小・中学校の設置・運営の在り方等に関する作業部会(第6回) 議事録

1.日時

平成20年8月27日(水曜日)10時~12時

2.場所

中央合同庁舎第7号館(文部科学省)東館3階 1特別会議室

3.議題

  1. 有識者からの学校選択制に関するヒアリング ・藤田晃之氏(国立教育政策研究所総括研究官)
  2. コミュニティ・スクール、学校選択制について(意見交換)
  3. その他

4.議事録

【小川主査】
 では、定刻になりましたので、第6回小・中学校の設置・運営の在り方等に関する作業部会を開催いたしたいと思います。お忙しい中、ご出席いただきまして誠にありがとうございます。
 まず、今日の議事に関係します配付資料の確認について事務局からお願いいたします。

【佐藤教育制度改革室長】
 失礼いたします。1枚目の「議事次第」の4枚目、「配付資料」のところをご参照いただければと存じますが、全部で4種類お配りしてございます。資料1が委員の名簿、それから資料2といたしまして藤田先生の発表資料、それから資料3、資料4といたしまして後半の意見交換の中でコミュニティ・スクールと学校選択制に関しまして、これまでの議論も踏まえまして、ご意見を交換していただくに当たってのご参考にと思いまして、検討項目のような形で少し整理をさせていただいてございます。ご活用いただければと存じます。
 もし不備等ございましたら、事務局までお申しつけくださいませ。よろしくお願いいたします。

【小川主査】
 資料のほう、よろしいでしょうか。
 それでは、これより議事に入りたいと思います。きょうはご案内のように、まず学校選択制について、国立教育政策研究所の生徒指導研究センター、藤田晃之総括研究官より、資料2、学校選択制に関する発表をお願いいたしたいと思います。
 その後に、今の資料3、4に沿ってコミュニティ・スクール及び学校選択制に関するこれからの審議にかかわる検討項目について少し意見交換をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 では、最初に藤田研究官のほうから発表をよろしくお願いいたします。

