資料3:障害種別の学校における「合理的配慮」の観点(案)

障害種別の学校における「合理的配慮」の観点(案)(※現在調整中のもの)

<「合理的配慮」の観点(1)教育内容・方法>

<(1)-1 教育内容>

 (1)-1-1 学習上又は生活上の困難を改善・克服するための配慮

 その障害によって、日常生活や学習場面において様々なつまずきや困難が生じることから、小・中学校等の通常の教育課程による教育にとどまらず、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識、技能、態度、習慣を養うことへの配慮を行う。

例:

視覚障害

 見えにくさからの学習上又は生活上の困難を改善・克服する配慮(座席を前にする、教材や掲示物の明確なコントラストや文字サイズの配慮、分かりやすい板書、採光の調整、見えやすい用具(太字のペン、表示が大きなものさしなど)や視覚補助具(弱視レンズ、拡大読書器など)の活用)
 見えないことからの学習上又は生活上の困難を改善・克服するための指導を個別に行うと共に学習活動に活用する(触察や点字、空間概念、白杖を使った歩行などの指導)

聴覚障害

 聴覚障害に起因する情報不足を補うための配慮(教師の話が受容しやすい座席の位置、板書及び視覚的教材の活用、児童生徒の聴覚障害の状態に応じたコミュニケーション手段の選択と活用)
 学校生活において自由にコミュニケーションができる環境を保障(周囲の児童生徒の理解啓発を促すための指導、聴覚に障害のある児童生徒同士の交流の場や機会の確保)

知的障害

 学習や生活に必要で実際的な技術や態度を身に付けられるよう配慮する。(注意深く聞くことや板書などを注視することなど、着替えや持ち物の管理など)
 将来の職業生活などに必要な指導を行う。(作業活動、公共機関や交通機関の利用など)
 知的障害に伴う認知上の課題(記憶することや文字、形を見分けることが困難など)や身体運動上の課題(ぎこちない動きや微細な作業ができないなど)、情緒の安定に関する課題(興奮しやすい、極端な自信喪失など)に対応した指導を行う。

肢体不自由

 肢体不自由による学習上又は生活上の困難さを改善・克服するための方法の理解を図り、その実践を支援する。(姿勢の保持・上肢の操作・移動運動の困難などについて学級担任や専門家に相談、改善方法の作成、改善方法の実践に対する支援)
 肢体不自由に伴う健康上の課題(身体の変形や拘縮、褥瘡、運動不足など)について、自己管理ができるように個別に助言する。
 肢体不自由による身体の動きや健康上の課題について、時間を設けて個別に指導する。(ストレッチングや身体の動きの学習、摂食・嚥下など食事に関する指導,補助的手段の活用など)

病弱

 自分の病気を理解し、病気の改善や病状を維持するために必要な服薬管理や環境調整、病状に応じた対応などができるように指導(その際、主治医や家庭と連携をとり、本人に伝える事項などを確認すること)
  ア 定期的な服薬や体温調整など病状の維持・回復に必要な対応を指導
  イ 自分の病気を理解し、病状に応じて、例えば負担過重な活動を自ら制限するなど自己管理ができるように指導
  ウ 薬の管理や薬の副作用、治療による副作用や合併症、晩期障害などを理解し、対応できるよう指導
  エ 病気による様々な規制や困難(運転免許証の取得や就職上の制約など)を理解し、病気に応じた対応方法を考えるよう指導
  オ 病気や障害のある人を支援する医療費助成や難病対策、障害児・者の福祉などの諸制度を理解し、必要に応じて病気の状態により利用できる制度を調べ、活用できるように指導
 病気による活動の制限や、病気に伴う身体活動の困難を改善・克服する指導
  ア 学習活動時に、自ら意識して身体を動かすよう促す
  イ 学習活動時に、周囲の友だちが身体を動かすよう声をかけて支援する
  ウ 教員や支援員などが、意識して身体を動かすことが出来るよう介助する
  エ 身体活動を改善・克服するための時間を設定して指導する
 病気による経験不足を補ったり、社会性を高めたりする指導
  ア 放課後や休憩時間に友達と遊ぶ機会を積極的に設ける
  イ 友達と一緒にできる、病気の状態に応じた遊びや取組を考えさせ、一緒にできる機会を増やす
  ウ 放課後などに、ビデオ教材などを活用して経験不足を補ったり、社会性を高めたりする様に指導する
  エ 放課後などに、ソーシャルスキルトレーニングなどを実施し、人との対応や社会性を高める様に指導する

言語障害

 発音の明瞭度を向上させるための指導(一斉指導における発音の指導への配慮、個別指導による構音指導)
 学校生活において自由にコミュニケーションができる環境を保障(周囲の児童生徒の構音障害・吃音などについての理解啓発を促す配慮、言語障害のある児童生徒が集い交流する場や機会の確保)

自閉症・情緒障害

 自閉症の行動上の特性である、適切な対人関係形成の困難さ、言語発達の遅れや異なった意味理解、手順や方法に独特のこだわりなどがあることを理解し、配慮した指導を行う。
 過去の不快な体験を思い出してパニックなどを起こすなどの自閉症の独特の心理特性を理解し、配慮した指導を行う。

LD

 文字を見て瞬間的にその読みを想起することや形の弁別などの未発達な能力を向上させるための指導(平仮名の読み練習や形を弁別する力を高めるための指導、音韻意識を高める指導 など)
 未発達な能力を代替させたりカバーしたりするための指導(ワープロによるノートテイクや電卓、使いやすい定規や分度器を使うこと、家庭や学校外の教育・療育機関などで使用しているデジタルカメラやカラーフィルターなどの機器などの学校での使用を認めること など)
 感覚過敏に対する指導(過敏さの自覚、対処方法など)
 得意な能力を更に向上させ、自信を高めるための指導(得意な活動を学級の係活動などに位置付け、活躍を賞賛する。など)
 得意な能力によって未発達な能力を補完するための指導(文章に代えて絵で説明することを認める。テストで、教員が読み上げた問題文に口頭で答えるなど)

ADHD

 注意のコントロールや衝動的な行動の抑制などの未発達な能力を向上させるための指導(注意深くものを見る指導、衝動性を抑制するため自分を客観視できるような指導、物品を管理する指導、社会性を高める指導、学習方法の指導など)
 未発達な能力を代替させたりカバーしたりするための指導(メモを書く習慣形成やリマインダーの使用、物品の定位置を決める、記録機器の使用など)
 感覚過敏に対する指導(過敏さの自覚、対処方法など)
 得意な能力を更に向上させ、自信を高めるための指導(好きなことに集中できる時間や場所の確保、数多くアイディアを出せる場やユニークな発想を生かせる場を学習活動の中へ位置付ける など)
 得意な能力によって未発達な能力を補完するための指導(短時間で区切って多様な活動を継続する。全体的に捉えるためのフローチャートを使う など)

重複障害(視覚障害と聴覚障害)

 重複した障害の状態に応じたコミュニケーション手段の選択と活用(指点字、近接手話、触手話や触指文字、手のひらへの書き文字などを含む))

(1)-1-2 指導目標の設定

 法律等で定められている教育の目的、学校の目的、学習指導要領に示されている各教科等の目標を前提とし、教育委員会の規則等に従い、地域や学校及び幼児児童生徒の実態に即した学校における指導目標を設定すると共に、幼児児童生徒の障害の状態に応じて、評価規準の調整、指導方法の変更、学習内容の調整、さらには指導目標・指導内容の個別設定を行う。

例:

視覚障害

 視覚障害を補って学ぶことを踏まえて指導目標を設定し、評価規準を調整する。(点字での読み書き、触察での図や立体の理解などを配慮する)

知的障害

 年齢を考慮しつつ、生活指導などにおいて、できるだけ実生活につながる技術や態度のための指導目標を設定する。(分担した係仕事をこなす、簡単な調理ができる、小遣い帳を付けることができる、家庭内の仕事ができるなど)
 生活指導などにおいて、ルール理解などの実際的な社会性を身に付けていくための指導目標を設定する。(順番を守る、交通ルールを知る、基本的な対人関係のルール、生活に必要な法令を知るなど)
 将来の職業生活などに行かせるような指導目標を設定する。(分担した作業に取り組む、責任をもって作業するなど)

肢体不自由

 肢体不自由の状態により、操作を伴う学習等が困難な場合、評価方法を工夫する。(算数で作図が困難な場合、作図の方法を口頭で説明する等)
 肢体不自由の状態により、身体の動きを伴う学習等が困難な場合、指導内容を個別に設定する。(体育のマット運動で前転が困難な場合、横転に変更する等)。

