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教員養成部会 教員免許制度ワーキンググループ(第14回) 議事録


1. 日時
  平成18年5月26日(金曜日) 10時〜12時20分

2. 場所
  東京會舘11階「シルバールーム」

3. 出席者
 
野村主査、天笠委員、大橋委員、甲田委員、門川委員、角田委員、中村委員、渡久山委員、八尾坂委員、山極委員
(文部科学省関係者)
山中審議官、磯田審議官、戸渡教職員課長、勝野視学官 他

4. 議題
 
教員免許制度の改革、とりわけ教員免許更新制の導入について
その他

5. 配付資料
 
資料1   教員養成部会教員免許制度ワーキンググループ (第12回)議事要旨
(※(第12回)議事要旨へリンク)
資料2 教員養成部会教員免許制度ワーキンググループ (第13回)議事要旨(案)
資料3 第13回教員免許制度WG(平成18年5月16日)における主な意見
資料4 教員免許更新制の法制化についての考え方
資料5 教員免許更新制を導入する場合の実施規模のイメージ(未定稿)
資料6 免許更新講習の開設と教員の受講イメージ
資料7 教員のライフステージと免許更新講習の受講
資料8 免許更新講習の講習内容のイメージ
資料9 教員免許更新制の導入等について(案)(教員免許制度ワーキンググループにおける検討)

(参考資料)   教職実践演習(仮称)のカリキュラムイメージ
(教職課程の改善・充実に関する協力者グループにおける検討状況)

(机上配付) ・教員養成・免許制度等に関する基礎データ

6. 議事
 
(1) 教員免許制度の改革、とりわけ教員免許更新制の導入について
   事務局から配付資料の説明の後、資料3〜9に基づき、自由討議が行われ、本ワーキンググループにおける検討のまとめについて、意見の取扱いを主査に一任した上で、教員養成部会に報告することが了承された。主な発言は以下のとおり。
 (○:委員、●:事務局)

 
委員  資料4の考え方はもっともだが、問題は、現職教員が現行法で終身有効な免許状を授与されていることである。p.3に「合理的な範囲内で新たに制約を課すことは、なお許容し得る」とあるが、「公共の福祉の要請」とは範囲が大きく、何を指すのか、その内容にもよるので、公共の福祉とは教育との関係では何を指し、更新制とどのように関わるのか示してもらいたい。教職に免許が必要とされるのは、公教育を担う意味で最も必要な一定の資格要件が求められることからである。公教育の中で大きな問題は、子どもや国民の学習権も含めた教育の権利であり、これを国民に対してどのような形で公的に保証するのかが大事なことなので、それに対する国民へのきちんとした公共性が必要である。それらを考えると、免許に制約を課すことが、教育における最も公共性の高い要請なのか。更新制を導入した場合、10年後に更新できない場合やペーパーティーチャーで更新講習を受講しない場合、必然的に失効するが、その場合の法的な根拠や過去に同様な制約を課した例、判例等があれば示してもらいたい。

事務局  p.3に、「公共の福祉の要請により、合理的な範囲内で新たな制約を課す」ことができるとしているが、これは教員免許に限らず、既得権は絶対不可侵のものではなく、公共の福祉の要請により制約を課すことは、一般論として許容し得ることを示しており、その上で、具体的に教員免許についてどのような公共性があるのかを示している。免許制度の本来的な在り方として、教員に必要な資質能力が更新されるものとして、制度設計が行われる必要があり、現在の公教育が直面している課題の重要性に鑑み、国民の期待に応え得る公教育を実現するために、免許制度に更新制を導入する必要性があることを示している。更新制を現職教員に適用する意義や必要性については、今後の公教育が今いる現職教員が中心となって担っていく中で、現職教員への更新制の適用を検討しなければ、20〜30年後に全ての教員に更新制が適用されることとなり、更新制を導入する意義が実現し得なくなることを示している。そのような現実の必要性を踏まえて、必要最小限あるいは合理的な範囲内のものとして制度設計するのであれば、更新制を導入することの必要性や合理性が認められるのではないかと示している。更新できない場合に失効するとする法的な根拠については、現行免許法に失効事由が定められているので、その一つとして更新講習の受講義務を果たさないことを法的に位置付けられるのであれば、それが更新されない法的な根拠になるのではないか。現行の教員免許制度ではこのような制度はないので、教員については前例はないが、他の資格ではこのような形で、事後的に従来、課されていなかった負担を新たに課す例はあると聞いている。

