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特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第3回) 議事録

1.日時

平成22年9月6日(月曜日)9時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館3階 第1講堂

3.議題

  1. 就学相談・就学先決定の在り方について自由討議
  2. 制度改革の実施に必要な体制・環境整備について自治体からのヒアリング
  3. 制度改革の実施に必要な体制・環境整備について自由討議
  4. その他

4.議事録

【宮﨑委員長】 定刻ですので、ただいまから第3回中央教育審議会初等中等教育分科会特別支援教育の在り方に関する特別委員会を開催します。
 本日は御多忙の中、御出席をいただきましてありがとうございます。本日は、青山委員、貝谷委員が御欠席です。
 本日の議題に入る前に、事務局から、今回初めて御出席される委員の紹介をお願いします。
 なお、前回も申し上げましたが、発言される際は、必ず挙手の上、御名前を述べてから御発言いただきますようお願い申し上げます。また、手話通訳者のために、ゆっくり御発言いただくようにお願いを申し上げます。
 それでは、議事を進める前に、委員及び事務局の御紹介を事務局からお願いします。

【助川特別支援教育課長補佐】 文部科学省の助川です。私から、前回、前々回、御欠席された委員を御紹介します。大南委員です。

【大南委員】 全国特別支援教育推進連盟副理事長の大南です。よろしくお願いいたします。

【助川特別支援教育課長補佐】 以上です。

【宮﨑委員長】 それでは、議事に入ります。これより先は、議事の進行に支障をきたす可能性がありますので、カメラの使用を御遠慮ください。
 まず、配付資料について事務局から確認をお願いいたします。

【助川特別支援教育課長補佐】 文部科学省の助川です。配付資料については、議事次第に記載のとおり、資料1から資料13まで、及び参考資料1、参考資料2があります。また、委員の机上には、久松委員からの配付資料といたしまして、大今良時さんの描かれた漫画、「聲の形」を配布しています。資料に不足がありましたら事務局までお願いいたします。
 なお、資料2は、本特別委員会におけるこれまでの主な意見を事務局が取りまとめたものです。また、資料6は、前回、質問いただきました特別支援学校数、特別支援学校在学者数の推移と義務教育段階の児童生徒の就学状況を取りまとめたものです。以上です。

【宮﨑委員長】 資料の過不足等がありましたら事務局にお申し出ください。
 本日は初めに、前回に引き続き、論点(例)の「2.就学相談・就学先決定の在り方について」まず自由討議を行い、その後、「合理的配慮を含めた制度改革の実施に必要な体制・環境整備」をテーマとして、まずは事務局から説明をお願いし、そして2つの自治体からのヒアリング、3点目に自由討議というように進めることを予定しています。
 なお、途中で、10時25分ごろに休憩を予定していますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、「就学相談・就学先決定の在り方について」の自由討議を行います。前回は論議を十分尽くせませんでしたので、事務局等にお寄せいただいた意見等も踏まえて、自由に御意見をいただければと思います。どなたからでも結構です。よろしくお願いいいたします。
 それでは、太田委員、お願いします。

【太田委員】 品川区立鈴ヶ森小学校校長の太田です。資料7に私の意見を示していますので、それに基づいて意見を述べさせていただきます。よろしくお願いします。
 まず就学相談・就学先の決定について意見を2点述べさせていただきます。1点目は、相談体制を柔軟にするという視点からの意見です。まず就学先の決定を、小学校6年間を大前提として決定するのではなくて、子どもたちの発達の程度、あるいは適応の状態などを勘案しながら、さまざまな段階で修正を加えることを可能とするような就学相談ができると良いと思っています。特に、個別の教育支援計画が大分活用されるようになってまいりましたので、それに基づく支援会議も各学校で少なくとも学期1回は実施していると思います。今後の就学先の修正などに、そのような内容をうまく反映できるような、そういった制度を提案したいと思います。また、その就学相談の中でも、個別の支援計画は幼児期から作成されていますので、この支援計画や支援会議を新たな就学相談のシステムの中に位置付けてはいかがと思い、提案します。
 2点目は、東京都で実施している副籍制度についての紹介と提案です。東京都では平成19年度から、都立特別支援学校の小・中学部に在籍する児童生徒の中で希望する方を対象に、在住する地域の小・中学校に副次的な籍を設けるという副籍制度を実施しています。ピンク色のリーフレットを資料として机上に配布していますので、そちらを御覧ください。この資料は、東京都教育委員会から了解を得て配布している資料です。まず、この制度の概要についてですが、都立特別支援学校に在籍する子どもの保護者の中で希望する方に、区・市教育委員会を通じて、例えば「あなたのお子様方は品川区立鈴ヶ森小学校に副籍がありますよ」というような通知を行い、また、学校に対しても教育委員会から、例えば鈴ヶ森小学校の校長に、「あなたの学校にはこういう副籍のお子さんがいますよ」というような通知を行う。そして、その時点から、その学校との交流が始まるという制度です。
 リーフレットを開いていただくと右側に具体的な交流事例が記載されていますが、まずは手紙を交換したり、又は子どもたちがその手紙を届けに相手の子どものお宅に伺ったりと、このような間接的な交流を通しながら直接的な交流へと発展していく、このような段階を踏んだものです。そして、その成果についてですが、左側に掲載されている作文から、障害のある子どもだけでなく、障害のない子どもにとっても大変意義のある活動であるということが読みとっていただけると思います。
 4ページ目を御覧ください。その副籍の状況について記載されています。資料が平成21年3月に作成したものなので、平成19年度、実施した当初の実施率が記載されています。制度が開始された当初は、在籍している子どもたちの中の34.3%が副籍を希望しまして、そのうち直接交流まで至った割合が小学部で29%、中学部で20%という状況でした。その後、実施の割合は上がりまして、平成20年度には副籍の実施が39.9%、そして直接交流の実施は49.6%になっています。そして、昨年度は副籍の実施は38%にやや落ちたものの、直接交流の実施は53.0%と、半分以上の子どもが直接交流まで至ることができたという状況です。例えばですが、このような制度もノーマライゼーションの実施を踏まえて各地域で展開されれば、具体的な課題や多様な実施状況が見えてくるのではないかと思っています。ただし、副籍制度にも多くの課題があることは東京都でも感じておりまして、そうしたことも踏まえながら、まずは第1歩、何かの形で踏み出されたらいかがかなと思っています。
 また、この学籍という制度について、小学校の校長として着任して初めて気づいたことがあります。現在、学区域の自由選択制を行っている例が結構ありまして、障害のある子どもだけでなく、障害のない子どもでも実際に居住する地域の学校に通わないという場合が大変増えているということです。9月に防災訓練などを行ったりしますけれども、災害時のことも見据えて、本来居住する地域の籍を明確にした上で就学する籍をもう一度確認し合うというようなことがもしかしたらもっと広い意味で必要になってくる時代が来ているのかなとも思っています。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。ただいまの就学相談あるいは就学先の決定を柔軟な仕組みにしていくという提案に関しては、本特別委員会より以前に開催された「特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議」においても、早期からの教育相談・支援の充実ということで重点的に検討がなされました。具体的には、平成22年3月24日に取りまとめられた、同会議の審議経過報告、机上の基礎資料集の6番目に綴られていますが、こちらの冊子の55から56ページにおいて、「特別支援教育の更なる充実に向けて(概要)」を御覧ください。この中にも、先ほど太田委員が御発言されたような具体的な提案が盛り込まれております。それより以前にも柔軟な仕組みをつくっていこうということについては論議をされたことですので、またご検討をお願いできればと思います。
 それから、もう一点の副籍事業についてですが、このような制度についても東京都のみではなく、埼玉県や神奈川県などの他の県でも展開されているものと思います。こうした取組の充実が非常に求められています。その他の県でも同様の取組がなされていると思いますが、とりあえず私が知る限りで3都県を紹介しました。少し補足させていただきました。
 それでは、尾崎委員、お願いします。

【尾崎委員】 全国特別支援学校長会の尾崎です。私からは、就学相談・就学先決定の在り方についての意見書を資料8にまとめていますので、それに基づいて発言させていただきます。
 まず就学相談・就学先決定の在り方についてですが、先ほど太田委員からも発言がありましたように、個別の教育支援計画に、就学前の段階から保護者がそのプロセスにきちっとかかわることによって就学先を決定し、その内容をもとに就学後の教育の在り方、支援の在り方が決まり、それを実行するというような形が一番望ましいだろうと思います。そこで保護者の意向を最大限尊重していく仕組みをぜひつくっていったらどうかというのが1点目です。
 それから2点目ですが、学校教育だけではなくて、就学前の場合は教育、医療、福祉、関係機関のネットワークにおいて保護者が相談し、支援を受けると。それを教育が引き継ぐという形ですが、教育が始まった後もその関係機関との連携は必要です。ですから、ぜひ関係機関による就学前の療育や教育に関する支援を学校でも引き継ぐという形で制度としてならないのかなと思います。そうなると、ただ教育に関するだけではなくて、総合福祉法が今後検討されますけれども、教育の側からもそういうことについての意見は言っていく必要があるのかなというのが2点目です。
 3点目は、合意形成の在り方です。ぜひ保護者、学校、そして学校設置者の合意をもとにとことん話し合っていただいて、そのもとで就学先を決定していただきたいということです。調整する機関が必要ということであれば、指導の専門性や、客観・公正な見識を持ち合わせる構成員を入れた調整機関を設けることが必要だろうと思います。この調整機関についても、早急に実施するのではなくて、モデル事業等から始めて、その結果を紹介することで広げていくという方が良いのかなと考えます。
 4点目は、就学先の変更が速やかに行われる仕組みが必要であるということです。特に、就学時にはその学校に適応していると思われる児童も、1年、2年たつと不適応を起こす可能性もあります。子ども中心の考え方によれば、そのような場合は速やかにその子のニーズに合った学校に変更できることが求められますので、そのような仕組みをぜひつくっていただきたい。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。具体的に就学相談・就学先の決定の在り方のプロセスといったような問題について述べていただきました。1番目、2番目、4番目というのは太田委員の意見と同じようなところかと思いますが、3番目の保護者、学校あるいは学校設置者の合意形成ということ、ここが一番懸案になる部分になろうかと思います。このあたりについての御意見もまたいただければと思います。尾崎委員の考え方では、モデル事業等を展開しながらこの点は進めていったらどうかということですが、この点も含めて御意見がありましたらお願いいたします。
 それでは、清原委員、お願いします。

【清原委員】 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。太田委員、そして尾崎委員から、相談のプロセスにおける柔軟性、あるいは学校、教師以外の関係機関との連携の必要性が重視された御提案がありました。私たちも、教育委員会のみならず、小さなお子さんの障害の発見については、健康福祉部門、とりわけ、市役所であれ町村役場であれ、早期の段階で、健康診断とか、そうした段階で発見する場合が少なからずあります。したがいまして、最近の医療機関等での発見、あるいは保育士や幼稚園教諭の気づきの感度から申し上げますと、学校入学直前ではなくて、かなり早期の段階から療育相談や障害のあるお子さんに悩まれている保護者の相談には乗っております。そういう意味で、この2人の委員がこれまで御提案されたようなことを、具体的により一層、それぞれの自治体の努力だけではなくて、何らかのモデル的なプロセスであるとか、あるいは具体的な事例の共有であるとか、そうしたことを検討することは最優先で意義があることと思います。それが1点目です。
 2点目に、太田委員から東京都の副籍制度について御紹介がありましたので、それに関係して三鷹市の事例を2点紹介したいと思います。今回、東京都教育委員会の了解の下、配布していただきました副籍制度のリーフレットを開いていただきますと、副籍について寄せられた作文が紹介されています。この作文が三鷹市立第五小学校5年生の中野莉里さんの作文なものですから、この点についてもかねて教育委員会から報告を受けておりまして、市長の立場で改めて紹介したいと思います。
 この作文は、平成20年度の内閣府の「心の輪を広げる体験作文」の入賞作品でもあります。都立の肢体不自由特別支援学校に通う弟が小学校の全校集会での交流後、他学年の子からも声をかけられるようになったという内容です。このことは、周囲の児童が弟さんの障害のために今まで声をかけなかったのではなくて、単に知らない子どもだから声をかけにくかったということもあり、すなわち、障害のある子だから差別される云々と周りは解釈しがちですけれども、実は「交流」ということの意義というのが再確認されたということを子どもの視点から書いてくれたものです。
 三鷹市でも、平成21年度は三鷹市内に在住で都立の盲・聾特別支援学校に入学している児童生徒の約40%が居住地域の学校との副籍事業を行いまして、この希望者は年々増加しています。このほか、直接交流の例として、都立の特別支援学校の生徒が中学校のマラソン大会のための朝練習にも参加し、実際の市立中学校のマラソン大会にも出場した例などがあります。副籍制度について太田委員が御紹介されたものですから、この場で補足させていただきました。これは後半の課題にもかかわることだと思いますけれども、現実にこれまでも、なるべく障害のある子どもが差別されないように、そして地域とのつながりを強めることの意義から実践されております。こうしたことが今後の就学相談や就学先の決定についても、過渡的なものなのか、あるいは今後もかなりの長期間が必要なものなのかは今後の検討も必要ではありますが、大きな影響のある先行事例ではないかと思いまして、私からも補強をさせていただきました。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、品川委員、続けてお願いします。

【品川委員】 ありがとうございます。品川です。前回提出させていただきました就学相談と就学先決定についての私見を簡単に説明させていただきます。現状を取材しますと、皆さんご存じのように、自治体間の差が非常に大きくあります。その差が何に由来するかという点ですが、まずは就学判定にかかわる人たちの専門性にあると思われます。人材の専門性が自治体によって大きく異なります。提出資料にも記載しましたが、自治体には、ドクターや指導主事だけが判定する地域もあれば、大学の先生や心理士が関わる地域もあります。一方では、校長先生と保護者のみで判断される地域もあります。最も大事なことは、その子どもの実質的な教育的ニーズが押さえられているかどうかというところであり、そのためには発達的な視点が必要であると考えます。つまり、医師や心理士だとしても発達的な視点がなければ、子どもたちの実質的な教育的ニーズを判断できるとは言えません。例えば、アスペルガー症候群なので小集団での指導や個別指導のほうが良いと言われ小集団に入った結果、理解のないコミュニティ集団では適応が困難となってしまうこともあります。それから、教育は言語理解が大前提にあるにもかかわらず、その言語の検査をしている就学判定がほとんどないという実態もあります。
 このように考えていきますと、連携については皆さんもおっしゃっているとおりですが、私からは、多角的な専門性のある学際チームによる判定、相談、そして検証を行える組織を都道府県レベルで設置することを提案させていただきたいと思います。そのような組織がありませんと、例えば、都市部なら適切な就学指導が受けられるけれども、地方のほんとうに小さい自治体では受けられない、あるいは逆に、非常に小さい自治体のほうが丁寧に取り組んでいて、大きい自治体では粗雑になっているというような、格差を実質的に埋めることはできないのではないかなと考えています。都道府県レベルでしっかりと判定、相談、検証ができる機関をまず設置して、その機関では1年を通していつでも相談できるというようにするということと、また相談だけでなくその機関で実施し指導したことがきちんと教育現場に反映されているかを監督することも必要です。その機関には言語理解や発達障害のことに詳しい人たちを配置するということが必須であると考えています。
 それから、もう一つ提案したいのは、子どもの実質的なニーズを把握することに関してです。確かに、保護者が関わることは非常に大事なことです。しかし、保護者が子どものニーズを伝える際に、必ずしも的確に表現できるとは限らないのです。すべての母親、父親が上手に自己表現できるとは限らなくて、そのときに大事なことは、その子どもが育ってきた過程にどのような状況があって、どのような教育を受けてきたかという客観的なファクトです。そのためには、出生から就労まで確実に指導・支援できるような、母子手帳のような、子ども自身の記録をずっと載せる教育手帳みたいなものを出生のときからすべての子どもに持たせてはいかがでしょうか。すべての子どもにそのような手帳を持たせることは、わかりにくい機能不全や機能障害をすこしでも指導・支援できるだけでなく、虐待など環境的な課題の予防にもつながりますし、就学判定や就労時の際の大きな情報源になるし、例えば転校などの場合にも情報共有の手段になるだろうと考えています。このような取組を始めているのが、新潟県の三条市です。そこでは、「すまいるファイル」という子どもサポートファイルの取組を始めましたので、興味がある方はぜひネットで御覧ください。非常に良いファイルです。そういうことを提案したいと思います。そのほか、詳細は配布させていただきました資料に記載していますので、そちらを御覧ください。ありがとうございました。

