特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第16回) 議事録

1.日時

平成23年3月28日(水曜日)15時00分~18時00分

2.場所

文部科学省旧文部省庁舎6階 第2講堂

3.議題

  1. 自由討議
  2. その他

4.議事録

【宮﨑委員長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第16回中央教育審議会初等中等教育分科会特別支援教育の在り方に関する特別委員会を開催いたします。
 本日は御多忙の中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
 本日の委員の出欠状況ですが、青山委員、乙武委員、貝谷委員、北住委員、清原委員、熊坂委員、山口委員が御欠席、太田委員は遅れて御出席とのことです。また、石川委員長代理はまだお見えにならないのですが、先に始めさせていただきたいと思います。
 なお、本委員会においては、毎回申し上げていることですが、御発言される場合には、必ず挙手をした上でお名前を述べてから御発言をくださるよう、お願いを申し上げます。また通訳の方のために、御発言の際にはゆっくり御発言をお願いをいたします。
 それでは、議事に入ります。本日は、皆様からこれまでいただいていた御意見を踏まえて、私の方で石川委員長代理とも御相談の上で、特別委員会として取りまとめ、報告骨子を委員長試案として作成をいたしました。これに基づいて、自由討議をいただきたいと考えております。
 このことについては、後で御説明をさせていただきます。
 まず初めに事務局から関係団体の意見照会を行っていただいたわけですが、その結果についての御説明をいただき、その後、私の方から報告骨子について説明し、報告前半部分についての自由討議を行った後、休憩を挟んで、報告後半部分についての自由討議ということで今日の会議を進めたいと思っております。
 それでは、まず事務局から配付資料の確認と、資料の説明をお願いいたします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。配付資料につきましては、議事次第のとおり資料1から資料5までとなっております。
 資料1は、資料1-1、2と枝番をつけております。資料3、4、5につきましては、これまでおまとめいただいております論点整理、ワーキンググループの報告、一昨年3月まで文部科学省の方で開催しておりました協力者会議の審議経過報告等の概要を御議論の参考として、配付しております。参考資料として、本特別委員会の委員の名簿をつけておりますので、不足がありましたら、随時事務局の方までお申しつけください。
 それでは、資料1-1を御覧ください。資料1-1は、インクルーシブ教育システム構築のための今後の特別支援教育の推進方策に関するヒアリング及び意見照会としまして、文部科学省の方で一つ目、合理的配慮と環境整備、二つ目、教職員の確保及び専門性の向上、この2点につきまして、資料1-1の47ページ、48ページの別紙にございますように、関係団体に2月16日から3月16日の間、約一ヶ月意見照会を行いまして、27団体から御回答いただきました。そのうち、意見照会の発表の希望がございました11団体、これは、47ページの別紙の11団体になりますが、こちらの団体の方々から、今月2回に分けてヒアリングを実施いたしました。そのヒアリングと意見照会の結果の概要をまとめましたものが資料1-1です。
 それから資料1-2としまして、関係団体からお出しいただいた意見について、添付しております。
 それでは、資料1-1に基づいて、今回の意見照会の結果としまして、御意見を幾つか紹介いたします。時間の関係で少し早足になり恐縮ですが、お付き合いいただければと思います。
 まず1ページ目、1、合理的配慮等環境整備についてですが、(1)の「合理的配慮」の定義等についてです。
 そこでは、障害のある子どもに対する合理的配慮について、様々な関係者の理解・啓発が必要だ、それから、社会的障壁状況の観点に触れるべき、合理的配慮は権利で、提供義務が発生するのではないか、国等の財政措置を示すべき、数値目標等を定めるべき、といった御意見がございました。2ページ目に参りますと、ほかの政府内の議論等との連携が必要ではないか、合理的配慮の好事例の収集・普及をすべき、知的障害のある幼児児童生徒の取扱いを検討すべき、地域間格差や現場の混乱が懸念される、多様な学びの場の活用もあわせて議論すべき、適切な教育の場の保障が必要である、合理的配慮の専門性の確保が必要、障害のある児童生徒が主体的に学習する活動に、障害のない児童生徒が参加する形態も有効である、障害のある子どもに合わせることばかり気にしていては、健常者の子どもの学習に問題が生じる、社会に出るために必要な配慮と自己責任の自覚を持ってもらえるような教育が必要、といった御意見がございました。それから、3ページに参りますと、合理的配慮の判断基準を明確にすべきではないかといった御意見。優先順位を上げることは必要だけれども、他の施策とのバランスを考えないといけない、過度の負担等の判断基準を示すべきではないか、障害のある子を受け入れるために、環境を整備する期間を示す必要がある、過度の負担を課さないという条件を周知すべき、能力特性に応じた教育を受ける権利を有することに配慮しつつ、合理的配慮を検討すべき、社会全体の学校教育に対するパラダイム変換を図る必要がある、といった御意見がございました。
 続きまして、(2)の「合理的配慮」の決定方法ですが、まず、権利条約に規定する個人としての固有の「尊厳」という観点を入れるべきといった御意見。それから4ページ目に入りまして、本人、保護者の参画を明記すべき、基礎的環境整備と合理的配慮の概念区別が不明、できるだけ早い段階で就学相談を充実すべき、保護者との連携を強化すべき、第三者機関の具体的内容を示すべき、優先して提供するものについて意見の一致が課題である、学校、家庭、地域が一体となって行う仕組みづくりの推進が必要、専門家の意見も聞き合意形成を図るべき、役割の明確化、手続、スケジュール等を示すことが必要、第三者機関の設置促進のための財政支援の検討も必要、合理的配慮に関する様々なシステムの構築が必要といった御意見。それから5ページ目に入りますと、過度の負担の判断について懸念される、学校、家庭、地域が一体となって教育を行うべき、個別のニーズにおいて整備できるか十分な検討が必要、といった御意見がございました。
 (3)の「基礎的環境整備」についてですが、少人数学級の推進、教員、養護教員、支援人、スクールカウンセラー等の様々な人的配置の充実が必要、といった御意見をそれぞれの立場からいただいております。このほか、医療的ケア、寄宿舎、それから就学奨励費についての御意見。それから6ページに参りますと、財政的な裏付け、バリアフリー、合理的配慮の実効性への懸念、実態を正しく認識すべきではないか、特別支援学校の教師不足の解消、コーディネーターの専任配置、指導要領の見直し、特別支援学級、通級指導教室の拡充、特別支援学校設置基準の策定、「基礎的環境整備」の明文化、教材教具の改革、学校活動の見直し、関係教育機関、そして関係機関との連携、居住地校交流の重要性、についての御意見をいただきました。7ページ目に入りますと、高等学校の特別支援教育のあり方、特別支援教育制度の方向性、個人情報の取り扱い、個別の指導計画、支援計画の明確化、個別の支援計画と個別の教育支援計画との関係整理、個人情報についての国の支援を示すべき、継続した支援の方策、センター的機能とコーディネーターの役割整理、についての御意見をいただいております。8ページに参りますと、副次的な籍、それから特別支援学級における個別の指導計画等の策定の義務付け、学びの場の確保の難しさ、設置者及び学校の指導の裁量権、「特別支援教室」構想について、設備の貸与システムみたいなものが必要ではないか、社会に対する啓発活動が必要ではないか、教具の充実、特別支援学校のセンター的機能の充実、専門教職員の定数配置、についての御意見がございました。9ページに参りますと、教職員の専門性の向上と人的措置の充実が必要ではないか、基礎的環境整備への期待、交流及び共同学習についての人的措置も含めた環境整備、高校カウンセラー、高校における評価、についての御意見がありました。
 (4)の学校における「合理的配慮」の観点ですが、「社会モデル」の視点を踏まえるべきですとか、例示が基準になってしまうのではないかという逆作用についての懸念、ICFをその共通理解としなければいけない、周知に時間がかかるのではないか、合理的配慮を行った際の児童生徒への評価、ソフト面での改善が重要、といったような御意見をいただきました。
 (5)の関連事項につきましては、10ページにありますけれども、早期からの対応が重要という御意見をいただきました。
 続きまして、2の、教職員の確保及び専門性の向上についてですが、まずは総論、特別支援教育の専門性についての御意見です。
 全教員を対象に、発達障害・知的障害等を中心とした全障害についての基礎を習得させる、大学の教員養成段階における教職課程での単位必修化を義務付けや、採用後の教員に対する研修を実施すべき、というような意見を、多くいただいているところです。そのほか、校内研修、授業研修の計画的実施ですとか、社会モデルの実践内容の重視、関係づくりをはじめとする規制、法制が必要ではないか、といった御意見がございました。11ページに参りますと、研修時間の確保が必要、養成段階の講座の確保、介護等体験や、そのインターンシップの体験の充実、計画的な研修の実施、特別支援教育専門の指導主事の配置、発達障害に関する研修が必要ではないか、当面の課題や、その中・長期的な課題について、戦略的な発想が重要である、特別支援学校(教育)の枠で採用試験を実施すべきではないか、研究会に参加した際に、ポイント制などを設けたらどうか、免許制度も重要だけれども、学校の経験も重要ではないか、障害のある子どもに接する経験を積ませることを条件としてはどうか、教育センター等の特別支援教育部門の充実ですとか、更新講習や経年講習での位置付けでの検討、特別支援学校での長期研修や人事交流、についての御意見がございました。12ページに参りますと、インクルーシブ教育システムに関する研修会が必要ではないか、養成段階での改善策、それから研修の制度化、高校における特別支援教育の専門性を持った教員・専門職員の配置、教員の採用条件の検討、専門的知識と経験を積んだ補助者のサポート、免許取得の推進に関する改善、人事異動への配慮、給与水準の維持・改善、高校で形骸化するのではないかといった懸念、OJTや現職研修の優先実施が急務ではないか、教員養成の制度改革、について、それぞれ御意見をいただきました。
 13ページの(2)特別支援学校の専門性ですが、専修免許状等の専門性の確保、免許状を持たずに勤務している状況を改善すべき、免許保有教員の確保のための計画ですとか、国が保有率引き上げの数値目標を決めるべき、視覚障害、聴覚障害の担当教員の確保、認定講習の受験機会の拡大、通信制の大学の活用の促進、教員のコミュニケーション能力の向上、障害種別の専門性、教科等の専門性などを考慮した養成カリキュラムを検討すべき、国・地区別、ブロック別の講習会の実施の検討ですとか、あとは認定講習充実のために財政措置が必要ではないか、それから「当分の間、特別支援学校教諭免許状はなくてもよい」という時限を撤回すべきではないか、といった御意見をいただきました。
 続きまして、14ページになりますが、(3)の小・中学校の特別支援教育担当教員等の専門性ですが、担当教員については、独自の免許制度の創設も検討すべきではないか、免許状保有者を優先して、採用すべきではないか、特別支援学校教員との人事交流、計画的な研修、免許状保有率を高める施策を先行して、実施させるべき、大学医学部、大学院等での課程・コースの充実、担当同士の交流・研修の場が必要ではないか、免許状取得の支援の制度構築、初めて特別支援学級を担当する者に向けた研修の充実方策、といったことについての御意見をいただきました。15ページに参りますと、専門性の学校現場での日頃の教育活動や研修による向上、特別支援学級や学校の定数改善、免許状取得は、その長期的な議論が必要だ、その一方で、その免許制度の創設ですとか、専任教員の採用枠の新設を考えてはどうか、といった御意見もございました。それから、言語障害の通級指導教室の担当者として、言語聴覚士を配置してはどうか、その配置と同時に、研修を義務付けるといったような制度を検討してはどうか、というような御意見をいただいております。
 (4)の特別支援教育コーディネーターの専門性、16ページになりますけれども、こちらでは、大学におけるアセスメント研修等ですとか、社会福祉施設などでのマネジメント研修を継続的に行うことが必要、といった御意見ですとか、コーディネーターの複数配置が必要、研修を計画的に推進すべき、各中学校区に特別支援コーディネーターを、小学校・中学校兼務で配置してはどうか、特別支援教育コーディネーターを活用して、そのインクルーシブ教育体制を構築してはどうか、といった御意見をいただいております。
 (5)の特別支援教育支援員のところですが、交付税の積算単価の引き上げですとか、免許状を、その支援員の採用条件とした場合の懸念、についての御意見がございました。それから、一方で支援員の採用条件の見直しと、採用の研修の充実が最低限必要、といった御意見をいただいております。
 (6)の教職員への障害のある者の採用・人事配置、17ページになりますけれども、こちらにつきましては、障害者雇用の推進や、その在籍する子どものアイデンティティーを育てるという意味で重要である、当事者の視点から「合理的配慮」や「基礎的環境整備」について、具体的な提案ができるということが期待される、といった御意見がございました。
 (7)の学校外の専門家との連携ですが、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師など専門的な人材の配置・活用が必要、国立特別支援教育総合研究所等の研究機関、外部専門家の活用、首長部局と教育部局の連携による広域連携、情報交換、合同研修、人事交流が必要、特別支援教育総合研究所の専門研修制度の充実、等の御意見をいただいております。それから、学校全体としての専門性の確保、18ページからですけれども、こちらの方では、指導の継続性や学校・教職員の状況を勘案した人事異動のお話ですとか、管理職の研修を充実・強化すべきではないかですとか、教職員と専門スタッフが連携すべきではないか、認定講習を義務化すべき、管理職のリーダーシップによる校内の特別支援教育推進体制を整備、校内委員会の活用、スペシャリストの活用、校長研修の充実を最優先に実施とすべきではないかといったような御意見をいただきました。19ページに参りますと、高校における特別支援学校等との連携の推進、互いに学び合う、協力し合う体制づくり、連携しやすい体制づくり、様々な専門を有する者による運営ができる体制の検討、それから、個人情報の共有と管理の徹底、教職員配置のあり方について、の御意見があったところです。
 19ページの中ほど、やや下からは、ヒアリングで各団体から御発表、御意見いただいたものを文部科学省で整理したものですので、参考としていただければと思います。
 以上で簡単ではございますが、説明を終わります。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。ヒアリングをしていただいて、各団体からの御意見をかいつまんで御説明いただきました。
 ヒアリング結果の概要については、今お話があったように、事務局でまとめをしていただいております。
 事実確認等で何か御質問がございますか。
 これについては、またこれからの協議に生かしてまいりたいと思います。ありがとうございました。
 続きまして、報告書骨子について、御議論をいただきたいと思います。
 まず私から、全体についての説明をいたします。資料2を御覧いただきながら、お話を聞いていただければと思います。
 まず協議に関しては、前半部分のはじめにと、それから「インクルーシブ教育システム」の構築に向けた特別支援教育の方向性、それから就学相談・就学先決定、障害のある子どもが十分に教育を受けるための環境整備について、まずは自由討議に移る。
 あとは、後半ということにしたいと思います。
 資料2を御覧ください。まず、本委員会の報告の骨子案を説明をいたします。
 一昨年、平成22年12月に本委員会として取りまとめた論点整理をベースに昨年本委員会で御審議をいただいた検討項目に対する御意見と、それから尾崎委員を主査としてワーキンググループでまとめていただいた報告を入れるような形で作成をしてみました。したがいまして、資料3の論点整理も合わせて、少し後で御覧いただくようにしていただければと思います。
 全部で6ページ程度になっておりますが、論点整理との大きな違いにつきましては3ポツ、3ページ目ですけれども、インクルーシブ教育システム構築のための人的・物的な環境整備について」としていた項目を、障害のある子どもが十分に教育を受けられるようにするための合理的配慮及びその基礎となる環境整備として、ワーキンググループの報告をベースにするところと、4ポツ、5ページからになりますが、多様な学び場の整備と学校間連携等の推進として、多様な学び場、学校間連携、交流及び共同学習、特別支援学校のセンター的機能について、記述するところを二つに分けてみました。
 具体的な記述については、後ほど説明をいたします。
 まず、1ページを御覧いただければと思います。
 はじめについては、本特別委員会の設置の経緯、検討事項、検討の経緯について記述するということとしております。
 次に1ポツ、共生社会の形成に向けてですが、論点整理のときには、インクルーシブ教育システム構築に向けての特別支援教育の方向性についてとしておりました。既に障害者基本法も改正され、一歩進んだ形ともいえるかと思いますので、改めて、共生社会の形成に向けてといたしました。この1のところは、主に総論として、理念を中心に記述することとしてはどうかと考えております。特に共生社会の形成については、これからの日本の将来を考える上で避けては通れない問題として考えております。
 平成17年頃、内閣府に共生社会形成のための政策研究会という会議が設置されました。そこでは、共生社会の形成として、個人の自立を前提に自立した上で、社会に属していることに愛着を持てることでもあるとしております。続けて、これは共同体に対する愛着を所与のものとして共同体の中で受動的に役割を果たしていくといった従来型の意識とは異なる新たな視点であるとしております。
 そして、次の五つの横断的視点を提案しているところです。
 横断的視点の1は、各人がしっかりとした自分を持ちながら、帰属意識を持ち得る社会。
 視点2、各人が異質で多様な他者を互いに理解し、認め合い、受け入れる社会。
 視点3、年齢・障害の有無、性別などの属性だけで排除や別扱いされない社会。
 視点4、支え・支えられながら、すべての人が様々な形で参加・貢献する社会。
 視点5、多様なつながりと様々な接触機会が豊富に見られる社会。
 こういった共生社会形成を目指す中でインクルーシブ教育システムの構築に向けて、特別支援教育を進めていくということが今回の報告書の取りまとめに当たって、私が思ったことであります。今のところは私の勝手なことを言っているわけですが、こういったことはもう既に論議をされているので、このあたりを少し検討したらどうかという意味です。
 次に四角囲いの部分ですが、一つ目の○については、障害者の権利に関する条約におけるインクルーシブ教育システムの理念が重要であり、その構築に向けて着実に進んでいく必要があるとしております。前回は、理念とそれに向かっていく方向性は賛成としておりましたが、ここについても障害者基本法の改正を受けて、記述を変更しております。
 次に二つ目の○については、論点整理の時点から特段変更しておりません。
 三つ目の○については、冒頭、障害のある子どもと障害のない子どもが共に学ぶことは、共生社会の形成に向けて望ましいとしており、ここは論点整理と比較すると、望ましいと考えられるとしていたものを望ましいと言い切っております。
 次に四つ目の○については、論点整理から特段変更しておりません。
 一つ目の柱立ては、(1)「インクルーシブ教育システム」の構築に向けて。(2)「共に学ぶ」ことについて。(3)インクルーシブ教育システムと地域性の三つとしております。
 これは、論点整理から特段変更しておりません。それぞれの小項目については、論点整理の記述をまとめたものとお考えいただければと思います。
 次に2ポツ、2ページ目の就学相談・就学先決定の在り方についてですが、まず四角囲いの部分についてです。
 一つ目の○の最後のところに、平成24年度から開始します特別支援教育総合推進事業で行われる早期相談・支援のモデル事業について、言及をしております。
 次に二つ目の○については、表現ぶりは、論点整理から特段変更しておりませんが、最後に記述していた本人・保護者と教育委員会、学校等の意見が一致しない場合の仕組みについては、三つ目の○に入れたので、記述を削除しました。その三つ目の○の中には、調整の仕組みとして、各教育委員会において、第三者的な立場で関われるような相談できる体制、例えば論点整理に出ていた教育支援委員会といったものになるでしょうか、そういったものを設置する。また不服審査制度による調整も考えられるとしております。
 四つ目、五つ目の○については、表現ぶりは論点整理から特段変更しておりません。
 ここでの柱立ては、(1)早期からの教育相談・支援。(2)就学先決定の仕組み。(3)一貫した支援の仕組み。(4)就学相談、就学先決定に係る国・都道府県教育委員会の役割、としています。
 これは、論点整理から特段変更しておりません。それぞれの小項目については、論点整理の記述をまとめていくものとお考えいただければと思います。
 また、論点整理の取りまとめの後に、引き続き御議論をいただいたことをもとに、記述を充実させていきたいと考えております。
 また、(3)一貫した支援の仕組みは、特に○3として、保護者にも何か触れられるところがないだろうかと考えております。
 次にワーキンググループからの報告を受けました、3ポツ、障害のある子どもが十分に教育を受けられるための合理的配慮及び基礎となる環境整備です。四角囲いの部分ですが、基本的にはワーキンググループの報告の記述を整理しております。
 柱立ては、(1)「合理的配慮」について。(2)「基礎的環境整備」について。(3)学校における「合理的配慮」の観点、としております。
 まず(1)「合理的配慮」についてですが、ワーキンググループでは、○1、「合理的配慮」の定義等、○2「合理的配慮」の決定方法等をそれぞれ章立てとしていましたが、それに合理的配慮のモデル的事例の開発・普及をしていく方向性もあわせて、ひとまとまりとして、(1)「合理的配慮」についてとしてはどうだろうかと考えております。
 (2)「基礎的環境整備」についてですが、ワーキンググループが掲げた8項目を挙げております。
 (3)学校における「合理的配慮」の観点についてです。ワーキンググループが掲げた11項目が挙げてあります。
 次に論点整理の中でもキーワードとなるかと思いますが、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった多様な学び場、それから学校間連携、いわゆるスクールクラスター、それからさらに教育にとどまらず、関係機関との連携、交流及び共同学習、特別支援学校のセンター的機能をひとくくりとして、4ポツ、多様な学び場の整備と学校間連携等の推進としております。5ページです。
 四角囲いでは、一つ目の○が、多様な学びの場の整備と学校間連携により特別支援教育を推進していくことが重要。また、医療、福祉、労働等の関係機関との連携をしていくことも重要としております。
 二つ目の○として、特別支援学校と幼稚園、小学校、中学校、高等学校等との間で行われる交流及び共同学習を一層推進する。また、居住する地域における交流及び共同学習については、副次的な学籍を持たせるなど一層の工夫が必要というような記述になろうかと思います。
 三つ目の○として、特別支援学校のセンター的機能を一層活用するため、各都道府県において、センター的機能の効果的な体制づくりを進めることが必要としております。
 6ページです。まず多様な学び場の整備と学校間連携による特別支援教育の推進については、6点を挙げました。
 ○1、多様な学びの場における体制整備として、十分な教育を受けられるよう、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった学び場のそれぞれの体制整備について、記述しようというものです。
 ○2、学校間連携による地域の教育資源の活用として、論点整理にも書きましたが、地域内の教育資源、それぞれの単体だけではなくて、そこに住んでいる子ども一人一人の教育的ニーズに応えることは難しく、それを域内の教育資源の組み合わせによって応えていこうということを考えるものです。具体的には通級による指導、交流及び共同学習、センター的機能といったものになるでしょうか。
 ○3、通級による指導の一層の充実。それから、○4、特別支援教室構想について。こうしたところについては、各委員からの御意見を頂戴しながら、さらに膨らませていけるのかと思います。
 ○5の幼稚園、高等学校段階の特別支援教育等の充実についてですが、これについては、特にこれまで特別支援教育体制整備が小中学校と比べて遅れている、あるいはそういったような観点から、幼稚園、高等学校、それから私立の学校について、その特別支援教育の充実について、記述をしていったらどうかと考えるところです。
 ○6、関係機関等との連携ですが、福祉・医療・労働など、関係機関と連携が進んでいるわけですが、教育委員会、首長部局等との適切な連携について、さらにここは記述を深めていけるのではないかと考えているところです。
 (2)の交流及び共同学習の推進、(3)の特別支援学校のセンター的機能の一層の活用については、論点整理を取りまとめた後に引き続いて御議論をいただいたことをもとに、記述を充実させていかなければいけないところと考えております。
 次に5ポツ、信頼ある特別支援教育を担保するための教職員の確保及び専門性の向上、これについては、本委員会で何度も御議論をいただきました。そして多くの御意見を頂戴しました。これにつきましては、少し方向性も含めて、今、教員の資質能力向上特別部会等で行われている議論等も踏まえて、少し整理をしていければと考えているところです。
 四角囲いですが、まず一つ目の○で、すべての教員が特別支援教育の一定の知識・技能、特に発達障害についての一定の知識・技能を身につけるべきとして、養成段階で身につけることが適当であるが、現職教員については、研修の受講により専門性の向上を図るとしております。
 二つ目の○は、すべての教員が、すべての専門性を身につけることは困難な状況ですので、必要に応じて外部人材の活用も行い、学校全体として専門性を確保していくことが必要であるとしています。そうした中で、学校全体として、専門性を確保していくことになるわけですから、学校のトップである校長等の管理職のリーダーシップは当然欠かせないわけです。また、各学校を支援する、教育委員会の指導主事等担当者の役割も大きい。このことから、校長等の管理職、それから教育委員会の担当者を対象とした研修について最優先に実施していく必要があるのではないかということも入れてみました。
 また三つ目の○ですが、特別支援学校の教員については、やはり免許状の取得率100%を目指すべきであろうとしています。特別支援学級の教員や通級による指導の担当教員についても、特別支援学校教員免許状の取得が望ましいわけですが、目の前の子どもがいるのに、単位取得のために免許状をすぐに取れるといった状況にはないわけなので、新任担当者研修といった形で最低限の専門性を担保した上で、引き続き研修に努めて、専門性を向上させていくというようなことではどうかと考えてみました。
 四つ目の○ですが、障害のある者の教職員への登用については、共生社会形成に向けての意義について、記述ができればということにしております。
 柱としては、(1)教職員の専門性の確保として、○1、すべての教員が身に付けるべき基礎的な知識・技能、○2、外部人材の活用も含めた学校としての専門性の確保。
 (2)教職員の養成・研修制度の在り方として、○1、校長等の管理職、教育委員会担当者を対象とした研修、○2、すべての教員についての養成・研修、○3、特別支援学校教諭についての養成・研修、○4、小・中学校における特別支援学級や通級による指導の担当教員の養成・研修、○5、特別支援教育コーディネーターの研修、○6、特別支援教育支援員の研修。
 (3)教職員への障害のある者の採用・人事配置としております。
 以上、石川委員長代理にも御相談をして、すべての意見で一致できたということではありませんが、まずは皆様方に御議論をいただく材料として、とにかく柱立てだけ委員長試案として報告骨子を作ってみました。追加、加除修正、それからここはまだ足りないといったものも多々あろうかと思いますが、是非自由に討議をしていただければと思っております。
 それでは、これから約1時間程度、もうどなたからでも、どんなところからでも御意見をいただければと思いますが、まずは前半部分までと先ほど申し上げましたので、5ページの4ポツの前までを前半部分として、討議していただければと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。大南委員、お願いいたします。

