高等学校教育部会(第19回) 議事録

1.日時

平成25年5月23日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

旧文部省庁舎6階 第二講堂

3.議題

  1. 高校教育の質保証に関する高大接続特別部会での意見について
  2. 多様な高等学校の学びについて(定時制・通信制について)
  3. その他

4.議事録

【小川部会長】
 定刻になりましたので,ただいまから初中分科会高等学校教育部会(第19回目)を開催したいと思います。
 お忙しい中,委員の皆様には御出席いただきまして,ありがとうございます。
 それでは,まず,今日の審議に関係します配付資料について,事務局から確認をお願いします。

【塩原教育制度改革室長】
 お手元の配付資料の確認をお願いいたします。本日の配付資料につきましては,議事次第にございますとおり,資料1,2-1,2-2,資料3,そのほか参考資料4点でございます。
 また,本日御出席いただいております全国定時制通信制教育振興会の方から,卒業生の手記,このピンクの冊子,生活体験発表会の収録,緑の冊子,さらには,委託事業調査研究の報告書,ピンク色の冊子,こちらの配付も頂いているところでございます。さらに,昨日,また本日行われました学校視察におきます説明資料につきましては,視察に御欠席になられた先生の分につきましては,本日の会議の机上に置かせていただいているところでございます。
 以上,本日の配付資料でございます。不足等ございましたら,お申し付けください。

【小川部会長】
 ありがとうございました。配付資料の関係はよろしいでしょうか。
 では,これから議事に入りたいと思いますが,今日は,お知らせしたとおり,議事次第に記載しているように,議題は二つあります。一つは,高校教育の質保証に関係してです。先月の4月24日に,ほかの部会ですけれども,高大接続特別部会第6回目が開催されたそうです。その高大接続特別部会において,本部会が1月にまとめた審議の経過について,それを事務局の方から報告していただきました。そこで,高大接続特別部会の方から,その審議の経過の内容について,特に高校教育の質保証や高等学校の学習到達度テストに関わって幾つか御意見も出たようですので,一応その高大接続特別部会での御意見を少し事務局の方でまとめていただきましたので,それを最初に報告いただいて,皆さんの方から何か御質問等々があれば,少し意見をお聞かせいただければと思います。
 ただ,この質保証の問題と高校学習到達度テストの仕組みについては,後でまた報告があるかと思いますけれども,8月以降別途改めて時間をとってじっくり本部会としても検討を進めたいと思いますので,今日はあくまで高大接続特別部会で審議の経過を報告し,それについて少し,今言ったような問題について幾つか御意見もあったようですので,その御意見を皆さんに御報告,御説明するというような趣旨ですので,その辺は御了解いただきたいと思います。
 もう一つ,今日の本題ですけれども,二つ目の議題とすれば,多様な高校教育のニーズに対応した学びということで,今日は主に定時制・通信制について議論をしていきたいと思います。よろしくお願いします。
 では,最初の議題ですけれども,高大接続特別部会での意見について,これも事務局の方から説明をお願いいたします。

【塩原教育制度改革室長】
 資料1を御覧ください。先月開催されました中教審高大接続特別部会におきまして,とりわけ高校教育の質保証に関わって,頂いた御意見について御紹介をさせていただきます。また,それに関連した大学入試の在り方等につきましての幾つかの御意見を頂いております。
 まず,高校教育の質保証一般につきましては,本部会におきますコアの検討でも指摘されたように,学力の3要素とともに,社会性を身に付けさせるということが高校以下では必要であるといった御意見,また,今の義務教育は学齢主義で,学力がなくても卒業できて,義務教育で質保証がなされていないのに,高校3年間で急に保証ができるのか,ないしは社会性を身に付けるといっても,一部では,生徒指導ができないような学校もあり,もっと勉強させる雰囲気を作ってほしいといったような御意見があったところでございます。
 また,高校生の学習意欲,ないし大学教育とのマッチングといった観点からは,高校教育,大学教育それぞれ共通して学習時間の低下という問題が指摘されていますが,そういったことは,例えば各教科の動機付けができていないといったところ,ないしは大学入学段階でのマッチングの問題なのか,どういったところに問題があってこういった現象になっているのかといった問題提起のほか,例えば早い段階で本当に行きたい大学,学部とのマッチングを行って,カリキュラムや本当に自分の将来生きていきたいコンセプトが一致するような取組を進める方が良いのではないか。ないしは,高校に入る段階でも,ともすれば入りやすい高校だからといって入ったけれども,自分は本当はこんなことをやりたかったというミスマッチが起こっているのではないか。大学も,行きたい大学よりは入れる大学,入りやすい大学といった方向に流れやすい傾向が最近の生徒にはあるのではないか。そんな中,大学に入ってもそのまま社会に出ていっても長く続かないといったことが起こっており,もう少し子供たちの本当にやりたいものは何なのかということを見極めていくことが必要なのではないか。こういった御意見を頂いたところでございます。
 さらに,大学入試と質保証の関係でございます。98%が高校に進学する現状では,入試でモチベーションの上がる生徒がそのうち一体何%いるのか。高校教育においても,自らが学びたいと思えるものを提供するべきではないかといった御意見。また,従来大学入試に求められていた学習意欲の喚起,幅広い学びの確保,学力の状況の把握といった,こういった三つの機能は高校教育が担うべきでないのか。選抜の問題で大きいのは,高校の質保証という基盤が崩れていることであって,高校段階の質保証の問題がもっと安定すれば,大学はもっと楽に入試ができるようになるかもしれない。こういった御意見があったところでございます。また,大学に入るという最低限のコアの部分の学力審査というのは必要であって,それがあれば,勉強しないと言われている層の高校生たちも,勉強しなくてはいけないという動機付けにもなるのではないかといった御意見があったところでございます。
 その次,到達度テストの在り方に関わっては,例えば到達度テストも生徒の学習意欲の向上につながっていくように,生徒の学習の修得状況を証明する機能を持たせること,さらには,就職,AO・推薦入試等に生かされるそういった仕組みにしていってほしいといった御意見。ないし高校のコアの部分を何らかの意味で測る際には,これをどのように大学入試,センター試験,AO・推薦入試その他と分担をしていくのか,つなげていくのか,いろいろな使い方,いろいろな考え方があり得るのではないか,検討が必要ではないか。さらには,高校卒業段階での教育成果の自己証明として,就職先での活用ももちろん,さらには大学4年間で入学時の学力をどう伸ばし,それを補っていくかということを,こういった到達度,自己証明を使うことによって学生自身も考えられ,大学側もそれに基づいて学習指導できるといった仕組みにもつなげていくことが考えられるのではないかといった御意見があったところでございます。さらには,到達度テスト,一番下でございますが,全国規模の学習到達度テストをAO・推薦入試等で活用することについては,これまでの高校の多様化の取組に影響を与えないような配慮もしながらやることが必要ではないか。こういった御指摘もあったところでございます。
 そのほか,大学入学者選抜との関連では,高校の教育にも目を配らなければならないが,やはり入試をきちんとやることによって,入りたい学生が発奮し勉強するような仕組みを作れば,おのずとそれが裾野にもつながっていくのではないか。大学入学者選抜は大学教育で学ぶことに必要な資質を持っているかどうかを測定するものであって,高校教育と重複する部分は確かに大きいが,それに限定されるものではないのではないか。さらに,社会が期待するような能力育成をする基盤を大学入試で測るためには,基礎がしっかりしていて,汎用的な活用能力を持っているかどうかというようなことを測るような入試に変えなければいけない。そういった汎用的な活用能力等を測るという際には,パフォーマンス評価の要素も入れていかなければならないのではないか,などのたくさんの御意見を頂いたところでございますので,御紹介させていただきます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 本部会での議論とかなりオーバーラップするような内容もあるかと思うのですけれども,いかがでしょうか。何か確認しておきたいこととか,御質問等々がございますか。よろしいですよね。また,8月以降,改めて質保証の問題と到達度テストの問題については,時間をとってじっくり議論していきたいと思いますので,一応審議の経過報告を高大接続特別部会の方にやらせていただいて,その反応というか,御意見を今日一応確認させていただいたというようなことにさせてもらえばと思います。
 では,1の議題については,これで終わらせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 それでは,次の議題に入らせていただきます。
 これについては,以前から御報告があったように,これから多様な高等学校の学びをいかにして保証していくかということで,定時制・通信制,そして,総合学科のテーマを取り上げるというようなことを予告しておりましたけれども,今日は,従来,勤労青少年への教育の機会均等を保障する役割を担ってきたというように評価されてきた定時制・通信制の課程について,現状,そして,課題などを審議していくために,今日は,全国高等学校定時制通信制教育振興会専務理事の石曾根誠一様をお招きしまして,御意見を伺うことにいたしたいと思います。
 進め方ですけれど,まず最初に,定時制や通信制教育に関わるいろいろなデータを整理した上で,少し経緯や現状について,まず事務局の方から,大体10分から15分ぐらい説明していただいて,その後に石曾根さんの方から御報告していただくという段取りで進めさせていただきたいと思います。その後,質疑の時間をおよそ1時間程度とりたいと思いますので,よろしくお願いします。では,最初,事務局の方からよろしくお願いします。

