教員養成部会 専門職大学院ワーキンググループ(第11回) 配付資料

1.日時

平成18年3月31日(金曜日) 13時30分~15時

2.場所

東京會舘 11階 エメラルドルーム

3.議題

  1. 教員養成における専門職大学院の在り方について
  2. その他

4.配付資料

5.出席者

委員

 横須賀主査、小原副主査、岩田委員、上野委員、菊池委員、下谷委員、鈴木委員、平出委員、梶田教員養成部会長

文部科学省

 徳永高等教育局担当審議官、浅田専門教育課長、戸渡教職員課長、勝野視学官、ほか関係官

6.概要

(1)教員養成における専門職大学院のあり方について

事務局からの配付資料の説明後、自由討議が行われた。主な発言の概要は以下のとおり。

委員
 3月13日に教員養成部会が開かれ、本ワーキンググループでの審議状況を報告した。カリキュラムイメージについては、今後、第1次試案、第2次試案という形で公表できる形とし、特に教育現場からの意見をもらって進めていこうと考えていることを報告した。
 ワーキンググループとしては、このほか、教職大学院に求められる大学教員(特に実務家教員)の在り方、及び事後チェックの観点について、今後考え方をまとめるつもりであることについて報告し、教員養成部会において了承いただいた。

委員
 カリキュラムイメージについて、これまで作業グループで検討作業を行ってきた。ワーキンググループでも2回議論をしていただいた。現段階の中で、取りまとまったものについてこの第1次試案の案という形で資料を配付している。本日の議論を踏まえ、また特に教育委員会等に積極的に意見をいただくような形で、順次とりまとまった段階で、第1次試案、第2次試案と仕上げていきたいと考えている。

委員
 作成していて気になった点が、やはり補論との関係が見えないとすごくわかりにくくなってしまうということ。もう1点は、現職教員とストレートマスターの両方を見なければいけないということ。どちらかというと現職教員の方が頭にあって作成しており、ストレートマスターのことについては、つけ加えてあるというのに近い内容になりがちである。これをはっきり現職教員の場合はとか、ストレートマスターの場合はこう書き分ける方がいいのかというような点が留意すべき点としてある。そういうことで、文章上のことは更に練る必要があり、本日委員のお考えをいただき、これからの練り方や、広く意見の求め方のご注意等をいただければよろしいかなと考えている。

委員
 カリキュラムのことに関しては、私は専門ではありませんが、補論の方がすっきりとしたイメージがあるのではないかという気がしていたが、特に今日の説明を受けて、大変よくできていると感じた。ただ、随所にストレートマスターよりも現職教員のことをイメージして書かれているということと、従来型の研究型といかに違うのかという、そういう強調をし過ぎているのではないかという印象は否めないと思っております。

事務局
 もう少し、例えばシラバスを全部並べて、これをやらなければ、それでないと出来ないという内容にするべき。徹底的に今までの教員養成の教職課程というものを見直していただき、その反省の上に立って教員養成を行っているところだけ教職大学院を設置していくということにしたい。

委員
 ある程度の学生数を修了させていかなければいけないのではないかと思うときに、教職大学院を設置できなかった大学に対してはどうするのか。

事務局
 教職大学院を政策的に乗せていくということに関しては、中央教育審議会の場だけではなく、様々な国全体としての政策形成過程の中で合意を持たなければいけないということでもある。そのような過程で指摘されるのは、今までの教員養成について無反省に大学院を設置することについての異論・反論が圧倒的に多く、とにかく厳選されて少数でもいいから徐々に毎年確実にしっかりとしたものを設置していくべきだというご意見が圧倒的に多い。ここで、何か量的に供給しなければいけないから、いわば水準のところで妥協するということは、とても政策形成上あり得ない判断と思っている。

委員
 ストレートマスターと現職教員のカリキュラムの書き分けをどうするかということに関しては、書き分けなくてもいいのではないかという意見を以前申し上げた。それは、学生の状況の違いは理解するが、現職教員ということに限定して、あるいは教員経験がないからストレートマスター用のとなってくると、目指す水準や基準が二重になることや、又は、教員を経験した人でなければ育てられない、あるいはストレートマスターに弱いというような発想になるのではないかという危惧があり、書き分ける必要はないのではないかということを申し上げた。それで1つの方法として、縦軸横軸で考えてみたときに、縦軸に形成するべき資質能力として持ってきて、そして横軸にレベル1、レベル2というような形で何段階かに書き分けてみる。そこで、目指すべき能力のこのレベルというような書き分けをすれば、ストレートマスターについては目指すべき目標は若干手前になるかもしれないが、現職の人はもう少し高いレベルになるということで、少なくともそのフォーマットとしては現職教員・ストレートマスターというように別物に扱わないで1つの形成すべき能力として一覧に入れることができると思う。そのような発想の方が、最終的に教員が身につけるべき資質ということを考えた際に適当ではないか。

