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資料1 審議のまとめの方向性について(案)

学習評価の現状,課題等

・きめ細やかな指導と児童生徒一人一人の学習の定着を図るため,観点別学習状況の評価と評定を目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)として行っていることについては,小・中学校を中心に教員に定着してきているが,一定の負担感がある,評価の結果を授業改善や個に応じた指導の充実等に十分生かせていないとの声が教員や教育委員会にある。

・保護者については,学校における,児童生徒の一人一人の意欲を伸ばそうとする取組等については肯定的に受け止めているが,学習状況についてより正確に把握したいという要望をもっている。

学習評価の今後の方向性

(学習評価の意義と評価を踏まえた教育活動の改善の重要性)

・学習評価は,学習指導要領に定める目標や内容について,児童生徒がどの程度身に付けているかという実現状況を見ることが求められるものである。学習指導要領は,各学校において編成される教育課程の基準として,すべての児童生徒に対して指導すべき内容を示したものであり,指導の面から全国的な教育水準の維持向上を保障するものであるのに対し,学習評価は,児童生徒の学習状況を検証し,結果の面から教育水準の維持向上を保障する機能を有するものと言える。

・また,各学校における学習評価は,学習指導に係るPDCAサイクルの中で適切に実施されることが重要である。
 教員や学校にとって,学習評価は,児童生徒の学習状況の把握はもちろんのこと,学級や学校全体の学習状況を把握し,授業改善を行ったり,個に応じた指導を充実したりする契機となるべきものである。
 児童生徒にとって,学習評価は,自らの学習状況に気付き,その後の学習や発達が促される契機となるべきものである。このことは,保護者についても同様である。

(今回の学習評価の改善に係る基本的な考え方)

・ここに示した学習評価の意義や,現在の学習評価の在り方が定着してきている状況を踏まえれば,きめ細やかな指導と児童生徒一人一人の学習の定着を図るために導入された現行の目標に準拠した評価や観点別学習状況の評価を今後とも維持することが適当であると考えられる。

・また,学校教育法や学習指導要領の改正等の趣旨は,学習指導とともに,学習評価においても反映することが必要である。
 そこで,学校教育法や学習指導要領の改正等により改めて示された学力の3つの要素である,基礎的・基本的な知識・技能,知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等及び主体的に学習に取り組む態度に関する評価の在り方について,観点別学習状況の評価の観点を整理すること等により,明確にする必要がある。
 その際,全国学力・学習状況調査や国際的な学力調査において,我が国の児童生徒が知識・技能の定着に比べて,知識・技能を活用する力に課題がある状況等を踏まえ,新しい学習指導要領は,基礎的・基本的な知識・技能の習得とバランスを取りながら,知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等の育成を図っていることに配慮する必要がある。

・さらに,各学校は,大綱的な基準である学習指導要領に従い,地域や学校の実態等を考慮して適切な教育課程を編成し,創意工夫を生かした特色ある教育活動を行う裁量と責任を有している。また,教育委員会等は,指導要録の様式をはじめ,学校の管理運営に関する基本的事項を定める役割を担っている。
 これらのことを踏まえ,各教育委員会等において,学校や地域の教育方針を踏まえた学習評価を推進するため,指導要録を含め学習評価について工夫を行っていくことが考えられる。

(各学校における学習評価の円滑な実施のための国や都道府県教育委員会,市町村教育委員会の役割)

・学習評価の意義等を踏まえ,国や都道府県教育委員会等においては,これまでと同様,学習指導と評価の在り方,評価の観点,評価規準,具体的な評価方法等について参考となる資料を示すとともに,具体的な事例の収集・提示等を行っていくことが重要である。
 また,国や都道府県教育委員会等においては,保護者等に対し,目標に準拠した評価や観点別学習状況の評価の趣旨等について,一層の説明を行っていくことが重要である。

・市町村教育委員会においては,国や都道府県教育委員会等の示す資料を踏まえながら,各学校が具体的に定める指導計画や評価規準に関する指導・助言や,教員の研修等を行っていくことが重要である。

(各学校や教員の役割)

・学校や教員は,国や教育委員会が示す評価の趣旨や参考事例等を踏まえつつ,児童生徒の学習評価を実施する役割を担っている。このため,学校や教員は,評価の実施者として,個々の児童生徒の成績評価に関する客観性,信頼性を高め説明責任を果たすとともに,児童生徒や保護者との間で必要な情報の共有を進め,教育の効果の増進を図ることが重要である。

