資料5-2 高校教育の在り方に関するこれまでの委員発言要旨

1.基礎学力等を完成させる役割

  • 人間の人間らしさの基である言語能力や数理能力、いわゆる読み書き計算のところの基礎の基礎の部分等、人間としての信用の基になっている部分について、高等学校レベルで社会的に示すということが最低限必要。
  • 高等学校というのは小中の基礎の上にある。
  • 卒業後、本人が少なくとも困らないように生きていくための基礎学力が必要。人間関係形成能力を高めていくための基になる基礎学力を付けないで、本人の個性ということで逃れてしまってはいけない。
  • 学力の重要な3要素というのを身に付けるのが学校の役目。基礎的・基本的な知識・技能を習得させて、それらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等を付けて、その繰り返しの中で学習意欲をしっかりとしたものにしていく。それが将来、社会に出たときに必ず役に立つ。
  • 専門的、あるいは職業的な自立に向けての基礎を作るプロセスが高等学校である。
  • 教科の勉強を通じて思考力、判断力、表現力、あるいは人間関係を作っていく基盤としてのコミュニケーション能力を育てていくべき。
  • 「国民としての基礎」教育は義務教育段階で終了しているので、高等学校の基礎教育というのは、アイデンティティの確立、自己確立、自立という「専門への基礎」教育。

2.進路選択の橋渡しをする役割

  • 「自立と個性」というのが、中等教育のキーワード。自分がこういう分野をやりたい(こういう大学に進みたい)ということを決められるような自立の力と、その後の専門や職業の準備に結びつく個性を育てることが、この時期には必要。
  • 「中等教育」概念というのは、大学への準備教育ということと同時に、社会へ出ていく中堅の人間の形成という両方の面を持つ。
  • 高等学校は、少なくとも各種学校とは違って、本来持っている子供の可能性を保証して、そのレベルを高くし、可能性を広げていくということが一つの大きな狙い。
  • 高校時代においては職業人として自立するための能力を育てるべき。
  • 進学するにしろ、就職するにしろ、高等学校を出て次の段階で生徒がきちんと自分の希望を叶えられる。その責務を高等学校が負っているという認識を新たにして、生徒一人一人に基礎的な力を付けて、社会や大学に送り出す必要。
  • 労働市場の側から見ると、高校時代は、社会的な要請(労働市場のニーズ)に合う形で人材が配分されるプロセス。一方、生徒たちの意識として、人生の中でやりたいことを自らが選択するという選択のプロセスでもある。
  • 大学教育だけではなく、高校教育の中でも専門教育は更に重要視されて、産業界のニーズに応えられる有意な人材育成すべき。
  • 産業界、企業において必要な能力は、自分の考えを持って、存在感を示せるプレゼンス能力、その考えを発信するプレゼンテーション能力、その発信した考えをベースにして他人と議論するディスカッション能力。実社会に最も近い高等学校段階ではその三つの能力を付けてほしい。

3.社会人への準備段階として市民性を育成する役割

  • 高校3年間の生活というのは学習面だけではなく、本当に社会で生きていくための力を付ける大事な期間。
  • 高校生が、自分だけの、多様な価値観を見出していくということが非常に大事。主権者となって国を支える状況になったときに、いろいろなものを重要なものとして捉える力が身に付く。
  • 高等学校は中等教育の最後の段階であり、生徒が、将来、自分はどういう人間として社会の一員になっていくのかについて一定の認識を持って卒業できるように何とかしていきたい。
  • 社会の構成員として、社会で通用するためのコミュニケーション能力などをしっかり身に付けさせるべき。
  • グローバル化の進む実社会に出る準備段階にある生徒には、日本の社会の中で生き抜く力だけではなくて、世界の中で伍して生き抜くために、クリティカルシンキングの能力の育成が欠かせない。

4.その他

  • 高等学校は、専門学校とは違うということを明確にしておかなければならないし、専門学校のように無際限に多様化してはいけない。
  • 義務教育である中学校は、「基本」教育を主として、「個性」については副次的に扱い、高等学校は、「個性」教育を主にし、「基本」を副にする。

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