教育課程部会 教育課程企画特別部会(第20回) 議事録

1.日時

平成28年8月19日(金曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 旧庁舎6階 第二講堂
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ(案)
  2. その他

4.議事録

【無藤主査】    それでは、定刻となりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会教育課程企画特別部会の第20回を開催いたします。本日は、お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
  それでは、事務局より、配布資料についての御確認をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。資料でございますけれども、本日、議事次第のとおり、資料1から3、その他、机上に参考資料を配布させていただいております。
  机上の黄色の分厚い紙ファイル、いつものように学校段階等別・教科等別ワーキングの議論の状況、8月1日時点でまとめさせていただいております。
  また、机上のタブレット端末、いつものように関係審議会の答申でありますとか、関係資料をデータで入れております。議事次第裏面にあります目次を御覧いただければと思います。
  また、指導要領見直しに関しまして、各団体から届けられました要望の一覧も机上の紙ファイルにて配布しております。
  不足等ございましたら、お申し付けください。
  以上です。
【無藤主査】    よろしいでしょうか。
  それでは、議事に入りたいと存じます。
  初めに、本部会の審議等につきまして、初等中等教育分科会教育課程部会運営規則第3条に基づき、原則公開により議事を進めさせていただくとともに、第6条に基づき、議事録を作成し、原則公開するものとして取り扱うこととさせていただきます。よろしくお願いいたします。
  なお、本日、報道関係者より、会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可してございますので、御承知おきください。
  本日でありますけれども、「次期学習指導要領等に関するこれまでの審議のまとめ(案)」につきまして、御議論いただきたいと存じます。
  まず、事務局より関係資料の御説明を受けた後に、皆様方からの御意見を頂戴したいと存じます。その際、毎度でございますけれども、御意見のある方は、名札を立てていただくように、よろしくお願いいたします。
  では、早速、事務局より資料の説明をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    失礼いたします。本日の資料でございますけれども、まず、資料の1、ポイントでございます。
  これは、前回配布させていただいたものから変更を加えておりません。したがいまして、本日、審議のまとめを御審議いただきまして、その状況を踏まえて、このまとめのポイントについてもリバイスを図らせていただければというふうに思っております。そういう意味では、少し中身的には古いものであることを御了承いただければというふうに思います。
  本日、資料2-1以降に基づきまして、御審議を賜れればというふうに存じます。
  まず、資料2-1でございますけれども、審議のまとめ全体の目次が1枚目、それから1枚目の裏面でございます。第1部と第2部という構成になっておりまして、第1部、総論部分、それから第2部が、各学校別・教科等別の部分でございます。
  この2部以降が資料の2-2マル1、冒頭、学校段階等別から始まっておりますけれども、その後、教科が続きまして、その222ページからが2-2のマル2というふうになってございます。ここで分けておりますのは深い意味はございませんで、少し印刷上のホチキスの厚さですとか、そういうことだけで分かれておりますけれども、最終的には2-1、2-2のマル1、2-2のマル2が一つの審議のまとめという形になるということでございます。
  それから、資料2-3といたしまして、審議のまとめの別紙、資料3には、補足資料ということで、データ関係がございますけれども、少し中身に関わるようなことで、本文の中には載せ切れない部分、これを資料2-3別紙としてまとめさせていただいております。後ほど、本文の方の御説明をさせていただく際に、適宜触れさせていただきたいと思います。
  それでは、まず資料2-1から御説明をさせていただきます。資料中、まだまだ少し、文字の修正でございますとか、あるいはページ数、補足資料のページ数、あるいは少し文章の表記ぶりということは、最終段階に向けて、まだまだ修正を図っていく部分もございますけれども、本日は、そういった細かい点も含めて、あるいは大どころも含めて、お気付きの点は何なりと御指摘いただければというふうに思います。
  資料2-1、まず目次を御覧いただければと思います。
  これまで、論点整理におきましては、まず、社会に開かれた教育課程という、これからの指導要領が目指すべき理念を最初に論じていただきまして、そして、それに照らし合わせた現状、そして進むべき方向性という整理をいただいていたところでございます。
  今後、その論点整理を踏まえた審議のまとめ、あるいは答申という形で進んでいくに当たりまして、様々な、教育関係者のみならず、保護者、地域、関係者、幅広く御覧いただくということで考えていきますと、まずは今の目の前の子供たちの現状というところから議論をスタートしているということを分かりやすく、この構成上も示していく必要があるのではないかということでございます。そうしたことから、第1部、少し構成を改めさせていただきまして、まず、これまでの改訂の経緯と子供たちの現状、そして、それに照らした子供たちの未来ということ、そして、教育課程の課題ということで、1、2、3で現状と課題を整理させていただきました。その上で、これから目指すべき社会に開かれた教育課程ということ、それに基づき、どのような点を重視していくのかということを4ポツにおいて、そして、その項目別に5ポツ、6ポツ、7ポツ、8ポツ、9ポツ、10ポツというような全体構成をとらせていただいているところでございます。
  そして、裏面でございますけれども、第2部という形で、こうした総論を踏まえた、各学校段階等別、教科等別の具体的な方向性ということでございます。
  それでは、本文の方を御覧いただければというふうに存じます。
  「はじめに」の部分につきましては、少し歴史的な経緯を補足させていただいたということ、また、下から三つ目の段落に「学びの地図」ということがございますけれども、この「学びの地図」ということの趣旨を、より分かりやすく、学校の創意工夫の下、子供たちの学びを引き出すということ。そのために必要な能力や内容などの全体像を分かりやすく見渡せる「学びの地図」であるということ、こうしたことを少し補足させていただいたところでございます。
  それから、2ページ目以降が基本的な方向性でございます。前回、改訂までの経緯ということでございますけれども、10年ごとに時代の状況等の変化等を踏まえて、子供たちの状況等を踏まえて改訂を積み重ね、現在の指導要領が築かれているということ、平成10年の改訂までは、教育内容の精選・厳選と授業時数の削減が図られてきたということ。
  3ページ目でございますけれども、こうした中で、子供たちの学力ということについての、ある意味の危機感というものが生じたというような情勢も踏まえて、15年一部改正、20年改正ということが行われたということ、その中で学力の三要素、言語活動の重視等が行われるようになったということ。
  そして、4ページ目、そうした中で改善・充実を図られてきた学校教育の中で、子供たちの現状や課題の分析ということでございます。この辺りは、前回、「社会に開かれた教育課程」の後に入れさせていただいた部分と同様でございます。
  そして、6ページ目、子供たち一人一人の成長を支え可能性を伸ばすという視点も、より重要になってきているということ。多様性ということも踏まえた学校教育の充実ということが求められているということでございます。
  そして、7ページ目からが、「2030年の社会と子供たちの未来」ということでございます。ここで前回、素案では冒頭にございました、これからの時代認識、情報化の伸展、グローバル化の伸展、予測不可能、予測が難しい時代に、ますますなっていくということ。
  そして、8ページ目、このような時代だからこそ、人間ならではの感性を働かせて未来を開いていく力が求められているということ、そして、8ページ目、中ほどからは、学校教育と社会が求める力ということが共通認識を図って、協働して進めていくことができる好機にあるということ。こうした中で、開かれた教育課程の在り方ということを考えていく必要があるということでございます。
  9ページ目、中ほどからは、子供たちの学び。諸外国へのキャッチアップではなく、世界をリードする役割も日本には期待されているということ。そういう中で、世界の子供たちの学びを後押しするという視点。ESDでありますとか、オリンピックの開催なども含めて、ここに整理をさせていただいております。
  そして、10ページ目、こうした子供たちの現状、そして課題、それから子供たちが活躍する未来の在り方ということを照らして考えたときに、教育課程にどのような課題があるのかということでございます。10ページ目、学校教育を通じて育てたい姿と生きる力の理念の具体化ということでございまして、教育基本法等も踏まえつつ、子供たちの現状・課題を踏まえて、未来の在り方を見据えながら、子供たち、育てたい姿を描くとすればということで、3ポツ、二つ目の丸のポツの三つのとおりでございます。前回の御議論を踏まえまして、例えば、ポツの二つ目に、他者への思いやりを持って多様な人々と協働したりということ、こうしたことで少し見直しを図らせていただいております。
  そして、こうした姿そのものというのは、変化の激しい社会を生きるために必要な力である「生きる力」ということを、これからの社会の文脈の中で捉え直し、しっかりと発揮できるようにすることで実現できるものであるということ、生きる力の現代的な意義を踏まえて、これを具体化して、教育課程を通じて育むことが求められているということでございます。
  そして、11ページ目、「資質・能力の育成に向けた」ということでございます。前回改訂におきましても、資質・能力の育成ということは視野にはあったところでございますけれども、これをさらに深化させていくという必要があるということ。三つ目の丸でございますけれども、「生きる力」という理念を資質・能力ということで具体化して、教育課程との関連付けを付けやすくしていくということ、個々の教室における先生方の一人一人の創意工夫を凝らすということの引き出すための重要な手立てとしての役割を果たしていくことが期待されているということでございます。
  12ページ目でございますけれども、現行学習指導要領、言語活動の導入等、資質・能力の育成ということでは、一歩進められたところでございますけれども、まだまだ、内容面に関しまして、何を知っているかということに指導の目的がとどまりがちであり、それを活用しながら、何ができるようになるかまでには、これを発展させていくということには課題があるということ。これからの教育課程、何ができるようになるかということを視野に入れながら、様々な資質・能力の育成ということを考えていく必要があるということ。また、教科を超えたつながりという視点も重要になっているということ。
  13ページ目、冒頭、主権者として求められる力ということも、様々な教科のつながりということが重要になるということでございます。教科の学ぶ意義ということを明らかにしつつ、教科を超えた視点を持つということの重要性ということでございます。
  それから、もう一つの課題が、13ページ目、「社会とのつながりや、学校の特色づくり」ということでございます。コミュニティ・スクール、地域学校協働本部の推進等、進められているところでございますけれども、これを教育課程とのつながり、あるいは教育課程を軸に様々な人材や教育内容の組み合わせをどのようにしていくのかという視点がますます重要になるということでございます。
  14ページ目、冒頭にありますように、教職員、あるいは地域と一緒に学校の特色を作り上げていく、その軸となる教育課程の意義や役割を再認識する必要があるということでございます。
  そして、さらに14ページ目、「子供たち一人一人の豊かな学びを実現する」ということが、ますます重要になっていくということでございます。子供たち、学校は生活の場であり学習の場であるということ、そこでの学びということを豊かにしていくということが、資質・能力の育成、あるいは社会とのつながりを実感しながら学んでいくということにつながるということでございます。
