小・中学校の設置・運営の在り方等に関する作業部会(第7回) 議事録

1.日時

平成20年11月14日(金曜日)10時~12時

2.場所

中央合同庁舎第7号館(文部科学省)東館3階 1特別会議室

3.議題

  1. 地方自治体からの学校の適正配置に関するヒアリング ・和歌山県教育委員会
  2. その他

4.議事録

【小川主査】
 おはようございます。定刻少し遅れましたけれども、ただいまから第7回の作業部会を開催したいと思います。
 お忙しい中、ご出席いただきまして、本当にありがとうございました。
 まず、会議を始めるに当たって、少しちょっとこちらのほうからもう一度ご報告とお詫び方々ちょっとお話しさせていただきたいと思うんですけど、今回の会議は前回の会議の開催からおよそ2カ月半ぐらい時間が経ってしまいました。本来であればもう少し早く今作業を進めている中間まとめ案を皆さんのほうに提示して、もう少し早く会議を開いてご審議いただく予定だったんですけれども、1つはやはり中間まとめのやっぱりまとめに関わって下準備がいろいろありまして、それに少し手間がとられているということと、もう一つは、文部科学省が全国の自治体の実態をきちっと把握したいということで、実は、全国自治体に対する調査を進めていまして、今ほぼそれが回収されて集計・分析をしている段階ですので、できればその中間まとめ案のたたき台を提出する際、その調査のデータもきちっとまとめた形で皆さんに提示したいという、そういうこともありまして、この間ちょっと会議を開催することにちょっと手間取ってしまいまして今日に至りました。
 この後にまた事務局のほうからもその辺の経緯についてはご説明があるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、これから審議に入っていきたいと思いますけれども、まず最初に、今日使用します配付資料についての確認を事務局からお願いいたします。

【佐藤教育制度改革室長】
 失礼いたします。
 今、主査のほうからお話しいただきましたけれども、大変この会議の開催までお時間があいてしまったことを深く我々のほうからお詫び申し上げます。
 今主査からおっしゃっていただいた内容に尽きるわけでございますけれども、今回の論点整理を年内に行うということに基づいて今現在進捗しているわけでございますが、その前提となる実態の把握というものもしっかりやはりするべきであろうということで、今、各関係の自治体等に対して実態の把握のための今調査をさせていただいているところでございます。こういったものにつきましても、あわせてこの論点整理に当たってはご検証いただくという作業もぜひ必要かと思ってございます。
 これにつきましてはまとまり次第すみやかに先生方にもお目通しをいただいてご審議をいただければと考えてございますので、またよろしくお願い申し上げます。
 あと、そのほか資料の確認等でございますが、その資料の確認の前に若干委員の異動がございまして、ここでご報告をさせていただきます。
 配付資料の中に委員の名簿の資料が資料1として入ってございますが、そちらもご参照いただければと存じますが、臨時委員として草野委員がお入りいただいてございましたけれども、10月15日付でご退任をされまして、港区の御成門中学校長、そして、全日本中学校長会の会長をお務めでいらっしゃいます壷内委員に、代わりにご就任いただいてございます。この場をお借りして、本日ご欠席でございますけれども、ご報告をさせていただければと存じます。
 資料のほうでございますが、議事次第のほうをお目通しを下さいませ。1枚目のほうの配付資料のところでございます。4.、資料1として委員の名簿、それから、資料2-1から2-4までが本日のメインとなります和歌山県の教育委員会のほうからご提出をいただいてございますこれからご説明いただく資料でございます。資料2-1が和歌山県における小・中学校の適正規模化の取り組み、資料2-2が公立小・中学校の適正規模化についての指針、資料2-3が和歌山県公立小・中学校の適正規模化支援補助金交付要綱、資料2-4が和歌山県公立小・中学校統廃合支援教員配置要綱でございます。
 そして、机上配付資料といたしまして、この和歌山県さんのほうの関係で義務教育に関して平成18年11月に「和歌山県の未来をひらく義務教育(報告)」というご報告を県としておまとめいただいてございます。この資料を机上配付資料としてお配りしてございますのと、それから、小・中学校の適正規模化に関する事例研究と、これは本年3月におまとめいただいてございますが、こちらのほうも机上配付資料としてお配りしてございます。あわせてご参照いただければと存じます。
 それから、資料3の部分でございますが、資料3-1から3-3までは前回の会議以降、学校選択制に関していろいろ見直し等に関する報道がなされてございます。特に東京都江東区、それから、群馬県前橋市というあたりを取り上げてございますので、その関係の資料をお時間の許す範囲で後ほどちょっとご紹介をさせていただきたいと存じまして、こういった資料を入れてございます。江東区の資料、前橋市の資料、あと、それに関する関連の報道に関する資料でございます。こういったものをご確認くださいませ。
 以上でございます。

【小川主査】
 資料のご確認、よろしいでしょうか。もしも不足の資料がありましたら、事務局のほうにお知らせいただければと思います。
 では、これから議事に入りたいと思います。
 今日は議事次第にあるとおり、自治体からのヒアリングを行いたいと思います。
 これまで学校の適正配置についてはいろんな取り組みをされている自治体からのヒアリングを行ってきましたけれども、今日は学校の適正配置といえば基本的には市区町村が中心に議論されるんですけれども、やはり国や都道府県の支援やそうした市町村の適正配置の課題に対するイニシアチブをやっぱり県がとるときに非常に重要な課題の一つかなと思っています。
 本日はこうした点を踏まえまして、都道府県が学校の適正配置の課題に具体的にどう取り組んでいるのか、そして、また、取り組んできたのかというふうなことで、おそらく全国の都道府県の中でいち早く県として学校の適正配置についての対応と基本計画を準備されていろいろな成果を上げてきている和歌山県かと思いますけれども、今日はその和歌山県における学校の適正配置についての取り組みをご発表いただきたいと思います。
 およそ時間は1時間程度と予定していますけれども、今日机上配付の資料を見ておわかりのとおり、かなりいろんな資料に基づいての発表を今日ご準備いただいておりますので、多少時間がオーバーしても構わないと思いますので、今日は三、四十分ぐらいでご報告いただいて、残りの時間を少し調整しながら審議の時間に当てたいと思っております。よろしくお願いします。
 それでは、今日は和歌山県教育庁から、学校教育局小中学校課の田村光穂副課長と岩橋光代指導主事がいらしていますので、お二人から発表をよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。