【大南委員】 全国特別支援教育推進連盟の大南です。宮﨑委員長、本当に御苦労様でした。基本的には、私はこの骨子に沿ってまとめていかれることに賛成です。
 まず2点申し上げますが、第1点目は、就学相談・就学先決定の在り方についてで、二つ目、四角枠の二つ目の白○の中ほどですが、その際、本人・保護者に対し、十分情報提供をしつつ云々と、こうなるわけですけれども、実は十分な情報を持っている保護者の方というのは、比較的御自身のお子さんのことをよく理解されている。しかし、情報を拒否する、情報提供を拒否されている方の就学相談というのが実は一番問題だろうと思います。今、どうしても小学校、中学校の通常の学級へという方の多くは、特別支援学校も特別支援学級も御覧になっていない方がかなり多い。ですから、ここのところをどのように表現をしたらいいのか、ただ、情報提供を拒んでいる人たちにどういう対応をしていくか、ここが就学相談の私はやはり一番大変なところではないかと思います。そこのところがまず第1点。
 それから、第2点は、早期からの教育相談・支援の重要性、これにつきましては、前回の学習指導要領の改訂、これは旧盲学校・ろう学校・養護学校の学習指導要領の改訂の際にも、早期からの教育相談というのは挙げられていたわけですけれども、なかなかうまくいかない。例えば公立の幼稚園はまだしも、私立の幼稚園であるとか保育所との関係、あるいは療育センターという、そういうところの関係をどのようにしていくかという、ここが課題になると思うのと同時に、視覚障害、聴覚障害については、早期からの教育相談、あるいは教育的対応というのは、古くから行われてきているわけですが、特に発達障害、知的障害、あるいは自閉症といわれる人たちの早期の教育への専門家の支援がまだ薄いような気がします。ですからこの辺の書きわけというか、既にかなりの部分進んでいるところと、まだこれから開発をしていかなければならない、支援を厚くしていかなければならない障害についての書きわけを、是非皆さんで検討していただければと思いました。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。とても大事な視点、お話をいただきました。情報提供を、事実上拒否をするというか、いろんな相談ごとにも応じないという方々にどんな対応をしていくかということについては、知恵を出し合っていかなければいけないと思います。
 それから、今日の資料5の中に載せてある審議経過報告、これは平成22年3月24日に協力者会議がまとめたものですが、ここでも早期からの教育支援・就学相談・指導という点は、かなりの分量を割いて書いてある部分です。これも見ながら、ずっと私も考えていたのですが、確かにこれまで随分議論していたわりには進んでいないのではないかという御指摘のとおりだと思います。
 これを具体的に進める方向性といいますか、何かツールがあるかどうかとか、そういったことも含めて、この面では検討をしていかなければいけないことだと思います。ありがとうございました。
 それでは、佐竹委員、お願いいたします。それから引き続いて品川委員。それから尾崎委員、まずそこまででお願いいたします。