病弱

 病気や病気の進行のため達成が困難な指導目標を必要に応じて変更(その際、主治医や専門医からの指導・助言を踏まえて、適切な指導目標とすること)
  ア 指導目標は変更せず、教職員の支援や友達の協力を得ながら目標の達成を目指す
  イ 病状により達成困難な指導目標については、実施できる目標に変更する
  ウ 病状により達成困難な指導目標については、個別の指導目標を設定する

言語障害

 言語障害以外の他の障害が原因で言語障害を伴う場合には、特別支援学校、特別支援学級など児童生徒の支援を行っている関係機関と連携し、実態把握を行った上での障害の状態に応じた指導目標を設定する。
 発音明瞭度検査などを行い、児童生徒の発音の状態を把握し、指導目標を設定する。

自閉症・情緒障害

 自閉症の特性により、教科学習などで達成が困難な目標(他者の心情を理解することや文中に表現された状況を想像することなどが難しい)があることに配慮する。
 自閉症の特性を考慮して、達成可能な教科学習などの指導目標を設定したり、障害の状態の改善など(主として社会適応)を目指した指導目標を設定したりする。

LD

 認知の特性を適切に把握した上での目標設定(心理検査などの客観的な結果を利用する。適切な行動観察。障害が重複する可能性を考慮することなど)
 二次的な障害が生じているかどうかを見極めて適切に対応する。

ADHD

 認知の特性を適切に把握した上での目標設定(心理検査などの客観的な結果を利用する。適切な行動観察。障害が重複する可能性を考慮すること など)
 二次的な障害が生じているかどうか見極めて適切に対応する。

(1)-1-3 学習内容の変更・調整

 一人一人の障害の状態に配慮し、学習内容の変更や、学習の量・時間の調整を行う。

例:

視覚障害

 視覚障害に配慮した学習内容の調整や変更(詳しい説明(状況や対象物の様子、変化)を加える、十分な時間延長をする、図示がある教材は工夫して点字教材を作成する、漢字は意味や使い方に重点を置いて学習する、筆算はそろばんを使う、実験は結果が音で分かるようにする、観察は触ることができるようにする、体育は視覚障害に応じた内容で行う、安全を確保する)

聴覚障害

 聴覚障害の状態に応じた学習内容の変更・調整(外国語のヒアリングなどにおける音量調整、学習室の変更、文字による代替問題の用意など)

知的障害

 教科内容の理解の程度などに応じて、学習内容の焦点化を図り、基礎的で基本的な事項を身に付けられるようにする。
 生活上必要な基礎的・基本的な語彙などの意味を確実に理解できるよう配慮する。

肢体不自由

 肢体不自由の状態により、学習の量や学習時間の調整をする。(課題数を減らす、時間を延長する等)
 肢体不自由の状態や認知の特性等により、発表の仕方を変更したり記憶しやすい方法の使うことを認めたりする。(話すことが難しい場合には書くことやVOCAの活用、言語化することにより記憶しやすいなど)
 肢体不自由の状態や認知の特性等により、学習の進度が著しく遅れることや個別の学習方法が必要とする場合には、時間や場所を設定して個別に指導する。

病弱

 病気や病気の進行のため実施が困難な学習活動を必要に応じて変更(その際、主治医や専門医からの指導・助言を踏まえたり、学校生活管理指導表やアレルギー疾患用学校生活管理指導表を活用したりして、適切な学習活動とすること)
  ア 学習活動は変更せず、可能な限範囲で本人が実施
  イ 学習活動は変更せず、実施が困難なことについては教職員の支援や友達の協力を得ながら実施
  ウ 病状により実施困難な学習活動については、一部実施可能なことに変更
  エ 病状により実施困難な学習活動については、実施可能なことに変更
 学習空白などによる学習上の課題への対応
  ア 補充教材などの提供
  イ 学習していない学習内容について、補充指導を実施
  ウ 誤って理解した学習内容について、正しく理解出来る様に指導
  エ 短期間の入院者には、学習内容の精選し、基礎的・基本的な事項に重点を置いた指導や、宿題により必要な事項を指導
 入院前の前籍校の学習内容との違いに配慮した指導
  ア 前籍校での学習内容を確認しながら指導
  イ 前籍校で学習していない学習内容について、プリントなどの補充教材を提供
  ウ 前籍校で学習したことや学習の進度などを踏まえ、学習内容の連続性や系統性に配慮して指導
 子どもの認知特性などに配慮した学習内容の変更
  ・ADHDなどの発達障害の児童生徒が、心身症やうつ病などの精神疾患により病弱者となる場合には、こころのケアだけでなく、ADHDなどの認知特性などに配慮した学習内容に変更したり、指導方法を工夫したりする

言語障害

 言語障害の状態に応じた学習内容の変更・調整(教科書の音読や音楽の合唱などにおける個別的な指導、構音指導に配慮した教科指導)

自閉症・情緒障害

 教科学習などにおける理解の仕方や程度を考慮し、学習内容を焦点化したり、自閉症の特性によって生じる学習が困難な内容を把握したりしておく。
 必要に応じて、社会適応をねらいとする指導内容を重視する。

LD

 学習内容の精選(基礎・基本的な内容の習得に重点をかける。習熟のための時間が不足する場合は宿題などで定着を図る など)

ADHD

 注意集中を持続することが困難であることに配慮して、内容を分割して適切な量にするなどして調整する。

<(1)-2 情報保障>

(1)-2-1 感覚と体験を総合的に活用した概念形成への配慮

 一人一人の認知特性を把握し、それに応じた感覚と体験を総合的に活用できる学習活動を通じて、概念形成を促進するよう配慮を行う。

例:

視覚障害

 模型や実物に触るなど能動的な学習活動を十分にできるように配慮すると共に、学習活動を自分で最初から最後まで行い、手順やポイントの理解を明確にできるようにする。

聴覚障害

 言語経験が少ないことによる、体験と言葉の結びつきの弱さを補うための指導(経験したことを日記・作文などにまとめる、話合いの内容を確認するため書いて提示し読ませる、慣用句など言葉の表記と意味が別の言いまわしになる言葉の取り立て指導など)

知的障害

 必要に応じて、知的障害に伴う視覚や聴覚などの障害、認知の特性ななどを把握しておく。

肢体不自由

 肢体不自由による経験が乏しいことについて、学習で取り上げる概念の補足的説明を行う。(写真や映像など視覚的補助の使用など)
 肢体不自由による経験が乏しく学習内容を理解することが困難な場合には、時間や場所を設定して実際に体験する機会を設ける。

病弱

 幼少時からの入退院の繰り返しなどによる日常生活上体験が不足、友だちとの遊びなどによる集団としての活動体験が不足しているため、学習に必要な概念が形成できていないことを理解し、それに配慮して指導
  ア 治療による体験不足を考慮し、絵やビデオなどを活用して概念形成を図る
  イ 直接触ったり、ビニール手袋をして間接的に触ったりするなどの体験的な活動を通して概念形成を図る

言語障害

 遊びや運動を通した構音指導の実施(シャボン玉、風船などを使った呼気や発音などの指導、体を動かしながらの自然な発声をうながす構音練習)
 多様な感覚を活用した構音指導の実施(聴覚活用、筋肉運動知覚、視覚【読話】など様々な感覚を使った構音練習を行う)

自閉症・情緒障害

 自閉症の特性である感覚過敏などに配慮する。
 教科学習などにおいて適切に意味理解が進むよう実体験を重視する。

LD

 身体感覚の発達を促すために、体を大きく使った指導を増やす(全身を使って大きな文字を書く、なぞるなど)
 さまざまな感覚に訴える指導(同時に見て触って聞きながら学ぶ など)

重複障害(視覚障害と聴覚障害)

 障害が重度になると、触覚からの情報で概念を形成する特性への配慮。(触覚によるコミュニケーションと対象物の触察が同時にできないことなど一度に取り入れられる情報が限られることへの配慮)

(1)-2-2 情報保障の配慮

 一人一人の障害の状態に応じた情報保障を行うと共に、コミュニケーションの方法を検討するなど一人一人に適した配慮を行う。

例:

視覚障害

 見えにくい児童生徒に提供する情報の配慮(小さな文字を使わない配慮、拡大コピーや、拡大文字を用いた資料の提供)
 見えない児童生徒に対する情報の配慮(聞くことで内容が理解できる説明、点字及び点図資料、音声による資料提供)

