平成19年9月20日(木曜日)10時〜12時
都市センターホテル「オリオン」(5階)
小学校・中学校社会科教育の改善充実について
岩田主査、佐伯主査代理、伊東委員、沖野委員、川本委員、木村委員、高橋委員、竹内委員、硲委員、星埜委員、山内委員
田村教育課程部会副部会長、安彦教育課程部会委員
布村当審議官、高橋教育課程課長、牛尾視学官、室井視学官、安野教科調査官、寺田教科調査官、中尾教科調査官、吉開教科調査官、大倉教科調査官、江口教科調査官
藤田研究開発部長
【岩田主査】
おはようございます。定刻となりましたので、第4期第3回の小学校・中学校社会専門部会を始めたいと思います。ご多忙のところ、お集まりいただきましてありがとうございます。本日もよろしくお願いいたします。
また、本日、教育課程部会より田村副部会長、高等学校部会の主査である安彦委員にもおいでいただいていますので、よろしくお願いいたします。
それでは、まず初めに事務局から新委員の紹介をよろしくお願いします。
【牛尾視学官】
それでは、今期の専門部会に新たにご就任いただきました委員で、今回初めてご出席される委員がいらっしゃいますのでご紹介をさせていただきます。
沖野眞已委員でいらっしゃいます。
【沖野委員】
沖野でございます。民法を専攻しております。その観点からご検討に参加させていただきたいと思っております。どうかよろしくお願いいたします。
【岩田主査】
配付資料の確認をお願いいたします。
【牛尾視学官】
では、引き続きまして配付資料の確認をさせていただきます。お手元の封筒の中に一式入ってございます。まず最初に議事次第がございまして、その4番に配付資料の一覧が出ております。
資料1と資料2でございますけれども、この専門部会と高等学校地理歴史・公民専門部会の前回までのご意見をまとめたものでございます。
それから、資料3、4でございますが、本日、後ほど主にご審議いただきたいと思っております「社会科、地理歴史科、公民科の現状と課題、改善の方向性(検討素案)」でございます。
それから資料5から8でございますけれども、教育課程部会など関係いたします部会の現在の審議状況、審議のもとになっているペーパーでございます。参考までに配付させていただいております。
それから、封筒の外にあるかと思いますが、参考資料といたしまして、日本学術会議の方で地理教育に関しますご提言をおまとめになっておられます。「現代的課題を切り拓く地理教育」というものでございます。当部会の審議に参考になるかと思いましたので机上に配付させていただいておりますので、適宜ご参照いただければと思います。
以上でございます。
【岩田主査】
資料はお揃いでしょうか。
それでは、議事に入らせていただきます。本専門部会で小・中学校の社会科の改善方針について、本日、会議を行いまして、この結果を本専門部会としてとりまとめて教育課程部会に報告する予定にしておりますので、本日はあまり大きく根底から動かすようなことにはならない会議になるのではないかというように思います。前回に引き続き、社会科、地理歴史科、公民科の現状と課題、改善の方向性について審議を行います。それでは、配付資料についてご説明をお願いいたします。
【牛尾視学官】
それでは、最初に関係部会の審議の状況について簡単にご紹介をさせていただきたいと思います。先ほどご紹介いたしました資料5から8でございますが、まず資料5でございますけれども、教育課程部会におきまして審議の概要をおまとめいただきながら現在、精力的にご審議をいただいております。前回のこの会議でもお配りしておりますけれども、主な変更点といたしましては、前回までの資料はこの目次で申し上げますと、1から5のあたりの「基本的な考え方」というあたりを中心にまとめられておりましたけれども、現在、順次各専門部会で各教科の改善内容の審議がとりまとめられつつありますので、後半部分、審議の終わりました教科から各教科の改善内容が盛り込まれているというのが前回お配りした時点からの主な変更点でございます。大部でございますので、詳細は省略いたしますけれども、後ほどご参照いただければと思っております。
資料6、7は小・中のそれぞれの部会での教育課程の大枠についての検討資料でございまして、前回もお配りしておりますところから大きな変更点はこちらはございません。
それから、最後に資料8でございますが、高等学校関係の枠組みについての検討の素案でございます。こちらの部会に関係します地理歴史、公民のところだけ簡単にご紹介をさせていただきたいと思います。資料8の3ページをお開けいただけますでしょうか。前回も簡単にご紹介したところでありますけれども、3ページの下半分のところで、各教科ごとの必履修科目についての考え方をとりまとめた部分がございます。地理歴史につきましては、一番下のところでございます。「小・中・高を見通した内容の体系性という観点から現行の必履修科目の定めは合理的である。ただし、『世界史』の内容について、日本史や地理との関連を一層重視するなどの観点から見直す」、ここまでは前回お配りした時点と変わっておりません。今回の資料ではその後に「総合的な科目の設置については、学問研究の進展状況等を踏まえ、今後更に検討する必要」という文言が加わっております。基本的には世界史を必修という今の考え方で、ただ、内容の改善を少し図るという形で進めていってはどうかと。また、将来的には総合的な科目の設置ということも有意義であって、それについては今後さらに検討する必要があるという形でのまとめになっております。それから、公民でございますが、1枚めくっていただきまして4ページの冒頭にございます。「高校生にとって必要な人間としての在り方生き方に関する内容を充実するため、倫理領域の内容を充実する必要がある」という形でのとりまとめがされているところでございます。このペーパーにつきましては、14日の高等学校部会での検討用のたたき台ということでございまして、そのままストレートにご了承いただいたわけではございませんで、若干、文言修正等のご意見をいただいたところでございますが、基本的な考え方についてはほぼご了解いただいたということでございます。
以上で関係部会の議論の状況のご紹介とさせていただきます。
では、引き続きまして、今日ご検討いただきます資料3についてのご説明に移らせていただきたいと思います。資料3につきましては、前回ご議論いただいた検討素案に見え消し修正の形で修正を加えたものでございます。主な修正箇所につきまして簡単にご紹介をさせていただきたいと思います。
まず2の「課題」のところの最初の
のところでございます。もともとは基礎的・基本的な知識、概念が十分に身に付いていないという指摘だけでございましたが、知識・技能を活用することの重要性ということについて加えさせていただいております。
それから3の「改善の方向性」でございますけれども、2つ目の
のところでございます。単に今までは情報を読み取ることというふうになっておりましたけれども、情報を集めるということも非常に大事なところではないかというご指摘がございましたので、「必要な情報を集めて」という形で修文をさせていただいております。
続きまして2ページでございます。4の「改善例」のところでございます。まず小学校の最初の
でございます。ただ今、申し上げたのと同様の修正でございますが、従来は「資料を用いて調べたり」となっておりましたところを、やはり情報を集めるという部分の重要性にかんがみまして「各種の資料から必要な情報を集めて読み取ったり」という形に修正をしております。
続きまして(ア)のところでございます。4行目あたりのところでございますが、「国土の広がりの中で」という表現が若干間違った解釈を生むのではないかというようなご議論がございました。そこで、そこを「我が国における自分たちの住む県」という形にいたしました。それから前後の関係で、その前の「我が国おける自分たちの住む県の位置」というところはもうなくてもいいのではないかということで、文章を整理するということで削除させていただいております。それから、その後でございますが、前回、この部会で地図あるいは地球儀の活用について非常に皆様方から活発にご議論いただいたところでございます。それを踏まえまして「地図や地球儀を用いて」ということを明確に記載させていただいたところでございます。
それから続きまして(イ)のところでございます。(イ)の冒頭2、3行のところでございますが、伝統や文化に関する内容の具体的例としまして、前回は「農耕の始まり以前の内容」という書き方をしておりましたが、もう少し具体的にわかるようにということで「縄文時代の人々のくらしに関する内容」といたしましたのと、もう1つ具体の例示といたしまして「歴史的事象との関連で取り上げる文化遺産を例示」という言葉を加えさせていただいております。それから、その2行後でございますが、前回、「ルールや法の大切さ」という「大切」という言葉を削除してはどうかというご提案をしましたところ、「大切さ」という言葉はともかく、大切であるということは是非言及すべきであるというご意見がございましたので、「社会生活を営む上で大切なルールや法」という形で修文をさせていただきました。それから、その下でございますけれども、通信などの産業に関する内容のところで「社会の変化」という言葉がございましたが、通信などとの関係ということですので、もう少し具体的に「高度情報化の進展」という形で修文をさせていただいております。それから、その下の「さらに」以下の国土の自然でございますとか、自然災害、あるいは持続可能な社会といったところでございますけれども、ここはもともとは(ア)の方で、「国土に対する理解と愛情をはぐくむ」という観点で記載しておりましたけれども、この内容についてはむしろ(イ)にある、よりよい社会の形成に参画する、社会形成の参画という観点からまとめた方がいいのではないかというふうに考えまして、場所を移動させた上で持続可能な社会とか防災といったことを明確に加えるという修文をさせていただいたところでございます。
それから続きまして中学校でございます。小・中の連携ということをはっきりさせるという趣旨で、冒頭に「小学校社会科の学習を踏まえ」という文言を加えさせていただいております。次のページでございますけれども、まずaのところでございます。地理的分野についての改善をまとめた部分でございますが、実は、b、cの歴史・公民の分野では、「何々をするためにこういう改善を図る」という文章構成になっておりましたが、地理的分野だけちょっと違う書き方をしておりましたので、これは平仄を取る意味で「世界の地理的認識を深めるため」として、その後に具体にこういうことをすると。同じように「我が国の国土に対する認識を一層深めるため」こういう改善をするということで文章の形を整理したということでございます。
