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教育課程部会 児童生徒の学習評価の在り方に関するワーキンググループ(第6回) 議事録

1.日時

平成21年9月28日(月曜日) 10時~12時

2.場所

中央合同庁舎第7号館 旧文部省庁舎6階 第2講堂

3.議題

  1. 指導要録の作成及び保存等における情報通信技術の利用についてのヒアリング等
  2. 児童生徒の学習評価の在り方について
  3. その他

4.議事録

【無藤主査】

 皆様、おはようございます。定刻かと思いますので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会、児童生徒の学習評価の在り方に関するワーキンググループ第6回を開催いたします。本日もお忙しい中ご参集いただきまして、ありがとうございました。
 まず初めに、事務局において異動があったということでございますので、ご紹介いただきたいと思います。あわせて、配付資料のご確認もお願いいたします。

【梶山教育課程企画室長】

 失礼いたします。それでは、事務局の異動について紹介させていただきます。神山教育課程企画室長が異動いたしまして、視学官を拝命しておりました私、梶山が教育課程企画室長を拝命いたしました。引き続き、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。お手元に資料があろうかと思いますので、ごらんください。まず、議事次第の日時等を書いたもの、それから資料1といたしまして、「指導要録作成及び保存等における情報通信技術の利用について」という資料。それから資料2といたしまして、「指導要録の電子化について」ということで、熊本県教育委員会のほうから提出していただいた資料。それから資料3といたしまして、「児童生徒の学習評価の在り方に関する論点について」という論点、それからその関連資料。それから資料4といたしまして、小学校、中学校、高等学校の指導要録の参考様式。それから資料5といたしまして、前回ご紹介いたしました各団体からの紙面ヒアリングに関連するものでございますが、「小学校における学習評価の観点や評価方法の在り方について」ということで、全国連合小学校長会からも追加でいただいております。ICTの話も、こちらのほうにありますので、適宜ご参考の上、ご審議いただければと思っております。
 以上でございます。資料の不足がございましたら、お申し出いただければと思います。

【無藤主査】

 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは、本日の議事に入ります。最初の議事は、指導要録の作成及び保存等における情報通信技術の利用についてでございます。このことにつきましては、前回の会議で整理した本ワーキンググループにおける議論の論点に挙がっておりました。
 本日ですけれども、これに関するヒアリングと議論を行いたいと思っております。
 初めに、事務局から文部科学省としの現行法制における考え方の整理などを示していただきます。次に、このことに先進的に取り組んでおられます熊本県教育委員会から具体的な取り組みの内容、メリット、課題などについてご説明をいただきたいと思います。
 それではまず、事務局からご説明をお願いいたします。

【梶山教育課程企画室長】

 失礼いたします。資料1に従ってご説明いたします。ほかの論点につきましては、課程審の議論などをまずご紹介しておりますが、課程審においてこの議論がなされておりませんので、このペーパーについてご説明を申し上げます。
 まず、学校教育法等における指導要録の考え方でございますが、指導要録というものが児童生徒の学籍並びに指導の過程及び結果の要約を記録し、その後の指導及び外部に対する証明等に役立たせるための原簿であると、このように私どもの通知では申し上げているところでございます。
 指導要録につきましては、学校教育法の施行規則に基づきまして校長が作成するとともに、学校において備えなければならないとしております。また、児童生徒が進学したり転学したりする際には、進学、転学元の学校は、進学や転学先の学校へ、写しや抄本を送付するとなっております。
 それから、指導要録の電子化を進めるに当たっての留意点でございますが、指導要録、その写しや抄本について、書面の作成や保存、送付にかえて当該書面に係る電子的記録の作成や保存、送付を行うこと、こちらについては現行の制度上でも可能となっております。行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律というもの、またこれは民間に関しても別の法律がございまして、私学についてもそちらがかかりますので、こちらにおいて書面で行わなければならないところについても電子的記録で代用できるというようなことが定まっておるところでございます。
 その際、課題としまして、原本の真実性の保持、改ざんの防止、長期保存への対応等を行う必要があるのではないかと思っております。また、個人情報保護等の観点から、データの流出や消失等の防止にも配慮が必要ではないかという点が挙げられると思っております。
 特に、地方公共団体におきまして、公立の学校などにおきまして、個人情報保護条例等に沿った対応というものが必要とされるというふうに考えておるところでございます。
 それ以降は、個々の関係の法律でございますので、適宜ごらんいただければと思っております。
 私の説明は以上でございます。

【無藤主査】

 ありがとうございました。
 それでは、引き続き熊本県教育委員会からご説明をお願いしたいと思います。熊本県教育委員会のほうは、平成19年度から文部科学省の先導的教育情報化推進プログラムの委託を受けておるということであります。校務の情報化に関する調査研究に取り組んでおられます。その一環として、指導要録の作成及び保存等における情報通信技術の利用を実践されていると承っております。
 本日は、県議会開会中にもかかわらず、熊本県教育委員会教育政策課、柿下耕一指導主事がおいでくださっています。お忙しい中、まことにありがとうございました。柿下指導主事からは、熊本県における具体的な取り組み内容、メリット、課題などにつきましてご説明をちょうだいしたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。

