教育課程部会 教育課程企画特別部会(第18回) 議事録

1.日時

平成28年7月11日(月曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 3F1特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 論点整理を踏まえた教育課程の改善・充実について
  2. その他

4.議事録

【無藤主査】      それでは、定刻になりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会教育課程企画特別部会の第18回を開催いたします。本日は、お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございました。
   それでは、事務局から配布資料についての御確認をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】      失礼いたします。本日、議事次第のとおり、資料1から資料6、その他、机上に参考資料を配布させていただいております。また、机上の黄色い紙ファイル、学校段階等別部会・教科等別ワーキング等の議論の進捗状況として、現時点のまとめ文案や参考資料をファイルで置かせていただいております。
   また、タブレット端末、いつものように、関係審議会の答申でありますとか関係資料をデータで入れさせていただいておりますので、適宜お使いいただければと存じます。不足等ございましたら、事務局までお申し付けください。
   以上です。
【無藤主査】      それでは、議事に入りたいと思います。
   初めに、本部会の審議等につきまして、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づきまして、原則公開により議事を進めさせていただくとともに、第6条に基づきまして議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うこととさせていただいてございます。よろしくお願いいたします。
   なお、本日、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出がございましたので、これを許可してございます。御承知おきください。
   さて、本日は、今夏予定してございます「審議のまとめ」の取りまとめに向けました検討を進めてまいります。三つでありますけれども、一つは学校段階等別部会等の議論の取りまとめ(案)についでです。2番目が、各教科等別ワーキンググループの議論の取りまとめ(案)について、3番目は審議の取りまとめに向けた構成の検討(案)について、それぞれ御議論をいただきたいと存じます。それぞれにつきまして、まず事務局より関係の資料の御説明を受けた後に、皆様方から御意見を頂きたいと思います。その際、御意見のある方は、いつものように名札を立てていただきたいと存じます。
   それでは、まず一つ目の議題でありますけれども、学校段階等別部会等の議論の取りまとめ(案)につきまして、事務局より関係の資料の御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】      失礼いたします。それでは、資料1から資料4までを、まず御説明したいと思います。
   本日の議論は、次回会合におきまして、「審議のまとめ」の原案を御審議いただく前提といたしまして、各学校段階別あるいは教科等別の議論の状況を一通りお目通しいただき、コメントを頂きたいというものでございます。
   まずは、学校段階等別ということで、総則・評価部会、小学校部会、中学校部会、高等学校部会、幼児教育部会、特別支援教育部会の取りまとめの状況を一通りごらんいただければと存じます。
   まず、資料1でございますけれども、何度かこれはごらんいただいているポンチ絵でございます。一番上の部分に、資質・能力の育成に加えまして、御指摘等を踏まえまして、学習評価の充実も加えさせていただいているのがスライドの1枚目でございます。スライドの2枚目、資質・能力の三つの柱、知識に関しまして、概念的知識も含むという整理がされたことを踏まえまして、もともと何を知っているか、何ができるかだった部分を、何を理解しているかということで、「理解」という言葉に置き換えさせていただいているところでございます。
   また、3ページ目、高等学校の教科・科目構成、前回もごらんいただいていると存じますけれども、少しデザインの変更、修正等を図っております。
   4ページ目がアクティブ・ラーニングの三つの視点、それらと資質・能力の関係は5ページ目。それから、総則の構造とカリキュラム・マネジメントのイメージということで、カリキュラム・マネジメントの青い柱と総則の章立ての構造を一致させるという概念図が6ページ目でございます。
   また、関係教科との関係性が7ページ目、また、8ページ目以降が具体的に総則の改善のイメージ(案)でございます。9ページ目にございますように、先ほどごらんいただいた、何ができるようになるか、何を学ぶか等のカリキュラム・マネジメントの柱に沿って章立てを抜本的に見直していくということで、各学校の先生方がカリキュラム・マネジメントの、ある意味、マニュアルとして総則を使いこなしていただけるようにというような修正でございます。その後、中学校、高等学校につきましても同様の修正でございます。
   それでは、各部会の取りまとめ本体を少し御紹介させていただきたいと思いますけれども、幼小中高ということで、まず、幼稚園、幼児教育部会から御紹介をさせていただきます。資料3でございます。資料3、「幼児教育部会における取りまとめ」ということで、本文が12ページまで続いておりまして、その後、関係のポンチ絵等を添付していただいております。基本的には、全ての部会、ワーキングの報告書、こうした構成になっているところでございます。
   1ページ目にお戻りいただきまして、幼児教育部会の取りまとめでございます。現行の成果と課題ということで、環境を通して行う教育を基本とした幼児教育の意義ということ。社会状況の変化に伴う幼児の生活体験の不足、あるいは幼小連携の接続といった課題、また、三つ目の丸でございますけれども、国際的にも自己制御、自尊心といった社会情動的スキルや非認知的能力を幼児期に身に付けることが重要であるということ。また、幼児期における語彙数、運動経験などがその後の学力や運動能力に大きな影響を与えるという調査結果もあるところでございます。
   また、子ども・子育て支援新制度の施行に伴い、幼稚園等を通じて、幼保小の連携も言われておりますけれども、全ての子供が健やかに成長するようということでございます。
   2ポツ目、「『カリキュラム・マネジメント』について」でございます。2ページ目にございますように、幼稚園においてもカリキュラム・マネジメントを重視し、園長のリーダーシップの下、全ての教職員が参加することが重要であるということ。また、幼稚園教育にふさわしいカリキュラム・マネジメントの再整理もされているところでございます。
   また、3ページ目、幼児期の特性に応じて育まれる見方や考え方はどのようなものなのかということ。二つ目の丸にございますように、発達に即しながら身近な環境と主体的に関わり、心動かされる体験を重ね、遊びが発展し、生活が広がる中で、環境との関わり方、意味に気付いていくということ。これらを取り込もうとして、諸感覚を働かせながら、試行錯誤したり思いを巡らせたりしていくことが、幼児期における見方・考え方として重要であるということでございます。
   また、(2)、資質・能力でございますけれども、幼児教育の特質を踏まえて、資質・能力の三つの柱、整理をし直していただいております。知識・技能の基礎ということ、また、4ページ目、思考力・判断力・表現力の基礎ということ、学びに向かう力、人間性等ということ、幼児教育要領の5領域というものを引き続き維持しつつ、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿を今回明確化していただくことになっております。4ページ目から5ページ目にかけてございます。
   健康な心と体、自立心、協同性、道徳性・規範意識の芽生え、5ページ、社会生活との関わり、思考力の芽生え、自然との関わり、数量・図形、文字等への関心・感覚、言葉による伝え合い、豊かな感性と表現ということで、これらの姿を「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」として明確化するということでございます。
   また、6ページ目でございますけれども、資質・能力を育む学習過程の在り方、幼児期の特性を踏まえた整理をいただいております。また、7ページ目、「評価の在り方」ということで、先ほどの「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の明確化の方向性が示されることに伴い、評価についても改善を図っていくということ。一人一人のよさや可能性を評価するという考え方を維持しつつ、評価の視点として、5歳児について、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を踏まえた視点を新たに加えるということでございます。
   また、小学校の教員が指導上参考にできるよう、指導要録の示し方の見直しを図るということ。また、それ以外にも、小学校との情報共有の工夫を図るということ。ドキュメンテーション、ポートフォリオなど、様々な工夫を行っていくということでございます。
   また、「資質・能力の育成に向けた教育内容の改善・充実」でございますけれども、8ページ目にございますように、先ほどの「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を教育要領上、新たに位置付けるということ。また、5領域につきましては、資質・能力の三つの柱に沿って内容の見直しを図るということ。また、現代的な諸課題を踏まえまして、安全や運動、食、非認知的能力の育成、また、学習プロセスの重要性を踏まえた、8ページ目から9ページ目の上にございますような、比べる、関連付ける、総合するといった思考の過程を示すなどということ。また、自然体験なども含む多様な体験、直接体験が重要であることを踏まえた視聴覚教材の活用、言語活動の重要性、音や素材に触れる機会の充実ということでございます。
   また、(4)にございますように、社会と教育課程のつながりを大切にする、社会に開かれた教育課程としての役割、これまでも預かり保育や子育ての支援も通じて、施設や機能を開放してきた幼稚園では、これまでも担われてきたところでございますけれども、これを更に進めて、二つ目、三つ目の丸にございますような、それぞれ留意点や体制に関することも示していくということでございます。
   また、10ページ目、「特別支援教育の充実」でございます。丸の四つ目の下のポツにございますような、日々の幼稚園の活動の中で考えられる困難の状態に対する配慮の意図と手立てについて具体的に示していくということ。また、11ページ目にございますような、日本語指導・適応指導についても配慮事項を示していくということでございます。
   また、(2)「『主体的・対話的で深い学び』の充実」、幼児期の特性を踏まえて、マル1、マル2、マル3のように整理をしていただいております。また、教材の在り方についても整理をいただいております。
   12ページ目が必要な条件整備でございまして、教員の資質・能力の向上を図る研修の在り方、園内研修の充実や園外研修の機会の確保、地域の大学・学部や関係団体との連携、あるいは、市区町村を中心にしっかりと体制を整えていくこと、国県の幼児教育センターの活用などでございます。
   また、一番最後にございますように、幼稚園教育要領の改訂、認定こども園の教育指針、あるいは保育所保育指針の改訂と足並みをそろえて実施していく、整合性を取りながら実施していくということでございます。以下のポンチ絵は、この文章化されたものの具体的な内容でございます。
   これも踏まえつつ、次の資料2-1をごらんいただければと存じます。「総則・評価特別部会、小学校部会、中学校部会、高等学校部会における議論の取りまとめ」でございます。前回、一通りごらんいただいておりますけれども、まだまだコメント等を反映し切れていない部分もございまして、今、最終調整を図っているところでございますけれども、少し全体をごらんいただければと存じます。前回御説明申し上げましたように、基本的には8月の論点整理に加えていく部分を中心におまとめをいただいているところでございます。
   1ページ目は「『社会に開かれた教育課程』の実現と、総則を軸とした教育課程の総体的構造の可視化」でございまして、既に論点整理におきまして、情報化やグローバル化といった社会的な変化が加速度的となっているという御指摘は頂いておりますけれども、さらに、その後の状況として、人工知能の進化が指摘されているところでございまして、そうした中でも、人間の強みを発揮しながら、未来を切り開く力を子供たちが育んでいくということでございます。
