポートするかとかというのは、そういうのは配慮とかという事項にどこにも書かれてないんですけれども、そういうのはどういうふうに考えたらいいんでしょうか。
【無藤主査】    そのあたりはまだ項目、目次立てのトップに出てないんですけれど、家庭、地域との連携とか特別な配慮を要するとか、そのあたりで、家庭、地域での困難を抱えた児童・生徒への支援、特に義務教育レベルでの支援というものについてはもう少し踏み込みたいと思います。
【上田委員】    特に小学校段階の入り口の段階で十分な支援が受けられないと、やっぱりその後の一生に関わるようなことだと思うんです。それは明らかに、それぞれの生徒さんには何の責任もないことで、そういう基本的人権に属するような教育を十分なサポートで受けられるというのは、やっぱり国の教育の見識じゃないかと思います。そういう意味で、どこに書くかというのは私はよく分からないんですけれども、しっかりと担保しますということが明記されていることがやっぱり必要じゃないかなという気がしました。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。事務局はよろしいですか、とりあえずは。
  それでは、もう一つ、3番目の議題がございますので、そちらに進ませていただきたいと思います。
  ああ、ごめんなさい。見逃した。池野委員、どうぞ。
【池野委員】    時間がないのに、済みません。
【無藤主査】    大丈夫です。
【池野委員】    この総則の項目を見たときに、やっぱり大事なことは、学校の先生がこれを読んで、教育課程が見通せることだと思います。これまで、ここの企画特別部会でも問題になっていたのは、「横串」とか「縦串」とかいう言葉が使われていましたが、小学校、中学校、高等学校、幼稚園も含めると、幼稚園から大学まで含むのかもしれませんけど、各学校段階間の関連とか見通しが持てるかどうかというのが一つだと思うんです。私、三つ言いたいんです。各小学校、中学校、高等学校の学習指導要領の総則部分で書き足してほしいといいますか、どっかで書かれるといいかなと思うことなんです。一つは、学校間、小学校、中学校、高等学校間の資質・能力と目標だとかそういうものはどういう関連になっているかが見通せるようになっていること。どうしても小学校は小学校の指導要領あるいは総則しか、学校の先生というのはなかなか読まないんですよ。ですから、できれば、第1の項目の小学校教育の基本のところにある1、2、多分、1、2は、中学校、高等学校と同じような文章が出てくると思われるので、その次のところに幼稚園から高等学校までの全体的な資質・能力と学校教育目標なりそういうものの関連みたいなものが出てくるといいかな。どういうように関連しているかとか、資質・能力がどういうように構造化されているかというのが大事なことではないかなと思います。
  その資質・能力が、ここでも議論されていましたけれども、三つの知識、技能とか思考、判断、表現とか学びに向かう力とか人間性とかいう三つの項目で一応考えられているわけですけれども、そういう構造になっていますよということも知らせておかないと、なかなか理解できないんじゃないかなというのが1番目です。ですから、第1の項目の中に、基本的にどういうような小中高と資質・能力と学校教育目標の実現との関連があるかというのが見えることが一つです。
  二つ目は、第2のカリキュラム・マネジメントは、多分、現在出されている資料5の、ある面、概略的な説明がなされるのではないかなと期待しているんですけど、そのときに、概略を多分説明するときに、やっぱり教科と各領域、それから、教育課程外の活動という、今、資料5に書いてあるものが、どういう関連でどこまでできるのか。それから、学習指導要領そのものは、当然、マキシムじゃなくてミニマムだと思うんです。最低限のことはここまでやらないといけませんよということを実現して、学校がそれぞれの状況に応じて、どういうようにカリキュラムを作ったり、もっと発展的なものを作れるようにするかというのを保障しているわけですから、それが見えるようになっているといいかなというのが二つ目です。
