平成19年9月12日(水曜日)15時〜17時30分
全国都市会館 「第1会議室」
家庭科、技術・家庭科、情報科の教育の改善充実について
間田主査、清水主査代理、牧野主査代理、井手委員、今成委員、今山委員、上原委員、内野委員、金子委員、上市委員、小泉委員、坂口委員、佐藤(文)委員、佐藤(万)委員、塩入委員、杉山委員、筒井委員、中原委員、松原委員、和田委員
梶田教育課程部会長、安彦教育課程部会委員
布村審議官、安藤参事官、小幡専門官、中沢情報教育調整官、岡教科調査官、望月教科調査官、上野教科調査官、永井教科調査官
【間田主査】
それでは、定刻となりましたので、ただいまより第4期第2回家庭、技術・家庭、情報専門部会を開会いたします。
委員の皆様におかれましては、ご多忙の中ご出席くださいまして、ありがとうございます。本日は、教育課程部会より梶田教育課程部会長が御出席くださることになっております。教育課程部会高等学校部会の主査である安彦委員にもご参加いただいておりますので、ご紹介いたします。
【安彦委員】
安彦でございます。よろしくお願いします。
【間田主査】
まず、初めに事務局から配付資料の確認をお願いします。
【小幡専門官】
まず初めに、資料を確認させていただきます。資料1から13まで、あと参考資料を1つ配付させていただいております。資料1が本部会の委員名簿でございます。資料2が、第3期における本部会での主な意見をとりまとめたもの、資料3が前回の第4期第1回の意見をとりまとめた資料です。資料4でございますが、前回もご議論いただきましたが、「家庭科、技術・家庭科の現状と課題、改善の方向性(検討素案)」について前回の意見を踏まえまして、見え消しにしているものでございます。資料5がその反映をしているものでございます。
資料6、資料7でございますが、「普通教科『情報』の現状と課題、改善の方向性(検討素案)」でございます。資料6が前回の意見を踏まえて、見え消しにしているもの。資料7がそれを反映したものでございます。資料8が「情報教育の現状と課題、改善の方向性(検討素案)」、資料9が「言語力の育成方策について(報告書案)【修正案・反映版】」、資料10が「教育課程部会におけるこれまでの審議の概要(検討素案)」、資料11が「小学校の教育課程の枠組みについて(検討素案)」、資料12が「中学校の教育課程の枠組みについて(検討素案)(修正版)」、資料13が「高等学校の必修履修教科・科目の在り方について(検討素案)」でございます。参考資料といたしまして、関係団体等からの要望書を配付させていただいております。
【間田主査】
それでは、これより議事に入ります。本日は、最初に教育課程部会をはじめ、関係の部会が開催されておりますので、その審議の概要を報告いただきます。その後で、前回に引き続いて、「家庭科、技術・家庭科、普通教科『情報』の現状と課題、改善の方向性(検討素案)」の審議を行うとともに、引き続いて、新たに「情報教育の現状と課題、改善の方向性(検討素案)」についても審議を行いたいと思います。
それでは、事務局より配付資料についての説明をお願いします。
【小幡専門官】
それでは、資料9から13まで説明をさせていただきたいと思います。
まず、資料9でございます。「言語力の育成方策について(報告書案)【修正案・反映版】」でございます。これは、8月16日の言語力育成協力者会議で配付されたものでございますが、現在、協力者会議の座長の一任のもとで修正の作業を進めており、、これから確定するものでございます。前回、これについては、本部会におきましても、意見をいただきましたが、その意見を踏まえ修正したものでございます。具体的には、12ページをご覧いただければと思います。
12ページに、「家庭、技術・家庭」と「情報」と分けさせていただいておりますが、前回はこれが一緒の項目になっておりまして、情報については、重要な要素でございますので、独立して項目を設けるべきとの意見がありました。その意見を踏まえまして、このように情報については独立した項目を立てさせていただきまして、記述をさせていただいているところでございます。
続きまして、資料10でございます。資料10から13につきましては、前回、本専門部会が開催された後、教育課程部会や小中高の各部会において、現在それぞれ審議が進められておりますが、それぞれ現段階の検討素案でございます。資料10が教育課程部会におけるこれまでの審議の概要でございますが、1ページと2ページに目次が入っております。
構成ですが、「これまでの経緯」が初めにございまして、「教育の目的とこれまでの学習指導要領改訂」、「現行学習指導要領の理念」、「子どもたちの現状と課題」がございまして、続いて「課題の背景・原因」が盛り込まれております。そうした背景・原因を踏まえまして、5といたしまして、今回の学習指導要領の改訂の基本的な考え方を盛り込んでいるところでございます。「改正教育基本法等を踏まえた学習指導要領改訂」、「『生きる力』という理念の共有」など、7つの項目から学習指導要領の改訂の基本的な考え方を盛り込んでいるものでございます。6以降が具体的な改善事項を盛り込んでおります。6が「教育課程の基本的な枠組み」でございます。
7が「教育内容に関する主な改善事項」になります。8が「各教科・科目等の内容」になっております。
現在、この6、7、8につきましては、それぞれ各専門部会で議論が行われているところでございます。そうした議論を踏まえまして、逐次内容をこちらの項目に反映させていくこととしております。
それで、本専門部会におきましても、この部会での審議をこの7の(5)の「教科等を横断して取り組むべき課題への対応」の情報教育でありますとか、8「各教科・科目等の内容」の中の家庭、技術・家庭、情報についても、この中に盛り込ませていただきたいと考えております。
最後に、9といたしまして、「教師が子どもたちと向き合う時間の確保などの教育条件の整備等」といたしまして、教職員定数の改善などをはじめとした各種諸方策について盛り込まれております。
10といたしまして、「家庭や地域との連携・協力の推進と企業や大学等に求めるもの」を盛り込ませていただいております。
続きまして、資料11をご覧いただければと思います。こちらは小学校部会で議論が行われているものでございますが、「小学校の教育課程の枠組みについて(検討素案)」でございます。特に、本専門部会にかかわるものとしては、4ページをご覧いただければと思います。
3といたしまして、「今後の教育課程の枠組みについて」という中で、「各教科等の授業時数」について、検討の方向性が盛り込まれております。それぞれ、国語、社会、算数、理科や体育などについても記述がございますが、(1)の一番下のマルでございます。「上記以外の教科等については、これまでの成果を踏まえ、授業時数を現行どおり確保した上で教育内容の改善を図る」ということでございます。家庭科についてもこのような方針が示されているところでございます。
続きまして、資料12をご覧いただければと思います。こちらも同じく中学校の部会で検討が進められている検討素案でございます。3ページをご覧いただければと思います。「各教科等の授業時数」という項目の一番下でございますが、こちらについても、それぞれその上で、国語や社会、数学、理科についての記述がございますが、一番最後に「上記以外の教科等については、これまでの成果を踏まえ、授業時数を現行どおり確保した上で教育内容の改善を図る」という方向性が示されているところでございます。したがいまして、中学校の技術・家庭科についてもこのような方針が案として出されているものでございます。
続きまして、資料13をご覧いただければと思います。「高等学校の必履修教科・科目等の在り方について(検討素案)」で、高等学校部会で議論が行われているものでございます。
一番最後の4ページをご覧いただければと思います。必履修科目の在り方について、それぞれ各教科についての方針が示されておりますが、4ページにおきまして「情報については、高等学校に入学してくる生徒の知識・技能に大きな差が見られることなどを踏まえ、義務教育段階における指導内容を見通した検討を含め、その内容等について検討する必要がある」としております。
さらに、その下でございますが、「保健体育、芸術、家庭については、これまでの成果を踏まえ、現行の必履修科目の枠組みを維持した上で、その内容の改善を図る必要がある」といった方向性の案が示されているところでございます。
以上でございます。
【間田主査】
今、ご説明いただいた資料をもとにして、前回に引き続いて、「家庭科、技術・家庭科の現状と課題、改善の方向性(検討素案)」について審議を行います。
初めに、事務局より、本日ご議論いただく「家庭科、技術・家庭科の現状と課題、改善の方向性(検討素案)」につきまして、岡教科調査官、望月教科調査官、上野教科調査官から説明をお願いします。
【岡教科調査官】
資料4についてご説明いたします。資料4と資料5をご覧いただきたいと思います。なお、本資料につきましては、前回の本専門部会において、委員の皆様のご意見などを踏まえて、主査ともご相談の上、事務局にて整理したものでございます。
なお、資料5につきましては、これまでの家庭、技術・家庭、情報専門部会の審議のまとめとして、今後、教育課程部会にご報告する予定でおります。それでは、資料4をご覧ください。赤で見え消しになっている部分が変更点です。主に、表記上の統一や整理を図ったり、内容をさらに具体的に書き出したりしているものでございます。小学校の家庭科と中学校の技術・家庭科家庭分野を中心に、その変更点をご説明したいと思います。
まず、2ページをご覧いただきたいと思います。3「改善の方向性」が下半分のaです。「自己と家庭、家庭と社会とのつながりを重視し、生涯の見通しをもって、よりよい生活を送るための能力と実践的な態度を育成する視点から、学校段階に応じた体系的な目標や内容に改善を図る」の「能力と実践的な態度」について表記の統一、整理をしているところでございます。
3ページをお開きください。マルの1つ目ですが、社会の変化に対応した内容としまして、aからcに家庭科、家庭分野の改善の方向性を示しているところです。2つ目のマルでございますが、表記上の整理をしております。この内容は実践的・体験的な学習活動と、問題解決的な学習のより一層の充実について示した部分でございます。
次に、下のほうにまいります。4「改善例」の小学校をご覧ください。「実践的・体験的な学習活動を通して、自分の成長を理解し家庭生活を大切にする心情をはぐくむとともに、生活を支える基礎的・基本的な能力と実践的な態度を育成することを重視し、次のような改善を図る」の部分について、表記上の整理をさせていただいております。
(ア)については、内容の構成について示しておりますが、
から
の観点を示したものでございます。
(イ)につきましては、社会の変化への対応として、3つ挙げております。
aは、「家族の一員として成長する自分を自覚し家庭生活を大切にする心情をはぐくむことを目指した学習指導を一層充実する」と整理をさせていただいております。
bでございます。「なお、中学校での取扱いとなっていた五大栄養素については、体内での主な3つの働きとのかかわりを中心に、その基礎的事項を小学校において指導することとする」と追記しております。
cは、消費や環境の学習については、「他の内容との関連を明確にし、実践的な学習活動を一層充実する」と具体的に示したところでございます。
(ウ)につきましては、内容の取り扱いになります。「家庭生活を総合的にとらえるこどができるようにする視点から、家族の生活と関連させながら衣食住などの内容を取り扱うことを一層重視する」としております。それから、実践的・体験的な学習活動を中心として、生活を工夫する楽しさやものをつくる喜びを体得するとともに、児童が自分の生活に結び付けて学習できるよう、問題解決的な学習を重視すると整理をしております。
(ウ)の最後の段落です。ガイダンス的な内容の設定について、文言の整理をさせていただいたところです。
5ページ目の「家庭分野」についてご説明いたします。
(ア)につきましては、家庭分野の全体の方向性を書き出しております。実践的・体験的な学習活動を通して、自己の生活の自立を図り、家庭の機能を理解するとともに、これからの生活を展望し、よりよい生活を工夫できる能力と態度の育成を重視すると整理をいたしました。
(イ)は内容の構成について示したものです。
、
、
、
ございますが、4つの観点から再構成し、すべての生徒に履修させると追記しております。
その下ですが、「その際、家族・家庭や衣食住などの内容に生活の課題と実践に関する指導事項を設定し、複数の事項の中から選択して履修させるようにする」と追記して、具体的に書き出しております。
続きまして、6ページの(ウ)でございます。(ウ)は社会の変化への対応を示しております。dにつきましては、消費や環境に関する学習については、「他の内容との関連を明確にし、中学生の消費生活の変化を踏まえた実践的な学習活動を一層充実する」と具体的に示しました。
(エ)は内容の取り扱いについてでございますが、各内容においては、仕事の楽しさや完成の喜び、家族と家庭の役割の重要性を理解し、人とよりよくかかわろうとする能力や態度などの育成を目指した実践的・体験的な学習活動を一層充実する。
また、生活を工夫し、創造する能力や生活の課題を解決しようとする意欲などの育成を目指した問題解決的な学習を一層重視すると整理しているところでございます。
【望月教科調査官】
高等学校についてご説明いたします。6ページでございます。
まず初めに、高等学校の改善の視点を整理いたしまして、「人間の発達と生涯を見通した生活の営みを総合的にとらえ、家族・家庭の意義、家族・家庭と社会とのかかわりについて理解させるとともに、生活に必要な知識と技術を習得させ、家庭や地域の生活を創造する能力と主体的に実践する態度を育てることを重視」するといたしました。
