「学校施設整備指針」は,教育内容,教育方法等の多様化など今日的な課題も含め,学校教育を円滑に進める上で必要となる施設計画及び設計における基本的な考え方や留意事項を示したもの。文部科学省では,教育委員会等の学校の設置者に対して「学校施設整備指針」を提示しており,各設置者において指針を活用し,それぞれの創意工夫の下に特色ある学校施設の整備が促進されることを期待。
学習指導要領等に示された最新の教育内容・教育方法等に対応した施設機能を確保するために,計画及び設計における留意事項を示したもの。地方公共団体等の学校設置者は,学校施設の計画及び設計に当たり,安全上,保健衛生上,指導上その他の学校教育の場として適切な環境を確保するため,関係法令等の規定に基づくことはもとより,指針の関係留意事項に十分配慮することとなっている。また,指針は,学習指導要領の改訂や社会状況の変化等を踏まえ見直しや内容の拡充等を行ってきている。
指針は,学校施設を新築,増築,改築する場合に限らず,既存施設を改修する場合も含め,学校施設を計画及び設計する際の留意事項を示したもの。
指針は,おおむね次のような考え方で記述している。
「~重要である。」
:学校教育を進める上で必要な施設機能を確保するために標準的に備えることが重要なもの
「~望ましい。」
:より安全に,より快適に利用できるように備えることが望ましいもの
「~有効である。」
:必要に応じて付加・考慮することが有効なもの
平成4年3月に小学校・中学校施設整備指針を策定。その後、順次他の学校種についても策定し,各都道府県教育委員会等の学校の設置者に提示している。
幼稚園施設整備指針(平成5年3月作成、平成22年2月改正)
小学校施設整備指針(平成4年3月作成、平成22年3月改正)
中学校施設整備指針(平成4年3月作成、平成22年3月改正)
高等学校施設整備指針(平成6年3月作成、平成23年3月改正)
特別支援学校施設整備指針(平成8年1月作成、平成23年3月改正)
児童等の学習及び生活の場として,日照,採光,通風等に配慮した良好な環境を確保するとともに,障害のある児童にも配慮しつつ,十分な防災性,防犯性など安全性を備えた安心感のある施設環境を形成することが重要である。
また,児童がゆとりと潤いをもって学校生活を送ることができ,他者との関わりの中で豊かな人間性を育成することができるよう,生活の場として快適な居場所を計画することが重要である。
さらに,それぞれの地域の自然や文化性を生かした快適で豊かな施設環境を確保するとともに,環境負荷の低減や自然との共生等を考慮することが重要である。
地域住民にとって最も身近な公共施設として,まちづくりの核,生涯学習の場としての活用を一層積極的に推進するためにも,施設のバリアフリー対策を図りつつ,必要に応じ他の文教施設や高齢者福祉施設等との連携や地域の防災拠点としての役割を果たし,また,景観や町並みの形成に貢献することのできる施設として整備することが重要である。
(1)教育上特別の支援を必要とする児童に対して,障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うため,一人一人の児童の教育的ニーズを踏まえた指導・支援の実施を考慮した施設環境を計画することが重要である。その際,発達障害※を含めた障害のある児童の障害の状態や特性等を踏まえつつ,適切な指導及び必要な支援を可能とする施設環境を計画することが重要である。
※発達障害
・・「LDやADHD,高機能自閉症等」を含め,「発達障害者支援法」の定義に基づく「発達障害」を意味する。なお,LDは学習障害(LearningDisabilities),ADHDは注意欠陥多動性障害(Attention‐Deficit/HyperactivityDisorder)を意味する。
(2)障害のある児童と障害のない児童とが,各々の児童の教育的ニーズに応じ,安全かつ円滑に交流及び共同学習を行うことができる施設となるよう計画することが重要である。
(1)障害のある児童,教職員等が安全かつ円滑に学校生活を送ることができるように,障害の状態や特性,ニーズに応じた計画とすることが重要である。その際,スロープ,手すり,便所,出入口,エレベーター等の計画に配慮することが重要である。
(2)学校の教育活動への地域の人材の受入れなど様々な人々が学校教育に参加すること,地域住民が生涯学習の場として利用すること,地震等の災害発生時には地域住民の応急的な避難場所としての役割を果たすこと等,高齢者,障害者を含む多様な地域住民が利用することを踏まえて計画することが重要である。
(3)既存学校施設のバリアフリー化についても,障害のある児童の在籍状況等を踏まえ,所管する学校施設に関する合理的な整備計画を策定し,計画的にバリアフリー化を推進することが重要である。
(4)学校施設のバリアフリー化に当たっては,施設の運営・管理,人的支援等のサポート体制との連携等を考慮して計画することが重要である。
(1)児童数の現状等により決定される学校規模や多様な学習形態による活動規模を考慮しつつ,各施設の面積規模に応じ,室構成,室数等を決定することが重要である。その際,認定就学※を受けた障害のある児童の在籍状況又は他校からの通級による指導※の実施状況を考慮しつつ,室構成,室数等を決定するとともに,障害の状態や特性等に応じ必要となる環境条件等を適切に把握して,必要とする施設機能を設定することが重要である。
※認定就学
・・学校教育法施行令(昭和28年10月31日政令第340号)第5条第1項第2号に基づき,同令第22条の3(特別支援学校の就学基準)に該当する児童生徒について,市町村の教育委員会が当該市町村の設置する小学校又は中学校において適切な教育を受けることができる特別の事情があると認める者については,小学校又は中学校に就学させることとする制度。