【佐竹委員】 全肢P連事務局の佐竹です。合理的配慮について気がついたことを申し上げてよろしいでしょうか。合理的配慮、ここに書いてありますように、個々の子どもに沿って考慮し、実施されるということが書かれております。それがもちろん適当であり、そのとおりだと思いますが、合理的配慮の理解は、様々なことが言われているようで、子どもにとって必要な支援というものの視点で考えていただけるような言葉の整理があったらよろしいのではないかと考えております。
 それから就学においてですが、就学先決定の在り方について、まず、自治体においては、就学相談をなくしてしまうようなところが現在でもございますが、決して親の意に沿った就学相談を望んでいるのではございませんので、あくまでも就学相談を十分に重ねた上での合意形成を図りたいと親も思っております。
 合意形成がなされない場合において、個々に書いてございますように、就学後の見守り、また多様な学びの場へつながるというところの親への支援、子どもへの支援ということを強調していただけるとよろしいのではないかと思います。
 就学時期が7歳、8歳ですので、親御さんは子どもに障害が、例えば肢体不自由のように目に見えた形であればよろしいのですが、発達障害のように、1歳、2歳、3歳ぐらいで、何かうちの子には問題があるのではないかという場合には、なかなかお母さんの受容の方ができません。また事故によって起きた場合、お子さんに障害が起きた場合は、特にお父さん、お母さん、御家族の方の傷が大きく、なかなか受容ができないという現実があります。そこへ追い打ちのように就学相談、就学時期が来てしまいますので、そういった教育面だけではなくて、医療と福祉と連携を持った相談体制というものが必要なのではないかと私は考えております。仮に沿った判定と違う判断の就学先であっても、その後を見守るということは大事なことではないかと思っております。
 それから、これも合理的配慮なのかもしれませんが、通常の学校において、健全な学校運営、学級運営がなされていないところに、障害のある子どもを受け入れるということはなかなか難しいと考えています。これは私も子どもが3人いて、通常の公立の学校に行く子どもと、当時養護学校ですが、養護学校に行った子どもとがいるわけです。両方の親を経験しますと、特に感じることです。不登校の子どもがいる、暴れる子どもがいる、立ち歩く子どもがいる、そういう中に、なかなかハンディキャップを持った子どもたちが学ぶという環境が整いません。これも合理的配慮の一つではないかと思います。そう表現していいかどうか分からないのですが、教えていただけたらと思います。
 それから、前半ということなので、5までであれば、合理的配慮まででしょうか。

【宮﨑委員長】 はい。

【佐竹委員】 分かりました。後半でよろしくお願いいたします。

【宮﨑委員長】 ありがとうございます。それでは、品川委員。

【品川委員】 教育ジャーナリストの品川裕香です。よろしくお願いします。委員長、委員長代理、それから事務局の方には、膨大な情報を大変分かりやすくまとめていただきまして、お礼を申し上げます。ありがとうございました。
 まず委員長が冒頭に「共生社会の形成」と書いていただいたことに私は大変共感いたしました。教育の目標が共生社会を形成していくということだと打ち出すことは非常に大事であると考えます。共生社会の形成のためには、異質な文化の理解が必須であり、それはもちろん国際化の第一歩でもあり、そこに寄与することが特別支援教育であり、インクルーシブ教育だということが文書全体を通して明文化された点がとても良いと思いました。
 それ故になのですが、この四角の二つ目の○に、子どもの一人一人の学習権を保障すると書いていただいておりますが、ここに学校教育が提供するのは学習だけではないので、健全な成長発達権の保障とも入れていただきたいと思います。
 と言いますのは、障害があろうがなかろうが関係なく、いじめや不登校、あるいは反社会的行動を取る子どもに対して適切な指導が行われなければ、社会適応していく上でリスク要因が上がるからです。取材をしておりますと、現状、この点についてはニーズベースな、適切な指導は不十分のように感じております。
 それから、三つ目の○の冒頭に共生社会とあり、障害のない人が障害のある人を分かるという共生社会という印象を受けたのですが、教育権や成長権を保障するということは生得的な課題や環境的な課題を持っている人たちが将来社会不適応を起こさないよう動的なリスク要因を下げ、保護要因を強化することでもあります。言ってみれば教育はセーフティーネットだということを学校関係者、それから教育行政に関わる人たちはもう少し強く意識する必要があると取材をするたびに痛感します。特別支援教育やインクルーシブ教育は、変容する社会におけるセーフティーネットでもあるということも是非明記していただければ幸いです。
 また、二つ目の就学相談と就学先決定のところですが、私は当初より第三者的な機関の設置の必要性を申し上げてきましたので、このような形で明記していただき本当に御礼申し上げます。その上で記録のためにもあえて確認させていただきたいのですが、教育委員会の中に、第三者的な立場に関わる組織というのがよくイメージできませんのでお尋ね申し上げます。教育委員会に属していますとなかなか第三者にはなれないのではないかと考えますがいかがでしょうか。これは何回も申し上げているのですが、教育を提供する側と本人や保護者との間で対立が起こったときに中立的に監査や監督する人は必要で、そこは就学相談とか就学先決定をする人とは分けておく必要があるのではないかと考えます。
 保護者と子どもと学校が関わる課題というのは、就学相談や就学先決定だけではなく、後半にもございますが、合理的配慮の問題もあれば、個別の指導計画(IEP)を作ったとしても、IEPどおりに行われていないとか効果測定がなされない。あるいは子どもの成長発達に応じて、IEPが書きかえられない。そういった教育内容に関することを本人や保護者が修正したいこともあるでしょう。そういった観点からも、ここは二つ分けた組織にする必要があるのではないかということを考えます。
 当然、各自治体は、財政のことを指摘してくると思われますが、教育は先行投資ですし、ここでお金をかけないと、後の社会保障費が上がることは目に見えているわけです。個々のニーズに応じた指導を早期から適切に行うことが子ども本人のためというのは言うまでもなく、予算全体で見たときにも将来かかるかもしれないお金を押さえることにつながります。そういった発想も必要なのではないかと思っています。
 突飛かもしれませんが、その監査、監督機関は、できれば国税庁の査察官のように、文科省の出先機関における監督官、いつも申し上げますが、イギリスのオフステッド(教育基準局)のような組織にできれば、子ども若者の教育権も成長発達権も保障されるのではないかとは考えます。
 教育相談やIEPなどの相談にのる専門機関は、6ページの(3)に、特別支援教育のセンター機能を充実させるという記述がございますので、ここは就学相談などを専門家が入って実施し、問題があれば違う第三者機関が判断するというような二本立てにしていただくと良いではないかと思いました。
 それから合理的配慮ですが、これも毎回申し上げて恐縮ですけれども、1の○2の「合理的配慮」の決定方法に、評価とか検証とかという文言を是非入れていただきたいと思います。というのは、取材していますと、決定するだけで、評価や検証がされていないのが現状です。そこまで踏み込まないから子どもの教育権や成長発達権の実質的な保障につながらないのではないかと考えます。そこも是非検討していただければと思いました。以上です。ありがとうございました。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 今日はとりあえず皆さんからいろいろな御意見をいただいて、それをどんなふうにまとめるかという、そんな形をとりたいと思いますので、自由におっしゃっていただくということでよろしいでしょうか。
 尾崎委員、それから齋藤委員、あとこちらですね、先ほど挙がったのは、中村委員からでしょうか。あとは山岡委員、そして大江委員、お願いいたします。すみません、次はその次ということでお願いいたします。

【尾崎委員】 全国特別支援学校長会の尾崎です。幾つか、それぞれの項目について、一つずつ意見を述べさせていただきます。
 まず、1の共生社会の形成に向けてですが、そこで(3)にインクルーシブ教育システムと地域性ということで、そういう項目を起こしていただいています。これは今までの流れからもそうしているのですが、そこで特に学校を拠点とした地域づくりによるインクルーシブな社会の実現において、地域社会における特別支援学校の役割というのは、明確に示されるだろうと思いますし、我々も今後特別支援学校が地域社会にとってどのような役割を果たしていくのか、そのあたりはしっかりと考えて、学校づくりをしていかなければいけないと思います。そのことによって共生社会の実現に特別支援学校も寄与すると考えたいと思っております。それが1点目です。
 それから2点目ですが、2の就学相談・就学先決定の在り方についての中の、(3)の一貫した支援の仕組みの○3で、今回保護者支援ということを項目で取り上げていただきました。就学相談のときだけではなくて、就学後、個別の教育支援計画に基づいて支援を実施していく場合に、保護者支援を行うことによって、多くの子どもに対する支援がスムーズに行くということが往々にしてあります。ですから、就学後もこのような仕組みを維持して、支援することが必要な親がいることは事実です。それに対しての支援を学校だけですべてやるわけにもいきませんが、学校はつなぐことはできます。そういう視点を是非持っていただきたいと思います。それが2点目です。
 それから3点目ですが、合理的配慮の項ですけれども、○3として、合理的配慮についてのモデル的事例の開発・普及ということを今回やっていただけるということでした。ワーキンググループでは、定義の方法、配慮の観点、共通事項について議論を進め、前回報告したところですが、モデル的な事例までは、そこまでいかなかったということで、是非それはやっていただければと思うのですが、その際、合理的配慮の観点を立てる際に一番重視したのは、子どものためにどのような合理的配慮をするのかということを押さえた上で、合理的配慮の具体的な中身を検討するということです。
 合理的配慮の目的が、ここで整理されていること以外になってしまうと、整合性がとれなくなりますので、ワーキンググループでまとめた観点を、より一層理解が進むような形で、是非事例の開発や研究の方向性を示していただければとお願いをするところです。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。それでは齋藤委員お願いします。

【齋藤委員】 ありがとうございます。全国心臓病の子どもを守る会の齋藤です。前足立区の教育長の立場からお話しさせていただきます。
 先ほど、大南委員から提案がありました、情報提供を拒む、そういう保護者に対してということですが、私どもの地域ですと、年間、初就だけで142回の就学相談がございます。人数は初就だけでも66人、中進等も合わせますと181人のお子さんの371回の就学相談があります。このような回数の就学相談を抱えておりますと、教育相談だけでも50名以上のスタッフがおりますけれども、それでも非常に困難を極めているのが現状です。
 情報提供を拒む親は知的レベルが高い部分もありますけれども、生活保護が非常に多い地域でもございますし、学校によっては3分の1の小学校1年生の家庭が1人親、あるいは父子家庭、そんな現状も幾つかの学校であります。
 そういたしますと、子どもに本当に無関心なネグレクトの親もいますので、情報提供はしっかりやるべきだということと一緒に、幼児教育のほとんどのお子さんはどこかの組織に入っておりますので、就学前の状況をどのように学校の判断につなげていくかというところが一番重要だろうと私どもは思っています。
 親御さんが自分で考えて、そして意見をわっと言ってくるのは、それはそれで一定レベル以上の方が多いので、対応策はあるだろうと思います。でもそうではないお子さんの親御さんに対応するには、やはり5歳児に焦点を当てていく必要があると思います。私どもは保育園ですと、今気づきのシートというものを配っております。それで、気づいたところを親御さんに書いていただくのですが、これを要録みたいな形でしっかりと位置付けをして、学校に持っていきたいのですが、プライバシーとの関係で非常に難しい部分があります。子どものためという切り口で、何とかここ踏み込めないかと思います。
 幼稚園の方は、チューリップシートというものを書いてもらっていますが、保護者経由でしか今は学校にはいきません。やはりここのところを要録のような切り口にしていくことによって、全然違う情報が得られ、もっと手厚い支援ができるという気がいたします。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。少し方法論のようなところが出てまいりました。
 それでは、中村委員お願いいたします。

【中村委員】 NPO法人若駒ライフサポートから参りました、中村です。
 実は申し上げようと思ったことを尾崎委員と齋藤委員がおっしゃってくださったので、それの補足の形になってしまうのですが、私も就学検討の部分の保護者支援のところで一つ提言させていただければと思いました。先ほど、大南委員から、情報を拒否するような保護者というお話がありましたが、今、齋藤委員がおっしゃったようなネグレクト系も含めて、今実は一番大変なのは、保護者が情報の整理ができていないという部分だと思います。ある程度母子関係を持ちながら、育てていて、お子さんも状態が違うということも分かっていて、でも日々の生活に追われてしまって、一点一点の困っていることは分かるのだけれども、全体として情報が整理できていないという保護者が自分の子どもが小さかったときに比べても増えているような気がします。
 そうなってくると、情報の提供の中に、ある程度整理をしてあげる、かみ砕いて差し上げるというような部分がないと、やはり厳しいように思います。
 そうなりますと、今、齋藤委員がおっしゃってくださったように、就学相談より前段階の、いわゆる子育て支援のような部分の中で、どのようにその部分を押さえていくかということがやはり重要だと思います。
 整理をして差し上げると、ある程度方向性が見えてくるという保護者の方は、私の周りでもとても多いように思います。ただ、そのときに気をつけないと誘導ととられてしまうような方向性になりかねないという部分は確かにありますので、いかにそこに気をつけつつ、整理した情報を提供できるかということも、とても大きなポイントではないかと思っています。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。それでは山岡委員、お願いします。