【田村副課長】
 皆さん、どうもおはようございます。今、小川先生のほうからご紹介いただきました和歌山県教育委員会の田村でございます。本日はこのような場にお招きいただきまして、まずもってお礼申し上げたいと思います。
 今回、私どもにお話をいただきましたのは、今お話もありましたように、都道府県として県単位で小・中学校の適正規模化にどのような取り組みをしているのかその具体的なこと、特に県として取り組んだその動機とかそのメリット、そういったものをどういうふうに考えられているのかといったことについてお話をいただきたいということでございました。
 十分そのご要望におこたえできる内容になるかどうかわかりませんけれども、お配りいたしました資料に基づきまして順次説明をさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、資料をめくって1枚目の資料、表紙をちょっとめくっていただきまして次の資料でございますが、まず和歌山県というのは一体どういうふうな県なのかということを少しお話をしたいと思います。
 和歌山県は私たちは国の事業などをいただくときに100分の1という話をよくします。つまり、面積におきましても人口におきましても日本のほぼ100分の1の規模のつまり1%県でございます。ですので、全国の中でも小さな自治体と申し上げてもいいのではないかなと思っております。
 ただ、自然は紀伊半島に位置しまして非常に恵まれた風土でございます。全体の約80%が森林というふうな山がちな地形ですけれども、それを生かした自然ですとか、あるいは、世界遺産登録もありまして、歴史、文化の面でも非常に全国から評価を受けているところでございますし。また、農業県として果樹栽培ではミカン、梅、カキなどは全国一の生産規模を誇る、そういった色合いもございます。
 この和歌山県は今回の平成の大合併が進む前までは50の市町村で構成をされておりましたが、現在は合併が進みまして30まで減少いたしました。ただ、30あるといいましても、人口階級別に見ますと10万以上の市というのは県内でただ一つ、県北にあります和歌山市、県庁所在地でございますが、和歌山市が37万人の中核市でございまして、ほぼ4割の人口がここに集中するという非常に人口分布では偏りがございます。市政をひいている町は9つしかございませんで、主に海岸線と紀北の紀ノ川という川が流れている紀ノ川筋にそれが集中しているというところでございます。
 次にめくっていただきまして、このような和歌山県の現状の中で、先ほど述べましたように約8割弱が山林であるということからもおわかりのように、いわゆる国の施策で行われます振興山村地域ですとか過疎地域というものは県土の約63%から67%を占めます。人口比では非常に少ない割合ではございます。人はあまり住んでいないいわゆる中山間地域の過疎化が非常に進んでいる県でございます。それが主に中央部の山間部から紀南地方、南のほうに非常に偏ってそれが分布するということで、県内ではやはり南北のいろいろな意味での格差というものが発生をしてくるという実情がございます。
 次の資料へ移りまして、それで、本県の児童生徒数と小・中学校数の推移でございます。これは昨年、平成19年度までの数字をあらわした資料をここに用意させていただきました。これも全国の動きと同じでございまして、昭和30年代の第1次ベビーブーム時代がピークでございまして、それ以後は第2次ベビーブームと言われる昭和50年代にピークがございますが、それから一方ずっと下り坂でどんどんと子どもたちの数が減ってきております。
 和歌山県は平成18年で出生数が8,000人、つまり1万人もとうに割り込みまして8,000人規模でしかないという状況であります。出生率が1.34ということで非常に子どもたちがどんどん地域や村から消えてきているという実情がございます。
 また、それに合わせて、これは小学校でございますけれども、学校数、学校の状況がどんどんと減少をしてまいりました。平成20年現在ではこの学校基本調査で307と出ていますが、実は学校基本調査は休校も含んでおりますので、いわゆるもう子どもはいない学校も実は含まれていますので、平成20年現在で休校を除きますと県内では281校しかもう小学校はございません。
 また、自治体はいわゆる今まで学校統合を進めてきても廃校にせずに休校措置をとることが多くございました。これはいわゆる交付税との関係で学校として存続すれば交付税の算定基礎に入るということでそういう措置をしていたんですが、総務省のほうからご指導があったようで、いわゆるもう将来的に回復の見込みがない休校措置の学校については廃止ということで少し廃校が進んだというのが近年のちょっと特徴的な部分、別の意味での特徴的部分かと思います。
 めくっていただきまして、次に、公立中学校のほうですが、これも同じように生徒数は第1次ベビーブーム、第2次ベビーブームで少しピークがありますが、減少をしてきております。平成20年現在でもそこにありますように休校を除いて136、中学校の休校はございませんので136校ということで現状がそうなってございます。
 次に行っていただきまして、市町村別に、では、これは平成19年度の数字でございますけれども、小・中学校がどのような状況にあるのかということですが、市町村によって非常にばらつきがございます。小学校の方をごらんいただきたいんですが、和歌山市は一番人口が集中している町でございますけれども、小学校が55校あります。約2万人の児童数を持つという規模になります。
 しかし、一方、一番下のほうにございます東牟婁郡の北山村というところは人口が580人ほどしかない村で、和歌山県の中でも飛び地であって非常に小さな村が合併から取り残されるような形で残ってしまいましたが、この北山村では学校は1つで子どもたちが17人しかいないという、そういう市町村もあります。
 ですから、市町村と一言で言っても非常に質的にも違うものがここに存在していると見ていただいてもいいかと思います。
 また、中学校のほうに目を移しますと、やはり一番多いのは和歌山市でありまして、19の学校に約1万人弱の生徒がいるということになります。次に多いのが西牟婁郡の田辺市、ここは平成の合併で広域合併をした非常に大きな面積を持つ市になりましたが、そのために、特徴が違うのは、和歌山市は非常に規模の大きな中学校がたくさんございます。一方、この田辺市は同じ16あっても非常に規模の小さな中学校をたくさん持つという、そういう意味でも少し性格の違う状況になっております。
 また、ここにはちょっと示しませんでしたが、いわゆるへき地校と言われるものがございます。県内には平成20年度で小学校でへき地校が49校、中学校が21校ございます。おおよそ約十六、七%はへき地校という形で認定をして教育を行っているという学校の状況になってございます。
 次の資料をごらんください。折れ線グラフのような資料でございますけれども、これはいわゆる学級数ごとの学校数を示したものでございます。ブルーが小学校、赤いのが中学校になります。
 これを見ていただいてもわかりますように、小学校では3つのピークがあります。つまり、学校規模としては12学級、つまり1学年2学級規模というのが一つのピークとして39校、そして、一番多いのは6学級という形でいわゆる単級と私どもは申し上げますけれども、各学年1学級しかない学校が82校と非常に多いのが本県の特徴です。そして、次のピークが3校、つまり、完全複式の形で行われているような学校が48校と多くなっていると、実は複式の割合も非常に高いのが和歌山県の特徴になってございます。
 中学校の方のピークはもう1つずば抜けて3学級、つまりこれは単級の中学校でございますが、これは全体の大体3分の1ぐらいがその49校という形でなってございます。次のピークはいわゆる学年2学級の6学級の学校で18校という程度であとは非常に少ない。その一方、いわゆる過大規模については、マンモス校と言われるような1,000人を超える学校はもう和歌山県には存在しませんが、800、900という学校は一部ございます。しかし、それは本当に特定の市町村に限られた問題として存在するということになってございます。
 大体これが和歌山県の学校や児童生徒数の状況としてまずご認識いただきたいと思います。
 それでは、これからいよいよ本論に移ってまいりたいと思いますが、3「小中学校の適正規模化の必要性」ということ、なぜ和歌山県がこういうことを考えてきたのかということをお話しさせていただきたいと思います。
 和歌山県は実は先ほど申し上げましたように非常に過疎化の進んだ県でございまして、厚生労働省の出している国立社会保障・人口問題研究所が人口推計を出したときに全国2位の人口減少率ということで知事をはじめ県が非常に震えがくるような数字が出てしまいました。1位が確か秋田県であったかと思いますが、それに次いで2位が和歌山県だということが明らかになりました。30年後には70万人の規模になってしまうという、これは非常に震撼とするような推計でありまして、知事も地域振興に非常に熱を今入れているところもここに関係してございます。こういうふうな中で、将来を見通したときに、和歌山県は非常に人口の少ない状況が生まれてくるということを覚悟しなければいけないということが一つございました。
 次に、学校の小規模化が非常に進んできているという現状です。特に先ほど申し上げましたように複式学級が増加してきているという問題です。平成20年度現在で小学校の複式学級は全部で177学級ございます。これは全学級数のおよそ8%ほどでございますが、これを学校数にしますと全部で78校が複式学級を持つ学校になってございます。これは和歌山県本県の学校の全体が300ほどでありますので、その割合の高さというものはそこからおのずと想像できるところでございます。ですので、非常に多くの学校が複式教育をさぜるを得ない実情があるということです。
 中学校の方はいろいろな配慮がありまして、現在4校だけが複式ということで一応は単式の学級が通常行われている現状にございます。
 しかし、これは各市町村にとって非常に大きな問題でございます。といいますのも、この複式学級が近年のいわゆる学力問題に関していろんな論争が社会問題化していく中で、保護者の方々は子どもたちの学力は大丈夫なのかということの懸念がだんだんと表面化してきたのが近年の一つの特徴であるのではないかなと思っています。
 いわゆる和歌山県ではよく直間という言葉を使いますが、直接指導と間接指導を1時間の中で同時並行で行うのが複式学級の特徴となっております。いわゆる一学年は先生が直接指導して前の黒板で授業していますと、もう一つの学年は後ろで子どもたちの中にリーダーをつくって、その子がイニシアチブをとりながら授業をして先生が間接的にアドバイスをするという授業をします。
 これはなかなかなテクニックと子どものやはり力量が必要になってくるわけでして、うまく運べばこれは非常に今日が目指す子どもの自立的な学習がつくられるという意味では理想的な姿がかいま見れるわけですけれども、しかし、その一方で、一つバランスが崩れますと学習効果が非常に落ちてしまう、それを保護者が非常に心配されるということであります。
 また、後ほども出てきますが、中学校になりますと複式なんかになると部活動の問題が非常に大きなネックになってくるということもありまして、何とか学力の問題、まして複式解消ということが大きな意見として地域から上がってきたのも近年の特徴であるかと思います。
 次に3点目としては、市町村における学校存続の財政的負担感というものが増してきているということです。これは戦後の生徒の急増期に建てた校舎の耐用年数の問題が一つはあるわけですけれども、それに加えて、近年耐震化ということが非常に取り沙汰されました。特に和歌山県は東南海・南海地震が近年にも発生するという可能性が非常に高いという指摘もある以上、急がなければならないと。県立学校は平成22年までにこの耐震化を完了するということで、非常に精力的に財政投資をして事業を進めていますが、市町村は遅々として進まない部分がある。
 特に財政基盤が非常に脆弱な市町村は手がつけられない状況でありまして、近年国のほうからも補助率を上げていただいたりいろいろな施策の後押しがありまして、ようやく重い腰を上げ始めた市町村もありますが、ただ、命にかかわる問題として首長さんにとっても非常に重要なもので、首長選挙のときにもこのことは非常に大きなテーマになってくるということで、そのときに数ある学校の耐震化を全部するということに対して非常にしんどいものがある。
 ならば、この機会に規模の適正化を図るということで集中的な財政投資をして、学習環境の改善も含めて取り組めないかという議論が上がってきたというのも近年の特徴的なことがございます。
 そして、もう一つは合併による新しいまちづくりの動きというものがございました。これは私たちも市町村でお話をするときに、合併問題があったときに学校統廃合はタブーでした。つまり、これを出すと合併そのものが壊れてしまう可能性があるということで非常にこのときは静観をされたところがほとんどでございました。
 しかし、合併を成していよいよ財政的な厳しいものがある、いわゆる総務省からいろんな三位一体改革が来て市町村としては何とかしなきゃいけないというときには、やはり学校統廃合に手をつけなければいけないという中で、新しいビジョンとしてこういう動きが少し高まってきたということがあるかと思います。
 この中で、じゃあ、県としての役割は一体何なのかということを私たちも自問いたしました。それは、よりよい学習環境の確保が一番であろうと。学力の問題、また、体力の向上という側面からもこのことをしっかり取り組まれて、学校の活力増強のために何らかこの学校の適正規模に県として踏み出さなければいけないんではないだろうか。市町村任せにしてしまうと、市町村としてはいろんな事情の中で、地域のしがらみとか財政問題の中で身動きがとれなくなってきているところがあると。それを県として何かアシストできないかということがありました。また、地方分権、市町村合併等の流れを踏まえて、ある意味で一ついい時期というんですか、そういうものであったということがあります。そして、市町村に対する具体的な助言や援助というものをやはり考えなきゃいけないだろうということがありました。
 この背景には、実は和歌山県は教育行政改革の中で平成16年度末で地方教育事務所を全廃いたしました。7つあった教育事務所を廃止して、いわゆる一極集中型に変えたということがございます。そういった中で、市町村との連携をどうするかということが県の行政としても大きなテーマであったということが背景にございます。
 また、2つ目には、文部科学省から小規模市町村教育委員会の広域化モデル事業というのが地方教育行政の見直していくための事業がございまして、平成15年から17年までの3年間、このモデル事業を私どもは受けまして、そして、市町村の教育委員会の行政の力をどう向上させるかということで、たくさんの市町村といろんな形の話し合いをしました。
 そのときに出てきた話は様々ございましたが、一つは指導主事の配置ということが大きな問題でございましたが、もう一つは、統合に対する考え方でした。つまり、学校統合していかなければいけないんだけれども、何も裏支えがない。国からは以前、昭和30年代にいろいろなものが出て、学校の適正規模も12から18とか、そういう数字が出てたりはしましたが、それ以後、なかなか国からもお話がない。何とか動きたいんだけれども、何を頼りに動いていいのかが分からない。そういったときに、県として何か後押しをしてくれないだろうかというのが複数の教育長さんからの具体的なご提案がございました。
 そういう中で、それではということで、当時の教育改革の流れの中で、義務教育ニュービジョン研究会議という有識者会議を平成17年に立ち上げました。それがお手元にお配りしたその青い冊子ですが、それが平成18年1月にその資料を発表いただくことができました。
 これは当時の中教審が義務教育国庫負担制度のことに対して非常に急ぎ足で中教審が開かれていたのと軌を一緒にしまして並行して行いました。そして、その流れを踏まえながら、県独自に適正規模の問題についても内容として入れて議論をしたということになります。
 そして、その中でその冊子の14ページのところに書かれているわけですが、そのレジュメにありますように、本県独自の適正規模基準というものを出すというお考えをいただいたわけでございます。
 これは結果的にはいろいろ総合的に分析をして出しました。当時、こういうことについて都道府県で踏み込んでいたのはたしか広島県が全国調査をしたり、あと、高知県や三重県が同じようなことをしていたんですが、そのような県といろいろな連絡をして話をする中でも、県でこういう数字を出すことについてはやはり越権行為ではないだろうかと。つまり、設置者がこういうことを論議するのはいいだろう、あるいは、国がナショナルミニマムとしてそういうことをいろいろ考えていくことは大事かもしれないが、間にある県がこういうことを目指すのは少しどうだろうかというようなお話も伺いました。
 しかし、やはり何か目安が欲しいという市町村からの言葉を受けまして、私どもは小学校で国と同じ12学級から18学級が適正だろうと、このときには一番大きかったのはクラス替えができるということが一つ大きな問題でございました。
 中学校については国の12学級から18学級よりも少し下へ落としまして、本県としての、小規模が多いということもありますので9学級となりました。ここにはいわゆる標準法がありまして、教員の定数がどのように読み取るかということから学級の規模で奇数学級というのは非常に不利な部分がございまして、偶数のほうが学校運営しやすいというような声もあったんですけれども、本県の実情に応じて9学級という数字を出して示しました。
 このときに、小規模についてのメリット・デメリットというのをその報告の中にもまとめておりますが、かいつまんで申し上げますと、メリットとしてはきめ細かな指導ができる、あるいは、子どもたちの参加意識、学習への参加意識を高めることができるということがありましたが、むしろデメリットのほうが非常に多く意見が出てまいりました。
 人間関係がうまくいってる間はいいが、一つ壊れてしまうといわゆる9年間ともにその集団だけで過ごさなければいけないということの問題、あるいは、自治活動といわれる生徒会、児童会などの活動が非常に低調になること。あるいは、競い合いの気持ちがない、あるいは、高校へ進学するときに大きな集団の中に飲み込まれて自分を出せないことにぶつかっている。あるいは、部活動ができないことで子どもたちがやはり自分を活かせる場が減少してきていると。そういうふうなことが出てきて、何らかの解決をしなければいけないだろう。
 その中で、やはり学校の活力を保つためには適正な規模が必要であろうというのがこの会議からいただいたご意見でございました。
 次に、資料のほうへ移りまして、学校の統廃合の必要性というものについてでございますが、とりあえず、まず積極的に取り組む観点として5つの観点をご提示いただきました。
 1つは、小規模な中学校の統合をまずしよう。つまり、これは小学校よりも中学校。やはり小学校というのは歴史が古くて、そして、昔地域の方々の篤志家がたくさんの寄附をして学校をつくってきた経緯があります。京都なんかはかまど金などといった話をよく伺いましたけれども、そういうふうな形がありますので、非常に密着度が高いわけですね。ですから、非常に手をつけにくい部分があるだろうし、やはりこれも発達段階もございます。
 しかし、その一方、中学校の発達段階になれば、かなり遠距離の通学をしても体力的にももつだろうし、それに、何よりも社会性が育ったり、あるいは、多様な学習形態で学力向上になる、部活動もできる、そういうようなことで、まず中学校の統合。
 そして、2つ目が複式学級の解消。3点目が、分校というのが本県にも少しございますので、分校を本校へ統合するということはまずやってはどうか。そして、4点目には、都市中心部の小規模校の統合ということ、これは都市の空洞化の中で、中心部の空洞化の中でぜひ進めるべきだろうと。
 そして、5点目に、統合しても適正規模にならないケースがございます。つまり、統合したって適正規模の学級が維持できない統合というのはたくさんできてくるわけなんですが、1学級20人規模というもの、これが維持できるという、これは何も科学的裏づけがあるわけじゃないですが、たくさんの市町村や校長先生方とのヒアリングの中で一定経験則で20人規模という数字が出てまいりました。ですので、このような20人規模の学校づくりというものを目安にしました。
 しかし、この報告の中では、ただ単に、じゃあ、機械的にこれをしていいのかというと、そうではないと。やはり財政論議にしてはいけないということで、学校統廃合の留意点として、地域住民の不安の解消をしなければいけない。この中には、通学時間や安全の確保、地域文化としての学校の存在というものを大事に考えてほしいということや、統合校の魅力ある学校づくりということでは、学力向上や子ども同士の交流というものをきっちりできる学校にしていかなければ、ただひっつけただけになってしまうというふうな厳しいご意見をいただきました。
 また、その下に、学校小規模化に対する具体的な対応等が必要と。つまり、統合というのが全部できるわけでは絶対ないです。つまり小規模で残らざるを得ない学校が出てくるわけなので、そういった学校についてはやはり学校間連携の促進であるとか、通学制度の弾力化であるとか、これは小規模特認校制度なども議論の中に出たわけですけれども、そういったことでの弾力化や、学習指導の充実といったことをやはり県としても主体的に支援をしていかなきゃいけないというご意見もあわせていただきました。
 その上で、この報告の中で、県教委に対する要望というものが幾つか出てまいりました。1つは、スクールバスについて運行支援をしてあげてほしいということでした。これは合併、市町村合併ですとか過疎地域についてはいわゆるスクールバスの購入やスクールボートの購入というのが国の補助事業としてあるわけですけれども、買うだけで運行補助はございません。ですので、これは交付税措置されているという側面もあるわけなので一概にないというわけではないんですけれども、やはりそういった面での支援が要るだろうと。
 2点目に、統合後の教職員配置への配慮が必要だろうと。つまり、激変緩和をするための措置が要るだろうと。今は市町村合併の際の国の激変緩和でのそういう措置が認められていますが、合併をしない場合はこういう措置が認められていないわけです。ですので、それを何らか県のほうで配慮できないかということがありました。
