資料3‐2 (別添2)実習のイメージ例(案)

 本「実習のイメージ例」は、教職大学院における実習がどのようなものかについてのイメージを明確にするため、一定の設定の下に、実習の具体的内容や過程等の例をイメージとして示したものである。各大学においては、このイメージ例を参考にしつつ、実習内容、実施方法、計画等について検討することが期待される。

(1)実習の全体イメージ

実践研究課題の明確化

  • 学校における実習は、課題に沿った学びとして展開されることから、実習前に各自の課題をテーマ化する。
  • 課題として、複数のテーマを選択・設定することは可能。

実習学校訪問

  • 学校の全体概要の把握(施設設備、校舎等を含む。)
  • 実習方針、カリキュラムの特性と構成などの教務事項の把握。

実践観察

  • 授業、部活動等課外活動、生徒指導等学校教育活動の全体の観察・理解
  • 個人観察(児童生徒等個人に着目し観察する)、全体観察(クラスや学年全体に着目し観察する)
  • ポートフォリオの作成

実践参加

  • 授業補助しての授業参加を中心とした実践参加

学校実習

  • 授業のほか、生徒指導に関する内容、校外活動・部活動等教育課程外活動等への参画を含む。
  • 大学教員による指導を含む。
  • 実習を複数校で行う場合、異校種、附属学校と連携校など、実践の質の違いなどの組み合わせが考えられる。

学校実習後の「サポートワークショップ」

  • 個人作業、グループ作業
  • 実習における実施内容のふり返り、明確化した実践研究課題に関する分析
  • 自らの弱点の補強、得意分野の伸長
  • 教科指導に関する内容の場合、教科指導に関する課題、教科を貫く課題

ケースA

  • 前提:期間としては集中して行う(週5日)。異なる2校において行う場合を想定。
  • 実践研究課題の明確化
  • 実習学校訪問(2日間(16時間)×2校)
  • 実践観察(1週間(40時間)×2校)
  • 実践参加(1週間(40時間)×2校)
  • 学校実習(3週間(120時間)×2校)
  • 学校実習直後のサポートワークショップ(週2回)(60時間)

ケースB

  • 前提:実習本体部分では週1又は2日行い、年間を通じて実習を行う場合を想定した例。
  • 実践研究課題の明確化
  • 実習学校訪問(1校)(2日間(16時間))
  • 実践観察(1週間(40時間))
  • 実践参加(1週間(40時間))
  • 「学校実習」(週1日(8時間)×14週、週2日×14週(計336時間))
  • 学校実習直後のサポートワークショップ(週2回)(60時間)

 この場合、例えば週の半ば(例えば火曜・水曜)に実習日を置いた場合、

  • 週前半(実習に関する事前準備・指導)
  • 週半ば(実習)、
  • 週後半(実践の評価・反省・分析と次週計画)

 などのサイクルが考えられる。
 (なお、両ケースにおける年間スケジュールのイメージ(別添)(PDF:68KB)を参照。)

(2)実習で修得するポイント(年間計画に沿って)

 以下の各項目について、実習で修得すべきポイント(着眼点等)を事前に明確化する。

1. 「学校における実習」の目的
2. 実習学校訪問
  • 学校概要、施設設備など
  • 方針、カリキュラムなど教務的事項
  • 学校における実習での役割と責任
3. 実践観察
  • 観察ファイルの作成
  • 観察の目的・仕方(児童生徒等を見る、教員を見る)
  • 観察課題(授業観察、学級観察、課外活動観察、学習環境観察)
4. 実践参加
5. 学校実習
  • 児童生徒等理解
  • 児童生徒等の学習課題
  • 児童生徒等の学習の評価
  • 様々な学習・指導形態(個別指導、グループ指導、少人数指導、習熟度別指導、ティームティーチング)
  • 授業設計の在り方
  • 教材研究の仕方
  • 教科指導の技術
  • 指導案の作成
  • 体験的・問題解決的学習
  • 授業実践と指導技術
  • カリキュラムコーディネート(教育課程の評価と改善、学習指導要領の趣旨を踏まえた教育課程の編成、地域や学校の実態に応じた教育課程の編成、授業時数など教育課程の管理)
  • 学校経営の計画
  • 年間指導計画の作成
  • アクティビティの計画
  • 学級経営案の作成
  • 学級指導の機会、学級組織づくり
  • 学年経営目標と学級経営
  • 学級活動の指導計画と指導
  • 生活習慣の形成
  • 生徒指導の意義
  • 組織的な指導体制の在り方
  • 問題行動に関する事例研究
  • 進路情報の収集と活用
  • 学校の進路指導体制の在り方
  • 家庭との連携
  • 教育相談の在り方・方法
  • カウンセリングマインドの意義と実際
  • 道徳教育(全体計画、年間指導計画、「道徳の時間」の指導)
  • 総合的な学習の時間(全体指導計画、年間指導計画、学習指導上の工夫、地域資源の活用等)
  • 特別活動(全体計画、年間指導計画、学級活動の指導と評価、クラブ活動、学校行事の指導と評価、児童会・生徒会活動)
  • 部活動等教育課程外活動
  • 今日的な教育課題等(キャリア教育、環境教育、情報教育(情報モラル教育を含む。)、人権教育等
  • 評価の在り方(児童生徒等の評価、評価と指導の関係、計画と評価の関係、単元評価、ポートフォリオ等)
  • 学校の組織経営(校務分掌)の在り方
  • コミュニケーションと連携
  • 学校の安全管理
  • 教員の仕事と専門性
  • 時間の管理能力の育成
  • 教育調査法

(3)実践研究の展開のイメージ(Reseach‐Plan‐Do‐Check‐Action‐Product)(R‐PDCA‐P))

  1. リサーチ(R‐P)
    • 先行実践にあたり、自己のテーマの座標を決める。
  2. 観察(D)
    • 授業観察によって子どもを見る。授業以外の活動においても同様のことが言える。
    • 授業観察によって教師の活動等を見る。授業以外の活動においても同様のことが言える。
  3. 実践参加(D)
    • 授業補助、TA等の役割で実践に参画する。
    • 現職院生の場合はなおいっそう、研究的視点から実習校の教育活動の一部を担う。
  4. 学校実習(D)
  5. 記録の作成と実践の振り返り(C)
    • 参画した立場で実践記録を書く。教材教具や選択した活動の妥当性、子どもの見え方、教師による働きかけ、教師の働きかけによって生じた子ども(たち)の応答、それら応答の関連付けと組織化など、短期的・長期的な実践記録となる。
  6. 事例研究会、校内研究会、実践検討会等への参加(A)
  7. レポート作成、実践記録の作成(P)
    • 児童生徒等と相互に関わり交流する中で記録や省察を行い、次の実践につなげていくのが教育実践研究であり、児童生徒等との具体的な関係を持っている教員が記録をすることが重要になる。「実践→記録→省察→あらたな実践」という螺旋的サイクルで発展し、省察が教育実践の思想と技術を鍛える。
    • ヴァージョンアップした再度の授業の実施、公開研究会の開催など(P)
    • 各種学会での発表、論文投稿など(P)

お問合せ先

高等教育局専門教育課教員養成企画室

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