   この整理に当たりましては、お手元に参考資料2というものがございますけれども、「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について」という議論の取りまとめを、別途、有識者会議でいただいているところでございます。この有識者会議におきましては、プログラミング教育の在り方にとどまらず、人工知能の進化等を踏まえた今後の社会の在り方を見通した、どのような資質・能力が求められるのかという幅広い御議論をいただいたところでございます。
   ポンチ絵をおめくりいただきますと、議論の取りまとめでございますけれども、2ページ目にございますような、いわゆる第4次産業革命と言われるような情報化の急速な進展が教育に何をもたらすのか、学ぶことの意義の再確認でありますとか、人間として求められる強み、また、社会とコンピューターの関係性、人間生活とコンピューターの関係がどのようになっていくのかということも見通しながら、プログラミング教育あるいは読解力の重要性も併せてまとめていただいているところでございます。
   こうした参考資料2なども踏まえながら、1ページ目、2ページ目にかけて、これからの学校教育が目指す子供たちの姿と社会が求める人材像の一致も踏まえながら、まとめさせていただいているところでございます。特に2ページ目におきましては、各教科を学ぶ意義が、今回、後半で御説明させていただくように明確化されてきていること。また、それらの資質・能力が教育課程全体の総体的構造として力を発揮していくためには、教育課程全体の構造を可視化していくこと。そのために、総則の構造を教育課程の総体的構造と併せて見直していくということでございます。
   2ページ目、カリキュラム・マネジメントでございます。2ページ目、3ページ目、何ができるようになるか、何を学ぶか、どのように学ぶかなどを、各学校でしっかりとデザインできるようにしていただく。そのための手引となるような総則の姿を目指すということ。教職員が全員参加で学校の特色を構築していく取組であるということでございます。
   3ページ目から4ページ目、資質・能力の三つの柱と「生きる力」の関係性でございます。4ページ目、知・徳・体を総合的に捉えて構造化したものであるということ。また、(2)にございますように、資質・能力の構成要素としては知識というものが重要であり、知識が構造化されて身に付くことと思考力の発揮が相互に関わりながら育成されていくということでございます。
   また、5ページ目、初等中等教育全体や各学校段階を通じて育成すべき資質・能力、ローマ数字、1、2、3、まだ少し表現ぶりが分かりにくいのではないかという御指摘も頂いておりまして見直しを図っておりますけれども、三つの柱に沿って整理をさせていただいております。
   また、こうした三つの柱も踏まえつつ、現代的な課題に対応した資質・能力でございますけれども、特にここでは言語能力、情報活用能力、内容面につきましては現在調整中でございますけれども、健康・安全に関する資質・能力について例示的に整理をいただきました。その他の主権者として求められる能力でありますとか、我が国の伝統や文化を大切にしながら、地域の創生を支える力、創造性なども今後、審議まとめに向けて整理を図らせていただく予定でございます。言語能力につきましては、7ページ目にございますように、言語能力の育成が求められる背景、また、三つの柱に沿った育成する言語能力の明確化、そして、これらを構成する資質・能力の要素を、8ページ目の真ん中から下に向けて整理をいただいております。今回、この整理を国語教育の改善、外国語教育の改善に活用させていただいているところでございます。
   そして、情報活用能力、これも背景、情報活用能力の明確化ということで、10ページ目に、三つの柱に基づく資質・能力、また、こうした力を育むためにも、ICT環境の整備が不可欠であるということで、学校の生活や学習において日常的にICTを活用できる環境整備をしていくことが不可欠であるということ。別途、2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会も開かれておりますけれども、そちらと併せて必要な環境整備を加速化していくということでございます。
   健康・安全に関しましては、現在、整理をさせていただいております。
   そして、何を学ぶか、どのように学ぶか、このあたりは前回もごらんいただいているとおりでございます。
   12ページ目、深い学びと見方・考え方の関係性、また、発達や子供の学習課題に応じたということでございます。14ページ目、何が身に付いたか、学習評価につきましても、前回頂いた御指摘を少し加えさせていただいているところでございます。
   また、16ページ目、子供の発達をどのように支援するか、特に17ページにございますように、小学校のみならず、中高においても学級経営を充実していくということ。学習指導と生徒指導、キャリア教育、あるいは、19ページ目、個に応じた指導、そして、20ページ目、特別支援教育、そして、22ページ目には、日本語の能力に応じた支援の充実ということで、子供たち一人一人の発達、成長を支援していく観点からの事項をまとめさせていただいております。
   また、23ページ目、実施するために必要な事項、地域との連携・協働、特に24ページ目にございますような校内の研修体制の充実、家庭・地域との連携・協働、必要な体制整備ということ、26ページ目、それから、業務効率化というようなこと。そして、27ページ目、ここもまだまだ記載の充実を図る必要がございますけれども、広報関係でございます。
   小学校、中学校、高等学校につきましては、前回ごらんいただいたものがベースでございます。小学校段階につきましては、特に言語能力の充実を中心にしまして、外国語教育の充実も踏まえたカリキュラム・マネジメントの在り方、あるいは国語教育と外国語教育の効果的な連携について整理をさせていただいております。
   また、33ページ目からは、情報技術を手段として活用する能力やプログラミング的思考の育成ということ。そして、34ページ目以降はカリキュラム・マネジメントの充実ということで整理をさせていただいております。
   それから、38ページ目、中学校、「取りまとめ中」というのは消していただいてと思いますけれども、中学校はこれで取りまとめをいただいております。「『カリキュラム・マネジメント』を軸とした中学校教育の改善・充実」ということで、中学校段階で多様化する課題に対応するために、カリキュラム・マネジメントを軸に様々な意識を一本化していくということ、39ページ目、部活動について持続的な視野から在り方を検討していくということでございます。
   また、学校段階間の接続ということでございます。
   42ページ目、高等学校。高等学校につきましては、今回、かなり教科・科目構成の見直しが図られますことから、そうした単位の在り方も含めて整理をいただいております。特に子供たちの進路が多様化する高等学校におけるカリキュラム・マネジメントというものが何をしっかりと目指していくべきかということ、また、48ページ目以降は卒業に必要な単位数や教科・科目の構成等ということで整理をさせていただいているところでございます。
   この中にも既に要点は整理をさせていただいておりますけれども、資料4が特別支援教育部会における議論のまとめでございます。資料4をごらんいただければと存じますけれども、1ページ目が、「特別支援教育の意義とインクルーシブ教育システムを巡る動向」ということ。インクルーシブ教育システムを構築するためには、障害のある者とない者が同じ場でともに学ぶことを追求するとともに、個別の教育的ニーズのある子供に対して、自立や社会参加を見据えて、ニーズに応える指導を提供していくというような多様で柔軟な仕組みを整備することが必要であること。そのためには、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった多様な教育的ニーズに対応できる学びの場を充実させ、子供たち一人一人の十分な学びを確保していくことが重要であるということでございます。
   3ページ目の真ん中より少し下にございますように、全ての学校で取り組む必要のある課題であるということ。また、子供たち一人一人がそれぞれの状況に応じて、自立や社会参画に向けて必要な資質・能力を身に付けていくことができるようにするということでございます。こうしたことを基本方針としながら、4ページ目、幼稚園における現状と課題、特に発達の個人差が著しい段階であることを踏まえた対応、また、家庭や地域との連携でございます。
   5ページ目、小学校、中学校ということ。特別支援学校だけではなく、全ての学級において、障害のある子供が在籍することを前提とした学級経営、学校経営が求められること。多様な学びを確保する視点で考えていくこと。その中で、特に特別な教育課程の編成など、様々な基本的な考え方や手続が少し分かりづらいのではないかという指摘もあることを踏まえて、6ページ目、学習指導要領や解説、あるいは様々な資料を活用して、そうした基本的考え方や留意点を具体的に示していくということでございます。
   また、通級による指導につきましても、そうした基本的な考え方をどのように示していくかということ。あるいは、7ページ目、通常の学級におきましては、全ての教科等の授業において、7ページ目の下には国語が例示されておりますけれども、こうした配慮の意図や手立てを具体的に示していくという方向性でございます。
   また、8ページ目、高等学校におきましては、今般、通級による指導の制度化が行われることを踏まえて、8ページ目から9ページ目、単位数の考え方などを整理いただいております。また、通常の学級におきましては、先ほどと同様に、教科別に配慮の工夫の意図や手立てを示していくということでございます。
   また、9ページ目の下、交流や共同学習ということで、ともに活動する機会を設けていくということ。10ページ目にございますように、東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機に、心のバリアフリーの推進の動向なども踏まえながら、多様性を尊重する態度を育成できるようにするということでございます。
   また、10ページ目、個別の教育支援計画、個別の指導計画の作成・活用ということ。あるいは、12ページ目、特別支援教育の支援体制についてもおまとめいただいております。
   それから、3ポツが特別支援学校における学習指導要領の改訂の方向性でございます。在籍児童が増加傾向にあるといったような現状を踏まえた改訂の在り方、基本的には資質・能力の育成やアクティブ・ラーニング、社会に開かれた教育課程ということは共通の視点として持ちながら改訂を進めていくということでございます。
   特に14ページ目にございます、知的障害者である児童・生徒に対する教育課程につきましては、各教科等の目標と内容が他の障害種とは別に規定されていることを踏まえつつ、15ページ以降にありますような資質・能力の明確化、系統性、あるいは小学校における外国語教育の充実を踏まえた小学校部における対応、あるいは、高等学校の教科・科目構成の構造の見直しを踏まえた対応を検討していただいているところでございます。
   また、16ページ目の下からは自立活動ということ、17ページ目の下からは重複障害者に対する教育課程の取り扱い等でございます。
   また、19ページ目、指導方法の改善・充実、アクティブ・ラーニングの視点ということ、あるいはカリキュラム・マネジメントの視点、20ページ目、キャリア教育の充実などについておまとめいただいております。
   また、21ページ目、4ポツにございますように、幼稚園、小学校、中学校、高等学校と特別支援学校の連続性が重要でございます。こうしたことを全て踏まえて、22ページ目の5ポツ、これらの改善・充実を支える方策について、教員の専門性、あるいは地域との連携、学校の指導体制の構築、入学者選抜や雇用における取組の充実、教材の在り方、全国的な実施状況の把握についても、特別支援教育部会でおまとめいただいているところでございます。
   以上、情報量が大変大部になり恐縮でございますけれども、幼小中高、総則、特別支援教育について御説明をさせていただきました。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
【無藤主査】      ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の御説明をめぐり、御質問、御意見をお願いしたいと存じます。おありの方は名札をお立ていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。どなたからでも結構ですけれども。
   それでは、小川委員、お願いいたします。
【小川委員】      失礼いたします。それでは、小学校教員の立場から、ほとんど感想になってしまいます。それと、お願いが少しということでお話しさせていただきます。