(ア)については、社会から求められている課題ですが、変更はございません。
(イ)では、特に、生涯生活設計、キャリアプランニングなどの学習を通して、次世代を担うことや、生涯を見通す時間軸の視点を明確にするということで、整理させていただきました。
7ページ目でございます。(ウ)につきましては、特に(イ)の学習を通しまして、社会的に問題となっております、例えば、多重債務等の深刻な社会問題や、衣食住生活について科学的に理解する、社会の一員として生活を創造する力を身に付けるということを明確にするために文章を整理いたしました。
また、(エ)としまして、子どもの発達や高齢期の特徴など、人間の発達課題や人とのかかわり方、少子高齢社会への対応、生活文化への内容についても深められるように内容を構成するとしております。
(オ)につきましては、ホームプロジェクトや学校家庭クラブ活動につきまして、引き続き重視するということで変更はございません。
(カ)で必履修科目としての科目構成を示しておりますけれども、2単位科目を1科目、4単位科目を2科目、計3科目の中の科目選択とするということを示しております。科目名につきましては、現在、現行のまま示しておりまして、今回は(仮称)示しておりますが、いずれにつきましても、それぞれの科目の性格を明確にして内容を構成することといたします。
2単位科目の「家庭基礎(仮称)」でございますが、こちらは特に、人の一生やライフステージごとの課題とかかわらせた内容で、特に青年期の課題である自立と共生ということにつきまして、基礎的・基本的な内容で構成いたします。
2番目の「家庭総合(仮称)」は4単位の科目でございます。生命の誕生から一生涯を見通し、親の役割、子育て支援、人間の尊厳や高齢者の肯定的理解、介護、衣食住生活や生活文化や消費生活と資源・環境について実験・実習を通して総合的に扱う内容といたします。
最後の「生活技術(仮称)」でございますが、こちらの4単位の科目につきましては、特に、生活と文化のかかわりや生活の技術的、文化的な意味や価値への理解を深める上で、食育を推進する視点から食生活の文化と創造などについての内容を重視し、衣生活や住生活などの一部の項目については選択して扱うことができるような内容構成といたします。
以上で小学校家庭科、中学校技術・家庭科家庭分野、高等学校家庭科の説明は終わります。
【上野教科調査官】
続きまして、中学校技術・家庭科技術分野の主な変更点について説明させていただきます。2ページ目をお開きいただきたいと思います。課題の部分ですが、上から5つ目のマルにつきまして、「社会で活用される様々な技術を評価・管理できる力」がどのようにして必要性がうたわれたかということで、説明を付け加えさせていただいております。
その下のマルでございますが、現在の学習指導要領において、選択して履修する項目についての課題を明確に示させていただいております。
続きまして、改善例の部分でございますが、中学校の技術分野でございます。(イ)の部分につきまして、内容として
から
という内容で示させていただいております。このような内容がどのようにして整理されているかということについて、現代社会において活用されている多様な技術を4つに整理したという形で説明を加えさせていただいております。
また、一番最後でございますが、「すべての生徒に履修させる」という形で選択する内容ではないということを明記させていただきました。
5ページの部分でございますが、それぞれの内容における指導項目について、それぞれの技術に関する基礎的な知識、重要な概念等、材料ですとか、加工ですとか、あるいはトレードオフですとか重要な概念、さらにそれらを活用した製作・制作・育成。加えて、実際の社会に生きていくための力、態度なども含めたそれぞれの技術と社会・環境とのかかわりなどの項目で構成したいということを説明しております。
また、(ウ)、(エ)につきましては、前回、ご指摘いただきました知的財産を尊重する態度、職業の理解、地球温暖化防止のためのエネルギー資源や森林資源の有効利用といった技術が担うべき主な内容について付け加えさせていただきました。
以上が技術の主な変更点でございます。ご意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【間田主査】
それでは、「家庭科、技術・家庭科の現状と課題」についてご意見をいただきたいと思いますが、目安といたしまして、16時20分前後まで家庭科、技術・家庭科のご意見をいただこうと思います。最初に家庭科、技術・家庭科家庭分野についてご意見をお願いいたします。
【筒井委員】
技術・家庭科家庭分野について、現在、中学校3年生が年間の指導時数が35時間ということで、家庭科、技術・家庭科がそうですけれども、本当に生活の自立の基礎を培う唯一の教科であるにもかかわらず、技術分野と家庭分野で3年生は35時間を半分ずつ分けている状況です。17.5時間という中で、実習の時間の確保が非常に課題になっております。履修の方法についても難しく、隔週で履修をすると間があいて定着しないという声も随分聞かれております。
また、子どもたちは生活体験が不足していることから、実習等にも非常に時間がかかったりしております。そして、これまでこのような少ない時間の中で選択教科の開設によって発展的な学習を行ったり、補充的な学習を進めたり、また、必修で扱えなかった選択項目も扱っていただくことが多いのですが、今回の改訂で選択教科の時数が少なくなるという案が示されていることも大変厳しい状況の1つであります。
3年生の時数というのは、毎年私の県でも技術・家庭科の調査を行っていますが、意見としても本当に課題ではないかということが一つです。
もう一つ、保育体験学習、幼児との触れ合い体験などについて話させていただきます。保育体験学習というのは、子育ての意義とか、親の役割についての理解を深める上で非常に有効な学習活動だと思います。これまで、この触れ合い体験というのは選択の項目でしたけれども、今回必修の項目として取り上げられたことは、大変意義があると思います。子どもたちは幼児とかかわる体験をすることによって自分の成長が実感できたとか、幼児が身近な存在でなかったけれども、もっと知りたくなったとか、子どもを育てることの大変さとかを少しは知ることができたとか、家族が自分を支えてくれているとか、家庭が自分にとってとても必要なんだということを本当に実感できるわけです。
しかし、この保育体験を進めるに当たっての条件整備なども、今後は必要ではないかと思います。また、指導方法の工夫もこれからは必要ではないかと思っています。地域や学校の実態に応じて、どのようにするとこういう体験がすべての生徒に実施できるのかということについて、まだ課題もあるかと思います。
【佐藤(文)委員】
中学校の技術・家庭科家庭分野を中心に意見を述べさせていただきたいと思います。
先ほどの委員と同じように、結論から申しまして、家庭科が、人が人として生きていくために育みたい内容を、きちんと学べる教科であるという視点から、これまでの専門部会でも多くの社会的な要請への対応、つまり、課題を家庭科で担えるのではないかという意見が出されました。
今後、それを充実させていくための改善の方向性がここに示されているわけですけれども、それに対しては、やはり時間数が大変足りないということが最も大きな課題になってくるのではないかと思います。今までの専門部会の内容を振り返りながら、どうして時間が足りないかということを申し上げたいと思います。
まず、具体的に食べることとか、住まうこととか、着ることという、生きていく具体的な力が非常に落ちているということから、中学校では小学校の学習を踏まえ、もう少し応用、発展できるように科学的視点を入れたり、具体的な暮らしと密着させながら応用、発展できるように実践的・体験的な学習を一層充実していくわけですけれども、そのためにも時間が必要であり、それから更に、本当の力にするために生活の課題と実践というのがおかれて、具体的な生活の中で今まで学んだことをやってみようとする実践力をつけるというところをさせていくわけですけれども、やはり、そのためにも時間をじっくり使いたい。
それから、社会的要請のもう一つの点から、2つ目に、家庭の基本的な機能がきちんを理解されていないので、非常に家族、家庭ということに関して理解していなかったり、あるいは実践できない子どもたちが増えているということで、なお一層のこの部分の重視ということが挙げられているわけです。やはり、これも具体的に中学校で学習したほうがいい内容であり、先ほど筒井委員からも言われましたように、幼児とのかかわりを通して異世代を理解し、家族の中でやはり異世代を理解し、地域の人々を理解するという視点から、実践を通して家庭の機能についてをじっくりと学んでいく。このためにもやはり時間が、従来よりももっと必要になってくるのではないかと思います。
それから、この専門部会で京都議定書を実際にやり遂げる力は、家庭科のように具体的な暮らしを通して学ぶことによって育まれるという意見も前に出されましたけれども、そういった意味も含めて消費者教育とか環境教育を、衣食住と密着させながら、そこで実際に非常に身に付いた形で行っていくというためにも、ある程度の時間は必要であり、また、3年生になりますとそれまでに学習したことがきちんと基礎・基本として押さえられ、かつ、それをまとめて、高等学校に行く人にはそれらが渡せるような形にしたいんですけれども、そのときの時間が17.5時間という時間では、非常に中途半端で、せっかく今まで1年生、2年生と積み重ねてきた内容が逆に押さえられなくなってしまうということが、一番大きな課題になってくると思います。ぜひ70時間は欲しいのですけれども、そこがもしだめでも60時間であるとか、そういったような時間の確保をぜひお願いしたいと思います。
【牧野主査代理】
同じような意見を追加させていただきます。中学校の技術・家庭科について、今、3年生は35時間というのは、技術分野と家庭分野とあわせてたった1単位分というのは、本当はそれぞれ2名の教員免許状を持った教員が担当しなければいけないのですが、結局、中学校の規模が小さくなってくると、1名の教員配置しかできないという大変やりにくい現状につながっておりまして、これは何とか改善していただきたい。
今日は、教育課程部会部会の梶田副部会長、高等学校部会の安彦主査がご出席いただいておりますので、やっぱりこの時間数というのは非常におかしいということを、あえてまた申し上げたいと思います。2週間に1回しか正規の科目が来ないとか、あるいは前期だけやってしまって隣のクラスと学習の時期が違う、例えば、あるクラスは4月から始まり、別のクラスは9月から始まるというようなことをしないと構成できない教科になっているということが1つです。
あわせて、今回、実践的・体験的な学習というところを非常に強調して、修正もしていただきました。この教科が家族、家庭ということに関して非常に重要な役割を担っているということで、しかもそれを実践的・体験的な学習を通して指導するということは、最初に筒井委員がおっしゃいましたように、幼児と触れ合うというような体験をしながら、子どもとの関係を育んでいくという非常に良い学習をしておりますが、時間数がたくさんないとできないことなのです。中学校でこの案のまま行く方向に決まったということを、時間数を増やしていただきたいと思います。
関連しまして、高等学校について申し上げさせていただきたいんですが、高等学校の場合、家庭科については2単位の科目でしか学習しない高校も増えてまいりました。学力低下の問題から、主要教科の時間増が議論されておりますけれども、私はこの間、どういう教科が大事かということで、家庭科の役割を強調したいと思っております。長崎県にまいりましたら、「乳幼児ふれあい体感事業」というのを行っていて、体験ならぬ体の感覚の「感」です。すべての高校生が子どもと接する体験をしています。長崎県のこども政策局」こども未来課と協力をしている事業です。これから親となる高校生に、赤ちゃんや幼いお子さん、その親御さんとの触れ合いを通して、親の役割の重要性について考えたり、命の尊さについて気付いたりする中で、思いやりの心を育みたいと考えているという、これが事業のねらいなんです。
非常にすばらしいのは、家庭科の先生方と事業を担当する課と子育てサークルとの連携なんです。お母さんと子どもと一緒に何組か高校に来てもらって、すべての高校生が、小さい赤ちゃん、あるいは幼児に接することができる。これは高校生にとっても非常にいい経験をして、自分もこういう小さいときがあったのか、親にこういうふうに苦労して育ててもらったのかということを体感できる。そしてまた、子育てサークルのお母さんたちにも喜ばれる。母校に何十年ぶりかで訪ねましたという感激も入りますが、お母さん同士がそこに何組か行きますから触れ合いになり、子どもも喜ぶ。お母さんもほかの人たちと触れ合う、そして、高校生に触れ合うというような経験をしていくという体験を通して子どもというものを感じるという、これこそが今の子どもたちに求められている、やっぱり大切な、言うなれば、遠い意味での道徳教育だと思うんです。言葉で話すということより、本当に命が大切だとか、子どもを大切にしたいという気持ちを、まさに家庭科の保育や家族の学習領域で、子どもたちは実際に育むことができるという事例が全国で幾つか出てきている。
それにしても時間数が少ないということを本当に強く強く訴えたいと思います。本当に必要な教科、そして教室の中だけの、話を聞く授業ではないもので身に付けさせてやりたいということを強く思います。
【今成委員】
高等学校のことについてもう少しお話をさせていただきます。
