全日本特別支援教育研究連盟

インクルーシブ教育システム構築のための今後の特別支援教育の推進方策

団体名 全日本特別支援教育研究連盟

 

1.合理的配慮等環境整備について

 本連盟は、今回のワーキンググループの報告について、基本的に賛成する立場から意見を述べたい。

○知的障害のある幼児児童生徒と障害のない幼児児童生徒共に学ぶ時に、適切な学習集団でもあるという観点から、学習課題や学習内容についてそれぞれの子どもが共通した興味と関心をもつこと、また同じように参加している実感や活動の達成感を共有することができることが重要である。このような観点をしっかり押さえた検討が必要である。同じ教室にいても、障害のある幼児児童生徒と障害のない幼児児童生徒が異なった学習課題や内容に取り組む場合には、合理的配慮を議論するときのインクルーシブ教育に当たらないことを、どこかで押さえておく必要がある。障害のある子どもは、それぞれのニーズに応じた適切な学習集団や施設設備等の環境が必要であるので、特別委員会『論点整理』や今回『ワーキンググループ』報告で指摘している「連続性のある多様な学びの場が活用される」という観点を合わせて議論することが大切である。

○また障害者基本法第一六条第二項で規定する「児童及び生徒並びに保護者への十分な情報提供と可能な限りの意向の尊重」が重要であり、『論点整理』に見るように早期の相談支援体制の充実や新しい就学支援の在り方への抜本的な改革を進める観点と結びついて、一人一人に適切な教育の場が保障されること。このような基本的な条件整備の上に障害のない児童生徒と共に学ぶための「合理的な配慮」がなされるという観点が大切である。このような観点を踏まえて、別表1から11までの配慮点等を深く理解する専門性を涵養する必要がある。

○「交流及び共同学習を積極的に進める」際に通常校、通常学級に赴く交流及び共同学習の方法と合わせて、リバースな方法がとても有効である。障害のある児童生徒が主体的に学習する活動に障害のない児童生徒が参加する形態が実り多い成果を上げていることを強調したい。

2.教職員の確保及び専門性の向上について

 今回の「教職員の確保及び専門性の向上に関する論点」と「主な意見」に対しての見解

○「論点」については、総論(高発生頻度・低発生頻度等)、特別支援学校、小・中学校の特別支援教育担当教員等、コーディネーター、担当教員以外、支援員、採用・人事、連携が上げられているが、専門性向上の戦略、当面する緊急な課題解決策、中・長期的な課題解決策といった行財政の保障の観点も加味した戦略的な発想が必要ではないか。

○特別支援学校教員養成機関の全卒業生をターゲットにし、全ての都道府県が特別支援学校(教育)枠で採用試験を実施することで、優秀な資格のある教員をまず確保すること。また、資格のない教員の特別支援教育への異動における認定講習の義務化等の重点施策化。

○(ヒアリングの際の質問事項として。)特別支援学校教員免許取得者の特別支援教育への配置(特別支援学校・特別支援学級・通級の夜指導、コーディネーター等)について、数値目標を掲げ、資格者増を図る施策を実施している都道府県等自治体があるか。資料があったら、提出してほしい。戦略的な方策として、計画的な教員養成、計画的な研修体制の確立のための基本的な施策を国、地方自治体に要望したい。

○本連盟は加盟都道府県市の研究会、全国7地区での研究大会、全国研究大会を開催しているが、このような研究会参加(その他、同等な全国の特別支援教育関係全国教育研究会、日本特殊教育学会、日本発達障害学会、日本LD学会、日本特別ニーズ学会等)にポイント制を設けることを提案する。

 

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初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)