※通級による指導
・・小学校又は中学校の通常の学級に在籍している障害の軽い児童生徒が,ほとんどの授業を通常の学級で受けながら,障害の状態等に応じた特別の指導を特別な場(特定の小学校,中学校又は公共施設等)で受ける指導形態。一部通級による指導の担当教員が特別の場に出向く場合や児童生徒が特別支援学校等に出向く形態等もある。
(2)増築,一部改築,改修等の場合においては,工事に伴い児童の心身の健康及び安全並びに学習及び生活に支障の生じることのないよう十分留意することが重要である。特に,情緒障害や自閉症,ADHD等の障害のある児童がいる場合は,騒音,振動等の刺激によるパニックや多動・衝動性等に十分配慮することが重要である。
(1)多様な学習形態に対応する机,家具などの配置が可能な面積,形状等とするとともに,児童の生活の場としてふさわしく児童にとって魅力ある場として計画することが重要である。また,児童にとって安心して落ち着くことのできる場として計画することも重要である。
(2)十分な面積の掲示板を壁面等に設けることが重要である。
(3)必要に応じ水栓,流し等の設備を設置することのできる空間を確保することも有効である。
(4)低学年用の普通教室は,生活科,図画工作等の教科学習や合科的な内容の学習が行われることを考慮して計画することが望ましい。
(5)収納棚その他の生活用設備は,児童のための動作空間とともに,教室の周辺部の日常的に目の届く位置に計画することが重要である。
(6)観察台,展示台等を,児童の活動空間とともに,窓側等に計画することが望ましい。その際,足掛りとならないようにし,併せて,墜落防止に配慮することが重要である。
(7)障害のある児童が通常の学級に在籍することがあることを踏まえ,必要に応じ,後述の「4特別支援学級関係室」や「5通級による指導のための関係室」の内容を準用する。
(1)特別支援学級関係室の計画に当たっては,児童の障害の状態や特性等に応じ,特別支援学校施設整備指針を準用する。
(2)周辺環境が学習生活面や安全面へ及ぼす影響が大きいことに留意し,特に良好な環境条件及び十分な安全性の確保に特に留意して計画することが重要である。
(3)障害の状態及び特性に応じ,各学年段階における各教科指導や,障害の状態の改善・克服を目的とする指導等の多様な学習活動等を円滑かつ効果的に行うことができるような室構成とすることが重要である。
(4)特別支援学級の普通教室は,多目的教室等との役割分担を考慮しつつ,障害の特性,学習する内容等に応じた多様な指導方法のための各種の机配置が可能な面積,形状等とすることが重要である。
(5)特別支援学級の普通教室は,音楽,家庭等の教科の実施に必要な設備の設置,収納及び整理のための空間を計画することが重要である。
(6)特別支援学級の多目的教室は,図画工作における表現活動,体育等における各種運動,障害の状態の改善・克服を目的とする活動等を安全かつ円滑に実施するための活動空間を確保することのできる面積,形状等とすることが重要である。
(7)特別支援学級の多目的教室は,設備,家具等の設置空間及び教材,教具等を保管するための収納空間を計画することが重要である。
(8)障害のない児童との交流及び共同学習を行う空間を,普通教室,多目的教室及び生活・交流空間との関連を考慮して計画することが重要である。
(9)各障害に対応した教室を計画する場合は,以下の点に留意することが重要である。
※いわゆる「教室の構造化」
・・本指針においていわゆる「教室の構造化」とは,「自閉症等のある幼児児童生徒が見通しを持って円滑に活動するため,家具等により仕切りを設けたり,色分けをしたりすることにより,空間ごとに役割を持たせること」とする。
(1)通級による指導のための関係室の計画に当たっては,児童の障害の状態や特性等を踏まえ,必要に応じ,特別支援学校施設整備指針又は前述の「4特別支援学級関係室」の内容を準用する。
(2)周辺環境が学習生活面や安全面へ及ぼす影響が障害のない児童に比較して大きいことに留意し,良好な環境条件及び十分な安全性の確保に留意して計画することが重要である。
(3)障害の状態及び特性に応じ,障害による学習上又は生活上の困難の改善・克服を目的とする指導や,障害の状態に応じて各教科の内容を補充するための特別の指導等の多様な学習活動等を円滑かつ効果的に行うことができるような室構成とすることが重要である。
(4)個別指導又は小集団による指導のための教室は,障害の特性等に対応する机,家具などの配置が可能な面積,形状等とすることが重要である。また,空間の可変性を確保するため,可動間仕切を設置することも有効である。
(5)多目的室・プレイルーム等は,障害による学習上又は生活上の困難の改善・克服を目的とする多様な活動を安全かつ円滑に実施するための活動空間を確保できる面積,形状等とすることが重要である。また,これらの活動に必要となる設備,家具等の設置空間及び教材,教具等を保管するための収納空間を確保できる面積,形状等とすることが重要である。
(6)送迎や相談のために来校している保護者のための控室・相談室を計画する場合は,通級による指導のための教室や外来用玄関との連絡の良い位置に計画するとともに,必要な机,いす等の家具や設備等を配置できるような面積,形状等とすることが重要である。なお,通級する他校の児童及び保護者等の教育相談のための空間として計画することも有効である。
