ここからサイトの主なメニューです
資料17

家庭科、技術・家庭科の現状と課題、改善の方向性(検討素案)(教育課程部会等の審議を踏まえて再整理したもの)

1. 現状
 家庭、技術・家庭科は、衣食住やものづくりなどに関する実践的・体験的な活動を通して、生活と技術とのかかわりについて理解を深め、生活に必要な知識と技術の習得や生活を工夫し創造する能力を育てるとともに、よりよい生活を築いていく意欲と実践的な態度を育てることをねらいとしている。
 このねらいを実現するため、
 小学校家庭科では「家庭生活と家族」、「食事への関心」などの日常生活に身近な活動を重視した8つの内容について学習を行っている。
 中学校技術・家庭科技術分野では、「A技術とものづくり」の設計、材料、加工に関する内容及び「B情報とコンピュータ」のコンピュータの基本構成、情報通信ネットワークなどに関する内容についてはすべての生徒が履修している。これに加えて、エネルギー変換の利用、作物の栽培、マルチメディアの活用、プログラムと計測・制御に関する内容については、興味・関心等に応じて4項目の中から1又は2を選択して履修し、製作や実習を重視した学習を行っている。
 中学校技術・家庭科家庭分野では「A生活の自立と衣食住」の中学生の栄養と調理、衣服の選択と手入れなどの内容及び「B家族と家庭生活」の幼児の発達と家族、家庭生活と消費などの内容についてはすべての生徒が履修している。これに加えて、食生活の課題と調理の応用、簡単な衣服の製作、幼児の生活と幼児との触れ合い、家庭生活と地域とのかかわりなどに関する内容については、興味・関心等に応じて4項目の中から1又は2を選択して履修し、製作や実習を重視した学習を行っている。
 高等学校家庭科では「家庭基礎」、「家庭総合」、「生活技術」の3科目から1科目を選択履修し、生徒の興味・関心等に応じた学習を行っている。
 児童生徒の学習状況については、全般的に意欲的に取り組んでおり、実践的・体験的な学習活動の中で、児童生徒は完成の喜びや体験する楽しさを感じている。

2. 課題
 家庭科、技術・家庭科家庭分野の学習については、家族、保育や衣食住の学習は大切であり生活や社会で役に立つという意識をもつ児童生徒が多い。一方、例えば食事や栄養に関することなどについて、学習した知識や技術などが実生活で十分生かされていない状況にあるとの報告がある。
 子どもたちが、自己と家庭、家庭と社会とのつながりに目を向けるとともに、生涯の見通しをもって、よりよい生活を追求できる実践力を身に付けること、少子高齢化や家庭の機能が十分に果たされていない状況から、家庭の在り方や家族の人間関係や子育てについて学習し、生活における自立とともに、他の人と連携し共に生きるための知識と技術の習得が必要であるとの指摘がある。
 食生活の乱れや消費者トラブルの増加などから、食育や消費者教育の充実が課題との指摘もある。
 持続可能な社会の構築の観点から、資源や環境に配慮した生活の工夫が課題との指摘もある。
 技術・家庭科技術分野の学習については、科学技術が発展し情報化が進展する中、ものづくりに関する経験や身の回りの技術的な製品の仕組みを知るといった経験が少なくなっており、日本のものづくりを支える能力、技術を安全に活用できる力の育成を目指すべきであるとの指摘がある。
 社会で活用される様々な技術を評価・管理できる力の育成を目指した教育が必要との指摘もある。
 情報通信ネットワーク社会が形成される中、基本的な操作や最低限の情報モラル等は小学校から指導すべきとの指摘がある。一方、技術分野の「B情報とコンピュータ」において選択して履修する項目があるため、卒業時の生徒の能力に差が見られ、これが高等学校の情報に関する教科における指導上の課題となっているとの指摘もある。