 それから、3点目には、総合窓口の設置。つまり、県としてワンストップサービスをちゃんと実現するようにしなければ、市町村がどこへ相談に行っていいかわからないということがありました。そして、4点目には指針、県としての何か方針をきっちり文書で提示をしてほしいと。
 このような中でのご要望、これにどう県としてこたえるかということが次の段階へ移ってまいったわけでございます。
 私たちはこの報告を1月にいただいた後、3月に市町村教育委員会にアンケートしました。この報告を受けて一体どのようなご印象でしょうかということで伺いましたが、適正規模に関する部分についてはおおむね非常に良好なご返事をいただいてました。ということは、市町村にとっても非常に有効性のある提言であったというふうに受けとめていただいたと思っております。ただ、都市部は非常に慎重でした。いわゆる市という、市政を引いているところ、人口集中して空洞化がしているようなところについては非常に慎重な意見であったことを後ほどお話をさせていただきたいと思います。
 では、次に5の「県としての統廃合支援策」でございます。
 じゃあ、どういう提言をもとに支援をしていくかということでございますが、まず、やはり財布を用意しなければいけませんので、財政当局との議論がここから非常に厳しい議論が続くことになります。そもそもそういうことをすることが県の仕事なのかということがまず財政側から出てきますし、私どもとしてはこういう報告書を後ろ盾に粘り強い交渉をしてまいりました。
 じゃあ、県としてのメリットは何なのかという議論のときに、財政当局は結局結論として財政サイドのメリットはあまりないというのがお答えでした。つまり、教員のいわゆる何が変わるかというと、教員が減るんですね、教職員が減る。これが一番県としては県費負担職員の数が減るわけですので財政的な効果は一番大きいわけですけれども、しかし、これは3分の1国庫をいただいて、あとは交付税措置していますよということです。私たちは実は交付税は闇の世界で、一体どんな数字でどんなふうに操作されているのか全く私たちには見えません。彼らなりに試算をしたようです。そうした結論としてあまりメリットがないと。しかし、メリットはないとは言いませんでした。ですから、何らかのメリットはあったということは認めましたので、一応財政拠出をすることについては一定の合意は得ることができました。
 ただ、市町村の財政負担の軽減にはなるだろうということはこれは明らかなことで、学校の管理運営が少なくなるわけですので、そういう意味では市町村の財政が多少なりとも楽になることは県財政全体として見ては、マスな形でいうとそれは健全化につながるだろうという意見もございました。
 一方、私たちはやはりソフト面なんですね。やはり統合は教育効果が上がるんだということ、つまりそれが行政サービスになるということでお話をしてまいりました。
 その結果、一応の折り合いがつきまして、平成18年4月にまず小中学校課の附置室として市町村支援室というワンストップサービスをする部署を設けたということです。ただ、これは昨年度末で廃止をしました。つまり2年間という限定的な役割ということで、あとは現在、私ども小中学校課本課の方にその業務を移しております。
 そして、6月に資料2-2としてお渡ししております公立小・中学校の適正規模化についての指針を出しました。この指針は先ほどの報告を主な基軸にしてその内容を多少行政側で修正を加えて出したものでございまして、適正規模の基準、検討の観点、留意点、そして、最後に県として支援を講じるということを明言すると。ただ、この段階では財政当局との話で具体的な数字等は入れさせていただけなかったので、非常に抽象的なものになってしまいました。
 そして、平成18年度1年間いろいろな協議をした上で、平成19年度4月から財政当局も納得していただきまして、適正規模化支援策というものを5年間の時限施策として実施をいたしました。
 その内容は資料2-3、2-4に示す2つの事業から成ってございます。1つが、財政支援として2,800万円を、本年度予算化をしておりますが、小・中学校適正規模化を検討する協議会事業への補助、つまりいろんな協議会を設けなきゃいけない、そのための委員の報償費ですとか旅費等のためで、2分の1補助として上限、県の支出額を100万円を限度としてやりました。
 また、もう一つは、小・中学校統合準備事業として、統合するに当たってスクールバスの購入、これは先ほど申し上げましたように、2分の1が国から補助はいただくわけですが、2分の1が市町村の持ち出しになります。その2分の1の半分、つまり、4分の1を、県が持ちましょうということや、あるいは、議論の中でやはり子どもの体力低下というのが非常に心配されましたので、遊具等の施設を学校の中につくっていったり、いろいろな運動機能・体力向上に向けた取り組み、そういうものについても補助をする。これは1件当たり上限800万円として補助事業を起こしました。
 2つ目が、人的支援として、これは小・中学校を統合した場合には2年間に1名だけ県単独で加配措置をするということを打ち出しました。そして、市町村支援室でのさまざまなこのきめの細かいサービスをしますということをやったわけです。
 その間、実は平成18年から19年に文部科学省の新教育システム開発プログラムを受けまして、受託研究をしていました。その報告が今コピーでお届けしていますけれども、この「小中学校適正規模化にかかる事例研究」というこの報告冊子としてつくらせていただいたもので、この事業で得たものも非常に私たちは大きかったと思ってございます。
 では、めくって次に行きまして、その報告資料の内容はそこに挙げましたように、学校統合の成果でありますとか、あるいは、実現への経緯、あるいは、住民アンケート、あるいは、成果をより確実なものにしていくためにどういうことが大事であるかと、あるいは、統合事例、つまり市町村にとって何か参考になる資料にしたいということでいわゆるまとめ上げたものがこの報告書になってございます。
 次に、6の小・中学校の統廃合の現状はどうなっているのか、つまりこういうふうな県の取組により、和歌山県にはどのような動きがあるのかということです。
 まず、近年の動きですけれども、平成10年からここまでの統合のこれは件数です、学校数ではなくて件数をあらわしていますが、今までこのように年々件数を増やしてきました。
 ただ、平成10年ごろから統合はあったわけです。しかし、これは分校を統合するとかそういったことで、ある意味で小規模な統合が多かったのが特徴でしたが、実は、私たちが議論しました平成17年度ぐらいから少し歩みが進み始めて、平成18年ぐらいから数字が高くなってまいりました。県が具体的な指針を出したり補助事業をしたのは平成19年度からと考えますと、そのあたりから20、21と数字が上がってきている。私たちの行ったことは一定市町村の中でその動きを進めている流れだと。結果的には、減少校数は平成10年から見ますと、和歌山県で小学校で33校7分校が少なくなりました。中学校では17校が統合により廃止をされたというのが結果でございます。
 具体的にどういう統合が行われているのかを示すのが下でございます。紀南地方にある串本町のある小学校の統合の例をそこに示しましたが、3つの複式校が統合して一つの串本西小という学校に統合した例でございます。児童数が41人、23人、33人という規模の小学校で学級数は5学級、3学級、4学級、教職員数は9人、7人、8人という学校が、結果的に統合しますと児童数が83名、学級数7、つまりこれは1学年1学級に、プラス、特別支援学級が1クラスの7学級ということでございますが、の学校になりまして、教職員は17名ということになりました。
 単純に見ますと、教員が10人減ったことになるわけですので、1人あたり800万として8,000万円の人件費がこれで浮いたという見方もございますが、学校としてはそれぞれ複式学級が解消されて、そして、それぞれ学級で充実した授業ができるようになった。そこへ私どもは統合加配を1名つけてこの中に入れておりますし、あるいは、学力向上のための加配措置もして、2名の加配を、実質は定数上は12名なんですけれども、2名加配措置をして教育の充実を支援しています。
 では、次に赤い色の地図の絵がありますが、県の統合支援を、じゃあ、どのような市町村が受けているかを示したものですが、現在21年度までの間で支援を受けているのが30市町村のうちの半分、16市町で支援を受けていただいております。地図であらわしますとそのような色合いになりまして、ほぼ全県的にこの事業を受けていただいています。
 白くなっているところはもう統合をその前にしてしまったところですとか、あるいは、一定適正規模が維持されているような、つまり100名を下回るような学校がないというような市町村が多くて、ほとんどの市町村はこの事業に非常に積極的に参加をしています。
 ただ、その報告書の中にもあるんですけれども、市町村の対応はやはり慎重です。市長選のときなどには非常に大きな問題にもなりますし、非常に慎重で、協議会や住民説明会を開いたり、広報活動を綿密にしたりして、住民総出の問題として取り上げています。また、複眼的なとらえ方として、学校だけではなしに地域というものとも結びつけながら考えなきゃいけないという点からも非常に慎重にしております。
 ただ、この中で特に慎重なのが都市部です。いわゆる中山間地域で複式学級解消というこのテーマは非常に住民にある程度受け入れられます。保護者は賛成します。しかし、これについて反発があったのは、いわゆる土地に古くからいらっしゃる高齢の方であるとか、そういう方は非常に思いが強いので反対をするというのか構図としてあるわけです。しかし、やはり保護者の声に傾いていくということで、そういった意味での複式学級解消が中山間地域では非常に進みやすかったという実感を持っています。逆に和歌山市のような大規模市街の中心地の統合については遅々として進まない。そういう話が出ると、市議会議員さんとか地域の有力者の方が、なぜうちがそういうターゲットになるのかということで議論がわいてくるというのが実態としてはあるようです。
 次に、その報告の中にもあるんですが、住民アンケートをいたしました。そうしたときに、実施した統合によってどのような懸念が変化したのかをチャートにあらわした資料をそこに用意しましたが、それを見ますと、縦軸の上が懸念が解消していた、あるいは、下ほど未解消です。そして、横軸のほうは解消度で、右にいくほど解消して、解消度が高い。つまり、強い懸念があったけれども解消したというのが右上の増減になるわけでございますが、新学校の生活への適応とかいうのは子どものレベルでいうとそれほど心配しなかったけれども、うまくいったよというお答えをいただきました。
 その一方で、強い懸念が未解消のまま残っているのが通学上の安全対策で、スクールバスが走った場合はいいんですが、そのスクールバスが走らないケースもあります。そういうところで通学距離が長くなったことについては住民としては非常に納得しにくい部分があったということがあります。
 また、弱い懸念ながら未解消なのが、次世代育成の支援としてやはり地域の地盤沈下ということ、子どもたちが地域への愛着を失わないだろうかといったところはまだまだ今後の課題と言えます。
 次のチャートでございますが、統廃合に対する期待の充足状況ですけれども、これについては、そこにもありますように、強い期待が充足されたというのがやはり子どもたちの社会性や協調性の向上でありますとか、あるいは、施設、設備の充実ということが挙げられています。
 しかし、その一方、期待の充足度も低かったのは廃校活用の利用、廃校舎の利用なんですね。これは非常に市町村も頭を悩めている大きな問題であります。
 一方、少し心配なのが、期待外れというわけではないんでしょうけれども、指導体制の充実、つまり、教職員がうちも加配措置をして支援をしているんですけれども、教員の数だけではなしに、質の問題もあわせて問われていると私たちは認識しています。というのは、小規模の学校が統合した学校は、どうしてもその元の学校の教員がそこへ異動していくというケースが多くあります。となると、小規模経験が長い先生が大規模の学校に勤務するなるわけですね。そうしたときに、やはり先生側の戸惑いというものも実は生徒指導や子どもの指導の上にはある。そういうところが少し保護者も地域にはやはり見てとられているのかなということを感じております。
 最後に、もう時間がまいりましたのでまとめたいと思いますが、では、今後の課題としてはどういうものを今考えているのかということですけれども、これはこの報告の中でまとめたものを整理したもので、7つの観点を少し挙げてみました。
 (1)は、安定的・計画的な学校配置を見据えた教育独自財源ということがありました。これは大学の先生からの非常に強い熱望もありまして文章として入れたわけですが、アメリカのように公立学校が一定の財源を持つというふうなことというのはなかなか日本ではかなわないとは思うんですが、しかし、住民はやはり学校を失うという痛みを伴うわけですね。その痛みへの還元ということで、やはり統合校が非常に充実した施設を持つこと、あるいは、新しい流れを踏まえた教育システムの中で運営されることを期待されています。そういった意味で、どうしても財政的な支援がなければ新しいものへ踏み出せないというのが現状にあります。そういったことを一体どこが面倒見ていくのか、市町村のレベルではなかなかしんどいものがやはり県もしくは国においてそういう支援がいただけないだろうかということがあります。
 (2)には、地域の実情に応じた学級編制基準と運用ということです。これはいわゆる標準法のもとに学級編制基準が定められております。しかし、これは逆に標準法というのが小規模校を守っております。学級ができれば教員は来るわけです。これが児童生徒数に応じた教員しか来なければ非常に大変なことになってしまうわけで、これはある意味で非常にセーフティネットになっている部分があるんですが、しかし、一律な標準を当てていくことがほんとうにいいのかと、そういうことが心配されるのと、それから、県が適正規模のようなものを出したことが足かせになって、そこまで行かなきゃいけないんだということがかせになると非常に過大広域な統廃合をしてしまう可能性もある。これは逆に教育効果を下げる可能性もあるということで慎重に考えなければいけないだろう。小さな学校が生きていくための正当性というものもきっちりと説明、担保する必要があるだろうということです。
 (3)には通学距離基準の見直しということで、特に体力低下等への対応ということです。ある教育長さんが言いました。体力テストをすると、田舎の子のほうが体力あるでしょうと私が話したことがあるんですが、一言で一蹴されました。「田舎のほうが子どもは動かない。遊びに行こうといったって隣の家がないんだから、じいちゃん、ばあちゃんが車に乗せて送り迎えをして遊びに行く。行っては、部屋へ入ってパソコンゲームをして、そして、おじいちゃん、迎えに来てって携帯で電話をして、そして、迎えに来てもらう」と。一歩も動かない。そして、「川で、でも、たくさん泳いでるじゃないですか」、「あれは都会から来た子だ」と。「地域の子は川で泳がないんですか」というと、「危なくて泳がせない」というんですね。町営プールまでおじいちゃんが送ると、こういう話を。ちょっと笑い話のような話ですが、実際はそういうふうなことがいわゆる中山間地域で起こっているわけですね。
 それにまして、スクールバスを走らせますといったら、ドア・ツー・ドアで子どもが運ばれていくというようなことが起こったら、まさしくこれで子どもは歩かなくなってしまうというふうなことが本当に話題として出てきたわけです。
 そういう意味で、やはりこういったことを考えなきゃいけないわけですけれども、ただ、一方、やはりインフラが整ってきています。ですから、国のほうでは小学校4キロ以内、中学校6キロ以内という適正的な通学距離というのが定められておりますけれども、これを越えても非常に効果が上がる例があるわけですので、そのあたりも柔軟に考えなきゃいけないだろうということや、やはり先ほど申し上げた体力低下と、あと、群れ遊びというのがなかなか子どもたち、小規模校でできないわけですので、そういったことのためには、校庭の芝生化とか、あるいは、総合型地域スポーツクラブとかそういった意味での支援も重要であろう。本県でも8校で、今、芝生化に取り組みまして非常に効果を上げつつあります。小規模校の芝生化で子どもたちがほんとうに走り回って運動場で寝ころがって遊んで、そして、土日も学校へ遊びに行きたいといういろんな状況も出てきております。
 次に、(4)ですが、学校の適正配置と小中一貫教育ということです。つまり、一定の規模をつくるということは適正配置を進める上で必要でしょうけれども、そうできない場合、その一つの生き方として、小中一貫教育というのがあるだろう。これは京都市なんかも非常に都市型で行われていますが、特に中山間地域で小・中学校が隣接したようなところはやるべきじゃないかという考えを持っています。県でも小中一貫教育モデル校事業をやっておりまして、高野山という霊場があるところに、小学校8人、中学校8人という小さな学校が隣接してあります。その学校をモデル校に指定して、今校舎一体型に変えて、つまり職員室を1つにしました。ただ、その学校であっても3年間かかりました。つまり中学校、小学校のやっぱり文化の違いというのは非常に大きい。しかし、こういったところでは導入していくというのは一つの小さな学校が生き残る一つの手法ではないかなと考えました。
 (5)には、学校統合に向けた教職員の加配措置です。これは私どもは実施していますが、やはり県財政が非常に厳しい中で、単独措置というのが苦しい状況があります。これが5年と切られていますのでいつまでできるかということもありますし、現に市町村からは延長要望が出ておりまして、私どもも政府要望でさせていただいているところでございますけれども、ワンストップサービスの提供というのがやはり必要で、地域の窓口としていろんなことを総合コーディネートする役割というのが要るだろう。
 ただ、統合後に要るというだけでなく、ニュービジョンの会議のときには、統合前にも要るんではないかということがありました。というのは、統合する前の年はどういう状況だったかというと、各学校は閉校式に向けて一生懸命仕事をします。つまり、閉じることに一生懸命になる。つくることよりも閉じることに。じゃあ、つくることをだれが考えるのかといったときに、その役割を担う者がない。
 ニュービジョンの委員に入られた企業の方が言われました。企業がもしこういうふうな組織改革をするならば、当然、準備室をつくって1年前から動き始めて、その準備室長がその支社長になるというような形で動いていると。県立学校もそうなんです。県の中で新しい学校をするときは県教育委員会の中に準備室をつくる。
 しかし、市町村は県費負担職員ですので、学校教員を行政で入れることは充て指導主事で認められているだけですが、こういう仕事が任務ではないわけであります。そういうところでは、じゃあ、どうするのか。市町村でそういう教育委員会で新たに人員を置けるかというと置けない。一体だれがその仕事を担うのかという空洞があるというのが実態であります。このあたりも非常に急所を突かれた意見だったなと思っておりました。
 (6)には国・都道府県・市町村の役割分担と、これをどうしていくかということですが、特に国に対してやはり支援というものを強く求めていきたいというものがありました。何と言っても、先ほど申し上げましたように、県はメリットを感じないというわけですが、国は財務省をはじめ大きなメリットを感じるところがあると思います。ですからこそ、このことについては非常に総合的な支援をいただきたいと思っているところでございます。
 そして、(7)は地域文化を守る廃校舎跡の利活用と。これはやはりなくしたけれども生まれたという実感を地域の中につくることが非常に重要になってくると思います。いつまでもかぎのかかった校舎が、もう窓ガラスも割れるような状況で残っていることは、やはり地域の衰退につながるだろうと、こういうことも非常に重要だろうと思っております。
 次にめくっていただきますと、これはちょっと手前みそですけれども、この11月1日に和歌山県の田辺市という町に非常に小さな廃校になった上秋津小学校という校舎を利用して新しい農業法人が株式会社をつくって、宿泊体験型の施設を廃校舎利用でつくりました。この地域が生涯学習が非常に盛んでまちづくりが非常に盛んだったという背景はあるんですけれども、地域の活力になっていって、あるいは、学校を失ったけれども、地域の自信につながっているという好事例だと私どもは捉えております。これには農林水産省をはじめ各省庁が支援をいただいております。
 最後に、終わりになりますが、学校設置にかかわる支援は市町村からの信頼を高め、協調を強める。今まで県と市町村の関係はどちらかといいますと人事にかかわって、あるいは、学校指導にかかわって、指導される側とする側というふうな関係でしたが、こういう学校設置にかかわる支援をしていく中で、共に土俵の上へ座った話ができるようになった。これは私どもにとっても非常に益のあったことだなと思っております。
 次に、先ほどから申し上げているように、メリットが見えにくいだけにやはり理念が重要だろうと。これがしっかりしていないと、いわゆる数合わせであるとか、経済論理でやるんだろうということになってしまいますので、そうではないということをきっちりと説明すること、そういうことで県としてはニュービジョンでありますとか指針を出していったということがここにあります。
 3点目は、国からの明確な支援が市町村の責任ある教育行政を進める原動力となると思っております。平成の合併をするときに、各省庁はこぞって合併支援策を発表されました。でも、学校統廃合についてもやはり農林省や総務省、経産省も文科省と同じような土俵に立っていただいて、地域振興でありますとか、あるいは、そういう地域のまちづくり、農業振興というような視点もあわせて、ぜひ国から手厚い支援を市町村に出していただきたい。そのことが市町村が自信を持って住民に説明をして、そして、この問題について解決をしていける大きな突破口になるのではないかなと感じております。
 以上、非常に足らずの説明でございます。ちょっと時間を延長して申しわけございませんでしたが、和歌山県として今まで考えてきたことを多少意見を交えながらお話しさせていただきました。終わらせていただきます。ありがとうございました。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 非常に充実した報告をいただきました。
 じゃあ、これから三、四十分ほど時間をとって、委員の皆様からご質問等々を受けたいと思います。どうぞ自由に出してください。どうでしょうか。
 じゃあ、葉養先生、よろしくお願いします。