委員  公教育に求められていることの認識は資料のとおりで良いが、それを更新制に結び付けることに飛躍がある。今日における、いじめや不登校、校内暴力等の問題といった公教育の困難性が、更新制を導入することで直接的に解決するのか、疑問であり、必要性という言葉を前提に、導入への既成事実をつくろうとしている感じがする。p.2に、免許状が失効した場合、「大学で修得した単位は終身有効なものとしつつ」とあるが、例えば、教育原理は免許状の取得に必要な単位だが、失効した場合、大学で修得した単位は実効性が伴わないものとなってしまう。大学での修得単位が有効に生きるためには、免許状を取得して教員にならければならないが、失効となれば、そうならなくなる。免職事由については、現行の地方公務員法第28条に規定されているが、これは限定されており、教員の場合は、病休以外で降任・免職された者は数少ないのであって、それと更新制を導入した場合の免許法によって失効することとは話が異なるので、区別してもらいたい。

委員  教育原理とは、その時々の社会事象や教育事象を原理的に追求する授業であって、普遍性があると同時に、その時々の問題に絡めて授業を行い免許状を与えるので、何十年も前の教育原理を行っていてはならない。10年前に履修した教育原理と10年後のそれでは、原理的に普遍性があっても、それを解釈して教育問題と関わらせるには、教員が新しい知見を得て行う必要があるのではないか。

委員  過去に教育原理を修得して卒業した者は、それで完結しているので、そのまま有効と認めて良いのではないか。教育原理の単位を修得したということは、免許状が授与され、教員になることで生きてくるが、更新制で失効となれば、教員になるために修得した教育原理という単位が、実質的に失効することになるのではないか。

事務局  免許状は、養成段階で修得した単位を基礎として授与されているが、本来、教員に求められる基本的知識・技術には、時代の変化に応じて刷新されるべき内容が含まれているので、免許の在り方として刷新すべきところを刷新していくことが求められている。その中で、一定の有効期間は大丈夫だとして10年間の期限を付した場合に、次の10年間に移るにあたり、当初の免許状授与の際に修得していた単位が全て無効になるという考え方ではなく、今までの単位修得によって身に付けている知識技術を基礎として認めながらも、刷新すべきところは刷新して、次の10年間を保証していくという考え方を取ることが適当ではないかということで、資料を整理している。更新講習を修了できなければ、更新時点において免許状の水準が満たされず、次の10年間を保証できないので、失効の形で効力を失わせることになるが、刷新されるべき部分が刷新されれば、水準を満たすため、再授与して良いのではないかというのが、これまでの考え方を踏まえた整理である。

委員  不登校やニートの問題等、今日における教育の困難な課題について、教員責任論が一部にあるが、決してそうではなく、社会のあらゆる状況の中で、教員はよく頑張っており、多くの教員が現に自己研鑽に努め、研修を受けながら対応しているものの、それについて多くの国民や保護者に知ってもらえていないのは残念である。教育界では、学び続ける者だけが教える資格があるというのが常識であり、更新制は、研修を体系化していくものであり、前向きに捉えたら良い。激変の時代に、教員が専門性に磨きをかけ、国民の信頼を高め、尊ばれる世の中にならなければ、教育は良くならないし、それをより実践し、発信していく制度設計を期待する意味において、更新制の現職への適用を外すことは逆効果になると思われるので、法的な整理を行い、無理のない形での現職への適用が必要である。10年ごとに受ける講習が実効あるものになるように、教員の意識改革や行動改革につながる制度にしなければならないし、現職教員には多くの研修が行われているので、それらとの整合性をどのように持たせ、どのような形が良いのか、議論を深めていきたい。失効という表現は、再受験をしなければならない感じを持たせるので、実態としては効力の一時停止のような状態であるとか説明をしていく必要がある。10年経てば失効するのではなく、基礎的な資格は残り、例え20〜30年間ペーパーティーチャーであっても、2単位分の講習を受講すれば更新でき、教壇に立てるので、そのことをきちんと説明しておかなければ、誤った認識が広まると危惧する。

