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教育課程部会 高等学校地理歴史・公民専門部会(第3回) 議事録

1.日時

平成19年9月19日(水曜日) 15時~17時

2.場所

丸の内東京會舘 「シルバールーム」(11階)

3.議題

  1. 高等学校地理歴史科、公民科教育の改善充実について

4.出席者

委員

 土井主査、浅子委員、新井委員、石井委員、大杉委員、越智委員、川本委員、櫻井委員、須原委員、千田委員、高島委員、永松委員、原田委員、福井委員、宮崎委員、山本委員、吉川委員

文部科学省

 布村審議官、牛尾視学官、安野教科調査官、寺田教科調査官、原田教科調査官、中尾教科調査官、吉開教科調査官、大倉教科調査官、江口教科調査官、谷田教科調査官
国立教育政策研究所
 藤田研究開発部長

オブザーバー

田村教育課程部会副部会長、安彦教育課程部会委員

5.議事録

【土井主査】
 それでは、定刻になりましたので、まだお見えになっておられない委員がおられますけれども、ただ今より第4期第3回高等学校地理歴史・公民専門部会を開会いたしたいと思います。
 委員の皆様におかれましては、ご多忙にもかかわらず、ここ1カ月間に3度目の会議ということになりましたが、ご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 また、本日は高等学校部会主査である安彦委員にもご参加いただいておりますし、田村副部会長もお見えになるご予定でございます。お忙しい中、どうもありがとうございます。
 それでは、まず初めに事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【牛尾視学官】
 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。資料の最初に議事次第が入っておりまして、その4に配付資料の一覧がついておりますので、それをご覧いただきたいと思います。
 まず資料1から3でございますけれども、本部会及び関係の部会のこれまでの主な意見の概要をまとめた資料でございます。
 資料4と5でございますが、後ほどご議論いただきたいと思っております社会科、地理歴史科、公民科の現状と課題、改善の方向性についての検討素案でございます。
 資料6から9でございますが、教育課程部会などにおけます現在検討中の素案をお配りしております。
 それぞれ資料の右肩に資料番号がついておりますので、ご確認いただきまして、もし不足があればお申し出いただければと思います。
 資料番号は付しておりませんが、本日、参考資料といたしまして、日本学術会議におかれましておまとめつつある「現代的課題を切り拓く地理教育」という資料でございます。本部会での審議に関係の深いおまとめでございますので、参考までに机上にお配りをさせていただいてございます。それから、関係のファイルなども机の上に置かせていただいているところでございます。
 以上でございます。

【土井主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、これより本日の議事に入りたいと思います。本日は、前回に引き続きまして、社会科、地理歴史科、公民科の現状と課題、改善の方向性(検討素案)について審議を行いたいと思います。
 それでは、事務局よりご説明の方お願いいたします。

【牛尾視学官】
 それでは、説明といたしまして、去る14日に高等学校部会が開かれまして、そこで必履修科目などの審議が行われましたので、その検討状況のご報告をさせていただきまして、その後に本日ご議論いただきたい資料につきましてのご説明を続けてさせていただきたいと思います。
 最初に資料3と資料9をお出しいただけますでしょうか。まず資料9の方でございますが、前回もこの部会でもご紹介させていただきました、高等学校部会において検討素案としておまとめいただいているものでございます。これは14日の会議に配られた資料でございまして、前回、この部会でお配りしたものから、若干体裁等変わっておりますので、そのあたりを中心にこの資料についてまずご紹介をさせていただきたいと思います。
 まず、前回の高等学校部会の資料では、必履修科目についてだけのペーパーとなっておりましたけれども、今回お配りしておりますものは、その他の点も加えた教育課程の大きな枠組みについての全体を取りまとめるペーパーになっております。
 まず1ページ目の1でございますが、高等学校教育の改善の方向性についてということでまとまっております。最初の○で、高等学校につきまして、国民的な教育機関となっているといったことですとか、義務教育を前提として高等学校では発展、学問研究、技術の習得に結び付けていく教育をしていく必要があるいうことをまとめております。
 その下には、学校教育法の関係規定がございまして、その下に教育の改善の基本的な方向性として2点指摘がございます。高等学校教育の改善に当たっては、各教科・科目において、基礎的・基本的な知識・技能の習得とともに、それを活用する学習を重視することが必要であるということです。それともう1点は、豊かな心や健やかな体の育成のため、道徳教育の充実や健やかな心身の育成についての指導の充実が必要ということがまとめられております。
 続きまして2でございますが、これも新しく加わったものでございますが、週当たりの授業時数についての議論がございました。現在、全日制高校の場合は、週当たり30単位時間を標準としておりまして、これは1日6コマ授業をやった場合に、週5日間ございますので、6掛ける5で30という数が現在の標準の単位数となっております。これについては、引き続き維持した上で、各高等学校の工夫により、これを超える授業時数とすることが可能であることを明確にする必要があるということにまとめられております。
 それから、その下でございますが、学校週5日制との関係で、週5日制を基本としつつでございますが、土曜日を活用する場合の留意点等についても明らかにする必要があるとまとめられております。
 次のページでございますが、3といたしまして、卒業までに修得させる単位数についてでございます。これも新しく加わった点でございます。現在は74単位以上とされております。実際にも多くの定時制、通信制の課程におきましては、この74単位というのが卒業に必要な単位数となっております。そういう現状を踏まえますと、国として定める単位数としては、引き続き74単位以上ということにするのが適当ということでまとめられております。
 4以下は前回も見ていただきました必履修教科・科目の在り方についてでございまして、最初のところの基本的な考え方のあたりは、前回お目通しいただいたものと変更ございません。
 1枚めくっていただきまして、3ページでございます。必履修科目の在り方の具体的内容につきましては、若干前回ご覧いただいたときから変更がされております。
 まず、国語、数学、外国語といった教科・科目につきましては、学習の基盤となるものでございますし、広い意味での言語活用能力の育成にもつながる教科であるということで、いわゆる選択必履修ではなくて、共通必履修科目を置く必要があるという方向でまとめられております。ただし、高等学校の生徒の実態の多様化というのがございますので、学校によりまして指導事項の重点化でございますとか、単位数の増減が可能であることをより明確化するという文言が付け加えられております。
 それから、当部会と最も関係の深いところでございますが、地理歴史、公民、理科の部分でございます。地理歴史につきまして、最初の3行、ただし書きのところまでは前回お目通しいただいたのと同じでございますが、その最後に、この部会でもご意見が出ておりましたけれども、総合的な科目の設置につきまして、「学問研究の進展状況等を踏まえ、今後更に検討する必要」という文言が加わっております。
 4ページに行っていただきまして、公民についてでございますが、公民については特に変更箇所はございません。
 それからあと、変更があったところといたしましては、○の3つ目でございますが、特別活動、総合的な学習の時間についてでございますが、なお書きの前までは前回どおりでございますが、「なお」といたしまして、「総合的な学習の時間については、各教科・科目において知識や技能を活用する学習活動が充実されることを前提として、弾力的な取り扱いを検討することが適当」と、総合学習についての弾力的な取り扱いについての記述が付け加わっております。
 最後に、専門学科と総合学科についての記述が加わっているところでございます。専門学科につきましては、産業教育専門部会という部会がございまして、こちらで専門教科・科目の在り方についてまだ検討中でございますので、単位数などは入っておりません。そちらの部会での検討が終わり次第ここに反映させたいということでございます。
 一応このようなたたき台を14日に提示させていただきました。それから私ども事務局の方から、前回この部会で行われました必履修科目についての皆様方の意見も、私の方からご紹介をさせていただきました。
 それを踏まえて、高等学校部会で議論が行われまして、その概要をまとめたのが資料3でございます。必履修科目のうちの特に地理歴史にかかわる部分だけを抜き出してまとめたものでございます。
 ちょっとポイントだけをご紹介いたしますと、最初のご意見では、世界史を小中学校で扱っていないから、高等学校で扱うことが合理的だというのはおかしい。小中学校でも世界史は教えておくべきではないか。むしろ高等学校段階では日本史を必修とすべきであるというご意見がございました。
 その次のご意見では、日本史は大事だからこそ義務教育でしっかりやるべきである。高校で世界史をカバーするのはやむを得ないというご意見がございました。
 3つ目でございますが、世界史ベースで日本史、地理との関連を一層重視し、総合科目は将来の検討課題とする整理でよいというご意見もございました。
 その次のご意見も、同じく総合的な科目を今後検討することについて賛成というご意見でございます。
 その次でございますが、企業から見ると、世界を知ることは大切でありまして、世界史だけでなく世界地理もある。日本史や地理との関連の一層の重視ということについて、もう少し具体的に書くべきというご意見でございました。
 それから、その次の○とその次の○2つは教科書でございますとか、教材の充実ということを検討すべきであるというご意見でございます。
 最後の○でございますけれども、世界史の内容を地理、日本史と関連付けながら見直すとした場合、世界史の内容を膨らませるのはいかがかと思う、そもそもは世界史であるということは外さないようにすべきではないかというご意見もございました。
 以上のようなご意見が出まして、先ほどご紹介しました資料9の検討素案について若干の文言修正が必要ではないかというご意見はございましたが、基本的な考え方については資料9のとおりでよいのではないかということで、地理歴史の必履修科目の在り方なども含めまして、全体として基本的にご了承いただいたということでございます。
 以上、先般開かれました高等学校部会での議論の状況等のご紹介をいたしました。
 続きまして、本日主にご審議をいただきたいと考えております資料4につきまして、ご紹介をさせていただきたいと思います。資料4でございますが、こちらは前回お示ししました検討素案につきまして、修正点を見え消しで、赤字で入れさせていただいたものでございます。修正点を中心に主な点をご紹介させていただきたいと思います。
 まず2番の課題のところでございますが、最初の○で、従来、基礎的・基本的な知識・概念が十分身に付いていないということだけに記述がとどまっておりましたが、知識・技能を活用することの重要性ということも、記述した方がよいのではないかということで加えております。この点につきましては、昨年、こちらでおまとめいただいた素案には記述がございましたが抜けており、大事な点でございますので付け加えさせていただきました。
 続きまして2ページからでございますが、具体の改善例のところでございます。小中学校につきましても関連もございますので、簡単にポイントだけご紹介させていただきます。小学校のところで、最初の○のところの2段落目でございますけれども、資料を用いて調べたりしたことをとございましたが、情報を集めるという要素も資料活用の場合には大事であるというご指摘がございましたので、「必要な情報を集めて読み取ったり」という言葉を付け加えております。
 (ア)のところですが、地図を活用することの重要性ということが多くの方の意見として出ておりましたので、「地図や地球儀を用いて」という言葉を加えさせていただいております。
 (イ)のところでございますけれども、伝統や文化に関する内容の具体例として、農耕の始まり以前というのがありましたけれども、ここをもう少し詳しくというかわかりやすくということで、縄文時代の人々の暮らしに関する内容でございますとか、歴史的事象との関連で取り上げる文化遺産を例示するというのを具体的に書かせていただいております。
 それから、(イ)の最後のところで、国土の自然でございますとか、自然災害の内容につきまして、これは場所がもともと(ア)のところにありましたけれども、(イ)の方にまとめて書いた方がよいのではないかということで、場所を移動させていただいているものでございます。
 続きまして、中学校の関係でございますが、2ページの下から3ページの方をご覧いただければと思います。これも大きな変更点はございませんけれども、aの地理的な分野におきましては、他の歴史とか公民と文章の構造が違っておりましたので、文章の構造を合わせるという観点で、世界の地理的認識を深めるためでございますとか、我が国の国土に対する認識を一層深めるためという、何々するためにこういうことをするというのがわかりやすくなるように文章構造を改めたというものでございます。
 bのところでございますけれども、身近な地域の歴史学習などを通して云々、これもちょっと場所がもともとの場所よりこちらにあった方がいいのではないかということで、場所を移動したというものでございます。
 それから、cの公民的分野のところでございますが、真ん中あたりでございますけれども、少子高齢社会における社会保障制度というのが加わっております。従前は税についてだけ書いてございましたが、社会保障も重要であるということで、具体例として付け加えたというものでございます。
 続きまして高等学校の関係についてご説明をさせていただきます。まず最初の○のところでございますが、習得した知識や技能を活用してというふうに2行目はなっておりましたが、各教科、科目のところで知識だけはなくて概念という言葉が出ておりましたので、全体の方向性のところにも概念というものをきちんと書く必要があるであろうということで加えております。
 続きましては、大体文言修正がほとんでございまして、4ページをお開きいただければと思います。前回ご議論いただきましたときには、必履修教科・科目につきまして高等学校部会で方向性が出ていなかったということで、科目名ではない形で改善の方向性を示しておりましたが、今回につきましては科目名を示した形で、それぞれの改善の方向性を書くという形にスタイルを改めております。
 まず世界史Aでございますが、世界史Aにつきましては、「諸文明の特質と世界の一体化の過程を、地理的条件や日本の歴史との関連に留意しながら理解させるとともに、人類の諸課題を追究する学習を通して、現代世界の特質に関する認識を深め、歴史的思考力を培うようにする」としてございます。
 世界史Bでございますが、「『世界史B』については、世界の歴史の大きな流れを、諸地域の地理的条件や日本の歴史との関連に留意しながら理解させるとともに、適切な主題を設定して追究する学習を通して、文化の多様性や相互交流に関する認識を深め、歴史的思考力を培うことを一層重視する」としております。
 基本的には現在のA、B科目の構成、Aは近現代史重視、Bは全体の歴史という構成は変えておりません。
 続きまして日本史でございます。日本史Aでございますが、「『日本史A』については、地理的条件や世界の歴史と関連させながら、主題を設定して追究する学習などを通して、我が国の近現代の歴史や現代社会の成り立ちについて理解させて、歴史的思考力を培うようにする」としております。
 日本史Bでございますが、「『日本史B』については、様々な資料を活用しながら、地理的条件や世界の歴史と関連させ、適切な主題を設定して追究する学習などを通して、我が国の歴史の展開を総合的に理解させ、伝統や文化の特色についての認識を深めさせて、歴史的思考力を培うことを一層重視する」とございます。
 前回のご意見で、日本史について、地理、世界との関連が明確になっていないということがございましたので、A、Bそれぞれに加えさせていただいております。それから、日本史につきましても、Aが近現代、Bが通史的なものという構成は現在と変えておりません。
 続きまして、地理でございます。地理Aでございますが、「『地理A』については、防災などの生活圏の地理的課題に関する地図の読図・作図及び地域調査などの作業的、体験的な学習を充実し、実生活と結びついた地理的技能を身に付けさせるとともに、環境、資源・エネルギー問題などの現代世界の諸課題や持続可能な開発の在り方などについて地域性を踏まえて考察させ、地理的な見方や考え方を培うことを一層重視する」としております。
 地理Bでございますが、「『地理B』については、現代世界の自然環境、資源、産業、人口、都市・村落、人種・民族などに関する地理的事象の分布やその要因などについて体系的に考察させるとともに、それらの学習で習得した知識、概念や地理的技能を活用して、世界諸地域の地域的特色を多面的・多角的に考察させ、地理的な見方や考え方を培うことを一層重視する」としております。
 今回、地理Aにつきましては、身近な防災などの課題ということと、環境、資源・エネルギーなどの現代世界の諸課題といったような課題を追究するということを重視してまとめてございます。
 一方の地理Bでございますが、自然環境、資源、産業等、系統地理的なものの学習とともに、後段の方で地誌的な学習を進めるということで地理Bの内容をまとめさせていただいているということでございます。
 それからあと、前回、環境などについてきちんと明記すべきというご意見もございましたので、そのあたりもそれぞれの科目ではっきり謳うようにしてございます。
 続きまして、公民科についてご紹介させていただきます。(イ)の最初の部分でございますが、若干文字の順番を入れかえたりなどしておりますが、文意を整えるという意味で変更しているものでございまして、内容に大きく変更を加えたというものではございません。
 それから、現代社会、倫理のそれぞれの教科の内容につきましても、字句を訂正いたしまして、より文意を通じやすくするという観点で整理したものでございます。
 政治・経済につきましては、社会経済システムの高度化・複雑化に加えまして、グローバル化というのが大きな問題としてあるので、それを明記した方がいいのではないかということで、「グローバル化」という言葉を付け加えさせていただいているところでございます。
 ポイントだけの説明でございますが、以上でございます。