   まずはじめに、資料3で「幼児教育部会における取りまとめ」ということで、保幼以降の小学校との接続等にも大変配慮されてまとめていただいているなということを思いました。特に4ページ以降にあります、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿が明確に示されたということで、小学校教員、よほどの方でないと、保育園や幼稚園でどのような教育がされ、子供たちにどのような力が付いて学校に上がってきているかというのが、理解しようとはしていても、なかなかイメージが持ちにくいということがこれまであったのかと思います。
   そういう中で、幼小の滑らかな接続といったことも課題になってきたんじゃないかなと思っておりますので、こういったものが示されたことによって、逆に小学校として、入学への準備、また、子供たちのイメージが持ちやすいというようなこと、あと、スタートカリキュラムを進めるに当たっても大変参考になると思います。
   これが、どういった形で最終的に示されるかということは、まだ私の方は分かりませんが、できましたら、小学校教員の目に付きやすい、また手に取りやすいような、そういった工夫をお願いしたいなと。少なくとも管理職や低学年を担当する教員には分かるような形で、どこか示していただければと、一つ、お願いでございます。
   あと、資料2-1では、2ページにESDについて言及されていたり、また、14ページには、「何が身に付いたか」というところに、その裏返しとしての学習評価の充実ということで、今回、早めに学習評価をどのようにしていくかということが示されていることは、これから実際に具体化していく学校現場にとっては、結局、評価が充実することが最終的な学力の向上には欠かせないものですので、そういったことが先に示されたという、今回、見通しが持ちやすいということでいいなと思いました。
   あと、最後に27ページのところですが、私も小学校に勤めていて常々思っていたところなんですが、小学校の6年間の大きな幅のある期間の低中高のそれぞれの特色であり課題といったことが、今回きちっと明文化され、これに基づいて、小学校というような大きなくくりだけでなく、その中で細やかに子供たちの発達を見ていくんだというようなことが示されたこと。それが、幼児教育との接続や高学年の中学校教育の接続につながっていくのだというようなことがしっかりと示されていることがすばらしいなと思いましたし、こういったことが是非、総則やその他一般に広く伝わっていくような工夫をお願いしたいと思います。
   以上です。
【無藤主査】      ありがとうございました。それでは、ほかにいかがでしょうか。
   じゃ、キャンベル委員、お願いします。
【キャンベル委員】      少し細かいことですけれども、総則のところで、私が今見ているのは資料1の8枚目ですけれども、例えば、配慮すべき事項の中に、問題解決的な学習であるとか自主的学習という、ここで議論されてきたアクティブ・ラーニングの具体的な授業、あるいは指導計画の作成に関する重要な記述がここでなされると思うんですけれども、一つ提案ですけれども、具体的にどういうプログラム、あるいはものがあるかということの中で、日本ユネスコ委員会が管理をしているESD、持続可能な開発のための教育、これが日本の中では、先生方は私よりずっと御存じだと思うんですけれども、1,000校前後が加盟しているんですけれども、全世界で1万校ぐらいが緩やかな連携を結びながら、エネルギー学習ですとか環境学習、あるいは防災学習を中心に、まさにアクティブなプログラムを連携して作っているんです。特に今回の学習指導要領に、できれば明記をしていった方がいいと思うのが、もともと日本政府が提唱したプログラムで、日本から1990年代の終わりから、2002年から始まったプログラムですけれども、世界の中で日本が教育に対して非常に具体的に打ち上げ、そして、ずっと、それこそ持続的にその発展に関わっている大きなグローバルなプログラムになるので、そういったことを学習指導要領の中に、一つの選択として、あるいは在り方として明記をすることも、国内はもちろんそうですけれども、日本と世界の教育のことをグローバルな視点から考えるときに重要ではないかなと、ちょっと前に気付いてないことに気付いて、申し上げて、あるいは提言をさせていただきたいと思います。
【無藤主査】      ありがとうございます。ESDは盛り込む方向で、細かい文については検討の余地がありますが、その方向だと思います。
   それでは、渡瀬委員、お願いいたします。
【渡瀬委員】      お願いいたします。小川委員がおっしゃったように、幼稚園のところで期待される10の姿が明確になったのは、私もとてもいいことだと思います。この学習指導要領について、いろいろな議論がスタートしたときに、幼稚園から高校3年生までのつながり、学校種間の連携がとても大きなテーマだったと思います。そう考えますと、幼稚園でこういうふうに出てきたものを、小学校でどのように受け取るかということが具体的に記述されるとよいのではないかと思います。10について一つ一つ具体的に検討するということは、小学校部会も終わってしまいましたので、それはできませんけれども、例えば、「小学校教育の基本と低中高学年、それぞれの課題」という最初のところに、幼稚園の教育の中で培われてきた10の姿をどう受け取って、それをどう尊重しながら、どう伸ばしたいかということが明言されるのがよいのではないかと思います。
   それから、小学校、中学校の連携について。具体的には、例えば、この資料で言いますと37ページのところには、外国語教育の指導を担当する教員のことですとか研修のことでは具体的にそれが述べられています。これを外国語に限らず、どの教科でも、小学校と中学校の連携、一緒に教員が研修するとか、場合によっては、教員がお互いに指導し合うとか、そういうことについての記述があると、最初に大事にしようとした、幼稚園から高校3年生までの系統性というものが、この学習指導要領の中で明確になってくるのではないかと思います。
【無藤主査】      ありがとうございます。是非その方向でと思います。
   それでは、天笠委員、お願いいたします。
【天笠主査代理】      失礼します。今、お二人の委員の方から出た点と、私もつながっていくんですけれども、10の育ってほしい姿というんでしょうか、このことは幼稚園部会の取りまとめにとどまらずに、全体にある意味波及していく、そういう点がここに提起されたのかなと思いまして、今の委員の方の御発言に私も同意するところであります。
   それで、今度は、例えば小学校部会等々、小中高等学校部会等の取りまとめの5ページのところには、次のような資質・能力を育成することだということで、1、2、3という形で記述されているわけですけれども、10の部分のところと三つの資質・能力というのは当然、相互の脈絡を持ちながら、それらが記述されているわけなんですけれども、育てたい資質・能力というのも、どうもこの全体を通して見ると、いろんなレベルが混在するような形に、混在とまではいかないまでも、いろんなレベルがこの中に入って、そして、育ててほしい能力という形になっているという、そう捉えることができるわけです。
   例えば、幼稚園部会の10の、それも資質・能力のあるレベルのところを押さえると、こういう10のそれになっていくのではないかと思いますし、資質・能力の三つの柱に基づいてというのも、それはそれで、また資質・能力なんですけれども、そういう点からすると、資質・能力と言っている中身も、限りなく人間像と言っていいぐらいの、そういうところに近いような位置付けのものもあれば、片や、情報活用能力ですとか収集能力ですとか、あるいはクリティカルシンキングですとか、比較的下位に位置付けて捉えることがいいような、そういうものがそれぞれあって、そういう点では、ここまでこういうふうに明示されてくると、育成すべき資質・能力が全体としてどういう構造としてあるのかどうなのか、少しそこら辺の交通整理をした方が、受け止める側は分かりやすくなってくるんじゃないかと。育てたい資質・能力と言っているんですけれども、一体どのレベルで求めているのかどうなのか。非常に人間の根幹に関わるようなところで求められているものと、あるいは、それこそ生活の側面に沿って日常の生活の中で求められている、そういうものとが、それぞれこういう形で折々に示されているわけですけれども、そういうことを全体で捉えるときに、少し交通整理というか、整理する必要があるんじゃないか。
   としたときに、例えば、この幼稚園の10の求める姿、育ってほしいというのを、交通整理をするときの一つの視点のことになるのかもしれませんし、片や、三つの資質・能力の柱、これが根幹であって、ここからの関連性の中にこの10があるとか、あと、比較的細かなところになってくるんだとか、そのあたりのところの全体像が必要なんじゃないかということで。もちろんそういう点からすれば、これまでのこのワーキンググループですとか、それぞれ示されたデータの中には、既にそういうものがそれなりに収められているという言い方もできるかと思うんですけれども、そういうものをある程度引き出して、そして、それをこの全体のまとめの中に位置付けて置いておくことが、読みやすくなってくるという点からすると大切なんじゃないかなと思います。
   以上1点ですけれども、もう一つだけ。これは、総則部会等々でもちょっと申し上げたんですけれども、幼小とか小中の接続の部分についての記述ですけれども、小学校と中学校のところでの記述と、中学校部会における記述と高等学校部会の記述があるわけですけれども、それぞれの記述が、ここに置かれて、そういう形の記述の必要性があるということで、ですから、ここのところにはそんなに手を付けなくていいのかなと思うんですけれども、改めて、ここまで各部会で書かれているとするならば、学校間の接続とか連携に関わっているのは全体にまとめて、引き上げて、そして、全体としてその記述をする必要性というか、それもあるのではないか。その上で、各論として小中高あるいは幼小中のそれぞれのところに、この記述を生かすという、そういう意味合いで、どこかに全体としての学校間の接続についての見解、それを述べておいたらよろしいかなと思います。
   以上です。
【無藤主査】      ありがとうございました。私の方で注釈させていただきたいんですけれども、幼児教育部会のまとめは私が座長もしましたので、ちょっと解説めいたことなんですけれども、先ほどの10の姿の在り方ですけれども、お手元の資料3が幼児教育部会なんですけれども、3ページから中身が入ってくるんです。これ、論理構成、どうなっているかということでありますけれども、最初に幼児期の特性に応じて育まれる見方・考え方というものを一つ提示してあります。幼児教育は教科等に分かれていませんので、見方・考え方は一つなんですけれども、ともあれ、これが幼児教育の一番根本となる考えであるよということです。それをもう少し子供の側の育成すべき資質・能力に落とし込むと、三つの柱であると。三つの柱自体は小学校以上と同じなんですけれども、幼児教育としては、その基礎であるということで、3ページから4ページにかけて、幼児教育にふさわしい言い方に言い換えながら、三つの柱を立てているわけです。
   その上で、それを実現するためには、具体的な内容を持った教育活動が必要になるわけですけれども、それが幼稚園教育で言うところの5領域で、これはいじりませんので、ここに詳しく書いてありませんが、5領域であると。その上で、幼児教育全体を通して、特に幼児教育の終わりの段階までに、5領域の中で子供たちが身に付けていく内容、重点的な項目、これを10項目に整理したと。さらに、実を言うと、その10項目に整理した上で子供たちはどのように学んでいくのかということで、学習の過程があり、その学習の過程をよりしっかりしたものにするという意味で、小学校以上と同様に、主体的で多様的で深い学びをそこで実現していくと、こういう流れを作ってあります。
   そういう意味で、論理構成、割と明確にしたつもりなんですけれども、そうすると、はっきりすることは、幼児教育から小学校教育につながる部分の中心というのは資質・能力の三つの柱であって、より具体的に言えば10の内容なんだよと、こういうふうになろうと思います。
   そういう分かりやすい整理が、もちろん小学校、中学校それぞれになされると同時に、小中のつながりにおいても、同じ構成である必要はないと思うんですけれども、求められるかなと思って、ちょっと注釈を入れました。
   それでは、次の方、いかがでしょうか。特に今すぐ出ないようなら、次の教科等の話もありますので、そちらに入りながら、必要に応じて今の部分にもお戻りいただくようにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
