教育課程部会 教育課程企画特別部会(第17回) 議事録

1.日時

平成28年6月28日(火曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 論点整理を踏まえた教育課程の改善・充実について
  2. その他

4.議事録

【無藤主査】    それでは、定刻になりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会教育課程企画特別部会の第17回を開催いたします。本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
  それでは、事務局から配布資料についての御確認をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    配布資料でございますけれども、本日、議事次第のとおり、資料の1から4、その他、机上に参考資料を配布させていただいております。不足等ございましたら、事務局までお申し付けくださいませ。
  また、机上に黄色の紙ファイルがございます。各ワーキングの議論の進捗状況ということで、きょうは概要を資料の方にセットさせていただいておりますけれども、本体を含めて、こちらの黄色いファイルの方にとじさせていただいてございます。
  また、先生方のお手元には、「机上配布資料」と右肩にございます資料、各教科の見方・考え方、それから教育目標のイメージです。表が幼児教育になりますので、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿、おめくりいただきますと、裏面から、小学校段階の各教科の見方・考え方と三つの柱に基づく目標のイメージをまとめさせていただいたものを、お配りさせていただいております。
  また、いつものようにタブレット端末、参考資料を入れてございますので、目次等御覧いただければと思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。資料、よろしゅうございますか。
  それでは早速、議事に入りたいと思います。初めに、本部会の議事・審議等について、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づき、原則公開により議事を進めさせていただきます。また、第6条に基づき、議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うこととさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
  なお、本日、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出がございました。これを許可しておりますので、御承知おきください。
  さて、昨年8月の本部会におきまして論点整理をしてございますけれども、それを受けて、各学校段階別等の部会、また各教科等別のワーキンググループなどで詳細な検討を進めていただいてございます。その議論がおおむねまとまりつつあるわけです。本日は、それぞれの議論の状況を把握いただきまして、この夏予定してございますが、審議のまとめの取りまとめに向けての検討を進めたいと思います。
  こうした趣旨で、本日は、総則・評価特別部会、小学校部会、中学校部会、高等学校部会における取りまとめの案につきまして、また2番目には、各教科等別ワーキンググループのまとめ文案についての議論を頂きたいと存じます。まず、それぞれにつきまして、事務局より関係の資料の御説明をお願いします。その後に、皆様方から御意見を頂戴したいと思います。
  なお、二つ目の議題、各教科等別ワーキンググループでありますが、その資料は大部となってございます。配布資料の資料4のマル1、そしてマル2と分けて御議論を頂くようにしたいと存じます。いつものように、議論の際、発言御希望のある方は、名札を立てていただければ、順番に指名させていただきたいと存じます。
  それでは、まず一つ目の議題でありますが、総則・評価特別部会、小学校部会、中学校部会、高等学校部会における取りまとめ案につきまして御議論を頂きたいと思いますので、まず事務局より関係の資料の説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。それでは、資料の1、資料の2-1から2-3、資料の3-1と、順を追って御説明をさせていただきたいと思います。
  資料の1の方は、既に何度か御覧いただいておりますけれども、指導要領改訂の全体の方向性のポンチ絵でございます。昨日の高等学校部会の指摘等を踏まえまして、1枚目、上の部分、何ができるようになるかの部分は、資質・能力の育成と学習評価の充実ということで、学習評価についても追記をさせていただいたところでございます。その他、何を学ぶか、どのように学ぶかを、カリキュラム・マネジメントの中で実現していけるようにということでございます。
  2ページ目は、資質・能力の三つの柱ということ。そして3ページ目は、高等学校の教科・科目構成について、新たな構成のイメージでございます。国語科、外国語科、地歴、公民、家庭科、情報科、それから、数理にわたる理数科の中に理数探究というものが新設されるということ、そして、それの設置も受けまして、総合的な探求の時間ということで、総合的な学習の時間の名称変更、それから、高等学校における更なる活性化ということが議論されているところでございます。
  そして4ページ目でございますけれども、アクティブ・ラーニングの「主体的・対話的で深い学び」の視点。5ページ目は、そうした学びと資質・能力の関係性。そして6ページ目でございますけれども、今回、総則の構造等とカリキュラム・マネジメントのイメージを合致させるということでございますので、各学校がカリキュラム・マネジメントをしっかり行えるようにしていける、その手引となるものが総則となるという構造を示したものでございます。
  7ページ目は、関係教科の関係性。それから8ページ目以降は、キャリア教育について特に整理したペーパーを付けさせていただいてございます。
  そして、こうした考え方に基づきまして、資料の2-1以降でございます。2-1を少し御覧いただければと思いますけれども、これも御覧いただいておりますけれども、総則の改善イメージということで、2ページ目、3ページ目にございますように、総則の構造を抜本的に見直し、各学校におけるカリキュラム・マネジメントの実現に資するような構造とするということでございます。各学校が、学校教育目標、育成すべき資質・能力というものをしっかりと設定して、それに基づき教育課程の編成実施を行っていくということ。
  そして今回、特に、3ページ目の右側にございますように、学級経営でありますとか、生徒指導、学習指導など、あるいは個に応じた指導ということを、児童の発達を踏まえた指導という視点でしっかりと行っていくということ。特別支援教育や日本語指導についても、この章にまとめさせていただいているところでございます。また、学習活動の基盤作りということが、第5という整理でございます。
  資料の2-2、2-3も、同様の整理に基づき、総則の抜本的な改善を図るということでございます。
  それでは、資料の3-1に基づきまして、総則・評価部会、小学校部会、中学校部会、高等学校部会の議論の取りまとめの状況を御報告させていただきます。これから7月7日に総則・評価部会を控えておりまして、まだまだ各部会における頂いた御議論を反映し切れていない部分もございますので、これから変わりゆくものでございますけれども、現時点のものとして御紹介させていただいております。
  また、幼児教育部会と個別支援教育部会につきましては、それぞれ別個のおまとめを頂いております。必要な部分はこの中に盛り込んでいる部分もございますけれども、幼児教育部会、特別支援教育部会のおまとめにつきましては、次回、まとめて併せて御紹介をさせていただきたいと考えております。
  それでは、資料の3-1でございます。この位置付けでございますけれども、昨年8月におまとめいただいた論点整理5の状況を中心に、まとめさせていただいております。本部会におきまして最終的な審議まとめをお取りまとめいただく際には、論点整理の内容と、こうした現段階の取りまとめ、これを併せた形でお取りまとめを頂く必要があると思いますけれども、論点整理後の状況として、追加すべき様々な観点ということを中心に、資料の3-1はおまとめいただいているという位置付けのものでございます。
  まず1ポツでございますけれども、論点整理に基づく「社会に開かれた教育課程」の実現と、総則を軸とした教育課程の総体的構造の可視化ということでございまして、これが論点整理から頂いた宿題ということでございました。特に情報化・グローバル化という中で、私たちの身近な生活に質的な変化をもたらしていること。そして、特に論点整理後の状況でございますけれども、第4次産業革命という名称でも呼ばれるような人工知能の急速な進化、あるいは、様々なものの働きがインターネット経由で最適化されたりする時代の到来ということが、社会や世界を大きく変えていくとの予測もされているところでございます。
  こうした中で、今、学校で教えていることが、時代の変化の中で通用していくのかという不安の声もあり、教育界においては、そうした不安の声を超えて、子供たちがどのような時代にあっても自信を持って自分の人生を切り開いていけるというような資質・能力をしっかり育むことが求められるということ。社会が求める人材像と学校教育が目指す子供たちの姿との間には、現在、こうした人間の強みをしっかりと生かしていくということの中で、共通の認識を持つことができる好機にあるということ。
  こうした長年学校教育が目指してきたことということをしっかり実現しながら、「社会に開かれた教育課程」の実現に向けて、より良い学校教育、そして、それを通じてより良い社会作りを目指していく、そのために社会と連携・協働していくということの重要性でございます。
  2ページ目でございますけれども、こうしたことのためにということで、後ほど御紹介させていただくように、全ての教科等において、今回、その教科を学ぶことで何が身に付くのかという意義を明らかにしている作業を進めているところでございます。一方で、これからの時代に求められる資質・能力、特定の教科だけではなく、教科のつながりの中で育まれるということもございますので、つながりをより意識した検討・改善が重要になるということ。こうしたことを、総則を要としながら実現していこうということでございます。
  2ポツのカリキュラム・マネジメントでございますけれども、各学校において、子供たちが何ができるようになるか、何を学ぶか、どのように学ぶか、そして、その結果として何が身に付いたか、また、そうした過程の中で、子供の発達をどのように支援していくのか、実施するために何が必要かということを、しっかりと組み立てられるようにしていくことが重要であるということ。その実施に資するために、総則の構造を刷新するということでございます。
  3ページ目、上にございますように、カリキュラム・マネジメントは、教職員が全員参加で学校の特色を構築していく営みであるということ。管理職や教務主任のみならず、全ての校務分掌の意義を、子供たちの資質・能力の育成という観点から捉え直すことにもつながるということ。また、家庭や地域との共有ということも重要でございます。特に高校においては、選択の幅を生かしていくということも重要でございます。
  次に、何ができるようになるかについてでございますけれども、資質・能力と生きる力の関係性。資質・能力の三つの柱と生きる力でございますけれども、学力の3要素が確かな学力の要素を捉えたものであるのに対して、資質・能力の三つの柱は、知・徳・体を総合的に捉えて構造化することを目指すものであるということ。
  3ページ目、下から二つ目にございますように、こうした資質・能力の三つの柱、OECDにおける議論の理念的枠組みにもなっており、また、5月に開催されたG7倉敷教育大臣会合における共同宣言にも盛り込まれるなど、国際的に共有するものとなっているところでございます。こうした三つの柱に基づき構造化された指導要領を手掛かりに、各学校が資質・能力の明確化を図るということが重要であるということでございます。