それから、bの歴史的分野でございます。3行目のところから、「身近な地域の歴史学習などを通して我が国の伝統や文化にかかわる学習を充実させる」とございます。これは従来も、少し後のところに出ておりましたけれども、伝統文化についての学習の重視というのが今回の改訂の1つのポイントかと思いますので、前の方に出して順番を入れかえたということでございます。それからもう1点続きまして、「近現代の学習を一層重視し、我が国の歴史背景にある世界の歴史の扱いを充実させる」と前回は表記しておりましたけれども、続けて書きますと世界の歴史の扱いが近現代だけに限定されるように読めるというご指摘がございましたので、そこは「重視する」で一旦文章を切りまして「また」という形でつなげるように形を改めさせていただいております。
続きましてcの公民的分野のところでございます。まず最初に2行目のところからですけれども、現代社会の成り立ちという部分を削除させていただいております。この点につきましては、今回のこのペーパー全体の性格が、現在の学習指導要領をもとにして、それを改善するポイントを記載するという性格のペーパーかと思いますが、この現代社会の成り立ちのところについては歴史のところで近現代重視ということもございますので、ことさら今回特に改善を充実するという部分ではないのかなと思いまして削除したということでございます。それから、その後でございます。貨幣、ルールのところですが、貨幣という言葉がちょっと意味が狭いのではないかというご指摘がありましたので、通貨という形に言葉を変えております。その下の行で社会倫理についての学習というところも消してございます。これについては、具体的に想定していました学習が、例えば公正といったような概念について具体的にどう考えるかといったようなことを学習するものということを想定しておりましたけれども、そのことにつきましては、その3、4行後になりますが、「その際、習得した概念を活用して諸事象の意義を解釈したり事象間の関連を説明する」とございまして、まさに具体的な活動としてはこういう活動を想定しておりましたので、ちょっと内容的に重なるということで社会倫理についての学習については削除させていただいております。その下でございますが、前回のご意見で税に関する問題というものがございましたけれども、社会保障制度というのも重要な論点ではないかということがございましたので、社会保障制度というものを付け加えさせていただいたところでございます。
それから、直接は関係ございませんが、関連いたしますので高等学校の関係も主な変更点をご紹介させていただきます。4ページを見ていただければと思いますけれども、前回は高等学校部会の方で必履修科目の方向性が出ていなかったということがございまして、地理歴史については科目を示さずに改善の内容を示しておりましたけれども、今回、高等学校部会の方で一定の方向性が出ましたので、世界史A、世界史Bといったような科目ごとの改善内容という形でまとめさせていただいております。改善の方向性については、前回出したものと大きな変更はございませんが、科目ごとにブレークダウンした形でお示ししたということでございます。公民科につきましても、5ページでございますが、高等学校の地歴・公民部会の方でのご意見を踏まえて若干の字句修正等をしているということでございます。高等学校の地歴・公民部会は昨日開きまして、大きな方向性については議論ございませんでしたけれども、いろいろご意見をいただきましたので、この今の案から修文してまとめにしたいと考えているところでございます。
以上、変更点を中心にご説明いたしました。前回いただいたご意見になるべく忠実に反映できるように努力したところでございますが、まだ十分に直し切れていないところもあるかと思いますので、是非今日またご審議いただきましてご意見を賜れればありがたいと思っております。以上でございます。
【岩田主査】
ありがとうございました。
それでは、資料3を中心に検討を進めてまいりたいと思います。前回も初めに小学校を中心に行い、後半で中学校という形で展開をいたしましたので、本日も前半を現状、課題、改善の方向性も踏まえて小学校中心にご意見をいただき、後半は中学校に入りたいと思います。両者が関連するものについては当然触れていただいて結構です。
今日は委員の先生方で田村副部会長、山内委員、高橋委員が途中でご退席の予定と聞いておりますので、ご発言を積極的にいただければありがたいと思っております。
また、教育課程部会に上げていく最後の回になりますので、ミクロのところもご指摘をいただいて進めていければいいと思っておりますので、ご自由にご発言をいただければと思います。いかがでしょうか。
【佐伯主査代理】
ちょっと字句についてですが、前回の資料を持っていないので違っていたらすみません。例えば、1ページの課題のところ、「基礎的・基本的な知識」というのは、前回、たしか「基礎的」が消えていたような気がしたのですが、そんなことはなかったでしょうか。
【牛尾視学官】
ちょっと私も記憶が確かではございませんですが、前々回はひょっとしたらなかったかもしれませんが、前回はおそらく入っていたと思います。ちょっと今、確認いたします。すみません。
【岩田主査】
それに関連して何かご意見でしょうか。
【佐伯主査代理】
いや、特に。これでいいと思うのですが、前回質問しようと思ってしなかったのをちょっと思い出したような気がして。
【岩田主査】
確認できればまた。
【牛尾視学官】
前々回にはなくて、前回加えさせていただいております。
【岩田主査】
はい、わかりました。ありがとうございました。
では、ほかにご意見ございますでしょうか。
【星埜委員】
小学校の改善例のところなんですが、都道府県の位置を新たに加えると。自分たちの住む県の位置をとらえることができるようにというところ、それは結構だと思うのですが、その後に「地図や地球儀を用いて世界の」云々となっておりますが、それもそれで結構だと思うのですけれども、地球儀はおそらく世界の大陸とか海洋を見るために使うのだろうと思うのですが、地図は都道府県の位置を知るということのためにも、これは必要じゃないかなと。要するに、地図は全体にかかるんじゃないかなという気がするのですが、世界の学習のところしか地図が入っていないというのは、これはどういうわけかということと、ちょっと疑問に感じた点だけを申しますと、国土の豊かな自然及び自然災害に関する内容ということで、これも非常に結構だと思いますが、その前に「自然などの様子に関する内容」とか、ちょっと非常にわかりにくいんじゃないかなという気がします。
それから、持続可能な社会というのは、これは全くそのとおりだと思うのですが、「持続可能な社会の観点を含めて再構成する」というふうにつながると思うのですけれども、ここは持続可能な社会というと、何となく逆にわかりにくくなっちゃうんじゃないかなと。むしろ具体的に環境とか資源だとか防災だとか、あるいは持続可能な社会ということでいえば、人口問題とかいろいろあると思うのですけれども、何か具体的に例示した方がよろしいんじゃないかなという気がいたします。
それと、もう1つ、(ア)のところの「我が国における自分たちの住む県」、これは「国土の広がりの中」が誤解を生むということで直したと伺ったのですが、何となく、こう言っては悪いのですが、取ってつけたような感じがするので、これは「我が国における」がなくても、自分たちの住む県は当然我が国におけるわけですので、なくてもいいんじゃないかなという気もするのですが。
以上でございます。
【岩田主査】
ありがとうございました。
第1点目の地図についてはいかがでしょうか。これ、おそらく地図帳が4年生から配付されるということが、ついついこういうところへ表現が出てきたのではないかと思いますけれども、もし何かございましたら。
地図に関して、何か表現を工夫するかどうかという、そのあたり、いかがでしょうか。よろしいでしょうかね。
【安野調査官】
簡単に趣旨を申し上げたいのですけれども、現行では基本的に地図を用いるということで、学習指導要領上にも明記されているんですけれども、地球儀ということは実際には本文には入っていないんです。解説の上では、地図を地図帳あるいは地球儀というふうな言い方で解説をしております。今回は、前回のご指摘が大変大事だなと思いまして、この地球儀を中に埋め込むことによって、いわば現場ではなかなか地球儀がそろっていない実態が多分あるんじゃないかなと思うんですね。ですから、なるべくこの「地球儀」という本文を中に埋め込むことによって、現場での実際の授業に生かせるような形で何とかできないかということで差し込んだわけでございまして、今の趣旨をお伺いしたので、もう少しその辺の表現の工夫をしていきたいと思います。
【岩田主査】
よろしくお願いします。
じゃあ、田村先生。
【田村委員】
ありがとうございます。中途で失礼するものですから、ちょっと発言をさせていただきます。今、ご指摘がございました持続可能な社会というのは、もとはサステイナブルという言葉から出てきているわけでございまして、サステイナブルを持続可能というふうに日本では訳しているわけですが、この種の概念は、今、地球上でいろいろなところで国際会議がいろいろなテーマで行われますが、どんな会議でも必ずそれが出るんですね。ですから、「持続可能な」ということを言葉できちんと受けとめておくという習慣を僕はつけておいた方がいいと思って、このことは言葉としては残していただきたいなと思っているんです。日本語としては、ご指摘のようにまだこなれているというものではないことは確かでありますが、サステイナブリーサイエンスとか、サステイナブルディベロプメントとか、いろいろな形で今、使われ出して、今後それを中心に21世紀の社会をつくっていかなければいけないということがはっきりしているわけですから、21世紀に活躍する子どもたちに対してはそのことをきちんと伝えるという意味で言葉を是非残していただきたいという気がします。
