資料3 前回の主な御意見

前回(第26回)における主な意見

1.「審議まとめ」素案について
○p4第4段落において、「高等学校が果たすべき役割」は明確になっていない。例えば「将来の我が国(又は社会)の発展のために」などと補うと何をすべきか明確になるのではないか。
○p9第2段落において、大学入試の選抜機能低下とあるが、大学が社会に対する責務を果たせなくなっている中で、選抜機能の低下が、大学が本来果たすべき責任の低下する要因となっていると記載すべきではないか。
○p11第6段落において、学び直しや特別な支援が必要な者への対応に偏った記載となっているが、一方で高度な教育環境によって一層向上する生徒への支援も十分とはいえないので、そのような視点を付け加えるべきではないか。
○p8の第4段落において、国際調査では基礎学力の低さだけでなく、生徒の学習意欲が向上していないことが示されていることをきちんと記載すべきではないか。
○p4において、「多様化の推進」とあるが、今回の議論はその方向性をとどめようとするところからスタートしたものと考える。更に進めるとなるとますます混沌とした状況になるのではないか。
○高校生が自主的に学習することが必要であり、自立的な学習を引き出していくことが重要であるということを基本的な姿勢として強調すべき。
○達成度テストは学習指導要領の内容の延長上にあるものであり、それぞれの生徒一人一人がどのようなところに達成・到達したかということを見るという意味で、第3章においても学習指導要領との関係をしっかりと記載すべきではないか。
○高校の取組を評価していただいてるのはありがたいが、課題が消えたわけではないので、しっかりと記載する必要がある。
○高校生全てに共通性を持たせなければならないのは学習意欲ではないか。また、その学習意欲を高めるためには、基本的な知識を十分に教えることが必要。
○教科と基礎学力の関係が必ずしも明らかにされていない。
○基礎レベルは教科別であるべきと思うが、重要なのは読み書きや数に関する能力であり、教科別に達成した能力ではないのではないか。高卒認定試験の国語は、果たして現代の普通の人が読んだり書いたりする国語の文章を試すものになっているのか疑問。
○高校の入学時点で基礎学力が不足している生徒は、高校の教科で教えてそれを回復することは難しく、現場の教員は苦労をしているのではないか。PISAの調査でも下位3分の1の生徒は、問題文の意味を理解できていないという話もある。
○全ての国民がある程度一定の基礎学力を身に付けることは重要であり、そういった点から基礎能力とは何かを考えることが必要。その上で、教科とどのように関わっているかということを考えるべきではないか。
○現在の学習指導要領で高校教育を進めて行く前提では、学力中心のことを優先してやっていかざるを得ない面がある。学校単位で類型化するのではなく、個人個人への対応が必要であり、そのためには、学習指導要領の大綱化、弾力化が必要。例えば、1単位35週で縛っているが、各学校に委ねたり、減らしたりするとともに、各科目の標準単位数を減らすことなど考えられるのではないか。
○通例では学習指導要領の改訂は10年後となるが、新しいテストを始めるまでに改訂に踏み切れないか。どこかに新しい学習指導要領の策定に向けた検討などの記載を入れるべきではないか。
○本来必要なのは活用力・思考力であるが、現行の学習指導要領で縛られた中でしか教育ができないようになっている。学習指導要領を改訂して大綱化し、活用力について明確にしなければ、活用力を高めることにつながっていかないのではないか。
○学習指導要領においては、従来から活用する能力が示されてきたが、それを適切に測ってこなかったのが課題であり、学習指導要領事態は改善のために工夫されているのではないか。
○学習指導要領の目標はある意味では適切になっているので、これが今の日本の高校教育の一つの方向性を示すものだと思う。工夫する点もあるかと思うが、これにより各学校が現実に授業等を行っている以上は、これに準拠した試験を行うべきではないか。
○産業界が求めるのは、読解力。何が求められているかわからなければ、数学や英語、物理はできない。
○p22第2段落において、総合学科の生徒が目的意識をもっていないという風に読めるが、全員がそのようなわけではないので、記載は見直すべき。
○p19において、グローバル化に向けた人材をつくる観点から、英語のコミュニケーション能力を高めていくことを記載すべきではないか。
○p29第5段落において、早期卒業だけでなく、特定の科目における飛び級についても触れるべきではないか。
○p30第2段落において、学習意欲の向上のためには、教員が輝く背中を見せなければならないことから、教員養成段階における改革など、採用後だけではない取組も記載すべき。
○「学び直し」が必要な生徒は、定時制・通信制課程だけではなく、普通科にも存在するので、項目を新たに設けられないか。
○広域通信制課程について、ガイドラインを設け、それに沿った対応を行っていくことはよいが、全国に展開しているサテライト施設等の活動について、所轄庁どこまで把握できるのか疑問であり、実効性のある仕組みとすることが重要。
○株式会社立学校は市町村が認可しているが、市町村が学校を十分に監督できていない実情があるので、ガイドラインを設けることは一定の意味はあると思う。
○高校については、設置基準だけでなく、何らかの手段による適格認定の仕組みが必要ではないか。例えば、アメリカには適格認定を行う団体もある。将来的にはそういった仕組みも考えるべきではないか。

