資料2-3 第22回高等学校教育部会(11月6日)及び第23回高等学校教育部会(12月9日)における主な御意見

第22回・第23回高等学校教育部会における主な御意見

1.達成度テスト(基礎レベル)(仮称)について
(1)目的、活用方策
【総論】
○達成度テスト(基礎レベル)について、全国の高校生の学力を一定レベルに担保するためなのか、一方で、幅広い教養やアイデンティティなどが大事という話もあり、部会での共通認識が必要。(第22回意見)
○個人が(進学等を見据えて)受けるべき試験なのか、それとも国としてやるべき学力状況把握、あるいはそれをフィードバックして各学校で教育改善につなげるための試験なのか。(第22回意見)
生徒の学力・学習状況を把握する方法は多面的である方がよく、その意味でテスト(基礎レベル)は有用。達成度テスト(基礎レベル)は生徒に対して学習意欲を引き出すものでなければならない。基礎学力を身に付けることは重要。様々な体験をしないまま大学に入る人が多いが、大学4年間だけではなく、生涯に渡って生きる力を身に付けられるよう、高校として次につながる力を育成する必要があり、それを見ることができる試験であることが必要。(第23回意見)
○達成度テストには3つの効果が考えられ、それを目指すべき。1点目は、全体としてどのような学力を持っているか把握でき、文教施策の基本となること。2点目は各学校・生徒の学びの目標となり、目指すレベルは様々であっても、それぞれの水準で目指すことができること。3点目は、大学入学後の学びの継続として、大学入学時に足りないところを把握し、補うことも可能となること。(第23回意見)
○達成度テスト(基礎レベル)については、到達した結果を見て活用するものなのか、途中の学習状況を把握し指導の改善に活かすものなのかをはっきりさせることが必要ではないか。(第23回意見)
○全体の制度設計を行う中で、高校が多様化している中でどのような視点で行うか。元々は学力の中位層の中でも下の方の層の学習意欲の喚起ということを本部会では議論してきたと考える。(第23回意見)

【学校における指導の改善での活用】
高校の質保証の議論で第一に求められているのは、高校教育を通じて身に付けたものを対外的に示す事。基礎・発展レベルを見ると、基礎は高校側が責任を持つものであり、主体の自己評価という目的で活動のチェックを行うものであることから、指導の改善に活かすということと考える。(第23回意見)
○元々、高校教育に課題があるからということで議論はスタートしているものであり、指導の改善に活かすことは問題なく、むしろ、学校の改善に活かさないのであれば意味はない。業者が行っているテストでも既に基礎から発展レベルまで対象としており、その結果を指導の改善に活かしているものである。また、それを、大学によっては、AO等、資格や大学入学のために活用するのは構わないと考える。(第23回意見)
○普通科の生徒は学力を付けることに四苦八苦しており、そのための改善につながると良い。(第23回意見)
○専門高校は資格認定等をやっているが、将来に役立つ基礎的なこと、「分かる」ことの実感に役立てられたら良い。(第23回意見)
○学習成果のプロセスを見るのは大切。一方で、序列化につながらないような仕組みにすることが必要。(第23回意見)
○高校全体のレベルを上げて行くには指導改善をメインで制度設計を行っていくことが必要。(第23回意見)

【AO・推薦入試等大学入試での活用】
○試験の目的に生徒の学習意欲の向上につなげることがある。生徒の学習意欲の向上というのは非常に難しく、何らかインセンティブがなければその生徒の学習意欲の向上には結びつかないところがある。高校部会での審議の経過では就職や推薦・AO入試等で、自らの学力の証明となり、それが学習意欲の向上につながっていくのではないかとまとめられており、推薦・AO等で活用されるというところは(教育再生実行会議の)提言と整合性がある。(第22回意見)
○(基礎レベルについて)指導の改善に用いつつ、AO等の基礎学力の判定にも使うという2つの目的は並び立つか。高校部会では主な目的が指導改善であり、「生徒の意欲を喚起するため」に就職やAOで活用することもあり得る、という整理だった。今回の再生実行会議の提言では、基礎レベルは推薦・AOの判定のために使うものと性格が変わったものと理解しており、それであれば、大学入学者選抜のためと性格付けた方がよいのではないか。(第23回意見)
推薦・AOに使われることが分かっている中で、学力調査と同じような形の実施は難しいのではないか。センター試験と同じく個人単位での受験にならざるを得ず、その中で学校がどのように活用、フィードバックできるのかということになる。学習状況調査も高校入試に使わないため素直な回答が得られているが、AO等に使われるとなるとバイアスがかかる。学力調査のような運用ではうまくいかなくなるのが予想される。(第23回意見)
大学入試で活用する場合は、大学自身が多様な評価を行う中で活用できると考える。選抜性の高い大学は発展レベルを、選抜性の高くない大学は基礎レベルを活用することが考えられる。(第23回意見)