【柿下指導主事】

 皆さん、こんにちは。熊本県教育委員会、柿下と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、ただいまから、本県における取り組みについてご報告させていただきます。発表内容については、指導要録の作成及び保存等における情報通信技術の利用となっておりますが、発表の中では、略して指導要録の電子化と表現させていただきます。
 本県は、平成19年度から平成21年度までの3年間、文部科学省の先導的情報化推進プログラムの委託を受け、校務情報化に関する調査研究に取り組んでいます。
 調査研究の内容は、県立学校5校をモデル校として、モデル校の教職員に1人1台の校務用PCを整備し、その上で校務見直しや情報化を行い、各種校務支援システムの開発やその活用を通して、効率的な校務処理や学校経営を目指すものです。
 本調査研究の目標と目指す効果は以下のとおりであり、調査研究2年目の平成20年度の効果としては、教員の子どもと向き合う時間が1日当たり20分増加をしています。また、1校当たり事務職員0.5人程度の事務量の削減という効果が出ています。
 このような校務情報化の効果が明らかになったことから、本県では、モデル校以外の県立学校にも、校務支援システムや教員1人1台の校務用PCを整備する予定としています。 グループウェアは、行事・連絡などの情報共有機能と教職員の休暇や旅行の電子申請と電子決裁を行うもので、既に本年度、全県立学校79校に導入しています。教務支援システムの内容は後で説明いたしますが、現在11校で稼働しており、来年度、全高等学校61校に導入する計画で進めています。
 なお、成果の全国的な普及として、開発したグループウェアと一般的な高等学校向けの教務支援システムを、希望する教育委員会へ無償で提供することとしています。
 次に、教務支援システムについて説明をします。教務支援システムは、学籍管理、出欠・成績処理、通知票、指導要録等の校内帳票を電子化するとともに、生徒の経年指導を容易にするポートフォリオ機能を持っています。また、通知票や成績一覧表などの各種帳票は、学校種等を考慮し、複数の様式を準備しており、学校が選択し、利用できるようになっています。県教育委員会がサーバを一括管理することで、学校の管理負担の軽減を図るとともに、個人情報保護とセキュリティの向上を図っています。
 それでは、具体的画面をお見せいたします。
 まず、これは授業時間ごとの出欠入力画面と、教科担任ごとの出欠入力状況確認画面と出席簿になります。出欠状況がリアルタイムで反映されるので、欠席・欠課が多い生徒など、問題の早期発見と早期の指導が可能となりました。
 次は、成績入力画面と成績一覧表です。成績入力については、考査終了後の1週間など、教務が設定した入力期間を過ぎると入力・修正ができなくなります。遡って改ざん等ができないような仕組みになっております。
 次に、通知票です。担任は、学期末に所見等を入力するだけで通知票が作成できます。通知票については4種類を用意しており、各学校が実情に合わせて選択して使っています。
 生徒ポートフォリオと調査書です。調査書や通知票などは、改ざん等が行われないように、すべてPDFで出力されます。
 それでは、教務支援システムの運用状況とセキュリティ対策についてお話をします。運用状況については、クライアント運用管理ソフトウェアが導入された教員1人1台の校務用PCで利用しています。また、サーバは、停電や火災等への災害へも対応し、各種のセキュリティ対策が施されている県庁のサーバ室に設置しています。また、県庁と学校間のイントラネットのみで利用をしています。
 セキュリティ対策としては、あらかじめ許可されたPCしか接続できません。また、当該学校から当該学校のサーバへのみしか接続できないような仕組みになっています。ユーザID、パスワードによるユーザ管理と、どういう操作をしたかという操作履歴も保持をしています。また、指導要録の電子化を行うに当たり、セキュリティコードと電子証明書による本人確認も追加しています。
 これは、先ほどの利用状況を図式化したものです。
 さて、指導要録の電子化を行うに当たり、次のような検討を行いました。まず、現行の指導要録を電子化するときの問題点としては、学籍に関する記録に押印が必要ということがあります。このことは、せっかくシステムで教務処理が電子化されていても、一部手作業が発生し、校務情報化の阻害の要因となっていました。
 検討の過程で押印自体をなくすことも考えましたが、モデル校での先行事例の段階では、他校や他県への転学等を考えると、果たして印なしの指導要録を信頼していただけるのかということもあり、現時点では押印の廃止は不可と判断しました。
 そこで、最終的には、電子証明書による本人確認と、電子証明書を使い、署名することにより、本人の電子印を出力することにより、指導要録を電子化することとしました。
 ここからは、指導要録の電子化のための具体的な検討事項や手法について説明します。
 まず、本人の確認の方法ですけれども、以下の4つの方法について検討しました。2番から4番までが電子証明書を使った確認方法になります。セキュリティレベルを高くするとコストも高くなるということもあり、将来の全校への展開も考慮し、本県においては、2番の自己署名証明書方式を採用することとしました。
 自己署名証明書とは、認証局が自身を証明するために発行する証明書のことで、本県においては、教務支援システムのサーバが認証局となっています。証明書としては、教務支援システムとPC間の通信を暗号化するためのルート証明書、本人確認や署名を行うための電子証明書を発行しています。
 指導要録処理のための事前準備として、暗号化通信のために指導要録の署名処理を行うPCには、先ほどのルート証明書を登録しています。また、指導要録で使用する印鑑の登録が必要となってきます。また、校長、担任には、今ここにありますけれども、セキュリティコードを交付しています。セキュリティコードについては、これはパスワードが見えておりますけれども、配るときはシールで保護してパスワードがわからないような形で交付しています。これは、今から回覧します。
 また、電子証明書の格納方法としては、次のような手法を考えました。校長先生には、USBトークンキーの中に電子証明書や秘密鍵を格納し、配付をしています。担任にもこのUSBトークンキーで配付したかったのですが、1本5,000円程度の費用がかかることもあって、今回、担任にはPCの中に電子証明書等を格納する方式を検討しました。当初は、担任のPCの中に電子証明書等を常駐させることを考えたのですが、なりすましや電子証明書の発行管理の手間を考慮し、担任には指導要録の署名行為を行うたびに必要となる電子証明書等をサーバから発行するアクセスチケット方式を採用することとしました。
 この自己署名証明書とアクセスチケット方式を採用したことの利点として、年度ごとのパソコン内の電子証明書の削除、インストールが不要になりました。また、サーバで一括管理しておりますので、電子証明書の発行管理が簡素化されています。また、対外的なところに電子証明書の発行を申請するのではなく、県に申請ということになりますので、電子証明書の発行が早いということです。それから、先ほどのUSBトークンキーであるとかICカードを使った電子証明書であればカードリーダー等が必要となりますけれども、そのような設備費用がいらないという、低コストで済むということがあります。
 ただ、欠点として、公的個人認証サービスや特定認証局の電子証明書と比べ、対外的な信頼性が低いということが挙げられますが、実はこの自己署名証明書方式というのは、各都道府県の例えば電子入札であるとか、そういうところでも使われている方式であり、お互いに信頼することで、ここは欠点ではなくなってくる、そういう部分もあります。
 このような手法をシステム化し、指導要録を電子化することについて、平成20年の9月に文部科学省と協議を行いました。文部科学省からは、指導要録を電子化する場合の注意事項として、原本の真実性の保持、改ざん防止、長期保存への対応、実施に当たっては熊本県がモデルケースとして実施をすること、電子化の手法の確立や成果の普及に務めること、改ざん防止とデータの消失等に注意すること、これらを守りながら、平成20年度から、本県ではモデルケースとして指導要録の電子化に取り組んでいます。
 指導要録の電子化のシステム化の概要です。印鑑登録管理機能と署名機能、この2つを教務支援システムに追加しています。
 次に、各機能について、教務支援システムの画面を用いて説明します。
 まず、印鑑登録から説明をします。最初の作業として、このような印鑑登録原票を出力します。それに担任の先生、校長先生の印鑑を押していただきます。このような形で印を押していただくということです。それを、今、画面に出ていますけれども、フラットベットスキャナーで読み込んでいきます。読み込みが完了すると、印影かシステムに取り込まれます。今、これはわざと下のほうにゴミをいっぱいつけておりますけれども、ゴミ除去とか、印を中心に配置したりとか、そういう編集を行います。編集が終わりましたら、印影をシステムに登録します。登録された印影が、システムの管理画面に表示されます。最後に、印鑑登録確認票を印刷し、登録した印影がサイズ、形等が異なっていないかを確かめます。このような形で確かめるということです。3枚とも、ちょっと今からお回ししますので、見ていただければと思います。
 このような手順で、担任、校長先生は印鑑の登録を行ういます。
 次に、担任の指導要録作成時の署名処理の流れについて説明します。担任の先生は、通常の業務支援システムのログイン、それから所見等の入力、修正の後、3番の担任署名処理を起動すると、教務支援のサーバからアクセスチケットが各担任の先生のPCに格納されます。その後、通常の署名とか認証等を行って、最終的に処理が終了する段階で、担任のPCからアクセスチケットが消去される仕組みを構築しています。
 具体的な流れは、教務支援システムの画面を使って説明をします。
 まず、これは教務支援システムへのログイン画面です。担任の先生のID、パスワードで、担任はログインします。
 これは、指導要録関係のメニューです。一番上に所見入力、3番目に担任署名という項目があります。
 これは、ホームルーム担任による所見入力の画面です。署名を行うまでは修正や更新が可能です。なお、更新、保存するたびに、改ざん防止のために最終情報を、このテキスト情報だけではなく、ハッシュ関数を使い値としても保持しています。入力、修正と確認が終わると、メニューから担任署名処理を選択し、署名処理に移ります。
 先ほどご説明しましたけれども、署名を行う段階では、アクセスチケットが担任のPCに格納されておりますので、その後、署名処理を起動したら、セキュリティコードの入力を求めてきます。入力されたセキュリティコードをサーバで確認し、正しければアクセスチケット内の秘密鍵を取り出して署名し、サーバは電子証明書の公開鍵で、その署名が本人のものであるかを確認して認証が行われます。
 このように認証が成功し、本人確認されるとメッセージが表示され、電子証明書を使った署名、押印が可能になります。
 これは、担任の署名画面になります。一番右下、見にくいですけれども、「担任署名」というボタンがあります。このボタンを押すことによって、電子証明書を使い署名を行います。このときに、システムではハッシュ関数を使い、署名前のデータと署名後のデータに改ざんがないかをチェックしています。
 署名が成功すると、メッセージが表示され、確認のために登録された印影が上のほうに表示されます。ただ、これは形式上、印影を表示しておりますけれども、署名が完了したということを示すだけなので、印影ではなく丸を表示してもいいということになります。ただ、わかりやすいように印影を表示しています。
 同様に、校長の署名処理の流れです。先ほどの担任と違うところは、校長先生には、先ほどのUSBトークンキーの中に電子証明書等が入っていることです。
 それでは、これも画面を使って説明します。教務支援システムに校長のID、パスワードでログインします。
 校長先生のメニューは、「生徒指導要録(校長署名)」1つしかありません。このときに校長先生が処理を行うときには、先ほどのUSBトークンキーがUSBポートに挿入されていなければなりません。
 担任の処理と同様に、セキュリティコードを入力すると、USBトークンキーの中の秘密鍵等を使い、認証が行われます。
 認証が成功すると、このように担任の署名済みの所見が表示されます。先ほどの担任の画面と違うところは、一番右下のところに2つボタンがありますけれども、「校長署名」と「差戻し」というボタン、その2つがあるということです。
 この差し戻しというのは、担任の所見に修正が必要であると判断した場合は、校長が差し戻すことによって担任の署名を消去させる、解除する、そういう仕組みです。解除されてしまうと、このように担任の印影の表示が消え、編集が可能になりますので、もう1回、担任の先生は、そこで所見を編集し、また署名を行うという流れに戻っていきます。
 同様な形で、署名可と判断した場合は、校長先生は校長署名ボタンを押し、署名を押します。そうすると、署名が完了し、確認のため、校長の印影が表示されます。
 これは、署名後の指導要録の出力例です。校長のUSBトークンキーがないと印影は出力されません。担任はUSBトークンを持っておりませんので、印刷した場合には、印なしの指導要録で出力がされるということです。印刷された指導要録は、あくまでも確認用という形になってしまいます。
 このような手法で、本県では指導要録の電子化に取り組んでいますが、実施を通して次の課題が見えてきました。本県では、県独自で認証局を立てていますが、全国的な普及のためには、全国的な認証局の設置が必要ではないか。今、本県だけで実施しておりますけれども、これが他県に広がった場合に、押印のかわりに、電子証明書を使って証明を行うということになってくるかと思います。それが、県独自の認証局同士で、果たして認証ができるのかという問題です。
 こういうことを考えると、公的な機関による全国的な認証局の設置が必要かと思います。ただ、費用の問題とか、管理の手間とか、そういうものもありますので、既存のインフラを使うという手法もあるのかなと思っています。そのときに考えられるのが、住民基本台帳カードや地方公共団体組織認証基盤、LGPKIと呼んでおりますけれども、こういうものの利用です。ただ、住基ネットのほうはインターネットから利用できますけれども、LGPKIは総合行政ネットワークという表現をしますけれども、学校のネットワークと行政のネットワークが違うネットワークになっている、そういう問題もありますので、そのまま学校で使えるかというのも、もう1つ検討するべき問題なのかなと思っております。
 それから、電子認証に係る整備コストということで、例えば、先ほどの住民基本台帳カード、このような公的個人認証サービスを使うということになると、電子証明書の取得手数料であるとか、また更新手数料、こういうものにお金がかかる。それから、電子証明書がICカードで配付される形になりますので、当然、ICカードリーダー等が必要になってくるということです。
 最初の認証局の問題、それから電子認証に係るコスト、この2つが認証に係る部分の課題ということになります。
 それから次が、システムに係る部分の課題ですけれども、長期保存への対応です。学籍に関する記録は、保存期間が20年に設定されています。本県において、教務支援システムが動いていて、これでデータを保持するわけですけれども、そのシステム自体でデータが20年保持できるのかという問題が、まず1つ出てきます。システムで保持できないのであれば、電子媒体で長期保存すればいいのではないかという考え方も出てきます。その場合に、本県の教務支援システムは、すべてPDFで出力されるわけですけれども、果たして今のPDFが20年後、そのフォーマットがPDFとして認識されるのか、また、読むことができるのかという問題があります。それからもう1つは、CDとかDVDに記録をして、それを保存する形になりますけれども、これもまた20年後、そういうメディアが読めるのかという問題も当然出てきます。
 実は、本県におきましては、今年度末に初めてを電子化した指導要録を使い、卒業する子どもたちが出てきますので、本県におきましては、システムでも長期保存をやっていくんですけれども、20年、非常に難しい部分もありますので、卒業した段階で、印つきの形でプリントアウトさせていただいて、そちらのほうも金庫で保存させていただくということで対応することで、今進めているところです。
 このように、実際にやってみて、いろいろな課題も見えてきましたので、またわからない点ありましたら、ご質問いただければと思います。
 以上です。

【無藤主査】

 ありがとうございました。
 それでは、これより質疑と意見交換に入ります。事務局、また熊本県教育委員会の柿下指導主事からご説明いただいたわけでありますが、それに対してご質問、あるいはご意見等をいただきたいと思います。指導要録の作成及び保存等における情報通信技術の利用ということで、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。じゃ、お2人。鈴木先生から。

【鈴木(秀)委員】

 このシステムを使いますと、今、これに入っている学校については、県の教育委員会が成績一覧表を各校のを見ることができるということになっているんですか。

【柿下指導主事】

 県の教育委員会からは、管理以外では、システムをのぞかないということで今運用させていただいています。

【鈴木(秀)委員】

 ということは、もしのぞかないという枠をとれば見られると。

【柿下指導主事】

 そうです。サーバが県にありますので、基本的には、のぞこうと思えばのぞけないことはないということにはなります。

【鈴木(秀)委員】

 要するに、各校の成績分布の状況を県教育委員会が必要な場合、見ようと思えば、それをするかどうかは別として、可能だということですね。

【柿下指導主事】

 はい。

【戸谷委員】

 1点、指導要録作成を担任の先生が行って、担任署名ということをやりますけれども、高等学校、手書きの場合には、その学年が終わりますと、お互いに点検をするんです。この場合、校長が、全部差し戻しかどうか点検するという、その辺のシステムはどういうふうになっているか教えていただきたいと思うんですけれども。

【柿下指導主事】

 これはあくまでも決裁処理をシステム化しただけであって、運用自体は、従来と変わりありません。ですから、先ほど、指導要録、印なしの形でプリントアウトできますので、そこで出力されたものを、例えば教務であるとか、そういうところが点検を行って修正まで終わった段階で、通常、担任の先生は署名という行為に入っております。

