資料3-7 委員提出資料

幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)の策定に関する合同の検討会議資料 (平成25年10月10日提出)

保育要領(仮称)の策定に関する意見

矢藤誠慈郎(岡崎女子大学)

 「幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)」(以下、「保育要領」)の策定に関して、検討会議ですでに述べられたこと以外の意見を以下の通り申し述べます。
 ※以下、「保育・幼児教育」を「保育」と総称します。

○教育と福祉の概念整理が懸念されている論点の一つであると思われるが、これについては学問的立場等によって多様な見解があり、合意を形成することが当面は難しい。さしあたりの基本的な理解として、「児童の権利に関する条約」を踏まえて、すべての子どもへの「福祉(well-being)」の充実を基盤としつつ、その重要な部分としてすべての子どもに質の高い「教育」を提供するという理解のもとに、こども園の意義の論理構成をしていくことが検討すべき考え方の一つであると思われる。

○発達過程の理解について、例えば、今何かができるようになるといった目標設定の弊害を避けるために、生涯発達の観点から、あるいは少なくとも児童福祉法で言うところの児童(0-18歳未満)の発達を見通したうえで、こども園の対象となる子どもの発達をとらえるという視点を明示することが必要ではないか。その際たとえば、知的な発達について、就学前の子どもが身につけることが必要な力は、何かができるという学力ではなく「学びに向かう力」である、といった象徴的なキーワードを示すことで、保育現場等の理解を促すことが必要ではないか。

○幼稚園幼児指導要録及び保育所児童保育要録に該当する子どもの記録について、小学校に送付するとともに積極的に共有し、子どもの育ちの連続性を保障するものとして十分配慮する必要性について記載するとよいのではないか。

○保育内容の評価や施設内外の研修等を通じた保育の質の向上について、施設長の責務として明確に示すことが必要だと思われる。その際、現場の長たる施設長が管理・運営面のみならず、保育における専門性を十分に備えてリーダーシップを発揮することを求める必要があると思われる。

○各施設の実情等に応じた創意工夫を図ることを推奨しながらも、根拠に欠ける独善的な保育となることがないよう、保育の質について、施設長が保育要領の趣旨を十分に理解して保育を営む必要があることを明記することが必要だと思われる。

○策定に伴う課題であるが、幼稚園教諭及び保育士の養成課程のあり方が多様であることに鑑みて、養成課程での保育要領の取り扱いにおいて、どこでどのように扱うかについて一定の目安を早急に明示する必要があると思われる。

以上

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(文部科学省初等中等教育局幼児教育課指導係)