資料1-1 高大接続特別部会の審議状況

高大接続特別部会の審議の状況について


1.高大接続特別部会設置の経緯

○平成24年8月28日の中央教育審議会総会では、「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」(答申)において、高校教育の質保証、大学入学者選抜の改善、大学教育の質的転換を、高等学校と大学のそれぞれが責任を持ちつつ、連携しながら同時に進めることが必要であると提言された。
これを受けて、文部科学大臣から「大学入学者選抜の改善をはじめとする高等学校教育と大学教育の円滑な接続と連携の強化のための方策について」諮問が行われた。
○このため、中教審の関係分科会での検討状況等を踏まえつつ、諮問事項を審議する総会直属の特別部会が設置された。


2.これまでの審議経過

○「大学入学者選抜の改善をはじめとする高等学校教育と大学教育の円滑な接続と連携の強化のための方策について」文部科学大臣から諮問(平成24年8月28日)。
○平成24年9月28日に第1回を開催し、大学入学者選抜の現状・課題等について、有識者から意見を聴取しながら、高大接続の在り方について審議。
○教育再生実行会議における高大接続・大学入試の在り方に関する審議の開始にあたり、安西部会長から高大接続特別部会の審議状況について報告(平成25年6月6日)。
○高大接続特別部会の審議状況等も踏まえ、教育再生実行会議が第四次提言(「高等学校教育と大学教育との接続・大学入学者選抜の在り方について」)を取りまとめ(平成25年10月31日)。
○教育再生実行会議の第四次提言も踏まえて、高大接続特別部会における審議を再開(平成25年11月8日)。
○平成25年11月29日まで9回の会議を開催。


3.これまでの議論の方向性

○先を見通すことの難しいこれからの時代に必要な力を育てるには、各学校段階での教育が相互の連携のもとに行われることが不可欠。
○これまで、大学入学者選抜が、高校生の学習意欲の喚起、幅広い学びの確保、学力の状況の把握等の機能の多くを担っていたが、大学入学者選抜の選抜性が低下した現状においては、これらの機能は主に高校教育においてしっかりと担っていくことが必要。
○このため、高校教育の質の確保・向上の取組(高等学校段階の学力状況の客観的な把握の仕組みの構築等)を充実するとともに、これを踏まえ、大学入学者選抜はこれからの時代に必要な力を判定・育成していく観点から、学力に加えて、志願者の能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価する大学入学者選抜に転換することが必要。
○総合力を見る大学入学者選抜への転換という観点から、大学入試センター試験の改善(活用力や言語運用能力等を問う問題等も含めた出題教科・科目の在り方、CBT化等の実施方法の在り方)、推薦・AO入試の改善(学力把握の取組の充実)、資格・検定試験等の活用等が必要。
○また、生涯学び続け主体的に考える力の育成等、大学教育の質的転換を図ることが必要。
○大学教育・高校教育それぞれの改善を図りつつ、両者の連携を強化することが必要。


4.主な意見の概要

 1 高等学校から大学までを通じて育成すべき力

・知識にとどまらない汎用的能力の育成が必要。
・大学教育における社会で求められる能力の育成の前提として、大学入学者選抜においては汎用的能力を測定することが必要。
・教育の評価手法について、小学校段階から大学まで一貫したものが必要。

 2 高校教育、大学入学者選抜、大学教育それぞれの関係と役割分担

・これまで大学入学者選抜が高校生の学習意欲の喚起、幅広い学びの確保、学力の状況の把握の機能を多く担っていたが、これらの機能については高校教育がしっかり担っていくことが必要。
・高等学校における学習到達度や大学教育に必要な能力・適性の判定等、大学入学者選抜が担うべき機能について整理することが必要。
・高大接続に当たっては、生徒自らの能力・意欲・関心に基づく大学選択や大学が求める学生を見いだすといった視点が重要。
・高校教育との円滑な接続のため、大学入学者選抜においては、高校教育の成果の確認と、大学教育に必要な能力・適性等の判定の2つの視点のバランスをとることが必要。
・高校教育の質の確保・向上の取組により高校段階で教科の到達度を評価した上で、大学入学者選抜においては活用力や意欲を重視することが必要。
・大学が多様化し機能別分化が求められる中で、大学入学者選抜の在り方についても、機能や類型に応じた検討が必要。
・大学入学者選抜は各大学が置かれている状況に応じ、従来の選抜機能のほか、教育・学習支援機能が求められている。
・高等学校における学習の早期分化の是正の観点から、募集単位の大くくり化を進めることが必要。

 3 高校教育の質の確保・向上

・高校段階の学力状況の客観的な把握の仕組みの検討を含めた高校教育の質の確保・向上の取組の充実が必要。
・「達成度テスト(基礎レベル)(仮称)」は、就職試験や推薦・AO入試等に活用される仕組みとすることが必要。