  4ページ目は、特に「知識」とは何かについて、今回御議論いただいた内容をまとめさせていただいております。個別の事実的な知識のみならず、既有の知識や経験と結び付いて自分の中で構造化されるということ。そして、教員がそのプロセスに関わることにより、知識としての客観性も保たれたものになるということ。また、「技能」についても、一定の段階を追って身に付く個別の技能のみならず、様々な状況や課題に応じて主体的に活用できる技能の習熟に向かうということ。
  こうした知識や技能ということが、思考・判断・表現を通じて獲得されたり、その過程で活用されたりするものであるということでございます。コンテンツとコンピテンシーは相互に関連し合うものでありまして、知識の量ということも重要になってくるということでございます。
  (3)でございますけれども、初等中等教育全体や各学校段階を通じて育成すべき資質・能力ということでございます。現在、各教科においては、先ほど机上配布資料で御覧いただいたように、資質・能力の三つの柱に基づく構造化ということが進められているところでございます。これを、初等中等教育全体像、あるいはそれぞれの学校教育段階を通じて育むべき全体像としてまとめ上げていくことが必要になるということでございます。
  5ページ目に1、2、3とございますけれども、その全体像として仮に設定させていただいているものでございます。1が知識・技能、2が思考・判断・表現、3が学びに向かう力・人間性でございます。これらは現在は学校段階を問わずに置かれてございますけれども、一番下のマルにございますように、これらを学校段階別に整理し、各学校がこれを基にしながら自校の教育目標や資質・能力を明確にしていけるようにすることが求められるということでございます。
  それぞれ御覧いただきますと、1の知識・技能は、発達の段階に応じた生活の範囲や領域に関わる物事について理解し、生活や学習に必要な技能を身に付けるようにするということ。物事という中には様々な各教科に関わる事物、現象、営為等が含まれるところでございますけれども、全てを列挙するということはなかなか難しゅうございますので、仮に物事という形にさせていただいているところでございます。
  また、ローマ数字2でございますけれども、今回、全ての教科について、学習過程の在り方を整理していただきました。その中で、大きく分類して三つのプロセスの要素が重要ではないかということでございます。問題を見いだし解決していくプロセス、吟味した情報を基に考えを形成したり伝え合ったり集団の考えを形成していくプロセス、思いや考えを基に構想し創造していくプロセスということでございます。この中には、それぞれのプロセスの要素ということもございまして、思考スキルのようなものにもつながっていくと考えられますけれども、この三つのプロセスということを大事にしながらまとめさせていただいたのが、ローマ数字の2でございます。
  また、3でございますけれども、今後の社会の在り方、一人一人が人間としての強みを生かしながら可能性を最大限に発揮していけるようにするということを踏まえますと、3にございますように、伝統や文化に立脚した広い視野を持ち、感性を豊かに働かせながらより良い社会や人生の在り方について考え、学んだことを主体的に生かしながら多様な人々と協働して新たな価値を創造していこうとする学びに向かう力・人間性ということでございまして、これらを小・中・高それぞれの段階に応じた形に再整理していく必要があると思いますけれども、こうした形で資質・能力の三つの柱の全体像ということをまとめてみてはどうかということでございます。
  また、5ページ目の下からは、現代的な課題への対応ということでございまして、6ページにございますように、情報活用能力や健康・安全に関わる資質・能力等々、教科横断的な視点が重要となるということでございます。各学校における充実が図られるよう、教科等の関係性を整理していくことが求められるということ。
  一方で、言語能力や思考力など、全ての教育の基盤として重視されてきている資質・能力の重要性も、ますます高まるものであるということ。ここには特に読解力ということの重要性が記されてございますけれども、子供たちが教科書の文章を読み解けていないのではないかという問題提起もあるところでございまして、全ての学習の基盤となる言語能力の育成を重視することが求められるところでございます。
  そして、ここ以下、言語能力、情報活用能力、健康・安全等々、それぞれについて、総則・評価部会で考え方をおまとめいただく予定でございます。そして、そうした資質・能力を踏まえて何を学ぶかということ。各学校が教育目標を明確にしながら教育課程編成を行っていけるようにするということ。また、7ページ目上にございますように、小学校及び高等学校については、教科あるいは科目の構成にわたる見直しを、下記9ポツのとおり行うということでございます。
  5ポツは、どのように学ぶかというところでございます。「主体的・対話的で深い学び」について、これまで御議論いただいた内容をまとめていただいております。授業研究の成果ということを踏まえながら、更に改善を図っていけるようにするということ。8ページ目の上に、「主体的・対話的で深い学び」の内容を再整理をさせていただいてございます。こうしたことを具体化する学習活動として、言語活動や体験活動、問題解決的な学習、見通し・振り返りとの関係も、整理が必要であるということでございます。そして、特に「深い学び」と「見方・考え方」、各教科で明確にされる、どのような視点で物事を捉え、どのように思考にしていくのかということと、「深い学び」の関係性を整理させていただいているところでございます。
  9ページ目にございますように、学習の内容と方法の両方を視野に入れながら、学習過程を質的に高めていく営みであるということ。そして9ページ目、一番下にございますように、高度な社会課題の解決だけを目指す取組ではなく、子供たちの学習課題に応じた「主体的・対話的で深い学び」が目指されるべきであるということでございます。
  10ページ目、何が身に付いたかという学習評価の充実でございます。論点整理の方向性に基づきまして、特に観点別評価につきまして、三つの観点に基づく整理が、全ての教科において進められているところでございます。
  また、11ページ目の一つ目のマルにございますように、「キャリアパスポート」、特別活動のワーキングにおいても御議論いただいておりまして、これを学びの振り返りに活用していくということ。また、教員の評価能力の向上という観点の中で、評価を行う業務というものが教員の本来的な業務であるということを、改めて位置付け直していくことの重要性などでございます。
  それから11ページ目、7ポツ、子供の発達をどのように支援するのか、多様な教育的ニーズに対する対応の必要性ということでございます。様々な進路指導や生徒指導、学習指導についても、こうした子供たちの発達を支え、資質・能力を育成するという観点から、その意義を見直す必要があるのではないかということでございます。
  12ページ目、学級経営の充実ということがございます。学校の意義ということで、子供たちにとって、学習の場であるとともに生活の場でもあるということ。そうした中で、豊かな子供たちの生活を実現していくことが、未来の創造につながるという意識を持つ必要がるということ。そういう中で、学級という規模の集団が、極めて重要な役割を果たしているということ。現在、小学校のみに学級経営の位置付けがございますけれども、小学校のみならず、中・高においても学級経営の充実を図るということを位置付けることの重要性でございます。
  また、学習指導と生徒指導につきましても、子供たちにとって学習の場であり生活の場であるということを踏まえながら充実を図っていくということ。生徒指導についても、資質・能力、子供たちの発達の支援、キャリア形成の方向性という視点が重要であるということ。また、13ページ目、上にございますように、学習指導においても、生徒指導が重視してきた児童生徒理解の深化などの視点で充実を図っていくことの重要性でございます。
  また、キャリア教育ということ。今回、教育課程全体を通じたキャリア教育の位置付けということが、改めて明確になっているところでございます。そうした中で、進路指導というものの在り方も、改めて位置付け直していくことが重要であるということ。
  また、特に、14ページ目にございますように、特別活動、あるいは高等学校の「公共」の位置付けについて記していただいております。また、それ以外の教科・科目においても、主体的な学びという中で、キャリア形成の方向性との関連付けが重要であるということでございます。
  また、個に応じた指導ということ。学習相談などを通じて、自分にふさわしい学び方を身に付けていくということ。また、15ページ目、上にございますように、基礎・基本ということに目がどうしても行きがちですけれども、実は思考力・判断力・表現力等こそ、子供の環境に応じた学力差が生まれやすいのではないかという指摘を踏まえた対応が必要ではないかということでございます。
  特別支援教育につきましては、特別支援教育部会の整理を踏まえまして、全ての学級に支援の必要なお子さんがいる可能性を踏まえた対応が必要であるということ。通常の学級、特別支援学級、通級による指導、次のページにございますけれども、教育支援計画、指導計画、交流・共同学習、また、支援体制の構築ということを、しっかり視野に入れて行っていく必要があるということでございます。
  また、日本語指導につきましては、有識者会議の議論も踏まえて、現在調整中でございます。
  8ポツ、これらを実施するために必要な視点ということでございます。中教審3答申を踏まえた「次世代の学校・地域創生プラン」なども踏まえながら、18ページ目にございますように、校内の研修体制の充実、家庭・地域との連携・協働、また、教員一人一人が力量を発揮できるような様々な条件整備、あるいは19ページ目、下にありますような業務効率化ということ、それから20ページ目のような広報活動、これを指導要領の改訂と併せて行っていくことの重要性ということでございます。
  ここまでが総論でございまして、以下、小・中・高それぞれにおける諸課題への対応ということでございます。小学校につきましては、既に3月の時点で一定のお取りまとめを頂いておりますので、既に御覧を頂いておりますけれども、小学校、特に低・中・高、それぞれの課題に対応した指導体制の確立等の重要性。
  また、21ページ目、小学校、特に低学年からの語彙力の形成ということが、その後の学力差につながるということも踏まえた言語能力の育成と、国語教育、外国語教育の改善・充実の必要性。
  22ページ目には国語教育の充実、そして22ページ目、下以降が外国語教育の充実ということで、今回、中学年の外国語活動、高学年の教科化ということの考え方の整理。25ページ目からは、柔軟なカリキュラム設定に関する考え方。また、26ページ目には、言語チームで御議論いただいた国語教育と外国語教育の効果的な連携ということでございます。
  また、26ページ目、下に、情報技術を手段として活用する力やプログラミング的思考の育成というところがございます。参考資料の2に、「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について」という有識者会議のおまとめを付けさせていただいてございます。今回、中学校の技術・家庭科技術分野において、プログラミングに関する内容が倍になるということ。それから、高等学校においては情報科における実施ということも踏まえまして、それぞれ小学校段階におけるプログラミング教育、既に民間と学校が連携した様々な取組が進む中で、どのような考え方であるべきかということを、本部会の先生方にも御協力を頂きながら、まとめさせていただいたものでございます。
  参考資料2にございますように、プログラミング言語を用いた記述方法、コーディングを覚えることがプログラミング教育の目的ではなく、プログラミングを体験しながら、プログラミング的思考、一連の活動の中にどのような動きの要素があり、それを論理的にどのように組み合わせていけばいいかということを考えていく力という、そうした思考力を育むものであるという整理を頂いております。また、新たな教育内容を付加するということではなくて、現在行われている様々な教育活動、教育内容を、プログラミングを体験することを通じて更に充実させていくという形での導入が目指されているところでございます。
  先ほどの資料3-1にお戻りいただきまして、こうした整理も踏まえながら、小学校における情報技術を手段として活用する力、27ページ目にございますように、特に情報技術の基本的な操作ということも重要でございますので、こうしたことについてまとめさせていただいてございます。