【その他】
○基礎レベルを推薦・AO入試における基礎学力の判定に際しての活用促進とあるが、むしろ発展レベルこそ推薦・AO入試で行われるのでは。(第22回意見)
○単純に考えると二重負担になるという印象が強い。大学志願者の4分の3はもうセンター試験を受けている。大学入試との関係においては、このセンター入試を改変していくような発展レベルの試験の方法で十分対応できるのではないか。(第22回意見)
○達成度テストの基礎の実施によって、保護者、学校等から多少懸念されるのが、テストの点数を上げることに集中し、高校教育全体の中で達成度テストの精神的な比重が非常に高くなること。(第22回意見)
○到達度テストは高校で実施ありきという話になっているが、進学校や定時制・通信制など、(学校毎に)習熟度が様々な中、具体的なものが見えておらず、不安に感じている保護者もいる。AOが本来の役割を果たしておらず、定員を埋めるために利用されるという実態もあり、もう一度その辺の整理が必要ではないか。(到達度テストは)当初は生徒へのフィードバックがテストの目的であったのがずれてきているのではないか。(第23回意見)
○希望参加型というのは元々個人なのか学校なのか。学校の状況が様々な中、元々ある学力差を無視して学校毎の平均点、順位が示されるようになり序列化を助長することになる。単純に学力調査をイメージして設計するのはいかがか。(第23回意見)
○高校側の意見は現場の負担など常にネガティブなものが多いが、生徒の伸びにつながることを考えた方策などポジティブな意見を伺いたい。(第23回意見)

(2)対象者
試験の趣旨としては、希望参加型ということになると思う。(第22回意見)

(3)実施方法
A)試験内容
基礎レベルは、全ての高等学校において共通に身に付けるべきもので、試験(ペーパーテスト)で把握できるものでよい。ただ、合格という最終判定だけだと、その途中過程でどこまで自分が進んできたかが分からないので、合格に至るまでの段階を設けることはいい。(第22回意見)
○教科・科目という言葉を出してしまうと、それだけでとにかく子供は勉強していい点取ろうとするような方向に流れていくのではないか。(第22回意見)
○高校部会で検討していた希望参加型のテストが、AOなどにつながっていくとすると、思考力などを問う問題を中心にした方がよい。その方がほとんどの生徒を受けさせるように学校は指導すると思う。(第22回意見)
何回受けてもいいとすると、知識問題というよりも思考力を問うような問題でいわゆる学力状況調査のB問題に係るような問題を中心にしないと、そのための準備をしなくてはならなくなる。(第22回意見)
○基礎レベルの内容がどの程度のものになるか分からないが、指導改善に生かすということを考えていけば、この高校の教育の質の確保、向上ということを踏まえて、(試験の結果、)足りない部分を補っていくために、結果を踏まえたメリハリのある支援等の対応が必要。(第22回意見)
○特定の教科・科目となると受験対策が懸念されるため、教科横断とするなどの工夫が必要。(第23回意見)
○提言は唐突感がある。2つのテストを同時に実施されると中間層に負担がかかるのが一番の懸念。(第23回意見)

B)試験形態
○到達度テストの基礎レベルについて、質の保証や学習意欲を高めることが目的ならテストを受けるだけでなく本人へのフィードバックなどが重要。(第22回意見)
○小中の学力学習状況調査で、個別の学校成績の公表として使われており、高校のテストも同様な形で利用される危険をどう防ぐか。(第22回意見)

C)実施時期・受験回数・実施場所
高校現場が一番不安に思っていることは、在学中の複数回受験。その実施時期等によっては、現在の高校の学校行事等含めた教育活動に大きな影響が出てくることが予想され、現場では非常に消極的な捉え方が多い。なぜ改革をしなければいけないのかということを、高校現場、それから、教員、保護者等に広く理解される努力が必要。(第22回意見)
○各個人に対する成績の開示について、複数回受けるということであれば、1回目受けたときに2回目を受ける前に開示されるべき。(第22回意見)
○普通科が7割という中で実施するに当たり、どうやって実施するのか非常に漠然としており、独り歩きしないよう具体的なものの審議には十分時間を掛けてほしい。(第22回意見)
○複数回受験といっても、定時制、通信制の生徒の場合だと、学習の進度の面でかなり差があり、どういう形で受けることができるのか。定時制、通信制全てを抱えている学校では、例えば一斉に学校でやるとしてもキャパの問題では難しいのではないか。(第22回意見)
入試に使うとすると監督官や問題保管等の問題もあり、高校で実施するのは難しい。(第22回意見)
○実施は3年の後半のできるだけ遅くとし、大学入試や就職に使えるものとすればよいのではないか。(第23回意見)

D)その他
○高校生でも生徒の学習習慣の定着が非常に大きな課題。中学校では、既に全国学力学習状況調査において、教科に関する調査のほかに、生活習慣や学習環境等に関する質問紙調査があり、現場としては、指導改善に役に立っている。(第22回意見)
○大学が人物評価をする面接などいろいろな要素を入れていくというのはいい方向だと思う。ただ、学力も大学はそれぞれ求めるものが違うはずなので、学力だけは一つの共通のテストだけで測るというのは、少し極端な議論。(第22回意見)

2.高校教育の質の向上に向けた多面的な評価について
子供たちの基礎学力が身に付いて卒業できることは、保護者としても、子供たち自身にとっても必要。それを基礎学力だけを到達度テストという形でいくと、やはり主要教科のテストという形で判定されていくと思うが、数値では判定が難しいものをプラスアルファしていかなければいけない。(第22回意見)
○例えば、主体性、創造性、コミュニケーションなどはテストでは測るのが難しい。正解がなく、なおかつ、多様な人材を生むということになると判定が難しい。日本の教育として強化すべき点が、何かテストで測れないところがあり、テストだけではなく違った方策を見付けていくことが非常に必要。(第22回意見)
日本の高校教育そのものを改善する動きになるようにすることが必要。到達度評価ではなく、学習過程を評価するような評価の視点の在り方がもう少し議論される必要があるのではないか。専門高校などでは資格、検定などが生徒にとって一つの目標になるなど、小刻みな評価により評価されることが新たな意欲や高校生の行動につながっていく、そういう評価の考え方にしないといけない。(第22回意見)

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