(7)通級による指導のための管理関係室を計画する場合は,既存の管理関係室との関連を考慮しつつ,事務処理のための机,椅子等の家具や機器等を適切に配置できる面積,形状等とすることが重要である。
(8)便所は,他校から来校する児童や保護者等の利用状況及び動線を考慮し,利用しやすい位置に男女別に計画することが重要である。
(9)各障害に対応した教室を計画する場合は,以下の点に留意することが重要である。
通常の学級に在籍する情緒障害,自閉症やADHD等の障害のある児童が落ち着きを取り戻すことのできる小規模な空間は,外部からの音や視覚的な刺激が制御でき,かつ,安全性を十分考慮した面積,形状等とすることが重要である。
(2)車椅子を利用した移動に支障のない適切な面積,形状等とし,障害のある児童,教職員及び学校開放時の高齢者,障害者等の利用に支障のないようにすることが重要である。
(2)障害者用の便器,手すり等の設備を設置した便所を,一般の便所内あるいは適当な位置に確保することが重要である。
「特別支援教育」とは,障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち,幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し,その持てる力を高め,生活や学習上の困難を改善又は克服するため,適切な指導及び必要な支援を行うものである。
こうした特別支援教育を推進するため,特別支援学校の施設整備については,障害の重度・重複化,多様化等の動向を十分踏まえつつ,障害のある幼児児童生徒の一人一人の教育的ニーズに対応した指導・支援を考慮した施設環境づくりを基本とすることが重要である。
また,地域において特別支援教育を推進する体制を整備していく上で,特別支援学校が中核的な役割を果たすことができるような施設環境づくりを基本とすることが重要である。
一人一人の幼児児童生徒の障害の状態及び発達の段階や特性等に応じた指導内容・方法が十分に展開でき,個別又は多様な集団編成等による自立活動※等の学習指導やそれらを支援する様々な教育機器等の導入などを可能とする高機能かつ多機能な施設環境を確保することが重要である。
また,幼児に対する遊びを通した柔軟な指導,中・高等部の職業教育,及び重複障害のある幼児児童生徒の基本的生活習慣の指導への対応などを図るとともに,今後の学校教育や情報化の進展等に長期にわたり対応することのできるような柔軟な計画とすることが重要である。
【肢体不自由又は病弱に対応した施設】
:入院生活等を伴う幼児児童生徒については,様々な生活体験を可能とする施設環境を整えることが重要である。
※自立活動
・・障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために設けられている特別の指導領域であり,学校の教育活動全体を通じて行われる教育活動。例として,視覚障害者に対する白杖を使った歩行指導,聴覚障害者に対する音声や文字,手話などの多様なコミュニケーション手段を活用する指導,肢体不自由者に対する姿勢保持や移動の指導などがある。
地域において特別支援教育を推進する体制を整備していく上で特別支援学校が中核的な役割を担うことに加え,地域の小・中学校等の障害のない幼児児童生徒との交流及び共同学習の場として施設環境を整備することが重要である。
また,障害者等の学習・相談等の場,障害のある幼児児童生徒への理解を深めるための場,地域住民の生涯にわたる学習の場,さらに,まちづくりの核として,地域と連携した施設環境を整備することが重要である。
その際,施設のバリアフリー化を図ること,地域の防災拠点としての役割を果たすこと,景観や町並みの形成にも貢献できる施設として計画することも重要である。
なお,病院等に併置する場合は,病院等にも開かれた施設として整備することが望ましい。
(1)幼児児童生徒一人一人の障害の状態や特性,教育的ニーズを把握し,それらを踏まえた指導計画の実施に配慮した施設環境を計画することが重要である。
その際,一人一人の教育的ニーズに応じた指導目標や内容,方法等を示した「個別の指導計画」や,教育と福祉,医療,保健,労働等の関係機関との連携による乳幼児期から卒業後まで一貫した支援を行うための教育的支援の目標や内容等を盛り込んだ「個別の教育支援計画」の実施に配慮した計画とすることが重要である。
(2)障害の重度・重複化等の動向や,複数の障害への対応状況を十分に考慮し,利用する幼児児童生徒にとって支障のない計画とすることが重要である。
その際,近年,自閉症等を併せ有する幼児児童生徒が増加していることにも配慮した計画とすることも重要である。
(1)特別支援学校が地域の小・中学校等の要請に応じて支援などを行う地域の特別支援教育のセンター的機能を果たすため,地域や学校等の実情に応じて必要な施設環境を整備することが重要である。
(2)地域の小・中学校等の教員への支援及び研修協力や,障害のある幼児児童生徒への指導・支援,保護者等に対する相談対応・情報提供を行うほか,福祉,医療,保健,労働等の関係機関との連絡・調整を行うなど,各学校の実情に応じて弾力的に対応できるような施設環境を整備することが重要である。
(3)特別支援学校において通級による指導※を行う場合は,地域の小・中学校に在籍する障害のある児童生徒の障害の状態や特性等を十分に踏まえつつ,通級する他校の児童生徒にとっての利便性等に配慮し,その利用に支障のない計画とすることが重要である。その際,地域の通級による指導の状況や整備計画等を踏まえつつ,各学校や地域の実情等に応じた計画とすることが重要である。
また,通級による指導を受ける児童生徒の保護者との連携や交流を促進することができる施設として計画することも重要である。
