小・中学校の設置・運営の在り方等に関する作業部会(第8回) 議事録

1.日時

平成20年12月2日(火曜日)10時~12時

2.場所

中央合同庁舎第7号館(文部科学省)東館3階 1特別会議室

3.議題

  1. 地方自治体からの学校選択制に関するヒアリング ・前橋市教育委員会
  2. 学校の適正配置に関する審議
  3. その他

4.議事録

【小川主査】
 では、定刻になりましたので、第8回の作業部会を開催したいと思います。
 前回、この作業部会で委員の交代についてご報告がありました。草野委員にかわって、10月15日付で臨時委員になられました東京都港区御成門中学校長、全日本中学校校長会長の壷内委員が今日出席されていますので、壷内委員から一言何かごあいさつをいただければと思います。よろしくお願いします。

【壷内委員】
 おはようございます。全日本中学校長会の会長であり、港区立御成門中学校の校長の壷内明と申します。日本の新しい教育のスタートに当たりまして、精いっぱい委員として務めさせていただきたい、このように考えております。よろしくお願いいたします。

【小川主査】
 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 では、今日の議題に関係する資料の確認をお願いします。

【佐藤教育制度改革室長】
 それでは、議事次第1枚目の資料をご参照いただければと存じますが、4番目の配付資料でございます。資料1が委員の先生方の名簿でございます。それから、資料2が本日の1つ目のテーマでございます前橋市の教育委員会からの学校選択制に関するヒアリングの資料としていただいているものでございます。それから、資料3から資料5までが2点目の学校の適正配置に関するご審議をいただくに当たっての参考としての資料でございます。資料3が学校規模によるメリット・デメリットの例。それから、資料4-1が義務教育における国・都道府県・市町村の役割分担。資料4-2が公立の小・中学校の統合に係る助成制度につきましての資料でございます。資料5が学校の適正配置に関する考え方(論点例)ということでお示しをしてございます。不足等ございましたら、事務局のほうまでお申しつけくださいませ。
 以上でございます。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 資料の確認、よろしいでしょうか。もしも不備がございましたら、事務局のほうにご連絡ください。今、報告がありましたように、今日の議題は2つです。1つはこれまでのヒアリングの継続として、最後のヒアリングとして、前回の作業部会で事務局から学校選択制の見直しの動きについて新聞報道等で説明していただきました。今日は前回ご紹介した中の1つであります群馬県の前橋市教育委員会の方に来ていただきまして、前橋市の学校選択制の見直しの状況についてお話しいただくということになりました。それが1つです。
 2つ目は、これまでのヒアリングと意見を踏まえまして、年内あと2回予定しておりますけれども、これまでの議論を踏まえまして、中間まとめに向けた審議を本格的に開始したいと思います。今日はその手始めということで学校の適正配置に関する審議の基本方向、たたき台について意見交換をしたいと思います。
 では、最初に前橋市教育委員会からご報告をいただきたいと思います。今日はお2人にご出席いただいております。教育委員会の指導部学校教育課の清水課長と佐藤課長補佐のお2人にご出席いただいております。では、大体30分ほどご報告いただいた後、残りまた30分ほど質問、意見交換をさせていただきたいと思います。
 では、よろしくお願いいたします。

【清水学校教育課長】
 お世話になります。学校教育課長の清水と申しますが、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、まず最初に学校選択制見直しについての経緯を簡単にお話しさせていただいて、その後いろいろな課題、そして見直しについての方針案、そういったものをお話しさせてもらいたいと思っております。
 まず、これまで国の大きな流れの中で規制緩和の推進であるとか、また、通学区域の弾力的運用というような方向性が示されて推進されてきているわけでございますけれども、その中で前橋市の学校の中では学校の活性化、また、保護者が学校に積極的にかかわる意識、責任感の向上、そういったものへの期待があり、現在、推進してきたということでございます。また、各学校では通学区域の弾力化の視点に立って子どもの個性、また、希望に応じた学校選択の保障、地域に開かれた特色ある学校づくりの推進というものがこれまでもされてきたわけでございます。
 そこで、前橋市ではこのような大きな国等の流れの中にあって、現在、少子化等によります児童生徒数の減少、それによって学校の小規模化が進んでまいりました。これまで市教委では少子化の対応策をあまり具体的にしてこなかったということが現状かなと思います。そこで、平成14年4月24日でございますが、「前橋市立小学校・中学校の就学区域及び適正規模について」という諮問を受けて検討することになったわけであります。その諮問を受けて平成14年9月30日、答申がなされたわけであります。答申については大きく3点でございますが、通学区域の見直し、適正化について、それからもう1点が学校選択制の導入について、もう1点が学校適正規模についてということで3点について答申がなされたわけでございます。
 そして、通学区域の見直し、適正化については、通学区域の見直しは通学区域に係る要望、また、課題の解決、こういったものに向けて段階的に実施するものであろうということであります。それで、特に通学区域の見直しに当たっては現行の通学区域を基本とするけれども、一部地域の学校指定を変更するということとともに、ここで学校選択制をあわせて導入するという答申を受けたわけでございます。さらに適正規模、それから、適正配置、それを考慮した通学区域の見直しを行うというものであり、通学区域の見直しが思うように前橋市ではなかなか進んでこなかった。そういった中であわせて学校選択制、これを導入しようというもので進めてきたわけでございます。
 それで、答申では学校選択制の導入については平成16年度から実施するということで、特に選択制については基本的な考え、ねらいについては大きく4点。1点目は特色ある学校づくりの推進、2点目が児童生徒、保護者が学校のよさ、通学距離、安全面などを考慮して、みずからの意思での選択によって本市の学校教育の充実・向上を図るものとするということでございます。3点目が開かれた学校運営の推進に向け、教職員の意識改革、それから、特色ある学校づくりを推進する。4点目が児童生徒、保護者が選択することで積極的に学校とかかわりを持ち、協力関係を強化していくというものとしたわけでございます。
 そして、平成16年度、答申を受けて、市内すべての小・中学校で一定条件のもとで学校選択制を導入したわけでございます。簡単に申し上げますと、通学距離は、小学校では4キロメートル以内、中学校では6キロメートル以内ということで、自力通学が基本ということであります。前橋市では中学校6キロメートルということになりますと、ほぼ市内全域を覆うような形で自由選択という形になっておりました。そういった形で今日に至ってきているということであります。その後、今日お持ちしました資料にもございますけれども、「前橋市立小中学校の適正規模及び適正配置について」(答申)の1ページの冒頭のところにありますが、平成18年12月1日、「前橋市立小中学校の適正規模・適正配置について」の諮問を受けたとしているわけであります。
 これは少子化に伴い学校の規模がそれぞれ小さくなってくる。具体的に申し上げますと、ある地域では3つの学校がすべて、ある場所に立つと見渡せる。すぐ目の前に3つの学校があるというような地域がございます。そういった中、すべて小規模化している。そういう現状にあるわけでありますけれども、そういうことで適正な規模と適正な配置について検討が必要であるということ。それと、選択制による偏りが生じてきたり、そういった弊害が指摘されてきたわけであります。そして、それを受けて資料の先ほど申し上げました答申、平成19年11月22日に答申が出されたわけであります。1つは学校の適正規模についてということで、学校の適正規模、それから、学校選択制、そして通学区域、大きな2つ目として学校の適正規模・適正配置についてということでございます。
 特に学校選択制の見直しについて、答申の5ページにございますように、問題点としては安全面の確保、それから、地域自治会・子ども会育成会との関係、それから、通学区域による通学距離の問題、受け入れ枠を超えた抽選者への配慮等々、いくつかの問題が生じてきたわけであります。前橋市の現状ということでありますけれども、そこにも書かせてもらいましたが、登下校時の地域の安全体制の整備がこれまで充実してきております。小学校では例えば自治会を中心としたウォーキングバスというのがございますが、そういった地域の方の力をいただいて安全を確保してきております。また、放課後の地域のボランティアによります寺子屋事業の充実、学習や遊び等、面倒を見てくれる、そういう事業も非常に充実してきております。
 それから、青少年健全育成会というのがございまして、そこを中心とした中学生がいろいろな行事に自分たちが参画し、小さい子の面倒を見たりというようなのびゆく子どもの集いの、そういった充実がこれまでも図られてきたということもございます。それから、学校支援センターの活性化というものもこれから推進していく。そういう地域住民と学校というところの好ましい関係、こういうものがこれまで築かれてきているというのが現状でございます。一方、安全性等を考えると自宅から距離の近い学校を選択するということは理解できるということであるわけですけれども、適正規模を維持する上からも見直しを検討する必要があるとの答申を得たわけでございます。
 そこで、学校選択制の実態を調査し、そして状況を把握した上で選択制の見直しを行うことが大切であるという、そういった答申をもとに平成20年9月26日、お手元にございます資料2ということで、「学校選択制見直しの基本方針」、これを教育委員会として実態を調査し、そして状況を踏まえて作成させていただきました。
 そこでは選択制導入の成果、2ページにございますように、選択制の成果としては住居から近い学校を選択でき、安全確保がより保てるようになった。それから、自ら取り組みたい部活動に取り組むことができる環境が整えられ、中学校生活への期待を高められた。それから、自分の学校の特色をアピールしようとする意欲付け、そういった面の成果もあったわけでございます。また一方、選択制を導入しての課題ということで地域自治会、それから、子ども会育成会等、居住地域との関係が希薄化してきているということもあります。それから、登下校の安全面の確保の困難、生徒数の偏りの発生、学校選択制導入の目的から外れた状況の存在というようなものも挙げられたわけでございます。
 そして、見直しの基本的な考え方ということで3ページの下の段にありますように、子どもたちは地域によって育まれ、各学校の教育風土(校風)、そういったものも地域との連携の中からこれまで醸し出され、引き継がれてきたものである。子どもたち、学校にとって、地域は大切な役割を果たし、今後も地域の果たす役割は大きく、地域の教育力を高めるということは現代社会の大きな要請であるという考えに立ちまして、平成22年度入学者をもって学校選択制は廃止することとしたわけでございます。ただし、学校選択制で得られた成果のうち、通学距離の近さというものに関しては生かすこととするということで検討をしました。
 次に、学校選択制を利用した児童生徒数の推移、それから、児童生徒数の偏りということで、学校選択制の申請者数の推移は2ページにございますように、平成16年度、小学校で116人、中学校で85人、合計201人という数でございました。今回の平成21年度については小学校が196人、そして中学校が247人、計443人ということで平成16年度から比べると小学校で80人増、中学校で平成16年度に比べると21年度が162人増、合計で242人増ということになっております。
 それから、児童生徒数の偏りということで平成21年度の例でございますけれども、資料がございませんが、例えば小学校で10人以上増加した学校は3校、A小学校で16人、B小学校で14人、C小学校で11人ということです。それから、中学校で10人以上増加した学校は、A中学校は30人、B中学校は16人、C中学校は36人、D中学校は30人、E中学校が19人ということで、10人以上増加した学校が5校でございます。ちなみに、前橋市全体の小学校数は45校、中学校数は21校ということでございます。
 それから、小学校、10人以上減った学校、これは1校です。A小学校がマイナス11人。それから、中学校、10人以上減った学校が6校。A中学校がマイナス20人、B中学校がマイナス33人、C中学校がマイナス40人、D中学校がマイナス16人、E中がマイナス13人、F中学校がマイナス12人ということで、10人以上減った学校が6校ということが現状でございます。
 それで、次に学校選択制を利用した選択理由ということでございますが、お手元に資料を配らせてもらいましたが、A3版のものを半分折りにした資料でございます。グラフであるわけですけれども、これは質問内容が平成16年度と平成20年度では若干異なるわけでございますけれども、小学校では平成16年度入学時点では一番多いのが「学校の近さや通学のしやすさ」、2番目が「子どもや親の友人関係」、3番目が「学校公開での印象」。それから、平成20年度入学者を聞いてみますと、「学校の近さや通学のしやすさ」、それから、「子どもや親の友人関係」、そして「兄弟姉妹が通学している」ということで、ほぼ同じような内容でございます。
 中学校を見ますと、平成16年度入学、これは「学校の近さや通学のしやすさ」、そして「通学の状況」、「部活の状況」、「子どもや親の友人関係」ということでしたが、平成20年度入学者は「部活動の状況」、「学校全体から受ける雰囲気や校風」、そして「地域等における学校の評判」、そして「子どもや親の友人関係」というような、若干、中学校のほうは変わってきております。
 それで、次に学校現場の声ということで資料にはございませんが、特に先ほど申し上げました減少が多い学校長に聴取したということでございますけれども、生徒数の減少に伴い中学校では学級減になり、教科担任制、こういったものが難しくなってしまうということでございます。中学校で減ってきているところは1学年1学級になってきております。それから、複数の教師が指導するTTの授業ということでは、他教科の教師がそういったところに入って指導するということも生じてきているということでございます。それから、部活動の立ち上げというものが非常に難しくなってきている。
 そして、他の部活動の生徒の応援で辛うじて試合に出場ができている。また、近くの学校と合同部活動を始めたということですけれども、統一チームで試合に臨んだが、士気というものはいまひとつ上がらないということ。それから、移動等が大変であるというような話もございます。それから、学校が荒れた時代、そういったものがあった学校もあるわけですけれども、そういった荒れた時代があって年々入学者が減ってきている。そのために教育活動、特に部活動等が停滞してしまったというような例がございます。
 それから、地域住民、関係団体との関係の希薄化の事例ということについて、自治会長、それから、子ども会育成会長等々に聴取したことですけれども、夏祭りであるとか、また、秋の収穫祭、そういったものに他の地域に行っている子どもたちが出ず、顔見知りの子どもがいないため、いまひとつ行事が盛り上がらない。それから、市民運動会や地域行事等、そういったものに子どもの参加者がやはり少ない。それから一方でまた、こちらの自治会からも声もかけづらいというようなこともございます。
 それから、新入学児童生徒に地域でお祝いを渡すという習慣のある地域もあるようですけれども、他地区の学校に進学してしまって、渡すことがなかなか難しい。地域でお祝いができないというようなこともあります。それから、地域で問題等を抱える保護者が選択制を利用して、違う校区に入学してくる。
 ですから、学校への協力が非常に厳しい状況もある。学校行事への協力体制には、そういった面で大きく積極的にかかわろうとする保護者、それから、消極的な保護者、大きく2つのケースがあるということでございます。
 それから、これは学校選択制の見直しの発表に対する反響ということですが、9月26日に前橋市の臨時教育委員会で学校選択制見直しの基本方針が議決されたわけですけれども、その後、パンフレット、今日もお手元に配付してございますパンフレットを市内全児童生徒の保護者に配布するということとともに自治会へも配付させてもらいました。また、来年度入学してくる幼児の保護者全員にもこのパンフレットを配布させて周知を図りました。それから、市の広報がございますが、「広報まえばし」というところで市民に周知をし、それとともにホームページでも掲載し、広く周知を図ったわけでございます。
 保護者からは発表後、二十数件、電話での問い合わせがございました。主な内容は、選択制利用後の兄弟・姉妹はどうなるのですか。また、中学校へは進学できるのでしょうかということ等について、つまり、選択制のその後の具体的な対応についての質問であったわけであります。選択制を継続してほしいという要望は二、三件ございましたが、こちらのほうで趣旨等を説明させていただいたわけでございます。
 それから、中学校で部活動を理由とする学校選択ができなくなるということに対する懸念についてですけれども、中学校の場合、部活動を理由に学校選択をする生徒が多く、偏りが生じてきているということがございます。生徒数が少ない学校は、さらにそれに拍車がかかってしまう。このままでは学校の教育活動にも支障が出てきてしまうというおそれがございます。教育委員会としては、それを看過するわけにはいかないということで、特に自然減による小規模校の学校では、その割合が顕著であるということでございます。ある程度の規模のある学校では、そういったことは少ないわけですが、自然減による初めから小さい学校では、そういった割合が顕著になってきている。
 部活動を選択できるということも非常に大事であると思うわけですけれども、地域の子どもたちは地域で育てるということからも相反することにもなるのかなと思うわけでございます。その対策として市教委では小規模校同士で近隣の学校との統合により適正規模化を現在進めております。そういった統合をすることによって適正化を図るという中で生徒、保護者のニーズにこたえた部活動の設置、それを可能としたいということで、現在取り組んでいるところであります。そのために選択制を廃止し、本来通うべき学校に生徒を一たん戻し、その後、適正規模化を図ろうというものでございます。
 今、課題として挙がっている中学校では、すぐにでも統合したいというような考えもあり、現在、委員会を立ち上げて双方の学校で統合に向けて進んでいるところでございます。統合までの間は校内で他の部活動の応援体制、これを整えるということとともに、近隣と学校との合同部活動により生徒のニーズにこたえて活性化を図っていく必要もあろうかと考えております。
 生徒が部活動を選ぶ理由の1つに指導者、また、強い部活動を希望する。そういったことがあるわけです。つまり、学校選択ということではなく、教師選択につながることが懸念されるということもございます。教師の勤務年数は本市としては8年が限度でございます。また、勝利至上の部活でなく、人間関係の醸成、また、体力向上ということで学校生活の充実・向上のため、市内全校を視野に入れた部活動の活性化を目指していきたいと考えております。
 今後、就学校の指定の変更の基準に部活動を加えるという形ではなくて、学校の適正規模・適正配置、それを推進する中で部活動をはじめとした教育活動の充実を図ってまいりたいと考えております。我々は地域の教育力、そして地域の子は地域で育てるという認識のもとに、今回、選択制の見直しを行ったわけでございます。実際に選択制をこれまで実施してみて、そのような結論に至ったわけでございます。
 また、全く廃止ということでなく、チラシにもございますように、良さは生かしてまいりたいと考えております。今後、学校支援地域本部等を全校に設置をするというような考えの中で地域との関係を大切にし、そして子どもたちの教育を進めてまいりたいという形で今回のこういった見直しを図ったわけでございます。
 以上でございます。

