参考資料1 これまでの主な御意見

平成26年9月26日
初等中等教育分科会
小中一貫教育特別部会
参考資料1

これまでの主な御意見(小中一貫教育制度化関連)

1.小中一貫教育の意義について

○今後、小中一貫教育を導入したい教育長も多いと聞く。教育課程特例校制度を用いて小中一貫教育を行っている教育長に聞くと、学力や生徒指導面で非常に効果があがっている。不登校や問題行動が減り、中学生が小学生の手を引き学校行事でお世話する場面も見られる。(総会(7月29日))
○小中一貫教育は小中の接続の円滑化に効果があるとみている。中学校の授業は講義型であり、小学校の授業と大きなギャップがあるので、小学校で学んだやり方を中学校でも一緒にやるのが重要と考えている。(初等中等教育分科会(8月6日))
○中学生は1年生では球拾い、3年生では受験があり、実質的に部活ができるのは2年生の時だけである。今の時代、子供を最も育てるのはスポーツであり、もう少し長い間部活をさせるためにも小中一貫教育が有効。(総会(7月29日))
○小・中の交流人事は非常に有効性が高いので、今後、採用の在り方も交流人事を見据えて考えることが重要である。(総会(7月29日))
○小中一貫については、これまで小・中学校を分けて教育問題を議論してきたところ、9年間を見通して学校制度・教育内容を考えようという点において重要な発想である。学校教育法の第21条も義務教育として行われる普通教育の目標を定めているのであって、しっかりと制度構築すべき。(初等中等教育分科会(8月6日))
○制度ができてしまうと制度で縛ってしまうという側面もある。教育委員会も現場も自由にやれるのが重要であり、そのような観点から御議論いただきたい。(総会(7月29日))
○核家族の普遍化や地域コミュニティの衰退により、異年齢間の関わりや大家族での関わりの中で子どもが教育を受ける機会が減少しているという社会環境において、子どもたちの異学年交流を活発化させ、より多様な先生の目の中で育つようにする、そうした中で地域の力を学校に取り入れていくという意味で、小中一貫教育は必然的に求められてきている。(特別部会第一回(8月29日))
○小中一貫教育は、小学校と中学校の一貫性のある教育を実現するための教員の取組であり、小学校と中学校の先生方がお互いの良いところを吸収し合い成長する点が重要。(特別部会第一回(8月29日))
○小学校と中学校の指導方法は違うと言われるが、それぞれの独自性もありつつ連続性もある点が十分に踏まえられておらず、小学校の取組が中学校で全く生かされていないという「中1リセット」が問題である。中学校に進学する際にリセットしたい子供もいるかもしれないが、リセットに戸惑う子供の方が多いと感じている。(特別部会第一回(8月29日))
○急激な少子化が進んでおり、単独の小学校中学校では十分な集団規模が確保できない場合は、広い範囲の子供達を集めざるを得ない。そうなると小中一貫は学習集団のまとまりを確保する上で必然的に必要となってくる。(特別部会第三回(9月16日))

2.小中一貫教育を進める上での課題について

○小中の教員の連携は施設一体型では容易であるが、施設分離型では物理的制約から難しい面がある。(特別部会第一回(8月29日))
○小学校と中学校の両方をよく分かっている人が統括校長をやるのが理想であるが、人事上の難しさから実際には小学校校長と中学校校長をそれぞれ送り込んでやってもらうことが多く、ようやく校長先生も異校種の状況が分かってきた頃にまた異動となってしまう。このような人事異動の問題や教員研修の問題も検討すべき課題である。(特別部会第一回(8月29日))
○児童生徒が転居した場合や、特に都心部で中学校段階から私立学校を受験する場合、小学校学区と中学校学区の対応関係が複雑な場合など、小中一貫教育と従来の小中学校間を生徒が移動する場合の対応が課題となる。(特別部会第一回(8月29日))
○市区町村が小中一貫に取り組んでいても、都道府県教委の人事により小中一貫教育に精通していない教員が毎年入ってくるので、小中一貫教育の理念を浸透させるのには大変な苦労があり、教職員人事権の在り方も課題である。(特別部会第一回(8月29日))
○小中連携にしても小中一貫にしても、小学校と中学校の間を滑らかに接続することに力点が置かれているが、小学校での自分を捨てて中学校で新しい人間関係でやり直していこうとする子どもたちもいることをどう考えるか。(特別部会第一回(8月29日))
○固定的な人間関係が9年間続くような心配があるというのは小中一貫教育の課題の一つとして良く聞くが、実際にどうしようもなく困ってしまったという例はほとんど聞かない。(特別部会第三回(9月16日))