  そして、小学校におけるカリキュラム・マネジメント、特に今後、時間割編成の在り方も含めて、国としても調査・研究を行っていく予定でございます。
  そして30ページ目の下に、小学校の学校段階間の接続がございます。30ページ目の下のマルでございますけれども、低学年の学びがゼロからスタートするわけではなく、幼児教育で身に付けたことを生かしながら学びにつないでいく時期であるということ。現在、幼児教育部会におきまして、先ほど机上配布資料として御覧いただきました、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の明確化がなされているところでございます。
  小学校においては、生活科を中心としたスタート・カリキュラムということを明確に位置付け、その中で合科的・関連的な指導など、様々な環境設定の工夫も含む充実ということが求められるということでございます。また、31ページ目、上は高学年の発達段階の課題への対応なども踏まえながら、中学校との連携、あるいは義務教育、学校制度の更なる活用も求められるということでございます。
  31ページ目、中学校。これは、中学校部会、また今後、1日にございますので、そこで最終的にお取りまとめいただきますけれども、中学校教育、特にカリキュラム・マネジメントを中心に御議論を頂いてございます。
  マル2のローマ数字1にございますように、中学校の様々な学習課題、指導課題に対応するためには、教職員間や地域の意識をカリキュラム・マネジメントを軸に1本化していくことが重要であるということ。中学校、思春期に入り、様々な思春期特有の課題が現れる時期でもあるということ。生徒指導に関する問題なども表出しやすい時期であるということ。こうした多様化する課題に対して、これまでも生徒指導、進路指導、学習指導等の充実が図られてきたところでございますけれども、これらをカリキュラム・マネジメントを軸としながら意識を1本化することによって、更なる効果的な取組の充実につなげていくということ。
  特に32ページ目にございますように、中学校の時期は、生徒の興味・関心に応じた自主的な活動、部活動なども含めた活動の多様化が見られる時期でございます。こうした多様な活動を、地域と連携しながら資質・能力という観点でしっかり支えていくということでございます。活動のつながり、学びと社会のつながり、自分の興味・関心を深く追究する機会を実現していくということ。また、学校と地域が教育目標を共有していくということ。また、様々な活動を、「主体的・対話的で深い学び」の実現ということを共に目指すものにしていくということ。短期的な学習成果のみを求めたり特定の活動に偏ったりすることがないよう、活動時間の適切な設定などバランスのとれた成長や生活に配慮するということでございます。
  こうした全体的な考え方の中で、部活動についても議論を頂いているところでございます。部活動の意義ということ、一つ目のマル、二つ目のマル。こうしたことを踏まえながらでございますけれども、学校教育なのか社会教育なのかという枠を超えて、子供の成長を共に支える視点が重要であるということ。特に長期的な視野を持って、少子化が進む中では、部活動に必要な集団の規模や指導体制を持続的に整えていくためには、一定規模で支えていく体制を構築していくことが長期的には不可欠ではないかという御意見を頂いております。そうした在り方を描きながら、関係団体と連携しながら基盤を整えていくということ。また、部活動も学校教育の一環であることから、「主体的・対話的で深い学び」を実現する視点が重要であるということ。
  今回、保健体育におきましても、「すること」のみならず、「する・見る・支える・知る」といった、スポーツとの多様な関わり方について重視されているところでございます。こうしたことも踏まえて、スポーツや文化、科学等、それぞれに関する科学的知見や、指導者や仲間との言語活動を重視した指導者教育などが行われることも重要ではないかということ。また、教育課程内の活動と相乗効果を持って展開されることの重要性、生徒のバランスのとれた生活や成長への配慮、あるいは、教員の負担軽減の観点も考慮しつつ地域との連携体制をしっかり構築していくことの重要性でございます。
  また、学校段階間の接続ということで、義務教育9年間を見通した教員相互、保護者相互の理解の促進ということ、合同連絡会などの重要性ということ、34ページにございますように、高等学校との接続の観点ということの重要性でございます。
  高等学校につきましても、高等学校教育の基本ということでまとめられております。特に高大接続という観点からでございますけれども、これまでの高等学校教育につきましては、三つ目のマルにございますように、大学入学者選抜や資格の在り方といった外部要因によりその在り方が規定されてしまい、目指す教育改革が進めにくいとの指摘もなされてきたところでございますけれども、1ポツにございますように、現在、社会や産業の構造が急速に変化する中で、人間として求められる資質・能力とは何かということを、学校と社会が学びの場か生活の場かということを超えて共有できる好機にあるということ。こうした中で、高校・大学あるいは社会が、子供たちの資質・能力という観点から手を携えて改革に臨んでいけるという好機にあるということでございます。こうしたことを生かしながら、高等学校教育の改革を進めていくということでございます。
  36ページ目、高等学校においてもカリキュラム・マネジメントの重要性ということでございます。学び直しの充実、指導評価の改善・充実、カリキュラム・マネジメントに向けた取組の推進ということ。また、37ページ目にございますように、中・高の連携。そして38ページ目、高大接続、職業との接続ということ。また、今回、かなりの科目が新設になりますけれども、卒業に必要な単位数は、引き続き74単位とすること。また、39ページ目、必履修科目の在り方、選択科目の在り方、現行の単位数をベースに考えていくということ。また、新設科目の構成ということについて、概要を記させていただいているところでございます。
  また、専門学科・総合学科につきましても、現行の単位数等を前提にしながら、「社会に開かれた教育課程」の観点から更なる充実を図るということについて記されているところでございます。
  長くなりましたが、まず総則・評価部会等の取りまとめについては以上です。御審議、よろしくお願いいたします。
【無藤主査】    ありがとうございました。審議に入る前に、事務局の方に戻しますけれども、人事異動があったということでございますので、御紹介、よろしくお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。事務局に人事異動がございましたので、御報告を申し上げます。小松親次郎前初等中等教育局長、6月21日付の異動によりまして、文部科学審議官に着任しております。
【小松文部科学審議官】    初等中等教育局長をいたしておりました小松でございますが、文部科学審議官という立場で、この初等中等教育につきましては、やや間接的になるかもしれませんが、ほかの局とともに引き続き御指導いただくことになります。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
【大杉教育課程企画室長】    続きまして、同じく6月21日付で藤原誠初等中等教育局長が着任しております。
【藤原初等中等教育局長】    官房長からこのたび初等中等教育局長を拝命いたしました藤原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【無藤主査】    ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
  それでは、先ほど御説明がありました資料につきましての御議論をお願いしたいと存じます。それでは、名札をお立ていただいて、適宜御発言お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。どなたからでも結構でございます。
  じゃあ渡瀬委員、どうぞ。
【渡瀬委員】    よろしくお願いします。「何を学ぶか」というところでは、各教科等を学ぶ意義ということが書かれていますけれども、この「等」についてのイメージがもう少し分かるような記述ができたらいいんじゃないかと思います。今までも、この場でも「○○教育」というようなことが話し合われてきましたけれども、教科横断的に展開されるべきそういう「○○教育」、例えば「持続可能な開発のための教育」のESDですとか、ICTの活用やプログラミング的思考を育てるための教育というようなものの必要性が、最初の「何を学ぶか」の中で読めるような書き方ができるといいんじゃないかということが1点目です。
  それから、学級経営の充実を測るということが書かれていますけれども、これは本当にそれが必要だと思います。ただし、これを読み間違わないようにする必要があると思います。例えばこれを読んだときに、学級担任がますます頑張らなくちゃいけないと読む可能性があると思うんですけれども、学級担任だけでは限界があって、ここにこそ「チーム学校」の発想が必要だと思います。学級経営を充実させるということは、ますます「チーム学校」が機能していかなくてはいけない。例えば小学校の高学年でも教科担任制の推奨も話し合われていますけれども、そういう意味で、なるべく多くの目で学級経営を充実させていくということがこの中に盛り込まれていくと、担任が一人で頑張ってしまわないで済むかなということを感じました。
  以上です。
【無藤主査】    2点とも事務局と一緒に工夫したいと思います。ありがとうございました。
  ほかにはいかがでしょうか。じゃあ、天笠主査代理。
【天笠主査代理】    済みません、今回の取りまとめ案の位置付けとか、あるいは全体像についての確認という意味で御質問させていただければと思うんですけれども、こちらに、先ほどもありましたけれども、まとまった論点整理があって、その論点整理の構成を見ると、2030年の社会の子供たちの未来以下、1、2、3、4、5、6という、こういう形になっていて、確認ですけれども、今回のまとめというのは、およそ5の部分のところを検討して、そしてまとめたと位置付けるということかと伺いましたけれども、1点、それで確認として、そういうことなのかどうなのか。
  続いては、先の論点と、それから現在のそれと、それに関わって、条件整備的な部分についての位置付けとか扱いというんでしょうか。先の論点整理ですと、スケジュール等という「等」の中に、その一端が記されているわけですけれども、その条件整備ということについては、どんな形で、この全体像のイメージの中ですと位置付くのかどうなのか。ある意味で言うと、この中にも折々にそういうものが込められているとも読めるわけですけれども、改めてこの中で、そういう条件整備的なものということの記述とか捉えというのは、どのようにこのまとめの中で考えていったらいいのかどうなのか。
  というのは、何を申し上げたいって、今回は、今回だけに限らないのかもしれませんけれども、改めてこの考え方とか具体的な展開を求めたときに、どうしても条件整備の側面というのが大切になってくるわけで、そこのところをどういう形でまとめて示していくのかどうなのかということについてですが、今回御説明いただいたようなこういう取りまとめの中で、この中に溶け込ませるような形で記述するというのもまた一つかもしれませんですし、またもう一つは、今回はこれとしまして、更にこの先の全体的なまとめのところには、今申し上げた条件整備的なところは、それはそれとして押さえていくんだということなのかどうなのか。
  その辺のところはまた、現在の段階でどのようにお考えになっているかどうかということですけれども、例えば一つですけれども、学級経営という話で出たので、私も同様ですけれども、私の認識ですと、それは多くは教員養成のカリキュラムの話になってくる可能性というのは随分持っているんじゃないかと思っておりまして、そうすると、むしろ教員養成の中に学級経営という授業自体があるようなないような状態になっているということ自体が、実は課題なんじゃないかと、そのように私は捉えているわけですけれども、例えばそういうことについてのこの立場からの言及ということになった場合に、どのようにしていくとそれが一番明確になって伝えやすいかというと、改めて条件整備のところの整備の在り方があるかと思うんですけれども、そういう意味も込めまして、この取りまとめの位置付けとか、改めて全体的な姿というんでしょうか、ということを、今の時点で考えられていることを御説明いただけると有り難いなと思います。よろしくお願いいたします。