 4 多面的・総合的に評価・判定する大学入学者選抜への転換

(1)総合力を見る大学入学者選抜への転換(入学志願者の多様な能力・適性等の評価の推進)
・諸外国のように、共通試験の活用により、各大学の個別試験では意欲や体験等も評価するとともに、個別学力試験に係る労力を大学教育の改善に注ぐことが必要。
・入学者選抜は大学入学後の教育や成績と相関があることが重要。
・思考力や表現力、学習意欲等を丁寧に評価し具体に測る方法の開発が必要。
・「丁寧な選抜」は、面接に限定することなく、論文や高校での活動歴等多様なものを含めるべき。
・知識を前提にした接続から多様な接続を進めていくためには教科・科目型ではない暗記型以外の能力を測るテストが必要。
・より丁寧な入学者選抜を行うためには、各大学の実施体制の整備や業務の効率化のための仕組み等が必要。
・大学入学者選抜に求められる絶対的な公平性・公正性の在り方について見直しが必要。
・多様な能力・適性等を多面的にきめ細かく評価する観点から、外部試験等の活用が必要。
・グローバル人材育成の観点からTOEFL等の活用が必要。
・外部試験等の活用にあたっては、アドミッション・ポリシーとの整合性が必要。
・資格取得を入試の評価尺度に入れるのであれば、どのような点を評価するのかを明確にすべき。
・体験活動やボランティア活動等も含めた受験生の様々な学習活動歴の評価が必要。
・調査書の改善をはじめ高等学校の評価の活用が必要。
・評価手法については、パフォーマンス評価など近年の認知科学・学習科学の研究成果やICT技術の活用、様々な先導的取組等を踏まえて多面的に考えることが必要。
・選抜性の高い大学では、入学者選抜は硬直化しており、どのように選抜を多様化していくか議論すべき。
・アドミッション・ポリシーを明確化した上で、「達成度テスト(発展レベル)」と組み合わせる個別入試を多様化していくことが必要。
・選抜の多様化にあたっては、生徒の過度な負担増加とならないよう配慮が必要。

(2)推薦・AO入試の改善
・推薦・AO入試については多様化が進展しており、ある程度の類型ごとの対策が必要。
・大学教育への円滑な接続の観点から、推薦・AO入試における基礎的な学力把握の取組の充実が必要。
・高校で行われた評価結果の高校・大学間の共有のほか、ポートフォリオの活用等による受験者の具体的な学修履歴の把握・評価が必要。

 5 大学入試センター試験の改善(「達成度テスト(発展レベル)(仮称)」の在り方)

・細分化した出題教科・科目の精選をはじめ、出題教科・科目の在り方の検討が必要。
・活用力を問う問題の充実、グレード別の成績提供、複数回実施、実施時期の見直しの指摘。
・現在のセンター試験は科目数の多さ、実施上の困難さ、素点の合計での合否判断と課題が多く、単純化や、点数の表示を偏差値化するなどの対応が必要。
・推薦・AO入試等は少人数に対して行われており、多数の志願者に対して多様で丁寧な評価を行うためには、各大学が活用できる新たな方法が必要であり、CBT化や言語運用能力・数理論理力・分析力・問題解決能力等を測る問題やテストの開発が必要。
・達成度テストの検討に当たっては、高校関係者の意見も踏まえつつ、高校教育への影響に留意することが必要。また、資格検定の活用等、専門高校等の生徒への配慮も必要。
・アメリカではSATやACTに加えて高校の成績を重視しており、共通テストの改善や在り方の検討に当たっては高校教育の質保証の充実が前提として必要。
・達成度テストの在り方の検討に当たっては、大学の活用のしやすさという観点も必要。

 6 大学の人材育成機能の強化

・入学段階での評価から卒業段階への評価へ転換することが必要。成績評価や卒業認定の厳格化が必要。
・企業の評価への活用等のためには、学生の学修成果の客観的な可視化が必要。
・学位授与に関して、教員の教授科目がどう関わるのか、学生は何を修得したから学位授与に至ったのか、教員と学生にしっかりと意識付けすることが必要。

 7 高等学校教育と大学教育の連携強化

・高校段階と大学段階のそれぞれで教育をしっかりすることが前提。
・大学の出前授業は、高校側にとっては生徒が大学の学びや自分が大学で何をしたいかという意識付けに大変有意義なものであり、大学側にとっては大学での教育内容を分かった上で入学してもらえるというメリットがある。
・高大連携を個々の大学で対応するには限界があり、地域のコンソーシアムや教育委員会が中心となって調整することや、資金面での支援も必要。
・推薦入試で早期に進学が決まった生徒に対する大学教育の準備における、高大の連携が必要。
・地方には大学が少なく、生徒が大学に触れる機会が限定されているので、オープンキャンパスは進学先の大学を判断するいい機会。
・入学者選抜時の募集人員の大括り化については、入学後の進路変更が可能となり、大学での学びのミスマッチの解消につながる。

 

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