【宮﨑委員長】 ありがとうございます。発達障害の児童に関する指導が一番問題になるのだろうというような御指摘かと思います。その点については、人的な整備がまだ十分進んでいないということが全国的にも言われているところですので、このあたりをどう整備するかということが非常に大きな課題になるものと思います。現在の段階では各都道府県の取組によるところが大きいというのが実態ではないか。これを国レベルでどのように整備をしていくかが早急な課題になると思いますので、この点も含めて制度設計の在り方についてこの会議で協議をしていかなければいけないのではないかと思います。
 それでは、大南委員お願いします。

【大南委員】 全国特別支援教育推進連盟の大南です。3点申し上げます。まず1点目は早期からの教育相談についてです。これは教育関係者だけではなくて、特に福祉の関係者を含んだ複数での相談をしていく必要があるのではないか。既に保育園であるとか通園施設の方の相談を、教育相談と、それから福祉の関係の方がペアになって相談をしているところもあります。そして、特別支援学校のセンター的機能をこの中に位置付ける必要があるだろうと思います。
 2点目です。就学支援シートが話題になっていますけれども、現在、市町村教育委員会あるいは親の会では、支援ノートについて、かなりの工夫がなされております。例えば、東京都知的障害者育成会では、生まれたときから成人になるまで、まとまるようになっている「東京生活支援ノート~つなぐ~」というノートを作成していますが、これは就学支援シートよりも長い期間使用できるものと思います。このようなものを、今後活用していただければと思います。先ほど品川委員が発言されたファイルもその一つだろうと思います。
 それから3点目です。これまでも発言されていますが、就学相談や就学支援に関与する方の、資質向上を目的とした研修を都道府県が責任を持って実施しなければならないだろうと思います。例えば東京都では、東京都教育委員会が年に数回、就学支援に関わる担当者を集めて研修会を開いていますけれども、そういうことを継続的に実施していかないと、これまで出されている課題がいつまでも継続してしまうのではないかと思います。以上3点です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。早期支援の在り方、特に特別支援学校のセンター的機能の活用といったことや、支援シート、それから、これまであまり出てこなかったことですが、就学相談の担当者の研修会で質的な向上を図っていくべきであるというような意見をいただきました。
 それでは、山岡委員お願いします。

【山岡委員】 発達障害の団体を代表して参加しています、日本発達障害ネットワークの山岡です。先ほど、太田委員や尾崎委員が発言されたように、就学相談について、確かに柔軟性の確保や就学後の変更、あるいは合意形成の問題は、非常に大事だと思います。また、太田委員から提出いただいた東京都の副籍制度、宮﨑委員長からお話がありました埼玉県の支援籍、あるいは横浜市の副学籍のように似た制度がありますけれども、また、全国的にもいろいろな制度があるかもしれません。これらは、今回テーマになっているインクルーシブの教育を考える場合に、一つの参考になると思います。東京都の副籍制度は、籍は特別支援学校にありながら地域の学校にも行けるというような制度です。埼玉県の考え方は、地元に籍を置きながら、特別支援学校に通うというようなものだったと記憶しております。実質的には特別学校に通っているわけです。横浜市の副学籍は、東京都の取組に近いものであったと思いますが、実態は良く把握していません。インクルーシブ教育を考えるときに参考になると思うので、もう少しこの3つの制度について、他の制度もあればそれも含めて比較をしていただいて、状況等について報告いただければと思っています。
 太田委員には申しわけありませんが、リーフレットの「副籍の状況」の表ですけれども、統計のマジックみたいなところが少しありまして、例えば、直接的な交流を行っているのは、小学部の児童では約29%と示されていますけれども、おそらく年に1回の交流でもこの割合に含められるのではないかと思われます。このため、可能であればどのぐらいの頻度で交流しているのかといった状況がわかればと思います。この交流及び共同学習にも関係してきますが、実態としてはどうなっているのか。特別支援学校に通いながら地元の学校に年に1回顔を出すみたいなことではなくて、交流の回数、交流の一環として行っている授業、または、大変とされている交流校に通うための移動手段など、それらの実態がどうなっているかについても報告いただけると議論の参考になるのではないかと思います。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。現在進んでいる東京都の副籍、神奈川県の副学籍、それから埼玉県の支援籍について、それぞれ若干異なっている制度ですが、このあたりを少し俎上にのせてインクルーシブ教育への一つの手がかりとして考えてみたらどうかという提案でした。

【山岡委員】 もう一点、補足をしてよろしいでしょうか。いずれにしても、これらは現行法令の範囲内で、県で取り組んでおられることなので、参考になるものと思っています。

【宮﨑委員長】 そういうことですね。はい。現行法規上での現在取り組まれている内容であるということです。
 それでは、久松委員、お願いいたします。

【久松委員】 全日本ろうあ連盟の久松です。太田委員、それから尾崎委員に質問申し上げたいと思います。まず太田委員に、副籍についてもう少しお聞きしたいのですが、副籍については全国的に普及すべきと考えているように思いますが、全国展開するための条件について教えてください。現在、東京都、埼玉県、神奈川県、横浜市において始まっていますが、人口の少ない県においては広域的になりますので、副籍制度を導入するとなると、東京都や埼玉県と違った別の条件整備が必要になるのではないかと考えています。そのあたり、北海道、東北、また九州などといった地域に普及するための条件整備についての何かお考えがあればお聞かせください。
 2点目ですが、東京都、埼玉県の場合には、特別支援学校の先生が、ご自分の教室を見るだけではなく、兼務という形で取り組んでいるということで、非常にお忙しいのではないかと思います。兼務するということで、なかなか、地域の小学校、中学校等の支援ということを考えますと、保護者のニーズにかなった形での体制づくりができるかどうかということ、そのあたりも、配置の数等につきましての現状も含めてご教授いただければと思います。
 また、尾崎委員に対する質問ですが、保護者、学校、学校設置者の3者の合意形成という考え方に踏み込むということについて少しお話しいたします。3者に加えて当事者が入って4者の考え方の合意形成という形で進めるという意見がありますが、この意見についてはどうお考えでしょうか。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。それでは、太田委員、尾崎委員、御回答をお願いいたします。

【太田委員】 品川区立鈴ヶ森小学校の太田です。御質問ありがとうございました。
 私も4月からは一校長として勤務していますが、残念ながら私の学校には副籍の子どもがおりませんので、これまでの経験から回答させていただきます。副籍制度は、東京都の場合には、比較的交通の便がよいということで、基本的には居住する地域の学校に副籍を持ちますから、歩いて通える範囲の学校に副籍を持つということが一つの原則になっています。そういうことで、この制度を考えた当初は、通学は自分で、あるいは保護者の付き添いでできるだろうということで始めました。しかし、実際には、副籍の学校に行くための通学の支援が非常に難しいということが課題として判明しています。それが1つ課題です。また、2番目の質問にもかかわりますが、副籍は、学校同士の交流と異なり、例えばクラスに6人在籍していますと、1人が副籍で交流をしても、その間の残りの5人の授業を特別支援学校が実施しなくてはいけないということになります。そうすると、副籍が始まる当初は担任が引率するものの、現実問題としては、毎回副籍の学校に担任がついていくということはなかなか難しい、そのあたりの困難さが課題としてありまして、特に兼務ということともその課題にかかわってきます。それから、教育課程上の問題というのも実際には結構ありまして、副籍の回数が非常に伸びないということをご指摘いただます。それぞれの学校で、特別支援学校の教育課程で学習しているお子さんと、それから小学校の教育課程の中に入り込んでいくという、そこのところの問題があります。厳密に言うと、お子さんの授業時数の問題や教育課程上の位置付けの問題などがあったり、もう少し具体的に言いますと、両校でどのような時間割にするかというような調整もありまして、理想はあっても現実的には、交流及び共同学習を進めていくことにはまだまだ課題があると感じています。
 また、東京都以外の地方を考えた場合、おそらく特別支援学校の寄宿舎に入っている子どもが多くいるのではないかと思います。そうすると、その副籍の学校に行くのは寄宿舎から行くのか、それとも一度帰宅してから自宅から通うのかというようなこともあるのではないかと。私は東京都以外で勤めたことがないので、これ以外は思いつきませんが、そのようなことで回答とさせていただきます。以上です。

【宮﨑委員長】 それでは、尾崎委員、お願いします。

【尾崎委員】 それでは、副籍について、全国の状況を踏まえて、私からも補足します。全国的にみると、寄宿舎の設置されている学校もありますが、夏休みや土・日を地域で過ごすことも多くあります。インクルーシブな教育システムの中に地域生活も含めた考え方をとり入れ、居住地にいるときにいろいろな地域と交流できるような、そういう支援計画、個別の教育支援計画等を作成して取り組んでいくことも一つの方法かなと思います。その際、学校だけではなくて、関係機関、特に区市町村の関係機関が非常にかかわりますので、そことの関係をつくっていくと。これは在学中からつくっていくという制度も考えられると思います。そうなると、学籍の話ではなくて、地域生活を地域でどう支援していくのか、そういう観点も必要になると思っております。
 次に、合意形成に当事者を加えるとの件について回答します。特に幼児期の当事者の意見が明示的に発言される場合もありますが、当事者の意見といった際には、当事者の意向をどうとらえるかということが大切であると思っています。保護者の意見もそうですし、また、学校、保育園、幼稚園などの機関、それから療育関係機関の人たちが、どんな様子で子どもたちが過ごしているのか、そしてどういうことを望んでいるのか、どういうことをやりたいと思っているのか、それらを酌み取ることが当事者の意見を酌み取ることになるだろうと思います。そこに専門家の意見も取り入れながら、全員で当事者のほんとうの気持ち、ほんとうにやりたいことはどこにあるのか、これを探っていくのが就学相談の過程かなと思います。それから、中学校段階、高等学校段階になると、当事者の意見を聞くシステムが必要だろうと思います。当事者がその意見を言う背景を知ることは我々もできると思います。本人の意向を聞いて、なぜそういうことを言っているのか、そして、アドバイスをするかもしれませんが、本人が納得していく過程が非常に重要であり、そこが中学校・高等学校期の相談のポイントになるものと思います。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。久松委員、よろしいでしょうか。