【無藤主査】    じゃあ、お願いします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。論点整理、緑色の冊子の目次を少し眺めていただきながらと思いますけれども、本日、後ほど御議論いただきます資料の4のマル1、マル2辺りは、正に5ポツ以降の部分に大きく関わってくる部分であろうかと思います。また、今の御議論いただいております資料の3-1につきましても、9ポツ以降、学校種別のものにつきましては、正にこの5ポツの部分に関わってくる部分かと存じます。
  一方で1ポツから8ポツまでにつきましては、ある意味、この論点整理の1ポツから4ポツまでを少し構造化したというものになってございます。資料の1のポンチ絵の6ページ目にございますけれども、今回、総則の構造とカリ・マネの構造を合致させるということの中で、資質・能力あるいはアクティブ・ラーニング、評価の在り方ということを項目として並べるのではなくて、各学校がカリキュラム・マネジメントを行っていく際の視点を持ちながら構造的に示していくということ。そうした中で、3-1の1ポツから8ポツは、御覧のような章立てになっているところでございます。今後、審議まとめをまとめていくに当たりまして、この論点整理の構造でいくのか、あるいはこの総則・評価部会のカリキュラム・マネジメントの章立てでいくのかは、改めて御相談をさせていただきたいと存じます。
  それで条件整備のところでございますけれども、論点整理におきましても、これはしっかりと議論の中心的なものとして組み込んでいくことが重要であるという御指摘を受けたことを踏まえまして、条件整備の部分は、4ポツのところ、カリ・マネが(1)にございますけれども、(2)のところで様々な条件整備、「支援方策」というタイトルになってございますけれども、ここに位置付けさせていただいているところでございます。一番後ろにくっつけるというよりは、中心的な事項として前に持ってくるべきという御指摘を踏まえて、論点整理でこのような章立てにさせていただいたところでございますけれども、こうした考え方は引き続き持ちながら、しっかりと全体構造とセットで示していけるような章立てを御議論いただければと思います。
  以上です。
【天笠主査代理】    どうもありがとうございます。
【無藤主査】    それでは山口委員、お願いします。
【山口委員】    論点整理の頃からももしかしたら話があって、少しずつ理解も変わってきている部分もあるかと思うんですけれども、資料1を見ていただければ、「主体的・対話的で深い学び」というところの、どのように学ぶかのところのイメージですけれども、この「深い学び」と「対話的な学び」、「主体的な学び」の三つが並列に置かれている絵だと思うんですけれども、ただ、これが、この文章で言うと、「主体的・対話的で深い学び」。この日本語、何となくどうかなと。「主体的・対話的な深い学び」なら、何となく日本語として。「で深い学び」って。
  つまり、「主体的な学び」や「対話的な学び」を通して「深い学び」をしていくんだと思うんですけれども、そうするとイメージとしては、三つが同じ並列ではなくて、「主体的・対話的な学び」があって、それを包括する形で「深い学び」になっていくんじゃないかと思うんですが、絵の描き方で言うと何か三つが置かれているので、理解しづらいんじゃないかなと思うんですけれども。もし私の理解が違っているのであれば教えていただきたいし、私も理解しておきたいなと思うんですけれども。
【無藤主査】    山口委員のおっしゃるとおりだと思うんですけれども。補足してください。
【大杉教育課程企画室長】    この点、是非御議論いただければと思っておりまして、「主体的な」ということ、「対話的な」ということが、ある意味、深さの実現に資するものとして捉えるべきという御見解と、一方で、「主体的な学び」ということは一つの学びのエンジンとして極めて基盤になるものであるので、それはそれとして並列的に言っておくべきではないかという御見解と、あるところでございます。
  一番は、現場の先生方が指導改善に使いやすい姿ということが一番でございますので、それを視点に置きながら是非御議論いただきまして、それを踏まえて審議まとめに進んでいきたいと思っております。
【無藤主査】    ということなので、更に御意見があれば、またお出しいただきたいと思いますけれども、私のこれまでの議論の理解では、山口委員の整理されたような趣旨を込めてこういう言い方だと思います。日本語として熟しているかは、また別ですけれども。何か。
【山口委員】    多分、皆様、理解同じであるかなと思うんですが、ただ、例えば資料の1の5ページを見ると、絵として三つが並んで置かれている形になっています。ですから、これでは何か今の理解とは少しずれた形で表現されているので、これが現場に下りていったときには、恐らく今のような形での理解とは違ってくるかなと思いますので、もし今のような理解で皆さんがいい、あるいはもう少し付け加える、大杉さんが言われたような部分でもう少し、どのような形で示したらいいのかというのを少し議論をして落としていった方が、現場には分かりやすいのかなと思うんですけれども。
【無藤主査】    絵の描き方は、多分、三つの学びが相互的に支え合い、つながり合うということだと思いますが、なかなか二次元の絵に表すのは難しいところがあると思いますけれども、絵と文章の組合せで表現をお願いしたいと思います。
  それでは池野委員、よろしいですか。
【池野委員】    二つお願いをしたいです。一つは、全体的には総体的構造を示すという形が多分今回の大きな目標で、この議論の中でも、先生方に今回の学習指導要領の改訂の全体構造がこういう形になりますよというのを伝えることが目的だと思うんです。総体的構造の場合に。そのときに、前回のときも私申し上げたんですけれども、多分、資料の2-1や2-3の小学校・中学校・高等学校のそれぞれの目標といいますか、資質・能力は、ここらぐらいまではこうしますよとか、各教科では、小学校の国語、中学校の国語、高等学校の国語は大体こうですよというのは、何となく各教科で出てきたと思います。それが全体として説明すると、どのように小学校段階では到達できるか、中学校段階でなるかというのが見えるようになることが、多分、一番の目的ではないかなと思いました。
  だから、そういう、小学校でこれぐらいのこと、幼児教育から言えば幼稚園からですけれども、そういうものが、どのように段階的に子供たちがあって、更に大学なり社会の中でどのように力が付いていくかという構造になっていると思うんです。それが「社会に開かれた教育課程」の意味だと思うんです。そういう段階性みたいなものが、資料の2-1の小学校の総則とかそういうところの説明の中に、前も言ったんですけれども、小学校は小学校だけしか書かないんじゃなくて、全体が見えるように小学校が位置付けられるというのをお願いしたいというのが一つです。
  二つ目は、そのときに基本的な概念みたいなものが要るんじゃないかなと。説明する概念というか、先生方が考えるときの手掛かりになるようなものが要るんじゃないかなと思います。発達だとか成長だとかというのは所々に出てくるんですけれども、それ以外に、何か例えば進展するとか向上するとか、英語ではプログレッションと一般的に使われていますけれども、そういう概念で、どういう段階からどういう段階へ、それぞれが培われていったり育成されて、より高いレベルへ行くか。多分それが、先ほど山口先生が言われた「深い学び」は、どちらかというと下の方に行くようなイメージですけれども、段階的に言うと上の方に上がってくるという形だと思います。
  それが、例えば小学校・中学校の教科は、英語は変わりますけれども、大きくは教科・科目・領域は変わらないと思うんですけれども、高等学校は、例えば資料の1の3ページの中に色が付いてありますよね。これ、多分、必修と基礎と書いてあるんですけれども、これが小学校・中学校は必修科目ばかり挙がってきて、小学校ではこんなこと、中学校ではこんなことをやって、高等学校で選択科目がいっぱい出てきたり必修が出てきたりするんです。けれども、そのときに、基礎はこういう段階をイメージしていて、必修はこれぐらいで、更に選択はこうですよと。基礎、総合、多分、探究という位置付けのように私には見えるんですけれども、その基礎、総合、探究と言われるものが、一体どういうような全体的には切り分けがされていて、極端に言うと、基礎は中学校をまとめて少し発達させた、総合はそれを使ってより活用できるようなところまでいく、探究だとそれを更に自分なりに課題探究だとかそういうものに発展させるとかいう、一種のイメージみたいなものがあると思うんですけれども、そういうものが伝わらないと、基礎は基礎、探究は探究で動くだけで、全体がどういうようなものとして作られているかというのが伝わらないような気がするので、そういう説明が必要ではないかなと思った次第です。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。正におっしゃるとおりだと思うので、その辺は少し事務局の方で工夫して書き込んでいただきたいと思います。ありがとうございます。
  それでは市川委員、お願いします。
【市川委員】    大きく二つの点についてですが、先ほどの「深い学び」、「対話的な学び」、「主体的な学び」、これも学校の先生からもよく聞かれるんですけれども、とりあえずこの三つというのは、アクティブ・ラーニングの必要要件として、まず三つが並んでいるんだろうと思います。「主体的な学び」というのは学習の意欲とか見通しとか振り返りのことを指しているわけですけれども、これがないと、つまり、先生にやれと言われたのでこの作業をやっていると。これは主体的ではないわけで、これでは困りますと。それから、先生の言っていることを黙々とノートに取って、一人一人黙々と問題を解いてテストに備えるという、これでは対話がないわけで、学習者同士の対話というのがアクティブ・ラーニングの必要な要件だと。そういう形でやったとしても、最終的に「深い学び」に至っていないと、これは困りますということで、その「深い学び」とはどういうことかというのも今回説明が大分加わっていますが、「深い学び」ということに至っているのかどうかと。
  どれも必要な要件で、どれかが欠けてしまうとアクティブ・ラーニングとは言い難いのではないでしょうかという意味では、必要な要件として三つ出ているんですが、今度、じゃあプロセスとなった場合には、この三つが並列というのだと、どうもプロセスになっていないと。先ほど山口委員が言われたように、「主体的な学び」、「対話的な学び」を通して「深い学び」が実現するという形になることがプロセスとして見えてくるし、分かりやすいのではないかなと思いました。それがアクティブ・ラーニングに関してです。
  もう一つは、これは内容的なことではないんですけれども、今回もかなり総則部会と各小・中・高の部会をまとめたものというのは非常に目配りが効いていて、良く出来ているなと私も思います。これが更にこの企画特別部会や教育課程部会で練られていって、最終的には指導要領につながるということだと思うんですが、私はむしろ、この過程でかなりいろいろ出てきたこういう考え方が、この先どのように社会に浸透していくのかという、その手立てもどこかで検討いただければと思います。
  普通は学校止まりになってしまうことがどうも多いと。つまり、文部科学省から教育委員会を通じて学校に周知されるというルートはこれまでも出来ていると思うのですが、日本の教育がこのような理念でこのように変わっていくというのは、そこから先も大事ではないかなと思っています。例えば学校止まりになるのではなくて、保護者に対して、どのように今度変わっていくのだということが伝えられるかと。
  学校の方も、これから学校教育がこんな方針になっていくので、その中でうちの学校は、またこういうカリキュラム・マネジメントをやって、こんな教育をやっていくのですという説明のようなものが、どうも余りないようです。私の行っている学校でも、いろいろなことをやってきたけれども、保護者に対してはほとんどお話ししていなかったと。四、五年たって、そういうこともしないといけないということになって、初めてそういうことをやるとか。
  それから、保護者だけではなくて、今度は社会教育、地域教育、こちらの方たちに対しても、説明会などを通じて、学校でやることがこのように変わっていくと。そして地域と連携してということもうたわれていますので、当然、連携の相手がこのように変わっていくんだということは、十分お知らせしないといけないのではないかと思います。これは、できれば教育委員会にやっていただきたいことです。