委員  失効という表現は必ずしも適切ではなく、更新講習を受けなければ、免許の有効性は継続しているが、教職に就くことはできないという一時停止的な意味の表現を考える必要がある。更新制が現職教員に適用されることは大事なことであり、賛成する。更新制の導入の必要性が示されているが、これからはどのような教員が望まれ、教員はどうあるべきかといった姿をきちんと謳い、その中で、更新制が必要であるという論理構成にしていくのが、スムーズに入りやすい。更新ということで言えば、1回目も2〜3回目も必要最少限なのかもしれないが、一律の内容で良いとは思わない。それぞれの職階によって、内容を変える必要があるのではないか。その時代にふさわしい充実した内容にすることが、更新制を成功させ、理解させていく大きな要素になるので、講習内容をどのようにするのか、検討しなければならない。また、ペーパーティーチャーと現職教員の講習内容が、全く同じで良いのかを考える必要があり、例えば、教職大学院では教育実習が10単位以上課せられるが、教職経験者は10単位の範囲内で免除できるとなっているように、更新制でも、30時間の講習のうち、例えば、ペーパーティーチャーは30時間の受講が必要だが、現職教員は20時間は受講するものの、残りは研修で読み替えるなど、内容に差をつける必要があると思われるので、これらについては、導入が決まる前にきちんと検討しなければならない。

委員  以前から、現職教員にも更新制を適用するように言ってきたが、そもそも教員免許状は、国家試験もなく、大学で所定の単位を取得すれば、誰でも取れる資格であり、免許の所有が効果的には働かない。10年に1度、更新講習を行うことになるが、それは学習指導要領の改訂と重なる。これまで、学習指導要領の改訂が行われると、移行期間中に改訂のねらいや新しく盛り込まれた内容等について講習会を行い、教員はそれについて勉強し、リニューアルして、新学習指導要領を学校でスムーズに導入できるようにしていた。昨今、学校現場に権限が下ろされ、さらに教員が努力しなければならなくなってきているのに、例えば、総合的な学習の時間やゆとり教育の考え方にかかる問題にあるように、新学習指導要領のねらいを教員のレベルに引き下げようという動きがあるため、講習会の効果がなくなってきている。このような動きをしていると、学習指導要領を2〜3年で改訂しなければ、時代に対応できない状況になってくるのではないか。これからは、学習指導要領の改訂に伴って、教員もきちんと講習を受けなければ、教壇に立てないような形にしなければ意味がないので、更新制は必要である。更新講習については資料8の内容で良いが、各更新段階における内容は、共通する部分を除いて、職能成長に伴って変えていく必要があり、1回目は専門性をきちんと担保する側面、2回目は他の教員や教育実習生をきちんと指導できる側面、3回目は管理職のような学校経営的な側面といった細かい色分けを決めれば良いのではないか。

委員  先日、学校で更新制の検討状況について教員から質問があり、10年ごとの更新が良いとの議論がされていると説明したら、緊張感が走った。また、定年後に嘱託を希望している55歳の教員から、定年後の更新の有無についての質問もあり、それについてはまだ議論が進んでいないと説明したが、この点について、もう少しはっきりさせてもらいたい。現在、教員の離職率がどのようになっているか分からないが、リニューアルを行う時期とトラバーユ(転職)の時期が重ならないか。特に、特定教科の教員のトラバーユ(転職)が多くなれば、職員構成が変わるため、更新時期との関係で生じてくる問題もあるかもしれないので、データを示してもらいたい。

委員  先日、教育委員の会議に出席した際、更新制の話が出ており、指導力不足教員の排除のための制度という理解で説明が行われていた。対外的には、指導力不足との関係で更新制が捉えられているのが現状なので、更新制の考え方等について、一層説明していかなければならない。失効という表現は、法令的な意味や解釈は別として、我々が意図するものと違った形で伝わっていくのではないか。特に、ペーパーティーチャーに対して、免許が取り上げられるというメッセージを送るような表現になっているので、工夫が必要である。教職に就いていなくても、免許状を取得して最初の10年はすぐに教壇に立つことができ、10年経過した者も、必要な講習を受ければ教壇に立つことが可能であり、全く教壇に立てなくなるということではないので、現に免許状を有する者への情報提供が必要である。現職教員への更新制の適用は必要だが、更新方法や講習内容については、ペーパーティーチャーと区別して、より現職教員に対応する更新の在り方を考えた方が良いのではないか。研修は、初任者研修や5年目研修、10年経験者研修等、教職の生涯に対応した研修体系を組み立てて行われているが、改めて、教職全体を通じた研修の在り方と更新制の在り方を検討し、どのような時期にどのような内容の研修を提供すべきか考えていかなければならない。資料7にあるように、教員によって10年目の位置が異なり、教員一人一人により事情が異なる10年経験者研修となっているので、10年経験者研修の仕切り直しが、研修の在り方を検討する一つの象徴となるのではないか。