【久松委員】 わかりました。ありがとうございます。

【宮﨑委員長】 この点に関しては、先ほど山岡委員が発言されたことも含めてもう少し整理をする必要があるかと思います。
 それでは、中澤委員、お願いいたします。

【中澤委員】 国立特別支援教育総合研究所の中澤惠江です。資料11を御覧ください。本資料は、前回の会議で受けた質問の回答ともなっているものです。アメリカとイギリスにおける就学先決定、それだけではありませんが、そこへの保護者支援システム、早期の紛争解決システムがアメリカとイギリス、両方とも法的に定められて運営されていますので、その紹介をさせていただきます。
 イギリスは、2001年の法改正の中で「両親への助言と情報」という新項目を法律に規定したと同時に、その後に「紛争の解決」というものを規定しています。この規定を法的根拠として、地方行政局が両親パートナーシップ・サービスというものを提供することが義務付けられています。基本は保護者の支援とエンパワーメントです。全部を網羅しているわけではありませんが、役割について資料に幾つか記載しています。特別支援教育の内容を決めるプロセスの中で、保護者の権利、役割、責任をもとに、適切で中立な情報を保護者に提供する、また、教育以外の必要な情報について紹介をする、さらに、特別支援教育に関する法律や規則をわかりやすく伝える、それだけではなく、教師や市役所、地方行政局の担当のスタッフとよいコミュニケーションや関係をつくれるような研修を行う、あるいは逆に、同様に、学校、地方行政局のスタッフにも家族などを理解するための研修を提供する、このような役割を果たしているものがあります。さらに、紛争の解決に関しては、両親が裁判に訴える前に、非公式的な方法で話し合いをして合意に至れるようにシステムが用意されており、その際に重要にな役割を果たすのは、公平かつ独立したファシリテーターです。英語の日本語直訳では促進者とでも言いましょうか、司会なんかにもよく使う言葉ですが、この方たちは意見の不一致の解消についてのトレーニングを受けた方で、かつ法律とか実施されている内容について精通された方たちです。
 一方、アメリカにも同様なシステムがあります。むしろ、アメリカのほうが長い歴史を持っているのですが。アメリカでは、IDEA(障害のある個人の教育法)で、連邦政府が大事に思っている活動に資金提供をすることとされており、その領域が示されていますが、その中の大きな部分を占めるものとして、両親のための両親研修・情報センターというものがあります。役割は、イギリスの場合とほとんど共通しています。アメリカの場合は、この両親研修・情報センターの理事会の過半数は保護者である必要があります。また、アメリカのほうが規模としては大きいですが、アメリカ全土で100を超えた数はあるものの州によっては1つだけという場合があります。一方で、イギリスの場合は、より小規模なものの、ロンドンの中だけでも30ぐらいはあったように思います。アメリカの場合は、自分自身の子どもの障害の特性を理解するということを含めて、親が、先ほどのイギリスと同様の内容の研修を受けたり、ほかの親と相談ができたりするものになっています。完全に機能しているかどうかは別として、このような中で情報を十分に得た上で、学校及び教育委員会と協力的にコミュニケーションをして決定していくというシステムが用意されています。アメリカの場合は、正式な不服申し立てに至る前に、日本語訳で仲裁としていますが、Mediationという非公的な方法があります。これについては任意となっており、両親が希望しなければ行われません。しかし、就学相談がなかなか進展しない場合に、このシステムの利点等について、両親研修・情報センターと契約をした中立な立場の人が説明するというようなことも法律で定められています。
 これまでの議論は、多くの場合、教育相談と保護者という形だったのですが、もうワンクッションとして、保護者自身の意向を中立的に伝えながら支えていくシステムがアメリカとイギリス両方にはあるということを紹介させていただきました。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。前回の質問も踏まえて発言いただきました。就学相談・就学先決定の在り方についてはこの後の自由討議の中でまた討議をお願いします。それでは、先に進めさせていただきます。
 続きまして、本日の議題であります「合理的配慮を含めた制度改革の実施に必要な体制・環境整備」に移らせていただきます。まず事務局から説明をいただいて、次に宮城県教育委員会、奈良県教育委員会からヒアリングを行い、続いて質疑応答を行いたいと思います。まず、事務局から説明をお願いします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井と申します。それでは、事務局から提出しています資料3の「合理的配慮について」に基づきまして、説明させていただきます。
 まず1ページの「1.障害者の権利に関する条約における『合理的配慮』」を御覧いただき、改めて条約についての御確認をお願いします。まず、第24条の教育の部分におきまして、「権利の実現に当たり確保するものの一つとして、『個人に必要とされる合理的配慮が提供されること。』」とされています。合理的配慮については、(2)で記載していますが、第2条の定義において書かれている表現を読み上げますと、「障害者が他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。」と定義されています。
 続きまして、合理的配慮の提供として考えられる事項として事務局で整理させていただいておりますが、実際に小学校、中学校等で行う場合には、大きく分けて2.(1)、(ア)から(ウ)の3つの分野が考えられると整理しています。(ア)としまして教員、支援員等の確保、(イ)としまして施設・設備の整備、(ウ)としまして個別の教育支援計画等に対応した柔軟な教育課程の編成や教材等の配慮というものです。
 続きまして、資料3の別紙1を御覧ください。議論の参考といたしまして別紙1には、公立小・中学校等において、先ほどの(ア)から(ウ)についての役割分担とその現状を示しています。まず「(ア)教員、支援員等の確保」についてですが、教員の給与負担・定数等については、国は給与費の3分の1を国庫負担しており、特別支援学級等の教職員定数の総数の標準を設定しています。都道府県では、国庫負担を受け教員の給与を負担するとともに、教職員定数の設定を実際に行っているところです。
 次に、教員の研修ですが、国、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所により、指導者層の研修のための研修の計画・実施を行っています。都道府県では研修の計画・実施、市町村では研修の実施等を行い、学校で校内研修を行っているという状況です。また、教員の資質・能力をはかる指標として、参考として示していますが、公立の小・中学校の特別支援学級の担当教員の特別支援学校教諭免許状保有率を記載しています。小学校では33.3%、中学校では27.9%という現状です。また、その下の参考では研修の受講状況を示しています。小学校で特別支援教育に関する教員の研修は68.8%の方が受講したことがあると。中学校では55.7%の方が受講したことがあるという状況です。
 続きまして「(c)支援員の配置」ですが、国としては総務省で地方財政措置を行い、実際には市町村で特別支援教育支援員の配置を行っているということです。なお、平成22年度の地方財政措置は3万4,000人程度です。それに対して実際の活用状況ですが、今年の5月1日現在においては、3万4,132人活用されているという状況です。
 3ページ目です。看護師・医師等による医療的ケアについては、地方財政措置等はありませんが、参考として特別支援学校の状況を示しています。特別支援学校において医療的ケアが必要な児童生徒数は5,268人いらっしゃいます。この人数は、公立の特別支援学校の小・中学部の全在籍者の約9%程度になっています。
 続きまして(イ)の施設整備ですが、施設整備については、国で学校施設・設備の整備に関する経費の3分の1または2分の1を国庫負担しています。これにはバリアフリー設備の整備も含んでいます。市町村は国庫負担を受けた形で学校施設・設備の整備に要する経費を負担しています。また、維持修繕費については地方交付税措置がなされています。
 続きまして、(ウ)の教育課程の編成や教材等の配慮のところですが、教育課程の編成については、国でまずは学習指導要領等により教育課程の基準を設定し、市町村では教育課程の管理を、学校では教育課程の編成をそれぞれ行っているところです。教科書については、国が検定・無償給与等を行っているほか、文部科学省著作教科書の作成を行っています。都道府県では採択についての指導、助言、援助を行い、市町村が実際に採択するということをしています。教材については、国で地方財政措置をしており、市町村は教材の届け出、承認を行うことになっています。学校では実際の教材の決定を行っています。
 1ページを御覧ください。障害のある児童生徒等に対する教育を小・中学校で行う場合の合理的配慮、これを特別支援学校等で行われているものを参考に具体的に挙げたものとして別紙2を示しています。これは実際にイメージしていただけるように作成しているものですので、あくまで例ということでお願いしたいと思います。参考までに、合理的配慮の例、1番目に各障害種共通のものを列挙していますが、例えばバリアフリー・ユニバーサルデザインの観点を踏まえた障害の状態に応じた適切な施設整備、それから障害の状態に応じた専門性を有する教員等の配置、移動や日常生活の介助及び学習面を支援する人員の配置、点字、手話、デジタル教材等コミュニケーション手段を確保するといったような例を挙げさせていただいております。以下、障害種ごとに考えられることを例示させていただきました。1ページの一番下のところを御覧ください。これまで参考例を説明させていただきましたが、障害者の権利に関する条約に規定される「均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」について、考慮すべき事項としてどのようなものが考えられるかについて御意見を賜ることができればと考えています。事務局で例示させていただいたのは、例えば、児童生徒一人一人の障害の状態、教育的ニーズ、学校の状況、地域の状況、体制面、財政面ということで挙げてみましたが、これらについても御意見を賜ればと思います。
 以上で説明を終わります。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。今の説明をもとに後の議論に入りたいと思います。
 次に、宮城県教育委員会、奈良県教育委員会からヒアリングを行い、続けて質疑応答を行いたいと思います。それでは、宮城県教育委員会からお願いいたします。

【宮城県教育委員会菊池室長】 宮城県教育庁特別支援教育室の菊池です。まず、本特別委員会においてこのような発表の機会を頂きましたことに感謝を申し上げます。それでは、本日は、制度改革に必要な体制・環境整備ということですので、本県における学習支援室構想に係る実践例を中心に説明させていただきます。
 宮城県では、平成17年に、「障害の有無によらず、全ての子どもが地域の小・中学校で共に学ぶ教育を子どもや保護者の希望を尊重し展開する」、このことを基本理念とする宮城県障害児教育将来構想を策定しました。宮城県の基本理念は、「共に学ぶ」教育です。この基本理念実現のためには、障害によって生ずる教育的ニーズに対応する学習の場の設置や指導体制の在り方など新しい学習システムを整備すること、そして、「共に学ぶ」教育を漸進的に実現するため、特別支援学校の児童生徒が居住地の小・中学校で学ぶ活動を推進することが大切であると考えました。具体的には、ヒアリング項目1に紹介する平成17年度から19年度まで実施した学習システム整備モデル事業と、その後継事業の平成20年度からの学習支援室システム整備事業、そして、ヒアリング項目4で紹介する居住地校学習推進事業を「共に学ぶ」教育実現の2本柱と位置付け、体制・環境整備に努めているところです。
 1つ目の学習支援室システム整備事業は、平成17年中央教育審議会答申「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」の特別支援教室構想と基本的な考えは同じものであると考えており、本県がモデル的に取り組んでいる事業です。市町村就学指導委員会において特別支援学級あるいは特別支援学校相当と判断された児童生徒であっても、本人及び保護者が通常の学級在籍を希望する場合には、希望を尊重し、通常の学級に在籍させるというものです。この対象児童生徒が在籍する通常の学級には、担任のほかに、県単独で教員を加配しています。以下、これを配置教員と呼び、対象児童生徒を対象児と呼ばせていただきます。配置教員は、通常の学級で、あるいは対象児の必要に応じて、学習支援室、これは対象児に個別的に特別な指導を行う教室です。この学習支援室で指導・支援に当たるというものです。また、対象児の実態に応じ施設の修繕や医療的ケアが必要な場合にも、それらに係る経費についても県で助成しています。
 平成20年度からは、配置教員を学習支援室担当とし、対象児以外の児童生徒についても指導できるようにしました。具体には、配置教員は対象児の指導・支援を中心に行うものの、学習内容により対象児から離れることができるようであれば、通常の学級に在籍する他の障害のある児童生徒の指導・支援にも当たれるということになりました。
 これまで5年間この事業を推進しての成果について、4点にまとめて紹介いたします。1つ目として、対象児も、そして同じ学級に在籍する他の障害のある児童生徒も、配置教員による個別的な指導・支援を受けたことで学習に対する興味・関心、意欲が高まった。学習態度が身についた、学習への集中が持続するようになったこと。2つ目として、保護者は対象児の成長を障害のない児童生徒の成長を参考にしながら確認できる。また、障害のない児童生徒の障害のある児童生徒への接し方や気遣い等、心の成長が見られるということです。3つ目として、配置教員の指導・支援の様子を日々の授業実践の中で知ることができることから、教職員全体の特別支援教育に対する理解と指導力の向上が見られていること。4つ目として、配置教員が特別支援教育の推進役を果たし、校内支援体制が充実・整備されてきていることなどが挙げられます。
 続きまして課題について説明します。1つ目として、通常の学級で指導を行う場合、現行制度では、障害の重い児童生徒でも、通常の小・中学校の学習指導要領における教育課程、指導内容を遵守する必要があるということです。このため、特に対象児が重い知的障害の場合には、障害のない児童生徒の学習内容や学習活動と一体化した学習には困難さがあり、教育課程の編成にかなりの難しさがあります。2つ目として、評価基準や評価方法にも個に応じた工夫が必要であることです。そして3つ目として、知的障害のある場合、対象児の学年が上がるにつれて当該学年で求められる学習課題と対象児の理解力のレベルの差が開いていく傾向があり、とりわけ中学校段階では顕著になります。対象児の中には、小学校中学年あるいは中学校入学を機に特別支援学級への学籍移動や特別支援学校への転学を希望する例が見られました。その理由として、学習進路や学習内容への不適応が上げられていることも紹介しておきたいと思います。
 これら3点に加え、本県の厳しい財政事情の中、学習支援室の設置や配置教員等の財源をどう確保するか、これも大きな課題となっており、県単独でこの事業を拡大するには相当無理があります。
 続いて、取組の2つ目の柱、居住地校学習推進事業について説明いたします。この事業から明らかになった成果と課題などを紹介いたします。1つ目として、交流及び共同学習により、居住地校の児童生徒、教職員、保護者の障害のある児童生徒に対する理解の深まりが見られること。2つ目として、当該学校の教職員や保護者の事業趣旨についての理解度が高い学校は交流が活発になり、かつ有効な活動が見られること。3つ目として、担任が居住地校学習に付き添いで出張した場合、支援学校に残された児童生徒の教育活動を停滞させないために後補充講師の配置が大切になること。4つ目として、これは課題になるかと思いますが、学年進行に伴って、どんな活動内容を設定するかが難しくなってくることなどです。
 なお、本事業は平成16年度からの実施であり、特別支援学校の保護者や教職員、居住地校の教職員等への啓発はかなり進んできています。ただ、本県提出の資料4の最終ページにありますように、平成20年度から今年度現時点までの交流実施割合は、ここ2、3年27ないし28%と停滞してきています。このことは、特別支援学校在籍児童生徒及び保護者の全員が必ずしも居住地校交流を希望するわけではないことを示すデータではないかとも推察しています。
 以上、現行制度の中で県単独事業として取り組んできた本県の学習支援室システム整備事業、そして居住地校学習推進事業について説明しました。まとめとして、ヒアリング事項5に記述しています宮城県の考えを述べさせていただきます。
 結論として、特別支援教室構想の制度化も含め、障害のある児童生徒本人や保護者の希望に応じた教育の場が確保され、選択できる体制・環境整備が必要だということです。具体的には、現行の特別支援学校、特別支援学級、通級指導教室という指導の場を今後も確保しつつ、特別支援教室構想、本県でいう学習支援室ですが、これが制度化されることが望ましいと考えています。
 さらに、その実現のためには、特別支援教育についての専門性を有する教員の育成、配置、校舎のバリアフリー化、学習支援室の確保とその改修整備など、制度化とあわせ、人材、施設などの条件整備、財政支援が必要であること。それに、就学支援や個別の教育支援計画の作成には、学齢期に限らない総合的な支援や就学相談、就労支援、療育など関係機関との連携も必要となること。
 以上、実践を通じ強く感じたところを紹介させていただき、終わらせていただきます。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。なお、菊池室長の説明の中にありました中央教育審議会の答申は、基礎資料集の9項目に綴られている「特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申)」になります。平成17年12月8日に答申が出されていますが、この冊子の15ページから18ページにかけて特別支援教室(仮称)構想が挙げられています。宮城県での事例は、この答申の具体化と見てとれると思います。質問等については後ほど奈良県教育委員会からの発表を聞いてからにさせていただきます。
 それでは、奈良県教育委員会からお願いをいたします。