  そして、14ページ目から15ページ目にございますように、多様な教育ニーズということにも対応していくことが必要であるということ、一人一人の学習課題、発達の課題に応えるような形で学校教育の展開が求められているということでございます。
  そして、15ページ目、「学習評価や条件整備等との一体的改善・充実の必要性」ということでございます。
  学習指導要領の在り方のみならず、その改善の方向性と一貫性を持って、学習評価の在り方、あるいは条件整備の在り方を議論していくことの必要性ということでございます。
  こうした教育課程の課題を踏まえまして、16ページ目、学習指導要領等の枠組みの改善と「社会に開かれた教育課程」ということでございます。
  「社会に開かれた教育課程」の実現ということ、3ポツに見ましたように、教育課程を通じて資質・能力の育成を目指すということ、社会との連携・協働を目指すということ、現実の社会との関わりの中での豊かな学びを実現していくということ、こうしたことを実現するためには、学校教育の核となる教育課程が社会とのつながりを大切にしていく必要があるということでございます。
  16ページ目下から17ページ目上に掛けまして、論点整理でも整理いただいた「社会に開かれた教育課程」の理念ということを整理をさせていただいております。
  そして、17ページ目、新しい学習指導要領等の枠組みということでございます。こうした「社会に開かれた教育課程」の理念の下、3ポツの課題に対応し、子供たちに未来を切り開く力を育むためには、以下4点にわたる改善・充実が必要であるということでございます。
  第1は、学習指導要領との枠組みの見直しということでございます。「生きる力」の理念を具体化し、それを教育課程とつないでいくということが必要になるということ、「学びの地図」として、様々な関係者が共有しやすいものにしていく必要があるということ、「どのように学ぶのか」「何を学ぶのか」ということを踏まえて、「何ができるようになるのか」という観点から資質・能力を整理していく必要があるということでございます。
  それから、18ページ目、子供たちの発達をどのように支援するのか、あるいは実施するために何が必要かという視点も重要になってくるということでございます。
  こうしたことを踏まえて、三つ目の丸にございます、1から6の軸に沿って改善すべき事項をまとめ、教育課程の組立ということを考えていく必要があるということでございます。
  なお、18ページ目の一番下の丸でございますけれども、学習指導要領につきましては、内容及び方法についても、必要かつ合理的な事項を示す大綱的基準として、法規の性格を有しているというものであるということ、指導要領に定められた個別具体的な内容項目を行えない場合でありますとか、逸脱した場合ということを除いて、資質・能力の育成に向けては、学校や教員の裁量に基づく多様な創意工夫が前提とされているというものであり、画一化いうようなことを目指すものではないということでございます。
  19ページ目、上にございますように、大きな方向性を共有しつつ、多様な工夫や改善の取組を活性化させようとするものでございます。
  19ページ目は第2でございます。第2は、学校における「カリキュラム・マネジメント」の確立ということでございます。
  先ほど、前のページのマル1からマル6に係る事項を、各学校が組み立てられ、家庭や地域と連携・協働しながら実施し、不断の見直しを、改善を図れるようにしていくということ、そして、「カリキュラム・マネジメント」の三つの側面ということを20ページ目の冒頭にまとめさせていただいております。
  こうした「カリキュラム・マネジメント」につきましては、全ての教職員参加の下、学校の特色作りを図っていく取組であるということ、また、20ページ目から21ページ目に掛けてございますように、資質・能力の育成に必要な様々な資源を再配分していくということが求められるということでございます。
  また、21ページ目、中ほどにございますように、実施状況を不断に把握し、見直しを図っていくことが求められるということでございます。
  そして、指導要領見直しの視点第3は、「主体的・対話的で深い学び」の実現ということでございます。学びの質ということが、子供たちが主体的に考えたり、対話の中で考えを広げたり、身に付けたことを課題の解決に生かすように学びを深めたりすることによって質が高まっていくということでございます。こうした「主体的・対話的で深い学び」が実現するような視点ということが、今回の「アクティブ・ラーニング」の視点であるということ、特定の型で満足するということではなく、それを活用しながら、一人一人の個性に応じた多様で質の高い学びを引き出すことを意図するものであるということ。また、22ページ目にございますように、「カリキュラム・マネジメント」ということの中で、「アクティブ・ラーニング」の視点に基づく授業改善ということも図られていく必要があるということでございます。
  そして、見直しの視点、最後に、指導要領の枠組みの再整理、特に総則の抜本的な改善が求められるということでございます。先ほどのマル1からマル6の軸に沿った改善ということ、これが分かりやすく示される必要があるということでございます。
  総則につきましては、教育課程に関する基本的な事項を示す要としての章でございますけれども、この役割・位置付けを抜本的に見直し、必要な事項が分かりやすく整理されているということ、そういったことを目指していくということでございます。
  以下、一つ一つの項目について、詳細させていただいた部分が5ポツ以降でございます。
  何ができるようになるかということ。まずは資質・能力についての基本的な考え方ということでございます。
  今回、資質・能力、知識に関する、あるいは学びに関する様々な学術研究の成果や教育実践、国内外の議論ということ、これを総合的に整理させていただいたところでございます。
  資質・能力につきましては、マル1のように、教科等の枠組みの中で力の育成を図るもの、マル2のように、教科を超えた学習の基盤作りということを目指すもの、マル3のように、今後の社会の在り方を踏まえて、現代的な諸課題に対応できるような力の在り方を目指すということでございます。
  それぞれ一つ一つに対応し、23ページ目、下にございますように、一人一人の子供に全人的な育成ということを目指すのが教育課程ということでございますけれども、これを議論するに当たっては、24ページ目にございますように、こうした資質・能力と教育課程の枠組みの関係性を考えていく必要があるということでございます。
  資質・能力に関しましては、これらマル1、マル2、マル3と違う観点から、知識、スキル、情意といった資質・能力を高めるために重要な要素に関する議論というところもあるところでございます。こうした資質・能力に共通する要素ということは、教科あるいは直面する課題の分野を超えて、教育課程に共通する重要な骨組みとして機能するということが期待されるものでございます。
  こうした「三つの柱」を今回の教育課程の骨組みとしながら、資質・能力の充実ということを目指していくということでございます。
  そして、資質・能力の三つの柱が24ページ目から25ページ目。25ページ目は生きて働く「知識・技能」の習得ということ、26ページ目が、未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力」ということ、そして、学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性」ということでございます。
  こうした、27ページ目にございますように、資質・能力の三つの柱に基づき教育課程の枠組みを整理し、様々な教科、あるいは教科を超えた資質・能力の育成を図りやすくしていくということでございます。また、こうしたことが学校段階において、教科を超えてつながっているということ、あるいは義務教育、初等中等教育全体を通じてつながっているということが重要になるということでございます。
  そのために、28ページ目にございますように、教科における資質・能力を明確にしつつ、学校段階で育成する力ということも明確にし、学校段階をつないでいく必要があるということでございます。
  また、29ページ目にございますように、一人一人の発達や成長をつないでいくという視点も重要であるということ。また、29ページ目、下にございますように、こうした枠組みを踏まえ、具体的にどのような資質・能力に重点を置いて育成していくかということは、各学校の学校教育目標として具体化されるということでございます。
  30ページ目は、教科を学ぶ意義の明確化、各教科等における資質・能力の三つの柱に基づく明確化ということでございます。
  特に31ページ目、各教科の特質に応じた「見方・考え方」ということが、各教科の学ぶ意義、学びの深まりということで重要になるということでございます。これにつきましては、第2部以降で各教科ごとに整理をしていただいておりますけれども、資料の2-3を御覧いただけますでしょうか。別紙でございます。
  資料2-3におきましては、こうした各教科等別の議論も踏まえながら、「社会に開かれた教育課程」の観点を踏まえて、より見方・考え方を分かりやすいものに整理していくということで、少し分かりやすさということを重視して、資料2-3の1ページ目、分量でありますとか表現ぶりということを少し整理しますと、このような全体像が考えられるということでございます。これは中学校のイメージで整理をさせていただいております。
  今後、各教科等別の具体的な指導要領改訂の議論が進んでまいりますけれども、その中では見方・考え方、こうした、どのような人が見ても分かりやすいものとして、整理を更に図っていくことが必要であるということでまとめさせていただいているところでございます。
  それでは、資料2-1の本文に戻っていただけますでしょうか。32ページ目でございます。
  こうした各教科等も踏まえながら、教科を超えた全て学習の基盤として育まれ活用される力ということでございます。言語能力、あるいは情報活用能力、クリティカル・シンキング、あるいは協働的に学んでいく力、見通しや振り返りということが、ここでは重要になってまいります。言語活動の引き続きの充実ということを図りながら、様々な教科を超えた視点ということを持っていく必要があるということでございます。
  ここでは、33ページ目、言語能力、あるいは35ページ目、情報活用能力ということを整理させていただきました。
  34ページ目の下のところで、国語教育と外国語教育、連携を図っていくことの重要性ということ、また、あるいは読書ということの重要性も整理をさせていただいております。
  情報活用能力が35ページ目から36ページ目でございます。
  少し詳細の具体的な事項は、先ほどの資料の2-3、別紙として、資質・能力の具体的な内容等を整理させていただいております。
  それから、36ページ目、現代的な諸課題に対応して求められる力ということでございまして、これに当たっては、変化の中で生きる社会的存在として、あるいは37ページ目、グローバル化する社会の中で、どのような力が求められるかという視点が重要になってまいります。
  まとめますと、38ページ目の真ん中辺りにもございますような資質・能力ということが求められるのではないかということ。
  38ページ目、下からは、ここでは例示的に健康・安全・食に関する資質・能力について整理をさせていただいておりますけれども、他についても同様に、資質・能力の三つの柱に基づく整理を行い、指導要領や解説に反映させていく必要があるということでございます。
  こうした資質・能力の在り方を踏まえ、40ページ目、何を学ぶかということでございます。教育目標や内容については、第2部に示すとおり、資質・能力の三つの柱を踏まえて再整理してございますので、こうした内容として具体化されるということ、また、小・中、中・高のつながりということが視野に入れられる必要があるということ、教科等の意義を再確認しながら、教科等を超えた視点ということを考えていく必要があるということでございます。
  また、41ページ目ございますように、教育内容と学びの質の双方の重視が必要であるということでございます。こうしたことを踏まえながら、各学校におきましては、指導要領、特に総則を手掛かりとしながら教育課程を編成していくことが求められるということでございます。
  そして、7ポツ、どのように学ぶか、「アクティブ・ラーニング」の視点ということでございます。学校での学び、教員の指導改善の工夫や教材研究の努力に支えられた、「どのように学ぶか」を追究する営みであるということ。学びの成果として、資質・能力ということを目指すためには、主体的に学ぶこと、対話的に学ぶこと、また、課題に向けて学びを深めていくということが学びの本質として重要であるということでございます。
