教員養成部会 教員の養成・採用・研修の改善に関するワーキンググループ(第4回) 議事録

1.日時

平成26年7月24日(木曜日)

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室

3.議題

  1. これまでの議論の整理について
  2. その他

4.議事録

【髙岡主査】
 それでは、定刻になりました。御出席予定の委員の先生方、全員お集まりのようでございますので、「教員の養成・採用・研修の改善に関するワーキンググループ」の第4回を開催したいと思います。
 御多忙の中、御出席いただきまして、どうもありがとうございます。本日は委員全員に御出席いただいております。
 それでは、まず、配付資料の確認から、事務局、お願いいたします。
【柿澤教職員課課長補佐】
 それでは、本日の配付資料の確認をさせていただきます。
 まず、本日のワーキンググループ、第4回の議事次第でございます。
 その次に、こちら左上とじになっております「教員の養成・採用・研修の改善について~論点整理~(案)」、こちらの文章の方でございます。
 次に別紙が何枚か続きます。別紙1といたしまして、「教育課程の見直しの考え方」。
 次に別紙の2としまして、「評価の仕組みの導入の考え方」。
 次に別紙の3-1といたしまして、こちらは「複数校種の免許状取得パターンの考え方」。
 次に、別紙3-2「免許状取得のパターンの考え方」でございます。
 次に別紙の3-3といたしまして、「小学校において一つの教科の指導及び担任が可能な免許状のパターンの考え方」というものでございます。
 次に別紙の3-4といたしまして、こちらは「二種・専修免許状及び高度専門免許状取得パターンの考え方」。
 資料2としまして、「教員養成・採用・研修の改善に関するワーキンググループにおける主な意見」という資料でございます。
 最後に資料3としまして、今後のスケジュールということで1枚物でございます。
 資料は以上でございますけれども、落丁乱丁等ございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。
【髙岡主査】
 ありがとうございました。
 それでは、これまでの議論の整理ということで、先ほど資料説明がございました「論点整理」の素案を出させていただいております。分量的にかなりございますので、論点を少し分けて、議論をお願いしたいと思います。
 まずは「はじめに」の部分と第1章、総論部分、こちらについて、まず事務局から説明を頂いて、あとで意見交換したいと思います。よろしくお願いいたします。では、事務局、お願いします。
【小谷教員免許企画室長】
 それでは、御説明申し上げます。「教員の養成・採用・研修の改善について~論点整理~(案)」でございますが、最初に目次を御覧いただければと思います。構成でございますが、最初に「はじめに」ということで、制度改善の必要性と方向性の考え方、そして、次に第1章といたしまして、今回論点整理をいただく上で特に重視いただいた改善の視点という部分でまとめております。そして、第2章以下が具体的な改善の在り方ということで、第1節が教員養成課程の改善。この中が二つに分かれておりまして、まず第1項が教育課程の改善、そして、第2項が認定制度の改善でございます。そして、第2節で教員免許制度の改善。第3節で採用と研修の改善。この中が二つに分かれ、養成と採用の接続、採用と研修の接続という形の構成の案とさせていただいております。
 それでは、1ページ、お開きいただければと思います。「はじめに」でございます。こちらは大きく改善の必要性と方向性を二つ述べておりますけれども、まず、制度改善の必要性ということで一番上の丸、これは現在の世界、我が国の状況を書いている部分でございます。少子高齢化の進行、グローバル化の進展等、大きく環境が変容している中で、将来にわたって持続的に発展するために人材の育成が不可欠であるということ。
 そして、二つ目、「また」ということですが、こちらは特に学習、学びという部分に視点が当たっておりまして、知識基盤社会、生涯学習社会の到来によって子供たちの学びの世界に大きな変革を求めている。このような中で子供たちが自ら課題を発見し、他者と協働してその解決に取り組み、新たな価値を創造する力などを身に付けるため、主体的・協働的な学びを実現する教育改革を進める必要があるという現状でございます。
 その際ということで、高度専門職として教育改革を直接担う教員については、主体的・協働的な学びの創造を実現するにふさわしい資質能力、あるいは学校制度改革に適切に対応していくことのできる先進性・創造性が強く期待されていて、学び続ける教員像の確立が求められているのであるということで、そのような観点から養成・研修・採用の全ての段階の在り方についての抜本的改革を行う必要があるということでございます。
 次に、改善の方向性、具体的にどういう方向で改善をする必要があるかということでございますが、大学における教員養成、そして、開放制による教員養成という基本理念に立ちつつ、教員養成課程を有する大学が学び続ける教員像の具現化に向けて、自らの社会的使命を再確認し、教員養成課程の質保証を実現する必要があると。特にその際に不断の改善を継続し、そうした努力を可視化する新たな質保証の仕組みの構築が求められるという方向でございます。
 更に大学と教育委員会との相互の緊密な連携・協働ということが必要となりますが、特にその際に教職大学院の更なる活用を図ることが期待されるとしております。
 これらの考え方の上に、論点整理としまして、先ほど御覧いただいた項目立てでの整理ということになっております。
 次に第1章、改善の視点を御覧いただければと思います。枠囲みの中を主に御覧いただければと思いますけれども、あと、表題としまして、「教職生活全体を通じた職能成長を実現する環境づくり」を進めるという考え方、そのときに特に養成・採用・研修の接続、そして教職大学院等の積極的活用ということでございます。
 具体的には、1.教員を高度専門職として改めて位置付けること。2.教職生活全体を通じた職能成長の観点を重視し、学部・学科段階における養成は「教員となる際に必要な基礎的・基盤的な学修」として、教員免許状の取得に必要な最低単位数は増加させない方向での改革を行うこと。そして三つ目として、「養成段階と初任段階の接続」の重要性と関係機関等の連携・協働の意義を強調したということ。そして最後に、研修段階における教職大学院等の積極的活用を求めたことという内容になっております。
 簡単に本文の方を御説明申し上げますと、高度専門職としての教員の位置付けというのを改めて重視するということが一つ目の丸に書かれておりまして、そして二つ目の丸におきましては養成段階の考え方ということで、学部・学科段階は教員となる際に必要な基礎的・基盤的学修であるということの再確認が要るということの中で、履修の適正化を図る観点から最低単位数の在り方を考えていく。そのときに増加させることは避けるべきであるという考え方になっております。
 そして二つ目の研修段階は、こちらにつきましては、養成段階に接続しつつも、更に様々な研修プログラムが用意されることで、継続的、発展的にキャリアデザインというものが深められていく。深化・発展・拡大させていく段階なんだという考え方になっておりまして、その続きとして、それでは具体的にはということで、養成段階と教職経験1から3年程度をどのように考えるかという考え方を書かせていただいております。この部分があるということは、特に養成段階と初任段階、ここの接続を重視した形で養成と研修の在り方を考えていくことが必要であるということが丸で書かれておりまして、特に教職大学院についてはこの積極的活用を図っていくという形で、様々な関係機関が連携・協働していくことが必要であるということになっております。
 そして、最後でございますが、なお書きということで、既に出されております教員免許更新制度の改善に係る検討会議の提言、あるいは先般出されました教育再生実行会議の諸提言も勘案し、今後、総合的な観点からの検討が必要であるというものでございます。
 以上でございます。
【髙岡主査】
 ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様方、どうぞ。どこからでも結構でございます。分量的には3ページでございますけれども、何か御意見、御質問等ございましたら、どうぞ。八尾坂先生。
【八尾坂委員】
 2ページのところの見出し、教職大学院等の積極的活用。教職大学院等って以前からありましたけれども、本文には教職大学院の役割というか、書いてあるんですが、「等」って、もし外部の人が見た場合、何を意味するのかなというのがどうなのかなと思いましてね。
【髙岡主査】
 いかがですかね。
【佐藤教員養成企画室長】
 教職大学院等の「等」の意味するところは恐らくそれ以外の修士課程ということになろうかと思います。国立大学に関して申し上げますと、国立大学改革プランということで進めているわけでございますが、昨年10月に協力者会議の報告を頂きまして、その中でも段階的に教職大学院の方に移行していくというような御提言を頂いているということでございますので、代表して表すというか、そういう意味では教職大学院ということになるのかなというふうに思います。
【小谷教員免許企画室長】
 済みません。実は直接の文章としましては3ページの丸1、丸2の次になります丸でございまして、「教員の職能成長に関わる関係機関が連携・協働し、効果的な取組を促進していく」ということで、この前に教職大学院を例示して、「など」と書いてありまして、ここで今室長が御説明申し上げましたその他の大学院も含んでいるという考え方で、教職員大学院の後に「等」を付けさせていただいたという経緯がございますが、もしない方がよろしければ削除いたします。
【髙岡主査】
 どうですかね、八尾坂先生。結構、制度論的には根本的な問題ですが。無藤先生。
【無藤部会長代理】