  三つ目は、第3の1の「見方・考え方を働かせた学習指導の充実」というのを、先ほど奈須先生も御説明されたり、議論して、大事なことだと思うんですけど、一つは、見方・考え方の表現なんですが、言葉の表現、中黒を使われるのか、「見方や考え方」という、これまで使われてきたものを使われるのか、多分どっちかに統一されるんだろうと思われますけれども、ここで見方・考え方を働かせた学習指導の一つの構造みたいなものが出てきて、教科の間でどういう学習をしたらいいのか、あるいは領域ではどういう学習をしたらいいのかというのが多分出てきて、資料5の中の一つ一つの、「各教科」で言ったら、矢印から三つのものを実現するものの一つのコンパクトなものが出てくるんだと思うんですけど、それが実際にどういう形で実現可能なのか、あるいは、どういうことをすればいいのかの事例が要るんだと思うんです。多分、一番初めの「見方・考え方を働かせた深い学び、対話的な学び、主体的な学び」というのは、どんなことをどういうようにすれば可能なのかの事例がないと、なかなかやっぱり全体的に何をどうすればいいのかが分からないだろうと。事例を入れると固定化される可能性もあるんですけど、先生方が読もうと思うときに、一々、やっぱり深い学びはこうですよという定義とともに、実際にこういうことが必要ですよという事例が要るんじゃないかなと思われるので、その点は配慮していただければありがたいなと。そうしないと、教科間の関連、それぞれの教科の独自性は出てくるけれども、教科間の関連や領域間の関連が出てこないんじゃないかなと思われます。そういう点の結び付きだとか関連が配慮されたものにしてほしいというのが、その三つです。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。3点とも重要なポイントで、指導要領、総則の部分に入れる部分と、事例などは解説書などの工夫もあると思うので考えたいと思います。ありがとうございます。
  それでは、3番目の議題でございますけれども、「小中高等学校を通じて育成すべき資質・能力とその接続」というところでございます。事務局より関係の資料を御説明ください。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。資料4をごらんいただけますでしょうか。
  1枚目は、「各学校段階を通じた教育のイメージ(検討案)」ということで、まだ「案」が入っているものではございますけれども、方向性として、このような形で御検討をいただければということでございます。
  その前提としてでございますけれども、まず、5ページをごらんいただければと存じますけれども、5ページは幼児教育部会におきまして御議論をいただいております、幼児期の終わりまでに育ってほしい幼児の具体的な姿でございます。これまで、平成22年の報告に基づきまして、具体的な姿、12の姿で整理をされておりましたけれども、これを改めて再整理をいただきまして、よりシンプルに分かりやすく、10項目にわたって御整理をいただいたものでございます。こうした姿を幼児期の終わりまでに育むことを目指し、幼小連携の円滑化も考えていくということで御議論をいただいております。
  それから、6ページ目以降が小学校でございますけれども、7ページ目に、各教科において御検討いただいております資質・能力の三つの柱を少し整理させていただいているものでございます。小学校段階の教育目標となるたたき台のものから少し拾わせていただいておりまして、まだまだ検討中のものでございますけれども、教科を並べてみますと、このような三つの柱の整理という形になっているところでございます。
  同様に、11ページ目からが中学校でございます。同じように、三つの柱、各教科について整理をいただいております。
  それから、15ページ目が高等学校でございます。各教科につきまして、ごらんのような三つの柱に基づく整理をいただいております。先ほどごらんいただきました19ページ目以降が、各教科ごとに幼小中高を積み上げたものでございます。書かれている内容は、先ほど表でごらんいただいたものと同一のものでございます。
  こうしたことを踏まえながらでございますけれども、1枚目にお戻りいただきまして、先ほど、池野先生からも御指摘いただきましたけれども、幼小中高の資質・能力のつながりが見えやすいように、各教科と同じフォーマットでございますけれども、学校段階全体として育成すべき資質・能力のイメージを整理していってはどうかということでございます。
  これを整理した上で、また教科にフィードバックして見直しを図ることも考えられると思いますけれども、現在、各教科の資質・能力を整理した大体のイメージですと、例えば小学校段階では、「日常生活から身近な社会生活を送るに当たり必要となる資質・能力」、中学校段階では、義務教育段階修了時ということで、生涯にわたる社会生活の基盤として、そして、高等学校では、生涯にわたる社会生活やより主体的な社会参画、あるいは、その後の専門的学習や職業につながるような資質・能力の育成を目指していることが見えてくるわけでございます。
  青字の囲みの部分でございますけれども、義務教育を終える段階で身に付けておくべき力は何か、あるいは18歳の段階で身に付けておくべき力は何かという観点から、幼小中高を縦のつながりの見通しを持って、資質・能力の在り方を系統的に考えていくことが論点整理では御提言を頂いたところでございます。