全国高等学校長協会家庭部会の普通科設置校で調査をしたところ、家庭基礎という2単位の科目を学習するという学校が6割にもなっているんです。600校余りの調査でしたけれども、6割は2単位しかとらない。家庭科は先ほど望月教科調査官のほうからお話がありましたが、2単位と4単位と4単位という3つの科目を用意していただいていますけれども、私は高等学校の生徒に何を身に付けさせたいかと考えたときには、やはり体験的な学習を踏まえながら指導を行っていくということになりますと、全体的には4単位なければやっていけないのではないか。
例えば、どんなことが今の子どもたちに言われているか、求められているかということなんですが、男女共同参画社会の理解浸透というようなことになってきたとはいうものの、まだまだ若い人たちは、男は働いて女は家にいるみたいな感じの意識が強いんです。本当にお互いを理解しながら、お互いに協力していくという教科は何なのかと考えたときには、やはり家庭科での学習が非常に意味があるのではないかなと思っています。
生徒の実態調査の中でも何が一番学んでよかったかとか、どういうことを自分としては考えたかというような調査をしますと、家庭科はやっぱり生きていくために絶対必要な教科であると思っていたり、それから、家族が協力して生活を行っていくことが必要であるとかという生徒がもう半分以上、場合によっては9割近くは生きていくために必要な教科だということを言っているわけです。
それから、実際に男の子も女の子も、子育てに関する学習をして親の役割というのがすごくよくわかったとか、子どもがかわいいと思うようになったというような生徒が8割近くもいるわけなんです。そういうことを考えたときに、やはり、家庭科としては男女で協働して家庭を築いていく。高等学校の場合には、生活の自立を基盤として、今度、自分だけではない家庭を築いていく。親となるため、親だけではないのかもしれませんが、家庭経営という視点を身に付けさせていかないと、社会にすぐ出て親になる、家庭を築く子どもたちも多いわけですから、そこが大切な視点になると思います。
それから、やはり、今の子どもたちはみんなにしてもらっていて、何でもやってもらうという態度が強い傾向にあるのが、男子などでも今は親任せだけど、家庭科を学習して結構自分もできるようになったから、これからはちゃんとやることが必要だ。自立していくのが必要だというようなことも思っているわけです。
ですから、ホームプロジェクトとか学校家庭クラブ活動というような課題解決学習が重要であるけれども、一層充実させることが求められると思います。なお、全体的な傾向を踏まえているわけではないのですが、この二つの学習は非常に高等学校としては成果が上がっております。
例えば、家族のおじいちゃんの足が不自由で、立ち上がるのに非常に不自由なので、そのために補助具、牛乳パックで支えるいすのようなものを自分がつくって、おじいちゃんに試してもらったり、それから、寝ていて、床ずれで体が痛くなってしまうようなおばあちゃんのために、補助具をつくって、ベッドで着替えなどを十分させられるようなものを、高校生が考えて、家庭の中で役立てていくというような、そういう課題解決学習などが全国の発表の場でもなされているように、高等学校こそ、生活をマネジメントして、生涯を見通して、自分だけではない家族のこと、世の中のこと、仕事のことなどをわからせるというような教育が必要なわけですので、それを考えますと、先ほどから何度も皆さんがおっしゃっているように、4単位という科目で、十分な実践的・体験的な学習をしていかなければいけないのではないか。
食育などもそうですし、環境教育、消費者教育、本当に家庭科の担う役割というのは非常に大きいわけですので、ぜひその辺も踏まえて私どもとしては内容の面だけではない、時間的な面でも確保していただけるとありがたいと思っております。
【内野委員】
今まで中学校、高校のほうから時間のことが出ましたけれども、実は小学校におきましても70時間まではいっておらず、小学校5年生で60時間と小学校6年生で55時間という時間数です。それで、先ほどから話題になっております実践的・体験的な学習活動を重視するということを考えたときに、小学生は本当に体験が不足しておりまして、時間はたくさんかかります。そういうことで、やはり、小学校部会の検討素案を見ましても、教科によって増える教科がありますが、家庭科としてはやっぱり60時間を少しでも増やしていただきたい。55時間も少し増やしていただきたい。35の倍を要求することが本当は望ましいとは思うんですけれども、全体的な教育課程を見ましても、少し増やすことはできないかということを感じております。
それから、2つ目ですが、消費と環境ということで、これは小学校と中学校と関連いたしまして、体系化ということでつながりができ、体系的に学習していこうということがよくこの中にあらわれているのではないかと思いますが、消費者教育支援センターのほうで、消費者教育の体験シートというライフステージに応じた領域と、それから、そこでの目標がマトリックスになっているのが出ておりまして、参考にいたしますと、4つの領域、安全と契約取引と、それから、情報と環境と、4つの面から内容を考えてらっしゃるんですが、ここにあらわれているのが、契約や取引についてはありますし、環境については小学校も中学校も明確に出ていると思いますが、安全であるとか、それから、情報につきましては、多分隠れてはいると思うのですが、表面的には出ていないというのがありまして、ここに出すことが難しいのかと思います。できれば出していただきたいと思いますけれども、実際にこういうことが漏れなく学習指導要領ですとか、そういうところに反映するようにしていただきたいなと思っております。
【杉山委員】
最近、理不尽な保護者が多くなっているとか、虐待が増えていることや家庭の教育力の低下など家庭に関する社会的な問題が大きく取り上げられております。前回も議論されたと思いますが、家庭の崩壊が社会の崩壊につながるというのは、過言ではないと思っております。家庭生活というのが対象になるというこの教科、家庭科ですので、今ほどもお話がありましたが、期待されて重要な役割を担っていることからも、時間数についてはここで議論することではないということですが、小学校もぜひ増えることを願っております。
小学校につきましては、特に中学校や高等学校での活用、応用へと発展するための土台づくり、基礎づくりの時期であると思っております。ですから、生活を支える力、つまり、衣食住にかかわる基礎的な力、それから、自分の身の回りの生活の事象を通して課題を解決しようと工夫していく力や家庭の大切さ、家族のよいところをしっかり体得させたいと考えています。今回の検討素案のまとめを先ほどお話ししていただきましたが、3つほど思うことがあります。基本的には大変賛成しています。
1点目は家庭科の学びの特徴というところです。体験的・実践的な学習を通して学ぶということがやはり独自性だと思います。例えば、小学校ですと、洗濯の学習で自分の身に着けている汚れた靴下や、体操服を洗う実習等もあるわけですが、日ごろ用意されて、何げなく服を着ている子どもたちですが、この学習を通して、汚れと水と洗剤、この関係とか、環境といかにかかわっているかというようなことを知って、汚れをとるという日常性の中に生活を科学するというおもしろさ、これに気づいていくのです。
また、洗濯をしますとぐるぐる回している子がいますが、この発想は洗濯機なのです。洗濯というと、洗濯機が回ってきれいにしてくれるという、これは非常に単純で素朴な概念ですが、この学習によって客観性や科学性を伴った言葉として理解できていくのです。
そして、このような体験を通して、日ごろやってもらっている家族の存在に気づき、今度は家族のために役立つ自分になろうと成長していくわけです。家庭科というのは当たり前にしている日常の自分自身の生活の中に科学があるんだというような新しい発見とか、驚き、感動などを伴って、知識、技能、考える力、行動力を身に付けていくという、非常に独自性の高い学び方が特徴であろうと思います。
ベネッセが2006年の学習基本調査の結果を報告しましたが、好きな教科のベスト3というので、体育科、家庭科、図画工作科があがっていますが、子どもは体を通してわかったり、できたりする学習が大好きだということがわかると思います。体験的な学習を通して、心が動いて楽しみながら学習する中で、生活に必要な基本的な力、家庭生活や家族の大切さ、価値を認識していけるようにということで、これからも一層実践的・体験的な学習を充実させていくということに賛成です。
次に、2点目ですが、内容整理ということで、8つの内容が4つになるという改善例が出ておりますが、大賛成です。今まで小・中が共通でなかったですが、今回、小学校と中学校が共通の構成になるいうことにより、指導者にとって系統性や段階性が、非常に理解しやすくなって、より確かに学習を積み上げていくということが可能になります。
3点目ですが、今回の検討素案に特に家庭生活を大切にする心情を育てることを目指していく学習活動を重視するということが出ております。このことの意味とか意義とか、また、期待には非常に大きいものがあると思います。最近気になることとして、自分に自信が持てない子が多くなっているということがあります。2月に出ました内閣府の調査によりますと、自信がない小学生53パーセントで半分以上です。中学生に至っては71パーセントで、これは年々増えつつあるということです。
また、生徒指導のほうですが、小学校で暴力行為が毎年増えてます。中学校はもともと多かったですが、小学校が増えてきています。自己の気付きとか自信とか、自己をコントロールする力というのは、人とかかわって育っていくと思います。その源というのは家族関係だと私は思うのですが、自己肯定感や自尊感情は、家族という決して裏切らない人がこの世にいるという安心感や土壌があって構築されていくと思うんです。そうした意味で、この家庭生活を学習の対象とする家庭科では、常に家族とかかわりを持たせ、愛情や絆というものを感じ取らせながら指導していくということが、非常に大切だということを思っております。
でも、これは道徳の学びとは異なりますので、生活時間や家庭の仕事調べ等から家庭生活の全体像を学んだり、実際の仕事とかかわることで家族に支えてもらっている自分の存在や家族の思いに気付いたりという、実感を伴った学びの繰り返しで、家庭と家族を大切にする心が育まれていくと思います。そのためにも、一人一人の実態を把握して、個々の家庭事情に配慮し、家庭との連携は密にしていかなければならない。これも重要になってくるのではないかと思っております。
最後、食育ですが、先ほども資料10の全体のところで出ておりました。家庭科では、何をどのように食していくとよいかということについて、栄養、献立、食品、調理、食文化などについての知識・技能などを科学的、実践的、系統的に学んでいます。特に小学校では家庭科が5、6年生に設置されているということから、学校で行うさまざまな食育を高学年対象の家庭科で統合して体系化できる位置付けになっていると考えます。その役割を担うという視点から、家庭科の内容を中核として、小学校の食に関する指導を体系化することが重要であり、体育科や総合的な学習の時間と関連させながら、学校で全体計画を立てて、見通しを持って進めていくということがどの学校でも無理なく取り組めるという意味で、非常に望ましいのではないかと思っています。そういう意味で、教科横断の食育の取りまとめについては、ぜひ家庭科、技術・家庭科の教科名を入れていただいて、その役割を明確に示すことが食育の全体的な推進につながると考えておりますし、あわせて、現場の家庭科の教諭の志気も高まって、先生方の元気さにつながっていくのではないかと考えております。
【和田委員】
時間を増やすべきだというところで発言できなかったんですが、私は、今回整理していただいた内容で非常にわかりやすくなったと思っているんですが、特に高等学校のところで、家族というものを大事にしてつくっていって、それが今度は地域社会も見据えて、地域社会を創造していく。主体的に実践する態度をつくるとなっていまして、これは非常に賛成です。そのときに、これは小学校、中学校、高等学校を通じてだと思うんですけれども、人と人とのかかわりを家族を中心に、そして友人、地域というふうに広がっていってほしいと思うんですけれども、そのときに、最近、非常に感じていますのは、自分と異質だと思うものを排除していくようなものが目立つと思うんです。そういう存在を認め合って、排除しないという態度をいかにつくっていくのかというのは、これからの社会にとって非常に重要ではないか。
それを実際やろうとしますと、理解と同時に具体的なつながりを実践的につくっていく体験をする。そこで人間的な交流があるということを知っていく以外には、なかなかそれはつくられていかないのではないか。そういう意味で、高等学校で出てきている家族を基礎にしながら、地域となっているんですが、小学校、中学校でもそういうものの考え方は入っていると思うんですが、そういういろいろな存在を認め合って排除しないという考え方を、ほかの小・中・高校を含めて少し連続的に入れていただくようなことを考えてほしいと思います。
【間田主査】
それでは、引き続いて技術・家庭科技術分野についてのご意見をお願いいたします。
【今山委員】
この資料10「教育課程部会におけるこれまでの審議の概要」の2ページ目にありますように、7「教育内容に関する主な改善事項」に、「理数教育の充実」という、これはもうずっと前から出ているんですが、私は技術教育の立場からすると、本当にそうなのかと疑問に思います。これは一体どんな根拠でそう言っているのかということを疑問に感じております。国際調査で低下というのはあるけれども、少しだけで有意差は明確になっているのでしょうか。