   それでは、2番目の議題でございますけれども、各教科等別ワーキンググループのまとめ文案についてであります。これについての説明をお願いするんですけれども、実は、配布資料が分厚いものがあります。資料5ですか。資料5が分厚過ぎて、マル1とマル2と二つに分かれておりますけれども、マル1につきましては、前回、事務局から御説明を受けて議論いたしましたので、今回は説明と議論を資料5のマル2を中心にということでお願いしたいと思うのですけれども。ただ、前回たしか、マル1の説明は受けましたけれど、議論、質問の時間が十分じゃなかったようにも思いますので、もし何かあれば、マル1の資料にも言及していただいて差し支えございませんので、よろしくお願いいたします。
   それでは、事務局より配布資料に基づきましての御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】      失礼いたします。さらに、また情報量が多くなりまして恐縮でございますけれども、資料5のマル1とマル2でございます。実は、この黄色いファイルが本体でございまして、このエッセンスのみで資料5のマル1とマル2というような状況でございますけれども、今回、これをごらんいただきますのは、後ほど、また少しごらんいただきますが、資料6をごらんいただければと思います。資料6の右半分に「『審議まとめ』の構成案」がございまして、次回はこの「『審議まとめ』の構成案」に基づき御議論いただくことを少し御相談させていただいておりますけれども、最終的にはこういう形で議論が一本化されるということでございますけれども、その前提といたしまして、各ワーキングの議論の状況をきょうは少し眺めていただきたい、その上で少しコメントを頂きたいという趣旨でございまして、そういった趣旨で資料5のマル1とマル2を少し御説明させていただきます。
   資料5のマル1、無藤先生からもございましたように、前回少し御紹介させていただきましたけれども、かなり駆け足でもございましたので、再度、簡単におさらいをさせていただいた上で、資料5のマル2に移らせていただきたいと思います。
   資料5のマル1は、言語能力の向上に関する特別チームから理数探究に関する特別チームまでをまとめさせていただいたものでございます。1ページ目からごらんいただきますと、言語能力の特別チーム、これまでの議論のまとめということで、先ほどの総則・評価部会のまとめにも少しエッセンスは既に載せさせていただいているところでございます。言語能力の役割や課題、3ページ目の下からは、言語能力を構成する資質・能力についてということでおまとめをいただき、4ページ目、言語能力を構成する資質・能力の三つの柱、知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力、人間性について整理をいただいております。これを表にしたものが、19ページの三つの柱に基づく整理でございます。
   また、5ページ目の「特に」というところ以下でございますけれども、言語の三つの側面から言語能力を構成する資質・能力を捉えていること、また、6ページ目には、言語能力を構成する資質・能力の働く過程についておまとめいただいております。テクストを理解するための力、文章や発話により表現するための力ということで、これを図示したものが20ページ目のポンチ絵でございます。認識から思考へ、思考から表現へということでございます。現在、この整理に基づきまして、高校教育、外国語教育の見直しなども図られているところでございます。
   国語科、外国語科の改善・充実について、あるいは、全ての教科における言語活動の充実についておまとめいただいたのが9ページ目以下でございます。10ページ目からは、国語における具体的な改善点、11ページ目は外国語における具体的な改善点を記しておりますけれども、これをちょうどそれぞれのワーキングで触れさせていただきたいと思います。
   また、13ページ目、言語能力を高めていく観点からは、国語科、外国語科における教育について効果的に連携させることが必要であるということでございまして、学習指導要領上で指導内容の関係性の整理を行っていくことでございますとか、あるいは、各学校における連携として具体的に考えられるような事例を16ページ目にも載せさせていただいているところでございます。また、そういった連携を効果的にするための必要な条件整備ということで、17ページ目、共通理解等も含めまして整理をいただいているところでございます。具体的な連携のイメージ等につきましては、21ページ目のポンチ絵として整理をいただいております。
   そして、こうした議論を踏まえまして、22ページ目からは国語ワーキングの議論の概要でございます。前回も御紹介させていただきましたけれども、資質・能力の整理、それを幼小中高のつながりの中で育んでいくこと、また、先ほどの言語能力を構成する要素を踏まえた指導内容の見直しが図られております。29ページ目に、資質・能力の三つの柱の整理。また、教育目標として、小中高の積み上げということで30ページにイメージを示しております。
   また、先ほどの言語能力の要素を踏まえた指導内容の見直しが、31ページ目、話すこと・聞くことの領域、書くこと、読むことに関する領域ということで32ページ目でございます。こうした見直しを通じまして、全ての学習や生活の基盤となる国語の力を確実に高めていくことを目指しております。
   また、33ページ目には、こうした育成すべき資質・能力を踏まえた高等学校の国語の科目構成、新しいもののイメージでございます。
   それから、34ページ目から外国語ワーキングでございます。これにつきましても、資質・能力の整理等々を行っていただいております。
   42ページ目が、資質・能力の三つの柱に基づく整理。43ページ目が、小中高を通じた教育目標の三つの柱に基づく整理。また、44ページ目にございますように、特に知識・技能と思考力・判断力・表現力等につきましては、CEFR等も踏まえて、各領域別に国の指標形式の目標を示していくということ。また、そうした能力をしっかりと育むために、目的に応じたコミュニケーションのプロセスという学習過程を明確にして位置付けていくことが45ページでございます。また、46ページ目も学びのプロセスの在り方でございます。目的の設定・理解に応じた言語活動の見通しということなどでございます。
   また、47ページ目からは、小学校の今後、35こま、あるいは70こまで実施される具体的な指導内容でございます。47ページ目が3年生、次のページが4年生、49ページ目が5年生、次のページが6年生でございます。また、51ページ目にございますように、高等学校の科目構成の見直しが、特に発信能力の育成を強化する科目と領域をバランスよく育んでいく科目の系統で整理をされていく予定でございます。
   52ページ目は、様々な条件整備も含めました工程表でございます。
   53ページにつきましては、社会・地歴・公民ワーキンググループにおける取りまとめについてでございます。これにつきましても同様に、目標、資質・能力の整理、あるいは、特に今回、高等学校、科目構成の見直しをしていただいております。
   59ページ目が、小中社会科、高等学校地歴、公民を見通した教育目標の整理でございます。また、それぞれにつきまして育成すべき資質・能力を60ページ目、61ページ目、62ページ目のとおり整理をいただいております。
   また、63ページ目、思考力の小中高を通じた育成。64ページ目、細かくなりますけれども、社会における見方・考え方を活用して、問いを追究する学習の実現、それによって身に付く概念的な知識のイメージでございます。こうした学び、67ページ目にございますように、動機付けから振り返りまで、こうした主体的・対話的で深い学びの見通しの中で行われるということでございます。
   68ページ目が、今回、高等学校地歴、公民科の科目構成のイメージでございます。共通必履修科目として、地理総合、歴史総合、公共、そして、選択科目として、地理探究、日本史探究、世界史探究、倫理、政経でございます。
   69ページ目は、歴史総合のイメージ図でございます。科目の特徴ということで、上にございますけれども、世界とその中における日本を広く相互的な視野から捉えて、近現代の歴史を理解する科目であるということ。歴史の推移や変化を踏まえ、課題の解決を視野に入れて、現代的な諸課題の形成に関わる近現代の歴史を考察する科目であるということ。そして、歴史の大きな転換に着目し、単元の基軸となる問いを設け、資料を活用しながら歴史の学び方を習得する科目であるということでございます。科目構成のイメージとしまして、下のような柱に基づく御議論をいただいているところでございます。
   また、地理総合でございますけれども、次のページでございます。70ページ目。持続可能な社会作りを目指し、環境条件と人間の営みとの関わりに着目して、現代の地理的な諸課題を考察する科目であること。グローバルな視座から国際理解や国際協力の在り方を、地域的な視座から防災などの諸課題への対応を考察する科目であること。地図やGISなどを用いることで、汎用的、実践的な地理的技能を習得する科目であるということでございます。
   また、次のページに、公共のイメージがございます。人間と社会の在り方についての見方・考え方を働かせて、左側の資質・能力というところにございますような力を育んでいく科目でございます。「『公共』の扉」、そして、「自立した主体として国家・社会の形成に参画し、他者と協働するために」「持続可能な社会づくりの主体となるために」という柱で構成をされております。キャリア教育という観点からの他教科、他科目との関連性なども重視しながら検討を進めていただいたところでございます。また、こうした新科目の設置も見据えた小中学校における内容の枠組みと対象ということも、こうした一覧に基づき御整理、御検討をいただいているところでございます。それが72ページでございます。
   続きまして、73ページ目、算数・数学ワーキングでございます。これにつきましても、資質・能力を育成するための見直しということで、78ページ目の資質・能力の整理、79ページ目の目標の整理、また、80ページ目、81ページ目にございますように、算数・数学の問題発見、解決の過程を踏まえた思考力の育成などを図る科目としての整理をいただいているところでございます。こうしたことを今回の改訂で重視していくということでございます。
   また、82ページ目、理科ワーキングでございます。88ページ目に、資質・能力の三つの柱の整理がございます。89ページ目に目標の積み上げということ。また、90ページ目、見方・考え方の整理をいただいております。こうした見方・考え方を働かせながら問題解決的な学習を行っていくという、92ページ目のような学習過程のイメージでございます。これを、内容のまとまりを見通しながら実現していくというイメージでございます。
   また、数理探究につきましては、前回も御紹介いたしましたとおり、97ページ目にあるような、基礎の習得段階と探究を深める段階を見据えて、探究基礎と探究という科目を設定していくということ。また、これにつきましては、総合的な学習の時間との読み替えを可能にしていく方向性でございます。
   それでは、資料5のマル2に移らせていただきます。芸術ワーキングから産業教育ワーキングまでの御紹介でございます。
   芸術ワーキングにおきましても同様に、資質・能力の三つの柱に基づく整理を行っていただいております。11ページ目でございますけれども、11ページ目が音楽でございます。13ページ目までが小中高と続きます。14ページ目からが図工、美術、工芸ということで、小中高と17ページ目まで続いてまいります。そして、18ページ目が書道の整理でございます。こうしたことも踏まえつつ、教育目標の整理を19ページ目、20ページ目、21ページ目のとおり整理をいただいております。
   また、22ページ目以降は、音楽、芸術、書道、それぞれにおける学習プロセスの在り方でございます。「音や音楽の出会い」というところから知識・技能との関連付け、豊かな情操へのつながりということ。その中で、どのようなプロセスが経られているかということを整理いただいております。表現領域の学習と鑑賞領域の学習、そこに共通する要素を整理いただいております。
   また、23ページ目は図工、美術、工芸でございます。創造的な技能と発想や構想ということ、作品のよさや美しさなどを感じ取り味わうということ。そこに共通として働く資質・能力、また、言語活動との関係性ということでございます。それが、24ページ目のように高まって、豊かな情操につながっていくということでございます。
   25ページ目は書道でございます。書表現との出会いから豊かな情操へのつながり、表現領域と鑑賞領域、それぞれ共通に働く要素との関係を整理いただいているところでございます。
   26ページ目、家庭、技術・家庭科ワーキングでございます。これも、32ページ目、資質・能力の三つの柱、34ページ目、教科目標の整理をいただいております。また、36ページ目にございますように、家庭科の課題解決的な学習過程、より実践も重視しながらということ。
   37ページ目、技術分野の課題解決的な学習過程、作成の前の設計段階も重視するということでございます。