  あと、こういう学校教育を受けた子供たちが、その先どういうところに行くのかというと、大学とか企業ということになっていくわけです。大学に対しても、小・中・高の教育がこれだけ大きく変わっていく、そういう方針でやっていくということは、かなり説明会等を通して、こういう力を付けた子供たちが大学に入っていくと。あるいは企業に対しても、これはかなり企業にとっては、採用とか人事の中で恐らく望まれる方向に動いていると思うんですけれども、学校としてはこういうことに重点を置いて、こういう資質・能力を育てるということをこれからやっていくのですということは、十分周知して御理解いただく必要があるのではないかと思いました。
  ですから、今回の内容についてはもっとこれからも議論で詰めていくんでしょうけれども、その先、出来上がってからどのようにこういう内容を社会の中に知っていただくかということについても、御検討いただければ幸いです。
【無藤主査】    ありがとうございました。2点とも是非考えていただきたいと思います。
  それでは髙木委員、そして平川委員、順番に行きます。
【髙木委員】    たまたま今、市川委員のお話と同じことを考えておりまして、実は今、市川委員が言われた、6月18日の土曜日だったんですけれども、私、横浜のある小学校で、PTA総会で、これから学力や資質・能力がどう変わっていくかという話をやりました。かなり易しく話したんですが、随分保護者の方、特に父親の方が社会との関係でよく分かってくださって、終わった後、校長先生やPTAの役員の方が、これからの学校の授業はとてもこれでやりやすくなってくるなという話をしていたので、そういうことはとても必要だなと思っていました。
  そこで実は出てきたことが、きょうの資料3の1枚目と資料1のところへ関係するんですが、「社会に開かれた教育課程」という今回一番大事なキーワードが具体的にどういうものであるかというのが、なかなか御理解いただけていないなという感じを受けました。特に社会構造の変化の中で、どのように社会に関わっていくか。先ほど渡瀬委員もおっしゃったESDとの関係です。人権とか人格、環境、貧困、そういうことを含めてこれは考えてあるんだということが、きちんと伝わる。資料1を見たら、実は真ん中のところにそういったことが書いてあります。「社会に開かれた教育課程」の実現という上に、「より良い学校教育を通じてより良い社会を作るという目標を共有し、社会と連携・協働しながら未来の創り手となるために必要な知識や力を育む」と。
  これが、だから恐らく「社会に開かれた教育課程」のある意味での定義だろうと思うんだけれども、それが、資料3の方の1のところの「社会に開かれた教育課程」の実現の中に明示されていません。ですから皆さん、「社会に開かれた教育課程」というけれども、一体何ということがとても分かりにくいということを言われているので、是非これから、これ、どこで書き込むかだと思いますが、審議のまとめ、若しくは答申、更には総則の中でも、そういった易しい言葉で、一般の方々や社会に通じるような、この指導要領の大きな目標を、きちんと一番最初に書いておく必要があるなということを感じましたので、書き方の中でお願いしたいと思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。大事なポイントだと思います。
  では平川委員、お願いいたします。
【平川委員】    今、正に髙木委員がおっしゃっていらっしゃったことで、この3-1の資料の中で、より良い社会ということが書かれております。マルポツの三つ目ですけれども、ここをもう少し分解する必要があるのではないかと思っておりまして、大きく言うと、地球環境をどうするのということと、民主的に話合いによって決めていくということが、いかに書かれるのかなと個人的には思っております。
  市川委員もおっしゃっていただいたことは私もすごく思っておりまして、私自身が校長としてまだまだ出来ておらず、未熟なので、そういうことを自覚しつつ、あえて申し上げますけれども、3‐1の17ページの8の、実施するために何が必要かというところの、特に三つ目のマルでございますけれども、教員改革について書いていただいております。ここももちろん大切ですけれども、昨今感じますのは、管理職、管理職という言葉自体も管理する人ではなくて、よくカリキュラム・マネジメントという話が出ておりますけれども、どちらかというと管理ではなくクリエーティブなものだと思っておりまして、それも含めて言いますが、以下のような言葉というか、掲げていただくと、より進むのかなと思っておりますのは、「管理職(校長、副校長若しくは教頭)のリーダーシップ育成のため、人、物、金、時間、情報をどう駆使し、つなぎ合わせるか。学校マネジメントの具体的方法論を、教員より管理職に昇進する際に十分研修する必要があり、これを国、教育委員会、大学等で十分配慮する必要がある」のではないかと思っております。
  そう申しますのは、海外などでは管理職に就任する際に、学校業界に特化した独自のMBA的な経営論と申しますか、マネジメント論を学ぶ機会があると聞いておりまして、日本にはまだ、私の知っている限りは、断片的なものは存在しますけれども総括的なものはないと思われますので、これを進めていくためには、校長のリーダーシップ論をどのように引き上げていくかというところが鍵になってくるのではないかと思うのです。引いてはそれが文部科学省、教育委員会、それから学校にどう浸透していくかというところに要になってくるのではないかと感じております。ここを是非御配慮いただければと思います。
  それからもう一つ、最後に、特にこれは神長委員に是非伺いたいところではございますが、30ページ目のマルの最後のところでございます。学校、団体間の接続というところですが、改めて幼保小連携が本当に必要だと思っておりまして、幼児教育の、健康、人間関係、環境、言葉、表現の5領域が、何となく小学校低学年になるとプチッと断ち切れているような感じが、小学校などにいろいろ見学に行くと感じておりまして、きちんとやっているところはもちろんやっていらっしゃると思いますけれども、ここの5領域の理解をどのように小学校の低学年の先生方に御理解いただいた上で、カリキュラム・マネジメントをしていくかということが必要なのではないかと思っております。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。非常に重要なポイントで、ありがとうございます。
  それでは、今村委員、お願いします。
【今村委員】    よろしくお願いします。言葉の使い方については既に吟味された上でのことなのかもしれませんが、先ほどの山口委員のおっしゃっていた学習指導要領改訂の方向性の1ページ目の、どのように学ぶのかのところと、5ページ目のアクティブ・ラーニングの関係性の部分における「主体性」という言葉の使い方が、生徒たちの様子を外側から見たときに評価しやすい態度を表わしているような言葉として捉えられる可能性もあると思っています。もちろん学びに向かう態度が意欲的であることは、その人間性にも寄与することから、重要であるとは考えています。しかしながら、アクティブ・ラーニングの最大の目的は、内発性や内発的な意欲というものを引き出すことにあることを鑑みれば、意見を言うとか、主体性を表わすこと、例えばその学びの形や学びに参加していること自体を評価するのではなく、先生方が生徒の内側から生まれる内発性を引き出すことが、このアクティブ・ラーニングの前提として重要な視点なのだというところを示す必要があると思っています。生徒の内側の意欲に目を向けられるような言葉がこの絵の中に記載されれば、本当の意味での深い学びにつながっていくのかと思いました。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。何とかそれも努力したいと思います。
  それでは、牧田委員、よろしいですか。
【牧田委員】    ありがとうございます。2点、お願いします。非常によくまとめられた文章だと思いますし、絵も、なかなか絵にするのは難しいと言っていたのに、非常に構造的にうまくまとめられていると思います。
  この論点整理と審議のまとめの関係ですが、参考資料、資料3‐2の5番の図に、次期学習指導要領改訂の指針の共有等に向けてという、従来と今回の検討スケジュールが併記されておりますが、論点整理が出されて、教育現場との対話ということで、理念とかカリキュラム・マネジメントとは何かという議論を全国各地で行って、それがここにまた集められて、審議のまとめになっていくということが現になされていまして、それをすごく実感しております。いろいろなところで私も聞かれますし、というか、一緒に考えて、本当に教科固有の資質・能力とは何だろうとか、見方・考え方とは何だろうとか。今まで本当にカリキュラム・マネジメントはやってこなかったのか。今まで考えていたカリキュラム・マネジメントと何が違うのかということを、非常によく議論するような場になっております。そういう意味で、この思惑が見事に当たっていると思うのです。
  今度この審議のまとめに移るときに、パブリックコメントを求めることになるのですけれども、時期がなかなか難しいのですが、できることなら、また審議のまとめが出た段階で、全国各地でそういう議論が巻き起こるような仕組みができればと思うのです。
  それと、論点整理と審議のまとめの構造ですが、先ほど、どういうふうにまとめていくか、今考え中ということでしたが、ここに出てきている総則・評価特別部会のことがメーンに出てくると、元々の根本の、日本の子供たちが、一応問題は解けるけれども余り好きではない、やり続けることを余り好まない、先生方もいろいろな技術を教えることは得意だが、それを超えて動機付けを大きくしたり、長期的な課題を与えたり、クリティカルシンキングのような能力を培うことには少し自信がないという、根本のところが欠けてしまうと具合が悪いと思うので、その辺を、結論から言うと、うまくその論点整理の論理の中にこれを組み込んでいくような形の方が、筋は通るかなと、私は個人的に思います。
  2点目ですが、これを今そういう点で世の中に出していこうとしたときに、恐らく混乱とまでは行きませんが、どうなのだろうと思うのが、教科相互の関連性ということです。教科横断的な指導ということになるのですが、今の資料1の7ページの中に、「各教科」の中で「教科相互の関連性を視野に入れながら」と記述してございます。片や「総合的な学習の時間」には、「各教科の見方や考え方を総合的に活用し」となっております。だから各教科で学んだことをそのまま使うということでしたら、総合的な学習で今までもそれを目指してやっていたことですから、それと、今各教科の中で教科間の相互の関連性を視野に入れるということは、どういうことなのかということを、少し明記していただけると、イメージがしやすいと思います。
  それがこの資料3‐1の18ページ、校内の研修体制のところにも、教科を超えてということが書かれているのですが、二つ目のマルですけれども、「授業研究において、教科を超えて指導計画を比較することにより、教科横断で教育内容を関連付けることができる」と書いてあるのです。それは少し不十分ではないかと私は思いまして、指導計画を比較するという授業研究ではなくて、実際何が行われていたか、計画ではなくて、実際そこで育まれている各教科の見方や考え方を共有し合う。これは自分の教科と似ている、あるいは違うということを、学校の中で、校内で研修していくということになってくると、少し方法的にも明らかになるかと思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。御指摘の方向で検討したいと思いますけれども、特に最後の辺りは、教科間、あるいは教科と総合との関連が、見方・考え方によってということで、要するに、個別の内容を一々つなぐのとは違うのだというのは、今回少し新しい面だと思うので、その辺が分かるように是非書き込んでいただきたいと思います。
  それでは、三浦委員、お願いします。
【三浦委員】    2点ほどございます。
  1点は、前半のところで、特別活動、学級経営等について御意見が出されたかと思いますが、確認です。先ほど室長から御説明を頂いたのですけれども、現在、小学校のところで学級経営の充実という文言が明記されているけれども、これを中学校、高校でも充実させなければいけないということを、多分おっしゃったかと思うのですが、それは改訂のイメージのここの中に明示されると理解してよろしいでしょうか。分かりました。