 やっぱり「等」は残していただかないと。
【髙岡主査】
 残した方がいい。
【無藤部会長代理】
 はい。私は特に私立大学にいるので、非常に大事なところと。
【髙岡主査】
 恐らく制度論的には教職大学院の改善の話も去年10月の検討会議の議論として出て、その同じテーブルで一般大学院に一定の実践的科目を付加して改善してくださいという提言がなされている。それの進捗の状況、つまり、専修免許状そのものの必修化ではない形でやる大学はやってほしいという、そういう提言だったわけですね。だから、教職大学院は最初から専門職養成というのは明確になっていますから、制度論的にも行政との連携ということは当然なわけですけど、一般の大学院の場合はそこがなかなか難しいので、書きぶりもやや難しいと思いますが、今、無藤先生おっしゃったように、対応するよという意欲をそぐような表現はまずいだろうということもありますから、「等」を──後ろも「等」があった方がいいのかな。今、室長の説明を聞くと、「積極的に活用するなど」、こっちに「など」があるということになるわけですね。平仄(ひょうそく)をそろえるという意味では、手前も「等」を入れた方がいいかもしれないという御提言というふうに伺いました。
 では、ほかにございますか。どうぞ。
【渋谷委員】
 2ページの最初の丸なんですけれども、1行目に専門職業人とありまして、下から2行目に高度専門職として位置付けることが大事だと書いてありますね。これは前からあって、私も当たり前のように読んでいたんですが、改めて今回資料を送っていただいて、この点は非常に大事だということに気付きました。と申しますのは、私も総合大学にいるんですけれども、そうすると、ともすれば学部長会議より上のレベルのところの議論は、幾ら教員養成学部のことを高度専門職の養成だと言ってもせせら笑われるんですよ。それは、確かに制度的にもそうなんですが、医学部、医者の養成とか、きちっと6年制になっていて、工学部なんかでも上の大体修士まで行くのが普通になっている状況に比べれば、学部4年のままでぱっと22歳で先生になると。これは高度専門職と言えるんですかと、こういうふうに指摘されるわけですね。
 その意味で、ここの文章、よくできていると思うのは、既に教員は専門職業人として評価されていると。ただ、そこにとどまっていてはまずいのであって、生涯学び続ける教員として資質を磨いていって、それが高度な資質能力を有する教員になっていかなきゃいけない。それをもってして、国というか、社会としても教員は高度専門職なんだということを認知していくというか、社会的に認定していくと。そういう方向性を示しているわけなので、とても大事だなというのは改めて気付きました。
 ですから、一歩進めると、高度専門職として位置付けるということは、位置付ける保証をきちっと提示していかなきゃいけないということなので、その辺についての制度を明確化していくということもこれに付随して大事になってくると。そういうふうな位置付けを私は感じました。
【髙岡主査】
 ありがとうございました。
 この問題は、これはワーキングでも渋谷先生が最初の会議でしたかね、御指摘いただきました。高等教育進学率が3倍になっている状況でという、それでなおかつ大卒資格で済むのか。親だってみんな大卒で、下手すると免許を持っている親がいて、教員免許、私も持っていますという、そういう議論が社会で普通に出てくるような状況で、今のままでいいかという。学歴論だと言えばそうなんですが、そうではなくて、教員の場合には更にOJTといいますかね。職業生活の中で資質を向上させていく。そういうことも含めて高度な専門職としての位置付けを社会システムとして構築していくんだということが書かれているんだろうと思います。
 18年答申あたりからほぼこの路線は、理論というか、議論としてはずっとあったような気がするんですが、また改めてかと言われると10年一律のごとしという議論もあるかもしれませんけど、やっぱり書かざるを得ない中身だろうと思いますけどね。
 若月先生。お願いします。
【若月委員】
 ありがとうございます。今の渋谷先生のお考えと関連するかどうか分からないんですけれども、私も高度専門職という位置付けというのは非常に大事な指摘だと思うし、そして一方においてはそれを担保すると言ったらいいでしょうか、証明する、そういった一つの根拠のようなものというのは、当然これから必要になってくるだろうと思うんですね。
 この場所で発言した方がいいのか、次の章のところで発言させていただいた方がいいのか、ちょっと迷っていたんですけれども、ここは髙岡先生、この部会でそこまで踏み込めないんでしょうかね。例えば高度専門職なんだけれども、品川にいたときに経験していることは、今大学に入るのが推薦とか、AOで入ってきている学生がかなりいますね。はっきりいいますと、基礎的な学習というのがまるきりできていないですね。例えばG8って何だというとゲームの名前ですとか、現実にそういう教員がいるわけですから。そういう人が大学の教職課程を終わって高度専門職と言っても、今渋谷先生がおっしゃったように、なかなか認知されにくいだろう。
 やっぱりどこかで教員免許の認証制度とか、何か認証制度といったようなものが、私はこれから必要になってくるんじゃないだろうか。教職課程を履修する。それはそれでいいと思いますけれども、その後、いわゆる教員としての基礎基本が、学習、ちゃんと済んでいるよというもの、教員免許も公証しているものなんですけれども、改めて教員としての基礎基本ができていますよというような認証する新たな制度といったようなものが、私は必要かなという気がしているんですね。
 ただ、そういう具体的なところまではもちろん書けないと思うんですけれども、これから何らかの制度といったようなものが何か必要と思われるぐらいの姿勢といったらいいですかね。だから、教職専門の大学もいいし、開放制もいいし、それで私はこれから進めていくべきだとは思うんですね、日本の場合は。やはり公の教員としての何か公証制度みたいなものというのが改めて単位認定だけではなくて。そういう制度がこれから必要になってくるんじゃないんですかというものをどこかにちらっと出しておく必要というのはないんでしょうかね。そんなことを考えています。
【髙岡主査】
 今若月先生おっしゃったように、ちょっと後ろの具体策のところに関わってくることもあるかと思いますので、少し置かせていただけますでしょうか。
 それと、教員養成部会の中でも公的にそういう発言が出たかどうかは別にして、教員養成部会の委員さん方の中からも、この際国家試験の導入というようなことも、国家資格化というようなことも御意見を持っておられる方もある。それもまだ1度も本格的に検討したことではないので、今すぐどうこうということではないと思いますが、いずれにしても、医者も国家試験。薬剤師も国家試験。獣医も国家試験。6年制はみんな国家試験という考え方。1級建築士だって基本はそうですね。だから、高度専門職の資質を公証する、認証する仕組みは国の統一試験だと。あるいは特定の機関、組織が持っている、同業組合とか、そういうものが持っている試験制度というものが、育成部門を全部コントロールするというような仕組みになるということだろうと思いますけど、それがいいかどうかという議論は早晩出てくるのではないかという印象はありますね。
 ただ、今それがこのワーキングの議論としても今日初めて御意見として伺ったわけで、どの程度出せるか、あるいはこういう意見もあったという、小原部会長さんもいらっしゃいますので、お聞き届けいただいておいてということかと思います。もうちょっと次のところでも議論を進めたいと思います。
【若月委員】
 ありがとうございます。
【髙岡主査】
 どうぞ。
【岸田主査代理】
 「はじめに」の書きぶり、それから第1章の改善の視点について、基本的には、私はこういう形でいいと思っているんですけど、1点、2ページの終わりぐらいから3ページにかけて、養成段階の位置付けとして基礎基本ですとある。そして、初任段階はそれを引き継ぐ形で、実践的なものを重視したような、そういう研修を継続的、系統的にやっていくという流れになっています。この両者の関係が大事なんですよということが書いてある。その辺は非常に大事だと思っているんですね。3ページの下から二つ目の丸ですけど、このような考え方の下、養成段階と初任段階は、特に両段階の接続を重視して見直しを行っていくことが重要だと。さらに、養成・採用から初任段階を含む教職生活全般にわたる現職研修の在り方については、ここで教職大学院の部分も活用してというふうな表現になっている。
 さて、そこでなんですけど、こうした大きな枠組みとしての位置付けをした上で、第2章からはその中身について具体的に相当書き込んであるんですね。ところが、初任段階の具体的な在り方については、ほとんど後のところで書き込まれていないんですよ。つまり、枠組みとしては「はじめに」の方向性のところで接続、継続は必要なんですよと言いながら、後半の初任段階の継続された段階での記載、教職大学院との関係は書いているけれども、初任段階そのものの具体的方向性については書き込まれていないところがあるので、もう少しここは、議論との関係で、書き込むのは無理でも、バランスを考えていってもいいんじゃないかなと感じました。
 以上です。
【髙岡主査】
 ありがとうございました。大坪先生。
【大坪委員】
 全体として改善の視点のところ、第1章については異存ないんですけれども、2ページの四角囲いの部分について、ここの部分だけが独り歩きすることも懸念されるものですから、四角囲いの中の3番のかぎ括弧の中にある「養成段階と初任段階の接続」というところに、初任段階に括弧して、3ページにあるように教職経験1から3年目程度というのを入れたらどうでしょうか。というのは、初任段階というと、現在では1年目をイメージする部分があって、ここの議論ではそうではなかったから、丁寧に入れた方がいいような気がしました。
【髙岡主査】
 ありがとうございました。