委員  更新講習を受けなかったり、受けても修了できない場合、10年で免許が失効し、教員身分が剥奪されるので、きちんと検討すべきである。免許制度の担保する質を議論した際、運転免許は更新できない場合に失効となるという話があったが、現在の議論のように、免許の基礎部分は残るということなら、これが更新制と言えるのかという疑問が生じる。これまでの議論を踏まえれば、運転免許と同じように失効することを前提に議論し、その上で制度の導入が難しいとなれば、無理な制度は導入しない方が良いという結論になるのではないか。資料5では、現に免許状を有する者の規模について、60歳以下の者を対象としているが、60歳以上の免許状を有する者は失効するのか、法的に議論しておかなければならない。また、ペーパーティーチャーは約20パーセントが更新すると推計しているが、それは10年後に80パーセントのペーパーティーチャーが失効することを前提としているので、10年後に実際に失効した場合、現在の大学での教員養成の問題や教員免許の取得の在り方について、検討しなければならない。校長や教頭への民間人登用や、免許を有しなくても受験を認める採用選考試験の例など、現在の流れは、優秀な人材であれば、必ずしも免許を有しなくても教壇に立てるということなので、更新制が必要不可欠であるとして導入することは、二極化を促し、現場に困難性を生じさせる。現在の研修制度は、更新制がないことを前提に体系化されているので、もし更新制を導入するとなれば、研修体系を抜本的に変えていかなければならない。資料7のシミュレーションでは、法定研修しか示されていないが、それ以外にも各教育委員会で行われている研修がライフステージに加わってくるので、必ずしもスムーズな導入にはならない。資料6についても、教員数18人の小学校に初任教員2名と更新対象教員がいた場合、初任教員への指導教員の配置や、更新対象教員の講習受講期間における補充授業の対応など、学校への負担が大きいので、研修の問題とセットにして抜本的に議論してもらいたい。

委員  自動車運転免許の場合は、失効となれば、再度免許を取り直さなければならないが、この更新制はそうではなく、更新講習を修了できなくても、もう一度受講が可能であり、大学でもう一度取り直さなければならないということはなく、質的に異なる。更新制が導入された場合、研修体系を見直さなければならないのは当然であり、これから議論していかなければならない。資料4のp.1の3番目のまるに付け加えることとして、激しく社会が変化しているにもかかわらず、学校教育の機能がそれに対応できていないのではないかという意見が初等中等教育分科会で出ていたが、学校教育がそれに対応できていないということは、教員が対応できていないということなので、その点が更新講習の内容になってくるのではないか。教員は、今の子どもが、物や命に触れるような体験的な学習をほとんどしておらず、仮想現実の世界を生きているという事実の下に教育をしていない。そのことが、色々な問題を引き起こしているので、子どもの実態に即して教育を行わなければならない。仮想現実を生きる子どもを教育していくことは、これからの社会や子どもの変化に対応した教育のリニューアルである。地域に根ざした教育が、今、盛んに行われており、学校でもそれに対応した教育が不可欠となっているが、十分に対応できていないので、この部分は、具体的に記述しなければならない。

事務局  論理の流れは、中間報告にあるように、求められる教師像が掲げられ、そのためにどのような問題があり、それを克服するために、教職課程の改善や免許制度の改革、教職大学院制度の創設等で対応していくという流れに最終的になるだろうが、資料4は、更新制を免許制度に導入するにあたり、法的に整理するとどうなるのかという視点で取り上げたものなので、この資料だけで見ると不十分な点がある。その点は、今後の議論の中に溶け込ませ、今回の意見も踏まえながら制度設計していきたい。失効という表現について、現職教員とペーパーティーチャーでは法的影響が異なり、現職教員は免許の失効により教職に就いていられないという効果が直ちに発生するが、ペーパーティーチャーは、失効しても直ちに影響はなく、教職に就こうとする時に影響が出てくる。教職に就くには、新たに単位を取り直す必要はなく、免許状授与時の取得単位に加えて30時間の更新講習を修了すれば再授与されるため、失効という表現は、ペーパーティーチャーにとっては強すぎ、運転免許状と同じイメージを抱かせる。誤解を生じさせないためには、失効という表現を改めるか、対外的に周知する際に説明していくかを考える必要がある。現職教員とペーパーティーチャーの更新講習に在り方については異なると考えており、現職教員の場合は、研修実績や勤務実績に応じて一部免除などを検討する必要があるのではないかとしており、具体的にどの程度免除できるかは、今後、更新講習の内容を検討していく中で見えてくると思われる。更新講習と既存の研修との整理については、前回も10年経験者研修をどうするか議論をしていただいたが、整理していく必要がある。資料5における推計対象を60歳以下としたのは、仮の設計であり、更新制は、免許状を有する全ての者が対象となる。