それから、発言ついでにもう1つ申し上げます。実は、昨日の高等学校の会議に出まして、「公正さ」という言葉をご議論の結果、お取りになったのですが、私は個人的には「公正さ」という言葉はどこかに残した方がいいんじゃないかと思います。例えば、イラク戦争のきっかけになったと言われる、イラクの外務大臣が国連でアメリカ攻撃の演説をしたのをたまたま聞いていたのですが、ものすごい回数にわたって、二言目には「アメリカはフェアでない」と、こう言って攻撃するわけですね。だから、いかにフェアというのは、今の世界でそれが重要なことかというのは、そのこと1点でもわかると思うのですが、フェアというのは、ジャスティスではない、公正さですよね。そこそこ公正という。実はこれから社会ではそれが一番大事なのではないかと思いますので、公正さはこういうものだという教え方はいけないのだろうと思うのですけれども、公正さという概念があって、それが実は今、世界の人類が大事にしようとしている考え方だというのは、言葉を残しておかないと伝わらないんじゃないかという気がしますので、昨日の高等学校のご意見をお伺いしながら感じたものですから、言葉を残していただけるといいなと思って付け加えさせていただきました。ありがとうございました。
【岩田主査】
今の「公正」に関しては、現状のところに「公正に判断する能力」というような、そういった言葉は入っているには入っているのですが、どこか小学校か中学校のいずれかの部分に欲しいという、そういうように考えればよろしいですか。
【田村委員】
昨日のご議論が前提にありますが。
【牛尾視学官】
ちょっと私の方から、では、昨日の高等学校の地歴・公民専門部会のご議論をご紹介させていただきますと、資料で申しますと5ページのところです。高等学校の公民科についての基本的な改善方向を示した文章で、5ページの1行目ですが「社会的事象に対する客観的で公正な見方や考え方」というふうにございます。ここにつきましてある委員の方から、公正な見方というと1つの公正な見方というものを教師が生徒に教え込むというようなニュアンスが出てしまうのではないかというご意見があって、この「公正」というのはやめて、むしろ「多角的な見方」とかそういうことの方がいいのではないかというご意見が出ておりました。ただ、一方、別の複数の委員の方からは、やはり公民においては「公正」という概念は非常に基本的な概念であるし、もちろん「公正」という言葉を使ったからといって、一方的な公正さを押しつけるという趣旨ではないのだというご発言がありましたので、一方的ではないという意味での公正という趣旨が伝わるような修文ができないかということで、今、事務局が宿題をいただいていると。それを踏まえて、田村副部会長からご発言をいただいたということでございます。
【岩田主査】
わかりました。当然、小・中の社会科のところも、高等学校の修文と絡んで動いてくる可能性はあるのではないかと思います。
では、星埜先生。
【星埜委員】
先ほどご説明いただいた趣旨で結構だと思いますが、私のお願いは、都道府県の位置を新たに加えるということは結構だと思うのですけれども、そこも世界の国とかそういうことだけじゃなくて、地図の活用ということがあるのではないかということでございますので、何か工夫していただけるとありがたいと思います。
それから、私、「持続可能な社会」という言葉について全く賛成でございますので。
以上でございます。
【岩田主査】
ありがとうございました。
では、ほかにございましたらお願いいたします。
【硲委員】
小学校の(イ)のところの最後の朱書きのところですが、先ほど星埜先生からも、「国土の豊かな自然及び」云々のところ、国土の豊かな自然、じゃあ何をするんだろうと、わかりづらい面があると思うんですね。是非ここのところに小学校の段階から自然環境を保全するという意識を持たせてもらいたいなと思うんです。そして、中学校に入りまして、具体的に地域のことを勉強していったときに、やはりそれに小学校で学習した内容が生きてくるんじゃないかなと思います。ただ、自然環境の保全にするか、単なる環境の保全にするのがいいのか、ちょっとそれは判断しかねるのですけれども、意識をここで醸成してほしいなと思います。
以上です。
【岩田主査】
持続可能な社会と絡んでいるところもございますね。表現が工夫されるところであろうと思います。
ほかにございましょうか。高橋先生。
【高橋委員】
今までの議論のところで、まず公正というところと持続可能な社会というところについてご意見を申し上げたいと思います。
私はやはり公正というのは非常に大切で、今回の改訂そのものが国際社会ということを非常に意識していますので、やはりフェアということはきちんと教えていくべきだと思います。1ページ目の3の「改善の方向性」の1つ目の
のところに小・中・高と横断して公正に判断する能力というのが書いてありますので、小・中でわざわざ入れなくても、これが反映させられていけばいいなとは思っております。ただ、今、世の中的に大人の社会でも公正と公平というのをきちんと使い分けられないという部分が多くて、このフェアというのを間違ってとらえられても困りますので、もし小さい段階でその辺の配慮が必要でしたら、何か入れていただきたいなと思っております。
それから2点目の持続可能な社会、これは私も是非とお願いしたいところなんですが、例示を入れてしまいますとすごく狭まってしまうと思うんですね。これから社会、技術が進展していけばいくほど、本当に広い分野で求められてくるので、私はむしろ例示はしない方がよろしいのではないかと思っております。
それから3点目は、今まで出ていないところの意見なのですけれども、2ページ目の小学校の(イ)のところの後段の部分で、通信とか情報化というところが出てきます。「さらに」というところなんですけれども、「さらに」を消してあって「我が国の通信などの産業に関する内容について、高度情報化の進展を踏まえつつ学習のねらいを一層明確にする観点から改善を図る」とありますけれども、この表現で十分かなというのがやや心配でございます。1つは、「通信などの産業」というのを聞いてどういうイメージをもつのかということなんですが、通信と放送は今、融合してきますから、1つになっていくと私は理解しておりますけれども、この通信などの産業というときに、経済財政諮問会議ではコンテンツ立国だといって、2015年を目指して、今、いろいろなプログラムを動かそうとしているわけです。放送に関してはご存じのとおり2011年にアナログ放送が終了してデジタルに完全移行して、そしてブロードバンドはもう2010年にゼロ地域をなくすと。それからデジタルデバイド、地域的なブロードバンドが行き渡るように国費も使うと、最近、ニュースに出ているわけなんですが、私、実は情報通信審議会の委員で、研究会その他たくさん出ているんですけれども、この分野を「通信などの産業に関する」というと、すごく狭まってしまうような気がしまして、もう少し適切な表現がないものかなと思っております。ほかの皆さんのご意見も伺いたいと思います。
【岩田主査】
ありがとうございました。
先ほどから出ております公正の問題は、世界的なところで、日本人がよくやられるのはアンフェアだという形で攻撃されることが多いので、フェアという概念がきちんと学ばれる機会を保障できればいいなと常々思っております。
持続可能な社会は、先ほど田村副部会長から話をちょっと聞いておりますと、全教科でこの言葉が入るというようなお話も聞いておりますので、それならばあまり言葉をいじくらないでこの言葉を置きたいなと私自身は思っているところです。
3番目の通信のことについても、私もこれはちょっと狭いかなと。もう少しいい表現があるかなというように感じて読んでおりましたので、またご検討いただければと思います。
【安野調査官】
これは10年のときもそうなんですけれども、表記の仕方の一つのルールを踏まえて書いたのですけれども、ちょっとそのご説明が足りなかったなと思いますので、ちょっと説明させていただいてよろしいですか。
2か所、「我が国の通信などの産業に関する内容について」というのは、実は現行学習指導要領を指しています。現行学習指導要領が小学校の場合、非常に社会生活をトータルに扱うものですから、こうした内容についてというテーマを設けて、その後に各論を書くという、そういうふうな構成になっているんですね。ですから、この意味は、まず「我が国の通信などの産業に関する内容について」という現行を、高度情報化の進展を踏まえながら、もっといわばそれに合ったように変えていきますという趣旨でありまして、具体的に書き込むと、もっとけたが細かくなっちゃうものですから、このレベルで中・高とそろえたという趣旨であります。
それから、下の、先ほどご指摘があった「我が国の国土の自然などの様子について」というのも全く同じで、これも5年生のところの内容そのものを指していて、こちらについてはもう少し後段で再構成するというのは、今、いろいろなご意見をいただいたような要素を踏まえて、これは趣旨をもう少し持続可能な社会ということをきちんと埋め込んだ形に構成自体を変えますというふうなメッセージでありまして、もしこれが表現上わかりにくいようでしたら、また検討はしたいと思うんですけれども、従前のルールに従っていくとこうなっているということを補足させていただきます。
【岩田主査】
今の説明を受けると、非常にわかりやすいので、今の学習指導要領を頭の中にきちんと入れていない場合にはちょっとわかりにくかったという、そういうことでございます。
ほかにございましょうか。
【星埜委員】
今のご説明でよくわかったのですが、私が申し上げたことでちょっと誤解があったかもしれないのですけれども、この文章の並びが悪いと思うんですよね。「豊かな自然及び自然災害」というのが、これが何か並びが悪いんじゃないかなと。国土はもちろん豊かな自然がありますけれども、豊かな自然の一方で厳しい自然もあるわけですね。ですから、言うとしたら、例えば特徴及び制約とか、何かそんなようなことになるんじゃないかなと。
それと、「持続可能な社会及び防災」というのが、これが何か並びが悪いんじゃないかなと。そういうこともありまして、ちょっと私、申し上げたんですけれども、防災という言葉と並ぶと、どうしても環境だとか資源だとか、そういうふうになってしまうので、例えば「持続可能な社会の実現や防災」ですか、そんなような表現になるんじゃないかなと、ちょっとその辺、お願いできると幸いでございます。
【岩田主査】
ありがとうございました。今のところは工夫ができそうですので、よろしくお願いします。
【沖野委員】
いささか雑多なものがございますけれども、これまでの審議を十分に伺っていないために誤解もあるかと思いますので、確認の意味をこめて、ご質問を含めて述べさせていただきたいと思います。
まず、1ページの2の「課題」の4つ目の