【奈良県教育委員会山本室長補佐】 奈良県教育委員会事務局特別支援教育企画室、山本と申します。本日は、このような貴重な時間を頂きますことを御礼申し上げます。それと、先ほどの議論を聞かせていただき、昨年の今ごろのことを随分と思い起こしています。皆様には随分と御心配をおかけしました。今日はそのことも織りまぜながら報告、発表させていただきます。基本的な姿勢として、就学指導あるいは就学相談について、悪い者をつくってはいけないと思っています。先ほどの中澤委員の提案にもありましたが、私ども県は、町と保護者との間で中立的な立場ですので――中立的であったかどうか自問する部分もありますが、そんな中で、ほんとうに悪い者はつくってはいけない、子どもを中心に考えて進めようと、こういうことで取り組んでまいりました。そんな思いを込めて、今日は主に体制と整備ということで発表させていただきます。
 資料5を御覧ください。一番最初の○に記載のとおり、あのような例がありますと、奈良県は地域で受け入れることが非常に険しい県というふうに誤解されるかもしれませんが、そうではありません。もともとかなり地域で受け入れています。特別支援学校に在籍する小・中学部段階の子どもが26%、小・中学校の特別支援学級で74%と。これはずっと変わっておりません。26対74、地域のほうが多く受け入れています。途中、特別支援学校を2校新設しましたけれども、その間もこの割合に変化はありません。おそらく全国よりもその比率は高いのではないかと思います。そういう意味では、もとよりかなり地域志向が強い、そしてそれぞれの市町村の努力、工夫によりかなり体制整備、環境はなされてきている、そのように考えています。
 (1)の○1ハード面ですけれども、ほとんどの学校で何らかの対応をしています。しかし、何らかの対応といいましても、そのほとんどは段差解消やスロープ設置などの軽微なものです。段差解消、トイレ改修、バリアフリー、ユニバーサルトイレまで改修しているのはまだ少ないかもしれません。エレベーターの設置に至っては12~13%という状況です。多くの場合は、大規模改修にあわせて改修するという財政状況ですので、気持ちは受け入れようとしてもなかなかハードがついてこない、これが地方の現状です。そのような中で、余裕教室の活用などは取り組んできています。参考までにエレベーターの設置率を申し上げましたが、これは、去年のことがありましたので調べたデータですけれども、特に常時必要とする子どもが在籍する学校でのエレベーター設置率にしてもその程度の率です。
 そのハードを超えるためにはいかにソフトで支えていくかということになろうかと思います。奈良県では、特別支援学級の設置や、県の加配を入れた学級定数の改善に取り組んでいるところです。また、地方財政措置の支援員等の活用や巡回アドバイザーによる指導支援にも取り組んでいます。巡回アドバイザーは、各小・中学校を中心に指導支援に巡回するというものですが、これらの取組は地域での受け入れを進めることにつながるだろうと考えています。
 一方、先ほども議論のありました特別支援学校のセンター的役割についてですが、この機能は絶対欠くことはできないものと思います。特に、これを評価をしようと、数値化を考えていますが、特別支援学校の校区や対象になる障害種別などを考慮すると、何をもってセンター的機能を十分に発揮していると評価すべきか、その判断がなかなか難しい。しかし、それぞれの学校では、特徴のあるセンター的な支援を果たしているものと思っています。
 例に挙げましたのは盲学校、盲学校の児童生徒数は微減ですが、しかし、地域には子どもはおります。奈良県でも全盲の生徒が1人、現在は中学校におります。これについても盲学校が定期的な支援をしているところです。また、肢体不自由学校も、余裕教室を利用して地域支援室を置き、地域の肢体不自由学級の子どもと教員に来ていただいて共に学習を行い専門性の担保を図っている、このようなことです。
 逆に市町村側からはどんな対応を行っているのかということですが、2ページの(3)に全盲の生徒を中学校で受け入れている市町村側の措置の事例を示しています。そこに示したように、ハードの整備、あるいは点訳の有償ボランティア等々の確保をし、また、歩行訓練士、これもお願いをしていると。ただ、常時ということになるとなかなか難しいので、常に盲学校からの定期的なバックアップを行わないと地域では進まないという状況です。
 ○2番が下市町のことです。結果的には下市町で受け入れていますので、教室の配置がえ、段差解消、トイレ改修等を行っています。昇降機は、他の市から借りたもので対応しています。エレベーターは設置されていません。
 ただ、あのときはエレベーターが前面に出て、象徴的に扱われたわけですが、内実は、みんなと一緒に学ぶということについての根源的な議論があったように思います。その点については後ほど触れたいと思います。知的障害の場合も、大きな整備・改修は必要ないとしても、静ひつな環境をつくるために、例えば段ボールで区切ってブースをつくるなど、このような努力をしています。
 さて、次の大きな2番です。地域の学校で受けるときにどのような教育課程上の配慮が必要かということですが、本来特別支援学校へ行く子どもを地域で受け入れる際は、通常の学級に在籍するというのは考えにくい。やはり、特別支援学級に在籍するのであろうと考えています。特別支援学級では特別な教育課程によることができるわけですから、そこで十分に対応をしていると。ただ、そこで、せっかく地域の学校を選んでいるわけですから、特別支援学級がその中で浮き島になってはいけない。いかに通常の学級との交流及び共同学習を大事にするかということになります。大事にし過ぎて今度は特別支援学級の授業がおろそかになってもいけません。この当たりのバランスが必要だろうと考えています。
 さて、3番ですが、実際にどういうことまでいくと受け入れがたくなってくるのかということです。先ほども述べましたが、大きな施設改修を伴うものになりますとかなり市町村の負担が重くなり、無理だろうと考えます。しかし、それよりも大事なことはソフトです。そこでどれだけ受け入れるかという心のバリアフリーと申しますか、そんなところを大事にしていく、また、それには一定の人的な手当ても必要になってくるだろうと思います。
 「みんなと一緒に」という言葉、非常に響きが良いものですけれども、その子どものポテンシャルをどれだけ上げていけるのかということと、それから、周りの子どもたちとの関係をどう築くのか。その子どものアカデミックスキルを上げること、それからソーシャルスキルを上げること、あるいはライフスキルを上げること、これは場によって変わりますし、子どもの状態によっても変わります。ニーズがかなり多様化していますので、それに対応していくというきめ細かな体制整備、条件整備が必要だろう。押しなべて「みんなと一緒に」というのは、響きはよろしいですけれども、「ほんとうか?」と、その都度、立ち止まって吟味する必要があります。これは、過日、私どもが開催しております検討委員会の中で保護者が発言されていました。「ほんとうはやっぱり地元へ行きたいよ」と。そのとおりだと思います。小さい子どもやしんどい子どもは近くの学校へ行くのが当たり前です。しかし、その中でどれだけ先ほど申し上げた各種スキルをバランスよく整えていくか、これが大事だろうと、こんなふうに考えています。
 そのために、4.で示している居住地校との交流などがあるのですが、小学部ではかなり地域と個人交流をしています。雑駁に説明すると半分近くの子どもは行っております。頻度も月1回から学期に1回などさまざまです。かつては行事の交流が多かったのですが、最近はもう少し共同学習といいますか、日常的な継続的な交流ということを心がけて実施しています。
 訪問教育対象の児童の事例ですが、事実上、副次的な学籍というような受け入れ体制を整えている事例があります。その事例では、地元の学校にも机・いすが置いてあり、訪問先の家庭ではなくて、その学校でもいつでも訪問教育を受けられるように体制を整えています。そんなふうに少しずつですが進んでいるのかなとは思います。
 居住地交流に行く際の教員の確保、そういった課題は解決していく必要があると思っていますが、年齢とともに、受け入れ側、あるいは行く側の思春期的な問題もありますので、状況は個々で非常にさまざまなであろうと思います。
 国や県、市町村の役割分担といいますか連携についてですが、あまり言いたくありませんが、やはり人・物・金ということになります。しかし、それだけではいけないと。やはり、教育は知恵や情熱を持って取り組んでいきたい。そのように思っています。しかしながら、なかなか苦しい状況があるということです。以上です。

【宮﨑委員長】 山本室長補佐、ありがとうございました。宮城県教育委員会、奈良県教育委員会から発表いただいたところで、まずは事実関係について質問を受けたいと思います。
 それでは、向山委員、お願いします。

【向山委員】 資料3と4、1点ずつ事実関係を教えてください。まず資料3ですが、1.(2)で合理的配慮についての定義が出ていまして、なかなか難しい日本語で、最後の「かつ」の後、「かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。」と書いてあります。この部分は、誰に対する過度の負担なのか。これは障害当事者なのだろうと思いますが、周りの者、あるいは担任の教師、あるいはその他の者、そのような者の負担も含めているのかどうか、その点について教えてください。
 それから2点目です。資料4ですが、宮城県教育委員会の発表によると、これは宮城県単独の事業で進めているということで、おそらく政令指定都市の仙台市は入っていない統計であると思いますが、県単独で進めているのだとしたら、今、国の概算要求で定数改善が非常に喫緊なっていますので、この事業はいわゆる標準法の定数の範囲内で実施しているものなのか、あるいは県の予算による加配措置として実施しているものなのかという点について、教えてください。もし県の予算による加配で実施しているのだとしたら、当然加配の要求というのがあると思います。例えば生活指導困難校に複数配置する、あるいは大規模校に養護教員や教頭を複数配置する、おそらく宮城県の場合は複式学級を解消するなどという要求もあるかもしれません。それから、喫緊では、今度中学校の免許がえの教員もきっといるでしょうから、その解消、あるいは40年ぶりに授業内容を増えるのでその対応にに教員が欲しいなど、いろいろな要求があるものと思います。もし県単独で加配を実施しているのなら、その辺の調整をどうしているのかを教えてください。以上2点、宜しくお願いします。

【宮﨑委員長】 それでは、資料3の質問について事務局からお願いします。

【横井特別支援教育企画官】 特別支援教育企画官の横井です。向山委員からの質問の件ですが、この定義に示されている以上の定義がありません。参考までにと思いますが、基礎資料集に、条約の外務省仮訳文があります。1つ目のインデックスのところです。こちらの7ページに資料3の日本語訳がそのまま記載されています。2つ目のインデックスのところには英語原文を綴っています。こちらのArticle 2としてDefinitionsとありまして、6ページの2つ目の段落のところ、Reasonable Accommodationとしまして合理的配慮について書かれておりますが、この英語の原文を見させていただいても特に、「均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」について、だれに対してということは示されていない状況です。

【宮﨑委員長】 それでは、宮城県教育委員会、お願いします。

【宮城県教育委員会菊池室長】 回答いたします。この事業は財政課にも知事部局にも事業としての認知を受けてあり、他の県単独の加配とは一切リンクしておりません。宮城県単独の加配です。

【宮﨑委員長】 向山委員、よろしいですか。

【向山委員】 はい。

【宮﨑委員長】 それでは、齋藤委員、お願いいたします。

【齋藤委員】 特別区教育長会の齋藤です。私は全国心臓病の子どもを守る会の会長をしていますので、そちらの関係から質問いたします。
 奈良県教育委員会の山本室長補佐から発表いただきました、資料5の4(1)の現状についてです。訪問教育対象児の事例ということで、居住地の小学校の特別支援学級と通常の学級の両方に机といすがあると説明をいただきました。私どもは、通常、訪問学級については特別支援学校から教員が派遣されており、籍は特別支援学校にあると説明されています。また、長期間病院に入院する際は、院内学級に籍をおき、退院した際に地域の学校に戻る、こういうことが理想ではありますが、なかなか特別支援学校と院内学級、それから病院、それと地域の学校、このあたりの運用が柔軟になっておりません。奈良県教育委員会の事例でお聞きしたいのは、この籍がまずどうなっているのかということと、院内学級も含めてもしこのような形になっているのでしたら、そのあたりのこともお話しいただければと思います。

【宮﨑委員長】 それでは、お願いいたします。

【奈良県教育委員会山本室長補佐】 資料に挙げさせていただいた事例は特別支援学校籍です。非常に厳しい状態の子どもで、地域に就学するのかどうか、就学前から特別支援学校が相談に乗っていったケースです。それから、院内学級との関係ですが、確かに齋藤委員のおっしゃるように難しい関係があります。奈良県では、今院内学級の子どもが非常に少ないです。そのほとんどの子どもが、良い状態で戻る際は通常の学級に戻っています。特別支援学校に戻るというような例も1例ありましたが、非常に厳しくて、お亡くなりになるというぐらいのケースでした。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。これから休憩にいたします。

(休憩)

【宮﨑委員長】 それでは、会議を再開いたします。
 宮城県教育委員会、奈良県の教育委員会からの御発表、ありがとうございました。この中にも先ほどの交流及び共同学習等について、就学指導の在り方などについても触れられていたかと思います。また、教育委員会のお二方もぜひ後半にも御参加いただければありがたいと思います。
 それでは、これ以降は自由討議の時間とさせていただきます。参考として、合理的配慮について事務局から提出いただいた資料を念頭に置きながら自由に発言いただければと思います。なお、事務局資料の合理的配慮については、あくまでも例として示されたものですので、例に対して不足しているといったような内容に関して討議するということではありませんので、御了承ください。それぞれのところが多い少ないとかいろいろなご意見もあったり、あるいはもう少しこういう配慮が必要だということは当然あるかと思います。そのことに関してはぜひ別角度で、こんな点も考えられるなどということは事務局にお伝えいただくと。こういう点が必要だということについてお話をいただければと思います。
 それでは、大久保委員、お願いいたします。

【大久保委員】 全日本手をつなぐ育成会の大久保です。まず、この合理的配慮ということで議論を進める上での前提になると思いますけれども、先ほども質問というか御指摘がありましたけれども、この合理的配慮のいわゆる対象というか主体というか、それは一体、誰を指すのかということですけれども、私の理解、あるいは一般的にもそうかもしれませんけれども、教育を提供する側がこの合理的配慮を提供する義務というか、しなければならないということになろうかと思います。具体的には、学校あるいは教育委員会、さらには国ということになるのかもしれません。ということで、そして、その合理的という、いわゆるリーズナブルということについて、いわゆる過度の負担を課さないということをもってリーズナブルというふうな表現になっているかと理解しております。ただし、ここで合理的配慮というのを議論するところでは、合理的配慮が提供されない場合は差別であると解釈されているわけですけれども、差別、間接差別、こういったところについての配慮が必要かなと。と申しますのは、例えば義務教育において、公立学校で教育を提供するといったときに、障害のある子どもに対して、例えば環境条件で、それを備えないと教育を提供できないといったときに、これを合理的配慮と考えるのか、あるいは間接差別に当たるのかとか、この辺の問題もあるかと思います。つまり、過度の負担を課さないということになれば許されてしまうということになりますから。その辺ではいわゆる差別、間接差別、合理的配慮、この辺のところを、なかなか整理するのは難しいとは思いますけれども、踏まえてこの合理的配慮の議論をする必要があるのではないかと思います。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。具体的なお話が出てまいりました。
 それでは、太田委員、お願いします。

【太田委員】 品川区立鈴ヶ森小学校の太田です。資料7の後半にこの制度改革に必要な体制・環境整備についての意見を記載していまして、そちらを御覧いただきながら発言させていただきます。ただし、この資料に記載ありませんが、まず初めに8月27日付で文部科学省から公表された少人数学級(35・30人学級)の推進等についての教職員定数改善計画(案)について発言させていただきます。私は、小学校の教員をしていますが、この計画(案)は、今後、人的にも物理的にも多方面にわたり大きな影響をもたらすものにもなると感じています。例えば、私の勤務する学校には今40人の学級が2学級ありますが、教室は児童の机といすでいっぱいで、例えば車いすの子どもを受け入れるだけの物理的なスペースの余地がないという状況があります。また、教室の中だけでなく、学校全体の教室の数にも現れてくると思います。そうした中で、先ほどの特別支援教室構想ともかなりリンクしてくると思いますので、このあたりの情報について、この会として説明いただきたいと思っています。まず初めにその点についてお願いいたします。
 それから、資料7に沿って意見を述べさせていただきます。まず必要な体制整備の中で最も私が心配していることは、最も発達が著しい乳幼児期から学童期にかけて、専門性のある指導を充実させるということです。とりわけ、就学先や就学の段階について、多く発言されていますが、乳幼児期から幼児期にかけての専門的な指導を行う体制をまず充実していただき、その後、きちんと、障害があってもそれなりにいろいろな、最大限にそれぞれの機能が発達された段階での就学先というようなことでお話をしていけるような体制がとれたらと思っています。特に盲・聾学校には幼稚部がありますので、その早期の相談体制、指導体制について検討いただければと思います。
 2番目です。特に視覚障害については、点字教材あるいは拡大教材、あるいは点字ブロックの配置等というハード面、教材面での発言がよくなされますが、そうしたものもただ整備されているだけでは全く意味をなさなくて、それを活用するための指導があって初めてその成果が出るものです。このことをよくご理解いただきたいと思います。
 3番目です。同じ障害のある子どもたちの集団を体験する必要性というのも強く感じております。ノーマライゼーションが推進されると、例えば視覚障害の場合は数が少ないので、同じ障害のある子ども同士が遊んだり出会ったり、あるいは障害者スポーツとして視覚障害の方々のスポーツを体験することができなくなったり、そういうことが心配されます。長期休業期間中を利用した盲学校のサマースクールの充実、あるいは、逆副籍というような言葉を使って実践している学校がたまにありますが、盲学校と通常の学級の子どもが盲学校に来るというような交流も含めて、障害のある子どもたちの集団を体験する必要性というのを強く感じております。
 4番目です。こちら、「特別な指導」の教育課程上の位置付けを明確にする学習指導要領の改訂ということです。これは、「特別な指導」、いわゆる自立活動の指導の位置付けだけでなく、先ほど少しご紹介した副籍の実践における特別支援学校の教育課程と小学校の教育課程の違いによるその実施の難しさというようなことも含めて、今後このようなノーマライゼーションの体制がとれるときには、やはりまず学習指導要領もその実施に向けて改訂をしていただきたいと思っています。
 これはなされませんと、子どもたち一人一人の履修について、それだけでなく、例えば就学奨励費の問題や、あるいは事故の場合の補償の問題、責任の問題、あるいは教科書の問題等、こうしたものもすべて学習指導要領に位置づけられたところから、その学習指導要領に基づいた教育活動を実施するところから始まるところでして、ぜひこの学習指導要領についても検討をお願いしたいということです。
 5番目は、安全や情報保障のための支援員をぜひともその体制の中に位置付けていく必要があるということですが、ここに記載はありませんが、先ほど説明いただきました合理的配慮のところのいわゆる、今、向山委員の発言にもありましたけれども、「均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」についてのことについても一言申し上げさせていただきたいと思います。
 私は、大久保委員と違いまして、この主語は子どもかなと思って読んでおりました。その中で、「均衡を失した又は過度の負担を課さない」という場合に、この主語が、障害のある子どもだけではなくて、通常の学級で一緒に学習する子どもたちについてもこのことを考えていただけたらと校長として強く感じるところです。例えば、障害のある子どもが入っているので、ある体験活動ができないとか、ある実験ができないとか、そういうことが起こり得ます。しかし、多くの、そのほかの子どもたちにとってそういう学習や実験や体験が必要である場合にはやはりそちらを優先にして、他の子どもたちの学習権というお話が1回目にあったかと思いますが、そういうことも考えながら進めていかなければいけないかなと思いまして、私はこの部分はそんなことを思いながら読みました。以上です。