国が評価の観点等を示すに当たっての考え方について

(学校教育法や学習指導要領の趣旨を踏まえた,評価の観点に関する考え方の整理)

・学校教育法や学習指導要領の改正等の趣旨を,学習指導や学習評価に生かすためには,各教科の評価の観点についても,基礎的・基本的な知識・技能,知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等及び主体的に学習に取り組む態度といった学力の3つの要素に沿って整理することが考えられる。

・また,新しい学習指導要領においては,言語活動を重視し,思考力・判断力・表現力等の育成を推進することとしている。このことを踏まえれば,これらの能力を評価する観点を,各教科において明確にすることが考えられる。

・また,一部の教科においては,観点間の区別等が分かりにくいとの指摘があり,そのような指摘のある観点についても,併せて見直すことが考えられる。

(現行の評価の4観点と学力の3つの要素との関係)

・現行の4観点と学力の3つの要素との関係では,教科によって違いはあるものの,「知識・理解」と「技能・表現」が基礎的・基本的な知識・技能を,「思考・判断」が知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等を,「関心・意欲・態度」が主体的に学習に取り組む態度を,それぞれ踏まえているものとして概ね整理できると考えられる。

・しかし,詳細に見れば,現行の4観点においては,思考力・判断力・表現力等の評価は,「思考・判断」を中心に「技能・表現」でも行われており,新しい観点を示すに当たっては,思考力・判断力・表現力等を評価する観点を基本的に明確化することが考えられる。

・その際,「表現」については,現行の4観点において,多くは「技能・表現」として技能の発現に伴うものとして示しているが,本来,「知識・理解」や「思考・判断」といった観点にも付随し得るものである。
 そこで,新しい学習指導要領において,思考力・判断力・表現力等の育成を図っていることを踏まえ,思考・判断し,表現する能力を評価する観点(以下,仮に「思考・判断し,表現する能力」という。)として明確化することが考えられる。

・以上のことに加え,教科の特性やこれまでの実践の蓄積を踏まえ,次のような基本的な考え方に基づいた評価の観点の整理が考えられるのではないか。

(各教科における評価の観点に関する基本的な考え方)

・基本的には,基礎的・基本的な知識・技能に関する観点と,「思考・判断し,表現する能力」に関する観点に分けて示すことが考えられる。

・その際,基礎的・基本的な知識・技能に対応する観点について,教科の特性に応じ,知識と技能に関する観点を分けて示すなど,1つ又は2つの観点を示すことが考えられる。

・また,「思考・判断し,表現する能力」に対応する観点については,各教科で重点を置いて育成する能力に対応した名称とすることに配慮しつつ,明確に位置付けることが考えられる。

(音楽,図画工作,美術における評価の観点に関する考え方)

・音楽,図画工作,美術においては,表現及び鑑賞の活動を通じて,音楽活動や造形的な創造活動の基礎的な能力を培うとともに,豊かな情操を養うことが目標とされている。

・そのうち,芸術に係る表現の能力を評価するに当たっては,表現をするために必要な基礎的・基本的な知識・技能のうち特に「技能」に関する観点と,表現を創意工夫したり発想・構想したりする能力に関する観点とに分けて示すことが考えられる。

・また,芸術に係る鑑賞の能力を評価するに当たっては,鑑賞をするために必要な基礎的・基本的な知識・技能のうち特に「知識」と,自分なりに評価したり価値を考えたりする能力とを一体的に見る観点として位置付けることが考えられる。

・なお,新しい学習指導要領は,言語活動を重視し,思考力・判断力・表現力等の育成を推進しているが,ここで示されている「表現力」は,音楽,図画工作,美術における「表現」とは異なることに留意する必要がある。

(国語や外国語における評価の観点に関する考え方)

・国語や外国語においては,現行の評価の観点で言えば,「言語についての知識・理解・技能」(国語),「言語や文化についての知識・理解」(外国語)などが,基礎的・基本的な知識・技能に着目した観点と位置付けられる。