【佐藤課長補佐】
 1点補足説明をよろしいでしょうか。

【小川主査】
 はい。よろしくお願いします。

【佐藤課長補佐】
 学校教育課の佐藤と申します。お世話になります。
 お手元の資料で、まず答申というのが平成19年11月22日に出ております。それを受けまして、もう一つの資料の学校選択制見直しの基本方針を作成したわけでありますが、この間に学校選択制検討協議会というものを平成20年6月に立ち上げました。委員は10名なのですが、PTAの関係ですと、現在の小・中学校のPTAはもちろんですが、幼稚園、保育所のPTAの方にも入ってもらっての検討協議会を立ち上げまして、7月、8月、9月と合計3回、その検討協議会で見直しをどういうふうにしていくかということの議論もちょうだいしました。それも踏まえての基本方針の作成であります。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 では、残り30分弱、時間がありますので、質疑応答、意見交換に移りたいと思います。これはこれまでどおり各委員、ご質問、ご意見がありましたら挙手してお願いいたします。どなたからでもどうぞ。
 では、中西委員。

【中西委員】
 ありがとうございます。私も学校選択が何でも万能だとは思っておりませんが、そもそももともと予想された理由というのはかなりあると思うんですね、選択制を入れる前からですね。じゃあ、その予想しなかった事態というのはどの辺りなのかということと、それとつながると思うのですけれども、見直しを決めた決め手というのは何なのかという、その辺を絞って少し伺えないかと思うのですが。

【小川主査】
 では、お願いいたします。

【佐藤課長補佐】
 予想しなかった事態というか、予想し得てなかなかそこまでできなかったというのが地域とのかかわりと、あとは生徒数の極端な偏りであります。地域とのかかわりにつきましては、選択制を利用しても元の地域の子ども会、あるいは地域の行事に参加するようにということは申したりしているのですが、なかなか学校行事が主になってしまいます。そこら辺が選択制の導入当時、ここまで希薄化するというのは見極められなかったということと、生徒数の増減も、今現在は1クラス分ぐらいの増減がございます。平成16年当時ですと十数人の増減だったのですが、毎年少しずつ増えてきているという状況がございますので、当時、予測はできたかとは思うのですけれども、ここまでというのがなかなかできなかったという面がございます。

【小川主査】
 中西委員、どうですか。

【中西委員】
 つまり、決め手となったのは、その2つということですか。

【佐藤課長補佐】
 決め手として大きくは地域とのかかわりと生徒数の偏りです。特に小学校においては地域とのかかわりが大きなものであります。中学校は生徒数の増減がかなり増えてきたということがあります。