【宮﨑委員長】 復唱はいたしませんが、中央教育審議会初等中等教育分科会の先日まとまったもの、特に学級編制基準に関しては、後ほど事務局から提出していただくということでよろしいでしょうか。そのことを受けて、今後具体的に学級規模をどう整備するかということについての中央教育審議会のあくまでも報告ということで、政府がどんな形でそこを受けて対応されるのかというのはわからない部分もあるのですが、これについては非常に重要なことですので提出をお願いいたします。残された6点については、また皆さんの議論のテーマとなることですので、また意見をいただきたいと思います。
 それでは中村委員、お願いします。

【中村委員】 若駒ライフサポートの中村です。よろしくお願いいたします。私は、知的障害を伴う自閉症の子どもを2人持っている母親の立場でもあります。今回の論議になっています合理的配慮云々の部分で、知的障害を伴う自閉症につきまして、これは決してそうしてほしいという意味ではないのですが、必要な部分を考えますと、まず、自閉症特有の情報整理の困難さということに加え、言語理解の部分で、ほんとうに個々の差はありますが、言語の部分でほんとうに理解が全くできないレベルから、できるけれどもかみ砕かなければならないレベルまで多岐にわたっています。その中で、知的障害を伴う自閉症の子どもが見通しを立てながら生活を送るためには、まず入れる情報の数を制限することは一番大切な合理的配慮ではないかと思っています。その情報は、言葉だけではなくて、視覚から入るものもありますし、聴覚から入るものもあります。学校生活を送っていますとなかなか気づかないですが、小学校、特に学級の中の環境は、自閉症を伴う子どもにとっては大変、はっきり申し上げまして苦痛を伴うと言ってしまってもおかしくないような、たくさんの情報にあふれたような環境になっています。そう考えると、情報を入れるためには、その子にとってある程度情報が制御されたような環境を事前に整えなければいけないという考えが出てきます。実際に特別支援学校の中で自閉症の子どもが生活される環境は、掲示物一つの張り方についても先生方は大変討議を重ねて、工夫をなさっていると私も実感しています。そのような環境が必要な子どもたちにとって、今の特別支援学校の状況がどうであるかと考えると、生活するのに大変厳しい状況になっています。私の息子が特別支援学校を卒業したのは平成15年3月ですが、そのときの在籍数に比べて地域の支援学校は、倍以上に増加しております。私の息子は八王子特別支援学校に在籍していましたが、八王子特別支援学校は、息子が卒業したときには180人ぐらいでしたが、今は350人近いと聞いています。生徒数が増えれば必然的に情報も入ってきますし、なかなか支援度の重い子どものための環境の整備がどうしても難しくなってきます。教室が足りないので、今まで図工室で図工を行っていたのに、同じ教室の中で図工の授業も給食もすべて行わなければならないというのが今の特別支援学校の現状だと思います。多分この現状は決して私の地域だけではなくて全国的に増えている。これは、ある意味、特別支援教育というものに対して保護者の方が期待して、特別支援学校を選択される方が増えてきているということだと思います。
 すみません、長くなりますが、この先、2つ意見を申し上げたいと思います。1つは、入学時に特別支援学校の選択が適当であったとしても、その方の成長の過程の中で地域に戻ることが適当となったときにはスムーズに地域に移行できるような、前の段階の討議の中で行われていました転学の相談のスムーズ化というのは大変重要なものではないかと思います。
 もう一つ、いくら特別支援学校の教育が必要だといっても、やはり地域の子どもとして育てたいという保護者の思いがあります。私は、ほんとうに幸いなことに、地域の中に特別支援学校がありますので、娘は町に行けば小さいときからの知り合いの人に声をかけられて、買い物に行けば「コハルちゃんですよね」というような声かけをしていただくというとても幸せな環境にいます。しかし、全国的に考えれば、やはり地域から離れたところの特別支援学校に通わなければならないという現状は非常に多いのではないかと思います。私は、小規模でいいので、なるべく近くのところに特別支援学校を設置することはやはり必要ではないかと思います。おそらく先生方の移動の部分を考えても、より近くに特別支援学校があることで間接的な支援の内容も濃くなってくるのではないかと思います。
 あわせて、ぜひ、先ほどから発言されていますが、小さいときからその子どもにとって必要な支援が何かというのを考える、そのような環境を一刻も早く整えていただきたいと思います。自閉症の子どもにおいては、小さいときの育った環境により、思春期になって2次障害のために学校に行けなくなってしまう場合もあり、そのような子どもの数は決して少なくありません。ぜひこの2点について、これからの教育の在り方について織り込んでいただければと思います。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、髙橋委員、お願いします。

【髙橋委員】 髙橋です。3点あります。1点目ですが、前回の会議で回答のできなかった質問について、回答しておきます。まず、村全体の予算に対する教育費のパーセンテージ、これにつきましては20.2%となっています。これは純教育に係る予算でして、学校建築費を含んでおりません。それから、小学生1人当たり幾らかかるかということに対して、年間教育費は小学生1人当たり25万円。ただ、このような経費の算出方法はいろいろありますので、果たしてこれが全国共通かどうかはわかりません。いわゆる何を、事務的経費を入れるか入れないかによって大分変わってきます。なお、中学生は20万です。それから、特別支援の子にかかる1人当たりの金額は75万1,000円です。ここで私が言いたいことは、一生懸命努力してやろうと、いい教育をしてあげようというときには財政的な裏づけが必要であるということです。そこを強調したかったということが1つです。また、いろいろ創意工夫があるのではないか。例えば東京都が取り組んでいるような副籍など。そのようないろいろな工夫はこれから会議の中でみんなで考えていく必要があるだろうと、そう思っています。それから、我が村でやりました発達支援センターは、あくまでも子どもの状況の早期発見と、保護者との就学指導の前提として早期発見、早期相談、それから早期対応と、それからネットワークが必要だということを伝えたかったということです。それから3点目としまして、地域の子どもとの交流は、私は非常に大事だと思っています。ただ、地域との交流と、それから通常の学級に入った場合のその子どもの自立を促す教育というのは必ずしも理想的に両立はしない部分があります。それが今、学校現場の悩みであろうと思っています。
 それから、大きな2点目です。宮城県教育委員会の発表を聞いて、良い制度をやられているなと思っています。ただ、この表に示されている対象児童生徒数をどういうふうにしてカウントしたのかを教えていただきたいと思っています。最初の印象として少ないなという感じがした、宮城県ではこれだけかなという気がいたしましたので。
 それから、これは私の聞き間違いであればお許し願いたいと思いますが、奈良県教育委員会も同意できるところがたくさんあります。良い発表だと思っています。ただし、説明の導入の部分で、制度を考えるときに「悪いものはつくってはいけない」という発言がありましたが、こういう制度、我々が言われているのかと思っているのですが、みんなこの委員会として、果たして制度をつくるとき、悪いものをつくるかどうかと。制度の不備など、そういったものはあろうかと思うのですが、表現の仕方、ストレートでいいとは、いいかどうかわからない、ちょっとストレート過ぎはしないかなと思いました。私にとっては、人権教育推進県としての奈良県ということで思ったものですから、随分ずばり。ただ、もっと別な表現であったらよかったなというのが一番大きな感想だったものですから。間違っていたらごめんなさい。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。最初は前回の質問に対する回答ということです。宮城県教育委員会、奈良県教育委員会に対する御質問と御意見がありましたので、御回答をお願いいたします。

【宮城県教育委員会菊池室長】 それでは、回答いたします。先ほども説明申し上げましたように、これは平成17年度にモデル的に始めたものです。予算の枠がありましたので、教員の給料などを県単で、国庫補助なしでやるということで、枠の中でやらなければならなかったということで23人から始まりました。今年度は対象児童生徒が14名になっていますが、この事業は義務教育段階だけです。だから、順次卒業していけばこれは少なくなる。それでは拡大したらいいのではないかと、保護者団体などから要望がありましたが、先ほども申し上げたように、県単独でこの事業を実施するには限界があるということです。したがって、我々としては、この事業を淡々と実施して、成果や課題を整理した上で国の制度改革を待つというのが基本的なスタンスです。以上です。

【宮﨑委員長】 それでは、奈良県教育委員会、お願いします。

【奈良県教育委員会山本室長補佐】 奈良県教育委員会です。私の説明が誤解を与えたようです。良い、悪いと言っている「もの」は「制度」を意味するではなく「者」のことを言っています。下市町の件について、就学相談の途上で起きたことについて、どちらか一方を悪い者として責めてはいけないという意味です。本人はもちろんのこと、お父様、お母様も一生懸命でしたし、中学校もそうでした。それから、中学校の周りの子たちも一生懸命でしたし、町も一生懸命に対応していました、というようにあの事例をとらえていただきたいという思いからの発言です。

【宮﨑委員長】 髙橋委員、よろしいでしょうか。

【髙橋委員】 はい。

【宮﨑委員長】 それでは、久松委員、お願いします。

【久松委員】 全日本ろうあ連盟の久松です。発言の機会をいただきましてありがとうございました。議論の中で大切なことをまず1つ。障害のある子どもの教育について、一般的に、通常の教育について、子どもと子どもを持つ親、保護者、そのための教育であるということが基本であると私は考えています。そこで、保護者をどれだけサポートできるかということが一番大切な問題だと思っています。ですので、今、アメリカ、ヨーロッパのシステムの中で保護者をどれだけ支援できるシステムが整備できるかということが一番大きなテーマになっているという状況がありますので、今、日本の中では子どものことをシステムの中に合わせられるような、合わせられるかどうかということ、そういうことで保護者の負担が非常に大きくなっていることが大きな問題だと思っています。アメリカやイギリスの例ですが、保護者のためのシステムをつくっているということ、それを参考として、アメリカの保護者のためのマニュアルを日本語訳したものを、私から提出させていただきましたので、ぜひ御覧いただきたいと思っています。
 また、合理的配慮についてですが、私たちから見ると、日本は何らかの配慮をすべきなのかということについての議論が今まで全く議論なされなかった。このため、この会議の場で、手話通訳が必要ということですけれども、委員の皆様に対しては申しわけないですが、手話通訳が何なのかということをご存じない方も多いかと思います。ですので、知らないことをどうやって知っていただくか、もっと学ぶべきだと思っています。合理的配慮という言葉についても、確かにこの言葉の使い方は難しいですけれども、障害者が参加しやすい社会をつくる上で、どのように制度・システムをつくっていくかということについてどれくらい議論してきたのかということがなかなか議論されていないことが多いので、学校の先生方も、実態としてさまざまな障害のある子どものニーズについて学習する機会がされていないかと思います。
 1つ、私、以前にも紹介したんですが、アメリカやヨーロッパの教育について、ヨーロッパやアメリカの専門家、大学の先生には、障害のある方が多くいらっしゃいます。障害のある当事者が学校の先生、大学の教授としていらっしゃいます。障害のある大学の先生も多くいらっしゃいます。振り返ってみると日本では、地域の学校、特別支援学校でも障害のある当事者の教員があまりにも数が少な過ぎると思っています。ほんとうに先生たちの教え子が社会にもっと積極的に参加を広げていこうということを考えるならば、当事者が教育の中で活躍できるような形をバックアップしていく、そういう責任、役割があるのではないか。ですから、特別支援学校、地域の通常学校の中でも障害当事者がもっと積極的に参加できる枠を広げていくということ、それについても合理的な配慮ではないかと思っています。合理的配慮は何なのかということをそういう意味で示していくということをぜひこの中でも議論していただきたいと思っています。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、大南委員、お願いします。

【大南委員】 全国特別支援教育推進連盟の大南です。施設・設備について、バリアフリーやスロープという非常に大事なところは出ているのですけれども、委員の皆様は、現在の知的障害の特別支援学校の校舎をご存じですか。窓はどうなっています?10cmしかあかないですよ。これについては、幼稚園から高等学校まで全部直していかないと。バリアフリーの前にもとへ戻していく。窓があかないようにしなければならない。あるいは階段の吹き抜けはどうなっていますか。バリアフリーの前にやらなければならないことが各市町村教育委員会に課せられると思うのです。ですから、そういう、先ほどの合理的配慮は、確かに障害のある人、子どもに対してかなり配慮をしなければいけないけれども、一緒に学習するときには、障害のない人、ない子どもたちにもどうするのかを考えなければならない。窓のあかない教室って一体何ですかね。これでよろしいかどうか。あるいは、完全に窓をあけないのであれば全館冷暖房にしなければならない。だから、この施設・設備一つとってもいいことばかりではなくて、どこまで現状を改善をしなければならない、それを考える必要があると思います。
 それからもう一点は、宮城県教育委員会の報告の良し悪しという意味ではありませんが、特別支援教室については、もう一度きちんとこの場で共通理解をしていただいて議論をしていただければと思います。これまでのほかのところで出されている特別支援教室も中央教育審議会の答申の趣旨とは随分離れているものだと思います。以上2点です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。現状の学校の施設・設備の在り方について、バリアフリーを考える前に、具体的にもう少し考える必要があるのではないかと。それからもう一つは、先ほど宮城県教育委員会から報告いただいた特別支援教室構想、中央教育審議会の答申で提案をしたもの、具体的にこの中身についても今後協議をする必要があるという御提案だったと思います。これは先ほどの副籍事業などとも含めて後ほどまた協議をして、事務局とも相談して次回以降に具体的な検討をできるところをつくりたいと思います。
 それでは、河本委員、お願いします。