 やはり総論部分ですので、放っておくと幾らでも出そうな感じがしますので、ちょっと先へ行かせていただいてよろしゅうございますでしょうか。
 はい。それでは、また戻ることにして、次の第2章、ここから、もう何人かの先生、触れていただきましたが、具体的な改善の在り方で、節、項ということで全部で8項目ぐらいあります。これも分けて御説明いただいて議論いただきたいと思いますが、まず第1項、教育課程の改善について、お願いします。
【小谷教員免許企画室長】
 それでは、4ページを御覧ください。こちら、教員養成課程の改善のうち、第1項、教育課程の改善でございます。更にこの中が学部・学科段階と大学院段階ということで二つに分かれて構成しております。四角囲みの中を御覧いただければと思います。
 本項は、それぞれ学部・学科段階と大学院段階についての教育課程の改善の方向性を整理したということで、一つ目、学部・学科段階における教育課程については、教員免許状の取得に必要な最低単位数が学位課程の修得単位数の半数に達する現状から、総単位数の増加は困難であることを前提に方策を提案したということ。
 二つ目が、新たな教育課題に対応する教育領域への対応について検討したこと。
 三つ目が、教職生活全体を通じたキャリア形成と資質向上の中に教職大学院等における学びを明確に位置付ける必要があること。また、専修免許状に種別を設けることや高度専門免許状を設けることについて提案したというのが概要になっております。
 下を御覧いただきますと、まず、全体的な考え方としまして、大学における教員養成と開放制に基づく教員養成という原則の確認をしておりまして、専ら教員養成を目的とする学位課程に限らず、あらゆる学位課程に教員養成課程を置くことができることとし、これによって教員免許状の専門性に相応する様々な学位課程から幅広く教員人材を輩出してきたということでございます。
 そのときに、今後は子供たちの主体的・協働的な学びを積極的に担い、教育改革に寄与できるという、「はじめに」のところに書いてありました今後必要な教員の育成ということを重視しつつ、教育課程を構築することが重要であるということ。
 その実現のためには教育課程の改善が要るけれども、これのみではなく、教員養成課程担当教員の資質能力の向上も極めて重要であるということでございます。
 これを前提としまして、(1)学部・学科団体ということでございます。一つ目の丸につきましては、現状を書いておりまして、幼小中高の教員免許状に関する教育課程は何度も見直しが行われてきておりますが、現行においては必要な総単位数67単位ということで、大学卒業に必要な単位数124単位の過半に達している現状でございます。
 この現況からしますと、これ以上教員免許状の取得に必要な最低単位数を67単位以上に増やすのは困難であるというのが二つ目。
 そして三つ目の丸でございますが、総合的な学習の時間の導入から10年以上が経過したこと。そういう中で、教員には教科横断的な視野や知見が求められていて、また一方で、中等教育学校制度が定着しまして、小中一貫教育など、新しい制度改革も進められようとしている中、教員には更に学校段階間の接続及び円滑な移行に対応できる指導力ということも求められてきているという昨今の状況でございます。
 そして、前回御説明申し上げましたが、TALIS調査が表しましたように、日本の教員は子供の主体的な学びを引き出すということに自信がないということで、こういったことも今後の重要課題になっていると。さらに、現下、様々な課題が求められているということで、特別支援、キャリア教育、総合的な学習、ICTの活用、道徳、小学校英語、中高における言語活動の高度化といったような課題を掲げております。
 これらを踏まえまして、学部・学科段階の教育課程は履修事項・内容について全般的な見直しを行い、精選・重点化を行いつつ、全体の中で効果的な履修が行われるよう履修の仕組みの工夫も必要であるという考え方でございます。
 そして、教員養成課程を設置する大学は各々が設定した育成すべき教員像と目標・計画に基づき、特色を出すことができるようにするということも重要であって、教育課程編成においては自由度・柔軟性の確保も必要であるということを書いております。
 そのような考え方を全部踏まえた上で、今後どうすべきかということで、別紙1において3例を提示するということでございますが、こちらにつきましては、今回のこのワーキングにおきましては、具体的な部分を御検討いただくお時間を設けさせていただくことができなかったものですから、今後更に専門的な検討を行う必要があると書かせていただいております。
 それから、なお書きとしまして、介護等体験特例法に基づく7日間の介護等体験活動についても今後考慮して、教育課程の在り方を検討していく必要があるということでございます。
 以下、教育課程の見直しにおいて考慮すべき事項について掲げておりますけれども、こちら、これまで御覧いただいたものとほぼ同様の内容となっております。
 次に(2)でございますが、大学院段階でございます。こちらにつきましては、まず昨年10月に報告書がまとめられておりまして、そこにおいては理論と実践の往還を重視した実践的科目を4から6単位位置付けること。あるいは、教職大学院においては共通5領域と呼ばれる領域設定がございますけれども、これにつきましても、コース等の特色に応じて、履修科目や単位数を設定することができるようにすることなどが既に提言されております。これも踏まえまして、教職生活全体を通じたキャリア形成と資質向上の中に教職大学院と大学院段階の学びを明確に位置付ける必要があるということで、これが先ほど第1章で御覧いただいた高度専門職業人としての養成を行っていく上での一つの要になってくる部分でございます。その際にということで、一番下の丸でございますが、今後は初任者、指導教諭、主幹教諭、管理職といった各段階で求められる資質能力を明らかにした上で、大学、それから教育委員会等が連携して、大学院段階の教育課程というものを形成していくように検討していくことが重要であるということ。
 そして、これと相まって教職大学院等で履修した者については、特にその専門性を考慮しまして、選考において特例を設ける、あるいは初任者研修を一部免除するといったこと、そして現職研修や管理職登用における教職大学院の活用を促進する必要があるということを書いております。
 「また」ということで、以上につきましての部分は大学院段階については、免許状を取る、取らずにかかわらず、大学院というものを教員の資質向上に役立てていこうということでございますが、この「また」以下は特に免許状との関連を書いておりまして、現在の専修免許状といいますのは一種の教員免許状に照らして、更に一定量の学びを深めるということ。そして、大学院を修了するということが基礎資格となっておりますけれども、これに先ほど書いておりましたような様々な専門分野に応じた専門免許状の種別を設ける、あるいはこれとは別に高度専門免許状といったものを設けていくということも考えられるので、免許制度の在り方と併せて考えていくことが必要であるということにしております。
 以上でございます。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。
 具体的な教育課程の改善の方向ということですが、ここら辺から別紙の図が関わってきますけど、別紙1ぐらいかな、とりあえずは。
【小谷教員免許企画室長】
 1でございます。こちらも少し修正をさせていただいておりますので、御覧いただければと思います。
【髙岡主査】
 では、別紙1の表も含めて御意見ございましたらお願いします。どうぞ。
【渋谷委員】
 全体の方向性は私もずっと賛成しておりますので、そのとおりなんですけど、ちょっと細かいところですけれども、別紙1の一番上の段なんですけども、教科に関する科目というところに、これまで教科専門と言われてきたものと教科教育と言われてきたものを寄せるという、ここの充実を図る、これは大変結構だと思います。ちょっと小さな懸念というか、中くらいの懸念なんですけれども、四角が随分たくさん列挙されているんですけどね。私も課程認定委員の一員なんですが、こういうものがちゃんとカリキュラムに入っているかどうか。それから、教員配置の中にこういうものの一つ一つ専門の方がいらっしゃるのかどうかということを、どうしても見るんですね。これが5年、10年たつと、成立過程を直接御存じない方がそういうのをやっていく場合、赤い四角、一つ一つ全部要るんですか、カリキュラムに入っているんですかというチェックをやっていくととても大変になっちゃって、狭い意味の教科教育の方が逆にこれを見て、焼け太りと言っちゃいけないんですけど、例えば私のところ、国語だと七人いるんですね。そうすると、教科専門の方が五人いて、それから教科教育の方が二人いらっしゃるんですけど、二人じゃ足りないだろうという話になりかねないような気もするんですね。その意味で、じゃ、どうしたらいいのかという話なんですけど、例の3のところを御覧いただくと分かるように、全体としては教科の内容及びその構成というグループと、教科の指導法及び学習評価というグループがあるわけですね。その意味で、ここに大きく二つに分けて、四角で表現されているものをグルーピングしていくと、もう少し役割分担というんでしょうかね。役割分担以上に有機的な連関というのも見えてくる。10ぐらい列挙されるとばらばらにもとられかねないので、そんな懸念をちょっと抱きました。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。