【小川主査】
 中西委員、今のご回答でよろしいでしょうか。

【中西委員】
 とりあえず。

【小川主査】
 他に委員。では、髙岡委員。その後、山重委員ということでよろしくお願いします。

【髙岡委員】
 よろしくお願いします。どうもありがとうございました。非常に大きな決断を5年ぐらいの間に二度なさったということになりますね。選択制の導入のときに、当然、施策上はこれをやることで学校がこう変わるだろう、あるいはこういういい方向へ行くだろうという、いわゆるメリットの側面をお考えになって、結果的には5年間ほど試行なさった。4年か5年ですね。さらにその上で児童生徒数の減少ということを一方で抱えながら、この選択制の維持ではなくて、むしろ適正配置化、適正規模化であるという決断をなさったということだろうと推察をするのですが。
 今、中西委員からもお話があったように、私も例えば相当数の児童生徒がこの選択制を活用して指定されるはずであった学校以外のところへ行く結果が出てくるということは、その選択制という制度そのものの活性化という点では、それ自体は政策評価としてはプラスで評価できることだと思うのですが、それが行き過ぎたときに1クラス分も出たり入ったりするのでは、教員の配置や授業、あるいは学校行事等で思っていた以上の変更が生じてしまって、学校行政、あるいは学校教育の質をきちんと確保するという観点からあまりよくないことが見えてきたというご判断だと思うんですね。
 その辺りのぶれが、校区を外したときにメリットだと考えて進められたことが行き過ぎた状況になって、もう一度フィードバックさせたほうがいいという、そのご判断、非常に短い間に行政の組織としておやりになったということは大変なことだったろうというふうには思うのですけれども、もう一方で、施策としてのぶれを、まあ、極端な言い方をすれば、どこかが、やっぱり選択制は失敗だったのではないかとか、そういう議論というのは教育委員会の中でも出なかったのかという気が、伺っていて1つしました。そのことがどうだったかということ。
 もう1点、おっしゃった、本来通うべき学校に一たん戻して、つまり、選択制を廃止して自然減という状況を確認した上で学校統合へ持っていく。学校の適正配置・適正規模化を図るというために、この選択制を元へ戻した上でそれを考えるという、そういうご決断だと伺ったのですが、その選択制という制度そのものは、例えば極端に言うと、子どもがたくさん集まる学校が一方にでき、もう一方には集まらない学校ができて、その学校をどうするか。その集まらなくなった学校を統廃合の対象にするというような論理というんですか、そういうことは公立の学校配置という観点から言えば、ゼロにしてしまうということはやっぱり難しいのでしょうか。その2点をお尋ねしたい。

【小川主査】
 では、またよろしくお願いいたします。

【清水学校教育課長】
 最初のご質問ですけれども、失敗だったのかというようなことでございますけれども、これについては当然、議会等でも5年ぐらいで変えるのでいいのかというような質問もございました。そういった中でやはり、実施した中で特色ある教育活動が推進できただとか、そういったメリットも確かにございましたし、学校の校長も自分の学校の教育活動について、さらにまた教職員も含めて向上していこう、もっと自分たちの学校を輝かせていこうという、そういった機運は高まってきたと思います。
 ただ、これは選択制だけでなくて、本市でも特色ある学校づくりの推進という形で事業を設けて、校長のほうから計画書を出させて、それに対しての予算配分等をする中で進めてきたということで、確かに選択制によってそういったものが出てきましたけれども、違う施策の中でもそれぞれの学校の特色ある学校づくりというものは進められてきているのかなと思います。ただ、全くこれによって選択制のメリットはなかったかということはないわけでありますし、そういったものも今後引き継いでいきたいと考えております。
 それから、集まらない学校をどうするかというようなことがございましたけれども、やはり選択制を今後続けていって、そしてそのために学校を統廃合していくという形は好ましくないと考えております。他地域、他府県によってはそういった形で集まらない学校は淘汰されていくのだという形でやっていると聞くところもあるわけでございますけれども、前橋市としては自然減の中でやはりどうしてもその学校を地域の中で小規模校が生じてきてしまったという形の中で統合していくという形で進めていくのがよいだろう。そのためには一たん選択制を廃止し、そして本来行くべきところへ行って、そしてその地域の中で、今、地区委員会というのを立ち上げてもらっているわけですけれども、そういう自治会であるとか、PTAであるとか、いろいろな団体の方々に校長を中心として集まってもらって、その中で話し合いをして、じゃあ、統合しようという機運が盛り上がっている学校については統合を今後していくという形をとっております。

【小川主査】
 髙岡委員、追加、よろしいですか。

【佐藤課長補佐】
 1点よろしいですか、補足なのですけれども、自然減と、あと選択制の利用増減の関係なのですが、自然減の学校でクラス数等が減っている学校ほど選択制の減も大きいんです。今、1つの中学校の例ですと、来年また新1年生が1クラスになってしまう。今年も1クラスなんですね。ですので、来年、3年が2クラスで、2年が1クラス、1年が1クラスになります。単純に選択制がなかった場合を考えたとすると、2クラス、2クラス、2クラス。このように小さい学校ほどその選択制の減が大きいというのが現状としてございます。

【小川主査】
 よろしいですか、髙岡委員。

【髙岡委員】
 はい。

【小川主査】
 では、山重委員、どうぞ。

【山重委員】
 本日はどうもありがとうございます。選択制という新しい取り組みをされて、非常に貴重なご経験を伺えたと思って感謝いたしております。ただ、幾つか疑問点がありまして、実はこの仕組みが本当にいいのか、あるいはどうあるべきかということについて知りたいので、本音をぜひ聞きたいのですが、こういう場でもありますので、なかなか聞き出せないかとは思うのですけれども、ちょっとヒントになるようなことでももしあれば教えていただければということで3点ご質問させていただきます。
 まず、小学校について地域とのかかわりの問題をおっしゃられていましたけれども、そもそも今の時代に、前橋市では違うのかもしれませんけれども、小学生がそんなに地域と密接にかかわっているような状況はちょっと思いつかないので、例えば小学校については、他の区域に行く子どもたちというのは相対的に少ないですよね。16人とか、11人とか、そういう人数が出てきただけで、そういう地域に大きなインパクトがあるような印象がどうも持ち得ないんですね。その点は何か、一番大事な理由なのかどうかというのがよく見えないので、もし本当に密接な関係があるということがあれば、それを教えていただければと思います。
 それから、中学校に関して生徒数の偏りがあるというのはよくわかるのですけれども、廃止ではなくて見直しという形で移動できる、受け入れられる子どもの数を例えば30人とか、40人とかは多いので10人にするとか、15人にするとか、そういう形で見直しという形は考えられなかったのかなというのを思っています。というのは、選択制のメリットの1つは、とてもいいシグナルが教育委員会なり学校に対して出てくるところだと思うんですね。この学校に来たいという生徒がいる、それから、この学校から出たいという生徒がいるというのは、その学校の特色であったり、問題点を知らしめてくれるようなおもしろい仕組みだと思っているんですね。
 それを全くなくすと、そのシグナルがある意味でふたで閉じられてしまって、その学校が抱えている問題等がなかなか見えてこないという側面があるので、大人数が移動する、動くということの弊害というのはよくわかるので、それを抑える形で対応できなかったのかな。そうすることで選択制のメリットを生かしつつ、その問題を克服する、改善するというアプローチができなかったのかなというのは聞きながら思ったものですから、その点について教えていただければと思います。
 それから、最後に保護者の方に関して、アンケート等をとって保護者の印象を聞く、あるいは住民の印象を聞くという手法があり得たのかなと思うのですけれども、おそらく今回のご説明だとそういう手法はとられなくて、先ほどの補足説明では検討会みたいな形で代表の方々に集まっていただいたということだったと思うんです。ただ、嫌な言い方をすれば、その検討会のメンバーというのは選べるわけですから、都合のいいことを言ってくださるような代表者の方に来てもらうということもあり得るので、そういう意味ではむしろ、もう少し広くアンケートをとって、市民の意見を聞く、あるいは保護者の意見を聞くといったこともされてもよかったのかなという印象があるのですけれども、そういう取り組みは考えられなかったのかどうか、その3点を申しわけありませんが、教えていただければと思います。

【小川主査】
 では、3点、よろしくお願いいたします。

【清水学校教育課長】
 小学生については、先ほど報告申し上げましたように、それほど大きな移動はないというか、10人程度というところが多いかなと思うわけですけれども、前橋市と他の地域ではまた違うかと思います。前橋市の場合、非常に地域とのつながりというんでしょうか、例えば先ほど少し申し上げたのですけれども、ウォーキングバスという、つまり、放課後、子どもが下校するときに地域の方が出ていただいて、そして、いわゆる集団下校という形で、第1便、第2便という形で地域の自治会長を中心として、そういった方が道、下校の先頭に立って安全確保しながら、それぞれの家庭のほうまで送り届けていってくれるというようなこともやっているわけですけれども、ぜひこういったことも進めていきたいなと考えております。
 そういった地域における自治会の活動、非常に活発にやってもらっていますし、その地域のお祭りだとか、いろいろな行事、そういったものにも子どもたち、小学生も出る中で、やはり学校が違ってしまいますと、学校というのは地域に根差しているわけですから、どうしても出づらい、または声もかけづらいという、お互いやはりちょっとした気まずさというようなものがあって、なかなかそういったものに出てこられないというようなところがあります。
 それとあと中学校のほうも、先ほど少し申し上げましたけれども、中学生が地域の行事として、のびゆく子どものつどいというものが各中学校単位ぐらいで計画されるなど、地域の中でいろいろな行事を進めているわけですけれども、そういったものに対して中学生が企画をしたり、また、参画していくというものもございます。そういった中でやはり地域の方がその子どもたちを知って声をかけてくれたり、また、地域の中で子どもたちが育っていくということをこれからも大事にしていきたいなと考えております。メリットということで、確かに選択制は、いい積極的な形でのシグナルということは言えるかなと。これは私どもも全く悪いということではなく、やはり両面あるのかなと。
 一方で、やはり地域の子どもは地域で育てるんだという認識と、こういった学校を自由に選択して他地域の学校に行くというところに、我々はどうしても両面あるのかなと。それはそれぞれよさを生かしながら、前橋市としては地域というものを大事にした学校経営、また、子どもたちを育てていきたいと考えて、このような形で取り入れたわけであります。そして、その中でリーフレットにもございますように、本当に目の前に学校があって行けないということでは、安全面も問題があるでしょうから、自宅から指定学校までの直線距離が、小学校は1.5キロメートル、中学校は2キロメートルを超え、かつ希望する学校までの直線距離が指定学校までの直線距離の2分の1以下の場合、希望する学校への就学を認めましょうという形で、多少、その辺のよさのところも生かさせてもらって、考えさせていただきました。
 それから、アンケート等について、印象を聞いたほうがよかったのではないかというようなこともございますけれども、これについては確かにいろいろなご意見等があるわけですけれども、一応、我々としてはそれぞれ各分野、まあ、都合のいい方を集めてというようなお話がございますけれども。

【山重委員】
 すみません。

【清水学校教育課長】
 そういった形でご意見を広くお伺いしたという形で進めさせてもらいました。それに対しての反響というものは、先ほど申し上げましたように、反対というんでしょうか、やめないでほしいというのは二、三件だったということでございます。

【小川主査】
 山重委員の2番目の質問で、特に中学校の学校選択については廃止という選択ではなくて、例えば受け入れの選択の定員枠を設けて、そういう大きな増減が出ないような選択肢もあったのではないかという質問があったんですけれども、そういうご検討は何かあったんでしょうか。