【藤田総括研究官】
 よろしくお願いいたします。国立教育政策研究所の藤田でございます。先生方のお手元の資料2に沿いまして発表させていただきたいと思います。私が承っております時間帯、25分までというふうに承っておりますので、なるべくその時間帯におさめてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず関連事項の整理といたしまして、今回の発表での用語の規定をしたいと思います。私、今回は市場型学校選択制度という言葉を使わせていただきたいと思います。この用語でございますが、まず1-1というふうに整理いたしまして、平成9年度から通学区域の弾力的運用などが始まっておりまして、既に非市場型ともいうべき弾力的な運用ですとか、学校選択制度については制度化がされております。それが1-2に示しましたとおりでございます。例えば、特認校制度であるとか、特定地域選択制であるとか、そういった従来型の学校選択制度の発表では、非市場型の学校選択制というふうに呼びたいと思います。
 今回、私が前提としておりますのは、その非市場型学校選択制度というのは今日的な意味を非常に有すると考えております。1-2に戻っていただきまして、例えば特認校制度、札幌市の例を挙げておきましたが、市の中心部に位置し、過疎化が進みながらも、自然環境に恵まれた立地条件と小規模校の優れた面を生かすことのできる学校を小規模特認校とし、就学を希望する人々への通学可能な範囲の校区を開放すると。あるいは、特定地域選択制でございますが、これも事例でございますけれども、宅地造成等による人口の急増に対応して、通学区域の再編成を行った場合、その旧区域に基づく就学をあわせて認める。そうしたときに、学校の設置による新たな通学区域が、町内会などの従来からあるコミュニティを分断してしまうことを避ける、こういった制度については従来どおり確認をし、また、保持していく必要があるというふうに私個人は考えております。
 今回問題にしたいのは、市場型の学校選択制度。このページの一番下にございますが、A、B、Cにまとめました自由選択制、ブロック選択制等について考えてまいりたいと思います。
 そして、次のページ、2ページをごらんください。市場型学校選択制度でございますけれども、これにつきましては、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」の中で全国的な普及を図るというふうに言われ、その後も、幾つか事例を挙げておきましたけれども、やはり骨太の方針と言われる中で、2回ほど学校選択制については起用していくんだという指摘がございます。特にそれに関して明確に指摘をしたものが、そのページの下のほうにございますが、「規制改革・民間開放の推進に関する第2次答申」の中で、学校選択制が今、十分に保障されていないのは、一番最後の行でございますが、児童生徒・保護者に本来与えられるべき選択権が与えられていないことにある、そういうところが問題なんだ。ですから、裏を返しますと、すぐさまにでも学校選択制というのを保障していかなくてはいけないんだというような答申も出ているところでございます。
 先生方、既にご存じのように、今回、私が対象としております市場型学校選択制度というのは、全自治体のうち数%の導入にとどまっております。この導入にとどまっているものを、今後、普及・促進させることについて、その妥当性あるいは必要性等について、これから20分ほどで検討していきたいというのが今回の発表の目安でございます。
 それでは、中身に入ってまいります。3ページをごらんください。今回、私、市場型学校選択制度の課題としまして、幾つかつくってまいりました。これは私が任意に設定をしたものでございますので、全く順不同でございますが、お許しいただきたいと思います。
 まずは、学校の情報公開とその利用について考えてみたいと思います。まず、これは平成17年11月に深谷先生が監修されて発表された研究成果でございますが、2-1をごらんください。これは、中学校の学校選択制を実施している東京の2つの区の公立小学校6年生の保護者を対象として2004年に行われた調査ですが、校区外の中学校を選んだ保護者の情報源としまして、例えば60%を超える親御さんが、中学校主催の学校説明会に参加していると言っています。また、中学校で配付される資料を読んだ親御さんも半数を超える状況です。しかしながら、そういう活発な情報収集、中学校の情報発信というのが利用されているにもかかわらず、重視した情報、その下の表でございますが、その中で重視したものというのを見ますと、「親同士の情報交換・評判」「地域の評判や在校生の過ごし方」というのが25%を超えていくような状況でございます。せっかく手に入れた学校の説明会の資料等は、その評判に劣ってしまう、活用が低いということが見てとれます。ですから、こういった評判や風評に多少の影響が与えられるのではないか、そういうふうな危険性が危惧されるところでございます。
 また、同じ調査では、どのようにして学校選択が行われるのか、選択行動について報告されておりました。ここで私、申し上げたいことは、この下のグラフでございますが、項目を整理したのは私でございます。例えば、「教科指導 カリキュラム」という項目をつくったり、あるいは「生徒指導 課外活動」という項目をつくったりしたのは私でございますが、項目自体は調査に沿って出しております。ここでごらんいただきたいのは、教科指導やカリキュラムに対して「重視する」「とても重視する」という黒いところの数字をごらんいただきたいと思うのですが、カリキュラム等に関して重視するというより、むしろ学校の手が及ばない、例えば「学校がよい地域にある」ですとか、「自宅からの距離が最も近い」ですとか、「小学校の仲のよい友達が一である」、あるいはもう少し上に行きまして、「複合要因による結果」、「いじめや不登校の生徒が少ない」といったようなところが非常に多い選択理由になっているということが見てとれます。また、もう一つ、特徴的なのは、PTA活動に関して活発であるか否かを重視する割合が非常に低いということも特徴的に見られます。ですので、ここでこの結果からいえますことは、学校の情報発信というのが十分利用されないまま、風評等に左右される危険性ということと同時に、学校が手の及ばない立地条件等に左右される学校選択行動が見てとれるのではないかと考えました。
 次に4ページをごらんください。こちらでは、一部の自治体で、その自治体ごとに実施されるいわゆる学力テストの調査結果の報告ということですけれども、一部の自治体では学校名を具体的に挙げながら、比較対象ができるような、そういった調査結果の報告というのをやっております。ここでは足立区、それから荒川区の例を挙げましたが、インターネット等で配信され、だれでもアクセスができる、すなわち学校名と、その点数がだれでも把握ができるという状況にございます。
 ここで注目したいことは、学校の点数というのがひとり歩きをしてしまう危険性がある。すなわち、学校で発信する情報というのは十分活用されない危険性があるのですが、この点数に関しましては、だれが見ても一目瞭然ということがございます。この点数があたかも学校の先生方の努力の成果のようにとらえられてしまう危険性があるのではないか。もう少し申し上げますと、もともとの地域性、例えばほんとうの一例でございますけれども、外国人、しかもニューカマーと呼ばれる、まだ日本語のない十分でない子どもたちが多い地域、当然のことながら、学力テストを実施すると低い結果にならざるを得ないわけですが、そういった地域特性というのが一切無視されてしまい、この学校はいい学校、この学校はよくない学校というような一律の判断を生む危険性というのがこういったところに出てくると。ですから、学校側の情報発信をどうしていくのか、その活用をどのように促進していくのかというところが、まず学校選択制の一義的な課題ではないかと私は感じております。
 次に、5ページをごらんください。現在、学校・家庭・地域社会が連携して地域活動を進めていくべきだということは広く提唱されております。また新たに成立いたしました教育基本法の13条におきましても、学校・家庭・地域の連携ということが求められております。そういった中で、いかに学校と家庭や地域が手を結ぶかということにつきましては、例えば、今、キャリア教育の中で注目されております職場体験学習なども一つの例に挙げられるかと思います。
 ここで紹介しております3-1でございますが、事例研究でございます。ある地域のA中学校、B中学校、C中学校を挙げまして、AとCを比較した結果です。どこが違うかといいますと、A中学校では、自分が体験したい職場を広域範囲の中から自由に選んできてそこで体験する。そしてC中学校では、地元企業や農家などを中心とした地元限定で、いわゆる通学区域の中で体験させると、そういったところでございます。中身は今回読んでいる時間はございませんので、朗読することは避けますが、結果としてこの報告書が言っていることは、C中学校の実践のほうが、例えば人間関係の深さであるとか、あるいは対人自信の向上であるとかについて明らかに差が見られるというような結論を導いております。ですので、地域密着型、すなわち自分の地域の子どもは自分で育てるという受入側の態度にも大きな影響を与えることが、ここから読み取ることができるかと思います。
 また、同じように、地域と家庭との連携、地域の概念ということにつきまして6ページをごらんください。3-2と示しましたのが平成2年の調査、若干古い調査なのですけれども、東京都、それから福井県、それから千葉県の小学生の母親に対して学校通しの質問紙調査が実施されたことがございます。その調査結果として、「地域」という言葉がどういう範囲を意味すると理解するかというふうに問いましたところ、多くの保護者が、全国平均でいきますと67.6%でございますが、「同じ学区域」というのを地域というふうに認識している。ですから、「地域の学校」「地域社会」といった場合、やはり子どもを持つ親は学校の学校区、通学区域を地域として認識しているということがわかります。これが学校の自由選択制あるいはブロック選択制のように拡散していった場合、この地域概念、特に学校と地域社会との連携といった連携の太さ、密接さがどのように変わってくるのかということも、今後、ご議論いただきたいところだというふうに私個人は考えております。
 次に、同じページの4番をごらんください。「こども間の地縁コミュニティ」という課題を設定いたしました。すなわち、学校の中では当然、交遊関係が深まるわけですが、放課後あるいは休日のとき、子どもたちがどのような交遊関係を取り結んでいくのかということについて、やはり議論すべきだろうと考えます。例えば、同じようなベネッセの調査でございますけれども、1998年、これも若干古い調査になりますが、塾等での交遊関係がどのようなものかというこにつきまして調査されたものがございました。ここでは、本文、一部自由記述等も含めて紹介してございますので、ここにつきましては6ページの下から7ページにつきまして読ませていただきたいと思います。引用いたします。
 5、6年で塾やおけいこごとなど校外学習の場を持つ子は、塾で49%、おけいこごとで46%、スポーツ教室で33%、子ども会で47%、児童館などで24%となっている。こうした校外学習の機会に友だちを見つけている子は、塾へ行っている子の77%、おけいこごとでは69%、スポーツ教室では91%、子ども会で73%、児童館などで42%が、そうした場で仲良くしている友だちが「いる」と答えている。見方によっては、こうした校外学習の活動は、最近では友だちづくりのための「意味ある場」となっているの先ほど言いました。しかし、そこでできた友だちとは、その場を離れても交遊が続くのだろうか。そこでおしゃべりをする程度の、単なる顔見知りにすぎないのではなかろうか。最近の子どもにとっての友だちとは、血縁や地縁ではなく、ひたすら学校文化の支配を受けて成立している人間関係ということになりそうだ。
 これは自由記述等の結果も踏まえた結論でございますが、やはり学校の持つ意味、要するに友達関係、放課後ですとか休日にまで学校の友達関係の影響力が非常に及んでいるという結論を結んでおります。ということを考えておりますと、学校が自由選択制がとられた場合、その友達が広域にわたって広がる。あるいは同じアパート、同じマンションの中でも、学校の友達ではない同学年の子どもたち、あるいは年の近い子どもたちがそこにいる。しかし、学校が違うゆえに地縁コミュニティが十分には成立しない可能性がこういった指摘から読み取れるのではないか。こういったことも今後、十分検討する必要があると私個人は考えます。
 次に、7ページの5番をごらんください。教員の定期異動につきましても、私は課題だというふうに考えております。なぜかといいますと、やはり学校の特徴というのは、そこで働く人、特に教員によって形成される。また、リーダーシップを発揮する校長によっても大きく左右されるというふうに考えます。そこで、その学校が例えば小学校の場合6年間、あるいは中学校の場合3年間、あるいは一貫校の場合9年間ということになりますが、そういったスパンで特徴、特性を維持できるかどうかというのは、ひとえにその勤務校の勤務年数にかかってくる部分も非常に大きいかと思います。ですから、その点に関して現状がどうなっているかということにつきましてご報告申し上げます。
 まず、川崎市における同一勤務校年数でございますが、これは一般の教諭でございますけれども、読ませていただきます。
 市立学校教員の同一勤務年数(校長、教頭、初任者を含む)の平均は、平成16年10月1日現在、幼稚園では2.2年、小学校では3.8年、中学校では3.8年、高等学校では10.4年、ろう・養護学校では7.1年となっている。
 ここで注目したいのは、小学校で3.8年ということです。すなわち、小学校6年間のスパンでずっといらっしゃる先生はむしろ非常に少なくて、非常に短いサイクルで先生方が異動なさっているということがわかります。また、その下の事例になりますが、横浜市立学校の教職員人事異動制度の改革をごらんください。これは平成16年度に改革が行われたわけですが、新と旧、平成16年度の前と後が並べてございます。詳しいことは省略いたしますが、新しい制度のほうが在任期間を短めに設定しているということがわかります。また、異動の範囲も広くなっていることがわかります。すなわち、全国的傾向としては、先生方の異動を、同一勤務校を長くせずに、短めなサイクルの中で広く異動していく、学校の中の教育の平等であるとか、教育機会の平等というのを図っていくことが、この人事制度の動きとして見てとることができます。
 同じようなことが広島においてもいえるわけですが、8ページをごらんください。こちらが文部科学省による平成17年度の公立学校長あるいは教頭の登用状況について、退職された校長先生が1校当たりどのぐらいご在職だったかということについて調査した研究がございます。見ておりますと、ほぼこの3年間ですと大きな変容はございませんけれども、大きく特徴的なのが、小学校、中学校とも約3年、あるいは2.数年で校長先生が変わられる現実というのがこの調査から見てとれます。すなわち、学校のリーダーシップを発揮する校長先生が約3年で異動される。すなわち、学校に在学する6年間、小学校の場合はございますけれども、その6年間、1つの特徴を持った学校が維持できるかどうかということに関して、現在の制度はむしろ学校の特徴を維持するというよりも、教育機会の均等を前提とした、どの学校に行っても同じような教育が保障されるということを前提にした制度であるのでないか。そういった教員の異動の状況と学校選択制の関係というのも、やはり考えておかなくてはいけないのではないかと思います。
 次に課題の5番でございますが、地域間格差について申し上げます。これは私のデータでございますけれども、東京都内のある自治体に関しまして、平成18年度で、ある学校、この自治体は学校選択制を導入しているわけですが、転入率と転出率ということについて調査いたしました。その調査をした結果ですが、簡単に申し上げますと、9ページの上の図をごらんください。黒い四角、丸がございます。四角、丸につきましては小学校、中学校の違いでございますが、黒いところがいわゆる転出率が高い、バツがついているところがございますが、これもやや転出率が上回るというところでございます。白い丸、あるいは白い二重丸がございますが、白い二重丸というのは非常に転入率が高い、そして白い丸は、白い四角もそうですが、転入率がやや高いというところでございます。ここでAとCというところをごらんいただきますと、A地域はどの学校を見ても、転出率が高い地域でございます。C地域はどの学校を見ても転入率が高い。すなわち、転出率が高い学校と転入率が高い学校が地域性を持つということがここから類推されます。すなわち、学校の先生方お一人お一人の改善努力というより、むしろ地域的特性による学校選択が現実として行われているのではないか。これは、先ほど3ページでごらんいただきましたグラフにございましたような選択行動、別の研究でございますが、そういったものともあわせて考えられるべきだろうと考えます。
 また、海外の調査につきましては、ざっとご紹介するだけでございますが、ギリシャ、スペイン、イギリス、イスラエル、オランダ等に関する調査が国内の研究者によってなされています。その成果を簡略にまとめましたのが9ページの下にございますので、そこを読ませていただきます。
 いずれの研究も共通して、市場型学校選択制度による地域間格差が拡大しているということ、それから富裕層・中間層における活発な学校選択行動の実態というのが明らかになっているということが2つ共通して見られます。一方、既に言語・民族・収入などによる事実上のすみ分けの見られるアメリカでは、むしろ民族的・言語的マイノリティーに活発な学校選択行動が見られるというふうに報告されています。これにつきましては、劣悪な教育環境の回避行為であるとの分析がなされています。
 今回の資料には、先生方にはおつけしてございませんが、一部補足して数値をご紹介いたします。例えば、1993年と2003年、この10年間で学校選択が全米でどういう傾向にあるかということでございますが、公立校で、なおかつ地域で指定された学校ではない学校に通っている子どもの割合ですが、1993年では11%でございました。2003年では15.4%に増えています。ですから、この10年間で4.4ポイント増えたことになります。この増加でございますが、何がこの増加を支えているかといいますと、例えばアメリカの調査でございますが、その家庭収入、貧困とみなされる家庭の子どもたちが18.4%、2003年でございますけれども、これが公立学校で学校選択を行っている子どもたちの数です。また、その貧困ライン以上の、いわゆる普通の家庭の子どもたちは14%にとどまっております。ですから、貧困家庭の子どもたちがより多く学校選択をしているということがわかります。
 また、親の教育、最高の教育資格、いわゆる学位等のことでございますが、例えばハイスクールの卒業証書を持っていない親の家庭ですと、19.7%の子どもたちが学校選択を行っている。それとは対照的に、例えば学士号を持っている親の家庭の子どもですと、13.7%にとどまる。ですから、アメリカの場合ですと、より貧困の子どもが、より親の教育歴の短い家庭の子どもが学校選択を行っている。これは世界的に見ても非常に珍しい状況でございます。
 また、もう一つ、地域の問題でいきますと、例えば郊外に家を持っている、そういった子どもたちは13.1%しか学校選択行動を行っておりませんが、都市部、しかも都市中心部に住んでいる子どもたちが16.6%の学校選択を行っているという調査結果もございます。すなわち、アメリカの場合ですと、いわゆる言葉としてはあまり適切ではないのかもしれませんが、ゲットーと呼ばれるような都市の非常に貧困地域がございますが、そういった地域において学校選択が活発に行われているというようなことが見てとれます。これは先ほど下で読みましたとおり、劣悪な教育環境からの回避行動であるというふうに読み取ることができると思います。
 また、10ページ、最後のページをごらんください。これはアメリカにおけるPublic School Choiceと言われるものです。これはPublic School Choiceですので、もともと翻訳いたしますと、公立学校選択ということですが、これ、大文字で書いてあることにご注目ください。これはある法律、ご存じの先生が多いかと思いますが、1人も落ちこぼさないというふうな法律が今、アメリカで適用されていますが、その中で具体的にPublic School Choiceとして小文字でなく大文字の中で言われているものです。これはすなわち、教育困難校への行政介入の一環でございます。今日詳しくご説明する時間はございませんけれども、例えばアメリカの学校、教育困難校というふうにみなされた場合、必ず州の教育委員会等と年度到達目標というのを共同で各学校ごとに設定しなければなりません。
 この年度到達目標といいますのは、基本的にはその州の中で行われております一斉学力テストでの到達目標点というふうにご理解をいただければ結構かと思います。各学校ごとに、来年はこの点数で平均点でいきます、再来年はこういう点数でいきたいと思いますということが、各学校の状況にあわせて州の教育委員会と学校が共同で決定していくわけです。その目標に対して2年間未達成の場合、ここで学校選択制度というのが適用されます。すなわち、十分に教育が行われない学校にい続ける必要がない。それによって、保護者に学校の選択の権利を与えましょう。それと同時に専門的支援、すなわち教育委員会から、日本でいいますと指導主事に相当する方々が支援に来たりですとか、それから学校の中での教員における研修会を開いたりですとか、そういった学校の質を高める支援が同時に提供されます。同時に提供されつつも、その中にとどまっている必要はないですよというのが学校選択です。交通費についても公費負担がされます。
 そういった試みに対応して、それでも未達成が続いた場合、また教育的な支援というのがより追加されていきます。そして最終的に、そういった努力を重ねても未達成が続く場合には、いわゆるリストラというふうになりますが、学校の配置ですとか、それから校長を含めて全教職員の配置転換等が行われる。こういった中での学校選択制度。むしろ教育困難校に徹底的に適用していく方策の一つとして、その途中経過においてその学校にい続けなくてもいいですよという、そういう制度が運用されております。
 ですから、学校選択制度を考えた場合、こういった視点をどのように日本の学校に取り入れていくのか。すなわち、困難を抱えている学校が子どもたちを失っていく。そのときにどのような支援を同時に提供していくのかということについても十分な検討がなされる必要があるというふうに考えます。
 時間を2分ほどオーバーしてしまいましたが、お許しいただきたいと思います。以上でございます。

【小川主査】
 ありがとうございました。残り30分ほど時間がありますので、今の藤田先生からの報告についての質問、そしてまた意見交換等を行いたいと思います。では、どなたからでも構いませんので、どうぞ質問等がございましたら。髙岡委員、どうぞ。

【髙岡委員】
 ありがとうございました。大変興味深いデータを非常にわかりやすく教えていただきましてありがとうございました。
 最後のアメリカの、おっしゃったお話ですと、貧困層のほうが選択制を使うという、それが学校のある意味の教育困難校回避行動だというお話でしたけれども、もう少し親の心理状況といいますか、貧困層にそういう行動があらわれるのはなぜかということを教えていただけるとありがたいのですが。