3.小中一貫教育の制度設計の在り方について

○現在の学習指導要領を検討した際も、各教科の中で小中のつながりをよく検討されたが、子供の実態は地域で様々なので、指導内容の入れ替えなどをもう少し柔軟に取り組めるほうが良い。(特別部会第一回(8月29日))
○義務教育の9年間の区切りの組立て方について地域の裁量の余地のある制度化をしなければならない。(特別部会第一回(8月29日))
○中学受験をさせたいとき、転校しなければいけないときに、どこにいってもどんな状況でも義務教育をきちんと受けられるという親の安心感を大事にすべき。(特別部会第一回(8月29日))
○小中一貫教育の導入も含め、自分の地域にある学校がどういう学校になるのかは、地域の意見がきちんと反映されるべき。(特別部会第一回(8月29日))
○小中一貫教育の制度化といったときに、施設一体型、施設分離型等の全てを包含して制度化と捉えるべき。しかし、小中の教員の連携は施設一体型では容易であるが、施設分離型では物理的制約から難しい面がある。分離型の方が制約が大きいのだから、分離型にとって一番あるべき制度設計をしていくことがポイントになる。(特別部会第三回(9月16日))
○別々の小学校と中学校が一貫教育を行う際、各校長が同等の権限を有していると調整が困難となるので、学園長といったように、一人が最終の決定権限を持ち合わせるような制度を検討すべきではないか。(特別部会第三回(9月16日))
○小中一貫教育の制度化にあたっては、単に教員を兼務発令して頑張れというだけではなく、小中一貫コーディネーターのようなものを別途設けていくことが重要。(特別部会第三回(9月16日))

4.教員免許関係

○複数学校種の免許状創設については、それが子どもたちの教育の充実につながるよう、発達段階に応じた教育のプロセスをきちんと身につけられる内容で考えていただきたい。保幼小と中高の児童・生徒への対応は違うので、中学校の免許を持っていれば小学校では何でも教えられるということにはならない。(総会(7月29日))
○学制と教員養成は密接に関わっている。小中一貫と同時に中高一貫校も出てきているが、小中一貫学校に集約させるのか、多様な選択肢を残すのかなどを決めないと、教員養成の在り方に影響が出てくる。例えば、中学校の免許しかもってない人たちを小学校で教えるようにするのかなどが論点となる。(総会(7月29日))
○上級の学校の免許を持っている場合、下級の段階の学校の指導も一部可能になるが、小中一貫教育学校の制度化に当たっては、小学校の免許を有する人が中学校で何をできるようにすべきかという点も重要なポイントであり、議論すべき。(初等中等教育分科会(8月6日))
○小学校の学級担任制と中学校の教科担任制との関係など、免許制度の問題が非常に大事。教職科目においても小中の内容は分けて教えるべきと文科省も指導しているが、大学での免許取得の方法も含めて、小中一貫教育にあわせた免許制度を検討して欲しい。(初等中等教育分科会(8月6日))
○免許制度も重要であるが、各自治体における研修において、小中の教員が探求的な学びや協働的な問題解決といった21世紀型の学びを共有して考えることが重要である。制度を改革することを目的にするのではなく、改革によって教員の質が上がるような方向性を議論すべき。(初等中等教育分科会(8月6日))