 私なんかもどちらかというと教科専門と教職という分類だとか、教科専門と教科教育という分け方をするときに、単位数で考えてみると、履修を要する内容の例というところで、赤字で出てくるのは、これまでどちらかというと教科教育の8単位の中で扱っていたような内容がどっとここへ出てきている。例えば必修で言うと20単位だった教科専門の領域は、一番上の黒字のところ、元々ありましたからというので、そこへまとまっている感じがしますので、これは明らかに誤解を生むんじゃないかと思うんですね。例えば教員養成というのは教科教育の人がやるのねと、そういう逆の誤解も生むかもしれない。だから、そこはやはり専門科学とそれを学校教育に落とし込んだときに、どういう指導法、内容、構成に基づいて学校教育の中で具体化していくのかという、そういう流れだと思いますから、専門科学の軽視論では絶対ないので、むしろ私は全体、これは目測だけの話なんですけど、現行では、全体としては教科専門がちょっと足りないのではないか。そういう議論も最初の回でございました。そういうことも含めて、ここの表現、履修を要する内容の例というのは、これが外へ出ると、なかなか説明が難しくなるなと思って見ておりましたので、そのあたりは検討すべきだろうと思います。
 それで、教科の内容という言い方も、それは中学校国語の話なのということと、国語学、国文学、漢文学という話なのというところの仕分はしっかりしておかないと、奇妙な誤解を生んではいけないだろうというふうに思います。ちょっとこの表も検討課題かなというふうに思いますが。
【大坪委員】
 同じく別紙1の表で、よく見ると、一番右の履修を要する内容の例のところの一番上の段に書かれている内容と上から4段目のところに書かれている内容に全く同じものが入っていたりすること、これはやはり、これが表にそのまま出たときによく分からないことが出るんじゃないかということ。
 それから、特に上から4段目のところの「教育課程、教科以外の指導法及び学習評価」と書かれていますけれども、教育課程や教科以外の指導法というふうになると、ここは学習評価というよりは教育評価というふうにしておいた方がいいのかな。より大きな概念になるかなという気がいたします。
【髙岡主査】
 どうぞ、岸田先生。
【岸田主査代理】
 私も基本的にはこういう形でいいかなと思っておりまして、細かいことなんですけど、6ページの教育課程の見直しにおいて考慮すべき点として幾つか黒丸で並んでいるのがありますよね。この中身を見ると、別紙1の例1、例2、例3に関わる箱の説明の部分と、それから、一番右側の履修を要する内容の中身に関することと、そこら辺が少し混在していて、まずこんなふうな形の考え方に基づいて箱をこういうふうに整理をしますよ。そしてさらに、その具体的な中身としてこういうような視点のものを織り込んでいくんですよ。こういう整理の仕方の方が、ここの考慮すべき点の書き方としては分かりやすいんじゃないかという感じがしました。
【髙岡主査】
 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
【小谷教員免許企画室長】
 済みません。主査、1点よろしいでしょうか。
【髙岡主査】
 どうぞ。
【小谷教員免許企画室長】
 今御議論いただいております履修を要する内容の例なんですが、こちらについては実は十分に御議論をいただく時間がなかったということがございまして、もし御懸念が多いということであれば、思い切って削除してしまいまして、左側のこの枠組みの部分だけにするということもあり得ますが、いかがでございますでしょうか。
【髙岡主査】
 いや、せっかくあるからというほどのことでもないんですけどね。何もなくしてしまうと、例えば教科の内容及びその構成って何のことですかとなるんですね。それから、私もちょっと気になるんだけど、教育課程、教科以外の指導法及び学習評価。つまり、教科の指導法が教科専門とくっついて上へ上がったことによって現行の教育課程及び指導法に関する科目という、中核であった教科の指導法を除くと、言い方がなかなか難しくなったんですね。そこで出てきたのが教育課程、教科以外の指導法。つまり、教育課程なんだけど、教科以外の指導法のことですよということで、こういうほぼ法律用語の表現として、何々以外という使い方ができるのかということをちょっと考えました。
 それと、これでもいいかなと思いますが、次の学習評価というと、大坪先生がさっき教育評価という表現を使われましたけど、科目にはちょっと出てきそうにないんですね。教育評価論というのを例えば2単位でも立てるというんなら明確にあるんですが、どうもそれは一番上で講義されていたり、道徳、特活、その辺も評価法も入るだろうという想定だと思うんですが、ちょっとまだ例1、例2、例3というのは十分成熟していないということだろうと思うんですよね。
 恐らく今室長のお話は、一方でそう言いながら、例1、例2、例3というふうに単位のくくりを変えたものになりますから、そっちも動いていますよね。そっちも動いている、中身も動くということで、両方動いているので、1枚の表にするのは非常に苦労されたと思うんですよ。そのあたりをもうちょっとうまい表現でできないかということを考えた方がいいかもしれないですね。
 例1はほぼ現状に合致させて、先ほどの教科の指導法と内容構成、新設部分とするか、教育課程を基礎理論に回すと。これが一番分かりやすい、ちょっと変えますよということで。3番目になると、大分大きな変更ですよね。実習がなくなるんですよ。上へ上がっていくんですね。だから、このぶれ幅がありますから、その中で履修を要する内容の例というのを考えられた事務局、大変だったと思うんですよ。だから、こう出てくるとずれるな、違うなという意識になるので、このあたりもまた改めて、あんまり時間はないと思いますけど、ちょっと検討したい。どうぞ。
【渋谷委員】
 議論が熟してない、時間がないということはそのとおりですけど、私の希望としては、しようがないからこの際は現行のままにしておくしかない、とならないようにしていただきたい。
【髙岡主査】
 そうですね。ありがとうございます。
 最後また時間をとりますので、次に行かせていただいてよろしゅうございますか。それでは、第2項の課程認定制度の問題について、説明をお願いします。
【小谷教員免許企画室長】
 8ページを御覧ください。第2項、認定制度の改善でございます。まず四角囲みを御覧いただければと思います。本項では、教員養成課程に、事後的な質保証の観点を導入しその制度化を図ること、及び大学が、教員養成課程の管理・運営に全体として責任を持つ方策の検討及びそのための学内組織の構築について整理したとしております。
 まず一つ目、大学教員養成課程の質の確保について、現行の課程認定のみに依存する制度から成果や実績の評価を含む質保証の仕組みの確立を提案した。
 二つ目、教員養成課程を置く大学が教員養成を自らの使命と位置付け、全学的責任体制の下で教員養成課程の質を確保・向上する体制を確立していくことについて提案した。
 三つ目、教育課程が適切に編成され、学生定員の管理や指導体制が的確に講じられることが確認できる場合における複数の教員養成課程間での全授業科目の共通開設について提案したとしております。
 以下、丸からはまず現状説明から始まります。教員養成課程は文科大臣の認定を受けて各学位課程に設置されますけれども、二つ目の丸において、現在、24,200課程に上るということ。そして、認定後の質の確保・向上を図る制度的仕組みとしては課程認定委員会による実地視察がございますが、教員養成課程数の多さから全体的な質の確保・向上につながりにくいという現状でございます。
 また、9ページ、ございますが、法令の理解不足、あるいは教育課程の開設・運営の仕組みが学位課程と異なるために誤解がございまして、認定後、長年にわたり法令や認定の基準に違反した状態で運営されてきた例もあるということ。
 そして、教員養成課程につきましてはこういった現状を踏まえまして、二つ目の丸で、認定のみに依存するのではなく、成果や実績の評価を含む質保証の仕組みの確立を図ることを検討すべきであるということをしております。
 「また」ということですが、大学においては学位課程横断型の授業科目の開設や学際的な学位課程の設置が拡大していることを踏まえ、教員養成課程を置き、授業科目の開設を置く現行の仕組み──学位課程ごとに教員養成課程を置く、そして、授業科目の開設を学位課程ごとに求めるということなんですが、この仕組みについて弾力化する必要があるとしております。
 この上で、大きく二つに分けておりまして、まず一つ目が質保証の仕組みの導入でございます。質保証について、認定時のみならず、認定後もということで、その仕組みとしましては別紙2にまとめております。これは前回のワーキングでの御意見を踏まえまして、真ん中にありました案をとりまして、2案にさせていただいております。別紙2を御覧いただきまして、案1が評価型認定、これは現在の認定の仕組みを一定期間ごとにしまして、そこに評価の仕組みを掛け合わせたようなものにする案でございます。
 そして、案2の方が認定は1度行いますが、その後につきましては一定期間ごとに第三者による評価を設けるという2案にしております。
 「ただし」ということで、本文9ページにお戻りいただきまして、こういった質保証の仕組みは教員養成分野に特有の事情を踏まえて、既に実施されている大学、あるいは専門職大学院の認証評価とは別に導入を検討しようとするものでございますので、既存のものとの関係の整理、あるいは大学の負担の増大、実施体制の確保などの実現性考慮が要るということを書いております。
 そしてまた、何よりも教員養成課程を置く大学が教員養成を自らの使命と位置付けて全学的責任体制の下で質の確保・向上を図っていくということが全体的に必要となってまいりますので、このために全学的に教員養成課程を統括し、教員養成課程担当教員のファカルティーディベロップメントを行うなど、教員養成の質を高める取組を主導的に行う組織を必置とすること。また、大学に教員免許状の種類ごとに教員養成課程を一つ置き、全学的に管理運営する新たな仕組みの導入など、こういった教員養成に関する組織体制の在り方も併せて検討していく必要があるとしております。