【藤田総括研究官】
 ご質問ありがとうございます。今、髙岡先生からご指摘いただきました点ですけれども、アメリカにおきましては、長い間、人種隔離とも言っていいほどのすみ分けということがございました歴史的背景がございます。それは当然のごとく今、継続しているわけではないのですが、事実上、ある地域にある一定の人種、民族が集中して住んでいる状況がございます。その中で、地域間のいわゆる貧富の差というのは非常に明確にある。まずその特徴がございます。その貧富の差でございますけれども、都市部に貧困地域が集中しているというのがアメリカの特徴です。特に都市中心部、ビルとビルの谷間のイメージでございますが、そういったところに子どもたち、貧困家庭が集中している。すなわち、都市におけるいわゆるサービス業、あるいは製造業ではなくて建築業等に携わる、そういった、いわゆる言葉は選ばなくてはいけませんが、ブルーカラーの職についている家庭の子どもたちが狭いアパートに集中して住んでいる、そういったイメージがございます。
 その中で学校が運営されていくわけですが、どうしてもアメリカの場合ですと、中学校、高等学校、現在になってきますと、暴力ですとか、あるいは薬物の問題が広がってくる。それが非常に日本では想像ができないような状況の学校も混じっているところでございます。そういった中で、そういった危険が身近にある学校から、どうしても逃避せざるを得ない。あるいは、子どもをそこには在籍させてはいられないという親、そういった親の声をここから読み取ることができるのではないかということでございます。
 10ページにご紹介申し上げました学校選択制度、大文字のPublic School Choiceでございますが、そういったものに関して公費負担で交通費等も含めて、そういった選択行動を支援しようというような動きとしてとらえられると思います。
 以上です。

【小川主査】
 よろしいでしょうか。

【髙岡委員】
 はい。

【小川主査】
 ほかにどうでしょうか。じゃあ、山重委員。

【山重委員】
 ありがとうございました。私は、今回の報告についてはかなり大きな疑問を幾つか持っているんですけれども、それを幾つか述べさせていただいて、コメントをいただければと思っております。
 まず、市場型学校選択制というレッテルをつけておられる仕組みについてなんですけれども、どういう意味で使っておられるか、私自身よく理解できていないのですが、学校選択制、例えば市場型と呼んでおられるA、B、Cの3つの仕組みについてもいろいろなやり方があると思うんですね。そのやり方次第でデメリットを抑えられるような仕組みにもなると思うし、それから、最後のアメリカは非常に興味深かったのですけれども、どのような対応をとるかということでも随分仕組みが変わってくるという意味で、これらをまとめて議論するという趣旨がよく理解できないというのが1点です。その点についてちょっと教えていただければと思います。
 それから、メリットについて指摘されていなくて、デメリットだけを指摘されているわけですから、学校選択制に対する総合的な評価というよりは、注意しなければならない点のご指摘ではないかと思うのですが、このような観点から見ていくと、最初の情報公開については、私は学校での説明会とか、学校で配付される資料というのが、親にとってはあまり役立たない情報が出されていることが問題であって、もう少しそこを充実していくことが重要だということではないかと感じました。
 それから、地域との連携に関しても、よくわからなかったのですけれども、従来の学校区を越えたところでの地域の連携ということがどういう形で進められていくかというのが一つの課題だというところが印象としては残りました。
 それから、よくわからなかったのが次のところなんですけれども、7ページの教員の定期異動と、それから学校選択制の関係についてお話しいただいたのかと思うのですが、そこのところが率直に言ってよくわからなかったので、もう少し、どういう意味で学校選択制とかかわっているのかをちょっと知りたいものですから、教えていただければと。
 それから、もう一つ最後に、6のところで、地域間格差に関しての問題があるのではないかという話をされているのですが、前回、私、欠席したのですけれども、前回のお話では、いただいた資料に基づくと、実際に学校選択制を導入したところで、学校間の序列化や格差みたいなものが出てきているところは非常に少ないような印象を受けているんですね。そういう意味では、やり方次第では問題のないような形で、それこそ地域間格差がなくなるような形でできるような印象を持っているのですが、確かにここ、9ページの図を見ると、地域で固まっているところがあると思うのですが、なぜこういうことが起こったのかというのがわからないと、学校の努力以外のところでと言い切っていいのかというのがよくわからないものですから、もしご存じであれば、地域的な差がどのような要因によって生まれているのかについて教えていただければと思います。
 最初の市場型に分ける点と、それから5番と6番のところについてもう少しご説明いただければありがたいと思います。

【小川主査】
 今、山重委員のほうから6点ぐらいにわたって質問が出されましたけれども、その6点すべてにお答えいただかなくてもということで、1と5と6ぐらいにお答えいただければということです。
 ちなみに、最後、山重委員がお話しされた前回の報告というのは、品川区の学校選択の実践事例を報告していただきました。その際、品川区の教育委員会の事務局の方からの説明では、品川区が学校選択制を導入した一つの前提要因ということとして、品川区の場合は地域間で大きな格差がないことも少し想定しながら学校選択制を導入を考えたという説明で、いわゆる一般に指摘されるような学校選択制による地域間格差や、学校間の格差は、それほど大きな問題にはならないんじゃないかという見通しの中で学校選択制を品川の場合は考えてやったというご説明があったことを述べておきます。

【藤田総括研究官】
 それでは、まずご指摘いただきました市場型学校選択制ということでございますが、全くご指摘いただいたとおりでございまして、これを機に市場型、非市場型というふうに呼びならわしてしまうことに関しましては、私も危惧をしております。ですので、括弧書きで、とりあえずということでこの説明の中で使わせていただいた次第です。
 とりあえずであっても使った理由ですけれども、いわゆる親を中心として、あるものを選ぶ。例えば商品を選ぶのと同じように、その親の選択を、理由を問わずに認めていく、そういったものを市場型というふうにここでは呼ばせていただいております。その運用について細かく見ていけば、当然のことながらご指摘いただましたように、例えば自由選択制という名のもとに、市場型というような、いわゆる親の自由選択ではなくて、いろいろな理由を求めていったり、あるいは条件をつけていったりということができる。それはそのとおりであると思います。ただ、そうすることも選択としてはあるわけですけれども、そうではない選択、すなわち親の自由意志というのを尊重していきましょうという、そういう余地を残したものを、この発表の中では市場型というふうに仮に呼ばせていただきました。確かにおっしゃるとおりだと思います。
 今回、私、「課題」というふうな言葉を使わせていただきましたが、メリットがあることは既に十分私も承知はしております。それは、特に2ページの下の「規制改革・民間開放の推進に関する第2次答申」で指摘されているように、こういったものを目指して学校が選択されていくのだろうと。もしそういう制度を拡充していく場合、私が今回発表させていただきましたような課題について十分、同時に制度を整えておく必要があるだろう。あるいは視野におさめつつ議論する必要があるだろうということでございます。ですので、これだから、今こういう状況だから、何が何でも市場型学校選択制度を食いとめなくてはならぬということではなくて、もしこれを拡充するのであれば、こういった点について考えなくてはならないということを私なりに申し上げた点でございます。
 次に、先ほどの一番大きな質問でございました、教員の定期異動との関連性が見えないというご指摘でございましたけれども、これは実は背景がございます。私、実はアメリカの中等教育制度を専門に研究しておりまして、そのアメリカの中等教育制度を研究している中でアメリカに調査にまいります。そのときに、学校の特色というのをどのように出していくのかというような設問を持ってまいったときに、「日本の学校はどうなんですか」と必ず聞かれます。そのときに、日本の学校では定期異動があるんですという話をすると、まずアメリカの方は非常に驚きます。それじゃあ、どうやって特色出すんだよと。そのつくった特色を引き継いでいくのはどうやって引き継ぐんだというふうに言われます。
 アメリカの制度がどうなっているかといいますと、アメリカでも教育委員会に実は雇用権がございます。ですから、人事権は教育委員会があるのですが、現実態として委員ボランタリートランスファーというふうに言いますけれども、本人が強い意志を持って手を挙げない限り、学校は教員を異動しません。ですので、20年、30年と同じ学校に勤めていらっしゃる先生が普通にいらっしゃる状況です。ですので、そういった20年、30年と勤めながら、その学校を我が勤務先として認識する中でこそ教育の特色というのは創造され、維持できるというような、そういった見方がアメリカの中で行われている。そういう視点から見ると、日本の場合の先生方の異動というのが、ある一定の定期サイクルを持って異動していく。
 そういったアメリカとの比較の中において、先生方の定期異動というシステムがあって、その定期異動にシステムというのは、実は学校の特色化よりは、むしろすべての学校に平等にいろいろな才能を持った先生方が勤務される機会をつくろうということを理念としたものではないか。そういったところを、学校選択制をもし拡充していく場合、どのように制度としてとらえていくのかということについて考える必要があるのではないかと、私個人は考えておりました。
 それから、最後の質問でございますが、9ページの図でございますけれども、立ち入って私のほうで申し上げる資格は実はなくて、綿密に一校一校調査に入ったわけではございません。幾つかの学校につきまして訪問させていただいた結果でございますので、実はきちんとどういう状況ですというふうに申し上げられるような資格は私はないのですけれども、大きく言えますのが住宅地の存在が見えます。商業地域の存在が見えます。ですから、住宅地にある学校は比較的、生徒さんたち、子どもさんたちが集まってきやすい。そして、商業地域、工業地域にある学校は比較的お子さんたちが出ていきやすい、そういう傾向が見てとれることは間違いありません。
 以上でございます。

【小川主査】
 よろしいでしょうか。

【山重委員】
 じゃあ、せっかくの機会ですので。真ん中の定員配置のところが、まだつながりが、考えなければいけない要素だというのは何となくわかるんですけれども、どう考えたらいいかというのが全く私のほうでは思いつかないので、例えばということで結構なのですが、教えていただきたいと思います。

【藤田総括研究官】 例えば、民間出身の校長が今、いらっしゃるとします。その校長先生が非常にユニークな学校づくりをなさる。提案をなさる。カリスマ性を持って教員を引っ張っていかれる。その先生が3年ないし2年頑張っていらっしゃる。で、定期異動でどこかに移られる。次にいらっしゃった先生が、果たしてそのカリスマ性を持った、いわゆる個人依存型の学校の特徴をどれだけ維持できるかといった場合、維持するということが難しいかもしれません。また、そのカリスマ性を持った校長先生に対して、「よし、やるぞ」と言った先生方も、だんだん異動されていなくなってしまう。
 そうすると、当初、「我が校の特徴はこうですよ」というふうにアピールなさって、例えば学校の発信する情報をいっぱいつくられる。それを「ああ、そうだ。よし、行こう」と思って選択されたお子さんが6年間在学するうちに、そういった特徴が、だんだん変わってきてしまう。そういったことが考えられるだろうと、そういうことでございます。

【小川主査】
 よろしいですか。

【山重委員】
 はい。ありがとうございます。

【小川主査】
 他にどうですか。じゃあ、池田委員。

【池田委員】
 すみません。ちょっとお伺いしたいのですけれども、教育の方向として、中央集権から地方分権という形の流れで、ずっとこの間、来ているわけですよね。その中央集権的な側面の持つよさというのと、地方分権という枠組みの中で育っていくことがあるかと思いますけれども、学校教育において先生がお考えになる場合、例えば、地方分権の中で育ってよくなったという部分と、それから中央集権の中でよかった部分が失われているとか、そういうことがあると思うんですね。
 私自身は、学校をあずかっていて、前にもお話ししたことがあるのですけれども、児童施設の保護者の本来の与えられた選択権という、選択をしたんですから、その学校の方向に基づいた責任というのが当然、裏腹の関係であると思うんですけれども、選択権だけは主張されるのだけれども、責任については、意外に学校の約束ごとであるとか決まりだとか校則だとか、そういうものについてはあまり守らないというような状況があったり、それから、先ほど先生がお話をされたような風評による選択権というのが非常に多いわけですね。ですから、そうすると民度が高くはないということですよね。はっきり言っちゃえば。
 ですからそういうことでね、それぞれの個人の持つ責任というかな、生きていくために。それで、子どもたちにどういう教育を与えていくかという部分のところがあまり高くはないんじゃないかという思いがものすごくあるわけです。もっとその部分をどういうふうにしてくるかということも、家庭・地域社会等の関連だとかあると思うんですけれども。質問に答えていただければありがたいです。

