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資料4

教育課程部会審議経過報告(抄)

イ 確かな学力の育成

(学力に関する考え方)

 学ぶ意欲や知的好奇心を育て、「確かな学力」を育成することは、学校教育の基本的な役割である。教育課程の構造を明確化する一環として、それをはぐくむ道筋(手立て)を明らかにすることが求められる。

 現行学習指導要領の学力観については、これをめぐって様々な議論が提起されているが、義務教育答申でも指摘しているとおり、基礎的・基本的な知識・技能の育成(いわゆる習得型の教育)と、自ら学び自ら考える力の育成(いわゆる探究型の教育)とは、対立的あるいは二者択一的にとらえるべきものではなく、この両方を総合的に育成することが必要である。

 そのためには、知識・技能の習得と考える力の育成との関係を明確にする必要がある。まず、1基礎的・基本的な知識・技能を確実に定着させることを基本とする。2こうした理解・定着を基礎として、知識・技能を実際に活用する力の育成を重視する。さらに、3この活用する力を基礎として、実際に課題を探究する活動を行うことで、自ら学び自ら考える力を高めることが必要である。これらは、決して一つの方向で進むだけではなく、相互に関連しあって力を伸ばしていくものと考えられる。知識・技能の活用が定着を促進したり、探究的な活動が知識・技能の定着や活用を促進したりすることにも留意する必要がある。

 こうして習得と探究との間に、知識・技能を活用するという過程を位置付け重視していくことで、知識・技能の習得と活用、活用型の思考や活動と探究型の思考や活動との関係を明確にし、子どもの発達などに応じて、これらを相乗的に育成することができるよう検討を進めている。

 探究的な活動を行うことは、子どもの知的好奇心を刺激し、学ぶ意欲を高めたり、知識・技能を体験的に理解させたりする上で重要なことであり、自ら学び自ら考える力を高めるため、積極的に推進する必要がある。こうした活動を通して、各教科等それぞれで身に付けられた知識や技能などが相互に関連付けられ、総合的に働くようになることが期待される。

 なお、現行の学習指導要領に至るまでのある一時期において、子どもの自主性を強調する余り、教師が指導を躊躇する状況があったのではないかという指摘がある。探究的な活動については、知識・技能の習得や活用を視野に入れて、関連付けを図りながら、教師の指導の一環として行われることが必要である。広い意味で、教えることの大切さに留意する必要がある。

(基礎的・基本的な知識・技能を確実に定着させる)

 教育課程部会や教育課程企画特別部会においては、例えば、「一定のことは暗記し反復により定着させるべきである」との意見に見られるように、「読み・書き・計算」などの基礎的・基本的な知識・技能の面については、発達の段階に応じて徹底して習得させ、学習の基盤を構築していくことが大切との意見が示された。

 知識・技能のうちでも、特に、乗法九九や都道府県の位置と名称などは、実生活との関連においても、その後の学習の基盤としても重要な事項であり、基本的な意味を押さえた上で、反復学習などの丁寧な繰り返し指導が有効である。

 また、音読、暗記・暗唱などの活動を適宜取り入れることが重要である。学習に関する基本的な能力を高め、その後の学習を効果的に進めることにつながるとの意見も示されている。

 知識・技能の確実な定着に当たっては、知識・技能を実際に活用する力の育成を視野に入れることが重要である。知識・技能を生きて働くようにすること、すなわち実生活等で活用することを目指すからこそ、その習得に当たっても、知的好奇心に支えられ実感を伴って理解するなど、生きた形で理解することが重要となる。

 生命や粒子、民主主義や法といった概念や原理、法則などは、個々の知識を体系化することを可能とし、個々の知識を活用する上での助けとなるものであり、教育内容として重視し、適切に位置付けていくことが必要である。

 形式知のみでなく、いわゆる暗黙知も重視すべきであるとの意見がある。こうした観点からも、家庭や地域社会とも連携しつつ、体験的な活動や音読、暗記・暗唱、反復学習などを通じて、知識・技能の体験的、身体的な理解ということに十分配意する必要がある。

 このような知識・技能の様々な特性を踏まえて、子どもの発達や学年の段階に応じた教育内容の整理や指導方法の工夫が必要である。基礎的・基本的な内容については、小学校・中学校・高等学校において、あえて教育内容を重複させることが重要であるとの意見も数多く示されている。