【土井主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、資料4の検討素案につきまして、ご意見をいただきたいと思います。最後に今後の日程について詳しいご説明が事務局の方からあるとは思うんですが、本日の会議まででお出しいただいた意見をとりあえず取りまとめて、教育課程部会の方にご報告する予定になっておりますので、本日一通りご意見を伺えればと思っております。
 また、進め方につきましては、議論を整理するために、前回同様、地理歴史科と公民科に一応区分をして、最初に地理歴史科について50分程度、その後、公民科について50分程度でお願いしたいと思っております。
 それではまず、地理歴史科の方からご意見をお願いいたします。

【越智委員】
 すみません、その前に質問があるんです。念のために教えていただきたいんですけれども、昨日資料がメールで入ってきまして、ざっと目を通させていただいたら、末尾の終わり方にある種の統一というんでしょうか、そういうのが施してあることに気がつきまして、こういう部会では常識的なことなのかもしれませんが、私はわからないものですから、教えていただきたいんです。例えば、「改善を図る」ないしは「その充実を図る」という表現がいろいろなところにあります。さらには、「一層重視する」、あるいは「一層」がとれて「重視する」という言葉があります。あるいは「何々のようにする」という表現もあります。これらはかなり注意して使ってらっしゃるようにも読めるんですけれども、そういう表現にランク付けというんでしょうか、何かございますか。それとも、偶然なのか。これは土井先生にお伺いしたいんです。それが1点です。
 もう1つ、先ほど事務局の方から資料4を説明していただいて、その中で例えば歴史とか地理については、前回の部会の意見を参考に書いたと仰ったような気がするんですが、それに対して現代社会、倫理、政経については、内容に変更を加えたものではないということを仰ったと思うんです。ところが、倫理に関して高島先生や私は、従来のやり方はまずいんじゃないかと申し上げたと記憶しているんですけれども、なぜそれを変更に結び付けていただけなかったのか、つまり、簡単に言いますと、前回の議論はどういうふうにここに反映されているのかということですね。基準というんでしょうか、そういう点をお聞かせいただきたいと思います。

【土井主査】
 一般的なことを私の方から、それから、個別具体的な方は事務局の方からお願いしたいと思うんですが、これは、教育課程部会の方でも議論があったんですけれども、あくまで取りまとめとしては、学習指導要領の改善に関する部分を文章化するという形になっておりまして、現に今、学習指導要領があって、その点については、基本といいますか、そこについて書かれてあることで特に変更する必要のないことは、それはそれとして置いておくというのが原則です。
 なおかつ、前回いただいたご意見の中で、直近の学習指導要領の内容そのものは適当だが、ただ、授業のやり方、あるいは教科書の書き方等々を含めて、実際の教育のやり方について今の方向性が十分に反映されていないのではないかというご意見等につきましては、この意見の中、資料の方で1だと思うんですが、審議の内容、前回までいただいたご意見については、論点ごとに整理して、資料1の方にはまとまっているんですが、その種の直接学習指導要領の文言をどうこうしてというわけではなくて、従来の方針をより現場でといいますか、具体的にやっていくべき点については、特に検討素案の方には盛り込んでいません。
 それが大きな区分けで、一応、現行の学習指導要領を前提にして、それについて審議をしているものですから、直接はそれについて文言といいますか、書きぶりといいますか、それを直接どうこうしろという部分についてここに書かせていただいていて、基本的に今までの方向はそれでいいんだと、あとは実際それを実施する上で、こういうふうに注意した方がいいのではないかというご意見等については、資料の方にまとめて、今後、学習指導要領を改訂させていただくときにも参考にしていただくという一応の区分けをしております。
 ただ、細かに、ここのところで一層充実を図るというのと、充実等についての個々のことについては事務局の方でお願いできますでしょうか。

【牛尾視学官】
 まず、最初の点の語尾の言葉遣いでございますけれども、まず1点目で、「一層」が付いているものと付いてないものということで申し上げますと、「一層」がついているものは、今もやられているけれども、今後さらにやる必要があるというものについて、「一層」という言葉を付けさせていただいております。
 それから、「改善」と「充実」でございますけれども、正直我々もどれほど厳密に吟味したかというと、甚だ心もとないところがございますが、気持ちとしては「改善」という方が、方向性を少し変えるような場合でございまして、「充実」の方は、方向性はそう変えないけれども、まさに充実としか申し上げようがございませんけれども、方向性は同じ中で中身を少しよくしていこうというようなニュアンスで使っているつもりでございますが、正直、文章にございますすべての言葉について十分吟味できているかと申し上げますと、そうではないというのが現状でございますので、それぞれのところについて、もしこういう方向性で明確にすべきというご意見があれば、是非それは賜りたいと思っております。
 それから、公民科のところの説明でございますが、ちょっと私の言葉足らずだったかと思います。まず、倫理について申し上げますと、何点かのご指摘をいただいて、改善した方がいいというご意見もございましたし、一方で、それは既に今の学習指導要領に書いてあって、その趣旨が伝わっていないというところに問題があるんじゃないかというご意見もあったかと思います。
 ということで、正直に申し上げると、その意見をうまく反映させる具体的な文言が、なかなかよい手立てがちょっと私どもで考えつかなかったものですから、言葉上の整理の変更だけさせていただいておりますけれども、是非その趣旨を徹底するために、このレポートにどういうことを盛り込んだらいいかということについても、具体的なご意見を是非いただけると、我々としても整理がしやすいということでございますので、そこは、むしろ先生方のお知恵を是非たくさん出していただけるとありがたいということで、大変不十分な説明で申し訳ございませんでした。