  42ページ目、こうした主体的・対話的に深く学んでいくことによって、学習内容を人生や社会の在り方と結び付けて深く理解したり、資質・能力を身に付けたり、生涯にわたってアクティブに学び続けたりすることができるということでございます。こうした「主体的・対話的で深い学び」を実現するための視点として、諮問において提示された「アクティブ・ラーニング」を整理させていただいたということでございます。こうしたことは、創意工夫に基づく指導方法の不断の見直しと授業研究に支えられるものであるということでございます。
  43ページ目、下からは、「主体的・対話的で深い学び」の具体的な中身を整理をさせていただいております。
  44ページ目に、下の方にございますように、これらの三つの点を、子供たちの学びの中で一体として実現させていくということ、また、これは44ページ目の下から45ページ目に掛けてございますように、各教科の言語活動、あるいは課題解決的な学習、様々なこれまで充実を図られてきた学習を、更に改善・充実させるための視点であるということでございます。今までとは新たな時間を確保しなければできないということではなく、既に行われている活動を、「主体的・対話的で深い学び」の視点で改善して、質を高めていく工夫が求められているということでございます。こうした視点で、子供たちにとって意味のある学びということを実現していくという視点であるということでございます。こうしたことから、指導事例集の整理等も、学校の創意工夫を促すという形、指導が固定化されるような形で工夫していく必要があるということでございます。
  また、46ページ目、ございますように、1単位時間ごとに全てを実現するということではなく、単元のまとまりを見通した学びの実現ということ、また、深い学びにつきましては、教科等を学ぶ意義の見方・考え方ということで深まりを実現していくということでございます。
  また、47ページ目、ございますように、発達の段階や子供の学習課題に応じた学びを実現していく必要があるということでございます。
  これは8ポツにつながる議論でもございます。子供たち一人一人の発達を支える視点、そのためには、48ページ目、生活や学習の基盤となる学級経営を充実させていく必要があるということ、また、学習指導と生徒指導ということを両輪で充実させていく。
  49ページ目、キャリア教育ということを地域とも連携しながら実現していく必要があるということ。50ページ目、個に応じた指導。そして、51ページ目、特別支援教育の充実。それから52ページ目、日本語の能力に応じた支援の充実ということでございます。
  それから、何が身に付いたかという学習評価の充実も、併せて図っていく必要があるということ。評価の三つの観点、そして、54ページ目以下、評価に当たっての留意事項等をまとめさせていただいているところでございます。
  そして、56ページ目、こうした理念を実現するための様々な条件整備等を併せて行っていく必要があるということでございます。文部科学省におきましては、様々なタスクフォース等を通じまして、教育環境の整備、あるいは先生方の業務の改善・効率化ということを議論をさせていただいているところでございます。また、中教審におきましては、地域との連携・協働、教員の資質・能力の向上の答申を既にまとめていただいているところでございますので、こうしたことを一体的に図って、理念を実現するための必要な方策を打ち出していくということを10ポツからまとめさせていただいております。
  「次世代の学校・地域」の創生ということ、教員の資質・能力の向上ということ、59ページ目、指導体制の整備・充実、必要な教職員定数の拡充ということ、60ページ目、業務効率化ということ、教材や教育環境の整備・充実ということ、61ページ目、家庭・地域との連携・協働、学校評価との関係、そして、新しい教育課程が目指す理念の共有をしっかりと図っていくということでございます。ここまでが総論部分になります。
  そして、資料2-2マル1以降が各教科等別の部分でございます。前回も御紹介させていただいておりますので、簡単に学校段階のところだけを触れさせていただきます。
  資料2-2のマル1、幼児教育でございます。これまでの成果と課題を踏まえて、カリキュラム・マネジメントの充実を図るということ、64ページ目、幼児期において育みたい資質・能力と評価の在り方ということ、65ページ目にございますように、幼児期の特性を踏まえた資質・能力の三つの柱の整理を図っていただいているということ、これに基づいて、5領域の内容を踏まえつつ、その内容の見直しを図っていくということ、そして、66ページ目にございますような、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿をお示ししていくということなどでございます。
  具体的には、68ページ目にも、学びの過程についての在り方、評価の在り方、資質・能力の育成に向けた指導要領の構成の見直し、内容の見直し、そして70ページ目、預かり保育、子育て支援の充実、教材の充実、そして、72ページ目、条件整備ということでございます。
  74ページ目が小学校でございます。小学校教育、低・中・高、それぞれの課題。低学年において、その後の学力差につながるということを意識しながら指導の充実を図っていくということ、高学年において、特に専科指導の充実が求められつつあるということなどを整理していただいております。
  75ページ目から、特に言語能力の育成ということ、国語教育の充実、76ページ目、外国語教育の充実、そして、これらを相互に関連付けながら、言語能力の育成ということを図っていく必要があるということ、また、79ページ目、今後、柔軟なカリキュラム設定ということで、文科省でも調査協力者会議、立ち上げてございますけれども、具体的な各学校での時間割編成の参考となるような事項の整理ということを、しっかりと図っていきたいということでございます。
  84ページ目につきましては、外国語教育の教材開発、指導者の確保等の整理をさせていただいております。
  85ページ目が中学校でございます。今回、特にカリキュラム・マネジメントの議論をいただいたところでございます。
  中学校段階での教員の多忙な現状ということが指摘される中で、様々な部活動、持続可能な形ということも踏まえた体制の充実ということ、地域との連携、あるいは学校を超えた教育委員会単位で充実の基盤を図って作っていくということ、そして、教員が学習指導、あるいは教材研究等に集中できる環境を作っていくということの必要性などをまとめていただいているところでございます。
  89ページ目、高等学校。今回、高大接続という中で、高等学校教育の充実ということがますます期待されているということ。90ページ目にございますように、「共通性の確保」と「多様性への対応」、学び直しの充実、学習評価の充実等が求められているということ。そして、今回、94ページ目以降ございますように、各教科の構成が変わってまいりますので、こうしたことについて整理をいただいたところでございます。
  各教科の単位数等につきましては、資料2-3にございます。41ページ目、一番最後のページでございますけれども、ここに単位数を整理をさせていただいているところでございます。
  そして、高等学校の後ろに、99ページ目でございますけれども、先ほどの資料2-2のマル1、99ページ目、特別支援学校、現状と課題を踏まえた具体的な改善事項の整理をしていただいております。
  それから、106ページ目からが学校段階間の接続ということで、それぞれの接続の節目ごとに必要な点を整理をさせていただいております。幼小連携のスタートカリキュラム、小・中の接続、中・高の接続、そして108ページ目には、幼小、中・高と特別支援学校との連続性、そして高大接続、職業との接続ということでございます。
  そして、110ページ目以降が、国語以下、各教科の見直しになってございますけれども、ここにつきましては、字句等の修正を図らせていただいておりますけれども、基本的には、前回、御紹介させていただいたものと同様の形になってございます。
  大変長くなりまして恐縮ですけれども、以上、本日、資料2-1、2-2に基づきまして、細かい点、あるいは大どころ併せて、全体的なお気付きの点を御指摘いただければ有り難く存じます。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  それでは、ただいまの事務局からの御説明を受けまして、意見交換等、お願いいたしたいと思いますので、いつものように名札をお立ていただければと思います。よろしくお願いいたします。どなたからでも、よろしくお願いいたします。
  松川委員、お願いします。
【松川委員】    失礼いたします。
  学習指導要領改訂の基本的な方向性の理念部分というのが大変丁寧に書かれているということで、よく読ませていただきましたけれども、回を重ねるごとに分かりやすくなってきているなと思います。
  1点、御指摘申し上げたいのは、10ポツの「実施するために何が必要か」という条件整備のところでございますけれども、特に気になりますのは、きょう頂いた資料ですと60ページのところですが、教材や教育環境の整備・充実という項目があって、そこの1ポツ目のところに、「教科書を含めて必要な教材や情報機器についても」云々ということがあるわけですが、学習指導要領の改訂と教科書の中身というのは非常に密接な関係があるわけです。それで、今回の改訂というのは、大変未来志向の理想的なことを述べられているわけですが、現実はどうかというと、特に日本の学校の指導が、教科書で教えるといいますか、教科書を教えると言われているように、一般的には極めて教科書の依存性が高いと。特に基本的に全科を1人で教える小学校においては、教科書の影響というのは極めて大きいわけです。率直に申し上げて、全ての教科について、先生方が理想的な教材研究をやるだけのゆとりがあるとは思えないわけでして、教科書が主たる教材として、実際の教室の指導には計り知れない影響力を持っていると。それにしては、今回、教科書について踏み込んで書かれていないなと。
  この60ページの1ポツ目のところは、悪くはないわけですけど、極めて一般的、さらりとして、教科書というのは学教法で教科書を使用しなければならないという使用義務があるわけでして、そのことが、結局、今回、何を教えるかだけではなくて、どう教えるかということが問題になっているわけですが、そもそも教科書を使うということ自体が、教え方をかなり規定しているところがあるというふうに考えているわけです。紙を媒体とした教科書ですね。
  今回、ちょっとデジタル教科書についても触れてないというところも、いろんなお考えがあってのことだと思うんですけれども、日本の具体的な教室が、指導が、教科書に非常に依存しているということであれば、つまり、「主体的・対話的深い学び」を具現するために、今後も教科書が主たる教材であるとするならば、教科書の内容というのは、かなり変わる必要があるということを言う必要があるのではないかと思うんです。ここの1ポツ目は、捉え方によっては、教科書の位置付けというのは、かなり薄まっているのではないかというふうにも見られるわけです。教科書1冊に依存するのではなくて、様々なリソースを使って対話的な学びをするのであれば、ほかの書物も読みながら、あるいはいろいろな方と具体的に対話をしながらということであれば、教科書1冊を持って教室に行くというような従来のスタイルとはかなり変わることが予定されているわけで、そのことについて、もう少し書き込む必要があるのではないかと思います。
  現行でも、教科書は以前と違っていて、学ぶ内容だけではなくて、どのように学ぶのかというのが示唆されているような学習活動が記載されているので、多分、新しい指導要領に基づいた教科書というのは、主体的な学び、対話的な学び、深い学びをするためには、こういうことをやるといいでしょうみたいな活動の事例が載ると思うんですけれども、また、載らなければ、先生方は、実際、教えられないわけですけれども、これも載ることの善し悪しがあるわけで、載れば、それだけやれば、これが対話的な学びでしょう、深い学びでしょうというふうになるおそれがあると。そういう意味で、今回の学習指導要領の理念を具現するためには、従来の教科書依存ということについて、どう考えるのかと。私は理想的にいえば、教科書は主たる教材であるには違いないと。日本の教科書は大変良くできていますので、そのことは認めますけれども、教科書以外にも、様々なものを使う。