【河本委員】 全国特別支援学級設置学校長協会の河本と申します。2点発言させていただきたいと思います。1つ目は、先ほど太田委員、それから宮城県教育委員会から発言のありました副籍の件についてです。2つ目は、合理的配慮の中の、特に学校現場で子どもたちの直接教育に携わる教員の専門性についてです。
 東京都の副籍については、先ほど太田委員から細かく説明していただいたとおりだと思っています。平成21年度、22年度あたりは、副籍をしている子どもの数が約40%弱という説明もありました。宮城県でも30%弱と。おそらく今頭打ちの状態になっているのだろうと思っています。これ以上伸びないと。現状のままでいくと、ということですけれども。私は中野区立の桃園小学校の校長をしていますけれども、今、私の学校には、中野特別支援学校から2人の子どもが副籍で交流をしています。2人の子どもといっても兄弟関係ですので1家庭です。実際は桃園小学校の隣の地域の学校の子どもですけれども、桃園小学校を地域指定校ということでいらしてくれました。特別支援学級の設置校であるということと、それから、学童保育の関係で子どもたちが以前から顔見知りだということもあったのだろうと思いますけれども、そのようなことで2人の子どもが来ています。非常にいい交流ができているものと私のほうでは認識しています。回数はそれほど頻繁ではないですけれども、ふだんの学習や、あるいは学校行事に招待する、あるいは招待されるというようなことで交流しています。頭打ちと発言しましたけれども、桃園小学校も、本来だったらもう少し、近くに中野特別支援学校がありますので、おそらく親御さんの希望としたら、もう少し大勢の子どもが希望されているのだろうと思いますけれども、そこに壁になっているものの1つとして、施設の問題は当然あるものと思っています。桃園小学校もバリアフリー化されていません。わずかにスロープが1本、2本ぐらいあるぐらいで、改修が進んでおりません。そんなことで頭打ちになっている、この可能性があるのかなと。もう1つは、やはりソフトの問題だろうと思っています。特に人の配置が重要なことだろうと思っています。ぜひこの副籍事業、東京都だけではなくて、他の府県でも行われていると思いますので、ぜひこれから拡充するような意味でハード面のこととソフト面の拡充というあたりは考えていきたいと思います。よろしくお願いしたいと思っています。
 2つ目は教員の専門性の問題です。全特協、私たちの全国特別支援学級設置学校長協会では、昨年度と今年度に全国調査を行いました。今、全国で特別支援学級が設置されている学校が約2万2,500校あります。学級数でいうと昨年4万2,000学級ですので、おそらくそれに匹敵する教員がそれぞれの学校で配置されていると思います。何をもって専門性と言うかということも議論の中に出てくるのだろうと思いますけれども、我々、設置校長会では、その専門性の目安の1つとして教員の免許の取得率ということに焦点に当てました。先ほど事務局から説明ありましたけれども、現在、特別支援学級設置校で特別支援学校教諭免許状を保有している教員の割合は31.6%です。取得率の割合は、細かな数字は忘れましたけれども、ここ2、3年若干減少しているのだろうと思っています。これをいかに高めるかが、これからの特別支援学級設置校が考えていかなければならないことの1つで、それぞれの学校、あるいは区市町村でいろいろな研修、あるいは取得に向けての講習会など、盛んに行われているのだろうと思います。ただ、特別支援学校教諭免許状は特別支援学級の教員だけが持っていればいいという問題ではないと私は思っています。今後、通常の学級の担任も当然、特別支援教育に関しての何らかの免許状は必要なのかなと思っています。これは現在のシステム、制度でいいますと、特別支援学校の教諭の免許状ですけれども、もう少し、特別支援学級や、あるいは通常の学級に在籍する発達障害の子どもに関係するような、そんな免許状をこれからまた別のルートでつくる必要があるかなと。どちらかというと、すべての教員がその免許状を保有するようにしていくことが、これからの特別支援教育を進める上で教員の専門性向上につながる非常に重要なことではないかなと感じています。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。最後に専門性の観点から免許状の問題が出ましたが、これも大きな課題になるのだろうと思います。私は20日から3日までヨーロッパの事情について調査研究に行ってまいりました。そこでは、免許状という制度ではありませんが、教員の専門性向上で、特別支援教育をどんな視点で位置付けているかという実情を見てまいりましたけれども、また免許状の問題も大きな課題になるのだろうと思います。インクルーシブな教育をどう進めていくかというときの重要な柱の一つになるものと思います。また改めて協議をしたいと思います。
 それでは、北住委員、お願いします。

【北住委員】 むらさき愛育園の園長の北住です。資料9を御覧ください。私は小児科医で、発達障害の子どもたちも診ていますが、この資料では重症心身障害児の教育上の配慮に関して共通理解のために整理をして、かなり文章で細かく書きました。ポイントだけ説明いたします。障害が非常に重度で医療的なケア、しかも高度な医療的ケアを要する子どもでもかなり通学するようになってきております。数字については、東京都の例を下に示しておりますので御覧いただければと思います。次に、2ページを御覧ください。ポイントとしては、2に挙げておりますけれども、まずは生きて健康に暮らすこと、生活することそのものについての具体的な配慮が学校の場においても必要であるということです。そのためには、1)に示すように、基礎的な条件、ハード面の整備。適切な状態の食事の提供も要します。体温の調節の問題、温度環境、それから空間的問題。ただ座ってずっといるだけでは済まないので、横になるとか、あるいはうつ伏せになるとか、そういうような空間が必要である。それから、睡眠リズムがうまくとれない場合の、そのためのいろいろな空間が必要であるというようなことです。3ページに移り、基礎的な要件の一つで、教員がまずその生活面での支えをしっかりできるかどうか。教員の力量というのは後でもお話ししますけれども、この面についての基礎的な面での支援をしっかり教員が身につけることが必要になります。それから3)、具体的な1つの例で、医療的な問題がある生徒の場合には、このようないろいろな姿勢を適切にとるとか、そういう基礎的なかかわりをベースにしながら、吸引や注入などの直接的な医療的ケアも大きな課題となっています。これはこの10年来、文部科学省も含めた関係者の努力で非常に進んできています。そのポイントは、一番下にも書いてありますが、学校に看護師を配置すること、教員も一定の範囲でかかわること、それから、教員と看護師が連携しながら進めていくということがあり、学校としてのチームとしてのシステムの中でそれが進められてきたということが重要です。私は、この医療的ケアが必要な子どもだから特別支援学校が必要というわけではないと思います。人工呼吸器などを必要とする子どもであっても、学校の授業が、かなり理解ができて、いろいろなことが配慮されて、充実した時間が過ごせていくのであれば、通常の学級でハード面の整備、あるいはスタッフ面のある程度の配置、それから、医療的ケアに関しても今までも枠をより柔軟にして、今、ほかの場で議論されていますけれども、パーソナルアシスタント的な方が学校にもスタッフとしてある程度応援に入るなど、そういう形をつくりながら柔軟な体制が行われても良い。医療的に重度だからというだけで特別支援学校でなければならないということはなく、場合によっては通常の学校の場でも進められるべきで、そのための柔軟な体制を進めるべきと思います。ただし、全国的には、費用の限界もある中で、システムとして、こういう子どもたちが、知的障害があり医療的配慮と対応を要する重度の子どもたちが学校に通えるためには、今までの体制の中で進められてきたことが継承されるべきだろうと思います。それから4ページの3、これはより本質的なことですけれども、それぞれの子どもが授業や活動に理解や共感、あるいは参加感を持ちながら充実した時間を過ごせて、そこで生きる力をつけていけるかどうか、これが最もより本質的な点となります。重度で、知的障害も重度であってもいろいろなことを感じ、いろいろなことを思いながら過ごしている。そういう中で、その場にいることが苦痛ではなくて、充実して過ごせる、子どもたちと一緒にいる中できちんと共感や参加感を持って過ごせるための配慮、これがより本質的なことであると思います。教員の力量についてもこの点がさらに、身体的な基礎的条件をきちんと支援できるということだけではなくて、この点の力量がしっかりついてくる、そういう教員集団をどう確保していけるかということが大きなポイントであると考えます。
 5ページの4、障害者権利条約との関係では、今説明したようなことを踏まえるべきと思います。重度な子どもほど障害者権利条約の第25条の健康の権利、それから基本的な第10条の生命の権利、これもともに支えながら教育を進められる必要があると思います。
 それから、その他の課題として、私たちがかなり学校にかかわって見ている中でも、やはり教員の専門性と技量をどう確保していくか、それから、それがどう継承されていくか、これはかなり不十分な点があると思います。その点を、例えば教員の異動期間の問題なども含めて見直ししながら、より良いものに、質の確保のためにしていく、それが必要であると思います。それから、今までもいろいろ議論が出ましたけれども、地域の状況に応じた柔軟な選択肢はあってもいいと思います。非常に人口が分散している地域では、ある程度地元でできるだけ身近なところで受けられる、そのためのいろいろなバリエーションがとられるべきだろう。6ページに脱字があります。2)の4行目、「身近で小規模になるほど生徒の集団としての活性」、「ての」というのが抜けております。身近で小規模になるほど生徒の集団としての活性が乏しくなる、それから、教員のチームとしてのかかわりや専門性の確保が困難になりやすい、この辺の問題をどう克服していくかということが柔軟な選択肢を考える上の大きなポイントになる。それから、家族力というのがかなり減退しております。家族支援の問題があります。今の特別支援教育がある中で、かなり家族が支えられている。学校内で医療的ケアができ、あるいは寄宿舎がある、そういう中で子どもが長期入所しなくて済んでいる状況がかなりあります。ここのところもきちんととらえていかなければならない。
 まとめとしては、ハード面の整備、これはある程度はお金の問題が非常に大変だけれども、逆にある程度単純な問題です。より本質的な面でのやはりソフトの問題が大きな問題だろうと考えます。
 基本的には40人学級制の問題、これがやや緩和されたとしても、例えばイタリアが統合教育は一番先進的に行われていて、その場合には20人学級ということが言われていたわけです。40人学級制という今の枠組みの中でインクルーシブ教育が場を共にするということだけで進められるのであれば、かえって子どもたちの負担が大きくなるだろうと考えます。最後のページになりますが、7ページの上、まず、教育予算がOECDの中でも最低クラスという状況もあります。それから、40人学級という枠。この2つの枠が大幅な改善がない中で、機械的に場を共にするだけのインクルーシブ教育を進められても子どもたちにとっては決してプラスにならないと。
 今の特別支援教育で進められた部分のプラス面を継承してマイナス面は検証する、その大きな枠、特に財源負担も含めた国民的合意を図る、それを進めながら大きな枠づけそのものを改善する中で、場を共にすること、その中で共に育つ、共に学ぶことができる体制を求めていくべきだろうと考えます。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。学齢児で約7,000名ぐらいの医療的ケアを要する子どもたちがいらっしゃるわけですが、この方々に対する対応の仕組みをどう考えるかというあたりは非常に大きな課題になるという御指摘だったと思います。ありがとうございました。
 それでは、木舩委員、お願いいたします。

【木舩委員】 広島大学の木舩と申します。合理的配慮と、そして先ほどの均衡を失した過度の負担を課さないということにつきまして少し情報提供させていただきます。合理的配慮について調べてみましたところ、インターネット上に資料がたくさんありまして、その中に厚生労働省の会議で雇用についてまとめているものがあります。それから、アメリカにおきましては、障害のあるアメリカ人法、いわゆるADAと呼ばれるものの中にも合理的配慮と書いてあります。そして、ADAにつきましては、法律のもとにADA実践マニュアルという非常に詳しいマニュアルがありまして、そちらの中にもまとめてあります。本日は資料を持っていませんので、記憶に基づいて説明させていただきますが、雇用につきまして、ADAあるいは厚生労働省でまとめた資料を見る限りにおきまして、障害のある人を雇用する側が合理的配慮を提供する義務があると。そういうことで、均衡を失した、あるいは過度な負担というふうなものについては、雇用する側について考えられると。だから、適切な例かどうか知りませんけれども、雇用する側にとって財政的な負担が非常に大きくて経営を圧迫するとか、そういうふうなことで考えていただければいいのではないかと私自身は理解しています。それからもう一つは、この雇用におきましては適格性という概念が述べられております。どういうものかといいますと、障害のある人について、合理的配慮を提供すれば、採用されるその職務について遂行できると。合理的配慮がなくなればその職務は遂行できないけれども、合理的配慮を提供すればその職務が遂行できるという場合には雇用者は合理的配慮を提供しなければいけないということが適格性の説明になっていたと記憶しています。この適格性という考え方が、これは雇用の面においては述べられておりますけれども、私個人としてはまだ整理し切れないところがありまして、教育というところになじむものなのか、あるいはそれを当てはめて考えていいのかということで、まだ私個人としては迷っているところです。以上、情報提供させていただきます。

【宮﨑委員長】 大事な指摘だと思います。またこの点は、具体的にさらに情報提供をお願いできればと思います。
 清原委員、お願いいます。

【清原委員】 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。制度改革の実施に必要な体制・環境整備、特に合理的配慮を具体的に実践していく上での論点について3つ挙げたいと思います。
 1点目は、合理的配慮が必要だということが言われる背景でもあり、しかしそのことがなかなか具体化しにくいという背景でもあるかもしれませんが、私は、特別支援学校あるいは特別支援学級の実践が、もちろん課題はあるとは思いますけれども、それなりに障害当事者の児童生徒に寄り添いながら実績を重ねてきたということがあると思います。したがいまして、保護者、当事者の中にも、この特別支援学校や特別支援学級ではない制度を直ちに求めるという声が極端に多くはないというか、そういう状況もあると思います。反対に、教師のみならず、地域の障害のある児童生徒以外の保護者など、全体としてまだインクルーシブ教育に対する理解が熟成していないという状況が共存していると思います。したがいまして、インクルーシブ教育を知る人はその必要性も共通に認識しながらも、具体的な合理的配慮のイメージということについて、まだまだ、より一層この委員会も含めて提案をしていく必要があると思います。一部の教師や保護者、当事者が認識したとしても、まだまだ地域への幅広い理解ということについては啓発が必要であると、比較的意識の高い市民が多い三鷹市の市長としてもあえて申し上げたいと思います。
 2点目は、それでは具体的に合理的配慮を進めていくときの基準というのをどう示していったらいいのかということです。施設整備面、いわゆるハード面、それから学習指導要領や学習方法といったソフト面、さらには教師の専門性といった面について、特別支援学校や特別支援学級という実践を踏まえて、特別支援学校と同等にするのがいいのか、それとも改めて違う形を提案していくのがいいのか、これはかなり現実的な問題提起ではないかと思っています。つまり、学習指導要領もインクルーシブ教育の中ですべての学級で一元化できるのか、あるいは受け入れる障害のある児童生徒が医療的ケアを必要とする場合、あるいは障害種別、障害程度によって多元的に用意する必要があるのか。これは、実際に教室・学級運営をする教師にとってのみならず、施設整備等で支援をする市町村の立場からも、この基準化ということをどうしていくかというのはかなり大きな課題だと思っています。
 3点目に、国、地方公共団体の責務・役割分担というのは重要な論点ですが、それを議論するときには、先ほど木舩先生が、合理的配慮という概念が雇用という側で具体的に先行している例を引用されましたけれども、私たちも、地域という立場で児童生徒の教育を考えていくならば、教育現場だけではなくて、その後の就労・雇用あるいは地域活動、さらにはスポーツや趣味等の広い範囲での支援もやはりきちんと視野に入れつつその連携を考えなければいけない立場にいます。1つだけ事例を申し上げます。この8月に私は、三鷹市の特別支援学級を経験し、今は特別支援学校の高校に在籍する、あるいは就労している4名の発達障害あるいは知的障害の当事者と対話をする機会を得ました。保護者2人も含めてその4名と対話をしましたが、2時間対話ができました。しっかり私と目と目を合わせ、対話をしてくれまして、私は、特別支援学校あるいは特別支援学級の教育力に改めて敬意を表したいと思いました。一方で、その当事者の提案の中に、就労している立場としてはやはり適切な就労との連携が教育現場には必要だということ、あるいは子どもたちが達成感や成功体験を感じる上で、教室の現場だけではなくて、クラブ活動であるとか校外活動であるとか、あるいは交流授業であるとか、そういうことが大変効果があるということも当事者から聞きました。したがいまして、地域というキーワードの中で私たち地方公共団体の責務としては、教育の立場でのインクルーシブ教育を推進しつつ、引き続き私たちが行っております障害者支援、福祉の事業等との一層の連携を強めるような、広い視野の中でインクルーシブ教育も位置づける必要があると感じました。
 以上、大まかな論点を3つ掲げさせていただきましたが、人口規模や学校配置といった地域事情がございますので、三鷹市のような都市部と中山間地では違いますから、やはり国がしっかりと日本国民ならば同じような質の教育を受けられるように保障するとともに、いい意味で財源的措置を踏まえた都道府県、市町村の自立性も重要であると思います。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。非常に重要な指摘をいただきました。特に私が気になっているところでは、障害者の権利に関する条約の第8条の意識の向上の部分です。特にこの点についての論議というのがなかなかできにくくなっているのですが、一般への啓発活動といったような問題、障害者の権利に対する理解をどう育てていくかと。これは学校、地域社会も含めた問題として教育を進めていくときに非常に大きなポイントになっていくのではないかと思いますので、この点も今後協議をしていく必要があるのかなと思いながらお話を伺っていました。
 それでは、品川委員、お願いします。