【戸谷委員】

 じゃ、この過程の中で、1回紙ベースに落として点検をしているということですね。

【柿下指導主事】

 システムだけでは見落とすことが多いので、紙でやられているのが現状です。

【無藤主査】

 逢見委員ですか。

【逢見委員】

 逢見でございます。大変すばらしいシステムだなというふうに思いました。これを見ますと、今、学校現場でやっているペーパーベースのものがスムーズに移行できるようなので、非常にすばらしいと思います。
 ただ、心配というか疑問なのは、県のサーバーにアクセスする方法で、試行では5校ということですが、これが全79校でやったときに、レスポンスの問題、多分、処理をするのは一定の3月末とか、そういう時期に集中すると思いますが、このシステムで運用できるのかどうなのか、それが1点。
 それから、無償でこのシステムを提供するというお話でしたけれども、他県に対してもそういうことなのかどうか。その場合に、多分、管理のグループウェアはフリーでもいいと思いますけれども、データベースの部分、ここはフリーにはならないのではないか。メーカー依存とか、そういうことがあるのではないかということで、ちょっとお聞きしたいと思います。

【柿下指導主事】

 まず、サーバのレスポンスの件ですけれども、全校61校に展開するときはサーバを17台ほど使います。1台当たりのサーバで4校程度を処理します。現行のモデル校、それから今11校で運用を始めていますけれども、同様の割合です。このような実績から負荷的には問題がない。また、イントラネットの中だけで利用しているということもあり、そういうふうに思っております。
 それから、他県への無償提供では、ある都道府県と話が大分進んでおりまして、12月頃には、一番最初の都道府県への提供が始まるような形になっております。
 データベースのところは、システム的には有償のデータベースを使っておりますけれども、システム的に構築していただければ、プログラムの部分については無償で提供するというような形になっております。

【逢見委員】

 ありがとうございました。

【無藤主査】

 順番で、まず天笠委員、それから岩瀨委員。

【天笠主査代理】

 どうもありがとうございます。私のほうから、1点、ご質問させていただきます。
 それは、ご報告いただいたこのシステムの効果にかかわって、30分程度云々という話があって、2年目の効果が、向き合う時間が増加ということなんですけれども、その中身は大体わかるような気もするんですけれども、具体的に20分、あるいは30分時間がそういう形で削減、あるいは向き合える時間が増えるという中身は、どういうふうなことになって、そういうふうになっているのか、あるいはお考えになっているのかどうなのか、この点についてお願いいたします。

【柿下指導主事】

 今日はちょっとお見せしなかったんですけれども、各学校で4カ月にわたって勤務実態調査をやっています。その結果を見ると、20分の中の大きなところでは、成績処理に関するところが大きな部分になります。特に学期末、9月から12月で調査をやっていますけれども、12月の場合だと、教員1人平均で1日20分程度、従来に比べて成績処理にかかる時間が減っています。これは、システムによる効果が非常に大きいと思っています。成績処理自体をやらなくていいことと、通知票の作成自体も、先ほど言いましたけれども、すべてデータが入っておりますので、コメントを入れるだけで終わってしまいます。担任の先生にヒアリング調査を行いましたけれども、従来の作成時間の5分の1から半分ぐらい、人によってばらばらなんですけれども、通知票の作成にかかる時間は大きく減少されたということを言っていただいております。

【無藤主査】

 じゃ、岩瀨委員。

【岩瀨委員】

 全日中の岩瀨です。大変参考になる報告で、ありがとうございました。実は、私、世田谷区なんですけれども、本区でも、中学校には一昨年から全員1台パソコンが入りまして、指紋認証のメモリーということでやっておるんですけれども、今、要録をどうするかということが区のほうで検討課題になっていまして、そこでネックになったのが、やっぱり押印のことだったんです。そういう意味で、今日の報告はすごく参考になりましたので、ありがとうございました。
 ちょっとお聞きしたいのは、今お話も出ましたけども、要録を電子化するということは、当然、通知票もそういう形になっていると思うので、そのあたりのことをちょっと説明していただきたいということが1つと、関連して、非常にお恥ずかしい話で申しわけないんですが、頑としてパソコンをやらない教員がいるんです。そういう先生は、どうなさっているのか、このあたりもちょっとお願いしたいと思います。

【柿下指導主事】

 通知票については、先ほどありましたけれども、システム化するときに全県立学校、そのときは77校でしたけけども、全校から帳票類を集めて標準化の作業を行っています。そして、現在、通知票は4種類の基本ベースがシステムに登録してあります。それをカスタマイズして、各学校、使っているというのが現状です。
 通知票の中身も、1、2学期と3学期は、例えば総合的な学習の時間の評価を出す、出さないとか、通信欄をつける、つけないとか、そういうものも選択できるようになっています。
 あと1点は……。

【岩瀨委員】

 パソコンをやらない先生。

【無藤主査】

 やらない、苦手な。

【柿下指導主事】

 すいません。パソコンをやらない先生方への対応ですけれども、使わなければ仕事ができない状況に追い込んでいくということです。
 要するに、今まで成績伝票で、紙で渡していたものが、システムに点数を入れなければならないということになります。
 それから、教務支援以外のところでも、例えば、先ほどグループウェアの話で電子申請、電子決裁がありましたけれども、休み1つとるのにもパソコンを使って入力しなければならない、そういうふうな状況をつくっておりますので、それによって先生方もパソコンになれてきていただいている。
 それから、全員同じパソコンで同じソフトが入っておりますので、今までわからないときに、どうしようもなかったところが、今は簡単に隣の先生に聞けば、こうやるんだよと教えてもらえるようになりました。それから、教務支援システムについては、通常の教科担任レベルであれば、ほとんど点数入力と出欠の入力だけになりますので、マニュアルを見なくても、大体操作できるようになっています。
 以上です。

【無藤主査】

 じゃ、まず西岡委員、どうぞ。

【西岡委員】

 まず4ページに、教務支援システムで出欠入力とありますが、普通出欠をとる場合、日常的に出欠簿につけることと思います。それをまた入力し直してもらっているということで、煩瑣さはないのでしょうか。次に3ページに戻って、ポートフォリオという記述がありますが、それはどの程度行われているのでしょうか。それから通知票などは学校独自で工夫することによって、いろいろ指導の改善につながるという要素もあったと思うのですけれども、そこら辺の柔軟性はどういうふうに確保されているのでしょうか。以上3点、教えてください。

【柿下指導主事】

 はい、わかりました。まず、出欠の入力ですけれども、一応紙でも記録をとってもらっています。後の確認で、どうしても、ここは出ていた、出ていないという問題が出てきますので、一応授業に行くときには、紙の教務手帳、実はシステムから出力できる教務手帳がありますけれども、それに記録をとってもらって、授業が終わって、自分の机の上で出欠入力をされています。
 それから、ポートフォリオの件は、成績以外にも、行動の記録、それから模試データであるとか、いろいろなデータを追加することが可能になっています。ただ、現状からいくと、行動の記録において、どこが悪かったとかいうことは書かれていないのが現状です。
 それから、通知票の件は、県でシステム化を行うときに、79校分の様式をつくるとか、そういうことをやってしまうと、当然システムの開発、管理負担が79校分発生するということになります。ですから、そこはコストの兼ね合いで、システム化するときに標準化の作業で全学校でどういう項目があるかというのを調べて、大体4パターンぐらいに集約できましたので、ベースとしては、それを使っていただいているということになります。

【無藤主査】

 吉田委員、お願いします。

【吉田委員】

 このシステムそのものは現場の先生にとって非常にありがたいものだと、私も思いますが、3点ほどお聞きしたいことがあります。
 まず1点目は、子どもの写真が登録されるようですが、保護者への説明はどのようになさったのでしょうか。
 それから2点目は、先ほど保存期間の問題がありました。現在使っている指導要録の紙というのは非常に分厚くて頑丈で、20年は十分にもつ紙質ですが、パソコンで印字した紙もそうですが、プリントした活字そのものが薄くなったりすることはないのでしょうか。
 3点目は、非常に便利なシステムなんですが、使用に当たってののルールづくりが大事だと思うんです。先ほど西岡委員の質問にお答えになった、出欠は紙に一たん書いて職員室で入力すると、そういうご説明でした。これは非常に大事なことだと思っています。海外のある学校で、このようなシステムで出欠をとっている先生を見たんですが、その先生はプロジェクターでその画面を黒板に映していました。黒板のほうを向きながら、何々さん、いますかといって出欠をとっていました。これは行き過ぎた状況ですけれども、紙ベースで、ちゃんと子どもの顔を見て出欠をとるというルールづくりも大事だと思います。さらに要録にコメントを入力する際に、定型文をつくって張りつけるということが起こることはないかという心配もあります。こういった面でのルールづくりも必要と思うのですが、そういったことは今どのようになさっているのでしょうか。
 以上です。

【柿下指導主事】

 子どもの写真については、学校で年度当初に写真を撮られていますけれども、例に出しましたものには、写真がありましたけれども、実際には、システムには写真が入っていない学校がほとんどです。今までと同じく、プリントアウトされたものを学校が証明書に使ったりとかはしていますけれども、システムには写真が載っていないという状況です。
 それから、保存期間で印字、プリントアウトの問題、実は今年の課題で、今、いろいろ研究を進めているところです。当然、20年もつためには紙の質であるとかインク、このあたりの問題で、業者などと話をしながら、検討しているところです。多分、少し厚目の紙に、消えないインクを見つけまして、それでやっていくことになるかと思います。
 それから、ルールづくりの点ですけれども、これは先生方のお互いのチェックじゃないですけれども、そういうところをやっていただくしかないのかなと思います。今までも、通知票であれば、システムで作成しなくても同じようなことで、先生方の意識の問題の部分が中心になるのかなと思います。実は、システムになっているから同じコメントが何個入ったら警告を出せとか言われると、やれないわけではないんですけれども、そこまで果たしてやるべきなのかという問題もありますので、そこは先生方にお任せするしか、今のところはない。それか、相互にチェックするしかないのかなと思っております。
 以上です。

【無藤主査】

 じゃ、まず佐々木委員、手を挙げましたね。すいません、順番にいきますから。

【佐々木委員】

 私は、隣の宮崎県にいながら、東京に来て、この研究を知るという、ほんとうに恥ずかしいんですけれども、すばらしい研究だなと思っております。
 1点だけ、どうしても義務ですので小中学校のことを考えるんですが、勤務時間内にこれは使うということになるのか、勤務時間外とか休日とかに使えるようなシステムなのかどうか、1点だけ教えていただきたいと思います。

【柿下指導主事】

 システムの利用時間に制限は設けておりません。ただ、先生方の勤務実態調査から見えてきたのは、今まで仕事ができなくて放課後とか時間外にやっていたところが、今、勤務時間内にシフトしてきています。ですから、結構このシステムが入ったことによって、勤務時間内にこういう作業が行われるようになった。
 それから、持ち帰りができなくなっているということです。ですから、そういう勤務状況もなくなってきているということです。
 以上です。