  例えば、大変物理的な制限があるので、中学校の教科書なども、あのボリュームでしか今後もないとすれば、質とか量とかを、もう少し何とかしなければならないというふうに言われているのであれば、例えば、具体例を言うと、どの学校も、どれか1社の教科書を採択するわけですけれども、その社の過去のバージョンのテキストは使えるとか、先生であれば、他の検定教科書のテキストも活用できるとか、そういうことがないと、教科書依存の体質というのは、私は変えるのは非常に難しいのではないかというふうに思います。
  余りここで教科書を使うということが、今回の「主体的・対話的深い学び」というものと、どう絡まっていくのかということについて、できれば新たな教科書の使い方とか、新たな教科書の在り方というのを、もう少し書き込んでいただくといいのではないかなというふうに思います。
  併せて、ICTについても、その後に触れてあって、環境整備が必要だということがあって、強く求められるとかということが言われているんですが、実際には、現状でも、特に高校学校でのICT環境というのは非常にお粗末なものであるわけです。そういうことからすると、やはりデジタルデバイスというのが非常に子供たちの学力格差を生むということは言われていて、昨晩も、あるテレビを見ていましたら、子供の貧困に関わることをやっていて、やっぱりおうちにパソコンがない家庭というのはいっぱいあるわけで、ところが学校でパソコンを使うんだけれども、そのキーボードがうちにはないと。そのために、パソコンはないんだけれども、親がキーボードだけをどこかから調達してきて、なれさせているとかいうような話もあったように、このことは2030年を目指してということであれば、かなり重要な問題であって、もっと強く書き込んでもいいのではないかなというふうに思いました。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  後者のデジタル化、あるいはICT化は、ここに明確にどこまで書けるか、是非御検討の上、積極的にお願いしたいと思います。
  最初の部分の主たる教材としての教科書の在り方というのは、当然、教科における学ぶべき内容が系列的に配置されるものですけれど、同時に「主体的・対話的で深い学び」を、いわば実現していくための支援のツールになるべきものでもあるし、今、松川委員、御指摘のように、他の教材等との組み合わせの中で教科書教材も生きるということも明らかですので、積極的に位置付けをお願いしたいというふうに思います。
  それでは、渡瀬委員、お願いします。
【渡瀬委員】    よろしくお願いします。
  教科横断的に育てるべき資質・能力を、幼稚園、初等中等教育を通して育成するという方向性が非常に明確になっていて、すばらしいと思います。
  それから、それを実現するための、幼稚園、小学校、中学校、高等学校のそれぞれの接続についても、かなり明確に書かれているのが、とてもよいと思います。
  1点、質問と意見です。25ページ、ここに知識の捉え方について書かれていますけれども、「個別の事実的な知識のみを指すものではなく、社会の中で生きて働く知識を含むものである」という2行の説明がございます。これに関して、注の40で、生きて働く力が「概念的な知識」であるとの説明が加えられていますけれども、今まではもっと「概念的な知識」という言葉が前面に出てきていたような記憶がございます。それが注におりてしまったので、私としては、イメージが随分違った感じを受けています。これは何か特別な理由があるのかというのが質問で、特にそういうことでないのであれば、やはり「概念的な知識」という文言が本文にあった方が、知識の捉え方として分かりやすいと思います。
  以上です。
【無藤主査】    では、御質問のところをお答えいただきたいと思いますけれども、多分、分かりやすくという趣旨があるんだと思うんですけど、そのことで筋が通らないと、また困りますので、事務局の方から。
【大杉教育課程企画室長】    また、本日の議論を踏まえて調整をさせていただければと思いますけれども、主査御指摘のとおり、どのような方に読んでいただいても御理解いただけるようなという意味では、余り学術的に見える言葉でありますとか、理念的に見える言葉を、その内容をしっかり解説して、文章の中に整理していくということが必要ではないかという趣旨でございます。
  一方で、その説明した上で使っていくということも、御指摘のとおり大事かなと思いますので、少し、きょうの御意見を踏まえながら、再修正、最終調整をさせていただければというふうに思います。
【無藤主査】    はい。お願いいたします。
  では、髙木委員、お願いします。
【髙木委員】    何が身に付いたかという53ページのところの評価のところに関しては、教育課程や学習指導方法と結び付けてというのを、これまで以上に指導と評価の一体化がかなり明確になってきているということは、私は大変、今回のこのまとめがいい方向で進められているというふうに思っています。
  さらに、要望というか、これから実施に当たっては、どうしても、ここに書いてあることだけではなくて、指導への対応ということの、より具体性が求められて、先生方が、どのように具体的に評価をやるか。この審議のまとめだけではなくて、評価に関する指導資料等も含めながら、丁寧に説明していく必要があるというふうに考えています。
  そのことと併せまして、先ほど松川委員の言われたことと重なっていくところが随分あるんですが、60ページの教材の部分ですね。指導するのに教科書でということを、先ほど松川委員も言われましたが、例えば、高等学校の場合には、かなり教科書の選択自体が、各学校、更には教員に任されている部分があって、今回の審議のまとめの方向性に沿う転換をしていただければいいんですが、実は、今週も17日に、ある政令指定都市の高等学校の先生方対象に幾ばくかのお話をしましたけども、やはり最後に出てくる質問は、大学入試が変わらなければ授業は変えられないと。1時間半話して、やっぱりそこへ戻っちゃうのかなという非常に残念な思いがしているわけですが、そういった意識そのものを変えていくということに関しては、かなり教科書の内容自体を、今回の学習指導要領、さらには各教科で盛り込まれている内容をきちんと具体化していくというところが大変重要になってくるだろう。これまでのことを継承しないような形で、学習指導要領の理念が生かされた教科書を教科書会社にも是非作っていただきたいんですが、どうしても教科書会社は売れるということを考えると、先生方の実態に、言い方は悪いですが、おもねた教科書が作られかねないというので、もう一回、ここでも何回もその話はしておりますが、そこへきちんと、ある意味でバリアが張れるようなことができないかというふうに考えております。それが第1点目です。
  もう一点目は、これはさきに申し上げましたけれども、読書活動の充実ということが、やはり教材の中では重要ですので、是非、読書活動ということに関して、ICTのみではなくて、そういったことを盛り込む必要があるのではないかというふうに考えております。
  さらに、61ページには、これは天笠先生もお話しになっておりましたけど、学校評価とカリキュラム・マネジメントを一体化するということ。ここに、上から四つ目の丸に書かれておりますが、できましたら、もう少しこれが具体化していって、制度的に、どういうふうにカリキュラム・マネジメントと学校評価が結び付くかというところまで進むと、今回の学習指導要領の理念が、より一層、学校教育の中で具体化できるというふうに思っております。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  評価、教科書、読書活動、また学校評価とカリキュラム・マネジメントの関連、それぞれ今後のポイントとして、書けるところを書いていきたいと思います。
  それでは、天笠委員、お願いします。
【天笠主査代理】    失礼いたします。三つ大きく申し上げさせていただきたいと思います。
  それで、まず一つは、用語の詰めというんでしょうか、この後、また恐らく、今後とも更に精査されると思うんですけれども、それぞれの用語を、そういう意図、あるいは相互のその関係で、この言葉を使っているんだというような辺りのところは、今後、説明できるようにしておくことが必要であるということは改めて確認をさせていただきたいと思うんですけれども。
  例えば、今回の場合に、「学びの地図」というふうな、そういう新しい言葉がここで提起されているわけですけれども、受け止める立場からすれば、何でこの言葉が私どもから提起されるのかという、そのことについて、ある意味、受け止める立場からすれば、何かまた新しい一つの造語が出てくるのかなと。それじゃなくても、言葉の洪水の中に、また一つなのかなという、そういう受け止め方があるということも事実でありまして、そういう状況で、改めて何ゆえに「学びの地図」ということを、これで提起しようとしているのかどうなのか。そういう点からすると、ちょっとその辺りのところの、ある意味でいうと出し方と言うべきなんでしょうか、あるいは説明の仕方と言うべきなんでしょうか、当然、意図と狙いがあって、この言葉を出されるわけでありますけれども、それについては、ちょっとその辺りのところの提起の仕方、説明の仕方がやや足りないと言うべきなのか、あるいは、もう少し、幾つかのところで書かれていますので、それを位置付けてしっかりということで。
  私としては、それの場合も、広く社会の方々に対して、今回のこれを聞いていただくというか、受け止めていただくという、そういう側面と、片や、正に学校の先生方、カリキュラムを正に編成されて実施されるという、そういういわゆる専門家の方々との受け止めというのは、おのずからニュアンスが違ってくるとか、多様性を持つわけですけれども、その辺りのところを踏まえた上で、何ゆえに「学びの地図」ということを提起して、これで理解を深めていただくかどうかという、その辺りのところについては、もう少し丁寧さが必要なように思います。
  それから、24ページのところに、「教育課程の構造化」という、こういう言葉があるわけなんですけれども、今回の場合、「教育課程の構造化」というのは、ある意味では大変重要なキーワードであるわけなんですけれども、このことが、それぞれの現場の先生方にどれほど理解していただけるかどうかということも、また大切なところかと思うんですけれども。
  しばらく、その先に見ると、「教育課程全体の枠組み」という、こういう言葉もまた出てくるわけですけれども、「教育課程の構造化」とか「教育課程の全体の枠組み」とか、この辺りの言葉の精査というんでしょうか、それが、これからまた是非詰めていただきたい点であります。
  もう一つ、それに関連して申し上げますと、「柔軟なカリキュラムの設定」ということと、それから教育課程云々というふうなことで、教育課程とカリキュラムというふうな、こういう言葉が、この文書の中には二つあるわけですけれども、この辺りのところについても、また、その言葉の使いよう、使用については、こだわりを持って、それを捉えている方々もいらっしゃるわけでありまして、そういう方々への、ある意味でいうとメッセージというんでしょうか、あるいはというふうなことも、この辺り、これから丁寧に押さえられると、必要性があるんじゃないかというふうに思います。それがまず一つ目であります。
  続いて二つ目は、やはり先ほど来から指摘した、教科書ということにこだわらずに、私は56ページから62ページに掛けて書かれている、理念を実現するために必要な方策ということで、私の位置付け方からすると、今回の学習指導要領を実現するための、いわゆる条件整備に関わる記述というのが、この56ページから62ページに掛けて記されているという、そういう捉え方を、位置付けだというふうに捉えるわけですけれども、そうしたときに、大変平板に。確かにこういう条件を整えていく必要があるんだというのは確かだと思いますし、今後、こういうことについて必要性というのはあるかと思うんですけれども、もう少し、ここら辺のところが、書きぶりと言うべきなのか、この学習指導要領を実現するために、こういう、言うならば、人、物、金、情報、時間を、正にこの前の方に書いたんですけれども、学校の資源の再配分なんていうことを、14ページ辺りのところで述べているわけなんですけれども、正にそういう点からすれば、人、物、金、時間、情報、その他の経営資源、資源をどういうふうに配分していくのかどうなのかというような、そういう文脈に沿って、ここのところに書かれていることを、もう一度整理、位置付け直していただくとか、そういう記述が必要のように思えるんですけども、そこら辺のところもまた御検討いただけると、というふうに思います。