委員
 ストレートマスターに対しては、時間の面や指導の場を多くつくらないといけないのではないか。この第一次試案が出ると、大学にとっては非常に大事な手がかりになると思うので、今指摘があったような形で、レベル1、レベル2、レベル3とか、同じようなシラバスの中で、そういうレベル分けができればと考える。あるいはそれが難しいようであれば、現職教員の場合ここまで求めるとか、あるいは少し高いレベルのものを備考の様に書き込むとか、その辺があるといいのではないか。

委員
 ストレートマスターと現職教員の区分については、基本的に書き分ける必要があるところだけ書き分ける、あえて必要になるところだけ書き込めばと考えていた。例えば現職教員の場合、教職経験があればこれは既に実施したというように単純に見なせるものなど、書き分けるところがあった方がいいというところは書き分けることとする。そうしないと、同じ学位で同じ免許であるから、到達地点で違いがあってはおかしいこととなる。もちろん経験の差はあるだろう。現職経験が10数年あって教職大学院に入学し、それを終えて教職修士になる学生と、現職経験が全くなくストレートマスターで20代前半で入ってくる学生との間に実際に身につけているものの違いがあるのは当然であるが、少なくともこのカリキュラムイメージにおいては到達点は同じとしておいたほうがよい。裏を返せば、ストレートマスターの学生のほうが修了後教員の期間が長く、力量形成のプロセスというのはより機会としては多いわけなので、なるべく同一に見るということをしておいた方がよいと考えていた。

委員
 先ほど指摘された問題に関わるが、シラバスを書くか書かないかという問題があって、この第一次試案が出る前に、カリキュラムイメージが出た際の各大学のリアクションがいろいろあって、それに触れながら考えていたことであるが、どの大学もカリキュラムイメージのとおりやろうと考えている。ただ、各大学に理解頂いていないという点として、6ページの授業方法についてのフィールドワーク以下のところが具体的にイメージできていない。これを、例えばシラバスで示すのが適当なのか、それとも今後検討していくであろう教員のあり方、実務家教員も含めてのあり方で示しておくのがよいのかというのは、今後の検討になるのではないか。
 また、実習に関して、「教職課程の改善・充実に関する協力者グループ」の中で、学部教育段階における「教職実践演習(仮称)」や教育実習の在り方についての方策・改善策を検討している。ここで学部段階での教育実習のあり方、例えば、実習が今の状態でいいのか悪いのかということが今後検討されていくだろうと思うので、学部段階の学生の実習指導という要素を入れる・入れないということも含めて、これは第1次試案ではなくて第2次試案以降に追加・修正されていくのかもしれないが、このような他の部分との関連というのも見据えていった方がいいのではないか。

委員
 第一次試案の原案を検討する大学関係者は、所属している大学の構想案を元に考えてしまう。そうなると、どうしても現職教員向けのカリキュラムイメージの方向に向いてしまう。そうすると、ストレートマスターに力点を置いた教職大学院の構造というのが出来にくい。今後、ストレートマスターに比重がかかるような書き方というようなものが見えてきて、その上で今のような原則で書かれるともう少しいいものが出来るのではないか。

委員
 カリキュラムイメージ案について、大分ボリュームも増えてきて、非常に完成度の高いものになってきていると思うが、もう少し見直す必要があると思うのは、このカリキュラムイメージで各大学院のカリキュラム設計をどこまで縛っていくのかという点。そういう観点からチェックしていく必要があるのではないか。つまり、厳格なコース設定や到達目標の設定などを記載していて、一方では各大学院にある程度の共通の認識を各大学院間で共有するという記載の仕方、この記載は相当弱いのではないか。なかなか難しい問題があるが、具体的に精査をしていく必要があるのではないか。

事務局
 専門職大学院の枠組みとして当然に求められる事柄と、教職大学院固有の問題というのはあると思うが、今回、各専攻ごとに育成すべき人材の目標とそれに対する修得すべき知識等の公表を社会に対して義務づけるという大学院設置基準の改正が行われた。そういう意味で、一定のコースワークについては当然大学院全体として義務づけていくことになる。基本的に、ある特定のところまでは、基本的に文部科学大臣の告示等という形で基本的な原則は強制する形になる。教職大学院の場合は補論で書いたような事柄は、この文部科学大臣告示として強制していくこととなる。そういうことを前提にした上で、このカリキュラムイメージというのが、この部分は強制ではないけれどもいわば参考例として、ねらいをより明確にするものと思っている。