【清水学校教育課長】
 そこまではしておりません。やるからにはやはり地域の学校に戻すということを1つ原則という形で考えさせてもらいました。

【小川主査】
 はい。わかりました。
 山重委員、何か追加のご質問はよろしいでしょうか。

【山重委員】
 はい。結構です。

【小川主査】
 あと10分程度ありますけれども、ご質問の方。では、こちらからいきたいと思いますが、10分切っていますので、多少の時間オーバーは構いませんけれども、できるだけ手短によろしくお願いいたします。どうぞ。

【角田副主査】
 ありがとうございました。1回決めたことを元に戻すといいましょうか、大英断だっただろうというふうに思いながら、私などはどちらかというと学校選択制というのはあまりよくない、特に小学校は地域で育つのだという考え方ですから、結果的によかったのではないかと思いながら、今度、元に戻したというと何となく気になるところがないわけではないのですが、しかし、今聞いていて、小学校と中学校ではやっぱり理由が違うという感じがすごくするんですね。
 小学校の場合は地域との問題、おそらくこれは距離の問題、安全の問題もあるでしょうけれども、学校の中での生活で、例えば生活科であるとか、あるいは地域に密着した教材を使う、社会科の場合もそうだと思いますけれども、そういったようなことがあって、できるだけその地域に近いところのほうがいいのだろうと私は考えております。
 中学校になればかなり抽象化されてきますから、その辺のところは体力的な問題を含めて自由選択もある程度考えられるかなと思っているのですが、そういう中で先ほどの山重委員と少しオーバーラップするかと思うのですけれども、例えば小学校では見直しをして、全く地域ということを重点的に考えるけれども、中学校はというふうな、そういうオール・オア・ナッシングではなくて、少し弾力的な考え方というのは検討委員会だとか、あるいは見直しのところでは出なかったのか。その辺のところについてお話を聞かせていただければと思います。
 以上です。

【小川主査】
 では、よろしくお願いします。

【清水学校教育課長】
 中学校では選択理由が部活動というような形で多くあったわけでありますけれども、そういう中でやはり我々も部活動の成立というものは、子どもたちに対して、中学校に入ってくるときの学習面もそうですけれども、部活動をやりたいという希望、そういったものはかなえてやりたいなと考えております。
 それから、学校現場としては、やはり小さい学校になってしまうと、先ほど申し上げましたように教科担任制もできなくなってしまうというような保護者の方からの願いもあるかなと思うわけですけれども、そういった意味でこれについては統廃合という形で、ある程度の学校規模をつくる中で解消していければいいかなと考えており、委員会の中でも、そういった話がなされてきたと思っております。

【角田副主査】
 小学校のほうは、例えば弾力化、選択制をやめてという、小学校のほうは元に戻すというふうな、そういう案はなかったでしょうか。

【清水学校教育課長】
 そういうのはなかったですね。

【角田副主査】
 ないですか。

【清水学校教育課長】
 はい。

【角田副主査】
 はい。わかりました。

【小川主査】
 よろしいですか。

【清水学校教育課長】
 あと、小学生が、要するに選択制を希望するということは、中学校も1つ視野に選んでやっているということであります。ですから、今、この移行措置の中で、現在、小学校で選択制を選んだ子どもについては、中学校も期限が来ても延長して選べるようにさせてもらっております。

【小川主査】
 いいですか。
 では、荒瀬先生、どうぞ。

【荒瀬委員】
 どうもありがとうございました。いろいろとお尋ねしたいことはあるのですが、1点だけお尋ねいたします。教育委員会がリーダーシップを発揮なさって、それが比較的短い時間の間に大転換をなさるといいますか、そういうことにもなってきたのだと思うのですけれども、その際にそれぞれの学校の教員、校長を含めた教員はどんなふうな形でかかわっていたのかということを教えていただければと思います。

【小川主査】
 では、よろしくお願いいたします。

【清水学校教育課長】
 教員については、そういう委員会とかに出席して意見を求めるとかということはございませんでした。学校長の代表であるとか、そういった方々のご意見等をお伺いしながら、そしてそれを学校現場のほうに校長のほうから、また、教育委員会のほうから途中経過等を話をして説明しているという形で進めさせてもらいました。学校の先生方につきましても選択制について、これをぜひ継続してくれというような意見よりも、むしろやはり我々の考えに沿っているかなと思っております。

【荒瀬委員】
 その中で、この学校選択制をやっていくというのは、もちろん住民サービスという点からも大きなポイントになると思うのですが、その住民サービスを下支えするのは教員の意欲とか、意識が変わっていったということがなくてはならないと思うのですけれども、そういった点ではどんなふうに見ておられるのでしょうか。

【清水学校教育課長】
 市の施策として特色ある学校づくりということで、これまでも、先ほど少し申し上げましたけれども、校長のリーダーシップのもとに計画書を立てていただきまして、そして学校のほうでこういう事業をやりたいというものに沿って、こちらのほうも予算を配分しながら学校のほうでそれぞれ特色ある学校づくりを推進していくという形で進めてきたわけでありますけれども、選択制によってやはり自分たちの学校をさらによくしようという、そういう意欲付けにはなったと思うわけですけれども、さらに特色ある学校づくりの推進事業というものを、本市でやっているものをさらに生かしていきたいと考えているわけです。

【小川主査】
 よろしいですか。

【佐藤課長補佐】
 1点よろしいですか。特色ある学校づくり支援制度というものを平成17年度から設けまして、今現在、金額で約3,500万円ほどであります。小・中学校、66校ありますので、1校平均にすると50万円ちょっとになります。そういったものを計画書を出してもらって配分しております。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 では、壷内委員、どうぞ。

【壷内委員】
 学校選択制が始まって約5年ということで、学校選択制が定着しているという数字が、400名を超えているということですね。この3年間、ほぼ定着している中で大英断という、先ほど話がありましたように、本当に決断するのに大変だったのかなと思うのですが、その中で中学校の場合、部活動を第一に選んでいるということ、このアンケートの約半分の方が部活の状況でということで答えているわけですが、全国、学校選択制をやっているところ、地方自治体、いっぱいあります。行政としてこの部活動につきましては、具体的にどういうことを考えていらっしゃるのか。
 元に戻りますと、部活で学校選択をやっていますよと。今、小さな学校同士で合同でという話もありました。これは行政としての支援といいますか、どういう形で部活動については継続、あるいはまた部活動であの学校に行きたいという子どもが出てくるのではないか、それぞれの学校、特色があって伝統があります。あの学校はこういう部活動が強いんだ。いや、僕は絶対、6キロぐらい離れているけれども行きたいんだといった場合がおそらく出てくるのではないかと思いますが、どういうふうにお考えになるのか教えてください。

【小川主査】
 では、よろしくお願いします。

【清水学校教育課長】
 部活動については、どうしても強い指導者がいるところ、そういったところを選ぶというところもあるかなと思います。ですから、学校選択というよりも教師選択、まあ、教師は8年で転勤になります。また市教委の施策としては、当然、その後にそれにふさわしい教員等も配置をしていくということになるわけでありますけれども、それが伝統というような形で、あの学校は部活動が強い。だから、僕はそういったところに行きたいというようなことも当然出てくると思うわけですけれども、やはり勝利至上主義だとか、そういうものではなくて、本来、部活動というものはどういうものなのかということを考えながら、我々も進めていきたいなと考えているわけです。ただ部活動が少人数でできなくなってしまうということだと、本当に子どもたちのニーズだとか、夢や希望というものがかなえられないところがありますので、それは統廃合によってある程度の適正規模をつくる中で部活動を立ち上げられるような、そういった学校をこれからつくっていきたいと考えております。

【小川主査】
 よろしいですね。もう時間もないので、次に行きたいと思います。
 松川委員、いいですか。

【松川委員】
 結構です。

【小川主査】
 では、大嶺委員、どうぞ。

【大嶺委員】
 ありがとうございました。2点、1つ目はオーバーラップするかもしれませんけれども、これからの教育のキーワードというのは地域コミュニティということではないかなと考えております。学校選択制を導入していくときに、先ほどもありましたけれども、地域の子どもは地域で育てるというその考え方とどのようにして折り合いをつけていったのかなというのが1点です。
 それから、2点目は、じゃあ、また元に戻しますよといったときに、また元に戻したから、地域の方、学校を応援してやってよねという、それではちょっと虫がよすぎるんじゃないのって、地域も怒る人も出るのではないかなと思うのですけれども、そういうときに新たに、先ほど出ましたが、学校支援地域本部を設置していったり、あるいは学校運営協議会を設置してコミュニティスクールといったような形を主として積極的なビジョンとして取り入れていくのか否か、その辺のところを教えていただければなと思います。

【小川主査】
 2点、よろしくお願いします。

【清水学校教育課長】
 選択制は、地域の方々にとっては、導入して、今回廃止という形で示させてもらったときに、よくやってくれたということは声として聞こえてきております。これまでそういった形で余りにも急激に子どもたちの移動が中学校などではあったということで、我々としても予想し得ないところもあったわけであります。そして、前橋市としては、これまでの現状としては地域の方とともに子どもたちの教育に当たってきているというのは現状であるわけですけれども、それが本来の姿に戻っていくという形になっていくのかなと考えております。
 それから、やはり学校支援地域本部、そういったものも今度、具体的に来年度からこちらのほうとしても立ち上げて、より一層地域との連携を密にしていきたいと考えているところです。

【小川主査】
 大嶺委員、よろしいですよね。

【大嶺委員】
 はい。

【小川主査】
 では、次、加藤委員、よろしくお願いします。

【加藤委員】
 平成16年度、平成20年度のアンケートで少し特徴があるのでお聞きしますが、平成16年度に上位のほうにない地域等における学校の評判ですとか、学校全体から受ける雰囲気や校風によって、それを判断にして学校を選択しましたという結果が出ているのですけれども、これは考えてみればそのように学区内の小学校、中学校がきちっと評判が固定してしまったと受け取れるのですけれども、選択制は改めて、平成22年度いっぱいで通学区域ごとにするというのであれば、今から平成23年の春までの間にどれだけそのインフラをきちんと整備するような施策を考えていらっしゃるのか。そうでなければ、悪い評判の学校はそのままということになってしまいますので。
 ですから、一番疑問なのは、資料2で最初に学校選択制の導入をしたときの目的ですけれども、子どもの個性や希望に応じた学校選択の保障とうたって始めたわけですけれども、結果的にそれが伴わない。私はPTAの代表ですけれども、我々保護者としては、危うい仮説のもとに結果的に子どもを使った実験になってしまうというのを保護者は非常に嫌うので、ですから、平成23年度からはきちんと募集がなされるというのであれば、それまでの間にどれだけの立て直しをお考えなのかというのだけ1点お聞きしたかったのですけれども。