【小川主査】
 よろしくお願いいたします。

【藤田総括研究官】
 今ご指摘いただいた点でございますが、私も全く同感でございます。3ページをごらんいただきまして、先ほど来からご説明申し上げているグラフでございますが、やはりPTA活動に関しての関心が低いということも一つの指標になるかと思います。例えば、保護者による学校参画、あるいはさまざまな保護者の学校経営の参加の仕組みがございますけれども、そういったものに対して、例えばPTAも従来からある一つの制度だと思うんですね。そういったものに関しての関心の低さ、すなわち、いいと思ったものを選ぶ、そのいいと思ったものを選んで任せてしまう、そういうふうな選択行動がもし今後も続くとするならば、それは十分に考えなくてはいけないだろう。
 先ほど、学校の情報が活用されないという問題がございました。これは、学校側の情報の発信の仕方が大きな課題だというふうに思うのですが、先ほど、私が申し上げましたところに付言いたしますと、わかりやすい数値がひとり歩きしてしまうことについても危惧しております。
 そういった中で、親御さんたちが我が子をどの学校に通わせるのか。その通わせることの意味をもう一度問うていく。その中に学校への参画であるとか、参加、協力というふうな概念もセットでご認識いただけるような、そういうふうな、いわゆる情報の提供の仕方、あるいは環境、土壌の整備の仕方、そういったことが学校選択を進める上ではぜひ必要なのではないかと考えております。
 全くご指摘のとおりかと思いました。

【小川主査】
 池田委員、よろしいですか。
 他にどうでしょうか。じゃあ、西川委員。

【西川委員】
 質問でよろしいですね。恐れ入ります。いただいた資料の6ページなんですけど、「地域の教育力」という円グラフが出ていますよね。これは平成2年の調査ですから、東京でもそんなに学校選択制がまだなかった。これは一体何を意味しているんですか。例えば、小学生を持つ母親に意見を聞いたと。福井は71で東京は59だと。これは一体どういうふうに読めばいいんですか。この意識が地域住民の行動なんかにどういう影響を与えているんですか。

【藤田総括研究官】
 この調査におきましては、それほど深い分析がなされておりませんでした。ここで私が出した理由が一つございまして、まず、学校選択制ということが議論される前の段階で、いわゆる保護者が、例えば地域社会との連携といった場合、その「地域」という言葉をどういうふうに理解するのだろうか。そういうところから文献検索を進めた中で、この研究にめぐり会った次第でございます。
 ただし、ご指摘がございましたように、一体この研究から何が読み取れるのかといった場合、実は、この時点で、平成2年でございますので、地域社会との連携ということと学校選択を同時に議論するような土壌はまだございませんでした。ですので、非常に明確な答えが出ているというか、こういう成果が出ているわけですけれども、この研究自体から何を読み取ればいいのか。例えば、福井と東京の差はどこにあるのかというようなことに関しては、あまり十分な分析がなされていません。
 ただ、言えますことが、福井、東京、成田というような地域をまたいで同じ学校区域というふうに認識していたかつての親たちが多かったということは間違いがないだろうと。そうした場合、学校選択制を導入する前の認識としての地域社会、地域と学校との連携といった場合の地域社会の地域の認識というのが、こういったところから類推が可能なのではないか。こういった状況をどう変えていくのか。すなわち、広域な学校選択制をした場合、学区域というのがなくなっていく。あるいは、ある程度、市全体、あるいはブロック全体になるわけですが、そうしたときに学校と地域社会がどのような連携をしていくのかといったときの、地域のとらえ方、変容というのを促していく、そういうことが必要なのではないかということで、私は今回出させていただいた次第です。

【西川委員】
 そういうことなのだろうと思うのですけれども、これ以上議論しても、あまり選択制とは関係ないので、そういうことで結構です。ありがとうございます。

【小川主査】
 他はどうでしょうか。大嶺委員、どうぞ。

【大嶺委員】
 ありがとうございました。3ページですけれども、先ほど来も出ておりましたけれども、保護者が学校を選択していくという、とても役に立った情報というのは、やはり情報交換とか評判というのは、1回目のときに草野委員のほうからも、親というのは学校が説明会をして、その説明会の学校の教育方針に基づいて「じゃあ、この学校だ」というふうに選ぶ親というのは、そんなにいるわけじゃないよというお話がありましたけれども、それを裏付ける数字が出てきているのかなと思います。
 中学校ですと、年に1回ないし2回、新たに迎える新入生の保護者説明会というのをやりますね。1時間半から2時間ぐらい。そこで配付された資料をもとに、じゃあ、入ってくるかといったら、やっぱりそんなんじゃ、簡単に保護者は学校を選ばないだろうなと私は思っています。
 私は、保護者が学校を選んでいくのは、紙ベースの発信とかね、もちろんそういった部分もとても大切だなと思いますけれども、地域において子どもたちがどういう活動をしているのかと。地域の中で、例えば子どもたちが地域の人たちに、通りがかりのおじさんから声をかけられた、あるいはそのときにきちんとあいさつができるかどうか、そういった部分というのを結構見ていらっしゃるんですね。ですから、私は、そういったた子どもたちの、生きて生活している、その様子、それがまさに学校が保護者の方々に提供できる情報ではないかと考えております。先生、いかがでしょう。

【藤田総括研究官】
 私も非常に同感して、今、お聞きした次第です。学校が保護者に対して、あるいは地域住民に対してどういう情報提供をするのかということに関しまして、実は、日本の学校の情報提供の歴史というのは非常に短いのではないか。すなわち、私立学校の中で十分蓄積されたノウハウが、公立学校のほうには十分行き届いていないのではないか。すなわち、もう少し言いますと、学校がみずからの教育の特徴であるとか、その思いを伝えるすべというのが十分根づいていないような気がいたします。
 ですから、今、先生にご指摘いただきましたような、そういった思いのこもった情報というのを学校がどのように伝えていくのかということの工夫がこれから必要だろうと。先ほど来、繰り返しておりますけれども、そういった工夫がなければ、わかりやすい数値がひとり歩きしてしまう危険性があるのではないか。それと、土壌として、親が風評を含めた評判に対して非常に敏感に反応する、そういったことも前提としながら、こういった学校の情報提供のあり方について、学校選択制度を考える上では非常に重要なポイントになるのではないかと今回思った次第です。

【小川主査】
 大嶺委員のほうから、今のお話を伺って何かありますか。

【大嶺委員】
 ですから、いかに学校と地域が結びついていくのかというのが、もし選択するということであれば、とてもつながっていくのだろうと。やっぱり私は、生活している、学んでいる子どもたちの姿そのものが学校の特色だと思うんですね。学校の教育方針が具体的に具現化すると言うと変ですけれども、子どもたちの生き方の変容というもの、それがやはり地域に対して子どもたちがいかにいろいろな形で貢献をするとか、あるいは先生方が地域に行ってお祭りに一緒に参加していくとか、そういうような姿を通して、地域の方たちは「ああ、こういったような教育がなされているんだな。じゃあ、あの学校に」っていう形になっていくのかと思います。
 ですから、やはり情報発信の仕方が課題というふうに先生おっしゃられたけれども、まさにそこのところで、ただ単に紙で配って説明して、それで終わりで、じゃあ、保護者の方がその学校を選んでくださるかといったら、そんなことはないだろうなと思います。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 他、どうでしょうか。あと四、五分ありますけれども。じゃあ、柳澤委員、どうぞ。

【柳澤委員】
 失礼いたします。1点お伺いしたいのですが、先ほどもご質問がありました市場型ということです。仮に市場型という言葉を使った場合でも、その中でまた幾つかの種類があると思います。その中で、1つ気になるのが4ページのところで、学力調査と関わる選択制をしている。競争市場型と言っていいのか。そういうところと、単なる市場型との違いです。いわゆる競争市場型のところは学力テストの影響をかなり受けての選択になっているのかどうなのかというあたりが、もしわかりましたらお願いします。

【藤田総括研究官】
 これはある自治体の教育委員会での調査でございますが、自治体名は伏させていただきますが、東京都内の自治体でございます。その自治体ではやはり同じような点数の公表ということを迫られている。するべきなのか、あるいはしないという方策をとるのかという議論でございますけれども、やはり保護者が、いわゆるテストをやった以上は情報公開すべきだというふうな流れを非常に強く持っている。その教育委員会の方々が危惧されていたのは、発信する前、要するに公開する前であっても、点数による風評が非常に大きい。それを発信することによって、今、柳澤先生がおっしゃったような、競争型の市場型の学校選択をさらに促進してしまうのではないかという危惧が教育委員会の中にもあったというふうに、私個人はインタビューをする中で思いました。
 ですので、全体としてどういったインパクトがあるのかということについて、今、私が申し上げられるような資料がないのですけれども、その東京都内のある自治体においては、そういった点数の公表というのが非常に大きな競争型の学校選択を促進してしまうのではないかという危惧が非常に強かったということだけご報告したいと思います。

【小川主査】
 よろしいですか。もうそろそろ時間も来ていますけれども、じゃあ、角田委員。他にあと質問とかご意見がある方はいらっしゃいますか。なければ、じゃあ、角田委員、どうぞ。

【角田副主査】
 ありがとうございました。大変興味深く話を聞きながら、やっぱり日本の公教育、公立の学校の場合に、なるべく特色を出さないようにと言うと変だけれども、義務教育として水準を維持していく、こういうことがずっと長く行われてきたと思うんですね。ここから急きょいろいろな意味で選択制ということが、それはいろいろな意味合いがあるだろうと思うのですけれども、始められてきて、これから傾向としては、そういった選択制というものは、ある程度抑止力がかかるかもしれないけれども、広がっていく可能性がある。
 そうしたときに、じゃあ一体、公立の学校の特色というのは、何をもって特色とするのか。先ほど先生がおっしゃられた、校長先生の個性だとか経営マネジメントのいろいろな特色、ほんとうにそういうのが公立学校の特色なのかどうかという問題が一つ、私としては懸念があるんですね。公立学校の特色というのは、どういうふうなものを出すことが特色なのかということが一つ。
 2番目は、これから選択制を進めていくに当たって、いろいろな弊害はあるだろうと思うんだけれども、先生自身としては、進める場合にどういう方法ならいいのかというふうにお考えになっていらっしゃるのか、この辺をちょっとお聞かせいただければありがたいと思います。以上です。

【藤田総括研究官】
 特色に関しましてですが、実は1つ大きなことがございます。例えば、現行の学習指導要領ですと、すべての中学校で選択科目を準備するようなことが求められてございます。ですから、現行の学習指導要領の中におきますと、各学校ごとにどういう選択科目をつくっていくのかということが学校の特色の一つになりました。しかし、新しい学習指導要領、3月に告示されたものでございますが、中学校から選択科目を削っていく。学校の判断によって残すことも可能なのですが、国の指針としては選択科目は設けなくてもいい、設けないという方向でございます。そうなってまいりますと、学習のカリキュラム、表に見える時間割の中における特色というのは、むしろ平準化というか、学校の共通性、基準性が高くなってくるような状況かと思います。
 そういった中で、今後学校の特色をどのように出していくかということでございますが、先ほどご指摘がございましたように、子どもたちが生き生きとどう生きていくのかということが一つの大きな指針だと思うのですが、それを支えるときに、やはり地域社会の特色を生かした学校地域との連携が一つのかぎになるのではないか。
 例えば、新しい学習指導要領の中でも、体験活動ということが重視されております。それは小学校における自然体験学習、中学校における職場体験、高等学校における奉仕体験、インターンシップ等でございますけれども、そういったものをやはり地域と連携する中で進められていくのだろう。例えば、町工場が多いようなところですと、そういった教育力を生かした中での理科、あるいは技術に対する親和性の高い子ども、理解の高い子どもを培っていくでしょうし、また、商業地域、あるいは山村部それぞれの社会との連携の仕方があるだろうと。そういう中で、学校と地域社会がどのように連携し、総合的な学習の時間、あるいは特別活動の中でどのような実践を繰り広げいくてのかということが課題なのかなというように感じます。
 次に、どのような弊害を克服していくのか。どのようなことであれば学校選択制というのが成功するかということでございますが、やはりそういった場合、選ばれなかった学校に対する支援をどのようにしていくかということだと思います。すなわち、例えば、適性規模の問題であるとか、教育環境の問題がございます。そういった中で、選ばれなかったことが理由とされて適性規模ではないんだと、それが統廃合の対象になるんだというふうにしてしまったら、先ほどの議論になってしまいますが、学校が地域のセンターとするならば、地域のセンターとしての学校を失ってしまう地域が出てしまう。ですから、そういったことを避ける上でも、学校選択によって選ばれなかった学校をどのように支援し、豊かな教育をそこに獲得させるのかといったことが求められるだろう。
 そういった場合に、豊かな教育力というのは一体何か。それが、今申し上げたさまざまな視点。例えば、一つ、教員の人事のこともそうですけれども、そういったさまざまな問題との関連の中で議論されていく必要があるのかなというふうに感じました。
 ちょっと冗長でございますが、以上でございます。