  それから、最後になりますけど、3点目ですけれども、もう一つ、学校間の接続に関わってのそれなんですけれども、そのところの、とりわけ小学校教育と中学校教育の接続ということで、ここに書かれていることについては、特に異存はないというんでしょうか、ということ。その上で、この辺りのところは、もう少し深掘りをしてもいいところなのかなと思います。御承知のとおり、接続ということもさることながら、むしろ義務教育学校という、こういうことが制度化されているという状態からすれば、9年間のカリキュラムがどういう意義を持つのかとか、そういうカリキュラムということを編成するに当たって、どういう配慮、視点というのが必要なのかどうなのか。むしろ接続の条件についての記述はあるんですけれども、この部分は教育課程を検討しているところからするならば、9年間のカリキュラムという小学校と中学校のそれについてということで、スタートカリキュラムのことについては相応の言及があるわけなんですけれども、小・中のことになると、ずっと教育課程については後ろに引き下がったような記述の仕方になっているんですけれども、その辺りのところの学校を超えたカリキュラム、学校種を超えたカリキュラムの在り方、とりわけ9年間のカリキュラムというのは、どういう意味と意義と、その編成のためには、どういう留意が必要なのか辺りのところについては、もう少し私は踏み込んで書かれてもよろしいんじゃないかなと思います。
  以上です。
【無藤主査】    大きく三つほど頂きました。
  最初に用語のことは、おっしゃるように、それぞれの用語の意味は、意味というか意義ははっきりあると思いますけれども、特に新しいものについて、分かりにくさが、まだあるかもしれません。例えば、「学びの地図」というのは比較的新しいのですけれど、多分、学習指導要領、その他を、正に社会に開かれるために、教職員と保護者や社会全体で共有化する、あるいは場合によっては子供自身もそれを見られるようにする。また、学習指導要領等ということで、年間指導計画や教科で教えるべき事柄等々についても、「学びの地図」で考え広げられると思いますけれど、その辺りの見通し等をはっきりさせることかと思います。
  2番目に御指摘の条件整備のところは、なるほど、言われてみると、そのとおりでありまして、正に教育課程を作っていく中で必要な資源の在り方の中で、それぞれについて、きちんと整備するという方針をはっきりさせることだと思います。
  最後に、小・中、正に義務教育は義務教育学校というものもできたことも含めながら、9年間という枠、非常に意味がありますので、その辺りのことについても、もう少し言及をということで、御検討いただければと思います。
  それでは、キャンベル委員、よろしいでしょうか。
【キャンベル委員】    ありがとうございます。
  回を経るごとに、枠組みでありますとか、課題でありますとかが大変明瞭になってきまして、文章もかなり練れてきましたといいますか、すーっと読んで、意味が入るようになって良かったと思います。
  今回の改訂版の中で、特にテーマとして目玉になるところが、かなり浮き上がって見えるようにはなっていると思います。私が拝見するところでは、子供の資質・能力を向上させることによって、「生きる力」というもの、それが具体化させていくことということの課題と、もう一つは、教科横断的な学び、その視点ということをカリキュラム・マネジメントの中でいかに実現できるかということと、そして、何度も審議、議論してきました、この資質・能力の三つの柱、特に二つ目、三つ目の問いを自ら発見する、あるいは表現力であるということと、それから学びに向かう力、そういったことは、今回の新学習指導要領のかなり目立ったといいますか、横断的な一つの全体をテーマとして注目されると思います。
  そこでですけれども、今回のまとめを読ませていただいて感じたことは、それぞれの箇所で、「生きる力」であるとか、教科横断的な学びであるとか、この三つの柱について、それぞれのところで明確に書かれていますけれども、連結といいましょうか、例えば、その三つの柱のところで、それが「生きる力」、多様な社会の中で他者と渡り合っていくことであるとか、異なるバックグラウンドや思想や思考を持っている人たちと、例えば、表現をするということが、どういうふうに結び付くのかというようなことを、もう一つ、互いに書き込んでいくといいますか、一層、幾つかの絞ったテーマを浮き上がらせるように、もう一歩、めり張りを付ける余地はあるんじゃないかなというふうに感じました。
  これはちょっと話は変わりますけれども、言語能力の育成というところ、これは33ページですが、これが、この二つ、三つぐらいの大きなテーマに関わる、かなり重点的な領域だったと思いますけれども、35ページ、これは全体が言語能力の育成ということですけれども、35ページを見ますと、情報活用能力の向上について詳しく書かれていまして、ICT、あるいはSNSを注意深く理解をした上で使うことによって、他者と協働しながら新しい価値を創造するという可能性が書かれています。一方では、34ページから下の方ですけど、読書について書かれていますけれども、これは非常にフラットといいましょうか、受動的といいましょうか、読書ということを、ここまで前後にアクティブ・ラーニングも強調されている中で、未知の知識を獲得をしたり、考え方に出会うとかというのは、私が拝見するところ、受動的といいますか、全体としては、続く情報技術に比べても、余りアクティブではないということを感じましたので、そこを是非、改善をする方途を考えていただきたいと思います。他者の状況や情緒に共感をする、あるいは関わるきっかけを作ることが読書、もうちょっとアクティブなものとして読書を捉えて、重要性を、ここで特に、この1か所で少し盛り込んでいただけると有り難いなというふうに思いました。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。特に最後のアクティブな読み方、関わり方としての読書についての書き込みを、是非お願いしたいと思います。
  それでは、小川委員、お願いします。
【小川委員】    ありがとうございます。
  私は大きく言って2点です。
  まず、目次のところで、事務局の最初の説明の方にもございましたけれども、今回、教育関係者以外の方にも使いやすくするという形でプロット、章立てを変えましたというようなお話がありました。私も8月1日に頂いたものと比較しながら見ていたんですけれども、本当に自然な思考の流れに、自然な流れに沿った章立てがされていて、より分かりやすくなっているなというふうに思いました。
  また、それから何ができるようになるか、何を学ぶか、どのように学ぶか、何が身に付いたかという、その学びの主体である子供の側に立った言葉が強調されている目次になっているというところが、今回の改訂が大切にしているものが、ここに表現されているんじゃないかなと思って、大変うれしく思いました。
  その中で、前回、細かなことなんですけれども、8月1日に頂いた目次の中にはなかった言葉として、4ポツの(4)のところに、「アクティブ・ラーニングの視点」という言葉が入ってきているのですけれども、ほかの章の書きぶりは、みんなこういった、すぱっとした言い方してあるんですけれども、ここだけ括弧で「アクティブ・ラーニングの視点」というようなことが入れてありますけど、ちょっと何か書きぶりとして気になるなということと、前回入ってなかったんだけれども、こういったふうにして入れていったといったところに何か意図があるのかなということが1点です。
  それから、もう一つ、17ページのところから、これも書きぶりのことについてなんですけれども、今回、とてもいいまとめがされているんですが、すごく情報量が膨大なために、忙しい教員が読んだ中でも、さっと理解できるということが大事かなというふうに思っています。
  その中で、なかなか私が理解しづらかったところが、17ページのところの(2)ということで、枠組みということで大事なものが書かれているんですけれども、そこに一つ目の丸の3行目のところから、「以下の4点にわたる改善・充実」という形があって、4点というのがどうなのかなと思って、この(2)の中に四つあるのかというような、そういう読み取り方をしてしまったんですが、実はそうではなくて、恐らく第2というのは(3)のところであったり、同様に第3が(4)、第5のところに最後になっているんだと思うんですが、ちょっとここが大事なところなんですけれども、しっかりと皆さんに理解していただけるような、もう少し、書きぶりをしていただけると有り難いなというふうに思いました。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  最後の2点、いずれも分かりやすくということで、よろしくお願いしたいと思います。
  それでは、こちら側に回りまして、牧田委員から、お願いしたいと思います。
【牧田委員】    ありがとうございます。
  本当に皆さんおっしゃるように、読めるまとめになっていると思います。
  幾つか思ったことがあるので言わせていただきますが、今の教員の、私が思う意識を変えないといけないなと思うことは、これはいい点でもあるんですけど、非常に日本の教員は真面目で、これをやりましょうと言われたことについて、忠実に着実に必ずやるといういい点があるのですが、なかなか、そこから抜け切ることができないということで、先ほど松川委員おっしゃったように、教科書があると、それに依存し過ぎになるという傾向がある。そういうことを少し意識転換できるといいなと思って、私も言い続けてきたんですけれども、そういう意味で、このまとめの中には、創意工夫を生かすというようなことが、創意工夫を後押しするというようなことが何回も出てきて、非常にこの趣旨が伝わってきています。
  その創意工夫の具体例として、45ページの一つ目の丸のところの最後のところで、今までの授業時間とは別に、新たな時間を確保しなければできないものではなく、現在、既に行われている、これらの活動を、「主体的・対話的で深い学び」の観点で改善して、質を高めていく工夫が求められる。
  そこで困るのが、きっと、新たな時間を確保するのではなく、アクティブ・ラーニング的な授業をしながら質を高めるということが、具体的にそんなことができるのかということが、ちょっと混乱が起きるのではないかと、困るのではないかなと思います。その一つの解決が、その次のページの一番上に、これ、新たに加えていただけたかなと思うんですけど、単元全体の中でやっていくということが書かれています。
  それに加えて、一つの単元の中で、いろいろな細かい内容をつなげて、関連付けること。そして内容の重点化。ここを重点的にやれば、細かい幾つかのことも自然と付いてくるというような単元開発、あるいは課題開発、こういうことに積極的に向かっていけばいいよというようなことが、もし示していただけると、先生方も、より具体的に分かるのかなと思いました。
  2点目ですが、48ページに、学級経営及び生徒指導のことについて、しっかり書いていただいております。これ、とっても大事なことで、今まで、それは大事だと、みんな分かっていたんですけれども、こういう場所で、学習活動と学級経営、学習指導と生徒指導の関係について明確に書かれているのが、すごく、今、本当に実践している人にとって力を得る一節だなと思います。
  そこで、できることなら、この生徒指導のところには、49ページの一つ目の上、丸に、人間関係作りと自己決定を促すと。これ、生徒指導の3機能の2点でございます。実は、もう一点ございまして、自己存在感や自己有用感を感じさせるという、その三つ合わせて生徒指導の3機能と言っておりまして、その生徒指導が、生徒指導と学習指導を分けて考えるのではなくて、例えば、こういう生徒指導をして、こういう学級ができて、できた学級こそ、こういう学習が成り立つというのではなくて、その学習指導の中で、生徒指導の3機能を生かすことによって、より深い学びになり、かつ学級も安定してくる、人間としても成長するということを、今、多くの先生方が実践していまして、成果も上がっています。したがって、ここの学級経営と、生徒指導と、もう一つ、学習指導、3点についての行き来を、もう一言書いていただけると、とても有り難いと思います。
  最後なんですが、ちょっと構成のことについて、これは学習指導要領の構成を、こう変えるんだということを非常に強く打ち出しているので、とてもいい話なんですけれども、4ポツの(2)と(5)なんですけれども、4の(2)は、学習指導要領全体の枠組みについて考えると、考え直すんだということをうたっています。(5)では、特に総則ではということもうたわれているんですけれども、一緒にしてもいいんじゃないかなと。非常に長いので、できることなら、枠組みはこうですよと。特に総則で、こういうことを強調しているんですよということになると、(2)と(5)が飛んでいるもんですから、読む側にしてみれば分かりやすいかなと思いました。
  以上です。
【無藤主査】    目次立ての具体的な提言、ありがとうございます。そこは十分検討いたします。
  それから、単元における重点化、生徒指導の在り方、きちっと盛り込むことについても、是非お願いしたいと思います。
  それでは、山口委員、お願いします。