聴覚障害

 聴覚障害の状態に応じた視覚的情報保障の提供(分かりやすい板書、教科書の音読箇所の位置の明示、授業の流れが分かるワークシートなどの準備、中学生などでは授業の要点をプリントにしたものを提供、ノートテイクなど、教師やクラスメイトによる多様なコミュニケーション手段の使用)
 聴覚障害の状態に応じた聴覚的情報保障・環境の提供(教師の話が聞き取りやすい座席の位置、話者の音量調整、防音などに配慮した教室環境の提供、集会などでのマイクなどの使用、必要に応じてFM式補聴器などの使用)

知的障害

 知的障害の状態に応じて、情報を得られやすくする。(文字の拡大、ルビ付加、話し方の工夫、速さや文の長さの調整、具体的な用語の使用、動作化や視覚化の活用など)

肢体不自由

 構音障害により言葉の聞き取りにくさがある場合、時間の延長や安心して話せる環境づくりをする。
 肢体不自由により書字の困難さがある場合、書きやすい環境を用意する。(原稿用紙のマスを大きくする、代替えの筆記用具の使用を認めるなど)
 肢体不自由により言語障害や上肢の動きの困難さがある場合、コミュニケーション支援機器を活用する。(文字盤、コミュニケーションブック、VOCA、パソコンなど)

病弱

 無菌室などに入院している子どものコミュニケーションの配慮
  ア 保護者などを通しての手紙や学級だよりなどによる、友達と間接的にコミュニケーションをとる
  イ 担任が病棟に出向いてのガラス越しにマイクなどを使って、コミュニケーションをとる
  ウ テレビ会議システムなどを通して、友達とのリアルタイムなコミュニケーションをとる
 重心病棟などにいる重度・重複障害児のコミュニケーションの配慮
  ア 友達や担任との繋がりを持つため、手紙や学級だよりを届ける、
  イ ビデオなどを活用しての、友達や担任から語りかける
  ウ 担任が病棟に出かけ、直接語りかけたりする
  エ 担任が病棟に出かけ、必要に応じて支援機器などを活用しコミュニケーションをとる

自閉症・情緒障害

 自閉症の認知特性に応じて、視覚による理解を促すなどする。(写真や図面、模型、実物など)

LD

 読み書きに関する補助手段の提供(アンダーライン、拡大、振り仮名など)
 読み書きに関する代替手段の提供(文字以外を使った伝達、読み上げなど)
 得意な情報処理形式を生かした情報提供(聴覚情報を多めにする など)

ADHD

 注意を向ける対象を特定することや注意集中を持続することが困難であることに配慮した伝達(声をかけてから簡潔に伝える。メモなどの視覚情報で残す。黒板周りの整理整頓。騒音防止。座席の位置。マイクとスピーカーを使用した伝達 など)
 得意な情報処理形式を生かした情報提供(視覚情報を多めにする など)

重複障害(視覚障害と聴覚障害)

 コミュニケーションと共に、日常的な事項も含めて、周囲の状況などの情報を保障する配慮

(1)-2-3 認知の特性や身体の動き等に応じた教材の配慮

 一人一人の認知特性、身体の動き等に応じた教材の配慮を行う。

例:

視覚障害

 見えにくさに応じた教材の配慮(視力に応じた拡大教科書の提供、教材に小さな字を使わない配慮、拡大コピーした教材の提供、拡大文字を用いてレイアウト変更した教材の提供)
 見えないことに応じた教材の配慮(点字教材、触察教材(点図、凸図、模型)

聴覚障害

 視覚的な情報、文字情報の積極的な活用(板書、掲示物を多くする配慮、発言を文字に残す、手話などによる説明、文字カードなどの教材の活用、手話・字幕放送(ビデオ)などの活用)

知的障害

 知的障害に伴う認知や行動の特性、手先の動きの不器用さなどを把握し、教材を工夫する。

肢体不自由

 肢体不自由の状態や視覚の困難などにより、文字教材の変更・調整をする。(拡大文字、コントラストへの配慮など)
 肢体不自由の状態により、教材・教具を固定したり操作しやすい教材・教具を提供したりする。(教材・教具の固定、プリント教材の拡大、盛り込む内容の限定、操作が単純化された教材など)

病弱

 入院などにより病院外での経験が少ない児童生徒の認知の特性を踏まえた配慮
  ・病院のベッド上での生活のため、視覚情報の平面的な認識はできるが、立体的な認識が困難、または隠れた物や文字の認識が困難である児童生徒には、奥行きのある教材を活用する際に、その認知の特性を理解し教材の提示方法などに配慮する
 発達障害などを併せ有する児童生徒の認知特性を踏まえた配慮
  ・病気に関する配慮だけでなく、発達障害者などの認知特性を踏まえて、例えばアンダーラインや文字の拡大、文書の読み上げなどの補助手段を提供する
  ・音声への過敏や衝動的な行動に配慮し、雑音が少ないビデオ教材や丈夫で壊れにくい教材などを提供する
 病気の状態に応じた身体活動が出来る教材の配慮
  ア 操作が難しい場合に支援
  イ 細かい操作などを必要としない教材の使用
  ウ 児童生徒が操作できる様、教材を改良
  エ 児童生徒の病状の進行などに対応出来る様、児童生徒が操作できる複数の教材を整備

言語障害

 安心して話すことができる人間関係、学級の雰囲気の形成。(吃音の指導)

自閉症・情緒障害

 自閉症の認知特性に応じて、視覚による理解を促すと共に、身体活動のぎこちなさなどを補う。

LD

 目で見て動作を細かく調整することが困難であることへの配慮(使用方法が容易で、器用さをあまり要求しないもの。大きな升目のノートや使いやすい定規など)

ADHD

 衝動性や不注意に配慮した教材(教材選択に当たっては、乱暴に扱っても壊れにくい丈夫なもの、ぶつかってもけがをしにくいものなどが望ましい)
 不器用さに配慮した教材(扱いやすい定規やコンパスなど)

(1)-2-4 ICTや補助用具等の活用

 一人一人の障害の状態に応じて、ICTや補助用具等を活用し、学習の充実を図る。

例:

視覚障害

 視覚障害を補う視覚補助具などやICT活用(画面拡大や色の調整、音声ソフトウェア)情報収集(辞書、辞典などを活用する)などで問題解決的な学習に主体的に取り組めたりできるようにする。

聴覚障害

 視覚的文字情報の活用(字幕放送(ビデオ)などの活用、プレゼンテーション用ソフトを活用した教材の利用、PCなどを活用した情報保障の活用、行事におけるプロジェクタの活用)
 補聴システムなどの活用(個人用磁気ループシステム、FM補聴器などの活用)

知的障害

 知的障害の状態に応じて、数量や言語などの理解のための教材などを活用する。(フラッシュカード、文字や数カード、数え棒、パソコンなど)

肢体不自由

 肢体不自由の状態により、自助具や補助具の使用を認める。(固定されたはさみや包丁、握りやすくした筆記具、片手用の笛など)
 肢体不自由の状態により、書字や作図・描画の困難に対するパソコンの使用を認める。(ノート、ワークシート、テストの記入、絵を描く学習におけるコンピュータグラフィックによる代替)

病弱

 病気のため移動範囲が制限されていたり、活動量が制限されていたりする場合にICTなどを活用して指導
 補助用具などを活用して、自ら医療機器の使用や管理ができるよう指導
 病状の変化(進行)に応じて、自ら操作可能な補助用具などの活用できるよう指導

言語障害

 構音指導の充実(構音指導器具の活用、パソコンなどによる発声・発語練習機器活用)
 話すことに困難がある場合には発声の代替手段としてのICT機器の活用

自閉症・情緒障害

 各教科などの指導において、視覚的に情報を提供することが効果的な場合に、各種パソコンソフトや図表・写真・動画を活用する。
 微細な制作活動などに不器用さが目立つ場合には、扱いやすい道具や補助具を提供する。

LD

 読み書きや計算に関する補助手段の提供(アンダーライン、拡大、振り仮名、升目のある計算用紙 など)
 読み書きや計算に関する代替手段の提供(音声図書やデジタルカメラの使用、電卓、読み上げ など)
 得意な情報処理形式を生かした情報提供(文字データや音声読み上げソフトの提供 など)

ADHD

 衝動性や不注意に配慮する(注意集中を乱す可能性のある雑音を制御するためのノイズキャンセリングヘッドホン、衝立など)