のところでございますけれども、規制緩和の進展や司法制度改革というのが1つの契機として挙げられて、それによって社会経済システムの高度化・複雑化が顕著であるというつながりになっております。このつながり方なんですけれども、規制緩和の進展や司法制度改革というのは、確かにこれらが後のルールの重視や法システムの重視という個別問題につながっていくかと思うのですが、そのことと社会経済システムが高度化・複雑化しているということがきれいにつながっているのかということが気になっております。むしろ、ルールによる制度設計ですとか、そういうことの方が、この「など」で書かれているものからつながるのではないかと思われまして、あるいはそれにかかわるような社会の一層の「法化」ですとか、あるいは「法化社会」の到来ですとか、そういったことを入れるということも考えられるとは思いますので、このつながりにつきまして何か背景事情がありましたら教えていただきたいと思います。
それから、規制緩和の進展、司法制度改革から法やルール等についての重要な点が出てくるということなのですが、これ自体は1つはそういうカギ括弧付きの「法化社会」のような、その存在の重要性とともに、そこにおける「国民の司法参加」等の言葉でも一端が窺われますように、国民という表現がよろしいかどうかはあるとしても、個人の主体的な役割の強調ということがもう1つ重要な点として出てくることだと思います。そして、そのことは、その2行後に「主体性をもって社会に積極的に参加し課題を解決していく」というところにつながっているのでございますけれども、ただ、これは社会システムの高度化・複雑化から主体的に参加していくということに果たしてつながるのかという、このつながりが少しあいまいなように思われますので、その方向をより明確化する方が望ましいように感じております。
この点はさらに「公正」ということをどうするかという点にかかわりまして、法やルール、あるいは制度の仕組みということからすると、何よりも公正さというのは大変重要な価値でございますので、その強調は幾らしても足りるということはないのだろうと考えております。ただ、その場合のとらえ方でございますけれども、ここでは公正な見方という形で書かれておりまして、公正さということを問題にするときには、いわば個人の生き方としての公正さ、ある行動について「あなたはフェアじゃない」というふうに言うときの、個々人が公正な生き方をしているのかという個人レベルの公正さの問題と、社会の仕組みですとか制度の在り方が果たして公正であるのかという2つのレベルがあるように思います。そして、特に後者の場合は、一体そこにいう公正さとは何かということ自体がはっきりしないもので、その公正さについていろいろな考え方がある中で、後で出てきますような、様々な考え方を検討し、議論していく中で公正さとは何かを探っていくという、そういうプロセスを経た公正さの探求ということが重要かと思われますので、「公正さ」というのを使うときに公正な見方と言うことで個人がそれぞれ自分が公正にどうするかというところだけを含意するとすれば十分ではないように思われますので、「公正さ」という表現を用いる場合にいずれの公正さを問題にするかを含めて、検討をする必要があるのだろうと考えております。
それから、言葉としては2ページに挙がっており、今、様々に問題になっております「持続可能な社会」ということでございますけれども、これは21世紀の非常に大きな課題の1つということで、大変重要な問題であると認識しております。持続可能な社会をいかに実現していくかということに当たっても、どのような制度構築をしていくのかということが大変重要なわけで、いろいろな問題の取組に当たって、広い意味でのルールについての考え方というのは大変重要なことだろうと思います。そして、今日のご議論を伺っておりまして、持続可能な社会ということが重要であるという認識に立ちますと、改善例の個別具体的な問題のところだけに出すのではなくて、より一般的な課題であるということを出した方がよろしいのではないか。様々な問題を含んだ、より上位にある概念としての持続可能な社会の達成ということがあり、その一環として環境問題があり、国土の保全があると。そういう問題が出てきたときには、1つ上位の概念に立ちのぼって持続可能な社会という観点から考えていく必要があると。したがいまして、より一般的な言及が課題なりのところにあれば、後の方で個別問題について出てきても、持続可能な社会はそれだけの話ではないということがわかるのではないか。それをどこで置くかということですが、あるいは社会システムがどのように動いているかという中で、先ほどの課題の4つ目のところに1つ組み込むというようなことも考えられるのかと思っております。
時間を取って恐縮ですけれども、1ページに戻っていただきまして、今度は「改善の方向性」の2つ目の
でございます。そこには自分の考えを論述することの重要性ということが書かれておりまして、その後でも自分の考え方をきっちり述べられるということの重要性が触れられております。これ自体は大変重要なことであると承知しておりますけれども、しかしながら、自分の考えを論述するという前提には、他者の考えがあり、様々な考えがあるということがございます。皆が同じ考えを持っていれば、以心伝心でよいと言えるかもしれず、様々な考え方がある中で、自分はどのような考えを持っているのかというのを、他者の考えを踏まえつつ検討するということが重要であろうと思います。第1回のご審議の議事録等を拝見しますと、既に自分の考えだけをとにかく滔々と述べるということはかえって危険であるというご指摘もございますので、むしろ異なる考え方の存在を認識、理解すること、その上で自分の考えをきっちり論述できることが強調されるべきではないだろうかと思います。ただ、改善点ということでございますので、「まず異なる考え方が複数あるんだということをきっちり認識し、分析し、理解した上で」という部分は既にされていることであって、プラスアルファとしてということであれば、それはそれかと思いますけれども、ここもいささか気になった点でございます。
2ページにまいりまして、4の「改善例」の先ほどから問題となっております(イ)でございますが、これは大もとのというか、より基礎的なところを教えていただきたいのでございますけれども、とりわけ「また」から始まる2文目が前回は2つの文に切られておりましたところが「ともに」でつなげられ、1文になっております。このつながりを確認させていただきたいと思います。「ともに」でつながるということは、目的規定としての「よりよい社会の形成に参画」云々するためとあり、「例えば」という例示があって「ともに」としてこういう改善を図るということが並んでおりますので、通信などの産業に関する内容についてこういった点から改善を図るということも、よりよい社会の形成に参画する資質や能力の基礎を養うための例示であると考えてよろしいのかどうか。その場合に、社会のIT化等の中でいろいろな情報を取ることができ、あるいは分析していくということが社会の形成に参画する資質や能力のまさに基礎であると、そういう理解でよろしいのかどうか。ここのつながりがちょっとわからなかったものですから確認をさせていただければと思います。
また、あちこち行って恐縮なのですけれども、先ほど5ページのところで公正な見方という点について、多角的な見方という点に変えてはどうかというお話があり、結局、しかし「公正な」ということが重要だというお話がございました。多角性、あるいは多様性と公正さというものをどのように調和していくのかということが問題意識としてあるということでございましたけれども、公正さが非常に問題になりますのは、まさに多様な意見があるからこそ、何を公正と考えるのかという、そこの議論が非常に重要になってくるということがございますので、公正さの重要性がその背後にある多様性の中でのということに支えられているということも指摘できるように思います。
お時間を取って恐縮です。
【岩田主査】
6点ぐらい出てまいりましたけれども、一気にご回答をいただくのはなかなか大変かと思いますが、まず課題の4点目のところの、つながりの問題が指摘されましたけれども、これについてはいかがでしょうか。
【牛尾視学官】
最初にご指摘いただきました規制緩和、司法制度改革と社会経済システムの高度化・複雑化というところでございますけれども、以前、教育課程部会でおまとめいただいたような文章にも、確かにこういう書き方をしていたものですから、そのまま引き移したのですけれども、ご指摘のように、確かにつながりとして社会経済システムだけで受けるというのはわかりづらいかなと私自身もお聞きしていて思いました。法化社会という言葉がいいかどうかはちょっと私も即断しかねますけれども、そこはもう少し幅広く、ご指摘いただいたようなことも読めるような文章に修文を考えたいと思います。
【岩田主査】
ありがとうございました。
2点目の、公正さを論ずるとき、公正な見方という形で個人レベルでなくて社会的な公正ということも視野に入れて何らかの形で対応すべきだということ、これは是非どこかに入ればいいなと思いますので、ご検討いただければと思います。
3点目の、持続可能な社会は大きな概念だから課題のところに入れた方がいいのではないかという、これもご意見としてお受けしておきたいと思います。
4点目の、他者の考えを入れて主体性を持ってという、社会に積極的に参加し課題を解決するということと自分の考えを論述すること、これは前回も自分の考えを論述するのは独断と専行で論述したのではいけないというようにご意見も出ておりましたので、気を付けながら、そういうことにならないような形で全体の方向性を考えていけばいいのではないかと思っております。
2ページのところで「ともに」で結んだところの問題点の指摘がなされましたけれども、これについてはいかがでしょうか。
【安野調査官】