【塩原教育制度改革室長】
 よろしくお願いいたします。
 定時制・通信制につきまして御議論いただく際に,まず,今までの高校部会での議論でも時々このテーマに触れたこともございましたが,改めて定時制・通信制高校の現況等につきまして,大まかな最近の状況等につきましての御説明をさせていただきたいと存じます。
 資料2-1として,本当に大まかな傾向でございますが,まとめたものがございます。大きく最近の役割の変化,実態の変化,さらには最近の制度改正等々について触れさせていただいております。
 まず,資料2-1の1.役割の変化でございます。この定時制・通信制高校の制度は,戦後,就業のために全日制高校に進学できない青年に後期中等教育の機会を提供するものとして制度化されたものでございますが,その実態はその後,様々な経済社会の変化に伴い,働きながら学ぶ勤労青年の数が減少することに伴って,生徒像,実態が大きく変わってきているところでございます。とりわけ最近の定時制・通信制高校につきましては,全日制課程からの進路変更に伴う編入学・転入学者,中退経験者,ないしは中学校までは不登校だったという不登校経験者などの自立に困難を抱える者などなど,様々な入学動機,学習歴を持つ者が多くなっているという状況でございます。そういった中,定時制・通信制の役割といたしましても,従来の勤労青年のための教育機関としてだけでなくて,多様な学びのニーズとしての受け皿としての役割が増しているところでございます。
 ちなみに,参考データ,定時制・通信制,勤労青年の割合というところで,今,実態を見ていただきますと,かつて昭和50年代でございます。定時制では約8割,通信制は約7割がその勤労青年によって生徒が占められていたわけでございますが,これが正社員,パート等働きながら学ぶ者がそういったところでございますが,それが最近ではそれぞれ4割前後となり,さらには,いわゆる定職者,正社員や契約社員・派遣社員,バイト等は除く形でございますと,昭和50年代はこれが6割以上あったわけでございます。中卒後,就職して企業で働きながら,でも,高校卒業資格は取っておけということで,企業も定時制に通わせてもらうと,そういったモデルがかつてあったわけでございますが,そこが最近非常に少なくなっていまして,定職者の割合は,今,平成23年では定時制で2.7,通信制でも7.1と,このような状況になっているところでございまして,むしろ,とりわけ最近の定時制・通信制につきましては,不登校,中退経験等,学び直しの機会の提供など,困難を抱える者の自立支援等の面での期待が大きくなっているというところでございます。
 続きまして,2ページ目,実態の変化について,幾つかデータを拾っているところでございます。まず,学校数・生徒数の推移でございますが,高校全体の学校数,生徒数が減少する中にあって,定時制の生徒数,通信制の学校数,生徒数はなお増加傾向にあるところでございます。定時制課程で見ますと,平成24年度には高校全体の13.6%に当たる681校が定時制の課程を置いている。生徒数でいいますと,全体の3.2%の約11万人が定時制に通っているという状況でございます。また,通信制課程につきましては,こちらも平成16年度以降生徒数の増加基調がまた続いているところでございまして,学校数・生徒数とも増えている状況でございまして,生徒数,これは平成16年度現在ですと,全体の4.7%の18万人だったものが,24年度には5.3%の19万人規模に,さらに学校数につきましても,平成16年度には全体の2.8%の152校だったものが,24年度には全体の4.3%の217校にまで増えている状況でございます。とりわけ最近の増加につきましては,学校数の下のところ,広域通信制とお示しをさせていただいておりますが,通信制の中でも,複数県にまたがる生徒に対して教育を行う広域通信制の課程の数が多くなっているところでございます。
 続きまして,2番,3ページでございます。定時制・通信制における学び直しの状況についてのデータでございますが,ある高校を退学した後,同一の高校又は他の高校に改めて入学したという再入学者・編入学者,これ,高校全体のうち約9割は定時制ないし通信制においてその学び直しの機会を得ていると,このような状況でございます。内訳としては,定時制で2割強,通信制で7割弱と,このような状況になっているわけでございます。
 また,不登校・中退の状況でございます。これは定時制の方のデータでございますが,定時制課程における不登校生徒・中退者の割合は,高校全体の平均に比べると高い割合となっておりまして,これは平成23年度でございますが,不登校の率は,定時制だと高校平均の9.2倍に当たる15.7%,また,平成23年度間に中退した中退者の中退率でございますが,これは高校平均の7.3倍,11.6%,このような状況でございます。
 以上,生徒等の実態でございますが,4ページ,3番は,定時制・通信制に関する近年の主な制度改正について御紹介をさせていただいています。まず(1)番,単位制高校の創設,こちらはもうかなり前になりますが,昭和63年,単位制高校の制度は,まず,定時制・通信制の課程から導入をされ,その後,平成5年に全日制に拡大していったという経緯でございます。こういった単位制の特色を生かし,さらには,総合学科等の制度も活用しながら,定時制高校等では,例えば東京都のチャレンジスクール,大阪府のクリエイティブスクール等の取組がその後展開していったと,このようなところでございます。
 また,修業年限の弾力化,これは平成元年,従来4年以上であった修業年限を3年以上に弾力化しているところでございまして,履修上無理がなければ,全日制と同様,定時制についても3年での卒業が認められることになったわけでございます。こういった制度改正を受けて,午前・午後・夜間の三部制を設けている昼夜間の定時制高校が増加しておりまして,こういった学校では,一般には,午前の部に在籍する生徒が一部午後の部等での履修を行うことによって,3年間で卒業可能となる三修制の導入が進のできたところにございます。定・通とも今は約7割が三修制を実施しているという状況でございます。
 さらに,3番でございます。通信制課程におけるインターネット等の活用ということでございまして,通信制課程,添削指導と面接指導と試験,これによって教育課程を編成し,評価を行いと,こういう形になっているわけでございますが,その面接指導の一部をさらに放送ないしはインターネット等を活用した,そういったメディアを利用することによって面接指導の時間数を一部削減する,免除する。全体の10分の6までは免除していいと。このような学習指導要領の改訂,一部手直しが平成15年に行われております。こういった制度におきまして,例えば不登校児等のためにはなるべくスクーリングを少なくして,でも,高校の課程を修了できる。そのようなコンセプトの高校が可能になっておりまして,例えば東京都のトライネットスクール等の取組がこういった制度改正の上に展開をしていったということでございます。
 さらには,高校通信教育規程の改正でございます。こちらは,通信制課程の設備,編制等を定めているところでもございますが,通信制の課程の設備,編制につきまして,教室,校舎等につきましては,特別の事情があり,教育上,安全上支障がない場合につきましては,自前の校舎,教室等を整えなくても,他の学校等の施設・設備を使用できること。このような規程の改正等が平成18年にも行われていると。これが大きな最近の流れというところでございます。
 以上,全体的なところでございますが,併せて,資料2-2でございます。少しまた補強的な意味で,データ的なところを少しかいつまんで御説明をさせていただきたいと存じます。
 資料2-2,最初の1は,生徒数,学校数等のトレンドを少し詳しく1ページから載せさせていただいておりますが,5ページ,先ほど最近の学校数の増,通信制の学校数の増は,広域通信制高校の設置数の増によるところも大きいと少し御説明させていただきましたが,この広域通信制の増というところでは,とりわけ平成10年代以降,大きく伸びているところでございまして,また,その中では,私立,とりわけ株式会社立の学校による参入というところの影響もあるという,このような推移できているところでございます。
 また,6ページでございます。定時制・通信制の設置形態,いわゆる全日制等との併置型なのか,ないしは定時制・通信制の単独型なのかという状況でございます。定時制でいいますと,定時制単独が26%,併置が74%,通信制でいいますと,単独型が42%,併置型が58%というのが最近の推移でございますが,とりわけ通信制は単独型,いわゆる独立通信制の高校が増えてきているというのが最近の状況としても見受けられるところでございます。
 続きまして,生徒の状況でございます。8ページを御覧ください。生徒の入学生の内訳,2-1としてお示しをさせていただいておりますが,生徒が入学したときに,これが中学新卒からすぐに定時制・通信制高校に入ってきたのか,中学既卒者,若干回り道をしてから来たのかというところでございますが,中学既卒者につきましては,定時制は大体16.8%,通信制については35.8%,このような割合になっております。
 また,10ページ,中退率,不登校,先ほども少し触れさせていただいていましたが,中退率の方につきましては,最近,また直近では増えておりまして,定時制と全日制の差は広がっている。一方,不登校につきましては,近年では定時制も全日制もともに減少傾向でございますが,その差はかつてより縮まってきている状況でもございます。
 続きまして,12ページでございます。在籍生徒の年齢構成,2-7でございます。こちらにつきましては,先ほど東海大望星高校等では,何か若年化なんていう,少し御説明がございましたが,最近,いわゆる中学を卒業して,その後高校に入ると,4年生までだと大体15から19歳という分布になりますが,15から19歳という,このレンジで大体全体の8割ぐらいの生徒がここの中に入っていると。さらに,二十歳,20代前半が一定割合いるということでございますが,このような分布ということ。また,2-8,生徒の状況,不登校経験の割合につきましては,定時制で3割,通信制だと15%程度と,このような数字も出ているところでございます。
 続きまして,13ページ,生徒の入学動機や学習歴等,こちらの方で出ていますが,入学動機につきましては,定時制・通信制ともですが,高校の卒業資格が必要だと思ったというのが最も多く,また,全日制高校を受験したかったが,合格する自信がなかった。ないしは受験したが,合格しなかった。こういった一種,不本意入学的な者につきましても,定時制で約2割,通信制で1割,こういった層もいるという実態でございます。
 また,その次,現在の学校が何校目の高校かという質問でございますが,定時制につきましては,3割が2校目以上,通信制につきましては,約5割が2校目以上の高校であるという,このような実態です。
 さらにその次,家庭等での1日の平均の学習時間というところにつきましては,ほとんどしていないが,定時制だと77.1%,また,非常に通信制でも,最近のおもしろい傾向でございますが,通信制でも自宅でほとんど学習していないという,こういった通信制の生徒が約5割いるということでございます。この実態の背景には,通信制をとっているけれども,週何日,スクーリングをしていると,そのようなタイプの通信制が増えていることとの,そういった背景もあってのことかと思われます。
 また,その次でございますが,こういった生徒の卒後の進路でございますが,18ページでございます。定時制・通信制の生徒の卒後の進路状況でございますが,まず,定時制,18ページの下でございますが,20年前の平成4年当時では約7割が就職をしていたところでございますが,24年度,20年後には,就職は約3割にまで減っております。一方,進学も,就職もしないという生徒の割合が35.2%,これが定時制でございます。また,通信制につきましても,平成4年ですと,6割が卒後就職をしておりましたが,平成24年ではこれが14.3%まで減っております。そして,進学も就職もしないという生徒が44.5%,このような状況が出ているところでございます。
 20ページ目以降は,主として,これは通信制高校の教育活動についてのデータでございます。21ページ目以降には,添削指導の状況,ないしは面接指導等についての実施状況等につきまして,データを掲載しているところでございます。
 また,さらに24ページ,4-7,通信制高校在籍者に占める未履修者の割合ということでございますが,未履修者,通信制高校に在籍はしているものの,その年度に1科目も科目登録をしていない。一種の幽霊生徒のような形になっている生徒の割合がこちらのグラフでございます。通信制というと,かつてのイメージですと,入るのは入りやすいが,自学自習できちんとレポートを出さないと卒業できないと。そういった中で,ともすると,卒業の見込みのないまま在籍だけして過年度在籍になっており,そのような者も一定割合いる。そういった生徒は,籍を置いているだけで科目登録もしていないと,こういったことが,かつては一つの通信制高校等については,実態としてあったことを指摘されておりましたが,そういった状況,公立については,引き続き一定割合,そういった未履修者がいる,こういったところの傾向が続いております。一方,私立については,こういった未履修者については,その割合は公立に比べると低めでございます。また,最近も若干増えたかと思っていますが,また減ったりもしていると。このような状況でございます。ある意味,きちんと入学すると,履修をして卒業しているというところであるのかもしれないというところでございます。
 なお,広域通信制に関わっては,最近,文部科学省が行った学校設置会社による広域通信制学校の実態調査等の中でも,幾つか不適切な事例等も見受けられたところでございまして,広域通信制に関わる不適切な活動事例,最近は指導事項というところで,これが課題として挙がっているところとして幾つかお示しをさせていただいているところでございます。
 そこの点,まず一つ目,学校の管理・運営の面では,例えば提携する民間教育施設が当該学校の看板を掲げている。学校が備えるべき表簿が提携する民間教育施設において保管されている。民間教育施設において,当該学校の教員でない者で校長の監督権が及ばない者が添削指導や試験の実施等の学校教育活動を行っているといったような,学校の教育活動と民間教育施設の教育活動とが混然一体となった運営が行われていること等についての指導,指摘。ないしは教育活動の実態としても,添削指導がマークシート形式など,機械的に採点ができるような課題や添削指導,択一問題のみで構成されるといった課題で行っているといった事例,ないしは多様なメディアを利用して学習を行うことによって,面接指導時間の一部免除をしているのだが,そのメディアを利用した学習の視聴確認や成果の評価等が行われていない。さらには,試験については,試験を自宅試験の方法で行っている。全ての科目において自由な成果物の提出により試験の代わりとしている。試験問題が毎年同じといったような事例等も見受けられ,最近の通知等による指導なども行われていると,こういった実態もあるところでございます。
 以上,幾つかのデータ等々につきまして,御紹介させていただきました。どうぞよろしくお願いします。