【無藤主査】

 あと、今、お手を挙げている4名の方に、順番に。じゃ、市川さんから順番にいきましょう。

【市川委員】

 どうもありがとうございました。私が伺いたいのは、経営面ということよりも、せっかくコンピューターに入れるのであればとつい考えちゃうんですけれども、これを集計したり分析したりするということは、やろうと思えばできますよね。すると、例えばどこのクラスが何となく成績がいいようだとか、あるいはどこどこの学校はどうもつけ方が甘いようだとか、こういうのを調べようと思えば、すぐ調べることもできると。あんまり調べないほうがいいということもあるのかもしれませんが、せっかくコンピューターにこれだけの情報、成績とか指導要録の各観点というようなことも入っていると、そういう集計と分析というようなことに結びつけようと思えば、すぐにでもできそうな状態なんですが、今日、そのお話はなかったと思うんですけれども、これはそういう意味での利用、うまく使えば、かなり指導や評価の改善になる可能性もあるかわりに、あんまりやり過ぎると危ないという話にもなるかと思うのですが、そのあたりはいかがなんでしょうか。

【柿下指導主事】

 実は、この先導的教育情報化推進プログラムの企画書の段階では、集計、分析まで行うと提案させていただいたところです。県の施策にそれを生かすということで。
 ただ、実際に運用を始めて、やはり校長先生方のご意見が、先ほどもデータを見るなという話もありましたけど、指導要録も含めて、校長にすべて権限があるものですから、そこは許容を超えて県がやるということは、今のところとめているというような段階です。
 今後、校長会とお話させていただきながら、それが有効利用できるということを訴えていけば、認めていただけるのかなと思っております。

【市川委員】

 校長は、校内のデータに関しては分析しようと思えばできるんですか。

【柿下指導主事】

 そうですね。集計とかはわりと簡単にできますので、出欠率とか、成績の分布であるとか、そういうものも含めて。それから年度末の進級認定会の資料あたりも、実はボタン1つでできるようになっていますので、そういう点においては、欠点の数とかも含めて分析はできるようになっています。

【工藤委員】

 2点教えてください。1つは、観点別学習状況の評価については、高等学校のようですけれども、これを実施するときに、そういう話題はあったのかどうか。これは学校の問題なのか、それは通知票のパターンの問題にも関係すると思いますが。
 それから2点目は、このように評価が成績という形で数値として示されると、例えば進級の認定とか単位認定のときに、データに依存する傾向が強まって、1人1人の学習特性とか子どもたちの様子とか、こういうものが反映しにくくなるのではないかという感じもするのですが、そういうことの有無についてお尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。

【柿下指導主事】

 観点別評価については、県立中学校向けのシステム化を今年度やっておりますので、システム的には可能です。
 それから、熊本県の高等学校で通知票において観点別評価を行っている学校が1校ありますけれどもこれは分校です。来年、システム化を考えておりますけれども、通知票の部分は、やはりその学校の独自性を生かすということを考えたいと思っていますので、その学校については、通知票だけは従来の形で、そのほかの資料等についてはこのシステムでというような形で切り分けて運用をやっていくのかなと思っているところです。
 それから、データに依存というようなところですけれども、これはあくまでもシステム的なデータであって、最終判断されるのは学校長であるということになりますので、例えばこれが評定が1だから進級できないとか、出欠状況が何時間オーバーしているから補講ができないということではなく、そこはやはり学校長が判断をして決断をされることだと思っております。

【無藤主査】

 じゃ、戸谷委員。

【戸谷委員】

 すいません、2点お伺いをしたいと思います。
 1つは、成績判定会議資料をつくるということですけども、個々の成績を出したときに、年度を追って追跡をしていくというのは、成績会議の資料の中にも入ってくるんだろうと思うんです。先ほど、それを取り出すことができるというふうにおっしゃいました。例えば、入試の成績だとかそういったところから追いかけていったときに、ここの中に入っているのかどうか。なければ、別途また今普通の高等学校でも、自分の教務パソコンの中でやっているわけですけれども、その辺のところがどういうふうになっているのか。あるいは、成績の個人票を生徒に出すときに、その統一性みたいなのがあるのかどうかということ。
 最後に、2点目は、先ほど休暇等の決裁をするということですけども、先生方が、この成績資料のほかに起案等を電子決算をやってらっしゃるのかどうか、そこをお聞きしたいというふうに思います。

【柿下指導主事】

 判定会議の資料でずっと追跡というのは、多分、対応はしていない部分だと思います。詳しくそこは見ていないから不確定なところなんですけども、ただ、生徒ポートフォリオの中には、入試のときのデータを含めて、各学期の成績データ、模試のデータまで含めて蓄積はされております。
 それから、個人票のところですけれども、個人票についても4種類選べるようになっておりますので、そこについては、各学校で統一をして使っていただいているということです。
 それから、起案の電子決裁の部分ですけれども、現状からいいますと、学校で起案の電子決裁というのはやっておりません。
 以上です。

【無藤主査】

 はい、向山委員、どうぞ。

【向山委員】

 たくさんの質問にありがとうございました。これで最後になるのかな。
 2つあります。先ほど、希望する教育委員会へ貸し出しをするという話があったんですが、今後、県立学校から熊本県で広げていったときには、設置者が違って、市町村の教育委員会が整備していくときにどんなような課題が出てくるかと考えていらっしゃるか。それからもう1つは、先ほど関連するんですけど、小学校の教員は、どうしても持ち帰り業務が多いという勤務実態調査があるんです。子育てとか介護でやっている女性教員も多いんですが。そうすると、どうしても学校をある時期に退勤しなければならない。そういったような教員が、成績処理をする際に、解決策みたいなところがあるかどうか、という2点です。

【柿下指導主事】

 希望する自治体には提供を始めますけれども、今、例えば提供できるとしては中学校の部分だけしかないわけです。今年度、県立中学校向けに開発をやっておりますので。ですから、小学校の部分は全くないような状況です。
 それから、当然、県内の市町村であれば、同じ県費負担教職員になりますので、ある程度、県教育委員会でも支援のほうはやっていくような形にはなるかと思います。
 それから、高等学校と違って、義務制の処理が、果たして今、高等学校でやっていただいているようなリアルタイムの処理が必要なのかという部分です。例えば、ある期間を区切ったバッチ処理でいいのではないかということです。そういう処理のほうが、教員の負担軽減につながる部分があるのではないか。高等学校であれば、やはり単位制の問題であるとか、総合学科であるとか、そういうふうな複雑な教育過程で動いていますので、子どもたち1人1人に対してのカリキュラムという部分が出てくるので、例えば出欠に対しても、その日終わったら講座単位で入力していただいている。それがクラス単位である程度決まった形で動いていくものに、毎時間、毎時間の処理とか、そういうことをやるとかえって負担が増える部分がある。学期末の忙しい時期は同じだと思いますけれども。私たちがよく先生方に、学校でやる仕事と家でやる仕事を切り分けてくださいねということを言っています。この部分をきちんとやっていただいて、システムを使うのは学校で、家でできることは家でとか。熊本県の場合は、安全に持ち出せる仕組みをつくって家で仕事をやりなさいというスタンスではありません。仕事はできるだけなくしていって、できるだけ勤務時間の中におさめましょうということで、今やらせていただいていますので、ちょっと回答になるかどうかわかりませんけれども、そういう方向性で熊本県はやっております。

【無藤主査】

 まだおありかとは思いますけれども、時間もございますので、どうもありがとうございました。ここまでとさせていただきます。
 次の議題でありますけれども、今後の議論の論点案というのが資料3ですけれども、ございますが、前回のワーキンググループにおいてお示しいただいてございます。
 議論に先立ちまして若干の修正をしてございますので、それにつきまして事務局からご説明をお願いいたします。

【梶山教育課程企画室長】

 失礼いたします。資料3をごらんください。1の(6)(8)(9)を修正してはいかがかと思っております。
 まず、1の(6)でございますが、そこのところで「外国語活動」、「総合的な学習の時間」に「特別活動の記録」というものを追加しております。今まで特別活動は7でやってはという話で整理しておりましたが、特別活動については6、教科等というところでご検討いただければと思いまして、場所を移しているものでございます。
 それから、(8)と(9)でございますが、高等学校と特別支援教育については、基本的には全体の学習評価にかかわる議論の中で検討がなされると思いますが、その特質に応じ、高等学校で必要なものがあるのではないかというようなご指摘がございました。そのため、「その特質に応じ」というもを(8)(9)に入れさせていただいております。
 以上でございます。

【無藤主査】

 ありがとうございます。より実際的な方向で少しだけ修正ということでございました。
 論点につきましては、あくまで仮の整理でございますので、議論の中身によってまた変更してまいりますということでよろしくお願いいたします。
 それでは、残りの時間でございますけれども、論点ごとの議論を行いたいと思います。本日は、論点1の(3)ですが、評定と観点別評価との関係というところです。それについてどう考えるべきかであります。それから2番目は、1の(4)学習評価について保護者等の理解を深めるためにはどのような方策が考えられるかということ。そして3番目でありますが、1の(7)「行動の記録」、「総合所見及び指導上参考となる諸事項」について、どのような改善が考えられるか。この3つの論点を取り上げたいということでございます。残り時間、1時間ちょっとですので、それぞれが20分ぐらいということになります。論点ごとに議論を深めていきたいと思いますので、お願いいたします。
 それではまず、(3)の評定と観点別評価との関係についてどのように考えるべきかということであります。議論に先立ちまして、事務局から、この論点につきまして簡単にご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【梶山教育課程企画室長】