ご指摘の趣旨のとおり、基本的にはこの文章なんですけれども、「よりよい社会の形成に参画する資質や能力の基礎を培うため」ということで、後段にまいりますと、ずっとつながって「学習のねらいを一層明確にする観点から改善を図る」とつなげていっているわけです。この学習のねらいを一層明確にする観点というのは、現在の学習指導要領においては情報産業というとらえ方をしていて、それが国民生活と深くかかわっているんだという、国民生活とのかかわりを学びます。さらに、それを学習した上で情報の主体的な活用ということが図れるようにということで2点。1つが情報の受け手としてのリテラシーがあります。もう1つが発信者としての発信の仕方というのが入っているんですね。これがねらいなんですけれども、現行では、どちらかというと先ほど申し上げた産業というとらえ方が、情報収集あるいは加工して提供するという、いわゆるマスコミに当たる新聞とか、あるいは放送局の仕事の中身を学習しているというのが現状です。ところが、ご案内のとおり、もう1つ大事なのが、システムとしての情報社会と国民がどうかかわるかというところの学習の内容が入ってこないと発信者を含めた双方向性が出ませんから、それをやっぱり入れていこうというのを今回の趣旨で新たに加えるということになると思います。その際、発信者の側でどういう学習をさせるのかというのがこれからの検討課題になると思うのですが、例えば公共性のあるサービスの中でのシステムの活用とか、そういったところにむしろ自分たちが公共サービスを受け手ではなくて、むしろ積極的にそういうサービスを求めていくような、そういうことも含めて、やはり自分からそういう情報社会の中にかかわっていって生活を向上させるというシステムの面が出せれば、まさに社会参画というところが出せるのではないかという趣旨でつなげてあるわけです。
以上です。
【岩田主査】
ありがとうございました。
今、ご意見として伺っておくところは受けとめたいと思いますけれども、ご質問のところでまだ回答が十分でないところがございましたら、沖野先生。
【沖野委員】
いえ、ありがとうございました。
【岩田主査】
よろしいでしょうか。
じゃあ、伊東先生、お願いします。
【伊東委員】
この前の議論を踏まえて大分変えていただいたのですが、わからないというか、歴史のところで学習指導要領を見てみると、何々時代という時代区分って触れていないと思うんですよね。ここに縄文時代っていう時代区分的なものが入るっていうのは、小学校の歴史についての大きな改革を含んでいるのか、それともこういうふうにした方が一般的にわかりやすいからなのかということを1点、まずお聞きしたいと思います。
これは小・中で今までも違うということで、県庁所在地は47やるというようなことになって、これはいわゆる小学校で完結するというふうな考え方なんですかね。中学校はどちらかというと世界の地理というようなことが出てきますけれども、その辺の関係というのが1つあります。
それから、地球儀とか地図の問題を入れていただいて大変結構だと思います。僕も言った以上、責任があって、自校の実態を調べたら、地図があって、地球儀もうちはあると、ちゃんと使っているということで納得したのですけれども、これが必ずしも十分じゃない実態がありますので、ひとつきちんと子どもたちの力を付けるという意味では、きちんと位置付けるところに位置付けていくと。僕も教育委員会等にいたことがあるんですけど、学習指導要領の文面、本文に書いてあるところになると予算化してくれるんだけれども、指導書レベルだと、コンピューターを以前に入れるときにそれで大変苦労したことがあります。だから、そういう意味では日本中の学校で地球儀ということであれば、是非入れていただきたいと思います。
それから、これは余談なんですが、この間、東京新聞を読んでおりましたら、2011年からいわゆる新教育課程がスタートするというように書いてあったんですね。僕はいろいろなほかの部会にも出ているけれども、新しい学習指導要領がいつからスタートするということは聞いたことがないんですよね。もし情報としてわかれば、これは割と現場の校長はみんな知りたがっていることなので、差し障りのない範囲で教えていただければありがたいと思います。
以上です。
【岩田主査】
じゃあ、答えられるところをよろしくお願いします。
【安野調査官】
歴史のところの表現でありますけれども、前回、「農耕の始まり以前の内容についても取り上げる」というふうな表現にした場合、委員の方から、かなり広い範囲のものも入るのではないかというご指摘をいただいて、少し世間一般にわかりやすい表現を使おうと思って使ったわけでありまして、逆に、確かに伊東先生が仰るように、小学校の教育に精通されている先生から見ると、もしかしたら違和感がありそうですので、ちょっと言葉を検討したいと思っております。
せっかくですのでちょっとご説明させていただくと、ここの趣旨は、元年版にも実はこの内容が入っていたんですよね。これをあえて10年で削除した理由が、社会の変化を考える内容というふうにとらえて、いわば通史になるのではないかというご指摘で、確かここは変えたと思います。そこで今回は、むしろ、子どもの学習の興味関心を一層深めるということや、歴史の学習がいきなり村とかというところに行っちゃうんじゃなくて、衣食住のところに目を向けた方がいいというご指摘も前回いただいたので、ならば縄文あたりがいいだろうということで入れたという経緯でありますので、言葉はこれからまたちょっと吟味させていただきたいと思います。
以上です。
【岩田主査】
都道府県はいかがですか。
【安野調査官】
都道府県の方は、まず基本的にこの部会でも、いわば都道府県について、例えば3年生でも4年生でも基本的には自分たちの地域とのつながりで各県はもう当然学習しているんだと。ただ、それがずっときちんと47都道府県を学ぶことなくして、経験的に身に付くだろうというところが、それでは枠組みができないからきちんと教えた方がいいのではないかと、確かそういうご指摘だったと思います。逆に言うと、これをここで教えたからといって丸暗記をさせるという趣旨ではないので、基本的にはスパイラルにずっと学習していくという趣旨になっていくと思います。せっかくですので、意味あるものとして学ばせたいということもありますので、県内における自分たちの市の位置という学習はしているんですけれども、先ほど、もう我が国は要らないんじゃないかというお話もありましたけれども、一応、国土の中における自分たちの県という学習の中の一環として、それが日本を構成する基本単位なんだという意味を学習しておいて、あとはそれをきちんと学ぶというスタイルですので、基本的にはこの時期で終わりという位置付けではないと考えております。
【岩田主査】
スタートについて、どなたか。
【牛尾視学官】
今後のスケジュールに関してでございますけれども、現時点で正式に決まっておりますのは、今年度中に学習指導要領の改訂をするというところまででございます。実施時期については正式に決めたということではまだございませんが、通常のスケジュールですと、告示した後に教科書の編集、検定、それから採択、供給等で丸3年かかるというのが通常のスケジュールですので、それを考えると、来年度末ということから計算しますと2011年、あるいは平成23年ということで新聞はお書きになっているのだと思います。
【岩田主査】
地図とか地球儀という言葉が明示的に入ってくるのは大変ありがたいことで、こういう大きな部会で、ここできちんと言ったことが予算化される可能性が高いので、こういうものが入るのは大変ありがたいなと思います。
どうせ難しいだろうと思いながら、言うだけ言っておきたいと思うのですが、第3期のときも言ったのですけれども、地図帳は3、4年用と5、6年用に分けてほしいと思います。空間軸、時間軸というのは、前回の三谷先生の意見にもありましたように、子どもたちが事象を学ぶときに、ここで行われた、いつの時代だというように、ものを掛けるフックなんですよね。そのときに3、4年の地図と5、6年の地図が分けられたならば使いやすいものになって、現在は4年生から配付されているのですが、結局、高学年シフトになってしまいまして、中学年はほとんど使えない実態なんですね。じゃあ中学年に合わせると高学年は全く使えなくなるという非常にしんどい状況が長く続いていて、予算が伴う問題だから誰も言わないできたのですが、言うだけ言っておきたいと。これはやっぱり先進国で、小学校で1冊というような地図帳というのは考えられないことですので、是非実現してほしいと思います。また勝手なこと言ったと思われるかもしれませんけれども。
ほかにございましたら。
【星埜委員】
今言われました地図帳のことで、全く私も賛成なのですが、特に低学年の場合には易しい地図にしていただきたいと思います。私も教科書や地図を拝見したんですけれども、例えば大人でも十分使えるレベルで、それはそれで結構なんですが、やはり小学校の3年、4年にはちょっと多過ぎるんじゃないかと思うんですね、中身が。世の中には子ども向けの地図をいろいろ研究されたり、つくっておられる方がいて、そういうのを見ますと、非常に楽しく地図を見て、地理的な素養といいますか感覚といいますか、そういうセンスを養うことができる、非常にいいものがございます。これは希望なんですけれども、是非そういうものを、今、3年生からというお話ですが、私も全く賛成です。そういうふうなものを是非教科書を通して取り上げていただきたいなと思います。
【岩田主査】
ありがとうございました。
それに絡んで地図帳についても学習指導要領の中にきちんとした位置付けを入れるようにしておくことが大切だろうと思っています。
時間がまいりましたので中学校の方に移りたいと思います。では、木村先生。
【木村委員】
時間がないのにすみません。前回もちょっと申し上げたのですが、いわゆる課題のところで「主体性をもって社会に積極的に参画し」というふうな関連で改善例の(イ)のところに関連付けさせていただきたいと思うのですが、「よりよい社会の形成に参画する資質や能力の基礎を培うため、例えば」ということで「社会生活を営む上で大切なルールや法及び経済」というところの関連で、前回も申し上げたのですが、いわゆるボランティア活動であるとか、その辺の社会貢献する姿勢とか、前回でもいろいろ支え合う社会をわからせなければいけないというご意見があったと思うのですが、それももしかしたら具体的に、確かに法とか経済とかルールとか、もちろん情報化社会で大事だと思うのですが、やはりボランティアとか、いわゆる社会貢献をするという姿勢がなければ、やっぱり世の中成り立っていかないと思いますし、まさに持続可能な社会をつくっていくには非常に重要なところかなと感じています。皆さんももちろん感じていらっしゃるのだと思うのですが、その文章をここに入れるかどうか、私も社会科の部会なのでわからないのですが、社会生活を営む上で大切なルールや法というふうなところに、やはり目に見えないというのでしょうか、具体的に社会で何か、でも、例えば子どもたちが学校に行く途中にごみをちゃんと拾えるような意識を持てるとか。前に高校で必修に社会貢献活動を入れましょうという話があったのですが、高校生ではもう遅いと私は思うんです。幼稚園、小学校のころから自然とごみが拾えるような、「自然と」というところが、これは社会科に関連するのかどうかわからないのですが、その辺をちょっと入れていただけるといいのかなと。ここに入れるべきじゃなくて、別のところに入るんだよということであれば、それはそれで教えていただきたいと思いますけれども。意見です。
