全国都市教育長協議会

インクルーシブ教育システム構築のための今後の特別支援教育の推進方策に関するヒアリング意見提出様式

団体名 全国都市教育長協議会

 

1 合理的配慮等環境整備について

合理的配慮の基準の明確化と目的を明確にした財政的支援の推進

●教育内容・方法・支援体制

  • 個々の障がいに合った支援や配慮をするために、適切な教育課程を編成することが求められるが、その際に、特別支援学校・LD等専門員・通級担当者・医療・福祉の関係機関などとの連携を一層重視し、保護者や学校をチームで支援する体制づくりが必要である。
  • 通常の学校に在籍していても特別支援学校の教育課程を必要とする児童生徒については、特別支援学校に副次的な籍をつけて、共同で継続した専門的支援を行うことが必要。
  • 特別支援学級の児童生徒にあっても、「個別の教育支援計画」と「個別の指導計画」の作成が進まない現状がある。特別支援学級においても作成を義務付け、保護者の理解のもとで、指導を充実させるとともに移行期の引継ぎにも活用していくことが、一貫した支援のためには重要。
  • 通常学級に在籍する児童生徒の中で、特別な支援を必要とする軽度発達障がいのある児童生徒が増加しており、通級のニーズが高いことから、通級指導教室を増設する必要が高まっている。しかし、特別支援学級の新設も年々増加しており、限られた予算の中では、設置が難しく、ニーズに応じた学びの場の確保が難しい状況である。

●施設・設備

  • 就学基準が変わらない中で、インクルーシブ教育を進めていくことだけが前面に打ち出されており、保護者は希望する学校に通うための必要な支援をすべて受けられると考えてしまうのではないか。障がいに応じて必要な配慮を行いたいが、財政的にも人員的にもすべてに応えることは不可能である。システム構築の趣旨とともに合理的配慮とは「体制面、財政面において、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」という条件があることを周知する必要がある。
  • 合理的配慮かどうかの判断を各学校の設置者及び学校が判断するとあるが、判断基準があいまいであり、合理的配慮を否定すれば、障がいを理由とする差別に含まれるとされる記述もあることから、判断に苦慮すると思われる。
  • 保護者は、備品として購入できるものが自治体によって異なるということを納得しにくいのではないか。国として、「可能な配慮」と「過度の配慮」の基準を示していただくと予算化しやすい。さらに、認定就学とした場合の介助員の配置、施設・設備・教材等の財政的支援など県や国としても考えていただきたい。

2 教職員の確保及び専門性の向上について

LD等専門員の適正配置とOJTの推進による資質向上

●多忙化で研修の時間が取りにくいという現状があるが、管理職のリーダーシップのもと、校内の特別支援教育推進体制を整備し、全職員で一丸となって指導力・資質を高めるという意識を育てることが大切。

●校内委員会が情報交換で終わるのでなく、LD等専門員・特別支援学校コーディネーター・通級指導教室担当者等との連携・活用を行い、効率的に質の高い指導を受けながら、実際に適切な支援・指導ができる力を身に着けていくことが必要。

●特に特別支援学級の担任に求められる専門性はとても高く、保護者の期待も大きい。各学校に2つ以上の特別支援学級が設置されることが当たり前の状況であり、1クラスの在籍児童生徒数も増えてきている。LD・ADHD・高機能自閉症など、様々な発達障がいのある児童生徒に即座に対応できる専門性の高い教員を多数確保する必要性が高まっている。

●現在、大学での長期研修を受ける教員はとても少ないが、大学の受け入れ体制や加配教員の増員など検討し、長期研修に出やすいシステムを作っていく必要がある。
 同じく、特別支援学校での長期研修や人事交流についても積極的に進めていくことが必要。

●専門性の高いLD等専門員のような知識のある教員が増えれば、各中学校区に特別支援教育コーディネーターとして兼務配置し、中学校区の各学校へ出向いて指導や相談を行うことができる。小中学校での一貫した方針の中で、早期の気づきや効果的な支援等について即座に指導を受けることができ、力量も高められる。その場合、コーディネーターが各学校へ出向く際の加配教員の配置も必要である。

●大学での教員養成の段階で、発達障がいに対する正しい認識と理解、具体的な個別の支援方法などを身に着けるカリキュラムを必修化し、免許取得の条件とすることが必要である。

●特別支援教育支援員の増員・確保は、保護者からの要望も強く努力しているが、市の財源が厳しい状況であるため、十分に配置できていない。一層の財政的支援をお願いしたい。

 

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)