※通級による指導
・・小・中学校の通常の学級に在籍している障害の程度の軽い児童生徒が,ほとんどの授業を通常の学級で受けながら,障害の状態等に応じた特別の指導を特別な場(特定の小・中学校や公共施設等)で受ける指導形態。一部通級による指導の担当教員が特別の場に出向く場合や児童生徒が特別支援学校等に出向く形態等もある。
(1)幼児児童生徒の障害の状態及び発達の段階や特性等を考慮しつつ,個々の幼児児童生徒が自立を目指し,障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するための自立活動に必要となる施設環境を計画することが重要である。
(2)自立活動の指導は学校の教育活動全体を通じて行われるものであり,自立活動の時間に行われる指導内容を中心としつつ,各教科,道徳,特別活動及び総合的な学習の時間と密接に関連を図る必要があることから,自立活動関係諸室と普通教室,特別教室等との関係等を考慮した計画とすることが重要である。
(3)「個別の指導計画」に基づいて個人又は小集団で指導を行うなど,効果的な指導を進めることができるよう弾力的な計画とすることが重要である。その際,幼児児童生徒の障害の重度・重複化,多様化を考慮し,これらの幼児児童生徒の実態に応じた弾力的な教育課程の編成に対応できるような計画とすることが重要である。
(1)幼児児童生徒の主体的な活動及び学習を支え,高度情報通信ネットワーク社会にふさわしい学校環境をつくるとともに,障害の特性等に応じた情報保障※を図るよう計画することが重要である。
このため,情報支援機器を活用するなど,幼児児童生徒の障害の状態や特性等に配慮しつつ,校内の情報ネットワークの整備やコンピュータ,プロジェクタ等の情報機器の導入への対応について,適切な安全管理措置を取りつつ積極的に計画することが重要である。
※情報保障
・・本指針において「情報保障」とは,「障害等により情報を入手することが困難な者に対して情報入手のための支援を行ったり,情報を発信することが困難な者に対して情報を発信するための支援を行ったりすること」とする。情報保障の手段としては,点字による表示や手話,ノートテイク,コミュニケーション支援機器や支援ソフトを活用して意思の伝達を行うなどの多様な形態がある。
(2)情報を効果的に活用したり,生み出したりするためには,様々な情報を管理できる学習センター機能のために必要な空間を計画することが重要である。
(3)教科としての「情報」だけでなく,他教科でも活用したり,日常的な学習活動や自立活動等を支援するために,普通教室や図書室,特別教室,自立活動関係諸室,専門教育関係教室,共通空間等にも様々な情報機器や情報ネットワークを計画することが重要である。
(4)学校としての取組や学習活動の成果等について,外部へ情報発信できるよう計画することが重要である。
(5)幼児児童生徒や保護者への情報伝達や,多様なカリキュラムの管理,幼児児童生徒からのレポート等の提出等,学校運営や施設管理,教員の教科研究や教材作成においても,情報機器や情報ネットワークを活用できる環境を計画することが重要である。
(1)幼児児童生徒の学習のための場であるのみならず,生活の場として,ゆとりと潤いのある施設環境を計画することが重要である。
(2)幼児児童生徒の障害の状態や特性,行動特性,動作領域,人体寸法を考慮するとともに,心理的な影響も含めて施設を計画することが重要である。
(3)幼児児童生徒,教職員等の多様なコミュニケーションの場として,ラウンジ,談話コーナー等を計画することが望ましい。
(4)多様な学習内容・形態に対応するとともに,障害の状態や特性等に応じ,豊かな生活の場を構成することのできる机・いす・収納棚等の家具を各室と一体的に計画することが重要である。
(5)生徒の心の拠りどころとなるようなシンボルツリーやモニュメント等を計画することも有効である。
(1)幼児児童生徒の健康に配慮し,校内の快適性を確保するため,日照,採光,通風,換気,室温,音の影響等に十分配慮した計画とすることが重要である。
【病弱に対応した施設】
:病気の種類等に応じて日照,空気及び通風を調節できることが望ましい。
(2)幼児児童生徒の障害の状態や特性等に配慮しながらその心と体の健康を支えるため,保健衛生に配慮した計画とすることが重要である。特に,重度の障害のある幼児児童生徒に十分配慮した衛生的な環境を計画することが重要である。
(3)幼児児童生徒の障害の状態や特性等に配慮しながら,体力向上に資するよう運動のための空間を利用のしやすさを考慮し,計画することが望ましい。
(1)幼児児童生徒の安全確保を図るため,学校内にあるすべての施設・設備について,幼児児童生徒の多様な行動に対し十分な安全性を確保し,安心感のある計画とすることが重要である。
その際,事故の危険性を内包する箇所は特に安全性を重視した分かりやすい計画とすることが重要である。特に,情緒障害や自閉症,注意欠陥多動性障害(以下「ADHD」という。)等の障害を併せ有する幼児児童生徒に対応した施設とする場合は,パニックや多動・衝動性等に十分配慮し,各々にとって十分な安全性を確保した計画とすることが重要である。
(1)障害のある幼児児童生徒及び教職員等が安全かつ円滑に学校生活を送ることができるように,障害の状態や特性,教育的ニーズに応じた計画とすることが重要である。なお,その際,スロープ,手すり,便所,出入口,エレベーター及び情報伝達のための設備等の計画に配慮することが重要である。
(2)学校の教育活動への地域の人材の受け入れなど様々な人々の学校教育への参加や,地域住民の生涯学習の場としての利用,地震等の災害発生時における地域住民の応急的な避難場所としての役割等を踏まえ,多様な地域住民が利用することを考慮した計画とすることが重要である。