  それから、もう1点は、先ほどの深い学びのところで考えたのですけれども、私はよく学生たちに学びというのは三つぐらいのレベルがあるよと言っています。一つは、I seeという、分かったと感覚的に理解することで、二つ目がUnderstandというか、構造的に仕組みを理解していくというレベルと、それから三つ目に、Comprehendというか、総合的に、つまりその知識を得ることによって自分はどんなふうに生きていけばいいのかが分かる、どういうふうに行動すればいいのかが分かるというふうに、自分と関連付けて理解していくというのが、多分学びの最終的な形になっていくのだろうなと思うのです。OECDなどが今、資質・能力の再定義をしていて、その概念図が半年ごとぐらいに改訂されて出てきているのですが、その中でずっと共通しているのは、最終的なアウトプットというのは行動なのだというところだと思います。それで、この総則・評価特別部会の報告の8ページのところに、深い学びについての定義付けといいますか説明があるのですけれども、感想でいうと、この深い学びというのは、学びが学びの中に内閉していてすごくクローズなイメージがあって、学びというのは最終的に自分の生き方や自分の行動に転化されていくものだというようなイメージが欲しいなという気がしました。先ほどの深い学びの議論のところで、そんな印象を持ったので、お話しさせていただきました。
  以上でございます。
【無藤主査】    ありがとうございます。特に、後でおっしゃっていただいた点は、よりそれが明確になるように是非工夫したいと思います。
  それでは、神長委員、お願いします。
【神長委員】    先ほど平川委員から御質問がありました、5領域における学びと今回のこのカリキュラムとの関係、幼保小の状況と、もう一つ、先ほど来から出ております、12ページにあります学級経営の充実という内容に少し絡んでくる問題ですので、一応私は2点述べたいと思いますけれども、絡みながらお話をしたいと思っております。
  先ほど御指摘のとおり、今、幼保小の連携という形で、幼児期の教育から小学校教育にいかに円滑な接続を図っていくかという、そういう取組が各都道府県、自治体、市町村等の教育委員会を中心とした取組の中で、また各学校への取組の中で広がっているという実態はあるかなと思います。本当にここ二、三年、そういう取組が増えてきたし、相互の理解が少しずつですけれども、深まってきていることはありますが、実際、具体的な話し合いの場に参加させていただくと、学習の仕方が、幼児期の遊びを通しての総合的な指導としての学習と、小学校以上の教科等の学習について、実感をもって分かったと、理解するというところまでには、なかなか行かないこともあります。それは参観等を通したり、また、小学校の先生が保育園の中に入って保育体験をするとか、いろいろな取組の中で実感をもって学ぶというのは、子供だけではなくて教員同士もそうだと思いますので、これから継続していくことなのかなと思っています。
  その中で、5領域を通して総合的に指導していく、教育課程を編成し、それを指導計画に落として、更に実践をしていく。総合的な指導の結果、今回この幼児期修了までに育ってほしい姿としての資質・能力があるわけです。ですから、幼児期の教育と小学校教育をつなぐ視点として、学習の方法は遊びを通しての総合的な指導ですけれども、その結果育ってくるものと、小学校以上の教科等の学習のスタートとして大事にしていきたい資質・能力とが重なっていくことによって、より円滑な接続ができてくるのかなと思います。ですから、本当に遅々たる歩みの中で円滑な接続の必要性が今言われてきているという状況です。今回、30年の改訂の中で一貫した見方で子供たちを育てていこうとするこのカリキュラムの考え方がはっきりと出てくるということが、とても重要な意味を持っているのかなと思っております。それが1点です。
  そのときに幼児期の学校教育を担う先生方は、大変広いといいますか、幼稚園の先生方はもちろんそうですけれども、保育所の先生方もおりますし、認定こども園の先生方もおります。そういう先生方が見たときに、これからの学校教育がこんな方向で変わろうとしているのだという、その中の初めの段階を担うのだという意識が高まっていくことがとても大事かなと思いますので、先ほど来から出ております、全体が見えるという、特に幼児期の学校教育を担う先生方が、小学校教育がよく分かるとか、その先の教育が少し見えてくるとか、そのような書きぶりというか、これは恐らく学習指導要領そのものというよりは、その後に出てくる解説書とか研修等なのだと思うのですが、そういう配慮が必要なのかなと思っています。
  そういう視点から見たときに、先ほどの12ページにあります学級経営という言葉が、もちろんこれは中高においても位置付けられることという文脈で書かれておりますけれども、これが小学校教育で初めて学級経営の充実というものがスタートするというよりは、その根底にあるものは、人と関わって何かをすることが楽しいとか、学ぶことが面白いとか、そのことによってより深い学びにつながっていくのだという、そういう体験が積み重なってきて修了までに育ってほしい姿の中に、協同性とか、社会生活の関わりとか、幾つかの観点が出されているのですが、そういう力が更に学級経営の充実の中に生かされていくことが大事なことなのだと思うのです。ですから、もう少し、この充実ということが、例えばまとまりがあるとか、指示が行き通るとか、もちろんそういうこともその中の一つだと思うのですが、子供たちの育ちを十分に踏まえながら、人と関わって何かを達成していくこととか、人と関わって学んでいくことの面白さとか、そのようなことが学級経営の充実の根底にあることが伝わっていくと、幼児期の学校教育で育てていきたい、育んでいきたいという、領域の人間関係に書かれていることですが、そのことが、その結果が5歳修了までに育っていくことが重要なのだということに結び付いてくるのだと思います。これからの取組ですけれども、学級経営の充実ということがどういうことなのかが分かるような書き方の工夫も、大切ではないかなと思います。
【無藤主査】    ありがとうございます。幼児教育とのつながりを、もう少し小学校側でも入れるという趣旨で理解いたしました。ありがとうございます。
  では、天笠委員、お願いいたします。
【天笠主査代理】    度々発言させていただいて、すみません。2ページのところの二つ目のマルですが、この文言の中に、「すべての教科等のつながりの中で育まれるもの」という、この文言は、私は大変大切かと受け止めております。ここにありますように、その前には、特定の教科等だけではなくということで、要するに教育課程全体でということです。この場合の教育課程全体というのは、教育課程を構成している教科等のそれぞれが、言うならば互いにつながるというのでしょうか。そういう趣旨であることは言うまでもないかと思います。要するに、私は何か特定の教科が栄えて、特定の教科等が落ち込むという状態が作られること自体が、ある意味で言うと教育課程の失敗という捉え方をしたいと考えております。言うならば全部の教科の構成が教育課程の特色であり、こういう教科等の構成をもって今回は打ち出すのだという、そのことをしっかりと明示して提起するということだと思うのです。しかし、これまではどちらかというと、その教科のまとまりというのでしょうか、つながりという、それ全体を通して教育課程が構成されるのだという視点が弱かったように思います。それぞれの教科等がそれぞれ並び立って、そこに存在しているのだということで、ですから、教科等の相互のつながりということを、とかく余り意識することなく、それぞれの教科がそれぞれ自らの守備範囲を受け止めて、そしてそこで教育活動を展開して、そこで成果を上げていくというところにとどまる傾向がこれまでだったとするなら、今回は、この部分は、それぞれの教科等が互いに連動し合いながらというか、相互に関係しながら、教育活動全体として成果を上げていくのだという、そういう発想や考え方のところに立つ。あるいはそういう考え方が出てきた一つ大きなポイントは、まさにこれからの時代に求められる資質・能力という視点が、ここで強調されているような、教育課程ということについての捉え方とか考え方を浮き彫りにしたと言えるのではないかと思います。
  そういうことを、もう一段、文章として強調してもいいのかなと思いました。要するに、教科等が互いにつながって、全体として子供たちに力を付けていく、成果を上げていくのだ。だからどこかの教科が特定にそびえ立ったり、あるいはどこかの教科が落ち込むということ自体が、教育課程として提起したことにおいて、どこかに課題を抱え込んだという視点が大切なのではないかと思っております。
  そういう点で、5ページですけれども、ここに御承知のように、1、2、3という、こういうことで、今回の場合のまさに強調点の三つの柱ですが、この箇所と、教科等の相互のつながりということを、もう少し接近させることができないのかどうかということです。教科のつながりはつながりで片や強調されていて、資質・能力は資質・能力としてかくかくしかじかだという辺りを、もう一段、両者が接近できないかどうかというのが、5ページのこの箇所だと思います。ここにだらだらと書き込んでしまうと、かえって見えなくなってしまうかと思いますので、場合によっては、これはこの後の解説書や指導事例集などの分担になるのかもしれませんし、あるいはこの後になるかもしれない。例えば1のところですけれども、この教科とこの教科とこの教科とがつながることが、こういう資質・能力につながっていくのだとか、あるいは3のこれは、こういう教科等の固まり、関係のつながりが強調されることによって、より3というところの資質・能力に接近していくのだとか、育てられるところが出てくるのだとか、要するに、この資質・能力と各教科等の相互のつながりや関連を、ある意味で言うと、明示的、例示的に追求できるところがあり得るのかどうなのか。少しこの辺のところは知恵をもう一段出してもいいところなのかと思います。
  ただ、繰り返しますけれども、ここに今のようなことを書き込んでしまうと、かえって何かよく分からなくなってしまう場合もあり得るかもしれませんので、またそこら辺のところは少し整理の仕方をして進めていったらいいのではないかと思います。以上が1点です。
  もう1点ですけれども、30ページ、「学校段階間の接続」というところで、言うならばここは小学校部会との関係の中での部分でありますので、例えばここですと、幼稚園と低学年ですが、高学年と中学校のつながり、観点ということ等を踏まえたときに、ここの点については、私はもう少し書き込むことができる資料やデータがあるのではないかと認識しております。それはどういうことかというと、各ワーキンググループで検討されて折々に報告される資料の中には、かなり学校種、段階を超えたというか、あるいは小中高を俯瞰した諸々のデータというか資料が様々に出ていたように思います。ああいうものを整理して捉えてみたときに、ここの学校段階間の接続ということについては、それを背景にして書き込むことができるのかなと思います。例えばたびたび出てくるのが、社会科を例示して、そこでいろいろ御意見等を拝見させていただいたこともありましたが、ああいう観点からすると、小学校高学年と中学校の接続については、ワーキンググループの知見からすると、こんなことが提起できるのではないか、考えられるのではないかという言及がこの部分についてはまだあって、そういう点からすると、もう少し小中のつながり、接近についての観点というのでしょうか、方向性とか中身ということをこの後に記されたらよろしいのではないかと思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。いずれもかなり大きな点なので、しっかり考えていただきたいと思います。
  それでは、ここで一区切りさせていただいて、もう一つの議題でありますけれども、各教科等別ワーキンググループのまとめの部分でありますが、今11時半なので、それを予定通り全部説明して全部御議論を頂くのは少し無理がありますので、御説明して、多少の質疑ぐらいまでですかね。それで、7月はたしか11日にあるので、比較的近いところでこの議論の続きということになりますので、きょう、不足の部分はそちらでまたお願いしたいと思います。
  それでは、事務局から、まず御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。それでは、本日は資料4のマル1の方だけになるかと存じますけれども、ワーキンググループの議論の取りまとめの御紹介をさせていただきます。