 失礼いたします。それでは、資料3の2ページ以降をごらんいただければと思います。
 まず2ページでございますが、前回と同様、教育課程審議会、前回平成12年における主な考え方、それから現在までの議論というものをまとめております。
 まず、12年の答申における主な考え方でございますが、一番上の丸で、平成3年の改訂におきましては、評定は観点別学習状況の評価を補完するものとして、目的に準拠した評価を加味しつつ、集団に準拠した評価とされておりました。そこが、2番目の丸でございますが、評定についても目標に準拠した評価に改め、学習指導要領に示す目標が実現されたかどうかを客観的に評価していくことが適当であるというふうにされております。
 その理由を5点示しておりますが、第一点目というものが、児童生徒一人一人の進歩の状況や教科の目標の実現状況を的確に把握し、学習指導の改善に生かすことが重要であるという点。それから第二にございますが、学習指導要領に示す内容を確実に習得したかどうかの評価を一層徹底するという観点。それから第三でございますが、上級の学校段階の教育との円滑な接続に資する観点。それから第四でございますが、習熟度の指導など個に応じた指導というものを一層重視しており、学習集団の編成も多様となるということ。それから第五でございますが、少子化等によって学年、学級の児童生徒数が減少してきており、教科の客観性、信頼性を確保することが5つの点として挙がっております。
 それから、評定でございますけれども、評定につきましては、現行と同様、小学校3年生以上においては3段階評価で、中学校の必修教科については5段階評価で行う。小学校1、2年については評定を行わない評価が定着していること、それから身につける内容等が基本的なものであるということから、これまで同様、評価を行わないというような整理になっております。
 次のページをごらんいただければと思います。そこで、観点別と評定がともに目標準拠評価というふうになりましたが、分析的な評価を行う観点別学習状況の評価に対して、評定というものは簡潔でわかりやすい評価情報を提供するということの位置づけがされておるところでございます。また、観点別状況の評定の総括ですが、具体的な方法等については各学校において教科特性、それから観点の趣旨等を十分踏まえ、研究し工夫することが大切であるとまとめていただいたところでございます。
 現在までの議論といたしまして、評定の意義、役割についてでございますが、評定につきましては、観点別評価の結果を踏まえたものとして実施されていれば、意義もあり、また、児童生徒や保護者にとって、教科間の比較や過去の成績との比較に用いられたりするという意味で、教育的な意味もあるというご意見がございました。また、保護者が関心を示すのはやはり評定である。一方、評定というものは指導に生かしにくい。評価の結果は、入試選抜のみならず、学校段階を超えて、児童生徒の学力を伸ばしていくことにも生かしていくことが重要であることにかんがみると、児童生徒の学習状況を詳細に把握できる観点別の評価があれば、評定はなくてもよいではないかというようなご議論もございました。
 また、評定と観点別評価の関係でございますが、観点別評価の結果を評定に結びつける方法については、もう少し考え方を示すべきではないかという議論。また、前回にもございました情意面に関しては、例えば生徒が教員のことを好きか嫌いかということでも左右されるものであり、発達段階に沿った指導が難しい。その意味で、情意面の評価については、認知面の評価と少し切り離した形で考えることも必要ではないかというご議論がございました。また、観点別評価の結果を評定に総括する方法には、学校間で差がある。また、大学について、ある学校の評定「4」よりも、別の学校の評定「5」のほうが学力が低いという、そういう事実上の評定をもらうよりは、観点別の学力の評価結果を正しく出してもらえるのであれば、その結果をもらうほうが望ましいと考えている面もあるのではないかというご議論もございました。さらに、観点別評価の結果を評定に結びつけることは、それぞれの趣旨が違うので、行わないほうがよいのではないかという議論もございました。
 関連でございますが、一番最後のページをごらんいただければと思います。指導要録ということで、通信簿と直接の関係にはないところでございますが、国研のほうで「通信簿に関する調査」を平成14年7月に実施しているところでございます。小学校5年生、それから中学校2年生について調査しておりますが、現行指導要領のもとにおいて、観点別評価、状況のみを伝えているところが小学校5年生では7割です。しかしながら、中学校についてはほぼ100%に近い学校が何らかの形で評定を保護者に伝えているという形で、小学校、中学校で状況が違うということが挙げられるのではないかと思っております。
 以上でございます。

【無藤主査】

 ありがとうございました。それでは、今の評定と観点別評価との関係ですが、ご意見、よろしくお願いします。
 まず、西岡委員。

【西岡委員】

 議論に入る前に質問なのですが、評定と観点別評価の関係について考える以前に観点をどう設定するかがわからないと、議論の前提にならないのではないかと思ったのですが、論点(2)についてはどういうふうに決着がついたのでしょうか。

【無藤主査】

 いや、まだ決着もついてないので、要するに順次いろいろな意見を出していただく。ただ、論理的にはおっしゃるとおりですけれども、それは決着つけて次というよりは、それぞれでなるべくここでの多様な意見を出しながら少し整理する。だから観点のあり方そのものについても、また戻ります。

【西岡委員】

 わかりました。

【無藤主査】

 評定と観点別評価の関係で、どこからでも結構ですけれど、いかがでしょうか。ですから、西岡委員を含めて、要するに、例えば観点別の、観点がこういうふうになった場合にはこうだとか、あるいは今までの評定の考え方はこうしたらこうだとかを含めて、どうぞ、意見を出してください。どこからでも結構です。いかがでしょうか。
 じゃ、松浦委員。

【松浦委員】

 失礼します。私はやはり評定と観点の関係で、観点といいますのは、そもそも学習指導要領に述べられている各教科の目標の言いかえだと思うんです。
 例えば私は外国語教育が専門なんですけども、外国語の学習指導要領の目標を分析していけば4つの観点になる。つまり観点といいますのは、先ほどの繰り返しですが、目標の言いかえとなりますと、現行ですと4つの観点、つまり4つの学力から構成されているという考え方で、その各部分を評価するときには評価の観点と呼んでいるという趣旨を踏まえますと、評定を出すときにはやはり観点別の評価結果をもとにして、それを総括する形で評定を出すというのが本来の筋ではないかと考えます。そのとき、何が今問題になっているかといいますと、4つの観点間をどのように重みづけをして、評定を出していくのかというところで各学校なり、あるいは地域が非常に苦労していると認識しております。
 とりわけ、関心・意欲・態度にかかわってですけれども、外国の場合で申しますと、関心・意欲・態度、それから実際に英語を表現したり、理解したりするという表現の能力、理解の能力、それから知識、理解という4つの観点なんですけれども、その4つがほんとに同じウエートでもって総括されていくべきものなのかどうか。例えば、先ほどの西岡委員の話じゃありませんが、仮に3観点とかになれば、ますますもって関心・意欲・態度等々のウエートが高まっていくということなども考えますと、観点別評価の結果を総括するときにどのようなやり方でもって総括をしていけばいいのか、また、それは学校とか地域に任せるべきものなのかどうか、また教科の特性、各教科にどこまで教科特性を自由にして、教科で検討できる余地を残すべきなのかといったところを少し検討しておかないと、先ほど私もちょっと質問したかったんですけれども、熊本県の場合でも今後観点別結果も県で一括的に整理したときに、ある学校はAABBは4になっている、ところがある学校はAABBは5になっているといったような矛盾なんかも出てきやしまいかという懸念も抱いております。
 まず意見です。

【無藤主査】

 ありがとうございます。
 じゃ、西岡委員。

【西岡委員】

 前回までの学校のご意見などを伺っていても、やはり評価にかかわる事務作業、労力が多過ぎるという声が一貫して出てきているわけですよね。今回の学習指導要領改訂で知識・技能を個別的に身につけさせていく部分と、それらを総合して活用する際に発揮される思考力・判断力・表現力等を評価する部分があるということが明確に打ち出されている中で、それとは違った観点を設定するのは、結局二重負担になるんじゃないかと考えます。また、その上で、それをまたさらに総合しなくてもいいものを総合評定で出す作業するということも、余分な負担になるだろうと思います。したがって、私は観点を減らして、かつ評定もなくすというのが一番合理的だろうと考えます。観点を減らすことによって、各観点の中でのある程度の総合が行われているので、それ以上、無理に総合しても意味のないものを出す意義はないという意見です。

【無藤主査】

 ありがとうございます。
 加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】

 観点というのは、本来は総合的なものである学習活動を、ある窓口を設けて分析的、便宜的に見ていこうというものですよね。今のところはそれを4観点で見ていこうということなので、ただそこで知識・理解が低いといっても、それはあくまでこの学期の、この教科の内容に即した知識、理解が低いのであって、私はそんなに一般性や普遍性があるものではないと思うんです。それを観点別で評価し、さらにそれを数値化処理して評定を出すと、評定が勝手にひとり歩きをしてしまうわけです。むしろ私は、中学校ではなかなか難しいと思いますが、小学校の場合は観点別を出しても評定はしない。観点別というのはそれぞれの子どもの特性というのを表すものであって、先ほど申しましたように、ある領域の内容に即したもの、限定したものであるということをしっかりアピールしておくということをしてはどうかなと思います。

【無藤主査】

 ありがとうございます。
 秋田委員。

【秋田委員】

 私も観点というものが、教師が分析的に子どもをとらえるためには必要であろうと思います。そのときの観点はあまり大きな変動を毎回毎回変えるのではなく、ある意味でこういう観点を安定的に使っていくということが必要であろうと思いますが、既に小学校の低学年では評定をつけていないように、小学校教育段階を発達的な点から考えたときに、小学校において評定がどこまで必要かということは議論すべきところではないだろうかと考えます。むしろ観点別並びに所見での記述部分があればよろしいのではないかと思います。ただし義務が終わる、中学校段階で将来の自分の進路と専門をより明確に考えていく段階では、評定も自分の中での得意科目やプロフィールを考えていくという意味で必要にはなってくるかもしれないと、発達的な観点をもう少し視野に入れることはできないのかと思います。

【無藤主査】

 じゃ、天笠委員。

【天笠主査代理】

 この2ページの一番下の丸のところなんですけれども、今の秋田委員ともかかわります。観点別云々ということはここでは控えさせていただきますけれども、今回の場合の改訂の一つは、9年間を見通した改訂というんでしょうか、という趣旨からしますと、もう一度小学校と中学校全体を通しての各学年の段階の特性の押さえ方ですとか、そういうことを見つめるとしますと、3年生以上は3段階ですとか、あるいは低学年における評定を行わないとか、9年間全体を通してみて、この点の確認をするということの必要性はあるんではないかと思います。
 具体的にどういうふうにしていったらいいかどうかというのは、これはまたこれとして、もし意見を申し上げさせていただくことがあれば申し上げて、また議論が必要なんじゃないかと思いますけれども、とりあえずこの点については、もう一度9年間をトータルに見て、その上でそれぞれの学年の特性等々を踏まえながら検討していくという必要性があるんじゃないかと申し上げたいと思います。
 以上です。

【無藤主査】

 じゃ、まず鈴木委員から。

【鈴木(真)委員】

 すいません。「保護者が関心を示すのは評定である」というのは、私が以前現場の状況で話をさせていただいた内容なんですが。それと、ワーキンググループの中で「高校入試に使われるものとしての評価と、子どもの学びを見取ってそれを支援するための評価を切り離すべきだ」というご意見を述べた委員さんがいらっしゃったり、「高校側の方で、もしくは大学側の方で、観点別の学力の評価結果を正しく出してもらえるのであれば、その結果をもらうほうが望ましいと考えている面もあるのではないか」という意見もありました。子どもにとって、学びを見取って、それを支援するために観点別というものが設けられている。それと総括として評定をすることがもし切り離せるという合意が得られるのであれば、私は評定はなくてもいいのではないかなと考えます。入試のときに困るという意見もあるかもしれませんが、それはなくてもいいと。
 あともう一つは、保護者に対して、もしくは学びをしている子ども本人に対して、あなたは今こういう状況で、こういうところを頑張るといいよねというのが正しく伝わって、子ども自身が頑張ろうと思ってもらえる形で評価を渡せるのであれば、評定はなくてもいいのかなと思います。

【無藤主査】

 櫻井委員。

【櫻井委員】

 失礼いたします。私も今まで述べられた方々、委員さんと同じ意見を持っています。私は小学校のほうの立場で言わせていただきますと、小学校の現場、川崎市なんですけれども、グラフにも出ていました小学校71%に入ります。通信簿のほうには観点別……。
 どうも失礼いたしました。すいません。観点別学習状況のみというのが小学校は71%となっています。川崎市の場合ですと、ですから小学校の観点別学習状況の評価だけを保護者にも知らせています。評定は保護者には一切知らせていません。指導要録に記入しているだけですので、現場でも、教職員もなぜ要録に書かなければいけないかなという感覚でやっているわけで、ほとんど評定の意味がないといいますか、いわゆる子どもたちの学習状況を的確に把握して、それを保護者に知らせ、また次の進級した場合の担任にも知らせていくという意味では評定は要らないのではないかと考えています。
 以上です。