【小川主査】
 時間が来てしまって、この藤田さんの報告についての質疑応答はこの辺で終了したいのですけれども、皆さんの意見とか質疑応答を聞きながら、私のほうから最後に、ちょっとご意見を聞きたいのですけれども。たしかに、アメリカのように、藤田さんが説明されたような仕組みの中で学校選択制をするというのは、かなり弊害が生じていくというふうに感じますし、実際、学校選択制によって子どもの学力向上に成果があったかどうかということについては、かなりアメリカでも否定的ですよね。
 そうしたアメリカの事例の文脈の中で学校選択を論ずると、やっぱりかなり否定的なのですけれども、例えば日本の場合には、先ほどお話があったように、教員の人事異動が定期的であって、地域間、学校間の教職員集団の構成とか能力というのをできる限り均等にしようという人事制度が前提にある。また、日本では教育内容等々についても学習指導要領がアメリカ以上にきちんと詳細に制定されているということで、基本的にはどこの公立学校でも、基本的な教育についてはきちんと受けられるというふうな条件のもとでの学校選択制の可能性というのをどう考えるのかなということなんですけれども、親のニーズに応えるためというふうなことであれば、僕は別に学校選択制でなくても、就学指定の変更で十分可能だと思うんですね。今言ったような学習指導要領があって、教員の定期人事があるというふうな、かなり均一なサービスを提供することを前提とした日本の公立学校制度の中で、あえて学校選択制を導入する意義というのはどういうところにあるのかというと、それはやっぱり、地域それぞれが抱えている課題によって、学校選択制を学校改革の一つのツールとして使うんだという戦略や目的がはっきりしていれば、それなりに学校改革のツールとして学校選択制を使うというのは、理にかなった一つの選択なのかなというふうな感じもしないでもないんですよ。
 ですから、例えば、前回発表があった品川区の報告なんかを聞くと、あそこは、ちょっと語弊があるかもしれませんけれども、保護者のニーズにこたえるというよりも、やはり学校とか教職員の意識改革、主に地域や保護者に学校を開くというところに最大の学校選択の目的の眼目を置いてやっているというように見えているんです。ですから、日本のように、均一なサービスを提供することを前提とした制度のもとでの学校選択制度の可能性というのか、学校改革のツールとしての学校選択制というのをどう見るのか。ただ単にデメリットというふうな主張だけではなくて、もう少しその辺の可能性みたいなところは何か考えているところはございますかという趣旨の質問なんですけれども。

【藤田総括研究官】
 今の小川先生からのご指摘でございますが、私、今回、先ほどもご指摘いただきましたように、課題を列挙いたしましたので、非常にネガティブなトーンがずっと続いてしまったのですが、こういったことをクリアした上で、今、小川先生からご指摘いただきましたように、学校改革をどう進めていくのか。そのときに目に見える形で教員の意識改革を迫ることができる一つの仕組みであることは間違いがないと思います。そうしたときに、やはり学校改革に前向きに取り組むことができる、そういった条件整備、それは教育委員会からの支援もそうですけれども、つぶすためのツールではないのだということが、まず前提として学校に周知徹底されていく。その中で選ばれなかった私たちをどのように自分たち自身でつくっていくのかというようなことも、教員側の意識改革に結びつくのであれば、また、その意識改革をした上で、実際に改善をするための支援が外部から提供されるのであれば、私個人はそのツールの中の範囲においては十分必要な制度かと思います。ただ、それが全国的な一律の推進という形になるためには、やはり進むべきステップがあるだろうというふうに私個人は感じております。

【小川主査】
 ありがとうございました。じゃあ、これで藤田先生からの報告を踏まえた質疑応答の時間を終わらせていただきたいと思います。藤田先生、きょうはありがとうございました。

【藤田総括研究官】
 ありがとうございました。

【小川主査】
 では、次の議題に入っていきたいと思います。先ほど事務局のほうから説明がありましたように、きょうのもう一つの主題は、これまで学校配置、コミュニティ・スクール、学校選択制にかかわっている有識者及び自治体からのヒアリング等々を行ってきました。次回以降にはそうしたヒアリングをベースにして少し論点を整理して、今言ったような3つのテーマに即して少し審議を進めていきたいと思いますけれども、きょうはその前段ということで、前回、そして今回、ヒアリングをやったコミュニティ・スクールと学校選択制に関する検討項目を少し整理したいと考えています。
 そういうことで、資料3、資料4について、まず佐藤さんのほうから簡単なご説明をいただいた上で、少し時間を取って意見交換をしたいと思います。では、よろしくお願いします。

【佐藤教育制度改革室長】
 失礼いたします。それでは、今、座長のほうからございましたように、資料3、資料4をお目通しをいただければと存じます。
 資料3でございますが、コミュニティ・スクール関係でございます。コミュニティ・スクールにつきましては、7月2日の第1回の自由討議に当たって、それから前回、8月21日の第5回、佐藤日大教授のほうから調査のほうを発表いただきさました。こういったものも踏まえて、少し事務局のほうでこれまでのご指摘をいただいた点、課題のようなものを少し整理をさせていただいた次第でございます。検討に当たっての視点を以下のような形で整理してございますけれども、大きく分けて、学校運営協議会制度の成果、それから課題という形で整理をしてございます。
 まず、その成果のほうでございますけれども、前回の佐藤教授のほうの調査の成果に関する項目のカテゴリーというものを少し参考にさせていただいて、ここに列挙してございます。まず、アの学校運営の点でございますけれども、こちらにつきましては、前回の調査結果などを踏まえますと、やはり対外的な経営、例えば地域や保護者が非常に協力的であるといった点のご評価が非常に高かったということでございますとか、あと、校内の経営という観点から特色ある学校づくりや学校の活性化、こういったあたりの数値が非常に高くなっていたというのが特徴でございました。そういった点での学校運営というものをどう考えるか。そういったものを成果という中でどうとらえるかということでございます。
 それから、そのほかに校外の環境や教育指導といった点がございますが、校外の環境というのは、地域が活性化していく、もしくは地域、家庭の教育力が向上していくといったような指標があったところでございました。
 それから、教育指導の面では、教育課程の改善でございますとか、生徒指導上の課題の解決と、こういった点があったところでございます。それから、その他のほうには、これは特にカテゴライズされてございませんでしたが、例えば学校評価といったものをどういうふうにとらえていくかというようなことも、一つ、こういった論点に入ってくるのではないかということで、アからエまで挙げているところでございます。
 それから、2番目でございますけれども、学校運営協議会制度の課題ということでございますが、これは特に1点目、学校運営協議会制度と他の制度等との関係につきましては、特に第1回目の自由討議の際に各委員からご指摘をいただいた点でございました。特に、学校運営協議会制度につきましては、地域住民や保護者が法令上に根拠を置く一定の権限を持って学校運営に直接参加して、協同して学校づくりを行うという点につきましては共通理解があるところでございますが、そのほか、さまざまな制度、例えば学校支援地域本部でございますとか、もしくはちょっと観点が違いますが、学校の評価といった点で、そういった制度等の整理をどうするか。学校支援や学校評価などの観点を含めて、どういうふうにこの制度等を整理をしていくかといった点について、少しご意見が多く出てきたところでございましたので、こういったものも一つ掲げているところでございます。
 それから2点目でございますが、学校運営協議会の権限につきまして、ここは改めて新しい話ではございませんが、与えられた権限というものをいかに有効活用していくか、できているかといった視点でございます。ご承知のように、運営協議会制度については、3点ほど大きな法令上の権限がございまして、1点目が学校運営や教育活動の基本方針を承認していくという件。それから学校の運営に関する事項について教育委員会や学校へ意見をできるという件、それから教職員の任用について人事権を有する教育委員会へ意見を申し上げる、こういった3点が明確に法令上、明定されているわけでございますが、こういった点をいかに同じような目標設定、もしくは課題といったものを設定していきながら、共通理解を図ってクリアしていくためにうまく活用していくかと。そういった視点をどうとらえていくかということでございます。
 それから、イのほうでございますが、特にその中の教職員の任用に関する意見の活用については、これは前回、佐藤先生の調査のほうで、人事に関する意見が出た学校というのが、全体の中で17.8%あったという数字が出たところでございました。具体的には、「若い先生が欲しい」でございますとか、「体育の先生を加えてほしい」、こういったご意見が主なものだったわけでございますが、その一方で、適切な教員人事がなされている学校がどのぐらいあるかという点は、ちょっとこれはご評価が難しいところでございますが、数字が必ずしも高くないのではないかというご指摘が佐藤先生のほうからあったところでございます。こういった点を含めて教職員の任用に関する意見の活用といった点も少し論点としてあるのかなということで入れてございます。
 それから、大きく分けて3つ目でございますが、学校運営協議会の運営につきまして、これも前回の調査の結果から出てきたところでもございましたし、ご意見の中でもございました。特に、運営経費や活動経費という、やはり活動資金の部分、その部分に一番懸念材料があるという、これもデータの中で第1位で前回の調査結果の中でも懸念材料で挙がっていましたので、ここにも入れてございます。
 それから2点目の教員側、もしくは管理職側、負担の増大といったところも第2位で挙がってございました。そういった点をいかに負担を軽減していくかといった点。こういった点も一つ、論点としてあるのかなと。
 それからあと、保護者や地域へ無糧の情報発信、情報提供、こういった点も一つあるのではないかというので、ウの部分で、保護者・地域への浸透不足といった点を入れてございます。
 それから、一番最後、その他に入れてございますが、そもそも導入されている地域に、現状、まだ制度導入後間もないところもございますけれども、地域に偏りが非常にあるということでございます。その中で国といたしましても、いろいろ教育委員会のほうに情報発信ということで、事例集の作成でございますとか、推進フォーラムといったものを全国で展開したい。もしくは、推進事業ということで、各取り組みを個別に支援していくようなこともやらせていただいてございます。実際にこういった取り組みでやってくださっているところが指定のほうに確実に結びついていると。大体、今、我々、統計いたしますと、推進事業の中で取り組んでいただいた学校の80%以上が実際にご指定を結果、受けているということが現状ではございます。
 こういった政策手段というものを活用しながら、その趣旨やメリット、もしくは場合によってはデメリットのようなものも、もしくは取り組みに当たっての留意点なども含めてご説明をしていく必要があるのかなと。そういった面で、その克服をしていくに当たって、地域の偏りに当たり、今後どういった対応が求められるのかというあたりも一つの論点としてあるかということを入れてございます。
 次に、資料4のほうでございますが、学校選択制に関する検討項目として入れてございます。これも第1回目の自由討議の際にいただいたご意見、それから前回の品川区のヒアリングの際、そして本日の藤田先生のご発表と、こういったものを踏まえて入れてございますけれども、こちらのほうにつきましては、学校選択制のメリット、デメリットということで、考えるに当たっての観点のようなものを列挙しているだけでございますけれども、「子どもの個性にあった学習の場の提供」「特色ある学校づくり」「保護者の学校教育への関心」「教育の質の向上と学校の序列化、学校間格差」「学校と地域との連携」「適正な学校規模の維持」「通学上の眼前確保」、これ以外にも幾つか論点がございますけれども、こういった観点をそれぞれメリット、デメリットという観点でどういうふうに整理をしていくのかといった点で入れてございます。
 それから、2点目のほうは、学校選択制導入に当たっての留意事項ということでございますが、地域の事情を考慮した実施の可否や実施方法の選択、実施に当たっての留意点、配慮事項、それから通学区域の弾力化との関係といった点で、これも幾つかあるご意見の中で整理が必要かなと。特に、各自治体の主体的な判断によって、これは選択制がなされるわけでございますが、その中で自由選択制、ブロック選択制、隣接区域選択制、特認校制など、それぞれの選択制によって、かなりメリット、デメリットの違ってくるところがあろうかと思います。そういった種別、制度の種類も踏まえながら少しご整理をしていく必要があるのかなということで、こういった論点を入れているところでございます。
 簡単でございますが、以上でございます。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 次回以降に議論を進めていくわけですけれども、その論点ないしは検討項目の一つのたたき台ということですので、きょうの資料3、資料4にこだわらないで、もう少しこういうふうな視点も必要ではないかというご意見もあるかと思いますので、そういうことも少し留意していただいて、ご意見を伺えればと思います。
 残り時間、45分ぐらいしかありませんので、資料3、資料4、一緒に議論すると論点も混乱するかと思いますので、関係はしますけれども、できれば前半20分から25分程度、コミュニティ・スクールの検討項目で、これをベースにして少し意見交換し、残りの20分ほど、学校選択制の項目例の検討ということにさせていただければと思います。
 皆さんからの意見をお伺いする前に、西川委員がきょうは10時半に退席せざるを得ないということですので、西川委員のほうから、資料3、資料4、これ、2つ同時に扱っても構いませんので、何かご意見があれば最初にいただきたいのですけれども。