【葉養国立教育政策研究所部長】
 大変貴重な報告をいただきまして、ありがとうございました。
 この配付資料の「統廃合に際しての懸念の変化」という、非常にかなりいろんな地域の統廃合の共通の問題点を示しているんじゃないかと思うんですが、私の感じだと。和歌山だけの状況じゃなくて、これは全国各地の統合に共通に見られるおそらく課題なんじゃないかと思います。
 それで、特に気になったのが、先生方の指導体制、これは次の図ですか、「統廃合に対する期待の充足状況」というあたりを見ても、指導体勢の充実とか特色ある学校づくりの推進という、ここら辺が充足度というのが必ずしも大きいわけじゃなくて、これは私も全国各地の統合事例を見ていて一番感じるところなんですね。
 ただ、統合というのは行政当局は進めていると、行政としての統合が済んでしまえば行政としての役割はそこで終わりという感覚をかなり持っているような感じがするんですね。つまり、行政がやることは議会に条例、学校設置条例の改正案を出して通すところまでだと。それから先は統合校の校長がおられるわけだから、教職員も配置されているわけだから先生方の責任だという、そういう感覚が相当あるような気がするんですよ。
 それに対して、だから、指導体制とか、あるいは、特色ある学校づくりというそのアフターケアの側面をどういうふうにサポートしていくかというのはかなり大きな課題なのかなと思うんですね。
 非常に課題を感じているというお話がありましたので和歌山もやっぱり課題を感じておられるんだなと思いますが、具体的にどんなことを、指導主事の先生がおられるんで考えておられるかというあたりを、こんなこともあるんじゃないかというようなことがあれば教えていただきたい。
 それと、もう一つは、だから、教員を養成している大学があるわけで、その教員養成の大学のカリキュラムの中に、学校規模に対応した指導の力を身につけるためのカリキュラムがほとんどないのが実情だろうと思うんですね。これは私も教員養成系にいましたので、教員養成担当者の負担がどんどん増えている実情の中で増やせないというならわかるんだけど、ただ、過疎地とか非常に厳しい状況をたくさん抱えた地域の教員養成系のカリキュラムの中にもあまり規模対応の授業科目ってないんですよね。例えば、北海道教育大とかああいうところでも、あそこの先生自身がおっしゃっていましたけれども、例えば複式校で指導をする力を身につけるためのカリキュラムがないんですよね。
 だから、県もそうだし、あるいは、市区町村教育委員会もそうだし、あと、教員養成系がこういう問題にどう対応するかという、全体的に動かしていかないと、ただ何か指導体制が困ったということだけで終わってしまう懸念もあるんで、そこら辺、ちょっと率直なご意見というか、和歌山県としての考え方をちょっと教えていただければと。