【山口委員】    1点なんですけれども、38ページのところに、「2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機に」云々というくだりがあるんですけれども、私も今までは余り……、感じてなかったわけじゃないんですけど、これでいいかなと思っていたんですが、現在、リオデジャネイロ・オリンピックも開催されておりまして、日本選手のみならず、毎日、非常に熱戦が繰り広げられているわけなんですけれども、オリンピック・パラリンピックから何を学ぶかというところを改めて考えたときに、ここには国際、多様な国や地域の文化と理解とか、多様性の尊重とかということが書かれているんですけれども、あとはスポーツライフを実現する力と。ただ、今、実際見ていて、皆さんがどこに着目し、多くの人たちが感動しているかといったら、多分、選手たちが、何か一つを目標にして、それを達成するために、どのような過程で努力をして、そして、その成果がどういうふうに実ったかと。やはり挑戦する力だとか、あるいは努力するということですとかという、そこのところが、どちらかというとオリンピックを見て、スポーツライフというのを、自分たちが、あれを見て生涯体育とか生涯スポーツというところになかなか結び付かないんですけれども、でも、スポーツは手段として、別にスポーツじゃなくても、何かに向かってやり遂げる力とか、そういうことを体現している選手たちを見て、多分、感動したり、子供たちは夢を持ったりすると思うんですね。ですから、そういう意味では、オリンピック・パラリンピック教育といったところには、そこのところがもう少し触れられた方が、スポーツに関心があるなしにかかわらず、スポーツを通して、そこがやはり子供たちに教育として与えることができるんだというところが、ここではちょっと書きぶりとしては薄いかなと、改めて感じています。
  なかなか、4年に1度なので、私も見てないと忘れてしまって、改めて見ると、あ、オリンピックって、こういう良さがあるんだなというのを感じているので、恐らくこれが、また4年後に来たときには、更に東京で開催されるというところでは、今、子供たちが持っている、無気力とは言いませんけれども、そういったところに、やはり成果があるんだというところを、書きぶりは、ちょっとどのようにしていいか分からないんですが、一言二言添えていただけると有り難いなと思います。
【無藤主査】    はい。正におっしゃるとおりだと思いました。
  それでは、油井委員、お願いします。
【油井委員】    私の質問は、128ページから129ページのところに掛けてなんですけれども、高等学校の歴史科系の科目で、用語が膨大になっているというので、「歴史用語については、研究者、教育者との対話を通じ、『社会的事象の歴史的な見方・考え方』を踏まえて、概念等に関する知識を明確化するなどして構造化すること」と書いてあるんですね。先ほど、どなたかもおっしゃっていましたけど、この構造化ということの意味が、ちょっと良く取りにくいので、この文脈からすると、ある程度、簡素化するというようなニュアンスだと思うんですが、一方で、41ページのところには、41ページの2行目ですけれども、「今回の改訂においては、学習内容と学びの質を重視することが重要であり、学習内容の削減を行うことは適当ではない」と書いてあるので、大きな原則としては、内容の削減はしないんだと。しかし、構造化する必要があるんだという、特定の分野においては構造化する必要があるんだというような使い分けだと思うんですね、多分。ですから、この構造化ということの意味を、それぞれの文脈の中で、もうちょっと明確に、例えば、注を付けるなりして、明確化していただきたいというのが第1点です。
  これは前にも申し上げたと思うんですけど、高等学校の日本史とか世界史の教科書の用語数というのを調べた結果、1950年代は1,500程度だったんですね。ところが現行の教科書では3,800ぐらいになっていて、この間、2倍以上に膨れ上がっているわけです。これは研究成果を新しく取り入れるという善意の表れでもあるんですけど、同時に大学入試で非常に細かい用語が出題されると、それを次期改訂のときに教科書に収録していくという習慣がどうもあるようで、その結果として、どんどん膨張しているんですね。この辺に歯止めを掛けないと、アクティブ・ラーニングのような新しい教授法というのを実現することは不可能だと思うんです。
  私が聞いた範囲でも、小・中では、比較的グループ・ディスカッションとか調べ学習というのが行われているけど、高校になると、ぱたっとそれがやんでしまうということがよく言われますね。この中にも若干書いてあると思いますけど。その最大の原因は大学入試で、非常に細かい用語の暗記力を問うような出題がずっと続いているというところに原因があると思います。
  そういう意味で、大学は、この委員会の次期指導要領の改訂の検討の対象外だとは思うんですけれども、何らかの形で、高校において、「主体的・対話的深い学び」を実現するためには、大学入試改革は不可欠だというようなメッセージを、この委員会からも発していただく必要があるんじゃないかというふうに思います。
  以上、2点であります。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  高校教育、特に社会科などの構造化の、もう少し詳しい注記等、よろしくお願いいたしたいと思いますけれども、もう一つ、入試改革は別なところできちっとやって、報告も出ておりますので、それについて触れることは十分できるかと思いますので、お願いしたいと思います。
  それでは、こちら側、門川委員、よろしいでしょうか。
【門川委員】    ありがとうございます。見事にまとめていただいているなということで、お礼申し上げたいと思います。
  前回申し上げた「生きる力」、10ページですけれども、これを「生き合う力」というように言いましたけど、他者への思いやり等々も書いていただいていますし、学校評価と開かれた教育課程、それについても書き加えていただいていることをお礼申し上げたいと思っています。
  3点ほどになるんですけれども、一つは、やはり、このすばらしいまとめ、教育課程をどう実行していくか。学校現場、超多忙であります。そして、この理念を生かしていこうと思うときに、教師の負担がすごく掛かってくるということです。60ページに、そのことについても少し触れていただいているんですけど、やはりもっと、そのことの条件整備をする必要があるということで、マネジメントする担い手を配置するとか、松野新文部大臣も、教職員定数のことについては、あちこちで記者会見等で言っていますけど、そういうことも自信持って言っていく、学校現場の工夫だけでできる限界を超えていると、このように思います。そのことについて、お願いしたいな、このように思います。
  2点目ですけども、何ができるようになったかという今回の視点ですけども、これを生活の中で、どう使っていくかということが一番大事で、こんなことを聞いたことがあります。現場の熱心な先生から、百人一首を一生懸命覚えさせようと。ゲームをしたり、試験をしたり、いろんなことしたと。それなりの効果はあったけど、一番効果があったのは、低学年の子供に教えさせたと。そのときに子供たちは一生懸命学んで身に付いたと、こういうことですね。これ、学校の中だけの話であります。これを社会でどう使っていくか。学校、家庭、地域の連携。
  今、幾つかの日本中の学校で、小学校4年生ないし5年生で、給食のない日を作って、あえて弁当を作らす。280円の単価、材料で弁当を作りなさいということをしたときに初めて家庭科で教えていることが身に付いたと。親は非常に怒ったと。台所が大混乱やったと。ところが次回から、家の用事もするようになったと。こういう学んだことを、どう生かすか、このことについてあまりないと思うんです。この典型が18歳有権者になると、投票に行くかどうか、こういうことにつながるということなんで、これが、先ほど言いました生き合う力、学び合う力、学校教育課程の中で、もちろん障害のある子供への優しさ、こういうことを交流してやるとかいうことは、学校の中でだけでいいんですけれども、地域のお年寄りとの関わりをどうしていくかとか、こういうより良き地域の住民を育てる視点でやったときに、これを学校でやったときに、小・中・高等学校でやったときに、地域社会は変わっていって、日本の、今、地方創生、みんな社会貢献、地域貢献はなかなかしないと、こういうことに歯止めが掛かっていって、学校で学んだことを、学校の時代から、地域で小さな大人として実行していく、そうしたことも含めて、学校評価でなしに、学校、家庭、地域社会含めた、子供の学び・育ちの評価システムに変えていって前進していくと、こういう視点にもう一歩踏み込んでほしいな、これが2点目であります。何が身に付いたか。これは身に付いただけやなしに、それを使う機会が一番大事と。今の日本社会は子供をお客さんにしている、子供を一貫して子供扱いして、大事に大事にして、大人になったら何もできないと、こういうことにしているんじゃないかなと。それをお願いしたいなと思います。
  3点目ですけども、どんどんと日本に外国人が来られます。そして、日本も文化立国、観光立国を求められている、こういうことであります。京都市、プラハと姉妹都市なんですけれども、プラハ行ってきました。今年20周年で、プラハから来られました。小学生から狂言を学んでいる。チェコ語と日本語で狂言を現地の人がやるんです。茂山家が20年間、いろいろ支援してきているわけですけど、そして、プラハを中心に、チェコ国内外で800回の公演をしているんです。こういうことなんですね。
  また、別の外国ですけれども、9歳から。チェコでも9歳から狂言学ぶ機会があります。外国で、7歳からか、俳句を学んでいますと、盆栽が大変な人気です。もちろん、茶の湯、茶道をたくさんの方が学んでいる。ここでオリンピック・パラリンピックのときに、歴史とか伝統とか、こういうことがちょっと出ていますけど、日本人が大事にしてきた、それぞれの地域にある文化を学校教育の中に生かしていこう、今、そのことによって、地域の人が学校教育に参画していただき、また、地域の担い手としても育っていくという視点は余りないと思うんですね。
  例えばですけど、道徳も大事だ、英語も大事だ、歴史・文化も学ぶことも大事だ。しかし、小・中・高等学校で茶道を学ぶ。そうすると、思いやりの心、歴史も文化も学べる。地域の人の参画の下に茶道を学ぶこと、その学んだ茶道を中学校段階になったら英語で説明できるようにしようとか、今、ちょっと挑戦し始めているんですけどね。あれもこれもしんならんということより、何かそういう視点を決めてと、そういうことがほんまは特色ある学校作りだと。別に特色なくてもいいですね。地域に根差した学校作りができたらいいなという辺を、少し意図は読み込めるんですけども、意図的にその辺をやらなければ、文化立国も、それから観光立国も実現しないなと。本音言いまして、京都にいてても、外国人の方が日本の文化に関心を持っている。この100年、150年、世界は近代化を急いだ。近代化が実現したときには個性を失った。しかし、日本は個性がありますねということをおっしゃっていただくんですけれども、100年後、ほんまに個性あるのかなと、こういうことを思うときに、そうしたことが、もう少し書き込めたらというふうに思います。よろしくお願いします。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  条件整備の問題、また、学びを生活、社会に生かすこと、さらに地域の伝統文化をどう組み入れるか、それぞれ書き込むようにお願いしたいと思います。
  それでは、奈須委員、お願いします。
【奈須委員】    お願いします。小さいことを2点、大きなことを一つです。
  まず、小さいことの1点目ですが、5ページの一番上のポツのところに、国立情報学研究所、新井先生から御提供いただいたことだと思うんですけど、教科書の文書を中学生などが十分読み解けていないという調査結果があって、衝撃的だと思うんですけれども、ちょっとこの文章、あと何か所か出てくるんですけど、それが何かスマートフォンが普及してきたこと、そして読書をしなかったことによって、最近こうなっているというふうに読み解けてしまうんですが、多分そうではなくて、昔から読めていないんだと思います。何か、このところ、とにかく読書離れが進んで、活字離れが進んだので、教科書の文章の、しっかりとした意味理解ができていないという話なんですけれども、多分、昔も意味理解はできていなかったんだと思うんですけれども、そういう調査がなかっただけで、あるいは、今後、情報機器の活用等をやっていく上では、もっと厳密な意味理解とかが必要になってきてという話なので、もちろん、これは喫緊の課題だというのはいいんですけど、この流れだと、そういうふうに誤読されるおそれがあるので、このデータの指し示すところ、学術的な研究ですので、これが何を指し示して、何を指し示さないかということはしっかり踏まえる必要があるかなと思いました。まず、それが1点目です。