【山岡委員】 日本発達障害ネットワークから参りました、山岡です。
 1点だけ、就学相談・就学先決定のあり方についてのところで意見を申し上げます。先ほど、委員長からもお話しがありましたけれども、これは平成22年3月に出ました協力者会議の審議経過報告でも、いろいろ議論したところでして、私はその協力者会議にも参加していましたので、お話をします。協力者会議の議論の中で、就学指導につきましては、そこで一発で決まってしまうことに対して、それで良いのかということが議論されました。また、そのときも、認定就学の問題なども議論されまして、最終的には、市町村の教育委員会が決定する、要するに設置者側が決定するということを、報告書に織り込みました。その前提としては、先ほど話題になっていましたが、一つは早期からの教育相談です。要するに、就学相談のときに、急に就学先を考えるのではなくて、早期から個別の教育支援計画等を作って、合意形成をしていって、そして就学時期を迎えることが一つです。ですからこの早期からの教育相談を、外してほしくないと言いますか、きちんとうたっていただきたいと思います。
 さらにもう一つは、最終的に市町村教育委員会が決定するということについて、ここでうたわれていますが、意見が一致しないときの制度を作るべきだということです。先ほど品川委員もおっしゃっていましたけれども、ここでは教育委員会はとうたっていますが、教育委員会の外にそういったような紛争を解決するようなところ、不服審査をするところを作るか、あるいは、私はほかの業界で関わっているのですが、ADRといって、裁判外の紛争解決機関のようなものを設置して、そこで解決していくようなことがいいのではないかと思っています。
 さらに、先ほど述べました協力者会議の報告書にも織り込まれましたし、今回の案でもうたっていただいていますけれども、就学先決定後も継続的な教育相談が行われて、例えば就学後であっても就学先を柔軟に変えることが可能ということが確保されることが大事だと思っています。
 先ほどおっしゃっていた、本人・保護者に十分な情報を提供しつつ、本人・保護者の意見を最大限尊重しというところの書きぶりは、正に昨年の障害者基本法の16条の2のところで、障害者である児童及び生徒並びにその保護者に対し、十分な情報提供を行うとともに、可能な限りその意向を尊重しなければならないと、ありますが、この部分を多分引いてらっしゃると思います。可能な限り尊重というところの意味からすると、最終的に就学先の決定は、市町村教育委員会にあるという案であることから、こういうふうに、一歩踏み込んで書いておられると思いますけれども、この情報提供は、障害者基本法で規定されていることですので、一定以上の情報提供をやはりきちんと行うことが必要と考えております。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。では大江委員、お願いいたします。

【大江委員】 ありがとうございます。報告書の柱につきましては、特に異存はございません。今後、また具体的なことを検討していくと思います。
 私は特に、このインクルーシブ教育システムの根本的な部分ですが、国の覚悟をもう少し明確に示す必要があるのではないかと思っております。
 全日本中学校長会で、昨年11月に全国調査をしました。先日、それを公表したのですが、その中で特別支援教育について、15項目調査をしました。1項目紹介しますと、こういう質問がありました。発達障害のある生徒に対して、通常の学級では、どのような教育的支援を行っているかという項目がありまして、65%が学級担任の個別的配慮という回答をしていました。特別支援教育として、全国展開が始まりまして、もう5年たっています。この段階で6割以上の学校において、まだ担任の属人的対応に委ねられているという状況は、非常に課題があるのではないかと思っております。
 特別支援教育が始まりまして、定着したのは個別指導計画の作成ということで、これだけは広まったかと思っていますけれども、やはり設置者の財政力による取り組みの格差が相当出ているのではないかと思います。この件については、品川委員の言葉と非常に共感します。国が提唱したにもかかわらず、その後の財政支援が不十分ではないか、そんなふうに疑問を思うところであります。
 例えば研修と連携とか、資質向上、リーダーシップ、教員の研修、否定はいたしません。否定はしませんが、属人的な発想は否定しませんが、それだけの特別支援教育というのは適正に実施できないのではないか、そんな懸念を持つところであります。
 30年さかのぼって恐縮ですが、校内暴力や学校の器物破損等が起こった時期がありました。その際には国は、人的・物的に相当程度の財政支出をしたわけであります。国が腹を決めて、学校や生徒・保護者を支援していった。そんな現状があります。それで収まったのです。
 日本的インクルーシブ教育システムの構築は、やはり国の覚悟をきちんとしてもらわないとまずいのではないか。ただこれは、文部科学省というよりも、関係省庁も含めて、みんなでやると決めていかないと、それほど重要な問題ではないかと思っています。
 基礎的環境整備とか、合理的配慮の実現は、設置者や学校にその多くを委ねるという考え方では、障害者の教育を受ける機会をますます低下させてしまうのではないか、そういった懸念も持つところではあります。障害のある生徒を受け入れるためには、やはり学校現場において、その環境が十分整備される、そのことを前提で議論していかないと、ただ学校に任せますよ、設置者に任せますよという意味では、非常に不安であります。是非、合理的配慮を、設置者及び学校というだけではなくて、義務教育諸学校にとっては、設置者というのは区市町村です。国が責任を持って推進するという明確な表記が今後必要なのではないかと、そんな感想を持ったところです。以上です。

【宮﨑委員長】 大変重い、厳しい御意見だと思いますが、これについては、改めて国というか、文部科学省、それから関係の省庁との協議なども必要になるのではないかと思います。ありがとうございました。
 あと、岡上委員、それから杉山委員、そして、露木委員と参ります。その次に、河本委員。

【岡上委員】 全国幼児教育研究協会の岡上です。先ほど来、情報提供を拒む保護者に対する知恵、あるいは早期教育からの教育相談、支援の重要性ということで、知恵がないかということで、お話がございました。そこで、私は幼児教育の専門ですので、その視点からお話ししたいと思います。
 幼児期からコミュニケーション系の障害がある場合には、幼児期から丁寧な対応をすることで、かなり改善されることが多いです。そこのところが大事なので、先ほど来、5歳児から大事だというようなお話もございました。でも私は、ここで全体で考えていらっしゃることが、就学時点を大事に考えて、その1年前とか2年前という発想ではないと思います。就学相談から考えるのでは遅いのではないかというのが私の正直な気持ちです。
 実際に私の体験から言いますと、私の勤務した幼稚園の場合4歳児からの入園でしたけれども、入園、就園を考えるときに、かなり保護者の方も障害を受容しにくい事態がございます。今、様々な区市町村で制度が改善されていって、障害の受容があれば、あるいは障害がありますよ、そういう方が入園しますよということであれば、介助の方、あるいは支援が付く、予算化されていることがかなりあります。そこの段階がありますので、私どもは受け入れるときに、障害受容に対する共通理解を保護者と一緒に持つようにいたしますが、なかなかぎりぎりまで受容しない事態がございます。
 しかし、もし受容して、こちらが適切に対応すれば、もしかしたら就園の時点では問題が感じられても、就学相談のときに、あるいは就学時健診のときに発見されないぐらい改善してしまう場合も結構あります。就学相談ではなくて、もっと早くから聞こえの問題だけでなく、こういう発達障害の場合にも、早期からの相談ということを大切にすることが大事です。幼稚園の教員の立場からしますと、あるいは保育士でも同じですけれども、やはりその障害に対する理解を深める、そういった教員の研修の体制も、あるいは配置も必要だと思います。特に小学校の学習形態と違って、幼稚園の場合には、割合と自由な形態での受け入れができる可能性もございますので、そういったときに、パニックを起こしたお子さんと、ほかの集団との遊びが確保できるような、そういう人員の配置があると、ものすごく改善したりします。私は幾つも自分の実践で感じておりますので、そういったことを含めて、知恵というのに当たるかどうか分かりませんけれども、改めて、就学相談、そこから考えるのではなく、もっと前から考える、その視点が、ここの起点が、少し変わった方がいいのではないかというのが大きな意見です。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。それでは杉山委員、お願いします。

【杉山委員】 3ページ目の一貫した支援の仕組みのところに関して、三つあるのですが、一つが、この一貫した支援というものが、ともすれば、どの年齢でも相談ができるというような印象で語られることが多いのですけれども、以前ここの委員会でもキャリア教育の講演をいただきましたが、多分、一貫した支援というのは、卒後にその教育の成果が確認をされるというところから振り返って、今何をするのかという、そこが多分合理的な配慮なのだと思います。その視点で合理的な配慮というのをとらえるのだということを、どこかに入れていただけないのかというのが1点目です。
 揚げ足をとるようですみませんが、小学校入学のときに、何も問題がないかに見えても、高校卒業のときになって、いろんな問題が出ることがよくありますので指摘しました。
 それから2点目が、4月から厚労省の音頭で、発達障害の支援センターができます。これは、私のとらえ方で考えますと、支援のコンビニです。つまり、今まで確定診断がなくても支援をしましょうということと、それから民間の力を借りようというアイデアで、ぼこぼこと小規模のコンビニ型の支援ができあがって、多分これが恐らくかなり大きな影響を与えてくると思います。
 それとのつながりというのが当然出てきますので、学校というのは、コンビニではなくて、官公庁ですので、そことの連携というのは一つ意識しておく必要があるのではないか。どこか意識した部分というのも触れておく必要があると思います。大きく変わると思います。
 それから、3番目が、先ほどから話題になっている、保護者支援で、我々専門家は、結構パンドラの箱だと思っていました。これを入れるということが特別支援教育どころではない、大きな教育の枠組みの変換につながる可能性があるという具合に考えていまして、ただ、この報告書で、宮﨑委員長が共生社会ということを言うからには、やはりこの部分というのはすごく大事なのではないかと思い直しました。
 保護者支援といっても、実は非常に支援が必要なグループというものが二つありまして、一つは先ほど齋藤委員が言われた、ネグレクト系というか、虐待系の親です。それからもう一つが、虐待系といったら言い過ぎですが、生活に非常に苦労していて、シングルマザー、シングルファーザーとか、非常に子どもどころじゃないアップアップの生活をしているところ。それからもう一つが、お父さん、お母さん自身が発達障害とは言わなくても、発達でこぼこ系の親です。これがまたすごく多くて、この両方ともクレーマーになっています。
 このネグレクト系に関しては、これは保護者支援といった場合には、ダイレクトにトワイライト・スクールだと思います。学校が子育てに参加するという形の解決方法になるので、そこまで言及するのかどうか。それから、発達でこぼこ系、あるいは発達障害系の親に関しては、教師との研修の共同だと思います。これは下手をすると、こういう形でインクルーシブ教育、合理的配慮ということで、教師側がその、今までと逆転するというか、発達障害に関して、非常に先行的な知識を持つようになって、逆に親との間にギャップができてしまう可能性があります。
 この場合ですと、一つの解決方法としたら、学校においてもペアレント・トレーニングのようなものを導入するということが一つの解決方法だと思いますけれども、これも一つ、どこまで踏み込んで書くのか。これは、ここの部分はすごいパンドラの箱なものですから、施策的にはさらっと触れるぐらいの方が安全ではないかと考えています。以上です。

【宮﨑委員長】 はい。露木委員、お願いします。

【露木委員】 全国連合小学校長会の露木です。委員長の方で、報告骨子の案をまとめていただきまして、どうもありがとうございます。
 今回、この4ページにありますけれども、合理的配慮の充実に関して、やはり過度の負担を課さないとか、財政面を勘案しというあたりをしっかり、当然といえば当然ですけれども、書き込んでいただいて、よかったと思っております。
 今、この特別支援教育に関わる部分でなくても、地方の財政力によって、教育の環境というものが非常に多様化し、格差という言葉を使うべきなのか、あるいは特色という言葉を使うべきなのか分かりませんけれども、その財政的な裏付けがなければ、良いことをたくさん言っても、なかなか実現しないということが実際の問題ではないかと思います。そういう意味で、合理的配慮ということがあるわけですけれども、その中で過度の負担を課さないようにということはもう書かざるを得ないことなのではないかと思っております。
 先ほど大江委員からもございましたけれども、報告書にまとめる裏には、その財政的な措置がなされるような、そういった面についても是非触れていただいて、具体的に議論されるような報告書になることが大切なのではないかと考えております。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。河本委員、お願いします。

【河本委員】 全国特別支援学級設置学校長協会の河本です。委員長の試案で、骨子の方ありがとうございました。大変分かりやすくまとめていただいたと思っております。
 感想も含めて、3点お話をさせていただきたいと思っています。
 1点目は1ページの共生社会の形成に向けてというところの四角の中の三つ目の○で、先ほどの説明の中にも宮﨑委員長の方の説明の中にもありましたけれども、障害のある子どもと障害のない子どもが共に学ぶことは、共生社会の形成に向けて望ましいと言い切っていただいたことに大変感謝しております。前回の出した論点整理の中では、正にその望ましいと考えるとなっていたのですが、考えで終わってはやっぱりいけない。望ましいと言い切っていただいたことによって、望ましい方向に我々は進んでいくのだということの意思表明ができるという感じがしております。
 2点目は、1ページめくっていただいて、2ページ目のところの(3)インクルーシブ教育システムと地域性のところの○2、学校間連携による地域の教育資源の活用というところで、今、全国に特別支援学級が設置されている学校が約2万2,000校あります。御承知のように、東京都は拠点校方式をとっていますので、設置されている学校と設置されていない学校を比べてみたときに、はるかに未設置校の方が数は多いです。でも地方に行くと、子どもが、お子さんが1人で教員が1人というような学校がざらですので、どの学校にも特別支援学級が設置されているということです。
 この東京都の拠点校方式が、私は一長一短だと思っているところがありますけれども、良い方で言いますと、通ってくる子どもたちの集団が形成できることです。ある程度の10人、20人の集団が形成できることにより、教師1人と子ども1人の教育の中では学べないようなことが集団の中で学んでいくことができるというのは、やはり東京都方式の良いところだろうと思っています。
 もちろんそのマイナス面も幾つか出てきていますけれども、そのマイナス面の一つが、やはり設置校と未設置校の温度差が、時間とともに開いてきているということが一つ言えると思います。先ほどから5年間たちましたという話が何回も出てきていますけれども、5年間の中で、その格差というのは非常に大きくなってきていることが一つ言えると思っています。ですから、学校間の連携というのは、小中学校の中の設置校と未設置校の学校間の連携ということが、これから大きな要素になってくるのではないかと思っています。設置校の中にある資源を、未設置校の中にどう生かしていくかということもこれから考えていく必要があると思っています。
 それから3点目は、これも全連小、全日中のそれぞれの校長先生から話が出てきたことと重複するんですけれども、3ページの3ポツの二つ目の四角の中の二つ目の○です。私もこれは小中学校ですので、設置者の体力勝負だなと思っています。この体力があるかないかによって、そこに通ってくるお子さんが、下手をすると本来だったら平等な教育を受けるその権利というのを有しているはずなのに、設置者の体力の差によって、不平等なことが生まれてくる可能性が出てくるのではないかということの心配をしているところです。
 現に、今東京都の23区のそれぞれの区の中でも、特別支援教育の様々な手を打っているわけですけれども、明らかに区間の差が出てきていることもありますので、これからますます設置者の体力というのか、財政力というか、そのあたりの影響が非常に出てくるだろうと思っています。これは、やはりもう少し上のレベルで東京都だとか、あるいは国だとかのレベルで、どこでも平等な教育が、あるいは特別な支援の合理的な配慮が、あるいは基礎的な環境整備が整えられるような、そんな方法を講じていただけることを全特協でも望んでいきたいなと思っております。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。久保委員。前半は久保委員までにして、少し休憩を入れて、後半に移りたいと思います。久保委員、お願いします。