【岩田主査】
一応、形としては、「よりよい社会の形成に参画する」という言葉が入って、それがボランティアに通じるかどうかというように考えられるとは思いますけれども、今まで社会の形成に参画するということが、こんなに表に出たことはないというのは、今仰ったようなことが含まれていることであることは確かだろうと思います。検討課題にさせていただきます。
【川本委員】
小学校の方にも関連すると思うのですが、具体的な提案というか、意見としては中学校なので発言させていただきます。
社会倫理学で特にジャスティスとかフェアネスというのを研究してきましたので、先ほどまでの議論で自分の研究が試されているような思いもいたしました。特に沖野委員のご指摘で、「公正さ」という概念を個人の姿勢とか生き方だけではなく、社会の仕組み等にもつなげるというのは重要だと思いまして、そこで1つ提案なのですが、中学の3ページのc、公民的分野のところですが、そこで、かつて「社会倫理」という言葉があったのがカットされたのは仕方ないかなと思うんですけれども、そのご説明に際して、社会倫理についての学習を削除したかわりに、下から4行目ぐらいからですが、「その際、習得した概念を活用して」というところに、それこそ公正さとかが入ると言われたので、これはやはり是非、ここに「公正さなど」とか、習得した概念というものの一種の例示として付け加えれば、特に前後からしてもここで単に個人の心がけとか見方だけの問題じゃないというのが読み取れると思いますので、ここに公正を入れたらどうかなというのが提案です。
ついでに申しますと、社会保障制度がその前のところで入ったのは私も大賛成なんですけれども、全体の印象にもかかわるのですが、憲法25条の場合、国民の生存権とセットになって国の社会保障義務というのが出てくるので、ここにやはり人権とか権利という概念、やはりこれは高校以降にちゃんと人権学習をさせるという分担を考えていらっしゃるのかもしれませんけれども、せめて中学には、学習指導要領には人権の尊重というのが確か入っていると思いますので、人権を何か公民的分野のところに入れられないかなと思うんですね。そうすると、先ほど提案の「その際、習得した概念」という例示として「公正や人権などの」というふうに複数にしておけば、社会保障制度ともつながるし、広がりも出てくるのではないかというのが提案の1つです。
それから2点目の提案として、これは前回お休みしたので、1回目に申し上げたことの繰り返しになるのですけれども、やはり3ページの中学の改善の方向の上から3行目のところで、「伝統や文化、宗教に関する学習」ということになっております。これも先ほど沖野委員が、多様な意見があってこその公正と言われたのですけれども、やはりここのところに、前回、最初に申し上げたように、「多様な伝統や文化」とか、ここに多様性を形容として付け加えたらいかがかと思います。あるいは「多様な伝統や文化」というのは表現としてちょっとおさまりが悪いということであれば、「文化や伝統、宗教の多様性に関する学習」というような形で、いずれにしてもここの1行のどこかに「多様性」を盛り込むような方向を提案したいと思います。その2点です。
【岩田主査】
ありがとうございました。
1点目のところについて何かご説明いただくことはございましょうか。
【大倉調査官】
1点目のところでございますけれども、先ほどもご説明いたしましたように、社会倫理ということにつきましては、特に公正ということについて課題を追究させる中で考えさせていきたいと。そうなると、この短い文章の中で同じことが二度出るということで、文言としては削らせていただきましたけれども、実際に指導する場面においては、その部分を特に指導するようにという形で現場の方には伝えていく形をとっております。それから、先生から今ご指摘いただきましたように、例えば、習得した概念の中にということでございますけれども、おそらくこの中に入るものといたしましては、政治的なもの、経済的なもの、いろいろなものがあるかと思います。沖野委員からもお話がありましたが、そのときに社会の仕組みエしてという、そういうようなところも、いきなり生徒に考えさせてどうにかなるものではありませんので、事前にこちら側から指導というのは必要になると思います。そういう意味では、先生の仰るとおりでございますけれども、初めてこういったものを学習する中学生に、どのレベルまで指導できるかなというところは今後ちょっと検討させていただきたいと考えております。
【岩田主査】
社会保障制度と並んで人権というお話がございましたが、そのあたりは。
【大倉調査官】
社会保障制度と人権につきましては、もう既に現行の中において、人権の方はかなり詳しく取り扱っております。ですから、このペーパーの趣旨からしまして、現行で行っているところについては特に書いてはいないということでございます。
【岩田主査】
習得した概念のところに「公正さ」「人権」というような例示を入れるというのは、これはちょっと桁が大き過ぎるんですね。社会教育なんかの場合に、どの桁で概念を子どもたちに習得させて、探究をさせて、それをどう使うかというのは、やはり単元レベルで習得したものとか、2、3時間レベルで習得したものとか、そういうミクロな概念も入っていますので、ここであまりに大きなものが入ってしまうと、せっかくここで入れた概念が生きてこないということになりかねないので、このままの方が私はいいかなと思っております。
文化、宗教の多様性についてはいかがでしょうか。これは前回もご主張されたところですけれども。どなたか。じゃあ、よろしくお願いします。
【牛尾視学官】
では私から。趣旨としては我々もここの伝統、文化、宗教については、先生方からもいただきましたように多様性というのが非常に大事だと思います。具体の表現はどちらの表現がいいか検討させていただきたいと思いますけれども、多様性というのが出るような方向で考えたいと思います。
【岩田主査】
前から、伝統とか文化をよほどうまく扱わないと社会科が崩壊するというように私、申し上げていますので、多様性ということがきちんと入ってくることが、社会科としての扱い方を保障していく方向性だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
では、ほかにございましょうか。
【硲委員】
第3期のときに申し上げたのですが、地理分野で身近な地域の学習をします。それから、歴史分野でも今回また身近な学習ということが入っております。実際、両方とも大事なことなんですが、教育現場において実際のところ、地理的分野で地理を中心に、歴史的分野で身近な歴史をというのは現実的に非常に難しいんですね。ですから、おそらくここの書きぶりはこういうふうに書かないといけないと思うのですが、実際の学習指導要領を展開していくときには、その辺のところ、柔軟な内容にしていただければと。そうすると時間的なこともありますし、非常に学校の現場とすれば助かるなと思います。
以上です。
【岩田主査】
例えば、今のは一緒の時間を組んで授業を展開してもいいという、そういう書きぶりにということでございますか。
【硲委員】
はい。
【岩田主査】
そのあたりは、もし何かございましたらあれですが、なければまたご検討いただければと思います。
ほかにございましょうか。
【沖野委員】
確認的な意味と、あと細かな点を1点お伺いしたいと思います。
3ページのcの公民的分野のところでございますけれども、先ほどの小学校の話や、何よりも課題のところで書かれております中で、私自身は主体性というのが大変重要な点であろうと考えております。その背景事情といたしましては、先ほども挙げましたような規制緩和ですとか司法制度改革などの中において、まさに自らが主体的にそこにかかわっていくということが大変重要であると。その観点から、そのための資質や能力を育成するんだということが既に出されているわけでございますけれども、一方で新たにそういうことが起こってきたというだけではなくて、既に以前からそうであったということがございます。現在の国家の仕組み自体がまさに国民主権というようなところにも現れておりますように、そのような形になっています。ところが、それが従来は、自分の外のところでこんな形になっていますといった説明ぶりのように思われるのです。あるいは先ほどからも挙がっておりますような各種の問題、一般的には持続可能な社会という中で言われるような問題についても、取り組み方としていろいろなツールが既に各自に与えられているのだけれども、ところが、それが必ずしも明らかではない形で、「国は何年にこういうことを制定しました」とか、「こういうことになっています」という説明の仕方がされて、あたかも誰かがどこかでやっているというような、そういう形の知識に重点を置いたようなものが一方で見られたのではないかと思います。ですので、新しくそれが非常に重要になってきたということもさりながら、既にもともとの仕組み自体がそういうような仕組みなのであって、しかしながらそこが十分に認識されてこなかった、強調されてこなかった、あるいは結び付けられてこなかったという問題が一方にあるのではないかと思っております。
そういう観点から見ますと、3ページのところのcで、「現代社会の成り立ち」というのが削除されているのでございますけれども、どういうふうに成り立ってきたか、なっているかという知識的なところはともあれ、その現在の制度自体もまさに各人が主体性を持ったものとして位置付けられているものであって、既存からしてそうなのだということをどこかで述べる必要はないのだろうかということが気になっておりまして、ここが消された経緯ですとか、あるいは今申し上げましたような点について、今までのご議論なり考え方なりを教えていただけるとありがたいと思います。
もう一つは、大変細かい問題で恐縮なのですけれども、同じくcの3行目で、「ルールの意義や通貨などを通して」という、この言葉だけのつながりなのですが、「通貨の役割」とか「通貨の仕組み」とか何かつくような気がするのですけれども、ここで考えられていることを、表現がこれでいいかという観点を含めて少し解説をしていただければと思います。
以上です。
【岩田主査】
これについてはどなたか。大倉先生。
【大倉調査官】
