資料8:作業部会(第7、8回)における主な御意見

1.小中連携、一貫教育の目的、効果

○ 学校間の接続が重要だと考えたのは、中学校進学時に心身に不調を来し、学習意欲が低下し不登校になっていく生徒に直面した時。今後の教育の在り方を考える中で、なぜ小中一貫教育を推進するのかを明確に再認識して審議したい。(7)
○ 重要なのは、何のための小中連携なのかということ。(7)
○ 小中学校間の乗り越え難いギャップとは何かをきちんと議論する必要がある。暴力行為やいじめ、不登校は現象であってこれを無くすことが目的なのかどうか。小中学校で共通の目的意識をもって臨めばうまくいく。ゴールや目的を何にするのかをきちんと議論する必要がある。(7)
○ 三鷹市では「三鷹の子どもたちをよりよく育てる」ことを目的としており、小中一貫教育やコミュニティスクールはツールである。目的に従って柔軟に変形していくことはあり得る。(7)
○ 小中一貫のねらいを学習指導上又は生徒指導上の成果としているところが多いが、ネックになっているのは教員の学力観の違い。これからの子どもたちが身につけなければいけない学力とは何なのかを明確にし、これまでの学力観から抜けきれない教員がいる場合は教員の意識改革が重要となる。(7)
○ 小中学校教員の風土・文化の違いをなくすのではなく、違いを認めることが重要。違いがあるからこそ学びあえる。(7)
○ 中学生段階の暴力行為やいじめ等への対応として小学校と中学校の交流に取り組んできた結果、中学生の自尊感情が高まり、暴力行為やいじめの件数は明らかに減少してきた。学校が落ち着いてくることにより、先生同士の情報共有が密になされるようになり良い循環となる。(7)
○ 小中連携を何のためにするかを考えたとき、多くの学校では中1ギャップの解決のために行っている。教育課程の在り方を変えて段差を別のところに設けたとしても、移行の危機はどこにでもあるのであり、そうした危機にいかに対応していくのかという観点が必要。(8)
○ なぜ小中一貫教育を実施するのかに関するセオリーを定めるべきである。そのことが教員の指導観や教科観に大きく影響を与えることとなる。(8)
○ 三鷹市や呉市で小中一貫教育が成功しているのは、関係者が共通の目標をもって取り組んでいるのが要因なのではないか。(8)
○ 関係者、特に教員の理解を得ながら小中連携を進めることが重要であるが、その際、小中一貫教育により実際に子どもたちの姿が変わってくるのを見ると、先生方の受け止め方も変わってくる。(8)
○ 教師の指導力向上という前に、教師の人間性を磨き、人として魅力的な者となり、子どもたちのモチベーションを上げさせるようにしている。(8)
○ 両市とも小中一貫教育と地域との連携がセットになっている。一貫教育と地域の力を学校にということを何のためにやるか。これは確かな学力や生きる力を身につけるため、中1ギャップの解消を図る必要があるからだが、両市においては、市教育委員会としても方向性、目的を明確にした上で各学校もそれを意識して取組を進めてきている。これにより、先生方の意識が変わってきて、小中一貫教育がうまく機能しているのではないか。(8)
○ 三鷹市においては子どもに人間力・社会力を育成することを教育の目的としていたが、実は目指す子どもの姿の前に「教師を変える」ということがあるのではないか。(8)
○ 得られた成果として、生徒指導上の成果や学力向上それ自体も重要だが、新たに掲げられた義務教育の目標、目的への接近が問われることとなる。(8)
○ 三鷹市、呉市の育てる子どもの姿は、一方は「人間力・社会力の育成」といい、一方は「自尊感情の向上」と言っており、表現の違いはあるが共通している部分がある。平成18年大阪府で学力調査をしたときに、大阪大学の研究者が学力と何が相関関係にあるかという分析をし、小学校は授業態度と学校の取組となり、中学校は授業態度が直結し学校の取組が直結しない結果となった。授業態度の背景に何があるかというと自尊感情、自己達成感、受容感である。そのような意味で、教育の目指している目的は角度を変えれば共通している。(8)
○ 小中一貫をしないと自尊感情は育たないのか。呉市の発表にもあったが、子どもたちの発達が2年早まっているのは事実であるが、その改善は小中一貫教育をやらないとできないのか。小中一貫教育をやる前にやるべきことを確認してから取り組むべき。(8)
○ 三鷹市に関しては、教育の質を上げていくことを総合的に考えた場合に、町の核は小学校と中学校であり、地域に対しオープンマインドとなり地域の支援を得ながらやっていくのがいいと考えている。子どもたちをよくする、その成果をあげるためには、コミュニティスクールと小中一貫教育を合わせた形がベストなのでそのように取り組んでいる。(8)
○ 小学校と中学校がそれぞれ固有に保有している、教員を含めた諸資源をより効果的に活用するツールとして、小中一貫教育の意味があるのではないか。(8)
○ 現代は、子どもたちの価値観が大きく変わってきている一方、学校現場では旧態依然とした教え方をしており、対応できないので新しい方法(小中一貫教育)を導入し、うまくいっている。(8)