【小川主査】
 よろしくお願いします。

【清水学校教育課長】
 学校というのは一たん荒れたというような評判が立ってしまうと、それを打ち消すのにかなりの年数を必要とすると思います。そういったことで、現在、もう学校の中で荒れというようなものはなくても、あの学校はということで常にそういう目で見られるということがあるわけでありますので、それは本当に我々としても、また、校長、職員としても地道にその学校の教育活動を推進していく中で、地域の方に評価を得てもらう。これをやったからこうなったということではなく、それぞれの学校がやはり特色ある学校を今後も引き続き継続していくということでご理解をしてもらうしかないかなと考えているのですけれども。

【小川主査】
 加藤委員、よろしいですか。

【加藤委員】
 はい。

【小川主査】
 では、最後になりますけれども、貞広委員、どうぞよろしくお願いします。

【貞広委員】
 大変貴重なご報告、ありがとうございます。ある意味、これだけ利用者にプラスの評価を受けている政策の見直しをするということで、見直しの基本方針を見せていただいていると、学校選択制導入の成果に関しては、確かに学校選択制自体の成果というふうなご報告だったかと思うのですが、その一方で課題については、むしろ印象的なものですけれども、学校選択制という政策自体の評価というよりも、小規模校の課題を主に挙げていらっしゃったように思うんですね。例えば部活動が成立しないであるとか、TTに不都合があるであるとか、教科外担任が出るであるとか。これは若干、学校選択制の評価からずれているのではないかという印象を持ちます。
 ということでご質問なのですが、検討の上で、これは学校選択制の課題というよりも小規模校の課題なのではないかというご見解はなかったのかということ、またはその見解に基づいて学校選択制の廃止というよりも、小規模校を支援していこうというタイプの政策選択のチョイスはなかったのかということですね。これ、2点目に関しては、特に学校選択制とあわせて我々適正規模ということを考えていくわけですけれども、その点についても参考にさせていただきたいという点でご質問させていただきたいと思います。

【小川主査】
 では、よろしくお願いします。

【清水学校教育課長】
 小規模校がいいとか、また、小規模校が悪いということは我々は考えておらないわけですし、小規模校は小規模校としてのよさ、アットホーム的な中で教育活動も推進できるというよさもあるわけでございますけれども、やはりそういった中で子どもたちによりよい環境を与えるにはどういうふうにしたらいいかということで、先ほど委員さんのおっしゃられたような方向で今度は適正規模化というような形にこれが進んでいくのかなと考えております。
 ですから、選択制云々という形からまた発展していって、適正規模化のほうに前橋市のこの施策というものが進んできていると考えているわけですけれども、選択制に対してのよさというものは当然踏まえつつ、やはり課題というものがその中で生まれてきたということでありますけれども、どうしても課題が、先ほどおっしゃられたような印象的なものというようなこともご質問があったわけでありますけれども、余りにもそういった形で小規模化が進んできてしまったということに対応する形で適正規模化というものも考えていきたいと考えているんですけれども。

【小川主査】
 貞広委員、何か追加のご質問はよろしいですか。

【貞広委員】
 はい。

【小川主査】
 ありがとうございました。

【岩﨑委員】
 すみません。1つだけ。

【小川主査】
 1つだけですね。

【岩﨑委員】
 前回、学校選択制のご発表をいただきましたときに、学校の格差ができたときに、教育委員会として指導主事を派遣する等の支援策があったと私は記憶しているのですけれども、このように10人以上減った学校と減っていった学校ということが中学校には随分数が多いんですけれども、教育委員会としてその減少していった学校に対するどのような支援があったのかなというのをお聞きしたいなと思いまして、申しわけございません、お願いいたします。

【小川主査】
 では、よろしくお願いいたします。

【清水学校教育課長】
 減少してきた学校に対しての教育委員会との支援ということですね。前橋市では学校支援員というものを市費負担で設けております。また、国語等教科支援講師というのを小学校のほうに67人程度配置をしたり、また、学校支援員を配置しております。そういった形で学校の中で人数の少ない小規模校に対しても教師の目が、また連携、ティームティーチング等ができるような形で進めております。また、県としてはさくらプラン、わかばプランという形で小学校の先生方に対して、学校規模に対して非常勤講師を配置したりというような形で進めているわけなのですけれども、前橋市としてはそういうような市費負担の非常勤講師を各学校に配置をするなどして、そういったものにこたえるという形で進めております。

【小川主査】
 岩﨑委員、よろしいですね。

【岩﨑委員】
 すみません、指導主事等の派遣ということではなかったわけですね。支援員ということの。

【清水学校教育課長】
 支援員ですね。

【岩﨑委員】
 わかりました。ありがとうございます。

【小川主査】
 他にも質問はあるかと思うのですけれども、予定よりも15分ぐらい時間をオーバーしていますので、またこの後の審議もありますので、恐縮ですけれども、この辺で第1の議題は終わらせていただきたいと思います。長い時間、今日はありがとうございました。貴重なご意見、ありがとうございました。これで終わらせていただきたいと思います。

【清水学校教育課長】
 どうもありがとうございました。

【佐藤課長補佐】
 ありがとうございました。

【小川主査】
 では、早速ですが、次の2番目の審議に入っていきたいと思います。適正規模の考え方、論点整理のほうに移っていきたいと思います。その点にかかわる資料の説明を事務局のほうからよろしくお願いいたします。