  先ほど申し上げたとおり、取りまとめの本体自体はこの黄色の分厚いファイルの方にございますけれども、このエッセンスを少し抜いていただいた資料ということになります。
  本日御紹介させていただくのは、資料4のマル1、言語能力、国語、外国語、それから社会科系教科科目、算数・数学、理科、そして理数探求に関する御議論でございます。
  おめくりいただきますと、まずその言語能力の向上に関する特別チームの議論の取りまとめがございます。言語能力に関しましては、これまでの文化審議会答申等の議論の積み重ねもあるところでございますけれども、特に今回、国語教育、外国語教育、それぞれの充実ということの基盤となるものということの整理をお願いし、おまとめいただいたものでございます。言語能力とは何かという定義も含めて、また具体的な連携方策も含めて御提言を頂きました。
  1ページ目の下から、言語能力についてということでございますけれども、特に言語能力を構成する資質・能力、それぞれの、資質・能力の三つの柱の育成に当たっても大きな役割を果たすということ、ある意味その学習の基盤としての役割を果たすということでございます。一方で、例えば3ページ目の上にございますような様々な発達の課題に応じた課題が指摘されているということ。その中でどのように言語能力の充実を図っていくべきかということでございます。
  3ページ目、下にございますように、日本語、外国語、言語として共通の働き(機能)を持っているということを踏まえながら、4ページ目のような御整理をいただいておりますけれども、言語能力を構成する資質・能力の三つの柱ということでございます。
  特に5ページ目にございますように、マル1、マル2、マル3ということでございますが、創造的・論理的思考の側面ということ、感性・情緒の側面ということ、他者とのコミュニケーションの側面ということ、この三つの側面から言語能力を構成する資質・能力を捉え御整理をいただいたところでございます。この整理が国語教育の改善、外国語教育の改善に生かされているところでございます。
  また、具体的な、6ページにございますような、言語能力を構成する資質・能力が働く過程について、テクストを理解するための力と、文章や発話により表現するための力とございますけれども、具体的には、ポンチ絵が付いてございまして、20ページ目でございます。言語能力を構成する資質・能力が働く過程ということで、認識から思考へ、また思考から表現へというプロセスの中で、どのような言語能力を構成する資質・能力が働いているかということの御整理を、これは初めていただいたところでございます。
  こうした過程について御整理いただくこととともに、9ページ目以降、具体的な言語活動の充実にこれをどう生かしていくのかということ。特に国語科、外国語科における改善・充実にどう生かしていくかということでございます。
  10ページ目下にございますように、国語科においては、先ほどの資質・能力の整理を踏まえて、国語科において育成すべき資質・能力を三つの柱に沿って整理をしたこと。また内容・構造につきましてもこうした学習過程などを踏まえた改善・充実ということを図っていくということでございます。
  また、外国語活動・外国語科におきましても、特に他者とのコミュニケーションという側面を中心的に捉えながら、資質・能力の育成という議論の中でこの議論を生かしていただいたところでございます。
  また、13ページ目、ございますように、言語能力向上のための国語科と外国語科の効果的な連携ということでございまして、学習指導要領の中で、例えば言語活動を効果的に積み上げていくということの観点からの構造の在り方。14ページ目でございます。そして、具体的に15ページ目は各学校における指導内容や指導方法における連携。学校によっては、ことば科というようなものを設置しているところもございますけれども、そうした具体的な各学校における連携の在り方として参考になるようなものをおまとめいただいております。
  そして、こうした効果的な連携を実現するための条件整備についてということで、お互いの教員の理解というようなことも含めて、17ページ目、18ページ目におまとめいただいているところでございます。
  19ページ目が、具体的に言語能力を構成する資質・能力として、三つの柱で整理いただいたものでございます。言葉を通じて自分の見方、考え方を広げていくということ、また、言葉が持つ力を信頼して困難を克服していくというような人間性も含めて、三つの柱にわたって整理をいただいております。
  また、20ページ目は、その背景となる資質・能力のプロセスに応じた要素ということ。また、国語科と外国語科の連携についてということで、21ページ目にございますような指導内容、指導方法の連携の在り方、そして具体的な構成要素としてどのような点が共通するかということを分かりやすく整理、共有できるようにしたものでございます。
  こうした議論を踏まえながら、22ページ目、国語ワーキングにおける取りまとめの概要でございます。国語ワーキング、現行学習指導要領の成果と課題を踏まえながら、三つの柱に沿った教科等目標の整理をいただいております。先ほどの机上配付資料におきましても整理をいただいておりますけれども、三つの柱に沿った整理ということをいただいております。また、特に見方・考え方につきましては、更なるブラッシュアップを図っていただいておりますけれども、言葉の働きというものに着目して捉えていくということ、国語で理解したり表現をしながら自分の思いや考えを深めていくということ、そうしたことの中で、先ほどの言語の働きの三つの側面から言葉の働きを捉えて、自分の思いや考えを深めていくことが、言葉に対する見方・考え方として重要ではないかという御議論をいただいております。現在、主査一任という中で最終的な議論の詰めをいただいておりまして、本日いただいた議論や次回いただく議論も踏まえながら最終的なものにしていく予定でございます。
  また、教育課程の構造化ということで、これは全ての教科について入ってございますけれども、資質・能力の整理、あるいは学習過程の整理ということを踏まえて、指導内容の示し方の構造を整理していくということでございます。
  具体的には、後ろの方についてございますけれども、まず29ページ目が国語科で育成すべき資質・能力の三つの柱でございます。そして、それを教科目標に落として幼・小・中・高とつなげたものが30ページ目でございます。
  そして、国語科における学習活動ということで、現在、国語科、話すこと・聞くことの領域、それから次のページ、書くことの領域、読むことの領域とございますけれども、これを先ほどの言語能力特別チームの議論も踏まえながら、指導内容の要素ということを再整理をさせていただいたものでございます。このイメージを踏まえながら指導内容の示し方の構造の再検討を行っていくということでございます。
  25ページ目にお戻りいただきまして、教育内容の改善・充実ということで、科目構成の見直しということでございます。国語科が目指す資質・能力がしっかりと育まれるように、高等学校におきましては、科目構成も含めて見直しを行うということにしております。文章では、25ページ、26ページ目にかけて書いてございますけれども、ポンチ絵といたしましては33ページ目にございますような科目構成、既に論点整理でお示しいただいた内容に沿いましてこのような整理をさせていただいております。
  前後しまして恐縮ですが、26ページ目にございますように、語彙を豊かにしていくこの重要性、あるいは漢字指導の改善・充実、伝統文化に関する教育の充実、また言語活動の充実という観点から、教育内容の見直しについてもまとめていただいております。
  また、主体的・対話的で深い学びの実現ということ、国語科においては具体的にどうあるべきか。また、教材や教育環境の充実ということについても、ICT環境なども含めておまとめをいただいているところでございます。
  続きまして、34ページ、外国語ワーキングのまとめでございます。外国語ワーキングにおきましても、現行指導要領の成果と課題を踏まえつつ、教科等目標を三つの柱から整理をいただいているところでございます。この三つの柱のうち、特に35ページ目にございますように、知識・技能、思考力・判断力・表現力につきましては、指標形式の目標ということで、CEFRなども参考にしながら内容を段階的に整理していくということ、これによって着実な修得ということを、資質・能力の獲得ということを目指していくということでございます。
  また、外国語教育の見方・考え方につきましては、コミュニケーションということを重視しながら、文化の多様性も尊重しながら、外国語を聞いたり読んだりすることを通じて様々な事象を捉え、情報や自分の考えなどを外国語で話したり書いたりして表現して伝え合うという一連の活動の中で働く見方・考え方ということで整理をいただいているところでございます。
  また、4ページ目、教育課程の構図化になっておりますが、構造化でございます。資質・能力を育成する学習過程の在り方を整理した上で、指標形式の目標あるいは指導内容をこうした学習過程としっかりと組み合わせた学びが実現するような示し方を工夫していくということでございます。
  また、教育内容の改善・充実につきましては、先ほど小学校で御覧いただいたような中学年からの外国語活動、高学年からの教科、そして高等学校におきましては、科目構成の見直しということでございまして、おめくりいただきますと、51ページ目にございますように、5領域の総合的な育成ということ、あるいは、発信能力の強化ということの二つの柱で科目構成の整理をいただいているところでございます。
  また、39ページ目におきまして、外国語教育における主体的・対話的で深い学びの実現の在り方、そして40ページ目では教材の在り方、指導体制の構築ということも含めて御整理をいただいております。
  その後、42ページ目、43ページ目、資質・能力と目標の在り方、そして44ページ目が指標形式の目標のイメージ、そして45ページ目が指導内容の構造化ということで、資質・能力とプロセスを掛け合わせていくことの重要性ということでございます。
  また、小学校における指導内容の積み上げということを47ページ目が3年生、次のページが4年生、40ページ目が5年生・6年生という形で、35コマあるいは70コマの指導内容の積み上げの整理もいただいているところでございます。また、指導体制の充実が重要でございますので、52ページのような工程表も御整理いただいているところでございます。
  続きまして、53ページ、社会科系科目でございます。現行の成果と課題ということを踏まえながら、資質・能力を踏まえた教科等目標の整理をいただいております。後ろの方にポンチ絵で載せさせていただいておりますけれども、60ページ目にございますような幼・小・中・高を見通した目標のイメージということ、そして資質・能力の三つの柱については61ページ目、62ページ目、63ページ目。そして、先ほども御指摘ございましたけれども、思考力の育成のイメージということで64ページ目のような図を整理いただいております。
  また、見方や考え方の重要性ということで、54ページ目にお戻りいただきますと、視点や方法をそれぞれにおいて整理をいただいているところでございます。そして、こうした視点や方法を生かした学びを実現していくということが重要であるということ、知識を構造的に、構造化した知識を獲得し、様々な資質・能力につなげるということでございます。
  具体的にそうした見方や考え方を生かした学びのプロセスのイメージが66ページ目、67ページ目でございます。そして、学習過程のイメージということが68ページ目ということでございまして、こうしたことを踏まえた教育過程の構造化ということを図っていくということでございます。資質・能力を育成する学習過程の在り方を踏まえた検討、指導内容の示し方の構造ということでございます。
  54ページ目にお戻りいただきますと、指導内容の構造、示し方の構造につきましては、まず、内容の枠組みや対象に関わる整理ということをいただいたということ。小・中・高を通じた視点から、特に小・中の社会科の内容について、マル1、マル2、マル3という枠組みの位置付けということを視野に整理していくということ。また、社会的な見方・考え方ということに基づいた学習活動が実現するような構造化ということも目指していくということでございます。
