資料6:中澤委員提出資料

合理的配慮としての「時間」と「盲ろう」

中澤惠江(国立特別支援教育総合研究所)

 

 合理的配慮に関する協議の中で、障害のある子どもにより多くの「時間」を提供するという視点が落ちていたと考え、資料として提出いたします。それは、試験時間の延長と、教育を実施するときに必要とされる時間の両方にかかわります。視覚障害者の試験における配慮については比較的よく知られていますが、それ以外の障害の場合にも当てはまる場合があると考えます。
 様々な障害のなかで、教育に特に著しく長い時間を要する例として、「盲ろう」(deafblind)を紹介させていただきます。
 「盲ろう」は視覚と聴覚両方に障害を有する状態を指し、一度に摂取できる情報が極端に少なく、また、コミュニケーションを行うにも長い時間を要します。潜在的な能力が非常に高い盲ろう者であっても長い時間がかかります。ヘレン・ケラーの例でも知られているように、そもそも、言語を獲得するためにも長い年月と緻密な教育を必要とします。
 障害者権利条約第24条教育3(c)では、「盲ろう」の子どもの教育について次のように記しています。「視覚障害若しくは聴覚障害又はこれらの重複障害(中澤注、英原文ではdeafblind「盲ろう」となっている)のある者(特に児童)の教育が、その個人にとって最も適当な言語並びに意思疎通の形態及び手段で、かつ、学問的及び社会的な発達を最大にする環境において行われることを確保すること。」

 

 なお、日本は「盲ろう」を独立した障害分類としていませんが、これまで例として出している国のアメリカとイギリスでは、特有のニーズをもつ障害として認めています。両国共に、「盲ろう」は、全ての障害の中で最も人数の少ない障害となっています。

 

 あまり知られていない日本の特別支援学校における盲ろう教育の様子が、たまたま来週NHKで再放送されますので、その放映時間を以下に記します。
 委員の皆様にご覧になっていただけると幸いです。

 

NHK教育 福祉ネットワーク シリーズ盲ろう教育

平成22年11月8日(月曜日) NHK教育テレビ 12時~12時30分(再放送)

「ぼくは 学び続けたい」  見えない、聞こえない「盲ろう」者への教育は、日本ではまだ十分に確立されていないのが現実。大学進学を目指す19歳の盲ろうの青年の姿から盲ろう教育の課題を見つめる。

 

以上

 

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