   また、38ページ目、情報ワーキングにおける取りまとめでございますけれども、これも42ページ目にございますように、情報化において育む資質・能力、そして、情報活用能力の小中高を通じた育成との関係性が43ページ目でございます。また、44ページ目のように、情報科における問題発見、解決的な学習プロセスの例ということ。そうしたプロセスを実現する科目の構成イメージが45ページ目でございます。情報1というのが共通必履修科目になってまいりまして、情報2が選択科目、発展的な内容になってまいるところでございます。
   46ページ目、体育・保健体育、健康、安全ワーキングの整理でございます。体育・保健体育につきましても、51ページ目にございますように、資質・能力の三つの柱、知識と技能や身体表現との関係性なども整理いただきながら、ごらんのとおりの整理をいただいているところでございます。
   また、54ページ目、目標の三つの柱、また、55ページ目、56ページ目にございますように、運動課題や健康課題を自他のものを発見し、解決していくプロセスとして整理をいただいていること。また、スポーツとの関わりについて、する、見る、支えるに加えて、知るということの重要性も整理をいただいているところでございます。
   57ページ目、考える道徳ワーキングでございますけれども、こちらにつきましては、現在、まだまだ議論中でございます。57ページ目の議論の柱に沿って議論をいただいております。小中の改訂が先んじて行われておりますので、少しスケジュールをずらした形で検討を進めさせていただいております。
   58ページ目、生活・総合のワーキングでございます。生活・総合につきましても、63ページ目、生活科において育成すべき資質・能力の三つの柱ということ、幼児教育における検討も踏まえまして、知識・技能の基礎、思考力・判断力・表現力の基礎などといった幼児教育とのつながりを重視した整理をいただいております。
   また、64ページ目、生活科のイメージということで、先ほどの幼児教育の10の姿を、小学校のスタートカリキュラム、生活科を中核としたカリキュラムを通じて、どのようにつないでいくかということ。65ページ目は、生活科の学びのプロセスと育成すべき資質・能力、思いや願いを持つから、表現する・行為するというところまで、それがくるくる回っていくということでございますけれども、こうした関係性の整理、あるいは、現在、66ページ目のとおり、生活科の様々な視点や内容項目を示されておりますけれども、それと資質・能力の関係性も整理しながら、指導要領の内容の構造化を図っていただいているところでございます。
   また、総合につきましては、74ページ目にございますように、三つの柱ということ、探究することの意義なども踏まえて整理をいただいております。そして、75ページ目、今回、高等学校では、「総合的な探究の時間」という名称変更も検討していただいておりますけれども、そういうことも踏まえた目標の積み上げということ。そして、76ページ目、小学校、中学校、高等学校、それぞれございますけれども、探究のプロセスと育成する資質・能力の関係性、学習方法と自分自身の探究活動、あるいは、他者や社会と探究活動の関わりがどのように育まれていくのかということの整理をいただいております。
   また、79ページ目、特別活動のワーキングでございます。特別活動につきましても、85ページ目のとおり、三つの柱の資質・能力の整理、それから、86ページ目の目標の整理、また、87ページ目のとおり、一番下にございますような学校活動が将来的に、様々な多様な社会生活における活動につながっていくという見通しを持って充実させていく必要があるということ。また、88ページ目のとおり、人間関係形成、社会参画、自己実現を重視しながら資質・能力の育成を図っていくということ。89ページ目以下は、学級活動、児童会活動等々、それぞれの活動において、どのようなプロセスを重視すべきかという整理をいただいているところでございます。
   また、93ページ目にございますように、内容構成の見直しということ。今回、キャリア教育の位置付けということを小中高通じて図っていただくことなども含めまして、内容のイメージ案を整理いただいております。
   それから、96ページ目、産業教育ワーキングにおける整理でございます。102ページ目からポンチ絵になってございますけれども、103ページ目のとおり、ここで共通事項について整理をいただいておりますけれども、資質・能力の考え方の整理、そして、各教科で活用される見方・考え方の整理、あるいは、105ページ目のとおり、資質・能力の三つの柱に基づく目標の整理でございます。107ページ目からは、問題解決的なプロセスのイメージでございます。また、評価の観点についても、108ページ目のとおり、三つの柱、三つの観点に基づくものでございます。
   109ページ目以降からは、各分野別に見直しの観点等を整理いただいているところでございます。
   以上、次回、審議まとめの全体像をごらんいただく前提として、各ワーキングの議論の状況を紹介させていただきました。疑問点あるいは御意見等ございましたら、御指摘いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。
【無藤主査】      ありがとうございました。ということで、大部な資料でございますけれども、御検討をお願いしたいと思います。また、御意見がおありの方は名札を立ててください。いかがでしょうか。
   じゃ、まず、市川委員から。
【市川委員】      プログラミングのことなんですけれども、これは専門部会もできて、今回の教科別のワーキンググループの中でも随所に、プログラミング教育、特に「プログラミング的思考」という言葉も出てきています。プログラミングについての委員会の報告は、私は非常にすばらしいものができていると思います。また、コーディングということではなくて、むしろプログラミング的な思考を小学校の頃から育てていくことも考え方としては非常にいいと思うんです。
   ただ、少し気になりますのは、プログラミング的思考が何を指しているかです。これが例えば70年代くらいであれば、要するに、アルゴリズムということをきちっと教えて、コンピューターというのは基本的にプログラミングされたことをそのとおりに実行するものであるというような考え方でよかったと思うんです。ところが、最近、この取りまとめにも随所に出てくる人工知能になりますと、最近の人工知能は70年代と相当違っていて、コンピューターは言われたことをそのまま実行するものだというと、今だと何か誤解になってしまう部分もあるような気がするんです。
   確かに、言われたことしかしないコンピューター、つまり、プログラミングされたこと、こういうときにはこうしなさいということを着実に処理していくコンピューターもありますが、最近ですと、コンピューター自身がかなり学習機能を持っている。ですから、非常に原理的なところでは確かに学習するアルゴリズムを持っているんですが、学習した結果、どういうことを人工知能がやり出すかということになると、これは学習したデータによって、実はプログラマーも意図していなかったような、本来だったら、そのことをずばりと指示していないようなことまでも、いい言葉で言うと、できるようになる。悪い言葉で言うと、意図していなかったことまでやってしまうということが起こってくる。そのときに、いわゆるアルゴリズム的な思考、これも原理的なところではもちろん学習のアルゴリズムというのがあるわけですけれども、70年代のように、言われたことだけを忠実にするというイメージを持っていると、今の人工知能との間にギャップが生じるような気もするんです。
   例えば、テレビでもかなり放映されましたけれども、世界チャンピオンの囲碁の方に、最初、AlphaGoというのが3タテをしたというような。あのときにも、創造的な手を打つ。これまでのプロの棋士だったら絶対に打たないような訳の分からない手を打ってきて、それが非常に有効だったということで、終わった後には、世界チャンピオンの方が、むしろ学ぶべきことがたくさんあったというような発言をなさっている。
   ほかの分野でも、やっぱり最近の人工知能が、ディープ・ラーニングと言われる、ここでの深い学びでのディープ・ラーニングではないんですが、業界用語での「ディープ・ラーニング」と言われるような多層のニューラルネットを使っていますので、こうなると、もう人間が意図していなかったようなことまでも学習していく。それはデータ次第なんですが、この話がこれだけテレビでも放映されると、現代人の常識のようにもなりつつある。コンピューターって昔とは大分違う。指示しなかったことまでも学んだり、やってしまったり、あるいは、とんでもない動きをしたりすることがあるというようなこと、ここにどうつなげていくかというのは私は非常に難しいところだと思います。
   例えば小学校段階では、とりあえずアルゴリズム的思考というようなことで、コンピューターはそういうものだということでいいと思うんですが、中学校、高校もここには少し出ているんですけれども、最近の人工知能が持っている方式とか、それによって生じること。このようなことも、何かどこかで高校までの間にスムーズに取り入れていかないといけないのではないかという危惧をちょっと持っております。
   ひとまず以上です。
【無藤主査】      ありがとうございます。プログラミングの議論については、私も検討会に参加しましたけれども、多分、基礎部分はアルゴリズムそのものだと思いますけれども、おっしゃるように、人工知能の働きに近付くと、作ったプログラムが制作者の予想を超えるというか、そういう動きを示すことがあり得るわけですね。実際にニューラルネットの類いは、極めて単純なモデルでも、結果は予測できないところがたくさん出てきますけれども、ただ、そういうことをある程度想定しているのは、プログラム的思考の定義、特徴付けとして書いてありますけれども、簡単に言うと、一つ一つの記号がコマンドとして働くときの、コマンドは明瞭に定義されているもので、それを組み合わせていくわけでありますけれども、一方で外界が想定されているわけですね。それが小学校レベルですと、作曲だったら音でしょうし、ロボットを作るのならおもちゃの動きですけど、そういった外界が想定されている場合には、外界はコンピューターの中にあるわけではない。外の動きなんですけれども、それを動かすと、要するに、設計者の思うようになるとは限らない、いろんな動きが出てくるわけです。今度は、その外界の動きを把握して、プログラムの修正を行うという、いわばプログラミングと外界の動きの対話過程みたいなものがプログラム思考として想定されるんだろうと思うので、将来的なAI的な思考の芽としては、ここに多少入れてあるとは思います。ただ、問題は実践的にはなかなか難しいので、市川委員のおっしゃる方向をもう一度考える必要があるなと思いました。ありがとうございました。
   では、キャンベル委員、お願いします。
【キャンベル委員】      手短に、確認を一つだけさせてください。5-2のところに、それぞれまとめが大変充実していて、私が関わっている国語ですとか外国語を拝見していて心強いんですけれども、ただ一方では、例えば、新しく設置される特別の教科、道徳、これは新しいことなので非常に丁寧に議論が必要だと思うんですけれども、ここで、この資料だと1枚だけのもので、余り内容、ワークショップでどういうことがなされているかということが見えないので、5月27日付のことなので、その後に何か進展があったのか、あるいは、これから残された時間の中で、考える道徳の転換に向けたワーキンググループはどういうふうに動くのか、何を目標としていくのかをお尋ねしたいと思います。
【無藤主査】      その点、いかがでしょう、事務局から。
【合田教育課程課長】      キャンベル委員からの御指摘の道徳教育の件でございますけれども、先ほど大杉からも御説明申し上げましたように、道徳につきましては、考える道徳、議論する道徳への転換ということで、いわば学習指導要領の改訂、本体の資質・能力に基づく教育課程の構造化を先取りしたような形で、昨年の3月に学習指導要領の一部改訂ということで、これは小学校においては、本体の実施に先立つこと2年前、平成で申しますと30年度から実施をしようということで議論をいただいているところでございます。
   この中教審の本体とは別に、道徳の指導方法、まさに考える道徳、議論する道徳への転換するための指導方法の具体的な在り方ですとか、あるいは評価の在り方について、別途有識者会議を設けて議論をいたしているところでございまして、これがかなり議論が今、成熟と申しますか、まとまりつつある状況でございます。本来もそれを御説明できればよかったんですけれども、これはこの7月を目途にお取りまとめをいただきたいと思っております。それを前提の上で、中教審におきましては、現在御議論いただいておりますのは、資質・能力の三つの観点で見たときに道徳教育をどう考えていくのか、道徳科でどう考えていくのか、あるいは学校教育全体における道徳教育でどう考えていくのかと。道徳教育でございますから、余りにも三つの資質・能力を分節化して議論することは必ずしも適切ではないことも前提にしながら、有識者会議の議論も踏まえて、もう一度、残された時間、ワーキンググループで御議論いただくというような段取りになっているということでございます。
