資料2-1 委員提出資料

平成25年12月3日

合同の検討会議におけるこれまでの意見のまとめ(案)に関する意見書

小奴可保育所 吉川 由基子

 新しい「幼保連携型認定こども園」で行われる保育の内容を定める保育要領(仮称)は、子どもの最善の利益を尊重する観点から、次のことをふまえて策定されるべきです。

【反映させることを求める意見内容】

1.「養護と教育」が一体となっていることの重要性について明記されることが必要です。

 保育所保育指針に示されているように、子どもの生命の保持及び情緒の安定があり、そのうえで教育が行われることが、乳幼児期の子どもにとって最善であることから、幼保連携型認定こども園においても、「養護と教育」が一体的に提供されるべきであり、これらが分断されて捉えられることがないよう「4.教育及び保育の内容等」の「(1)基本的な枠組み」において、「養護と教育」が一体となっていることの重要性について明記されるべきです。

2.子どもの教育は3歳から始まるとの誤解や、学校教育が保育の上位にあるという誤った概念形成につながらないよう明確な説明を盛り込むべきです。

 3歳から「学校教育」が行われることとされているが、あたかも子どもの教育は3歳から始まるとの誤解や、学校教育が保育の上位にあるという誤った概念形成につながらないよう、明確な説明を、「4.教育及び保育の内容等」の「(2)主な内容」に盛り込むべきです。

3.保護者支援・地域の子育て支援を、幼保連携型認定こども園の重要な役割として、独立した章で明記すべきです。

 保護者支援・地域の子育て支援は、学校と児童福祉施設の位置づけを併せ持つ幼保連携型認定こども園の重要な役割です。保護者の子どもの発達に対する理解を促し、また、地域全体で子育てに取り組む状況を醸成し、養育力を向上させていくためにも、このことに関しての独立した章を起こすことが必要です。

4.すべての子どもの個別計画を策定すべきです。

 一号認定・二号認定・三号認定とさまざまな利用形態があることや、生活及び学びや発達の連続性の確保、保護者との協働意識の醸成のため、すべての子どもについて個別計画を作成することが必要です。すべての子どもの個別計画を策定することについて、「4.教育及び保育の内容等」の「(1)基本的な枠組み」に明記すべきです。 

【考慮していただきたい意見内容】

5.その他の意見は以下のとおりです。

(1)基本的な事項については総てを明記し、すべての子どもに適切な保育・教育の提供ができると同時に、社会全体で乳幼児期の子どもの育ちについての理解を深め、子どもの育ちに必要な環境の整備につながるようにしておくことが必要です。

(2)子どもの発達において、ここからが教育の時間、ここからが保育の時間と分けることは困難です。0歳から小学校就学前までの一貫した養護と教育が、生きる力の基盤となることについて、社会的なコンセンサスが得られるようにしておくことが必要です。

(3)「教育課程の編成」「保育課程の編成」については、0歳からの発達の連続性と生活の連続性を確保する意味から、教育課程を包含して「保育課程の編成」とすべきです。

(4)幼保連携型認定こども園の特性や保育教諭の役割について、保育者だけでなく、保護者や社会が理解しやすい内容・表現とすることが必要です。

(5)現場での実践が円滑に行えるよう、この保育要領(仮称)の解説書を作成することが必要です。

(6)「3.基本的な考え方」―「(1)認定こども園法の趣旨を踏まえた幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)の策定」について ※6頁
○運営に関する事項と、保育内容に関する事項は密接に関連していることから、どちらも盛り込んでおくことが必要です。
○職員の資質向上(保育教諭の役割の明確化 研修の義務付け 自己評価の推進)について明記しておくことが必要です。

(7)「(2)幼稚園教育要領及び保育所保育指針との整合性」の1つ目の項目について  ※7頁
○「幼児期」とされていますが、教育は0歳児から行なわれているものであることから、「乳幼児期」とすべきです。

(8)「(3)小学校教育との円滑な接続」について  ※7頁
○子どもの発達の連続性を確保するために、保育所における「保育所児童保育要録」と同様に、就学までの子どもの育ちに関する内容が記載されたもの(育ちを支えるための資料)を小学校に引き継ぎ、一人ひとりの子どもの成育歴や留意すべき事柄を小学校が受け止め、それに基づき小学校が必要な配慮等を行う体制を確立することが必要です。

(9)「(4)幼保連携型認定こども園固有の配慮事項」の2つ目の項目について  ※8頁
○「生活の連続性」とされていますが、連続性の観点は、学びや発達においても必要なことから、「生活及び学びや発達の連続性」とすべきです。
○「情報交換を行うことも大切です。」とされていますが、幼保連携型認定こども園と家庭との連続性に配慮した子育てを行っていくために、「情報交換及び連携・保護者との協働意識の醸成を行うことが大切である。」とすべきです。

(10)「(4)幼保連携型認定こども園固有の配慮事項」の3つ目の項目について  ※8頁
○「各年度の当初は」とされていますが、年度途中での入所もあることから、年度当初に限定せず、実態に即した表現に改めるべきです。

(11)「(4)幼保連携型認定こども園固有の配慮事項」の4つ目の項目について  ※8頁
○「子どもの発達の状況の違いを踏まえつつ」とされていますが、異年齢の子どもとかかわる活動は、子どもの発達の状況だけではなく、施設のクラス編成の状況等も踏まえて行わなければならないため、「子どもの発達の状況の違いや、施設の状況を踏まえつつ」とすべきです。

(12)「(4)幼保連携型認定こども園固有の配慮事項」の5つ目の項目について  ※8頁
○幼保連携型認定こども園は、保護者と連携して子育てをすることを通じて保護者の子育てを支えることも機能の一つであると考えます。よって、「幼保連携型認定こども園として子どもを支える体制作り」とされている部分は、「幼保連携型認定こども園として子どもと保護者を支える体制作り」とすべきです。

(13)「4.教育及び保育の内容等」―「(1)基本的な枠組み」について  ※9頁
○発達過程区分の8つの区分と「おおむね」という表記は子どもの育ちの実態に沿っており、保育者にも保護者等にも理解されやすいと考えます。子どもの各年齢における発達過程を「おおむね」という表現を用いて示すべきです。
○養護的機能が発達(学び)を支える基盤であることを明記すべきです。

(14)「4.教育及び保育の内容等」―「(2)主な内容」の1つ目の項目について   ※10頁
○「心身の健康及び情緒の安定に努めること。」とされていますが、心身の健康と情緒の安定は子どもの育ちにとって不可欠であることから、「心身の健康及び情緒の安定を図ることとする。」という表現とすべきです。
○「0歳のねらい・内容・配慮事項」、「3歳未満の ねらい・内容・配慮事項」、「3歳以上児の ねらい・内容・配慮事項」とすることが必要です。
○上記のそれぞれの記述においては、子どもの育ちにとって養護的なかかわりが重要であることが読み取れる表現とすべきです。

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