【小川部会長】
 ありがとうございました。質問等々があるかと思いますけれども,それはこの後の石曾根様の御報告を受けて,また一括して質問の時間を設けたいと思いますので,そのときによろしくお願いします。
 じゃあ,引き続いて,石曾根様より御報告をよろしくお願いいたします。

【石曾根常務理事】
 石曾根でございます。この会にお招きいただきまして,意見を述べさせていただくという機会を得られましたこと,本当にうれしく思っております。どうもありがとうございました。
 まず最初に,我々の財団について少し御報告させていただきたいと思いますけれども,我々の財団といいますのは,昭和39年に認められまして,財団ということになりました。昨年4月からは公益財団法人に認可していただきました。そのときに言われましたことは,特別な公益法人ですねと言われましたことは,我々のところでは,理事,評議員さんは全国にまたがっておりますけれども,東京で会をするときには,全部の方に旅費等は自弁で来ていただくという形になっておりまして,さらにそれに加えて,役員は年間数万円の負担金を納めてもらうということでございます。ですから,皆さんが非常に真剣になって取り組んでいただけるということがいい点だというふうに,皆さんに少し紹介させていただきたいということで,紹介させていただきました。
 それで,まず,一番最初に,今,事務方からもお話がございましたけれども,私が定・通に関わりましたのは,昭和30年の半ば過ぎでございましたけれども,その当時の生徒は100%勤労青少年でございました。そして,周りから言われますことは,金の卵ということで,非常に貴重な人材であったわけでございますけれども,その後,昭和40年の後半からは,だんだん内容が変わってきまして,生徒数も激減してきました。それと同時に,生徒の質も変わるような形になってきまして,勤労青少年よりも,むしろ現在は無職の子供たちが多くなってきていて,さらに,支援を要する子供たちがますます増えてきているということを最初に皆さんにお話をして御理解いただければと思っております。
 それで,今日,皆さんのお手元にお配りさせていただきましたピンクの冊子がございますけれども,これは,昨年の後半に文部科学省の委託を受けて調査をさせていただきました。前々からこのような調査をして,学校及び生徒の実態を知ることが今後の教育に対してどれだけ大きな力になるかということを話し合ってきていたわけですけれども,幸いこのような機会を得まして,そこにずっと表を作ってありますので,今,事務方からも細かく連絡がございましたけれども,それを見ていただきますとお分かりかと思っておりますが,まず最初に,変わってきたなということは,定時制・通信制高等学校というのは,就学年数が4年以上の生徒だ,又は学校だと思われたかもしれませんけれども,これは,現在は三修制といいまして,3年で卒業できるということをここでお伝えしておきます。ということで,それでは,どうして3年で卒業できるかということになりますと,いろんなところで単位を取れるということ。一つは,以前は大学検定試験といいまして,今は高等学校資格試験という形で,それを受けて合格すると,それで単位を認めるということになったり,そういうもろもろの単位の取得を認められることになりまして,こういう形になりました。それで,現在は三修制ということで多くの生徒たちは3年で卒業してしまうというようなことでございます。
 それから,先ほども申しましたように,現在の定・通の学校で大変悩んでおりますことはどのようなことかといいますと,まず,学習障害,又は発達障害の生徒が多くなりつつあります。学校によっては1割以上こういう生徒がいるというようなことであったり,さらには外国籍の子供が増えてきておりまして,この子供たちの数は少ないのですけれども,日本語が十分理解できないという子供たちがおりまして,この子供たちの面倒をみるということがものすごく大変な学校現場でございます。
 そういうようなことであって,また,もう一つは,学校に入学する動機というのは,以前でしたらば,高校を卒業して大学に行こうというふうに考えた子供がたくさんおりました。ですから,私が関わりました30年代の子供たちのほぼ8割以上は,何らかの形で上級学校に進学をして立派な生徒を上げておりますけれども,現在では,先ほども話が出てきましたけども,せいぜい十数%の子供たちが大学を,又は専門学校を目指すというような状況でございます。
 それから,もう1点は大きく違っていることは,その中にもありますように,こういう生徒を扱うためには,スクールカウンセラーなり,養護教諭なり,相談相手になるような方を必要とするわけですけれども,この事務方の表の中ではそういう方々があるというグラフが非常に大きく出てきておりますけれども,その中身を見ますと,週に1回とか,月に1回というような様子でございます。ですから,生徒はなかなかなじめないものですから,相談するにもなかなか難しくなってきておりまして,このようなことにはどのような方法をとったらいいだろうかということに学校現場では悩んでいる状況でございます。
 さらに,家庭的なことに関しまして,ここのデータでは,見てみますと,独り親家庭に属する子供たちというのが非常に多くなってきております。それで,現在は家庭教育の重要性はよく言われておりますけれども,この家庭教育の重要性というのは,どこでどのような形になっているんだろうかというように思わせられるようなことがよくあるのですけれども,例えば私どもは,夏,ちょうど,定・通生徒で,昔は働きながらということですから,夏季休業中にスポーツ大会を行っているわけです。全日制は高体連という組織がございますから,そこでインターハイをやっておりますけれども,定時制の場合にはそこで競技をして競争にはならないということで,定時制独自のスポーツ大会を行っておりますけれども,我々はできるだけ生徒に自信を持ってほしいということで,一流の会場を借りて競技をするように努めております。国立競技場なり,神宮球場なり,それから,有明のテニスの森公園なりを使って努力はしているのですけれども,残念なことにここに観客といいますか,応援にきてくださる方というのはほとんど見えません。ちょうどそのときは,全日制では甲子園のあのにぎやかな大会に比べまして,例えば神宮球場で大会をやりましても,バックネット裏にわずかぱらぱらと観客が,観客というよりも,生徒の応援団がいるというくらいでございまして,ほとんど無関心です。保護者もほとんど来てくれません。11種目の大会をやっておりますけれども,どの大会に行っても,ほとんど大会に参加して試合のない子供たちがギャラリーにいるというような状況でございまして,これで家庭教育というか,そういうものが成り立っているのだろうかと思わざるを得ないところがたくさんございます。
 それで,特に定・通の生徒はコミュニケーション能力が落ちているというふうに言われるわけですけれども,こういうような状況ですから,家庭でいろんなことを相談するというようなことはほとんどないように思われます。それで,この調査の中でも見てもらいますと分かりますけれども,悩みがあったときに誰に相談しますかという問いに対して,「相談する相手がない。」,こういう子供たちがかなりの数に上っております。ということは,本当に話をする相手がないということでございまして,このような子供たちにどのような方法でどのような教育をしていったらいいのだろうかということに学校現場ではとても悩のでいるところでございます。
 そこで,私どもの財団では,いろいろな方法を考えていかなくてはならないのですけれども,まず,基礎学力の充実というのは,とにかくこれは大前提としまして,今は何を考えてこの子供たちを育てていったらいいだろうかということを考えているわけですけれども,今,世の中を見ますと,青少年犯罪がすごく多くなってきております。例えば犯罪でなくても,電車に乗ろうとしましても,優先席のところにはほとんど学生が座ってしまう。あとの年寄りが立っていても知らん顔して,そこで携帯電話を一生懸命になってみんなで話し合ってやっていると,見せ合ったりしているというような状況です。それを注意する人さえもいないわけですけれども,こういうことを考えると,定・通の生徒たちには,相談相手もないということもあれば,考えていくことは何が必要かというと,まず人間として社会人としての基本的なルールをきちんと身に付けさせるということを大前提にして,人間教育をきちんとやっていく。みずから汗して働いて生活をしていくのだということを教えていったらどうだろうかというのが我々の財団での基本方針でございます。こういう形で,若者の罪悪感というよりも,修年以降の罪悪感という,社会的ルールをきちんと身に付けさせるということの方が大切でなかろうかというようなことで,今,頑張っているところでございます。
 それで,ここのお話の中では,事務方がかなり細かくお話をしてくださいましたので,私の方から,特に説明を追加することはないのですけれども,大きく変わってきている点だけ二,三を述べさせていただきますけれども,定・通の生徒というのは,以前は,まず,中学校を卒業して,集団就職等で企業に就職して,翌年に学校に入るというようなことですから,過年度生が非常に多かったのです。それに比べて現在は,ストレートで中学校から高等学校に来るという生徒がほとんどでございます。これは中学校に就職の申し込みがなく,高等学校を出なければ就職もないということで,かなりの生徒は学校にも来ずに家庭で遊んでいるという子供たちが多いと思っております。俗にニートと呼ばれる生徒は,定・通に学ぶ生徒の倍以上の人間が何にもしないで家にいると思っておりまして,こういう生徒をできるだけ学校に呼び寄せたいなと思っているところでございます。
 さらに,こういう生徒のことを見ていきますと,例えば我々の財団でこういう生徒のために努力してくださった方に,総会といいますか,大会の折に皆さん,そういう方を表彰したいということでやっておるのですけれども,各県を持ち回りで大会を8月にやっているのですが,その場合に表彰したいのだけど,出席してほしいといいますと,「旅費がないから出られません。」,こういう回答が出てきます。というようなことで,だんだん,高等学校に学ぶということは,障害のある生徒が多くなると同時に,経済的困窮をしている家庭の子供たちが非常に多くなってきているのではなかろうかなと思っております。この辺を是非先生方によく考えていただければと思っております。
 それで,先ほどから定・通の生徒の退学率がとっても多いというふうな話が出てきますけれども,これは不本意入学であるものですから,どうしてもこういう傾向が強くなってきます。学校では一生懸命になって引き留めて努力をしております。もう本当に定・通の先生方というのは,ここにも何人も傍聴に見えております。経験者もおられますけれども,大変な努力をしているわけですけれども,本当に何か事あるごとに,つい先日も,二,三日前ですかね,何か事件があると,すぐ高等学校の生徒という形じゃなくて,必ず定時制・通信制の生徒であるというような報道をされてしまいますと,あの定時制・通信制高等学校というのは,そういう生徒だけがいるのだというようなイメージを植え付けられてしまうというようなことが多分にあるのではなかろうかと思いますし,それから,先ほど事務方から連絡ありましたように,学校を卒業しても,就職も学校にも行かないという子供たち,何もしないという子供たちのパーセンテージが非常に高く出てきておりますけれども,それでは,これは何を意味しているかというと,この人たちは要するに学習障害であったり,それから,メンタルの問題があったり,いろいろな問題を抱えている子供たちだと見てもらえればよろしいかと思っております。何らかの形でとても大変な状況であると思っておりまして,もう最初から学力がないというのではなくて,小中学校からこういうような状況が続いている。親は子供に対してほとんど関心を示してくれない。全日制のPTAでしたらば,ほぼ全員というくらい親,保護者は学校に行ってくれると思いますけれども,定・通の場合,特に定時制の場合を見てみますと,まあ,数人でございます,多くの学校では。特別な学校は非常にたくさん集まってくださるというような話も聞いておりますけれども,私は全国的なところを回ってみますと,本当に家庭の理解がない,得られない。私の経験から申し上げますと,両親が視覚障害者や聴覚障害者でございまして,子供はその目になったり,耳になったりして活動している家庭も何件かございました。そのような家庭ですと,どうしてもこのまま貧困の連鎖になってしまうような気がします。ですから,ここのところは,ただ定・通というのは,底辺というだけの子供たちでなくて,もっともっと大変なところにあるのだということを御理解いただきたいと思っております。
 そのようなことで,時間になりましたので,このくらいにしまして,あとは御質問があったらお答えすることとさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 先ほど資料1,資料2-1,資料2-2に基づいて事務局の方から説明いただきました。また,加えて今,石曾根さんの方から御報告いただきました。残り1時間ぐらいありますので,皆さんの方から御質問,そしてまた,御意見を頂ければと思っています。昨日と今日,部会で総合学科及び定時制・通信制への視察をしてきました。今日のテーマに関わっては,昨日の夕方,定時制でメンバーである長山委員が校長されている六本木高校を視察してきましたし,今日の午後,この部会の前には通信制ということで,代々木にある東海大附属望星高校という広域通信制の視察を行ってきました。そうした六本木高校の視察,そして,望星高校の視察の資料等々については,参加されなかった方については机上で関係資料を配付しているかと思いますので,そうしたことも含めて材料にしていただきながら,少しこれから御質問,御意見を伺いたいと思います。
 まず最初,何か今の報告について質問等々がございましたら,まず質問を受け付けたいですけれども,いかがでしょうか。服部委員,どうぞ。