委員
 例えば教職に就くことを視野にいれていなかった工学部4年生が、教職大学院に入学して教師になる。教師になってから工学部で修得した素養を活かして、教師になるというような学生。このような学生も受け入れる体制というのはこのカリキュラムの中に期待されているのか。

委員
 学部段階で免許状を取得していない学生の入学については、制度的に排除はしていないが、そのような学生を積極的に想定して、優れた教員になるようにカリキュラムを作成したかというと、そうではない。

事務局
 基本的には教員養成の大学院でなくても、免許を持って入学してくることを想定している。例えば、理学部出身で理科の教員免許を取得している学生など。したがって、当然理科の一種普通免許状を持っているというようなことを前提に制度が設計されている。この点は国会答弁でも明確に答弁しておりますが、これはかなり議論になっています。基本的に、全く免許状を持っていない方も入学できますが、その場合、教職大学院の学生であっても、教職大学院における教科の単位のほか、いわば必要なその基礎の部分が学部の授業等の単位を、学部などで併せて取るという形となる。

事務局
 これについては昨年12月の中間報告に記載されており、22ページに「教員免許状を持たないまま大学を卒業し様々な社会経験を得た者等が、改めて教職を目指す場合の一つの有力な養成機関としての機能についても、学部の機能を活用しつつ各大学の判断・工夫により対応することが期待される」となっている。また、25ページの修了年限のところには、「各大学院の判断・工夫により、学部での免許状未取得者を対象に、教職大学院に在学しつつ、その履修と併行して学部の教職科目を履修できる長期在学コースの開設などが期待される」となっている。よって、標準修業年限2年を基本としつつ、学部での免許状未取得者を対象に教職大学院に在学しつつ、学部の教育の開設をおこなう長期在学コースなども期待されている。

委員
 これは教職大学院のメインの機能ではないが、大学によってはそういうコースというか、そういうものをつくることは可能なように制度設計しているということ。

委員
 このカリキュラムイメージも、現職教員に限っているのではないが、学部段階で一種免許状を取得しているという前提であって、その免許状の取得のプロセスについては何も書いていない。それをこのカリキュラムイメージに記載する必要があるのかどうかについて、例えば免許取得後教職大学院の授業に参加するのか、あるいは両者の科目履修を並行で行うのかとか、こういう議論はあるが、私としてはそこまで記載しなくてもいいのではないかと思う。

委員
 6ページのフィールドワーク、シミュレーション、ワークショップ、ロールプレイングについては、もう少し具体的に記載しておいた方が各大学にとっては参考になるのではないかと思う。一般大学における教員養成では、このようなことをやっていないので、大学も誤解する可能性もあると思う。もう少し、例えばというような形でもう少し記述を充実させると、実際に各大学が運用するときには手助けになるのではないかと思う。

委員
 4月21日の教員養成部会で第1次試案の報告をしたいと思うので、それまでの間に修文をしていくことになるのですが、各委員で気がついたことを事務局に送っていただき、各委員の意見を取り入れながら修正していきたいと思う。本日ご出席でない委員にもお願いすることになる。

委員
 「基本的には1科目2単位」という記述があるが、連携協力校と一緒に授業を展開すると時間数としてはかなり長くなると思う。それを基本が2単位という記載をしてしまうと、イメージが出来てしまうので、少し幅を持たせた方がいいのではないかな。

事務局
 1科目2単位を基本とするという部分については、正確には、1科目2単位として今回このカリキュラムイメージの中では科目を提示するということを記述している。

事務局
 フィードワーク等は従来、大学院設置基準では単位に反映されてこなかったが、今回の大学院設置基準改正により、フィードワークやレポート提出などをもとに単位が認定できることとなるので、各大学がそのことを踏まえて適切に科目の設計をすることになるのではないか。

事務局
 基本科目部分5領域については、少なくとも18単位以上でないといけないということについては、設置基準上では直接は出ていないが、体系的に科目を編成しなければならないとされており、その「体系的」というからには、基本科目がその半分以上でなければならないということまでは既に中間報告に書かれている。その趣旨を踏まえて設置基準を改正することとなる。そのときに中身について、5領域を示したけれども、各科目2単位というものを基礎として考えますと言ったときに、5領域ですので4掛ける5領域で20単位という前提で今の科目例を大体つくりましたというところまでは書いてあるというもの。