5.審議の進め方、検討すべき論点等

○小中一貫教育の制度の検討に当たっては、小学校や中学校の先生方の連携など細やかな見えない部分での先生方の取組についても聞き取りが行われるとよい。(総会(7月29日))
○小中一貫教育は全ての問題を解決する特効薬というだけではなくて、小学校の学級担任制と中学校の教科担任制の違いなど、乗り越えるべき課題がある。先駆的に小中一貫教育に取り組んできたところが乗り越えてきた苦労をわかりやすい形で議論の中で示していく必要がある。(初等中等教育分科会(8月6日))
○小中連携・一貫教育の実態は、千差万別。是非小中学校の先生が現在主体的に行っている取組をどんどん紹介して審議会の議論に反映していくべき。(初等中等教育分科会(8月6日))
○コミュニティとの関わりの中で小中一貫教育に取り組んでいる事例が大半なので、小中一貫学校と地域との関わりも議論すべき。(初等中等教育分科会(8月6日))

○中一ギャップが生じる原因が何かを議論せずに小中一貫教育を行えばよいという議論になっていないか。小学校から中学校に上がるにあたって、学級担任から教科担任になったり、突然点数評価になったりしてギャップが生じているとも考えられ、中学校における担任の在り方や少人数教育の必要性なども議論すべきではないか。(初等中等教育分科会(8月6日))
○子供の発達の早期化については、身体的側面だけではなく精神的な側面も含めて議論しなくてはならないのではないか。(初等中等教育分科会(8月6日))
○これまで青年期の教育として中高一貫教育を進めてきたので、小中一貫と中高一貫の関係も議論すべき。(初等中等教育分科会(8月6日))
○審議に当たっては、教育課程・教員免許制度など、海外の教育制度との比較も含めて資料を出していただきたい。(初等中等教育分科会(8月6日))
○義務教育の提供すべき質の向上が小中一貫教育の制度化の目的であり、単なる制度いじりになってはならない。(特別部会第一回(8月29日))
○普通教育の在り方をどうするかという視点に立てば、本来は高等学校での教育の在り方まで含めて検討する必要がある。
○義務教育段階の学習指導要領を作成することが望ましいとの指摘もあり、学習指導要領などの教育課程のあり方は重要な論点である。(特別部会第一回(8月29日))
○義務教育を通じて児童生徒に保障すべき能力について議論をするのは、履修主義の方向で進めてきた我が国の義務教育のこれまでの原則の大きな変化であり、半年程度で議論できる内容ではない。今回の審議の最終的なねらいは普通教育の質の向上としつつ、現状をある程度前提として小中一貫という手段を考えていくべき。(特別部会第一回(8月29日))
○今回の諮問は義務教育を考える諮問ではなく、小中のつなぎについてどう考えるかという諮問ではないか。(特別部会第一回(8月29日))
○今後小中一貫教育の制度化が我が国の学制改革の議論にどのようにつながっていくのかという視点を持って議論すべき。(特別部会第一回(8月29日))
○小中一貫教育のメリット・デメリットを整理することよりも、小中一貫という制度の中でどれだけ多くのメリットを生み出して子どもたちに与えることができるかを積極的に議論すべき。(特別部会第一回(8月29日))
○小学校と中学校の教育の目標は既に統一されているのであって、小中連携は当然の話なので、小中一貫教育部会では小中一貫教育の制度化を扱うべき。(特別部会第一回(8月29日))
○制度設計の議論をする上では、テーマをある程度振り分け、論点毎に焦点化した議論をすべき。(特別部会第一回(8月29日))
○小中一貫教育と学校選択制との関係についても検討すべき(特別部会第一回(8月29日))
○小中一貫教育を制度化することで逆に現在の取組を縛ってしまう場合もあると考えられ、小中一貫教育の指摘されている課題も含め、小中一貫教育を制度化することの意義について議論することが必要。(特別部会第三回(9月16日))

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