  これを踏まえまして、小中高、育成すべき資質・能力の三つの柱に沿って、各学校段階で育成すべき資質・能力を整理することとしてはどうかということ。そして、総則において、各学校段階の教育を通じて育成すべき資質・能力、そして、それは幼小中高の見通しも併せて示す必要があると思いますけれども、例として示してはどうかということでございます。
  このうち、幼児教育につきましては三つの柱ではないんですけれども、これは幼児教育の特性ということで、遊びを通じて総合的な指導の中で一体的に育まれるということで10の姿、無理やり三つの柱ということではなくて、この10の姿を小学校教育につなげていくということで考えてはどうかということで、そのつなぎ方につきましても、生活科のワーキングで、スタート・カリキュラムの在り方で既に御議論をいただいているところでございます。
  そして、18歳までに育成すべき資質・能力ということでは、一番後ろ、36ページ目にございますようなコアということも少し視野に入れながら整理していきたいと考えておりますので、是非こうした方向性について御意見を頂ければと存じます。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。それでは、この育成すべき資質・能力、幼小中高という形で整理しましたけれども、いかがでしょうか。また、御議論、お願いしたいと思います。
【天笠主査代理】    先ほどの総則のところに少し話が戻ってしまうのかもしれませんけれども、近いうちに中学校も出ると思いますし、幼稚園から高等学校まで、総則の全体構造についての資料が出そろうと思うんですけれども、そのことと、今御説明いただいた資料4を照らし合わせて資料4についての説明を伺いますと、幼稚園から高等学校まで、全体像というんでしょうか、全体的な姿についての何がしかのものが必要になってきているように思うわけなんですけれども、例えば、資料4の最後の「コアを構成する資質・能力(イメージ)」というのは、高等学校教育を通じて身に付けるものと、ここにはなっているんですけれども、ある意味で言うと、幼稚園から高等学校まで、そういう段階を踏みながらも、全体を通して捉えていく必要があるんだという、そういうふうに当然捉えることができるかと思いますし、論点整理で、冒頭の1ページの最初の枠で囲まれたところについても、義務教育で終える段階で身に付けるとか18歳段階で云々という、そういうことがあるわけですので、ですから、このこと、当然、ただ高等学校の中だけの話じゃなくて、ある意味では幼稚園から高等学校まで全体を通してということで、先ほど来、何人かの委員の方も言っていて、私、非常に共感しているんですけれども、やっぱり学校間を超えて、全体を見るというんでしょうか、捉える、その全体を捉えた上で、小学校なら小学校、中学校なら中学校で何をすべきなのかという、そういうこととして考えていただく、取り組んでいただくことが、より一層大切になってきているんじゃないか。
  そうすると、やっぱり全体的な姿をどういう形で明示するのかどうなのか、明記するのかになるかと思うんですけれども、従来ですと、それをある意味で言うと、答申文の中で示して、あとはそれぞれという形になるかと思うんですけれども、どうもきょうの総則の全体を、幼稚園から高等学校までをくくるような、言うならば答申文と総則との間をつなぐというんでしょうか、結ぶような、そういう位置付けのものが大切になってきているように思うんですが、それが、ある意味で言うと、この各学校段階を通した教育のイメージということなんですが、これをどういう姿にして明示していくのかどうなのか。とすると、総則のそれぞれ冒頭のところに同じものが、同じ内容を記してそこに置いておくのも一つだと思うんですけれども、そのあたりのところの姿も、また知恵を出さなくちゃいけない一つなのかなと思いました。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。先ほど、池野委員もおっしゃったことと重なるわけですけれども、仮に小学校の指導要領の総則の部分にしても、幼小中高全体像が見える形はどうなのかということです。その辺は、ちょっと工夫が要る感じはありますけれども、大事なポイントだと思います。ありがとうございました。
  ほかにはいかがでしょうか。三浦委員、お願いします。