【小川主査】
 これは田村副課長か岩橋指導主事、両方からお答えいだたけますか、何か考えていることそれぞれに。よろしくお願いします。

【岩橋指導主事】
 失礼します。
 私のほうはこの30市町村すべてというわけにはいきませんが、統合加配が入っている学校、本年度でしたら11校ございます、そこに集中的に学校訪問と教育委員会訪問をさせていただいております。ここにもありましたように、信頼関係をまず築くというのが非常に難しく、行かせていただいても、人事主事ではないのに何をしにという非常に警戒心をあらわにされるところもありますし、じゃあ、純粋な教育面での指導かというとどうもそうではないなということで、そのまず壁を取り払うのに同じ立場で新しい魅力のある学校づくりをしていきましょうというようなところからお話を申し上げております。
 昨年度は市町村支援室でしたのでなかなか財政的にも難しく、指導訪問もちょっと回数が少なかったんですが、本年度は非常に充実させようということで今県内をくまなく歩いているところですが、統合加配を入れているにもかかわらず、じゃあ、実際どんな仕事をしたらいいのですかと素直に聞いてこられる市町村も、今ごろというような形でもう正直な話ございます。
 こちらから提案さしあげているのは、まずは学校のあり方そのものを加配の先生中心に考えていただきたいということです。保護者や地域の方から苦情や意見などを待つのではなくて、ないからもういいというのではなくて、学校から積極的に働きかけていきましょうと。それは広報的な活動にもなるかと思いますが、学校がなくなった地域への活発な学校からの情報発信というようなこと、それから、廃校になった学校のいろんな備品、それから、今までの歴史的なものをどう保管、展示していくかというような具体的なことであります。
 あとは、スクールバスは購入しました、運用もしています、校舎も一部改築してきれいにしています。では、中身をどうしていくか。さまざまな指導方法であるとか、学校の新しい学校としてどんな取り組みをしていくか、小さい学校で伝統的な行事をずっと受け継がれていた場合、それを統合した学校でどういうふうに反映させていくかとか、そういったことを、じゃあ、具体的にどうしていきましょうというようなお話をさせていただいています。
 その中で課題が出るのが、小さい学校だったときに持っていた、子どもたちの感性の豊かさがどうも隠れてしまっているような気がするという悩みを打ち明けられることもありますので、そういった部分をどう引き出していくか、全体でどう育てていくかということも大きな課題であります。
 それから、一番お願いをしているのは、さまざまな学力テスト等の結果をどうしていくか、少しでも目に見えて上げていく。そこも大切なことでしょうが、それよりも、まず学習意欲を、子どもたちがどう学習したいという気持ちをどれだけ盛り上げられるか、そのためには、先生方がまず盛り上がりましょうよと。私たちは新しい学校で新しい教育を目指すんだという、まず先生方が一つになって盛り上がった気持ちを子どもたちに伝えて、子どもたちにどんどん広められたらいいですよねというようなお話をしております。具体的にこんなふうに取り組んでいるんですよというような報告を受けるのはなかなか数が少なくて、まだまだ5年という切られた期限ですが、まず信頼関係をつくるというところから今ちょうど一歩歩み始めたというのが現状です。
 以上です。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 それでは、田村副課長。

【田村副課長】
 では、今のお話を少し踏まえながら述べさせてもらいます。
 まず、1点目の指導体制の充実とか特徴ある学校づくりの面では、これは先ほども申し上げましたように、教員が小規模校から集まってくるんですけれども、寄せ集め集団になってしまうということです。つまり、自分が人事内定を早くに出して、私はあの学校へ行って学校づくりをするんだという意識を早くから持てればいいんですが、どうも人事システムの中では内示があるまではどこへ行くかもわからない。そういうことは、着任校が決まるまでは他人事でいると。そして、年度末に決まって行って、さあ、やろうといっても、何か新しいものをつくるという発想は出てこないというのがあります。
 これをどうするかというのが私どもの一つ大きな課題かなと思っておりますし、先ほど申し上げましたように、行政側としての準備室のようなものが市町村でできないという問題とも絡んできます。
 つまり、新しい学校づくりというものがうまく計画されないままスタートを切らざるを得ないのが今の実情。だから、それが裏返しのように、数合わせじゃないかというところへ住民の側がお考えになるところの要因の一点だと思う。これを大きく改善をしなきければいけないと私たちは問題意識を持っておりますし、そのために加配した統合加配の教員に対する働きというものを、今、岩橋が申し上げましたように、非常に綿密に指導していっているというのが実情でございます。
 次に、2点目にお尋ねがありました大学との関係ですが、和歌山大学は早くからこのへき地複式については研究をされておりまして、附属小学校には複式学級をつくっております。これは全国で珍しいんではないかなと思いますが、1年から6年まで複式経験をする子、複式枠で募集をしまして、複式経験をする学級をつくっています。その中で研究をするということをしていますので、和歌山大学は非常に先んじている部分があるのかなと思いますが、ただ、そのいわゆる成果が現場の複式学級へどれだけ反映しているかというと、そこはなかなか見えにくい部分があります。
 また、和歌山大学は今、県教育委員会とジョイントカレッジという連携事業を持っておりまして、その中では、学生のへき地複式訪問を希望者を対象に、かなりの多くの数を行かせています。そして、夏休み期間ではなしに、授業が行われているときに行って、そこで子どもたちの複式授業というのを体験するということもカリキュラムの中に入れておりますので、そういう意味では少しは取り組んでいるかと。ただ、それを本当に実態として教育効果のほうへどう反映させるかということが今後の宿題であると認識しております。
 以上でございます。

【小川主査】
 葉養先生、よろしいですか。
 では、池田委員、どうぞ。

【池田委員】
 どうもありがとうございました。詳しい説明でとても参考になりました。
 今の問題ですけれども、私どものところに、私のところにも7校ぐらいダイエットしたんですけど、統合した学校ですからその歴史的な経緯があるわけで、例えば幾つかの学校が集まれば当然その学校それぞれの持っていた文化というのがあるわけで、それから、意識もあるわけですね。それをどうやって解消していくのかというのが非常に大きな問題になるだろうと思いますね。
 だから、私の学校だったら平成3年に統合して平成7年に最終的な統合が終わって一つの学校になったんですけれども、そうすると、そこにいた、昔の学校に所属していた子どもたちが卒業して新たな一校の子どもたちで構成できるようになるのには、それから5年、6年とたつわけですね。平成13年ぐらいにようやくその部分が解消されてきたというようなことになるわけですね。それは、住民についても保護者についても同じでありますし、それから、子どもたちについてもそうですし、それから、先生たちについてもそうなんですね。
 そういう面でかなり苦労されているんだろうなと思いますけれども、そのあたり、どのように考えられているのかなということが一つと。
 それから、私どもの経験ですけれども、例えば少人数で指導している経験のある先生方、例えば特別支援の中で個別対応してきた先生方が大きな集団になったとき指導ができない。これはどこでも同じだと思うんですね。集団指導というのが非常に難しいわけです、本来。
 だから、本来の集団指導というものが、例えば40人なら40人、35人の学級の中で切磋琢磨して先生が育ってきていれば、少人数にかかわっての問題点は解消できるんだろうと思うけれども、先ほど言われた寄せ集め的な小さな学校から集めてきた先生たちでは集団の指導ができにくい、これは明らかですから、ここらあたりをどうするかといったときに、例えば先生たちの住居の問題があるんだろうと思うんですね。
 ですから、すぱっと新しい大きな学校から規模を持った集団指導をしてきた先生にすぱっと頭を変えてしまうということも一つの手かなというふうには思うんですけれども、ただ、先生たちにとってはそこにその地域とのかかわりがあったり、住居の問題があったりしているわけなんですが、そういう面をどの程度まで県の教育委員会なりがお考えになったのかというようなところも具体的な面で聞いてみたいなと思うところです。
 それから、ここの成果の中に出ているわけですけれども、社会性や協調性の向上といったようなところなんですが、結局は自宅のほうに帰ればもう本当に子どもたちは少ないわけですから群れ遊ぶなんていうことはほとんどあり得ないわけですね。そうすると、夕方とか冬場になれば日没が早くなるといったような状況が現実に起こり得るわけですね。
 そういう場合に、教育委員会として群れ遊ぶ場をどういう形で確保してあげているのかとか、学校がどう確保しているのかとか、そのあたり、カリキュラムとのかかわりというのもかなりあるだろうと思うんですが、そのあたりがどうなっているのか、ちょっとお願いできればありがたいなと思っています。

【小川主査】
 3点ほどありますけれども、どう答えるかは、じゃあ、そちらのほうでよろしくお願いします。

【田村副課長】
 非常に具体的なご質問で、なかなかすべての学校でそうだというふうなことがなかなかできないところがあるんですけれども。
 まず、今おっしゃっていたように、結局は学校づくりといってもすぐぱっと新しい学校ができるわけではなしに、みんな元の学校を引きずった人間が集まってきて、そして、年次進行でだんだんと熟れていくというんですか、そういうものだと思っています。
 ですから、学校というのは看板を書きかえてどこか場所を変えればそれで新しいものがすぐできるかというと、そうではもちろんないと思います。ですから、そういった意味で、子どもたちの元の帰属した学校のよさというものをどれだけ引き継ぎながら、子どもたちの意識改革を丁寧に図っていくかということだと思います。
 何よりもやはり小規模な学校にいる子どもたちが規模を大きくしていったときに、なかなか人間関係や、あるいは、自分の自信というものがつきにくい部分がありますので、やはりそういう意味では特別活動とか総合的な学習の時間等をうまく使ったカリキュラムで子どもたちに体験を通じて自信を持たせていく、そして、やはり力強い学習に取り組めるような状況をつくるということが必要ですし、私たちもそういうところをきめ細かく指導していきたいと思っております。
 また、教員の問題についてはおっしゃったとおりです。ちょっと表現はよくないかもわかりませんが、小規模校に配属される先生の中には、大規模な学校では実力がうまく発揮できなかったようなケースの方にある意味で小規模で力を発揮していただこうという人事をするケースもあります。
 そういうふうな方が今度集まってくると、今おっしゃった懸念されたようなことが起こり、大きな規模の経営というのがうまくいかなくなってしまう可能性があるわけなんですね。
 ですので、そういう意味では私たち自身もやはり人事のほうときっちり連携を綿密にとりながら、計画的な人事配当をして、そして、やはり力のある教員をポイント、ポイントにちゃんと配置しながら、その学校が目指す教育が実現できるようにして支援をしていくと、これはもう人事権を持つ県のほうがやはりしっかりと責任を持たなければいけないんではないかなというふうに思っております。
 あと、社会性のところは結局学校で子どもを預かるということは非常に難しい時代になってきていますが、スクールバスの発車時間もあったりしてなかなか実現はできないですが、うまく時間をつくって、マラソンや体育的な活動を入れたり、子どもたちが楽しみながらともに集団で活動する機会は増やしていく、こういった取組をしている学校はたくさんあります。そこの意識は非常に高く持ってくれていますが、もう少し充実できるようにしていきたいなとは感じております。
 ちょっとお答えにならない部分もありましたが、申しわけございません。