【久保委員】 ありがとうございます。委員長を中心に、よく本当にまとめていただいて、ありがとうございました。育成会としましても、この共生社会というところが書いていただいたことが本当にうれしく思っております。
 それで、意見というよりも、今まで皆さんのお話をずっと聞いておりまして、実は育成会の中で、障害の受容ということで、親に対する障害の受容、それから本人が障害を受容するということをワークショップ形式でやりましょうというのを親の方はできておりまして、本人の方は今作成中であります。もう一つは、子育て支援、家族支援というのもワークショップ形式でもうでき上がっております。
 それを、私たち育成会は、その小さいお子さんのところから届けて、共にその痛みとか苦しみとかが分かっている親同士の中でお伝えし、そして、早いうちからできるだけ受容していただいて、お子さんに合った教育とか発達保障というのをきちんと受けていただきたい。そして、そのできることなら、ライフプランのような形で、お子さんが大きくなっていかれるに沿って、こういう思いで育てましょうというようなこともやってはいるのですけれども、なかなか学校の方でそれをやらせていただけないというか、全国的に学校だとか幼稚園だとか、もっと言えば通園事業のようなところです、幼稚園とかに行く前の、そういうところでやらせてくださいといって、やらせていただいている府県もあるんですけれども、なかなか全国的に、特に教育の部分は門がかたいというか、なかなか理解をしていただけないということがありまして、今の、どう親御さんにアプローチをしていったらいいのかというところは、その誘導にならないように気をつけてというのは、親同士だからこそあまり誘導ととらえられないという部分もあるかと思いますので、それをどうしたらいいのかということをずっと考えていて、同じようなことで悩みがあるんだという、何か接点でうまくいかないだろうかというのは、今感じているところです。
 それとあとは、クレーマーになっている親というのも問題だという話が育成会の中でもありまして、これは要は、その親としての困る力と困らない力のバランスが悪いのだろうと思っています。ちょっとしたことで困った、困ったと言って、いろんなところに、ともかく自分のことさえ何とかしてくれればというのでクレーマーのように物事を言っている。でも、その制度のないものは、何かお手伝いしていただける方の力をお借りしながらも、自分で乗り越えていくという、困らないで済む力というのは必要だと思いますし、また逆に、相談支援のところには、今日初めて降って湧いたように、とても困ったと言ってくる人がいますけれども、それはもっと前から、複雑に困りごとが絡んでいて、もっと前からあなた困っていたでしょうというようなことを、いや、昨日まではそんなに困っていませんでしたというような親御さんがいるということです。要は困ったということが言えない、困る力というのが弱いというのでしょうか、そういう何かバランスが今の若い親御さんは特に悪い、弱いのではないかという感じがします。私たちのときは、制度がなかったから、お互い助け合ったり、いろんな学生さんだとか、いろんなところに、SOSを出せる人をいっぱい作りながら、そして制度に乗ってという形をとっていましたけれども、今はもう個の世界になっていますので、そういうことが少しバランスが崩れている部分もあるのではないかという感想的なことですけれども、そこを何とか、教育の部分と、それから育成会の立場だったら、同じ親の立場で何かできるのではないかという思いを持っていまして、何かいい案がありましたら、お手伝いは幾らでもさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。具体的な提案も含めて、かなりいろんな御意見を頂戴しました。
 前半部分のところは、一応これで終了としますが、後でまたおっしゃっていただいても結構です。休憩を、後ろの時計で50分までして、後半に入りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは休憩にします。

( 休憩 )

【宮﨑委員長】 それでは再開したいと思いますので、席におつきいただけますでしょうか。
 後半は5ページの4ポツ、多様な学び場の整備と学校間連携等の推進、そして、5の信頼ある特別支援教育を担保するための教職員の確保及び専門性向上といったようなところで自由討議をさせていただきたいと思います。
 前のことに触れても結構ですので、よろしくお願いします。
 それでは、まずはお二方、山岡委員、久松委員、そして中澤委員から行かせてください。ではお願いします。

【山岡委員】 それでは、ありがとうございます。日本発達障害ネットワークから参りました山岡です。
 4ポツの(1)の○4の特別支援教室構想について、お話をさせていただきたいと思っております。
 これは実は、昨年の12月に、第14回でお話ししようと思って、資料を提出したのですけれども、時間がなくて、お話しできなかったものです。配付資料集2の第14回というところがありまして、この14回も100ページぐらい資料があると思うんですが、後ろから6枚目ぐらいに資料4-6がありまして、これに沿って、お話をさせていただきたいと思います。
 資料がなくても、お話を聞いていただければいいのですけれども、この特別支援教室構想ですが、これ平成15年3月の今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)において提言がされています。このときは、特殊学級や通級による指導の制度を統合して、お子さんは、全て通常の学級に在籍した上で、必要な時間のみ特別支援教室の場で特別の指導を受けることを可能とする制度に一本化するというもので、この具体的な検討が必要と書かれまして、提言されてから約10年がたちました。
 その後、平成17年の12月に報告がだされた中央教育審議会でも議論されました。ここに私は委員として出させていただき、かなり特別支援教室構想につきまして、主張したのですけれども、この中教審の答申では、まず特別支援教室構想について、制度的見直しを行うことが適当である、と提言されています。
 一旦協力者会議で提言をされて、中教審で制度を議論しているので、もう少し前向きに意見を出してほしいとかなりお願いをして、ここまで来たぐらいの感じですけれども、この中教審の答申が出たのが6、7年位前になります。
 それからさらに、調査研究協力者会議で、先ほど出ていましたけれども、平成22年3月の審議経過報告の中にも似たようなことがうたわれているところであります。9年前ぐらいに構想が出てから、ずっと同じような必要であるとか、検討が必要だということで来ているのですけれども、もう一度ここについて、この審議会の中で具体化をしていただけないかということであります。
 特別支援教室については、この資料で2枚ほどめくっていただきますと、横書きの図を示しています。この左上の方ですが、現在いろいろなニーズのあるお子さんがいます。A君、Bさん、C君、Dさんといますけれども、いろいろなニーズの中で時間という軸だけで見たときに、週に3時間、8時間、16時間、20時間の支援を必要とするお子さんがいます。
 その下の方の図を見ていただきますと、現在の制度において、通常の学級の中でも支援がありますけれども、通級による指導は、基本的には週に3時間から8時間となっています。それから特別支援学級については、基本的には固定級で28時間となっています。当然、交流及び共同学習がございますので、多少の柔軟性はあると思いますが、制度としてはこの二つには落差があるのです。
 時間軸だけで見ても、右上の図で見ると、この子どものニーズには連続性があって、3時間の子ども、8時間、16時間、17時間あり、要するに連続性があるわけなんですけれども、現在の制度では、子どもはどちらかの制度に合わせなければいけません。特別支援教育の考え方、基本理念は、一人一人のニーズに合わせた支援であり、子どものニーズに学校や体制が合わせていくべきだと、私は思っています。そうしますと、この右下の図にあるような、特別支援教室というような構想で、時間という軸だけ見ても、柔軟性のある連続性のある制度にすべきだということであります。
 資料の4-6の2ページ目に戻っていただきまして、これは、17年12月の中教審の答申の中で、幾つか提案があって、その中で課題も出てきていました。課題は三つぐらい当時挙げられましたけれども、例えば特別支援教室になってしまうと、特殊学級、今の特別支援学級、固定級のニーズがあるのに、それがなくなるのではないかというような懸念です。教員配置のシステムの中で、学級と教室をどのように整理するかというような懸念もありました。
 それから特別支援教室を実施するには、教員の専門性が確保されなければいけないという議論もありました。
 それらについて、私見としてまとめてみたのですけれども、一つは、当時特別支援教室の1、2、3という形でお示ししました。特別支援教室は1本ではなくて、それには類型があるだろう。例えば理想をいえば、一つの学校に1、2、3の3類型の特別支援教室があって、一つは今の特別支援学級のように固定式、二つ目はその中間型で、一部通ったりするお子さんが行く通級による指導、さらにもう一つは、一部の時間だけ指導を受けるということで、巡回型みたいなことも考えられますけれども、1、2、3型としておりました。この案であれば、最初に課題として挙げられました特殊学級、いわゆる固定学級がなくなるということについては、実質的に残る案となっております。
 それから、次に教職員の定数の算定方法ですけれども、現状は通級の指導教室は約10名に対して1人、それから特別支援学級は8名に対して1人みたいな計算になっていますが、特別支援教室の場合は、先ほど言いましたように、例えばこの図で言いますと、面積で時間を考えるということになりますと、時間数を積算して出していくことが一つの方法として考えられるのではないかと思っています。
 例えば1型、今の特別支援学級でいきますと、週に28時間で、児童生徒が8名在籍している場合、これを掛目で80%で計算すると、179.2時間になります。この179.2時間に対して1人の教員を配置するというような計算方法です。
 通級による指導は、基本的に3時間から8時間となっていますので、正確ではないかもしれませんけれども、平均として5時間と見て、10人に対して1人教員を充てるとすると、積算で50時間に対して教員1人充てるというような考え方がとれるだろうのではないかと思っています。
 在籍の問題も一つありまして、ここは平成15年の最終報告の中では、特殊学級や通級の指導の制度を一元化するとともに、全てのお子さんは一旦通常の学級に在籍した上で、特別支援教室に通うということが提言されました。ここには特別支援学校のお子さんのことは含めていませんけれども、通常の学校の中でいきますと、一旦全員通常の学級に在籍をして、そこから通級による指導や、特別支援学級に通うような方向になって、一方通行になるので、すごくシンプルになるのではないかと思っています。
 それからもう一つ、最後に、今回、特別支援教室構想は難しいという意見の中には、法律とか制度とか、現在の算定方法とかシステムの変更が難しいので、これはできないのではないかという話が結構あります。私は民間にいますけれども、その難しさ、制度や法律の難しさのためにこれが実現できないとすると、それは本末転倒ではないかと思っていまして、この際、法律や制度、システムとか全体を見直していただいて、本格的に検討いただきたいと思っております。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。続いて、久松委員、お願いします。

【久松委員】 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。全日本ろうあ連盟の久松です。この取りまとめをいただいた委員長、委員長代理の皆様、本当にありがとうございました。
 前半のテーマに戻り申しわけありませんが、一つ発言をさせてください。3ページ(3)の障害のある子どもが十分に教育を受けるための合理的配慮及びその基礎となる環境整備というテーマの部分ですが、一つの実例を紹介したいと思います。
 ろうあ連盟は、ネパールというかなり貧しい国におきまして、三つのろう学校に支援をしておりまして、山の上に建てた学校で、日本で100万円援助をすれば、ネパールでは、日本でいえば、大体2,000万円から3,000万円相当に当たる物価になります。その経済的な支援を三つの学校に支援をしております。
 山の上ですから、交通機関もなく、子どもたちはバスで通学をするということになります。非常に貧しい環境にありまして、子どもが教育を受けることについて、家庭の関心度が非常に低い。労働力としての提供というレベルでしか考えていないという状況です。学校に関する意義を説明することが非常に困難であるという国民性があります。
 そのろう学校では、日本の環境整備という言葉が使えるような状況ではほぼなく、本当に設備、施設もないという状況です。階段はありますが、手すりもないという状況で、子どもたちはかなり危険な状況で歩いており、遊んでいる際にもし転倒したら、と思いますと、非常に危険ではないかと思います。
 私は何を申し上げたいかといいますと、そのろう学校は、設備も全く劣悪状況で、経済的支援もなければ、学校運営もできないというような環境の中で、一つだけ日本と違った義務といいますか、義務付けがあります。学校の先生はみんな手話を熟達するようにというこの条件で、手話ができないと先生としては採用しないという条件つきの学校です。
 ですから、そういう中で教育を受けている子どもたちは、非常に優秀、また明るい、そして元気いっぱいで勉強しています。この環境で、その明るさというのは、今の合理的配慮という言葉を使うときに、欧米の例を取り上げる例が多いのですが、やはり貧困の中で、設備がない中で教育を受けるということが一体何なのかと考えたときに、最低限必要なことはまずこれは手話のできる先生の配置というような条件整備、これが合理的配慮ではないかと思っています。
 もう一つは、ネパールですので、医療設備もやはり十分ではないという状況になっております。ですから、病気など、また聞こえない子どもたちの中でも、手足の不自由な子どももおりますので、足の不自由な子どもたちが入学した場合、どうするのかと伺いましたら、階段の手すりを作りますということでした。しかし、手すりを作るお金がないのです。もしそういう子どもが入った場合には、ろうあ連盟からの援助を期待しますという、逆にそういうお話をいただいたということがあります。そのようなことを考えたときに、経済的な問題で環境整備ができないというところにおいては、合理的配慮といったときに、委員長がまとめていただいたような形で3ページに基礎的環境整備ということにありますが、これは合理的配慮のための条件ではなくて、合理的配慮の中に含まれるということだろうと私自身は考えております。
 それで、仮に基礎的な環境整備ということについて、この考え方で進めた場合に、これは決して、もちろん悪いことではないのですが、あえて5ページ(2)「基礎的環境整備」についてという文言があります。○1から○8、かなり言葉としての使い方の整理をされたような形ですけれども、活用、確保、指導、配置、こういう言葉が使われています。非常に分かりやすいのですが、次の(3)学校における「合理的配慮」の観点というところで見ますと、○1、教育の中身、教育の方法、支援体制、施設・設備、このようなところで使われている言葉は、配慮という言葉が多いわけです。(2)、(3)との整合性がとりにくいのではないかと考えております。もし、何か言葉を変えるならば、○1の1-1のところに、学習上また生活上の困難を改善・克服されるための配慮という言葉を使っています。この「配慮」という言葉を使うのであれば、「工夫」という言葉に置き換えた方が良いのではないかと思います。
 また、情報・コミュニケーション及び教材の配慮という言葉、このことにつきましては、「教材の提供」というような文言に変えた方が適切ではないかと思っています。
 次に、(2)の考え方については、非常に良い整理の仕方をしておりますが、(3)の「合理的配慮」の観点というところの言葉ともう少し整合性がとれるような何か使い方ができないだろうか、工夫があってもいいのではないかと思います。これについて今、どんな言葉が適切かについては、今、私自身も工夫とか提供という言葉を申し上げましたけれども、改めて、この適切な言葉につきまして、案を、後に出させていただきたいと思います。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。今の久松委員のお話ですが、資料4に尾崎委員がワーキンググループの座長になって、まとめていただいたものの目次がありますが、それをそのまま載せてありますので、ここで検討した中身になります。1回皆さんで御議論いただいたところですので、そこはあわせてもう一度、見ていただいて、御意見があれば、いただければと思います。
 それでは、中澤委員お願いいたします。