【品川委員】 教育ジャーナリストの品川です。資料10を御覧ください。細かいことは全部この資料に書いてありますので、読んでいただければいいのですけれども、何点か申し上げたいところがあります。今、三鷹市長、それから委員長からも御指摘がありましたように、全体としてインクルーシブ教育の定義が非常にあいまいなまま議論が進んでいるのかなということをずっと感じております。例えばスロープをつけるとか看護師を配置するとか、そういったハード面のことだけではないと考えています。場の共有・イコール・インクルーシブ教育ではないと私は考えていますので、その辺をもう一度この会としてどうとらえているのか、しっかりと打ち出していく必要があると考えた上での私の提案です。
 先ほど、就学相談について、専門機関を都道府県レベルでつくるべきだと申し上げたときに簡単に触れましたが、もう一つ併せて提案したいのは、適切な教育が、つまり、専門機関が判定したような教育が実際に行われているかどうかの監査をする、独立した機関が必要だと考えています。それも抜き打ちで調査をするような、国税局でいえばマルサのような、そういった機関が教育現場にも必要と考えています。大人たちがお互い馴れ合った関係性の中でやっていると、結局不利益を被るのは子どもたち自身です。また、この監査機関には子どもや保護者の側から不服申し立てもできるようにしておくことが必要です。今一度インクルーシブ教育の定義を確認し、そのうえでこういったすべての子どもの教育権を実質的に保障するようなシステムを確立しなければインクルーシブ教育は画餅になるどころか、学ぶべきものを学ぶべき時期に、学ぶべき事柄を学ぶべき子どもが学べないということが起こってくると考えます。
 英国にOfSTEDという機関があります。皆さんもご存じだと思いますが、教育水準監査院といいます。これにはもちろん批判、賛否両論いろいろありますが、その中にインスペクターという、査察を民間委託されている人たちがいます。この人たちは、突然学校を訪れ、国が示しているような教育をしているのか、例えば自閉症の子どもを、あるいはディスレクシアの子どもを受け入れていると言っているけれども、ほんとうに的確な対応をしているのかというようなことを監査していますので、それの日本版も必要であろうと思い、提案申し上げたいと思います。
 それから、教育現場の体制整備についてですが、これは9つ出しました。教師の専門性ということを皆さん御発言されているのですが、インクルーシブ教育を進めていく上で一番大事なことは、私はマネジメントだと思っています。いかに異質平等な教育を行っていくかということを考えたときに、問われてくることは、学校長、それから各担任レベルが持っているクラスのマネジメント力だと思います。ですので、エビデンスベースのクラスルームマネジメントを指導するような研修、あるいはそのプログラムを導入する必要があるだろうと考えています。それからもう一つ、これは皆さんは意外に思われるかもしれませんが、パニックを起こす児童生徒や暴れ倒す子どもたちが現実にいるわけで、その子どもたちを傷つけず、また、他の児童生徒を傷つけず、先生自身も傷つかないためには、皆さんとっぴに思われるかもしれませんが、実は先生方に護身術を導入する必要があるだろうと強く感じています。実際に取材していますと、子どもがパニックを起こしたときに、どうしたらいいかわからないという教育現場を非常に多いのです。先ほども皆さん発言されていますように、発達課題のある子どもたちがパニックになってしまったときに、ただ見ているしかできないとかがこれにあたります。しかし、誤解しないでいただきたいのですが、パニックするのは発達課題のある子どもたちだけではありません。環境要因的な課題を抱える子だって、何も課題がないようにみえる子どもだって暴れ倒すことはよくあります。子どもたちにセルフ・コントロール・スキルを教えることは必須ですが、子どもも傷つけず、教師も傷つかず、しかもまた第三者も傷つかない方法を視野にいれると、実は教師側にこういった護身術を身に付けている必要があるとつくづく思います。護身術のノウハウは矯正教育が持っているので、いつでも導入は可能です。それから、先ほど事務局からも合理的配慮の例としてクールダウンスペースということがありましたが、実は単なる空き教室では全く意味がないのです。クールダウンスペースについて提案したいのは、防音効果がある刺激遮断室、そういったものをつくっていただきたいということです。参考資料には英国の自閉症のある児童生徒向けの刺激遮断室の写真を掲載しましたが、こういった刺激遮断室は自閉症教育を掲げているアメリカの学校も設置が必須です。天井も壁も床も全部ウレタンで覆ってあります。それから、基本的に窓ガラスもないところが多いです。だから、ぶつかっても暴れてもけがはしません。ただし、大事なことは、ここにずっといるのではなくて、最初5分入るのでしたら、半年後には3分など、だんだんと滞在時間を減らしましょうという指導をあわせて行っていくことが非常に大事です。このような部屋を、発達障害や知的障害など、そういった課題がある子だけではなくて、いろいろな事情でパニックを起こすような子どもたちも含めて使えるようにしていくということがほんとうの意味のインクルーシブ教育につながっていくと考えています。
 それからもう一つ、先ほどマネジメントが必要だと申し上げましたが、異質平等の学級経営を推進していくためには実はワークショップが非常に効果がありますが、そういったワークショップを展開できるようなリレーションルームみたいな部屋をつくっていくことも大事だろうなということを思っています。
 それから、学習スタイルの多様性を踏まえた教科書、今デジタル教科書とかいろいろ出ていますが、ICTのこともありますけれども、そういったものと副教材の提供も必要でしょうし、それから、意外と言われていないのですが、図書室や図書館の整備、これも情報保障の点においては必要になってきます。もし肢体不自由の子どもが図書館を使おうと思ったときに使えるようになっているのか、ディスレクシアの子が本を読みたいときにPCに情報を取り込ん音声エンジンなどを使って読めるようになっているかなどです。実は多くの学校の図書室は非常にお寒い状況ですので、そういったところまで支援していく必要があります。
 情報共有については、制度化してほしいと思っています。現在、すでに文部科学省から通知が出ていますが、現状においては個人情報保護法を盾に、「情報提供をしてください」と言ったらしない、あるいは「情報提供したいのですが」と言ったら受け入れないという非常に不可思議な状況があります。これは制度化しないと子どもも保護者も、そして教師も不利益を被るだろうと思います。
 もう一つ提案したいのは懲戒権の見直しです。インクルーシブ教育を行うときには、この懲戒権が濫用されないように法を見直すことも求められるのではないかと考えています。現状は校長先生と教師と二重に懲戒権があることになっていますが、この懲戒権の行使の手続が主観的で、曖昧です。そうすると、例えばその子どもが問題行動を起こしたときに、背景に発達課題があって行動に表れているのにもかかわらず、もしその教師に発達課題の知識がなければ単なる問題行動として懲戒をとってしまう可能性があり、実際にそういったケースは現状では非常に多く見受けられます。取材する中でも、アスペルガー症候群やADHDが背景にあるにもかかわらず、そこの理解がなくて登校禁止を命じられてしまうというような子どもさんたちを私は何人も知っていますので、かように、懲戒権が濫用されないようにするためにはそこの整備もしていくことがあるだろうと思っています。
 最後にもう一つ申し上げたいのは親権との調整です。確かに保護者の思いはすごく大事です。でも、よく考えてみると、保護者が何を希望されるかといったら、要は自分の子どもが持っているポテンシャルが最大限生かされて、子どもに合った教育が受けられて、かつその子どもが社会に参加できるようになることではないでしょうか。もしそういうことが保護者の望みだとするならば、要はそういった教育が提供できているかというようなシステムをつくっていくことであり、適切にその子どものニーズを判断することで保護者の思いにも応えられると思います。だから、システム等が整うまでの移行期の間は親権をどう調整していくかということも考えていく必要があるだろうと思っています。
 それと、先ほど河本委員が発言されていたライセンスについての情報提供ですけれども、LD学会から分離した特別支援教育士資格認定協会という組織がありまして、特別支援教育士という資格認定を実施しています。これは発達障害についての資格認定です。さらに、特別支援教育士スーパーバイザーという、その上の専門性を持っていらっしゃる先生方もたしかもう300人以上。特別支援教育士については何千人単位で講習を受けている方がいらっしゃいますし、現状、もう既に資格を取得している方もたしか1,000人を超えたと記憶しています。数字は曖昧です、申し訳ございません。そういった先生方が各地の通常学級や特別支援学級や特別支援学校等にいらして指導を行っているという事実をぜひ皆さん御承知いただければと思っています。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。

【山岡委員】 補足いたします。正確には特別支援教育士資格認定協会といいます。私、役員をしています。

【宮﨑委員長】 それでは、新藤先生。

【新藤委員】 全日本中学校長会の新藤です。2点お話ししたいと思います。1つは、現在、特別支援教育がスタートして4年目ですが、自分の学校の実態等を振り返ってみますと、各学年100名ぐらい生徒がおりますけれども、そのうちの5名から8名ぐらいの特別な教育的ニーズがあると強く感じている子どもたちの実態についてですが、現在東京都では特別支援学校がサポートをしてくれる形になっていて、非常に心強くあるわけですが、もう一つ、自分の学校では、実はすぐそばに早稲田大学があって、教職大学院があるおかげで、そことの連携ということで、いわゆる教職大学院生の臨床実習を受け入れるという連携協力校を引き受けている見返りとして特別な教授等による専門的な指導も受けられるのですが、その中で特別支援教育を専門にされている准教授がいらっしゃって、その方が機会あるごとにお願いをすれば学校に来てくださって授業の様子等を見てくださったり、あるいは校内研究に参加してくださったりして、非常に強くサポートしてくださっています。しかもこれが、そこの教授のもとにいる院生や学生が特別な支援を必要とする子どもたちを対象とした放課後の学習支援教室のボランティアも買ってくれていて、アセスメント等もしてくれて、きめ細かな指導をしてくれています。非常に恵まれている環境ですが、これは自分の学校だけではなく、やはり全国すべての小・中学校にこのようなことが可能となるような状況をつくっていかないと、なかなかインクルーシブ教育システムというのは機能しないなと感じています。
 2点目です。先ほどから話題になっています教員の専門性ですけれども、各学校には校長が特別支援教育コーディネーターを指命するということになっています。東京都の校長会の調査でも、約620校、すべての学校に特別支援教育担当のコーディネーターが任命されていることになっていますが、その実態というのは非常にお寒い状況があります。4年目になってやっと意識を持った教員がいてくれて、継続的にその教員を研修に参加させたりすることによって、やっとコーディネーターとしての役割が何なのか、果たすべき役割はどうなのかということで力を発揮してくれつつある状況です。これが、おそらく東京の小学校、中学校合わせて約2,000校あるわけですけれども、そこには2,000名のコーディネーターがいるわけですけれども、それだけの人材を確保するということは並大抵ではありません。そういう面では、このコーディネーターの役割の重要さというのは、4年目にしてますます校長としても重要さを感じています。そういった意味で、このようなコーディネーターを担ってくれるような経験を有したり、あるいは知識・能力を有するような教員をどう確保していくか、それをどう配置していくか。場合によっては教員でなくてもいいのかなと。こういう専門的な知識があれば、能力があれば、先ほどちょっと免許の話がありましたけれども、そういう資格を持っている人が今後、先ほどちょっと話題になっておりました新公立義務教育諸学校教職員定数改善計画の中では、教員免許以外のそういった多彩な人材の学校への配置ということも考慮されているようですので、そういった中でこのコーディネーター役を担ってくれるような人を配置していく、こんな方策もぜひとも必要だなと感じております。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。現状の特別支援教育の推進に関する具体的なツール等についての現状報告をいただいたわけですが、これも少しまた改めて検討する必要性があると思います。
 乙武委員、お願いします。