【佐藤教育制度改革室長】
 それでは、少々お時間をちょうだいいたしまして、本日の配付資料の3から5まで、こちらがこれからご審議をいただきます学校の適正配置に関します資料でございます。そちらのほうの中身を若干ご説明させていただければと存じます。
 資料3でございますけれども、まず、こちらのほうは学校規模に関するメリット、デメリットということで整理をさせていただいてございます。こちらはこれまでのいろいろなヒアリング、都道府県・市町村から行わせていただいたもの、それから、各都道府県・市町村のほうから学校統合に当たってのいろいろな考え方ですとか、学校規模に関する考え方ですとか、こういったものをそれぞれ整理されているものをちょうだいいたしまして、そういったものから事務局のほうで若干整理をして、特に学習面、生活面、学校運営、財政、そういった辺りの観点から小規模校、大規模校のメリット、デメリットというものを少し整理させていただいたものでございます。
 すべてここで読み上げるようなことはいたしませんけれども、大体これまでのご議論の中で出てきた論点でございますので、簡単に触れさせていただければと存じますが、まず、小規模校に関するもの、学習面から見ていったときに、やはり児童生徒1人当たりのきめ細かな指導といった点で、指導が行いやすいといったことでございますとか、学校行事や部活動、先ほど来出ておりますけれども、そういったお話の中で児童生徒1人1人の個別の活動機会を設定しやすいといったことが規定としてございます。
 その一方でデメリットといたしましては、集団の中で多様な考え方に触れる機会や学び合いの機会、切磋琢磨する機会が少なくなりがちであるということですとか、3つ目でございますが、運動会などの学校行事や音楽活動などの集団教育活動の制約が生じやすい。それから、中学校の場合ですと、各教科の免許を持つ教員配置をしにくいといったことですとか、そういった点を挙げてございます。
 その一方、大規模校のほうをお目通しいただきますと、メリットのほうにつきましては、ちょうど先ほどの反対になるわけでございますが、集団の中での多様な考え方に触れ、認め合い、協力し合い、切磋琢磨することを通じて1人1人の資質や能力をさらに伸ばしやすい。こういったものが代表例としてございます。それから、デメリットといたしましては、全教職員による各児童生徒1人1人の把握がなかなか難しくなってくるといったことがご指摘をいただいているところでございます。
 それからもう一つ、次、生活面のほうにいきまして、これも小規模校のほうから見ていただきますと、児童生徒の人間関係が深まりやすいといったことでございますとか、あと、先ほどと同じでございますが、生徒1人1人の生活指導、生徒指導という観点からも目が行き届きやすいといった点がメリットとしてございます。それから、デメリットとして挙げてございますが、クラス替えが困難なことなどから人間関係や相互の評価等が固定化しやすいといったことですとか、切磋琢磨する機会が少なくなりがちであるということでございます。
 それから、大規模校のほうでございますけれども、生活面のほうにつきまして見ていただきますと、2つ目でございますが、切磋琢磨することを通じて社会性や協調性、たくましさ等を育みやすい。それから、学校全体の組織的な指導体制を組みやすいといったことがございます。それから、デメリットのほうですが、全教職員による各児童生徒1人1人の把握が難しくなる。こういった点がございます。
 おめくりいただきまして、学校運営面、財政面のほうでございますが、小規模校のほうにつきましては、特にメリットとして全教職員間の意思疎通が図りやすく、相互の連携が密になりやすい。学校が一体となって活動しやすいといったことがある一方、デメリットといたしましては、やはり教職員が少ないといったことから経験や教科、特性などの面でバランスのとれた配置というのがなかなか難しいということ、それから、学年別や教科別の教職員同士、学習指導や生徒指導についての相談や研究、お互いに学びの共同体としての学校としての機能がなかなか発揮しづらい。切磋琢磨が行いづらいということがございます。それから、1人に複数の校務分掌が集中しやすいといったこともご指摘をいただいてございます。
 それから、大規模校のほうを見ていただきますと、ちょうどその反対でございますが、メリットといたしまして2つ目の学年別や教科別の教職員同士で学習指導や生徒指導に関しての相談・研究が行いやすいとったところが挙がってございます。それから、デメリットのほうといたしましては、特別教室や体育館等の施設・設備の利用の面で学校活動に一定の制約が生じてしまう場合があるといった点がございます。こういった点、メリット、デメリットがあるということを今後少しご議論いただくに当たってのご参考にもしていただきながら、少しまたこういった視点を踏まえての整理というものを考えていく必要があるのかなということでご紹介をさせていただいた次第でございます。
 それから、次、資料4-1でございます。これは制度の話でございますが、簡単に触れさせていただければと存じますが、そもそもこの義務教育に関して国、地方、地方の中でも都道府県・市町村でどういった役割分担になっているのかということを先生方、十分ご承知いただいていると思いますが、少し整理をしたペーパーを入れてございます。
 国がその基本的な制度の枠組みということで全国的な基準の設定ですとか、教育条件整備に対する財政的な支援、指導・助言・援助、こういったものを中心にそれぞれ法律の根拠に基づいて、法令等の根拠に基づいて行っているわけですが、その上で各都道府県におかれましては、広域的な処理を必要とする教育事業の実施、それから、市町村における教育条件整備に関する県としての財政支援、それから、指導・助言・援助といったものをまた県としても独自にやっていただいているところでございます。
 それから、市町村、学校という点で見ますと、市町村はまさに現場の学校の設置管理を行っているものとして市町村立の小・中学校の設置管理がそれぞれ規定として挙げてございます。それから、各学校という点で見ますと、それぞれ根拠に基づきまして教育活動を展開していただいている。そこには学校の設置、小学校の目的や目標といった規定の事例を若干挙げてございますが、そういった目標、目的に基づいて教育活動が展開しているということで、それぞれ国、都道府県・市町村、それから、学校という形での役割分担、それから、根拠規定といったものを少し整理したものがこちらの資料でございます。
 それから、次でございますけれども、こちらも制度のご紹介ということになりますけれども、資料4-2といたしまして、公立小・中学校の統合に関する助成制度について少し、これまであまりご紹介する機会がございませんでしたので、ここでご説明をさせていただければと思いますけれども、大きく分けて定数の関係と通学のスクールバスや、それから、遠距離通学に係る支援といったものの通学関係、それから、(3)として施設関係という形で分けてございます。
 定数関係でございますけれども、まず、これは現行制度の場合、市町村合併に伴う学校統合が行われ、教育上、特別な配慮を必要とする場合、小学校の場合ですと最長で5年間、中学校ですと最長で2年間の定数に関しての激変緩和措置といったものが講じられているところでございます。
 それから、2つ目といたしまして学校統合に伴い必要となった校舎の建築が完成しないといったことから、統合前の学校の校舎でやむを得ず授業をやっているという場合に、統合に伴い必要となった校舎の建築が完成するまでの間、統合前の学校をそれぞれ1つの学校として教職員定数というものを算定するという特例措置がございます。こういったものによって定数措置という形での支援、助成といったものが行われているということでございます。
 それから、2点目の通学関係でございますけれども、スクールバス・ボートの購入費というものが1つ目でございます。僻地や人口の過疎現象地域における学校統合を行うような場合におきまして、スクールバスやボートの購入費というものを一部国が補助して、2分の1支援をしているということでございます。
 それから、2つ目でございますが、当然、人口の過疎現象に伴う学校統合といったことの中で、小・中学校の学校児童生徒における遠距離通学といったことが課題になるわけですが、そういったものの交通費の一部を負担しているというところで、2分の1補助をしているところでございます。
 それから、3点目でございますけれども、施設関係でございます。これは公立の小・中学校を適正規模に統合しようということを行う場合に、実際、校舎、屋内運動場といったものの新築、増築に対しまして補助をしているということでございます。具体的には、その下でございますけれども、原則は2分の1ずつなのでございますが、特に過疎、今回の場合、過疎地域のような場合についてかさ上げが10分の5.5という形で行われているということでございます。
 それから、最後でございますが、同じ施設関係の中で、これは支援措置というわけではなくて、手続の簡素化・弾力化という点でございますが、当然、学校統合に伴いまして、これまで使っていた校舎というものを廃校等の手続を踏まなければいけないわけですが、その廃校、転用に当たってこれまでの国庫補助事業、国の補助事業を行っていた場合に施設転用というのは大変難しいところがありましたけれども、20年度から例えば10年以上経過した建物を無償で転用、貸与、譲渡するような場合につきましては、大臣への報告で足りるようになりました。こういった、これだけではございませんけれども、そういった手続面の簡素化というのをもっていろいろ支援措置を講じているところでございます。
 それから、後ほど今年度につきましての概算要求等含めて、この助成制度につきまして取り組んでいる、もしくは文科省として今取り組みつつあるものにつきまして、財務課のほうから少しご紹介させていただきますが、次に資料5といたしまして、引き続きご紹介をさせていただきます。資料5につきましては、学校の適正配置に関しましての、これまでのいろいろとご議論、それから、ヒアリング等を踏まえまして、今後ご検討いただくに当たっての視点や観点というものを少し我々のほうで整理させていただいたものでございます。こういったものも少しご参考にしていただきながらご検討いただければということで、4点ほどここに整理をしてございます。
 まず、1点目でございますけれども、現在、こういった適正配置を検討する背景や意義といったことについてどう考えるかという視点でございます。そこにございますとおり、ここ数年はまだ緩やかな減少でございますけれども、今後、少子化というものが急激にそれ以後進んでいくことも予想される中で、子どもたちの生きる力といったものをいかに学校が育んでいくかということから、学校の適正配置というものを現段階でどう考えるかという整理になるわけでございますが、検討するに当たっては、これも会議でもお話が出てございましたけれども、施設の老朽化でございますとか、あと交通環境というものが従前に比べて整備され、交通手段というものが多様化してきたというところ、それから、ここ最近の市町村合併といった問題、こういったそれぞれのファクターを踏まえながら、昭和31年というのは、これは1回目の会議でご紹介させていただきましたけれども、昭和31年当時の中教審の答申を踏まえまして、当時の考え方を整理してご通知を出しているわけでございますが、その中で当時の考え方と、こういったバックグラウンドが変わってきているということを今日的にどう考えるかということでございます。そういった視点を1点目として少し入れさせていただいてございます。
 それから、2点目といたしましては、そういった背景や意義というものを踏まえながら、適正規模や通学に関しましての現在の標準、これが先ほどの通知の具体的な内容であったわけでございますが、具体的にはそこの例のところに2つお示しをしてございます。
 適正規模に関しましては12学級から18学級ということに現状なっているわけでございますが、こういった標準というものを例えば子どもの多様な活動や社会性の涵養といったこと、それから、教員の組織の観点からどういうふうに考えるか。それから、実際の市町村の学校統合ということについての考え方から見て、こういった標準というものを今日的にどう考えるかということが1点目でございます。これも既に市町村からのヒアリングでございますとか、葉養先生のほうのご調査の結果もこの会議においていろいろとご紹介をさせていただきましたので、机上のほうにそういった過去の資料、データのほうもお配りしてございますので、そういったものも少しご参照いただきながらご検討いただければと思います。
 それから、2つ目でございますが、これは通学距離の問題でございますけれども、小学校の場合4キロメートル以内、中学校の場合6キロメートル以内ということで、子どもたちの心身の負担でございますとか安全面という観点から、今日的にこの標準というものをどう考えるかという視点でございます。こちらも学芸大の朝倉先生のほうに2回目の会議の際に少し子どものストレスと通学環境ということでご発表、データのほうをいただきましたけれども、そういったものも少し意識しながら、こちらのデータのほうも机上に前の資料としてお配りしてございますが、ご参照いただきながらご検討いただければということでございます。
 その際に委員の先生方からもご意見が出ましたし、朝倉先生のデータの中にもございましたけれども、バス通学等、通学手段というのはかなり多様化してきていて、子どもの負担の観点から距離だけではなく、例えば時間という概念でおおむね1時間以内といったことを少し検討してみるということもあっていいのではないかというお話もございましたので、そういった話をここの3点目の黒ポチのところには入れてございます。それが2点目まででございます。
 それから、大きく分けて3点目でございますけれども、実際に標準に満たない場合の、標準というのは先ほどの12学級や18学級ということでございますが、場合におきまして教育条件向上という観点から特に克服しなければいけない課題というものをどうとらえていくかということでございます。実際に適正規模というものを下回る学校というのも多くあるわけでございますけれども、こういった学校における、先ほどご紹介させていただいたメリットやデメリットというものを教育条件という観点からどういうふうに着目、整理するべきなのかということで、若干の例としてそこにお示ししてございます。
 これは小学校や中学校によっても整理の仕方というのは当然違ってくるわけでございますけれども、複式学級の解消でございますとか、免許外指導の解消、それから、クラス替えができるかできないかといった視点、部活動やクラブ活動の充実といったことを例として挙げてございます。これ以外にも切磋琢磨が少ないといった点ですとか、組織的、勤務的な集団づくりができないという小規模校ゆえのなかなか難しさ、課題といったものも先ほどのメリット、デメリットの中にあったわけですが、こういった点についてどういうふうに整理をするかということが1つの観点になってくるかと思ってございます。こういった点を少しご検討の視点とお考えいただければということで3点目として入れてございます。
 それから、おめくりいただきまして最後の視点でございます。実際、そういった課題というものをとらまえながら、標準に満たない場合であっても、やはり適正配置というものを進めることが難しいというような状況というのは当然あり得るわけでございまして、そういった場合、そうした状況や置かれている位置づけといったものについて、どういうふうに考え、そしてそれに対してどういうふうに克服するために取り組むべきかといったことが1つ論点となってくるかと思います。その際にどういったことが課題として考えられるか、困難である状況として想定できるかということで、状況の例ということで幾つか示してございます。
 この整理の仕方は、例えば上から3つ目までがおよそ地理的や物理的な要因に整理できるのではないか。それから、真ん中の2つでございますけれども、これが人間の意識にかかわる部分ではないか。最後がその他ということで、予算や活用方法といった点で挙げてございますが、少し見ていきますと、状況の例といたしまして、まず同一市町村内に既に小学校もしくは中学校が1校しかないといったような状況ということが1つ、こういう特異な状況として整理をする必要があるのではないか。それから、2点目でございますが、これは主に都市部の非常に将来推計が難しいような場合だと思いますけれども、再開発等によって人口変動が繰り返される可能性があるというような場合なども特異な事例ではないかと思ってございます。
 それから、地理上、気象上、安定的に通学可能な範囲にほかの小学校や中学校がないといったような事例、これは1点目とかなり近いものがございますけれども、そういった地理的、物理的な状況があるような場合どう考えるのか。
 それから、次でございますが、通学距離や時間、負担や安全といったものをどう考えるか。そういったものに対して、特に親御さんの立場で非常に不安になられるということも整理の中で、これまでのご意見の中で出てまいりました。そういった点をどうするか。通学距離、時間、負担、安全への不安が大きい場合どう考えるか。
 それから、学校が持つ地域の文化や社会の拠点としての性格から地域住民の方々の理解を得るという点が大変難しいというような場合、こういった点も1つ観点整理していく必要があるのではないかということで入れてございます。それがどちらかというと意識にかかわる部分、考え方にかかわる部分ということになろうかと思います。
 それから、最後の3つでございますけれども、統合しても、先ほど3点目にございました教育条件といったような部分があまり変わらない、統合前と統合後でそれほど状況が変わらないような場合、統合してもなかなかそういった点を克服できないような場合、じゃあ、どう考えるのかといったような観点、視点があるかと思います。
 それから、次でございますが、統合に必要な施設や費用等が不足している。財政的になかなか厳しいという状況、これも大変お聞きするわけでございますけれども、そういった場合にほかに手当てがあるのかどうかということを含めて、どう考えるかということでございます。
 それから、最後に、解体や跡地利用の方法等について決まらない。要するに実際にその統合の結果、そういった地域との関係も含めて当該施設や当該土地というものをどういうふうに利活用していくかということについてなかなか方針を決め切れないような場合というのもお聞きするところがございます。こういったところについてどう整理をしていくかというようなこと。
 そういったことで、これはすべてではございません、網羅的なものではございませんけれども、特にヒアリングや、あとこの場でのご意見、先生方から出たご意見というものを少し整理していく中で、実際に統合、適正配置を進めていくことでもやはり困難な状況、観点というのは幾つかこういう事例として挙げていただいたところでございまして、こういった点についての実情というものを踏まえながらどう整理していくかということについても少し検討の視座となるのではないかということで4点目として整理をしているところでございます。
 私からは簡単でございますが、以上でございますが、あと3点目にご説明申し上げました財政支援、助成制度について若干財務課の勝山室長のほうから補足をお願いできればと思います。