私の手元に、これは予備校のデータだと思うんですが、高等学校から大学に入るときの受験者数の推移を92年から調べたものがあるんですが、いわゆる工学系と理学系に大きく分けますと、工学系は92年に67万人ぐらいが、2005年で37万人に減るんです。理学系は92年の8万5,000から05年の7万ぐらいです。あと、子どもが減っていますので、その割合を差し引いても明らかに工学系のほうが大幅に減少しているんです。これは、日本の技術立国とか産業技術立国とか、いろいろなことからいくと、非常に大問題なことなんです。その辺のことが全然取り上げられずに、理数、理数と言っている。
一方、今年から第3期の科学技術計画がスタートしたということですが、その中に教育もあって、小・中・高にいろいろな対策が出ているんですが、その言葉のように理数教育、理科大好きプランだとかいろいろ行っているわけです。高等学校においてもSSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)とか、いっぱい行っているんですけれども、じゃあ、その結果がどうあらわれたのかと。そこを客観的に見てほしいと思うんです。子どもの数の減少率ぐらいは減っているけれども、理学部の志望者の数はそう減ってない。工学部系の志望者は大幅に減っている。ですから、科学技術会議が実践した理科大好きプランとかは、効果が上がってはいないのではないかと。
つまり、いろいろなことをやっているけれども、理科、理科と言い過ぎて、概念づくりだけでは多くの子どもはついてこないんじゃないか。もちろん、工学部へなぜ行かなくなったか、給料が安いからだとか、いろいろあると思うんです。それを乗り越えないことには、政府が言っている科学技術立国には結びつかかないのではないかということで、大元をもう少し考える必要がある。具体的には、中学3年生の17.5時間を35時間にしてほしいと。非常に小さい要求ですけれども、そういうことになると思うんです。
一方、やはりJST(科学技術振興機構)が出したりしている国際調査に科学技術リテラシーという大人の素養調査をしたものがあるんですけれども、1位のスウェーデンが満点で100ポンイトですと大体90ポイントぐらいあるんです。先進国が並んでいまして、日本は15位ぐらいで54ポイントなんです。54ポイントをどうやって90ポイントにまで上げていくのか。欧米、北欧並みに科学技術リテラシーを上げていくのかということがすごく大切なことなわけで、例えば、最近、いろいろ工場製品とか社会インフラのトラブルがいっぱい起こってます。エレベーターの事故が起こったりとか、エスカレーターで起こったりとか、いっぱいしていますよね。地震の問題もある。そういうことに対して、その構造が類推できて、評価できて、そして安心できるようにすることが大切です。ですから、資料4の3ページの下から2行目のところは、「評価し、活用する」ことがいいのかなと思うんです。活用する前に評価ができるような行動を入れることが大切ではないかなと思うわけです。
それから、もう一つ、大賛成なのは、電気とか機械のエネルギー関係を必修にしていただいたことです。これがとてもいいのではないかと思います。極端に言いますと、今の地球温暖化はほとんどエネルギー問題ですので、化石燃料をはじめとしたエンジン、自動車を使ったり、いろいろなことをやっているのは、全部技術的産物です。これに対する学習が子どもの中から全部減っていますので、それを子どもの小・中・高でどうやって教育するのかということが課題だと思うんですよね。ですから、このエンジンをつくったり、それを分解したりとか、電気をつくったりとか、こういうところが今まで選択であったことが非常に問題ではないかと思います。そういう意味で、必修化されたことで今からいい教育がどんどん進んでいくのではないかと思います。
それから、もう一つですが、時間数のことですけれども、私が若いころは、男子だけでしたが、技術の時間が6倍ぐらいあったわけです。一方、今度は静岡のほうで世界技能オリンピックがもうすぐありますけれども、そのメダル数を見ますと、私が若いころのメダル数と今を比較すると、大体5分の1から6分の1ぐらいに低下しています。それは、ちょうど技術の時間数と同じような低下の具合をたどっているんです。家庭環境でもものづくりが減っている。学校でも減っている。すべてで減っている。どうしてそれで技術立国ができるのかということです。そういう意味で、最低限でも中学校3年生の17.5時間を35時間にしてほしいと思います。よろしくお願いします。
【井手委員】
本日は2つのことについて意見を述べさせていただきたいと思います。
1つ目は、理科などが扱う「自然科学」と、技術・家庭科技術分野が扱う「技術」の違いであります。自然科学は自然を理解することを目的にしているのに対し、技術分野は生活の向上を目指しています。また、科学が法則に従って1つの答えを求めるのに対し、技術分野は経済性なども含めてさまざまな制約の中で基本を応用して適切な答えを求めています。この2つはともに重要な考え方ではありますが、現在の義務教育においては科学的な考え方が重要視され、技術的な考え方については軽視されているように思います。特に、現在、世界的な課題となっている環境問題を解決するためには、技術の力が不可欠であると私は考えています。このようなことについての教育にも、ぜひ力を入れていけるようにお願いをしたいと思っております。
2つ目は先ほどから出されております指導時間数の問題であります。技術分野におきましても、もちろん学校の先生方は現行の学習指導要領の指導内容を、現在の時間数を有効に使って熱心にご指導しておられますが、もう少し時間があれば、より効果的な教育が行われるのではないかと感じます。
また、専門性が求められるこの教科におきましては、国語あるいは数学、理科などの他の教科の時間数が増加をした場合、学校規模によっては技術分野あるいは家庭分野の免許を保有する本務教員の配置がなされなくなってくるという可能性もあるのではないかと心配をしているところでございます。こういったことから技術・家庭科として、学習指導要領に沿って適切な教育が行えるように、何らかのご配慮をお願いしたいと思っております。
資料への意見ではなくなってしまいましたけれども、中学校に在籍する者として発言するのが私の役割かと思いまして、発言をさせていただきました。
【塩入委員】
資料4の5ページのところから述べさせていただきます。全体的に内容がはっきりして、よくなっているかと思います。
(ウ)のところですが、先ほどもお話がありましたけれども、「ものづくりに関係した職業の理解」というところの言葉が追記されたところですが、ただ、ものづくりに関係した職業の理解、私の思いというのは、いわゆるこういう職業をしている人の社会的地位がどうしても現在は低いのではないか。
例えば、ドイツのマイスター制度のような制度があって、ドイツではそういう職業の人たちが尊敬され、社会的地位を持たされている。そのような形で、関係した職業に対しての重要性とか、あるいは尊さとか、そういうものの表現をちょっと記述していただければありがたいと思っております。
それから、(エ)のところで、地球温暖化について入っておりますけれども、これも大変いいことだと思います。この辺になりますと、多分、教科横断型の内容というようなところに絡んでくると思うんですけれども、そうなりますと、やっぱり持続可能な社会のという視点からという方向から言えば、3R運動とか、あるいは循環型社会とか、そのような表現をこの辺で入れておけば、非常に各教科との連携も取りやすいんではないかと思っておりますので、検討していただければと思います。
内容的には以上なんですが、最初に選択教科についてちょっとご報告をいただきましたけれども、あのことでちょっと気になりましたもので、質問と私の思いを述べさせていただきたいと思います。
選択教科が、国語科、数学科、社会科、理科、外国語科が6割あって、これを必修にするということは、それを削減をしていくという方向であるとあります。それについては、私個人としてもそれはいいこと、基本の徹底になるかと思っております。ただ、選択教科というのが、やはり、総合的な力、あるいは生きる力というものを育てるには大変いいということで使われて出てきたものでして、音楽科、美術科、保健体育科とか、いわゆる技能、実技教科といわれるものに関しては、非常に重要な分野だと思っております。その中で、いわゆる5教科に入っていた分は必修にしていただくのは結構ですけれども、私たちの技能教科で使っていた時間については、そのまま選択教科として使えるような形にしていただきたいと思っております。
技術・家庭科では、必修の教科の中で基礎を学ばせて、そして、こういう選択教科という、いわゆる学習意欲の高い生徒に選択で発展的な体験学習をさせているわけです。そういうものが関心、意欲とか、そういうものをさらに高めているのです。技術・家庭科では各地区で「創造ものづくり教育フェア」というのを立ち上げてやっております。例えば、これは、東京都の今年度の「創造ものづくり教育フェア」のパンフレットですけれども、こういうものの中に必ず出てくるものは授業で使ったものです。授業で作成したものでお互いに勉強し合おう、そういう形でやっております。そして、また更にいいものを全国で発表し合おうということで、これは全国大会をまとめた報告書なんですが、今年も茨城県で実施するわけです。このような形で実施しており、大きな成果を得ているところです。
このように学校現場が授業だけでなく、いろいろな面で家庭と連携、あるいは地域とも連携したり、更に先生との直接の作業での協力関係、そういうようなものをつくっていく上で選択教科というのは非常に大事な分野になっているのではないかなと思っております。このような理由から選択教科というところの分野につきましては、技術・家庭科として今まで以上には使えるような形で、ぜひ、考えていただければ大変ありがたいなと思っております。
【小泉委員】
小泉でございます。
資料4の5ページの(オ)に、「小学校や中学校の他教科等における情報教育及び高等学校における情報関係の科目との接続に配慮し、従来の内容『B情報とコンピュータ』の内容を深化・再構成する」というところを受けて、多分、前の4ページの最後の(イ)の一番最後に、「すべての生徒を履修させる」ということが実現されたんだと思っており、私としては大変歓迎しております。その立場としては、この情報という教科が中学校を卒業して高校生を高等学校で受け入れたときに、スキルの問題とか等々で、今かなり現場が苦労しているところを、これである程度改善できるのかと思っています。
の中に、ネットワークやマルチメディア、プログラミングによる計測・制御、情報モラルなど極めて重要なキーワードがすべてこの中に集約されていて、それがすべての生徒に履修させるということをとても評価したいと思います。実は、先ほど来、話題になっています時間数の問題からすれば、この部分がどの程度の進化をさせられるかということについては、若干の不安はなくはないんですけれども、ある意味、情報教育というよりは高等学校で、今、必履修しております「情報」という普通教科における本来の情報教育の、ある種、基礎的な部分をここで担保してもらえることをとても期待してやみません。この中のところでプログラミングというのが入ってきたのは、ある意味、私としてはとても大きな変化ではなかろうかと思います。
あるプログラミングのコンテストの審査員等を務めておりますが、今は小学校の時代から自然発生的に彼らはプログラミングを組んでいます。それは、プログラミングでゲームを楽しんでいる子どもたちもいれば、その一方でそれをつくっている。ゲームは楽しいから自分でつくる。ある中学生は小学校から始めて、自分の表現の手段としてプログラミングを勉強してきたと言っていました。その表現というのはとても大事で、その手法がプログラミングであれ、文学であれ、いろいろあると思いますけれども、それがもう既に1つの表現方法になっているということで、この
の中にプログラミングが入っているということです。
あとは、ネットワーク、計測・制御、マルチメディアも入ってますけれども、4年ほど前にある高等学校の1年生にアンケートをとったときに、中学校でどんなコンピュータ関連の授業をやってきたという中に、技術・家庭科で、「男の子だけしかコンピュータはさわらさせてもらえなかった」という女子の意見があったことは今も鮮明に覚えているんですが、そういう時代、そういう状況から、いずれ脱することができるのかなと思っています。
たった4年前ですので、私としてはこの文章が生きてくることをとても楽しみにしております。
【中原委員】
技術分野にも明記されているんですけれども、5ページの(エ)で先ほどから地球温暖化の議論をされて、大変結構だと思うんですけれども、今、我々が行っている議論というのは、これはいつから反映されるのかというのが一番問題なんです。というのは、もう皆さん方、体験されている方ばっかりだと思いますけれども、40度を超える気温がもう来ているんですよ。少なくとも2012年の京都議定書の後のポスト議定書で、今、世の中が全部動いているんです。50から70パーセント削減するというのはどういう技術が必要で、家庭科ももう少しはっきり書いていただきたいと思うんですけれども、どういうライフスタイルに変えなきゃいけないのかと待ったなしで言われて、こういう議論を粛々とやっている間に、来年はもっと40度を超える気温になるし、そして、作物は毎年80メートルずつ北上するという感じの現象があるわけですよね。
そうしたときに、我々は何が何でも生き残るために、倫理も大事ですし、ものづくりも大事、情報も大事なんですけれども、もう目の前に地獄が来ていますよというのが、少なくとも、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)がきちっと2月2日に出して、そして5月のときにはそのインパクトカテゴリが全部説明になっているわけです。そのときに、人為起源だと言っている理由は1つしかないんですよ。生産と消費、このまま続けたら、持続不可能になりますよと言っているのは、生産を見直し、消費を見直さなきゃいけない。では、教育の中でどの教科がそれを担当してくれるかといったら、おそらく家庭科と技術分野しかないんですよ。だから、時間の問題も結構かもしれませんけれども、とにかく我々は全員崖っぷちに来ているにもかかわらず、こういう議論をしていて本当にいいのかなというのが、申しわけありませんが、環境の専門家としてはどうしても言いたい。