(3)既存学校施設のバリアフリー化についても,障害のある幼児児童生徒の状態や特性等を踏まえ,所管する学校施設に関する合理的な整備計画を策定し,計画的に推進することが重要である。
(4)学校施設のバリアフリー化に当たっては,施設の運営・管理,人的支援等のサポート体制との連携等について考慮した計画とすることが重要である。
(1)学校と地域社会との連携を深めていく上で,社会教育施設や福祉施設,医療施設等との複合化について計画する場合は,施設間の相互利用・共同利用等による学習・生活環境の高機能化及び多機能化に寄与すると同時に,学校施設における幼児児童生徒の学習と生活に支障のないよう計画することが重要である。
また,地域の防災拠点としての役割について計画する場合も,学校施設における幼児児童生徒の学習と生活に支障のないよう計画することが重要である。
(2)多様な利用者を考慮し,防犯対策等の安全管理,バリアフリー等に配慮した計画とすることが重要である。
(3)学習環境に悪影響を及ぼす施設との合築は避けることが重要である。また,学習環境の高機能化及び多機能化に寄与しない施設との合築についても慎重に対処することが重要である。
【肢体不自由又は病弱に対応した施設】
:病院等の中に設置されている分校・分教室等の場合には,病院等に障害のある幼児児童生徒の教育等についての理解を得るとともに,十分な連携を保ちつつ計画的に環境を整備することが重要である。
(1)障害の特性等の分析とその条件化
(2)教育活動の内容分析とその条件化
【知的障害に対応した施設】
:幼児児童生徒の知的発達の状態に応じた指導内容を具体的に分析し,活動集団の構成に留意し,必要な施設機能を設定することが重要である。
(4)センター的機能としての施設機能の設定
(10)入院生活等の分析とその条件設定:【肢体不自由又は病弱に対応した施設】
(2)整備期間中においては,適切な事故防止対策を講じるとともに,工事に伴う車両等の出入り,騒音,振動,塵埃等の発生により,幼児児童生徒の健康や安全及び学習や生活に支障の生じることのないように特に留意することが重要である。また,適切な仮校舎を確保することも有効である。
情緒障害や自閉症,ADHD等の障害を併せ有する幼児児童生徒が在籍している場合は,騒音,振動等の刺激によるパニックや多動・衝動性等に十分配慮することが重要である。
なお,他の文教施設等と併置する場合は,その施設の利用者等の安全にも支障を生じることのないよう十分配慮することが重要である。
【肢体不自由又は病弱に対応した施設】
:病院等に併置する場合は,その病院等の業務や他の入院中の患者等の生活や安全に支障が生じることのないように特に留意することが重要である。
(1)「個別の指導計画」等の実施に基づく多様な室・空間の利用や,幼児児童生徒の障害の状態及び発達の段階や特性等に柔軟に対応できる空間とすることが重要である。その際,「個別の指導計画」等の実施に当たり個人情報の保護の観点から情報管理に十分配慮できるよう計画することが重要である。
また,教員等が指導・介助のしやすい環境を構成できる面積,形状等とすることが重要である。
複数の障害に対応した施設とする場合は,各々の障害の特性等を十分考慮し,相互の交流に留意しつつも,相互の利用に支障のないよう面積,形状等を計画することが重要である。
【視覚障害に対応した施設】
:幼児児童生徒が,室・空間内における自分の位置を容易に確認することができ,かつ,円滑に利用することができるよう,ロッカー等の家具,諸設備の配置に十分留意することが重要である。
【肢体不自由又は病弱に対応した施設】
:様々な補助用具を使用しての活動や,肢体不自由児の臥位や座位での活動,病弱児の点滴を行いながらの活動等にふさわしく,かつ,教員等が介助しやすい空間を構成できるよう面積,形状等を計画することが重要である。
さらに,幼児児童生徒が可能な限り自力で自由に入退室できるよう出入口部分を計画することが重要である。
(2)各室・空間の形状等は,用途の変更,間仕切りの移動等の模様替え,ゾーニングの再編等を容易に行うことのできる柔軟な計画とすることが重要である。その際,各種教材・教具等の収納のための家具等の設置が可能な形状等とすることが重要である。
(3)視覚教材等の掲示・展示スペースを確保したり,室・空間の表示を工夫したりするなど学校全体の掲示・表示環境の向上に配慮することが重要である。
(4)各室・空間の表示については,壁等の色彩に配慮したり,光やピクトグラム(絵文字)等を用いたりするなど室・空間の位置を認知しやすくすることが望ましい。
(1)幼児児童生徒の障害の状態及び発達の段階や特性,利用内容に応じた家具の導入計画に基づき,各室・空間の面積,形状等を計画することが重要である。
(2)視聴覚教育メディアやコンピュータ,各種補助用具,教材・教具等の導入及び利用の計画等を考慮し,各室・空間の面積,形状等を計画することが重要である。
(1)各室・空間において,障害の特性等に応じた情報保障を図るよう,また,学習活動に利用できるよう,コンピュータ等の情報機器の導入が可能な面積,形状等とすることが重要である。その際,情報機器や情報ネットワークの将来の更新,増設等も考慮して計画することが重要である。
【聴覚障害に対応した施設】
:集団補聴システムとともに,視覚的な情報保障のための校内LAN端末を設置し,情報をリアルタイムに提示するシステムを配置することができるよう計画することが望ましい。
(2)各室・空間でのコンピュータ等の情報機器の活用を考慮し,情報用のアウトレットやコンセントを設けることが重要である。