【服部委員】
 先ほど事務方の説明の中で,資料2の11ページ,今,少しおやと感じたことが1か所あったものですから,少し伺いたい。事務方に答えてもらうか,今の先生の説明であったかもしれませんが,生徒の退学理由というところで,定時制と通信制では経済的理由が圧倒的に多いですね。ということと,それから,もう一つ,併せて見たいのは,先ほど説明の中で,この資料24ページのところで,通信制高校在籍者に占める未履修者の割合というのを見たときに,近年,特に公立の場合はもうそのままずっと割合が高いのに,私立は著しく下がっているという。これ,ひょっとすると,私,今日の昼間に見た東海大望星高校では,例えば通信制で修業年限というのを定めていないというようなことを伺ったのですけれども,例えば,これ,通信制の場合,私立の場合は何年授業料を納めないと退学とみなすとか,あるいは修業年限がある程度あるのかどうか。それによって経済的な理由で退学をせざるを得ないというようなことが特に今,通信制にはあるのではないかなという疑問を持ちました。
 そのことによって,例えば先ほど言った24ページでは,未履修者がこれだけ私学の方に少ないというのは,要するに,学籍を置いていないから,未履修も必然的に少なくなると。公立の場合,私も公立の高等学校の定時制,通信制も見てきたのですけれども,公立の場合はわりと緩やかに,何というか,籍を置いているのです。したがって,例えば未修学であっても,学校に籍を置いて,俗に幽霊学生みたいな言い方もすることもあるのですが,ずっといるために未履修のままに学籍があるということで,高い率があるのではないかと思います。通信制の場合にそういう修業年限みたいなことがあるのかどうか。特に公立と私立でそういうことを設けているところがあるのではないかということを少し疑問に思ったものですから,その辺のことについて少し伺いたいと思います。

【小川部会長】
 これはもう石曾根さんの方にお答えいただいて,あと,長山委員も何か御説明,補足あればよろしくお願いします。

【石曾根常務理事】
 分かりました。私は,このグラフだけではどうこうとはなかなか言えないと思いますけれども,ただ,最近はあまりそういう苦情はなくなりましたけれども,前に私のところへはよく電話で苦情がありました。数年前くらいですけれども,それは一体どうなっているのだろうというような話が出てきますけれども,公立の学校はレポートがすごく厳しいし,それから,試験もきちんとやっているということで,なかなか合格しにくいということが第一に私は挙げられると思います。
 ですから,公立の定時制を中退しますと,子供たちの多くはどこに行きたいと言うかというと,お金は掛かるけれども,私立の通信制に行きたいと,このように申します。ということは,あとは,私がそれ以上のことは分かりませんから言えませんけれども,御判断願えればと思っておりますけれども,例えばスクーリングは,きちっとしたところでは,皆さんが行かれたような望星高校とか,それから,六本木なり,東京ではチャレンジスクールと言われるようなところでは非常にスクーリングも厳しく,出欠もとられます。ですけれども,私学の広域の場合には,私塾でスクーリングができるというふうなこともございます。ですから,聞いた話では,私塾で簡単にお話を聞いて,それでレポートを出せばいいんだよというような子供たちがおりました。「それじゃ困るじゃないの」と言うと,「いや,困るのは生徒であって,学校は困りません。」と,このような回答もございました,あるところではですよ。
 そのくらいでよろしいでしょうか。

【小川部会長】
 長山委員,何か補足説明はございますか。よろしくお願いします。

【長山委員】
 通信制の未履修生のことについては,私も,実は10年ほど前に上野高校の通信制,最後のときに教頭でいたのですけれども,そのとき,上野高校の場合には在籍年数の上限がなかったものですから,それこそもう10年,20年在籍している生徒の方もいました。ただ,通信制が上野高校から一橋高校へ移るときに,やはり生徒の在籍定数管理をするべきだろうということで,現在では,一橋高校の方では多分一学年240人になっていると思います。それから,そのときに砂川高校がでてきて,先ほど少し出ましたトライネットスクールということで,砂川高校と併せてということなのですけれども,その中で在籍管理したと同時に,修業年限も一応6年ですとか,8年とかというふうに切っているところですので,未履修といっても,おそらくその上限に達するまではいるのだろうなということで,この辺のところは変わらないだろうと思います。
 それから,他県の場合には分かりませんけれども,県によっては,公立でもまだ在籍年限,上限を決めてないところはありますし,それから,上限を決めてある程度管理しているところもあると思いますけれども,その辺の違いがあるかと思います。
 それから,私立の方は,先ほど石曾根先生もおっしゃいましたけれども,場合によったら,広域の場合でも古くからの学校はやはりきちっと生徒管理をしていますので,その辺のところをしっかりと未履修を出さないような対策とか,いろいろとっているのではないかと思います。
 それから,経済的な面でいいますと,定時制・通信制のところで経済面で退学者がいるというのは,やはり授業料が無償化になったとしても,それ以外のところで掛かる教育費用というのはありますので,そこでなかなか,先ほど石曾根先生の方からのお話にもありましたけれども,両親そろっている家庭というのは非常に少なくなってきておりますので,なかなか経済的に困窮している部分,自分が働かなければ,あるいは既に生活保護を受けて,ぎりぎりのところでやっているというところで,そういう意味でなかなか学業が続けられないということがあります。例えば修学旅行,来月私どもの学校でも修学旅行があり,行かせてあげたいですけれども,入学のときからの積立金がたまっていかない。所要の経費が積み立てられないということで行けない生徒もやはりかなりの数がいます。これはおそらくどこの定時制でも変わらない状況だと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 服部委員,何か。