3. 改善の方向性
 将来の社会を担う子どもたちには、社会や家庭生活を客観的な視点から理解し、生涯を見通し、よりよい生活の創造に向け主体的に取り組む力が求められている。
 そこで、小学校の家庭科、中学校の技術・家庭科及び高等学校の家庭科については、衣食住やものづくりなどに関する実践的・体験的な学習活動を通して、家族と家庭の役割、生活に必要な衣、食、住、情報、産業等についての基礎的な理解と技能を養うとともに、それらを活用して課題を解決するために工夫し創造できる能力と実践的な態度の育成をより一層重視する観点から、その領域構成や内容の改善を図る。
a  小学校の家庭科、中学校の技術・家庭科家庭分野及び高等学校の家庭科については、自己と家庭、家庭と社会とのつながりを重視し、生涯の見通しをもって、よりよい生活を送るための実践力を育成する視点から、学校段階に応じた体系的な目標や内容に改善を図る。
b  中学校の技術・家庭科技術分野については、日本の産業の特徴であるものづくりを支える能力などを一層高めるとともに、ものづくりを通して、技術と社会・環境などとのかかわりについて理解を深め、よりよい生活のために、技術を適切に評価し活用できる能力などの育成を重視し、目標や内容の改善を図る。
 社会の変化に対応して、次のような改善を図る。
a  少子高齢化や家庭の機能が十分に果たされていない状況に対応し、家庭の在り方や家族の人間関係などの家族や家庭に関する教育と子育て理解のための体験や高齢者との交流を重視する。
b  健全な食生活のための食育の推進を図るため、学習した知識や技術を活用して健全な食生活を実現しようとする能力や態度をはぐくむ視点から、食事の役割や栄養・調理に関する内容を一層充実する。
c  持続可能な社会の構築や消費者トラブルの増加に対応し、社会において主体的に生きる消費者をはぐくむ視点から、消費の在り方、資源や環境に配慮したライフスタイルの確立を目指す指導を充実する。
d  科学技術の発展や情報化の進展、持続可能な社会の構築、勤労観・職業観の育成への対応が求められる中で、技術と社会・環境とのかかわり、エネルギーや情報、生物に関する技術などの内容の改善・充実を図る。
e  情報通信ネットワークや製品の安全性に関するトラブルの増加といった課題に対応し、安全適切に技術を活用する能力の育成を目指す指導を充実する。
 知識・技術と実生活との関連を図ることが求められており、体験から、知識・技術を獲得し、基本的な概念などの理解を深め、実際に活用する力を養うために実践的・体験的な学習活動をより一層重視する。
 また、それらの知識・技術を実際の生活や学習において活用する力や、課題を発見し解決できる力を育成するために、自ら課題を見いだし解決を図る問題解決的な学習をより一層充実する。
 家庭・地域社会との連携という視点を踏まえつつ、学校における学習と家庭や社会における実践との結びつきに留意して内容の改善を図る。

4. 改善例
【小学校】
 小学校家庭科においては、生活を工夫する楽しさやものを作る喜び、家族の一員としての自覚をもった生活を実感するなど、実践的・体験的な学習活動を通して、自分の成長を理解し家庭を大切にする心情をはぐくむとともに、生活を支える基礎的、基本的な力を育成することを重視し、次のような改善を図る。
(ア)  小学校と中学校の内容の体系化や生涯の家庭生活の基盤となる力を育成する視点から、現行の8つの内容を整理し、1自分の成長や家庭の仕事、生活時間などの家庭生活と家族に関する内容、2食事のとり方や調理の基礎などに関する内容、3衣服の着用と住まい方、製作の基礎などに関する内容、4金銭の使い方や物の活用など身近な生活と消費・環境に関する内容等の観点から再構成する。
(イ)  社会の変化に対応し、小学校では次のような改善を図る。
a  家族や家庭に関する教育を重視する視点から、自分の成長を理解し家庭を大切にする心情をはぐくみ、生涯の家庭生活を支える基礎・基本を培うための学習活動を一層充実する。
b  生活や学習の基盤となる食育の必要性に対応し、食事の役割や栄養を考えた食事のとり方、調理などの学習活動を一層重視する。
c  社会において主体的に生きる消費者としての教育を重視する視点から、身の回りの生活における金銭の使い方や物の選び方、環境に配慮した物の活用などの学習活動を充実する。
(ウ)  家族の生活と関連させながら衣食住の内容を取り扱うことを一層重視し、各内容の関連を図り家庭生活を総合的にとらえられるようにする。
 また、各内容の指導については、実践的・体験的な活動を中心として、基礎的な知識と技能を身に付けるとともに、生活を工夫する楽しさやものを作る喜び、家族の一員としての自覚をもった生活を実感することなどを通して、家庭生活を大切にする心情を育むことを重視する。
 なお、小学校第4学年までの学習との接続に配慮するとともに、小学校における他教科等との関連を明確にする。

