ここからサイトの主なメニューです
資料17

音楽科、芸術科(音楽)の現状と課題、改善の方向性(検討素案)(教育課程部会等の審議を踏まえて再整理したもの)

1. 現状
 音楽科、芸術科(音楽)は、表現及び鑑賞にかかわる幅広い活動を通して、音楽を愛好する心情と音楽に対する感性を育て、音楽活動の基礎的な能力を伸ばし、豊かな情操を養うことをねらいとしている。
 このねらいを実現するため、小学校、中学校、高等学校を通じて、「A表現」と「B鑑賞」で内容を構成している。このうち「A表現」については、小学校及び中学校は「歌唱」「器楽」「創作」から成るが、個々の指導事項は小学校と中学校で示し方が異なっている。また、高等学校は「歌唱」「器楽」「創作」の3分野で構成している。

2. 課題
 感性を高め、思考・判断し、表現する一連のプロセスを働かせる力、生涯にわたって音楽に親しみ、音楽文化のよさを味わったり、生活や社会に生かしたり豊かにしたりする態度の育成が求められている。
 音楽を表現する技能と鑑賞する能力の育成においては、児童生徒が、音や音楽を知覚し、感性を働かせて感受すること(感じ取ること)を重視することが求められている。
 歌唱の活動に偏る傾向があり、表現の他の分野と鑑賞の学習が十分でない状況が見受けられる。特に、創作と鑑賞の充実が求められている。
 我が国の音楽文化に愛着をもち、そのよさを感じ取って理解し、他国の文化を尊重する態度等を養うため、長く歌い継がれ親しまれてきた日本のうたや、和楽器などの伝統音楽の学習の充実が求められている。

3. 改善の方向性
 表現や鑑賞の幅広い活動を通して、音楽を愛好する心情をもち、感性を働かせて音や音楽を感じ取り、思いや意図をもって表現したり味わって聴いたりする力を育成し、多様な音楽及び音楽と生活とのかかわりに関心をもって、生涯にわたり音楽文化に親しむ態度をはぐくみ、豊かな情操を養う指導が一層充実して行われるようにする。
 豊かな感性や情操を育てるために、指導内容と育成する資質や能力を明確にする観点から、歌唱、器楽、創作、鑑賞ごとに指導内容を示すとともに、小学校及び中学校においては、表現と鑑賞の活動の支えとなる指導内容を[共通事項]として示し、感性を働かせて音や音楽を知覚し感受し、思考・判断する力の育成を一層重視する。
 創作活動は、学校・学年段階に応じ、音を音楽へと構成していく過程を大切にし、音楽をつくることの楽しさを体験させる観点から、小学校では「音楽づくり」、中学校及び高等学校では「作曲」として示すようにする。
 鑑賞活動は、学校・学年段階に応じ、音楽のおもしろさやよさを生み出している様々な要素の働きなどを感じ取り、音楽に対して、根拠をもって自分なりに批評することのできるような力の育成を図るようにする。
 国際社会に生きる日本人としての自覚の育成が求められる中、我が国や郷土の伝統音楽に対する理解を基盤として、我が国の音楽文化に愛着をもつとともに他国の音楽文化を尊重する態度等を養う観点から、学校・学年段階に応じ、我が国や郷土の伝統音楽の指導が一層充実して行われるようにする。

4. 改善例

【小学校】
 児童が、感性を豊かに働かせて音楽が本来もっているおもしろさやよさを感じ取り、思いや意図をもって表現する技能や、音楽全体を味わい鑑賞する能力を身に付け、豊かな情操を養うため、次のような改善を図る。
(ア)  表現領域(「歌唱」、「器楽」、「音楽づくり」の三分野)、鑑賞領域及び[共通事項]で内容を構成する。[共通事項]については、例えば、音楽を特徴付けている要素や音楽のしくみを聴き取り、それらの働きによって生み出される音楽的なおもしろさやよさを感じ取れるようにすること。
(イ)  音楽づくりについては、生活の中にある音に耳を傾けたり様々な音を探したり音をつくったりして音のおもしろさに気付くとともに、音を音楽へと構成する音楽の要素や音楽のしくみのおもしろさに触れるようにする。
(ウ)  鑑賞領域においては、音楽を特徴付けている要素や音楽のしくみのかかわり合いを聴き取る力を育て、それによって音楽のおもしろさやよさ、美しさを感じ取り、自分なりの価値観をもてるようにする。さらに、鑑賞での指導内容と「歌唱」、「器楽」、「音楽づくり」の指導内容との関連が明確になるようにする。
(エ)  唱歌や民謡、郷土に伝わるうたについて、さらに取り上げられるようにするとともに、歌唱共通教材の扱いについて充実を図る。
 鑑賞教材の選択の観点について、現行で高学年で位置付けられている我が国の音楽についてさらに取り上げられるようにする。
(オ)  音楽学習が児童の生活とかかわりのあるものとなるように、児童の身の回りの中にある音に親しむようにするとともに、児童の生活の中でよく耳にする音や音楽とのかかわりを大切にした指導内容を示す。また、コミュニケーション能力を伸ばす観点から、音遊びや音楽遊びを通じて他者とかかわるようにする。

