資料3-1 安彦部会長代理

安彦部会長代理からの意見

1)「高校教育の現状」については、おおざっぱに書いているので、何が現状として問題なのか、概念的になっている。多様化された高校であるから、これまでに出された主な意見に沿って、もう少し高校の学校種別に応じて、問題点を明示する必要がある。

2)教育課程の編成原理として、ア学問的要請、イ社会的要請、ウ心理的要請(発達や個性を含む)の三つの柱に加えて、エ人間的要請(総合的学習や体験的学習など)も入ってきているが、ウの視点がまったく欠けている。青年期前期からの生徒の心理的特性を明記してほしい。

3)制度的な基本特性の整理がなされていない。例えば、普通科・職業科。理数科等の種別、新しいタイプの高校の位置づけ、単位制と学年制の併用、修得主義の原理、選択と必修の組み合わせの原理、その他これまでの高校の制度的性格を、少なくとも一度吟味すべきである。
  とくに、これらは歴史的に変遷があるので、その流れを整理して示す必要がある。

4)「中等教育」の前期と後期という中学校・高校の位置づけを明確にし、前期と後期の学校のそれぞれの特性を明示する必要がある。「後期中等教育」の高校は、現代の社会においてはどのような役割を果たすべきなのか、現代の日本の社会状況の押さえをしたうえで、小中の単線型学校体系を踏まえて、その位置づけを示してほしい。大学入試や高学歴社会化による高校教育の変質、大学教育の充実などにも言及する必要がある。中等教育は「自立」と「個性」をキーワードとするが、後期は「自立への準備」として「観の形成」が、「個性の伸長」として「職業的・専門的準備」が行われなければならない。合わせて「個性的自立の達成」がすべての高校の具体的な教育目標でなければならない。

5)進路について、高校側がどこまで責任を負うのか、生徒の進路保証は学校の責任なのか、個人の私的な責任なのか、の吟味など、進学実績はその学校の質の保証になるか。

6)「学力」と「人格」との関係は、部分と全体との関係である。教科指導上の問題は、生徒指導・生活指導の問題の一部を成すものであり、そこで両者の関係づけを考える必要がある。

7)不登校・中退・留年などについての問題への対応はどこまで行うのか。

8)「質保証」は「社会的信用」の問題である。「実質的な、望ましい保証」を実現するような対応でなければ、表面的な対策で済ませられる危険があり、現実の問題解決には役立たない。

9)高校教員の問題も議論に含まれる。確かに、「高校教員」の実態はもっとしっかり把握する必要があり、そのマイナス面の克服がなければ少しも改善策にはならない。

10)振興方策については、核心を突く部分を明確にしなければ、いくら個別方策を改善しても、本質的に改善が実現するとは言えない。

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