【中学校】
 中学校技術・家庭科においては、これからの生活を見通しよりよい生活を創造するとともに、社会の変化に主体的に対応する観点から、次のような改善を図る。
(技術分野)
(ア)  ものづくりなどの実践的・体験的な学習活動を通して、材料、加工、エネルギー、生物、情報に関する基礎的な知識と技術を習得させるとともに、技術と社会・環境との関わりについて理解を深め、よりよい社会を築くために技術を適切に評価・活用する能力と態度の育成を重視する。
(イ)  科学が発達し様々な技術が活用される社会に対応する視点から、現行の内容構成を見直し、1材料や加工、設計などに関する技術、2電気エネルギーの変換と効率や動力伝達と損失などに関する技術、3作物の栽培や新しい生物資源の活用などに関する技術、4ネットワークやマルチメディア、プログラミングによる計測・制御、情報モラルなどに関する技術等の観点から内容を再構成する。
 各内容においては、それぞれの技術を活用したものづくりなどを通して基礎的・基本的な知識・技術を習得させるとともに、これらを活用する力及び社会において実践する力をはぐくむ視点を重視する。
(ウ)  ものづくりを支える能力などの育成を重視する視点から、創造・工夫する力や、活動の中で生じる問題を解決できる力、緻密さへのこだわり、協力して製作することなどを通した協調性・責任感など他者とかかわる力の育成、社会生活の中での勤労の観念の定着などを目指した学習活動を一層充実する。
(エ)  技術を評価・管理できる能力の育成を重視する視点から、技術を理論的に考える学習だけではなく、ものをつくる過程を通して、身のまわりの技術を適切に判断し活用できる能力、安全・リスク等の問題も含めた技術と社会・環境との関係の理解や、技術にかかわる倫理観などの育成を目指した学習活動を一層充実する。
(オ)  技術に関する教育を体系的に行う視点から、小学校における学習を踏まえ、中学校における学習の見通しを立てさせるガイダンス的な内容を設定するとともに、他教科等との関連を明確にする。
 また、小学校や中学校の他教科等における情報教育及び高等学校における情報関係の科目との接続に配慮し、従来の内容「B情報とコンピュータ」の内容を深化・再構成する。
(家庭分野)
(ア)  将来の生活での応用・発展につながる基礎・基本を実践的・体験的に学習させることにより、中学生としての自己の生活の自立を図り、子育てや心の安らぎなどの家庭の機能を理解するとともに、これからの生活を展望し、課題をもって主体的によりよい生活を工夫できる力の育成を重視する。
(イ)  小学校と中学校の内容の体系化や中学生の自己の生活の自立を図る視点から、現行の内容構成を見直し、1家庭の基本的な機能や幼児の生活と家族などに関する内容、2中学生の栄養と献立、日常食の調理などに関する内容、3衣服の選択と手入れや住生活の安全などに関する内容、4消費者としての自覚や環境に配慮した生活の工夫などに関する内容等の観点から再構成する。
(ウ)  社会の変化に対応し、次のような改善を図る。
a  家族や家庭に関する教育を重視する視点から、家庭の基本的な機能などを理解し、これからの生活を展望する学習活動を一層充実する。
b  幼児理解のための体験を重視する視点から、幼児の生活についての理解を深め、子どもが育つ環境としての家族や家庭の役割に気付く幼児触れ合い体験などの学習活動を一層充実する。
c  健全な食生活のための食育の推進のため、食生活の自立を目指し、中学生の栄養と献立、調理や食文化に関する学習活動などを一層充実する。
d  社会において主体的に生きる消費者としての教育を重視する視点から、中学生の消費生活の変化を踏まえて、消費者としての自覚や環境や資源に配慮した生活の工夫などに関する学習活動を一層充実する。
(エ)  各内容においては、これからの生活を展望し課題をもって主体的によりよい生活を工夫できる力の育成を重視する視点から、仕事の楽しさや完成の喜びを体得するとともに、子どもが育つ環境としての家庭や家族関係の重要性、人とよりよく関わろうとする力、生活を工夫し創造する力、自分の生活の課題を解決しようとする意欲などの育成を目指した学習活動を一層充実する。
 また、家庭に関する教育を体系的に行う視点から、小学校の学習を踏まえ中学校における学習の見通しを立てさせるガイダンス的な内容を設定するとともに、他教科等との関連を明確にする。

【高等学校】
 高等学校においては、家庭や社会と向き合い、生涯を見通して目標をもつとともに、生活課題の改善や解決に向けて、意思決定し、問題解決する力や生活をよりよくするために主体的に実践できる能力と態度を育てることを重視し、次のような改善を図る。
(ア)  家庭を築くことの重要性、食育の推進、少子高齢社会における保育体験を通した子育て理解、高齢者への肯定的な理解や支援する行動力の育成など、社会から求められている課題についての内容を重視する。
(イ)  高校生の発達課題と生涯生活設計やキャリアプランニングなどについての時間軸の視点を明確にした内容とし、次世代を担う視点やキャリア教育を推進する上での生涯賃金や働き方、年金などとの関係についての指導を加え、生活を総合的にマネジメントするための学習活動を重視する。
(ウ)  子どもの発達や高齢期の特徴など人間の発達課題や生涯生活設計における生活経済や職業との関わり、衣食住生活と環境との関わりなどについて、科学的に理解させるとともに、社会の一員として生活を創造し行動する意志決定能力を身に付けることを明確にして、現行の内容構成を見直す。
 また、進展する少子高齢社会への対応、多重債務等の深刻な消費者問題、日本の生活文化への理解が深められるよう、現行の科目構成を見直す。
(エ)  家庭科の学習と実際の生活を結び付け、生活の根底にある基本的な原理・原則について科学的に理解し、実践を通して学習したことを身に付けようとする課題解決学習としてのホームプロジェクトや家庭科で学習したことをさらに探求し、学校生活や地域社会の生活の充実向上を目指す学校家庭クラブ活動については、一層充実させる。


ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