【小川主査】
 では、よろしくお願いします。

【勝山教育財政室長】
 財務課教育財政室の勝山でございます。資料4-2につきまして若干補足の説明をさせていただきたいと思います。
 まず、教職員定数の関係でございますが、このうち小学校が最長5年間、中学校2年間の教職員定数の激変緩和措置というのがございますが、この小学校の場合の激変緩和措置は統合後の初年次が前年度と同様に10割の教職員定数を保障しようというものでございます。次年次以降2割ずつ教職員定数が減ってまいりまして、つまり、10割、8割、6割、4割、2割という形で激変緩和措置をとっているというものでございます。中学校は10割、5割という2年間の措置でございます。
 (2)の通学関係でございますが、近年、この②の遠距離通学へのご要望が非常に高いということがございまして、今年度、1億7,100万円の予算措置をとっておりますが、来年度の概算要求におきましては2,700万円増の1億9,800万円ということで要求をいたしております。この結果は年末の予算編成のときに決まるわけでございます。
 (3)の施設関係でございますが、今回、施設関係につきましては、この統合の部分も含めまして大幅な概算要求をいたしております。今年度、1,051億円の予算措置でございますが、21年度の要求は1,801億円ということでございまして、750億円増の要求をいたしております。この中で施設関係では運用の拡大というものを財政当局へ要望をしているところでございます。この結果につきましても年末はっきりするわけでございます。また、この施設関係の②の財産処分手続の関係でございますが、先ほど説明があったほかに、さらなる緩和措置ができないかどうかということを今後検討していきます。
 さらには、このペーパーにはございませんが、学校を設置している市町村に対してどういう援助を行っているかということにつきまして1点触れておきたいと思いますが、学校の運営費というものがございます。学校の運営費につきましては、このペーパーに掲げられている予算措置ではございませんで、地方交付税による措置ということになってございます。現在、小学校、中学校とも学校経費と学級経費、さらには児童生徒経費という3本立てで地方交付税措置がなされておりまして、これにつきましても教職員定数の激変緩和措置と同様に最長5年間の激変緩和措置がなされてございます。したがいまして、学校が統合になりましても、直ちに学校運営費がゼロになるということではございません。
 以上、私のほうから補足説明をさせていただきました。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 基本的には今の資料の説明に基づいて、主に資料5の「学校の適正配置に関する考え方(論点例)」、この資料をベースにして、今日は残りの時間があまりないのですけれども、次回から本格的な意見交換、審議に入っていくということになりますが、残り25分程度で、今の事務局からの説明について、何かまず最初にご質問等々がございましたら受けつけたいと思います。その後に少し意見交換に入っていきたいと思います。中西委員からどうぞ。

【中西委員】
 ありがとうございます。質問というか、確認なのですけれども、資料4-2の(3)の適正規模にするための統合の場合の助成の話なのですが、これはつまり、定義する適正規模が変われば、そのことによって補助する額が増えることに自動的になるわけなのでしょうか、その辺を。

【小川主査】
 よろしくお願いします。

【岡施設助成課課長補佐】
 施設助成課の岡と申します。
 まず、適正な規模というのが、一応、今現在、12から18学級ということで義務教育諸学校施設費国庫負担法の施行令で規定されているのですが、ただ、地域の事情等によって、その12から18以外の部分についても補助はしているというところでございます。今ご質問がありました適正な規模によって補助の額が変わるかというお話ですけれども、規模によって額を変えているわけではなくて、実際、児童生徒の数ですとか、必要となる補助の面積等を勘案して補助をしているというところでございます。

【小川主査】
 中西委員、どうですか。

【中西委員】
 つまり、適正規模の定義を変えると適正規模にするための統合という、つまり、対象が増えるかという、そういう質問です。

【岡施設助成課課長補佐】
 そうです。今現在、12から18ということで適正な規模をまず決めておりますので、それを変えるかどうかというようなお話になってくると思うのですけれども、それが変わればまた対象は変わっていくということにはなると思います。

【中西委員】
 現実にその統合される例というのは、現状はこの適正規模にするための統合というのは多いわけですか。

【岡施設助成課課長補佐】
 現実はそれに該当するものについて補助をしているということ。

【中西委員】
 いや、つまり、現状は適正規模にするための統合というのがほとんどなのですか。そういうデータはお持ちですか。つまり、適正規模にならないけれども統合する例というのもあるわけですか。

【岡施設助成課課長補佐】
 それは実情としてはあると思います。具体的なデータを今持っていないのですけれども。

【中西委員】
 でも、多くはこの規模にしようとして統合するわけですよね。ではないですか。

【岡施設助成課課長補佐】
 基本的にはこの規模を目指してという形です。

【中西委員】
 ありがとうございます。

【小川主査】
 よろしいですか。国の財政支援等々というのは、おそらく今後の議論にもかかわることですので、もしも資料4-2のところで何かご質問等々があれば。
 私のほうから1点、勝山室長に質問なのですけれども、先ほどの説明の中で(3)の施設関係で、さらに財産処分手続のさらなる簡素化・弾力化の説明の中で、さらなる緩和措置の検討を進めるというふうにご説明があったのですけれども、もしよろしければ可能な範囲で構いませんので、どういうふうな具体的なさらなる緩和措置を検討されているのかというのをご説明いただけますか。

【勝山教育財政室長】
 隣の岡補佐も今の時点ではちょっと申し上げる段階ではないというふうに思いますので。

【小川主査】
 すみません、わかりました。一応、そういうことも頭の中に入れておきながら、国の支援の問題等々についてはこれから議論していきたいと思います。
 他にどうでしょうか。では、角田委員、どうぞ。

【角田副主査】
 大変悩ましい問題なのですが、実は地方交付税の問題なんですね。結局、今のお話の中で地方交付税で、例えば学校運営費の問題も、学校と学級と児童とというふうな対象で運営費交付金を確保するように地方交付税の中に入れてありますよと。しかし、それは地方交付税の性格からすれば、それぞれの地方が、自治体が考えて運用していいわけですから、文科省が予定しているものとは違った形で使われてしまう、あるいは額が少なくなってしまうということが今のような経済状態の場合に往々にしてある。
 先ほど国の指導・助言・援助という、こういう項目があったのですけれども、それに対して適切に使われていない――まあ、これはどの辺が適切なのかわからないのですが、そういうものに対する指導・助言・援助、あるいは特に指導という、今回、この地教業法の中でも国と地方の役割分担ということがかなり言われるようになって、国からもある程度きちっとしたことが言えるようになりますよと。これは地方自治体からは反発はあるだろうと思いますが、その辺のことについては何か文科省としてお考えがあればお聞かせいただければと思います。

【小川主査】
 これはどなたが。では、勝山室長のほうに。

【勝山教育財政室長】
 今、ご指摘がございましたように、地方交付税はいわゆる一般財源でございまして、積算はなされていても、それをどういうふうに使うかは各地方自治体の自由ということになってございます。ただ、私どもはせっかく地方交付税の積算の中に教材費ですとか、あるいは図書費ですとか、そういった名目で積算がなされておりますので、この部分につきましてはぜひとも教育に使っていただきたいということで各自治体にお願いをしているというのが実態でございます。
 それと、どの自治体も今現在、財政状況が非常に厳しい状況でございますので、私どもとしましては、より一層、こういうものが積算されていますよという情報提供に今努めているところでございます。

【小川主査】
 よろしいですか。では、質問のほうはそれでよろしいでしょうか。それで、今日から、今までのヒアリング等も踏まえまして論点整理、そして報告のまとめに向けて審議を進めていくわけですけれども、資料5に出ております学校の適正配置以外に学校選択制及び学校運営協議会等のテーマもあるわけですが、今日は時間の関係もありますので、学校の適正配置に関する考え方にかかわる論点例としてこれからの議論のたたき台を今日事務局で整理してご提案いただきました。
 残された時間で、ご提案いただいたこの学校適正配置に関する論点の整理の仕方はこういう形でいいのか、また、各論点の中で例示ということで個別的な検討すべき課題が記載されていますが、それらの内容についてもご意見もあろうかと思いますので、今日はそういうふうなところをざっくばらんに各委員のほうからご意見を出していただいて、次回以降に本格的な意見交換、審議を進めていきたいと思います。
 残り15分程度ですけれども、そういうことで今日は進めさせてください。どなたからでも構いません、どうぞご自由にご意見をお出しいただければと思います。どうでしょうか。葉養先生のほうも何かございましたら、ご遠慮なさらないでどうぞ。

【葉養国立教育政策研究所部長】
 おそらく1つのポイントは、跡地利用と絡めて統合をどういうふうに考えていくかということだろうと思うんですね。つまり、統合というのは、東京都内で進行しても、郡部で進行してもやはり地域社会とのつながりにある種の痛みを与えるわけですから、それがかなり大きな問題なんですよね。混乱のもとになるようなところであって、そのときに結局、地区計画とか地域計画という枠組みの中で、コミュニティ施設として転用できる道が開かれていると、わりあい順調に進んでいるケースもあるんですね。
 だから、跡地利用に関連した、場合によっては財政補助とか、まあ、普通財政になってしまうものだから、教育財産から普通財産に廃校にしますとなりますので、所管がちょっと違ってしまうという問題があるんだけれども、そこら辺の何か補助の道筋があるかないかという、そこら辺のことは1つ課題として考えるべきかなと思っております。
 それからもう一つ、意見でよろしいんですか。