【池田委員】
 ありがとうございます。

【小川主査】
 池田委員、よろしいですか。

【池田委員】
 はい。

【小川主査】
 あと他に何名。じゃあ、ちょっと時間もあれですけれども、今挙手された方については順次こちらから質問を受け付けたいと思います。じゃあ、山重委員。

【山重委員】
 ありがとうございました。
 手短に2点ちょっとお伺いしたいんですけれども、まず適正規模というのをつくられて想定されてさらに統廃合を進めていくということになると思うんですが、山でいうと何合目まで今来ていらっしゃるという印象かというのをちょっと教えていただきたいということと、それに関連して、市町村の実は枠を超えたところで統廃合するケースというのも、そのほうが望ましいのではないかというようなケースもあるような気がしているんですが、その点をちょっと教えていただければと思います。
 それから、もう一点が、今お話を伺って大変感銘を受けたんですけれども、それは必ずしもメリットが大きいわけではない、県がこういうリーダーシップをとられて、あるいは支援をするという形で進められて、それは一つのいいモデルかなと思っているんですが、それがなぜうまく機能したのかについて教えていただきたいのと同時に、これはある意味で必要なステップではないかというような気もするんですけれども、実際にこれがなかったら、こういう都道府県の支援がなかったら進まなかったというような印象を持っておられるのか、あるいは、やはりなくても進んだけれども少しお手伝いができたぐらいの感覚なのか、その辺をちょっと教えていただければと思います。

【小川主査】
 3点ほどありましたけれども。

【田村副課長】
 じゃあ、手短にお答えします。
 まず1点目の何合目か。なかなか難しいですが、でも、やっぱりムードとしてはやはり7合目、8合目まで来たような気がします。市町村がやはり真剣に考えていただけるようになったという。それが実現するかどうかは別ですけれども、そして、大規模な和歌山市などでもそういう協議会を設けて動き始めました。ですから、そういう意味では私たちの動きというのは一定のお手伝いはできたのかなと。
 ただ、それが県が動いたからうまくいったのかどうかというあたりの判断はなかなか今結論が出るものじゃないと思います。ただ、県が動いたことによって市町村が動きやすくなったことは事実です。極端に言うと、統合のために何かやるとすると、予算を取れば議会を通さなきゃいけない。その議会でなぜこんなことをするんだという議論になる。ところが、県が事業をするならば、県に乗っかって取り組むということであれば市町村は動きやすくなる。国や県の事業を使うというメリットはあると思います。
 次に、市町村を越えたということですけれども、これは非常にやはり難しいと思います。委託として一部の児童を市町村境を越えて通学させるという、ケースは県内にもございますけれども、やはり学校を超えて、長野県なんかは一部報道があるように中学校も委託してしまおうというような動きがおありのようですけれども、やはりそこまではいかない。やっぱり教育長さんは自分の町を守るという気持ちがありますので、そこはまだ和歌山県ではございません。

【山重委員】
 ありがとうございました。

【小川主査】
 ありがとうございます。よろしいですか。
 大嶺委員でしたね。よろしくお願いします。

【大嶺委員】
 私も2点ございます。
 まず1点目は、統廃合に対する期待の充足状況というこのマトリックスの中で、「期待弱いが充足された」という中に、「地域との新しい学校づくり」というのが入っていますよね。当然、統廃合によって相当広い地域の中で学校というものが存在するようになると思うんですけれども、地域とまた新しいいろんな結びつきというのをつくっていかれたと思うんですが、具体的にどんなような取り組みをしていく中である程度充足されていったのかというところが1点です。
 それから、2点目は、これは今後の課題というところなんですけれども、課題の4番目で、適正配置と小中一貫教育というところで、私は統廃合に関しては小小だけではなくて縦の流れの小中というのもこれは一つの視点として大切ではないかなと考えております。
 今、1校ですか、小中一貫教育モデル校事業ということでやっていらっしゃるということですけれども、今後こういうような取り組みというのをこういう形態でも適正配置ですか、はお考えになっていらっしゃるのかどうか、お願いいたします。

【小川主査】
 よろしくお願いします。

【田村副課長】
 地域としての新しい学校づくりと、地域性をどう生かすかと、これはある事例で申し上げますと、それぞれ地域には固有の祭りとかいろいろな特性を持った行事とかがございます。
 そういうものをその学校で発表会をすると。そのことで、両地域の方に来ていただいて、そして、地域の方と一緒に子どもの成果を発表する。それを、もとのAの祭りをAの子がやるというだけじゃなしに、A、B集まった子どもたちでAの祭りもBの祭りもやると。そういうふうなことで、いわゆる地域性をその一つの学校の中で統合していくようなことというのは行われている例がございます。
 また、小中一貫については、教育長さんから伺ったお話の中で、こういうことに踏み出すには勇気が要るようです。というのは、将来的に統合するだろう学校に小中一貫教育という新しいシステムを入れていくと、やはり今度その統合するときの足かせになる可能性もあるわけです。つまり、小中一貫教育でこの学校づくりをしようということは、私たちの町としてはこの学校を残していくんだということについての一定のきっちりした覚悟が要る部分があるようなお話は伺ったことがあります。
 ですので、長期的なものも見ながら考えられているところがありますが、ただ、先日もこの一つの小中一貫事業で私が行きました発表会の席では、県内各地から参観においでになっていまして、やはりこういうシステムでの学校存続ということを考えている地域は県内各地に多々あるなということは実感しております。

【小川主査】
 大嶺委員、よろしいですか。

【大嶺委員】
 はい。

【小川主査】
 他は、加藤委員、じゃあ、よろしくお願いします。

【加藤委員】
 ちょっと恥ずかしいんですけど、聞き漏らしましたので1件ご確認した上で質問させていただきたいんですけれども、平成20年度統合例として串本西小の事例が出ましたけど、これは下にある3つの小さい小学校が統合して串本西小の83名の学校になったのか、それとも、串本西小とあわせて4校が180名の学校になったのか、どちらなんですか。

【田村副課長】
 それは串本西小は新設校です。有田小学校の校舎を使って、新設の形になったわけですけど、校名を変えてのことですので、3つの学校が1つの学校になったということです。

【加藤委員】
 それでは、質問させていただきたいんですけれども、3つの学校が統合した段階で97名から83名と14名減になっていますので17%減という減少率はこれからも続く傾向にあるのか、底打ちするのか、83名であっても1学年平均で14名弱の学級ですので、人数のばらつきがあればすぐに複式化の措置がとられるのかもしれませんし、小さい学校3つでは全児童数に対する教職員の割合が21%から30%高いんですけど、こちら仕上がった学校は統合加配を1名加えて児童に対して17%の教職員の配置と、規模的にはそういうふうになるんでしょうけれども、それと、義務教育ニュービジョン研究会が出した確かな学力の創造ですとか、ビジョンに向けたものと、年度の途中ではありますけれども、この具体的な実践の効果といいますか整合性というのはどのように評価なさっているのか。今、何合目ですかというときに非常に高い7合目というようなご回答もありましたので、そういう手応えからしてこの具体例はどのような評価なんでしょうか。

【田村副課長】
 まず、串本西小学校の例ですけれども、下の数字はですから平成19年度の子どもの数で、それが6年生が卒業して、そして串本西小ができたときにこれだけ数が減ってしまったことになります。
 ちょっと細かいデータは今持っていないのですが、この傾向は今後も続いていく。ですから、今後統合しても複式ということが想定されます。県では複式解消にかかわって非常勤講師を措置するような制度をしたりしておりますけれども、今後こういうふうに統合校が統合したのにまたかということにならないように、どういうふうな対応があるかを私たちが考えていくのも一つの宿題であろうと思っております。
 あと、義務教育ニュービジョンのほうで学力の問題が出ました。先ほど指導主事の岩橋のほうからも言いましたように、どうしても小さい学校というのは楽しく子どもたちが元気にというふうなところがやはり一番にきまして、学力問題というのは個別の問題になってきてしまうところがあるわけです。そこを、そうではないですよと。そして、統合したということに対するメリットはやはり学校の活力であり、学力の向上ということが一つの柱になる。
 そういう意味では、私どもが先ほど7合目、8合目と言ったのは、いわゆる統合を進めるという市町村の動きについてはそうですけれども、いわゆる統合をした効果がどうかというあたりについては正直まだ5合目もいっていないというふうに思っています。そこは切り分けて考えなければいけないかなと。
 そういう意味では、私たちもやはり統合した学校がほんとうに学力向上につながっていったのか、子どもたちのいろんな体力やいろんな面で教育効果が上がったのかがどうかはこれから検証をしていく必要があるととらえております。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 では、すみません、貞広委員、よろしくお願いします。

【貞広委員】
 大変貴重なご報告をいただきまして、ありがとうございます。
 一県の中にも複数の自治体の姿があって、それぞれの対応策が必要だというのは国の指針を考える上でも非常に我々は参考になる部分だったかと思います。
 それで幾つか簡単な質問をさせていただきたいと思いますが、まず、その統合なんですけれども、幾つか今ケースがあると申し上げましたが、基準があって、でも、どうしても統合できない学校については知恵を出す。これが多くは複式学級の場合ですよね。
 問題になるのは、その真ん中にある部分だと思うんですよね。適正規模になっている学校と複式になっている学校の間で、どの程度この県の指針が出ることによって実際に統合が促進されたのかということですね。または、そこにどういう知恵があるのかということです。伺った限りでは、複式か否かというところが大きな分水嶺になっているように思うんですけれども、そうではない学校がどうかということを伺いたいと思います。
 また、2つ目としては、葉養先生のご質問にもありましたけれども、統廃合に関する期待の充足状況のところで、「指導体制の充実」や「特色ある学校づくりの推進」といういわゆるリレーに相当する部分の解消度がそれほど期待したほど高くはないのではないかということなんですけれども、ただ、その一方で、見せていただくと、串本西小などについては県費の加配が統合加配1名、学力向上で1名、2名もついているというのは我々にとっては非常にかなり無理をして加配をつけているという感じがあるんですね。
 この理解度というか、住民の方がこれがすごいことだということをご理解くださるチャンネルがないのではないかというような懸念を印象的に持ちました。県のほうで、例えばこういうこれだけ手厚いことをしているというふうなことの広報活動についての自信であるとか、または、統合加配としてつけている教員をどのように活用していくかという指導だけではなくて指針のようなものを出されているのかどうかということについて伺っていきたい。例えば、統合加配教員をどのように活用していくかというののモデルケースを提示されているようなことはあるのかどうかということについて伺いたいと思います。
 以上です。