【西川委員】
 申しわけございません。ご配慮いただきましてありがとうございます。
 資料3のほうですけれども、前回も葉養先生のほうからもお話がありましたけれども、私自身も学校運営協議会の委員をしております。京都でございます。そういう意味では、京都の学校運営協議会というのは、むしろ客観的に見ると、学校支援地域本部に近いようなニュアンスを持っている。そういう学校運営協議会、あるいはコミュニティ・スクールという名称を持ちながらも、実態は非常に多様であるということを、我々は一体どういうふうにとらえればいいのか。その問題には非常に関心があります。
 ですから、コミュニティ・スクールというのは、法律ではこういうものだというのだけれども、そうじゃないものも実態、たくさんあると。それをどういうふうに考えていけばいいのかということをまず教えていただきたいと思っております。

【小川主査】
 学校選択制のほうについては何かございますか。

【西川委員】
 今は結構です。

【小川主査】
 よろしいですか。じゃあ、最初にコミュニティ・スクールに関する検討項目ないしはその論点等々について皆さんからご意見をお伺いしたいと思います。どうぞ、ご自由に。じゃあ、國定委員、どうぞ。

【國定委員】
 私も今、西川委員がおっしゃられたこととほぼダブるのですけれども、そもそも「コミュニティ・スクールを検討する際の視点」というところで、(1)にせよ(2)にせよ、学校運営協議会制度というものが前面に出てきた上での議論の整理というのが、ほんとうに望ましい姿なのかなというふうに感じました。
 というのは、これまでのヒアリングの中でも出てきていたような気がするのですけれども、どちらかというと、うまくいっているところは実行組織を持っている、いわゆるここでいうところの学校支援地域本部みたいなものがあって初めて機能するんだというような印象を随分私は受けてきたのですけれども、そういうことを考えますと、学校運営協議会制度の成果、学校運営協議会制度の課題ということだけで議論を進めていくということは、ほんとうに望ましいことなのかどうかということを強く懸念しております。
 コミュニティ・スクールというのは、私の感覚で申し上げると、先般の品川区の、これは学校選択制のときの話にも出てきていたと思うのですけれども、やっぱり一言で言うと、せっかくあれだけ投資されている学校施設だし、あれだけソフト面で学校に、教員がたくさんいるような施設なわけですから、より地域に近づく、地域に開放される、地域の方々はもっと学校に親しみを持つ、それぞれがお得感を持つという意味でのコミュニティ・スクールということを考えれば、むしろ学校支援地域本部の今後のありようをどうしていくのかというところに論点の軸というのは本来あるべきなのではないのかなと。
 そうすると、これはこれで私、異論を差し挟むつもりはないのですけれども、でき得れば学校運営協議会制度の成果、課題ということとは別枠でも、学校支援地域本部のありようということについて議論を深めていくほうが、より、学校そのものと地域そのものの今後のありよう、そうした市町村の行政はどうあるべきなのかというところも入り込んだ上で、もうちょっと実のある議論の成果が出るのではないかと、この資料3を見て感じました。

【小川主査】
 ありがとうございました。今の指摘はもっともだと思いますので、今の学校支援本部の話にしても、また、学校運営協議会がなくても、学校評議会制度をベースにしながら、学校と地域の連携のいろいろな試みをしているところもありますので、少し、ここのコミュニティ・スクールに関する検討項目というふうな中身は、コミュニティ・スクールイコール学校運営協議会1本で、そこを軸にして議論するというよりも、少し広げて、コミュニティ・スクールの中には、やっぱり学校と地域の連携のあり方ということで、学校評議員制度や学校支援本部、学校運営協議会などというので、同等とは言いませんけれども、ある程度同じような扱いで少し広目に議論してほしいという趣旨かと思いますので、少しそれは事務方とも相談して、設定等を含めて検討してみたいと思います。
 じゃあ、どうぞ。草野委員、どうぞ。

【草野委員】
 ありがとうございます。私、西川委員と全く同じく、コミュニティ・スクールの定義が非常に不明確で、かなり幅広くとらえ方があるということで、正直言って、このコミュニティ・スクールの性格というのは、その学校の学校運営協議会の性格とイコールではないかと思うんですね。要は、学校の校長がいて、経営者がいて、その経営者と学校運営協議会というのが力関係というか立場がどうであるか。同等なのか、あるいは本来ならば学校の校長の経営方針を承認するという立場ですから、若干校長よりも上にあるのが学校運営協議会と。ところが、欧米のスクールカウンシルだったら、校長の首をすげかえた例だってあるわけですよね。ちょっと日本のコミュニティ・スクールとは違うんですけれども、校長の首を平気ですげかえることができる制度なんです。日本はそれを目指していないから、まあ、いいなと思うんですけれども、実際にはすげかえた例もあるということなんです。
 だから、この関係をどうするのか。これを学校の応援団、つまり校長の応援団になれば、地域支援推進本部と同じなんですね。これはこれで地域支援推進本部というのは、また文科省の施策の中に、私も委員ですけれども、あるわけですね。だから、それをごっちゃにすると、どうも論議がうまくいかない。肝心なことは、コミュニティ・スクールの成果をきちんと示してほしいというのが、私は個人的にはあって、なぜかというと、うちもコミュニティ・スクールを始めるんだと思われている行政もたくさんあるわけですよね。そこで、やっぱり成果と課題を示していただかないと、どんどんこれから先へ進んでいくとなると、あまりよくない状況も出てくるんじゃないかと。ですから、今、この段階で、厳密にコミュニティ・スクールというのを定義づけをして、その成果と課題を示すことは、今後の展開に向けて大事で、私はあまり広げないほうがいいと逆に思っています。
 以上でございます。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 じゃあ、山重委員、どうぞ。

【山重委員】
 私も草野委員と全く同感で、このコミュニティ・スクールというのは制度としては学校運営協議会制度ということに対応したものだと思っています。これはいわゆるガバナンスの問題だと思うんですね。経営と監督というのを少し分けて、監督というと言葉が厳しいのですが、助言も含めて、あるいは支援も含めて、理事会的な役割というものを学校運営協議会を小・中学校にも設けていって、それでよりよい学校にしていきましょうという制度だと思いますので、このことについてあまりぶれないで、まずは議論するということが大事で、ただ、その一方で、それと付加して、その他の制度との関係というお話もありましたけれども、いろいろなものが立ち上がっているので、その関係を少し整理しておくということも非常に大事だなという意味では、さっき先生がおっしゃったようなことにも共感するところがあると思うのですが、あまりぶれないほうがいいのかなというのが印象です。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 じゃあ、柳澤さん、どうぞ。

【柳澤委員】
 失礼します。今の國定委員、草野委員、山重委員と関連する話です。成果といいましても、多分いろいろなルートの成果があるだろうと思います。応援団的なものから、あるいは本来の協議会から出てくるようなものまで。そのあたりの成果の出る仕組みを明確にするのは難しいと思うのですが、どの要素が強く働いて出やすいのか、成果の出る仕組みみたいなことを明確に意識して整理したらいいのではないかと思いました。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 他にどうでしょうか。どうぞ。

【葉養国立教育政策研究所部長】
 このコミュニティ・スクールの制度化のプロセス、かなり私は習志野秋津小とかいろいろなところでかかわっているものですから、実感としてはいろいろなことがあるんですけれども、1つ、ポイントは、学校・地域関係を育てるという視点というのは失ってはいけないと。その上で法律に定められた学校運営協議会について議論する。ここの場は多分、どうやって広げていくかという問題なんだろうと思うんですけれども、そういう問題を考えるベースとしてやっぱり持っていたほうがいいのが、國定委員と同じなんですね。やっぱり学校と地域の連携とか協同関係とか信頼関係を築くという趣旨でおそらく発足している制度ですから、そういう意味でいえば、育てるという観点が必要で、その場合にはやっぱりステージがあるんですね。ですから、学校支援という、まだ支援方法までいかないで、ボランティアとか保護者の学校参加とか、そういう段階もおそらく最初の段階にはあると思うんです。それが成熟していくと、少しずつ形になった段階がやってきて、学校支援本部を立ち上げようということになるかもしれない。予算がついたりしますから。学校支援本部を成熟させていけば、ある段階で学校運営協議会みたいなものという、理事会的なものがあったほうがという話になる場合もあるし、だから、一挙にあらゆる地域で、ベースがない状態で法律上の枠を形として導入するのが果たしてうまくいくのかどうかというのは、ちょっと疑問があるんですね。
 だから、京都にしても、番組小学校の130年の歴史があるところですから、ベースが相当違うんですね。私、杉並と新宿に今かかわっていますけれども、杉並なんかはやっぱり京都と相当土壌が違うんですね。だから、ある意味で学校運営協議会の運営というのは波乗り状態という。まあ、どこの地域でも大体、学校運営協議会の会長さんと井戸端会議をやると「いや、実は波乗り状態ですよ」という話が出てきて、それは非常に実感としてわかるんですね。だけど、波乗り状態だけれども、結局、学校と地域との関係を深めるというのは、波乗り状態をずっと続けていって、前に向かっていくというプロセスなんじゃないかなと思うんですね。
 だから、そういう意味でいえば、やはりこのコミュニティ・スクールという形態をどうやって全国へ広げていくかということは、努力としてあったほうが私はいいと思っています。
 それから、もう一つポイントとしてご審議いただきたいと思っているのは、学校像と絡むんですね。例えば、杉並の和田中学も学校運営協議会、今ついていますけれども、あの学校運営協議会主催の形でいわゆる「夜スペ」といわれる、マスコミで大分評判になった取り組みをたしかやっていると思うんですよね。ちょっと主体が社会教育のほうになっているとは思いますけれども。結局、一体、公立学校の未来像というのはどう描くのかと。私は、何か、個人的には2つぐらいの路線があって、一つは複合型ですね。施設の複合化というのは相当広がっていますけれども、機能の複合というあたりがかなり入り込み始めている。だから、杉並なんかでも、学校運営協議会設置校じゃないところも、民間会社がかなりサポートのために入っているケースがあるんですね。近隣の。だから、その機能の複合みたいな問題と絡めていったときに、それを前進させようとすると、何か学校運営協議会みたいなものがマネジメント組織としてあったほうがいい場合もあると思うんですよね。だから、そういう未来像をどう描くかという。
 それともう一つはネットワーク型ですね。ネットワーク型というのは、例えば岡山の岡輝中学がそうですけれども、あそこも学校運営協議会が既にあるんですけれども、6校園で1つの学校運営協議会ですよね。あれは学校運営協議会を設置する前から学校協議会というのがあって、岡輝中学校の通学区域の中に小学校と幼稚園と保育所が入っていて、その6校園をセットにして学校協議会というマネジメント組織を1つつくっていたんです。それを学校運営協議会に、たしか岡山市の教育委員会の指定で移したと思うんですけれども、実際に私、一度参加したことがございますけれども。だから、ああいうブロック化というか、学校単独でつくるのがいいのか、でも、岡輝中学の場合は生徒指導が非常に困難な学校ですから、そういう意味でいうと、やっぱり6校園でやっていかないと、あそこはうまくいかないんじゃないかと思うんですよね。あれを分断しちゃったら多分うまくいかない。
 ですから、そういうネットワーク型のつくり方、あるいは岩手県の宮古市の四つ葉の学校事業とか旧新里村の小規模校4校がネットワーク化しているわけですけど、あそこら辺なんかは、もしつくるとすれば、4校のネットワーク型でつくったほうがいいという、何かそこら辺の公立学校の未来像という視点をちょっと入れ込んで、この問題をこれから先議論していただければと思います。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 ほかにご意見のある方。池田委員と髙岡委員ですね。じゃあ、その順で。じゃあ、池田委員のほうからよろしくお願いします。