【土井主査】
 よろしゅうございますでしょうか。

【越智委員】
 はい。ありがとうございます。

【土井主査】
 それでは、それを前提にしまして、地理歴史科の方についてご意見を伺いたいと思います。どなたからでも結構ですので、よろしくお願いします。

【千田委員】
 千田でございます。
 まず、高等学校部会の主な意見を配付していただいたんですが、資料9の3ページですが、前回も取り上げたんですが、世界史の内容について、「日本史や地理との関連を一層重視する」--ここにも「一層」という言葉があるんですが--から見直すという、この文章を受けて、今日の資料4の世界史の内容というものが、より吟味されると理解してよろしいんですか。ということは、この赤文字で書かれたのはまだ変更を大いにすべきだというんですか。こちらの方にはそんなに一層何とかというのではなくて、少し消極的なんですよね。「地理的条件や日本の歴史との関連を留意しながら」と。高等学校部会は「一層重視するなどの観点から」。随分ニュアンスが違うと思うんです。もし高等学校部会のこの文言を受けるとするならば、世界史というものに関して、もう少し踏み込んだ書き方をしないと、専門部会の意味がないと思います。
 ただ、私の言いたいことは、高等学校部会に関して、主査のまとめ、今日も主査がおまとめになられるんでしたら、よほど慎重に全体の意見を聞いていただかないと、もし今、もうまとめるための素案のようなものをお持ちで、それを今度朗読されると大変困るわけですが、高等学校部会の場合は、世界史必履修と決まったということになったと思いますが、そのときに付記として、中村委員の日本史に関する意見が書かれていまして、今日ここには挙がってないわけですけれども、ところが、高等学校部会というのは、地理の関係者が1人も入っていないと思います。これは不公平だと思います。その不公平ながら高等学校部会がずっとやられてきたことに対する不満は、やっぱり地理の人間としては大いにあります。それを何とかこの専門部会の主査まとめの中にきちっと入れていただかないと、これは文科省のやり方としても、大変アンバランスなことをやってきたという反省が後で残るんではないかと思います。
 それが1点ですが、世界史の内容について、日本史や地理との関連を一層重視するならば、思い切って総合的な科目の設置を前向きに検討してはどうか。と申しますのは、我々は現場の先生から聞きますと、世界史の先生は、地理をほとんど毛嫌いして持ってくれない。つまりできないわけなんです、地理って難しいわけですから。そういう難しいことを世界史の先生に課するよりも、総合的な科目で日本史、世界史、地理が分担的に担当するような方向性というのを、もっと積極的に推進すべきだと思います。そういう意見すら、高等学校部会で地理の人間が入っていないから言えないというのは、やはり残念であるというか、文科省のそういう人事について、不満を申し上げたいと思います。
 さらにこの3ページのところ、総合的な科目の設置については、「学問研究の進展状況等を踏まえ、今後更に検討する」と、この「今後」というのはいつを指すのか全く不明確であって、これも、これから検討したって間に合うような状況にあると思います。というのは、学問研究の進展状況というのは、現在の大学の学部とか、あるいは学科の関係者なんかはよくご存じだと思いますけれども、非常に学際的になってきました。学際的にならないと、もう今までの親学問と言われていたものが役に立たないという状況になってきている。そういうことは、やはり高校教育にも反映すべきだと思います。
 私は前の会議の後、書面で提案いたしましたけれども、「文明と風土」というふうな名前の科目を新しくつくっていただいて、そこに日本史関係の伝統文化も入る、あるいは風土の中にはもちろん地理の自然も入る。そして世界史の諸文明もその中に入ってくるという、非常に大きな枠組みの中で高校教育をやっていくことの必要性というのは、今むしろ緊急に問われている問題ではないかと。以前のような地理、日本史、世界史という個々の内容は確かに基礎学問として、基礎的な教科としては必要でしょうけれども、それではもう世界の大きな動きについていけないような状況になっていると私は思います。
 そういうこともあって、今日の主査のまとめの中では、総合的な科目の設置として、例えば「文明と風土」というようなものの必要性は、非常に緊急的な問題であるということを、是非とも謳っていただきたい。それは第1には、高等学校部会に地理の人間が入らなかったという、極めて不公平な状況の中から、今あえてここで発言させていただきました。
 以上です。

【土井主査】
 今ご指摘のあった総合科目の内容、あるいは先ほどもご指摘がありましたが、「一層重視」等の表現の内容についてご意見を伺う前に、一言今のご発言の中にあったことについて、主査の方から申し上げますが、主査として、地理の分野、あるいはそれにかかわらず、日本史、世界史、公民、すべての分野から出てきたご意見については、取りまとめて教育課程部会の方にご報告するつもりでおります。
 ただ、他の部会の構成等について、その在り方を云々するということにつきましては、主査としてここで申し上げることはできません。あくまで我々はここで与えられた任務について議論をするのであって、他の部会の審議が不公平である等のご意見につきましては、この部会の意見として申し上げるべきことでもありませんし、今の点につきましては、少しご発言についてはお考えいただく必要があるだろうと思います。地理の委員がおられないということもありますので、ここで出た地理の意見については、きちっと公正にお伝えするということにつきましては、主査として申し上げるべきことだと思いますが、それ以上の点については。

【千田委員】
 わかっております。不公平であることを、教育課程部会で言ってほしいということは、一言も言っておりません。ただ、全体の流れの説明のために使ったに過ぎないわけで、世界史必履修で現行どおりということに対して、むしろ一層重視する云々というよりも、一層早く総合科目というものを設定することの方が、時代の趨勢に合っているのではないかということを申し上げたわけです。
 以上です。

【土井主査】
 実質論については当然ここでまたご意見を伺いたいと思いますが、今の点はしっかりこことしても確認したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 今、千田委員の方からご指摘のありました総合科目等の意見について、何か他の委員からもご意見等がありましたら、いただけますでしょうか。

【原田委員】
 原田です。実は私は、世界史が必須の科目になったというのを新聞紙面で拝見させていただいて、実はそのとき少し驚いておりまして、十分な議論があまり尽くされたような感じがしておりませんで、こういう大切なことが短期間に決まってしまうということが、少し残念だなと思ってはいたんですけれども、その中で今日、資料を拝見させていただきまして、世界史の中で日本史や地理ということを一層重視していくという方向で改善がなされるということですので、これは決まったことということなので、もう今から言っても仕方がないことではあるとは思うんですけれども、世界史の中身が改善されるに当たって、私も先ほど先生が仰ったのと同じように、総合的な科目の設置については、是非近いうちに検討されてはどうかなと思っておりました。というのは、実際に社会に出たときに、世界史と日本史と地理をばらばらに使って何かに対処するということよりも、総合的にこういう知識を活用して、現代的な課題に取り組むというか、その解決策を考えるということが、子どもたちに必要になってくるということを考えますと、そういう柔軟な対応が今後あってもいいのかなということを思っています。
 それと、少し質問があるんですけれども、この間お伺いしたときは、ここで決まったことが実際に学習指導要領になるのが来年で、教材が改訂されるのが5年後ということで、実際に学校現場で生徒たちが今議論していることに対して影響を受けるのは5年後ということをお伺いしたように思うんですけれども、それについてもう一度ご確認させていただきたいということと、この配付していただいている資料なんですが、これが学習指導要領の目標の部分に入るのか、あるいは全体的にちりばめて、学習指導要領の足らないところに補っていかれるのかということが、わかってない者は私だけなのだと思うんですけれども、少しご指導いただけたらと思いますので、お願いいたします。

【土井主査】
 総合科目については、また引き続いて議論するということにして、具体的な実施段階までの予定について、少しご説明いただけますか。

【牛尾視学官】
 まだ正式に決まったわけではございませんで、見込みということで、通常でしたらどうなるかということでご説明をさせていただきます。
 今のところの目標で、今年度中に学習指導要領の改訂ということを目指して作業をさせていただきたいと思っております。そうしますと、20年の3月ぐらいにはできるわけですけれども、それから通常ですと、教科書の編集で大体1年ぐらい、次に教科書の検定に1年ぐらいかかりまして、それから教科書の採択という、どの教科書を使うかというのを教育委員会が選んだりいたします。それもまた大体1年ぐらいかかりますので、大体都合3年ぐらい、教科書を使った新しいカリキュラムが始まるまでには時間がかかるということでございます。
 さらに実際には小学校、中学校、高校、一遍に始めるというのも、これまた教科書が一遍につくらなきゃいけないとかいろいろな事情がございまして、これまでの例ですと、小中高で1年ずつずらしながら始めるとか、そういう形が多くなってきますので、そうすると、高校の場合、決めてから5年間ぐらいしてから教科書ができるというスケジュールになる場合があるということでございます。
 それから、今申し上げたのは教科書を使っての授業ということですので、場合によっては教科書を使わないで、こちらの方で例えば補助的な教材なんかを用意するといったような形で、我々、移行措置という言葉を使っておりますけれども、一部前倒しして実施するということは、できるところからなるべく早くやりたいという方針で臨みたいと思っております。
 あともう1つは、この文言がどう反映されるかということでございますが、ご覧いただければわかるように、非常に抽象的なことで書かれておりますので、これは改善に当たってこのように全体を変えていきましょうという基本方針を、我々にお示しいただく文章であるという理解をしております。ですので、ここの文言がそのままストレートに、学習指導要領のどこかにそのまま同じ形で載るというよりは、この精神で目標も直しますし、内容も直しますし、いろいろな配慮事項も直していくという性質の文章であるとご理解いただいて、ご審議賜ればと思っております。

【原田委員】
 1点だけなんですけれども、そうすると、例えば総合的な科目の設置について、今後研究するということになりますと、それは5年たってさらにそれ以降ということになりますので、10年ぐらいたってからということになるんでしょうか。

【牛尾視学官】
 教育課程の見直しについては、以前は10年に一遍とか5年に一遍ぐらいお集まりいただいて見直すというパターンだったんですが、最近はもうそれでは間に合わないので、常に見直していこうという体制をとることにしておりますので、一定の結論をいただいて、5年後を目指してやるのと並行して、さらにもう次のよりよい教育を目指しての議論というのはスタートさせるべきであろうと思っておりますので、別に5年先、10年先に先送りするという意味では決してございません。

【川北委員】
 よろしいですか。

【土井主査】
 どうぞ。

【川北委員】
 総合科目について話が出ておりますので、ちょっと私の感じていることを申し述べさせていただきます。
 理念としては何か総合的なものが必要だと、今、原田委員が仰ったようなことはよくわかるんですけれども、私自身の経験からすると、総合科目は非常に難しい。特に最初に出てきたような、地理の先生が少しやって、歴史の先生が少しやってというふうな形になると、私の知っている限り、大学では改革と称してこういうものをいっぱいつくったんですけれども、成功した例はあまり聞いたことがない。入れかわり立ちかわりに先生が出てきて、いろいろなことを勝手に言って、脈絡なしにやっちゃうということが多くて、実際の運営からいうと、非常に難しい。地理の話を少し聞いて、歴史の話を少し聞いて、それで何かになるかというと、非常になりにくいのが現実だと思います。
 この部会で一番関係のありそうなことで言いますと、例えば総合大学で、社会科教育法というものが、最近は随分改善されたと思いますけれども、昔は私たちも2時間だけやれとか言われて出て行って話をして、そんなものの寄せ集めで、それを社会科教育法だということになっていたのが現実でもある。これは実際上、ほとんど役に立たないです。
 だから、小学校、中学校で総合科目というのがあるのかと思いますし、それがうまくいっているのかどうかよくわからないんですが、高校のレベルでやるとしたら、総合科目だって1人の先生が教えるとしたら、それは無理ですね。そうすると、入れかわり立ちかわり先生が出てくるという話になって、これは大変運営が難しいだろうと思う。
 総合科目というのを考えるのであれば、これから今世紀どういうふうに進んでいくかわかりませんけれども、いろいろ話の出ている、例えば環境という問題で、「環境」という科目を立てるというぐらいのことであれば、それはそれでその専門家をだんだんつくっていく形でやれるんじゃないかなという気はするんですけれども、今ある日本史、世界史、地理をちょっとずつやるというのは、私はあまり正直言って賛成はできません。

