資料3 第22回高等学校教育部会における委員からの主な意見

第22回高等学校教育部会における委員からの主な意見

 1.達成度テスト(基礎レベル)(仮称)について
(1)目的、活用方策
○ 達成度テスト(基礎レベル)について、全国の高校生の学力を一定レベルに担保するためなのか、一方で、幅広い教養やアイデンティティなどが大事という話もあり、部会での共通認識が必要。
○ 個人が(進学等を見据えて)受けるべき試験なのか、それとも国としてやるべき学力状況把握、あるいはそれをフィードバックして各学校で教育改善につなげるための試験なのか。
○ 試験の目的に生徒の学習意欲の向上につなげることがある。生徒の学習意欲の向上というのは非常に難しく、何らかインセンティブがなければその生徒の学習意欲の向上には結びつかないところがある。高校部会での審議の経過では就職や推薦・AO入試等で、自らの学力の証明となり、それが学習意欲の向上につながっていくのではないかとまとめられており、推薦・AO等で活用されるというところは(教育再生実行会議の)提言と整合性がある。
○ 基礎レベルを推薦・AO入試における基礎学力の判定に際しての活用促進とあるが、むしろ発展レベルこそ推薦・AO入試で行われるのでは。
○ 単純に考えると二重負担になるという印象が強い。大学志願者の4分の3はもうセンター試験を受けている。大学入試との関係においては、このセンター入試を改変していくような発展レベルの試験の方法で十分対応できるのではないか。
○ 達成度テストの基礎の実施によって、保護者、学校等から多少懸念されるのが、テストの点数を上げることに集中し、高校教育全体の中で達成度テストの精神的な比重が非常に高くなること。

 (2)対象者
試験の趣旨としては、希望参加型ということになると思う。

 (3)実施方法
A)試験内容
基礎レベルは、全ての高等学校において共通に身に付けるべきもので、試験(ペーパーテスト)で把握できるものでよい。ただ、合格という最終判定だけだと、その途中過程でどこまで自分が進んできたかが分からないので、合格に至るまでの段階を設けることはいい。
○ 教科・科目という言葉を出してしまうと、それだけでとにかく子供は勉強していい点取ろうとするような方向に流れていくのではないか。
○ 高校部会で検討していた希望参加型のテストが、AOなどにつながっていくとすると、思考力などを問う問題を中心にした方がよい。その方がほとんどの生徒を受けさせるように学校は指導すると思う。
何回受けてもいいとすると、知識問題というよりも思考力を問うような問題でいわゆる学力状況調査のB問題に係るような問題を中心にしないと、そのための準備をしなくてはならなくなる。
○ 基礎レベルの内容がどの程度のものになるか分からないが、指導改善に生かすということを考えていけば、この高校の教育の質の確保、向上ということを踏まえて、(試験の結果、)足りない部分を補っていくために、結果を踏まえたメリハリのある支援等の対応が必要。

 B)試験形態
○ 到達度テストの基礎レベルについて、質の保証や学習意欲を高めることが目的ならテストを受けるだけでなく本人へのフィードバックなどが重要。
○ 小中の学力学習状況調査で、個別の学校成績の公表として使われており、高校のテストも同様な形で利用される危険をどう防ぐか。

 C)実施時期・受験回数・実施場所
高校現場が一番不安に思っていることは、在学中の複数回受験。その実施時期等によっては、現在の高校の学校行事等含めた教育活動に大きな影響が出てくることが予想され、現場では非常に消極的な捉え方が多い。なぜ改革をしなければいけないのかということを、高校現場、それから、教員、保護者等に広く理解される努力が必要。
○ 各個人に対する成績の開示について、複数回受けるということであれば、1回目受けたときに2回目を受ける前に開示されるべき。
○ 普通科が7割という中で実施するに当たり、どうやって実施するのか非常に漠然としており、独り歩きしないよう具体的なものの審議には十分時間を掛けてほしい。
○ 複数回受験といっても、定時制、通信制の生徒の場合だと、学習の進度の面でかなり差があり、どういう形で受けることができるのか。定時制、通信制全てを抱えている学校では、例えば一斉に学校でやるとしてもキャパの問題では難しいのではないか。
入試に使うとすると監督官や問題保管等の問題もあり、高校で実施するのは難しい。

 D)その他
○ 高校生でも生徒の学習習慣の定着が非常に大きな課題。中学校では、既に全国学力学習状況調査において、教科に関する調査のほかに、生活習慣や学習環境等に関する質問紙調査があり、現場としては、指導改善に役に立っている。
○ 大学が人物評価をする面接などいろいろな要素を入れていくというのはいい方向だと思う。ただ、学力も大学はそれぞれ求めるものが違うはずなので、学力だけは一つの共通のテストだけで測るというのは、少し極端な議論。

  2.高校教育の質の向上に向けた多面的な評価について
子供たちの基礎学力が身に付いて卒業できることは、保護者としても、子供たち自身にとっても必要。それを基礎学力だけを到達度テストという形でいくと、やはり主要教科のテストという形で判定されていくと思うが、数値では判定が難しいものをプラスアルファしていかなければいけない。
○ 例えば、主体性、創造性、コミュニケーションなどはテストでは測るのが難しい。正解がなく、なおかつ、多様な人材を生むということになると判定が難しい。日本の教育として強化すべき点が、何かテストで測れないところがあり、テストだけではなく違った方策を見付けていくことが非常に必要。
日本の高校教育そのものを改善する動きになるようにすることが必要。到達度評価ではなく、学習過程を評価するような評価の視点の在り方がもう少し議論される必要があるのではないか。専門高校などでは資格、検定などが生徒にとって一つの目標になるなど、小刻みな評価により評価されることが新たな意欲や高校生の行動につながっていく、そういう評価の考え方にしないといけない。

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