【無藤主査】

 じゃ、吉田委員。あと、今ほかに意見がある方は手を挙げてみてください。工藤委員ぐらいでいいですか。
 吉田委員、お願いします。

【吉田委員】

 観点別評価というのは先ほどの話題にもありましたように、もともと目標として示されたものを分析的に評価するという意味で非常に意義があるものなんですが、今の議論をずっと聞いておりますと、評定はもう要らないのではないかという話に進みそうになっています。私は目標を分析的に分けて、観点を決めて指導した後は、それを総合または、統合してその科目、あるいは教科の達成状況を明らかにすべきだと思います。
 今、現場では、ここでも出ていましたように、分析的に評価したものをどうやって統括、総合していくかというところが課題になっていると思うんです。当初、観点別評価から評定に持っていく段階はおおむね満足というのを中心に考えたんではないかと私は思っています。多くの先生はみんながAにならなきゃいけないかのように考えておられますけれども、Bにすることを中心に指導をなさっていたはずだと思うんです。また統括・総合にあたってはAが幾つでBが幾つだったら5とか4とか、もちろんその事例は参考資料にございましたけれども、最後に総括するときには、もう一度目標に照らして見直すことが必要だと思うのです。機械的にAが幾つでBが幾つだとAだとかBだとか、そこの議論に終始しているところこそ問題だと思うのです。したがってそういった目標に照らした総括のあり方についての事例をもう少し具体的に国レベルで示す必要があるのではないでしょうか。
 前回の参考資料での示し方では、いろんな総括の仕方を示していましたけれども、当初の目標に照らして総括するということはどういうことなのかを教科別に示していくことが大事だと思います。こういうことを大切にして分析的にとらえた子どもの学習状況を最後は統括、総合して子どもにその達成状況を示してやるのが教育の責任ではないかなと私は思います。
 以上です。

【無藤主査】

 工藤委員。

【工藤委員】

 評定の不要のご意見が結構出されていますが、私は平成3年、平成13年の要録の改訂の流れから見て、ここで評定を廃止するだけの状況や理由というのはそれほど明確ではないのではないかと思っています。前回は評定を目標準拠評価にするということで総括化という課題が出たわけですけれども、今回の改訂ではそれをさらに検討、研究をしていく、客観性、信頼性を高めるための研究をさらに深めていくという流れが課題として1つあるのではないかと思っています。
 それから小中と高等学校との関係を見ますと、高等学校はおおむね評定を中心に行われているわけですけれども、小中学校で観点別評価だけということになりますと、小中高の関連性、一貫性も問われてくると思いますので、今回の改訂では評定を残しながら、かつさらに研究を深めて客観性、信頼性を高めていくことでよいのではないかと思っています。
 以上です。

【無藤主査】

 そろそろこの議論を次で区切りますが、西岡委員ぐらいで……。じゃ、安彦委員と。まず西岡委員、それで安彦委員で区切らせてください。

【西岡委員】

 やっぱり論点(2)番と(3)番はセットだと思います。私自身は論点(2)番で、4観点を2観点、多くて3観点に絞ったほうがいいと思っていますので、そのときの観点はその時点でかなり総括的なものになってくると思います。つまり要素知的なものをどれだけ身につけているかという観点と、徐々にレベルアップさせて育てるような力が期待される水準を満たしているかどうかという観点です。このような2観点にすれば、その時点でかなり総括されているので、それをさらに総合する必要性はないと考えます。いつでしたか、松浦委員のほうから、大学としても、複数の観点が混ざって信頼性のないものをもらうよりは、信頼性のあるものをもらえたほうがいいというご意見もあったように、入試という視点から見てもそのほうが合理的ではないかと思っています。

【無藤主査】

 じゃ、安彦委員。

【安彦委員】

 観点のことも気になるんですけれども、全体として生きる力という大きな方針というか、方向を継承、発展ということですし、基本的には私はあまり大きく現行の枠を変えないほうがいいと思っているんですけれども、事実上両方に、欠点というか問題点は、観点別のほうにも評定のほうにもあるわけで、そういう意味ではそれが今よほどのことがない限りはあまりいじらないほうがいいという認識です。
 評定のほうなんですけれども、今までのところ、現状では、絶対評価的な評定だと認識しています。本来高校入試とか選抜には使えないはずのデータだと思うんですけれども、そういう意味で、さっき鈴木委員のほうからもお話がありましたが、別途何かそういうものを提供できる場があるなら、それはそっちを使うべきなので、本来これは使えないはずだということをむしろしっかり示していただいたほうがいい。例えば高校側が、必要があれば用意するというか、別途手段を用意するという形で考えるべきことだと思っています。
 もう一つは、いわゆる証明機能のほうなんですけれども、これはやはり保護者なりの外部が、そういうものをどれほど求めるかというところをちゃんと調べないと、小学校と中学校の違いというのは、今の話の絡みでいうと、多少誤解やら、使い方に対する認識の不徹底みたいなものもあるので、そういうことも一度踏まえさせた上でちゃんと現状を調べないといけないかな、という気がしております。

【無藤主査】

 まだあるとは思うんですけれども、またワーキンググループのいずれかで再度この問題に、もう一度戻って決着をつける必要があると思っております。
 それでは今日のところは次の論点に移らせていただきますが、学習評価について、保護者等の理解を深めるためにどういう方策が考えられるかということであります。これについて、まず事務局のほうから簡単にご説明をお願いいたします。

【梶山教育課程企画室長】

 (4)でございます。4ページ以降をごらんいただければと思いますが、学習評価について保護者等の理解を深めるためにどのような方策が考えられるか。まず教育課程審議会の答申における主な考え方といたしましては、評価の信頼性というものに関しては、評価の目的に応じて、評価する人、評価される人、それを利用する人が、お互いにおおむね妥当であると判断できることが信頼性の根拠として意味を持つ。その意味でも、さまざまな情報というものが児童生徒や保護者に適切に提供されて、共通に理解されていることが大切であるというまとめがされております。
 また、評価規準、評価方法の運用については、都道府県の教育センターなどにおける学習の評価のために研修を充実すること、教育委員会の指導主事の学校訪問の際などの指導ということによって、評価の客観性を高めるようにすることも重要であるというご指摘がございます。
 それから、いわゆる相対評価というものに関しては、学習指導要領に示す基礎的・基本的な内容を的確に習得し、目標を実現しているかどうかの状況、それから一人一人の児童生徒のよい点や可能性、進歩の状況について直接把握することには適していない。また、児童生徒数の減少などにより、客観性や信頼性が確保されにくくなっているという指摘があるが、目標準拠評価や個人内評価とともに、集団の中での自分の相対的な位置づけに関する情報も、自分の適性を知る手がかりとなる。それから、児童生徒はこれによって自分の目標を定めて学習に取り組む動機づけを得たり、将来の進路を考えていく際の情報として活用することができるものである。したがって、各学校において必要に応じ、集団の中での相対的な位置づけに関する情報を提供することが考えられる。これからは目標に準拠した評価、それから個人内評価が柱となる中で、集団に準拠した評価については、児童生徒の発達段階などに配慮した上で、目的に応じて指導に生かすことが必要であると、このような結論になっておるところでございます。
 現在までの議論で、保護者等の理解についてでございますが、やはり学習評価のあり方を検討するに当たっては妥当性、信頼性、公正性、実行可能性に配慮する必要がある。客観性についても考慮が必要であるというご意見。それから、保護者が評価を受けていたときの固定観念があって、どのように評価されているというのがわかりにくい。保護者としてここをこうすれば子どもがよくなるという学校との連動ができていない。現在は子どもに意欲を出させ、教育のプロである教員に任せているという状況ではないか。これは教育課程部会のときにいただいた議論でございますが、このような意見、それから保護者は通信簿をどのように見てよいかわからないという議論もございました。
 観点別学習状況の評価については、指導者にとって必要なものであるが、生徒や保護者等に説明が難しい。特に関心・意欲・態度について理解が得にくいという話がございました。それから、個々の高等学校における個々の生徒の教育的な指導の視点のみではなく、社会的に受容される教育成果の視点からの検討もなされるべきと、大学関係からこのようなご意見もいただいております。しかしながら、目標に準拠した評価が始まった際に、学習評価の趣旨の周知よりも説明責任に対する指導が強いというようなことが萎縮につながっていったんではないかという話もご議論ございました。
 それから集団に準拠した評価の活用でございますが、進路指導での活用を考慮し、発達段階に応じて集団に準拠した評価を取り入れることも必要であるというご意見。また、相対評価は統計的に意味がないとしても、一定の枠で学年や学級における成績の分布を示すなど、過度な競争意識をあおらない手だてというのは考え得るのではないかというご意見がございました。
 以上でございます。

【無藤主査】

 ありがとうございました。それでは今の学習評価についての保護者等の理解の問題ですけれども、いかがでしょうか。
 じゃ、加藤委員。

【加藤委員】

 先ほどの議論とも少し重なるのですけれども、私は観点というのはあるところから便宜的、分析的に見ていくわけですから、観点を絞るということは授業や評価の構成はシャープになりますが、その分漏れ落ちるところもたくさんあるわけで、その観点から見てうんと褒めてあげたいところとか、あるいは観点以外のところでも漏れ落ちているその子のよさや、課題といったところをどのように救うかというのは、所見だと思うんです。さらに所見を充実させるということは、私は保護者に評価についての理解を得るためには随分いいことだなと思います。
 保護者は基本的には数値もそうだけれども、特に小学校、中学校でも、先生が言葉でどういうふうにうちの子どもを見てくださっているかというところを評価しているわけです。先生は評価することによって実は評価されているわけで、昨年から、あるいは一昨年から先生はこういうふうにずっと見てこられた、担任が変わった、今度の先生はこんなふうに見られるのかと、声には出さないけれども実は評価をしているわけです。そうなってくると、我々は所見のところをもう少しどう書くかということを充実させることによって理解を得ることが大切だと思います。
 今回の総合的な学習が観点を学校で決めて、その観点から見た特質を書くという形になっておりますから、そういう形で少しトレーニングはしてきたと思うんです。ただ、所見というのは実はなかなか大変でして、私も長いこと小学校の先生をしておりましたけれども、所見が書けなくてなかなか通知表ができ上がらない。近頃の子どもと一緒でボキャブラリーがないわけで、得意な言葉は「明るく朗らか」ばっかりで、少し変えようとしても「明朗快活」としか出てこない。そういったことを実は我々仲間同士でやることによって、子どものいいところをどういうふうにとらえるかというトレーニングをしていかなきゃいけない。私はそういう意味で所見の充実を、観点の絞ることとあわせて一緒にやっていくことで、保護者の理解を得るというのが一番本質的に大切なことではないかなと思っております。