ではご説明いたします。「現代社会の成り立ち」というところですけれども、ここは現行の学習指導要領におきましては、1955年ぐらいと現在との社会を比べて、現代の社会の特徴はどんなものであろうか。例えば高度情報化ですとか、国際化ですとか、少子高齢社会ですとか、そういう特徴があるわけですけれども、現代の社会の特徴はどういうものかという、そういったところで現代の社会の成り立ちというのが、現行の学習指導要領の中ではございました。
今、おそらく先生のご質問をお借りいたしますと、現行の社会においても国民が主体的に政治に参加するための様々な制度が、というお話がございましたが、それにつきましては、おそらく改善としましては教科書の書きぶりで対応をとることが既に可能であるかと思います。ただ、残念ながら、教科書というのはどうしても親学問、そちらの方との関係がございまして、政治にしても国会、内閣、裁判所ですとか、そういうふうな組織や機能の方の書きぶりがどうしても前面に出てきていて、国民主権のためにどのような制度が日本国憲法の中には規定されているのだろうか、制度があるのだろうかというような形でのまとめ方というのが残念ながらあまり見られない。そのため生徒も学問的な縦割りで覚えているというような、そういう現状があるということは、既に私どもの教育課程実施状況調査などの結果からでも読み取ることができております。
ですから、そういうところにつきましては、なぜこういう制度があるのか、なぜこういうことが必要なのかということを、次の学習指導要領あるいは解説を作成するときには、そういうことに配慮しながら作成していこうと考えております。
それから、「ルールの意義や通貨など」で「通貨」の後に何かつくのではないかというところでございますけれども、まさにご指摘のとおりでございまして、実はこの後ろにどういう言葉がつくのかというので、今、いろいろな言葉をつけて考えてはいるのですが、イメージといたしましては、今の経済、特に流通などに関するところでは、生徒はモノを買ってくるということでモノの流れはわかるのですが、当然、その反対側にはお金が流れているわけです。お金の支払いという形ですね。そして、それを全部見ていくことによって、よくちょうど人間の体の血液の循環に例えられますけれども、経済システム全体が見えてくるというところがございます。そこのところを、今までですと流通というとモノの流れだとか、あるいは自分がお金を払ったというところであって、経済全体の流れを見通すという学習がなかなかできなかったものですから、そういうことができるように、しかも、中学生にわかるように何か具体的な例を示しながらということで、現在考えております。
ということで、前回までここは貨幣という言葉を使っていたのですが、貨幣というのではどうかということで、通貨という言葉に置きかえておりますが、先生ご指摘のとおり、おそらく「通貨の流通」であるとか、そういうような言葉になるのではないかと思いますが、「通貨の流通」という言葉でいいのかどうか。通貨という言葉の中に循環しているというイメージが入っているのではないかというので、実は今まだ私自身考えているところでございます。
以上でございますが、よろしいでしょうか。
【岩田主査】
ありがとうございました。
【佐伯主査代理】
歴史的分野のところで、この前、誤解を受けるのを直していただいたのですが、非常に修文、苦労されているんですけれども、ちょっと構造が、例えば最初に全体の大きな改善のことが書いてあって、その際、具体的な学習の充実、近代史の学習を重視する。その後、「また、我が国の歴史の背景にある世界の歴史の扱いを充実させる」という内容的にはすぐ前のことと重なっていることですよね。これ、切っていただいたのでそれはいいのですが。それと「ともに」のその後が、全体の学習を行う際の追究して表現する学習を重視するということですよね。この「ともに」がやっぱり無理があるんじゃないかと思うんですね。ほんとにぶつぶつになっていいのならば、「充実させる。こうした学習の際にこういうことを追究して、こういう学習を重視する」というふうな構造にしないと、非常に変な文章であると思うのですが。
【岩田主査】
これについてはご意見として承っておいてよろしいですか。
ほかにございましょうか。
【星埜委員】
地理的分野のところなのですが、これは今回、修文したところではないのですけれども「日本の諸地域における特色ある事象と他の事象とを有機的に関連付けて地域的特色をとらえる」というふうに書いてあるわけですが、これがおかしいとかいうことではなくて、ちょっと抽象的で、非常に中身がわかりにくいんですね。これについて具体的にいえばどういうことなのか、ちょっと教えていただければ結構だと思います。
それからもう1つ、身近な地域の調査を通して地図の読図や作図ということを書いてございます。もちろん身近な地域の調査には地図が欠かせないと思うのですが、同様に、先ほどもお話が出ておりますけれども、世界地理とか日本の地理、これにもやはり地図帳が欠かせないと思うのですが、私はむしろ地図帳が教科書よりも上と言ったら変ですけれども、来てもいいんじゃないかというぐらいに思っている方なものですから、その辺を何か中で表現できるようなことがないかなと思っております。
【岩田主査】
今の点につきまして。
【吉開調査官】
最初の、「日本の諸地域における特色ある事象」云々のところですが、これは今、星埜先生からご指摘いただきましたけれども、これはいわゆる動態地理的なアプローチで日本の諸地域を学習させようというものをイメージしているということですね。すべての項目について羅列的にといいましょうか、網羅的にといいましょうか、そうしますとやっぱり時間の制約等もございますので、いろいろな形で地域区分できるかと思いますけれども、それぞれの地域の中で核となるような事象を取り上げる。そして、それと他の事象とを絡めて地域の特色を追究すると、そういう学習イメージでございます。
それから、地図帳の活用については、これはまたちょっと別途、修文といいましょうか、検討させていただければと思っておりますので、よろしくお願いします。
【岩田主査】
地理教育をやっている者は、動態的地理で行うと一言で言えばすぐわかるのですけれども、使えないものだから苦労された表現になっているところです。
【星埜委員】
ご説明はよくわかるのですが、要するに「特色ある事象と他の事象」という、ここがちょっとわかりにくいんですね。今のご説明を受けますとただちにわかるわけですが、「特色ある事象」は何となくわかるのですが「他の事象」というのが、これがちょっとわかりにくいんですね。何か、工夫していただけるとありがたいなと思います。
【岩田主査】
じゃあ、検討課題に置いておきたいと思います。
硲先生、伊東先生の順で。
【硲委員】
前々回からもずっと出ていますが、やはり時間軸と空間軸をしっかり押さえながら、地理分野、それから歴史的分野、両方学習させたいなと思うのですが、その際、bの歴史的分野の一番最後のところの内容に、「諸事象の意味や意義、事象間の関連などを追究して深く理解し」とありますけれども、このところで「事象間の関連」、これは歴史的事象間ですから時間軸になると思います。そのところにやはり地域の特性、あるいは地域性というものが加わってこないと、やはり歴史的な認識も深まらないと思います。ですから、是非ここへ空間的な軸を1つ入れるために、事象間の関連。それからもう1つここへ地域性、ちょっと言葉が浮かんでこないのですけれども、空間軸となるものを1つ加味していただければ、より深みのある歴史教育になるのではないかと思います。
以上です。
【岩田主査】
前回から、地理を学習するときには歴史的な時間軸に配慮をし、歴史を学習するときには反対に空間軸に配慮をするということの重要性が度々強調されておりますので、またご検討いただければと思います。
伊東先生、お願いします。
【伊東委員】
現在の学習指導要領で十分触れられているところは扱わないというか、議論しないということなんですが、例えば、それで十分いろいろな意味で効果が上がっているかというところがあって、例えば大学生が分数ができないというと、算数が大変だってなりますよね。それから、理科離れとか、理数を大学生が希望しないと理数が大変だと。これが結構こういうところに書かれて、そっちの方は時間数を増やさなければいけない。じゃあ社会科は大丈夫なのかって、若干そういうところに私は不満を持っているわけですけれども、なぜ社会科はそういうのが出てこないかというと、社会科の今やっている学習指導要領はちゃんとできていて、という議論をされちゃうとね。だから、そういう意味でうまくいっていないものを見つけるということがなかなかできないんですけれども。
ある人と議論をしていて、選挙の投票率。これはこの前の参議院選なんかは高かったわけです。じゃあ、20代、30代の若者はどうか。結構50代とかいうのは上がっているけど、そういう意味でね。あと、ちょっとした選挙をやると、この間も市町選挙、36パーセントとかね。民主主義というのはみんなの意向で決められるわけでしょう。だけど、36パーセントの全体でまた票を取った人っていうのは、その36パーセントの中の何パーセントというのは、本当に何割かで議員になれちゃうわけじゃないですか。そういうところにあって、例えば社会科の政治的な学習とか公民的分野というのは何か問題がないかなというような意識を持たなければいけないんじゃないかということを1つ思っております。
そういう意味で中学生というのは、非常に大事な時期だと思います。また変なことを言いますけれども、今、地震がここで起きます。我々、勤労している人間はそれぞれの職場にいます。地域には高齢者もいて助けに行かなければいけない人を誰が行くかというと、意外に中学生なんですよね。杉並では中学生のボランティアみたいなのを組織して救命の資格を取るとか、そんなことをやっていますけど、非常にいろいろな意味で参画ということがキーワードで出てきますが、現実に突き詰めていけば、一番参画しやすいところも中学生にはあるわけです。
だから、頭で理解すると同時に体験的なということがあるから、そういう意味で、そういうような現状を踏まえたときに、今、十分やっているからじゃなくて、学習指導要領の中身で十分やり方を変えていかなければいけないという点もあるのではないかということを考えているので、ちょっと言わせていただきました。
以上です。
【岩田主査】
ありがとうございました。
ほかにございましょうか。
【硲委員】
今の伊東先生の話の内容と関連するのですが、小学校と高等学校には防災とか災害ということが出てくるのですが、中学校の中には出てこないのですけれども、何か意図的にこうなっていたのでしょうか。