こういうことを言わざるを得ないのは、私はハンガリーに行っていまして、42度の気温のところで多くの方が亡くなられたのです。これは逃れようのない現実なんです。高齢化社会の問題もあるけれども、42度、45度の気温になったとき、高齢者をどうやって助けるのか、エネルギーの問題を含めて、どういうふうに分配するのかという具体的なものもあります。まして小学校、中学校というのはまだ体力的にも成長しきていない。そういう現実に対応する部分を、対策は政府がやられるんだろうと思いますけれども、教育の中できちっとやっていかないと、犠牲になるのは子どもたちであるし、我々はもう引き戻ることはできないということをぜひ強調していただいて、それを担えるのは技術・家庭科だぐらい、頑と言わないといけない。もっと本質的なところの議論を前面に出していってあげたいと私は思います。
【間田主査】
続きまして、普通教科「情報」の現状と課題、改善の方向性について、審議をお願いいたします。永井教科調査官から説明をお願いいたします。
【永井教科調査官】
よろしくお願いいたします。
それでは、私のほうから資料6につきましてご説明を申し上げます。なお、資料7につきましては、これまでの家庭、技術・家庭、情報専門部会の審議のまとめとして、今後、教育課程部会にご報告する予定になっております。
それでは、資料6をご覧ください。
まず、現状につきましては、特段、加筆修正箇所はございません。
課題の一番最初の丸でございますが、高等学校段階において情報活用能力を身に付けさせることの重要性、また身に付けさせて社会に送り出すことの重要性を示した部分でございます。本文の中で、情報通信ネットワークにつきましては、現状、それから今後をかんがみまして、その重要性が非常に大きいということで、追記させていただきました。「情報通信ネットワーク」の用語の取り扱いにつきましては、以下の検討素案においても同様に追記しております。本文4行目に下線がございます。下から2行目にも、同じように「社会の急速な変化に主体的に対応できる」というところに下線を引いてございます。これは、情報や情報機器等を活用することによって身に付けた知識、技能によって、予想することの難しい社会の変化に主体的に対応できるようになるという認識を明確に示すために、今回、追記させていただいた部分でございます。
2番目の丸は、高等学校における情報活用能力の育成の在り方について示した部分でございます。この部分も、よりその内容を明確にするということで修文させていただきましたが、一番最後削除した部分は、必履修科目の科目内容の構成とのかかわりで、今回、削除させていただいた部分でございます。
3番目の丸は、普通教科「情報」の学習の現状につきまして示した部分でございます。この部分につきましても、よりその内容をわかりやすくするという視点で修文させていただいております。
最後の4番目の丸は、高等学校段階においての情報モラルの教育や指導の重要性、また一層の必要性について示した部分でございます。この部分につきましても、若干、用語の重なりとわかりづらさがございましたので、わかりやすくという視点で修文してございます。
2ページ目の改善の方向性の一番最初の丸の部分は、情報活用の実践力の重要性、高等学校段階においての情報活用の実践力の育成の重要性を示した部分と、その指導をより一層高め、より確実にするという観点から、重要視しなければならない指導内容について、後段で示した部分でございます。3行目の下線につきましては、課題の一番最初の丸の部分の内容を受けて追記させていただきました。
2番目の丸は、いわゆる情報を活用する上での倫理的態度や安全に配慮する態度等々の指導の重要性、その具体的な指導内容について触れた部分でございます。若干、「情報安全」という言葉と削除した部分が重なっておりましたので、わかりやすくするという視点で修文いたしました。
3番目の丸は、普通教科「情報」の内容を検討する上に当たって特に重視しなければいけない視点を示した部分でございます。2行目から3行目にかけての下線部につきましては、課題の一番最初の丸の部分を受けて追記してございます。また、一番最後の削除部分につきましても、科目の内容構成とのかかわりで削除した部分でございます。
改善例の一番最初の丸は、改善の総論的な部分でございまして、内容的には、課題の一番最初の丸の部分、つまり普通教科「情報」は社会の変化に主体的に対応できる能力や態度をはぐくむんだという部分を明確に示すために修文いたしました。
次の(ア)から3ページ目の(オ)までが各論の部分でございます。
(ア)は、科目の構成について示してございます。具体的には、現行3科目構成を見直し、引き続き、必履修科目として2科目を設置し、いずれか1科目を選択させることとしております。冒頭部分の下線部の部分が、普通教科「情報」が引き続き必履修とすべき理由について、より一層明確にするということで追記した部分でございます。一番最後の下線部は、改善の方向性の3つ目の丸の内容を受けつつ、必履修科目として2科目を設定という部分で追記させていただいたものでございます。
具体的に設定する科目としては、いずれも仮称として、「社会と情報」(仮称)2単位、「情報の科学」(仮称)2単位という2科目をお示ししており、それぞれの内容につきましては、まず「社会と情報」につきましては、「情報が現代社会に及ぼす影響を理解させるとともに、情報機器や情報通信ネットワーク等を効果的に活用して問題解決やコミュニケーションを行う能力を養うなど、望ましい社会を実現する担い手として、積極的に情報社会に参画する態度を育てること」に重点を置いたねらいとするということを考えてございます。「情報の科学」は、「情報にかかわる知識や技能を科学的な見方・考え方に基づき理解・習得させ、情報機器や情報通信ネットワークの技術的な進歩に主体的に対応し、社会の情報化によって多様化・複雑化している諸問題を合理的に判断・理解することを可能にする能力や態度を養うなど、情報社会に参画する上での望ましい態度を育てること」に重点を置いたねらいとすることを考えております。
引き続き、(イ)から(オ)でございます。2科目ご提示いたしました各科目の内容構成等を考えるに当たって配慮しなければならないと考えております視点について示した部分でございます。
(イ)と(ウ)につきましては、言語力の育成の視点で、そのかかわりで配慮すべき視点を2つ挙げました。特に、今回、(ウ)につきましては、追記という形で加えさせていただきました。その関係で、(イ)のほうで情報安全に配慮する、または情報を適切に活用できるという視点を重点化するために、修文をしてございます。
(エ)は、いわゆるディジタル・デバイドを今後、発生させないという視点を明確にするための部分で修文してございます。
最後の(オ)は、普通教科「情報」で学んだ成果を普通教科「情報」の学習だけに閉じ込めてしまうということではなく、他の教科等の学習や社会生活のさまざまな場面で活用できるようにするという視点を示した部分でございます。「情報通信ネットワーク」を追記したということでございます。
以上についてご説明をさせていただきました。ご意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【間田主査】
それでは、普通教科「情報」の現状と課題、改善の方向性(検討素案)についてご意見をいただきたいと思います。
【小泉委員】
まず、今の資料6の2ページ、科目構成の柱が2つになって、「社会と科学」ということで、特に2ページの最後の部分から3ページにかけての目的の部分です。確かに、現行の3科目ではA、B、Cという形でそれぞれの色を持っておりますが、逆に言うと、それぞれがはっきりした色分けをされていないということが若干問題であったかと思います。その点、2つの科目ではありますが、色分けをされたということは評価ができると思います。
更に、前段の「社会と情報」と後段の「情報の科学」というテーマで目的について記されておりますが、理解させることが何か、養う能力が何なのか、担い手としての在り方はどうあってほしいか、そして最後に社会に対する態度という形で、その4つのプロセスで前段の「社会と情報」及び後段の「情報の科学」をテーマにした内容をもう少し整理していただきたい。
ちなみに、最後の社会に対する態度というところが、「社会と情報」においても、「情報の科学」においても「社会に参画する態度」で、「積極的に」があるなしの違いなので、この辺はもう少しクリアにして、できれば、例えば「情報の科学」のほうは、先ほど来、技術立国云々の話が出ていましたけれども、すべての高校生に学んでもらいたいとはいえ、「情報の科学」のほうを選んだ場合に、更にもう一歩進んで技術的な部分に対して寄与するとか、あるいは情報技術、情報社会に寄与するという形で、「社会と情報」のほうは寄与しないのかというと、そうではないんですけれども、そういう意味で技術的なものを全面に押し出せるような区別化を更にしていただければありがたいなと思っています。
先ほど内野委員がおっしゃった安全と情報というのは、今、この時期に言う発言ではないと思うんですが、ぜひ表に出していただきたい。実は、先ほど中学校の技術分野のところで、
が特出しになって全員学ぶということになって、これである種、一貫性ができると私は思っています。安全と情報というところからスタートして、プログラミングではないですけれども、特に情報モラルというところ、そして最後に、初等中等教育の最後のステージである高等学校で「情報の科学」と「社会と情報」というところで、いずれも判断力としての社会性、合理的な、論理的な思考力としての科学性をそれぞれの科目で担保することで、子どもたちは、仮に文科系に進もうが、科学的な思考力を求めれば「情報の科学」を選ぶだろうし、理学系、理工系に進む者であっても、社会的なかかわりとしての判断力を求めれば「社会と情報」を選択するだろう。いずれにせよカバーできるものと思っています。せっかくここの部会で小中高で話す場ができていますから、ぜひとも、先ほど申し上げた情報教育という、根本的な今の日本が求められている子どもたちの生きる力と言うとちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、その力をここで一貫性を持って教育課程に反映させていただきたいなと思っています。
【松原委員】
情報社会が急速に進む中で、どういう内容を詰めていったらいいのかというのは大変難しい問題だと思うんですけれども、今回は非常にわかりやすくまとめてくださって、大変ありがたいと思っております。
まず、形式的なところから申し上げますと、現行では情報のA、B、Cと単純には3科目あるものが、形式的には2つの科目に集約されるという点では、一見、気になるところもあるわけですけれども、時代の情報化の進展に伴ってそれぞれをより特化させることの重要性という意味では、むしろ内容そのものが深まっているということで、この2つの科目の設定を私としては理解したいと思います。そういうことだからこそ、全国の情報を担当なさっている高等学校の先生方も、科目が単純に減ったんだということではなくて、内容自身が充実しているというところをむしろ内容の一つとして訴えていける形に、頑張ってくださっているのかなと私も理解したいと思っております。
情報A、B、Cは、そもそもどの科目を選択しても情報教育の目標が達成されるようにということで現行学習指導要領はできているわけですけれども、逆に言うと、AもBもCも重複して履修することが困難である。つまり、重なっている部分があるからだということなんですけれども、それも解消しようということで、今回、それぞれの内容を特化する形で「社会と情報」、「情報の科学」という形で表現してくださったわけです。
この2つはどちらか一方ということではなくて、必修としてはそれでいいと思うんですけれども、可能な限り選択で、実質的にもう一方の科目のほうも選択できるような形になればと思っております。どちらが先でも構わないとは思うんですけれども、社会的な見方、科学的な見方は両方大事だと思います。そのことの前提としては、最近、社会問題としてインターネットとかメール、ウェブ、ブログ、いろんなところで問題が日常的に発生しております。実は、こういった問題は教科の中にきちっと据え置くということで、本当ならば小学校から置いていただくのが一番ありがたいとは思うんですけれども、高等学校の普通教科「情報」では、そこの部分をより科学的な視点で、高校生の発達段階に対応した形できちっとその内容を構成していくということが大事だと考えています。そういう意味では、もうこの中にもきっちり盛り込んでくださっているわけですけれども、情報の科学的な見方というのは、いわゆる自然科学的な見方に加えて、人文・社会科学的な見方とも言えると思います。ここでは、科学的な見方というのが自然科学の代表で、あとは社会的な見方という形で整理されているところですけれども、それは非常に大事なことではないかと思います。
それは結局、情報そのものがどういうものなのか。物とは違う。物も大事だけれども、情報のほうも実は私たちの人間生活に非常に大きな影響を与えているということもきちんと説明する必要があるのではないかなということです。情報そのものがどういうことなのか、物とは違うというところから、物の安全もありますけれども、情報そのものの安全、心得の安全なども全面的に出してくださったのかなと思います。そういう意味で、改めて情報モラルというものと、それに加える形で情報安全というものをより包括的に取り上げていく点が大事ではないかなと思います。そのために、情報そのものの本質的なところもきちんと教えていく必要があると私は考えております。