【三浦委員】    それぞれの校種段階での子供たちの発達の様子は、確かによくまとめられているなと思うんですけれども、確かに、子供たちの発達は時間的に連続しているのは誰でも分かることではあると思うんですけれども、特に校種ごとの子供たちのそのときの姿があって、それは、例えば小学校の学習というのは、必ずしも中学校に行くために持ってなくちゃいけない学力じゃなくて、あるいは、中学校のときの学びは高校に進学するための学びではなくて、やっぱりそのときそのときの子供たちの生活を充実させるために必要な学びなんだという位置付けが私は必要なんじゃないかなという気がするんです。
  つまり、いつも次の段階で恥ずかしくないように、今のうちにちゃんと学んでおきなさいという論理で続いちゃうような気がして、やっぱりもうちょっと各校種での子供たちの発達段階といいますか、校種での子供たちの姿をもう少し明確になるような書き表し方ってできないのかなという気がします。
  以上です。
【無藤主査】    先ほどの言い方で言えば、縦の柱、つながりとともに、校種ごとの横の特徴をどう表すかということでしょうか。それをより具体的な姿まで踏み込めないかということだと思います。検討したいと思います。
  じゃ、牧田委員、お願いします。
【牧田委員】    ありがとうございます。全体像をこうやって書き表していくのは非常に大事なことだと思いますし、これをそのまま進めていけばいいと思うんですが、ちょっと話がずれるかもしれないんですけれども、各教科、例えば、国語でも数学でも理科でも、左側に、ページで言うと算数、数学教育の21ページなんですが、ほかの教科も同じなんですけれども、左側に「改善のためのPDCAサイクル」ということで、一番左側に高等学校基礎学力テスト、小中のところには全国学力・学習状況調査、これでPDCAサイクルを回していって、算数、数学教育を積み重ねていきましょうというのは、少し誤解が生まれるんではないかなと。
  資料の一番最後の36ページの「コアを構成する資質・能力(イメージ)」のところにも、A、Bとあって、Aで、「筆記試験や実技試験等による客観的な評価の対象としやすいもの」ということでは、アとイの半分ぐらいのところに枠があるわけで、前回も議論ありましたけれども、何をもって到達したと見るかという、PDCAサイクルを回していくかというときに、ペーパーだけではちょっと誤解を受けるんじゃないかなと。だから、こういう部分はもちろん必要なんですけれども、それ以外のところを、我々、今、スポットを当てて、授業を変える、教員の意識を変えるというところにいっているんじゃないかと思いますので、その辺、工夫が必要かなと思いました。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。確かに、例えば、算数、数学あたりの基礎学力テスト、あるいは学力・学習状況調査、もちろんPDCAサイクルの中に組み入れる重要な資料ですけれども、それが唯一という印象を与えると、ちょっと誤解を招くかもしれませんので、その辺の書き方は配慮したいと思います。
  それでは、池野委員、ございますか。
【池野委員】    ありがとうございます。私は、最後に示された「参考」に書いてある「コアを構成する資質・能力」というのに、理解が十分できないところがあるので教えてほしいことと私の意見を述べたいと思います。今回、このコアの図が出てきて、左側に「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」という学力の3要素と、ア、イ、ウというのは、知識・技能、思考・判断・表現、学びに向かう力とか、そういうものを「確かな学力」のア、イ、ウというように対応しているのかどうかが、まず質問なんですけど、もしもそれが対応していたならば、少し広く取る必要があるのではないかなと思います。特にウに当たる部分、これが資質・能力に当たる部分なんですけど、それは「豊かな心」や「健やかな体」とかいう方向にも広がっているんではないかなという気がするんですが、そのあたりはどうでしょうかということが一つ。
  もう一つは、右側の方に丸が描いてあって、「社会・職業への円滑な移行に必要な力・市民性」と書いてあるんですけど、この市民性というのは、英語では「citizenship」と言われているものですけれども、確かに知識や技能の側面やらそういうものに資すると思うし、豊かな心も重要な、一種の道徳や倫理、公共性や社会奉仕とか言われるサービスラーニングの側面も含んでいると思うんですけれども、一番下の「健やかな体」は外れているように、この図だけ見ると見えるんですけど、やっぱり全体的に下の「健やかな体」まで含んでいると思います。やっぱり体の中を使って、いろんなことを、社会や職業の中の力を付けてきて、市民として必要なものを培ってくるように思うんですけど、この図自体が上二つだけ、「確かな学力」と「豊かな心」だけがそういう力、あるいは市民性に関わるように読める図なんですけど、そういう点もそういうのになっているんでしょうかというのが二つ目の質問です。