以上です。お願いします。
【吉開調査官】
用語上、見えてきませんけれども、当然これは学習内容でどこかで扱うというふうに想定されますね。
【岩田主査】
よろしいでしょうか。
いろいろ意見は出てまいりましたけれども、また種々検討をして教育課程部会に上げていって、そちらでのご意見をまたいただくことになるのではないかと思いますが、本日は少し時間は早いのですが、このあたりで、もしご意見がなければおきたいなと思いますが、よろしいでしょうか。
じゃあ、最後に星埜先生。
【星埜委員】
ちょっと1つだけ、これは小・中学校ではなくて、高校の方なんですが、ちょっと細かいことで恐縮なんですけれども、「歴史的思考力を培う」というふうに世界史、日本史は書いてあります。地理の方は、「地理的な見方や考え方」と書いてあって「地理的思考力」とは書いてないんですけれども、これは違うということに何か意味があるのですか。
【吉開調査官】
「地理的思考力」というタームといいましょうか、用語は通常使わないんですね。地理の方の関係は中学校、高校とも「地理的な見方や考え方」という言い方なんですね。それに対しまして歴史の方は、この後、中尾調査官の方からちょっとお話をしてほしいと思いますけれども。
【中尾調査官】
ここについては、調査官の間でも大分議論を重ねてまいりまして、揺れ動きつつあるところでもございます。最終的にこうなりましたのが、従前、何十年来の議論で「歴史的な見方や考え方」といったときに、特に「考え方」の方ですね、これは特定歴史観を授業で押し付けるといいますか、指導するのであるという領域に陥ってしまうと、これは社会科の授業として甚だよろしくないと。そのように解釈されてしまう向きもなくはないということで、慎重を期して「歴史的思考力」とあえて「見方や考え方」を使わないできたわけでございます。
先回りして、そうすると、中学校で今回、その言葉を出してしまっているところ、ご指摘があるかと思いますので、中学校では改めて「歴史的な見方や考え方」と使ってはおりますけれども、初めて中学校段階で使うことになります。これはただ今申し上げましたような意味では全くないと。一旦高校での使い方とも切った形で歴史観とはかかわらないという意味をしっかり定義した上で使っていきたいなと考えております。もし混乱が起こるようでしたら、ここの言葉もまた今後検討していきたいと思っております。
よろしゅうございましょうか。
【岩田主査】
それぞれバックに歴史教育学会、地理教育学会の長い伝統がありますので、難しい問題ですし、ここに関しては「歴史的思考力」とか「地理的思考力」は使うなという考え方もございまして、小・中は社会科なんだから「社会的見方、考え方」で統一して、この言葉はできれば避けた方がいいという考え方もございますので、いろいろ難しいところでございます。多分、統一させないで出すと、またいろいろ突かれることはあるのではないかと思いますが、あまりうかつに「歴史的見方、考え方」といいますと、「歴史的見方、考え方」で過去に出た業績が本当に中学校社会科で教えることにふさわしい目標になり得るかどうかというと非常に怪しいという問題点もございますので、慎重に考えなければいけないところです。
よろしいでしょうか。
【竹内委員】
今、検討されていることをよく見ると既に現行の学習指導要領にその多くは書いてあるんですね。だから、今議論していることが特にどのレベルに反映されるのか。学習指導要領の、例えば目標というところなのか、内容のところに反映されるのか。前々から、ここで議論をしていると、いや、それは現行のに既に書いてあります。ここには改善例だけ示していますと、こう仰るのですけれども、じゃあ、現行のそれは今までどおりやるのか。ここに書いていないことは改善する必要がないのか。そこら辺、どうもはっきり仕分けが分からない。
例えて言うと、地理の場合ですけれども、地球儀とか地図というものの使い方は、内容を見ると、世界の歴史のところで書いてあって、日本の地理のところにはあまり強調されていないような感じがするんですね。先ほどからどなたかが盛んに仰っているのですが、今のを見ると、やっぱり地図、地球儀を使うのは世界のという方へ行っちゃうので、何とか目標の方へ入れてくださいという意味が、何となく私、わかるんですよね。現行でやっているのと同じというイメージになっちゃうから、地図あるいは地球儀の活用を日本地理の場合も使うんだというのをはっきりさせていただきたいと仰っているわけですね。
だから、一番わかりやすいのは、現行のがあって、今、我々が議論しているのは現行のここのところがだめだから、こう直すんですよというふうになれば非常にすっきりするのですが、ここら辺が改善の方向というもののイメージが今までどうもすっきりしないので発言しにくくてしようがないということでございます。
【岩田主査】
学習指導要領を作成するプロセスで、これはかなり大きな拘束力を持ってまいりますので、ここで書かれている内容は改善の方向として学習指導要領に必ず組み込んでいくことは間違いないわけですけれども、それが目標に反映されるのか、内容に反映されるのか、取扱いのところに反映されるのかまではちょっと我々としては言えないと思うんですね。ただ、こちらの部会としては、ここで言っている改善の方向性が出てきた学習指導要領の中にどこにも入っていなかったならばこれは我々の部会を無視したということで反論することができるのではないかと考えております。だから、そういうチェックはしたいなと思っております。
【竹内委員】
わかりました。
【岩田主査】
ほかにはよろしいでしょうか。
それでは、長時間のご審議をいただき、ありがとうございました。今日は安彦委員においでいただいておりますので、最後に一言お願い申し上げます。
【安彦委員】
高等学校部会の方の主査をしているものですから、今日は小・中の方との絡みをはっきり自覚しておかなければいけないということで勉強することを主としてまいりました。
そういう面で見ますと、やはり、昨日、高校の地歴・公民の部会があったのですけれども、どちらかというとやはり地理、歴史、公民の教科の間での話というようになっておりまして、社会科のように全体としてどうなのか、ということになかなかならないわけで、その点では今回は、小・中の場合には社会科というくくりがあるので、そういう視点をはっきりとさせておられて、私としてもわかりやすかった次第です。
先ほど、どなたかからもお話がありましたけれども、社会科という教科の特質を改めて考えておられるし、また、こういうふうに非常にきめ細かく検討されて、大変意味のあることをしていただいておりますが、やはり社会科が先ほどから言われているように、どこか、小学校の高学年あたりから、特に中学校からでしょうか、暗記科目的にどうしても客観的に、さっきの「公正」とか、ああいう言葉もそうですけれども、一歩距離をとって社会を見るみたいな、そちらの方の意識が前面に出がちなので、子どもたちもどちらかというとそういう意味で、事実を、先ほど教科書の話がありましたけれども、丸暗記していくと。それで済むみたいになってしまう。この辺、高校なんかになれば、まして大学受験との絡みもあって、そうなっていってしまいますね。それで嫌いになるとか、いろいろ、昨日も田村先生がそのことを言われましたけれども、改めて小学校あたりではまだ比較的体験やいろいろなものが入って、ある種の主体性みたいなものや問題意識も持っているはずなんですけれども、だんだん中学、高校へ行くと距離を取ってしまう。そこのところをどうやって打開できるかということ。そういう意味では、先ほどどなたかからのご意見にもあったように、社会科が未来の主権者を育てるわけですので、その主権者を育てるという教科だと、そういうことが、何か核にもう少しはっきり見えないかなと。単なる参画とか、資質能力の育成とかいうんじゃなくて、もう少し子どもたち自身が主権者としての教養というか、力、あるいは意識というものを持つという、そういう観点で小学校からずっと変わらずに、中学、高校まで育ってくれるといいな、と思うんですけれども、その辺のことは改めて難しいのかなと。高校なんかで伺うと、やっぱり地理と歴史と公民とがそれぞれが言い合いをして譲らないというようなことがあって、それだともう、学者になるなら別ですけれども、最終的にどういう子どもを育てようとイメージしておられるのか、あまりに自分の専門のカテゴリーの中でものを言われてしまいますと、ちょっと子どもの方が置き去りにされていやしないかというふうにも思ってしまいます。
今日はそういうことも含めて、小・中の方では、その点やはりしっかりと考えておられて、大変勉強になりました。今申し上げたような問題は既にお感じだと思いますけれども、今後ともその辺のことを吟味していただいて、教育課程部会の方にまた上げていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【岩田主査】
ありがとうございました。
不慣れな司会と、かなり強引な進め方をしましたので、ご不満の委員の方もおられるのではないかと思いますけれども、本日いただいたご意見をまとめていただいて、事務局で整理をいたします。限られた時間内でのご審議でしたので、意を尽くさないところがございましたら、事務局あてにペーパーでまたお願いできればと思います。
では、今後の日程等について事務局からお願いいたします。
【牛尾視学官】
本日は長時間どうもありがとうございました。
今後の日程でございますけれども、先ほど主査からもお話がございましたように、今日いただいた意見も含めましてペーパーを直しまして、教育課程部会の方にご報告をさせていただきたいと考えております。その際、これも主査からお話がございましたけれども、今日言い足りない点などがございましたら、是非、ファックス、メール、郵送、何でも結構でございますので、私どもまでお送りいただければと思います。整理の都合上、大変恐縮ですが、9月26日の水曜日ごろまでにいただけると大変ありがたいと思っております。
それから、本部会の今後の日程につきましては、教育課程部会での審議の状況などを踏まえまして、また主査とご相談して、必要があれば皆様方にお集まりいただくという形にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
【岩田主査】
それでは、本日の会はこれで閉会をいたします。ご協力ありがとうございました。
─了─
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