  今回、社会科系科目、特に高等学校の科目が多く新設されますけれども、基本的に論点整理の内容を踏まえた更なる具体化というものを図っていただいております科目構成の見直しということ。日歴科でございますけれども、歴史総合ということでございます。マル1、マル2、マル3にございますようなことを重視した科目構造ということを御検討いただいております。まず、文章の方を先に御覧いただければと思いますけれども、56ページ目は地理総合につきましてもここに掲げたマル1、マル2、マル3ということを重視した科目構造。公民科、公共につきましても、ここに掲げたマル1、マル2、マル3ということを重視した科目構造ということを検討をいただいているところでございます。
  具体的には、69ページ目に地歴科、公民科の科目構造の全体構成ということ。そして、ここには付けてございませんけれども、具体的なそれぞれの科目についての詳細な柱立てということも改善の中には付けさせていただいているところでございます。
  また、そうした内容を踏まえつつ、小・中の内容の枠組みの整理を行っていただいたものが70ページの内容になってございます。小・中・高を見通した教育内容の見直し、新科目の設定ということを行っていただいてございます。
  こうしたことを文章にしていただいておりますのが、先ほど御覧いただいた55ページ目、56ページ目、そして57ページ目の教育内容の見直しということ。小・中社会科における見直しの内容も含めて御整理をいただいております。
  また、58ページ目、主体的・対話的で深い学びの実現の在り方、また教材や教育環境の充実についても御覧のとおりの御整理をいただいているところでございます。
  だんだん時間がなくなってきまして恐縮でございますけれども、算数・数学ワーキングにおきまして、71ページ目でございます。同様に教科等目標、三つの柱に沿った整理をいただいております。また、72ページ目にございますような見方・考え方ということの整理もいただいております。事象を数量や図形及びそれらの関係などに着目して捉え、論理的、統合的・発展的に考えることということでございます。
  また、資質・能力を育成する問題解決的な学習過程の在り方ということ。そうした学習過程も踏まえた指導内容の示し方の構造ということでございます。
  また、科目構成につきましては、今回、統計の充実、あるいは課題研究ということが数理探求の創設に伴い廃止されること踏まえまして、全体的な構造の見直しを行いまして、数学Cということの新設ということでございます。
  また、教育内容の見直しという中で、STEM教育の推進などの視点も踏まえながら充実を図っていくということ。また、先ほど申し上げた、様々な必要なデータを収集して分析していくことなど、統計の内容の改善ということ。また、プログラミング教育についても触れていただいております。
  74ページ目、75ページ目、主体的・対話的で深い学びの実現の具体的な在り方、教材や教育環境の充実ということでございまして、その後、76ページ目、77ページ目、学習過程が78ページ目、その中の思考力等が79ページ目ということでございます。
  理科ワーキングでございます。同様に80ページ目、目標の在り方、三つの柱に沿った整理をいただいております。
  また、81ページ目、見方・考え方でございますけれども、自然の事物・現象を質的・量的な関係や時間的・空間的な関係など科学的な視点で捉え、比較したり、関係付けたりするなどの科学的に探求する方法を用いて考えることということでございます。
  また、82ページ目,資質・能力を育成する学習過程の在り方の整理ということ。そうした整理を踏まえた内容・構造の示し方の構造ということでございます。見方・考え方を働かせる学習プロセスの実現ということでございます。
  また、83ページ目、科目構成につきましては、理数探求ということ、また教育内容につきましては、楽しい、役に立つという実感ということも踏まえた充実ということでございます。
  そして、対話的・主体的で深い学びの実現、そして教材や教育環境の充実ということでございます。
  理科も同様に86ページ目以降、資質・能力、教育目標、そして88ページ目、見方・考え方、見方の部分の整理。89ページ目、具体的な学習過程の在り方でございます。
  最後になります。理数探求でございますけれども、新科目の構成原理ということでございまして、91ページ目の上にございますように、論点整理の方向性も踏まえながら、教科・科目の枠にとらわれない多角的、複合的な視点で事象を捉えて、数学的な、あるいは理科的な、理科の見方・考え方を豊かな発想で活用したり、組み合わせたりしながら主体的な探求活動を行うことを通じて、新たな価値の創造に向けて粘り強く挑戦する力の基礎を養うということでございます。
  新科目の構成についてでございますけれども、生徒が探求の過程を自ら遂行できるようになることを目指し、基礎を学ぶ段階と、具体的に探求を進める段階の2段階ということでございます。基礎を学ぶ段階では、探求の過程を遂行するために必要な知識・技能、意義の理解、探求に取組む態度ということ。そして、探求を進める段階におきましては、それらを活用して自ら探求を遂行して、まとめ、発表するということ。新たな知見の有無や価値よりも、むしろ探求の過程の質を重視するということでございます。そして、そうした問いというものを見出すことの中での重要性ということ、また評価の在り方、探求ノートの重要性なども含めておまとめをいただいております。
  これらの実施に必要な校内体制、教材の提供、教員養成、施設・設備、大学等との連携ということについてもおまとめいただいておりまして、94ページ目にございますように、これが2段階の探求の在り方ということ。そして、95ページ目が探求の過程のイメージということ。科目の構成原理でございます。そして、育成される生徒像ということも添付させていただいているところでございます。
  なかなか時間の関係で十分には御説明申し上げられませんでしたけれども、とりあえず前半は以上になります。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  大部を本当に概要といいますか、だけなので、まだ把握し切れないところがあるんですけれども、残り時間が10分でありますので、全員発言していただくのは無理ですけれども、大部分は7月にお願いするとして、きょう是非ともということで二、三の方は可能なのですけれども、いかがでしょうか。では、吉田委員、お願いします。
【吉田委員】    言語能力の向上部会と外国語のワーキング、両方とも入ってやっているんですけれども、どちらも非常に大事なのは、例えば36ページの英語、外国語のところを見ていただきますと、上から、上の丸にありますように、よく4技能と言われていますけれども、4技能という考え方よりも、むしろヨーロッパのCEFRなんかを見てみますと、話すことというのは必ず二つに分けて考えてやっているんです。一つは、純粋に自ら発表するということと、もう一つがインターアクション、やりとりをするということが非常に大事になっていまして、このやりとりを通して物を考える力が育成されていくという。もちろん全部の技能が統合されていくわけですけれども、このやりとりが非常に大事な部分を果たしている。国語教育においても同じだと思いますし、言語能力の発達には、必ずこのやりとりが必要です。ですから、ここの部分というのが非常に大切な部分なので、書いてあるんですけれども、ある意味ではもっと強調しても良いぐらいではないかと思います。これが直接思考力、判断力というところと直結していく部分ではないかというふうに考えております。
  ちょうど44ページにこのCEFRのキャン・ドゥーのリストがありますけれども、これの真ん中にも、話すこと(やり取り)というところがございまして、ここに具体的な内容が書かれていますけれども、こういう点を言語教育の中では重視をしていくという、そこのところをより強く強調していくということが必要かなと思います。
  以上です。
【無藤主査】    大事なポイントをありがとうございました。
  ほかにいかがでしょうか。池野委員、どうぞ。
【池野委員】    二つあります。一つは前半の話に出てきたところですけれども、キャリア教育の話が出て、そこに基礎的・汎用的能力を育てるというのがありました。多分その9ページと10ページが、小学校、中学校と高等学校のイメージかなと。小学校、中学校とは書いてなかったんですけれども、多分そういうイメージだと理解しました。汎用能力は、多分これは、もともとキャリア教育はこういう能力を育成しようということは分かるんですけれども、道徳だとか、総合的な学習の時間だとか、特別活動は、多分それと大きく関わると思うんですけれども、下の方に書いてある教科というのは、なかなか関わりにくいと思います。本当にその汎用的能力みたいなものとどういうふうに関わってくるかというのは、なかなか見通しが、特に今回、各教科を説明されると、教科固有性の方にどうしても力点が行きますし、多分その多くの教科は、今回、多分、私は地理、歴史科、公民の方に関わっていますけれども、社会科系は、もうもともとからコンテキストというか、内容が組み込まれている文脈みたいなものが常に働いています。言語も、多分数学や理科も、そういうコンテキストをどうしても重視する方向に多分教科の検討が進んでいるように思います。そういうときになると、汎用的能力とはだんだん乖離してくる形だと思うんです。だけれども、多分その、先ほど、今、インターアクションという、やりとりという吉田先生のお話があったんですけれども、そういうアクティブ・ラーニングの中に組み込まれている部分は、確かにその汎用的能力までは行かないとしても、共有化するもの。言語ではやりとり、外国ではやりとりになっていますけれども、国語や社会科では話し合いとか、討論とか、あるいは議論とかという形になって、英語ではアーギュメントという言葉をよく使われますけれども、そういうものとして使われている。それは、ある面、その共有化されてくるものだと思うんです。ただ、その取扱える内容は、国語は国語の言語の問題ですし、数学は数学の問題ですし、社会系のものだったら社会の地理や歴史の内容なので、そこに固有性がどうしても出てくるし、コンテキストが出てくるので、必ず同じものとは言い切れないですけれども、その子供たちが使うものは、特に小学校段階のところなんかは、より共有化できるんだと思います。中学になると、先生方は、英語の先生、国語の先生、社会の先生という、先生が別々になってしまうので、なかなか共有化できないので、学校の中でそういうことを共有化することによってやっていくという。そういうものを、多分そのアクティブ・ラーニングの固有性みたいなものを強化する中で、多分そういうことが可能になってくると思うんですけれども、残念なことに、汎用的能力までは多分難しいのではないかなというのが私の考えです。ですから、そのあたりの見通しみたいなものを説明できることが必要ではないかなと思っています。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。今のポイントも非常に大きなポイントだと思います。
  それで、残念ながら時間が迫りましたので、この議論の続きは、次回に是非お願いしたいと存じます。
  また、それまでの間に、御意見その他、ペーパーでも事務局にお送りいただければ幸いでございます。
  ということで、本日のところはここまでとさせていただきたいと思います。最後に、次回以降の日程につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    先生方、大変時間がない中で大変恐縮でございました。主査からもお話がございましたように、次回、7月11日でございます。しっかりとたっぷり御議論いただけるように御用意申し上げたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。場所については追って御連絡をさせていただきます。
  また、本日、言い尽くせなかったこと等たくさんあると思いますので、ペーパー等による御意見も頂戴いたしたいと思います。ファクス、メール、郵送でも構いません。また、本日の資料の郵送を御希望される場合には、机上に残しておいていただけたらというふうに存じます。ありがとうございます。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  きょうは、何かたくさん宿題を渡された気分ではありますが、ともあれ、本日の教育課程企画特別部会は終了させていただきます。どうもありがとうございました。


――  了  ――

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