(3)必要に応じて,机,機器等の配置に留意しつつ,二重床,床ピット等による配線のための空間を確保することも有効である。
(1)地域の小・中学校等の障害のない幼児児童生徒との交流及び共同学習に供する各室・空間は,来校する他校の幼児児童生徒との共同利用等を考慮した面積,形状等を計画することが重要である。
(2)交流及び共同学習に供する各室・空間は,利用する幼児児童生徒が,安全かつ円滑に利用できるよう計画することが重要である。
机やいす,収納家具,ワゴン類,ついたて類等の学校用家具については,高さや傾斜等の調整が可能なものや机面が広いものなど,障害の状態及び発達の段階や特性,多用な学習形態等に対応できるよう数量,材質,形状等を各室と一体的に計画することが重要である。その際,地震等による教具等の落下や学校用家具の転倒,幼児児童生徒の衝突等に対して十分な安全性を確保できるように計画することが重要である。
【肢体不自由又は病弱に対応した施設】
:車いすや補助用具等の多様な移動方法を考慮し,高さ等の調節可能な机,棚などの家具を利用しやすいように設置できる計画とすることが望ましい。
(1)個に応じた指導や多様な学習・生活集団の編成に柔軟に対応し,学習・生活内容にふさわしい環境を構成できるよう幼児児童生徒の体格等を十分考慮した面積,形状等とすることが重要である。その際,健康で快適かつ安全な環境を確保するとともに,幼児児童生徒の学習への集中を高めるために光,熱,音等の環境づくりに配慮した計画とすることが重要である。
情緒障害や自閉症,ADHD等の障害を併せ有する幼児児童生徒に対応した施設とする場合は,十分な安全性を確保するとともに,外部からの刺激が少なく落ち着いた環境を確保した計画とすることが重要である。
【聴覚障害に対応した施設】
:グループ学習など集団学習で利用する室・空間は,相手の口元や表情が見やすいよう机等を配列できるように計画することが重要である。
(2)各室・空間は,学習や指導等に必要な教材・教具,機器,設備等に加え,幼児児童生徒の障害の状態や特性等に応じ必要となる生活上の諸行為のための機器,設備等を,機能的に配置できるような面積,形状等とすることが重要である。
【病弱に対応した施設】
:休息するための家具等を設置するスペースを計画することが重要である。
(3)特別教室・教科教室等は,教育内容・教育方法等に応じて複数の教科での共用も考慮し,それらの教科に必要な機能を確保できる面積,形状等とすることが重要である。
(4)各室・空間は,学習等に利用する教材・教具,各資料,幼児児童生徒の障害の状態や特性等に応じ必要となる物品等の種類及び量に応じた十分な収納スペースを,空間内又は隣接して計画することが重要である。
(5)特別教室・教科教室,自立活動関係教室に付設される準備室は,実験・実習等の準備,教材作成,教材研究等教科に係る教員の執務及び教材・教具等の収納,管理等に必要な面積,形状等とすることが重要である。
(6)特別教室・教科教室等は,幼児児童生徒の主体的な学習を支援するとともに,必要に応じ,部活動,地域の小・中学校等との交流及び共同学習,学校開放などにおける利用を考慮して,地域住民等の多様な学習需要に対応できるような面積,形状等とすることが望ましい。
(7)自閉症等の障害を併せ有する幼児児童生徒に対応する場合は,教室内の各々の区画の果たす機能が見てわかりやすいように整える,いわゆる「教室の構造化」※に配慮して計画することが望ましい。
※いわゆる「教室の構造化」
・・・本指針においていわゆる「教室の構造化」とは,「自閉症等の障害を併せ有する幼児児童生徒が見通しを持って円滑に活動するため,家具等により仕切りを設けたり,色分けをしたりすることにより,空間ごとに役割を持たせること」とする。
(8)幼児児童生徒が自然環境に親しみやすくするため,周辺環境となじむ形態を取り入れ,温かみのある雰囲気を計画することも有効である。
(1)多様な学習形態に対応し,机その他の家具,教材・教具,学習機器・設備などの配置や,各種教材・教具等の収納のための家具等の設置が可能な面積,形状等とすることが重要である。
(2)十分な面積の掲示板を設けることが重要である。
(3)幼児児童生徒の持ち物を収納するための家具を,収納動作のための空間とともに,教室周辺部の日常的に目の届く位置に計画することが重要である。
(4)観察台,展示台等を,幼児児童生徒の活動空間とともに窓側等に計画することが望ましい。その際,足掛りとならないようにし,併せて,墜落防止に配慮することが重要である。
(5)幼稚部の保育室は,多様な保育の内容や方法に対応することができるとともに,園具,遊具等を弾力的に配置できるような面積,形状等とすることが重要である。
(6)小学部の普通教室は,水栓,流しなどの設備を設置することができる空間を計画することが望ましい。
言語障害を併せ有する幼児児童生徒に対応する場合は,主たる障害の特性に配慮しつつ,正しい構音の練習に利用する鏡,練習後の手洗いやうがい等のための設備を,動作空間とともに教室の周辺部に計画することが重要である。
【聴覚障害に対応した施設】
:発音・発語の練習に利用する鏡,練習後の手洗いやうがい等のための設備を,動作空間とともに教室の周辺部に計画することが重要である。
【知的障害に対応した施設】
:更衣スペースや更衣ロッカーの設置スペースを確保するなど,日常生活に関する学習の指導を考慮して計画することが重要である。
(7)小学部低学年用の普通教室は,生活,図画工作等の教科学習や合科的な内容の学習が行われることを考慮して計画することが望ましい。
【知的障害に対応した施設】
