資料3-4 委員提出資料

幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)に関する意見書

小奴可保育所 吉川 由基子

1. 全体を通して

○保育要領(仮称)については、法的な位置づけと子どもの最善の利益を尊重する観点から、遵守すべき事項と、配慮をしながら独自性を生かす事項の書き分けをしておくことが必要であると考えます。
○ 大綱化は必要ですが、基本的な事項については総てを明記し、すべての子どもに適切な保育・教育の提供ができると同時に、社会全体で乳幼児期の子どもの育ちについての理解を深め環境整備につながるようにしておくことが大切です。
○ 3歳からの学校教育ということで、あたかも子どもの教育は3歳から始まるとの誤解や、学校教育が保育の上位にあるという誤った概念形成につながらないようにしておくことが必要です。
○ 子どもの発達において、ここからが教育の時間、ここからが保育の時間と分けることは困難ですが、0歳から小学校就学前までの一貫した養護と教育が、生きる力の基盤となることについて、社会的なコンセンサスが得られるようにしておくことが大切です。
○ 幼保連携型認定こども園の特性や保育教諭の役割について、保育者だけでなく、保護者や社会が理解しやすい内容・表現とすることが必要です。
○ 現場での実践が円滑に行えるよう、この保育要領(仮称)の解説書を作成することが必要です。

2. 総則について

○ 保育要領(仮称)に示されている内容の要点が明確に読み取れるよう、適切な表現とされることが必要だと考えます。
○ 総則には、幼保連携型認定こども園の役割や社会的責任について明示しておくことが必要だと考えます。
○ 運営に関する事項と、保育内容に関する事項は密接に関連していることから、どちらも盛り込んでおくことが必要だと考えます。
○ 保育所保育指針に示されている、教育・保育の基本となる目標や方法などの「原理」について、保育所保育指針を基本として定めておくことが必要だと考えます。
○ 職員の資質向上 [保育教諭の役割の明確化 研修の義務付け 自己評価の推進]について明記しておくことが必要だと考えます。
○ 保護者支援・地域の子育て支援は、学校と児童福祉施設の位置づけを併せ持つ幼保連携型認定こども園の重要な役割です。保護者の子どもの発達に対する理解を促し、また、地域全体で子育てに取り組む状況を醸成し、養育力を向上させていくためにも、このことに関しての独立した章を起こすことが必要であると考えます。
○ 「教育課程の編成」「保育課程の編成」については、0歳からの発達の連続性と生活の連続性を確保する意味から、教育課程を包含して「保育課程の編成」としたほうが適切であると考えます。

3. 子どもの発達

○ 発達過程区分は、乳幼児期の子どもの発達の特性を踏まえ、育ちの連続性や育ちのプロセスを大切にした実践に結び付けていくうえで有効です。ただし、区分に示される内容がそれぞれの年齢における到達目標と誤解されないよう、その記述には配慮が必要です。
○ 発達過程区分の8つの区分と「おおむね」という表記は子どもの育ちの実態に沿っており、保育者にも保護者等にも理解されやすいと考えます。
○ 養護的機能が発達(学び)を支える基盤であることの明記が必要です。

4. 学びの連続性

○ 子どもの発達の連続性を確保するために、保育所における「保育所児童保育要録」と同様に、就学までの子どもの育ちに関する内容が記載されたもの(育ちを支えるための資料)を小学校に引き継ぎ、一人ひとりの子どもの成育歴や留意すべき事柄を小学校が受け止め、それに基づき小学校が必要な配慮等を行う体制を確立することが必要です。

5. 保育の内容について

○ 「0歳のねらい・内容・配慮事項」、「3歳未満の ねらい・内容・配慮事項」、「3歳以上児の ねらい・内容・配慮事項」とすることが必要だと考えます。
○ 上記のそれぞれの記述においては、子どもの育ちにとって養護的なかかわりが重要であることが読み取れる表現であることが必要だと考えます。
○ 乳幼児期の教育は、保育所保育指針に示されているように、「養護と教育」とが一体となっていることが重要です。幼保連携型認定こども園においても、これらが分断されて捉えられることがないよう表現されることが必要です。
○ 特別な配慮を必要とする子どもと一緒に生活することの意義や配慮事項について触れておくことが必要だと考えます。
○ 保育所保育指針では、障害のある子どもの保育について、一人ひとりの発達過程や障害等の状態を把握し、安心して生活できる適切な保育環境となるよう十分な配慮が必要であるとしています。こうした方針を幼保連携型認定こども園保育要領(仮称)に受け継ぎ、明記すべきです。
○ 衛生・健康・安全・食育は密接な関連性を持っており、とくに食育は保育の5領域との関連性が深く、保育の柱でもあることから、食育基本法の理念も踏まえ、すべての子どもに食育を行うことを明記することが必要です。

6. 保育の計画について

○ 一号認定・二号認定・三号認定とさまざまな利用形態があることや、生活の連続性や学びの連続性の確保、保護者との協働意識の醸成に鑑み、すべての子どもの個別計画が必要であると考えます。

 

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