  できれば私としては、「確かな学力」については、あるいはア、イ、ウが「豊かな心」まで広がるんじゃないかなというのが一つと、緑っぽく円が描いてあるのが三つの学力まで含んでいるんじゃないかなと思われることが私の意見です。
  以上です。
【無藤主査】    今の点、池野委員の御指摘のような気がいたしますが、事務局から。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。このコアの整理でございますけれども、その前のページに、高等学校教育部会の審議まとめということで、26年6月に整理をいただいたものでございます。中教審の高等学校部会でございまして、したがいまして、資質・能力の三つの柱という整理がなされる前のものでありまして、現時点での解釈で申し上げれば、池野先生御指摘のとおり、もう少し「確かな学力」と「健やかな体」と「豊かな心」というのは一体的に捉えた上で、資質・能力の三つの柱で整理をしていくことが望ましいであろうと。「健やかな体」に関しましても、体育ワーキングで山口主査のところで御検討いただいているとおり、そのために必要な知識もございますし、その中で育まれる人間性というものが市民性と、公正というような視点も大事にしながらやっていただいているというようなことは密接に関わってくることでございましょうし、そういう意味では、資質・能力の三つの柱ということで、しっかりコアの要素を捉え直していくことが今回必要になっていることかと存じます。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  それでは、ほかの方、いかがでしょうか。上田委員、どうぞ。
【上田委員】    ありがとうございます。この一番最後の、36ページの僕のコメントの続きです。例えば、「確かな学力」、ア、イ、ウというものがありますけど、アとイというのは基礎的な知識・技能を、いわば授ける部分です。これは与えることができるものですけれども、ウというのは、「主体的に学習に取り組む意欲・態度」ですから、これは育み、しかも引き出さないといけないことです。「豊かな心」あるいは「健やかな体」も、多分同じカテゴリーに属するもので、そのために右に適切に二つに分類されていますけど、それをいかに的確に評価して改善していくかのプロセスとして、Aの部分は比較的確立しているわけですけれども、Bについては「それ以外」と現状では書かれていまして、むしろここのところを充実させることができるかどうかが今回の目的である、ウ以降のところをいかに効率的に改善し、その目的を達成するための重要な項目ではないかと思いました。
  以上です。
【無藤主査】    御指摘のとおりだと思います。今、Bってすごく大ざっぱにまとめてあるわけだけれども、その中でも何とか、ある程度客観性を持った評価とか、教師が主観性を持ちながらも幾つかの分類ができるものとか。いずれにしても、改善のための資料を取り出すようなものというのは、もう少し丁寧に書けるかと思いますので、この辺は高等学校部会とも連絡しながら検討を進めてもらいたいと思います。
  ほかにはいかがでしょうか。ございますか。よろしいですか、きょうのところはですけれども。
  じゃ、まだ終わりのように……、いろいろ資料をごらんになって消化し切れないかもしれませんけれども、済みません、時間の関係で、では、きょうのところはここまでとさせていただければと思います。
  最後なんですけれども、事務局から報告事項があると承っておりますので、資料の配付がございます。それに基づいての説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    それでは、お手元に、少し追加資料を配らせていただいております。既に少し報道がなされておりますので、内容については御承知の先生方もいらっしゃるかと思いますけれども、本日付けで大臣メッセージというものを公表させていただいております。既に馳大臣、いわゆる「馳プラン」ということで、中教審の3答申の後に、次世代の学校の地域創生の実現ということで出されていますけれども、学習指導要領改訂もかなり取りまとめの段階に入ってきたということ、その一方で、例えば、アクティブ・ラーニングというものに関して様々な理解があって、それに関して、文科省としての考え方をしっかり整理しておくべきではないかというような御意見も、少し別の部会でも頂いているというような状況もございましたので、改めて学習指導要領改訂の方向性を少し整理させていただいて、発表させていただいたところでございます。