【中澤委員】 国立特別支援教育総合研究所客員研究員、横浜訓盲学院学院長の中澤です。前半のディスカッションの蒸し返しになって恐縮ですが、幼児の相談の重要性と教育の重要性というところで、これはやはりこれからインクルーシブな教育を進めていくときに、とても要になるところだと思います。また、岡上委員がおっしゃったように、ここに資源を投入すると、費用対効果が大変良いと思います。ですので、諸外国では、幼児のところにものすごくお金を入れています。
 私から外国の情報提供ということを久しくしておりませんでしたが、参考の情報として提供したいのは、アメリカ等は、有名ですが、3歳から個別の教育計画はある。それ以前の0歳から2歳は、個別の家族支援計画という形で支援が続けて行われていて、これはかなり多くの国々でやっていくために、小学校に入る段階でのスムーズさは、やはり段違いに良いです。
 あともう一つ大きな北欧とかアメリカの流れは、日本の場合就学というと、小学校に入るときにどこに行くかという大きな壁が来る、しかも、それまでと全く違った環境に入らなければならないという二重の大変さがありますが、北欧とかアメリカ、私が具体的に見たのはアメリカとフィンランドですが、今、大きな流れは5歳の段階で通常の小学校にキンダーガーデンとして入って、小学校のキャンパスの中で幼稚園でやる教育のようなことを小学1年の教室の隣でやっています。そうすると、小学校の先生たちもよく見て、あの子は気をつけないといけないとか、この子だったら大丈夫だろうということも予想がつきますし、また、子どもたちも、次の年には教室でこうやって座っていないといけないとか、そういう準備もできます。日本では、親が小学校の様子を全く見ていないで、幼稚園の段階で親が決めなければいけません。自分は体験したことがあるけども、今の小学校を知らないで決める場合もあります。
 そういう意味では、今すぐ日本の制度は変えるかどうかという問題ではなくて、海外の知恵の一つとして、小学校の入る1年前にキンダーガーデンとして小学校の教室の隣に幼稚園児が1年過ごして、そこでお互いをよく分かって、次の選択をするというのは、日本も学んでもいいところかと思いまして、情報提供をさせていただきました。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。特に就学前、相当前の段階からの対応をどうしていくかという点を、どこまで書き込めるかということが今度の大きな課題になりそうです。ありがとうございました。
 それでは品川委員、佐竹委員、齋藤委員、それから木舩委員、そして続いて河本委員、尾崎委員、大南委員の順でお願いします。

【品川委員】 ありがとうございます。教育ジャーナリストの品川です。先ほどの話の続きをさせていただきます。
 4の多様な学びの場のところですが、この5ページの四角のところ、多様な学びの場のところに、医療、福祉、労働等の関係機関との連携を進めていくことも重要とございますが、ここに是非司法や矯正等も入れていただきたいと思っています。というのは、認知に偏りがあったり、知的な課題など脳に機能不全や環境的要因などがある子どもたちで、保護者が、例えば親の会などに入っておられたり、早期から就学支援やIEPがあってニーズベースの教育を受けられている場合は良いのですが、そうではなく、また学校もニーズを踏まえて適切な指導や環境調整などができずに、その結果逸脱していく子どもというのは決して少なくありません。大事なことは、逸脱してから、警察、少年院という話よりも、逸脱する前にどう指導していくかという予防の視点で考えることだと思います。予防の段階で司法や矯正と連携していくことは大変重要になってきます。ですので、ここに是非司法や矯正等を加えていただきたいと思います。
 実はこれは、子ども・若者育成支援推進法を教育再生会議で作るときも議論になりましたが、あのときは最終的に早期対応早期支援、子どもを制度のはざまに落とさないということにご理解いただき、第2条6項に教育、医療、福祉、医療矯正、更生保護、雇用と入っています。そういった多角的有機的な、実質的に機能する連携が行われないと、ボーダーだったり知的に課題があったり認知がずれていたり衝動性攻撃性などのコントロール方法を学ばず、また保護者も対応しない・できない、学校も指導しない・できないなど複数のリスク要因が重なって反社会的行動を繰り返す子どもたちが漏れてしまいます。そういったことを予防するためにも、この連携は事が起こる前から必要だということを強調したいと思います。
 ちなみに、既に子ども・若者育成支援推進法を法的根拠に、鑑別所の法務技官が教育委員会と連携して、子どもの問題行動等の対応をしている自治体もあります。
 また、この話に続きますが、この6ページの(1)と(2)のどちらに入るか、私は判断がつきかねたのですが、特別支援教育的な視点が生徒指導にも必須になります。ですので、生徒指導との連携とすればいいのか、生徒指導も特別支援教育・インクルーシブ教育の視点で行うといれればいいのかわかりませんが、明記していただきたいと思っております。先ほど河本委員が、自治体間の格差がこの5年ですごく広がったとおっしゃっておられましたけれども、特別支援教育を、従来どおり障害児教育だけと捉えている自治体と、子ども理解という視点の中で、特別支援教育課と生徒指導課が連携したり、一緒になったりしているところでは、子どもへの対応が見事に変わってきています。生徒指導や児童指導の先生たちの子どもへの見方が変わると対応が変わりますが、その発想がないと従来どおりの問題行動と判断して、もうお手上げだとなると、警察や病院が登場し、教育が手を離してしまうケースも多々見てきました。教師も保護者も指導できない小学生を医学モデルだけから見て、つまりほかのリスク要因はコントロールしないで、入院させて、しばらくして退院しても集団に入れさせられないとの判断から単独指導や登校禁止というような対応をしている現場も知っております。一方、特別支援学校や学級に在籍する子どものなかにも問題行動を取る子はずっと単独にし、ニーズに対して適切に指導しないというかできないというようなところも知っておりますので、特別支援教育における生徒指導ということも、これから大きな課題になるのではないかと考えています。
 社会に出てからは、本当に認知特性などに応じて学ぶ場がないのです。学ぶ場がないと、結局、よく分からないまま逸脱を繰り返してしまうことになります。障害があるから制度に乗せる、とお考えの人も少なくありませんが、制度の中にはいっても逸脱を繰り返すこともあるのです。
 それから障害と診断されない子どもたちもいます。発達障害的な状態像を示す子が全て発達障害とは言えないのは言うまでもないですが、一方で発達障害を持つ子どもたちの中に診断ではないがゆえ、何か課題があって、行動が起こってしまってもニーズに応じて適切な指導を受けられないケースがあります。これはまさに子どもたちの教育権、あるいはその健全な成長発達権の侵害だと考えます。
 もう一点、これは実はどこにも触れられていないことですけれども、先日、長野県の松本養護学校で寄宿舎の先生のお話を伺い、すばらしい取組をされていることを知りました。実はそれまでに、何件か特別支援学校にある寄宿舎を取材してはいたのですが、寄宿舎の捉え方自体にものすごく差があるんですね。個々の子どもの将来の自立と社会参加を見据えて、ニーズを踏まえてとてもいい指導をされているところと、何かよく分からないといったら失礼なのですが、うーんこれは何を目指しておられるのだろう、質問をしても答えがかえってこないといいますか、笑ってらっしゃる委員の先生もいらっしゃいますが、というところもあります。ところが、アメリカやイギリスの、高度な専門性を持つ私立の特別支援学校ですね、ディスレクシアであったり、自閉であったりの多くが、寄宿舎を持っています。なぜかといったら、24時間体制での指導がより早期の段階で必要であり、有効だと分かっているからです。
 特別支援学校の寄宿舎は、個々の子どものニーズをどう踏まえて、どういうプログラムが入っていて、県の職員の方がやっていらっしゃるということは存じていますが、どう指導しどう効果測定しているのか。せっかく24時間で指導ができるのに、もったいないということを、子どもたちを取材しているといつも思います。事実、自立や社会参加を踏まえニーズベースの指導を学校と寄宿舎で受けた子どもが成人した時、社会参加の点から考えますと本当に有効だと若者たちを取材していると痛感するんですね。大事大事に育てられたのに、社会に出る段階で自己理解も他者視点もなく就労も協働も社会参加もできないという若者たちに関わっていますと、本当早期から自立や社会参加を踏まえた濃密な指導がいかに効果的かと思います。かように寄宿舎も使って、子どもたちを24時間体制で指導支援することで自立や社会参加できるようにすることはとても有用と考えます。
 ちなみに、寄宿舎の先生たちが学校に支援に入ることで子どもの寄宿舎とは異なる一面を見ることもできますし、子どもたちが学校に行っている間に地域に啓発活動を行ったり、保護者支援をしたりするなど、可能性はいくらでもあるので、是非寄宿舎のことは入れていただきたいと思いました。
 それから話が先ほどの議論に戻りますが、早期支援の件と、財政の件を皆さんおっしゃっていました。国が財政保障をすることには全く異論はありませんが、それは文科省というよりも財務省の話ではないかと思いつつ、一方では各自治体の長や議会の判断もものすごく大きいと感じています。
 いろいろな自治体を見ていますと、どういう政治家を選んだかで、そこの教育の充実度がすごく変わってくるということを痛感しております。講演しておりますと誰が教育長を任命するかすら知らない保護者や地域の方は結構いらっしゃるんですね。自分の子供が受ける教育は自分が選ぶ政治家が大きく関わっているという、当たり前なのですが、その意識も必要なのではないかと思っています。
 清原委員の三鷹市や齋藤委員の足立区もそうですし、例えば新潟県の三条市や滋賀県の湖南市、北海道の芽室町などもそうでしょう。首長が政策の基本に教育を置き、国からの予算はもちろん、自分のところの財政でも確保し、システムを構築するなどして動くことで教育現場はさらに動きやすくなり、引いては子どもたちのメリットがあがるという事例は全国にたくさんあります。
 それから早期支援が大事だということは特別委員会ではさんざん出ているにもかかわらず、報告骨子に触れられていないのはもったいないと思っております。三条も湖南もそうですが、アプローチしてこない保護者へのノウハウを持っている自治体はいくつもありますから、それを踏まえた支援ということがここに触れられると良いのではないかと思いました。以上です。ありがとうございました。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。それでは引き続きお願いします。

【佐竹委員】 全肢P連事務局の佐竹です。前半のところを読んでいてどうしても気になるところが1点あります。この報告骨子が将来的に整えられていくときに、これが残るのは気になります。共生社会形成に向けての四角括弧の中の下から6行目の後ろの方、「お互いを正しく理解し」という文言ですが、正しく理解するのであれば、正しくない理解もあるのかということになりますので、どうでしょうか。私は、いろいろな場面で、障害のある子もない子もお互いの違いや特性、特性という言葉が一般的に理解しにくければ、個性とか何か正しい、正しくないという表現よりは、そういった具体的な文言の方が、より理解されるのではないかと思うのですが、この辺は委員の皆様方からも御意見いただければと思います。
 それから、後半の方で、6ページ、(3)の特別支援学校のセンター的機能の一層の活用のところの5番、「信頼ある特別教育を担保するため」というのは、現在の特別支援教育は信頼されていないと、この委員会が言ってよろしいのでしょうか。もう少し、特別支援教育がどういうものであるかということを是非委員の先生方にも共有理解をしていただいて、考えていただきたいと思います。
 特殊教育といわれた時代、平成19年に改編がありましたけれども、その前の時代というのは、いろいろな先生方にお話を伺っておりますと、障害のある子どもたちの教育は、盲教育、ろう教育が柱であった時代、その柱であった時代から、特別支援教育は、すそ野が広がった時代というお話を伺います。すそ野が広くなったということは、特別支援教育をもってして、指導する、支援する子どもたちが増えたということです。その象徴的なことは、発達の子どもであり、精神障害の子どもたちです。その子どもたちがたくさん特別支援学校にやってきているわけです。そのために教室が足りない、満杯状態ということが、今現在の実情です。
 この特別支援教育になって、子どもたちにとって良かったかどうかというところで、親として幾つかの疑問もあり、また良かった点もあると感じてはおります。
 そういったことも、どこかにしっかり議論をした上で報告書をまとめられると、もっといいのではないかと私は思うのですが、先生方はいかがでしょうか。5番の「信頼ある特別支援教育を担保するため」というお志はよく分かるのですが、文言としてはいかがなものかということです。
 もう一つは、7ページ。四角括弧の「特別支援学級や通級による指導の担当教員については、専門的な研修の受講等により、それぞれ最低限の専門性の担保を図る」とありますが、「最低限の専門性」を受けていただきたいのは、通常の学級にいる担任の先生です。特別支援学級、通級の先生は、もう一つ上の階段を上っていただいて、より専門性を身につけた先生であるのが本当ではないでしょうか。この辺も表現としてこうなのか、それとも目指すものとして最低限あればいいと言ってしまうのか、もう少し委員の先生方にもお知恵を拝借したいと思っています。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。それでは齋藤委員、お願いします。