【池田委員】
 直接コミュニティ・スクールにかかわるかどうかちょっとわからないのですけれども、一つは、新しい学習指導要領を出されたとき、中教審の幾つかの反省の中に、地域・家庭教育力の充実という側面から、どうしても不備があったという反省があったわけですね。それで新しい学習指導要領の中においては、体験にしてもきっかけづくりという側面を重視したというようなことがあるわけですね。そこらあたりのところをどういうふうに理解をして、コミュニティ・スクールというものを進めていくのかという問題があろうかと思うんですね。
 それからもう一つは、私の考えですよ、私の考え方としては、経営というものを考えたときには、基本的には住民に対する最大のサービスというのは、やはり教育課程だと思っているんですね。教育内容をどういうふうにセットして、そして子どもたちに対してどういう授業をするのかという、そこの部分があるかと思います。ですから、教育課程をどのように組んで、どういう提供をしていくのかということは、学校にとっての最大の使命だと思っていますし、それを実現することが大事なんだと思っています。
 そのためには、もう一つの要素としては、教員をどう育てるかということもあると思うんですね。それと、結果としてその成果がどういうふうな形で出てきたのかということは、子どもにはどうだったのかということになるだろうと思う。
 そうすると、先ほど、草野委員が出されましたように、コミュニティ・スクールの成果というのをどこでどういうふうに判断するんだということになりますね。子どもたちが、例えばその地域の中で健全に育っているということとか、不登校がないとか、いじめがないとか、学力が高まったとか、さまざまな子どもにとっての成果というものがどこにどのような形で体現されているのか。それがコミュニティ・スクールという制度、学校運営協議会ですか、制度があったからそれができたのか、それともなくてもできているのか、そういう問題というのは真剣に考えなければならないだろう。どんな形がどうあろうということではなくて、子どもがその地域の中で生き生きと活動しているとか、そういうものがほんとうに実現できているのかどうかという観点から見なければ、子どもたちのためにコミュニティ・スクールということを主張しているわけだから、それが何もならないんじゃないか。そういうように思うんですね。
 ですから、研究ではなくて、実際に生身の子どもたちがどのように育ったのかという、そういう側面を、ほかのコミュニティ・スクールをやっているところとやっていないところをしっかりと分けて考えてみなければならないんだろうという思いがあります。
 ですから、そういう意味で、マネジメントというものの問題ということがありますけれども、マネジメントで、それでコミュニティ・スクールをやっているところが、少なくとも子どものためになる教育課程を実現できているのかどうかという側面もあるかと思います。先生たちがほんとうにそれによって育っているのかという、協議会制度があるから、ほんとうにそれでもって効果として先生たちを育てることができるのかどうなのか。そういう問題もしっかりと見る必要があるだろうなと思っているんです。
 以上です。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 じゃあ、髙岡委員、お願いします。

【髙岡委員】
 私は、このコミュニティ・スクールという、この中黒のところが何となく実感の問題としては、「と」という平仮名に見えてしようがないんですよ。「コミュニティと学校」というふうに。つまり、何となく、これは私の認識不足ということかもしれないのですが、コミュニティ・スクールという言葉自体が非常に価値的な語られる側面があって、だからいろいろな事象にコミュニティ・スクールという概念をかぶせていって、これをやろうという話になる。それは、もっと具体的には、横にある制度で、下手すると学校評議員制度と誤解することもあるかもしれないし、学校支援地域本部と誤解することがあるかもしれないし、もっと極端に言えば、「今の学校でどこか悪いか」という考え方だってあるわけです。つまり、コミュニティ・スクール、学校運営協議会なんかつくらなくたって、別に地域は一生懸命学校を支えているよという地域はいっぱいあると思うんですね。だから、何でそこにコミュニティ・スクールをわざわざつくるのかという、その問いに果たして十分答えられるだけの概念定義ができているだろうか。その問題を少し考えます。
 ですから、先ほど山重委員さんがガバナンスの問題だと、これはと。だから、やっぱりそこにもっと焦点化して、草野委員さんがおっしゃったように、私も実は、コミュニティ・スクールというやつをきちんと、できるだけ限定的に定義をした上で、地方でもこれをやりませんかという情報発信が要るんだと思うんです。何となく、「うちの村では学校をみんなで昔から支えているよ。その支えている状況をコミュニティ・スクールと言うんなら言ってもいいけど、そんなものをわざわざつくらなくたって、村人はみんな学校を一生懸命支えているんだから、何かあれば教育委員会に、学校に言いにいけばいいじゃないの」というようなところまで吸収されてしまっているような。この言葉が。そんな印象があるものですから、もう少し、地方の観点からいうと、何かいろいろなものが中に混ざっているほうがいいような気もするんだけれども、でも議論として明確にこれを地方に広げていく、やっぱり都市部中心に動いているところが、もうちょっと広がっていく可能性があるんじゃないかなという、そういう印象があります。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 コミュニティ・スクールの資料3にかかわる議論、ちょっともう時間もないんですけれども、ほかにございますか。
 なければ、きょう、非常に短い時間でしたけれども、いろいろな視点からのご意見をいたきました。今後の議論をしていく際、検討項目とか論点、視点を少し交通整理する必要があるのかなということを、きょうお伺いして感じましたので、これは事務局のほうでも詰めながら、次回以降の議論の論点は出していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
 じゃあ、残り20分程度しかないんですけれども、資料4の学校選択に関する検討項目ないしは論点等々について、少し皆さんのほうからご意見を伺いたいと思います。草野委員、どうぞ。

【草野委員】
 ありがとうございます。まとめ方にいろいろあると思うんですけれども、実は、私、先ほど質問していないんですけれども、きょうの藤田研究官の内容が非常に共感できるし、私もあのとおりの考えなので別に質問しなかったのですが、要は学校選択制、現在、徐々に増えつつある中で、これを国として、この作業部会としてに推進する方向でまとめ上げるのか、あるいはそうじゃなくて、一歩下がって、メリットもある、デメリットもあるという方向でまとめるのかで全然違うと思うんですね。
 どうもわからないのは、いつも私、疑問に思うのは、学校選択制というと、必ず「特色ある学校づくり」と、これ、セットになって出てくるわけですね。何でもそうですけれども、特色がないと選べない。だから、学校選択には、そこをやるところは必ず特色ある学校づくりを推進するというような行政の政策が当然出てくるわけなんですけれども、私は個人的には、何で特色ある学校づくりをしなければいけないのかという感が強いんです。学習指導要領に記載されている内容をきちんとやるように、どこも水準を維持するような努力をすればそれでいいじゃないかと。ただし、特色ある教育活動の推進は別でございます。これは私、人間でいえば個性でありますから、特色ある教育活動はどんどんやったほうがいいし、だけれども、無理して特色ある学校づくりを進めることはないというのが私の考えです。
 なぜなら、特色ある学校づくりがもしあるとするならば、それは何かの課題を解決する手段であるべきであり、目的ではないと思うんです。ところが、こういうふうに書かれると、どうも、学校というのは何が何でも特色ある学校づくりを進めなければいけない、つまりあたかも経営の目的のような、そういうふうに思われている方が非常に多いような気がします。個性というのは伸ばさなければいけない。だけど、無理やりつくるものじゃないと思うんですね。それが、特色ある学校づくりということにも当てはまる。
 現実にいろいろ問題があると思うんですけど、当然、否定するわけではありません。もうここまで来ているわけですから、これだめだなんていうことは言いませんが、デメリットも結構あるということです。それから、はっきりいえば、東京都の校長会もそうですけれども、いろいろな調査をしています。調査をする中で一番多いのは、生活指導上非常に課題が多いというふうにとらえている校長が大半でございます。これを、現実に裏づける例もたくさんあります。そういうこともあるということをぜひお考えいただいて、きちんとメリットもあるし、デメリットもあるというような方向性でやっていくべきだと思っています。
 確かに学校の説明の仕方にも問題があるのではないかという見方もありますけれども、一生懸命学校は説明していると思います。だけど、あまりにも広報活動のみに、それに時間を取られ、金もかけてというのは、どうも教育の本来の目的から外れているような気がしてなりません。ですから、これを論議するときに、選択制云々に関して、私はどっちかというと中立的な立場で論を進めるべきではないかと考えます。
 以上でございます。

【小川主査】
 ありがとうございました。その点については、中教審のほうから作業部会を発足する際に諮問されたところは、今、草野委員がおっしゃったように、少し、今進んでいる学校選択の現状についての動向をきちんと検証してほしいという趣旨であって、国として学校選択制を推進する方向で何が必要かというふうな、そういうふうなスタンスではなかったと思いますので、それは確認はしておきたいと思います。
 じゃあ、山重委員、どうぞ。

【山重委員】
 2点ほど。私も草野委員に共感するところがあるのですが、全く違う意見もありますので、その点についてお話しさせていただければと思います。
 まず、私も、特色ある学校づくりを目指すというのは必要ないと思っているんですね。特に、義務教育ですので、それほど学校ごとに特色が出てきてしまうのはよくないんじゃないか。むしろポイントは、言葉は悪いのですけれども、ごまかしていて、何を国民が求めているかというと、特色を求めているんじゃなくて、よい学校教育を求めているんだと思うんですね。先ほど、先生方が配置転換される中で、均一化しているというお話があって、確かにそういうところがあると思うんですが、均一化していてもレベルが低ければ意味がないと思うんですね。いかに学校をよくするか、学校の教育をよくするかという視点で、私は学校選択制というのを考えるべきだと思っています。
 特色という話に話をすりかえているのが、私もいつも嫌だなと思っているんですけれども、いかに義務教育レベルの学校をよくしていくか、教育をよくしていくかという視点からこの問題をとらえるべきではないかと思っています。特色がなければ選べないという話ですけれども、そうではなくて、「よい」「悪い」で国民は選べますので、この点はやっぱりきちんと、どこまで表に出すかは別ですけれども、きちんと、やっぱりスピリッツを理解しておくことが大事ではないかと思いました。
 それからもう1点ですけれども、ここは全く違う視点なんですが、メリット、デメリットを整理するだけでは、せっかくここに集まった意義がないというふうに私は思っています。これだけヒアリングもして、非常によい意見も出てきていますので、私は、学校選択制を進めるとしたら、幾つかあるデメリットを抑えるような、こんな工夫があり得るんじゃないですかということまで、できれば踏み込んだ提案ができれば一番いいなと思っています。メリット、デメリットがあるというのは、ここじゃなくてもみんな思っているわけですから、もう一歩踏み込んだ成果というのをここで出すということが私は重要ではないかと思っています。確かにデメリットもあるので、こういうやり方をやることによって、デメリットの少ない学校選択制、メリットを浮かび上がらせる学校選択制というのができるのではないかというところまで行けたらベストではないかと思うのですが、まあ、いろいろなご意見があると思うので、そこまで行けるかどうかわかりませんけれども、目標としてはそこまで設定していただければありがたいなというのが個人的な印象です。