【小川主査】
 じゃあ、これも2点、よろしくお願いします。

【田村副課長】
 では、非常に核心の部分の質問だと思います。
 1点目の、そうなんですね。複式であれば非常に理解をされやすいけれども、危険水域でいっている学校は今でもいいじゃないかという意見がある。
 けれども、やはり教育長さん方や校長先生方の中に、学級20人の規模というのは先ほどちょっと経験則的に申し上げましたが、やっぱり20人学級はつくりたい、つまり20人の大体掛け算120、つまり100人を割りたくないと。100人を割ったときにはちょっと危険水域に入っていた。それが複式になっていない、あるいは、一学年、一部だけ複式であるような、あるいは、なり得るような状態であってもそれについてはやはり統合を考えなきゃいけないということは多々伺いますし、今まで統合を進めてきた学校の中にもすべてがそういう完全複式の学校ではなしに、複式になっていない学校同士の統合ということもあります。
 ですので、そういう意味ではやはり適正規模といいますか、やはり学校の活力維持のための集団づくりということについては非常に関心をお持ちになって取り組まれていると認識しております。
 次に、加配がこれだけ入っているということなんですが、それを県が広報するというのもあるんですけれども、なかなか理解はしていただけない。住民にとっては、やはり先生1人来てくれたという喜びは一方あるんですけれども、教員にも誰が加配ですよという看板をつけているわけではありませんので、なかなかそれは見えにくいし、時限的なものでもあるということもありますので、県からここを広報するということは難しいのかなと。
 ただ、私たちとして願うならば、校長先生や教育長さんはやはり地域にこのことをやはり言ってほしいなという、ちょっと甘えた考えかもわかりませんが、そこを住民にも理解していただく、県は頑張ってやっていますよということを見せていきたいなとは思っております。
 あと、統合加配が一体どのような働きをするかということは、岩橋が先ほど申し上げましたように、思ったような動きをしていないケースがやっぱりあるわけなんです。つまり、加配を入れたとしても、それはいわゆる1人先生が増えたというだけの認識であると。それは先ほどの統合校づくりというところとつながってくるところがあって、校長先生も、ともかく仲よくみんなで動いていければいいということが先になっていて、その統合加配をもらったんだから新しい学校づくりをするんだというところになかなかたどり着けてないケースがある。それをどのように教育委員会として支援をするかと。
 そういう意味では、先ほどおっしゃっていただきましたように、そういう指針のようなものをきっちりつくって、こういうふうな学校づくりをしていきませんかということをやはり私たちが提案していくということは非常に重要なキーワードではないかなというふうには思っております。
 ちょっと答えにならないところがあります。申しわけございません。

【小川主査】
 貞広委員、今のお答えのうち、前のほうの質問についてのお答えは、今の内容でよろしいですか。少しまだ若干ずれていたような感じもするんですが、よろしいですか。

【貞広委員】
 時間が。

【小川主査】
 じゃあ、また後でちょっと。わかりました。
 では、あとは中西委員と西川委員でしたでしょうか。

【西川委員】
 結構です。

【小川主査】
 そうですか。じゃあ、中西委員、どうぞ。

【中西委員】
 ありがとうございます。
 シンプルな質問なんですけど、県で独自に適正規模を設けられて中学校を引き下げられているわけですね。それから年月がそれほどたってないと思うので、実際の統合の数というのは限られていると思うんですけれども、その将来的な見通しも含めて、この引き下げたことによるリアクション、あるいは、どういうふうに見ていらっしゃるかということを伺いたいと思います。

【田村副課長】
 ニュービジョン会議の中での議論があったのは、実は和歌山県は国の基準でいうと中学校は適正規模を下回る学校の割合が8割になります。この8割にある学校をそのままこの基準を使っていくことが市町村にとっての何か非常に強い圧力やプレッシャーにならないだろうか。あるいは、空数字というんですかね、何か理念だけが先行していて実態に即してないじゃないか、そのあたりで6、そして、9とか、いわゆる割り切れる数ですけれども、その中でいろいろな議論が揺れました。
 その中では、県としてはやはり現状の中でより認識されて取り組みやすい、それでいて、一定小規模でも国の基準を下回っていても各委員からいいと言ってくださっているというところの数字で9としました。
 このことがどういうふうに動いているかと。実は中学校の統合というのがまだ数がそれほどありませんのでなかなか実証的なことは申し上げられませんが、特に教育委員会のほうからはそのことで何かご意見があったりということはないというのが実情でございます。

【小川主査】
 よろしいですか。
 じゃあ、岩﨑委員、ここで。

【岩﨑委員】
 ありがとうございます。
 私は新採用のときがへき地の小規模校でございまして、複式の経験もございます。そして、今は行政として過大規模校になったそれの解決のためにどうするかということで、ほんとうに両極端にいるわけなんですが、本当にご苦労がたくさんあっただろうということを考えながらお聞かせいただきました。ありがとうございました。
 そこで、1つだけ人事にかかわる問題でお教えいただきたいなというのがございます。
 例えば加配教員の配置ということでございますので、これは統合した学校に配置されるということでございますので大きな責務があるだろうと思うんです。そのための配置の条件というか、加配の先生をどういうふうに選ばれるのかというのが1つでございます。
 それから、当然、統合されたら教職員の数は減るだろうと思います。先ほどのご説明ですと800万の10人で8,000万というふうな計算もされていたようでございますけれども、その余剰の教職員をどのようになさったのかということ、それから、当然管理職も減っていくわけでございますから管理職をどのようにされたのかという問題、それと、当然、若い先生の採用というふうなことも大事なことだと思います、活性化のためには。その採用についてどのようなお考えがあったのかなというのをお聞かせいただけたらと思います。

【小川主査】
 それでは、人事にかかわって2点、よろしくお願いします。

【田村副課長】
 統合加配の人選は非常に重要な観点でありまして、突然行っても地域性がわからない人間がなかなかこういう働きはできない。ということは、統合前の学校の中で核になっていた先生がそういう役割を担うということで加配枠になって、そして、他の先生が入るというケースが多くあると思っております。
 また、教員の余剰についてはこれは定数のほうでそれを読みながら採用枠をどうするかということを見ながらやっておりまして、今のところ、非常に混乱した状況はありません。
 あと、管理職についてはこれは一番人事のほうから意見がありまして、こういうふうに学校が減っていったら管理職を降格できない中で、ポストがなくなってどうするのかということで、管理職登用のことについては非常にいろいろな議論があって、市町村の中では学校減によって待機組が増えていることについて少し懸念する意見をされるケースがあります。
 若い教師の採用については積極的にこういう統合校へも入れるということも視野に入れながら実施しております。

【小川主査】
 よろしいですか。

【岩﨑委員】
 ありがとうございました。

【小川主査】
 時間ももう迫っていますので、これくらいでよろしいでしょうか。
 ただ、ちょっと僕も司会をやっていてなかなか発言できないので、ちょっとわがまま言わせていただいて、1件だけどうしてもお聞きしたいのは、この作業部会とすれば国として何かサポートとなる施策を考えていくというのが1つ大きな課題になると思うんですが、それにかかわってちょっとお考えをお聞かせいただきたいことは、今後の課題の(2)で「地域の実情に応じた学級編制基準と運用」という項が掲げられていますよね。これのちょっともう少し具体的な中身を聞きたいということなんですけど。
 つまり、今の法制度のもとでも学級編制の基準や運用という点については、県が独自にできることはたくさんありますよね。学級編制基準も県で決めることができますし、先生方をどういうふうに県内の各市町村の学校に配当するかというのは県独自の配当基準をいろいろつくれるわけですから、そういう県が今の法制度のもとでも自由にできる部分と、しかし、やっぱりそれでも統廃合を進めていく上で県の今持っている裁量の権限だけではどうしても対応でき切れないということで、こういうふうなご提案がなされているかと思うんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。何か具体的にどういうことを考えられているのかというのをお伺いしたいのですが。

【田村副課長】
 今言われたように県もかなり裁量権を持っていますので、学級編制について非常に弾力的に考えることはできますが、ただ、一つ懸念をするのは、じゃあ、そこが統合するからいろいろ弾力的にしていきましょうとか、統合の可能性があるから対応しましょうというようなことをなかなか制度として打ち出しにくい部分があります。
 というのは、生徒の数というのはそういう小規模校ですので年次によって非常に揺れがあります。ですから、そういった中で一たん制度として入れてしまうとその学校が特別の学級編制が認められるような学校になるというような認識を持つケースもあるのかなと思います。
 ただ、ここで書かせていただいているのは、いわゆる12から18とか9から18というようなそういう学級編制の規模を適正化の基準に置くということが、その基準まで達するまで統合を進めていかなければいけないということを市町村が思ってしまわないかということへの懸念であります。
 つまり、当時この新教育システムで議論したときの大学の先生方からのご提言の中で出てきたものですけれども、いわゆる統合というのが優先されて学校規模を大きくすることが何でもいいわけではなくて、やはり地域やそういう子どもたちの実情に応じた中でこの規模を下回っていてもいい状況がやはりあるわけなんです。基準を出すことによって、いわゆる機械的にそこへ近づけるために物事が動いていくことは非常に危険性があると。そのことについての戒めというんですか、そういう制度というものに縛られた形になると形骸化しますよと。ですから、そこは慎重に考えてくださいというご意見のもとに、私たちもそういう考えは持たなきゃいけないということで書かせていただいた部分でございます。

【小川主査】
 例えば、学級編制の権限を市町村に下ろすとその辺のところはかなり市町村独自で考えて状況に対応するということでよろしいんですか。

【田村副課長】
 ただ、そう下ろした場合にそれだけ人がついていくかということがありますね。つまり、うちがそうやって下ろしたから、だから先生をたくさんくださいといったときに、はい、どうぞといって県が出すかというと、国へ出すときにはそういうことではなしに法定数のもとに数が来るわけでして、その中でそれをいろいろ運用しながら配っていく中でそういうことが実際できるかと。
 市町村にそういう人事権なり任用権なりが下りていけば、それは独自にいろいろのお考えの中でやっていけるのかもわかりませんが、現行制度の中であっては市町村がそういうふうな独自性を持つということはやっぱり非常に難しいんではないかなと思います。

【小川主査】
 わかりました。
 では、よろしいでしょうか。ちょっと予定よりもオーバーしましたけれども、非常に充実した報告をいただきまして、本当にありがとうございました。
 では、これで和歌山県からのヒアリングは終えたいと思います。ありがとうございました。
 では、残りの時間をもう一つの、審議というよりも事務局のほうからこの間、学校選択制をめぐっていろんな動きがありますので、その情報を少し提供していただいて、次回以降、必要であれば、今日ご報告あるかと思いますけれども、この間、学校選択制の運用の見直しを行ってきている自治体が例えば群馬県の前橋市とか東京都の江東区とありますので、今日はその辺の情報を提供していただきながら、必要があればヒアリング等々に来ていただいて具体的に自治体からお話を伺うということも想定して少しこれから関係資料を事務局のほうからご説明いただきたいと思います。