【無藤主査】

 じゃ、向山委員。そして西岡委員。

【向山委員】

 現場の校長としては保護者の理解というのは最大の関心事であり、重要なことだと思っています。個人的に私は教育委員会に10年おって、先生の評価の仕方がおかしいというような苦情電話に対応したりしたこともあった。校長になってもやはり同様であったんです。そういったような苦労をおそらく全国の校長も教育委員会の関係者もやってきている。
 やはり信頼される評価というのは公正で、客観性があるということだろうと思っています。公正で客観性があるようにするためには、教師によって、あるいは学校によって差がなるべく出ないようにしていかなければならない。そのために評価する教師が評価について理解しやすい、わかりやすいというものが大事なんだろうと思います。
 もう一つは、ある程度現場として慣れていくには習熟化を図っていかなければならないということがあります。したがって、変えるとしたら、これは習熟化を図るにはかなりの時間がかかるわけで、その間の保護者への理解をどう保証していくかというのは非常に大きなことになるだろうと思います。変えないということになれば、これはやっぱり習熟化を図る上では今までの成果に積み上げていくことになるので、保護者の信頼をつかむ上では大変意味があるかと思います。

【無藤主査】

 じゃ、まず西岡委員。それで順次いきます。

【西岡委員】

 まず保護者の理解を得るという点でいえば、今加藤委員が所見欄の充実ということをおっしゃったことに関連しますが、私自身がおつき合いしている先生方の声としては、ポートフォリオで具体的な資料を生で見ていただくというのが一番だと伺っております。そういう視点を入れるということも重要なんじゃないかと思います。
 それから、先ほどのまとめに相対評価復活論というのが散見されるんですけれども、意外と誤解されていることは、相対評価だったらレベルが下がらないという点です。これは真っ赤なうそで、それこそ母集団の人数が少なく、また全体の水準が下がっていけば、相対評価でもどんどんレベルが下がっていくわけです。実際にイギリスでは入試なども全部目標に準拠した評価で、資格型の検定試験のような形で行っています。そういう形でちゃんと客観性・信頼性を持ちつつ、目標に準拠した評価だけれどもレベルがはっきりするという形を模索するべきではないかと思います。
 それから向山委員がおっしゃった、習熟化の観点から変えないほうがということなのですが、やはり、いいことが論理的にわかっているにもかかわらず、それよりもすぐれてはいない方針を維持するよりは、早く転換するということを明確にして次のステップに向けた研究ないしは実践の習熟化を図るというほうが、子どもたちにとっていいのではないでしょうか。
 そういうふうに長期的な発達をレベル別に捉えて長期的な視点で子どもを育てるという方法は、海外を見れば、アメリカ、イギリスでは80年代末から始まっておりますし、隣の韓国でも90年代末には全国の学校で始まっていることなのです。世界的な水準からいっても、またこれを10年延ばすというのはちょっと遅きに失するのではないかと思います。

【無藤主査】

 次、鈴木委員ですか。

【鈴木(秀)委員】

 この問題はほかの問題ともかかわりますけれども、これに絞って意見をいいますと、先ほど向山委員がおっしゃった保護者の信頼の問題ですけれども、やはり学校ごと、先生ごと、かなりの評価規準が現行では違っている、これがやはり一番保護者の観点別評価に関しては信頼が薄い、ないしは問題があると感じられる理由ではないかと思います。評価規準に関しては、できるだけ関係地域――関係地域という意味は評価の結果が外部的に用いられる地域、その地域で統一しないと、やはり保護者としては不信感を持つ。そうしますと、1つはできるだけ評価の規準は統一したほうがいい。これが1つあります。逆に、では各学校での自由な授業展開を、あまりに評価規準を統一すると妨げるんではないかという逆の要請もあります。
 そこで、その両方を解決する方法として、1つは、参考になるのがオーストラリア方式ではないかと思います。オーストラリアの場合は、国全体としての評価規準の統一事例を作成してあります。しかしながら、各地域ごとの違いが一部ありますから、その範囲内で関係地域の中では多少手直しして用いる。そのような2段階方式で国全体での統一と各地域でのバリエーションを許すという形をとっております。
 我が国もそのように国全体として、まず1つ統一した評価規準をつくる。それから各地域の、要するに外部的に統一が必要となる範囲内での、統一した上で多少の変更を認めるという形で対応したら、保護者の信頼ももう少し高まるんではないかと思います。もう一つバリエーションをつける方式は、前から申しておりますように、評価事例集を各地域で、国とは多少違う事例で追加する方法もあると思います。
 以上です。

【無藤主査】

 佐々木委員ですかね。そして市川委員にいきます。

【佐々木委員】

 保護者等の理解を深めるという意味では、実際に保護者と会って実態を伝えるのが一番いいのかなと私は思っています。ただその際に、保護者が一番わかるのは具体的な子どもの姿を語ることであって、それを見せることであり、こういうふうな姿がすばらしいんですよということを伝えることが大事になってくるかと思います。ただ、その際に先生が一番悩んでいるのは、向山委員も言われたように客観性ということが先生方の中では難しいということが10年間続いているんじゃないかと思います。この規準ではかったときにどういう子がAになるのか、どういう子がBになるのか、どこで判断していけばいいのかというのが先生方にとってはまた課題じゃないかなと。そういう意味ではもうちょっと詳しい資料が必要、方法なりが欲しいということが先生方の一番の思いじゃないかなと思っています。
 以上です。

【無藤主査】

 それでは市川委員。

【市川委員】

 教育課程審議会のときの考え方という、このあたりに私もそのときにちょっとかかわって、いろいろ発言はさせていただいたんですが、制度的には現状とそれほど大きく変える必要があるとは私は思ってないんです。ただ、実際にうまく保護者の理解が得られているかというと、どうもそうではないようだという気もしています。それは制度面そのものよりも、その制度を取り巻く運用の仕方あたりに手を入れたほうがいいんではないかと思っています。というのは、保護者の理解、あるいは生徒自身からの理解ということもあると思うんですが、基本的にはつけられた成績に納得いくのかどうかということと、なぜこういう成績になったのかが納得いくかという説明をちゃんと受けられることと、それからどうすればより向上するのかという見通しを得られるかどうか、これが大きなことだと思っています。
 実際には、例えば私も保護者としてというのがありますが、うちの子どもが悪い成績をとってくるようなことがあります。ある教科で非常に悪い成績をとった。なぜこうなんですか、例えばなぜ2なんですかと先生に聞いたときに、非常にウエルカムでそれに対応してくれる先生もいれば、そんなことは一々説明してられないという態度に出る先生もいらっしゃいます。私はこのあたりはある程度徹底していただきたいと思います。自分の子どものことを言うのは変ですけど、やっぱり生徒のほうから悪い理由を聞きに行きたいというのは結構やる気があったんではないかなと思うんです。そういう子に対しては一体どこが悪かったのか、どうすればもっとよくなったはずなのかという説明をする。
 それから保護者に対してもですけれども、通知表で成績を通知するというところだけに集約するのではなくて、私は、平成12年のころ、フランスの話を聞いたんですが、その子のポートフォリオのようなものをもとにして、保護者と先生が年に数回面談をする機会がある。学期ごとの通知表を出していない国でも、一体どんな学習状況にあって、どんなことをもっと頑張るといいのだというアドバイスを受けられる機会がしっかりあれば、おそらく保護者のほうも納得がいくのではないかと思います。
 特に小学校のときには、成績結果が何かに使われて、例えば入試などに使われて、0.1の平均の差が運命を左右するというようなことはあまりないんだろう、少ないだろうと。むしろふだんの学習状況についての先生からの把握、情報、向上に向けてのアドバイスを得られるかどうかというところが納得度を大きく左右すると思いますので、むしろそういう運用面に関してこれから力を入れていただけるといいのではないかと思っています。

【無藤主査】

 それでは天笠委員と松浦委員、秋田委員、3人ぐらいで切りたいと思います。

【天笠主査代理】

 学級担任制をとっています小学校を見ますと、いわゆる個業と協業という言い方もありますけども、TTの導入ですとか、あるいは小学校における一部教科担任制の導入ですとか、協働してとかチームを組んで授業に臨むとかいう姿は大分実体化して、現実化しているんじゃないかと思うんですけれども、殊、今ここで議論されているような評価ということになると、どちらかというと個別、個々の先生のというところがより浮かび上がってくるような、という面においては、授業の場面において協働が進んでいるわけですので、今回の1つの課題というのはより評価においても協働制というところが今回の1つの改善すべきテーマではないかと思うわけで、既にお話がありましたように、保護者の方が学校の評価に対して、ある種の信頼を持てない状況というのは、個々の先生による、そのことの開きということを受けとめているところがあるんじゃないか。
 そういう意味においては国で規準を云々というのもありましたけど、私は個々の学校の、ある種の、まとめていくというんでしょうか、全体の個々のばらつきを補正していくような、今市川先生ですと、運用上のということをおっしゃいましたけれども、私もシステム上の工夫ですとか、学校としての運用上の工夫、そして学校として評価を保護者の方にお伝えするという内部的な努力が今回この点については求められているのかなと思うわけで、そういう点では個々の先生が成績をつけ、それを学年として、さらに学校としてという、そのあたりの自主的なシステムの積み上げ、運用上の努力ということが、評価の問題のときの1つのテーマになるかなと思います。
 以上です。

【無藤主査】

 松浦委員。

【松浦委員】

 すいません、少し前ですけれども、非常におもしろい経験をしまして、先生方に話をするときに、その日の研究会は学校の授業参観日と同時に開催をして、英語の先生方に私が評価についての話をするのを保護者の方々も同時に聞いてもいいというところで、後で質疑の時間がありまして、質疑のときにそこに参加されている先生方より保護者の方ばかりが質問をされまして、やはり保護者の方々は評価に対して非常に興味をお持ちで、またどのように英語の成績がつけられているのかということを詳細に尋ねられた。こういう出題の問題なんだけど、それは今の先生の話とは随分違うんだけど、こういうテストは悪いのかとか、つい少し前なんですけど、興味の度合いに驚かされたという経験をいたしました。
 先ほどから出されているように、評価の結果に対する説明というのはもちろん非常に重要なんですけれども、それと同時に、事前に単元ごとにこういう点を、つまりこういう評価規準でこのような方法でもって評価をするということを公表しておくことも非常に信頼性を増すのには重要なことじゃないかと。この点を評価されているんだと、ここでは英語で話せたらいいんだとか、それがわかれば安心して評価結果を受け入れているということもあります。シラバスは出されているんですが、なかなか評価に関してのことが出されていないというのも事実じゃないかと思います。
 それからもう一つは、やはり説明をしようにも、そのときの例でもわかりますが、説明をする側の教師のほうがまだ説明するだけの知識を持ち合わせていないという状況もありますので、そちらのほうの点も補っていかなければいけないんじゃないか。
 それから啓蒙書。先日イギリスに行きまして、お母さんのためのナショナルカリキュラムという本を買ってきたんですけども、それは非常に売れているらしいんです。つまりこうやって評価されているんだということを、先生に対する啓蒙書といいましょうか、解説書は非常にたくさん売られておりますが、保護者に対してはほとんどやられていない。今度の学習指導要領もまさに同じで、学習指導要領はこのように変わりましたよということを親向けの解説書のような形で出版していくこともこれからは必要じゃないかと考えております。
 以上です。