【中学校】
 生徒が、感性を働かせて多様な音や音楽を感じ取り、創意工夫して表現したり味わって鑑賞したりする力を育成し、音楽文化についての理解を深め、豊かな情操を一層養うため、次のような改善を図る。
(ア)  表現領域(「歌唱」、「器楽」、「作曲」の三分野)、鑑賞領域及び[共通事項]で内容を構成する。[共通事項]については、例えば、音楽を形づくっている様々な要素を知覚し、それらの働きが生み出す特質や雰囲気を感受すること、音楽に関する用語や記号などを音楽活動と関連付けながら理解することなどを具体的に示す。
(イ)  作曲については、音を音楽へと構成する楽しさを実感することができるように、例えば、用いる音を限定して旋律をつくったり、音素材を選び、まとまりを工夫して音楽をつくったりするようにする。
(ウ)  鑑賞領域においては、音楽に関する言葉などを用いながら、音楽に対して、生徒が、自分なりの根拠をもって批評することのできるような力を育成するようにする。
(エ)  我が国の伝統的な音素材の特徴などを生かした学習を充実する観点から、和楽器については、簡単な曲の表現を通して、伝統音楽のよさを一層味わうことができるようにするとともに、我が国の伝統的な歌唱の指導も重視するようにする。
 また、我が国の音楽文化に親しみ一層の愛着をもつ観点から、我が国の自然や四季、文化、日本語のもつ美しさなどを味わうことのできる歌曲をさらに取り上げられるようにする。
(オ)  学習全体を通じて、音楽文化の多様性を理解する力の育成を図るとともに、音環境への関心を高めたり、音や音楽が生活に果たす役割を考えたりするなど、音楽と生活や社会とのかかわりを実感できるように指導するようにする。

【高等学校】
 中学校音楽科との関連を考慮し、音楽の表現や鑑賞の能力を更に高めるとともに、生徒の個性を生かした創造的な活動を行い、生涯にわたって音楽を愛好する心情を育て、芸術としての音楽を理解し、自己の価値観を形成し、我が国の伝統音楽を含めた音楽文化についての理解を一層深め尊重する態度を養うことを重視して、次のような改善を図る。
(ア)  「音楽1」においては、中学校での学習内容を踏まえ、表現領域を「歌唱」、「器楽」、「作曲」の三分野で構成することとし、表現領域全体を通じて創造的な表現力を高めるとともに、音楽に対する総合的な理解を深める観点から、表現領域のすべての分野と鑑賞領域を学習するようにする。
(イ)  「音楽2」においては、個性を生かした創造的な活動を行い、音楽の表現力を一層高める観点から、表現領域の三つの分野のうちから一つ以上を選択して学習するとともに鑑賞領域を学習することとし、特に、我が国の伝統音楽を含む多様な音楽文化について、それぞれの価値をとらえることができる力を育成する観点から、鑑賞に充てる授業時数を十分確保するようにする。
(ウ)  「音楽3」においては、個性を生かした学習を一層深める観点から、表現領域の三つの分野及び鑑賞領域のうちから一つ以上を選択して学習することとし、いずれの学習においても我が国の伝統音楽の学習を含めるようにして、我が国の音楽文化を継承し創造していく態度を養うようにする。
(エ)  現行と同様に、「音楽2」は「音楽1」を履修した後に、「音楽3」は「音楽2」を履修した後に履修させることを原則とする。


ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