【土井主査】
 はい、どうぞ。

【永松委員】
 埼玉県の教育委員会の永松でございます。現場の感覚でちょっと総合的な科目についてお話し申し上げたいと思うんですが、今、川北先生の仰ったこととほとんど同じお話になると思うんですけれども、現在の教員が従来の学問体系の中で教員として育ってきているというところがありますので、よほど慎重に考えていただかないと、現場はかなり混乱するのではないかなという感じがいたします。
 例えば、お話のような、風土論のような形で授業をやる。高等学校になると、やはりかなり専門的なところの背景を持たないと、高校生には授業できない。そうすると、それだけの専門性を持った教員がどれだけいるかということになるのかなと思いますので、そういう意味では、やはりここで今後さらに検討する必要があるということは私も重々わかりますが、やはり慎重に、少し時間をかけながら検討していただきたい。で、その検討の中で、現場にもこういう検討をしているという情報を発信していただいて、現場がそれを受け入れられる体制をつくりながらやっていただきたいと思っております。

【土井主査】
 ほか、いかがでしょうか。どうぞ、宮崎委員。

【宮崎委員】
 3点述べさせていただきます。1つは総合科目との関連で、世界史という科目について説明が必要だと思いますので、それをさせていただきます。70年代ぐらいから、いわゆる文化圏が世界史の構成概念になってきました。これは地理的条件を踏まえた各地域の歴史なんです。それがユーラシア規模で一体化されて、さらに大航海時代後、海の世界が開かれてという形で構成されていますから、今の世界史は地理と非常に密接な結び付きを持っていることをご理解いただきたいと思います。
 世界史は、英語で言いますとワールドヒストリーですが、ワールドというのはディズニーワールドと言うように、生活の舞台という意味なんです。東洋史とか西洋史という歴史というのは、まだ鉄道網が十分に発達していないとか、19世紀の歴史なんです。でも、現在はグローバルヒストリーになっています。地球規模で人類社会が結び付いており、そういう世界史が今は考えられつつあります。そうすると、当然そこには地理的要件が入ってくるわけで、地理と世界史は一体化していると思っています。
 今の世界史にとって必要なのは、トータルでマクロな視点であり、それを取り除いてしまうと、世界史でなくなってしまいます。ですから、そういう点からして日本史はやはり留意というくらいに、とどめざるを得ないということになると思います。日本史と世界史は論理が違います。つまり枠組みが違うわけで、それを無理に1つにするということは非常に難しい。やってみるとおわかりになると思います。
 それから、地理はむしろ政治や経済と共通性があるんじゃないかと思いますので、その方向も検討されていいんじゃないかと思います。世界史ではそれなりにやっておりますが、またちょっと視点が違ってくると思います。
 そういう視点で考えますと、世界史Aの世界の一体化というのは、あまり適切な文言ではないんじゃないかと思います。つまり、19世紀の世界の一体化と20世紀の世界の一体化、特に、70年代以降の世界の一体化の中味は違いますから、現代社会が形成される過程ぐらいにした方がいいんじゃないかと思います。
 それからもう1つは、学習指導要領には「重視する」という言葉と「一層重視する」という言葉があります。「一層重視する」と書くと、これは学習指導要領の解説で、説明する義務が生じてくると思います。そう考えますと、時間数が足りないということもあると思うんですけれども、世界史Aと日本史Aでは見方考え方を身に付けることが「一層重視する」となっていないんですね。これはやはり「一層重視する」にした方がいいんじゃないかと思うんです。基礎科目であればあるほど、やっぱりものの考え方を身に付けるということはとても大切になりますので、時間の制約もあり難しいと思いますけれども、「一層重視する」の方がいいんじゃないかなと思います。
 それからもう1つ。中学校の公民分野を見ますと、「政治・経済についての見方や考え方の基礎を一層養う学習」となっています。これは適切な文章だと思います。ところが、高校では、政治的、経済的な見方、考え方という言葉が出てこないんです。客観的で公正的な見方、考え方という表現になってしまいます。何が公正なのかは非常に難しく、これは神様でもなければわからないことですから、やはり政治・経済的な見方という程度がいいんじゃないかと思います。
 例えば、歴史を見てみますと、多面的・多角的な見方を培うことが非常に重視されているわけです。これだけ複雑な社会ですから、やはり多面的・多角的に見ないと、物事は見えてこないわけで、公正というのはちょっと古臭いと思います。国内版の冷戦時代の言葉じゃないかと思います。もう冷戦は終わっているわけですから、公正という言葉は少しお考えになった方がいいのではないか。見方・考え方の育成を重視する歴史と地理とのかかわりでご検討いただければと思います。
 以上です。

【土井主査】
 今、公民についてご指摘いただいた点は、後ほどまたあわせてご議論をいただきたいと思います。それと、世界史の具体的な表現内容についてご指摘いただいた点につきましても、すぐ後ほどまたご議論をしたいと思いますが、とりあえず総合科目の件についてですが、今いろいろとご意見をいただいて、共通の認識としては、総合科目というものを考えることは理念として重要ではないか、あるいはその点について十分検討するに値するのではないかという点については、ご意見が一致されておられると思います。それから、できるだけ早期に検討すべきだというご意見と、もちろんやるとなればしっかり検討すべきだけれども、しかし実際に学校現場で授業をしないといけないわけですから、そこで混乱を招くようなことがあってはいけないし、あるいはどういう形で総合科目をくくるのかというやり方、それと教員の方々が実際に教育できるという状態にまで周知するということもあるという点から、その点混乱のないような形でしてくださいというご指摘がございました。その両者をまとめますと、基本的には、私自身は高等学校部会でおまとめになった際には、そういう趣旨を踏まえておまとめになっておられると思いますので、この考え方が基本的に適切であるというのが専門部会としての意見でもあったということになろうかと思います。
 ただ、これは必履修にかかわることで、基本的には高等学校部会で既にペーパーとしてお出しになっておられることなので、今日お配りしております検討素案の中に書き込むかどうかということは別にして、教育課程部会でご意見を申し上げる場があれば、今言った点をもう少し表現をまとめて、ご報告するという形にしたいと思います。
 さらに細かな点について実際の具体的な表現内容等、検討素案の具体的な検討ですが、今出ていますのは、最初に千田委員からお出しいただいて、今、宮崎委員からもいただいているのは、実は前回、赤の斜線で消してある部分が前回の言い方なんですが、そこでは、世界史の分野については、「地理的条件や日本の歴史との関連付けを一層重視しながら」という表現になってございました。ただ、私の記憶では、前回、この点については両論あって、世界史というもののアイデンティティーも重要で、かつ他の教科との結び付きも重要でというご意見があったので、それで今回こういう形で、「留意しながら」という表現になったものだと思っております。
 ただ、この点について千田委員の方から、元の表現といいますか、「一層重視」がよいのではないかというご意見が出ているという点ですが、この点について他の委員の方からご意見がございましたらよろしくお願いします。じゃ、石井委員。

【石井委員】
 ただ今の点についてちょっと質問をさせていただきたいと存じます。ずっと出席できませんで、それを棚に上げて、今までの経緯を伺うのは大変申し訳ないのですが、ただ今までのご議論にも関係があると思うので、あえて質問させていただきます。総合科目と称せられるものの検討というものを、つまり皆さんが想定してらっしゃる、あるいは議論なさっていたときに、それは今までの教科、つまり世界史、日本史、地理等はさておいて、まっさらなところから総合科目というものを設計するというふうにずっとお考えだったのか、それとも、例えば世界史をもとにしながら、いかにして皆さんがお考えのような総合的な科目に持っていくのかというような、改良、改善の視点から総合科目を目指し、またそれのデザインを考えていくという視点は存在しなかったのかという点についての質問でございます。
 もともと世界史という概念が登場したのは、もう既に皆さんご存じといいますか、私が言うまでもなく、決して古いことではございませんで、逆にドイツでヴェルトゲシヒテという言葉が19世紀に登場してきたときには、大変胡散臭いものだと考えられたことは事実でございます。だからといって、今の世界史が胡散臭いということを言っているつもりでは全くないのですが、問題は現在の世界史の視点というものを、そのまま過去にずっとさかのぼらせて、それで同じように東洋史のこちらの方にこういう歴史があった、中近東には、ここにこういう歴史があった、カルタゴとローマが大喧嘩したというような、地球上のすべての歴史的な事象を、いわば並列的にずっと並べていくという形の世界を私は昔習った記憶がございます。これが先ほど伺っておりますと、大分よくなったらしいということはわかるんですが、世界とか世界史という概念の持っている歴史性そのものをきちんと押さえるということから出発しますと、自ずから総合科目への視点というのも、もちろんその中身についてはいろいろ議論があると思いますけれども、出てくる可能性があるのではないだろうか。
 そういうことで、まずこの際は留意するとか一層留意してとかいう言葉の点はさておきまして、そういうふうに置いておいて、どこかの時点で考えましょうというスタンスをとるのか、それとも総合科目というものを目指して、現在、総合科目的要素を比較的多く持っていると言われている世界史をもとにしながら、それをどう改善していくのかという点で、考えようじゃないかというふうにいくのか、そこのところはやっぱり将来に向かって進め方は違うんじゃないかと思うんですが、この点について従来の経緯だけで結構でございますが、お教えいただければ幸いでございます。

【牛尾視学官】
 この総合科目の在り方については、前期の第3期において、この部会でも様々なご議論をいただいたと記憶しております。正確にすべてをご紹介できるかどうか自信がございませんが、今、委員が仰っていますように、世界史を改良していこうというご意見もございましたし、今で申しますと世界史A、日本史Aのような近現代史部分であれば、日本も世界も一体化している要素が強いので、近現代史ということに着目すれば、近現代史についての総合科目はつくれるんじゃないか、そういうご意見もございました。それから、まっさらなところから日本史、世界史を融合しようというのもございましたし、地理まで含めて日本史、世界史、地理のまっさらな総合科目をつくると。実は総合科目と一言で申し上げても、前期の皆様方のご意見は割れていたというのが、正直なところではなかったかなと思っております。現在お示ししている素案の世界史に日本史、地理的要素というのは、改良型という考え方に近いものを提案させていただているのかなと考えております。
 ごく大ざっぱでございますが、そのような様々なご意見があったということでございます。

【土井主査】
 私も知る限りでは、世界史、日本史、地理という区分けを自明視する必要は必ずしもないのではないか、そういうものを何らかの形でまとめながら新しい科目が考えられないかという点までは、比較的皆さん方から、ご意見があったんだと思うんですが、どれか1つの科目を解体する形で、新しい科目をつくるというのか、それとも従来のものは維持しながら、全く別の科目をつくるのかという点については、先ほど来、現委員の中でもいろいろな考え方があるというのが現状で、そこで現段階でこうであるという結論が出せていないというところだろうと思います。

