資料2 時間外勤務手当化に係る各論点・課題とその考え方・解決方策について(2)(案)

 「学校の組織運営の在り方を踏まえた教職調整額の見直し等に関する検討会議」の「審議のまとめ」では、「時間外勤務手当化することは一つの有効な方策」とされた。

このことを踏まえ、仮に教職調整額を時間外勤務手当とした場合における以下に掲げる部活動などの具体的な論点・課題とその考え方、解決方策について検討する。

 

 

1 部活動について

 

1.部活動が教員の時間外勤務に依存している現状があるため、時間外勤務手当制度を導入した場合には、時間外勤務を抑制させようとして、教員による部活動指導が抑制され、生徒指導の観点及び部活動指導の充実を求める生徒や保護者との関係から学校運営上の支障が生じる恐れがあるなどの課題がある。

そのため、

 (1)勤務時間管理の観点から、

   ○学校教育の一環として適切な部活動時間を設定すること

   ○部活動指導には予め教員の勤務時間を割り振ることを原則とすること

 (2)条件整備の観点から、

   ○部活動指導を担う専門人材を積極的に活用すること

   ○地域スポーツクラブの設置を推進すること

などの方策を講じることが考えられる。

 それぞれの方策に実効性をもたせるためには、どのような具体的仕組みが考えられるか。

 また、これら以外の方策としてどのようなものが考えられるか。

  

※教員勤務実態調査から判明した「部活動・クラブ活動」に係る時間については、参考資料2参照

 

2.勤務時間管理の観点から、教育委員会や学校が、適切な部活動時間を設定したとしても、個々の学校や地域の状況から、教員の正規の勤務時間を越えて部活動を行おうとする場合に、どのような仕組みが考えられるか。

 

(これまでの主なご意見)

・部活動については、授業と同様に、学校が組織として、部活動の目的をどう置いて、どういう練習をしていくのかということを、家庭や児童生徒の状況を踏まえて決めていくべき。例えば、学校として部活動と学業の両立を考えて、週3日の練習とするなどと考えていくことが大切。

 

・群馬県では部活動について、拘束力は無いが申し合わせ事項がある。申し合わせをする前の平成12年と現在とを比べると、実際に部活動は減ってきている。

 

・熊本でも取り決めている。土日どちらかを休みとし、1日の練習時間も定めている。しかし、試合が負けてくると、保護者の同意をとった上で、練習時間を増やしていく傾向がある。部活動の取り決めはあくまで生徒の年齢に応じた体力面から考えて決めているのだが、現場に行くと勝たせてやりたいという先生方の気持ちで増えてしまうことがある。

 

・部活動の練習日などに関する申し合わせはあり、しばらくは守られていたが、今は崩れかけている。教員がやりたいと思う場合もあれば、保護者がやって欲しいと思っている場合もある。

 

 

2 持ち帰りについて

 

1.教員が、自宅で勤務時間外に、授業準備や成績処理などの業務を処理することについては、原則として無くしていくべきとの指摘があるが、具体的には、どのような方策が考えられるか。

 

※教員勤務実態調査から判明した「持ち帰り」に係る時間については、参考資料3参照

 

2.縮減の取組をしてもなお、持ち帰りが実態として残ってしまう場合に、その業務の位置づけについて何らかの工夫は考えられるか。特に、育児や介護などの理由により自宅に持ち帰らざるをえない教員については、どのように扱うべきか。

 

(これまでの主なご意見)

・時間管理をして時間外勤務手当を出しながら、業績評価をすることで実質的に併用していくしかないと思われる。持ち帰りなどは業績評価で対処しないといけないと思う。

 

・自宅に持ち帰りで採点しているのであれば、それは勤務時間内にやるべきもの。超過勤務をするのであれば、どれが超過勤務をしてまでやるべき業務なのかを切り分ける必要がある。

 

・教育は子どもに知識を教えることであり、公的に研修する部分は命令でやらされるので仕事だが、自己学習は自ら自己投資してきているのだから、仕事ではない。民間では、それは仕事ではないとされている。持ち帰りも同じ。

 

 

3 1年単位の変形労働時間制について

 

1.学校の教員の勤務を考えた場合、1年単位の変形労働時間制はふさわしい制度であるか。

 

2.仮に1年単位の変形労働時間制を導入する場合、長期休業期間中にも様々な業務がある中、どのように長期休業期間中の勤務負担を軽減するのか。また、それは実際に運用可能か。

 

3.学校や教員によって、それぞれ状況が違うなか、仮に1年単位の変形労働時間制を導入する場合、実際、どのように運用することが適当か。

 

(これまでの主なご意見)

・先生方の労働時間が1日に10時間になるというのは、子どもが朝から夕方までいれば先生方も居ることになるので当然の結果。そのため、春休みや夏休みの負担を軽減するためにどうすればよいのかを考えていくべき。

 

・教員の業務は1年を通じて同じではない。春や夏は日没が遅いので部活動が長い。そのため普通でも1時間以上残業する。その時期に時間外勤務を無くせといっても無理。その分、夏休みに休めるようにすれば良い。1年単位の変形労働時間制を導入するべき。1日に10時間も勤務時間を割り振るのは教員にとって抵抗があるが、9時間勤務ぐらいにすれば、夏休みに5日ぐらいはまとめて休めるようになる。さらに工夫すれば、異論はあるかもしれないが10日間ぐらい休めるのではないか。

 

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