【佐藤教育制度改革室長】
 ありがとうございます。
 それでは、お時間もあまりございませんので、できるだけ簡略化してご説明をさせていただきます。
 配付資料のうち、3-1が江東区の事例、それから、3-2が前橋市の事例、それから、新聞記事が3-3として入ってございます。それと、あと、机上配付の中で、すみません、追加でご配付をさせていただきました江東区のほうの関係の資料で、実は江東区のもともとお配りしていた資料だけですとなかなか今回の見直しの前後でどういうふうに変わったのかというあたりがわかりづらいということもありまして、改めてちょっと江東区のほうにお願いをいたしまして、学校選択制の改正に関する概要の新旧対照というものを一枚紙でA4でお配りしてございます。こちらのほうで少しご説明をさせていただきたいと思いますので、そちらのほうをお目通しをいただければと思います。
 今、主査のほうからありましたように、本来この場にできれば今回お取り組みをいただいた江東区や前橋市の担当者の方をお呼びしてお話をお聞きできればということも考えたんですけれども、ちょっと日程が合わなかったものですから今回お呼びできませんでした。できるだけそういった場を我々としても調整をいたしまして設けたいと思ってございますが、若干幾つか新聞報道等もされましたので、我々のほうでわかっている範囲で今日ご説明を残りの時間させていただきたいと存じます。
 まず、江東区でございますけれども、大まかに今申し上げた新旧対照をちょっとご参照いただければと存じますが、これまでは小学校、中学校に関しまして全域で自由選択制ということを取り入れたわけでございますが、今回の見直し案によりまして、中学校のほうは特に変更ございませんが、小学校につきまして原則徒歩で通える範囲という形である程度選択の範囲をすぼめると、限定するという形でのこれは見直しでございます。廃止ということではなくて、一部見直しを行ったということでございます。
 その点につきましては、お配りいたしました資料をちょっとご参照いただければと思いますが、そもそも江東区は、平成14年にこの制度を導入いたしまして、平成21年から見直しをすることを先日発表されたということでございます。
 特に小学校の部分でございますが、改正案のところで、そこにございますとおり区域内全域で、ただし各学校の受け入れ可能な人数の範囲という限定がこれは従前からついてございましたが、特にその部分に加えまして、小学校につきましては原則として徒歩で通学できる範囲という形で加えられたところでございます。
 それと、あと、実際に手続の面でございますが、抽選の決定及び方法について、3つ目の項目でございますけれども、そこに従来は「受入れ可能人数を超過し、希望者全員の受入れが困難な場合は、公開抽選により入学者を決定する」ということでございましたが、その点につきましてさらに加えまして、「希望状況により基準学級数を増やすことは行わない」ということで、ここで一定の線引きをされているところでございます。
 実際、今回こういう見直しを江東区がされたということにつきまして、我々のほうで少しご確認をさせていただきましたところ、アンケート調査なども行っていただきながら、教育委員会の中に教育長を委員長といたします学校選択制度検討委員会というのを本年4月に設けまして、平成14年度から一定期間過ぎたということもあって、そこで検証作業を行ったということでございました。
 実際にアンケートの結果でございますけれども、これは対象は保護者の方を中心としたアンケートでございましたが、大体6割が選択制に賛成ということであったようでございますが、残りの5%が反対、35%がどちらとも言えないという結果であったようでございます。
 ただ、こういう調査結果も踏まえながら、保護者の支持を得ていると見ることはできるものの、やはり制度をこのまま継続していくということについてはその地域との関係、それから、学校間の教員の配置でございますとか、あと、子どもの数といった点でもかなり変動が激しいということもあって、一部見直しをすると。特に小学校について今回、通学区域という面での見直しをしていこうということになったというお話でございました。
 これが一応江東区の概要でございます。
 それから、前橋市でございますが、こちらのほうが比較的どういった点に着目してお見直しをされたかということが後ろの資料で少し詳しく出ておりますので、そちらをちょっとご紹介させていただきますが、まず、概略といたしまして何が変わったのかというところでございますと、従来こちらの群馬県前橋市につきましては、小学校につきましては自宅から学校までの直線距離で大体4キロ以内の学校を選択できるという規定で学校選択制を導入していました。さらに、中学校のほうは同じように6キロ以内の学校を選択するという規定でございましたものを、原則これは学校選択制を廃止いたしまして、通学区域の指定学校という従来の通学区域の指定という形に戻すということでございます。
 ただ、若干これは例外がございまして、1枚目の概要のところに、2番目でございますけれども、通学区域に関する条件というのが一部ございまして、従来の小学校4キロ、中学校6キロという規定が現行にございますけれども、その右側に見直し後、これは平成23年度からということになってございますが、こちらのほうで例外規定として小学校につきましては直線距離が1.5キロ以内を越え、かつ、希望する学校までの直線距離が指定までの学校の直線距離の2分の1以下の希望する学校に通学することができると、大変これは難しい規定になってございます。
 イメージとして、おめくりいただきまして後ろの、若干図示してございますので、こちらをちょっとお目通しいただければでございます。
 小学校、中学校、それぞれ示してありますが、学校から小学校の場合ですと1.5キロ以内、中学校の場合ですと2キロ以内ということで、こういった距離の中に自宅がある場合は原則ここの通学区域の中での学校にお通いをいただくと。
 ただ、この範囲を越えた場合に、さらに直線距離にして当該一定の距離の2倍、ですから3キロ、3キロの距離と比較してそれよりも短い範囲に直線距離で小学校が別の学区にあった場合、これはそちらのほうでお通いいただいていいというような規定で、こういう例外規定は残されるということで、これは、ただ、学校選択制ということではなくて、通学区域を指定していくという中での変更という取り組みにされていくということでございます。
 そもそもこういうことをご検討された経緯というのが、次のページに「学校選択制見直しの基本方針」というのを以下、教育委員会のほうでおまとめいただいたものがございます。
 そもそも1枚目に学校選択制を導入したときの背景というものが幾つか挙げてございます。前回にいろいろ全国の状況なども少しご紹介させていただきましたが、そういったものとほぼ軌を一にするものでございますけれども、特に前橋市の場合においては特色ある学校づくりということでございますとか、通学距離や安全面を考慮した上で就学すべき学校を自らの意志で選択できるようにするということでございますとか、教職員の意識改革、それから、積極的な保護者、児童生徒の学校への関わりといったものを選択制の導入に当たっては必要性を感じてこういったものを導入されたということでございました。規定を見直して導入されたわけでございます。
 1枚おめくりいただきまして、実際に、じゃあ、選択制の成果というものはどうだったのかということを検証していただいています。比較的簡単なものではございますけれども、やはり小・中学校とも住居からの近さという点で学校を選択できるようになったということと、あとは、中学校へ進学した生徒が自ら取り組みたい部活動という点から選ばれていると。これは特色ある学校づくりや生徒の意欲づけという点でメリットがあったのではないかということは検証していただいていますが、ただ、やはり課題も幾つか出てきたということで3以降に出てございます。
 まず、(1)といたしまして、地域自治会、子ども会育成会等、居住地域との関係の希薄化というところを挙げてございます。児童生徒と地域との関係の希薄化により、地域の教育力の支援というものが得づらくなってきているというのが(1)でございます。
 それから、(2)が登下校の安全確保がやはり困難になってきたということを挙げてございます。指定された学校区域外から、選択制で希望した学校へ通学するために、やはり通学区域内のバスの利用が難しいというようなこともございまして、こういった安全面からの指摘というのがございます。
 次の3ページでございますが、実際にそういった状況を踏まえますと、長距離を通学する子どもたちが多いということで個人的な送迎というものが増加することになって、学校周辺の事故対策という面も必要性が生じてきているというような課題を挙げてございます。
 それから、(3)でございますが、生徒数の偏りというものが発生していると。これは当然予想されたことでございますが、こういった現象があると。
 (4)でございますが、学校選択制導入の目的から外れた状況の存在とありますが、これはやはり選択される場合にどういった視点で選択が行われているかという点に着目したものでございますけれども、例えば、学習状況や生徒指導面の噂や風聞による選択となってしまっていることでございますとか、中高一貫校の受験や附属中学校受験の予防策という面でとらえられている面があるというような点を挙げてございます。
 そういった点で幾つかこれ以外にもご分析をされているようでございますが、こういったことを背景に、前橋市につきましては今回の見直しをされるということで発表になったわけでございます。
 できれば、こういったお取り組みについてもう少しそれぞれの地域の自主政策判断にどういったプロセスでどういう材料をもとにご判断をされたかということをできれば我々としてももう少し詳細に聞いてみたいというところもございますので、こちらはまた主査とご相談の上でできればヒアリングのような形でとらせていただければと考えてございます。
 簡単でございますが、以上でございます。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 今の事務局のほうからの何かこの江東区と前橋市の資料の説明について何かご意見がございますか。今、事務局のほうからもお話がありましたように、可能であればこの2つの自治体にお願いしてこの場に一度来ていただいて何かいろいろ具体的にお話を伺いたいなと思っていますので、その際にでも質問があるかと思いますけれども、何か今のこの説明に関して何かご意見があれば。じゃあ、どうぞ。

【角田副主査】
 ありがとうございます。
 学校選択制の問題にしても、それから、全然違うと思われるかもしれないけれども、2学期制の問題にしても、何かはやりのような形で一時わっと広がって、それが今数年たって見直しをされてきていると。そこのところに初めて、当然そういうことが予測されるであろうというようなことが現実問題として出てきているということが、今の江東区の場合にしても前橋市の場合にしても出てきているんですね。
 地域の希薄化ということは当然これは予測されていることでしたし、それから、小学校なんかでは学習指導をしていく際に例えば生活科なんていうのは自分たちの生活に密着したところのものを題材にして扱いますよと、総合的な学習でもそうですよと、そういうふうに言われていたことが危惧されたことが出てきているわけで、非常にこれは大事な、教育として重要な視点ではないかなと私は思っています。
 この問題を考えるときに、やっぱりへき地の統合の場合と、それから、都市部の場合の統合の場合というのは全然条件が違ってくるような感じがするんですね。だから、その辺のところを一つ分けなければいけないだろうと思います。
 さりながら、都市部とその周辺部で違うといいながら、やっぱり学校に対する思いだとか、さっきの地域の希薄化だとかという問題は共通している部分が随分あるだろうと思うんです。
 先ほど私は和歌山県のときに質問ができなかったんですけれども、あるテレビキャスターが自分が秋田の出身なんだけれども自分の母校が廃校になってしまうと、非常に寂しい思いなんですよというようなことをテレビでお話になっていたんですね。やっぱりそういう思いというのは全国どこでも、これは都市部であろうと周辺部であろうとへき地山間だろうと同じなんだろうと思うんですね。ですから難しいんだろうと思いますけれど。
 それでいながら、統廃合をする。財政的なことでやってもそれほどメリットがあるわけではありませんよと。そして、統合、廃校した後で教育方法にしても内容にしても充実感というのは子どもたちにとっても先生方にとっても保護者にとってもないですよといったら、何もメリットなんかないじゃないかというふうなこと。
 つまり、統廃合ありきとか、それから、2学期制ありきという何かその雰囲気に流されてわっとやってしまって、そのことが長く続いていくような感じ、この辺でやっぱりきちっとこういうことについて見直しをちゃんとして、そして、中教審という場で私は提言をしていかなければいけないのではないかなと。この場所がそのことを審議する場所ではないのかもしれませんけれども、何かそういうふうな見直しの時期にきちっと当たっているのではないかなと。
 そして、もしも統廃合するんだったらば、ただ統廃合というだけがありきじゃなくて、幾つかの学校が通常の授業をやりながら、例えば山村留学じゃないですけれども、あるいは、今、農山漁村体験なんていうようなことが盛んに言われていますから、何校かの学校が合わさってある時期期間一緒に生活をするとか、あるいは、加配の教員をただの普通の教員を持ってくるんじゃなくて、企業の営業をやっている人が入って、この人は加配ですよとあくまではっきりわかるような、そういう大胆な施策をとるとかということをしていかないと、統廃合をやってもちっとも住民からも学校からもメリットがないと、これじゃあ僕は意味がないなというような感じがしてしようがないんですね。
 大変ご努力いただいて、今日の和歌山の発表はご苦労さまだなというような感じはしますけれども、そこの辺のところを踏まえてもう一回きちっと見直しをしていくことが必要だなと。そのためにも、ぜひ江東区だとか前橋市のところからもう少し詳しい、なぜこういうふうなことに見直しをせざるを得なくなったのかということは聞かせていただければありがたいなと思っています。
 以上です。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 じゃあ、今の問題も含めて、次回以降、中間まとめ案をまとめる方向で審議を進めていきたいと思いますけれども。
 今後の日程等々について何か事務局のほうからご提案があれば、よろしくお願いいたします。

【佐藤教育制度改革室長】
 ありがとうございます。
 詳しい日程につきましては、また先生方にご照会をさせていただいて調整をさせていただきたいと思いますが、できるだけ時間をあけずにとりまとめのほうをさせていただきたいと存じますので、またご協力をお願いできればと存じます。
 よろしくお願い申し上げます。

【小川主査】
 では、若干時間がオーバーしましたけれども、これで今日の議案すべて終わりました。ありがとうございました。これで終わります。

─ 了 ─

 

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(初等中等教育局初等中等教育企画課)