【須原委員】
 京都府教育委員会の須原と申します。第3期でも総合科目を意見としてお話しさせていただいたのは私でございますので、それにも触れながら意見を述べさせていただきたいと思います。
 私が総合科目と申し上げていたのは、世界史を教えていても、日本史を教えていても、本当にこれは学ぶ楽しさを教えるだけの意義というのを十分感じるわけです。今の多様な高校生に、地理歴史科の目標に即した力を身に付けようと思うと、この世界史、日本史、地理という別々のものがどこで合わさってくるのかというのは、学校で教壇に立つと、つくづく感じるところでございます。
 バランスのよい地理歴史科という教科の力、基礎・基本を身に付けようと思えば、総合科目、これはほかのいろいろな教科で総合科目が今、実施をされていますし、英語も4技能を総合化するような形で科目が生まれています。やはり親学問から地理歴史科の教育的な価値を見出しながら、多様な子どもたちに力を身に付けさせる必要を感じ、総合科目が必然的な結果として私の頭の中にございました。
 ただ、高等学校は専門性重視ですから、私はここで書かれているような科目間の関連性を重視することで、総合的なバランスのよい力が付くとは思えません。私は各科目の専門性というのは極めて大事だと思います。大切であるからこそ、全員が学ぶ必履修科目として総合科目を置く必要がある。地理歴史科の基礎・基本をしっかりと身に付ける必要がある。いろいろな事象を分析し、思考し、判断する上で、地域性と歴史性というものは、両方とも欠くことができないわけです。
 それを世界史、日本史、地理として、別々でやっていて、その1つの領域だけを必履修するということの弊害はいろいろなところで出ています。例えば教員の養成にしても、大学で養成していただく、教育委員会は採用する、学校現場は育成をする。その中でいつまでたっても日本史、地理、世界史なんです。1つ総合的な科目がありますと、いろいろな専門性を持った方が総合的な科目を担当することによって、いわゆるベースの部分が養われると思います。教える側の人材育成に大きな効果がございますし、それによって生徒の幅の広い学力というものも身に付いてくると思います。
 その総合性ですけれども、私は専門性に依拠した基礎・基本が大切だと思います。ここにも基礎・基本といっぱい書かれていますけれども、学校現場で何が基礎で何が基本かというのが明確でありません。私は各科目の専門性を十分重視しながら、それに依拠した基礎・基本というものをしっかりと身に付けるところから、総合的な科目の全容があらわれてくると考えています。したがって、科目間の関連からは、地理歴史科の身に付ける力を明確にすることはできないと思います。
 科目間の関連を図るということは、実はそれぞれの専門の教員にとって、こんな教えにくい話はないと思います。いろいろなところをあっちにこっちにつまみ食いしながら、ただでさえ教えることがたくさんあるのに、これにも配慮、あれにも配慮というのは、教える方は大変です。文部科学省と国立教育政策研究所は、教育課程実施状況調査を平成15年と17年にやっていただいてます。その後の報告でも、改善の方向性に科目間の関係に配慮という言葉があります。学習指導要領を、今、改訂しようとしているところでも、科目間の関連ということになっています。科目間の連携という言葉だけで、地理歴史科の基礎・基本を身に付けるということであれば、学校現場にちょっと酷ではないかと思います。その辺のところを十分配慮した学習内容のご検討を是非ともお願いをしたいと思います。
 総合科目と関連しての意見です。

【土井主査】
 ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。はい、福井委員。

【福井委員】
 総合的な科目ということで、私も前回の3回目のこの専門部会でいろいろな議論に参加させていただいて、どういう形がとれるのかということで、先ほど牛尾さんの方から説明していただきましたが、いろいろな議論が百出という形なんです。それで、わざわざ文科省の方が私のところに別個にやって来られて、今行われている日本史と世界史で合同で近現代史、要するに歴史という科目ができるだろうかというヒアリングまで受けたりしたんですけれども、何らかの形で一体、今の科目編成でいいのかという根本と、それから、どういうことを高校生に基本としてこれから先の世界を見たときに教えればいいのかという科目内容の、総合的といろいろな方がいろいろなことを仰るわけで、そう簡単にこれから今年度中に学習指導要領を変えるというところに間に合うわけがない。確かに実際に実施されるのは5年後かもしれませんけれども、そのプロセスで適切な教科書ができたり、指導法がきちんとできなければ、これは現場はもう混乱するだけです。それから、場合によってはモデル授業のような形で、実験授業ということを何らかの形で行ったりする必要もおそらくあると思うんです。
 ただ、「望ましい」とだけ書いてあると、いつまでたっても望ましいで終わってしまうので、これは文部科学省へのお願いですけれども、例えば科目編成に関するプロジェクトチームとかということを継続的にやっていただきたいんです。1回検討が終わると、もう部会ごとぼこっと終わり、また次になると、またその中で科目が出てくる。ですから、3回目のときに出てきて、ぼこっと終わって、また4回目に出てきてぼこっと終わる。これ、何回やったって変わらない。ですから、そういう意味では、継続的にきちんとして、フォローアップできるような体制で、しっかりそこをやっていただきたい。これは、これからの世界の中で、日本の若い世代が育っていって、世界で活躍しなきゃ困る、生きていかなきゃ困るわけです。ですから、そのことを考えると、本当に重要なことなわけですから、是非ともその点を継続的に検討して、何らかの形で実現へ向かっていけるような体制をとっていただきたい。それを明記して、実際に行っていただきたいと、ここだけ申し上げたいと思います。

【土井主査】
 ありがとうございます。総合科目についてですが、先ほどの須原委員のご意見は、1つの考え方で、総合科目というものを置いたときに、他の科目をどうとらえるか、それを全体としてどう整理すれば、一番専門性と共通性に配慮した科目構成ができるかということについての1つの貴重なご意見だと思います。
 ただ、今回については、総合科目を直ちにここに盛り込むという話ではなくて、今後の課題だと考えたときには、現在ある科目というのは完全に専門的な分野なんだから、全く相互の関連について触れる必要はないのだという結論になるかというと、そこはやっぱり違うというのが今までのご議論だっただろうと思いますし、問題は表現ぶりというか、どの程度の関連なのかということで、多分、言葉遣いをめぐっては、いろいろなお考えがあると思いますので、ここでこうだとすぐに決められないと思います。他の点についても議論する必要があるということから、この点についてご意見がございましたら、具体的に例えばこういう理由でこの程度の表現をということは、この会議が終わってからでも結構ですので、私の方まで仰っていただくか、あるいは後日改めて事務局の方に案等を送っていただけると非常に検討しやすいということになりますので、よろしくお願いいたします。
 今、福井委員からもご指摘のあったように、新しい科目をつくるということの意義は認めつつも、やるとなると大変なことだろうと思います。今、ご議論になっている総合科目とはまた違う性質のものですけれども、公民科の方、現代社会をおつくりになったとき、実は私はそれを最初に教えてもらった世代になるわけですけれども、それはやはり大変ご苦労になって築かれたと思いますし、それから、現在でもなおいろいろと検討を加えながら改善して、本来の意義に合うような教育内容にしようというご苦労になっておられるところです。そういう経験等を踏まえますと、こういう科目が必要であると考えたとしても、十分議論をしておかないで、かえって拙速にしてしまうと、意味がないというとんでもない結論になってしまう、実際やってしまってうまくいかなかったからだめなんだとなってしまいますと、これはせっかくご議論いただいた、あるいは意義あるものが、かえってうまくいかないということになりますので、きっとその辺は、先ほど申し上げましたが、すべて勘案されて高等学校部会の表現になっているのだと思います。ここでご議論をいただけばいただくほど、非常に苦労になってこの文章を高等学校部会の方でおつくりになったんだろうなと思いますので、基本的には先ほども申し上げましたように、十分この専門部会でもご議論いただいて、この方針について基本的に賛成されておられること、そして、留意すべき点についてまた整理をさせていただいて、教育課程部会の方でご報告させていただくという形にしたいと思います。
 ちょっと時間が押してきているんですが、日本史、地理等についてまだご意見いただいておりませんので、こちらの方についてご意見があれば、お願いできますでしょうか。よろしくお願いいたします。どうぞ。

【櫻井委員】
 その総合のところとも絡むんですけれども、地理は方法の学習にかなり傾いたところがあって、ある意味で反省して、中身のところの部分を充実しようというのが前回の方向だと思うんですけれども、ある意味でそれは今、考えてみると、これまでの経緯からしようがなかったのかなというところが、だんだんわかってきたような気がするんですが、実は世界史が必修になっちゃったので、地理は自分たちの思想、空間的に考えるということはどういうことなのかというのを是非伝えたいということで、かなり中学校でも高等学校でも方法の学習に行ったのではないかと僕は、ああ、なるほどなという気がしてきた。
 そういうことを考えると、先ほどの総合のところに、方法を学ぶということの軸で歩み寄れないのか。つまり、史料批判をするというのが歴史学の一番の基礎でしょうから、どうも学生を見ていると、史料というのを史料として見ていなくて、事実そのものだと思っているんです。そういうところが地理の方法の学習とうまくタイアップするようなところ、例えば外国研究であるとか、身近な地域で研究をするというところで総合化をしていくというのも、1つの戦略としてあるんじゃないかなと思いました。
 以上です。

【土井主査】
 ありがとうございます。そのほかの点、いかがでしょうか。

【永松委員】
 時間もあまりないと思いますので、簡単に申し上げますけれども、日本史のAとBの部分なんですが、どうも拝見すると、理解という言葉が多いような気がちょっといたしまして、理解をさせて歴史的な思考力を培うと、こういう形になっているんですが、世界史の方は認識という言葉を使われているのかなと読ませていただいて、理解と認識というのは若干違うんではないか、生徒の学習の過程においても違うのかなという気がいたします。そういう意味で言えば、生徒の主体的な学習の中で、いわゆる歴史的な事象についての認識を深めさせるという観点を、もう少し入れていただくと、現行のに近い形になるのかもしれないんですが、ありがたいなという気がしております。

【土井主査】
 そのほかの点、いかがでしょうか。はい、どうぞ。

【宮崎委員】
 地理についてなんですけれども、日本史と世界史のところでは、地理的条件や、世界史は日本史、日本史は世界史を関連させてとありますが、地理もやはりそれが必要なんじゃないかと思います。今の地理的な状況というのは、歴史的につくられていくわけだし、これからも変わっていくわけですから、歴史的な視点も必要じゃないかなと思います。現状だと、公民とか経済にすごく近くなっちゃっているような印象を受けます。

【土井主査】
 はい、どうぞ。

【千田委員】
 お尋ねがあったのでお答えをしたいと思いますが、先ほど世界史は地理をも含むというお考えがありましたが、我々としては大変心外で、端的に申しますと、世界史はワールドというのでくくることができると思いますが、地理はアース、地球であるわけです。地球と世界は随分違う。地球というのは当然、自然環境も含めて環境の問題、あるいは災害の問題も含める。ワールドとアースの違いの大きさというのはよくお考えいただきたい。
 今仰ったことは、大変ありがたいお言葉だと思いますが、その場合、地理というのは、「歴史の舞台としての地理」という表現を入れさせていただくと、ご質問にお答えできるんじゃないかと思います。
 以上です。