 二つ目でございますが、こちらにつきましては現在の教員養成課程の授業科目開設の方法というのが法令に定める教育課程にのっとって、一定の内容・量については教員養成課程を置く学位課程自らが開設する仕組みをとっておりますけれども、現状としまして、実は近接する分野の学位課程、あるいは学位課程横断型の授業科目開設をされている学位課程が多いような大学においては、教員養成課程の開設科目につきましても全てを共通に開設しても専門性にもとらない、質の担保ができるような場合というのが現実としてございます。
 このことを踏まえまして、学生定員の管理や指導体制が的確に講じられることが確認できる場合については複数の教員養成課程間で全授業科目を共通して開設することができるのではないかということで、この場合は事実上複数の学位課程が共同して一つの教員養成課程を置く形になってまいります。このため、複数の学位課程共同型の教員養成課程として認定することが適切と考えられるということで、これは前回御議論いただいた複数学位共同型学位課程のところを更に書き下した形にしております。
 以上でございます。
【髙岡主査】
 ありがとうございました。
 それでは、今度は課程認定制度、事前の入り口管理としての課程認定と同時に事後評価、認証ということを踏まえて、質保証を導入する時期に来ているのではないかという国の制度の問題。
 それから、大学に求める。弾力化はしますよ。しかし、大学が全体として教職課程に明確に責任を持つこと。そして、今でももちろんそうだと思いますが、そのことを明示する組織をしっかり作ってください、そういう提案、二つあると思います。いかがでしょう。はい、どうぞ。
【八尾坂委員】
 この別紙2で、私は前も申し上げたんですが、個人的な感想なんですけど、この前もちょっと実地視察に行かせていただきましたが、認定評価機関として文部科学大臣の下でやるというのと、実際、認定は案2で第三者評価機関がやるというのが何か重みづけが、相手の受けとめ方が違っているんじゃないかなと思ったりして、やはり私は文部科学大臣の下での課程認定というのが本来専門職業人を養成するという意義からもいいんじゃないかと思います。
 あと、第三者評価機関を作るとしても、実際それが機能するまでというか、どうなのかなと思ったりはいたしました。
【髙岡主査】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
【渋谷委員】
 認定ないし評価のところですけれども、私は前回まではこの図で言うと案2の方を支持していたのですが、今回1日、2日考えて、やはりきちっと質を保証させるという意味では、案1もなかなかいいのかな、と思うようになりました。実際にやるとなると、仕事はとても難しいと思うんですけど。ですが、一定期間ごとに認定をやり直す、ということも吟味、検討した方がいいのではないか、ということです。
 ちょっと違う論点ですけれども、前回までの議論で、課程認定は基本的に大学で一括するという案もあったかと思うんですけれども、今回の案は、それはマストじゃなくて、キャンだというふうに位置付けが少し緩やかになったかな、と読んだんですが、それでよろしいでしょうか。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。
 今の渋谷先生の御意見は、認証評価について、八尾坂先生と近い御意見でしたね。これはどうなんですか。専門職大学院が全部それぞれ独自の第三者機関が認証評価を行うという形をとっていますね。これは教職大学院だけじゃなくて、法科大学院もみんなやっていますね。通常の学部教育なんかで、学位授与機構や基準協会その他の認証機関とは別の専門的な認証を行うような動きというのは今あるんですか。特にはないんですか。
【小谷教員免許企画室長】
 現在ございます認証評価機関については分野別評価を学部段階について行うという動きはございません。
【髙岡主査】
 ないということですね。じゃ、その問題が一つと。
 それからもう一つは、大学全体として1本の教職課程という表現がやや上回っているのではないかということですが、恐らく私もそのように読ませていただいたんですが、大学全体として各学部や学位課程ごとに置かれていたものを1本にまとめて、大学が全体の責任を負うという考え方が実は10ページの(2)に集められている感じなんですね。だから、一括認定という表現は置いていないんですが、共通開設のような表現の中に入れて、全体としては理科なら理科を、理学部や工学部やいろいろなところにあるやつを共通開設でまとめることができますよ。それも大学で1本にすることではないかという解釈はどっちでもできるような表現に聞こえるんですが、大体そんな感じでいいですか。
【小谷教員免許企画室長】
 (2)は、授業科目と開設方法の弾力化は具体的なイメージとしましては、例えば経済系の学部、社会学系の学部のような場合に、その中に学科が5個、6個置かれているときに、その5個、6個の学科ごとに教員養成課程がそれぞれ置かれて、社会の免許を出すというような仕組みが現在とられております。そのときに学科ごとに必要な授業科目を開設してくださいというのが原則でございまして、ただし、半数未満であれば他学科と共通でもよいというのが現実のところを、そういう似たような分野については全ての学科が共通して社会に必要な科目を開設しても何ら専門性に問題がなかったりするものですから、そういう場合については全部共通でいいのではないかというぐらいの意味です。すなわち学部単位で開設するようなイメージです。
【髙岡主査】
 ああ、そうですか。そうすると大学全体でというのは消えているということですか。
【小谷教員免許企画室長】
 大学全体でというのは(1)の最後の丸に、今後の検討していく方向性として大学に教員免許状の種類ごとに教員養成課程を一つ置き、全学的に管理する新たな仕組み、この検討も必要があるということで、これはもっと大きな話でございます。
【髙岡主査】
 そこへ入れているということですね。いや、実は、大学で1本にするということを、それを正面に出すと2番目、要らないんですね。弾力化もくそもなくなってしまうんです。だから、2を残して、大学での養成全体として当初は大学では1枚しか出せなくなるという表現も書いてあったんですけど、そういうこと、その強さから言うと、ここで言うと大学で1本にすることも可能ですよということをちょっと触れておいて、あとは学部で基本はまとめなさいというふうに見えるんですが、そこら辺の議論、ちょっと面倒な議論ですね。どうぞ。
【渋谷委員】
 私、考え方として、柔軟というんですかね、そんなに厳密にしないことも十分あり得る。その代わりに10ページの上から五、六行目にあるんですけど、教員養成センター、これをきちっと大学が作るわけですね。ですから、学部あるいは学科ごとの課程認定を申請してきたときにも全学のこの養成センターのところとの関係がこうはっきりしていますよと。理念に基づいて、しかも具体的にもちゃんと全学的な保証ができていますよというところを明記していただいて、しかもそこをちゃんとチェックするということであれば、実質上大学ごとというんですかね。大学単位ということになっていくんだろうと思います。そういう意味で賛成です。
【髙岡主査】
 この問題、ちょっとまた後改めて少し議論させていただけませんでしょうか。ただ、教員養成部会の中間的なまとめで報告させていただいたときには、専門性のそごが絶対起きると。つまり、専門相当性がばらばらになるという意見がありました。例えば具体的に申し上げると、人文社会系のような、そのように見える学部の中にスポーツ体育というのがあって、それで体育の免許を出すと。あるいは教養学部的な中身に理科、国語、社会、みんなあると。つまり、学部の専門相当性、あるいは学科ならいいんですが、中でコースでせいぜい分かれている程度で、取得単位数もまさに教養人の育成ということが銘打ってあって、何々学ではないのだということが明示されている中で免許がいっぱいある。こういうことをチェックする機能がなくなるではないかという議論がやっぱり出ます。出ると思います。そのこととの関係で言うと、ちょっと事務局としてはそこが大きな懸念材料ですかね。
【小谷教員免許企画室長】
 済みません。確かに言葉がちょっと足りていませんで、10ページの一番上にあります丸は、前回御議論いただいたように、免許状の専門性に相応する学位課程である場合に限って、共同して、こういう一つの課程を置くというものに参画していくということが大前提でありまして、ありとあらゆる専門分野の人がどんな免許でも取れるというようなものではございません。
【髙岡主査】
 そのとおりですね。そのことは一応答えましたよね。それは現状の課程認定制度の根幹にある免許と学位課程の専門相当性。あるいはコースを作ろうが何しようが、専門相当性は当然見ると。したがって、文学部の学生が大学1本の免許状としていっぱい置いてあるから、理科の免許を取るとか、小学校の免許を勝手に取るというようなことはできないと。それは当然だという言い方をしたんですが、ちょっとそれでも説明した私としては説明できていると思うんですけど、いや、それは制度運用のときに絶対ばらばらになるというような御議論もあったと思いますね。
 どうぞ。
【無藤部会長代理】
 いいですか。ここに書いていいかどうかよく分からないので、ちょっと迷う発言ですけれども、今後の大学の在り方の中の一つとして、以前にも申し上げましたが、ダブルメージャーみたいなのもあるだろうと言いましたけど、それをもっと進めれば、個人ごとの単位の構成みたいなことが考えられて、つまり、ダブルでもトリプルでもなくて、その学生が何とか学と何とか学を中心にこういう単位の組合せをする。別に全くばらばらというよりは多分モジュールみたいなのがあって、それを組み合わせて4年間の学習を構成するみたいなのも十分考えられると思うんですね。ですから、今後、学部・学科コースというのがどれぐらい固定したカリキュラムを持って、そこに学生が属するという形だけにとどまるかという問題が、この5年から10年考えるとあり得るので、そういう意味では、その学生が卒業までに専門として履修するということと、教職課程の関係というものですね。あるいは卒業単位全体の中でどういうふうに位置付けるかという、そういうことをもう少し踏み込んで記せないかなというふうなことを思います。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。