【キャンベル委員】      ありがとうございます。そうしますと、おっしゃるように、多分、最も分節がふさわしくないといいますか、ほかの教科にもまたがって影響してくることだと思いますので、ここでもやはり、別の場所でなさっている議論を開示していただいて、取り込めるようにしていただきたいと思います。ありがとうございます。
【無藤主査】      ということで、道徳も8月ぐらいにここに出てくると理解していいでしょうか。ありがとうございます。
   それでは、油井委員、お願いいたします。
【油井委員】      高等学校の地歴科の問題について、お願いとコメントをさせていただきたいと思うんですけど、資料5のマル1の69ページと70ページをごらんいただきたいと思います。高等学校の地歴教育においては、空間的な認識と時間的な認識をバランスよく教えていくことがとても重要だとかねがね思っておりましたので、歴史総合と地理総合という科目が両方必修になったことは非常にいいことだと思います。
   ただ、歴史総合は日本史と世界史を統合した科目として想定されているわけですけれども、従来、高校の現場では、日本史と世界史は担当する先生もそれぞれ違っていて、必ずしも交流がなされていない面があったと思うんです。ですから、そこで日本史と世界史を統合して新しい科目が必修としてできた場合に、どなたがそれを教えられるのかという問題が発生するので、相当現場の研修のようなものをきちっとしていただかないと、いろいろ困難が発生するのではないかと思っています。
   それから、もう一つ、地理総合の方も、GISと言われるコンピューターなんかを使って、地理情報を整理していくような新しいスキルだと思うんですけど、それを使うことは大変結構なことだと思うんですけど、これも必ずしも現場の高校の先生の中に定着しているとは限らないので、こういう新しいスキルを利用した新科目を設定するに当たっては、やはり現場の先生方の研修の問題とか教職課程の在り方の変更、それを是非お願いしたいと思います。
   それから、歴史総合ですけれども、今まで、どうしても高校現場の歴史教育は古代から現代まで通史的に教えていくことが一般的であったわけですけれども、このように、近代化と大衆化とグローバル化というのは、近現代の重要なテーマを設定して、それを歴史的に教えていくというような非常に新しいアプローチで、ある意味じゃ画期的なことだとは思うんですけど、近現代の特徴が果たして、近代化、大衆化、グローバル化というような三つのキーワードだけで特徴付けられるかどうかということ自体も議論があるところで、とりあえずこれでやってみるということでいいとは思うんですけど、どちらかというと、近代化にしろ大衆化にしろグローバル化にしても、欧米社会が主導して発生したような傾向があるので、どうしても歴史の記述として、欧米中心というような印象を与えかねない面があると思うんです。
   それで、「取り上げることが考えられる題材」というところに並んでいるのも、日本と、どっちかというと欧米で始まったいろんな題材が並んでいると思うんですけど、例えば近代化を論ずるときには、中国の辛亥革命とか朝鮮における開化派の動きとか、アジアにもあると思うんですね。失敗した場合もありますけれども、アジアにもそういう例があるので、もう少し題材のようなところで、アジアの例を意識的に取り上げていただいた方がいいんじゃないかというのが一つ要望です。
   二つ目は、2単位授業ということで時間が限られていますから、近現代に集中するのはやむを得ないと思うんですけど、近現代社会の特徴を説明するときに、背景として前近代の社会の説明を同時に、若干でもした方が近現代の特徴は分かると思うんです。例えば、近代化というものを説明するときには、前近代社会には身分制度というものがあったと。それが否定されて、近代の法の下の平等な社会が生まれてくるという説明になるわけなので、例えば近代化の説明をするときには、一応「結び付く日本と世界」というところで前近代のお話が出てくるような気配ですけれども、ほかの大衆化とかグローバル化についても、ある程度、前近代の特徴を説明した上で近現代の説明に移った方がいいのではないか。
   例えば、グローバル化を説明する場合に、20世紀の後半だけではなくて、大航海時代ぐらいから、やはり前史としては存在していますので、この3本柱のキーワードの説明に入る前に、若干でも前近代の説明を加えていただいた方が分かりやすいのではないかという要望をさせていただきたいと思います。また、歴史総合については、近現代史の特徴を明示するためにも最低限の前近代史部分の補充が望ましいし、取り上げることが考えられる題材についてはもう少しアジア史関係の題材の補充が望ましいと思います。
   以上であります。
【無藤主査】      ありがとうございます。具体的な地理歴史の要望は、是非その部会でも事務局でも御検討いただきたいと思うのと、最初の方の高校における「総合」が付くものについての担当者の問題は、多分、非常に大事な問題だと思うので、よろしくお願いします。いわゆる条件整備の中で検討していただけると思うので、よろしいでしょうか。
   じゃ、齊藤委員、お願いします。
【齊藤委員】      市川先生の流れで、ICTの件で、それはおっしゃるとおりで、プログラミングを教えるというふうに傾いちゃうと心配なのは、今問題になっている英語を教えるというので、似たような構造になっても困るというのが気になって、英語も縦割りで単体で教えるということだと、コンテキストがない。何をどういつ何で使うというようなものが、英語教育もそうです。英語もともかくとして、ICTをこれからやっていくということが、ICTを独自で教えるということよりは、世の中的には、ICTをどうほかの授業で使っていくかが結構ポイントになって、むしろ今は、小学生は確かに基礎知識を教えるのは大事かもしれないですけれども、中高ぐらいになってくると、それを科学とかそれこそ英語とか理系の授業でどう使っていくか、それをどう応用していくかというような中で、単体で、あえてコンピューターサイエンスとかプログラミングとかICT授業ではなく、それを並列的に、ほかの授業でそのコンピューターという新リソースとして使っていくという方にそれを考えるという感じで、先生がおっしゃったように、プログラミングでコンピューターをプログラムするというよりは、どっちかというと、コンピューターにいつか使われるというよりは、どうこれから使い続けるというふうに考えるというのを、是非。
【無藤主査】      ありがとうございました。
   それでは、山脇委員、お願いします。
【山脇委員】      芸術の中の音楽について、どういう議論がされたか分かりませんが、ちょっと考えを述べたいと思います。資料5のマル2の11ページなどを見ますと、一番右の「学びに向かう力、人間性等」の中に、七つ目のポツに「我が国や諸外国の音楽に親しみ」というのがあります。第2次世界大戦後の教育の中で一番欠けてしまったのが、我が国の音楽、いわゆる邦楽というものを学ぶ機会だと思っています。そこで何が起きたかといいますと、今、邦楽がほとんど絶滅危惧種になってしまっているということで、三味線音楽にしても、文楽を形作る人等、義太夫にしても、そこから発生する日本舞踊についても、ほとんど内輪の人だけしかやっていないということになっています。日本の文化として本当に先細り、今後なくなってしまうかもしれないような形になっているのです。それはやはり私達が教育を受けてこなかったことが大きな原因の一つだと思うのです。ですから、長く私たちの先祖が育んできた邦楽というものを将来に伝えるためにも、学校教育できちんと学ぶ、また聞くような機会を作っていただきたいと思っています。
   そこに関連しまして、そういうことを言いますと、やはり先生たちへの負担というものがすごく掛かってくるわけですが、これは殊、邦楽だけではなくて全てに関わりますが、こういったすばらしい計画を立てても、先生たちへの負担を減らし、先生たちがゆとりを持って教えられるというような環境作りを考えていかなければいけないと思っております。
   以上です。
【無藤主査】      ありがとうございました。
   それでは、平川委員、お願いします。
【平川委員】      プログラミングの件で、私も皆様の御意見を伺っておりまして思うところがありまして、やはり使われるんじゃなくて主体的に使うというようなことをどのように学校教育の中で入れ込んでいくかということだと思っております。昨今、世界の教育状況を見ておりましても、これ以上のスペックを持ってこいと。なかったら、政府が、ガバメントが貸しますよというようなところが多くて、先日もオランダに行ってまいりまして、「日本はもっと進んでいるんでしょ」なんて言われて、ぱっと見たら、東芝とかNECとか機材がありまして、「いやいや、こんなの全くありませんよ」と言ったら、「へえ、全部これ、メイドインジャパンなのに」みたいな話をされまして、輸出ばっかりしている場合じゃないなと思っております。
   私は公立学校の校長をしておりますので、私立なんかは、これ以上のスペックを持ってこいということで、持ってこれる生徒も多いですし、全部学校が準備するのもどうなのかなと思っておりまして、ここはもう保護者が買えるんだったら買ってもいいし、なかったら貸与するというようなことで進めていかないと、切り取って何か教育をしても、多分先生がばたばたするだけで終わってしまうので、そういうようなことが是非早めに認められるようになればなと思っております。
   それと、何分、こういうプログラミングにしても、若い先生は分かっているんですけれども、結局、50代以上の、私のような校長が分かってないことが多くて、邪魔されることが多いです。議論の1に戻ってしまいますけれども、資料2-1の24ページにございますカリキュラム・マネジメントでありますとか、こういった体制をどういうふうに実現可能にしていくかというお話でいきますと、24ページ目の丸ポチの二つ目の教員改革のみならず、実は校長改革も必要なんじゃないかと思っております。ここに是非加筆していただきたいのは、前回もお話し申し上げましたけれども、「教員改革及び校長改革(校長のマネジメント力、リーダーシップ力の資質・能力を上げるための改革)」とはっきり明記していただきたいなと思っております。
   それから、ちょっと別の話になりますけれども、日本の大学が世界のランキング等で順位が下がっているということ、よくマスコミ等でも報道されておりますけれども、もちろんランキングを決める団体の評価基準も定かではありませんし、日本語という言語を考えると、そちらの問題もあるかとは思いますけれども、大学入学者選抜において、やはりグローバルな視点は当然必要で、部会等でももちろんお話しいただいているとは思いますけれども、是非ここも加筆していただきたいなと思っておりますのは、資料2-1の46ページ目の一番上の丸でございます。ここに是非、日本の大学が世界の中でガラパゴス化されないためにグローバルな視点が必要で、ボローニャ・プロセス等を十分考慮する必要があるというようなことを入れていただき、やはり世界の大学と伍して闘えるような形に私としてはなっていただきたいなと思っております。
   以上です。
【無藤主査】      ありがとうございました。今の点は、この文章及び高等教育部会でも議論されていると思うので、よろしくお願いいたします。
   ほかにはいかがでしょうか。特段、新たに今は出ないということでよろしいですか。そうであれば、3番目の議題に移りたいと思います。よろしいでしょうか。
   三つ目の議題ですけれども、審議の取りまとめに向けた構成の検討の案でございます。事務局から配布資料の御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】      失礼いたします。資料6をごらんいただければと存じます。「審議の取りまとめに向けた構成の検討案」でございます。8月におまとめいただきました論点整理を踏まえながら、ここまで御紹介いただきましたような各学校種別等部会あるいは教科等別ワーキングの議論が進捗してきているところでございます。こうしたことを論点整理の構造に反映させつつ、最終的に審議まとめとして、この夏まとめるものとしておまとめをいただきたいと存じますけれども、本日はその構成案についてごらんいただき、御意見を頂いた上で、その構成案に基づく原案を次回以降、御審議いただければと考えているところでございます。
   資料6の青で囲っております「『審議まとめ』の構成案」という部分が、事務局で作成させていただいた、たたき台でございます。一番左側に「『論点整理』の構成」ということでオレンジ囲みになってございますけれども、机上にも緑色の冊子がございますが、この論点整理の目次部分を掲載させていただいたものでございます。2030年の社会と子供たちの未来ということ、新しい学習指導要領が目指す姿ということ、学習評価の在り方ということ、指導要領の理念を実現するために必要な方策ということ、そして、各学校段階、教科等における改訂の具体的な方向性ということ、そして最後に、今後のスケジュールという構成で論点整理はおまとめいただいたところでございます。