【土井主査】
 今、「歴史の舞台としての地理」というご提案がありましたが、そのほか、こういうのはどうだというご意見はございますでしょうか。はい、どうぞ。

【櫻井委員】
 確かに宮崎先生が仰るように、バランスは欠いているなというのは僕も最初読んだときの印象であって、多分これは必修にならなかった部分を配慮してこうなったのかなと思って、にやにやしたんですけれども、実際には工業の立地や何かについても、最新のデータで全部説明するというと、僕はなかなか難しいだろうと思っておりまして、むしろ産業革命の時期にどんなふうに工業立地というのはあったのかというのを材料にして、工業の立地を教えたって構わないわけで、なるべく僕はその辺は膨らませてやらないと、例えば世界史の先生が地理を教えてくれるときも随分あるわけですから、そういうことを考えると、少し膨らませておいた方がいいかなと思いますので、その辺は実際にはそういう文章を入れても悪くないんじゃないかなと僕は思っています。

【土井主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、今の点は3名の委員から、地理の方も歴史の科目との関連性について結び付けた方がいいだろうというご指摘で共通だと思いますので、その方向で検討させていただきます。ただ、表現については、これは先ほどと同じように、各委員の方から、こういうのはどうだというお知恵をいただく方が検討がスムーズかと思いますので、少しお考えをいただいて、こういう表現が適切だということがございましたら、また改めてメール等でご連絡をいただけるようにお願いしたいと思います。
 そのほかの点で地歴いかがでしょうか。先ちょっと、じゃ、山本委員、福井委員。

【山本委員】
 日本史の方ですけれども、先ほどからの意見と少し逆行するような感じもあるんですが、総合性というのは非常に重要で、当然地理的な条件とか世界の歴史と関連しているということは重要だと思うんですが、まず日本史の学習については、例えば日本史Bのところで言えば、我が国の歴史の展開を総合的に理解させる、あるいは認識させるというのが最初に来て、そういうことをしっかり踏まえた上で、その上で地理的な条件とか世界史との関連も配慮する必要があるというような論理的な関係になっているんじゃないかなという感じがするんです。
 それから、日本史AとBの違いを見ますと、Aの方には様々な資料を活用しながらというのがなくて、Bの方にはあると。この前、第1回の会議で私は言ったと思うんですが、様々な資料を活用して、それを分析していくということが高校段階の日本史ではかなり重要なんじゃないかという話で、それが多分、あるいは反映されて、「歴史的な思考力を培うことを一層重視する」と日本史Bでは書かれていると思うんですが、AとBの違いということで、この「一層」というのが入るのは非常にいいことだと思うんですが、日本史Aについてもやはり、様々な資料を活用しながらというのが入っていく必要があるんじゃないかと思います。
 とにかく、先ほどご議論になったところでありますけれども、各教科の専門性というのがやはり非常に重要で、高校段階でそういう専門的な学問とはどういうものかというのをきちんと教えた上で、その上で相互の科目の関連ということを理解させていく必要があるんじゃないかという感じがしておりまして、簡単に総合と言ってしまいますと、多分先ほどから現場では混乱するという話もありましたけれども、我々というか、個々の学問をやっている人間も、なかなか総合といっても何をしていいかわからないというのが現状だと思うんです。
 世界史については、先ほどご意見があったように、最初、東洋史、西洋史、あるいは個々の国の歴史があって、それが世界史という科目にまとまって、それをやっているうちに、やはり世界の各国の関連も重要だということが、個々の国の歴史を研究している人間にわかってきて、今の非常にグローバルなというか、関連性のある世界史という学問が成立してきたんだろうとは思うんですけれども、やはりその基礎になるのは個々の国の歴史の分析方法だったりするわけですから、歴史的な分析方法というのをやはりあまり総合だけになられないで、歴史的な認識方法というのを、どこの科目ででもきちんと身に付けさせると。地理なら地理でそういう学問的な分析方法を身に付けさせる必要があるし、世界史なら世界史でそういう分析方法を身に付けさせる必要があるし、日本史でも同じだと。いたずらに全部一緒に勉強すれば、それで全部わかりますということではなくて、個々の科目の専門性と分析方法を身に付けることが、それを学んで社会に出たときにほかのそのときに必要な問題にも対応できる能力をつけさせることになるんだというような、そういう基本認識というのが必要なんじゃないかと思います。これは意見で、この文章がどうということではございません。

【土井主査】
 はい、ご示唆ありがとうございます。じゃ、福井委員。

【福井委員】
 この議論に入る前に、最初に質問が出て、それに対して主査の土井先生から非常に的確にご説明いただいて、現行の学習指導要領の基本線を踏まえながら修正していくというご説明だったと思うんです。それは非常にはっきりしてよかったと思うんです。そのことは、こういう基本的な方針の中に少し明言しておく必要はないのかということをちょっと疑問として思いました。というのは、政治・経済のところについてだけ、「現行の学習指導要領の考え方を引き継ぐとともに」と出てくるんです。これは文章の表現上しようがなく出てきたと思うんですが、ほかは、じゃあ引き継がないのという話に、ここだけ出てくると、逆になっちゃうんですよね。
 ですから、全体の枠組みとして、現行の学習指導要領は実は現在の段階でかなりよくできていると私は思います。これをきちんと踏まえて教科書ができて、現場がきちんと教えてくれれば、相当いいはずなんです。ですから、そのことを踏まえて、じゃ、どこまで修正するのかというスタンスを、先ほど土井先生が仰ったような形で、どこかにもうちょっとはっきり明記していただいた方が、私は混乱、あるいは無用の誤解を招かないでいいんじゃないかと思いますし、それから世界史の議論が出ていましたけれども、その中に地理的要素であるとかそういったもの、風土のことの説明を入れるということも現行学習指導要領で既に入っているんです。実際かなり教科書に書き込んでいるものもありますし、教科書によっては弱いものもあります。ですから、それをどこまでどういう形でもう少し説明して、実際に現場を変えていくのかという観点の方が、当面はとにかく生産的じゃないかと思っています。

【土井主査】
 どうもありがとうございます。最後のご指摘はごもっともで、例えば世界史の中で、「地理的条件や日本の歴史との関連付けを一層重視しながら」と書いたからといって、じゃあ世界史の授業の中で、地理的条件や日本の歴史との関連が主となるというものでは決してなくて、それは改善点を考える上でこの点を重視しということにとどまるのが、従来のスタイルだろうと思います。
 ただ、今、ご指摘があったように、読む方というか、一応広く国民にこの文章を出すわけで、その際にどういう受けとめ方をされるかということも配慮しながら、その意味で、今ご指摘があったように、表現ぶりが非常に難しいので、先ほど申し上げましたように、各委員の方からこういう表現の方がわかりやすいんじゃないか、あるいはこういう方が学校の先生方をはじめ適切に受けとめていただけるんじゃないかという表現がありましたら、お寄せいただいて、それで事務局と相談をしながら、最終的な表現をまとめたいと思います。
 地歴の方、時間が来ましたので、そのほか地歴でございましたら、また後で一番最後に申し上げますけれども、メール等でご意見をいただくということにして、公民の方に移りたいと思います。
 それでは、公民の方でご意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。どうぞ、越智委員。

【越智委員】
 このまま待っていたら時間がなくなりそうなので、言わせていただきます。3点申し上げます。1点は、先ほど「公正」という5ページの表現、1行目の「公正な見方」についてご指摘があったことに反論しておきたいと思います。先生が問題にされたのはここですよね、違いますか。

【宮崎委員】
 そうです。

【越智委員】
 公正というのが冷戦時代の表現であって、非常に古臭いと仰いました、なおかつ、公正な見方というのを、政治・経済的な見方と言い直した方がいいのではないかというご指摘をされたんだと思うんです。
 確かに先生が仰るように、マルチカルチュアルな見方は大事なんですけれども、その一方で、やはり公正な見方も非常に大事であって、だからこそ例えば、ご存じだと思いますけれども、アメリカなどで、フェアとは何かとか、ジャスティスとは何なのかという古くからある議論をもう一遍やり直しているわけです。
 確かに公正の概念というのは、非常に見えにくくなっているわけですが、だからこそ大事なわけです。この世の中が経済的な視点とか、あるいは政治的な視点だけで成り立っていないことは当然のことであって、だから、これを書きかえると問題だと私は思います。それが第1点です。
 第2点目。さっき牛尾さんから具体的な提言があれば、書き直すから言えと仰ったので、具体的な提言を申し上げます。倫理について提言を申しますので、対処していただければと思います。どこを変えるかといいますと、「『倫理』については、先哲の考え方などを手掛かりとして人間としての在り方生き方への関心を高め」という表現がございますよね。それをこういうふうにしていただければ。「『倫理』については、先哲の考え方などを単に通史的に理解するのではなく、それらを手掛かりとして人間としての在り方生き方への関心を高め」としていただければと思います。
 3点目です。これは意見というよりは印象なんですけれども、文科省には文科省の伝統というんでしょうか、文化というのがあるのは承知しているんですけれども、その文化の中に1つの文章が非常に長いという文化があるのではないかと思います。例えば倫理についてもそうですし、現代社会も政治・経済もあるいは歴史の方もそうですけれども、ワンパラグラフがそのままワンセンテンスになっている。もし私の学生が、こういう文章を私のところに持ってきたら、もう一遍書きかえてこいと指示をすると思うんです。短い文章では書けないんでしょうか。これは印象でございまして、記録にはとどめていただかなくても結構です。
 以上です。

【土井主査】
 どうもありがとうございます。最初は、先ほど宮崎委員からご指摘があった公正の部分で、またそこは議論していただくことにして、2点目の表現については、要は前回もありましたように思想史的な側面という感じではなくて、もう少し倫理一般ということだと思いますので、この点についてはまた検討して、表現を考えたいと思います。もう少し句読点を打ったらどうかというのも、これもいろいろと、それこそ伝統文化があると思いますので、ご検討いただければと思います。それでは、公正の部分はいかがでしょうか。
 はい、どうぞ。

【大杉委員】
 ここの「客観的で公正な」というフレーズは、多分、現代社会が平成元年から使い出した言葉だと思うんです。昭和53年版の学習指導要領で現代社会が出てきたときは、地理、日本史、世界史、政治・経済、倫理の基盤となる科目だったので、ものの見方、考え方というふうにしておったんですけれども、元年、10年に今の言葉に変わったと思います。
 その趣旨ということは、人間としての在り方生き方という価値的な部分を扱うものと、社会システムをとらえていくときに客観的で、これは我々の社会の中にはいろいろな社会をとらえる理論があると。その存在している理論を身に付けて、かついろいろな立場を考えた上でもやはり、どう考えるのかという公正さを求めるという意味で入っていると思うんです。アダム・スミスもやっぱり公平な第三者という視点も入れていますから、こういった意味で、より立場を変えて、反転可能性を考えた上でもやっぱりこうだという意味で公正さ、フェアというのが先ほどお話が出ましたけれども、そういう経緯があろうかと思いますので、ここでは公民科全体をとらえてますから、価値的な部分と、いわゆる人間としての在り方、生き方というのは後半にありますから、その前に客観的で公正さという部分もトータルして、公民科の究極のねらいという意味合いで示されていると思いますので、できたら「客観的で公正な」というフレーズというのは、今のまま生かした方がいいのではないのかなと思っています。