【小川主査】
 どうぞ。

【葉養国立教育政策研究所部長】
 もう一つは市町村合併が進行していったときに、同一市町村内において既に小学校もしくは中学校が1つしかない場合って、この(4)の論点整理の箇所にもかかわるのですけれども、しかし、結局、合併すると旧村には学校が1つもなくなったけれども、形の上では合併したから学校があるという状態になる面もあると思うんですね。だから、そこら辺の関係を多分フォローするために3つ目が出ているのだろうと思うんですよね。地理等で安定的に通学可能な範囲に他の小学校もしくは中学校がない場合って、これで絡めて考えようとしているのだろうと思うのですけれども、しかし、おそらくここら辺が該当するのは面的にかなり、どこの町とか村も児童生徒数が落ち込んでいる。
 つまり、1つの自治体だけが落ち込んでいるのではなくて、隣接する町村にワーッと児童生徒数が落ち込んでいるような自治体のことをおそらく想定しながら考えなければいけないのだろうと思うのですけれども、だから、これは例えば稚内の南部のほうとか、あるいは長野県の下伊那とか、そういう典型的なところがあるわけですけれども、そういう場合に学校を残すという選択をすることと、学校設置基準の問題とか、つまり、学校設置基準というのがあって、だから、子ども数が3人しかいない小学校とか、それを配置の問題もあって残さざるを得ないという、そこら辺の何か枠組みみたいなものを検討する必要があるのかないのか。
 つまり、過疎地を結構回っていますけれども、非常にもったいない廃校というのがあるんですね。現実に築6年で廃校になってしまったとか、そういうのが結構あるわけです。それは過疎地域対策の補助金が入っているし、それから、義務教育費国庫負担法の補助金が入っているし、いろいろな財源から学校施設にお金が流れているということがあって、おそらくかなりいい学校、東京などから見るとすごい恵まれた学校だなというのが結構あるんですけれども、だから、それが築6年とか、10年に満たないところで廃校になってしまうという事態がある背景を考えていると、かといって、じゃあ、残すということになれば、子ども数2人になるまで、1人になるまで我慢するのかという。
 だから、そこら辺の何かジレンマを乗り越えるための知恵を出すときに、何か学校というコンセプトまで含めて検討する必要があるのかないのかとか、単なる運用だけで果たして乗り越えられるかどうかという辺りも検討していただければと思うのですけれども、非常に厳しい状況の地域というのがありますので、そんなに数は多くない。私どもが研究所のほうで試算すると、小学校の場合に4キロという上限を仮に設定した場合に、それを超える自治体のパーセンテージを見ると大体22%ぐらいなんですね、小学校の段階。中学校も大体そんなものだろうと思うんです。
 だから、まあ、お金がどのくらいかかるかということも含めて、そういう非常に厳しい状況にあるところも現実あるので、そこら辺の義務教育保障の在り方を全般的に制度設計としても考えていくようなところまでやっていただけるとありがたいというのが意見でございます。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 では、先ほど手が挙がっていた加藤委員。その後、山重委員、松川委員の順でいきたいと思います。

【加藤委員】
 今後、学校の適正配置に関しては具体的に話を進める上で、町中の歴史のある学校と、それから、沿岸、山間地域のそれなりの歴史のある学校と、それから、新興住宅地を切り開いて突然できて、人口のピークを迎えて急激に少人数化している、この3つに分けられると思うのですけれども、そのうちの最後の部分、沿岸、山間地域の統廃合に関しましては、その統廃合のいわゆる手法が見つからないというのが現実だと思うんです。あるべき規模を示してもなかなか具体的なアクションにならないとすると、子どもたちにとっては、どういう結果が出ても不利益変更にしかならないわけですから、そういうふうにならないように何とかいいメッセージを出したいなと思います。
 前回、和歌山県でしたか、教員の先生方の中に、大規模校では実力が発揮できませんが、そういう先生が小さい学校では活躍できるのではないかなというような趣旨のご発言がありましたけれども、それは非常に問題なので、それは先生の資質の問題ですから、子どもたちにとっては、そういう教員の配置まで不利益をこうむるようなことのないように十分配慮して、何が適正で、何がいい配置なのかというのを皆さんのお知恵をかりていきたいなとは思っています。具体的に地方の少人数の学校が一番問題になるんだろうなと、そういうふうな意識ではいます。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 では、山重委員、どうぞ。

【山重委員】
 私も今、加藤委員がおっしゃられたことに共感するところが多いのですが、どういうふうに具体的に適正配置を進めていくか、あるいは統廃合を進めていくかということを考えたときに、例えば同一市町村内において小学校もしくは中学校が1つしかないという場合には、内部ではどうしても解決できない問題ですので、やっぱり広域的な対応が必要だと思うんです。
 その意味で、前回のヒアリングであった和歌山県の取り組みというのは、1つの大きなきっかけになるような気がするんですね。そういう意味では、どういうふうに進めるかということで都道府県の役割について、特に過疎地のことを考えているのですけれども、都道府県の役割について、それから、都道府県にはどうもインセンティブがないようなので、都道府県の取り組みを支援する国の役割みたいなものについて少し考えられると、具体的な進み方に影響が出てくるのではないかと思っています。
 特に何か前回のケースだと、都道府県内の適正規模、小学校の統廃合に関する研究プロジェクトみたいなのが始まりになっていて、それで実際調べてみる中で、県内の市町村の状況を調べていくと、もう少しこういうことができるのではないかという話になっていったというようなことを私は記憶しているのですけれども、そういう取り組みを例えば国で支援されると、それが都道府県内における統廃合、あるいは適正配置を進めるきっかけになるのかな、そういう財政支援もあり得るのかなということで、これも少し検討課題にさせていただければいいかなと思いました。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 では、松川委員、どうぞ。

【松川委員】
 大小いろいろあるのですが、3点ほど述べさせていただきたいと思います。昭和31年から50年以上たっているわけですけれども、人口減というのがこの間減っているわけですけれども、この先を見てもかなり減ることが予想されていて、例えば私のところは岐阜県ですけれども、この後、30年以内に小・中学生の数が半減するという推計が出ているわけです。この適正規模を考える場合にやはり人口の動態ということについて、今後20年、30年の間にかなり減ることが予想されるわけですので、そういうことをかなりきちんと考えた上で、この適正規模というのを考えていく必要があるだろうなということが第1点でございます。
 それから、前回、和歌山県の報告があったようでございますけれども、岐阜県でも同様でして、やはり同一の県内の中でも都市部に人口が集中している。郡部の中でもその中の中核都市に人口が集中してくるという傾向はとまらないわけでして、そういう中では標準という考え方をとる以上、ダブルスタンダードというのはいかがなものかということはありますけれども、全域を同じ標準で考えるということは、今現在でもその基準に満たないところの数が非常に多いような標準なわけでして、やはり都市部と郡部というのを同じ標準で考えていくということ自体にかなり無理があるのではないかという考えを持っております。ということが大きく2点でございます。
 それから、3点目は、いつかの会のときに申し上げたと思うのですけれども、ちょっとマイナーな問題かもしれませんけれども、現在、人口がかなり減っているにもかかわらず、障害のあるお子さんというのが非常に増えていて、特別支援学級というのが全国的にも増えているわけです。この学校の適正配置というのを考えた場合に、非常に山間部の僻地でも障害のあるお子さんというのがいるわけでして、特別支援学級の設置とか、それから、障害のあるお子さんに対する特別支援学校もそうですけれども、そういう問題というのはやっぱり微妙にかかわってくることがありますので、そういうことも論点のどこかのところに加えていただけたらありがたいと思います。
 以上でございます。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 いずれも非常に重要な論点ないしは指摘だったと思います。他にはどうでしょうか。髙岡委員。他には、では、貞広委員の順で最後締めたいと思います。ごめんなさい。あと中西さんですね。わかりました。すみません。

【髙岡委員】
 ありがとうございます。私は、今の時点でこの問題をこういうふうに考えるという結論を持っているわけではありませんので、ある意味で次回以降の議論に私自身がついていくための論点整理のところがあるのですが、1つは、この作業部会に加えていただいた最初のときからずっと感じていた問題なのですが、学校の適正配置というものが昭和30年代に制度化され通知が出され、市町村も都道府県もそれを横目に見ながら自分のところの学校配置を考えてきたと。いわば中央集権的な全国一律規格ということで制度が運用されてきた。
 そのことに今の松川先生のお話、私、なるほどと思って伺ったのですけれども、そろそろ違う枠組みというんですか、実際のところが一国二制度みたいな感じになっているので、その違う枠組みとして物を考えるということが必要ではないかなということを感じています。したがって、適正配置が全国一律の数字として出てくる場合に、それに達せない場合には条件が悪いんだという説明の仕方ではなくて、別の条件で、こういう学校についてどう手当てするかという論点が要るのではないかなと思うんですね。
 もう一つの問題は、そのこととかかわっているのですけれども、やはり適正配置であれ、先ほどお話のあった学校選択制であれ、制度を動かしていくときというのは、大抵教育の問題を1つの夢として語るわけですね。しかし、あまりうまくいかないと、今度は逆の夢があるので、別の夢に乗りかえて、こっちからこう考えると別の夢が出てくるではないかという議論になってくる。それが教育を考えるときに非常に大きな問題性の1つなんだろうと思うんです。
 ですから――ですからというより、むしろ、にもかかわらず、この適正配置の最終的なこの作業部会としての結論を出していただく際には、そこにあえて難しさを踏まえながら、やっぱり夢のある適正配置の答えの出し方、つまり、状況がここに満たないところについては目をつぶるとか、標準はこうなんだからそれでやっていけないところは放っておきましょうかという議論ではない、何か夢をちゃんと語れるような、この配置論になってほしいなと思っています。
 以上です。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 では、貞広委員、よろしくお願いします。

【貞広委員】
 今、髙岡委員がおっしゃったこととかなり重なる部分なのですが、適正配置や適正規模化といっても、スタンダードと一般に言う数に象徴されることだけを示すわけではないと思うんですね。例えば小規模校、大規模校の各々のメリット、デメリット、今日書き分けられていましたけれども、デメリットがあるとするならば、各々を補完するようなサポートを行うことが適正配置、適正規模化であるというような考え方もあろうかと思います。そういう観点から考えると、もちろん国の財政支援ということを考えると、数ということからは逃れられないのですが、考え方としてスタンダード自体を集中的に考えていくというよりも、そこから外れる地域への知恵やサポートを我々がどれだけ提供できるかという部分が重要になってくるのではないか。ぜひそういう論点を加えていただければなと思います。

【小川主査】
 では、最後、中西委員、どうぞ。

【中西委員】
 一言だけなのですけれども、先ほどからのお話を伺っていて印象なのですけれども、適正という言葉自体がもしかしたら議論しなければいけないことなのかなということを思いましたので、それも少し次回以降、覚えておいていただけるとありがたいです。

【小川主査】
 わかりました。
 短時間でしたけれども、根本的な問題提起を含めて非常に重要な視点、論点を提案していただきました。今日のたたき台に、今出てきたような論点もさらにつけ加えて次回以降から本格的に議論を進めていきたいと思います。よろしくお願いします。
 では、最後に、次回を含めて事務局のほうから今後の予定をよろしくお願いします。

【佐藤教育制度改革室長】
 ありがとうございました。それでは、次回の作業部会の日程でございますけれども、先生方のご日程の調整をさせていただきまして、現在、12月11日の木曜日、15時半から17時半ということで考えさせていただいてございます。場所等、詳細が決まりましたら改めてご連絡を申し上げます。よろしくお願い申し上げます。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 では、これで今日の議事はすべて終わりました。これで終わります。

─ 了 ─

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