 基礎的・基本的な知識・技能については、これまでの審議においては、特に、義務教育を念頭において検討を進めてきており、1社会的に自立していくために実生活において不可欠であり常に活用できるようになっていることが望ましい知識・技能と、2義務教育及びそれ以降の様々な専門分野の学習を進めていく上で共通の基盤として習得しておくことが望ましい知識・技能とに区分して整理するという検討を行っている。

 具体的には、各教科等を通じて、
  1  実生活において不可欠な知識・技能
 例えば、 整数、小数、分数の意味が分かり四則計算ができること、ヒトや動物のつくり、酸素や二酸化炭素の性質について知ることなど。
2 学習を進めていく上で共通の基盤となる知識・技能
 例えば、 三平方の定理について理解すること、物質は粒子からできていることについて理解することなど。
といった類型を設けて、整理を進めてきている。

(知識・技能を活用し、考え行動する力の重視)

 現行学習指導要領は、自ら学び自ら考える力の育成を目指して、具体的には、思考力・判断力・表現力等をはぐくみ、知識・技能等を学習や生活において生かし、総合的に働かせることを目標としている。

 こうした方向性は国際的にも模索されており、例えば、PISA調査は、知識・技能を実生活において活用する力を測定することを目指している。

 教育課程部会及び教育課程企画特別部会においては、コミュニケーション能力を重視すべきである、知識・技能を活用する力が重要であるなどといった、教育を通じて育てるべき「力」を教科横断的に明確にしていく必要があるとの意見が示されている。

 このような観点から、各教科等ごとに義務教育修了段階において子どもに身に付けさせたい力を比較検討した。その結果、各教科等を横断してはぐくむべき能力として、例えば、

  1  体験から感じ取ったことを表現する力(感性や想像力を生かす)
 (例)  
 
日常生活や体験的な学習活動の中で感じ取ったことを言葉や歌、絵、身体などを用いて表現する。
自国や他国の歴史・文化・社会などから自分たちとは違う世界を想像し、共感したり分析したりしたことを表現する。 など

2  情報を獲得し、思考し、表現する力(言語や情報を活用する)
 (例)  
 
文章や資料を読んだ上で、自分の考えをA4・1枚(1,000字程度)で表現する。
自然事象や社会的事象に関する様々な情報や意見をグラフや図表などから読み取ったり、これらを用いて分かりやすく表現したりする。 など

3  知識・技能を実生活で活用する力(知識や技能を活用する)
 (例)  
 
需要、供給などの概念で価格の変動をとらえて生産活動や消費生活に生かす。
衣食住や健康・安全に関する知識を生かして自分の生活を管理する。 など

4  構想を立て、実践し、評価・改善する力(課題探究の技法を活用する)
 (例)  
 
学習や生活上の課題について、事柄を比較する、分類する、関連付けるなど考えるための技法を活用し、課題を整理する。
理科の調査研究において、仮説を立て、実験・観察を行い、その結果を整理し、考察をまとめ、表現したり改善したりする。
芸術表現等において、構想を練り、創作活動を行い、その結果を評価し、工夫・改善する。 など

が考えられるのではないかという議論がなされている。

 このように、1感性に基づいて情報を処理する力や、2理性に基づいて情報を処理する力などを通じて、体験から知識・技能を獲得し、深め、実際に活用するための基盤となる力を養うとともに、3知識・技能を実際の生活や学習において活用する力、4課題探究や創意工夫をすることで、課題自体を発見したり、課題を解決したりする力を育成することが重要である。11の力はいずれも、言葉の重視、体験の充実と深く関連する力である。

 こうした14の力は、現行学習指導要領においても、各教科等において、それぞれ位置付けられているが、今後は、各教科等を横断して、学校教育活動全体で力を伸ばしていくことが合理的であり、また有効であると考えられる。

 なお、1及び2の力については、文化審議会答申(「これからの時代に求められる国語力について」平成16年2月)において、考える力、感じる力、想像する力、表す力の育成として提起されている力と関連していると考えられる。

 教育課程部会では、今後、こうした力を育成するために、指導内容との結び付け、活動例の設定などについて、具体的に整理しようとする試みを行っている。


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