資料6の1ページ、課題の丸の2つ目ですけれども、「いずれの進路を選択する生徒に対しても」の「いずれ」の意味なんです。これは何か例示があったほうがいいのかなと。「いずれの進路」というのは、理系に進む者も文系に進む者もということなのか、それとも就職する者も進学する者もという意味なのか、いろんな意味がとられる。逆にだからいいということもあるかもしれませんが、どちらなのかなと思いましたものですから、そのあたりを具体化する。意味はよくわかりますので、どんな進路を選んでもということだとは思うんですけれども、そういったことがあります。
それから、2ページの改善の方向性の丸の3つ目のところですけれども、「生徒の多様な学習要求に応えるとともに、生徒の実践力をより一層高めたり」、「情報活用能力」を「実践力」に置きかえられていて、これを見ると、情報活用の実践力なのかなと思うんですけれども、「情報活用能力」が消えて「実践力」になってしまうと。もっと広くとらえられているんでしょうか。いろんな積極的な行動力みたいなものをイメージするのか、それとも今、ここで取り上げている情報活用の実践力に特化するのかという点が、どちらなのかを明確にするほうがいいのかなと思います。
改善例の(ア)のところですが、「高校生の実態の多様性、情報及び情報機器」とつながるわけですけれども、「高校生の実態の多様性」がどこにつながるのかなと思うと、多分、最後の「を踏まえ」のところなのかなと。そうすると、「踏まえ」までがちょっと遠いので、「情報及び情報機器」の先に持っていって、「高校生の実態の多様性などを踏まえ」と入れかえたほうがわかりやすいのかなと。そういったことも考えておりまして、また検討いただければと思います。
2ページの下から2行目の「個人の責任」は、今までもそうなんですが、個人に限定しないほうがいいのではないかという気持ちもあります。例えば、組織としてとか、子どもたちの場合ですとグループとしてとか班としてというのがありますので、「内容は、例えば、情報社会への参加と個人の責任」というよりも、個人はもちろんですけれども、個人と限定しないでもっと広い意味でとらえるほうがいいのかなと考えています。
「コミュニケーション」も、工学的には情報通信を意味することもあるんですけれども、この場合の「コミュニケーション」は通信の意味なのか、それともいわゆる心と心の触れ合いというか、情報・意見交換といった意味なのか、両方の意味があるような気もするんですけれども、それはどちらなのかを明確にするとわかりやすいのではないかと思いました。
最後、3ページの上から7行目ぐらい、「内容は、例えば」のところで、これは多分、落ちてしまったのではないかと思うんですけれども、「情報ネットワーク」ではなくて「情報通信ネットワーク」と、「通信」があったほうが美しいかなと思いました。
【清水主査代理】
松原委員が言われましたように、今まで情報A、B、Cがあって、どれをとってもいいし、重複してとってもいいという内容構成にされていたということで、今回、情報Aに相当するものは、現時点では情報B、Cに力を入れるという方向ということで、非常によろしいと思います。ただ、今度は「社会と情報」、「情報の科学」と2つの科目があって、どちらか一方というのではなくて、基本的に両方とれることになっていますので、科目の内容構成のときにその配慮をしていただければということは、文言の後の作業としてのお願いであります。
あと、「社会と情報」と「情報の科学」の重点の置き方の最後の締め方なんですけれども、情報教育の目標は、情報活用の実践力と情報の科学的な理解、そして情報社会に参画する態度という3つがあります。それから考えますと、「社会と情報」の締め方としては「積極的に情報社会に参画する態度を育てる」に重点があるよというのが見えるわけです。「情報の科学」でいきますと、その締め方は「情報社会に参画する上での望ましい態度を育てる」、これは情報社会に参画する態度をちょっとニュアンスを変えているようなことで、ニュアンスが情報社会に参画する態度で締めているような感じがあります。やはり、2つの科目の違いも少し明確になるような形にしていただいたほうがいいのかなと思います。
【佐藤(万)委員】
今回の改善の一つは、まず今までわかりにくかった普通教科「情報」というのは一体何を教える教科なのかが、今回は非常に明確に出てきたのではないかなと思います。情報学というコアの部分が非常に浮き彫りになってきたと。情報A、B、Cという科目名は非常にわかりにくかったのが、今回、「情報の科学」でありますとか「社会と情報」という言葉を使いまして、よりわかりやすくなってきたのではないかと思っております。
ただ、1つ目に心配しておりますのは、やはり高等学校で教えるべき普通教科「情報」における情報学というものの定着を望むところでございます。全国の高校生に不公平のないように、すべての高校生にぜひ学ぶ機会を与えてやってほしい、そういう機会を保障してやってほしいという願いがございます。やはり大学との直結あるいは入試との関連性ということで、関連資料にも今回、ご提示していただいているように、入試への導入でありますとかセンター入試への導入という方向を考えますと、今回、2つの科目をご提示いただいておりますが、選択必履修ということで、1つだけではなく、学年進行におきまして、生徒の進路実現を目指す中では、「社会と情報」を選択した後にまた「情報の科学」も選択したい、あるいはそれではまだ足りないということで、私どもの学校でもやっております専門教科「情報」との関連性を少し見ていただきまして、そういった選択科目を置くことで生徒の進路の実現あるいは学びの機会の保障の実現をしていっていただければと考えるところでございます。
もう一つ、先ほどから話題になっておりますが、資料8にも相当するんだろうと思うんですけれども、小中学校との接続の部分を非常に危惧しております。先ほどから小泉委員からもご指摘がございましたように、技術・家庭科のほうで今回、4番ですべての中学生にという文言がございましたが、現実のところ、時間数の問題で、プログラムやマルチメディアも行うということが、果たして現実的にどうなのかなと非常に危惧しております。そんなところで、接続も考えながら高等学校での情報学という学びの保障というものを、今後、しっかりと見据えていかなければならないのかなと思っております。
【間田主査】
では、次の審議事項に入らせていただきます。前回の本専門部会において、小中高を通して体系的・系統的な情報教育の在り方について審議する場所を設けるべきとのご意見もございました。本専門部会において、小中高を通した情報教育について審議を行うことになりました。資料8の情報教育の現状と課題、改善の方向性(検討素案)について、参事官付の中沢情報教育調整官から説明をお願いいたします。
【中沢情報教育調整官】
小中高を通しての情報教育の在り方につきましてご議論をいただくために資料8をご用意させていただいております。本件につきましては、この専門部会でこれまでもご意見をいただいているということとともに、教育課程部会におきましての情報教育の体系化、充実につきまして、昨年2月の審議経過報告においてご指摘をいただいているということでございまして、また、先ほど資料10の教育課程部会におけるこれまでの審議の概要(検討素案)における教科等を横断して取り組むべき課題への対応の情報教育に対応するものということになろうかと思います。先ほどの中学校技術・家庭科の「情報とコンピュータ」でありますとか、高等学校普通教科「情報」との関係も含めまして、検討素案として整理させていただきましたので、説明させていただきます。
まず、現状でございます。1つ目の丸は全体的な背景になるもので、インターネットとか携帯電話の普及にも見られますように、また私どもの生活、社会、産業にも深くかかわっている、密接不可欠なものになっている情報につきまして、「急速に進展する情報化社会を生き抜く上での基礎力」ということで、「情報活用能力」、これは先ほどの普通教科「情報」の説明の中でもございましたけれども、情報活用の実践力でありますとか情報の科学的な理解、情報社会に参画する態度を児童生徒に確実に身につけさせることがますます重要になってきている。各学校段階を通じまして、系統的・体系的な情報教育をより一層充実することが求められているといった背景になるかと思います。
現在、情報教育に関しましては、小中高を通じまして、各教科等の指導に当たってコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段の活用を図ることになっておりますけれども、学校段階別には以下のとおりとなってございます。
小学校につきましては、各教科等の指導を通じて情報手段に慣れ親しみ、適切に活用する学習活動を充実することとされております。中学校におきましては、技術・家庭科技術分野の「情報とコンピュータ」におきまして、情報活用の基礎的な理論や方法の理解、情報社会に参画する態度の育成を図ることとされております。また、高等学校につきましては、普通教科「情報」におきまして、情報及び情報技術に関する知識と技能の習得を通して、科学的な見方、考え方を養う、社会の中で情報、情報技術が果たす役割や影響を理解させる、情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てることとされております。
また、中高いずれも、各教科等の指導におきまして、コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的に活用することとされております。
次に、課題でございますけれども、小学校段階につきましては、情報手段に慣れ親しませるというところに主眼が置かれている場合が多く、学校によって情報教育への取組に差があるということが指摘をされております。また、いわゆる情報の陰の部分として、ネットワーク上のルールとかマナー、個人情報、プライバシーあるいは情報に関するいろいろな権利といったものに対応する、あるいはコンピュータなどの使用と健康とのかかわりといったものを広く含めてございますけれども、情報モラルに関する指導が十分でないといった指摘もなされているところでございます。
中学校段階におきましては、先ほどご説明もございましたが、「情報とコンピュータ」の中で、「マルチメディアの活用」あるいは「プログラムと計測・制御」の部分が選択項目になっているということで、高等学校との接続の関係で課題が指摘されているということでございます。
また、高等学校段階におきまして、入学する生徒の情報に関する知識、技能に差が見られる等々の背景がございまして、生徒の能力や適性、興味・関心や進路希望等に応じた学習を可能にすることが求められているということでございます。
また、小中高を通じまして、情報モラルに関する指導が十分でないといった指摘もなされているところでございます。
そこで、以上のことを踏まえた改善の方向性でございます。
まず、小学校段階につきましては、情報活用能力の基盤をはぐぐむこととし、各教科等におきましてコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段の基本的な操作を習得する。それから、情報モラルにかかわる指導の充実を図ることとすることを示しております。
中高におきましては、生徒の発達段階あるいはICT、情報コミュニケーション技術の利用経験などの実態を踏まえながら、情報化社会を生き抜く上で必要となる情報活用能力を確実に身に付けさせることといたしまして、各教科等における情報手段の活用、情報モラルに関する指導の充実を図ることを方向性として示しております。
そこで、具体的な改善例ということになるわけでございますけれども、以上のようなことを踏まえまして、小学校段階から各教科等におきましてコンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的に活用をする。それを通じまして、コンピュータ等の操作を含めた基本的な操作を習得する。また、情報モラルにかかわる指導の充実を図るということで書かせていただいております。
特に、総合的な学習の時間につきましては、現行の学習指導要領におきましても学習活動の例として情報が挙げられているところでございますけれども、そうした情報に関する学習を行う際には、問題の解決や探究活動を通しまして、情報を受信し、収集・整理・発信したり、情報が日常生活や社会に与える影響を考えたりするといった学習活動が行われるように配慮することとする。
また、情報モラル教育の充実といった観点で、子どもたちも情報社会の進展とともにインターネット、携帯電話を利用する機会も増えているといった状況などもかんがみまして、特に道徳において、その指導に当たって発達段階に応じた情報モラルに関する取扱いに配慮することを示させていただいております。
中学校段階につきましては、小学校段階の基盤の上に、コンピュータや情報通信ネットワークなどを主体的に活用するとともに、情報モラルにかかわる指導の充実を図ることとしております。技術・家庭科の内容といたしまして、高等学校への接続を確実なものにするということで、マルチメディアの活用あるいはプログラミングと計測・制御といった基本的な内容をすべての生徒に履修させることとしております。
高等学校段階につきましては、コンピュータや情報通信ネットワークなどを実践的に活用することと、情報モラルにかかわる指導の充実を図るということで、特に普通教科「情報」につきましては、いずれも仮称でございますけれども、「社会と情報」、「情報の科学」の2科目の選択必履修科目として設定するということで書かせていただいております。