:中学部及び高等部の普通教室は,生活単元学習等の各教科等を合わせた指導が行われることを考慮して計画することが望ましい。
(8)教科教室型の運営の場合においてホームベース等の生徒の生活空間を計画するときは,持ち物,学級の備品等を収納し,保管することのできる家具を配置できる面積,形状等とすることが望ましい。
(9)情緒障害や自閉症,ADHD等の障害を併せ有する幼児児童生徒への対応として,普通教室に近接して落ち着きを取り戻すための小空間を設ける場合は,安全性を確保するとともに,遮音性等に配慮することが重要である。
(1)視覚障害に対応した施設における自立活動関係教室等
(2)聴覚障害に対応した施設における自立活動関係教室等
(3)知的障害に対応した施設における自立活動関係教室等
(4)肢体不自由に対応した施設における自立活動関係教室等
(5)病弱に対応した施設における自立活動関係教室等
(1)多様な利用に対応可能な閲覧机を配置し,必要な規模の書架等を利用しやすいように配列できる面積,形状等とすることが重要である。また,図書が日照により劣化しないよう適切に管理できる計画とすることが重要である。なお,幼稚部や小学部低学年では,低年齢児の利用を考慮した図書コーナー等を設けることも有効である。
【視覚障害に対応した施設】
:必要に応じ,ボランティアによる点字図書の整理等の作業や打合せ等のためのスペースを計画することも有効である。また,図書等の点字化,点字印刷,製本等のためのスペースを,図書室内あるいは隣接して計画することが望ましい。
また,視聴覚教室や教材・教具空間との役割分担に留意しつつ,ネットワーク端末,点字・音声教材の作成・編集のための機器等を備えた学習センター的な空間を計画することも有効である。
弱視児に必要な照度を確保するとともに,視覚補助具等の機器の設置を検討することが望ましい。
【肢体不自由又は病弱に対応した施設】
:車いす等で移動する幼児児童生徒が,円滑に図書の出し入れや閲覧などを行うことができるように計画することが重要である。
(1)幼児児童生徒の身体の動きに関する状態や運動能力,運動技能等に応じた多様な運動内容や学習グループの編成等による活動を安全に行うことができるような面積,形状等とすることが重要である。
【視覚障害又は聴覚障害に対応した施設】
:大型視聴覚誘導設備等の設置に留意し,活動内容に応じた面積,形状等とすることが重要である。
(2)利用人数等に応じ,出入口の位置,幅等を適切に計画することが重要である。なお,履き替えを行う場合は,出入口部分について,履き替えや靴箱の設置等のためのスペースの確保に留意した面積,形状等とすることが重要である。
(3)視聴覚教育メディア等の導入が可能な面積,形状等とすることが望ましい。
(4)便所,更衣室,シャワー室等の附属施設は,利用する幼児児童生徒の障害の状態や特性等を踏まえ,利用状況等に応じた適切な面積,形状等とすることが重要である。なお,武道場を屋内運動場と離れた位置に別棟として計画する場合は,屋内運動場とは別に,武道場にも計画することが重要である。
(5)地域の小・中学校等との交流及び共同学習のため来訪する他校の幼児児童生徒の利用や,学校開放等における地域住民の利用をも考慮した面積,形状等とすることが重要である。
(1)多様な運動種目を想定して面積,長短辺寸法,天井高等を計画することが重要である。
また,照明,採光及び遮光については,障害の状態や特性,利用形態等に配慮して適切に計画することが重要である。
また,障害の状態や特性等に応じた特別な活動や,車いす,歩行器,杖等の使用者が混在した集団での活動等に十分留意して計画することが重要である。
【視覚障害に対応した施設】
:衝突防止等のために必要な措置を適切に講じることができるように十分留意して計画することが重要である。
【聴覚障害に対応した施設】
:集団補聴システム,視覚表示装置等の設備・機器,太鼓・大型遊具等の器具,鏡などを適切に配置できるように面積,形状等を計画することが重要である。また,音響的環境を確保するため,床の振動性状や他の室・空間への影響等に留意した空間の形状,構造等とすることが重要である。
(2)器具室は,器具等を出し入れしやすいように種類に応じ保管することのできる面積,形状等とすることが重要である。
(3)必要に応じ,観覧のための空間を計画することが望ましい。
(4)上部を観覧席などとして計画する時は,行われる活動内容・活動形態に応じ,十分安全な面積,形状等とするとともに,十分な高さと強度を持った腰壁や手すりを設置する等,安全性の確保を図ることが重要である。
(5)儀式的行事や文化的行事,各種集会,幼児児童生徒の学習・研究成果の発表等での利用を予定する場合は,ステージ,視聴覚メディア,照明機器,音響機器の設置,空間の形状や吸音・反射板等の設置に十分配慮した面積,形状等とすることが望ましい。
(6)大型遊具等の用具・器具などを適切に配置できるような面積,形状等とすることが重要である。
(7)トレーニングルームを設ける場合は,視聴覚機器等の設備の設置に留意しつつ,各種運動器具等を,安全に利用できる動作空間を適切に設置できるような面積,形状等とすることが重要である。
(8)ダンススタジオを設ける場合には,練習等に必要な設備の設置に留意しつつ,利用人数,利用内容等に応じ適切な面積,形状等とすることが重要である。
(9)必要に応じ,ギャラリーやランニングルートを設置する場合,適切な面積,形状等とすることが望ましい。また,準備運動時の利用に配慮することも望ましい。
【視覚障害に対応した施設】
:ランニングルートには,レールランナー等を備えることが有効である。