【服部委員】
 すいません。私の質問の趣旨が少しずれたかもしれませんが,主に,例えば11ページの方で,退学の理由のところで定時制と通信制とこんなに差があるということがむしろ主だったのですが,通信制の場合は41.1%が経済的理由で退学するというのは,ひょっとして私立とか,私学の通信制の場合は修業年限を……。
 違いますか。あ,そうですか。ごめんなさいね。はい。すいませんでした。
 二つ目,未履修のことはよく分かりましたので,はい,ありがとうございました。

【小川部会長】
 ほかに,あと,どうでしょう。質問,そしてまた,御意見など,特に昨夕と今日,部会の前にいろいろ視察していただいた感想なんかもあるかと思いますので,そうしたことも含めて質問,御意見。では,荒瀬委員,お願いします。

【荒瀬委員】
 昨日,今日と3校見せていただいて,こういった取組を丁寧になさっていらっしゃる,そういうところもあるのだということを改めて知ることができて,本当に行かせていただいてよかったと思います。
 ただ,少し失礼な言い方になるかもしれませんが,高等学校をそんなに御覧になっていらっしゃらない方は,あれが全てであるというふうに思われると,またこれも誤解を生じますので,今後の議論に影響してしまってはいけませんので,知っていると思っている人間も,御存じではない方も,一つの例として,昨日,今日と良い機会を頂いたということで考えなければならないなということを思っております。少しこれは偉そうな言い方で申し訳ありません。
 それで,今日,先ほど見せていただいた東海大望星高校でお聞きしたことと,具体的に今のお話もそうでしたし,その前に御説明いただいた資料での中身もそうだったのですが,私が非常に気になりましたことは,資料2-2の25ページの4-8の資料で,広域通信制課程に関わる不適切な活動の事例ということです。これも既にお話も出ておりましたけれども,今日の東海大望星高校のお話と重ね合わせますと,この実態というのはもう少し詳しく調査をしていかないといけないのではないかなということを思った次第です。
 例えば望星高校でおっしゃっていましたのは,4月入学3月卒業という一つのパターンと10月入学9月卒業というパターンがあるそうです。で,3年以上ということになっているということでしたが,それでもやはり問い合わせが途中であるらしくて,それでも対応できるのは11月までだということをおっしゃっていました。途中で入ってくるのに10月からのクラスに入ることができるのは11月が限度ですと。どうしてかというと,その高校生たちの学びの形というのが,まあ,単純な言い方ですけれども,きちっとなさっていますので,11月ぐらいに入ってもらわないと,所定のやるべきことをできないということをおっしゃっていました。ところが,それに対してとっても厳しいですねというふうな声もあった,保護者とか,生徒,あるいはまた他の広域通信制の学校からもお話があるようでして,1月に入っても3月までの間に40単位ぐらいが取れるみたいな,そういった学校もあるというようなこともお聞きして驚いた次第です。
 委員のお一人が御質問になって,そもそもどういった入学の動機をもってこの東海大望星高校に入ってこられるのですかという御質問に対して,校長先生や教頭先生が答えておられましたのは,高校卒業ということを目指して入ってきますと。それを承りまして,後からほかの委員の方ともお話ししていたのですけれども,8月以降に改めてということなのですが,高等学校教育で身に付けるべきコアとは何かというところに,その高校を卒業したいという思いで入ってくる生徒たちがいるということと重ね合わせて考えていくことができるのではないかなということを思いました。高校を卒業するということは,それほど重い意味で子供たちが受けとめているというのはとても大きなことだなと。
 ところが,一方で,その高等学校卒業というのを極めて簡便にやってしまっている通信制があるのではないかということを思いました。今日拝見したのであれば,部屋だけで1億円掛かるスタジオを2室も持っていらっしゃって,そこでもって独自の教材をお作りになってインターネットで双方向の授業をしていらっしゃる。教員数も常勤教員が43名いらっしゃるそうで,非常勤の方は64名もいらっしゃるそうで,いつ来ても良いというふうなことを言う以上は,いつ来てもその担当の教員がいるということが条件なのですけど,果たしてそれが本当に全ての学校でできているのだろうかということを,それ以上はおっしゃいませんでしたけれども,そういったことも大変危惧を抱いていらっしゃいました。
 総合的な学習の時間も大変熱心になさっていまして,ある意味では,本当に高等学校教育というのを考えていくときの非常に重要な,昨日拝見した六本木高校もそうですけれども,非常に重要なポイントがこういった学校のお取組にあるのではないかなと。それはそれでまた議論して考えていくべきだと思うのですが,一方で,もちろん比較的容易に高等学校卒業の資格が得られるというのが全てだめかというと,そうとも言い切れない部分はあろうかとは思うのですが,しかし,実態が分からない状態で,今,広域通信制が展開しているとしたら,しかも,それが増えているとしたら,そこのところについてはきちっと調べておく必要があるのではないかなということを思った次第です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。川嶋委員,どうぞ。

【川嶋委員】
 少し細かいことになるかもしれませんけれども,1点目は,資料2-2の12ページです。不登校経験者,定時制では31.3%という比率が出ていますけれども,こういう生徒が定時制はやはりクラスルームがあって集団で学習しているわけですけれども,こういう不登校経験者に対して定時制高校ではどういう対応をされているのかということをお聞きしたいのが1点と。
 それから,もう1点は,これに関連しているかもしれませんが,資料2-1の3ページに再入学・編入学者数が出ておりまして,6,000名弱ということで,在籍者数の30万人のうち大体2%弱ぐらいが再入学・編入学者数なのですが,これは先ほど御説明があったように,最初から定時制・通信制へ入ってくる生徒が多いということの表れで,再入学・編入学というのは,わりと私が思ったより少ないなと思ったのですが,ただ,先ほどの不登校等の数字とも関連して,例えば全日制に入って適応できなくて,定時制へ転校,あるいは編入学すると。さらに,定時制でうまくいかなくて,通信制へまた編入学なり,転学するといったような,そういうパターンごとの数字,もともと数字が6,000名ですからそんなに多くないのですけど,パターン化するとどういう学生のフローになるかというのを知りたいと思います。
 それから,先ほどの質問で,中退の理由で通信制はその他というのが41.1%と大きな比率になっています。この大きな数字の理由は,非常にたくさん理由がある,前の方にあるカテゴリー以外に様々な理由が非常に多いということなのか,この調査自体がそもそもそういうカテゴリーで聞いているので,こういう形になっているのか,その理由を詳しくお聞きしたい。中退の理由で「その他」とされる比率が41.1%と非常に高いものですから,その内容を知りたいと思った次第です。
 最後は,通信制を卒業される方は平均何年ぐらい掛かって卒業されているのかというのを最後にお聞きしたい。

【小川部会長】
 今,4点ぐらいにわたって,一つは,定時制・通信制に入られる方はいろんな不登校経験等々の者が多いのですけれども,そういう生徒に対して,定時制などではどういう具体的な指導,対応されているのかというようなことと。
 あと,定時制・通信制に入ってくる生徒の移動のパターンですよね。そのパターンで何かそういう割合みたいなことを数値的に把握できているのかどうかというのと。
 あと,通信制で,退学理由でその他が41.1%と最大のパーセンテージなのですけれども,その他の中身はどのようなことか,もし分かっていればということで。
 最後は,通信制は平均すると大体何年ぐらいで修了されるのかという,大体そういう4点ぐらいですけど,これも,じゃあ,石曾根さんと,そしてまた,長山さんは実際今,定時制でいろいろな教育指導で御努力されているので,そうした実情を踏まえて,長山委員にもお答えいただくということでよろしいでしょうか。それでは,お願いします。

【石曾根常務理事】
 まず,定時制の生徒に対する教員の指導の在り方ですけれども,これは,私も定時制の経験がございますから,簡単に申し上げますと,全日制に比べて大変な懇切丁寧に扱っております。退学をするのも,できだけ引きとめるように努力はしておりますけれども,どの学校でもこれは一生懸命やっております。ですけれども,生徒が来なくなってしまうことにはどうにもならなくなってしまうので,先ほど申し上げましたけど,その家庭の協力,があれば何とか救える方法もあるかとは思います。まず大きな意味でですね。ですが,それもないということになりますと,本当に大変な状況になってしまうというようなことでございます。
 ですから,退学防止というのは,これは簡単に言ってしまいますと,担任の人柄にもよると思います。すごく大きく,定時制の生徒の場合ですと。そんなこと,というふうにおっしゃるかもしれませんけれども,ある先生の担任のときにはあまり退学をする生徒が多くないのに,ある先生のときにはすごく退学してしまうというような問題も起こってしまうことがよくあります。
 それから,通信の生徒のその他のところでございますけれども,これは先ほど少し説明させていただきましたけれども,通信の生徒の中には,多くは全日制高等学校にはなかなか入学が困難な生徒がおりまして,これは身体的な障害があったり,メンタルな障害があったりするような子供たちが多いものですから,学校を卒業しても行くところがなくて,そのまま自宅にいるというような子供が多いというように考えられます。
 それから,大体修業年数はどのくらいかというと,それは,4年で卒業してしまう生徒もおりますし,10年くらい掛かって卒業する生徒もおりますので,一概には言えませんけれども,大体努力次第で,長山先生の方がよく分かると思いますけれども,5年ないし6年くらい掛かればほとんど卒業していくのではなかろうかと思います。