2.達成度テスト(基礎レベル)
(1)試験の目的、活用方策
○偏差値でそれぞれの生徒・学校の位置が相対的に示されてきたが、これまでの流れを変える必要がある。それぞれの学校が地道に行ってきた取組を復活させることが必要である。
○試験の目的について、高校の課題を改善するために、テストの導入を考えた経緯があるので、高等学校が指導改善する中で、生徒の学習意欲を高めるという流れにすべきではないか。
○私立大学等で学力検査を行わないところがあるが、そういった大学でしっかりと活用してもらうようにすることが、高校生のモチベーション向上につながるのではないか。
○「学力の証明」とあるが、「証明」とは重い言葉なので、「客観的な基準を提示」と修正した方がよいのではないか。
○指導のためではなく、生徒の学習意欲の喚起や学習改善を強調すべきではないか。
○学び直しの時間を確保することにより、学習意欲を喚起することが可能。
○本達成度テストは、基本的に高校版の全国学力・学習状況調査と捉えている。自らの学力を証明するという点で、高等学校卒業程度認定試験とも整合があると考える。
○生徒の意欲を上げることが重要であり、指導改善が主にくるのはなじまないのではないか。
(2)対象者
○対象者に「希望参加」が入っていないが、強制的なものとならないよう、前提としてしっかりと記載すべき。高校生が主体的に選べる前提が重要である。
○学校単位の受験の場合、支援するのは費用という理解で良いか。個人参加の場合でも費用は支援すべきと考える。
○一度に悉皆が難しいとすれば、高校在籍中に少なくとも一度は受けるというようにできないか。
○対象者は、希望参加型というのは理解するが、学校単位での受験が生徒より先に来るべきではないか。
○そもそも主体的に高校生が学ぶと言うことで、個人に焦点があたっている。公立は首長等の方針で悉皆でやることは差し支えないが、私学は各学校の判断とすべきではないか。
○悉皆は反対。高校教育は義務制ではなく、個人にまかされているので一律に試験を課すのは矛盾している。高校段階で誰にでも向いている試験はなく、学力下位層の底上げをしっかり図るようにすべきではないか。
(3)試験内容
○基礎学力は、PISA型の応用力と、教科以外の読解力・数的思考力の2つの考え方があるが、文章が読めないなど学習の前提となる力がない者がいる中で、後者の力がきちんと測られるようにすべきではないか。今後、高校を卒業した者が国際競争力にさらされる中、高卒者に基礎学力を持たせることが重要である。
○成績を段階別表示とあるが、学校単位で受けた場合、学力調査のように学校毎の公表が前提になる懸念がある。
○保健体育や芸術は重要科目とは承知しているが、ペーパーテストで測られるものではないので、多様な評価の中で進めるべきではないか。
○生徒の負担が過度にならないよう、共通の国数英3科目と得意な1科目選択とするとよいのではないか。教科融合型にするのはよいと思う。
○外部試験の活用とあるが、例えば、TOEICは2時間必要であり、相当な集中力が必要。また、ビジネス英語であるため、英語がわかっても状況がわからないということが生じることに留意すべき。
○各学校や生徒への開示にあたっては、偏差値意識を芽生えさせない工夫が必要。
○学習指導要領改訂と本達成度テスト導入のスケジュールをどう考えるか。テストの実施を急ぐのであれば、現行の教科型に依存したテストとなるのではないか。
○外部試験やコンクールは大学がどう使うかという問題であり、本達成度テストとは関係ないので、この資料に記載するには違和感がある。一方で、英語に関しては、民間で行っているGTECや英検などを活用するのはどうかと思うので、内部でつくっていくべきだと思う。
○教科融合型となれば、教科数が多いという議論もなくなるので賛成。
(4)実施方法
○実施方法として、各都道府県に設けられている教育センターの指導主事が関わるようにすると、指導改善にもより一層役立つようになるのではないか。
○生徒の立場からすれば、複数回の受験を確保することや、学習指導上困難を抱える学校では希望に応じてテストの部分的な活用をすることなどを組み合わせて対応することが重要である。
○実施回数は、発展テストもあるので、中間層の負担が多くなることに留意が必要。実施回数を多くする必要性があるのか疑問である。
○生徒の意欲を引き上げられるよう、高校1年生から何度でも受けられるテストの仕組みとすべき。
(5)その他
○高等学校卒業程度認定試験との統合については、テストとしての評価を十分にしなければならず、単に統合とするのはよくないのではないか。
○高等卒業程度認定試験を併用しながら高校の単位を満たしている生徒もいるため、何らかの整理を行うことが必要ではないか。
○誰が主体に行うのかが明示されていない。審議まとめの素案についても同様である。
○高等学校卒業程度認定試験と統合に関しては、全く役割が違う部分もあることに留意が必要である。学力の高い層の在籍する学校では、当該試験を受かっても単位認定できないところもあるだろうし、その逆もあり得る。統合をする際には慎重な検討が必要。

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