  それから、もう一つ、細かいことなんですけれど、42ページの一番下のところですが、授業研究が大事だということの位置付けをしてくださっていて、とても大事な話だと思いますが、その一番最後の文章のところですが、国際的な評価を受けていて、子供が興味や関心を抱くような身近な題材を取り上げてきた。これいいと思います。学習への主体性を引き出してきた。その次なんですけど、少人数で対話しながら多様な考え方に気付かせるための工夫や改善が続けられているというのは、もちろん、授業研究でそういう研究もありますけれども、必ずしもそれが、それほどメジャーではないと思うので、少人数でということをとりたてて出す。対話的ということを出したいんだと思いますけれども、ちょっと強いかなとは思いました。ですから、例えば、豊かな対話を足場に多様な考え方に気付かせたりするというのはしてきたでしょうし、あるいは相互に対話をしながらというようなことならいいと思うんですけど、少人数というふうに型を限定するのはどうかなという気がいたしました。
  一つ、最後に大きいことですけど、先ほど渡瀬先生から御発言のあった25ページのところです。知識ということの質をどう書いていくかということは、今回、とても大事なところですが、「個別の事実的な知識のみを指すものではなく」というところの次で、「社会の中で生きて働く知識を含むもの」だということですけれども、これはいわゆる概念的な知識ということだろうと。私も渡瀬先生と同じで、概念的な知識、あるいは概念的な理解という言葉は上に出した方がいいかなと思います。説明が難しくて、プレスからの批判等あると思うんですけれども、むしろ、こういった言葉が使われるようになるような風土を頑張って作るということが大事かなと思っています。教員の中では、多分、あっと言う間になれて使えるようになるんじゃないかと期待をしています。
  このことを考える上で、一つの概念的な知識が形成されてくるということは、一つには、ここにあるように、社会の中で生きて働くわけですけれども、もう一つ、当然ながら、その教科の本質、教科等の見方・考え方ということが理解され、それを通じて、その先、各個別の知識、事実的な知識の獲得が効率化するんですよね。多分、この三つがあるわけで、概念的理解になると、学校で勉強したことが社会の現実と結び付くと同時に、この教科の見方・考え方、その教科ならではの見方・考え方がそうなんだということに気付くということ、そして最後に、そうなることによって、その先では個別の事実習得が効率化するとか、より着実になるということがあるわけで、これが先ほどの話題になっている、時数を減らすことなく、概念的理解やアクティブ・ラーニングを同時的に達成するという一つの筋道だろうと思うんですけど、このことをどこかでやっぱり書いてほしいということと、そう考えると、ここで社会の中で生きて働くということだけを、ぐっと強く出すのでいいのかなという気がしています。
  そのことで関係付けると、この後ろに出てくる見方・考え方との関係が多分大事で、つまり、その教科ならではの見方・考え方というのが一つあって、それの下、それを発揮したときに、学びは概念的な知識、概念的な理解になって、その概念的知識、概念的理解という中に、そのイグザンプルというか、具体的な事例として、個々の事実的な知識。個々の事実的な知識が概念的な理解として、統合・整理されてくる、構造化されてくる。構造化されてくることを通して、その教科の見方・考え方が身に付く。また、その教科の見方・考え方を発揮するようなアクティブ・ラーニングにする。そういう学びにする。単元レベルですることによって、知識がばらばらの知識にならないで、概念的な知識になっていく。そうなると、また、個々の事実的な知識の定着が確実になったり、活用が効いたり、忘れなくなったり、早くなったりするという、この少しサイクリックなというか、この三つの関係だと思うんですね。見方・考え方と概念的知識と個別の事実的知識のダイナミックな関係性をどこかで記述をする必要が多分あって、ここでは見方・考え方というのが出てなくて、後ろの見方・考え方のところには、見方・考え方との深い学びという、つまり深い学びの三つとの関係は出るんですけれども、その概念的なという話が出てこない。深い学びということと概念的な理解・知識というのは、とても近いんですけど、この辺を少し、何かうまくストーリーが描けるといいなと思って拝読していました。
【無藤主査】    ありがとうございます。非常にもっともな指摘だと思いますので、何とか生かす方向で検討をお願いしたいと思います。
  それでは、荒瀬委員、お願いします。
【荒瀬委員】    ありがとうございます。
  長らく出席できませんでしたので、少しピント外れのことを申すかもしれませんが。
  44ページに、「主体的・対話的で深い学び」が整理されていて、マル1、マル2、マル3というふうに、主体的な学び、対話的な学び、深い学びの順で書かれています。論点整理のときは、この逆でしたが、一続きの言葉となって、こういう順番になったというふうに私は理解しています。
  それでいきますと、この第2部の方なんですけれども、第2部は、去年の8月の論点整理の順番のままなので、この一部の方との整合性というのは図らなくて良いのかどうかという、これはもう単純に質問です。
  それから、二つ目は、私は、今見ていただいた44ページのマル1の主体的な学びのところに少し記述がありますけれども、「自己のキャリア形成の方向性と」という表現です。特に三つの柱の3番目というのは、まさしくどう生きていくか、社会と関わって、どう生きていくか。社会というか、他者と関わって、どう生きていくかということで、これはキャリア教育という点で非常に重要なポイントではないかと思います。
  今回の改訂そのものが、キャリア教育というのを本当にしっかりと定着させていこうということで、ところどころ出てくるわけですけれども、私は、さっき目次の話もありましたけれども、是非……。例えばですね。例えば。この目次の4ポツの(3)教育課程を軸に学校教育の改善・充実の好循環を生み出すという「カリキュラム・マネジメント」の、これは「カリキュラム・マネジメント」の意味合いが書かれているわけですが、なぜこの「カリキュラム・マネジメント」をするのかという目的を考えれば、キャリア教育を進めるためにもというふうな、何か、これは単なる私の思い付きですけれども、キャリア教育という言葉が、是非、目次に出てほしいなという願いを申し上げました。
  あと、この2部の方では、特別活動の中に書かれているのですけれども、しかしながら、ちょっと何か弱い気がします。
  なぜ、あえて申すかといいますと、キャリア教育というのは、やはりまだ職業準備教育、あるいは職場体験教育というふうな現場での誤解といいますか、十分に進められていない面があります。教科とキャリア教育の関わりはどうなのかといったようなことになると、直接関わらないような感覚さえあるように思いますので、その点、御検討いただければと思います。
  三つ目は、これは言わずもがなのことなんですけれども、私、大変良くまとめられていると思いますし、これが具体化していくことを心から期待するわけです。それで、58ページに、一番下の丸のところですが、2行目。一番下の丸の2行目のところに、園長・校長のリーダーシップの発揮をはじめとする学校のマネジメント機能の強化が必要であり、例えば、教育委員会の管理職研修を見直すとか、こういったことも必要だということとか、隣の59ページの一番下には、教育委員会における指導担当部課長や指導主事等の力量の向上といったようなことが、相当これは踏み込んで書かれていて、まことに良いなと思うのですけれども、教員の養成、それから研修、そういったことと含めて、実は教員の配置の在り方というのも、実際の現場の教育活動には非常に大きな意味合いがあると思います。
  第2部の方の総合的な学習の時間のところに、324ページですけれども、ここのところに必要な条件整備というのがあって、その一つ目の丸の最後の部分ですが、各教科をつないでカリキュラムデザインができるミドルリーダー的な教員が育つことが期待されるとあります。それぞれの学校の教育目標の実現を学習指導要領に基づいてやっていくということが再三書かれているわけですね。そういたしますと、もちろん、一つの学校にずっといれば良いというふうなことを考えているわけではありませんけれども、教員の異動、とりわけリーダーシップを発揮するべき校長の異動といったようなことは、これは文部科学省が具体的に何かを関与するということではなくて、都道府県、市町村の教育委員会が関わるわけでけれども、私が、この間、お会いしてきた校長先生方は、これをもう少し続けたいんだけれども、もう3年目なので、来年は多分いませんということですね。先生方も、この校長のこの発想の下で、こうして3年間、やっとのことで体制を作ったんだけども、来年からはどうなるか分かりませんという、これも教育課程といいますか、子供たちの教育条件としての教育課程ということを考えれば、極めて重要なポイントではないかということを思います。
  この中身、すばらしければすばらしいほど、余計、それが学校現場で実現していくためには、ここには書けないのかもしれないのですけれども、そういったことについて、とりわけ文部科学省から大いに発信を続けていただきたいなということを思います。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  まだ整合性とれてない部分、確かにあるので、また整理していきたいと思います。
  また、キャリア教育というのは、キャリア教育というんでしょうかね。学校教育全体を通して、子供のキャリア、将来に向けてのキャリアを育成するという学校教育全体の目標の中に位置付けながら、つまりキャリア教育という具体的な、ある部分以上に大きなキャリア形成という目的も打ち出せるといいというふうに感じました。
  最後の点は、どこまでここで書けるか分かりませんけれども、基本的には、学校教育、その各学校における教育課程なり方針というものは、校長が替わろうと、維持・発展させるべきものだろうと思いますので、その辺りをどう踏み込むか、検討したいと思います。
  それでは、平川委員、お願いします。
【平川委員】    はい。失礼いたします。
  今回、この学習指導要領の理念。本当に心より賛同いたしますし、現場としては、是非実現していきたいと、本当に心から強く思っております。
  ただ、この条件整備のところで、人、物、金と言っても、これ以上、予算増えないの分かっておりますし、これで何とかやりたいというふうに思いますが、やはり一番、どうやったらできるのかなと、本当にずっと考えておりまして、やっぱり教科書なんですよ、問題は。申し訳ないんですが。教科書で教えるとか、教科書を教えるとかという言葉がありまして、松川委員おっしゃるように、本当に教科書の依存度が現場は高いのが現実です。教科書届いて、解説書を、まず先生たちは読みます。こんな感じなんです。ですので、教育課程の構造化の理解だとか、教科横断型というのが、この教科書によって多様性が阻まれているんじゃないかと私は現場としては思っておりまして、これは非常に難しい問題かと思います。
  教科書の発行法、昭和23年からでございます。それから無償法、昭和37年から。
  今、学生70年、戦後70年と言っている中で、この教科書の在り方というか、教科書の使い方も変わっていくべきなんじゃないかと思っております。
  具体的に、どういうふうに変わればいいかなというと、調べ学習的に使用するものとして、正直、中学校の教科書、私は中学校籍ですけれども、薄いです。あれでは調べ学習的にはなりません。ですので、じゃあ、毎回毎回、家に持って帰って、置き勉。学校に教科書を置くことを置き勉といいますが、置き勉禁止なんていうのは、もう本当、時代錯誤でございまして、必ず教室にはあるんだけれども、調べ学習的に調べるものであって、答えばかり読んでいる。そうじゃないと、答えばっかり教えて、答えの裏にある問いについては、先生方が授業中触れないというふうになってしまうんじゃないかと。つまり、一斉授業、一斉画一授業からどういうふうに脱却していくかということが、今、非常に現場としては必要かなと思っておりまして、この理念の中には、対話型ですとか、一人一人に寄り添ってとか、個別学習だとか、考えさせるとか、身近な例からとか、社会とのつながりの中にということがたくさん書いてあるんですが、結局、じゃあ、どうやるのというところでいうと、教科書が、結局これを阻んでいるがために、なかなか。じゃあ、このとおり、1ページから最後まで教えればいいんでしょうというところになってしまうと、じゃあ、先生たちが、それできないかというと、私はできると思っていまして、主体的な子供を育てるためには、やっぱり主体的な学校にならなきゃいけない。それには主体的な教職員を育てるしかなくて、57ページを読みますと、教員の資質・能力の向上ということで書いていただいておりますけど、それよりも、私、先生、教職員の役割というのを、もっと明確に、実は書いていただきたい。教えるということが今までの先生の役割でしたけど、これからは学びをサポートするという役割なんじゃないでしょうか。そこを明確に書いていただかないと、いつまでたっても知識を教える人。その知識といっても、学校の環境も昭和のままですし、なかなか、今の子供たち、画像も見せられるわけじゃないですし、なかなか、授業中ですね。ICTもなかなかままならないので、そういう点でいきますと、教えるというんじゃなくて、学びをサポートするんだというようなことを役割として、能力、資質・能力上げるなんて難しいです、はっきり言って。申し訳ないですけど、じゃあ、採用どうするのかとかいうこともありますし、それよりも、その役割を明確に書いていただきたいなという思いでおります。それによって、今回のこの理念が少しでも現実味を帯びていけばいいかなと思っております。
