資料3-5 委員提出資料

「幼保連携型認定こども園保育要領」策定に関する提案

東京成徳短期大学 寺田清美

 幼保連携型認定こども園保育要領の策定にあたり、さまざまな内容についての議論が必要かと思われます。子どもの生活の連続性や発達の連続性を重視することが重要かと思われますが、その中でも特に以下の内容について提案させていただきます。よろしくお願い致します。

1. 乳児保育(3歳未満児の保育)における養護と教育の一体性について

 乳児期の保育を通して、さまざまな養護と教育の一体的営みがなされることについて、幼保連携型認定こども園は、関心をより深めていく必要があると思います。

 例えば知的教育を例にしますと、知的教育とは手の届くところのものへの関わりです。 ものの特徴について関わりを通して感じ取ります 握る・触れる・舐めてみる なんでも口に入れるなど ものの働きを活動の目的から把握しようとします。 さらに、学び合いの始まりがみられます。 「もの」(人も含む)への興味や関心を高め活動を進める際のコツとして、他の子どもや保育者の模倣があります。一緒にいること自体から一体感を感じともにする行動から生まれ展開していきます。

 そのためには、乳児は保育者から十分な多くの養護的援助を受け、受容・共感される場面を繰り返される中で愛着関係が形成され、快・不快を体得することが大切です。

 養護と教育が一体となり、五感が養われる中で喜怒哀楽を十分に感じとれるように援助することも重要です。この心理的安定感の基盤があり、自ら学ぼうとする芽生えが成立するのだと考えます。

 乳児保育の出発点である乳児期における学びは、ささやかな子どもの経験から生まれる「次への芽生え」であると思われます。この乳児期の遊びを「学びの芽生え」の視点から考察してみますと、それは生涯の学びの出発点であり、この時期のあそびを、「小学校以降の教育の準備」として捉えるのではなく、「土台」(基礎)と捉えて、一人ひとりの子どもに対して長期的な視野を持った援助をする必要があります。

 そのためには、保育者の遊びの捉え方と見通しが「学びの芽生え」に結びつく重要なポイントです。具体的には、遊びの中で、興味を持ったり、気付いたり、考えたりする力を支え、伸ばすような援助をしていくことです

 つまり子どもが遊びの中で、楽しみ、試し、工夫し、見通しを持つというふうに、子ども自身が遊びを発展させていく「学びの芽生え」を大切にすることです。そのために、園の教材と子どもの活動と保育者の指導の関係を丁寧に記録することが重要です。
 さらに保育過程を分析して、そこからカリキュラムや保育計画・教育計画を再構築し、園内で保育のカンファレンス等を中心に保育について語り合うことが大切です。

 子どもの生活と発達の連続性を重視し、養護と教育の一体性について、3歳未満児保育と3歳児以上児保育との連続性を考慮した保育要領が策定されることが重要と考えます。

2. 保幼小中連携とふれあい交流の提案

 保育所保育指針解説書6章コラムにも紹介されていますが、「命の大切さ」、「子ども・家庭の理解」を推進するために小中学生と赤ちゃんとのふれあい交流を実施することは、児童生徒が赤ちゃんや子育てへの関心を高めたり、保護者の方との関わりを深めるといった効果が示されています。また、保育所、幼稚園においても、ふれあい交流を通して、地域の様々な人の輪を広げる一助となっています。

 2012年度から中学校の技術・家庭科(家庭科分野)で、「幼児とのふれあい学習」が必修化されたことにより、このような効果がさらに広がることが期待されます。さらには、生徒が親準備性を身につける機会を得たり、保護者が我が子への関心や愛情を示す生徒とのふれあいを通して、子育ての幸福感や充足感を高める重要な機会にもなります。

 寺田は23年間の継続実践や研究により「ふれあい交流授業」では、女子と男子が平等に体験できること、特に男子生徒は女子生徒より、ふれあい体験の前後で子どもへの好意感情と自己効力感が上昇するとの結果が示されました。

 このような交流を幼保連携型認定こども園で普遍的に取り組むことにより、保幼小中連携の効果は高まると思い、ここに意見を述べさせていただきます。

(以上の関連内容は、少子化対策白書・コラムの中に「中学生とあかちゃんとのふれあい体験学習」内閣府、平成25年7月「少子化の状況に及び少子化への対処施策概況」(第183回国会提出)の中にも掲載されています。)

 

お問合せ先

文部科学省初等中等教育局幼児教育課

指導係
電話番号:03-5253-4111(代表)(内線2376)

(文部科学省初等中等教育局幼児教育課)