(1)-2-5 学習機会や体験の意図的な確保

 治療やリハビリテーションのため不足している学習や障害の特性から不足している体験などの機会を補うことができるよう、学習内容・活動を設定する。

例:

視覚障害

 見えにくさから気づきにくい事柄(遠いもの、速く動くもの、小さなもの、たくさんの中にあるもの、コントラストのはっきりしないもの)を知らせ、学習できるようにする(よく見る、触察で補うこと、体験する)
 見えないことから気付かないことや理解しにくい事柄(遠かったり大きかったりして触れないもの、動くものとその動き方、たくさんのもの、色の微妙な違いなど)を知らせ、学習できるようにする(詳しい説明、順序よく触る、模型を用意する、体験する)

聴覚障害

 聞こえにくさから気付きにくい事柄があれば、知らせるように配慮する。(食事中の音、ドアの開閉音など、他者が迷惑に感じることなどの指導)

知的障害

 実際的な生活に役立つ体験ができるようにする。(調理実習、宿泊活動、校外活動など)

肢体不自由

 肢体不自由による経験不足に対して、体験的活動の機会を設定する。(学習内容を予告し事前に体験できるようにする、授業中に体験の機会を設定するなど)
 肢体不自由に伴い、通院などのため学習機会が欠けることに対して学習を補う機会を設定する。(学習した内容を知らせる、ノートを提供する、宿題を出す、学習の機会を別途設けるなど)

病弱

 入院時に、教育を受けることができる様にする
  ア 短期間の入院の場合、入院前の小・中学校などの担任が病院を訪問し、直接指導したり、宿題を出したりする
  イ 短期間の入院で、病院に特別支援学校や特別支援学級がある場合、その学校や学級の状況により、一緒に教育をうけることができるようにする
  ウ 「イ」で受けた教育について、入院前の小・中学校などと連携をとり、それを授業日数とする
  エ 病院に特別支援学校や特別支援学級がある場合、そこに転校又は入学し、教育を受けることができるようにする
  オ 病院に特別支援学校や特別支援学級がない場合、特別支援学校に転校又は入学し、訪問教育をうけることができるようにする
 退院後も、自宅療養や通院が続くため、前籍校である小・中学校などで学習することが困難な場合があるので、病院にある特別支援学校・学級と前籍校とが連携をとって、切れ目なく教育を受けることが出来る様にする
 入退院を繰り返す場合、病院にある学校・学級でも、前籍校である小・中学校などでも教育を受けることができる様にする

自閉症・情緒障害

 体験しなければ意味理解が不十分になることが多いことから、段階や順序を工夫して、確実に体験活動に取り組めるようにする。

LD

 体験学習の機会の確保(声をかけて誘う 分かりやすいように説明して安心感を与えるなど)

ADHD

 体験学習の機会の確保(興味・関心が持てるような導入。危険防止策を講じた上で本人の活動を確保することなど)

重複障害(視覚障害と聴覚障害)

 障害が重度の場合、日常で自然に見聞きされる事柄を知らせ、体験できるようにする配慮

<(1)-3 心理面等での配慮>

(1)-3-1 他の子どもと比べ時間を要することへの配慮

 障害の状態により、他の子どもと比べ時間を要することについては、本人の能力の発達を妨げないように、授業や試験について時間等の配慮を行う。

例:

視覚障害

 視覚障害の状況に応じて時間の配慮をする(複雑な図の理解や理科実験など、触察や順序立てた理解への配慮)

聴覚障害

 発音練習、聴き取りの練習などの個別対応(教科書などの音読の練習、九九の発音などの予習復習時間の確保など、個別指導場所の確保)

知的障害

 知的障害の状態に応じて、学習の量や学習時間を調整する。(課題数を減らす、時間を延長するなど)

肢体不自由

 肢体不自由の状態により、学習の量や学習時間を調整する。(課題数を減らす、時間を延長するなど)
 肢体不自由の状態により、授業時間内にできなかった学習について、どこまでできるか見極めながら学習の機会を設定する。(学習できなかった内容を確認する、ノートを提供する、宿題を出す、別途学習の機会を設けるなど)

病弱

 病気や学習空白などのため、操作などに時間を必要とする活動や、理解に時間がかかる場合の配慮

言語障害

 教科書などの音読、九九の発音などの予習復習時間の確保、個別指導時間、場所の確保。

自閉症・情緒障害

 実際の体験を確実に行えるようにする時間や、語彙の意味理解などのための時間を十分に確保する。

LD

 十分な時間の確保(試験時間の延長などにより、考える時間を確保)
 指導目標に直接かかわらない学習活動は省略し、必要な活動だけを確保する。

ADHD

十分な時間の確保(活動に取り掛かるまでの時間や活動が断続的になり易いことへの配慮)

(1)-3-2 実施が困難な活動への補助や指導上の配慮

 障害の状態により、実施が困難な活動についての活動内容・方法の工夫、指導上の配慮を行う。

例:

視覚障害

 見えにくい児童生徒に、基礎的な練習を十分に行う(ボール運動や器械運動で個別指導を多くする、描く経験を多くする)
 見えない児童生徒に、基本的な練習を十分に指導する(走る、投げる、跳ぶなどの体の動き、基本図形の作図)、参加の方法を変える(陸上競技の伴走、表面作図器などでの線画)、題材を変更して参加できるようにする(視覚障害者用ボールゲーム)

聴覚障害

 聴覚障害の状態に応じた補助と配慮(外国語のヒアリングなどにおける音量調整、学習室の変更、文字による代替問題の用意など)
 球技など、運動競技における音による合図を視覚的に表示するなどの工夫(ホイッスルの警告音を手旗やライトなどで代替)

知的障害

 知的障害に伴う身体全体の運動のぎこちなさや細かな作業の不器用さを補うための工夫をしたり、活動援助の方法やゲームのルールを工夫したりする

肢体不自由

 肢体不自由の状態により、実施の困難な活動での参加の工夫をする。(体育のゲームや音楽の器楽などへの参加が難しい場合にはルールや役割分担などの工夫など)
 肢体不自由の状態により、操作が困難な活動において指導上の工夫をする。(理科の実験や算数・数学の操作的活動などでは、役割分担や教材・教具の工夫など)
 肢体不自由の状態により、通常の方法や場所では実施が困難な活動について経験できる機会を設定する。(水泳の指導を特別支援学校のプールで行う、スポーツやゲームを放課後肢体不自由児のサークル活動で行うなど)

病弱

 病気のため実施できない体育の実技指導時における配慮
  ア 教員が支援して実施
  イ 一部を別の実技に替えて実施
  ウ 実技の内容を簡易に実施できることから、難しいことまで複数準備し、児童生徒の病状に応じて実施
 病気のため実施できない理科の実験・観察時の配慮
  ア 実施できないことについては、ビデオなどを活用して理解を高める
  イ 周囲の友だちと一緒に実施
  ウ 一部を別の実験・観察に替えて実施(材料を換える、実験方法などを工夫するなど)
  エ 別の実験・観察に替えるなど指導内容・方法を工夫して実施

自閉症・情緒障害

 身体全体の運動のぎこちなさや細かな作業の不器用さを補う。
 言葉による指示だけでは理解できない場合に、活動方法などが視覚的に分かるようにする。

LD

 文字の練習や計算練習への配慮(漢字練習や英語学習において、単純な繰り返し練習が効果を上げないことやアルファベットの表記ルールの習得が難しいことなどに配慮し、形や意味から指導したり、粘土などの可塑性のある物体で扱ったりする など)

ADHD

 物品の管理の補助(整理のための箱や棚の提供、紛失や忘れ物に備えて教材などを貸し出す仕組みを設けるなど)

(1)-3-3 予測できる学習活動の実施など学習に見通しが持てる配慮

 学習予定を分かりやすい方法で知らせておくことや、それを確認できるようにすることで、心理的不安を取り除くと共に、その都度、状況を判断できるようにする。

例:

視覚障害

 学習予定をあらかじめ知らせておく、終了時のまとめを十分に行う配慮、学習の過程や状況をその都度説明することで、状況を判断できるようにする配慮。

知的障害

 学習活動などの予定などを視覚化して分かりやすく表示(図や写真を活用した日課表、活動予定表など)すると共に、予定や準備物を確認できる活動を取り入れる。

肢体不自由

 肢体不自由の状態により、記憶することやメモをとることに困難さがある場合、代替えの方法を用意する。(学習予定や日課などの明示、メモがとりやすいような指示、準備物などのチェックリスト化、メモのとり方の指導など)
 肢体不自由の状態により、記憶することやメモをとることが著しく困難な場合には、他の人に依頼する。