【小川部会長】
 それでは,お願いします。

【長山委員】
 不登校の生徒に対するということですけど,昨日お見えになった先生方には少しお話をさせていただきましたけれども,やはり教員の方の対応の仕方も一つありますけれども,例えば私どもみたいなチャレンジスクールという学校では,不登校経験者が8割もおりますので,まず,教員自身がこの目の前の生徒は不登校経験者であるから,それなりの対応をしなければということで対応しますし,それから,不登校になった原因というのはいろいろありますので,先ほど少し出ましたけれども,発達障害ですとか,様々な障害を持っている子もいますので,実際には教員の方でいろいろな校内研修など,専門家をお呼びして校内研修の中で,この場合にはどのようにに対応したらいいのだろうかということを学びながら生徒と対応していく。
 それから,普通の従来型の全定併置型の定時制の学校でもおそらく不登校経験者,おそらくこの数字が31.3%ですから,私どものようなチャレンジスクールほどはいないかもしれませんけれども,不登校経験,あるいは経験しなくても,定時制へ通うようになって出席がままならない生徒に対しては,かなりやはり担任が,あるいは学校全体で取り組むことになるのですけれども,状況によっては学校だけでは対応しきれないので,それぞれの機関ですとか,特に最近では若者サポートステーション,サポステなどを活用する中で,そういう外部の団体の力を借りて,学校に入ってもらったりですとか,一緒に協力する形で,家にいる生徒に接触をして,学校に向かわせるような取組もしてもらったりしております。
 それから,あとは,少し通信制はよく現状は分かりませんけども,やはり先ほど石曾根先生がおっしゃいましたように,大体卒業していく生徒,通信制の場合の方が入ってくると,その先のことを,進学をしたいという生徒はおそらく3年ないし4年で卒業していきますし,何か仕事をしながらということであったとしても,おそらく4年ないし5年のところで卒業していくと思います。また,10年近く掛かる生徒というのは,逆にもう既に家庭に入っていらっしゃるとか,あるいはもう本当に職業に就いていて,本当に時間を使いながら計画的に卒業されていくという方が多いのではないかなと思っております。

【小川部会長】
 川嶋委員の方から出た2番目の質問,少し確認ですけれども,再入学者が多いということで,例えばこういうパターンというのはあるのでしょうか。つまり,全日制に適応できなくて定時制へ行って,しかし,なおかつ定時制で適応できなくて通信制という,そういうパターンなのか。それとも,一概には言えないのですけれども,その辺少し確認したいのは,定時制・通信制という一くくりで言うのですけれども,入ってくる生徒の質は,定時制と通信制では,何かこの資料2-2をいろいろ見ていると,少し違うのではないかなと。例えばですけど,通信制の方が学習意欲の高い子,ないしは上級学校に進学する目的を明確に持っている子の方がパーセンテージでは多いとか,定時制と通信制で何かそういう,学校によっていろいろな違いはあると思うのですけれども,少し傾向などを見れば,何かその辺の違いを説明できるでしょうか。

【長山委員】
 数字があるわけではないのですが,少し自分の経験の中からいいますと,今日は隣に教育長さんがいらっしゃいますが,私は今の学校の前には全日制の高校の方におりましたけれども,生活指導困難校でしたから,全日制でやはり勉強についていけない,あるいは生活ができないということであると,定時制の方へ移りたいというときには,従来型の全定併置校の夜間定時制の方に移ることが多かったです。というのは,もう一つは,先ほど少し言いましたけども,通信制の方が,例えば都立でいいますと定数管理をしていますので,実は空きがないのですね。だから,受けようとしても,公立,例えば都立の通信制の方へ受けたいと言っても受けられない。それから,どうしても東京といっても今いる地域から出たがらない生徒もおりますので,やはり遠くの方へ行くということ,これも実はあとは経済的な面も絡んできますので,定期を買って交通費を出して通うということもできない生徒もおります。自転車で通える範囲内という生徒もいますので,そういうことが定時制,特に夜間の定時制の生徒には,従来型の定時制には多いかと思います。
 ですから,全日制から定時制の方へ移るというときには,やはり多くが全日制から従来型の夜間定時制の方へ,全定併置校に移っていく。私どものようなチャレンジスクールですとか,少し特殊な定時制のところには,あまりそういうところには途中からは流れてこない。受け直しで来ることもありますけれども,やはりそのときはまた少し違う,それぞれの特色というのですか,設置目的に合った生徒が受けてきますので,またそこでは変わってくるということがあると思います。ですから,やはり通信制の方の受け入れの状態というのがまた一つ,例えば全日制の方の生徒がどこか次へ移るときに,転学を余儀なくされたときに一つ選択肢としてその募集枠があるかどうかというのが一つ大きな課題だと思いますので。

【小川部会長】
 ありがとうございました。川嶋委員,よろしいですか。はい。
 ほかにいかがでしょうか。御質問,御意見,どちらでも構いませんけれども,いかがでしょうか。じゃあ,アキレス委員,そして,上野委員ということでお願いします。

【アキレス委員】
 ありがとうございます。昨日2校見せていただきまして,本当に話で聞いているのと,現場で実際にお話を伺ってみるとでは全然違うなということが実感できました。非常にいい企画だったと思います。
 その上で今日のお話を伺って一つ思ったことがあります。それは定・通の学生さん,生徒さんというのは何らかの事情又は何らかのハンデがあって入学なさってきているということです。説明を伺いますと,やはり家庭的な環境とか,親御さんの少し関心が低いということもかなり影響しているということですよね。おそらく,昨日も感じましたけれども,現場の先生たちというのは本当に一生懸命退学にならないようにと,身を粉にして働いていらっしゃると思います。
 そこで,一点,スクールカウンセラーについてですが,カウンセラーを設置しているところが6割ぐらいで,なおかつ常駐は非常に少なくて,週1とか,週2ぐらいが多いということですけれども,このスクールカウンセラーに関しては,何か設置のルールとか,何人以上とか,どういう状況だったら設置するとか,そういう決まりがあるのかどうかというのを確認させてください。というのは,おそらく普通の高校よりも,カウンセリングニーズが高いお子さんたちが集まっていて,「本当に相談する相手がいない」というふうに答えている生徒さんが3分の1いるということですので。 それから,2点目が,親の方にどのように働きかけをなさっているのかなと。無関心ということは運動会の例が非常に分かりやすく,理解できたのですが,もしかしたら,そのお子さんに対するカウンセリングだけではなくて,親子カウンセリング的な,活動も必要なのかなというふうに感じました。,少しその辺も教えていただければと思います。

【小川部会長】
 これは文部科学省の方に聞いた方がいいのですかね。やはりスクールカウンセラーだけではなくて,今言ったような家庭の諸事情とか,あと,ほかの福祉機関とか,NPOなどとの連携の中でもそういう対応が必要のようですので,例えばスクールソーシャルワーカーなどを配置しているようなところがあるのか。ないしはそういう基準などを設定しているようなところがあるとか,少し養護教諭の配置とか,スクールカウンセラー,そして,ソーシャルスクールワーカー,その辺のところの配置とか,何かそういう取組をしているような都道府県などがあれば,こういう情報は文部科学省,事務局の方が,ないですかね。なければ,石曾根さん,長山さん,御存じであれば,すいません。

【石曾根常務理事】
 法的なことは私はよく分かりませんけれども,今,お話があったように,週に1回とか,月に1回とかいうような配置では,生徒はなかなかなじめないのです。というのは,先ほどお話ししましたように,定・通の子供たちというのは,社会的なコミュニケーションが非常に不得意ですので,ますますだめなのですね。そういうことなのですが,その定・通にはそういう相談相手がいないということが一番大きな問題になっております,これは。
 それから,もう1点の保護者に対する教育というか,指導というか,これについては,現場の先生は努力されてもね,なかなかできないということがあるわけですね。保護者に会えないということもございますし,本当に難しいのです,ここは。生徒に対してはできるだけのことは努力いたしますけれども,大変難しいと思っております。

【小川部会長】
 事務局の方,何かそういう基準とか,そういう取組で先駆的な取組をされているようなところって,もしも情報があれば。

【望月主任視学官】
 スクールカウンセラーについてお尋ねがございました。スクールカウンセラーは,国の方で臨床心理士等の資格を持つ方を中心として,これまで中学校を中心として配置を,都道府県に対して支援をして進めてきておりまして,それが中学校だけでなく,今,小学校,中学校の問題は小学校にもということで,小学校にも配置を進めたり,あるいは一部高等学校にもそれが活用できるというふうになったりしておりますけれども,その定時制・通信制というところに特化した形でのスクールカウンセラーの配置ということを今現在進めているわけではありません。
 ただ,都道府県の方で独自に支援しているところもあるかもしれません。そこの実態はこちらの方でも今現在分かりません。

【小川部会長】
 これも長山さん,あと,東京都とすれば,比留間教育長がいらっしゃるので,少し東京都の事情をお聞きしたいのですけど,じゃあ,長山さんの方から。

【長山委員】
 東京都の場合には,今年から高校には全校スクールカウンセラー,一人配置になっております。ただ,欲を申せばですけれども,一人ですので,例えば全定併置校の場合には,カウンセラーさんの勤務時間の関係から,なかなか定時制の時間帯にまで朝から詰めていただくと時間が及ばないということが出てきますので,おそらく各学校で,例えば全定併置校などがスクールカウンセラーさんの勤務時間を弾力的に動かすような形で,定時制の生徒にもカウンセリングしてもらえるように工夫しているかと思います。
 それから,私どものところは,なかなか一人ではということなので,開校のときから,自律経営推進予算ということで,ある程度裁量のある学校予算の中でチャレンジスクールの場合には週1回更に来ていただいて対応させていただいています。それでもやはり2人の方で週2回来ていただいていますけれども,なかなかやはり生徒,希望者が多いものですから,来ていただくと,もう朝から帰りまで,勤務時間いっぱいいっぱい,あるいは過ぎてまでやっていただいているという状況です。
 それから,先ほど少しありましたけれども,実は基本的には保護者のカウンセリング,生徒のためのカウンセラーさんですので,保護者に対してはないのですけれども,場合によっては,先ほど来出ています,家から出てこれない生徒がいますので,その場合には保護者の方に来ていただいて,保護者の方にカウンセラーさんと会ってもらって,いろいろどういうふうに対応したらいいかということをしてもらう場合もあります。
 その中でカウンセラーさんの方から,やはり保護者の方のカウンセリングが必要ですねというふうに言われる場合もありますので,その場合には直接的ではなくても,もう一度来ていただいて,カウンセラーさんとお話をしてもらうとか,そういう対応はさせていただいていますけど,基本的には生徒への対応でいっぱいいっぱいの時間ということがあります。