【齋藤委員】 ありがとうございます。全国心臓病の子どもを守る会の齋藤です。3点ございます。手短にお話しさせていただきます。
 1点は、私も以前は財政がない中で教育長をやっておりましたので、どこにお金を出すかというのが非常に苦労でした。本当に財務省が回してくださればいいのですが、難しいという思いの中で発言していますが、1点目です。発達障害なのか、本当は育児の問題で発達障害の様に見えているのか、それから非常にわがままな育ちをしているお子さんが多いという中では、お一人お一人がうちの子どもに1人の人をつけてくれということが話されると聞いております。40人学級で40人個別に教育するということは不可能なわけですからもう一つ踏み込んで、発達障害ではないお子さんを学習集団の中にうまく溶け込ませるような教育、つまり予防的な措置というものが大切であることをどこか考え方の中に入れてほしいと思っております。それが1点目です。
 それから2点目は、6ページのところの(1)の○6の関係機関との連携、これも前に随分お話はされた記憶がありますけれども、先ほど久保委員の方から、親の会のお話が出たと思います。私も心臓病の会でお医者さんたちとよくキャンプに行きます。結果的にはお医者さんに良い指導ができたのではないかと思うことがあります。親の会の活用とか、それから学校には民生児童委員が入っていると思います。主任児童委員もいます。私どもは、この方々に大変活躍していただいておりますし、不登校のお子さんなど、家庭までの迎えにも行ってくださるような、そんな支援もしていただいております。文科省の枠から外に出て、地域のあらゆる資源を利用してというような文言が入ると、もう少しこの辺が現実的になるのではないかというのが2点目です。
 それから3点目です。中澤委員の方からお話がありました、外国の幼稚園の例ですけれども、私どもは一昨年の4月から、保育園を全部教育委員会に入れました。そういたしましたら、ものすごく見えてくることが違ってきましたので、5歳児の保育園における教育のあり方まで踏み込むことができました。
 何が変わったかといいますと、教員と保育士が交流を始めることで、変わってきました。いずれ子どもも変わるだろうという期待感のもとですので、お金をかけずとも、日本でも少しはできるのではないかと思っています。
 全国都市教育長協議会で、参加者200人ぐらいの方に、どのくらいの自治体が教育委員会の中に保育園入っていますかとお聞きしましたが、そのときは1割ぐらいの方が手を挙げていたので、ああ、こういう傾向になってきているなと思います。
 23区でも、今のところ2区ですが、もう1区増えそうなことを聞いておりますので、早期からの特別支援という意味では、お子さんの状況が把握しやすくなるので、それも一つの方法ではないかと思いました。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。それでは木舩委員、お願いします。

【木舩委員】 広島大学の木舩と申します。学部と大学院で特別支援教育に関する教員養成を担当しております。その関係で、宮﨑委員長が説明のおりにも話をされました、教員の資質能力向上特別部会、ここの議論を常に見るようにしています。
 皆様方御存じのように、教員養成の修士課程化、あるいは新しい免許制度の提案というようなことで、特別支援教育に関しては、専門免許状の中に分類というような案も示されております。私はこれに関連しまして、教員養成、研修のあり方について、1点だけ申し上げたいと思っております。
 今申し上げた特別部会の議論というようなものと、ここのその教職員の養成研修というようなものは密接に関連するとは思いますけれども、課題としては中長期的な内容に当たるだろうと思います。それをこの中に宮﨑委員長はその観点も入れながら、まとめていただけるということで、非常にありがたく思っております。
 その一方で、現行制度の免許制度、あるいはその養成研修のあり方の中でも、いろいろ改善と申しますか、提案できるようなものはあるだろうと思っております。それにつきましては、先ほど山岡委員がお示しになった、このファイルの中の第14回会議における資料に、私も教員養成の現行制度下で、こういったことが考えられる提案としてということで出しております。そういったものも含めて、参考にしていただいて、おまとめいただければ、おまとめに当たっては、そういう短期的な課題、あるいは提案、あるいは中長期的な課題と提案という観点でおまとめいただければ、私としては非常にうれしいということを申し上げたいと思いました。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは河本委員お願いします。

【河本委員】 全国特別支援学級設置学校長協会の河本です。2点お話をさせてください。
 1点目、6ページの上の四角枠の中です。ここで、その前のページのところからいうと、ここでは多様な学びの場の整備ということですけれども、全特協としても、交流及び共同学習の重要性ということについて、今盛んにそれぞれの学校の中でも問い直しをお願いをしているところです。
 ここのところ、文言で、これは前のときも何かのときにお話をしたと思いますけれども、この四角枠の中、先ほどお話しました、共生社会の形成者、これは障害があるお子さんも、障害のないお子さんにとってもですけれども、お互いに将来的に共生社会の形成者として小学校・中学校では育てていかなければならないということを考えております。そんなわけで、先ほどお話したように、交流及び共同学習の重要性ということで、各学校で取り組んでいるところです。
 この部分を読んでみると、どうも特別支援学校の方に、何かウエートが行っているような気がして仕方がありません。特別支援学級設置校のひがみかもしれませんけれども、特別支援学級設置校は約2万2,000校ぐらいありますけれども、通常の学級のお子さんと、それぞれの学校の中の特別な支援が必要な、特別支援学級に籍を置いているお子さんとの交流及び共同学習ということが見えるような形で、文言をつけ加えていただきたいという感じがいたします。それが1点です。
 2点目、7ページのところ、教員の専門性のことです。合理的配慮、あるいはそれを保障するその基礎となる基礎的環境整備も、やはり学校教育ですので、教員と子どもの関係で成り立っていると思っております。そうしたときに、それらの教員が、研修だとか、あるいは研究団体に入って学んでくるだとか、あるいは学生のときにいろいろ勉強してきただとか、どちらかというと、座学で学んできたことの重要性、具体的にいいますと、例えば障害に対する知見だとか、あるいは指導理論だとか、あるいは児童心理だとか、そういったことの必要性というのは当然あると思っています。ただ学校教育の中で、経験値の大切さがあると思っています。ですから、どこでも教えてもらえなかったけれども、ただ自分が子どもと接して、日々の授業の中で学んできたこと、そういった経験も重要な要素だろうと思っております。
 ただ、今の現状からいいますと、それぞれの教員が、経験があるかというと、経験がないです。これも前にお話をさせていただきましたけれども、約55%の教員が、5年以下の経験しかありません。特別支援学級の担任の経験が5年以下の先生というのは55%です。それから、免許の取得率も現在32.何%ぐらいです。そうしたときに、座学で学んできたことも、あるいは経験も持っていない教員が、特別支援学級の担任をやっている。これは、先ほどの東京都の拠点校方式のメリットということでお話をさせていただきました。複数の学級がありますので、若い先生、経験がない先生たちも、先輩の先生からいろいろ教えてもらうことが東京ではできます。これは東京のメリットだろうと思っています。
 ただ、地方に行くと、そうではない。子ども1人で、担任が1人ということがありますので、この研修に優先順位をつけたときに、どこから研修の切り口をやっていくかというと、私は管理職だと思っています。校長のリーダー性をどう作るかということがまず先決だろうと思っています。
 ということで、6ページの四角の枠の下から3行目、このことからの上の方に書いてあることです。このことから、校長等管理職、教育委員会担当者を対象とした研修の最優先に実施していく必要がある。優先順位をつけたときに、管理職の研修を密にやっていくということが、最優先になるのではないかと思っています。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。では、尾崎委員。

【尾崎委員】 全国特別支援学校長会の尾崎です。3点お話をさせていただきます。
 1点目は、前半の部分で言い忘れたことですが、5ページの基礎的環境整備についての中に、施設設備の整備がありまして、当然基礎的な環境整備の基礎は、学校に教室があって、特別教室もあって、学びの場所があるというのが基礎中の基礎だろうと思いますが、特に知的障害の特別支援学校においては、教室不足が非常に深刻です。それは早急にあらゆる手を使ってでも、改善すべきことだということですが、各地方自治体においては、それぞれ努力をしています。それも分かっていますが、努力をしたら、さらにまた増えていくという、追いつかないという現状があるということです。そこも是非基礎的環境整備の基礎なのだということを認識したいというのが1点です。
 それから2点目ですが、6ページに、多様な学びの場の整備と学校間連携とありますけれども、多様な学びの場ということは、一つのいろいろな学びの場があって、1人の人がそこにずっと固定的にいるのではなくて、必要に応じて、学びの場を移ることも想定されたと考えますと、学びの場において、その教育課程の基準が異なってしまったり、その連続性をどう担保するのかとか、そういう課題がたくさん出るとなかなか多様な学びの場といいながら、移るということが難しくなるかもしれません。基本はその子のニーズに合わせた教育が多様な学び場でできるという、そういう仕組みを教育課程の基準のあり方も含めて、検討すべきではないかと思います。
 特に特別支援学校においても、今回、法律改正で、教育的ニーズに応じた教育をするための特別支援学校という名称に変わったわけですけれども、障害種別による体系から、特別支援教育の体制に変わった、そこの中でも教育課程の基準の扱いが非常に複雑になっている。そこも、せめて特別支援学校の内部だけでも一本化した教育課程の扱いができるような仕組みを発信すべきではないかと私自身は思っております。
 それから、3点目ですけれども、7ページの教員の専門性の確保の件ですが、私は特別支援学校の免許保有率は100%を当然目指すべきだろうと思っていますし、現在もそれでかなり努力をして、各地方自治体で100%に近付けるように努力はしております。ただ、限界だと思います。というのは、教員養成の免許を持って、特別支援学校に来る人が少ない、追いつかない。特に盲ろう学校においては顕著です、それが一つ。それからもう一つは、免許がないと、もし特別支援学校の教員になれないという制度がいきなり来たら、もう子どもたちが満杯の状態で非常に学校も増えている中で、教育そのものが成り立たなくなるわけです。
 したがいまして、特別支援学校の教員の免許取得を政策目標にするのであれば、工程表を示して、教員養成をどうのようにしていくのか、それから人事交流をどのように考えていくのか、そういう工程表を示しながら、100%に近付ける努力をしていかないと、多分もう地方自治体の、あるいは学校で、その認定講習で受けなさいよと言っているだけでは追いつかないのではないかと私は思います。仕組みとして100%を目指す仕組みを是非考えていっていただきたいということが3点目です。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。大南委員、よろしくお願いします。

【大南委員】 全国特別支援教育推進連盟の大南です。
 5点ありますが、まず第1点は、1ページの共生社会の形成の件ですが、平成19年4月1日付で、文部科学省初等中等教育局長通知で、特別支援教育の推進についてというものがあります。その第1番目が、特別支援教育の理念で、その段落が三つある3番目に、この共生社会のことが書かれています。ですからそのとおりよりも落ちるようでは困るので、そこの文章のニュアンスを十分把握をした上で、表現を考える必要があると思います。
 二つ目は、先ほど河本委員が申されたのですが、6ページのところ、やはり私もここに特別支援学級のことがないのは少し物足りないと思いますので、例えば、一層の工夫が必要、また小学校・中学校において、通常の学級と特別支援学級との交流及び共同学習の一層の推進を図ることというのを入れればいいのではないかと思います。
 そしてさらに、(1)の中でも、その下の特別支援学級のことがありません。ですから○2と○3の間に新たな○3として、特別支援学級の教育の充実ということを入れる必要があるのではないかと思います。
 それから3点目は、特別支援教育教室構想です。山岡委員が先ほど提案されましたが、私も2月13日の特別委員会で、資料7を出しております。是非そのあたりも加えて、ここの説明をしていただければと思います。
 そして次に、4点目は、交流及び共同学習のところで、やはりその意義の中に小学校・中学校における交流及び共同学習も触れておく必要があると思います。
 5番目が教職員の確保及び専門性の向上ですが、少し古い資料ですが、今の中教審、この会議の、この組織の前のものですが、教育職員養成審議会という審議会がありまして、そこで出した答申の中で、教職員の配置まで踏み込んで提言をしています。校長はどういう人が良いか、等。例えば、校長のリーダーシップという文言が6ページのこの四角の枠の中にありますけれども、現状からいって、リーダーシップが発揮できない状況があります。今朝、ある県のOBの校長先生から電話をいただいて、その言われた学校は創立以来22年たっています。校長が11代です。これでは校長のリーダーシップを発揮できません。でもこの学校だけではありません。あるところは、特別支援学校の校長の任期は2年と決まっています。これおかしいと思わないといけないと私は思っています。
 そのことは、実は今日のヒアリングの資料といいますか、資料1-2の3ページのところの教職員の確保のところ、校長の任期が短すぎる、1校3から5年ぐらいをとしています。これは一つの目安ですから、もっとあっても良いですが、長ければ長い方がいいと、そういうことではなくて、やはり3年はないと無理があります。もう一つ問題になるのは、報告骨子の2ページのところで、学校を拠点とした地域づくりとあります。地域の人に大南が校長であるというのを認めてもらうのに1年ではとてもできません。2年目になって、やっと校長かな、3年目になって言ったことが地域に通じるぐらいになる。
 そういうことを考えていくと、確かにその専門性の向上だとかある前に、しっかりした校長を確保しておかないと、リーダーシップを発揮しろといっても、それは無理だろう。それは、この報告に書けるかどうかは別として、教養審でもう答申で書いていますから、年限までは書いていないんですが、こういう人をこういうところに配置すべきであるということは書かれていますので、年数があまり短すぎるのはいかがなものかぐらいは書けるのではないかと思います。
 そして、もう一つ言って申しわけないのですが、先ほど齋藤委員がおっしゃった、親の会とか、あるいは地域のいろんな資源を活用するというのは、関係機関等との連携のもう一つ前の、前というよりは、要するに地域づくりということを考えたら、親であるとか地域資源というのはものすごく大事ではないのかと思いました。以上です。どうもありがとうございました。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。安彦委員、それから太田委員。

