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資料2

ICFについて

平成18年5月29日
独立行政法人国立特殊教育総合研究所

1  ICFとは何か

 
正式名称はInternational Classification of Functioning, disability and Health。日本語では「国際生活機能分類」と訳されている。人間の生活機能と障害に関する状況を記述することを目的とした分類であり、健康状態、心身機能、身体構造、活動と参加、環境因子、個人因子から構成される。心身機能、身体構造、活動と参加、環境因子には合計1,424の分類項目が示され、一方、健康状態、個人因子には提示された項目はない。下記にICFの概念図と各用語の定義を記した。
 
<図 ICFの構成要素間の相互作用>

 
各要素の定義
心身機能  身体系の生理的機能(心理的機能を含む)
身体構造  器官、肢体とその構成部分などの、身体の解剖学的部分
活動  課題や行為の個人による遂行
参加  生活・人生場面への関わり
環境因子  人々が生活し,人生を送っている物的・社会的・態度的環境
個人因子  個人の人生や生活の特別な背景

ICFは、2001年にWHOで採択され、2002年に日本語公定訳が発行された。前身は、1976年「国際障害分類試案」,1980年「国際障害分類(略称ICIDH)」である。

ICFはWHOの国際分類ファミリー(Family of International Classifications、FIC)の一部として位置付く。WHO-FICには、ICFの他、「国際疾病分類(略称ICD-10)」、「医療行為の分類(略称ICHI)」等が含まれる。ICFの担当部局は、WHOも日本の厚生労働省(大臣官房 統計情報部 人口動態・保険統計課 疾病傷害死因分類調査室)も、ICFだけでなく、FICの全体を所管している。

「障害者基本計画(平成14年12月)」の中に、「3 障害の特性を踏まえた施策の展開」として、「WHO(世界保健機関)で採択されたICF(国際生活機能分類)については、障害の理解や適切な施策推進の観点からその活用方策を検討する」との記載がある。

2  ICFの視点からの幼児児童生徒理解と支援の例―ICIDHとの比較を通して―

   ICFの視点に基づいた幼児児童生徒理解と支援等について、以下に仮想事例を挙げて、そのイメージ図を記した。

仮想事例A君の場合
中2 男子。
内向的な性格である
脳性麻痺という診断を受けており、下肢に運動麻痺がある。
移動は、クラッチでの歩行及び車いすの使用である。
住民の転出入があまりない、比較的保守的な地域に3世代家族で住んでいる。
もっとも近いスーパーは、家から50メートル程の距離のなだらかな坂を上った所にある。
スーパーに買い物に行きたいが、心理的な抵抗があり、行けない。

 
ICIDHの視点からのA君の理解

ICFの視点からのA君の理解

ICFの視点からのA君への支援と指導

3  ICFの特徴

 
環境因子や個人因子等の背景因子の視点を取り入れていること
構成要素間の相互作用を重視していること
「参加」を重視していること
診断名等ではなく、生活の中での困難さに焦点を当てる視点を持っていること
中立的な用語を用いていること
共通言語としての機能を持つこと

4  特別支援教育等におけるICFの活用例

 
 独立行政法人国立特殊教育総合研究所・世界保健機関(WHO)編著「ICF(国際生活機能分類)活用の試み」(平成16年発行)の中で、実際の活用例が報告されている。その中にあるものや最近見られる活用例としては、以下のようなものがある。
 
視点の広さや共通言語しての性格に基づいた「個別の教育支援計画」での活用
   個別の教育支援計画策定において、ICFの項目に基づいて、参加と活動を中心に据えながら環境面も含めた実態把握を行う他、ICFを多職種間の連携のためのコミュニケーションツールとして活用している例がある。(下図参照)

通常学級の特別な教育的ニーズのある子どもの理解と支援に向けた、センター的機能での活用
   通常学級に在籍する多様なニーズのある子どもを理解し、支援プログラムを立てるために、ICFの枠組みに基づいて作られた支援シートを作成し、活用している例がある。(下図参照)

指導成果を測定するための評価ツールとしての活用

不登校事例の理解と支援への活用 等

5  ICFに寄せられる課題等

  ICFに対するよくある指摘と、それに対する応えという形で以下に記したい。

子どもや発達段階初期にある人には、ICFは使いにくいのではないか?
 
ICF児童青年期バージョンが近々WHOで採択される予定であり、その活用方策も既に検討段階に入っている。
 
(参考) 国立特殊教育総合研究所課題別研究「ICF児童青年期バージョンの教育施策への活用に関する開発的研究(平成18〜19年度、予定)

環境を整えるだけで、幼児児童生徒自身の成長発達を促さないのか?
 
教育課程や教師の指導力そのものも、幼児児童生徒の重要な環境因子との認識のもと、より適切な指導や支援が必要である。

ICF導入の成果は本当にあるのか?
 
日本特殊教育学会自主シンポジウム等で検討されている。

用語の難しさや項目数の多さから使いにくいのではないか?
 
電子化による簡便且つ効果的な活用に関する研究が行われている。
 
(参考) 科学研究費補助金「個別の教育的支援計画作成を支援するICFダイヤグラム自動生成システムの設計と開発」(平成17〜18年、若手研究B、国立特殊教育総合研究所)


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