【無藤主査】

 秋田委員。

【秋田委員】

 保護者の理解という点では、幾つかの次元があって、第一に国や市町村のところでは目標というところについて、統一的に、より詳細に、どうやって評価しているのかということを明示していくレベルと、それから第二に学校としての説明会のレベルというんでしょうかがあると思います。私の2人の子どもは小学校は同じところでしたが、中高は違う学校でしたので、評価に関する説明の仕方が極めて明確に違っていたので、大変印象深く覚えているんです。学期によって当然扱う内容が違うので、評価が変動するということがあり得るわけですけれども、そこのところについて、学校として、今学期この教科はこういう内容でこうだった、こういう人がこうなっているという説明を受けた学校と、ほとんど何の説明もなく通知表だけが返ってくる学校というのが対照的にございまして、そういうところの説明のあり方というものの、それは学校レベルでの説明のあり方ということを考えることが大事だと思います。
 第三に個別のところは加藤先生が言われたように、親は所見に信頼を持っているというところです。このように幾つかのレベルを考えると同時に親の評価観全体を考えないとならないと思います。私自身もうちの子はここの科目が不得意であるとは意識するのですが、それ以外は微妙に上がったか下がったかというのはもらった時点では精神的にいろいろ感じますが、すぐに忘れることではあるのです。でもそういうものではないのだという、評価は学習内容と関連して、プロがこういうふうに判断しているのだと保護者にもっとわかってもらうというような、先ほどもお話がありましたが、そういう保護者への啓蒙が必要ではないかと自己反省も含めて申し上げたいと思います。

【無藤主査】

 まだ……。じゃ、鈴木さんで終わりにしてよろしいですかね。

【鈴木(秀)委員】

 評価規準とかその他を下から積み上げ方式、各先生方が学校内で統一してと、それはもちろん理想ではあるんですけれども、現実に評価規準をつくろうとすると、特に高次の技能に関しては非常に難しい。ですから理想は理想なんですけれども、現実的には我が国の研究者をすべて集めて、ようやく高次の技能について評価規準ができると。これは私も実際につくろうとしておりますので、非常に難しいことがわかると思います。ですから、積み上げ方式も理想ではありますが、高次の技能に関しては、日本全体の学者と専門家を集めてようやくできる程度で、下から積み上げ方式は今のところ技術的にはなかなか難しいと思います。

【無藤主査】

 まだ非常に重要なところであるとは思うんですが、もう一つの論点があります。時間的に十分議論というのは難しくなりましたので、議論そのものは次回回しかもしれませんが、一応論点の説明をしていただきましょう。
 (7)「行動の記録」、「総合所見及び指導上参考となる諸事項」のところでありますが、事務局からご説明お願いいたします。

【梶山教育課程企画室長】

 資料3の6ページ以降でございます。「行動の記録」、「総合所見及び指導上参考となる諸事項」についてはどのような改善が考えられるかというところでございますが、教育課程審議会の答申における主な考え方といたしましては、児童生徒一人一人のよい点や可能性、進歩の状況などを積極的に評価する。こういうことはこれまで同様重要であり、また、みずから学ぶ意欲や問題解決の能力、個性の伸長などに資するよう、個人内評価(児童生徒ごとのよい点や可能性、進歩の状況の評価)を工夫することも大切である。その際、児童生徒を励ましたり、努力を支援したりする観点に立って、児童生徒の進歩を促したり、努力を要する点を伝えたりすることにも配慮する必要があるというまとめがございます。
 また、心の教育、道徳教育という点、「生きる力」の育成について重要な要素である。このため、行動の記録の評価は一層充実することが必要である。行動の記録については、行動の状況を項目ごとに評価する現行の方法を維持することが適当である。その際、適切に評価することができるものとなるよう、「健康・体力の向上」、「自律」、「生命尊重」、「公徳心」などを示すことが適当であるとなっておりまして、資料4の2ページ目をごらんいただければと思いますが、行動の記録についての項目がその答申を踏まえて修正されております。所見については児童生徒の成長の全体像をとらえるようにする趣旨から「総合所見及び指導上参考となる諸事項」欄にあわせて記載することが適当であるとされております。
 また、「総合所見及び指導上参考となる諸事項」の欄については、これまで同様、児童生徒のすぐれている点や、長所を取り上げることを基本とする。児童生徒の努力を要する点などについても、その後の指導において特に配慮を要するものについては引き継いで指導に生かされるようにするなど実態に応じた工夫をする必要があると総括されているところでございます。
 現在までの議論でございますが、「褒める」観点を持って授業を行うことも必要である。実際の授業においては「褒める」ことがあまり行われていないが、これは教員が指導に当たって、何ができたら「褒める」こととするか決めていない。裏を返せば、授業における評価の観点を持っていないということでもある。このような「褒める」ことも評価を授業に生かすための重要な実践の1つである。このようなご議論をいただいているところでございます。
 以上でございます。

【無藤主査】

 残り時間があまりありませんけれども、今何人か発言されたい方は手を挙げていただいて、その方に限定してお話しいただきたいと思いますが、とりあえず向山委員と市川委員でよろしいですか。向山委員。

【向山委員】

 ちょっと事務局にお尋ねしたいんですけれども、これは議論するために各都道府県でこういった様式の集めたデータがあるかどうかということと、それから情報公開の開示請求と、この辺の指導要録の様式変更とか何かあったかどうか、その動きを知りたいんです。例えば、大阪高裁と東京高裁で判決が違ってみたりとか、それから情報公開請求の動きによって県単位でそういう変化があったかどうか、この次でいいんですけれども。
 全連小でも、明日から始まる47都道府県の調査研究の担当者会議で各都道府県のそういった請求の様子とか内容について協議するんですけども、都道府県レベルでもあまりデータを持ってないんです。もしあれば次に参考にさせていただければありがたいです。

【無藤主査】

 今、あるいは次回?

【向山委員】

 次回でいいです。

【無藤主査】

 次回にしましょうか。

【梶山教育課程企画室長】

 現時点ではなかなかございませんので、調べてからまたご紹介したいと思います。

【無藤主査】

 じゃ、次回ということにさせていただきましょう。
 市川委員、よろしいですか。

【市川委員】

 褒める指導というんですか、できるだけよいところを見つけて褒めてあげよう。私はこれは90年代に随分偏ったと思っているんです。それ以前、確かに私が子どものころも日本の先生というのは非常に厳しくて、めったに褒めてくれなくて、厳しい先生がいい先生と言われた。そうすると、やっぱりすごく落ち込んでしまう子もたくさん出て、子どもが傷つくということも言われて、その反動というのか、子どもを褒めて育てましょう、これは心理学者でもいろんなご意見の方がいると思うんですが、私はよく2つのことを、これは妥当だなと思うことがあるんです。
 大体いいコーチは、8割褒めるけれども2割は問題点を言うとか、きちっと挙げると言われます。それからもう一つは発達的な観点で、確かに低学年だったら褒めると喜んで、すごくやる気になるというのがありますが、いつまでたってもそれではまずいだろうと。やっぱりある程度成長するにつれて、こういう点は先生もいいと思うけれども、こんな点は頑張ってほしいと思いますよと。それが平成12年の1つ目の丸の最後のところです。進歩を促したり、努力を要する点を伝えたりすることにも配慮する必要がある。問題は、この子に対してはどれぐらいのことを褒めたらいいんだろう。かなり落ち込んでいる子どもにはわりと褒めるのがいいでしょうし、かなり力のある子には、むしろ問題点を言うことによってやる気が出て伸びてくる、もっと伸びようとする。そのあたりの配慮なんだと思います。
 ですから、これはほんとに「配慮」なので、一律にこれができたら褒める、これができたら問題点を指摘するというようなことはもちろん言えないのだと思います。むしろ、その子の発達段階と全体的な視点から配慮して決めてほしいなと。とにかく子どもは褒めれば全体的にやる気が出るのだという論調になってしまうと、私は評価としてはまずいだろうと思っています。

【無藤主査】

 もうお一人、二人ということで、安彦先生。

【安彦委員】

 要録の様式を見てもわかるように、前にちらっと申し上げたかもしれませんけれども、このスタイルだとまず分析をして、そして総合が後にくるわけです。つくるほうの論理でできているといいますか、つくるほうの手続の順になっているんですけれども、もらう方はむしろ逆に、先に結論というか全体を見せてもらって、その中身はどうかということで、分析内容がその後にあるというほうが、書類としてもらう場合にはかえってわかりやすいな、という気がしているんです。この点、全体とか総合とかというのを後に持ってくるか、先に持ってくるかということについて、その辺のことも少し考えていただければと思います。

【無藤主査】

 ありがとうございます。そろそろ時間ということなので、申しわけありませんが、今の、今のというのは行動の記録等々ですけれども、また次かどうかわかりませんが、さらに議論を続けたいと思います。
 あと私の個人的というか、委員としてちょっと気になることを1つだけ言いたいんですけれども、特に所見欄などもそうなんですが、本来要録と通知表の話は別なわけですけれども、要録に準じてほぼ通知表をそのまま出している学校が多いから、確かに保護者に対して、子どもに対してという意味では議論は重なるんですが、通知表のあり方は学校の自由ですけども、そこについて議論すべきなのか、それは要するに学校の自由だよということを強調するかあたりも念頭に置いておく必要があります。その2つが、つまり保護者にそのまま見せるという前提のもとで要録の議論をすると、話がいささか混乱するような気がしています。
 それから、さらに個人的意見を1つだけつけ加えると、保護者へ伝える、子どもに伝えるということでいうと、私は昔、自分が親で子どもが学校に通っていたときに、努力を要する、頑張りましょうと出たりしたんですけれども、頑張るのは先生だろうと時々思ったんですけど、そういうことを含めて通知表というのはよく考えていただきたいなと思いました。すいません、余計なこと言いました。
 議論がちょっと半端になってしまいましたけれども、時間でございますので、本日はこのあたりにしたいと思っております。最後、今後の日程等につきまして、事務局にお願いいたします。

【梶山教育課程企画室長】

 ありがとうございました。次回の児童生徒の学習評価のワーキングの日程でございますが、第7回目を10月14日水曜日10時から2時間程度、それから第8回目を10月26日月曜日3時から同じく2時間程度と予定しております。
 以上でございます。

【無藤主査】

 ということで、この会議はやけにハードになっておりますけれども、よろしくお願いいたします。今日は2時間終わりました。立て続けの開催ということで続きますけれども、よろしくお願いいたします。
 本日の議事はすべて終了いたしました。これで閉会いたします。どうもありがとうございました。

お問い合わせ先

初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

電話番号:03-5253-4111(内線2613)