資料5 第10回における委員からの主な御意見

1.高等学校教育の現状について

  • 日本はものづくり国家であるにも拘らず、ものづくりを教える教科が少ない。ものづくり教育についても触れて欲しい。
  • ものづくりにおける日本の強みは、技術者と労働者がお互いを気遣うことができる点である。納期を守る能力や指示伝達能力は、世界と比べると雲泥の差があり、外国は日本の人材育成システムに興味を持つほどである。このような能力は、日本の教育により培われており、日本の教育が持つ良さを失ってはいけない。
  • 日本の高校生が置かれている現状についての記載が足りない。労働需要は減っているので、求人倍率等を用いて労働市場の状況についても記載すべき。
  • 高校生の中間層の学習時間の減少と学習意欲の減退については、現状で記載すべき。
  • 高校教育を考えるに当たっては、現状で義務教育段階についても言及すべき。

2.身に付けるべき能力について

  • コアは身につけるべき能力や態度だけでなく、指導内容も入るのではないか。
  • 20~30年後を見据えて考えていく必要。今後、人口構成は変化し、グローバル化は当たり前になるが、コアを検討していく際には、高校生が30代になった時代を念頭に置くべき。
  • コアは非常に広範な意味を含む能力。これは特定の学科で行うことではなく、これがコア科目というものを設定することは難しい。
  • ジェネリックスキルやコンピテンシーというものもコアなのではないか。定義も含めて議論が必要。
  • コアについては抽象的な議論に走らずに様々なデータから総合的に判断すべき。
  • 高等学校は自分の人生観を固める時期だが、大学入試がその行為を棚上げさせている。人生観を固める手助けをできるようにすべき。
  • 日本の高等学校に求められる資質・能力は学力だけでなく、学校教育法第51条が達成できているのかを考える必要があり、これを担保していく必要がある。

3.各種の振興方策について

  • 社会的・職業的自立、社会・職業への円滑な移行に必要な力の例に産業社会と人間を記載しているが、総合的な学習の時間をどう活用していくのかも考えるポイントである。
  • 学校を変えるには校長のマネジメントを強化する必要があるので、「学校運営に関する校長権限の強化」という文言を追記すべき。
  • 「不登校の生徒を積極的に受け入れる学校の配置の促進」について、最初から不登校生を前提とするのは問題なので削除すべき。
  • 不登校生は現実にかなりの数が存在している。理想論を掲げて対策を打たないと株式会社立のような学校が受け皿になってしまう。現実を受け止め、政策として位置づけるべき。
  • 教員の養成については、修士化をするのではなく、学士卒業後にインターンシップ等で現場経験を積むような形にして欲しい。
  • 2年間の専攻科を卒業する際に与えることができる専攻科卒業資格を作って欲しい。
  • 産業社会と人間については、現場では独自に教材を作って指導しているところであるが、主体性を持って取り組んでいる教員がいないので、学年が変わると教えている内容が引き継がれていない。先ずは主体的に取り組む人材の育成をすべきであり、キャリア教育を行うための中核となる時間を位置付けるために挙げる例として相応しくない。
  • 早期卒業について、学習時間が減少しているなど全体の制度に問題がある中で一部の生徒のために早期卒業制度を認めるのはいかがなものか。私学の中高一貫校では確かに学習指導要領を5年で終わらせている現状があるが、それは大学入試の準備のため。仮に早期卒業を認めるにしても「特に優れた資質を有する者」という限定が必要。

4.高等学校と大学の接続について 

  • 大学入試が高校生の勉強の動機付けになるとすると選抜制の低い学校に入学する生徒の動機付けにはならない。この問題を現状に記載すべき。
  • 大学入試には2つの考え方があり、一つは大学への適性を測ること、もう一つは高等学校段階の達成度を測ること。入試を変えていくと、大学の適性を測るようなものに変わっていくかもしれないが、その際、高等学校側が達成課題を示して、その内容を測れるようなものにしていくことが大事。

5.その他

  • 私学は保護者のニーズに応える必要があるが、それが今は選抜制の高い大学に入ることだけになってしまっている。このような意識で良いのか、呼びかける提案をすべきではないか。
  • 企業にどのような学生が欲しいか訊ねると、技能がある方が当然有難いが、それよりも入社した後も学び続ける人材が欲しいという。
  • 各学校の課題を大学へ進学する生徒や就職する生徒ごとに記載しているが、このように書くと大学へ進学することや就職することが目的に見えるが、これは手段であり、生徒の視点ではなく保護者の視点から書いている。
  • 職業的自立は普通科に進学している生徒にも必要なことであり、「職業的自立に向けての準備」という文言を追記すること。
  • 「観の自己形成」という文言はわかりずらいので例示を記載した方が良い。
  • 昭和59年の通知により、単位認定については設置者及び学校の判断に任されることとなり、国の関与の度合いが大きく下がった。これからは共通の原則は国が確認し、助言するくらいの意識付けが必要。

 

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