   その後、先ほど御紹介させていただきましたとおり、真ん中の部分にございますような学習指導要領改訂の背景に関する追記的な事項、あるいは、学習指導要領が目指す姿に関しましては、総則を軸としながら、カリキュラム・マネジメントの柱を捉えていくということ。あるいは、評価の在り方、実現のために必要な方策、中教審3答申も踏まえた、文科省としての馳プランなども含めてでございますけれども、それから、各教科の議論でございます。
   これらを反映させまして、右側の青囲みのような「『審議まとめ』の構成案」とさせていただいてはどうかということでございます。冒頭部分は、「2030年の社会と子供たちの未来」ということで、ここにおいて、社会に開かれた教育課程などを位置付けることは変わりはございませんが、その中で、特に情報化の進展というようなことは、先ほどの人工知能に関する議論なども踏まえながら追記をさせていただくような必要があろうかと存じます。
   また、2ポツの「新しい学習指導要領等が目指す姿」、この柱が少し、もともとの論点整理の構成とは変えている部分でございます。もともと2ポツ、3ポツ、4ポツと、目指す姿と評価、あるいは必要な方策をそれぞれ柱立てを分けて記載してございましたけれども、カリキュラム・マネジメントの全体構造を踏まえますと、これらを全て一体として捉えながら、それぞれの要素を充実させていく必要があるということでございますので、2ポツのように、(1)から(7)という形で、評価や実現するために必要な方策も含めて、2ポツの中で柱立てをさせていただいてはどうかということでございます。
   また、その際、(1)の中で総則を軸とした可視化、あるいはカリキュラム・マネジメントを軸として学校教育の改善・充実の好循環を生み出していくことの重要性を、まず冒頭に触れてはどうかということでございます。
   また、(2)といたしましては、何ができるようになるか、資質・能力でございまして、ここにおいて生きる力の理念と資質・能力の三つの柱の関係性、あるいは、各学校段階を通じて育成すべき資質・能力の三つの柱ということ、あるいは、教科横断的に育成すべき資質・能力との関係性などを整理してはどうかということでございます。
   また、(3)につきましては、こうした資質・能力を踏まえた、何を学ぶかという視点、各教科を学ぶ意義や教科横断的な視点を踏まえた教育課程の編成について記してはどうかということでございます。
   また、(4)は、それらを踏まえてどのように学ぶかということ、アクティブ・ラーニングの視点も含めて、指導計画の作成、実施、指導の充実でございます。
   また、(5)には、子供の発達をどのように支援するかという観点から、キャリア教育でありますとか学級経営の充実、生徒指導、進路指導、特別支援、日本語能力に応じた支援の充実など、子供の発達を支援するという観点から必要な事項をまとめてはどうかということでございます。
   そして、(6)「学習評価の充実」ということ、そして、学習指導要領の理念を実現するために必要な指導体制の充実や地域・家庭との連携・協働という柱でございます。
   3ポツにつきましては、先ほどごらんいただきました各学校段階等別のまとめ、あるいは、それらの接続についての記述、それから、各教科別の見直しの内容を、ここに全ては記載できませんので、先ほどの概要版を中心に記載をさせていただき、黄色いファイルにございます本体については別添資料としてまとめさせていただいてはどうかと考えているところでございます。
   事務局として、審議まとめのたたき台を検討させていただくに当たり、構成案について本日は御議論いただければと存じます。よろしくお願いいたします。
【無藤主査】      ありがとうございました。ということで、この審議の取りまとめの全体的なものでございますけれども、その目次立ての構成の説明をいただきました。ただいまのことについての御質問、御意見があれば、また、名札をお立ていただければと思います。お願いいたします。
   じゃ、市川委員、お願いします。
【市川委員】      これは質問になるんですけれども、最近は「アクティブ・ラーニングの視点」という、「の視点」が付いていることが急に多くなったなと思っているのですが、「アクティブ・ラーニングの視点」ということの意味合いを改めて御説明いただきたいんです。「アクティブ・ラーニング」ってずばり単独で使わずに、「の視点」という言葉を多分強調されていると思いますので、その意味合いのようなことを確認させていただけますか。
【無藤主査】      よろしいですか。お願いします。
【大杉教育課程企画室長】      失礼いたします。御指摘のとおりでございますけれども、論点整理におきまして、指導方法の不断の見直しということで、特定の、何かしら型に沿ったことを型どおり実現することがアクティブ・ラーニングの趣旨ではなく、授業を不断に改善していくための視点であるという観点から論点整理をおまとめいただいたことを踏まえまして、「アクティブ・ラーニングの視点」というようなことで整理をさせていただいたところでございます。大分、視点であるということは定着しつつあるかなとも思いますけれども、そうした状況を踏まえまして、最終的にどのような表現にしていくかは、また御議論いただければと存じます。
【無藤主査】      よろしいですか。
【市川委員】      私も「アクティブ・ラーニング」という言葉が出てから、逆に、アクティブ・ラーニングというのはこういう型なんだというようなことをおっしゃる論者もいて、また、そういう本もあって、それが、ある意味、論点整理にあったこととは趣旨に反するようなことも、もしかするとあったのかなと。結局、現場ではややもすると、アクティブ・ラーニングというのはこういう型の授業なんだという、型にばかりとらわれてしまって、それをそのとおりやることが今回の改訂の趣旨なんだと思われると、これは相当違うということなので、むしろアクティブ・ラーニングの本質的な特徴である、主体的な学び、対話的な学び、深い学びという、こういうことを目指したものがアクティブ・ラーニングなんだという、これが視点なんだと。それを捉えていれば、何か特定の型にとらわれることはないのであるという、そういう意味で、この「視点」が強調されるようになったのかなと理解したのですが、それで余りずれてはいないでしょうか。
【大杉教育課程企画室長】      まさにそういった議論の流れで、視点という形になっていたかと存じます。
【市川委員】      ありがとうございます。
【無藤主査】      ありがとうございました。
   それでは、髙木委員、お願いします。
【髙木委員】      この青いもので囲われた2ポツの(5)のところ、ポツは、順番は、まずこのように考えられているかどうかで、実はちょっと気になるのが、特別支援教育の充実がキャリア教育の下。学習活動や学校生活の基盤作り、これに特別支援教育はかなり関わってくるので、この下の方が順序がいいのかなと。特に今回、通級による指導とか、高等学校においても、かなり学級指導の中で支援教育を行っていかなければいけない、重要な視点になっていくと思いますので、この順序がもし変えられる、キャリア教育、大事じゃないとは言いませんが、上とのつなぎでいくと、やっぱり学校生活の中での支援教育を考えるとなると、順序を少し御検討いただければと思います。
   以上です。
【無藤主査】      その点は検討をよろしくお願いいたします。
   ほかには。じゃ、奈須委員、お願いいたします。
【奈須委員】      お願いします。もう具体的な局面に入ってきたかなと思うんですけれど、各教科の先ほどの話の中で、教科の物の見方、考え方、それが教科を特筆付けて、その教科の単なる知識を学ぶのではなくて、その教科を足場にしつつ、教科を超え出たような思考とか判断とか表現とか問題解決を支えていくと。そこに教科の新たな学力的な意味を見出していこうということが今回あるかと思うんですけれども、いろんな教科を見ていきますと、当然、似たような言葉が出てまいります。「比較」とか「関連付け」、あるいは「時間的・空間的」というのもいろんなところに登場しますけれども、各教科の内部としては、もうそれはその教科の論理に対して自明なこととしてイメージしておられると思うんですけれども、こうやってずっと並べてみると、多分、比較……、比較なんて全ての学問でやるので、全ての教科で出ると思うんですけど、その教科の比較の仕方の特質、独自な様相はあるはずで、つまり、今後、具体的な内容の編成であるとか、各教科が子供たちにどんな力を育むかということをさらに自覚的にして、鋭角的に着実に実行していくためには、同じ比較でも、社会科の比較、理科の比較、国語の比較が何かということを各教科でより一層明確に、他教科との対比において御自覚いただいて御指導願うような内容編成なり教科の中の編成の筋道をお作りいただきたいなと思いますし、また、それを全部バインドして教育課程全体にしたときに、子供からすれば、比較というのはいろんな教科で経験したけれども、その教科によって比較の様相とかポイントは違って、子供たちは結局、社会に出た問題解決のときに、これは社会科的比較でいくべきか、理科的比較でいくべきかが分からない状況で比較を使うわけだから、そこが自在に使えるようにしてあげなきゃいけないというのが教育課程全体の話だと思うんです。
   今、教科で比較が出ているときには、その教科の内部で、その教科の対象について適合的な比較をやっていこうと教科では当然考えるんだけれども、それを教科の枠を離したときにどういう比較になっているかが見えて、分かって、子供にも自覚化されて、いろんなものでやったことが使える、汎用的というのはそういうことを言うんだと思うんですけど、そこに進むためにどんなふうにここでやるのかなということをちょっと悩んでいるんですね。関連付けとかもそうですけど。
   例えば、空間的・時間的というのは、当然、地理の領域でも出ますけど、理科の地球の領域でも出ていて、地球の領域の空間的・時間的と地理、自然地理だと近いのかもしれませんけど、やっぱり空間的・時間的はかなり様相が違っていて、むしろ二つの異なるような時間的・空間的な読み解き方の戦略を御指導いただいて、しかも、子供もそれを二つ持っているぞと自覚したときにきっと初めて使えるんです。そういうふうにしていきたいというのが今回の議論だと思います。話し合うにしたって議論するにしたって、議論にもいろんな様相があって、説得や論破のための議論と情報共有や情報伝達のための議論と新しい価値を創造するための議論と、あるいは妥協点を生み出すような議論もあるはずで、余り学校ではやっていませんけど、社会に出たら幾らもあるわけで、それが多分、それぞれの教科の対象に対して多様に行われていくんだろうと思いますけれども、それが教育課程全体で鳥瞰的に整理され、子供の中で統合されて道具化するところまで進めていくことを狙うといいなと思うんですけど、教科の方で、見方・考え方というのでそういうのが出そろって、多分これからは教科の内部論理に向かって、どんな内容を編成して、どんな方針でという話になるんだろうけれども、もう一度それを挙げて、比較といっても、かなり違いますよねと。それぞれの比較の中で、この教科では特にこういう特質で、こういう攻め方でやりますよみたいなことを相互に確認して、あるいは、全体として統合するような議論がどこかで必要で、どこから出るのかなとか悩んだりもするんですけれども、ただ、今回のまとめのところのどこかに、見方・考え方に関わるところか、資質・能力に関わるところか分からないですけれども、どこかにそういうことを書いていただければとちょっと思っています。
   それによって、実際の教科の内容編成に入ったときに、うちとしては、特にこういう要素やこういう特徴として比較ということを扱っていこう。それは自然科学だとか社会科学だからとか文学だからとかいうことはあると思うんですけれども、それは実は各教科の内容も、よりはっきりさせるというか、より特質化していくことにも結果的になると思うんですけど、どうしても各教科の先生方は自分の教科の範疇でお考えになったりは、自分の教科については余りにも自明なので、それを自覚化することがかえって難しいことはあると思うんですけど、見方・考え方が全部出そろって、同じようなものがいっぱい並んでいるところでやる必要があると思うんですけれども、どこに書くか悩んでいるんですが、どこかで御留意いただければと思います。
【無藤主査】      ありがとうございます。要するに、各教科などの見方・考え方を、その教科における様々な思考操作、問題解決の操作と具体的につないでおくということですよね。ありがとうございます。
   それでは、品川委員、お願いいたします。