  1枚目の1ポツの部分は、これまでの御議論の状況をまとめさせていただいたものでございます。そして、2枚目の部分でございますけれども、現在御議論いただいている内容というのが、現行指導要領の大きな方向性の延長線上にあるものであること、すなわち、ゆとりか詰め込みかという二項対立的な議論に戻ることではなくて、資質・能力、三つの柱で整理いただいておりますけれども、これをバランスよく育むことが大事であること。そして、アクティブ・ラーニングの視点は、知識の量を削減して新たなことをということが主眼ではなく、質の高い理解を図るために学習過程の改善を図っていくことが主眼であるということ。ですから、このために学習内容の削減を行うことが改訂の趣旨ではないこと。既に論点整理でも注意深く提言を頂いているところでございますけれども、この趣旨を、指導要領改訂の取りまとめ段階に入ってきたこの時期に改めて少し整理をして、公表させていただいたところでございます。
  例えば高等学校については、生物系科目、歴史系科目において様々、細かい知識まで問うというようなことが問題になっていて、そういったところは、当然のことながら、知識の構造化ということ、重要な知識を踏まえた構造化をしていく。それが高大接続改革の趣旨であることなどは少し注意書き的に付言をさせていただいておりますけれども、こうした大きな方向性をしっかりと社会と共有しながら、改訂の道のりを進めていくことで改めて出させていただいております。
  そして、こうした理念の下、社会に開かれた教育課程が、3枚目にございますような、教員の指導体制、チーム学校、あるいは地域との連携・協働という中で実現されていくことを目指していくことを、改めて大臣名で公表させていただいたところでございます。
  後ろの方の資料は参考でございまして、先ほど御紹介させていただいたような昨今の情報化ということ、それから、現在、You Tubeで解説動画を掲載させていただいており、論点整理の広報のようなことも少しさせていただいておりますので、その資料。それから、中教審3答申と社会に開かれた教育課程の関係性ということで、3枚、参考資料を付けさせていただいているということで、以上、御報告です。
【無藤主査】    ありがとうございました。この「学習指導要領改訂のポイント」と整理していただいたのが、まさに本部会が、この1年間掛けてやってきたことの要点だと理解しております。つまり、アクティブ・ラーニングなどというものが、従来教えている事柄に加えて、時間が別にあってアクティブ・ラーニングするとかという、そういう話をしているわけではなくて、従来の教科等の内容を教える際に、アクティブ・ラーニングにすべきところを、もっと質を上げてやっていくんだと。そういうことで、質の高い理解を図る学習過程の質的改善ということが、私どもが目指してきたことだろうと思っておりますので、言うまでもなく、学習内容を、アクティブ・ラーニングを入れた部分を減らすとか、そういう議論は一切していないことを改めて確認したと思います。
  一、二ぐらいなら質問をお受けできる時間がちょっとだけあるんですけれども、何かあれば、お受けしますが。よろしゅうございますか。ありがとうございました。
  それでは、本日、おおむね時間でございますので、ここまでにさせてください。また、いつものことで恐縮でございますけれども、限られた時間の中で、いろいろ御意見等ございますと思いますので、それについてはペーパーで後ほど、事務局にお送りいただければと思います。
  本日予定されていた議題はここまででございます。最後に、次回以降の日程について、事務局よりお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    次回でございます。6月28日、火曜日、10時から12時の開催を予定させていただいております。場所については、追って御連絡をさせていただきます。主査からお話ございましたように、ペーパーによる御意見、ファクス、メール、郵送による御意見等をお寄せいただければと思います。逆に、きょう、方向性を御了承いただきました検討事項、なかなか重たい宿題でもございますので、事務局から御相談をさせていただくこともあるかと思いますが、是非よろしくお願いいたします。
  本日の資料、郵送を希望される場合には、机上に残しておいていただけましたら、後日お送りさせていただきます。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。それでは、これで本日の教育課程企画特別部会を終了させていただきます。ありがとうございました。


――  了  ――

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

電話番号:03-5253-4111(内線2369、4732)