委員  資料9のp.2で、不適格教員の排除を直接の目的とするものではないとしているのは良いが、p.3では「更新制は、分限制度の役割・機能を補完する制度として、機能する」としている。分限制度を補完するとなると、受け止め方によっては、更新制は不適格教員の排除を担保していると誤解を招くのではないか。現職教員もペーパーティーチャーも、失効したとしても、教職を志す者には再授与の道があるので、この点は強調しておいた方が良い。更新対象者には、管理職も含まれるので、各自治体の判断でニーズに応じた弾力的な内容があっても良い。更新制の運用上、講習の受講料をどうするのかについても、検討が必要である。

委員  「現職教員を含む現に教員免許状を有する者の取扱い」については、現職教員とペーパーティーチャーに分けて説明した方が良い。更新講習は10年となる直近2年間に受講することになっており、現職教員はその通り受講するだろうが、ペーパーティーチャーは2年間を超えても受講でき、教職に就きたいとの希望を持った時に受講すれば良いのかあいまいなので、整理しておく必要がある。現に教員免許状を有する者には既得権益があり、それを期待して免許を取得しているので、それらの者に対して免許が失効する制度を設けるのなら、法的部分等も含めた整理をしてもらいたい。教員に更新制を導入することは、一般の公務員との間で身分上の不平等が出てくると思われる。中間報告では待遇改善が示されていないが、これだけのことを教員に求めるのならば、待遇改善をどうするのかの議論をしておく必要があり、そうでなければ、教職に就くことが不利になる。終身免許の栄養士は、教職課程を修了すれば栄養教諭にもなれるが、更新講習を受講しなかった場合、栄養士資格まで失効するのか。栄養教諭として採用された者が、更新制で失職した場合、栄養士資格まで波及しなくても、教職に就けないため、栄養士の賃金単価に下がるという問題も起こり得るので、この辺りも議論してもらいたい。教員の養成・採用・研修の各段階について、大局的な教員政策をきちんと確立してもらいたい。研修はうまく行われているし、採用も各教育委員会で色々な工夫が行われているが、最近の傾向として、受験者の成績が悪くなっている。教職の魅力が徐々に失われてきている実態は、教員政策上大きな問題なので、処遇との関係で検討しなければならない。問題は養成段階であり、抜本的に解決しなければ教員政策は成功しない。成功していない部分を残しながら、現職教員にまで更新制を適用するのは矛盾しており、また校長や教頭に民間人を登用したり、免許を有しない者に特別免許状を授与することも矛盾しているので、大局的な検討をしてもらいたい。

委員  これまで必要単位を取得すれば免許が授与されていたが、中間報告では、教職課程に第三のカテゴリーを設けるなど、大学に責任を持って教員養成を行ってもらい、社会に送り出していくよう求めているので、それが動いてくると変わってくるのではないか。

委員  p.8の4.に、「個々教員の能力、適性等に応じた多様な研修を行い、その成果を適切に評価していくという性格を一層強めていくことが必要」とあるが、これは大事なことである。10年経験者研修までは、多く示されているが、その後の20年や30年も各自治体が色々な取り組みをしているし、東京都でも教師道場や主任研修等を行っている。更新制を強く打ち出しすぎると、10年間は保証されるため、更新制に逃げ込み、教員があまり研修をしなくなる心配があるので、例えば、校内研修等をきちんと評価していくことをもう少し強く書かなければならないのではないか。