【品川委員】      ありがとうございます。どの資料も非常に読み応えがありました。そのなかで、少し前のところに戻りつつ、簡単にお話をさせていただきたいと思います。まず総則の資料2-1のところです。論点整理を出したと昨年夏ごろと比べて、世の中がさらに早いスピードで変わっていることを踏まえると、この学習指導要領が形になって現場が使う時期には、この冒頭に書いてある情報化だとかグローバル化と言った言葉や概念、あるいはその下に書いていただいた人工知能のことも古くなっている可能性が高いのではないかと危惧します。もしかしたら「グローバル化」とか「AI」などという概念も日常に溶け込んで当たり前のことになっているかもしれないと考えながら読んでおりました。実際、グローバル化と言いながらイギリスはEUから脱会すると決め、それから日本人もターゲットになるテロが行われるなど、世の中の動きの予測が建てられません。ですが、冒頭の書きぶりはその文章が目指す方向性や精神が込められる意味でとても重要です。この膨大な資料を全部読んだ最初の感想は、この冒頭部分をどう書いていくかは今後正しく使われることにつながるためにも必要なのではないかと思いました。
   たとえば、先ほど、キャンベル委員がESDの話をされていたんですが、ESDのことが2ページ目ではなくて冒頭に書かれた方がいいのではないか。これは今後の書きぶりにも関わると思いますが、ESDだけではなく、いかに持続可能な社会を作っていくか、あるいはギデンズが言うような倫理的個人主義に対応した社会を生き抜ける人を育てていくのか。社会契約の形が倫理的個人主義に変わるであろうと言っていて、実際にその傾向がもう見え始めているわけですから、こういった単語を入れなくても、そういった方向性を視野にいれた形にしておくことは必要なのではないかと考えます。
   繰り返し申し上げていますけれども、知識技能、問題発見やクリティカルシンキング等も大事ですが、今後は規範意識を持ち、ルールを守って、いろんな言語や宗教、文化をもった人たちと倫理的に関わっていく、そして自由に生きていくことが大事だと冒頭で打ち出すことが必要ではないでしょうか。この数か月の社会で起きたことを踏まえながら考えたのがそういったことです。御検討いただければと思います。
   二つ目は小学校の英語教育のところです。英語教育につきましても、すごく読み応えがあり詳しく分かりやすく書いていただいております。これは私の確認でもあるんですけれども、例えば小学校の英語のところ、21ページの右側、外国語のイメージ、改訂のイメージ、音声、音節、アクセント、声の大きさなどと書いてございますが、ここの音声のところには以前もお話ししたような英語と日本語の音の構造の違いについての指導は入るのでしょうか。すべての子どもに理解できるようにするには、レターナレッジ(書記素)とレターサウンド(音素)を指導する前に、英語独特の音(オン)の意識を育てることが必要だと思われます。特にこれはLDやディスレクシアの子どもたちに関わる話ではありますが、日本語の読み書きはなんとかできても中学校に上がってから英語はどうにも苦手だとか、少しLD傾向があるというような、確定診断はないけれど限りなくグレーゾーンにいるという子どもたちも一定数いますので、そういう子どもたちへの指導にもつながります。英語という透明性の低い言語ではLDやディスレクシアが発現しやすいことを踏まえますと、小学校からの英語の教科化で今まで以上に早期から発現してくる可能性が高いといえます。そこを意識した表現にしていただきたいと思っております。欄外には、音素といくつか書かれてありますが、本文を読む限りでは、私は見つけられませんでした。私の読み漏れかもしれませんが、御検討いただければと思います。
   三つ目は、資料6についてです。6のところの、先ほど髙木先生からも御指摘のあった特別支援教育のところなんですけれども、いつも特別支援教育というのが、1本、別な柱が必ず立つんですね。特支の部会でもさんざん議論もしましたし、前の中教審の特特部会でも議論のあったことですがこれからインクルーシブ教育制度になっていくわけですし、かつ発達課題を持つ子どもたちは通常学級内にいるわけですから、通常学校における教育が特別支援教育を土台にしなければ教育的ニーズに応じた指導はできません。医学的に障害診断のある子どもたちだけが特別支援教育のターゲットではありません。全ての教科とか全ての学校種に入ってくることなので、何かそういった書き方にならないかなと。要は、障害のある子にはこうしますよとか、クラスで気になる子だけにはこうしますよではない。個々の子どもの学び方の多様性を踏まえる必要が通常学校での指導でも必要で、今の指導の発想そのものを変えるというような、それがどういう表現になればいいかが私もまだよく分からず、これはこれからの教科の中での書き方にもなっていくんでしょうけれども、学習プロセスとか発達特性を踏まえた指導が全ての場面でできるというような、特別支援教育だけの問題ではないという書き方になるといいなということを思いました。
   以上です。
【無藤主査】      ありがとうございます。具体的な御指摘、ありがとうございました。
   それでは、清水委員、お願いします。
【清水委員】      ありがとうございます。今、品川委員からあったことも含んでくるんですけれども、先ほど、取りまとめの2-1の冒頭の資料の中に、第4次産業革命であるとかAI(人工知能)であるとか、こういったものの内容が多く含まれてくるような文言が入っているわけなんですけれども、そうなってくると、実際にこれらをしっかりと、これが一体、何なのか、なぜ職業がなくなってしまうのかとか、社会構造はどうなっているのかだとかということを、どこかで学ぶ必要が出てくるのではないかなと考えます。
   そうすると、教科・科目で考えれば、例えば情報であるとか産業教育の方の、特に工業であるとか、そういったところで学ぶ必要が出てくるのならば、このまとめの内容を受けた状態で若干の変更、修正もせざるを得ないのかなということも考えるんですけれども、その辺は今後うまく、全体のまとめの冒頭に出てくるような言葉を、実際どこでどう学ぶ必要が出てくるのかということを実現できればいいかなということが悩ましいところかなと思っています。感想というか、少しどうすればよいかと悩みつつの発言です。
   以上です。
【無藤主査】      ありがとうございます。教科総合などの検討材料として、是非検討していただきたいと思います。
   それでは、天笠委員、お願いします。
【天笠主査代理】      失礼します。資料6の構成案についてなんですけれども、2の(7)なんですけれども、そこのところが、いわゆる条件整備に関わる箇所という、こういうところになるかと思うんですけれども、今回に限らずに、学習指導要領実現のためには条件整備が重要だということは常にテーマであり続けていますし、今回もそういうことだと思うんですけれども、この構成案のときの一つのスタンスというのは、この部分で条件整備のところをかなり書き込むと同時に、それぞれのところでそれを実現するに当たって必要な条件整備についても折々に触れながら、そして、それらの受け皿としての2の(7)があるという、そういう構図を取られた方がよろしいのかなと思いますし、事実、そういうスタンスで出てきているところがあると思うんですけれども、そのあたりのところをめり張りをはっきりさせていただいて、その上で改めて、実現するための条件整備のところについての項目等々を、もう一段、このあたりのところを丁寧に精査されることが必要だと思います。
   以上、1点です。
   もう1点は、きょうのワーキンググループの経過報告といいますか、それぞれを読ませていただいて、各ワーキンググループで大変精力的に話が詰められたということを、それぞれの資料、あるいは御説明から伺うことができて大変多としたいと思うんですけれども、1点、非常に気になった点があります。それは、ワーキンググループのこのまとめ等々に、他の教科との関連をどういうふうに意識されているのか。あるいは、そこのところにおいて、みずからの教科はどういう存在であり得るのかという、そういう視点の記述とか検討が十分読み切れなかったというか、もうちょっと丁寧に見れば、そういうところも資料等々で出てきて、押さえられているのかもしれませんけれども、きょうの段階ですと、そのあたりのところがちょっと不足しているなというのが印象に残りました。
   それは、この先に、既に委員の方の御指摘もあったんですけれども、それぞれの教科が、改めて学習指導要領というところに向けて、より話を具体化していくときに、改めて他の教科との関連という視点を失ったときには、従来型の姿というあたりのところと非常につながっちゃうというんでしょうか、という心配もなきにしもあらずと思っていまして、それは恐らくこの構成案の3の(2)のあたりのところにいろんな形で出てくると思っていまして、このあたりの書きぶりも、今申し上げたところの照らし合わせで、各教科等の在り方の書き方というんでしょうか、そのあたりのところについても目配せをしていただけるとよろしいかなと思います。
   以上です。
【無藤主査】      ありがとうございます。是非検討をお願いします。
   では、牧田委員。これで終わりにさせていただいてよろしいですか。じゃ、牧田委員、お願いします。
【牧田委員】      ありがとうございます。手短にしたいと思いますが、だんだん改訂、盛り込まれる内容がどんどん密になってきて、すごくすばらしいと思うんですけれども、どこに入れればいいのかというのはありますけれども、やっぱり肝心なのは教員の意識改革といいますか、教員の立ち位置の変化といいますか、それが大前提にないと何も動いていかないと。「アクティブ・ラーニング」という言葉が出たときに、私、言っていましたのは、先生がどういうぐあいに学ぶのかということを一遍考え直して、どうやって力を付けていくのかなということを、子供たちと同じ考えでやっていくと分かりやすいんじゃないかということを言っていました。
   例えば、今までですと、1人で部屋にこもって本を読んで、過去の事例を調べて指導計画を立てていくという、そういう学びじゃなくて、これから文字どおり、主体的・対話的で深い学びと。特に対話を重視するというような、教員が閉じていないという姿勢で、いろんな方と話をしながら、自分の学校独自のカリキュラムを作っていくという、今までの教員観というのを少し変えていくというようなことを、どこか、私、2の(7)かなと思っていたんですけれども、どうもそれは必要な方策ということなので、どうもそこには当てはまりそうもないので、どこかは分からないんですけれども、教員の意識転換についてどこかで触れていただければと思います。
   以上です。
【無藤主査】      ありがとうございます。大事な指摘でございます。
   それでは、時間の都合もございますので、ここまでにさせていただきたいと思います。
   なお、限られた時間の討議でございましたので、御意見、また、お気付きの点などは、後ほどペーパーで事務局にお寄せいただければと存じます。
   本日予定されていた議題はここまでとさせていただきます。これまでの議論を踏まえて、今後、「審議のまとめ」(案)につきましての検討を進めたいと存じます。事務局において、その案の作成をお願いし、8月の議論につなぎたいと考えてございます。
   それでは最後に、次回以降の日程などにつきまして事務局より御説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】      失礼いたします。2点、各ワーキングの審議の状況、補足をさせていただきます。
   他教科への目配りという御指摘が少しあったところなんですけれども、実は同じ分厚い資料を各ワーキングで、横並びといいますか、各教科のワーキングの議論の状況を随時御紹介しながら議論を進めさせていただきました。そういう中で、例えば統計の在り方ですとか情報活用能力の在り方、キャリア教育の在り方ということで、この教科でこういうようなことを議論してほしいというようなことは、随時横でつなぎながら今回議論をさせていただいて、なかなか概要には反映し切れていないんですけれども、本体はかなりその辺は踏み込んだ要素になっていることは御理解いただければと思います。とはいえ、全体を見渡した議論というのは、確かにその教科のワーキングでは限界もございまして、その意味で、全ての取りまとめが「(案)」のままになっておりますのは、まさに企画特別部会で御議論いただいた内容を、最終的には主査一任の中でまた調整をさせていただいて、先ほど清水委員からも御指摘いただきましたけれども、少しそういう調整も図らせていただく余地ということで残させていただいておりますので、是非そういった観点からも御指摘をいただければと思います。
   失礼いたしました。次回、8月1日、月曜日、13時から15時でございます。場所は、追って連絡させていただきます。次回は、「審議のまとめ」(案)について御議論いただきたいと思います。また、主査からお話ございましたように、御意見等ございましたら頂ければと思います。
   また、本日の資料、郵送を希望される場合は机上に残しておいていただけましたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【無藤主査】      ありがとうございました。それでは、本日の教育課程企画特別部会を終了させていただきます。皆様、御苦労さまでした。


――   了   ――

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