 私もそこが一番大きい課題ではないかなというふうに思います。これまでですと、そういう学部や大学が新しい教育改革を進めて、うち独自の力を持った学生を育てるんだと。それは何々学ではなくて、学生が例えばいろいろなものを集めてきて、自分の資質能力として身に付ける。そういう大学が増えてくる。それは結構だけども、そのことと教員免許は大体そぐわないのであるという議論だったんですね。だったら、免許なんかそういうところで取らせる必要はないではないかと。極論すればですね。そういうことも話としては出ていました。そういう意味で、今無藤先生がおっしゃったことが、一部だったものが今やそれが大学教科の学部段階の教育で言うと趨勢(すうせい)になりつつあるというところで、じゃ、免許はそれにどう対応させるのか。そこだと思うんですね。その問題、ちょっと大きな問題で、大学で1本でまとめるということを実現することで、実はその中の部分については、大学はきちんと責任を持ってこの専門性はちゃんと教職として確保できていますというふうに明示してもらえばやれるというふうに、私はちょっとそう解釈したところもあったんですが、なかなかそうはいかないかなという感じもあります。
 ただ、今新しくできつつある学部や新しい学科というようなものを、今の免許制度あるいは教員免許が元々持っている教科の専門性の背景というものを超えるような議論はちょっとすぐには難しいかもしれませんね。どうでしょうかね。そのあたりのことを、この事務局原案の文章で言うと、ちょっと踏みとどまったというか、学部段階に落とし込んで、科目の開設の弾力化と。共同開設を自由にやってもらっていいですというところに落とし込んであるという感じはしますね。これは、ただ、今日まとめてというわけにいかない問題なので……。
【無藤部会長代理】
 ですから、私、非常に現実的に言うと、これは分からないんですけど、大学改革の動きはかなり早いかもしれないと思うので。だから、そういう中で例えば私はさっき申し上げたのは、言うなれば新しい教養学部みたいなものですね。従来の教養というよりは、もうちょっと専門に踏み込むけれども、新しい専門の形をかなりパーソナルに作っていけるような。そういうことが割と早く動く可能性もあるので、多少文の書き方として広げた感じの余地を残すぐらいの話なんです。
【髙岡主査】
 大学教育改革の動向を見ながらということをしっかり入れておくことが大事かもしれませんね。それでは今のところ、課程の認定から認証へということについてはそういう制度を導入すべきだという御意見では一致しましたけども。どうぞ。
【大坪委員】
 済みません。今のところに関わることなんですけれども、9ページの質保証の仕組みの導入のところ、下から三つ目の丸の書きぶり、それから別紙2の形の中で、さっき渋谷先生の方から案1もということがあったんですけれども、案1の場合には課程認定制度そのものが劇的に変わるというか、このことの議論なしにできない。つまり、出口のところも勘案して課程認定するという今までなかった課程認定の在り方に踏み込むということ。これを少し9ページのところに関わっておられてもいいのかな。だから、私自身は案2しか難しいだろうという気はするんですけれども。だから、フラットに9ページ、案1、案2を書かれているのがちょっと気にはなるところなんです。
【髙岡主査】
 分かりました。案の1は、教員に免許更新制が導入されたと同じように課程にも更新制を導入しますよということですね。これはなかなか斬新な話なんですけど。だからといって2にした場合の、じゃ、どういう機関がそういうことは可能なのかという問題も出てきますよね。教職大学院の認証については、認証を受けるについて先般お話がありましたけど、学芸大の事務局長さんがお話しいただいた中身にありましたけど。認証評価を受けるについて、300万円って出ましたかね。を支払うことが求められると。それでも認証評価を受けている担当事務局としては決して黒字ではないというお話でしたから、やっぱり結構お金がかかるものだなということもあります。
 分かりました。では、今の御議論、また整理をさせていただくということにしたいと思います。大変恐縮でございますが、これで肝心要の第2章第2節の免許制度と3節の採用と研修の改善という、ページで言いますと10ページ最後から15ページまでが残っております。まとめて説明してもらっていいですか。
【小谷教員免許企画室長】
 それでは、10ページ、教員免許制度の改善から御説明申し上げます。こちらにつきましては別紙3-1から3-4までが具体的な案を示すものになっておりますけれども、これまで御議論いただいたものは、集約いたしますと、大きな方向性が二つになってまいりますので、それを四角囲みに書かせていただいております。一つは、現行の教員免許制度を維持しつつ、複数の教員免許状を取得しやすい環境を構築する方法。もう一つは、新たな教員免許制度を導入する方法でございまして、この新たな方法につきましては現行制度を抜本的に改変してしまう方法と、現行制度を維持しつつ、部分的に新たな教員免許制度を導入する方法があるということになってまいります。
 次のページ、御覧ください。考え方としましては、なぜこの免許制度について御議論いただいたかといいますと、一番上の丸ですが、学校段階間の接続及び円滑な移行に対応できる指導力、あるいは教科横断的な視野と知見ということを教員が持つことが今後期待されてくるわけですけれども、そのために教員養成課程は見直すということで、先ほどまでのところで御覧いただいたところですが、更に免許制度自体を変えなければいけないのかどうかという課題認識があるということでございます。このときに、先ほどの枠囲みのような二つの考え方が出てくるということで、具体的には別紙3-1においては複数学校種の教員免許、そして別紙3-2については同一学校種の複数教科を取る方法。そして、別紙3-3が小学校において教科指導というものを充実させていくための方法。そして別紙3-4が二種・専修免許と、それから新たな提案としての高度専門免許状ということでございます。
 内容につきましてはこれまで御覧いただいたとおりでございますが、1点変更がございますのは別紙3-1でございまして、これは前々回御意見を頂戴いたしまして、小学校の1から4年生と、それから小学校5、6年生プラス中学校というような免許状の方法もあるのではないかという御意見を頂きましたので、それを別紙3-1の(2)(3)に図として入れさせていただいておりまして、その他の変更はない状態でございます。
 これらを今後十分に検討いただく必要があるということなんですが、12ページの一番最後の丸におきまして、いろいろ考え方はあるけれども、都道府県教育委員会における免許事務、あるいは大学等の教員養成課程の実情、過去及び現行制度との円滑な接続及び重複要素の排除、法制上の実現可能性などを踏まえ、十分に検討を行う必要があるという形で、様々な案を併記させていただく形にさせていただいております。
 それでは、次のページを御覧いただければと思います。第3節でございます。採用と研修の改善ということで、今までのところ、主に養成、それから免許制度でございましたが、こちらから先が採用と研修でございまして、ここは冒頭で御覧いただきましたように、接続という観点を重視しながらの整理であるということ。それから、現職教員の新たな教員免許取得のための仕組みというものの観点からの検討をしているということを枠囲みに書いております。
 まず第1項、養成と採用の接続。ここは二つございまして、一つ目が採用選考における養成段階の学習成果の活用。これは前回御覧いただいたものとほぼ同一でございまして、任命者・雇用者が採用活動において教員養成課程で真剣に学んだ学生の学習の成果というものを採用時の評価材料の一つとして積極的に活用することが望まれるということを書いております。
 そして(2)は教職大学院進学者・修了者を対象とした取組でございまして、これも前回とほぼ同様でございまして、教職大学院については教育機能や教育実績を勘案しまして、進学・在学者、あるいは修了者を対象に採用選考においてその履修を評価した取組を促進することが適当であると。例えば現在修了者を対象とした特別選考が5県市で行われているけれども、このような取組が全国で行われることが期待されるとしております。
 また、教職大学院への進学が志向しやすくなるように、現在6県市で行われている名簿登載期間の延長・採用といったような取組を全国で実施する必要があるとしております。
 次が第2項でございまして、こちらは採用と研修の接続でございます。これも二つございます。一つ目が教職大学院を活用した取組の促進ということで、既に御覧いただいたような初任者研修の一部免除などの取組も考えられるということ。それからさらに、教職大学院と教育委員会や独立行政法人教員研修センター等が共同して開発したプログラムに基づき、教職大学院が授業科目を開設して、任命者・雇用者が初任者をはじめとする教員を教職大学院に派遣して研修するという方法も今後促進すべきであるということ。具体的にはということで、初任段階、教職経験5年から10年といったような段階などの例が考えられるのではないかということを記載しております。
 次に、(2)でございますが、ここは実は採用と研修の接続というところの表題からすると若干据わりが悪いんですが、現職教員の新たな教員免許取得に向けた取組も促進すべきであるということで、特に免許法認定講習と研修又は免許状更新講習、こういったものとの連動を図っていくということが考えられるのではないかということを書いております。
 最後のページにおきましては、今後、任命者・雇用者は、それぞれの教員が持っている所有免許状の種類に応じてさらなる新たな免許取得に向けた学びを積極的に奨励していくべきであるということで、こういうことが専門性の向上・拡大につながっていくということで書いております。