【小川部会長】
 比留間教育長,いかがですか。東京都の方ですと。

【比留間委員】
 スクールカウンセラーの配置につきましては,昨年までは中学校は全校,小学校は,東京の場合約1,300校ありますけれども,大体400校ぐらいだったと思います。高校は全日制をベースに数えますと,大体180校ぐらいありますけれども,スクールカウンセラーを配置をしているのが100校という状況でございました。文部科学省からの支援を活用しながら配置をしてまいりましたけれども,今年度の予算で小学校から高校まで全校配置をいたしました。ただ,その実態といいますか,その勤務状況については,先ほどからお話が出ていますように,週1回,1日7時間ということで,日数について若干少ない,もう少し増やして欲しいという声があるのは事実でございます。
 それから,高等学校100校に配置をし,今回,それで全校配置に拡大したわけですけれども,生徒指導の面で困難を抱えている学校については,一律に配置をするのではなくて,もう少し手厚く配置してもらえないかという声がございます。必ずしも学習の面で課題のある学校とか,不登校の生徒が多い学校だけではなくて,実はかなりの子供たちが進学を目指す学校でもスクールカウンセラーを配置せざるを得ないような学校もあります。ですから,その100校については,一律機械的にこの学校に配置するというのではなくて,学校の状況を十分聞きながら,必要と思われる学校に配置してまいりました。ですから,同じような考え方で,これから全校配置したときにもう少し手厚くフォローしていく学校が必要なのではないかというのは,問題意識として私どもとしては持っております。
 以上でございます。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 アキレス委員,よろしいでしょうか。それでは,もう一回お願いします。

【アキレス委員】
 ありがとうございます。配置に関してもやはりめり張りというか,必要に応じてという方向で考えていらっしゃると。現場の声からすると,やはり週に1度でなくて,必要なときにすぐ相談に行ける。それによってコミュニケーションなり,人間関係なりができないとなかなか心を開いてもらえないということもあると思うので,そういったニーズを持っているお子さんが多いところに厚くという考え方でいった方がよろしいのではないかなと,個人的には思いました。
 それから,2点目に触れた親子カウンセリングについては,実は,私もアメリカンスクールというところに2人娘が行ったのですけれども,必ずカウンセラーがついて,何か少し心配事があると,教師というよりも,カウンセラーと親が話し合うみたいな機会,それで気付かされることも多かったのでね。ネガティブな意味だけでなくて,連携していくという視点でもう少し関係強化ができればいいなと思いました。
 以上です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。定時制・通信制の振興方策のやはり非常に大きな重要課題の一つになるのかなと思いますので,また,この件については少しいろいろ詰めていきたいと思っています。
 それでは,上野委員です。

【上野委員】
 いろいろ聞かせていただきましてありがとうございました。
 昨日及び今日視察させていただいたことも含めて,少し,うまく言えないかもしれないですが,どうしても教えてほしいところがあります。アキレス委員の御質問とも若干関連しますけれども,カウンセラーを必要としている点で,例えば週1回だと足らない。2日,3日と必要だと。毎日,それもたくさんカウンセラーを必要としないといけないような場合,例えば高等学校教育でカウンセラーの資格を持った人が教えた方がいいような状況を想定した場合と,先生がいて,カウンセラーがいるという高等学校との境目を考えていかないといけないのではないかと思いました。
 言い方を変えますと,文部科学省での高等学校という範疇でやらないといけない部分と,よく制度は分かりませんけれども,厚生労働省の管轄になるのでしょうか。そういうところで義務教育を終えた後の人を教えながら,カウンセリングをやる方法と,そういうふうなシステムを作らないといけないのではなかろうかと。そこの境目というのはどのようにしてお考えになっているのでしょう。

【小川部会長】
 これはどなたにお答え,では,石曾根先生。

【石曾根常務理事】
 それでは,私が全て答えられるかどうか問題ですけれども,私は,前々から今のお話のように,教員に対してそういうカウンセリング研修みたいなのをやっていただいて,担任なり,たくさんの教員にそういう教育をしていただければかなり助かるなと思っております。

【小川部会長】
 では,荒瀬委員,どうぞ。

【荒瀬委員】
 先ほど東京都のお話がありましたけれども,京都市では,1週間に1度なのですが,カウンセラーを全校に配置しています。今のお話との関わりで申しますと,教員はカウンセリングマインドというのは必要かと思いますが,カウンセラーの仕事というのは,教員の仕事と根本的に私は違っていると思っておりまして,保健室に児童生徒がよく行くというのは,養護教諭が直接評価に関わらない,授業を持っているわけじゃないというところの,子供たちからすると,成績を付ける人・付けられる人という関係から離れた関係でもって対応できるというところが大きいのではないかなと思います。もちろん教員がカウンセリングマインドを持つということは大切だということを思いますが,しかし,それでは,教員がカウンセラーをできるかというと,授業を持っていて,別の関わりを持つ中で純粋に子供たちが心を開いて自分から語りかけていくような関係を作ろうと思うと,これは少しまた別の人間関係という点ではあるかもしれませんが,カウンセラーとしては必ずしも機能しないというふうに,私は経験上も思っておりますし,京都市のカウンセラーと話をしておりますときも,そういったことが出てまいります。
 ですから,これはスクールカウンセラーという形は東京都も週1回とおっしゃいましたけれども,京都市もそうですが,それ以外にカウンセリングセンターとか,様々な形でカウンセリングを受ける方法もありますので,カウンセリングが必要な学校に手厚くというのは,もちろんそれは当然のことだと思うのですけれども,それ以外にも学校だけの問題としてしまわないで,全体の行政の中で対応していくということも考えていかないと,ここもまた一つ学校にとなってしまうと,学校はあっぷあっぷしてしまう部分も出てくるのではないかなということを思った次第です。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 長山委員,何かありますか,今の問題でも。長山委員にばかり振っていますが,何かあればお願いします。

【長山委員】
 私も,カウンセラーさんの資格というか,これと教員のものとは少し違うのだろうと思っています。かといって,毎日カウンセラーさんがいたらどうなのかというと,それも少し実は想像つかないですけれども,どうなるかというのは。ただ,今,少しお話がありましたように,先ほど少し出させていただいた,例えばサポートステーションなど,カウンセラーさんの方がいらっしゃるところがありますので,場合によっては,これは先ほども少し出ましたけど,夜間の定時制などでは,以前,スクールカウンセラーさんの対応がまだ十分ではないときには,そういうところと連携することによって,そちらを紹介してカウンセリングを受けたらどうですかというような,そういう対応をとっていた学校も幾つかあるというのは聞いておりますので,やはり外の機会などをいろいろと活用した方がまだ今のところはいいのではないかなとは思いますけども。

【小川部会長】
 上野委員,よろしいですか。

【上野委員】
 学校が抱える問題というのは,かなりバリエーションに富んでいろいろあると思っています。いろいろな方に聞くと,ここからこの辺の話はされるのですけれども,ずるずるといろいろ出てきます。ひどい場合には,よほど先生方が苦労しないといけないこととか,大変なことが,たくさんあろうかと思いますね。そういう話というのはなかなか出てこなくて,多分制度というのはどこかで何かをはっきりさせておくということが必要なのだろうとは思っています。それがなくて,高等学校は義務教育ではないのに,入学してしまって,いろいろな方法で子供たちに,高校卒業資格を与えるという,そのポジティブにいい方へお考えになっているのは,それはいいと思うのですけれども,大変な問題があるような場合は,むしろ別な方法でそういう部分をカバーして,ある期間は何かをしてあげて,その後で,例えばある範囲での定時制なり,通信制なりに移行させてあげた方がうまくいくのではないかという気がしました。昨日,今日の視察先での話を伺って,それで,今日先生の話を伺って,結局こんなに大変なことがあるのだということを今日お話しされているわけです。それがずるずるいってしまっていたら,多分,ブラックホールを支援しているような状況になってしまうのではなかろうかという気もいたしました。だから,どこかで少しそういうことを考え,かつそういうことを踏まえて質の保証の問題も議論していかないといけないので,少し今日は重い疑問を持ってしまいましたけれども,そのような点からもお考えいただけけるといいのではないかと思っております。