自閉症・情緒障害

 学習内容などの順序などを分かりやすくする。(活動予定表などの活用)

LD

 学習活動の順序を一定にし、次の活動が予測できるようにする。

ADHD

 学習活動の順序を一定にし、次の活動が予測できるようにする。
 時間の見通しを示す(終了時刻掲示やタイマーによる残り時間の掲示など)

(1)-3-4 人間関係の構築への配慮

 集団におけるコミュニケーションについて配慮すると共に、他の子どもに対して障害特性等について理解を深めるような教育を行う。

例:

視覚障害

 かかわりが受動的にならないように助言する。
 見えない場合でも、聴覚的な手がかりから相手の意図や感情をとらえられるように指導する。

聴覚障害

 相手に応じて伝わりやすいコミュニケーション手段の選択及び活用ができる力の育成(手話などで伝える、絵や図で伝える、文字で伝えるなど)
 聴覚の障害により、会話による情報把握が十分ではないため物事を自己中心的にとらえたりすることがあるので、それまでの流れなどから物事を総合的に判断する経験を積ませる。
 日常生活で必要とされる様々なルールや常識などの理解、あるいはそれに基づいた行動が困難な場合があるので、実際の場面を想像し、相手の気持ちになって、どう行動すべきかを考えさせる。

知的障害

 集団の一員として帰属意識がもてるように工夫すると共に、年齢段階を考慮しつつ、徐々に友人関係を築くことが難しくなることに配慮する。

肢体不自由

 肢体不自由の状態を踏まえつつ学級の一員としての帰属意識が持てるよう配慮する。(仲良しの児童生徒や障害に理解のある児童生徒と座席を近くする、係分担などで得意なことを担当し学級運営に貢献できるようにするなど)

病弱

 入院中に、前籍校の友達との交流及び共同学習を実施し、友達との人間関係を深めることにより、前籍校に復帰する意欲を促進
  ア 前籍校での学級だよりなどを渡し、その学級の雰囲気に触れる(入院したことにより、友達に忘れられていないことを確認する)
  イ 前籍校の友達との手紙交換やビデオ交換による間接的な交流及び共同学習を行う(入院前と同じ様な、友達との人間関係を継続させる)
  ウ テレビ会議システムなどを活用した、リアルタイムな交流及び共同学習を行う
 友だちへの病気や障害に関する理解の促進
  ・学校生活を送る上で、クラスの友だちなどが理解しておく必要がある事項(例えば、服薬や実施できない活動など)について、本人・保護者と相談しながら、交流及び共同学習や特別活動などの時間を使って指導

自閉症・情緒障害

 人間関係の形成のための技術や態度の獲得を重視する。

LD

 学級の受容的な人間関係づくり(差別されないこと。一部の教科学習ができないことによって全体を低く評価されない。得意なことを認め合う など)

ADHD

 学級の受容的な人間関係づくり(差別されないこと。本人にルールを事前に伝え、適切や行動や発言ができるようにする。受容的な友達を近くの座席に配置する など)
 グループ活動をする場合のメンバー構成の配慮

重複障害(視覚障害と聴覚障害)

 感情のやりとりへの配慮(分かりやすい手段(身振りなど)で感情を伝えるなど)

(1)-3-5 心理状態・健康状態への配慮

 障害の状態と健康状態により指導の内容・方法を柔軟に調整する。障害を起因とした不安感や孤独感を解消し、自尊心を高める配慮を行う。

例:

聴覚障害

 特に思春期においては、他者とのコミュニケーションがうまくいかず、孤立してしまうことがある。聴覚障害のある友人、先輩との交流の場などを積極的に活用し、自己の障害理解に努めることができるよう配慮する。

知的障害

 心理状態や健康状態により、指導内容や方法を柔軟に調整する。
 外部からは分かりにくい自尊感情や自己肯定感、ストレスなどの状態を把握する。

肢体不自由

 肢体不自由の状態と健康状態により指導の内容・方法を柔軟に調整する。
 肢体不自由の状態により登校が困難な場合、柔軟な対応をする。(家庭訪問、通信を活用した指導、訪問教育など)

病弱

 病気の子どもの気持ちを理解し、状態に応じて弾力的に指導(入院時の不安、病気の進行への不安、手術への不安、退院後の不安など)
 個々の病気について理解し、治療の流れを踏まえて指導(治療過程で学習可能な時期を理解し、健康状態に応じた指導を計画)
 医療関係者と連携し、日々の体調の変化を踏まえて指導(体調変化が激しいことがあるので、体調に応じた指導を行う)
 アレルゲン除去や、病状に応じた適切な運動など、命にかかわる事項について、医療機関と特に密接な連携を図りつつ指導

言語障害

 他の児童生徒への障害理解に係る注意喚起(*話し方がおかしいことで、「いじめ」が起こらないようにする配慮)

自閉症・情緒障害

 二次的な障害(情緒不安や不登校、ひきこもりなど)が起きやすいことから、予防に努めると共に、二次障害を早期に発見する。
 心理的要因で情緒障害となっている児童生徒については、それぞれの情緒の状態に配慮した指導を工夫する。(カウンセリング対応や学習空白への対応、医師の診断を踏まえた対応など)

LD

 自尊感情を高めることができるようにする(課題遂行に向けた複数の方法を用意し得意な方法を選択できるようにする。叱責を少なくし、できたことを褒める。「どうしてできないの?」などと責めない。など)

ADHD

 怒りや衝動性への配慮(怒りを抑える方法や自分がしたい行動を我慢する方法、ストレスを解消する方法などの指導)
 習得した心理コントロール法を実施するための時間や場所を確保する(カームダウンスペースの使用 など)
 自尊感情を高めることができるようにする(叱責を繰り返さない。努力を認め、以前よりよくなったことや同じようにできたことを褒める など)
 生活リズムを保つ配慮(日中に十分体を動かし、夜はぐっすり眠れるようにする など)
 服薬の管理(服薬している場合は、本人の状況に応じて自分で管理できるようにしていく)

(1)-3-6 自立と社会参加に必要な指導内容の設定

 障害の状態や年齢を考慮しつつ、人間関係作り、学校、家庭、地域での役割作りに配慮する。卒業後の生活や進路を見据えて、一貫したキャリア教育の充実を図る。そのため、体験的活動や就業体験を充実させると共に、本人が自己選択・自己判断する機会を増やし、自分なりの生き方を考え、主体的に進路を選択できるようする。また、それぞれの発達の進んでいる側面を伸ばすことにより、自分の長所の自覚を促す。さらに、社会適応に必要な技術や態度が身に付くよう指導内容を工夫する。

例:

視覚障害

 早期からの人間関係作りや、家庭や学校での役割作りに配慮する。
 専攻科における理療や理学療法に関する教育

聴覚障害

 一貫したキャリア教育の充実

知的障害

 学校生活において、年齢段階を考慮しつつ、知的発達の遅れやそれまでの経験などに応じた役割を分担できるようにする。

肢体不自由

 肢体不自由の状態により、体験的活動や就業体験の充実し、本人が自己選択・自己判断する機会を増やし、自分の生き方を考え、主体的に進路を選択できるようする。
 肢体不自由の状態により、発達の進んでいる側面を伸ばすことにより、自分の長所の自覚を促す。

病弱

 学校卒業後を見据えた、病気の状態に応じたキャリア教育
 学校卒業後を見据えた、医療制度や福祉制度などの理解と活用に関する指導

自閉症・情緒障害

 社会適応に必要な技術や態度が身に付くよう指導内容を工夫する。

LD

 社会生活上のルールの理解と行動の仕方についての指導(相手の表情の見方、分からないときの質問や依頼の仕方 など)

ADHD

 社会生活上のルールの理解と行動の仕方についての指導(謝罪や依頼の仕方、思ったことをすぐに言ってはいけないことなど)

(1)-3-7 共生の理念の涵養

 それぞれの障害について、周囲の児童生徒や教職員が理解を深め、配慮や支援の環境作りを行う。また、障害の状態により集団活動への参加が難しい時には、集団を構成するメンバーで障害のある児童生徒の参加の方法を考える機会を設定する。さらに、障害のない児童生徒が支援する機会を設定する(教室移動、日常生活動作、学習活動、学級の係活動等)。

例:

視覚障害

 見えにくいこと、見えないことについての理解(できることと支援が必要なこと)及び、配慮や支援の環境作り

聴覚障害

 同年齢の集団での交流及び共同学習の機会を積極的に設定する。

知的障害

 知的障害のある児童生徒の特徴への対応や提供すべき学習には特別な配慮が必要であることを周囲の児童生徒が理解できるようにする。
 知的障害のある児童生徒が不当に自尊感情や自己肯定感が低下することがないように配慮する。

肢体不自由

 肢体不自由の状態により集団活動への参加が難しい時には、集団を構成するメンバーで肢体不自由の児童生徒の参加の方法を考える機会を設定する。
 障害のない児童生徒が肢体不自由の児童生徒を支援する機会を設定する。(教室移動、日常生活動作、学習活動、学級の係活動など)
 肢体不自由の状態により、身体の動きやコミュニケーションに配慮や特別な指導が必要なことを学級の児童生徒が理解する。(通院、専門家や特別支援学校への相談、特別支援学校への副次的な籍などが必要なこと)

病弱

 様々な障害への理解を広げる
  ア 病気も病状によっては、特別な配慮が必要という認識を広げる
  イ 病気も病状によっては、障害と捉える必要があるという認識を広げる
  ウ 病気による見えない障害や見ただけでは分かりにくい障害を理解すると共に、それらの人が必要とする支援についての理解も広げる
  エ 心身症や精神疾患などの心の病気と、それによる障害の特性を理解すると共に、それらの人が必要とする支援についての理解も広げる

自閉症・情緒障害

 「いじめ」に遭遇しやすいことに対応する。
 自閉症などのある児童生徒が不当に自尊感情や自己肯定感が低下することがないように配慮する。(完遂可能な課題の設定と賞賛、他の児童からの不適切な対応の防止、本人の得意分野の理解など)

<「合理的配慮」の観点(2) 支援体制>

(2)-1 専門性のある指導体制の整備

 校長がリーダーシップを発揮すると共に、学校全体として専門性の確保に努める。そのため、個別の教育支援計画、個別の指導計画を作成し、指導についての校内の教職員の共通理解を図り、学習の場面等を考慮した役割分担を行う。必要に応じ、学校内の資源(通級による指導、特別支援学級等)を活用したり、適切な人的配置(支援員等)を行う。

例:

聴覚障害

 特別支援学校(聴覚障害)のセンター的機能を積極的に活用する。
 難聴特別支援学級、通級指導教室などの専門性を積極的に活用する。

知的障害

 外部からは分かりにくい知的障害の特性に関する専門性をもつ教員などからの支援を受ける。
 外部からは分かりにくい知的障害の特性に関する専門性を含めて、発達段階などをアセスメンする力やそれに基づいた教材などを開発する力をもつ教員を配置する。
 必要に応じて、実体験を主とした授業を安全に提供するための適切な人的配置(支援員など)を行う。

肢体不自由

 肢体不自由の状態により、校内の教職員が指導計画の作成に関与し(学級・教科担任、校長、教頭、特別支援教育コーディネーター、養護教諭、栄養職員など)、必要な指導と支援内容について共通理解し、学習の場面などを考慮した役割分担をする。(学級での学習、特別教室を使った学習、校外での学習など)
 肢体不自由の状態により、学習支援員、ボランティア(学生、地域住民など)、教員以外の職員による支援を用意する。ただし過剰な支援にならないように配慮する。
 肢体不自由の状態により、日常の学習及び学校生活、学校行事(校外行事を含む)及び登下校において必要な支援内容を明確にし、支援体制を整備する。
 肢体不自由の状態により、学習上又は生活上の困難に対する相談機会を提供し、実際の支援を提供する。(相談機会:学級担任、巡回相談員、PT・OT、特別支援学校など、学習上又は生活上の困難の理解、困難を改善・克服する方策の計画、方策を実施するための支援など)
 肢体不自由の状態により、専門的な指導を必要とする場合には、特別支援学校での指導の機会を設定する。(特別支援学校のセンター的機能を利用した相談、通級による指導など)

病弱

 健康かつ安全に生活できるよう、人的環境を整備
  ア 病気の児童生徒の実態に応じて、適切な教員を配置
  イ 校長を含む校内の教職員が、必要に応じて指導に協力できる様に体制を整備
  ウ 特別支援教育に関する指導者を育成すると共に、校内の教職員への病弱教育に関する研修を実施し、指導に関する質の向上を図る
  エ 支援員や介助員などを配置
  オ 病弱・身体虚弱特別支援学級を設置し、担当する教員を配置
  カ 病気の児童生徒の心のケアや学習空白などへの対応が出来る病弱教育に関する専門性のある教員を配置
 病気の状態により、校内での授業や校内外での行事などにおける学習活動、学校での生活及び登下校時において必要な支援を明確にし、必要な体制を整備する
 病気の状態に応じた適切な指導と必要な支援を明確にすると共に、急な病状の変化に対応ができるようにするなど、弾力的に指導を行う
  ア 主治医や看護師、保護者からの情報を得ながら、適切な指導と必要な支援を行う
  イ 主治医や看護師、保護者からの情報に加え、専門医や学校医からの指導や助言を受け、学校で実施可能な適切な指導と必要な支援を行う
  ウ 日々の体調の変化について、看護師や保護者から情報を得て、その日の指導計画を変更するなど弾力的な指導を行う
  エ 定期的に医教連絡会を開催し、前述の情報や指導・助言を得るだけでなく、学校での取組を医療関係者に伝え、児童生徒の学校での実態に応じた助言と協力を得て、適切な指導を行う
  オ 医師や看護師などが参加する病棟でのカンファレンスに定期的に参加し、個々の児童生徒の学校での指導上の課題や病院での治療上の課題などについて、それぞれの専門性を尊重しながら一緒に検討することにより、医療関係者との共通理解の基で、児童生徒の実態に応じた指導を行う

言語障害

 言語障害、構音指導の専門家の活用(特別支援学校(聴覚障害)教員の活用、自立活動教員(言語障害教育)、言語聴覚士(ST)との連携)

自閉症・情緒障害

 外部から分かりにくい自閉症や情緒障害を十分に理解した指導者からの指導を受けられるようにする。

LD

 外部専門家(特別支援学校教員、発達障害者支援センター職員、市町村教育委員会の教育相談担当など)からの助言
 個別の教育支援計画、個別の指導計画を作成することでの共通理解
 学校内の資源の活用(通級指導教室などの設置と活用)

ADHD

 外部専門家(特別支援学校教員、発達障害者支援センター職員、市町村教育委員会の教育相談担当など)からの助言
 個別の教育支援計画、個別の指導計画を作成することでの共通理解
 学校内の資源の活用(通級指導教室などの設置と活用)

(2)-2 医療的ケアを行うための体制整備

 医療的ケアを安全に行うことができるよう体制を整備する。

例:

知的障害

 知的障害のある児童生徒などにとって医療機関とのつながりが重要であることがあることから、必要に応じて、養護教諭を中心に、ニーズに応じて医療機関につなげる窓口を確保する。(てんかん発作など)

肢体不自由

 医療的ケア及び肢体不自由の状態に考慮して、医療的ケアを実施する場所や施設などを整備する。(保健室、教室、障害者用トイレなど)
 児童生徒の医療的ケアの状態を考慮して、医療的ケアを安全に実施する体制を整備する。(看護師の配置、医師及び医療機関との連携、看護師、介護職員、教員などの役割分担、看護師及び教員の研修体制など)

病弱

 学校での医療的ケアについて、医療機関と連携して体制を整備する
  ア 緊急時に医療機関への搬送を迅速かつ安全にできるよう緊急体制を整備する
  イ 隣接(併設)する医療機関や施設などの関係者の協力を得ることができるよう校内体制を整備する(医療的ケアに関する検討委員会の設置など)
  ウ 必要に応じて、看護師や介助者などを配置する
  エ 直接の対応は必要ではないが、酸素吸入などの見守りを必要とする場合については、看護師と連携して適切に対応出来るよう体制を整備する
  オ 看護師の対応を中心としつつ、教員や介助者などが実施可能な行為については、教員や介助者などが対応出来るようにするために必要な体制整備と研修を実施する

自閉症・情緒障害

 投薬の効果が認められる場合があることを理解しておく。

(2)-3 心理的負担を軽減できる学校・学級における配慮

 障害のある子どもの不安等の心理的負担を軽減できるよう、全体の学習活動に支障のない範囲で学習環境の整備等を行う。

例:

視覚障害

 視覚障害があっても分かりやすい環境作り(下駄箱、ロッカーなどよく使うものの位置など)とそれを支援できる友達関係作り

聴覚障害

 通常の学級での指導に加え、聴覚に障害がある児童生徒が集まって指導を受けたり交流したりする機会の確保(難聴児童生徒対象のサマーキャンプ、交流会、学習会など)

知的障害

 知的障害のある児童生徒が遭遇しやすい「いじめ」予防のための注意を払う。

肢体不自由

 肢体不自由があることにより、学級の一員として負担感を感じなくても済むように、交友関係や学級の役割、学校・学級の環境を整備する。(仲良しの児童生徒や障害に理解のある児童生徒と座席を近くする、係分担などで得意なことを担当し学級運営に貢献できるようにする、ロッカーや靴箱など無理なく使える位置にするなど)
 肢体不自由があることにより、学級の一員として負担感を感じることについて、相談できる体制を予め確保する。(相談ノート、スクールカウンセラーを含む相談担当者の明示など)

病弱

 心身症や精神疾患などの心のケアを必要とする子どもの増加に対応するため、必要に応じて心理の専門家からの指導・助言を得る
  ア 養護教諭や教育相談の担当者などの校内の教職員による相談ができる
  イ スクールカウンセラーなどの派遣される専門家による相談ができる
  ウ 心のケアに関する研修を受けた教職員(臨床心理士や学校心理士などの資格を有する者)による相談ができる
  エ 心理の専門家や児童精神科医などによる定期的な相談ができる

言語障害

 言語障害のある児童生徒や保護者が共に集い、安心してコミュニケーションできる機会を設定する。

自閉症・情緒障害

 自閉症や情緒障害のある児童生徒が二次障害(情緒不安や不登校、ひきこもりなど)に陥りやすいことを十分に理解した対応を心掛ける。

LD

 相談できる相手や場所(スクールカウンセラー、相性のいい先生が相談役を努めるなど)

ADHD

 接し方の配慮(学校教職員全員に最も適切なかかわり方が理解されている)
 騒音などの余分な刺激の軽減

(2)-4 障害に対する児童生徒、教職員、保護者、地域の理解推進を図るための配慮

 障害のある子どもについて、他の子どもの理解を推進する。必要に応じて、全員に、その障害特性などについて理解を深めるような教育を行う。教職員、保護者、地域に対しても理解増進を図るような活動を行う。

例:

視覚障害

 視覚障害の状況や使用する補助具や教材について児童生徒、教職員、保護者に分かりやすく説明する。

聴覚障害

 聞こえにくさの障害について、学校での様々な指導場面を利用して理解啓発に努める。

知的障害

 外部から分かりにくく、かつ体験が困難な知的障害の特性、及びそれに応じた教育内容などを十分に理解できるように配慮する。

肢体不自由

 肢体不自由の状態について、児童生徒、教職員、保護者、地域へ情報提供、支援について考える機会を設定し、支援を実施する。
 肢体不自由のある児童生徒が、他の児童生徒への支援や地域におけるボランティアについて考える機会を設定し、考えたことを実践できるよう支援する。

病弱

 病気や病気の子どもへの配慮事項・緊急対応事項などについて、児童生徒、教職員、保護者、地域の人の理解を得ることが出来るようにする。

言語障害

 言語障害について、学校での様々な指導場面を利用して理解啓発に努める。

自閉症・情緒障害

 外部から分かりにくい自閉症や情緒障害のある児童生徒の心理的な状態の理解を十分に促す。

LD

 様々な個性があることや特定の感覚が過敏な人がいることなどについて理解するための学校全体での教育

ADHD

 不適切と受け止められやすい行動に対する理解推進(本人なりの理由があることや、生まれつきの特性によることなどを説明する。制止、防止の方策の共通理解 など)

(2)-5 他の学校からの支援体制の整備

 必要に応じ、特別支援学校のセンター的機能や他校の通級による指導、特別支援学級を活用するなど域内の教育資源を活用して支援体制を整備する(特別支援学校の施設・設備などの活用)。また、障害の状態により、小・中学校では困難な活動を特別支援学校でできるようにする(自立活動、作業学習など)。さらに、教育にかかわる学校のネットワークによるノウハウの共有を行う。

例:

知的障害

 知的障害のある児童生徒を専門に教育していて、その積み重ねがある特別支援学校のセンター的機能を活用する。
 知的障害に伴う視覚障害などのある児童生徒などに対する適切な指導のために、特別支援学校から支援を受ける。

肢体不自由

 肢体不自由の状態により、肢体不自由の特別支援学校が支援する。(障害理解、指導法、肢体不自由の特別支援学校の施設・設備などの活用)
 肢体不自由の状態により、小・中学校では困難な活動を肢体不自由の特別支援学校でできるようにする。(自立活動、水泳、部活動など)

自閉症・情緒障害

 自閉症などの障害理解が深い教員の支援を受ける。

LD

 特別支援学校のセンター的機能の活用

ADHD

 特別支援学校のセンター的機能の活用

(2)-6 関係機関や外部専門家等との連携

 教育センター等地域にある教育資源を最大限活用すると共に、医療、福祉、労働等の関係機関と連携する、あるいは、都道府県等の特別支援教育に係る専門家チームが校内委員会に助言するなどの配慮を行う。

例:

視覚障害

 点字図書館など地域資源の活用

聴覚障害

 耳鼻科、補聴器店、難聴児親の会、聴覚障害者協会などとの連携による、理解啓発のための学習会や、児童生徒のための交流会の積極的な活用。

知的障害

 療育センターや発達障害者支援センター、その他の福祉関係機関などと連携する。

肢体不自由

 肢体不自由の状態により、健康面でのバックアップや進路への移行支援のため医療、福祉、労働など関係機関と連携する。(学習中の姿勢や動作についての相談、学習を支援する補助具や機器に関する相談、利用できる制度についての相談、一貫した支援のための連携や調整など)

病弱

 医療機関と日頃より密接に連携し、病状の変化や必要とする対応などについて情報を交換する。

言語障害

 児童生徒を取り巻く環境の整備(言葉を育てる親の会などとの連携による、理解啓発のための学習会、言語障害のある児童生徒同士の交流会、サマーキャンプなど)

自閉症・情緒障害

 発達障害者支援センターなどの職員などとケース会議を開くなどする。

LD

 都道府県などの専門家チームによる校内委員会への助言

ADHD

 服薬している場合の行動観察や記録 など

(2)-7 緊急時の支援体制の整備

 緊急時の対応について、人の動き、避難誘導、危機の予測、避難の方法、避難時の人的体制等、校内体制の確立のためのマニュアルを整備し、一人一人への対応を考える。また、緊急時の対応が十分にできるように避難訓練等に取り組む。

例:

聴覚障害

 緊急放送を視覚的に知らせる人の動き、避難誘導など、校内体制の確立。

知的障害

 知的障害及びそれに自閉症などを有する児童生徒の緊急時における心理状態を十分に把握しておき、一般の住民と同様には扱えないことに最大限の注意を払う。

肢体不自由

 肢体不自由の状態により、緊急時のケースに応じて対応方法を個別のマニュアルとして整備する。(危機の予測、避難の方法、避難時の人的体制など)

病弱

 病院への搬送や人工呼吸、心肺蘇生、AEDやエピペンの使用などの緊急対応が予想される病気の子どもについて、学校の教職員がすぐに対応できるように支援体制を整備する。
 災害時に、医療機関への搬送や必要とする医療機関からの支援を受けることが出来るよう、子どもの病気に応じた支援体制を整備すると共に、避難訓練を実施するに当たっても、その支援体制を踏まえた避難訓練計画を作成し、医療機関と連携して実施する。

自閉症・情緒障害

 自閉症などのある児童生徒の緊急時における心理状態(変化に対応できずパニックを起こすなど)を十分に把握しておき、一般の住民と同様には扱えないことに最大限の注意を払う。

LD

 個々の特性に応じた分かりやすい説明や表示
 具体的な指示による不安感の払拭

ADHD

 衝動性、多動性に配慮した避難指示
 指示が理解されているかどうかの確認
 行動を過度に規制しない範囲で、見守りやパニックの予防 

<「合理的配慮」の観点(3) 施設・設備>

(3)-1 校内環境のバリアフリー化

 障害のある幼児児童生徒、教職員等が安全かつ円滑に学校生活を送ることができるよう、障害の状態や特性、個別のニーズに応じた環境にするために、スロープ、手すり、便所、出入口、エレベーター等の施設の整備計画時に配慮を行う。また、既存学校施設のバリアフリー化についても、障害のある幼児児童生徒の在籍状況等を踏まえ、所管する学校施設に関する合理的な整備計画を策定し、計画的にバリアフリー化を推進することが重要である。