 以上でございます。
【髙岡主査】
 では、ここの部分について、いかがでしょうか。どうぞ。
【大坪委員】
 今小谷さんも自らおっしゃったように、14ページの第2項のタイトルと中身がちょっと不整合の感じがします。大体には免許状と研修の関係とか、何かそんなことなのかなという気がいたしますけれども。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。
 養成と採用の接続というのはぱっと頭に浮かぶんですけどね。採用と研修の接続というと、やや言葉遊び的な感じがして、最初からあるんですけど、何か気になってはいたんですが。
 ほかにいかがでしょうか。かなり教職大学院等の活用ということ、それも具体的にこういうことができるのではないか。ただ、これはここで初めて議論が行われているということではなくて、本来的に教職大学院が開設されたときからこのことは当然期待をされていたわけですよね。ただ、まだ時間が短いということもありますけれども、なかなか研修と教職大学院、あるいは教職大学院と採用というあたりの、正に専門職大学院としての十分な機能、あるいは効果というものが出ている状況にはなっていない。教職大学院そのものの数が少ないということもありますけれども、もう少し様子を見ないと都道府県としても採用枠の拡大とか、全面的な信頼ということには至っていないのかなという気はします。だから、こういうのは絶えずそういう制度を、専門職大学院を作ったわけですから、障壁はどんどん外していく必要があるというふうに思います。私も改めて気づいたんですが、教職大学院の修了者であっても、採用されたら初任研を受ける。これが当たり前であると行政は考えているというところですね。それはどうなんだろうかというようなこと。そのあたり、一つ一つ課題とか問題性ってやっぱりあるんだろうと思いますから、これぐらいは強めに提言しておく必要はあろうかと思います。いかがでしょうか。どうぞ。
【細谷委員】
 ちょっとここ最近、何回か欠席してしまったので、大変申し訳ございませんでした。特に一番最後の第2項の(2)の現職教員の新たな教員免許状の取得に向けた取組の促進のところで、こういった教員を出したい学校長として申し上げます。この文章に載ってないんですけれども、本当にこういう現職の教員が新たな教員免許状を取って、そして学校へ戻ってくる。そして学校にいろいろと還元してもらえると。これは校長も望むところであるんですが、ただ、これはむしろ学校だけでなくて、そこの、例えば東京都内とか、校区内とかといった地区内にも還元してもらわないとまずいんじゃないかと。校長として言うのも変なんですけれども、ちょっとそういったところは学校に還元という言葉でちょっと引っかかったところなんですけれども、そのためには、ここに出てないんですけれども、今の制度、主査がおっしゃってくれましたけど、出しづらい条件が学校にもあるんですよね。一つはやっぱり出た後に長期間学校にいないわけですので、その代わりに来てくれる教員が例えば講師を充てられたり、あるいは初任者を充てられたりすると、元々優秀な教員が出ていくわけですので、学校経営上、非常に苦しいという部分の問題。それから、これは当然大学側の問題ではなくて、明らかに国や教育委員会の問題なんですけれども、やはりそれをきちんとさせるには人件費がかかるので、そういった予算の問題で支障が出てくるのかなというようなことも勘繰ってしまう。そうしてみれば、こういうものが、本当にここに書いてあることが実質上、学校においても、あるいは大学においても、教育委員会においてもすんなりと動くには予算化の問題も併せて考えていかなきゃいけないんじゃないか。
 先ほど言いました、戻ってきたときに学校内じゃなくて、いろいろな地区内のいろいろな指導をしてもらうには学校にいないことも多くなりますので、これを教員の配置基準ですか。学校に置く配置基準というのも見直していかなきゃいけない。要するに、送り出すとき、そして、戻ってきたときの教員が十分に活躍できるような条件整備というのがこの中で、何かしらの文章でちらっと載せておく。ここがちょっと抽象的な書き方なので、ちょっと気になったんですけれども、そういったことは学校においては非常に大きな要素なんですね。特にお金関係とか、配置基準の関係なんていうのは。制度の問題というのは。要するに、そういった点も含めて、ここら辺書き加えることができるのであればお願いしたいということであります。
 以上です。
【髙岡主査】
 どうぞ。
【岸田主査代理】
 私が最初のところで言った初任段階の部分というのはこの場面で言った方がよかったかもしれませんけれども、初任段階の中身をここら辺でもう少し書いてもという思いを持っています。それと関連してなんですけど、第3節の採用と研修の改善という、大きなくくりはこれでいいんですけど、先ほど髙岡主査からもありましたように、1項と2項は向き合う形であるんですが、ここの枠組み、どちらかというと、全体的には教職大学院の活用というか、そういうところが多く書かれてあって、そういうことも踏まえて、今あるくくり方ではなくて、もう少し枠組みをどんなふうな形で整理するかということを第3節は考える余地があるんじゃないかなというふうに感じています。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。
 確かにそうですね。採用、研修の改善という大きな枠組みの項立て、更に節立てのところですね。
 では、ほかに何かございますか。どうぞ。
【堀竹委員】
 教職大学院に教員がなかなか行かないというのは、先ほど細谷委員が言ったような状況もあると思うのですけれども、やはり大きいのは、行ってきたことにより、資格がより高いものとして認定されるといった制度を考えていくということをこの中で書いていかないと、取得がなかなか進んでいかないと思っています。
 このことは、教育委員会と考え方を刷り合わせていかなければいけないと思うのですが、当然、教員は常に自分の指導技能を高めるための研修は必要です。しかし、研修を受けても、研修を受けてステップアップしたことが、現場で適切に生かされ、評価される形でなければ、取得はなかなか進んでいかないのではないかないと思っています。研修後の、ステップアップの成果をどう生かしていくかということについて、教育委員会との協議の中で、きちっと制度として明らかにしていく必要があるということも検討していただければと思っております。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。
 そこのインセンティブの問題ですね。それを、これは事務局との御相談ももちろんありますし、どこまで書き込めるかということもありますが、実行会議の第5次答申の中では若干触れてありますから、それに対応する話をまとめておく。今細谷先生がおっしゃったように、次へつないでいく作業というのは、頭出しという意味でも、芽出しという意味でも大事かなというふうに思いますけどね。
 実はその前の免許制度のところで、先ほどの説明の中にもありましたように、3-4が表としては一番分かりやすいですね。高度専門免許という、こういう表現で、従来の専修免許とは違う形の、接続期を対象にした中身を、一定程度のくくりを作って、これを免許制度というかどうかはまた後日の議論にするとしても、そういうものを身に付けることによって高校の先生が小学校で教えられるとか、学校間をまたぐとか、隣の教科を教えられるとかというようなことを実現するにはどうしたらいいか。これは実行会議が明確に言っていることで、ある意味で第1原則のようなところがありますね。
 そういう制度を導入することによって生じる費用負担、これも相当大きいものが当然あるだろうと思いますから、そのことも触れる必要があるだろう。そのあたりまでちょっと踏み込んで、事務局としてこの程度までならというところがもし見えていれば、その手前ぐらいまでは書き込みが可能かなというふうに思うんですけれども、いかがでしょう。どうぞ。
【八尾坂委員】
 やや別の視点です。今、校長会の先生方が現職教員でベテランの方の教職大学院のことをおっしゃいましたが、条件整備のこと、私はもともと現職教員の先生が教職大学院に行くことはそれなりにいいと思っているんです。ただし教職大学院側が昼間行くということを前提にしているわけですから、実は、九州大学では、教職大学院ではないけども、前から昼夜開講で、社会人の方は自分の意思で、勤務時間外に夜来ているんですね。そういう意味で、教職大学院が全国で夜間も学習しやすいような工夫をしているというのは、どうなっているのかなということで、むしろ、これから管理職の免許制度なども入ってくるとしたら、ますます忙しい方が1年間とか何かそういう形で来るよりも、もっと学びやすい環境として夜間開講といいますか、昼夜開講でもいいんですが、それは必要なんじゃないかなと思うんですね。諸外国の先進国は、アメリカなんかでもそれは当たり前なんですね。取りやすいような工夫をしているのが。それと財政的なことも、本人負担になるわけですし、教育委員会がうんぬんということもなくなるのでは。あるいはかなり違ってくるんじゃないかなと思ったりはするんですけど。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。
 そうですね。教特法の規定では、いわゆる任免権者が研修の命令として出して研修に行ってきなさいという……。
【八尾坂委員】
 派遣。
【髙岡主査】
 ところに大学院があるという想定ですから、もちろんそれ以外に休業もできると。その二つの制度が今併存していて、どうですかね。休業制度を活用した大学院進学とかいうようなことは相当数動いているんでしょうか。あんまり活用されていないのが実態ですかね。