委員  現職にも適用するとなると、自分の場合はどうなるのかと不安に思う者も出てくるので、これから免許を取得する者の場合や、現に教員免許状を有する者のうち現職教員の場合、ペーパーティーチャーの場合にどうなるのかがわかる書き方の工夫が必要である。資料にある実施主体について、都道府県なのか区市町村なのか、何を想定しているのか不明なので、明確にしてもらいたい。現職教員で、やむを得ず講習を受講できなくて失効した場合、公務員の身分も剥奪するのか。指導力不足教員への対応では、分限免職をしても、一般職に再チャレンジできるので、更新制においても検討する必要がある。校長や教頭、主幹については、各都道府県が対象者の資質を見ながら色々な選考を行っており、その際、時代に合った考え方や知識を持っているか等を見ているので、例えば、校長であれば講習のうち特定する教科・科目は免除するなど示せれば、過剰な負担にならないと考える者も出てくると思われるので、検討してもらいたい。

委員  更新制を導入することで、更新制に逃げ込むような逆効果があってはならないので、退職するまで体系的な研修を受けて、資質向上を図る自己研鑽に励む体制にならなければならない。更新講習については、これから具体的な検討を行うことになるだろうが、30時間はどのような柱をとった時間数なのか。更新講習は、できるだけ少人数で行い、模擬授業等も行いたいとなると、一人の講師で3回くらいの授業を受け持ち、試験も行わなければならないが、何人の講師で受け持つこととなるのか。受講者側からすると、一度にまとめて受講する場合と、何回かに分けて受講する場合があるが、各講師から合格をもらった上で修了認定する形になるのか。校内研修の実績や論文掲載、学校内でリーダーとなっている等の経歴の持ち主は、講習時に講習の実施主体が認定した場合には、特定の科目が免除されるなど、具体的なイメージが出てくると検討しやすい。

委員  普通退職者や定年退職者のデータを示してもらいたい。また、10年経験者研修を修了できなかった者がどのくらいいるのかわからないので、調べてもらいたい。

事務局  10年経験者研修は、各県で評価項目をつくり、それに基づいて評価しており、国が雛型となるモデルを示し、ABCDの4段階で評価する形になっている。最低のD評価の者であれば、設定目標をクリアしていないことになるが、数県に聞いたところ、ほとんどの者は設定目標をクリアしているが、ごく一部に修了できなかった者がいると聞いたことはある。全国的なデータは把握していない。

委員  10年経験者研修で講師をする機会があったが、今、この研修を受けている者は初任者研修を受けた者なので、研修に対して前向きであり、また、10年の積み上げがあって受けているので、熱心に取り組んでいると感じた。同じ10年の経験でも、リーダー的な者もいればそうでない者もいるので、各人が細かく設定された課題を選択しながら研修に臨んでおり、よほど出席率が悪くない限り、ほとんどの者がクリアしているのではないか。

委員  更新制の導入により、10年後に更新することとなるが、現職教員に適用する場合、法律施行から10年後と考えるのか。更新講習の受講にあたり、国や都道府県、個人はどのくらい費用負担をするのか示す必要がある。教員が研修や出張で学校を空けることが多く、正常な授業を行うのが難しくなっているので、更新講習を受講させるための定数枠を設けるのかどうかも検討してもらいたい。

委員  平成14年中教審答申の経緯を踏まえると、10年経験者研修は、現在、各教育委員会で効果を上げているが、法定研修としての位置付けをなくしても良いのではないか。各教育委員会で成果を上げ、定着しているのであれば、受講者が選択する任意研修とし、その研修評価を更新時に評価すれば、資質向上が図れるし、更新制に逃げ込み、自己研鑽に励もうとしない教員が出てくることも防げるのではないか。資料9では、10年経験者研修の考え方について、法定研修として存続させるニュアンスが強く出ているが、各教育委員会に任せる方が良い。

委員  現在、大学の教育と学校現場の実態が乖離している問題や、研修や人事の権限をめぐる都道府県教育委員会と市町村教育委員会との問題など、できるだけ現場に近いところに権限を下ろしていくことが必要となっているが、更新制は都道府県教育委員会や大学にウェイトが置かれている。幼稚園・小学校・中学校は市町村教育委員会が責任を持っており、ますます現場に密着してやっていかなければならないので、現場から遠いところに権限や責任、予算が移っていくことのないように配慮願いたい。更新制は私立学校教員にも適用されるが、私立学校団体が初任者研修等の現職研修を熱心に行っているので、その機能を充実させるような方策を併せて考えていかなければならない。

7. 閉会