【小川部会長】
 ありがとうございました。ほかに,では,相川委員,よろしくお願いします。

【相川委員】
 今日は通信制の方の学校を見させていただいて,私,今日,学校を見させていただく前に地元の,いわゆる狭義の,広域じゃなくて,狭い,いわゆる地元密着型の通信制の先生とお話をさせていただいて,今日広域の話を,学校を見させていただいたのですが,その中で出たことが,この不適切な活動の事例のようなお話があったので,いわゆる先ほどもお話があったように,株式会社立の通信制が増えていると。それでは,本当にその実態として教員資格を持たない人が指導しているという点があると。今日のお話,今日行った学校でも,はっきりは言いませんでしたけれども,そのようなことを濁して言っているので,そこは少しきちんとした実態を把握して,認可制度の在り方みたいなものも必要なのではないかなというのを感じたのが1点でございます。そこは今後確認していかなければいけないのかなというのが1点。
 それから,今日,定時制の子供たちの活動に保護者なりの応援が非常に少ないというお話もあっても,私は,仕事柄定時制の子供たちとも関わらせていただいたときに,子供たちの生活体験の発表を聞かせていただきました。この発表会は各県の予選を経て東京で行われる全国大会であり,子供たちは,自分が不登校になって,そして,そこから立ち直って,定時制で学んだことの体験を非常に思い熱く発表されており,非常に感動しました。子供たちなりにすごくいろいろなことを,挫折しながらも自分はこうして変えてきたということを話す場を,先生方に企画していただいているのだなと。そういうところにきちんと発表できるようになるためには,先生方,非常に御苦労されているということも感じました。
 そして,もう1点,保護者の対応というところでは,やはり高校は,全日制の場合はPTAの組織ということで,全国で加入をしておりますけれども,定時制の場合でもPTAの組織はきちんとあることはあるのですね。ただ,そこの中だけで対応している部分と,それぞれの県に加入している学校と,多分差があると思います。県によっては,本当に公立高校だけという加入で枠組みを区切っている学校もありますし,私立や定・通全て会員として加入をしますという県もありますので,その辺の温度差はありますが,そういうところで,私の県は定・通も会員として加入していただいて,一緒にいろいろなことをして呼びかけをしておりますけれども,そこでもやはりなかなか,そこの会長さんが年に一度出てくるかどうかというような状態なので,その学校に私どもも行って,保護者の方と授業参観などの機会をおかりして交流を試みていますけれども,なかなかそこの家庭の奥深くまでは,1回2回の話では入っていけない。ただ,そういう何かのきっかけがあることによって,その家庭が孤立しないというところが大事なのかなとも思っております。
 そして,あと,発達障害の子供さんが増えているということも実際起きております。これも私もそうだと思います。そして,発達障害の子供さんは,定時制・通信制,どちらかというと定時制の方に行かれている子供さんが多いようですが,そのほかにも支援学校に行っている子供さん,支援学校に通うというような選択をしている発達障害の子供さんも増えているというようなことで,非常に現場の先生方は,自分の教科の指導とそういう専門分野の関わるところの指導というのは非常に難しいものを抱えながら子供たちを見ていただいているのだなということを感じております。
 そういう意味では,先ほどカウンセリングの話も出ましたけれども,私は,カウンセリングは,やはり別な方がきちんと子供を受けとめるというところでの方がより望ましいのではないかと思っています。荒瀬委員さんがおっしゃったように,先生方がそういう,いわゆる技術を身に付けているということと実際カウンセリングをするということはやはり違うと思っています。というのは,私自身,養護施設で勤務した経験がありますけれども,実際の担当の職員と私が別に子供たちの相談を受ける係としているとやはり違います,それは。実際に自分の担任には言えないけども,その相談する先生には「実は」というふうにきます。ですから,その辺は役割分担なのだろうなと思っております。
 ですから,先ほど退学するのは担任の人柄みたいなお話もありましたけれども,まさにそれだと思うのです。先生の人柄でそういうスキルをお持ちになれば,多少生徒は救われる部分もありますけれども,先生にそのスキルが全くないと,子供がなかなかもう弱っているのに覆いかぶさる強い口調でいくと,やはり子供はつぶれてしまいます。ですから,そういうスキルは必要だと思いますので,その辺は先生方の研修という部分では必要なのかなと思います。カウンセリングに関しては,やはり分けたものが必要なのかなという感じがしておりますので,今日は本当に通信制の方を見させていただきましたけれども,そういう意味では本当に私自身勉強になりました。ありがとうございました。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 残り時間が少なくなってきていますので,まだ御発言されていない方,もしもあればいかがでしょうか。よろしいですか。両副部会長。

【安彦副部会長】
 私も定時制の教師をやりましたので,本当に様変わりしている様子はよく分かりますが,今,皆さんからのお話も,視察した学校も含めてですけど,基本的にこれまで文部科学省は義務教育学校についても,教員の定数は増やせないものですから,教員以外のいろいろなタイプの職員,種類の違う人たちを増やす形で,いろいろな子供の問題に対応してきているわけですね。そういう意味では,今回,例えばこういう定時制や通信制の子供たちの実態を見て,私は残念だと思うのは,石曾根先生たちからもう少し定・通の子供たちが、こういう子供たちなのだから職員の方の手当てをしてほしいという要求を,もっと出してほしいという気持ちです。今もスクールカウンセラーの話がありましたけど,スクールカウンセラーの働き具合というのは,今,いろいろ評価が分かれるのですけど,全体としてはやはり、先生以外のいろいろな職員を配置してカバーしていくという,そのような方向で対応してきているわけです。ですから,特に定・通が,子供たちの状況は普通の場合と違うということであれば,例えば特別支援的な発達障害・学習障害のそういう子供たち,軽いとはいえ,そのような子供たちが多いとなれば,当然それに対応して特別支援に準ずる一定のサポート体制というのを充実させる、という要求をもっと出していっていいはずだと思います。
 今,東京都などは,そういうことを地方教育委員会レベルでやっているわけです。ですから,国レベルはそういう大きな義務教育の流れをここまで上げていく,あるいは地方教育委員会は東京都のようなやり方で成果が上がるならば,これは基本的に,今回視察した学校はもう本当に丁寧に一人一人に対応しようとして頑張っておられて,そういうところだからこそ,一定の評価が得られるわけですよ。そうでなくて,安易に単位だけ欲しいから,高卒の学歴だけもらいたいからといって,一部の通信制が簡単に単位を出しているとすれば,そういう動きに対して,逆に、一定の質保証というのを,定・通レベルにおいても,全日制と同じ高校としての質、というのを担保するためには,これだけのことがもっと要るということを出していかないといけない。ですから,今回も決して定・通は別なのだと,高校とはいえ,全日制の進学校とは違うから,質というのはあまり共通に考えなくてもいいとか,そういうふうに思う必要は全くないと私は思っていまして,高校なのだから共通に,あるいはもっとこういう事情を抱えて,特別な事情のあるところは,条件を充実させなければいけないということを、もっと現場から出してほしいという気持ちが強いです。ですから,この点が今後の質保証の議論の中で煮詰まっていければいいなと思います。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 無藤先生,いいですか。はい。じゃあ,ほかに。どうぞ。

【石曾根常務理事】
 じゃあ,私の方から少しその説明をさせてください。どうもありがとうございました。今,手を抜いているわけじゃなくて,一生懸命努力はしているつもりなのでございまして,ある県では,全日制と定時制が両方で同じカリキュラムをとることができるようなシステムをとっている県もございます。だんだんそういう形になってきておりますので,遅かれ早かれ,全国的にはそういう形になるかと思って努力はしております。
 それから,先生方のところにとても荷物になって申し訳ございませんけれども,この青い本は,今,相川先生からお話がありました生活体験発表大会の収録をまとめたもので,これは現在の生徒の在り方を書いたものです。それから,こちらの方は「燦々の太陽を求めて」というのは,これは過去の生徒の手記をまとめたものでございまして,これを両方読のでいただきますと,過去の生徒の在り方,どんな形だったかということと,現在の生徒はどうであるかということを分かっていただけるかなと思って用意させていただきました。こういうのを我々のところでずっと作って,方々に配布させていただいているのですけれども,是非御一読いただければと思います。どうもありがとうございました。

【小川部会長】
 では,比留間委員。

【比留間委員】
 遅れてきて申し訳ありません。少し議論の経緯がよく分からなかったのですけども,定時制・通信制に関して,東京都なりに考えていることを簡単に御説明させていただきますと,基本的に東京都の場合には,端的に言えば高等学校教育のセーフティネットだと考えています。なおかつ,通信制については最後のセーフティネットだろうと考えており,この定時制・通信制をどうするかというのはかなり難しい議論になると思っています。特に質保証を絡めてやっていく場合は相当難しい議論になるだろうと思っています。
 今年度,学力スタンダードという,高校が標準的に生徒に身に付けさせるべき学力というもののスタンダードというのを定めましたけれど,実は定時制・通信制は入っておりません。ここは難しくてスタンダードができなかったので,もう1年かけてここを考えていこうと思っています。非常に多様な状況で,発達障害のお子さんから,中学生のときに不登校を経験して,不登校の場合も学力の程度に非常に差があるというのが現実でありまして,ここのところはかなり難しい。難しいけれども,この存在が高等学校教育の最後のセーフティネットだろうと考えております。重要な存在なのですけれども,質保証という面で考えていった場合はかなり慎重な突っ込んだ議論が必要だろうと認識しております。

【小川部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,時間が来ましたので,今日の会議はこれで終わらせていただきたいと思います。
 この本部会でも,いろんな高校の学習支援,ないしは高校の振興方策を考えるということで,個別のテーマも取り上げてやろうということでしているのですが,おそらく通信制・定時制の問題を扱ったのは今回初めてかなと思っています。最初としては,定時制,そして,通信制の振興,ないしは生徒の支援の方策を具体的にどう考えていくかということを今後更に詰めていくわけですけれども,そういう基本的な,今日,意見交換はできたのかなと思っています。さらに,振興方策をより具体的に詰めていく際には,一口に定時制・通信制といっても都道府県ごとによっても違いますし,また,個々の学校によっても違いますので,もう少し何か詳しいデータとか,調査の結果が欲しいなということも多くの委員が感じられたのかなと思いますので,事務局の方でまたいろんなことでお願いするかもしれませんけれども,よろしくお願いいたします。
 次回以降も,今日の議論は進めたいと思いますし,さらに,新たに昨日視察したのですけれども,総合制の問題についても次回以降少し時間をとって進めていきたいと思いますけれども,よろしくお願いいたします。
 それでは,次回以降の予定について,事務局の方から説明ください。

【塩原教育制度改革室長】
 次回,高校教育部会でございますが,7月1日の月曜日,15時から17時の時間で開催をさせていただきたいと存じます。場所はまだ未定でございますが,また,追って正式に時間,場所,改めて開催通知させていただきたく思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。

【小川部会長】
 次回7月1日月曜日,3時から5時の開催ということです。よろしくお願いします。
 それでは,今日はありがとうございました。これで終わります。

── 了 ──

 

 

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