2.教育課程の在り方

○ 中学校の3年間で学ぶことが多すぎるので、6-3制は今の時代には合っていないのではないか。中高一貫ならそれもうまく吸収できる。なるべく中学校で職業を意識できるよう、小中一貫教育の実施にあたっては、中学校に余裕を持たせたカリキュラムが必要なのではないか。中学校の貴重な3年間を有益なものとしていけるようにしたい。(7)
○ 小中連携に関しては中1ギャップに焦点を当てるべきだが、その解決のためにカリキュラムを変えるのは少し違うのではないか。(7)
○ 新指導要領は理数系の時数が多い。小学校は履修主義であり、一通り授業で取り上げないと保護者から批判されるのが実態である。小学校段階の学力をいかにつけるかが大きな課題であり、本作業部会のどこかで、履修主義と修得主義について取り上げないといけない。(7)
○ 指導要領上、例えば移行するのが困難と言われる算数と数学など、小学校と中学校の教科ごとのつながりを考えていくことが重要。(7)
○ 自分としては「段差」は必要であると思っている。といっても各教員の力量の差などによる段差は排除すべきだが、子どもにとって緩やかでいい刺激になるような段差は必要である。(8)
(○ 9年間の区切り方を各学区に任せている。市内に7学区22校があるが、学区によって実態がかなり異なるので、9年間の区切り方は各学区で決めた上で、保護者への説明責任は果たすようにしている。(8))
(○ 例えば、小・中学校において市歌や仰げば尊しを式典の時に歌わせたり、清掃活動も行ったりして小中共通の取組を行うことで、課程を一貫させている。(8))

3.小・中学校教員による乗り入れ指導、教員免許の在り方

○ 教員免許の在り方が小中一貫教育を阻む要因としてよく挙げられるが、教員の資質能力の向上に関する特別部会においては、逆に「小学校と中学校の区切りを明確にさせるべき」との意見が出ている。今後、そのような議論との整合性をどのようにとっていくかに留意しながら審議を進めていきたい。(7)
○ 現行制度の範囲内で、教員の研修を充実し、小学校教員の教科指導のレベルを上げていくことも考えられるのではないか。(7)
○ 小・中学校それぞれの校種の良いところを交流できるよう、免許制度の見直しというのも大切なことではないか。(7)
○ 教員が中学校から小学校に行くことはあっても小学校から中学校に行くことはほとんどない。また、東京都としては、小学校と中学校の教員の人事交流はほとんどない。各々の校種のよいところを修得できるような交流をやっていくことが非常に重要である。(7)
○ 学校間連携の方向性と教員養成、免許制度の在り方から見たところの小中連携、一貫教育の在り方という両方の議論があるといい。(8)
○ 小中連携、一貫教育に取り組む際には、例えば中学校の先生が小学校の授業に参観して緻密に分析をしたり、中学校の先生が小学校に行って乗り入れ指導を行ったり、取り組みやすいところから始めるのがよい。すると、例えば乗り入れ指導を行った中学校教員が小学生の反応から新鮮な気づきを得たりして、教員の意識が変わってくる。(8)
○ 小学校の先生は大抵中学校教員の免許を持っているが中学校の先生は小学校教員の免許を持っていないことが多い。小中一貫教育は、先生方が各学校種の先生であるということを飛び超えて、制度依存型専門性から、子どもの教育のための専門家、自ら新しい課題を追及していく専門家に変わっていくということなのではないか。(8)
○ 教師の専門性として、小学校においては学級経営、中学校においては教科指導という棲み分けが現在はあるわけだが、もう一度専門性とは何かについて見つめ直す必要がある。(8)

4.小中連携、一貫教育の推進体制の在り方

○ 小中一貫教育をやらないと社会で活躍できる人材が育成できないだろう、また小中一貫教育を推進するのに労力がかかる点にも配慮した審議をしていく必要がある。(7)
○ スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、地域ボランティアなど、多様な方に小中連携の現場に入ってもらい、そういう人たちの力を借りて小中連携を進めていくことが必要なのではないか。(7)
○ 地域も巻き込みながら学校同士を連携させる推進役を担うことで、教育行政の役割も変化し、地域の教育の推進になくてはならないものとして住民の中に定着してきている。これもいい流れだ。(8)

5.校地・校舎、通学区域面の制約を克服する工夫の在り方

○ 今後、地域の事情に応じた9年間の在り方、中学校区単位で学区や地域の諸機関との関係を踏まえる必要性、といった点に留意しながら審議を進めていきたい。(7)
○ 小中連携を進める際の学区の在り方をどのように考えるのか。小中一貫校とする場合、生活圏に近いところで子どもの成長を見守りながらやるのがいいのではないか。(7)
○ 一般に教育界においては学校同士の横の情報共有がなされていないことが多いので、ITを積極的に導入する必要がある。ITはハードが離れたところをソフトでつなぐツールとなる。(7)

6.「地域とともにある学校」づくりとの関係性

○ 地域との連携や信頼関係の構築を、コミュニティスクールや学校支援地域本部といった仕組みを導入することで推進していくことが重要。(7)
○ 平成23年度は市内全小・中学校の8000世帯に対し調査をかけたところ、90%以上が小中一貫教育に満足しているとの結果になっており、小中一貫教育を通じて地域社会の課題を皆で考えようという機運が高まっている。(7)
○ 今後、地域の事情に応じた9年間の在り方、中学校区単位で学区や地域の諸機関との関係を踏まえる必要性、といった点に留意しながら審議を進めていきたい。(再掲)(7)
○ 保護者に対し、コミュニティスクールを知っているか尋ねると91%が知らないと回答し、学校支援地域本部にしても4割は知らないと回答する現状を踏まえれば、まずは保護者の啓発から始める必要がある。(7)
○ 学校が統合するのは地域が統合するということ。各地域には歴史、自負、誇りを持っているので、これを踏まえながら対応する必要がある。(7)
○ 小中連携、一貫教育の取組に関する周知を的確に行い、変化していく子どもの姿をきっちり地域に見せることができれば、地域の信頼、支援が得られるのではないか。(8)
(○ コミュニティスクールにあえて取り組まなくとも、自治会など各地域がしっかりしており、地域見守り隊を作るなど、しっかりと学校を支援している。(8))

7.義務教育学校(仮称)について

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