【安彦委員】 私も5点あるんですが、短く申し上げます。後ろの方から言います。
 7ページの教員の問題ですが、専門性の確保、あるいは養成のところで、私も今、資質能力特別部会の委員をしておりますので、先ほど木舩委員から中長期的と言われましたけれども、大学院レベルの養成ということは考えられないだろうかということをもう少しワーキンググループの文書よりももっと踏み込んで入れられないだろうか。やはり、脳科学その他いろんな分野で進んできている研究もありますので、今の学部レベルの養成というのは、一般の学校の場合でも不十分だということもいわれている中で、特別支援に関わっては、より一層きめ細かい知識や技術が要ると思います。その点で、まずその方向というのをもう一歩踏み込めないだろうか。
 それから、後ろからずっと前に行きまして、5ページ、私はカリキュラム論が専門だということもあるのですが、合理的配慮の観点のところの教育内容・方法です。一時議論があったようにも記憶していますけれども、障害を持った子どもの中には、特定の分野に非常に力のあるというか、優秀な子がいるわけで、そういう子どもが、先生方の力量が足りないために押さえられているケースがありますので、この内容のところに、そういう子どもを念頭に置いた文章がどこかつけ加えられないだろうか、そういう子どものためにも、内容の方の配慮がいるということを入れていただきたいということが2点目です。
 それから3点目が、3ページですが、(3)の○2の個別の教育支援計画、個別の指導計画の作成促進のところですけれども、これは一貫した支援の仕組みということで、高校も入れるべきだという、必ずという言葉がワーキンググループの文章にはあるのですけれども、これはやはり、もちろんそれで出しても異存はないのですが、そうであれば、やはりそれが可能なような条件整備に対する言及が欲しいと思います。学級編成にせよ、指導教員の力量、研修にせよ等々の、財政的な措置も含めてですけれども、言及は欲しいと思います。
 これに絡めて申し上げたいことは、今、そう言っては申しわけないようなことがあると思いますけれども、一般教員の声の中には、特別支援学級を担当している先生方に対して、ネガティブな見方をする人がいるわけです。一言で言えば、楽をしているというような見方をする一般教員がいるわけです。これからこの通級、あるいは一般の学級に軽い障害であれ、とにかく障害を持った子どもたちに先生方がちゃんと対応しなければならないとなれば、当然そういう負担が増えるわけですので、今一般教員はそういうことに対する処遇というか、そういう点はほとんど配慮されていないと思いますけれども、これはやはりそういう面も含めて、全般に処遇をよくすることも含めて、一定の配慮、整備ということが必要なのではないかと思います。これはどこかで入れていただきたい。
 それから1ページ目の先ほど佐竹委員や大南委員が言われた、共に学ぶことという、共生社会のところですけれども、私は前から佐竹委員のように、この正しくという言葉に引っかかったわけではないのですが、こういう社会というのは、私は公教育というのは基本的に国の未来の主権者を育てていると思います。そういう意味では、国の未来の主権者としてという、どの子も平等であるという視点をやはり何かあらゆるところに本当は入れた方がいいと思っております。
 そういう意味で、そういう視点がうまく入るようなことが、あるいは言葉として使うかどうかは、これは今まであまり皆さん、私は意見としてこの場では言っていませんので、吟味していただいて結構ですけれども、そういうことを考えていただきたい。
 それから最後に、5点目ですが、これはどうなるのか分からないんですけれども、(1)の○1の定義のところですけれども、ワーキンググループに権利条約の訳文で、general education systemという英語が、相変わらず教育制度一般となっています。正直言って、私は事務方にも少し調べてほしいと言いましたけれども、教育制度一般とは、社会教育とか、生涯教育とか、幼児教育とかもろもろ全部制度としてなっているものまで念頭に置くような言葉になるわけですが、そうではないはずで、私は少なくとも、教育学をやっていて、general education systemは、普通教育の制度だと思っています。それで、そういうことが、英語を使っているアメリカやイギリスを通じて聞けば分かることではないだろうかと思いますけれども、教育制度一般という意味で使っているのか、普通教育制度という意味で使っているのか、これはもし最後のこの報告に入れる場合には、入れない場合はどちらでも構いませんが、入れる場合にはやはりきちんとしておいていただきたいということです。これは結果として教育制度一般であれば、それで私も異存はありません。以上の5点です。

【宮﨑委員長】 一番最後の点は、確認を今しつつありますけれども、一般教育制度という訳に変えるというような動きがあるように認識をしております。ありがとうございました。
 では、太田委員、お願いします。

【太田委員】 鈴ケ森小学校の校長の太田です。半分ぐらい遅れて参加しましたので、既にお話しされているかもしれませんが、2点だけ意見を言わさせていただきます。
 まずこのように委員長試案を出していただいて、ありがとうございます。それで私の方はまず資料3、一昨年の12月に出された、この特別委員会の論点整理の目次を見ていたのですけれども、この時点ですと、この「インクルーシブ教育システム」の構築に向けてとか、「インクルーシブ教育システム」構築のためのということが項目のところにそれぞれ四つの項目のうち二つにはきちんとうたわれているんですね。
 で、今日のいただいた試案、骨子を見ますと、項目が全部で五つあるんですけれども、それのどこにも、いわゆる、項目のところに「インクルーシブ教育システム」構築に向けてみたいなことはうたっていなくて、中にそのことが触れられているということです。なので、本委員会が審議すべき課せられた課題について、このような形で報告をしていって大丈夫なのかなということは思っております。
 特に、最後の今日の骨子案の5番だと、先ほど佐竹委員もおっしゃっていましたが、信頼ある特別支援教育を担保するための教員の確保及び専門性の向上という大きな表題になっているわけですけれども、これですと、この報告そのものがやはり特別支援教育を推進するという内容そのもの、何と申し上げたら良いのでしょうか、もう一つ、新たな課せられた課題についての検討がされたのかというような感じに見えないだろうかというところを少し私としては心配をしたところです。
 それから、もう一つは、3ページから5ページのところの、基礎的環境整備と合理的配慮の関係について、ここのところがとても現場を預かるものとしては心配になってきておりまして、ここのところを読むと、基礎的環境整備というものは基本的に国とか都道府県とか市町村が行うべきものであって、そして、合理的配慮というものが設置者・学校と保護者・本人で調整をしていくというような書き方になっておりますけれども、それで本当にいいのかというところは少し不安があるところです。
 また、5ページのところで先ほど久松委員がおっしゃられましたけれども、基礎的環境整備についてというところの1から8の項目と、それから学校における合理的配慮の観点というところの整理が、やはりもう少しされた方がいいかなと思っておりまして、特に(3)が、合理的配慮、学校における合理的配慮ですので、ここの中に、例えば、2-1で、専門性のある指導体制の整備というところがありますが、これはやはり人的な配置とかなり関わりますので、専門性のある校内支援体制の整備とか、そのような形に書いていただいたり、幾つか学校でできること、学校設置者でできることと、それからやはり国や都道府県などの御支援をいただかないとできないところというのがあるので、ここをもう少し文言を検討していただけたらと思っております。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。太田委員からありました最初の点ですね、骨子案について、私の方から、冒頭説明をいたしました。論点整理との大きな違いは、「インクルーシブ教育システム」構築のための人的・物的環境整備についての項目をワーキンググループから入れたことと、もう一つは、既に障害者基本法も改正をされて、一歩進んだ形で対応しなければいけないという動きの中で、今回少し論点整理のところを整理してあるというようなことについては、冒頭申し上げました。それを念頭に置いて、論点整理から一歩進んでいるということです。
 それから、ワーキンググループで長時間検討していただいた中身ですので、基本、ワーキンググループの提言というか、整理は、そのままこの中に報告として入れる。ただし、これについて、全体的に調整が必要なところについては、御意見を頂戴するということになろうかと思いますので、そのような仕組みで今回の報告案を取りまとめたいということです。
 また、いろいろ御意見を頂戴できればと思います。
 では、あと2人で終わりにしたいと思います。杉山委員と露木委員、お願いします。

【杉山委員】 浜松医科大学児童青年期精神医学講座、杉山です。児童精神科医ですと、この後半については僕は発言をしようかどうしようか迷っていたのですが、皆さん比較的自由に発言されているのでいいかなということで、発言をさせていただきますと、4点ほどありまして、まず1点目は、6ページ目のところの、幼稚園、高等学校段階の特別支援教育の充実のところで、幼稚園だけではなくて、先ほど齋藤委員から保育園のお話がありました。保育園と書くのがもしはばかられるのであれば、幼稚園(総合子ども園)というのも中に入れてほしいと思います。
 それから2番目が、(3)の特別支援学校のセンター機能の一層の活用のところで、この中に、一言交通の便のよいところに建てるという文言を入れてほしいです。これを中に含むと思いますが、特別支援学級も、子どもの足で歩けるところに作ってほしいです。拠点校方式は良いですが、そこに行くためにバスに乗らなければいけないというと、合理的な配慮にこれは抵触するのではないかと思います。
 それから3番目が、管理職研修です。私は実はこれを何回か経験していまして、ものすごく難しいです。この中に、少し強い文言を入れていただけると、資格要件に抵触するとか、あるいはその必ず試験をするとか、何かこれは校長先生の姿勢いかんでものすごく学校も変わるというのも、児童精神科医としても身にしみて感じていますので、特に体育会系の先生方の中に、体を鍛えれば何とかなるという考えをされる方が非常にいらっしゃって、それがすごく不満です。
 それから4番目が、地域の尊重のところで、これがデリケートな議論になりそうな気がします。先ほど太田委員が自治体でやるべきことと国でやるべきことということをおっしゃいましたが、この報告書は多分ナショナル・スタンダードの部分というのを書くのだと思います。ただ、地域ということは非常にこれは実はものすごく差がありまして、先日、西の方のある大きなところで講演をしたときに、学校の何か雰囲気の違うのにも仰天しまして、やっぱり特別支援教育という同じ言葉を使っても、全く違う概念でとらえられているかもしれないというところがありまして、この点やはり国としてはここが基準だということを少し重み付けをつけていただいた方が安全なのではないかと感じました。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。露木委員、お願いします。

【露木委員】 全国連合小学校長会の露木です。7ページの(2)の教職員の養成研修制度の在り方に関わる部分で、教員の人事の交流等についてということでお話をさせていただきたいと思っております。
 今、小学校の教員を目指す学生等と話をしていると、小学校の教員になって、そのときに、通常学級のことをイメージしながら、小学校の教員になって頑張りたいというようなことを言う学生がやはり多いと思っています。
 実際、学校現場にボランティアなどで来て、特別な配慮を要する子どもの様子だとか、通級学級というのがあって、通級学級の担当の教員が通常学級の担当とディスカッションしながら、子どもへの配慮等について、知識を深めている様子を見ながら、ようやくそういう学級もあることとか、さらに特別支援学級があるということを知るというのが、今の大学生ぐらいの現状ではないのかと思います。
 当然大学で、特別支援学級等についても、特別支援教育についても、今学習しているはずだと思いますけれども、なかなか認識としては、通常の学級の教員になりたいというような思いがあるのではないかということを感じています。
 そういう意味でいうと、もう少し教員養成の段階から、特別支援学級、あるいは通級指導の学級、そして通常学級というもののあり方というものをしっかり学生に理解させるというよりは、もう少し社会に広く、特別支援教育というものを理解していただかないと、このインクルーシブ教育というのはうまくいかないのではないかとまず感じています。
 極論をすると、人事交流といいますか、教員は、通常の学級で担任をして、その次に異動するときに、特別支援学級へ行くこともありますし、通級指導の担当者になることもありますし、それから通常の学級へ異動することもあるわけですけれども、率としていえば、通常の学級から通常の学級へ異動する割合が高いです。その辺をもう少し必ず何年かの教員のライフステージの中で、特別支援学級だったり、通級指導教室だったり、そういったものを経験するということが、私は必要ではないかと思っています。
 これは、各都道府県の人事権を持っているところがすることだとは思いますけれども、そういう経験をした方が良いというようなことを、この中で主体は向こうですけれども、やはりこの報告書の中にも、そういう様々な経験を教員がライフステージの中でしていくことが重要であるというようなことは、この報告書の中に盛り込めるのではないかと思っています。
 本当は、免許制度そのものを変えるとか、もう学生の単位を変えるとか、そういうところが必要なのでしょうけれども、現実の問題として、特別支援学校の免許を持たない教員が特別支援学級等を担当しているという現実を鑑みたときには、そういった教員の人事交流というものがあった方が、私は良いと思っておりますので、そういったことも盛り込めると良いのではないかという意見です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 時間が約束の時間を過ぎました。本日はこれまでにしたいと思います。まだ御意見があるかと思います。それにつきましては、事務局の方へ、御意見をお寄せいただきたいと思います。
 たくさんの建設的な御意見を頂戴いたしました。できるだけ今後の取りまとめに反映していかなければいけないと考えております。
 今年度内に一定の取りまとめをしたいということで、審議をしてまいりましたが、もう間もなく新しい年度に入るわけです。ですから、できるだけ早く取りまとめるという方向性を考えると、報告案を審議するためには、どうしても試案のような形で取りまとめをして、それをもとにいろいろまたやっていただくことが一番早いと思っております。私と、それから石川委員長代理、そして事務局と相談をして、試案のような形で作成したものを、次回に検討していただくということでお願いできますでしょうか。

(「はい」の声あり)

【宮﨑委員長】 よろしくお願いします。それでは、是非そんな観点で、できるだけ皆さんの意見を前のときには試案のような形ですべて書き込んだので出したのですが、それをまたさらに進化させる形で、少し検討してみたいと思っております。是非、御協力をお願い申し上げます。
 それでは、少し時間が経過しましたが、本日の委員会はこれまでといたします。
 最後に事務局から事務連絡をお願いいたします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。次回17回の特別委員会の日程につきましては、追って御連絡させていただきます。以上です。

【宮﨑委員長】 それでは、本日はこれで閉会といたします。御出席くださいました委員の皆様方には、改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 

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