【土井主査】
 ありがとうございます。

【宮崎委員】
 歴史では、見方、考え方は多角的・多面的にものごとをとらえて、そこで生徒1人1人が判断をしていくといった立場に立っているんです。そこで公正なというふうにしてしまうと、誤解を受けやすいんじゃないのでしょうか。考え方として、これ1つしかないんだというようにとらえられる可能性もあると思います。客観的というのはわかるんです。客観的にこうだろうなというのはわかるんですけれども、それにさらに公正が付け加えられてしまいますと、子どもたちの判断力が育つのかなと感じるわけです。
 例えば、政治・経済でいろいろな概念とか知識を身に付けますね。それを生かして社会事象を考えるわけですから、その結果、公正になればいいと思います。最初からこれが公正だよと言っちゃうと、子どもたちが自ら考えるというプロセスが弱くなるんじゃないのかなと感じます。
 歴史でも、公正な歴史観とか公正な見方と言えば言えるんですけれども、そういうものはあまりよくないんじゃないかと考えられています。ひところはやりましたけれども、これが公正な見方だよとか、これしか見方はないんだよというのは適切ではないのではないか。やっぱり人間がやることですから、いろいろなミスがあったりするわけで、1人1人が考えていけるような科目にしないとまずいんじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。

【大杉委員】
 よろしいですか。あまり論争して時間がかかってもあれなんですけれども、公正という言葉について、現在のところ、解説されているのは多分、中学校の社会科の公民的分野の解説のところだけだろうと思うんです。そこには公正さというのは1つのものという意味ではなくて、手続的な部分を述べているんです。いろいろな人の考え方、立場、根拠のある立場、そういったものが世の中にはあるんだけれども、それぞれ根拠を持って存立していると。そういったものを十分わかった上で、かつ自分はどうかといったときに、そこに公正さという、手続的な意味で書かれてあるんですけれども、多分そういうことが社会科、地歴、公民に貫かれているんだろうなと思うんです。だから、宮崎委員の仰るように、多面的・多角的というのはまさにそういうところに反映されているのではないかと思います。

【土井主査】
 両委員、ご意見いただいて、私自身はそんなに両委員の意見が対立しているわけではなくて、公正な判断、フェアという言葉を言うときに、いろいろな使い方をされる方がおられるんですけれども、1つは多面的・多角的な見方があるからこそフェアというのが成立するわけです。ゲームでも、相対立するチームがいて、それが競争するからフェアという概念が成立するわけで、最初から1つしかないという部分についてフェアという使い方をしているわけではないという理解だろうと思います。ただ、少しもう一度表現を検討して、これだけを書くと、何か多角的・多面的というのを落としているんじゃないかと思われると、それはそれで誤解を招く可能性がありますので、もう一度そこは検討して、ただ公正という言葉自体は、今言ったような意味で理解するのであれば、有用な概念だと思いますので、その辺はご理解いただければと思います。
 そのほかの点、いかがでしょうか。高島委員、意見お願いします。

【高島委員】
 今の公正なという議論については、もうこれ以上話しませんが、現状のこの文章は重要だと思います。政治・経済的と書きかえるのは、やはり違和感があるということだけ言っておきます。
 全体的に公民的分野について、気にしようと思うといろいろ文章は気になるんですが、全体的にはこの方向でよろしいんだろうと思うんですが、1つだけこういうことはどういうことになるのかなということが1つありますが、改善の方向性のところで、伝統や文化、宗教という、プリントの2ページですね、これが項目として挙がっていますが、こういうのは、もうここで挙がっているから、5ページのところでは別に挙げる必要はないのかどうか、その辺のところはちょっとよくわからないのですが、この2つについては、公民科ということを考える場合には重要な項目だろうということをここでお話ししたいと思います。
 伝統や文化といっても、これもまた前回どこかでお話があったと思いますが、古臭い日本の変わった伝統とか特殊な文化を紹介すると、それを生徒に、これがおまえたちの先祖のやってきたことだということを説明するのではなくて、やはり伝統や文化ということが現在の我々の社会に生きているといいますか、非常に影響があるんだということを自覚させる形で、単なる特殊なものではなくて、人間の生き方の非常に重要な部分を伝統や文化という形で表現されているんだという形で扱っていただければと思います。
 もう1つ宗教も、異文化理解ということももちろん重要な項目としてありますが、もう1つやはり、もちろん日本人は無宗教だという言い方もされますし、神とか仏についてあまり関心がない。だから、宗教は関係ないと思う方もたくさんおられるかもしれないですけれども、宗教ということによって、1つは我々が生きている生き方の中に目に見えない部分があるんだという、在り方生き方の中の非常に重要な部分ですね。それは神であると言ってもいいですし、あるいは生きていることそれ自体、生命ですね。それから、人間関係なんかもそれに入るわけですけれども、そういった目に見えない世界というものが在り方生き方の重要な部分につながっているんだという形で、宗教というようなことも考えていただければと思います。
 以上です。

【土井主査】
 どうもありがとうございました。それじゃ、吉川委員。

【吉川委員】
 PTAの吉川です。倫理という項目についての素人の思いを言わせていただきます。
 この会に出させていただいて、親が漠然と思っておりました子どもをよりよい大人に育て上げたいという思いを、先生方のいろいろなご意見を伺いながら、その中にはパーソナル、個人的な成長と、パブリック、社会人として育成していくという面があるんだなということなんかを整理しながら出席しておりました。
 この公民というところで、それぞれのところを深めていくことをこの公民のところでしていくんだなと思いながら、倫理というのはその中で、ここに書いていただいております4行を見たときに、すごく個人的なことなのかなと思って、今の学習指導要領を見ましたら、やはり個人、自己のという中で国際社会に生きるという表現がありまして、当たり前のことなんですけれども、社会の中の自分ということが書かれているのを思いまして、今までの話の中で言いましたら、個人もですけれども、社会の中で、グローバルに変化している中で、どういうふうな自己を確立していくかということのお話をされていると私は聞いておりましたので、倫理のこの4行だけを見ますと、何か私の聞かせていただいている考え方と、この読んだ文章で言うと、ちょっと何か社会のことではなくて、自己の生き方を探求できるようにということに重きを置くような印象に、実際にお話を聞いているのとはちょっと違う、そちらの方が強調されたような文章になっているんじゃないかなと思いました。

【土井主査】
 どうもありがとうございます。時間の関係がありますので、議論は少し後にして、とりあえず意見をすべてお出しいただきたいということで。

【浅子委員】
 政治・経済の部分につきましては、前回発言したのが一部採用されていますので満足なんですけれども、今日は新たに公正の話が出てきたので、この5ページの一番上の行のところですけれども、その公正性の話で一言。ここでは社会的事象に対する客観的で公正な見方ということで、ある意味では社会的事象ですから、多くのものを含んでいるんだとは思うんですが、特に最近、経済学の方でよく世代間の利害関係ですね、広く言えば年金を納める、それから環境問題も広い意味では世代間の利害関係ですけれども、それに対する公正性というのが、先ほどそちらの方でジャスティスの話とかも出ましたが、そういう議論があるのを何かここに反映できないかと思いました。例えば、「社会的事象や世代間の利害関係に対する客観的で公正な」というふうに、長い文章をさらに長くしてしまいますが、もし可能だったらそういうことが入るといいかなと思いました。
 以上です。

【土井主査】
 ありがとうございます。新井委員。

【新井委員】
 それでは続けて、都立西高の新井です。現場の感覚で公民に関して、それから一部地歴に関しての話をさせていただきます。
 基本的には、私は現場の人間なので、細かい文章云々ということはなかなか言えないので、基本的にこれで私はオーケーだと思っています。ただし、第1点目なんですけれども、見方、考え方という言葉は確かに出ていない。これは宮崎先生がご指摘なさったとおりで、私は経済の関心を持っている人間なので、経済的な見方、考え方は、やっぱり大事だと思っています。ですから、見方、考え方というのをどこかの文言に入れていただければありがたいなと思います。
 ただし、そのときに、実は別の会合等で、難しい部分もあるんじゃないの、例えば政治的な見方というのを、そもそも論で定義できるのかと。経済的な見方というのは比較的オーソドックスにかくかくしかじかだということは言えるんですけれども、なかなか難しい部分があるのかなという議論はありました。ただし、中学校からの継続、もしくは公民科ですね、特に社会科学的な領域の公民科の最終的な目標というのは、やっぱり見方、考え方を身に付けて、公正に判断できる人間、自分も責任を持って判断できる人間をつくるという意味では、是非入れてほしいということです。
 2番目で関連なんですけれども、公正という言葉はいろいろ多面的だと思うんですけれども、公正論なんですけれども、私はこれ、入れておいていただいた方がありがたい。かつては政治的中立性という部分も含めて、公正という言葉を使うこともあったのかもしれないなと思います。感覚からいうと、過度なナショナリズムを公正だと言われたら困っちゃうな。逆に過度な何々イズムですよね、私は決して公正な人間だと自分では思っていないし、教室でも、必ずしも生徒に対して公正に振る舞っているかどうかと反省するところはすごくあるんですけれども、ただ、自分の意見を押しつけない、それから手続ですよね。やっぱり多面的なものがあって、その中で最終的に選ぶのは君たちだけれども、広くいろいろな見方ですね、1つ正しいということではなくてというところは伝えたいなと思っているので、これは文言としては残しておいていただいた方がいいかなと思っています。
 それから、これは地歴との関連で、3点目です。これは前回も話をしましたけれども、できるだけシンプルに、現場としては教えやすい、生徒としては学びやすい教科の科目構成が欲しい。そういう点では、総合は非常に慎重にした方がいいというのが私の意見です。検討するのは構わないけれども、拙速で総合科目をつくるのは反対です。
 ケースとしては、例えば、私も今担当していますけれども、公民科では現代社会のケースを考えてみてください。もう十数年の歴史がありますけれども、内容的に社会学的な領域、青年心理学の領域、倫理の領域、政治の領域、経済の領域、総合しているわけです。その総合性がまだまだ検討しなくてはいけない。つまり、1つのある意図で始まった教科が、本当に定着をするまでにまだまだかかるということを考えていったときに、親学問の大事さということを前回から主張しているんですけれども、やっぱり親学問というのは、学際性ということが現代的な課題だと言われているけれども、先ほどの見方、考え方の一番コアになる部分だと思うんです。そういう意味では、否定はしませんけれども、総合性、もしくは総合科目ということについて慎重な方がいい。
 もう1つだめ押しを言うと、私が担当している政治・経済という教科があります。政治の間にポチが入っています。政治・経済という形で総合されていないんです。それはもちろん大学の学部では政治経済学部という形になっていますけれども、でも、政治経済学部で本当に政治経済学をやっているのかどうかということを考えると、総合の難しさというのがあるのかなと思います。
 それと裏腹の関係なんですけれども、公民科、もしくは地歴科も含めて、旧社会科と言ってもいんですけれども、科目があって教科がなしといろいろ言われたんですけれども、やっぱり相互に協力をする、そうやらないとやっていけない時代であるということは事実だと思うんです。例えば金融について強化をしようということが今回、現代的な課題になっていますけれども、現象的な金融という問題以上に、例えば日本史の先生とよく話をするんです。昭和の初めの金解禁、日本史の先生が教えるときに、やっぱり非常に難しい、生徒も難しい。これ、金解禁一つとるには、やっぱり金本位制の問題、さらにそこから出てくる様々な金融現象というものを、どこかで誰かがきちっと教える。本当は順番制からいうと、歴史の方が先行して教えちゃってますので、政治・経済は3年生ですので、先に制度的な枠組みみたいなものはあるところで教えなくちゃいけないんでしょうけれども、でも、どこかでそれが結び付いて、ああそうだったのかという形になれば、先ほどの見方や考え方に通じるのかなという、そのところを考えています。
 そういう意味では、相互に領域的にも内容的にも協力をしながら、でもやっぱり親学問を大事にしながら工夫するというのが一番現実的なのかなと思っています。
 以上です。