以上、情報教育につきまして、技術・家庭科、普通教科「情報」の見直しをしながら接続の確保を図るということ、情報モラルにかかわる指導の充実を図るということで、全体としては、現行は小学校では慣れ親しむ、中高で積極的に活用するという取組になってございますけれども、小学校から積極的に活用する、中学校では主体的にやっていく、高校ではより実践的にという形にシフトさせていくということでお示しさせていただいております。
説明は以上でございます。ご意見をいただければと存じます。よろしくお願いいたします。
【間田主査】
ただいまご説明いただいたことは、これまでの審議の場で関連していろんなご意見をいただきましたが、このようにまとめたことがございませんので、この資料8には赤字が入っておりません。新たに提案されるものであります。
それでは、資料8についてご意見をいただきたいと思います。
【清水委員】
少し意見を述べさせていただきたいと思いますが、ただいまも各委員から発言がありましたように、各学校段階での接続が非常に重要なことかと思います。それから、高等学校部会の資料13でも、「情報については、高等学校に入学してくる生徒の知識・技能に大きな差が見られる」ということが指摘されております。このような校種の接続を確実にするためには、各学校段階で習得すべき情報活用能力を、いろんな面がありますけれども、ある程度明確にする必要があるのではないかと考えております。これを能力を確実にということで明確にした場合に、それを確実に身に付けるようにするためには、各教科で取り組むことが大切ではないかと思うわけであります。これが第1点です。
第2点は、今、中沢調整官から、小学校段階では慣れ親しむということでご説明がありまして、基本的な操作スキルの向上ということに関連してのご説明と思いますけれども、これは指導の充実を図るのは非常に重要かと思います。しかし、操作スキルだけではなくて、今、社会でいろいろ問題になっているのは、情報を出した後、受け手の状況を配慮した発信の力が非常に重要だと思うわけであります。例えば、インターネットとかプレゼンテーションをしたときに、簡単な言葉で言えば相手にわかりやすい言葉、理解しやすい説明の仕方という能力が重要だと思うわけです。このようなことも、各教科の中で確実に扱われるようにしていただきたいというのが第2点目です。
相手の状況を踏まえて発信するというのは情報モラルに関係するかと思いますが、3番目としては、情報モラルは、ご承知のように非常に重要な視点ということで今回、新たに強調することになっておりますが、小さい段階から繰り返し認識することが重要ということは、世界的に言われています。したがいまして、小学校低学年から、情報モラルについてはぜひ力を入れて扱っていただきたいというのが第3点となります。
総合的な学習の時間の中で情報を扱うということは従来どおりかと思いますけれども、情報をただ使うと言っただけではなかなか浸透できない面がありますので、総合的な学習の時間の中で、例えばコンピューターやインターネットを使うことを前提にしていただくような形をとっていただきたいというのが4点目であります。
【今山委員】
技術分野の立場から情報のことを申し上げさせてもらいますと、情報教育は、もしかすると一過性の教育になる危険性もあるのではないか。そのときにずっと最後まで残りそうなのは、やはり技術的な部分といいますか、つまり先ほどから出ていますプログラムとか制御というところが、どこの教科にもできないもので、10年たっても20年たっても、社会が変わっても残るであろう。その部分を今から大切にしておく必要があるかなと思います。今は道徳の問題とか操作の仕方ですが、やはり文明の開発のときには常に出てくる問題で、10年、20年たってしまうと、もう昔のことになって、空気のようになってしまう。それでも残るような情報教育を考える必要があるかなと思うんです。
例えば、小学校のときにプログラムの授業をやったことがあるクラスと、そうでない何もないクラスの子にエレベーターの事件を読み聞かせて、その後で、いろんな対策とか原因が考えられるけれどもといったときに、プログラムを経験したことがあると、小学生でもエレベーターの事故とか何かの部分にプログラムとか制御という言葉が出てき始めるんです。それがなければ、一般的にただエレベーター会社が頑張ってほしいとか、技術者が頑張ってほしい、乗るのが怖くなったとかです。つまり、ブラックボックスであったものが、グラスボックスといいますか、プログラムや制御の部分だけですけれども、中が少し見えるようになる。技術教育というのは、今からはそれが必要じゃないかと思うんです。工業製品もすべてブラックボックスになってきている。明治以来ずっと、中が見えてきていた。だから、機械文明なりの文明が発達すれば、みんながそれに親しんできて、さらに詳しくなるという時代だったんですが、最近は全部一緒くたに取りかえますから、ブラックボックスになる。そうすると、使う人はどんどん増えているけれども、中身のわからない人がどんどん増える、工学へ行く人がどんどん減るという状況がある。グラスボックスにする必要がある。
そういう意味で、情報教育のグラスボックスは実はプログラムであり、プログラムをわかるようにするには、例えば動くものを子どもに与えて、プログラムして制御して、ぶつかったらどうするかとか、音が出るもの、光るもので簡単なプログラムを、横文字がだめなら日本語とか絵で制御させてみるということをやっていった場合には、いわゆる科学技術リテラシーとしてのプログラム教育ができてくるということが、静岡大学の小学生相手の実践でかなりわかってきております。世界的な発表をしてみますと、やはり世界的にも情報教育学者は悩みを持っている。静岡大学の発表に対して、すごく好意的に、これからの情報教育はそれは一つのヒントだねとすごく言っているということですので、何かの形で、先ほど高校も出ていましたけれども、発展的課題でもいいですから、プログラム的な、制御的なもの、あるいはセンサー的なところを少しずつ入れないと、ブラックボックスになったままでは少し危険かな、何か考えてほしいなと思います。
【井手委員】
井手でございます。
「発達段階に応じた情報モラルに関する取り扱いについて配慮する」ということで、今回強調し、載せていただいておりますが、昨年、生徒指導担当係長をさせていただいているときに、ネット上の掲示板等への書き込みをめぐるトラブルや、メールのやり取りによる交友関係のトラブルが全国的に絶えませんでした。このようなネットいじめにより、不登校になったり、最悪の場合には、自殺に追い込まれたりしているわけです。今やネットやメールは、携帯電話で簡単に利用でき、いじめの道具として使われているところがあります。ネットいじめは、ネット上のことなので、表に現れにくく、発見することが困難です。また、掲示板を開いてみると、もう目を覆いたくなるような言葉が書かれていたりするときがあり、私たちも子どものこれからの成長とか発達を非常に危惧したときがございました。本当に厳しい状況にあるということを感じたところでございます。だからこそ早い段階から情報モラルについて指導していく必要があります。そういった意味から、ぜひ情報モラルについては小学校の段階の早いうちから、中学校、高等学校の段階を経てきちんと身に付けさせる資質ではないかと思います。また、ここに挙げてありますように、ぜひ道徳で挙げていただいたり、総合的な学習の時間の中でも真っ先に取り上げていただきたいぐらい、私はそれを希望するところでございます。情報の発信あるいは受信について、それから掲示板の書き込み、メールのやりとり等を中心に子どもたちにきちんとしたルールやマナーを身につけさせる必要があるのではないかと思います。また、著作権なども同じように考えているわけでございますが、ぜひこのところを強くお願いしたいと私は思っています。
【坂口委員】
坂口と申します。先ほどからいろいろ子どもの問題等の話もありまして、PTAの立場からお話をさせていただきます。
この検討素案に関しては、非常によくできているかなと思います。それと、やはり望むことは、高等学校の段階で、情報に関して、パソコンとかの使用に関してはかなり格差がある。個人的な格差があったり、家庭の状況によっても情報教育というのはかなり格差があるかなと感じるんですが、小学校の現場を見ますと、パソコンの授業とかコンピュータクラブはあるんですけれども、先生方がなかなか教え切れていないような状況で、地域の方に来ていただいて、クラブの中でコンピュータを教えてもらったりという状況なんです。先ほども課題の中にありましたように、慣れ親しむという部分なので、基本的な仕組みを知らずに、いわゆるお絵かきとかのソフトを使って物を動かすだけになってしまうんです。ですから、そこに絵をかいて、自分の写真を取り込んで、一つのカレンダーをつくったりとか、そういう状況で終わってしまう。時間数に関しても、先ほどありましたけれども、授業の中で取り入れるにはかなり少ないですので、クラブの中でやったりしますが、クラブ自身は選択ですので、慣れ親しむ子もあれば、クラブに入らなければ全然さわらないで済む子もおります。
家庭の中でも、全部が全部パソコンがあるわけではありませんので、非常に長けている子もおりますし、保護者の情報リテラシーというのもあると思うんですけれども、保護者自身がパソコンに関して子ども以上に全然わかっていない。フィルタリングをかけるといっても、フィルタリングって何?という状況で、家庭の中で子どもの情報教育をしていくというのは非常に厳しい現状にあります。ですから、検討素案にありますように、小学校の時点から基本的な仕組みを教えていただいて、それを中学校でまた活用していくという内容に対しては、非常にいいものではないかなと感じております。
ただ、現場で教えるということに関しましては、特に多少高齢になっている先生方のコンピュータへの苦手意識とかがありまして、なかなか教え切れないし、教科にも入り込めない。クラブ活動として受け持つにしても、外部の大学の学生なり教員の方に来ていただいて教えていただくような状況になっていますし、コンピュータに強い方で平日に来ていただける保護者にクラブを任せるような状況にあります。そういった意味では、前のほうにもございましたけれども、地域社会との連携という部分で、例えば静岡大学の中で子どもに対しての情報教育にいろいろ取り組まれていると思うんですが、できれば現段階では外部からの力をお借りする形で授業を進めて、特に小学校時代が大事だと思いますので、小学校の中で外部の力というんですか、高等学校で情報を教えている先生方とかにどんどん入っていただいて、小学校の教育に手を貸していただく形が、保護者としては望ましいかなと感じております。ですから、改善例の中にできればそういった外部、企業なり関連する高校の情報の先生に入っていただいたり、大学の先生方や学生もどんどん入っていくような部分の改善例も入れていただけたらなと思います。
【塩入委員】
コンピュータというのは今、技術・家庭科だけのものではないという状況であるわけなんですけれども、一番問題なのは、一方通行になってしまう、あるいは発信者が見えないものをどうするかというところが出てくるんだろうと思うんです。中学校の段階では、実際には技術・家庭科でしか情報関係は教えていないことになっていますけれども、現実には、もうほかの教科でもいっぱい使っているわけですよね。パソコンの使い方を技術・家庭科で教えている教えていないに関係なく、国語なんかの教科書を見ますと、既に使えるという前提で堂々と、言葉の伝達をパソコンを使ってやってみましょうなんて出ていますよね。そういう状態になっている中で、技術・家庭科だけで情報モラルをやろうとしても、私はそれは無理だと思うんです。ですから、技術・家庭科の中でこの改善例というのは、私もこれで大変結構ですし、先ほど話がありましたけれども、情報モラルに関する取り扱いについてはぜひ中学校段階にも入れておいてほしいと思いますけれども、できたら、道徳というところに情報モラルでこういうことが大切なんですよというものを整理したものを入れておいていただいて、それを全教科、どの教科であっても、道徳にこの項目があることとの連携という形で授業の中で組み立てていけるような内容にしていただけないでしょうか。そうすれば、技術・家庭科だけできちっとしたものとか、あるいは情報の分野だけでやっているよりは、道徳教育は学校教育活動全体で行いますから、その分野の中で、我々のところではやろう、特に技術・家庭科、普通教科「情報」ではこういうものについては特に時間をかけてやろうとなっていかないと、少し無理かなと思っておりますので、ぜひお願いします。
【中原委員】
一番最後のページに「『社会と情報』、『情報の科学』の2科目の選択必履修科目を設定することとする」と書いているんですけれども、非常に危険だなという意見を述べたいと思うんです。
先ほど、温暖化の問題で生産と消費の問題を出しました。同じように、情報の問題というのは、もう産業革命並みの、とてつもない情報革命を起こしているんだろうと私は思うんです。経済の現場でいえば、検索エンジン一つつくるだけで何百万ドルという金が動くような経済システムにもうなっていますし、労働のやり方についても、今までは、いわゆる産業革命当時の9時から5時まで、いわゆるライン装置を動かすためにすべての私たちの生活時間もしくは家庭の団らんの時間が決まったわけですけれども、現実は何なのかというと、ものすごい情報技術によってフラット化して、時間がおくれようが何しようが、後で必ずフォローできるようなシステムになってくると、今までの我々が持っていた価値観や倫理観みたいなものが、本当は現実ではもう崩れ始めているわけです。そういう現状を前提にしながらきちっと考えていかないと、実は情報技術でいう技術的な影響評価と同時に、それが社会的に影響を与えるというのは、この中でもやっていますけれども、一対になっている。ですから、現代社会に与える影響どころか、はっきりと、経済であるとか社会システム、文化や習慣、倫理というのを明確に出していかないと、矮小化されたところで、使うときにお前の使い方がと言いますけれども、今、申し上げましたように、時間を守りましょうなんていう概念はもうこれから必要なくなってくる。生活時間と作業空間がごちゃまぜ、ないまぜになったときに、家族と会う機会は一体どこにあるんでしょうかぐらいのダイナミックな変化が、私は起きてくるんだろうと思うんです。お金の使い方一つとってみても、ICカード乗車券やお財布代わりとなる携帯電話など、前は全然想像していなかったのが、この二、三年のうちにドラスティックに変わっている。親たちがそういう機器を与えたときにどういう変化を与えるのか。そういう意味でいえば、ソーシャル・インパクト・アセスメントというか、社会科学的な影響評価と技術というものは、対になって教えないと、どちらかを選択するなんていうのは極めて危険な方向に行くのではないのかと私は思います。