【小川主査】
 他、どうでしょうか。じゃあ、葉養さん、お願いします。

【葉養国立教育政策研究所部長】
 品川の立ち上げのときに、私自身もちょっと教育委員会に絡んでいたことがあって、品川のプロセスってよく理解できるところがあるんですけれども、この学校選択制というのも、例えば通学区域の弾力化といわれる就学指定基準の緩和とほとんど変わらないこともあるんですね。例えば、ヒアリングがありましたけれども、東京の北区だと、今問題になっているのが、就学指定基準の緩和が大幅過ぎて子どもが逃げて困ると。むしろ就学指定基準の緩和をやめろという意見が町内会からかなり出るんですね。
 ほかの埼玉県のほうでもちょっと関与したことがありますけれども、就学指定緩和という、こういう条件の場合認めよという基準を大体、教育委員会が持っているわけですけれども、あれをどんどん緩和していくと、結局、埼玉の鶴ヶ島市ですけれども、あそこの場合も20項目ぐらいまで膨らんだんじゃないかと。20項目まで膨らんでいって、しかし、この20項目が当てはまらなかったらどうするのかと。窓口が決めるのかと。で、「その他」というのをたしか入れたと思うんですよね。そうすると、「その他」まで入ってしまうと、結局のところは窓口で話を聞くというだけであって、事実上は選択制と同じになっている。だけど鶴ヶ島市は選択制はうちは採用しないとおっしゃっているわけです。採用しないとおっしゃっている中で、指定変更のほうをどんどん緩和していく措置を取って、だから、看板と実態というのは相当ずれてきていることもあるのではないかという感じがするんです。
 山重委員さんのおっしゃるのはすごくよくわかるんですが、結局、例えば品川にしても、小規模校というのは当然出てくるわけですよね。少子高齢化という流れの問題もありますけれども、もう一つは逃げるわけですから。選択というのは逃げるケースがあると。そうすると、逃げた学校というのは住民基本台帳よりも児童・生徒数は落ちていくわけです。で、小規模化していく。だけど、住民の意識調査なんかをやると、少数ではありますけれども、選択制に反対する人もいるし、「どのぐらいの規模の学校を望みますか」という、これも世論調査をやっているんですけれども、小さい学校がいいという人もいるんですよ。
 それで、だから品川区なんかだと、小・中学校再配置の問題のところで方向として出てきたのが、多様な規模の学校を選べる圏域の中に配置していくと。一つの尺度に基づく学校だけではなくてですね。そういう解決策でほぼ合意の方校になっているんです。
 だから、結局、小規模校は小規模校で支持する人もいるし、小規模校にも子どもを通わせている親もいるし、だからそれを小規模校は小規模校でよさがあるんじゃないかと。スモール・イズ・ビューティフルって、貞広先生が前におっしゃっていたことがありますけれども、そういう考え方だってあると。だから、いろいろな尺度でもって小規模校も出るし、中規模校も出る、大きな学校も出るという場合に、特に小規模校のよさをどういうふうにサポートの体制として入れ込むかというあたりの、何かそこら辺の議論をしていただいたほうがいいのかなと。これから先。メリット、デメリットだけでとまってしまうと、多分、大昔から言われてきたんですね、これはね。喧々囂々な議論をしてきたんです。
 だから、むしろ、政府の方針もありますので、一つ、世論の流れもあるので、流出しちゃった学校を、流出しちゃったということでもってしょげてしまうのではなくて、それをむしろよさとして生かすサポートの体制を、だれがどういうメニューを用いて支援していくのか。国はそれにどう関与するべきかとか、そういう問題もちょっとあわせてご議論いただけるとありがたいと。

【小川主査】
 ありがとうございました。今の葉養さんの最後のほうの指摘は、これは学校の適正配置にかかわる問題でもありますので、おそらく学校選択を議論していく際、今言ったような適正配置の問題も少し絡めながら問題は整理していく必要があるのかなと考えます。
 時間もあまりないのですが、他、どうでしょうか。あとご意見のある方は、髙岡委員、柳澤委員、あと他はよろしいでしょうか。じゃあ、あと、そのお2人で意見交換は終わらせていただきたいと思います。

【髙岡委員】
 よろしくお願いします。私、先ほど、藤田先生のお話を伺っていて、アメリカの状況について質問させていただいたのは、やっぱり日本のような格差社会がだんだんできてきつつあるとはいっても、子どもの教育というようなことを考えるときに、非常に同質性の高い社会で、果たして公立学校の選択制という問題が、日本の社会とか文化風土の中でちゃんと根づくのかどうかということがすごく気になるんですよね。つまり、先ほど選択制の根拠と、学校選択の根拠になる親の論点とか見方というものが、民度の問題というご指摘もあったのですが、それもそうかなという感じもしますけれども、何か、学校の差異みたいなものをはかる条件が、結局、学力テストみたいなところに行かざるを得ないほど、まず同質性が高いんだと思うんですよね。違いって何だと。で、学力という話になったり、そこに無理やりつくっている特色という、先ほど草野委員さんがおっしゃったような話に飛びつくという。だから風評のレベルで選択が行われていくという感じが少しするんです。
 ですから、この議論をするときに、選択制という問題が導入されてここまで来たという状況の中で、議論のベースにある学校改革を前に進めるためのパーツとして選択制があるという認識の仕方なのか、いや、選択制そのものが目的だと。これを導入することこそが日本の社会の活性化につながるんだというふうにとらえるか、そこの決断が少しまだあいまいじゃないかなという気がするんですよ。この選択制の問題は、例えば、まさに地方に行けば、これは実はデータとして何かあればうれしいなと思うんですけれども、選択制の導入できない地域、ぽつんと学校があって、もう隣に行きようがないというような、そういう学校とか市町村とかってどれぐらいあるのか。選択制を導入することが可能な地域が比率としてその5倍も10倍もあるんですよというようなことなのか。そういうことを踏まえて、この選択制は、本来それ自体が目的なのか、それとも学校改革を前に持っていくための手段なのかということもやっぱり踏ん切りをつけないと、どうも議論がしにくいなという印象があります。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 柳澤委員、どうぞ。

【柳澤委員】
 失礼いたします。先ほどの葉養先生のお話と関連すると思いますが、私も、メリット・デメリットのその先、先ほどお話の中ではメリットを出すための提言という話もございましたが、デメリット回避する方法も大事であると思います。
 先ほど、藤田さんのご報告のときにも質問させていただのですけれども、市場型の中で、競争市場型になるのか、それが本当に意味を持つのかどうなのかみたいな、あるいは市場型じゃないものとの関係もございますし、その点を含めてデメリットを回避する方法みたいなものもあわせて議論していくことが必要かなと思います。

【小川主査】
 じゃあ、一言、最後。

【山重委員】
 すみません。実は、学校関係の方と、私のような保護者の方の意識の違いがちょっと今出てきているなと思っているんですけれども、実は今日、藤田先生が出してくださった資料の3ページで、図で非常にわかりやすく、親が重視している観点が出てきていると思うんですけど、一番多いのは、生活指導やしつけがしっかりしているとか、それから、いじめや不登校が少ないといったところが、保護者としての率直な学校選択の視点なんですよね。ここでも、国語、数学、英語の学力が高いとかいう話は、保護者としては小・中学校のレベルでは、まあ、関心を持っていらっしゃる方もいらっしゃるのでしょうけれども、そんなに多くないと思うんですね。そういう意味では、学力が公表されたから、そこにみんなが集まるというようなことはおそらく起こらないし、きちんと先生方が子どもを見てくださっているかどうか、それによって子どもたちが健全に育っていくかどうかというところがあるような気がするので、あまり成績で見ているわけではないというところをちょっとご理解いただければいいなと思うんです。
 成績に関しては逆に、公表することの弊害も確かにあるんですけど、公表しないことの弊害というのもあって、それがまさに逆に公表されていないので風評という形で、例えばどこどこ学校への進学率とか、高校への進学率とか、そういったよくわからない情報で親が判断してしまうということも出てきてしまうので、情報公開しないことのデメリットということも、保護者としては感じるところがあるもので、それもちょっと考慮していただければと。

【小川主査】
 今の発言で、池田委員、大嶺委員、ちょっと何か言いたいことがありそうなので、どうぞ、時間が二、三分ありますので。どうぞ。

【池田委員】
 今、山重先生がおっしゃったことは、山重先生自身がそうであって、ー全体として見たときには……。

【山重委員】
 でも、このアンケートは。

【池田委員】
 まあ、これは大きい部分はあるんですけれども、だけど、そうではないんですよ、やっぱりね。それだけじゃないんですよ。

【山重委員】
 おっしゃるとおり、それだけではない。

【池田委員】
 学力というのは非常に大きいわけでして、台東区とか、あのあたりなんかではもう確実に出ているわけで、学力が高い学校とかいうことで選択されているわけですから。隣はどうしても行かないというような状況があるわけですから、実態として考えてみると、やっぱりそれは大きい影響力を持っていると考えたほうがいいと思います。

【小川主査】
 大嶺委員、何かあればどうぞ。

【大嶺委員】
 私はちょっとまた池田委員とは違いまして、やっぱり地域によって違うのかなというのはありますね。保護者と話をしていて、やっぱり学校が子どもたちの面倒をよく見てくれる、この声は一番よく聞きますね。確かに学力で、親の言っている学力というのは、いわゆる高校への入学という入試用に、いいところに入れるという、それを学力というふうに思っているふしがありますので、私の住んでいるような地域では、やっぱりよく面倒を見てくれて、生活指導上問題がないというような、そういったようなところも結構大きい要因になっています。

【小川主査】
 ありがとうございました。
 じゃあ、きょうの資料3、資料4に基づく論点整理というか、検討項目の整理については、きょうこれでひとまず終わらせていただきます。
 改めて意見交換をしてみて、やっぱりこのテーマは非常に難しいなということを改めて感じました。やはり今後、ヒアリングを踏まえてこれから検証を含めた検討に入っていくわけですけれども、やっぱり論点の立て方いかんによっては、議論の仕方も大分違ってくるかなというふうに今日聞いて感じましたので、これ、ちょっと事務局と少し丁寧に、慎重に、検討項目は整理していきたいと思います。また今後とも審議にはご協力をよろしくお願いいたします。
 では、ひとまず今日の議題はすべて終わりましたので、次回以降の予定について事務方のほうからよろしくお願いいたします。

【佐藤教育制度改革室長】
 ありがとうございました。それでは、今、座長のほうからお話がございましたように、次回でございますけれども、日程がまだ確定してございませんが、おそらく9月の中旬あたりということで、今、調整をさせていただこうと思ってございます。その前段階で論点をいろいろ詰めさせていただきながら、ご調整のほうをさせていただければとあわせて思ってございます。改めて次の日程につきましては、ご相談の上、追ってご連絡申し上げますので、よろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。

【小川主査】
 今日予定した議事はすべてこれで終了しました。今日はありがとうございました。これで終わります。

─ 了 ─

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