【土井主査】
 どうもありがとうございました。そのほか、それじゃ、石井委員と原田委員。

【石井委員】
 倫理についてちょっと伺いたいのですが、この文案のところに書かれているのは、最も伝統的な意味での倫理という、括弧付きの倫理という概念に近いところのことが書かれているようでございますが、先ほどの吉川委員のご意見に、私、セコンドの気持ちを表現させていただきたいんですが、学習指導要領を今ほとんど初めて読んだんですけれども、「現代と倫理」という項目があるんですね、この中に現代の諸課題と倫理というような、アイウのウのところにあるんですけれども、生命倫理、環境倫理、情報倫理等々、現代に生きる人間にとって、倫理の問題というのはますます深刻になってきているわけでございます。私のような人間でも、生命倫理とか科学技術に関する倫理というものを考えないと仕事にならない。そういう世界であります。
 その点について既に現在の教科書なり、あるいは倫理に関する教育の実態というものが十分になされているという認識で伝統的な方をお書きになったというなら、私は何も申しませんが、もしそこに問題が仮にあるとすれば、このところにもうちょっとその問題に触れていただく必要があるのではないだろうか。学習指導要領にいろいろいいことが書いてあります。それをもうちょっと倫理の教育の実際に生かしていく、あるいは一層生かしていくという視点もこの文章の中に欲しいかなと感じた次第でございます。

【土井主査】
 それでは。

【原田委員】
 すみません。紹介のときも一言申し上げさせていただいて、同じことになるかと思うんですけれども、現代社会のところで、「現代社会の諸課題を取り上げて、人間としての在り方生き方についての学習や」と書いてあるんですが、是非ここに、私はもう少し積極的な言葉を入れてほしいなと思っているんですが、現代社会が抱える課題について、一市民として自分の行動の結果や解決について責任を持って、積極的にその解決のために参画する必要性について知るというような形で、もう少し積極的に一市民として解決に取り組んでいかなければならないという姿勢を学ぶというところを入れてもらいたいなと思っています。
 もう1点、これは政治・経済のところに入るかと思うんですが、ここの簡単な4行のところに入らなくてもいいんですが、政治・経済の横のところに、経済社会の変容と現代経済の仕組みというところがあるんですが、その中に是非、社会的課題を解決したり、新しい事業を創出する起業家、あるいは社会起業家と呼ばれる人たちなんですけれども、そういう人たちが地域経済などに与える役割について知るというような文言を、どこかに入れていただきたいと思っております。

【土井主査】
 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
 今いただいたご意見、私なりに整理させていただきますと、高島委員から最初にいただいた、伝統や文化というものを知識として教えるのではなくて、今に息づいている基本的な価値観なんかにも反映しているものだと理解していく方向ですとか、宗教についても、目に見えないものの持つ、人が生きていく上での役割とか、そういう点を強調する必要があるのではないかというご指摘、それから、おそらく直接関連しているんだと思うんですけれども、初めの方に越智委員からあった、先哲の考え方を教えるやり方が、知識の歴史として教えるのではなくて、「人間としての在り方生き方への関心を高め」という方向をより一層明確に文章にしてほしいというご意見とは、ほぼ同じ方向、前回の議論だと思いますので、その方向でまた表現方法を考えていきたいと思います。
 それとの関係で石井委員からのご指摘なんですが、このあたりがその文章の書き方の問題で、必ずしもここのところ、伝統的なものを強調しているというわけではございませんで、今の各委員のご指摘からもありましたように、そういう知識というよりは、それを踏まえた上で、あるいは1つの価値観等と理解した上で、さらに自分の在り方生き方というものに結び付けて、実際に判断基準をする際に有用な形で学習させる必要があるだろう。そのために課題追究的な学習が重要だろうという方向でまとめていただいているというか、なっていると思いますので、ただ、先ほど来言っているように、議論の経緯をわからずこれを見た場合に、十分に理解できるようにしないと、いろいろと問題が出るのではないかと出ているところですので、再度、なかなか表現は難しい部分もあるんですが、各委員からご指摘がございますので、見直した上で、できる限り皆さん方のご意見を反映させるような形にしたいと思います。
 それから、経済的な見方、政治的見方につきましてもご意見をいただきました。今、新井委員からいただいたご意見というのは、公正にかえてそういう表現を入れるというのではなくて、公正自体は重要な見方であって、もう少し違った観点から、基本的な枠組みというか、ものの見方という点から、経済的な見方や政治的な見方が入らないかということですので、これもどこか入るかどうかということについて、検討したいと思います。
 それから、世代間の利害関係の問題については、ここにどういう形で入れるかというのは、文案をまた考えたいと思いますが、おそらく前回から出ている持続可能な発展のところの問題というのは、基本的には将来の世代に対する責任の問題というのをはらんでいますので、どの部分にどういうふうに入れるかというのは、少しまた各委員からのご意見をいただきながら調整をしたいと思います。
 原田委員からいただいた参画に関する議論というのは、多分前の方に参加とか参画というのはかなり重視する形で改善点の方向等にも入っているんですが、再度後ろの最後の部分に入れることができるかどうかというのも、表現を調整しながら考えさせていただきたいと思います。
 それでは、私の議事の運営がまずくて、時間がいっぱいいっぱいになりましたので、今日この場での議論はここまでとさせていただきたいと思います。
 最後に田村先生、安彦先生の方から一言いただければと思いますので、よろしくお願いします。

【田村副部会長】
 今日は勉強させていただきましてありがとうございました。持続可能な社会を形成するという考え方が文章の中に入っていましたので、すごくうれしかったんですけれども、ただ、お伺いしながらちょっと気になったのは、世界史を必修にされて困るという高校生の理由は、覚えることが多過ぎるという単純な理由なんです。ですから、教科の仕組みがちょっと、そうじゃなくて、先ほど越智先生から仰っておられましたけれども、通史的にというのだとおもしろくないわけです。問題点をつかんで習うということで、興味が持てれば、覚えることが多いから世界史は迷惑だという発想は出てこないんだろうと思うんです。率直に言って、前回、世界史必修科目であるけれども、履修していなかったという理由のかなりの大きな部分がそこなんです。
 だからやっぱりここでご議論いただくときには、先生方のご意見として、必修になるなら、覚えることが多いから嫌だと思わせないような世界史のそういう構成をお考えいただけると大変うれしいわけです。実はほとんどの、半分以上の高校生が今はそういう方向性なんです。これは認めざるを得ないわけです。ですから、それを前提にして、いろいろなことをお考えいただきたい。だけど、ものすごく世界史は大事なんですけれども、しかし、実際に教えているのはそういう教えている内容だから、覚える項目が多過ぎちゃって、できるだけ世界史はとりたくないという反応になっちゃうんです。そこのところをお考えいだけますと大変ありがたいなと思っております。
 今、全体的なまとめを今お手伝いさせていただいてますけれども、地歴・公民は今度は新しいのにして、嫌がらない世界史になるといいなと思っております。どうもありがとうございます。

【安彦委員】
 まず幾つか、3つほど申し上げますが、最初に誤解のないように申し上げますけれども、資料9というのは、検討素案でありまして、決して高校の部会が決定したものとしてここに出したわけではありません。したがって、私たち自身もこれをもとにして議論したのでありまして、そういう意味では、何かこれで高等学校部会が決めてしまった文章であると思っていただいては困るということであります。いろいろな議論がやはりありました。
 2つ目に、資料3が高等学校部会での主な意見として出されましたけれども、これもまた誤解のないように申し上げますけれども、決してそれぞれの教科の代表の方といいますか、そういう方が、ある意味では自分たちの考えをもろに出して意見を言っているということではありません。何かそういうふうですと、先ほどのようなご意見が出ると感じますけれども、そうではなくて、むしろどの委員の方も全体を考えて発言されておられまして、そういう意味では、かえってご自分の専門というのを相対化されておられるかなという感じの雰囲気でありました。ですから、この点は、まるで誰が話しているかというのはおわかりにならないと思いますけれども、誤解のないようにお願いしたいと思います。
 それと、先ほど伺っていて、やはり同じようなことだなと思いましたが、高等学校部会でもこの世界史を総合的な科目にするということについてはかなり議論がありまして、前回というよりは、それよりも前の部会で非常に議論がありました。やはり似たような結論になりまして、そう簡単ではないということ。そのことは今、伺っていてよくわかりました。最初に総合が大事だと言っていながら、ぐっと入り込むと、世界史と地理とで譲らないという状況が生まれるわけで、これはどこも同じような状況があるわけです。
 ですので、いざとなったら、先ほど言ったように、かなり時間が欲しい、私たちの立場からすれば、やはり実証的なデータが欲しい、本当にこの方がいいということを示していただかないと、何らかの形でそういうデータをもとにして変えるということは、そう簡単にはできないことだと思います。この点は、今までの行政の決め方に対しても私は不満がありますけれども、そういう意味では実証性については、もっと意識して検討していただきたいなと思います。そういう意味では、宮崎委員でしょうか、福井委員でしょうか、仰った、プロジェクトチームをつくって、是非こういう部分についての検討というのを具体的にやっていただきたいと思います。
 一言申し上げました。ありがとうございました。

【土井主査】
 どうもありがとうございました。
 本日、限られた時間での討議でしたので、十分意を尽くさなかったことは、後で思いつかれたことなどを含めて、審議の途中でも申し上げましたように、ペーパー等で事務局あてにお送りいただければと思います。その意見を含めまして、本日までのご意見を取りまとめて、教育課程部会の方に報告するようにいたしたいと思います。
 それでは、今後の日程等について事務局の方からご説明をいただきます。

【牛尾視学官】
 本日はどうもありがとうございました。ただ今主査からもご紹介いただきましたように、今日いただいた意見を反映させた上で、この検討素案を直しまして、教育課程部会の方に報告をさせていただきたいと思っております。
 今日この場でお出しいただけなかったご意見等につきましては、ペーパーも歓迎いたしますので、是非具体的なご意見がございましたら、整理の都合上、大変恐縮ですけれども、25日火曜日ごろまでにいただけると大変ありがたいと、大変短い日程で恐縮でございます。
 それから、本部会の今後の日程でございますが、教育課程部会に報告をさせていただきまして、その審議の状況を踏まえて、必要があればまたお集まりいただいてご議論いただきたいと思っておりますので、またその際には追ってご連絡をさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。

【土井主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、長時間の審議ありがとうございました。本日はこれで閉会とさせていただきたいと思います。お疲れさまでございました。

─了─

お問合せ先

初等中等教育局教育課程課

-- 登録:平成21年以前 --