【乙武委員】 乙武です。先ほどから皆さんの議論、大変興味深く聞かせていただいております。特に、先ほど大南委員が発言されていた、窓のあかない教室というのはどうなのだろうかという御発言は、まさしくそのとおりだなと思って聞いていました。私自身も勤務していた学校に自閉傾向の子どもがいらっしゃって、先ほど中村委員も発言されていたように、やはり自閉傾向のある子どもは情報がかなり制限されないと混乱してしまう、理解がしにくいという現状があって、例えば教室の前方にいろいろな掲示物があると、それだけで気が散ってしまう、それをはがしていかなければならない。ただ、僕が勤務していた学校はオープンスペース、オープン教室といって壁がない構造でしたので、教室の中に掲示物が張れるスペースが限られていました。ですから、ほかの子どもにとっては教育目標だったり時間割だったり、給食当番が今週はどの班なのかといった情報が即座に見られないということは逆に不便という状況にもなってきてしまいまして、やはり障害のあるお子どもとない子どもとともに快適な環境で学習が保障されるというのはとても難しい問題だなというのを教員として感じていた次第です。
 3点あります。1点目は、宮城県教育委員会への質問です。先ほど、県単独の事業として確保しているという説明だったのですけれども、そこで確保した教員というのは、この資料によりますと学習支援室に配置されているとあります。それは、例えば通常の教員のように次年度、例えばその配置が、学習支援室がなく、通常の学校になって担任を持ったりすることもあるのか、それとも、あくまでも一度、学習支援室として採用した教員は次年度もその次の年もずっとその学習支援室の教員として活動していくことになるのかということをお伺いできればと思います。といいますのも、僕自身が3年間教員を経験させていただいていたのですが、1年目は担任ではなく、専科の教員という立場でしたので、比較的他の先生方より空き時間が多かったために、空き時間は、支援を要する子どもがいる学級で、その子どもを中心についていることが多かったのですけれども、専門的な知識もありませんでしたし、また、担任も経験したことがなかったので、どのようにフォローし、支援をしていくことが良いのかという自分の動き方がなかなか見えてこなくて、結局担任の先生にもその子どもにとっても良い形でフォローができなかったのではないかな。2年目、3年目に担任を経験してから、「あ、もっとああいうふうなケアをしてあげればよかった、ああいう支援をしてあげればよかったな、力になれたのにな」というふうな反省が多々あったもので、そのあたりお伺いできればと思います。
 2点目です。これは1点目ともとても関連が深いのですが、先ほどから何回か出ている教員の専門性ということに関してです。専門という言葉はある特別なものに関して特化した知識ということかと思いますが、果たして現時点でこの特別支援に関することが専門と言えるのだろうか、特別な知識であるととらえていいのかということを感じています。特に発達障害のある子どもに関してはほんとうに、もちろんクラスの人数にもよるかとは思いますが、各クラスに必ず1人や2人はいるという現状を踏まえると、先ほど河本委員も発言されていたように、特別な教員だけがその免許を有していて専門性を持っていればいいということではなく、ほんとうにすべての教員がそういった知識を持っている必要があるのではないかなと。例えば特別な医療的な知識であるとかそういうものに関してはほんとうに専門性と言っていいと思うのですけれども、ほんとうに担任していて感じたのは、23人の子どもがいれば23通りのニーズがあると言っても過言ではないと思いますので、そういった基礎的な知識、つまり特別支援学校教諭免許状で習うべき大方の知識というのは通常の教員も学んだ上で教員になったほうがいいのではないかなということを感じています。といいますのも、一度教員になって現場に出てしまうと、自分が担当したクラスにそういった子どもがいらっしゃったときに、改めて通常の業務をこなしながら勉強しようと思ってもなかなかそういった時間が持てませんし、持とうと思ってもやはり負担に感じてしまうと思います。前回、品川委員が提出された資料の中にもありましたけれども、学びが保障されるのが特別支援教育だと思うのですけれども、共に学ぶという理念だけが先行してしまって、結局通常の学校の中でもそういった教育が受けられない、教員に知識がないからこそ子どもが不利益を被ってしまうということだけはやはり避けなければならないと思うので、通常一般の教員免許を取得する際にもこういった特別支援に対する学びの機会というのがもっとあったほうがいいのかなと考えています。
 3点目は、今回の議論の本筋とは離れてしまいますけれども、先ほど髙橋委員から奈良県教育委員会の御担当者に対して、悪いものをつくってはいけないという表現はいささかストレート過ぎるのではないかという発言があったのですけれども、僕自身はすごく響きました。こういう場って、えてして誤解や語弊を恐れて言いたいことを何重にもオブラートに包んで、何か言っていることがよくわからなくなってしまうということがありがちだと思うのですけれども、冒頭にああいう強い言葉を持ってきていただいたことで、僕自身はすごく奈良県教育委員会の情熱というものが伝わってきて、「ああ、どういった取り組みなんだろう」とより思えるようになったので、そういうふうに好感を持って受け取った人間もいるということをちょっとお伝えしたくて3点目とさせていただきました。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、宮城県教育委員会、お願いします。

【宮城県教育委員会菊池室長】 宮城県教育委員会です。学習支援室付の配置教員が次年度例えばクラス担任とか通常の学級の担任を持ってもいいのかどうかということですが、それに対しての答えは、実は事業の枠、予算枠が決まっておりまして、当初始まったとき23人の教員枠がありました。ただ、現実的には、本務教員を充てる枠と講師で充てる枠というのが予算の中に入っていましたので、本務教員につきましては、大体学校が固定されていますので、次年度は、例えば今年度学習支援室付にしても、来年は通常の学級を持ってもいいということです。ただし講師については、この事業のための講師の雇用ですので、それは通常の学級を持ったりということは許されておりません。以上です。

【宮﨑委員長】 それでは、杉山委員、お願いいたします。

【杉山委員】 杉山です。児童精神科医です。多方面からの多くの情報があって、少しパニック状態ですけれども、結局、合理的な配置というと、そのハード面、ソフト面の両方あるのだろうと思います。ハード面というと、エレベーターの問題や人的配置などが取り出されるのですけれども、先ほどの中村委員からの発言にもあったように、結局ハンディキャップ別で随分合理的配置というのは異なってくるのだということがこの議論で浮かび上がってきているものと思います。そうしますと、ハード面の前にまずソフト面のほうの議論が必要なのではないかと。そうすると、そのソフト面は、先ほどから出ている専門性の問題ですね。専門性というと特別支援教育免許になるのですけれども、これがまだ3割程度だと。ある意味ではみんな素人免許で走っているわけです。ただ、先ほどから発言されているように、乙武委員の言われたように、何段階かの専門性が必要ではないかというのも、そのとおりと思います。先ほどLD学会で資格を発行しているという話が出ましたけれども、自閉症スペクトラム学会でも資格を発行していて、そういう学会認定の資格というのは、やる気のある先生がものすごく頑張って勉強していて、そうではない先生もいるという今の状況から考えると、認定講習を促進するというのも一つの手法ですが、そういう学会の資格認定というのも一つ生かせる手があるかもしれないというぐあいにも思います。どちらにしても何段階かの専門性が必要だろうと思います。このことを考えると、結局ハンディキャップ別に教育の工夫が必要になってくるわけです。教育の工夫というのは何かというと、成人になったときに、今何が必要なのかということの判定なのだと思います。実は教師サイドが、今何が必要なのかということがほんとうに見えているのかというと、それを学ぶ場というのが非常に限られているのだと思います。先ほどから品川委員が発言されている専門的で中立的なアドバイザーというと、これは実は我々児童精神科医が多分、0歳から成人まで見ていて、その役割を果たさなければならないと思うのですが、悲しいかな、日本で児童精神科医として認定された人間は140人しかいません。これもやはり長期的には教育との連携ということでは必要になってくる職種だと思います。
 宮城県の実践等はほんとうに貴重だと思いますけれども、こちらが懸念するのは、つまり、今のこのレベルで人をつけて、それがほんとうに教育になっているのかということです。極端な言い方をしますと、お守りだけでは意味がないわけです、そこで教育が行われませんと。そうしますと、その子がほんとうに教育を受けるレベルにあるのかとか、どういうことをその子のために提供すればいいのかという議論が必要になってきますでしょう。やっぱりそういうことを考えると、僕はハード面よりもソフト面の検討のほうが実はこのインクルーシブ、インクルージョンということを考えたときに必要だと思います。今の学校制度からあまり大きく外さないところでまずインクルージョンのために何が必要かという議論をしていくのが実は一番現実的であるというのが、ここが一番優先ではないかというのが私の意見です。
 ついでに言いますけれども、何と言うのでしょう、ハンディキャップ別なんですよね。ですから、これはやっぱりハンディキャップに分けて少し議論をしていかないと、議論が錯綜してしまって、こっちからいくとこうなる、こっちからいくとこうなるという議論で終わるようなちょっと懸念を感じますので、よろしくお願いいたします。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。このあたりを、今、杉山委員の御提案は事務局と相談しながら具体的な進め方について検討したいと思いますし、特に教員の資質向上については次回の大きなテーマにしていますので、このあたりでまた取り上げられたらいいなと思います。
 中澤委員、お願いいたします。

【中澤委員】 中澤です。これも実は前回の宿題にかかわって気になっているので、最後に発言させていただきます。それは、障害者差別禁止法と合理的配慮のつながりについて考えていただきたいという御指摘があったことに対する宿題にかかわります。
 そこで、イギリスの様子を少し紹介したいと思っています。イギリスは、子どもの特別支援教育の法律と障害者差別禁止法が少しまじり合ってつくられております。そういった中で、2001年にその体制ができましたが、そのときに、差別禁止義務と合理的配慮をどのように今整理していこうかというのが日本にとっても参考になるのかなと思い、紹介いたします。
 イギリスの場合は、合理的配慮、合理的な調整を怠ることは差別になるということになっておりまして、実はこれ、今日の議論にも関係しますが、大きく3つに分けて対応しています。学校について差別禁止義務がどういうものがあるかというと、大きく分けて、障害のある子どもの入学に適切に対応しているかどうか。2番目が、品川委員からも出ましたが、停学や退学について、障害であるということをきちっと考慮したりしたか、あるいはその障害に対して合理的なステップを十分に踏んだ上で至ったかというところ。そして3番目が、日常的な教育や関連サービスにおいてとった行動が差別禁止になっていないか。例えば、遠足にある事情で障害のある子を連れていかなかったといったときに問われてきます。これが学校の差別禁止義務の大きな3つの領域です。
 2番目に、企画義務というのがあります。これは、長期的な展望、戦略的に対応していくべき合理的配慮にかかわります。その1つが物理的な施設へのアクセス。これについては、やはり地域全体の戦略の中で資源は限られていますので、どのようなステップを踏んでそれを進めていくか、この計画義務が国とか地方の行政局に課されます。
 もう一つが、情報をアクセシブルなフォーマットで障害のある生徒に提供すること。これについても急にはできませんので、長期的な戦略と計画を持って進めていくと。ただし、きちっとその計画が提示され、徐々に実行されているということは確認する必要があります。
 そしてもう一つは、今日何度も出ました教育課程、カリキュラムへのアクセス、これもなかなか急にはできませんが、多様な障害のある子どもが通常の学級に入ったとき、カリキュラムの問題をどう処理していくか、これも国が中心となって地方行政局とともに整理をしていく。これが、差別禁止に触れないようにするけれども、ある一定の長い時間をかけて戦略に進めていく。ですから、短絡的に差別禁止法に違反していると言えない領域です。
 そしてもう一つ、例えば具体的に障害のある子どもに補助員を配置するなど、こういった経費を要する合理的配慮を実施する、これは特別支援教育の法律の枠組みの中の個別の教育計画の中で整理していって、それに親が不満があれば、先ほど前半に紹介しましたが、話し合いや、あるいはどうしてもだめな場合には不服申し立てにより訴えていくなど、そういったやり方で調整をしていく形になっています。
 また、イギリスは法律をうんと細かくしていなくて、問題が起きたときの判例を蓄積して基準をまた整理していく。法律にのっとったガイドラインは示しますが、それにできるだけ従うのですが、それでも不服申し立てがあったときの判例がまた次の土台になっていくという形で進んでいるようです。外国の情報ばかりですが、他国から学べることがあるかと思いまして紹介しました。
 あと、乙武委員が指摘された専門性、実はこれは、アメリカなどは、イギリスもそうなのですが、高発生頻度障害、つまり発生頻度の非常に高い障害についてはかなり基本の情報としてみんな持つと。そして、低発生障害、これは私の領域の盲聾であるとか、それから重度重複であるとか、こういったところはまた専門性を高めるという形で、高発生と低発生を分けてその専門性を向上させるという取組が日本でも必要になっているかと思います。特に低発生障害の配慮というのは、これは実はだれにでも便利なとてもいい配慮が多く含まれていて、実際的にそれは、ほかの少し学力が落ちている通常の子どもたちにもとても役立つものをたくさん含んでいるかと思います。以上ですが、ご報告させていただきました。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、尾崎委員、お願いします。

【尾崎委員】 全国特別支援学校長会の尾崎です。資料8の1ページの2のところからですが、合理的配慮について書きました。時間がありませんので、箇条書き的に申し上げます。1つは、合理的配慮で必要なのは、通常の学級で行う場合も障害のある子にとっても、両方にとってもいい学習活動になるということを点検した上で進めてほしいということが1点目です。
 それから2点目は、合理的配慮等の議論はこれからなされるのですが、実施に当たっては、十分環境が整い、制度設計が終わりというところから入っていかないと思います。不十分ですと、その間子どもたちが非常に不便な思いをするというようなことがあるということが2点目です。
 それから3点目ですけれども、合理的配慮については、特別支援学校における障害のある児童生徒への合理的配慮もきちっと考えていかなければいけないだろうということです。特に知的障害の子どもについては、特別支援学校の児童生徒数が非常に増えてきて、非常に劣悪な環境になりつつあるというような対応もしなければいけない。
 それからもう一つは、特別支援学校、今センター的機能を果たすということで、これからインクルーシブ教育システムの中では重要な役割を果たすことが求められるだろうととらえていますので、その専門性の向上も取り組まなければいけないだろうということです。
 それから最後に、特に知的障害教育については教育課程が通常の教育課程と違いますので、子どもに合わせて教育内容や方法等をオーダーメード的につくっていくというのが基本です。それが実際にできる教育環境、それから制度をぜひ考えていかなければいけないということです。
 最後に、清原委員から御指摘いただきましたが、私は、卒業後の就労も含めてインクルーシブ教育システムというのを考えるべきだという点で、清原委員と同じ意見です。特に就労については、本特別委員会でも職業教育、キャリア教育についての審議が最後のほうに行われるように予定されていますので、そこでぜひ議論させていただきたいと思いますが、インクルーシブ教育システムは、入学時、乳幼児期から就労期まで含めた全体的な教育も含め、それから福祉も含めた、その全体的なインクルーシブ教育システムをつくっていくんだという方法でぜひ議論をしたいと考えています。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。
 それでは、石川委員長代理、お願いいたします。

【石川委員長代理】 皆さんの御意見を拝聴していまして大変勉強になりました。インクルーシブ教育というのはほんとうにチャレンジングなというか、大変なことだなと。それはやりがいのあることだと考えて、知恵を絞っていく必要があると思います。
 それで、重複を避けて1点だけ、今日議論が出なかった教科書・教材のことですけれども、一応第一歩ということで教科書バリアフリー法という法律ができて、運用されていると思いますが、決してこれで十分ということではなくて、あくまで最初の1歩が肝心だということで進められていると理解しています。ですので、今後どのようにして、どのような教材をどのような子どもたちに対して提供していくのか、供給していくのかについて、教科書バリアフリー法のバージョンアップも含めて検討していく必要があると提案したいと思います。以上です。

【宮﨑委員長】 ありがとうございました。前回、中澤委員に外国の状況について多くの御質問が出たわけですが、今日は御報告等も含めて御説明いただきましてありがとうございました。それにつきましては、特にここで御質問等についてまた対応しませんでしたけれども、もし何かございましたら事務局のほうに書面ででもまた提出いただければと思います。なお、本日の自由討議の時間が十分確保できなかったことについてはおわびいたします。審議事項についてさらに意見があるかと思います。これにつきましては後日事務局まで文書で提出をしていただければと思います。
 それでは、今後の日程等について事務局から説明をお願いいたします。

【助川特別支援教育課長補佐】 特別支援教育課の助川です。資料13のとおり、次回は10月上旬に、「障害のある幼児児童生徒の特性・ニーズに応じた教育・支援のための教職員の確保及び専門性の向上のための方策、その他関連事項」についての御審議を予定しています。なお、正式な日程につきましては改めてご連絡申し上げます。
 最後に事務連絡が1点あります。メールでも既に送付していますけれども、前回の議事録の案を委員の机上に配付していますので、こちらにつきまして修正等がありましたら、9月13日月曜日までに事務局までお送りいただければと存じます。以上です。

【宮﨑委員長】 ただいまの事務局からの説明について質問ありますでしょうか。それでは、次回、どうぞよろしくお願いします。
 本日の会はこれで閉会といたします。御出席くださいました委員の皆様方、また、御報告をくださいました宮城県教育委員会、奈良県教育委員会の皆様には改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
 それでは、閉会といたします。ありがとうございました。

 

――了――

 

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)

-- 登録:平成22年10月 --