事務局
 是非この第一次試案を幅広く、様々な場で出していただき、委員のみならず、我々の大学ではとか、多様な考え方が多数出てきた方がいいと思う。そういう意味では、この第一次試案を出来るだけ幅広く広めて頂きたいと思う。

委員
 教職大学院に求められる大学教員、特に実務課教員の在り方についてや、事後チェック・事後評価の観点について、今後議論していくことになりますが、特に現段階で意見があれば頂きたい。

事務局
 専門職大学院については5年に1回の事後評価が義務付けられているが、法科大学院についてのみ認証評価団体があり、現在、日弁法務研究財団と大学学位授与機構が既に認証評価団体となり、そのほか、大学基準協会が今後申請する方向と聞いている。一方、会計専門職大学院についても、関係者を中心に、もともと会計専門職大学院についてはモデルカリキュラムというものが財務省、関係大学、公認会計士協会、文部科学省が参加して出来ており、会計専門職大学院についてもきちっと認証評価団体をつくるということになっている。
 教職大学院については、文部科学省の政策として進めているわけであり、中教審で議論している事柄であり、これについてはこれが出た際に、認証評価団体がまだ何も白紙であるなどということはありえないと考えている。是非ここは、教職大学院がスタートして間もない段階でやはりきちっと認証評価団体から申請があるような形で準備していきたいと思っている。そういう意味では、是非この場での議論がそういったところに、実際にその関係者の機運を盛り上げていくということが一番寄与するのではないかと思っており、是非よろしくお願いしたい。

委員
 では、もうこの段階で、大学基準協会などで審議に入ってしまった方がいいのか。そちらで意見をいただきたいというような形にしてしまった方がいいのか。

事務局
 専門職大学院の認証評価については、例えば大学評価学位授与機構の場合でも、大学評価学位授与機構の研究部の方がやっているということではなくて、そこはある意味で団体の幹事をしているようなところもあって、実際には法科大学院の場合は、必ず半数以上法曹関係者が入らなくてはいけないと法律で決まっているので、実際には単に場所を貸しているというようなところもある。大学基準協会もその他の法科大学院の認証評価団体の場合でも、その委員の半分以上は当然裁判官や検事等である。
 そういう意味で、教職大学院の場合も、この点について鑑みれば、認証評価団体の構成員の半分程度は、校長会とか教育委員会関係者になるべき。そうでないと資質が問われますので、そういう意味では、母体としての団体の在り方とか、いろいろなことを考える必要がある。それは、今回大学基準協会が法科大学院の認証評価団体になろうとして申請を出されるということは、そういうことだと思っているが、認証評価の内容自体の検討は、これはやはり教育関係者なり、こういう場なりという実務家サイドの方で検討があって、それをいわばそういう団体のところで、その中でどういう形で受けとめて、共有されるのかされないのか、これはそれぞれの団体の判断になることと思っている。

事務局
 教職大学院は計画的につくるということではなく、やはり、ワーキンググループでしっかりした理念等を示していることについて、整った大学から準備をしていくということである。このため、従来型の整備というようなことにはならないと思う。また、教員養成をこれまでは必ずしも行っていなかった大学が新たにつくってくるというようなことも当然に予想される。従来の教員養成を行ってきた大学が教職大学院をというのは、なかなかハードルが高いからいけないということもあるであろう。現在の教員養成改革全体の中で、一方で「教職実践演習」に関する法律案は、来年の国会に提出されることとなるであろう。これをクリアするだけでも結構大変だと思う。であるから、そういう全体の動きの中で、教員養成の改善・充実により力を注いでいく大学と、そうでない大学との2種類の大学が出てくるのではないかと思っている。それは、各大学が責任を持って教職課程の改革を行うことであり、改革を進めていく時に、教職大学院というモデルをてこに教職課程の改革を進めていくという視点で残る大学と、そうではなく、とりあえず教職大学院は検討課題とし教職課程の改善を進めていくとする大学と、あるいは大変だからこの際教職課程から手を引くという大学とがでてくるものと考えている。

委員
 個人的願いとして言うと、教職大学院は一挙に拙速でできる必要はないと思う。これはとても大事であるから。いろいろな大学から準備に力を入れ始めておられることは聞いている。早期にスタートする大学もあれば、その検討時間がもう少し必要な大学もあるだろう。そういう形で何年か掛けて熱心な議論をしていただき、これを一つの起爆剤にして、学部の教員養成も含めて考えてみようという大学ができるだけでてくるような流れが出てくることが一番重要だろうと思う。であるから、これは一番乗りすればいいという話ではない。

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