  最後に、ICTについてですけれども、各自治体の条件で、幾らiPadを学校に入れても、Wi-Fi禁止なんですよ。そうしたら、Wi-FiがないiPadなんて宝の持ち腐れというか、何のためにあるんだということになってしまいますよね。この辺りの、なかなかちょっと文科省の方から地方自治体の方に条例変えろということは言えないかもしれませんけど、ここが実はならないと、箱は来ました。でも、Wi-Fiつながっていませんという、そういう単なる箱だけになってしまいますので、この部分、解決していかないと、本当の意味でICT、幾らお金が付いても現実味を帯びないかなと思っております。
  以上です。
【無藤主査】    ありがとうございました。教科書の在り方、教員の指導を、学びのサポートの在り方、ICTの在り方、それぞれポイント、大事なところで、今回のまとめに書けるところを書いていただきたいと思います。
  それでは、三浦委員でよろしい……。はい。よろしいです。
【三浦委員】    じっくり読ませていただいて、本当に時代の変化というか、そういったものを非常に強く感じる内容になっているかなというふうに思うんですけれども、一つ考えたいのは、あるいはこの学習指導要領の外の話になるかもしれませんけれども、個々の学校というのは、学校教育目標というものを定めていて、多分、校長先生は始業式とか終業式とかに、学校教育目標に照らしてお話ししたりするかと思うんですけれども、学校教育目標というのは、どのようにそれぞれの学校の中で機能しているのかというのは必ずしも存じ上げているわけではないんですけれども、やっぱり、いずれにしても学校教育目標が学校の文化を規定しているというふうに私は考えているんですけれども、そういった学校教育目標と、この学習指導要領の関係といいますかね。もちろん、学校教育目標は、それぞれの学校が主体的に定めるものなのであって、学習指導要領がどうのこうのという話じゃないと思うんですけれども、ただ、一般的な学校って、やっぱり学校教育目標って、かなり何十年も伝統的に使っているところがあって、いわゆる不易、流行の不易を体現しているのかどうか、ちょっと分かりませんけれども、そういった学校の文化と、こういった新しい問題提起をしている学習指導要領が、果たしてうまくかみ合うのかという、ちょっと懸念があって、そういう意味で、この機に学校教育目標を点検するとか、あるいはこういった時代の潮流に乗った形で整備し直すという視点も必要なのではないかというふうに考えております。
  例えば、よく言われる明るく元気な子というのが、本当に今日的にそのままでいいのかという。いや、むしろもっと多様性を尊重するような子供たちを育てる方が大切なんじゃないかなとか、そういった時代の価値観の変化というものを捉えながら、現代性を加味した学校教育目標に変えていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。
  すいません。以上です。
【無藤主査】    ありがとうございます。
  学校教育目標の点検、正に「カリキュラム・マネジメント」の多分中核だと思いますので、もう少し、それが見えるようにしていただきたいと思います。
  それでは、吉田委員、お願いします。
【吉田委員】    具体的な問題ですけど、先ほど何名かの先生たちも指摘された、読書とか読み解くという、5ページには両方とも書いてあるんですが、読み解くという読解ですよね。34ページには、先ほどキャンベル委員がおっしゃった読書というのがあるんですが、これ、違いがあるのかどうなのかという。5ページを見ると、テキスト、教科書を読み解くのであって、読書はそうではないみたいに感じます。これは本当にそうなのかということ。リーディングの研究などで、特にPISAの読解なんかの定義を見ても、いわゆるインターアクティブ・リーディングという、テキストと向かい合って、そこに合う内容を取りながら、自分の意見をそこで、自分の考えをそこで表明していくというのがインターアクティブ・リーディングであって、これは授業の中できちんと指導できる部分であると思うんですね。
  ここで読書と言われている部分に関して、だから、というか、ということは、読解というのは、いわゆるアクティブ・ラーニングの正に典型的な、一つの読みの指導に相当するのかなと思うんですが、読書という言葉から私が印象を受けるのは、いわゆるプレジャー・リーディングという、特に何を読んだかって問われませんよと。ただ楽しんで読みなさいね。そこから、どっちかというと余り能動的に積極的に何かを読み取っていくということよりも、自分で楽しく、あ、こんなことがあったな。ここに、35ページの一番上にあるような形で新たな考え方に出会うとか、それを楽しむとかというような体験を積むということかなという気はするんですね。私自身はそういうふうな捉え方をしていたんで。そうすると、先ほど言いました読解というか、読み解くということと読書ということを、もう少しきちんと区別した方がいいのかなという気が私はします。
  かといって、ここにある、読み解くという、読書というのも、各学校段階において充実を図っていくと書いてあるわけで、ある程度の体系的な指導の指針のようなものが必要なんでしょうけれども、基本的に帯学習だとか、日本語の場合です。国語の場合ですと、授業以外のところでやっている部分が多いと思うんですけど、実は英語の場合は多読というのは既に授業の中で45分間やっているというのもあるんです。ですから、そうなってくると、多読という、45分の授業の中で、じゃあ、読解やっているかというと、読解はやってないんです。その45分の中で楽しく読みましょうと。どんな形でもいいから、ちょっとした感想をちょっと書いて、それで、もうそれでやったら終わりという、そういう授業もあるわけなので、その辺の言葉の使い方をもう少し明確にしていただくといいのかなと思います。
【無藤主査】    ありがとうございます。
  読書とか、読解とか、幾つかの言葉の使い方とともに、先ほどキャンベル委員、御指摘にもありました、読書活動をより豊かに、能動的な方向に、どう進めるかも、是非書き込んでいただきたいと思います。
  一通り御議論いただきましたけど、あと何かございますか。大丈夫でしょうか。ありがとうございました。おおむね時間でございますので、きょうはここまでにさせていただきたいと思います。
  なお、1人1回の発言の機会でございましたので、追加の御意見、御指摘等は、是非事務局までペーパーなどでお寄せいただければと存じます。
  それでは、きょう、皆様方に御議論していただきました内容を踏まえて、「次期学習指導要領等に関するこれまでの審議のまとめ(案)」につきまして、取りまとめに進みたいと存じます。
  ということで、実は来週でございますけれども、教育課程部会の開催が予定されてございますので、そちらの方に私の方で報告という形をとらさせていただきたいと思います。つきましては、その際の文言の調整等につきまして、主査である私の方に御一任いただくということをお願いしたいと存じますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【無藤主査】    ありがとうございました。
  ということで、この教育課程企画特別部会でございますけれども、最初がいつでしたか。2年ぐらいになるんだろうと思いますけれども、そして1年前に、論点整理という形で大きな枠組みができた上で、さらに細かい詰めを詳細にわたってしていただいて、ありがとうございました。特に、私といたしましては、前任の羽入主査が御事情でお辞めになるという形で、4月から引き受けさせていただきましたけれども、皆様方の御協力により、ここまで来ることができたことを喜んでございます。
  また、事務局として、何度も何度も直していただいたことにも感謝申し上げたいというふうに思って、御礼に代えさせていただきます。
  それでは、最後でございますけれども、事務局より事務連絡をお願いいたします。
【大杉教育課程企画室長】    先生方、御審議ありがとうございました。
  次回以降でございますけれども、本日、お手元に学習指導要領改訂のスケジュールというカラー刷りの1枚をお配りさせていただいております。現在、この審議まとめということで御議論いただきまして、主査からもございましたように、来週26日の教育課程部会で御報告、審議をいただく予定でございます。
  その後でございますけれども、審議まとめ自体は初等中等教育分科会、あるいは総会の方に御報告をさせていただきます。
  そして、その後、答申に向けた御議論ということに移ってまいります。それに向けて、関係団体とのヒアリングでございますとか、答申に向けた審議、引き続きお願いしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
  具体的な日程につきましては、追って御連絡をさせていただきたいと思います。
  郵送を希望される場合は、資料をそのまま残しておいていただけましたら、有り難く存じます。
  それでは、最後に事務局を代表いたしまして、初中局長の藤原より一言御挨拶をさせていただきたいというふうに思います。
【藤原初等中等教育局長】    本日、この部会の審議が一つの区切りを迎えたということでございますので、事務局を代表いたしまして、一言、御挨拶申し上げたいと思います。
  この企画特別部会につきましては、昨年8月の論点整理をおまとめいただいて、それに沿いまして、各学校段階別とか、あるいは教科別などのワーキンググループで専門的な検討を行っていただいた上で、この4月から審議のまとめに向けて、6回にわたって御審議をいただいたということでございます。
  これまでの学習指導要領の改訂の議論は、何を教えるべきかということが中心であったわけですが、今回は、そこから進みまして、何ができるようになるか、それからどのように学ぶか、これも加えて一体的に考えていくということで、正に子供たちの学びそのものを御議論いただいたものというふうに考えております。その成果といたしまして、本日、この審議まとめをおまとめいただいたわけでございます。
  無藤主査をはじめ、委員の先生方におかれましては、それぞれの御知見、御経験を踏まえまして、多岐にわたる課題について大変深い御意見を頂きました。誠にありがとうございます。
  今後、教育課程部会などで議論を進め、9月以降はパブリックコメント、それから関係団体ヒアリングを経まして、さらに年内の答申に向けて議論を進めていくという運びになるわけでございます。
  このまとめで言及していただいておりますとおり、子供たちの学びに向けては、教育条件の整備・充実というものが非常に不可欠でございます。文部科学省といたしましては、来年の概算要求に向けまして、まずは、その教職員定数などの指導体制充実を中心に、しっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。
  最終的には、中教審で本年中に答申を取りまとめていただいた上で、さらにその後、告示の改訂というふうになっていくわけでありますので、委員の先生方におかれましては、引き続き御指導・御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
  本日は、誠にありがとうございました。
【無藤主査】    ありがとうございました。
  それでは、これで本日の教育課程企画特別部会を終了させていただきます。皆様方、ありがとうございました。


――  了  ――

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電話番号:03-5253-4111(内線2369、4732)