例:

視覚障害

 状況に応じ、下駄箱や教室のロッカーを分かりやすい位置にしたり固定したりする。各教室などに分かりやすい目印(色の変化、大きな文字での表示、点字の表示)を付ける。

聴覚障害

 緊急放送を視覚的に受容することができるシステムの整備
 字幕放送を受信することができるシステムの整備(デジタルテレビ)
 行事などにおける進行次第や、挨拶文、劇の台詞などが文字で投影できるシステムの整備(パソコンとプロジェクター)

知的障害

 視覚的に動線や目的の場所が理解できるよう配慮を行う。
 建物そのものの構造を単純で分かりやすい配置にする。

肢体不自由

 肢体不自由の状態により、校内の移動ができるよう工夫する。(教室配置の工夫、教職員などの協力など)
 肢体不自由の状態により、校内の移動ができるよう施設を改修する。(段差の解消、スロープ、手すり、開き戸、自動ドア、エレベーターなど)

病弱

 車いすなどで移動しやすい環境の構築
  ア 1階だけで学習できる環境(エレベータなどのない場合、当面1階だけで学習できる環境にする)
  イ 移動時に段差のない環境(スロープなどの設置)
  ウ 階段昇降機などの設置
  エ エレベータの設置
 障害の状態に応じたトイレの整備
  ア 障害者用トイレの設置
  イ 障害者用トイレ設置と、車いすが回転できるスペースの確保
  ウ 障害者用トイレを設置した専用の場所を確保(導尿やパウチの交換などが他の児童生徒から見えることがないように配慮)

自閉症・情緒障害

 自閉症などの特性(形が統一されていたり、写真や図面を用意したりしたほうが理解しやすい)を考慮し、建物そのものを分かりやすい配置にすること、及び視覚的に動線が理解できるよう配慮を行う。
 必要に応じて、特有の感覚に配慮して施設整備する。(明るさやちらつきへの過敏性、音や温度、触覚に対する過敏性や鈍磨性)

(3)-2 発達、障害の状態及び特性等に応じた施設・設備の配慮

 一人一人の幼児児童生徒の発達、障害の状態及び特性等に応じた指導内容・方法が十分に展開できるよう、自立活動等の学習指導を支援する様々な教育機器等の導入や施設整備を必要に応じて行う。
 また、幼児児童生徒が、それぞれの障害の認知特性、行動特性、感覚等に応じて、能力を最大限活用して自主的、自発的に学習や生活ができるよう、各教室等の施設・設備について、見えやすさ、分かりやすさなどに配慮を行う。
 さらに、幼児児童生徒の学習及び生活の場として、日照、室温、音の影響等に配慮した良好な環境を確保するよう配慮を行う。特に、幼児児童生徒の障害の状態や特性等に配慮しつつ、その健康の保持増進に配慮した快適な空間とすることが重要である。
 また、幼児児童生徒が心にゆとりをもって学校生活を送ることができ、他者との関わりの中で豊かな人間性を育成することができるよう、生活の場として快適な居場所を確保するよう心のケアを必要とする子どもへの配慮を行う。

例:

視覚障害

 視覚障害の状況に応じて、教室や階段に点字プレートや点字ブロックなど明確な目印を設置する、ドアと壁の色を変えるなど見やすさに配慮する。
 見えにくい児童生徒のための機器(拡大読書器、書見台など)、光の調整を容易にする設備(照度計、ブラインドやカーテン、スタンド)をそろえておく。
 見えない児童生徒の指導のために、視覚障害者用教育機器、点字教材作成に必要なパソコン機器などをそろえておく。

聴覚障害

 指導環境の整備(机・椅子の脚へのノイズ対策のための使用済みテニスボールの利用、絨毯・畳の指導室、防音・遮音式の個別指導教室や通級指導教室などの設置)

知的障害

 衝動的な行動などに対して安全性を確保する。(高所からの落下防止など)
 知的障害に伴い免疫機能や体温調節機能が弱い場合があることから、必要に応じて空調などの配慮を行う。
 必要に応じて、クールダウンなどのための場所を確保する。
 必要に応じて、生活体験を主とした授業を可能にする施設を設ける。

肢体不自由

 肢体不自由の状態に応じた休養や活動ができるスペースを確保する。(休養と身体の動きの機能回復のため臥位になることができるスペース、マットやベッド、姿勢を確認をするための鏡、機器の充電や調整のための装置など)
 肢体不自由の状態に応じた指導ができる施設・設備を確保する。(身体の動きのための設備を備えた部屋、機器の試用や習得のための学習ができる装置や部屋など)
 肢体不自由による行動上の制約に対して生活上の施設・設備が使えるよう工夫する。(車いすに座った状態で流しを使えるよう流し台の下を空ける、上下方向に操作する水道の蛇口のレバーを延長する、座席の位置、安全が確保できる送迎の場所など)
 肢体不自由による行動上の制約に対して生活上の施設・設備を改修する。(流しの高さを変更、自動水栓に変更、乗用車への乗降時の雨よけの設置など)
 肢体不自由の状態に応じて使用できるスペースや施設を設置する。(教室内を車いすで移動できる空間、廊下の障害物除去、体位を変換できる場所、休憩スペースや障害者用トイレなど)
 肢体不自由と健康の状態に応じた施設設備を整備する。(冷暖房・加湿などの装置、食事能力に応じた食事の提供など)
 肢体不自由に伴い医療的ケアがある場合には、医療的ケアに対応した施設・設備を整備する。(吸引装置、経管栄養用具、処置台やワゴンなど)

病弱

 相談室や箱庭などを使用して指導できる施設・設備の整備
 落ち着かない時や、急性期の症状が出ている子どもが落ち着ける空間を確保(デンや専用の場所など)
 病気の状態に応じて、健康を維持できるに施設・設備を整備する
 空調や衛生面に配慮した施設設備、個々の病気により必要な施設・設備の整備(XPの場合の紫外線カットフイルムなど)

言語障害

 防音・遮音式の個別指導教室や通級指導教室などの設置

自閉症・情緒障害

 衝動的な行動などに対して安全性を確保する。
 必要に応じて、クールダウンなどのための場所を確保する。
 必要に応じて、刺激を遮断して個別指導ができるスペースを確保する。
 自閉症などの特性(形が統一されていたり、写真や図面を用意したりしたほうが理解しやすい)を考慮し、建物そのものを分かりやすい配置にすること、及び視覚的に動線が理解できるよう配慮を行う。

LD

 教室環境の整備(過剰な情報を精選する、掲示物や表示物の字体や大きさへの配慮 など)
 教育相談室、カウンセリングルームなどの設置

ADHD

 注意の困難さに配慮した教室環境の整備(過剰な情報を精選する、掲示物や表示物の整理 など)
 多動性・衝動性に配慮した施設・設備(照明器具などの防護対策、高所や危険な場所などの危険防止柵 など)
 隠れ場所となる小空間の設置
 教育相談室、カウンセリングルームなどの設置

(3)-3 災害等への対応に必要な施設・設備の配慮

 地震等の災害発生時に障害の特性に応じた施設・設備を整備する。

例:

聴覚障害

 緊急放送を視覚的に受容することができるシステムの整備
 字幕放送を受信することができるシステムの整備(デジタルテレビ)
 行事などにおける進行次第や、挨拶文、劇の台詞などが文字で投影できるシステムの整備(パソコンとプロジェクター)

知的障害

 知的障害及びそれに自閉症などを有する児童生徒の緊急時における心理状態に対応できるようにすると共に、他の児童とは同じ場では対応できにくいことに注意を払うようにする。

肢体不自由

 肢体不自由の状態に応じて避難に必要な施設・設備を整備する。(車いす、担架、非常用食料など)
 肢体不自由に加え医療的ケアがある場合には、非常用電源や手動で使える機器を整備する。

言語障害

 防音室などへの非常灯の設置

自閉症・情緒障害

 緊急時における心理状態(変化に対応できずパニックを起こすなど)に対応できるようにすると共に、他の児童とは同じ場では対応できにくいことに注意を払うようにする。

医療的ケアが必要な場合

 非常用電源や手動で使える機器の整備

 

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)