【松原委員】
続きになりますが、ということは、選択ではなくて両方、中原委員のおっしゃったものをもっと追加するということをおっしゃってくださったと理解いたしました。
【中原委員】
はい。時間をとって両方を受ける。
【松原委員】
危険というか、両方大事だということを中原委員はおっしゃってくださったんですね。
【中原委員】
はい。
【松原委員】
文言になって出てくると少し気になるというか、追加していただきたいということもありまして、「情報安全」なんです。いわゆる情報モラルというのは今、すごく大きな枠組みの中に入って、もうモラルの概念を超えているところもあると思います。この際は、やはりモラルも含めて、安全の立場、つまり情報そのものが私たちの危険にかかわることもあるわけです。例えば、だまされてしまったり、詐欺に遭ったり、あるいは場合によっては加害者になってしまったりとか、情報を受けるとき、出すとき、いろんなところでいろんな問題が発生するということは、子どもたちにとっても今までにもいろいろ社会問題として出てくることもありましたけれども、そういったことから、特に小学校から、場合によっては限りなく発達段階の初めの折にということであれば、情報モラルに加えて情報の安全というところも、言葉として出してくださるとありがたいなと思います。「情報モラル」という言葉は、数えていませんが、結構あちこちにたくさん出してくださってありがたいんですけれども、「情報安全」というのもあわせて出してくださればありがたいと思います。
それとほぼ同じ、あるいはそれ以上にぜひお願いしたいのは、いろんな社会問題が起こる、問題だから、こんなことを教えてほしいというのがいろいろ出てきます。それに答えるのが情報安全だと思います。ただ、あちらこちらから耳にすることは、危険なことばかりだと怖くなっちゃうといいますか、あまり明るくないんですよね。ということで、社会問題、インターネットとかウェブ、ブログ、プロフだとかといろんな問題がありますけれども、この社会のインターネットも含めた明るい未来について、希望を持って生き生きと生きていく子どもたちを想定しながら内容をつくっていきたいなと考えています。そのためには、情報あるいは情報技術が、平和とか、先ほどありました環境だとか人権、福祉、いろいろあるとは思うんですけれども、そういう人類の重大なテーマに対しても貢献できる、あるいはしていかなきゃいけない、そういったものも発達段階に応じて盛り込まれるべきではないかなと考えています。情報にかかわる理論的な知識はもちろんですけれども、情報教育はハウトゥー、パソコンの使い方と認識されるケースも多いわけですけれども、それはもう昔々の話でありまして、今やパソコンの使い方イコール情報教育ではなくて、「情報学」という言葉もありましたけれども、情報にかかわる理論的な知識、実践的な知識、場合によっては技能にかかわるところかもしれませんけれども、そういったものが学力の一つとしてきちっと位置付けられることによって、小中高も含めた新しい情報教育がより深められるのではないかと考えております。
【小泉委員】
2ページの「各教科等において」がちょっと気になっていまして、現行の学習指導要領でも、各教科等において情報教育に関することを押さえるようにとあるんです。これをそのまま生かしていただくのは大変結構なんですが、具体としてわかりにくいところがある。道徳というのは出てきていますけれども、ではどの教科かというのはなかなか出せないと思いますが、「各教科等において」をもう少し深めた表現で出していただければと思います。
もう1点、先ほど私は2本立てと言いましたけれども、2本立てというのは別に片方を選べばいいということではありませんで、中原委員がおっしゃったように、できれば2本連続でということを意味しています。
【間田主査】
それでは、時間も参りましたので、本日はこのあたりとしたいと思います。最後に一言だけ言わせていただけますか。
学校教育法全体を拝見いたしますと、日本人としての教養ということや心、その心には規範意識や倫理観や愛などが含まれていると思います。それに安全や環境、創造性など、教科の枠を超えた内容のようではありますが、いずれもこの部会が扱う内容のように見えます。これらが非常に大事だということが認められているからこそ、他の教科に関連していること以外に、このような内容が含まれていると思います。皆さん方のご発言の中でも、その趣旨のことははたくさん含まれておりました。そこで、皆さん方から現状を改善し、充実させるためのたくさんのご意見をいただきましたが、先ほどのご意見にありましたように、せめて選択教科の時間ぐらいは使わせてほしいという、心のこもったご意見もありました。
例えば、この専門部会がどのようなことをねらっているかということを、家庭に関する教育でいえば、家庭生活を健全に営むことができれば、そして家族がそのような交流ができれば、人として健全な生き方も選択できるんじゃないかと思います。今、社会で見られる殺伐としたことも、まずは家庭で小さいころから考えられていれば、少なくなるのではないでしょうか。
技術分野でいえば、創造性、エネルギー、環境問題等が話題になっておりますが、技術の基盤的活動は物をつくることです。エネルギーを使っています。環境保全ということを考えたら、もうつくる活動はやめた方がいい、技術教育で創造させることは間違っているのではないかということになりますが、子供たちは、物をつくるという体験を通して、どんなに物が工夫されているか、身の回りの技術が利用されているかなども理解します。それがわかってこそ実際の行動になってあらわれます。そうすれば、100円の製品だから捨ててもいいんだ、1,000円のものだから買いかえればいいんだという発想も生じにくくなってて、これは大変な工夫がしてあるんだということが実体験としてわかります。安いものでも大切にしようと思うし、つくった人の心も察することができるんではないかと思います。つくった人のことが理解できれば、仕事を差別するということも生じないだろうし、子どもの進路に対しても、また他人の職種についても理解して認めることができるのではないかと思います。
さらには、今までのように技術を使っておれば、環境破壊は必ず起こっているのです。しかし、エネルギーを使うことをゼロにすることはできないのです。ならば、先進国と言われている、技術立国と言われている国ならば、それを理解して何とか抑止しようとする心が必要なのではないかと思います。それは、環境を守らなきゃいけないと知っているだけではできないと思います。知っていることと実行できることは次元が違うことです。知識だけの試験をすれば、多分、正解を書けるけれども、実際には行動できないということがあります。家庭教育の中の保育などでも実際に体験しなければ体感できない、身に付かないとおっしゃっています。
我が国の基盤の面から考えますと、創造するということは日本の特長であります。工夫、創造、几帳面、正確につくる、このような日本人の特徴が今の技術立国をつくり、その結果、私たちはこのような豊かな生活をしています。その成果をふまえて、今後も私たちは子どもの教育を考えなければならないと思います。さらに、先ほどおっしゃったように、情報というものはもう切っても切れないようになり、さらに情報化は進展しております。これを理解し、適切に運用することは、日本人としての必須の条件だと思います。
このような力も不可欠な素養です。
先ほど、時間数の問題について発言がありましたが、この部会の教科についても時間の配慮をお願いしたいということを各委員はたびたびおっしゃっていました。この専門部会は、内容の改善、充実を図ろうとしておりますが、時間数が変われば、教員の配置が変わります。採用も変わります。それは、時間数が多いほうが教員が多くなるからです。教員が減れば、選択教科を担当できる割合も減る、非常勤講師が増える、臨時免許の人も増える。これは今回取り組んでいる内容の改善ではなくて、むしろ実質は退化になると心配いたします。
私たちが健全な日本人であるならば、そしてバランスのとれた教養を身につけておれば、国際社会でも日本人が尊敬されるのではないかと思います。有形無形の文化を尊重しようという提言が出されていますが、日本人は几帳面である、思いやりがあるという無形の文化も大切にしなければならないのではないかと思います。そして人生80年です。そういう力が身に付いておれば、これらの力は一生役に立つものであって、入試のためだけに選択教科が使われる傾向があるから改善しなければならないというマスコミの一部の報道で——すべてを把握したとは私は思いませんけれども、最近主張されている各教科の教養も大変必要だと思いますが、この席の皆さん方が熱心に考えてくださっている教養も、日本人としてぜひとも確保していただきたいと思います。
この部会の内容改善について、文部科学省の事務局の方が取りまとめてくださっています。教育課程部会の部会長もいらっしゃいます。しかし、直接、その部会に訴えることはできませんので、皆さんの共通の思いを言わせていただいたということで、私の勝手な発言をお許しいただければと思います。家庭教育について、また情報教育について、正確に申し上げていないかもしれませんが、どうかそれもお許しください。
限られた時間内で、皆さん方のご意見を十分お聞きすることはできませんでしたけれども、この後も、ペーパーで事務局にご意見をいただければ、また検討させていただきたいと思います。
これで本日は審議を終わりたいと思いますが、最後に梶田部会長をご紹介いたします。
【梶田部会長】
皆さん、ありがとうございました。
技術・家庭、情報、非常に重要な分野で、しかも時代の流れの中でどんどんその在り方が変容を余儀なくされる分野だろうと私は思っています。今日も情報のことで随分出ましたけれども、3年、5年、10年で情報教育の中身も課題も本当に変わっていくのではないかと思います。家庭科も、ご存じのように、今、都市部だとクラスの子供の3分の1ぐらいが一方の親しかいない。そういう家庭も増えておりますし、それだけではなくて、家庭がよりどころでない子供、広い意味でのドメスティック・バイオレンスあるいは子ども虐待の問題もあって、そういうときにどこに逃げ込んだらいいのかということまで、ひょっとしたら家庭科でやらなくてはならないようなことも起こっているのかななんていうことも思っております。いずれにせよ、今日、お伺いさせていただきまして、非常にいい話をしていただきまして、これを何とかうまくこなせる形で学習指導要領ができればいいなと思っております。
時間数の問題は、小学校部会、中学校部会、高校部会で、ご承知のように、最大限で週30時間しかないんです。その中でどうするか。ただ何点幾らという端数はできるだけやめてという方向で今、案をつくっておられますので、そういうことを含めてと思っております。
それから、皆さん、中間まとめまでにこういう話し合いをしてもらいました。10月中にはできると思いますけれども、これで中間まとめを公表しまして、その中で今の技術・家庭、情報もきちんと入れたものが出まして、パブリックコメントといいますか、いろんなところからいろんなご意見をいただきまして、またここで内容についてさらに吟味していただいて、最後の学習指導要領の改訂についての答申になっていくという運びでありますので、よろしくお願いします。
【間田主査】
それでは、今後の日程等について、事務局から説明をお願いいたします。
【小幡専門官】
本日は、長時間にわたりご審議いただきまして、ありがとうございました。
今後の日程につきましては、本専門部会の上位の部会であります教育課程部会におきまして、本日、ご議論いただいたことも含めて、家庭科、技術・家庭科、普通教科「情報」、また情報教育それぞれの現状と課題、改善の方向性について、主査とご相談させていただいた上、整理させていただき、事務局より本専門部会としての報告をさせていただくこととしております。したがいまして、本専門部会の今後の開催につきましては、教育課程部会での審議の状況を踏まえ、開催する場合には追ってご案内させていただきたいと考えております。
また、先ほど主査からもお話がございましたが、ペーパーによるご意見等もちょうだいしたいと考えております。論点の趣旨を整理してまいります都合上、短期間でまことに恐縮でございますが、おおむね9月13日といいますと、明日になってしまうんですけれども、実は、来週早々の教育課程部会に報告ということで日程を考えておりまして、本当に大変申しわけありませんが、明日をめどにいただければ幸いかと思いますので、ファクスまたはメールになりますが、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
【間田主査】
それでは、本日はこれで閉会とします。長時間ありがとうございました。
—了—
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