・その上で,学習指導要領の内容の示し方やこれまでの実践を踏まえ,「話す・聞く能力」「書く能力」「読む能力」(国語)や,「表現(話す・書く)の能力」「理解(聞く・読む)の能力」(外国語)のような,学習指導要領の内容のまとまりに合わせ,基礎的・基本的な知識・技能と「思考・判断し,表現する能力」とを合わせて評価する観点として位置付けることが考えられる。

「関心・意欲・態度」の取扱い及び「評定」について

(「関心・意欲・態度」の評価)

・主体的に学習に取り組む態度は,学校教育法や学習指導要領の改正等により示された学力の3つの要素の1つとして示されているものであり,また,教員がその向上を意図した教育活動を行い育成を図っていくことが重要であると考えられることから,「関心・意欲・態度」について,引き続き,評価の観点として位置付けることが適当ではないか。

・「関心・意欲・態度」は,表面的な状況のみを評価するのではなく,例えば,理科における「自然」など,各教科が対象としている学習内容に関心をもち,進んで課題に取り組もうとしているかを評価する観点である。この観点は,学習の対象に興味をもち,進んで取り組もうとする資質や能力を伸ばしていくものとして目標に準拠した評価を行うものであり,他の観点と同様の仕組みで評価することが適切と考えられるのではないか。

・しかしながら,「関心・意欲・態度」は必ずしも分かりやすいかたちで現れない場合があること,また,そのことにより,評価結果について説明責任を果たす教員に負担感があること等について指摘があった。
 これらの指摘を踏まえると,「関心・意欲・態度」については,評価の結果が活用される学校や地域ごとに適切に考えた上で,十分に満足できると判断される児童生徒についてのみ,指導要録等において記録することとする等の工夫を行うことも考えられるのではないかとの指摘があったが,どのように考えていくべきか。

(評定と観点の関係)

・「評定」は,簡潔で分かりやすい情報を提供するものとして,教科を総括的に評価するものであり,教員同士の情報共有や,保護者への説明のため,小・中・高等学校すべての段階において,今後とも必要なものではないか。さらに,学校教育法や学習指導要領の改正等で明確化した学力の3つの要素をすべて含んだ教科の総合的な学力に関する情報として現行と同様に示すことが適切と考えられるのではないか。

・評定については,評定の結果が活用される学校や地域ごとに,教科の特性や児童生徒の発達の段階等も考慮しつつ,評価の観点との関係等を適切に考えることが必要である。その際,例えば,評価の観点の重み付けを検討したり,「関心・意欲・態度」については十分に満足できると判断できる場合のみに加点要素として位置付けたりする等,必要に応じて,評定への総括の方法について様々な工夫を行うことも考えられるのではないか。

・また,このような評定への総括の方法と関連して,「知識・理解」「技能・表現」等が「おおむね満足できる」状況に達していないにもかかわらず,「関心・意欲・態度」についてのみ「十分満足できる」との評価を与えることは不適切との指摘があった。
 教科や児童生徒の発達の段階により違いはあるものの,一般的に,「関心・意欲・態度」について「十分満足できる」と評価される場合,他の評価の観点についても,「おおむね満足できる」と判断される状況にある場合が多いものと考えられるのではないか。教員の指導により,学習意欲の向上はみられたものの,その他の観点については目標の実現に至っていない場合もあるが,そのような場合は,児童生徒の学習を励ます観点から個人内評価を積極的に活用し指導に生かすなど,指導と評価の一層の充実を進めていくことが必要ではないかとの指摘があった。

(「関心・意欲・態度」や評定に係る評価の在り方に関する考え方の明示)

・これらのことを踏まえ,「関心・意欲・態度」の評価の在り方や観点別学習状況の評価の結果を評定に総括する方法については,その評価の結果が活用される学校や地域ごとに適切に考えることが必要であり,各学校における評定への総括の考え方を対外的に明示することが求められる。

・なお,「関心・意欲・態度」や評定に係る評価の在り方を検討する上で,我が国の児童生徒の学習意欲については,改善傾向も見られるが,国際的な学力調査の結果によると,例えば,中学校の数学や理科の勉強は楽しいと答えた生徒の割合が国際平均に比べ低い状況等を踏まえ,学習意欲の向上を図り,主体的に学習に取り組む態度を養うことが重要であることに十分留意する必要がある。

・また,国等においては,観点別学習状況の評価の結果について評定に総括する方法についても併せて情報提供を行っていくこと等も重要である。

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