 大学の方も昼夜開講というようなこともやってみたり、夏休みに集中講義といっても、なかなかこれも難しいという話で、案外進まなかったりということもある。だったら通信制はどうだという議論にも展開するので、学習そのものを多様な形で実現できるような仕組み。これを社会全体が作る必要があるということ。そこが弱いというか、そこが十分に確保されていない国だから、TALISのデータが出てくるんだろうということですよね、極論すれば。
 これ、どうするつもりですかと。日本人の先生たちって、本当にそんなに自己効力感がないんですかということですけど、でも、これは事務局ともお話ししている中でいつも出てくる話なんだけど、いや、そんなことはないので、やっぱり日本の先生方というのはすごく内省的というか、謙遜というか、それが出てきた結果というのも相当割り引いて考える必要があると。TALISの調査は何のためにやったんだという感じもせぬではないですけどね。今やっていることが全てで、子供たちにとって私が教員でいることは幸せなはずだと思える幸せな国もどこかにあるわけで、そうではない日本というのは、実は大事は大事ですよね。そう考えることはね。
 まあ、その手の話まで行くとどこまで行くか分かりませんけど。いずれにしても、今御議論いただいたようなことをもうちょっと踏み込んで、例えば財政措置の話は別として、研修の定数の問題とか何とかということは、これは教員養成部会の議論の範疇(はんちゅう)ですか。あるいは教職員課の担当の分野ですか。そこはどうですか。
【小谷教員免許企画室長】
 財政問題に関わりますと、直接的には教職員課は担当はしておりませんが、教員養成・採用・研修に関わる重要な問題ということで提言いただいて、一向にかまわないかと思っております。
【髙岡主査】
 いや、それはそうだろうから、概算要求の弾込めみたいな話なのでそれはそうだろうと思いますけども、定数に関わる問題について、つまり研修の問題って、何か教員養成部会って今まであんまり触れてないですよね。あれは時間切れということもあるんだろうと思うんだけど、触れてないのか、教員養成部会という名前から言うと、任用や研修の問題というのは、本来あんまり触ってはいけないところなのか。それとも大胆に考えないと、もう届かないテーマなんだから、仮に駄目だと言ったって触れるんだと考えた方がいいのか。その辺の心構え。
【小谷教員免許企画室長】
 実は今回は、研修の部分の、さっき岸田委員から御指摘ありましたが、十分御議論というか、ほとんど御議論いただく時間がなかったんですけれども、実は、研修関係につきましては、これを御報告いただいた後、部会で、更に御議論をいただければというふうに考えて計画しているところではございます。
【髙岡主査】
 どうぞ。
【大坪委員】
 済みません。教員養成部会でも発言があったことなんですけれども、初任者における勤務状態のことについて少し触れておいていただきたいという気持ちはあります。露骨に担任を外せというところまで書く必要はないかもしれないですけれども、それも定数と関わってくる、財政措置の問題、あるんだけれども、そこの部分が何にも触れられてなくて、教職大学院をやれ活用しろ、研修というと、ちょっと一方の議論が全く消えて、せっかく教員養成部会で発言があった部分でもありますので、ちょっと触れられていてもいいのかなという気はしました。
【髙岡主査】
 初任研と担任の問題を含めてですね。分かりました。
【小谷教員免許企画室長】
 済みません。1点だけちょっと確認させていただいてもよろしいでしょうか。堀竹委員から御意見を頂戴いたしました研修との関わりの資格ということについては、研修を受けた履歴が適正に評価されて処遇等につながっていくようにという意味でらっしゃいますか。
【堀竹委員】
 まあ、そうですね。
【小谷教員免許企画室長】
 かしこまりました。
【髙岡主査】
 今どうなっているんですかね。教員、研修をいっぱいやれと言って、京都府みたいにポイント制というかな、そういう仕組みを持っているところはありますけれども、私も行って伺ったんですけど、まあ、現状の府がやっている研修をずっと並べていって、校内研修もポイント化するよと。研修の目標をポイントを積み上げるということに置いてくださいとやっていますというお話で、それは何ら処遇には関係がないというようなことでしたよね。でも、何となく、同じことを何度も繰り返しているというかな。5年目ぐらいの研修でも教科指導力育成というと、こういうものがありますと。そこにまた、20年ぐらいの人も入っているような。免許更新制は10年ごとにもう一回大学に戻って基礎的なことをしっかりやり直しましょう。あるいは、新しい教育事情についてリニューアルしましょうということですけど、まだ、2回受けた人はいないので、よく分かりませんが、さあ、10年目に受けた中身が20年目になったときに大学というのは何というところだと。同じ話をしているではないかということが起こらないとも限らない。ちょっと研修の中身って、そういうところがどうしてもありますよね。そのあたりのことも少し踏み込めれば踏み込むべきだろうと思います。
 それから、今ちょっと飛んでしまいましたが、免許資格や免許制度ですね。いわゆる別紙1、2、3というあたりについては、おおむねパターン化ということでもありますし、これは法律を変えなければいけないところですから、こういうパターンが現行制度も含めて幾つかありますという提示をするということがぎりぎりだと思いますが、大きく言うと現行制度を変えないで、接続期や特別に新しい領域の教育内容というものを特化するような免許、あるいはそれを高度な専門免許と言ってもいいかもしれないけれども、そういうものを作るという考え方と、この際、学校種を超えた免許状を作ると。大きくはその二つがあるということをこのワーキングの報告として提案するということでよろしゅうございますか。
 それでは、先ほどの話にちょっと戻ってどうでしょう。大学における課程の一括登録といいますか、大学で同一学校種、同一教科種であれば、一つの免許状として大学全体が管理する。しかも、課程の認定や場合によっては認証も含めて大学が完全に責任を持つという体制にするということは、今回の報告書案ではやや後退したように見えるけれども、どうしようかという議論ですけれども。少し今の表現と先ほどの共通開設というのを併存させるような書き方で、余り詳しくない表現で取りまとめておくというぐらいが適当かと思うんですが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。事務局、どうですか。そこは大学一括の認定というようなこともないわけではないというレベルでは了解できますか。
【小谷教員免許企画室長】
 済みません。10ページのところの一番上の丸の教員養成課程を1つ大きいうんぬんというところと(2)とを統合的にまとめるという御趣旨でしょうか。
【髙岡主査】
 大学において一括して、全学的に管理運営する仕組みという。種類ごとに教員養成課程を一つ置きというところをもう一つ項目を立てるということかな。
【渋谷委員】
 ちょっといいですか。
【髙岡主査】
 どうぞ。
【渋谷委員】
 元々私、大学一本説だったので申し上げたいんですけど、上の方の丸の方で、最後、締めの言葉が「併せて検討していく必要がある」でとまっていますよね。今回の答申の段階では大学一本説は可能でないともとれるんですよね。だけども、下から二つ目の丸の方で寄せていくことは大丈夫ですよというふうになっているので、全部寄せていくと一本になるはずなんですけど、その辺の平仄(ひょうそく)を少し御検討いただければというふうに思います。
【髙岡主査】
 ありがとうございます。
 では、どうでしょうか。今思い付いただけですので、文章としてちゃんとしていませんが、大学に教員免許の種類ごとに教員養成課程を一つ置くということと、重要科目の開設方法の弾力化ということを(2)の中に入れてくくるという方がいいですか。そこで並列にする。
【渋谷委員】
 なるほど。
【髙岡主査】
 それでよろしいですか。
【大坪委員】
 明確に並立にしていただければいいと思いますね。
【髙岡主査】
 並立にするということですね。
 そうすると、免許状も現行制度から完全に変えるというこの振れ幅の中にあるはず。当面はあるだろうという提案で止まっていますよと。それから、課程の認定についても、従来の学部・学科単位でやるという考え方から、大学一括、あるいは学部単位でやるんならば開設方法の弾力化という方法があると。そういう分類ですかね、大きくは。
 それでは、一通り、随分大部の、15ページにわたる論点整理案、これまでも部分的には見てきた議論で、事務局には大変文章化の手間をとっていただいて、何とか形になりつつありますが、なお特に第3節あたりに若干修正する必要がある箇所も今日の議論で見えてまいりました。時間になりましたので、まだ御意見足りない方もたくさんいらっしゃると思いますが、今日のところはこの辺で審議を終わらせていただいて、本日の議論を踏まえた論点整理案を修正しつつ、改めて先生方に見ていただくという過程をとりたいというふうに思います。その修正については主査に一任していただければと思いますが、それでよろしゅうございますでしょうか。
(「はい」の声あり)
【髙岡主査】
 ありがとうございます。それでは、今日の議論、これで終わらせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
【柿澤教職員課課長補佐】
 次回の日程ですけれども、資料3ということで今後のスケジュールを示しておりますが、次は7月30日、来週水曜日になりますけれども、教員養成部会ということでの開催でございます。7月30日の教員養成部会では本日御議論いただきました論点整理、こちらについて報告させていただいて、また、部会の委員の方々からも御意見を頂きたいというふうに考えております。
【髙岡主査】
 これで今日は終わらせていただきます。どうも御苦労さまでございました。ありがとうございました。

── 了 ──

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