(10)災害時の避難場所となる場合に備えて,便所,更衣室,備蓄倉庫等を計画することも有効である。
(1)出入口は,多様な利用者が安全かつ円滑に利用できるよう,段差を設けず,十分な幅を確保できるような形状等とすることが重要である。
【視覚障害に対応した施設】
:昇降口部分は,誘導材・設備の設置等に留意しつつ,白杖による移動等に支障のない面積,形状等とすることが望ましい。また,移動経路に留意して,利用しやすい位置に杖を置くためのスペースを計画することも有効である。
【肢体不自由又は病弱に対応した施設】
:昇降口部分は,車いすや補助用具等の多様な形態による移動に支障のない面積,形状等とすることが重要である。また,移動経路に留意して,利用しやすい位置に車いすや補助用具等を置くためのスペースを計画することも有効である。
(1)日常及び避難時の通行の場として必要な照度を確保し,過度の混雑を生じることのない安全な幅,形状等とするとともに,表面は滑りにくい仕上げとすることが重要である。
また,段差を解消するためのスロープの設置や発達の段階等に応じた手すりの設置に十分留意して計画することが重要である。
さらに,階段は,幼児児童生徒が安全かつ円滑に昇降できるような蹴上,踏面,踊り場の寸法,形状等を計画することが重要である。特に,吹抜け等に面した階段では,墜落・転落事故防止のための防護措置を講ずることが重要である。
【視覚障害に対応した施設】
:誘導材・設備の設置や多様な形態による移動に留意し,安全な幅員,形状等とすることが重要である。特に,防火区画廻りにおける日常時と緊急時の動線の設定に十分留意して計画することが重要である。
また,階段は,段の上端と下端を認識しやすくするため,明度,色相又は彩度の差を大きくしたり,材質を使い分けたりするなどの配慮をすることが重要である。
(4)エレベーターは,幼児児童生徒の障害の状態や利用状況等を考慮しつつ,利用しやすいように主要な経路に隣接して設置することが重要である。また,エレベーターホールは,車いす等の使用や機器等の搬出入等を考慮し,利用人数等に応じた適切な面積,形状等とすることが重要である。
【視覚障害に対応した施設】
:エレベーター乗降ロビーの押しボタンやかご内の操作盤等に,点字等の表示を行うことが有効である。
【聴覚障害に対応した施設】
:緊急時の応答,過負荷ブザー等の音声情報を視覚情報等で表示することが有効である。
(5)【肢体不自由又は病弱に対応した施設】:階段の降り口には,車いすの転落防止のための措置を講じることが望ましい。
(6)上下階をつなぐスロープを設ける場合は,幼児児童生徒の運動機能の発達の段階等を考慮し,日常及び避難時の通行の場として過度の混雑を生じることのない安全な幅員,形状等とすることが重要である。
(1)便所は,障害の状態や特性等を考慮し,水洗式で,男女別に幼児児童生徒の数,利用率,体格等に応じた適切な数と種類の便器等の衛生器具を設置できる面積,形状とし,清潔で使いやすく,良好な雰囲気となるよう計画することが重要である。
【知的障害に対応した施設】
:指導者が生理の指導を行うことのできる空間を女子用の便所内に計画することが重要である。
(2)障害者用の便器,手すり等の設備を設置した空間を,一般の便所内あるいは適当な位置に計画することが重要である。また,他の学校との交流時における他校の幼児児童生徒の利用についても考慮して計画することが望ましい。
【肢体不自由又は病弱に対応した施設】
:身体の動きが極めて困難な幼児児童生徒の利用する便所は,障害の状態や特性等に応じた姿勢での排せつが可能な仕様の便器,ベッド,洗浄設備,手洗い等を,介助者が介助しやすいように十分な動作空間を確保できる面積,形状等とすることが重要である。
また,必要に応じ,おむつ交換用のベッドを設置するスペースを,使用時に区画できるように計画することが望ましい。なお,幼児児童生徒の障害の状態や特性等に応じた必要な改修等に対応できるように配慮した計画とすることが望ましい。
【病弱に対応した施設】
:便所内には,必要に応じ,蓄尿容器の置き場及び洗浄のためのスペースを計画することが重要である。
また,必要に応じ,過度の肥満の幼児児童生徒のために,便器への移乗のための設備の利用に配慮した面積,形状等とすることが重要である。
(3)便所の手洗い部分については,衛生に配慮しながら,洗面室,洗面コーナー等として独立して計画することも有効である。
(4)保護者が利用する便所には,ベビーベッド等を設置するスペースを確保することが望ましい。
(5)手洗い,流し等を設置する空間は,まとまりのあるコーナーとして計画し,幼児児童生徒の数,利用率等に応じた十分な数の水栓を適当な間隔,高さ・奥行きで設置できる面積,形状等とすることが重要である。その際,感染症予防の観点も踏まえて計画することが重要である。また,通行部分が濡れるような配置は避けて計画することが重要である。
【肢体不自由又は病弱に対応した施設】
:手洗い,流し等は,車いす等を使用しての利用に十分留意して計画することが重要である。
(1)浴室,シャワー室等の洗浄施設は,利用状況等に応じ,更衣スペース及び洗浄スペースを利用しやすいよう配置できる面積,形状等とすることが重要である。特に,重度・重複障害のある幼児児童生徒の利用を予定する場合には,利用動線や介助の方法等を十分検討し,安全かつ円滑に利用できるよう洗浄設備の配置に十分留意することが重要である。
【肢体不自由又は病弱に対応した施設】
:車いすや歩行器での利用に留意して面積,形状等を計画することが重要である。
(2)障害者用の便器等を設置することのできる空間を利用しやすい位置に計画することが重要である。
初等中等教育局特別支援教育課