資料3 今後の学校の在り方等を踏まえた教職調整額の課題

今後の学校の在り方等を踏まえると、教職調整額については、以下のような課題があり、適切に見直す必要があるのではないか。

1.組織的・計画的な学校運営の推進、教員が組織の一員として働くこと

 個々の教員の裁量を重視する教職調整額制度は、組織的・計画的な学校運営の推進の観点から以下のような課題がある。

(1)給特法制定時の理念との違い
○教職調整額は、学校の業務処理に当たっては、個々の教員の自発性、創造性に大いに期待し、教員に対する管理職による進行管理について抑制的な取扱いが望ましいという考えに基づいて創設された制度である。
○しかしながら、現在の学校を取り巻く環境の変化に適切に対応するため、組織的・計画的な学校経営を推進していくことにより、教員個々人としても、学校全体としても、質の高い教育活動を行うことができるのではないか。
○そのため、組織的・計画的な学校運営に資する制度とする必要がある。

(2)超勤4項目と組織的・計画的な学校運営との関係
○いわゆる「超勤4項目」は、教職調整額制度により無制限な時間外勤務の拡大という懸念に対する歯止めとして創設されたものである。
○実際の時間外における勤務時間は、昭和41年当時と比べて明らかに増大しており、超勤4項目が機能せず、時間外勤務の拡大を招いているとの批判もある。
○しかしながら、制度上は依然として、学校として必要な業務について管理職が時間外勤務を命令することができないため、組織的・計画的な学校運営を妨げている一面があることも否定できない。
○た、現実には、教員は時間外において超勤4項目に該当しない業務についても多くの時間従事しているが、命令に基づかずに業務に従事しているため、当該業務についての責任の所在が曖昧となり、学校として責任ある対応がとりづらい状況となっている。
○そのため、組織的な学校運営を推進するため、校長等が必要な業務と判断したものについては、時間外であっても適切に命令が出せるようにする必要がある。

(3)学校として必要な業務に従事しても、その実績に応じて給与上評価されない
○教職調整額は、各教員の残業時間の長短や、学校として必要な業務に従事したのか否かにかかわらず、一律に給料の4%を乗じた額が支給されることから、現在の教員の勤務実態とは乖離した制度となっている。
○そのため、学校運営への貢献などの実績を適切に評価できる給与制度とし、各教員の学校運営への参画意欲を高め、学校の組織的・計画的な運営に資する給与とする必要がある。

2.業務の効率化、業務の削減、教員の勤務負担軽減

 教職調整額は、どれだけ時間外勤務の時間数が長くなっても一律支給であるため、時間外勤務の抑制につながらず、無定量の勤務を招いているという批判もある。
 また、教員には時間外勤務の時間数に応じた給与措置である時間外勤務手当が支給されず、全員一律に給料に4%の率を乗じた額の教職調整額が支給されている。
 このような現行制度の下では、制度上、管理職は教員の時間管理を適切に行う必要があるものの、実態として管理職が教員の時間外勤務の状況やその時間数を把握する必要に迫られることが少ない。このようなことから、以下のような課題がある。

(1)業務の効率化、業務の削減との関係
○教職調整額は、時間外勤務の時間数が長くなっても一律支給であり、教員を勤務させることについて予算上の制約が無いため、教員の時間外勤務を抑制することや、そのために業務効率化をするインセンティブが働きにくい。
 そのため、教職調整額について、教員を勤務させることについて適切なコスト意識が働き、業務効率化を進める必要性が生じるような制度に見直す必要がある。

(2)教員の勤務負担軽減との関係
○業務効率化のインセンティブが働きにくいとともに、教員の勤務時間管理の必要性が低いため、管理職により教員の勤務負担が適切に把握されず、教員の過重な負担が放置される恐れがある。
 そのため、教職調整額について、運用上も適切な勤務時間管理が必要となる制度に見直す必要がある。

 

 

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